外装材葺替え用の支持金具及び補助支持金具
【課題】既存のボルトに傾きや歪みや腐食等がある場合でも、既存のボルトを利用して新規の外装材を既存の外装材の表面に容易に取り付けることができ、屋根或いは壁のリフォームを簡易かつ外観良く確実に行うことができる外装材葺替え用の支持金具を提供する。
【解決手段】既存の壁や屋根のスレート板の表面を新規の外装材で被覆するために、スレート板の表面に配設される支持金具4に関する。断面略逆U字状に形成される。両側部がスレート板の凸部を跨いでその両側の凹部に配置される一対の脚部10としてなる。上面部が新規の外装材を支持するための支持面31としてなる。スレート板を固定している固定具のスレート板から突出している上部を挿入するための挿入孔25と、挿入孔25から突出している固定具の上部に係止させる係止片26とを支持面31に設ける。
【解決手段】既存の壁や屋根のスレート板の表面を新規の外装材で被覆するために、スレート板の表面に配設される支持金具4に関する。断面略逆U字状に形成される。両側部がスレート板の凸部を跨いでその両側の凹部に配置される一対の脚部10としてなる。上面部が新規の外装材を支持するための支持面31としてなる。スレート板を固定している固定具のスレート板から突出している上部を挿入するための挿入孔25と、挿入孔25から突出している固定具の上部に係止させる係止片26とを支持面31に設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根とか壁のリフォームに用いられる外装材葺替え用の支持金具及び補助支持金具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築分野において、石綿を含むスレート板は、耐火性、耐水性、耐久性に優れているとの理由から、屋根材或いは壁材として広く使用されているが、建築後かなりの年数が経過して例えば屋根材のリフォームが必要となった場合は、スレート板の上から新規のカバールーフを被覆し、ドリルビスをカバールーフからスレート板に打入することで、カバールーフを石綿スレート板に固着することが一般に行われている。
【0003】
しかしながら、ドリルビスが老巧化しているスレート板に貫通すると、鉄骨の切り粉及びスレート板の切り粉や破片が落下して作業環境の悪化を招くという問題がある。特に、スレート板の場合には、人体に害を及ぼす石綿(アスベスト)を含んだ切り粉が落下する危険性がある。しかも、従来ではドリルビスでスレート板を貫通し、既存の母屋まで打ち込む必要があるために、ドリルビスの打入作業に非常に手間がかかり、葺替えの作業効率が悪いという問題もある。さらに、スレート板の上には、このスレート板を固定している既存のボルトの先端部が突出しており、新規のカバールーフを固着する際に、既存のボルトの不要な先端部分を切断により除去する必要があり、既存のボルトの数が多いためにその切断作業に非常に手間と時間がかかるという問題もあった。
【0004】
そこで、スレート板の上側(表面)に突出している既存のボルトの先端部に螺合された締結ナットとスレート板との間にパッキンを介在させると共に、スレート板の上面とパッキンとの隙間に断面三角形状をしたクランプ金具の底面部を挿入して取り付け、その後、新規のカバールーフの凸部をクランプ金具の頂部に載置して上からドリルビスをクランプ金具に向けて打入することによって、新規のカバールーフをクランプ金具を介して既存のスレート板上に固定するようにした葺替工法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平10−219936号公報(第3−4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、一般にスレート板の上方に突出している既存のボルトは、真っ直ぐ上に向かずに、傾いていたり或いは歪んでいたりする場合があり、このような場合、上記公報のようなクランプ金具を用いる工法にあっては、クランプ金具がスレート板の凸部から傾いて取り付けられてしまう場合が多くなり、この場合、新規のカバールーフをクランプ金具に取り付け不能になるおそれがあった。
【0006】
また、既存のボルトは風雨等に曝されているために腐食している場合が多く、このために、締結ナットが既存のボルトに螺合できずにクランプ金具を既存のボルトに固定することができないことがあり、この場合も新規のカバールーフをクランプ金具に取り付け不能になるおそれがあった。
