説明

外壁構造

【課題】漏水や美観の悪化を防止しつつ屋外側にコンセントを設ける。
【解決手段】基礎2の上面2uに固定されかつ表面が該基礎2よりも前方にはみ出す外壁パネル3と、該外壁パネル3の下端部3dに固定された基礎見切4とを具えた外壁構造である。基礎見切4は、外壁パネル3の下端部3dから基礎2の上面2uを下方に越えてのびることにより、該外壁パネル3と基礎2との見切り部を目隠しする前板部4aと、この前板部4aに連なるとともに基礎2に向かって略水平にのびる下板4bとを含む断面略L字状をなす。下板4bには、開口部25が形成されるとともに、該下板4bと、外壁パネル3の下端部3dとの間の空間Sに、開口部25からプラグを差し込み可能なコンセント本体9が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漏水や美観の悪化を防止しつつ屋外側にコンセントを設けることが可能な外壁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばガーデニング時に使用する電気製品や、屋外の照明等の電源を確保するために、図6に示されるように、家屋の外壁aに、防水型の屋外用コンセント本体bが設けられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平05−144508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなコンセント本体bを外壁aに取り付けるには、装飾された外装材に、コンセント本体b取付用の孔cを設ける必要がある。コンセント本体bと該孔cとの隙間は、防水処理がなされるが、経時劣化や不十分な防水処理等により、前記孔cから壁内部に雨水が浸入するおそれがあった。
【0005】
また、コンセント本体bは、外壁aから屋外側へ突出して設けられるため、該外壁aとの一体感が得られ難く美観を損ねる他、コンセント本体bの表面が風雨等に曝されて汚れが付着する等の問題もあった。
【0006】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、外壁パネルの下端部に固定され基礎見切の基礎に向かって略水平にのびる下板に、開口部を形成するとともに、該下板と、外壁パネルの下端部との間の空間に、開口部からプラグを差し込み可能なコンセント本体を設けることを基本として、漏水や美観の悪化を防止しつつ屋外側にコンセント本体を設けうる外壁構造を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のうち請求項1記載の発明は、基礎の上面に固定されかつ表面が該基礎よりも前方にはみ出す外壁パネルと、該外壁パネルの下端部に固定された基礎見切とを具え、前記基礎見切は、外壁パネルの下端部から基礎の上面を下方に越えてのびることにより該外壁パネルと基礎との見切り部を目隠しする前板部と、この前板部に連なるとともに基礎に向かって略水平にのびる下板とを含む断面略L字状をなし、かつ前記下板には、開口部が形成されるとともに、該下板と、前記外壁パネルの下端部との間の空間に、前記開口部からプラグを差し込み可能なコンセント本体が設けられたことを特徴とする外壁構造である。
【0008】
また請求項2記載の発明は、前記外壁パネルは、矩形に枠組みされた枠材と、その屋外側に添設された外装材とを含むとともに、該外壁パネルの屋内側に、中空層を介して内装材が配され、前記コンセント本体の電源コードは、前記枠材に設けられた通し孔から前記中空層を通って屋内電源に接続される請求項1記載の外壁構造である。
【0009】
また請求項3記載の発明は、前記枠材及び前記下板には、前記中空層の空気を外部に連通させる換気孔を有する請求項2記載の外壁構造である。
【0010】
また請求項4記載の発明は、前記コンセント本体は、前記下板に沿って水平方向に移動可能なスライド手段を介して前記空間に配される請求項1乃至3のいずれかに記載の外壁構造である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の外壁構造は、外壁パネルの下端部に固定され基礎見切の基礎に向かって略水平にのびる下板に、開口部が形成されるとともに、該下板と、外壁パネルの下端部との間の空間に、前記開口部からプラグを差し込み可能なコンセント本体が設けられる。このような外壁構造では、従来のように、外装材に、コンセント本体を固着するための孔を設ける必要がないため、施工性が向上するとともに、壁内部への雨水の浸入を防止できる。また、コンセント本体は、基礎見切の前板部、下板及び外壁パネルの下端で囲まれる空間に配されるので、外部から見え難く、しかも風雨に曝されることもない。従って、外壁の美観の悪化を防止しつつコンセント本体自体の風雨による汚損を防止しうる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態の外壁構造の一形態を例示する断面図である。
