説明

外壁構造

【課題】蒸暑地等における夏型結露を有効に防止するのに役立つ。
【解決手段】 外装材2と、断熱材4と、内装材5とを含む外壁構造1である。断熱材4の外面に防湿層13が配されるとともに、内装材5の屋内側Hiに、内側通気層8を介して配置される内面材9と、該内面材9に貼り付けられた内装仕上げ材6とが配される。防湿層13の透湿抵抗A(m2・h・mmHg/g)と、内装材5の透湿抵抗B(m2・h・mmHg/g)との比(A/B)が4.25以上であるとともに、防湿層13の透湿抵抗A(m2・h・mmHg/g)と、内装仕上げ材6を含んだ内面材の透湿抵抗C(m2・h・mmHg/g)との比(A/C)が0.85以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸暑地等における夏型結露を有効に防止するのに役立つ外壁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、図5(a)に示されるように、冬型結露を防止するための外壁構造aが提案されている。この外壁構造aは、外装材bと、該外装材bとの間に空気sが流れる通気層cを介して配された断熱材dと、該断熱材dの屋内側iに配された内装材eと、断熱材dの通気層cに面する外面に配された透湿防水層hと、内装材eと断熱材dとの間に配された防湿層gとを含んでいる。これらの構成部材は、防湿層gを除いて、いずれも透湿性を有する。
【0003】
このような外壁構造aでは、冬季の壁内結露を有効に防止することができる。即ち、暖房等によって、屋内側iが高温高湿となり屋外側oで低温低湿となるため、湿気の流れj1は、屋内側iから屋外側oへと向かうが、防湿層gによって、湿気mの壁内への流入が防止される。また、壁内に湿気mが流入しても、その主要部は通気層cに流れる空気sによって外部へと排出される。関連する先行技術として、次のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−070864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記外壁構造aは、冬季の壁内結露に対しては有効ではあるが、蒸暑地等の夏季において、壁内結露が生じやすいという問題があった。
【0006】
即ち、図5(b)に示されるように、夏季、蒸暑地では屋内側で冷房が行われるため、屋外側oが高温多湿かつ屋内側iが低温低湿となる。壁内に浸透した湿気の一部は、本来、通気層cによって外部へ排出されるものではあるが、蒸暑地では外気自体に大量の湿気を含んでいるため、湿気の流れj2が屋外側から屋内側へと向かい、この湿気が防湿層gの屋外側で冷やされて結露を生じるという問題がある。
【0007】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、断熱材の外側通気層に面する外面に防湿層を配するとともに、内装材の屋内側に内側通気層を介して配される内面材と、内面材の屋内側に貼り付けられた内装仕上げ材とを配し、かつ防湿層の透湿抵抗A、内装材の透湿抵抗B、及び内装仕上げ材を含んだ内面材の透湿抵抗Cを一定範囲に限定することを基本として、夏型結露を有効に防止しうる外壁構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のうち請求項1記載の発明は、外装材と、該外装材との間に空気が流れる外側通気層を介して配された断熱材と、該断熱材の屋内側に配された内装材とを含む外壁構造であって、前記断熱材の前記外側通気層に面する外面に防湿層が配されるととともに、前記内装材の屋内側に、空気が流れる内側通気層を介して配置される内面材と、該内面材の屋内側に貼り付けられた内装仕上げ材とが配され、前記防湿層の透湿抵抗A(m2・h・mmHg/g)と、前記内装材の透湿抵抗B(m2・h・mmHg/g)との比(A/B)が4.25以上であるとともに、前記防湿層の透湿抵抗A(m2・h・mmHg/g)と、前記内装仕上げ材を含んだ前記内面材の透湿抵抗C(m2・h・mmHg/g)との比(A/C)が0.85以上であることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2記載の発明は、前記内面材の上下端側には、前記内側通気層と前記屋内側とを連通する上通気孔、及び下通気孔が設けられる請求項1に記載の外壁構造である。