【0007】
このため、従来ではスレート板から既存のボルトを一旦引き抜いて打ち直す必要があり、作業に多大な手間がかかる恐れがあった。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、既存のボルトに傾きや歪みや腐食等がある場合でも、既存のボルトを利用して新規の外装材を既存の外装材の表面に容易に取り付けることができ、屋根或いは壁のリフォームを簡易かつ外観良く確実に行うことができる外装材葺替え用の支持金具及び補助支持金具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に係る外装材葺替え用の支持金具4は、既存の壁や屋根のスレート板1の表面を新規の外装材2で被覆するために、スレート板1の表面に配設される支持金具4であって、断面略逆U字状に形成され、両側部がスレート板1の凸部8を跨いでその両側の凹部7に配置される一対の脚部10としてなり、上面部が新規の外装材2を支持するための支持面31としてなり、スレート板1を固定している固定具9のスレート板1から突出している上部を挿入するための挿入孔25と、挿入孔25から突出している固定具9の上部9aに係止させる係止片26とを支持面31に設けて成ることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の請求項2に係る外装材葺替え用の支持金具4は、請求項1において、複数の係止片26を支持面31に設けて成ることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の請求項3に係る外装材葺替え用の支持金具4は、請求項2において、複数の係止片26の先端間の間隙28を固定具9の直径よりも小さく形成して成ることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の請求項4に係る外装材葺替え用の支持金具4は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、挿入孔25を固定具9の直径よりも大きく形成して成ることを特徴とするものである。
【0013】
本発明の請求項5に係る外装材葺替え用の支持金具4は、請求項1乃至4のいずれかにおいて、上記の支持面31を、新規の外装材2が載設される外装下地材5を載置するための外装下地材支持面31として形成して成ることを特徴とするものである。
【0014】
本発明の請求項6に係る外装材葺替え用の支持金具4は、請求項1乃至5のいずれかにおいて、上記の支持面31の略中央に凹所17を形成して成ることを特徴とするものである。
【0015】
本発明の請求項7に係る外装材葺替え用の補助支持金具50は、既存の壁や屋根のスレート板1の表面を新規の外装材2で被覆するために、スレート板1の表面に配設される補助支持金具50であって、断面略U字状に形成され、その両側部に新規の外装材2を支持するための支持片51を突設し、スレート板1を固定している固定具52のスレート板1から突出している上端部を挿着するための切欠部53を設けて成ることを特徴とするものである。
【0016】
本発明の請求項8に係る外装材葺替え用の補助支持金具50は、請求項7において、補助支持金具50の長手方向と略平行に切欠部53を形成して成ることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の支持金具4では、支持金具4の挿入孔25に固定具9の上部9aを挿入すると共に挿入孔25に挿入された第1の固定具9の上部9aに係止片26を係止することによって、スレート板1を固定する固定具9に対して支持金具4を簡単に係止させて固定することができると共に、既存の固定具9の傾きや歪みによって仮りに支持金具4が傾いて取り付けられても、複数の支持金具4の各支持面31上に亘って外装下地材5を固着することで、支持金具4の傾きを外装下地材5にて矯正できるようになり、これにより外装下地材5に新規の外装材2を安定良く配設できるようになる。また、支持金具4を固定具9に固定する際にナットを螺合しないので、固定具9が腐食していても支持金具4を固定具9に対して取り付け可能となり、既存の固定具9を取り替える必要がないものである。
【0018】
