説明

外科用ナビゲーションシステムを使用して関節に関節形成術を実施するための方法

【課題】周囲の軟部組織機構によって影響を受ける運動学的作用を有する関節の外科手術の再構成的関与に役立つための方法を提供する。
【解決手段】外科用ナビゲーションシステムを使用して関節上の関節形成術を実施する方法であって、該方法は、外科用ナビゲーションシステムを使用して関節の生態組織構造を位置決めし、関節の生体機械的性質を決定し、関節に対する軟部組織外皮特性を評価し、さらに、関節の双方向性検査、軟部組織外皮特性、生態機械的性質、及び外科医に軟部組織外皮特性を同時に操作させることを可能にするための選ばれたインプラントを表示し、この選ばれたインプラントを収容するために関節を作成し、このインプラントを作成した関節に取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
適用せず。
【0002】
連邦政府委託調査又は経緯に関する記載
適用せず。
【0003】
経時的リスト
適用せず
【0004】
本発明は、関節のための再構成、ならびに全体的及び部分的置換外科手術の作業をするのに役立つための方法、ソフトウェア、及びシステムに関する。特に本発明は、周囲の軟部組織機構によって影響を受ける運動学的作用を有する関節の外科手術の再構成的関与に役立つための方法、及びソフトウェアに関する。代表的な実例は膝や足関節部の外科的処置であり、例えば、ACL(前十字靭帯)修復、関節表面の単一仕切り又は多数仕切りの交換、補正手術などが挙げられる。
【背景技術】
【0005】
足関節部、膝、肩、あるいは肘の関節形成術を含む、現在の関節復元及び置換外科手術は、主に標準的方法及び許容成果に対するガイドラインに基づく。この点に関しては、関節内へのインプラント(移植組織)の位置決めは、内外反、湾曲部/拡張部、及び動作の範囲のような生体機械的軸に対する方向に対する標準値に基づく。1つの外科手術の目的は、関節の復元を実現するために使用される人工的構成要素が負荷軸に対して特定の配列を備えなければならないことである。これらの基準は静荷重分析に基づくものであるから、個々の実施中の外科手術のライフスタイル・パターンを考慮する最適な間接機能性を達成するのに適切でないこともある。手術する関節に対するパラメータを測定するために同側性(ipsilateral)サイドを観察するシステムが存在している。さらに、内反/外反、湾曲部/拡張部、及び動作の範囲に対するそれぞれの適性値を決定しようとする運動学的方法も存在している。膝、足関節部、及び肘のように、固定されていない関節に対し適切にバランスを保つ必要があるという理由は、こうした関節が、靭帯を含み関節を包囲する軟部組織によって結合されるからである。関節が適切に機能することは、インプラントを収容するための関節の適切な切除、インプラントのサイズ処理の適切な選択、及びインプラントと切除に対する軟部組織の適切なバランシング(平衡を保つこと)の組み合わせに依存している。現在、このバランシングは、経験及び母指ガイドラインの規則に基づいて外科医によって実行される。
【0006】
コンピュータ支援外科用ナビゲーションシステムは、通常、術前スキャン又は患者の生態組織から得られた基準点から構成される3次元モデルで患者の生体組織を設定し位置合わせをするのに多大な時間を必要とする。さらに、従来のコンピュータ支援ナビゲーションシステムは、骨の切除、インプラントのサイズ、及び軟部組織の制約若しくはバランシングの間において適切なバランシングをとる際に外科医をガイドするのに段階的手順を行なうことによって外科医の支援を行なっていなかった。対応する別の利点がなくても更なるステップを必要とすることは、外科用ナビゲーションシステムの精度の向上が患者の最終結果を改善することがあるとしても、外科医が整形外科用の外科ナビゲーションシステムを使用しないようにしてきた。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施の形態は、外科用ナビゲーションシステムを使用して関節上の関節形成術を実施する方法を構成する。この方法は、外科用ナビゲーションシステムを使用して関節の生態組織構造を位置決めするステップと、関節の生体機械的性質を決定するステップと、関節に対する軟部組織外皮特性を評価するステップと、を含む。上記方法は、また、関節の双方向性検査、軟部組織外皮特性、生態機械的性質、及び外科医に軟部組織外皮特性を同時に操作させることを可能にするための選ばれたインプラントを表示するステップと、この選ばれたインプラントを収容するために関節を作成するステップと、このインプラントを作成した関節に取り付けるステップと、を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
後続の主要な説明が膝置換外科手術のための本発明のシステム及び方法の使用方法を説明するものであるが、本発明は、図20及び図21にて図示したような、足関節部、肩、及び肘のような固定されていない関節を交換したり、修復したりするために使用できる。
【0009】
図1を参照すると、患者の脚100は、膝置換外科手術に対する準備ができている。脚100は、患者の上脚若しくは大腿骨102が、患者の脛骨104に対して約90度の角度にあるように屈曲されている。脚100をこのように位置決めする手順のために、患者の膝106が所定位置に配置される。2つのトラッキング装置108は、コンピュータ支援外科用ナビゲーションシステム112と対応付けられるカメラ110と通信することができ、これらトラッキング装置108がそれぞれ大腿骨102及び脛骨104とともに移動するように、大腿骨102及び脛骨104と対応付けられている。この結合は、骨に直接取り付けたり、又は、以下に論じられる他の結合方法によってもよい。コンピュータ支援外科用ナビゲーションシステム112は、公知技術であり、本明細書中に更に論議されない。適切な外科用ナビゲーションシステムは、米国特許公開番号第2001/0034350号に記載され、その開示は参照によって組み込まれる。代表的なナビゲーションシステム112は、また、コンピュータやビデオモニタなどの表示装置114を含む。更に、多くのナビゲーションシステム112はまた、ナビゲーションシステム112と共に動作する前もって校正されているポインタ116のような特定工具を使用することもある。ポインタ116の校正により、ポインタ116上に位置付けられるLEDのような一組の位置決め装置120によってナビゲーションシステム112が、ポインタ・チップ118の正確な位置を決定することを可能にする。これら位置決め装置は、トラッキング装置108に使用されるのと同種類である。
【0010】