【0010】
また、請求項3記載の発明は、前記内面材には、前記下通気孔を覆う下覆い部が設けられ、前記下覆い部は、前記下通気孔の上側に固着される上基部と、該上基部から下方にのびかつ下通気孔を屋内側で離間して覆う上突片とを含む上巾木を少なくとも含み、前記上突片の下端は、前記下通気孔の下端よりも下方に位置する請求項2に記載の外壁構造である。
【0011】
また、請求項4記載の発明は、前記透湿抵抗Aが170(m2・h・mmHg/g)以上である請求項1乃至3のいずれかに記載の夏型結露を防止するための外壁構造である。
【0012】
また、請求項5記載の発明は、前記透湿抵抗Bが40(m2・h・mmHg/g)以下である請求項1乃至4のいずれかに記載の夏型結露を防止するための外壁構造である。
【0013】
また、請求項6記載の発明は、前記透湿抵抗Cが200(m2・h・mmHg/g)以下である請求項1乃至5のいずれかに記載の夏型結露を防止するための外壁構造である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の外壁構造は、外装材と、該外装材との間に空気が流れる外側通気層を介して配された断熱材と、該断熱材の屋内側に配された内装材とを含む。
【0015】
前記断熱材の前記外側通気層に面する外面には、防湿層が配されるととともに、内装材の屋内側に、空気が流れる内側通気層を介して配置される内面材と、該内面材の屋内側に貼り付けられた内装仕上げ材とが配される。
【0016】
さらに、防湿層の透湿抵抗A(m2・h・mmHg/g)と、内装材の透湿抵抗B(m2・h・mmHg/g)との比(A/B)が4.25以上に設定されるとともに、防湿層の透湿抵抗A(m2・h・mmHg/g)と、内装仕上げ材を含んだ内面材の透湿抵抗C(m2・h・mmHg/g)との比(A/C)が0.85以上に設定される。
【0017】
このような外壁構造は、屋外側が高温多湿かつ屋内側が低温低湿となる蒸暑地等の夏季において、屋外側からの湿気の流れを、透湿抵抗Aの大きな防湿層で遮断し、湿気が断熱材内に浸入するのを効果的に防止しうる。また、断熱材内に僅かに浸入した湿気は、透湿抵抗Bの小さい内装材から屋内側に排出されるので、断熱材内に湿気が滞留するのを効果的に抑制でき、夏型結露を効果的に防止しうる。
【0018】
さらに、内装材から屋内側に排出された湿気は、内側通気層を流れる空気とともに屋内へ排出でき、壁内に湿気が滞留するのを抑制しうる。また、防湿層の透湿抵抗A(m2・h・mmHg/g)と内装仕上げ材を含んだ内面材の透湿抵抗Cとの比(A/C)が上記の範囲に設定されるので、該内装仕上げ材を含む内面材からも、内側通気層の湿気の一部を屋内へ排出でき、壁内に湿気が滞留するのを効果的に抑制できる。従って、夏型結露を効果的に防止しうる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態の外壁構造を示す断面図である。
【図2】図1の拡大図である。
【図3】図1の上覆い部の拡大図である。
【図4】図1の下覆い部の拡大図である。
【図5】(a)、(b)は従来の外壁構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1に示されるように、本実施形態の外壁構造1は、屋外側Hoに配される外装材2と、該外装材2との間に外気Sが流れる外側通気層3を介して配された断熱材4と、該断熱材4の屋内側Hiに配された内装材5と、内装材5の屋内側Hiに、屋内の空気Tが流れる内側通気層8を介して配される内面材9と、該内面材9の屋内側Hiに貼り付けられた内装仕上げ材6とを含み、主に、夏季に高温多湿となる蒸暑地の住宅等に用いられる。
【0021】
これらの構成部材は、例えば、矩形に枠組みされた枠体7によって支持されてパネル状に形成され、例えば屋根梁15と土台16との間に固定される。この枠体7は、例えば木質材又は金属材等からなり、外壁構造1の上端側を水平にのびる上の枠材7Aと、下端側を水平にのびる下の枠材7Bと、これらの間を左右両端で継ぐ左右の枠材(図示省略)とを含み、各枠材7A、7B間を水平及び垂直方向にのびて継ぐ各種の桟材(図示省略)が設けられる。
【0022】