【図2】図1の斜視図である。
【図3】図1の拡大断面図である。
【図4】コンセント本体のプラグ差込口が露出した基礎見切の下板の開口部を示す斜視図である。
【図5】コンセント本体のスライド手段を示す断面図である。
【図6】図5の正面図である。
【図7】従来のコンセント本体が設けられた外壁を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
【0014】
本実施形態の外壁構造は、例えば工業化住宅の外壁に好適に採用することができるもので、図1〜図2に示されるように、基礎2の上面2uに固定される外壁パネル3と、該外壁パネル3の下端部3dに固定されかつ基礎2と外壁パネル3との見切り部を目隠しする基礎見切4とを有する。
【0015】
前記基礎2は、例えばコンクリート製の布基礎であって、その上面2uには、上方へ突出するアンカーボルト11が植設されている。また、前記アンカーボルト11には、土台10を介して基礎2に沿って水平にのびる断面略L型のファスナー材12が固着されている。
【0016】
本実施形態の外壁パネル3は、矩形に枠組みされた枠材5と、その屋外側Oに添設されかつ表面に所定の装飾が施された外装材6とを含む。また、外壁パネル3の屋内側Iには、中空層8を介して内装材7が配される。
【0017】
前記枠材5は、例えば、溝型鋼などをその溝部を内側に向けて略矩形状に枠組みし、かつその内部に縦又は横の補強桟(図示省略)が配されたパネルフレーム状に形成される。そして、下端をのびる枠材5は、前記ファスナー材12の立ち上げ部12aにボルトにて固定される。これにより、外壁パネル3は、基礎2の上面に固定されるとともに、外壁パネル3の外面が基礎2よりも前方にはみ出して設けられる。
【0018】
前記外装材6は、枠材5の屋外側Oに、木質下地材13を介して取り付けられる。外装材6としては、窯業系、金属系その他のサイディング板などが用いられる。また、外装材6の表面には、タイル材等の装飾材(図示省略)が貼り付けられたものでも良い。
【0019】
前記内装材7は、床梁14に載置される床下地板15の上面に固着される。内装材7は、例えば木質材が矩形状に枠組された内の枠体16と、その内部に配される断熱材18と、前記内の枠体16の屋内側Iに添設される内装板17とを含む。内装板17には、例えば、石膏ボード及び/又は合板等から形成される。また、前記断熱材18には、例えば、ロックウールやグラスウール等が用いられる。さらに、断熱材18とファスナー材12との間にも断熱材19が配される。
【0020】
前記基礎見切4は、外壁パネル3の下端部3dから下方へのびる前板部4aと、この前板部4aの下端で折れ曲がり前記基礎2に向かって略水平にのびる下板4bとを含む断面略L字状の押出しされた薄板の金物として形成される。
【0021】
図3に拡大して示されるように、前記前板部4aは、実質的に外装材6の外面と面一にのびるとともに、その上端部には、外装材6から小隙間を隔てた位置で基礎2側に折り返されて前記木質下地材13に達する返し部4a1と、該返し部4a1の端部で木質下地材13に沿って上向きにのびる立片4a2とを有する。そして、この立片4a2が、前記木質下地材13に釘にて固着される。なお、前記返し部4a1と外装材6との間の小隙間には、釘打ち後、シーリング材20が充填されて水密される。
【0022】
また、前板部4aの下端は、基礎2の上面2uをさらに下方に越えてのびることにより、外壁パネル3と基礎2との見切り部を目隠しでき、美観を高めるとともに、基礎2内部への風雨等の浸入を防止できる。
【0023】
基礎見切4の前記下板4bは、前板部4aの下端から基礎2に向かって略水平にのびるとともに、基礎2と小隙間を介して終端する。これにより、外壁パネル3の下端部3dと、基礎見切4の下板4bとの間には、前部が前板部4aによりかつ後部が基礎2により覆われた風雨が浸入し難い空間Sが水平方向に連続して形成できる。そして、本実施形態では、前記空間Sに、コンセント本体9が設けられる。
【0024】
前記コンセント本体9は、図4に示されるように、例えば略直方体状の筐体22と、該筐体22の一方の面に設けられるプラグ差込口23と、該筐体22の他方の面から引き出される電源コード24とを有する。そして、本実施形態では、基礎見切4の下板4bに略矩形状の開口部25が形成されるとともに、該開口部25から前記プラグ差込口23が屋外に露出するようコンセント本体9のプラグ差込口23を下に向けて下板4bにビス26にて固着される。これにより、屋外側Oで使用される各種電機機器のコンセントのプラグが差し込み可能なコンセント本体9が、外壁に設けることができる。