大腿骨102及び脛骨104のほかに、膝106は膝蓋骨122を有する。膝蓋骨122の位置は、ポインタ116を使用することによって決定することができる。さらに、膝蓋骨122が脛骨104の位置に解剖学的に結合されることから、ナビゲーションシステム112は、脛骨104の位置を参照することにより、膝蓋骨122を位置決めすることもできる。更に、膝蓋骨122が固定されていることから、3つの自由度に対して膝蓋骨122を位置決めすることが必要であるにすぎないことも多い。周知のように、膝蓋骨122の特性は膝置換外科手術の間に判断されるべきであり、膝蓋骨122を複製したインプラントであれば、膝106の手術後の機能に影響を及ぼすことがある。
【0011】
一部の実施の形態において判断されることができる1つの関係は、大腿骨102及び脛骨104間の継ぎ目であり、大腿骨102及び膝蓋骨122間の継ぎ目に対する大腿骨−脛骨の継ぎ目の関係である。継ぎ目は、膝106のこうした場合では、空間内の関節の一時的な回転である。継ぎ目は、機能的屈曲軸とは異なる。機能的屈曲軸は、関節の全体的な屈曲部を説明する。どんな関節でも、一般に、関節から成る骨間の明確な接触点である。これらの骨の1つの表面が決定されるならば、システムは、1本の骨の接点を決定し、関節の同じ位置に、その一本の骨の接点を第2の骨の接点に連結する。膝の場合、第1の骨上の2つの接点は、ライン上で相互に関係付けられる。第2の骨上の2つの接点もまた、最初に同じライン上に関係付けられる。しかしながら、各ラインは、関節から成るそれぞれの骨に対して、個々に観察されることができる。一方又は両方の骨が疾患あるいは損傷の結果として変形されることがあるので、復元された関節に対する最適な継ぎ目は、一方又は両方の骨に対して最初に観察された継ぎ目からオフセットされることになることが多い。
【0012】
図2に述べられるように、ブロック200は大腿骨102及び脛骨104の位置を決定する。上記のように、このことは、トラッキング装置を大腿骨102及び脛骨104に対応付け、そして、ナビゲーションシステム112のカメラ110の視界内でそれぞれの肢部を操作することによって実行される。任意選択的に、ブロック200はまた、膝蓋骨112の位置を決定することができる。
【0013】
制御は次にブロック202に移行し、大腿骨102、脛骨104、膝106、及び任意選択的に膝蓋骨122に対する生体機械的性質が決定される。実際の切開手術が行なわれる前に一部の生体機械的性質が決定できる。たとえば、トラッキング装置108が大腿骨102に取り付けられ、対応付けられた後で、大腿骨の骨頭の位置は、ヒップ・ソケットの回りに回転するために大腿骨102を操作することによって決定することができる。更に、初期機能適屈曲軸の分析及び動作分析の範囲は、膝106の動作範囲の全体を通じて膝106を操作することによって実施されることができる。また、外果及び内果の位置は、ポインタ116を使用し、足関節部上の適切な骨目印(ランドマーク)にポインタチップ118を接触させることによって決定することができる。ナビゲーションシステム112は、膝106の閉じた膝の評価を実施する際に外科医を導くために、図3に示すようなタイプのディスプレイ114上に一連の画面を表示することができる。ナビゲーションシステム112は、大腿骨102と対応付けられるトラッカー108の位置を追跡記録し、充分な地点が大腿骨頭部を正確に位置付けするために記録されている場合を示し、動作の範囲と初期機能的屈曲軸を決定することになる。さらに、膝蓋骨122の脛骨104に対する関係は、この時点で決定することもできる。閉じた膝106におけるこれらの評価の一部は、術前精密検査の一部として前もって実施され、術後の際に使用するために記録できる。
【0014】
従来の膝置換は、脛骨−大腿骨関節周辺に極めて大きな焦点がある。それにもかかわらず、膝は、膝蓋骨が脛骨に上に大腿四頭筋力を伝える大腿滑車溝内で滑動している、三区分化された(tri−compartmental)関節である。適切な膝蓋骨−大腿骨の運動学を回復させるのに失敗すると、埋め込んだ後に思わしくない痛みレベルをもたらすことが多い。大腿四頭筋機構の適当な動作を回復させるために考慮される最も重要なパラメータの1つは、膝蓋骨から機能的屈曲軸までの距離である。距離が増加されると、膝蓋骨の過度の詰め込みと称される状態が発生し、それによって動作の範囲が限られ、痛みをもたらすことになる。距離が減少されると、大腿四頭筋機構の効果が低下され、膝蓋骨の追跡に障害が生じることがある。膝蓋骨の内外方向の変位は、インタプラントの内外回転によって影響が与えられる。膝蓋骨の自然のままの追跡、及びインプラントの再構築された滑車溝の全体的な不一致がある場合、脱臼及び痛みが生じることがある。膝蓋骨の回転上の自由度、即ち、傾斜、回転、及び屈曲は、上記パラメータと結合され、第2に重要なことである。
【0015】
膝蓋骨の経路だけを追跡することは、6つの自由度をすべて実施しなくても、必要とされる装置を簡単にする。このことは、膝蓋骨が比較的小さい構造であり、異物が膝蓋骨に付着されると膝蓋骨の運動学が変更されることがあるから重要である。さらにまた、膝蓋骨は、脛骨に対して一定の関係を有する。これは、緊張材(腱)によって脛骨の近位脊椎に取り付けられ、四頭筋機構からの力が足部に収容され送られる。この関係はほとんど影響がなく、それ自体が膝関節部の運動学的パラメータの一部を説明する非常に忠実な目印である。これらのパラメータが非常に有用である一方で、膝の機能を回復させることが、脛骨−大腿骨の関節部が置換された場合に補正外科手術などのように他の基準が利用できないような場合には特に役に立つ。
【0016】
閉じた膝の生体機械的データが決定され、記録された後で、最初の切開手術は、膝106に対して行なわれ、大腿骨102の先端部分、膝蓋骨、及び脛骨104の近位部分を露出させる。外科手術医は次に、ディスプレイ114に表示される種々の画面によってナビゲーションシステム112によって導かれるように、ポインタ116を使用して他の目印を決定できる。一般的な目印は、外側及び内側顆の表面、脛骨平坦面の凹み、及びその他の境界線(ランドマーク)を含んでいる。
【0017】
ある境界線は、他の境界線のディジタル化から推測することもできる。例えば、大腿骨関節丘の表面は、動作の範囲全体にわたって脛骨平坦部の表面の位置を評価することにより決定されることができる。膝関節上には外皮が固定されているので、大腿骨の関節丘の表面は、膝間接が動作の範囲にわたって収縮されると脛骨平坦部を掃引し、こうした2つの特性又は境界線位置が知られているならば計算することができる。上昇状態が存在し得るが、このことは、大腿骨が脛骨に貫通するはずがないので、計算上に大きな影響をさらに及ぼすことはない。また、膝の中心は、大腿骨頭部の中心から、溝の最も離れた地点として計算されることができる。
【0018】