前記外装材2は、前記枠体7の屋外側Hoかつ上下に、例えばスペーサ11A、11Bを介して取り付けられる。この外装材2には、例えば、ALC等の発泡コンクリートパネルや、セメントと木質補強材料との原料混合物のスラリーを養生硬化させた窯業系外装パネルなどが用いられるのが望ましい。
【0023】
また、スペーサ11A、11Bには、外側通気層3と屋外との間で外気Sを連通させる開口12が設けられる。
【0024】
前記外側通気層3は、外装材2と断熱材4との間で上下にのびる空隙からなる。この外側通気層3は、スペーサ11A、11Bの開口12から案内された外気Sを上下に通過させ、該外側通気層3内に滞留した湿気を、例えば軒裏換気口14等から屋外へ排出しうる。
【0025】
前記断熱材4は、例えば、枠体7の内部に隙間なく配置される。この断熱材4には、例えば、ロックウールや、グラスウール等の繊維材等の他、耐水性及び軽量性に優れるポリスチレンフォーム等の樹脂材が用いられるのが望ましい。
【0026】
図2に拡大して示されるように、断熱材4の外側通気層3に面する外面4oに、シート状の防湿層13が配される。
【0027】
そして、本実施形態では、前記防湿層13の透湿抵抗A(m2・h・mmHg/g)と、前記内装材5の透湿抵抗B(m2・h・mmHg/g)との比(A/B)が、4.25以上に設定される。さらに、防湿層13の透湿抵抗A(m2・h・mmHg/g)と、内装仕上げ材6を含んだ内面材9の透湿抵抗C(m2・h・mmHg/g)との比(A/C)が、0.85以上に設定される。
【0028】
なお、本明細書において、前記透湿抵抗は、JIS A 1324、又はJIS Z 0208におけるカップ法に準拠して測定される値である。
【0029】
このような外壁構造1は、防湿層13が、外気自体に大量の湿気が含まれる蒸暑地の夏季において、屋内側で冷房が行われることにより生じる、屋外側Hoから屋内側Hiへと向かう湿気Mの流れFを遮断でき、断熱材4の内部に湿気Mが浸入するのを抑制しうる。さらに、遮断された湿気Mは、外側通気層3内に生じる外気Sの流れによって屋外に排出され、外壁構造1の内部で滞留するのが抑制される。
【0030】
さらに、内装材5は、透湿抵抗Bが小さいため、防湿層13と内装材5との間に侵入した湿気Mを、低温低湿の屋内側Hiへ効果的に排出でき、例えば、断熱材4の内部等の壁内で結露が生じることを抑制しうる。
【0031】
また、内装材5から屋内側Hiに排出された湿気Mは、該内装材5と内面材9との間の内側通気層8を通過する屋内の空気Tにより、屋内に排出されるため、内側通気層8内で該湿気Mが滞留するのを抑制しうる。
【0032】
さらに、前記比(A/C)が0.85以上に設定されるため、内装仕上げ材6を含む内面材9は、内側通気層8内の湿気Mの少なくとも一部を吸収しかつ屋内へ排出でき、内側通気層8内で湿気Mが滞留するのをより効果的に抑制しうる。

【0033】
従って、本実施形態の外壁構造1は、防湿層13、内装材5、内側通気層8、内面材9、及び内装仕上げ材6の相乗効果により、蒸暑地の夏季において、断熱材4の内部等の壁内で結露が生じることを抑制でき、夏型結露を効果的に防止しうる。
【0034】
なお、前記比(A/B)が4.25未満であると、上記のような作用を効果的に発揮できないおそれがある。逆に、前記比(A/B)は、大きければ大きいほどよい。なお、一般的な防湿層13(透湿抵抗A:170(m2・h・mmHg/g))と、石膏ボード(透湿抵抗B:0.66(m2・h・mmHg/g))とを組み合わせた場合には、前記比(A/B)として、257.6の値も許容しうる。
【0035】
また、屋外側Hoから屋内側Hiへと向かう湿気Mの流れFをより効果的に遮断するために、防湿層13の透湿抵抗Aは、好ましくは170(m2・h・mmHg/g)以上が望ましい。
【0036】
なお、防湿層13には、上記透湿抵抗Aを有するものであれば特に限定されないが、例えば、塩化ビニルや、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性剛性樹脂フィルム、金属箔、アスファルトルーフィング等、又はこれらを組み合わせた積層体等が用いられるのが望ましい。この防湿層13は、断熱材4の外面4oの全面に配されるのが望ましく、また、接着剤、両面テープ、又はステープル等を用いて固着されるのが望ましい。
【0037】
また、防湿層13と内装材5との間に侵入した湿気Mを屋内側Hiへ効果的に排出するために、内装材5の透湿抵抗Bは、より好ましくは40(m2・h・mmHg/g)以下が望ましい。