本発明の補助支持金具50では、上部が短いボルト70やビス55などである固定具52で既存のスレート板1が固定されている箇所では支持金具4の代わりに補助支持金具50を取り付けることができ、支持金具4を配設できない箇所でも補助支持金具50で外装下地材5を支持することができて外装下地材5を強固に取り付けることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0020】
この実施の形態では既存の屋根のリフォームについて説明するが、これに限定されるものではない。この屋根には既存の外装材として波板状のスレート板1が葺設されている。スレート板1は既存の固定具である第1の固定具9及び第2の固定具52を用いて家屋の母屋21に固着されている。母屋21は既存の外装下地材であって、例えば、C型鋼やリップ溝型鋼などから形成されている。
【0021】
第1の固定具9は図2、3に示すようにフックボルトのようなボルト等であって、スレート板1の凸部8に打入された第1の固定具9の下端部9bが母屋21に固定されている。また、第1の固定具9の上部(先部)9aはスレート板1の凸部8を貫通してスレート板1の上側に突出しており、この突出した上部9aにパッキン13とナット座金14とがこの順に嵌め込まれ、最後に既存の締付ナット15が螺合されている。
【0022】
一方、第2の固定具52は第1の固定具9と比較して上部がスレート板1の凸部8の表面から上方に大きく突出していないボルト70や径が細すぎたり太すぎたりするボルト、ビス55やネジ等の頭部を有する固定具、一直線上に並んでいない固定具などのうちのいずれか一つであって、支持金具4を取り付けることができない固定具である。具体的には、図6(a)に示すように、第1の固定具9と同様なボルトにおいて締付ナット15よりも上側の部分の長さ(余長)が15mm未満であるボルト70、あるいは図6(b)に示すようにビス55やネジ等の頭部を有するものなどを第2の固定具52とすることができる。
【0023】
本発明の外装材葺替え用冶具3は、例えば、厚み1.5〜2.0mm程度のステンレス鋼板や亜鉛めっき鋼板から形成されるものであり、図1に示すように、既存のスレート板1上に載設される複数の支持金具4と、複数の係止部材40と、各支持金具4及び補助支持金具50の上面に載置される長尺の新規の外装下地材5、及び図5(a)乃至(c)で示すような一個又は複数の補助支持金具50とを備えて構成されている。
【0024】
上記支持金具4は断面略逆U字状に形成されており、図4(a)乃至(c)に示すように、上面部が矩形状の下地材支持面31として形成されると共に両側部が脚部10として形成されている。すなわち、新規の外装下地材5を支持するための下地材支持面31の両端から下方に向けて拡開した形状をして左右一対の脚部10が下地材支持面31に一体形成されている。そして、脚部10はスレート板1の1つの凸部8を跨いでその両側の凹部7に載置されるものであり、この実施の形態では各脚部10の下端部10aは凹部7に沿って湾曲しており、凹部7の上面に沿って安定良く載置されるようになっている。
【0025】
また、支持金具4の下地材支持面31の略中央には凹所17が設けられていると共に平面視で略長孔の挿入孔25が凹所17の底面を貫通するように形成されている。下地材支持面31に設けたこの挿入孔25は第1の固定具9の直径よりも充分に大きく形成されている。また、上記下地材支持面31の凹所17以外の箇所は、新規の外装下地材5を載置するための載置部27として形成されている。
【0026】
外装下地材5は、下方に開口したC字状凸部5aの両端からフランジ部5bがそれぞれ突出したC型チャンネル(ハット型鋼)で構成されており、スレート板1上の複数箇所に配置された支持金具4の各下地材支持面31の載置部27上に載置されて支持された状態で、スレート板1の凸部8の長手方向と直交する方向に向けて配置されるものである。ここでは、C字状凸部5aの内側に既存の第1の固定具9の上部9aを収納した状態で、両端のフランジ部5bを載置部27上にそれぞれ載置し、載置部27の2箇所で各フランジ部5bがビスやリベットなどの固定具にて固着されるようになっている。
【0027】
係止部材40は略板状に形成されるものであって、その略中央部に一対の係止片26が切り起こし加工により上方に突出して形成されている。この一対の係止片26は互いに対向し、且つ一対の係止片26の先端(上端)が互いに近づくように各係止片26は傾斜して形成されており、一対の係止片26の対向する先端(上端)間には間隙28が形成されている。この間隙28の寸法は上記の既存の第1の固定具9の上部9aの直径よりもやや小さめに形成されている。