さらに、得られた表面の更なる形状分析によって、曲率半径や回転軸などの基本的な特性が導き出されることがある。たとえば膝106において、大腿骨102の内部/外部回転は、後部関節丘の形状に適合される円錐体若しくは円柱によって計算されことが可能であり、このことは、膝106の疾患状態によって通常は影響を受けない。大腿骨−脛骨の継ぎ目は、脛骨の2つの接点を大腿骨関節丘に結合させることによって構成される。関節丘の1つが通常磨滅されるので、疾患の状態によって、継ぎ目は影響を受け、内反若しくは外反の変形を示している。内反/外反の変形は、動作分析の閉じた膝範囲の際に決定され、外科用ナビゲーションシステム112は現在の継ぎ目を計算することができ、また、システムは修復された状態の膝を示す回復された継ぎ目を提案することもできる。修復された継ぎ目は、膝軟部組織のバランシング、埋め込み、及び埋め込みを収容するために骨に対して行なわれる変形例の際に手術外科医によって目標として使用されることもできる。
【0019】
さらに関節の対合表面の形状分析に対して、その機能的な運動学的データは分析されて、運動上の軸の一部若しくはすべてを分析することによって瞬時若しくは瞬間的な回転軸、又は、全体の回転軸を導き出すために分析されることができる。最も周知であり最も広範に使用されている技術の1つは、螺旋軸計算であり、これは固定されていない関節のホーム・スクリュー機構について説明するものと言われている。膝の場合、膝蓋−大腿関節の屈曲軸及び脛骨関節は、その動作範囲の全体にわたって受動的に関節を移動させることによって計算されることができる。このような疾患のある関節から導き出された屈曲軸は、関節の患部運動量を間違いなく示すことになる。その自由度の一部の部分的修正は、外科的手段のガイドとして使用される前に必要である。この修正は情報若しくは関節の生体機械的軸によって付与される制約条件、及び/又は動荷重伝達パターンを結合し、一方で、関節を変動させることによって得ることもできる。他の変形例は、関節の他の対合表面の影響されていない自由度により付与される情報の組み合わせを使用する。膝106の場合、可能な組み合わせは、生体機械的軸に対する導き出された機能適屈曲軸の直角精度、膝蓋−大腿骨の屈曲軸によって付与される並進運動の制約、及び大腿骨の後部関節丘の円錐適合軸によって決定される内部/外部回転であってもよい。
【0020】
患部である関節の通常の運動量を回復させる他の方法は、患部でない同側の(ipsilateral side)運動量を評価することである。これらのパラメータは同じ方法によって抽出されてもよく、対応する解剖学的構造の識別の後、患部位置に転送可能にするために、好ましくは局所の非患部解剖学的構造に関して表現される。膝106の場合、局所基準は、顆間ノッチ及び大腿骨102の前皮質によって設定されることができる。これらの構造の識別は、内部的に行なってもよいが、好ましくは、非侵襲性画像形成技術であれば術前に行なうこともできる。機能解析が基準構造の識別のために使用される同一の様相(モダリティ)で行なわれない場合、両様相の位置合わせは必要である。好ましい実施の形態では、画像形成様相として超音波を使用する。このことをトラッキング技術と結合させることで、運動学的情報を基礎となる基準位置に関連付け、公開された米国特許出願第2005/199250号(2005年9月15日公開)に記載されているような最小限の侵襲性トラッキング装置に関するものであり、該米国特許の開示は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0021】
回復された機能的軸の形態、及び接合面の継ぎ目における計算された運動学的情報は、人工装具構成要素の位置を駆動するためのガイドとして使用されるのみならず、個々の関節の運動学的制約条件と使用中の人工装具との最適条件を設定するために使用することもできる。複数の人工装具システム及び外科的技術が利用できる場合において、コンピュータシステムが最適インプラントを選び、最適化された位置を提案して、関節の機能及びインプラントの機能によって付与される制約条件を適合させることもできる。最適基準の更なる例は、生活の質を最良に再生する個々の所与の活動に対して最適な動作でもよい。
【0022】
ブロック204は、関節を包囲する軟部組織を評価する。軟部組織は、膝106を更に操作し、歪みゲージや類似した装置の使用によって評価されることもできる。膝は、安定した膝106を形成するために脛骨104及び大腿骨102と相互に作用する4つの主靭帯を含む。これらの靭帯上の張力は、膝106への安定性をもたらすために適切にバランスが保たれなければならない。外科用ナビゲーションシステム112はまた、軟部組織分析を介して、種々の靭帯の張力、及び膝106の筋肉に対する実施された記録値である特定の操作に基づいて外科医を導くこともできる。
【0023】
図22に示されるタイプの原位置(in−situ)装置は特に有用であり、例えば膝の場合に膝蓋骨を外返しするような軟部組織関節外皮の変形例を今後は必要としないことが後述される。このような装置は、正常活動をシミュレートする伸延力を付与することができるバルーン(Balloon)システムでもよく、これによって、関節の自主的動作の際に経験される力に近接した近似値を提供する。これらのシステムは、使用されるための部位をほとんど若しくは少しも必要とせずに、小さな切開を通して若しくは間接鏡検査で使用されるようなカニューレ・システム(cannula system)を通して導入されることもできる。さらにまた、こうしたシステムは、屈曲及び拡張の際に一般に代表的なスタンスとは対照的に、動作の範囲全体にわたって関節の機能の評価を可能にする。さらに、本明細書中に示される他の装置もまた使用することができる。たとえば、米国特許第6,702,821号及び同第6,770,078号も同様に使用することができ、これら特許の開示は本明細書中に参照によって組み込まれる。
【0024】
原位置装置の他の利点は、関節の軟部組織外皮の実際の状態を正確に描写する関節の機能的屈曲軸として、関数パラメータを反復して証明し又は捕捉する能力である。所与の軟部組織の効果を即時評価することによって、所望の軟部組織修正を精確に駆動することが重要である。
【0025】
力/圧力検出素子が組み込まれたより精巧な伸延装置の使用は、動作の範囲全体にわたって関節の負荷パターン特性に関する正確な情報をもたらすことができる。こうした装置は、特定の軟部組織管理方法を設定するために使用することもでき、この方法において、特定の靭帯のグループ又は束状構造は、関節の特定の屈曲若しくは運動学的状態で負荷若しくは力のパターンに影響を与えるように選択的に対象にされる。こうした装置は、無線でリアルタイム方式においてフライ分析に関してコンピュータシステムに情報を送信することができる。この情報は、関節の設定したモデルと関連付けながら、数値的に若しくは図形で表示されることができる。この情報を使用すると、コンピュータシステムは、例えば基本的なエキスパートシステムに基づいて最も可能性が高い軟部組織管理方法もまた実現することもできる。
【0026】