【0038】
なお、内装材5には、上記透湿抵抗Bを有するものであれば特に限定されないが、例えば、内装材5には石膏ボード等が用いられるのが望ましい。また、内装材5は、前記断熱材4の屋内側Hiの内面4i(図2に示す)を覆って配され、例えば枠体7に固着されるのが望ましい。
【0039】
また、前記比(A/C)が0.85未満であると、上記のような作用を効果的に発揮できないおそれがある。逆に、前記比(A/C)は大きい方が望ましい。なお、一般的な防湿層13(透湿抵抗A:170(m2・h・mmHg/g))と、一般的な内装仕上げ材6(例えば、防水塗膜)を含んだ内面材9(例えば、石膏ボード)(透湿抵抗C:183.66(m2・h・mmHg/g))とを組み合わせた場合には、前記比(A/C)として、0.93の値も許容しうる。
【0040】
また、内側通気層8内に滞留する湿気Mを屋内へ効果的に排出するために、内装仕上げ材6を含んだ内面材9の透湿抵抗Cは、好ましくは200(m2・h・mmHg/g)以下が望ましい。
【0041】
なお、内面材9及び内装仕上げ材6には、上記透湿抵抗Cを有するものであれば特に限定されない。例えば、内面材9は、石膏ボード、ケイカル板、窯業系外装材、OSB、合板等が用いられるのが望ましい。また、内装仕上げ材6は、平織壁紙などの織物壁紙、洋紙壁紙などの木質系壁紙、塩ビクロス、塗装仕上げ、接着タイル貼等が用いられるのが望ましい。上記のように、透湿抵抗Cの上限値が比較的大きいため、内面材9及び内装仕上げ材6の選択の自由度が確保される。
【0042】
図1に示されるように、前記内側通気層8は、前記内装材5と内面材9との間で上下にのびる空隙からなる。
【0043】
前記内面材9は、例えば、内装材5と該内面材9との間で上下方向にのび、かつその幅方向に一定ピッチで隔設される縦桟材(図示省略)、及びその下端で水平方向にのびる横桟17を介して固着される。
【0044】
また、内面材9の上端は、内装材5の上端よりも低く設定される。これにより、内面材9の上端側には、内側通気層8と屋内側Hiとを連通する上通気孔18Aが設けられる。一方、内面材9の下端側には、内側通気層8と屋内側Hiとを連通する下通気孔18Bが設けられる。
【0045】
これらの上通気孔18A、及び下通気孔18Bは、屋内側Hiで開口して形成されるため、屋内の空気Tを内側通気層8に円滑に案内でき、又は排出しうる。
【0046】
さらに、本実施形態の内面材9には、上通気孔18Aを屋内側Hiで覆う上覆い部21と、下通気孔18Bを屋内側Hiで覆う下覆い部22とが設けられる。このような上、下覆い部21、22は、上、下通気孔18A、18Bを屋内側Hiで目隠ししうるとともに、屋内の空気Tの流れを変化させて通気騒音を低減しうる。
【0047】
図3に拡大して示されるように、前記上覆い部21は、内面材9を上方で跨ぎかつ水平にのびるウエブ21aと、該ウエブ21aの屋外側Hoの端部から下方へ張り出しかつ内装材5に固着される外フランジ21bと、該ウエブ21aの屋内側Hiの端部から下方へ張り出し、かつ上通気孔18Aを屋内側Hiを覆う内フランジ21cとを含む。また、内フランジ21cには、その下端から屋内側Hiへ水平にのび、かつ天井パネル23の下面に固着される突片21dが設けられる。
【0048】
このような上覆い部21は、上通気孔18Aを屋内側Hiで目隠ししうるとともに、屋内の空気Tの流れを逆S字状に屈曲させることができ、通気騒音を効果的に低減しうる。
【0049】
図4に拡大して示されるように、前記下覆い部22は、内面材9の下通気孔18Bに対して下側に固着される下巾木26と、下通気孔18Bの上側に固着される上巾木27とを含む。
【0050】
前記下巾木26は、床面28側で内面材9に固着される下基部26Aと、該下基部31から内面材9に沿って上方にのび、かつ下基部26Aよりも幅狭に形成される下突片26Bとを含み、側面視略L字状に形成される。
【0051】
また、前記上巾木27は、下通気孔18Bに対して上側に固着される上基部27Aと、該上基部27Aから下方にのびかつ下通気孔18Bを屋内側Hiで離間して覆う上突片27Bとを含む。この上突片27Bは、上基部27Aよりも幅狭に形成されるとともに、下巾木26の下突片26Bよりも屋内側Hiに離間して配される。また、上突片27Bの下端は、下通気孔18Bの下端よりも下方に位置する。