【0028】
補助支持金具50は図5(a)乃至(c)に示すように、平面視で矩形状の底部60の両側に側片部61を全長に亘って設けると共に両方の側片部61の上端に外側(底部60と反対側)に向けて支持片51を全長に亘って突設することにより形成されている。上記の側片部61は底部60に対してほぼ垂直に上側に向いて突出しており、これにより、補助支持金具50は断面略U字状(上面が開口する断面略コ字状)に形成されて正荷重を安定して受け持つことができる。また、補助支持金具50の底部60には補助支持金具50の長手方向と略平行に長い切欠部53が設けられている。切欠部53は底部60の長手方向における一方の端部から略中央部にまで至るように形成されている。また、切欠部53の端部の開口は他の部分に比べて幅広に形成されている。また、切欠部53は底部60を厚み方向で貫通するように形成されている。さらに、底部60はその長手方向と平行な中心線に沿って上向き凸状となるように緩やかに屈曲されており、これにより、補助支持金具50の底面(底部60の下面)がスレート板1の凸部8の頂部の表面にほぼ沿った曲面(R形状)とすることができ、補助支持金具50をスレート板1の凸部8に取り付けたときに、凸部8の表面と補助支持金具50の底面との間に隙間があきにくくなって補助支持金具50のガタツキを少なくすることができると共に補助支持金具50に加わる新規の外装下地材5や新規の外装材2等の荷重を凸部8の広い面積に分散させることができて老朽化した既存のスレート板1の破損を防止することができるものである。また、補助支持金具50の長手方向の寸法は支持金具4の前後方向(一対の脚部10の対向方向と直交する方向であって、支持金具4を凸部8に配設した際に凸部8の長手方向と略平行となる方向)の寸法よりも1.2〜2.0倍程度長く形成されている。
【0029】
上記新規の外装下地材5は、スレート板1の凸部8の長手方向に所定間隔を隔てた複数箇所に設置されるものであり、各外装下地材5のC字状凸部5aの上面は、新規の外装材2を支持するための支持面6として形成されている。
【0030】
新規の外装材2はカバールーフなどと称されるものであって、図2のものではフラット部32と凸部30とが交互に連続形成された波形の金属単板で構成されているが、その形状は波形には限定されないものであり、また、金属単板に限定されるものでもなく、例えば上下二枚の金属外皮間に断熱材を充填したサンドイッチパネル等であってもよいものである。
【0031】
そして、上記構成の外装材葺替え用冶具3を用いて既存の屋根のスレート板1上に新規の外装材2を被覆するにあたっては、次のようにして行う。まず、スレート板1の表面(上面)から突出している既存の第1の固定具9に上方から支持金具4を近づけ、支持金具4を徐々に下方に移動させていくことによって、支持金具4の挿入孔25に下側から第1の固定具9の上部9aを挿入(被挿)する。このようにしてスレート板1の凸部8の表面から突出している複数の既存の第1の固定具9のそれぞれに支持金具4を装着することにより、スレート板1の1つの凸部8を跨ぐように支持金具4をスレート板1の表面の複数箇所に配置する。尚、支持金具4を取り付ける第1の固定具9はほぼ一直線上に並んでいるものであり、後述のように、一直線上に並んでいない第1の固定具9には支持金具4を取り付けずに補助支持金具50を取り付けるのが好ましく、この場合、スレート板1の凸部8の上側に突出する第1の固定具9の上部9aが不要であったり邪魔になったりすることがあるので、第1の固定具9の上部9aを切断等により除去して第2の固定具52とすることができる。
【0032】
次に、支持金具4を装着した第1の固定具9に係止部材40を装着して支持金具4を係止部材40で上側から押えて固定する。係止部材40を第1の固定具9に装着するにあたっては、係止部材40の一対の係止片26を互いに離れる方向に弾性的に変形させながらその先端間の間隙28に第1の固定具9の上部9aを挿入(被挿)する。このように間隙28に第1の固定具9の上部9aを挿入すると、第1の固定具9の上部9aのネジ溝に一対の係止片26の先端が入り込むことにより第1の固定具9の上部9aに係止片26が弾性的に係止されることになり、これにより、一対の係止片26で第1の固定具9の上部9aを挟持して係止部材40を上側に移動しないように装着することができる。また、間隙28が第1の固定具9の直径よりもやや小さく形成されていて係止部材40が第1の固定具9に装着しにくい場合は、係止部材40を金づち等の打入具で打ち付けて第1の固定具9に打入する。