外科用ナビゲーションシステム112はまた、ディジタル形式のインプラント構成要素のデータベース206を含むことにもなる。ブロック208は、大腿骨102及び脛骨104の位置分析200、生体機械的性質分析202、軟部組織評価204、及びデータベース206からそれぞれの値を取り込む。これらすべての値、及び限定されないが性別、年齢、家系、生活様式などを含むその他の基準を使用することによって、ブロック208は、同時に機能的目的について解決し、計算された結果を表示し、これには、ディスプレイ114上の対話式画面上にインプラント206のデータベースからの提案されたインプラントが含まれる。本発明の一実施の形態における機能的目的の1つの可能なエレメントは、修復された継ぎ目であることがある。このことは、関節を修復させることに関連して他の値とともに双方向性スクリーン上に示されることもできる。制御は、ブロック210に移行し、必要に応じてその手順で外科医の経験を示すために、該外科医にその選択された機能目的及び他の値を手動で調整させることができる。外科医がブロック208によって解決法が最適でない場合、制御はNOブランチを介してブロック212に移行し、外科医に対し関節をディジタル式に操作させ、あるいはまた提案されたインプラント若しくは双方向性スクリーン上に示されるような他のパラメータを変化させることを可能にする。変化が生じた後で、ナビゲーションシステム112は結果を再計算し、ブロック208は更新された結果を表示する。この時点で、外科医が提案された解決法が外科的対象に合致すると確信すると、制御はYESブランチを介してブロック214に移行し、インプラント及び他のパラメータの選択の確認及び記録を要求する。この時点で、ブロック216において外科医は、選ばれた解決法と適合するように関節を作成することになる。ナビゲーションシステム112は手順によって外科医をガイドし、所望の結果を達成するのに必要な変更の提案を行なったり、又は、外科医はナビゲーションシステム112なしに関節を作成するために従来の方法で進めたりすることもできる。ブロック216において関節が作成された後で、ブロック218においてインプラントが設置される。さらにまた、外科医が選択する場合、ナビゲーションシステム112は同様にこの手順によって外科医をガイドすることもできる。後述されるように、インプラントを設置することはまた、最終的なインプラントを複製する試験的インプラントの使用を含む可能性もあり、最終的なインプラントが関節上に永久的に配置される前に外科医に関節の形状を検査させることもある。
【0027】
確立された目標による関節の作成は、ナビゲーションを用いて手動で実施できるだけでなく、受動的セミアクティブ若しくはアクティブ外皮制約装置や、テレマニピュレータを含むマスタ/スレーブ・マニピュレータや、自律性原位置取り付け若しくは外部マニピュレータのいずれかのタイプでも手動で実施することができる。
【0028】
図3及び図4は、ブロック202において設定される膝関節を検査することを示す2つの撮影場面300及び302である。図のように、ディスプレイ114は、この方法に対する準備に備えて膝関節を検査するために必要なステップへと外科医を案内することになる。また、決定すべきパラメータのチェックリスト304及び306が設けられ、ナビゲーションシステム112は、腰部の中心、膝の動作の範囲、内果の位置、及び外果の位置を外科医がそれぞれ決定する際に援助するために更なる画面を提供することにもなる。さらに、膝関節が開放された後で、ポインタ116はナビゲーションシステム112と共に使用されることができ、膝中心、前皮質、上部が平坦な脛骨の中心、内部仕切り、及び外部仕切りを決定する。ナビゲーションシステム112は、これらの境界線の位置によって外科医を案内し、あるいはまた、外科医がポインタ116を使用して境界線を手動で位置決めするときにその位置を単に記録することもできる。
【0029】
他の生体機械的性質及び境界線は、上述したように上記の境界線の組み合わせを使用して間接的ディジタル化によってナビゲーションシステム112で決定されることができる。腿の関節丘の表面は、脛骨平坦部のディジタルの位置と動作解析の範囲を組み合わせすることにより決定されることができる。
【0030】
大腿骨102の内部/外部回転はまた、種々の方法によって決定されることもできる。たとえば、内部/外部回転は、初期には0度から屈曲部で45度までの範囲から導き出されることができる。螺旋軸、残留極小化、及び他の類似した幾何学的最適化技法を含むこうした計算を行なうことができる多くの周知のアルゴリズムが存在する。あるいはまた、内部/外部回転は、後部関節丘の形状から導き出されることができる。通常、大きな屈曲、即ち、90度より大きい屈曲度にある関節丘の形状は、考えられる関節の疾患状態の影響は受けない。内部/外部回転は、膝106が大腿骨102に対して屈曲されると、円錐体若しくは円柱形を大腿骨102に適合させることによって決定される。図5は、上記のような2つの異なる方法によって、さらに、内部/外部回転軸の2つの結果を平均し若しくは重み付けすることによって、内部/外部軸の配置の結果を表示する撮影場面310を示している。脛骨の内部/外部回転軸もまた、同じようにして決定されることができる。
【0031】
図6は、最初の継ぎ目を決定する撮影場面312を示している。上側ペイン314では、大腿骨関節丘316が表示され、下側ペイン318では、脛骨コンパートメント320が表示される。圧力ゾーン321は、大腿骨関節丘316が脛骨コンパートメント320と接触するところである。一続きの接触ポイント322は、大腿骨関節丘のそれぞれの接触ポイントを示し、同じような一続きの接触ポイント322aは、脛骨仕切り上の接触ポイントを表示する。一連のライン324は、大腿骨関節丘316の接触ポイント322のそれぞれの対を脛骨仕切り320と結合するモーメント回転軸である。大腿骨関節丘316上のすべての継ぎ目324に対して、対応する継ぎ目324aが存在する。膝106のための機能的屈曲軸326もまた、参考のために示される。修復された継ぎ目は、システムによって算出され、外科医及びナビゲーションシステム112の外科目標として使用されることができる。修復された継ぎ目は、大腿骨関節丘316上の最も突出した地点を利用し、大腿骨102の機械的軸に対して垂直な大腿骨関節丘316上のこの最も突出した地点を交差するラインを利用することによって決定される。
【0032】
ブロック204では、軟部組織外皮が評価される。この評価を実施する1つの方法は、動作範囲全体にわたって開放された膝関節を屈曲すると同時に、内反負荷若しくは外反負荷を膝関節に付加することである。外科医は、膝を屈曲させることによって膝関節を操作し、外側面に内反負荷を、あるいは内側面に外反負荷のいずれかを押し当てることになる。図7は、屈曲角度に対する負荷を描画している表示画面330である。外反5度の45度にあるカーソル332は、関節の現在位置である。プロットされた領域334は、特定の屈曲角度における関節のゆるみの範囲を示す。外科医は、膝関節106を抑制する軟部組織のゆるみ量を調べることに関心をもつ。このゆるみの量は、考えられるインプラントの選択、及び外科医がインプラントを収容するように関節を作成する必要がある骨切除部の位置に対して影響を与えることになる。さらに、この評価は、インプラントが所定位置にあった後で、膝106のバランスを保つのに必要とされる軟部組織解除の形式及び量について外科医に示唆することになる。さらに、修復された継ぎ目に対して同様の情報を決定することもまた可能となる。