【0052】
このような下覆い部22は、上巾木27の上突片27Bが、下通気孔18Bを屋内側Hiで目隠ししうるとともに、屋内の空気Tの流れをW字状に屈曲させることができ、通気騒音を効果的に低減しうる。
【0053】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【実施例】
【0054】
図1に示す基本構造をなし、表1に示す内装材、外側通気層、内側通気層、内面材、内装仕上げ材、及び防湿層を有する外壁構造をシミュレーションし、それらの性能が評価された。なお、共通仕様は次のとおりである。
外装材:
材料:窯業系サイディング
厚さ:15mm
断熱材:
材料:グラスウール16K
厚さ:100mm
テスト方法は、次の通りである。
【0055】
下記条件において、各外壁構造の断熱材の内面近傍における相対湿度(%RH)、及び内側通気層内における相対湿度(%RH)をシミュレーションした。評価は、各相対湿度が85.0(%RH)以下であれば、蒸暑地等における夏型結露を有効に防止しうることを示す。
シミュレーション条件:
透湿抵抗A(m2・h・mmHg/g):4パターン
透湿抵抗B(m2・h・mmHg/g):4パターン
透湿抵抗C(m2・h・mmHg/g):3パターン
蒸暑地の気象条件(一時間毎の温湿度データ(1年分)):
年平均:
気温:23.8℃
湿度:72.5%RH
夏季平均(6/15〜9/15):
気温:28.9℃
湿度:72.5%RH
屋内:
平均室温:18℃
平均湿度:70%RH
外側通気層への換気:30回/hr
内側通気層への換気:0.5回/hr
結果を表1に示す。
【0056】
【表1】

【0057】
実施例の外壁構造は、蒸暑地等における夏型結露を有効に防止するのに役立つことが確認できた。
【符号の説明】
【0058】
1 外壁構造
2 外装材
3 外側通気層
4 断熱材
5 内装材
6 内装仕上げ材
8 内側通気層
9 内面材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装材と、該外装材との間に空気が流れる外側通気層を介して配された断熱材と、該断熱材の屋内側に配された内装材とを含む外壁構造であって、
前記断熱材の前記外側通気層に面する外面に防湿層が配されるととともに、
前記内装材の屋内側に、空気が流れる内側通気層を介して配置される内面材と、該内面材の屋内側に貼り付けられた内装仕上げ材とが配され、
前記防湿層の透湿抵抗A(m2・h・mmHg/g)と、前記内装材の透湿抵抗B(m2・h・mmHg/g)との比(A/B)が4.25以上であるとともに、
前記防湿層の透湿抵抗A(m2・h・mmHg/g)と、前記内装仕上げ材を含んだ前記内面材の透湿抵抗C(m2・h・mmHg/g)との比(A/C)が0.85以上であることを特徴とする外壁構造。
【請求項2】
前記内面材の上下端側には、前記内側通気層と前記屋内側とを連通する上通気孔、及び下通気孔が設けられる請求項1に記載の外壁構造。
【請求項3】
前記内面材には、前記下通気孔を覆う下覆い部が設けられ、
前記下覆い部は、前記下通気孔の上側に固着される上基部と、該上基部から下方にのびかつ下通気孔を屋内側で離間して覆う上突片とを含む上巾木を少なくとも含み、
前記上突片の下端は、前記下通気孔の下端よりも下方に位置する請求項2に記載の外壁構造。
【請求項4】
前記透湿抵抗Aが170(m2・h・mmHg/g)以上である請求項1乃至3のいずれかに記載の夏型結露を防止するための外壁構造。
【請求項5】
前記透湿抵抗Bが40(m2・h・mmHg/g)以下である請求項1乃至4のいずれかに記載の夏型結露を防止するための外壁構造。
【請求項6】
前記透湿抵抗Cが200(m2・h・mmHg/g)以下である請求項1乃至5のいずれかに記載の夏型結露を防止するための外壁構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−233296(P2012−233296A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100318(P2011−100318)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000004673)パナホーム株式会社 (319)
【Fターム(参考)】