また、係止部材40は凹所17内で支持金具4の上面に当接するまで第1の固定具9に挿入することにより、係止部材40を下地材支持面31に載置して設けることができると共に係止片26を下地材支持面31に設けることができる。また、第1の固定具9への係止片26の係止により係止部材40を上動不能に固定すると共にこの係止部材40で支持金具4を上側から押さえつけることによって、支持金具4を第1の固定具9に固定することができる。尚、支持金具4はその脚部10で下地材支持面31を支えているので、凹所17の下面側が締付ナット15に接触しない状態で固定されるものである。
【0033】
そして、上記のように支持金具4と係止部材40を別体に形成し、第1の固定具9及び下地材支持面31に対して係止部材40を移動自在に形成するので、支持金具4と係止部材40とを別々に第1の固定具9に取り付けることによって、第1の固定具9が傾いていてもその傾きに対応して係止部材40を移動させながら係止部材40及び係止片26の位置調整を行うことができ、係止片26を第1の固定具9の上部9aに係止させやすくなるものであり、係止部材40の取り付け作業が行いやすくなるものである。
【0034】
一方、支持金具4が配設されない箇所には補助支持金具50を配設するようにする。「支持金具4が配設されない箇所」とは支持金具4を配設することができない箇所であって、上記の第2の固定具52でスレート板1が固定されている箇所である。これら固定具52でスレート板1を母屋21に固定している箇所は上記のような支持金具4を配設することはできない。そこで、上記のような固定具52を用いた箇所では補助支持金具50を配設するようにする。
【0035】
補助支持金具50を配設するにあたっては、まず、第2の固定具52が図6(a)に示すようなボルトの場合には、必要に応じて締付ナット15をボルトに対して少し緩めて締付ナット15と凸部8の表面との間に隙間を形成する。また、第2の固定具52が図6(b)に示すようなビス55やネジ等の場合には、必要に応じて第2の固定具52を母屋21に対して少し緩めて第2の固定具52の頭部55aと凸部8の表面との間に隙間を形成する。この時、上記隙間の上下方向の寸法は補助支持金具50の底部60の厚みとほぼ同等にする。また、締付ナット15やビス55を緩めなくても、締付ナット15や頭部55aと凸部8の表面との間に隙間を形成できる場合は、締付ナット15やビス55を緩めなくてもよい。次に、第2の固定具52の側方から補助支持金具50を近づけて第2の固定具52の上端部、すなわち締付ナット15や頭部55aの直下の部分を補助支持金具50の切欠部53に挿入することによって、締付ナット15や頭部55aと凸部8の表面との隙間に補助支持金具50の底部60の切欠部53の両側部分を差し込んで、第2の固定具52に補助支持金具50を取り付ける。この時、上記隙間の上下方向の寸法と補助支持金具50の底部60の厚みとはほぼ同等であるので、補助支持金具50を金づち等で打ち付けて底部60の切欠部53の両側部分を上記隙間に強制的に差し込んで締付ナット15や頭部55aと凸部8の表面との間で挟持し、第2の固定具52に補助支持金具50を固定するものである。ここで、補助支持金具50の長手方向はスレート板1の凸部8の長手方向(軒棟方向)と略平行な状態となる。また、補助支持金具50の上方には第2の固定具52の上端部は突出しないものであり、図8に矢印で示すように、補助支持金具50に対して新規の外装下地材5の設置する際において外装下地材5をスライド移動させて設置位置を決める際に第2の固定具52が妨げになることはない。
【0036】
また、補助支持金具50の長手方向の寸法は、図14に示すように、新規の外装下地材5の幅寸法Aと母屋21の幅寸法Bと第2の固定具52の径Cとした場合にこれらの合計(A+B+C)以上とするのが好ましく、これにより、一つの母屋21に対して取り付けられている第2の固定具52が一直線上に並んでいない場合でも新規の外装下地材5を確実に支持できるように補助支持金具50を配設することができる。第2の固定具52としては、例えば、図7(a)に示すように下端部が略L字状の係止部63に形成されたもの、あるいは図7(b)に示すように第2の固定具52の下端部が略V字状の係止部63に形成されたものが用いられる。母屋21がリップ溝形鋼の場合、図7(a)に示す第2の固定具52は母屋21の側面(開口していない方の側面)に沿って配置され、その係止部63を母屋21の下面に係止することにより母屋21に取り付けられる。