【0033】
ブロック208のステップの最初の特徴として、図8と類似する表示画面340は、関節の初期のバランシング化、及び脛骨及び大腿骨に対して実行される必要がある切除部分の位置の初期の決定をする際に外科医を支援することになる。ほとんどの再構成外科では、内反及び外反の曲がり量は可能な限りゼロに近い。左側ペイン342では、膝106の屈曲は0度で示されている。ライン344は大腿骨の機械軸である。このことは、大腿骨の切除ライン346が大腿骨の機械軸に対して垂直である場合を示している。ライン348は脛骨の機械軸を示し、脛骨の切除ライン350が上部が平坦な脛骨に対する提案された切除位置を示している。この結果、図8に示すように24mmのギャップが生じられることになる。右側ペイン352は、屈曲が86度の関節を示している。ライン354は、大腿骨の後部に対して実行される切除を示している。これにより、24mmのギャップが生じられることになる。一般に、切除ライン346及び354は互いに平行である。これにより、データベース206から選択される特定のインプラントに対してもっと簡単な解決法が付与される。また、このギャップは、関節の屈曲が最大である際に同じでなければならないので、患者が処置の後に歩行を行ない、患者の生活様式に適切な通常の動作に関与するときに、最終的なインプラントが可能な限り円滑に機能することになる。
【0034】
軟部組織の分析は、膝106の操作により行なうことができるが、あるいは、上部が平坦な脛骨に対する垂直な切除を行ない原位置の膝骨配置バランシング装置に対して空間を提供することによって代替的に行なうことができる。この装置は、軟部組織に対して膝関節106を外科医に引っ張らせることを可能にするものであるならば、どんな好適な構造でもよい。1つの好適なバランシング装置は図22に示され、以下で更に詳述される。大腿骨がバランシング装置上に乗ることになるから、この時点で大腿骨にいかなる切除を行なう必要もない。外科医は、動作の範囲全体にわたって膝関節106を屈曲させ、膝関節106の機能的屈曲軸を設定することができる。これにより、時間的に節約され、手順に柔軟性を付加するものとなる。軟部組織が評価された後で、外科医は大腿骨の切除部の配置を決定することもできる。外科医は、インプラントの選択をより大幅に制御し、必要に応じて軟部組織に必要な変化量を最小限にすることができる。外科医の訓練に応じて、外科医は軟部組織に留意し、軟部組織に対して可能な限りほとんど変化させないように思うかもしれない。代替的な訓練は、軟部組織への変化を骨構造への変化よりも大きなものにすることである。上記の2つの方法の組合せを提供する学派も存在する。この方法に従って、外科医は管理されて、軟部組織あるいは骨に対する変化量を決定することができる。
【0035】
図9及び10は、実質的に膝関節106に配置されるインプラント364及び366を有する2つの撮影場面360及び362を示している。特定のインプラント364及び366は、データベース206の種々のインプラントの特性と組み合わされるときに膝関節106のパラメータに基づいて選ばれる。図9は、サイド負荷又は圧力なしの膝関節106を示している。図10は、10度の内反負荷を受けている同じ膝関節106を示す。このことは、特定の関節形状に応じる前に実行される選択を修正するという外科医の能力を示している。外科医はまた、図10に示すように仮想の力を膝106に押し当て、膝関節106及び提案されたインプラント364と366上にこうした力の効果を観察することもできる。図11及び図12は、図9及び10に類似した別の実施の形態の撮影場面370及び372を示している。図11は、継ぎ目を修復させるのに選択されたインプラント案364及び366を示している。図12は、骨の参照目的を達成するインプラント案364及び366を示す。
【0036】
図13は、構成要素のデータベースを使用しないものについて別の実施の形態の撮影場面380に示し、又は、データベースからインプラントに対する良好な解法が存在しないときに外科医にオプションを提供する。右側のペイン382において、大腿骨102は、サイジング・グリッド384で示される。このことは、大腿骨102の先端部386、前面384、及び後面388に対する種々のインプラントの配置を示している。外科医が手動でインプラントを選択した後で、ナビゲーションシステム112は上記のような関節の所定位置に選択されたインプラントを表示することができる。外科医は、さらに上記のように膝106を操作することができる。
【0037】
図14及び15は、撮影場面400及び402を示す。本実施の形態において、骨性基準に対してバランシングが行なわれる。ペイン414及び406の双方は、示された値の1つを実質的に変化させることができる一連のボタン408を有する。値の変化の結果は、ペイン404及び406に直ちに示される。このことは、外科医にナビゲーションシステム112が示唆する選択に対してより大幅な制御をもたらすことになる。同じように、図16及び図17は、修復された継ぎ目を考慮することによって、バランシングを行なう更なる実施の形態の撮影場面410及び412を示している。
【0038】
図18に示すように、インプラントの設置は、複数のステップを含むことがある。ブロック420において、ナビゲーションシステム112は、関節の作成及び軟部組織張力への変更に対する試験的インプラントの配置において外科医を支援する。ブロック422では、公知の方法によって軟部組織張力を調整することが必要であることもある。ナビゲーションシステム112は、特定の靭帯又は靭帯束の張力を緩和するためのツールを適切な位置に案内することによって外科医を支援する。外科医が試験的インプラント及び軟部組織に満足するとき、このシステムはブロック424へと進み、最終的インプラントを配置するのに外科医を支援する。
【0039】
図19は、本発明の双方向性を視覚化する別の方法を示す。この図は、特定のインプラントの組合せに対してインプラントを最適に配置するための一連の解法である種々の曲線を示している。外科用ナビゲーションシステム112は、膝106の屈曲及び回転に対して曲線500乃至510を示している。ディスプレイ512上の地点は、膝関節106と提案されたインプラントの現在位置を示している。膝106を操作することによって、外科医は、所望の結果又は目的を実現するインプラント及び軟部組織修正の組合せを選択することができる。
【0040】