【0025】
このように、本実施形態の外壁構造では、従来のように、外装材6にコンセント本体9を固着するための孔を設ける必要がないため、施工性を向上し、かつ、外壁内への雨水の浸入を確実に防止できる。しかも、コンセント本体9は、基礎見切4の前記空間Sに設けられるため、美観を損ねることが無く、かつ、風雨に直接曝されることもないので、その汚損を防止できる。
【0026】
なお、図2に示されるように、前記コンセント本体9の電源コード24は、枠材5に設けられた通し孔27から中空層8を通って屋内電源(図示省略)に接続される。前記通し孔27には、例えば電源コード24との摩擦や引っ掛かりを抑制するハトメ状の保護部材37等が設けられるのが好ましい。このように、中空層8を配線スペースとして使用することにより、電源コード24の引き込み作業を容易に行うことができ、施工性が向上する。
【0027】
また、前記枠材5には、例えば、中空層8の空気を外部に連通させる換気孔28が複数形成されるが、この換気孔28を通し孔27として用いることもできる。この場合、通し孔27の位置を適宜変えることができ、コンセント本体9の電源コード24の配線作業を能率化しうる。
【0028】
また、図5、図6には本発明の他の実施形態を示す。この実施形態では、コンセント本体9が、前記下板4bに沿って水平方向に移動可能なスライド手段31を介して前記空間Sに配されている。本実施形態のスライド手段31は、一端が枠材5に固着されかつ他端が基礎2の前面までのびる支持金具32と、該支持金具32に固着され、かつ下板4bに沿って水平にのびるレール部33と、該レール部33に摺動自在かつコンセント本体9が固着されるスライダ34とを含んで構成される。また、スライダ34には、下板4bと基礎2との間の隙間から、該下板4bよりも下方へのびるツマミ35が固着される。
【0029】
このようなスライド手段31は、ツマミ35を水平方向に移動させることによって、基礎見切4の内部に配されたコンセント本体9を水平移動させることができる。従って、コンセント本体9を、予め複数の位置に設けた下板4bの開口部25の任意の位置に、屋外側Oから容易に移動できる。なお、電源コード24としては、伸縮可能なカールコードが採用されるのが好ましい。
【0030】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【符号の説明】
【0031】
2 基礎
3 外壁パネル
4 基礎見切
4a 前板部
4b 下板
5 枠材
6 外装材
9 コンセント本体
25 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎の上面に固定されかつ表面が該基礎よりも前方にはみ出す外壁パネルと、該外壁パネルの下端部に固定された基礎見切とを具え、
前記基礎見切は、外壁パネルの下端部から基礎の上面を下方に越えてのびることにより該外壁パネルと基礎との見切り部を目隠しする前板部と、この前板部に連なるとともに基礎に向かって略水平にのびる下板とを含む断面略L字状をなし、かつ
前記下板には、開口部が形成されるとともに、該下板と、前記外壁パネルの下端部との間の空間に、前記開口部からプラグを差し込み可能なコンセント本体が設けられたことを特徴とする外壁構造。
【請求項2】
前記外壁パネルは、矩形に枠組みされた枠材と、その屋外側に添設された外装材とを含むとともに、該外壁パネルの屋内側に、中空層を介して内装材が配され、
前記コンセント本体の電源コードは、前記枠材に設けられた通し孔から前記中空層を通って屋内電源に接続される請求項1記載の外壁構造。
【請求項3】
前記枠材及び前記下板には、前記中空層の空気を外部に連通させる換気孔を有する請求項2記載の外壁構造。
【請求項4】
前記コンセント本体は、前記下板に沿って水平方向に移動可能なスライド手段を介して前記空間に配される請求項1乃至3のいずれかに記載の外壁構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−222827(P2010−222827A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−70708(P2009−70708)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(000004673)パナホーム株式会社 (319)
【Fターム(参考)】