一方、図7(b)に示す第2の固定具52は母屋21の上側のリップ片62に係止部63を係止することにより母屋21に取り付けられる。すなわち、図7(a)に示す第2の固定具52と図7(b)に示す第2の固定具52は、母屋21を挟んで互いに反対側に取り付けられるものである。従って、一つの母屋21に対して図7(a)に示す第2の固定具52と図7(b)に示す第2の固定具52の両方が用いられていると、スレート板1の凸部8の表面における第2の固定具52の上端部の突出位置が母屋21の幅寸法分がずれてしまうことになり、このために、一つの母屋21に対して取り付けられている第2の固定具52が一直線上に並ばないことがある。そして、このような場合であっても新規の外装下地材5を確実に支持できるように、補助支持金具50の長手方向の寸法を上記のように設定するものであり、補助支持金具50の長手方向の寸法は施工現場によっても異なるが、例えば、140〜160mmにすることができる。また、補助支持金具50を上記のように比較的全長を長く形成するために、正荷重を分散して受け持たせることができ、老朽化した既存のスレート板1への局所的な荷重負担を軽減することができてスレート板1の破損を低減することができるものである。しかも、図9(b)(c)の想像線で示すように、補助支持金具50は切欠部53の長手方向に沿ってスライド移動可能であるので、外装下地材5を支持することができる位置あるいは補助支持金具50の長手方向の略中央部で外装下地材5を支持することができる位置まで補助支持金具50をスライド移動して位置合わせすることができ、補助支持金具50による外装下地材5の支持を確実に行うことができるものである。
【0037】
また、一つの母屋21に対して取り付けられている第1の固定具9が一直線上に並んでいない場合でも補助支持金具50を配設することができる。つまり、略一直線上に並ぶ多数の第1の固定具9に対しては支持金具4を取り付け、一直線上に並んでいない少数の第1の固定具9に対しては補助支持金具50を取り付けるようにするものである。一つの母屋21に対して取り付けられている第1の固定具9が一直線上に並んでいない場合において、全ての第1の固定具9に上記の支持金具4を取り付けると、支持金具4が一直線上に並ばず、真っ直ぐな外装下地材5を支持金具4に載置するにあたって、支持金具4に載置されないで固着されない部分が外装下地材5に生じて外装下地材5を強固に取り付けることができない恐れがある。そこで、このように一直線上に並んでいない第1の固定具9に対しては支持金具4よりも長い補助支持金具50を取り付けることによって、支持金具4を取り付けても支持できない外装下地材5の一部を補助支持金具50で支持することができ、外装下地材5を強固に取り付けることができるものである。
【0038】
尚、実際の施工現場においては、スレート板1を固定する固定具は十分な余長を有し且つ略一直線上に並んでいる第1の固定具9が大多数を占めており、第2の固定具52が用いられている箇所や一直線上に並んでいない第1の固定具9はわずかであり、補助支持金具50の使用個数は支持金具4の使用個数よりも非常に少ないものである。また、補助支持金具50に比べて支持金具4は第1の固定具9に加えて一対の脚部10でも固定されるためにスレート板1への固定強度が高いので、支持金具4を補助支持金具50よりも多く使用するものであり、補助支持金具50は支持金具4の補助的な役割で使用するものである。
【0039】
上記のようにして支持金具4と補助支持金具50をスレート板1の凸部8の表面に固定した後、図9(a)乃至(c)及び図10に示すように、外装下地材5のフランジ部5bを支持金具4の下地材支持面31の載置部27上及び補助支持金具50の支持片51上に載置し、外装下地材5のフランジ部5bを載置部27及び支持片51にビス等の固着具にて固着する。ここで、図11に示すように、支持金具4を取り付けた第1の固定具9ではその上部9a全体を新規の外装下地材5のC字状凸部5aの内側に収納するようにする。このようにして複数の支持金具4と補助支持金具50に亘るように外装下地材5を架設した後、この外装下地材5のC字状凸部5aの支持面6上に新規の外装材2を載置し、図2に示すように、第1の固定具9から外れた位置で新規の外装材2の凸部30の上方からドリルビス20を打入して、ドリルビス20の先端を新規の外装下地材5のC字状凸部5aの上面部に打ち込む。これにより、ドリルビス20と既存の第1の固定具9とが互いに接触することなく、新規の外装材2を新規の外装下地材5に対して確実に固定できるようになり、この結果、新規の外装下地材5と支持金具4と補助支持金具50からなる外装材葺替え用冶具3を用いて、新規の外装材2をスレート板1上に簡単に施工できるようになる。尚、ドリルビス20を打入する位置は第1の固定具9から外れた位置でなくても良く、第1の固定具9の上方位置においてドリルビス20を打入してもよい。