屈曲軸、継ぎ目、配列、動作範囲にわたっての負荷分散、インプラントのサイズと位置などの情報の可視化は、困難であり、時には不可抗力であることがある。この複雑な前後関係を伝達するための効果的且つ特に人間工学に基づく方法は、増大された現実技法(augumented reality technique)のおかげであり、投影法によって、図形情報がアドレス指定されている解剖学的構造上にオーバーレイされることができる。このことは、必要な情報の直感的状況優先の視覚化という結果になる。たとえば、選ばれたインプラントは、直接的に解剖学的構造上の正確な位置に重畳されることができ、傷のない関節の全体的な適合性及び必要な作成を評価する機会を外科医に与える。
【0041】
本発明のシステム及び方法は、関節の例として膝106を使用して説明してきた。膝106が最も複雑な固定されていないタイプの関節であると理解すべきである。このように、本発明の方法は、人体の他の固定されていない関節、例えば、足関節、肩、肘などにも適用することができる。前記関節の連続した医療管理(ケア)全体にわたってどのタイプの外科的対応でも、本明細書中に記載された方法から役に立つことを理解すべきである。種々の外科用インプラントは、局所的修復から、修正タイプの人工装具インプラントへの不活性材料の置換表面に対する構造化された負荷を担持する生体材料まで範囲があり得る。本発明の方法が、機械可読コードの形式のランダムアクセスメモリにロードされるソフトウェアを有する外科用ナビゲーションシステム112によって実現できることもまた理解すべきであり、かかるコードは、マイクロプロセッサや、外科用ナビゲーションシステム112内若しくはいずれかの標準コンピュータシステム内に含まれる他のディジタル信号処理装置などの論理要素のアレイによって実行可能である。
【0042】
図20は、足関節置換外科処置に用意された足関節600の概略図である。トラッキング装置108は脛骨104と対応付けられる。さらに、足関節600の距骨(図示せず)と対応付けられる第2のトラッキング装置108が存在する。外科医が足602を操作すると、足関節600が足の上下運動を可能にする。足関節600は、脛骨104、腓骨、及び距骨が一緒になる真の足関節から構成される。距骨の下には、距骨が踵骨と接触する距骨下関節がある。真の足関節は、足602を脛骨104に対して上下移動させることを可能にし、距骨下関節は、足602を左右に移動することを可能にする。手順によっては、足602と対応付けられる任意のトラッキング装置108が存在することもある。膝106に対して上記した同一のワークフローを使用して、外科医は、足関節600のための適切な置換外科処置を実施することができる。図21に概略的に示されたような同様の方法で、肘630の手術もまた実施することができる。トラッキング装置108は、図のように上腕骨632及び尺骨634と対応付けられる。また、肘630の置換外科処置は、上記に概説された手順及びワークフローを使用して実施することができる。
【0043】
図22は、伸延装置650の一実施の形態を示す。この装置650は、2つの拡張型ブラダー652及び654を有する。ブラダー652及び654は、膨張されたり収縮されたりすることができ、膝関節106に圧力を付与する。一実施の形態において、ブラダー652及び654は、それぞれが膝関節106の仕切り部に異なる圧力を付与することができるように別個に制御可能である。他の実施の形態において、ブラダー652及び654は、膝関節106の両仕切り部上に同一圧力を及ぼす。ブラダー652及び654は、任意の好適な外科的許容範囲内の可撓性材料から形成されることができる。例として、ポリエチレンテレフタラート、ポリウレタン、ポリ塩化ビニルなどのプラスチック類が挙げられる。ブラダー652及び654は図のように円滑な側壁666を有することができ、側壁656は溝付きであってもよい。ブラダー652及び654は、ベース656及び660にそれぞれ取り付けられる。ベース658及び660はヒンジ662で結合されてもよく、代替の実施の形態では、ベース658及び660は、それらが相対運動できないように結合されることもある。可撓性チューブ664は、ブラダー652及び654間に延出する。ブラダー652及び654が同一圧力を及ぼす実施の形態において、チューブ664は、ブラダー652の内部で連結している。ブラダー652及び654が異なる圧力を及ぼす実施の形態において、チューブ664は、図示しない個々のエア・サプライと連通している。第2のチューブ666は、外部のエア・サプライでブラダー652と接続する。伸延装置650は、該伸延装置650が微細な侵襲的外科技術を使用して膝関節106に挿入可能であるようにサイズ処理されることができる。
【0044】
コンピュータソフトウェアは、外科手術室内で認識可能なコンピュータによって使用可能な便利なフォーマットに格納されることができる。ソフトウェアは、CD−ROMやDVD−ROM、又は類似したデータ記憶媒体などの媒体上で利用できることになる。さらに、インターネット接続を介してダウンロードするためのソフトウェアが利用できることもある。
【0045】
本発明に対する多数の変更は、上述した記載を考慮して当業者にはっきりと理解できることになる。したがって、この記載は、図示するためにのみ解釈すべきであり、当業者が発明を実行し使用すると共に、この発明を実行する最良のモードを教示することを可能にするために提示される。添付した特許請求の範囲内にあるすべての変化に対する独占権は保留される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は、外科用ナビゲーションシステムの一実施の形態の構成要素を使用して膝置換外科手術用に作成された患者の膝の概略図である。
【図2】図2は、本発明の一実施の形態のフローチャートである。
【図3】図3は、膝を開放するための切除前に膝の生体機械的性質を検査することを示す、更なる実施の形態の表示画面である。
【図4】図4は、最初に切除で膝の開放を行なった後に、膝の生体機械的性質を検査することを示す、更に別の実施の形態の表示画面である。
【図5】図5は、異なる方法によって、内部/外部のそれぞれの軸の計算を表示している更なる実施の形態を示す、表示画面である。
【図6】図6は、開放された膝の検査の間に形成された膝の自然のままの継ぎ目を決定する表示画面である。
【図7】図7は、屈曲の範囲にわたって内反/外反、及び屈曲部の関係を示している表示画面である。
【図8】図8は、膝関節のバランシングの一実施の形態の表示画面である。
【図9】図9は、最初のインプラント設計の一実施の形態の表示画面である。
【図10】図10は、インプラント設計のために関節に付加される内反負荷を示す図9に類似した表示画面である。
【図11】図11は、さらに別のインプラントのバランシングを行なう実施の形態の表示場面である。
【図12】図12は、異なる一組の基準を使用して結果を示す図11に類似した表示画面である。
【図13】図13は、インプラント設計の更なる別の実施の形態の表示場面である。
【図14】図14は、拡張状態の膝を含む双方向性反復表示の一実施の形態を示す表示画面である。
【図15】図15は、屈曲状態の膝を含む双方向性反復表示の更なる実施の形態を示す表示画面である。
【図16】図16は、拡張状態の膝を含む双方向性反復表示の更なる実施の形態を示す表示画面である。
【図17】図17は、屈曲状態の膝を含む双方向性反復表示を示す、図16に類似した表示画面である。
【図18】図18は、本発明の更なる実施の形態のフローチャートである。
【図19】図19は、本発明のさらに別の実施の形態を示す表示画面である。
【図20】図20は、外科用ナビゲーションシステムの更なる実施の形態の構成要素を使用して足関節部置換外科手術に対して作成された患者の足関節部の概略図である。
【図21】図21は、外科用ナビゲーションシステムのなお更なる実施の形態の構成要素を使用して肘置換外科手術に対して作成された患者の肘の概略図である。
【図22】図22は、本発明で有用な原位置伸延装置の一実施の形態の等角図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ナビゲーションシステムを使用して関節の解剖学的構造を位置決めするステップと、
関節の生体機械的性質を決定するステップと、
関節の軟部組織外皮特性を評価するステップと、
関節、軟部組織外皮特性、生体機械的性質及び選ばれたインプラントの双方向性視野を表示して、双方向視野上にある軟部組織外皮特性、生体機械的性質及び選択されたインプラントを外科医に同時に操作させることを可能にするステップと、
前記選ばれたインプラントを収容するために関節を作成するステップと、
作成された関節にインプラントを位置決めするステップと、
を含む、外科用ナビゲーションシステムを使用して関節に関節形成術を実施するための方法。
【請求項2】
前記関節が膝であり、解剖学的構造が重さ支持面であり、大腿骨、脛骨及び膝蓋骨である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記関節が足関節であり、解剖学的構造が脛骨、腓骨及び距骨である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記関節が肘であり、解剖学的構造が尺骨、上腕骨及びとう骨である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
外科用ナビゲーションシステムを使用して膝関節の膝蓋骨を位置決めするステップを含み、膝関節の生体機械的性質が膝蓋骨の生体機械的性質を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
膝蓋骨の位置決めが少なくとも3つの自由度で行なわれる、請求項5に記載のの方法。
【請求項7】
大腿骨の生体機械的性質及び膝蓋骨の生体機械的性質の間の相互作用、及び脛骨に対する膝蓋骨の取り付け関係に基づいて膝蓋骨インプラントを選択するステップを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記生体機械的性質は、大腿骨の先端の位置、大腿骨の前皮質のディジタル化、脛骨の中心のディジタル化、脛骨の上部平坦形状のディジタル化、足関節の中心の位置、及び膝の初期の機能適屈曲軸の少なくとも1つを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記生体機械的性質はさらに、決定された生体機械的性質に基づいて導き出された特性を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記導き出された特性が、大体骨の関節丘の表面、膝関節の中心、大腿骨の内部/外部回転、脛骨の内部/外部回転、及び膝のモーメント回転軸を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
大腿骨及び脛骨の少なくとも1つの外部/内部回転が、膝を屈曲させることによって決定される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
大腿骨の外部/内部回転又は内側/外側変位が、膝を屈曲させる間に膝蓋骨軌道に基づいている、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
大腿骨の外部/内部回転が、大腿骨の後部関節丘の形状を使用して決定される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
軟部組織特性の評価が、応力負荷を関節に及ぼし、その動作範囲内で関節を動作させることによって行なわれる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
関節は膝であり、軟部組織特性の評価は、外反/内反の負荷を膝に付加し、膝の動作範囲にわたって膝を曲げることによって行なわれる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記軟部組織特性の評価が、伸延装置を使用し、動作範囲にわたって関節を動作させることで実施される、請求項1の方法。
【請求項17】
関節が膝であり、軟部組織特性の評価が、伸延装置を使用し、動作範囲にわたって関節を屈曲させることで実施される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
軟部組織外皮の評価の間に、屈曲軸を反復的に設定するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
脛骨が、軟部組織外皮を評価する前に作成される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
軟部組織のバランシング及びインプラント構成要素の位置決めとサイズ処理が、関節の動作範囲に全体にわたって構成要素の座面上の負荷分散を考慮する、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記負荷分散が、伸延装置に埋設される検出エレメントで評価される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
軟部組織外皮特性、生体機械的性質、及び選ばれたインプラントを操作することは、膝を計算された屈曲軸まで修復させる、請求項2に記載の方法。
【請求項23】
膝の神経屈曲軸が、屈曲範囲全体にわたって、内反/外反角度に基づいて算出される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
軟部組織外皮特性及び選ばれたインプラントが、非患部の脛骨−大腿骨関節、膝蓋骨−大腿骨関節、又はそれらの混合体の生体機械的性質に関係する、請求項2に記載の方法。
【請求項25】
軟部組織外皮特性及び選ばれたインプラントの操作が、非患部の継ぎ目に対して膝を修復する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