【0040】
上記のように本発明では、支持金具4の下地材支持面31に設けた挿入孔25及び一対の係止片26の間の間隙28に既存の第1の固定具9の上部9aを差し込むだけで、係止片26を第1の固定具9の上部9aに対してワンタッチで係止させて支持金具4を第1の固定具9に固定することができるが、この時、既存の締付ナット15を緩めたり新たなナットを締めたりする必要がないので、第1の固定具9が腐食していて既存の締付ナット15や新たなナットが回らない場合でも、支持金具4を第1の固定具9に容易に固定することができるものである。また、挿入孔25及び間隙28は支持金具4の下地材支持面31の略中心に位置しているので、挿入孔25及び間隙28に第1の固定具9の上部9aを押し込むだけで、支持金具4を正確に配置できるものである。
【0041】
また、支持金具4の下地材支持面31は既存の第1の固定具9に対して傾動可能となるので、仮りに既存の第1の固定具9に傾きや歪みがあって支持金具4が傾いて取り付けられても、複数の支持金具4の各載置部27上に亘って新規の外装下地材5を載置することで支持金具4を第1の固定具9に対して傾動させて支持金具4の傾きを矯正することができ、新規の外装下地材5上に外装材2を安定良く施工できるものである。しかも、スレート板1の凸部8と新規の外装材2の凸部30とを揃えた状態で外観良く施工できるようになる。尚、スレート板1の凸部8と新規の外装材2の凸部30とを必ずしも揃える必要はなく、互いにずれていてもよく、新規の外装材2はスレート板1の凸部8に影響されないで自由に配設することができる。
【0042】
しかも、支持金具4と新規の外装下地材5とからなる外装材葺替え用冶具3は、新規の外装材2によって上から覆われるので、屋根の外観が外装材葺替え用冶具3で損なわれるようなこともない。そのうえ、新規の外装材2を外装材葺替え用冶具3を介して既存のスレート板1の既存の第1の固定具9に対して固着できるので、老巧化した既存のスレート板1を傷めることなく且つ切り粉が落下するのを防止しながら、新規の外装材2をスレート板1上に強固に取付けることができる。つまり、新規の外装材2の上からドリルビス20を打ち込む際には、ドリルビス20は老巧化したスレート板1には打入されないことから、老巧化したスレート板1に大きな打撃力がかからず、スレート板1に割れやクラックが発生するのを十分に防止できるものであり、特に、人体の害となる石綿を含んだ切り粉が落下する危険性がなく、作業環境面で良好となる。
【0043】
上記の実施の形態では支持金具4と係止部材40を別体に形成してそれぞれを別々に第1の固定具9に取り付けるようにしたが、支持金具4に係止部材40を一体的に形成して両方を一緒に第1の固定具9に取り付けるようにしても良い。図12、13には上記と同様に形成される支持金具4と係止部材40とを一体的に形成したものが示してあって、凹所17の底面に係止部材40がリベット等の固定具41で固定して設けられている。係止部材40の一対の係止片26は互いに対向して挿入孔25の上側に配置されている。また、挿入孔25の略中央部の上方において一対の係止片26の対向する先端(上端)間には間隙28が形成されている。このようにして下地材支持面31には挿入孔25と係止片26が設けられている。尚、この実施の形態の支持金具4の挿入孔25は、図4に示す上記実施の形態の支持金具4の挿入孔25よりも小さめに形成されている。
【0044】