軟部組織外皮特性及び選ばれたインプラントの操作が、非患部の継ぎ目に対して膝を修復し、該継ぎ目が、膝蓋骨と脛骨との取り付け関係から導き出される、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
軟部組織外皮特性及び選ばれたインプラントの操作が、骨の境界線の形態に対して膝を修復する、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
軟部組織外皮特性及び選ばれたインプラントの操作が、非患部の継ぎ目の混合体及び骨の境界線の形態に対して膝を修復する、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
双方向表示は、骨の修正された切除部に配置される選ばれたインプラントの予備調査を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
インプラント構成要素の最適化位置が、運動学的軟部組織制限条件及び使用中の義肢システムに固有の制限条件を考慮する、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
最適化方法が混合的であったり、軟部組織制限条件に関して若しくはインプラントの実施に関して双方向的に偏向可能である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
双方向表示は、関節のいずれか位置のインプラントの分節表面間のギャップの表示をさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
関節が膝であり、双方向表示が、膝関節の屈曲部にある大腿骨インプラント及び脛骨インプラント間のギャップの表示をさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
双方向表示が、関節の複数の表示を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
前記インプラントが、インプラントのデータベースから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
インプラントの選択が、性別及び人種を考慮する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
ディスプレイが、インプラント構成要素の選択に役立つようにサイジング・グリッドを示す、請求項1に記載の方法。
【請求項38】
双方向表示が、大腿骨及び脛骨間のギャップをさらに表示する、請求項2に記載の方法。
【請求項39】
情報が直接原位置の増大現実技法によって表示される、請求項1に記載の方法。
【請求項40】
前記情報が、関節の解剖学的構造上の正確な位置に重畳されるインプラント構成要素のモデルとして表示される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
表示された情報が、使用されたインプラント構成要素の位置に従って、関節の必要な作成を示す、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記表示された情報が、作成を実施するために必要な計測器を含み、該計測器が関節の解剖学的構造に対して正確な位置に示される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記表示された情報が、計測器に必要な作成境界線及び外皮をさらに含んで作成を実施し、前記境界線及び外皮が、関節の解剖学的構造に対して正確な位置に示される、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
外科医がいずれの関節位置でのギャップのバランシングを行なう、請求項1に記載の方法。
【請求項45】
関節が膝であり、外科医がいずれの関節位置での、又は屈曲及び拡張の全体にわたってギャップのバランシングを行なう、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記バランシングが、関節を屈曲させながら脛骨を回転させることにより関節ギャップの内部/外部間の差異を考慮する、請求項2に記載の方法。
【請求項47】
術前に測定された生体機械的性質が考慮される、請求項1に記載の方法。
【請求項48】
前記測定が、患者の生活様式に関連する動作を実行しながら、患者の足の動作分析から構成される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記測定が、患者の生活様式に関連する動作を実行しながら、患者の足の神経−筋肉活動から構成される、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
術前に測定された生体機械的性質は、処置後に測定される特性と比較されることができる、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
インプラント構成要素の認識は、前記構成要素のインプラントに必要なそれらに対するだけ一組の計測器を軽減することを可能にする、請求項1に記載の方法。
【請求項52】
インプラントを収容する骨の作成は、動作制約装置を用いて行なわれる、請求項1に記載の方法。
【請求項53】
前記動作制約装置が受動的マニピュレータである、請求項52に記載の方法 。
【請求項54】
前記動作制約装置が原位置に取り付けられるマニピュレータである、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記動作制約装置が能動的なマニピュレータである、請求項52に記載の方法。
【請求項56】
前記動作制約装置が遠隔操作式マニピュレータである、請求項52に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2007−152100(P2007−152100A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−323609(P2006−323609)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(504409347)シュトリュカー ライビンガー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディト ゲゼルシャフト (6)
【氏名又は名称原語表記】Stryker Leibinger GMBH & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Boetzinger Strasse 41, 79111 Freiburg Germany
【Fターム(参考)】