このように係止部材40を一体的に設けた支持金具4は次のようにして施工することができる。まず、スレート板1の表面(上面)から突出している既存の第1の固定具9に上方から支持金具4を近づけ、支持金具4を徐々に下方に移動させていくことによって、支持金具4の挿入孔25に下側から第1の固定具9の上部9aを挿入(被挿)すると共に係止部材40の一対の係止片26を互いに離れる方向に弾性的に変形させながら、挿入孔25の上側に突出した第1の固定具9の上部9aを間隙28に下側から挿入(被挿)する。このように間隙28に第1の固定具9の上部9aを挿入すると、第1の固定具9の上部9aのネジ溝に一対の係止片26の先端が入り込むことにより第1の固定具9の上部9aに係止片26が弾性的に係止されることになり、これにより、一対の係止片26で第1の固定具9の上部9aを挟持して係止部材40及び支持金具4を上側に移動しないように第1の固定具9に装着することができる。このようにしてスレート板1の凸部8の表面から突出している複数の既存の第1の固定具9のそれぞれに支持金具4を装着することにより、スレート板1の1つの凸部8を跨ぐように支持金具4をスレート板1の表面の複数箇所に配置して固定する。
【0045】
そして、このようにして支持金具4をスレート板1の表面に固定した後は上記の実施の形態と同様にして新規の外装材2を施工することができるものである。この実施の形態では第1の固定具9が傾いていない場合に好適に用いることができ、支持金具4と係止部材40を一体的に形成するので、両方を一緒に第1の固定具9に取り付けることができ、上記の実施の形態に比べて作業性が向上して施工の効率を高めることができるものである。
【0046】
上記のいずれの実施の形態においてもスレート屋根のリフォームを説明したが、既存の壁であるスレート壁のリフォームも可能である。つまり、本発明の外装材葺替え用冶具3を構成する支持金具4と補助支持金具50と新規の外装下地材5となる胴縁及びカバーウォール等の新規の外装材2とを準備し、まず、既存のスレート壁の外装材(スレート壁材)の表面から突出している既存の第1の固定具9の上部(先部)9aに本発明の支持金具4の挿入孔25を差し込むと共にこの第1の固定具9の上部9aに係止片26を弾性的に係止することによって支持金具4を第1の固定具9に取り付け、また、補助支持金具50も上記の実施の形態と同様にして取り付け、新規の外装下地材5(胴縁)を支持金具4の載置部27及び補助支持金具50の支持片51にビス等で固着した後、新規の外装材2(カバーウォール)を新規の外装下地材5の支持面6にビス等で固着する。これにより、既存の第1の固定具9を取り替えることなく、スレート壁のリフォームを簡易且つ確実に、しかも、外観良く行えるものである。
【0047】
また本発明の外装材葺替え用冶具3は、一般住宅だけでなく、工場とか体育館などの大型建物における各種のリフォームに広く適用可能である。
【0048】
上記の外装材葺替え用冶具は、既存の壁や屋根のスレート板1の表面を新規の外装材2で被覆するための外装材葺替え用冶具であって、スレート板1の表面に配設される複数の支持金具4と、支持金具4が配設されない箇所においてスレート板1の表面に配設される補助支持金具50と、新規の外装材2を支持するための支持面6を有する外装下地材5とで構成され、上記支持金具4は断面略逆U字状に形成され、両側部がスレート板1の凸部8を跨いでその両側の凹部7に配置される一対の脚部10としてなり、上面部が外装下地材5を支持するための下地材支持面31としてなり、スレート板1を固定している第1の固定具9のスレート板1の凸部8から突出している上部9aを挿入するための挿入孔25と、挿入孔25から突出している第1の固定具9の上部9aに係止させる係止片26とを下地材支持面31に設け、上記補助支持金具50は断面略U字状に形成され、その両側部に外装下地材5を支持するための支持片51を略水平方向に突設し、スレート板1を固定している第2の固定具52のスレート板1の凸部8から突出している上端部を挿着するための切欠部53を補助支持金具50の底部60に設けるので、支持金具4の挿入孔25に第1の固定具9の上部9aを挿入すると共に挿入孔25に挿入された第1の固定具9の上部9aに係止片26を係止することによって、スレート板1を固定する第1の固定具9に対して支持金具4を簡単に係止させて固定することができると共に、既存の第1の固定具9の傾きや歪みによって仮りに支持金具4が傾いて取り付けられても、複数の支持金具4の各下地材支持面31上に亘って外装下地材5を固着することで、支持金具4の傾きを外装下地材5にて矯正できるようになり、これにより外装下地材5に新規の外装材2を安定良く配設できるようになる。また、支持金具4を第1の固定具9に固定する際にナットを螺合しないので、第1の固定具9が腐食していても支持金具4を第1の固定具9に対して取り付け可能となり、既存の第1の固定具9を取り替える必要がないものである。また、上部が短いボルト70やビス55などである第2の固定具52で既存のスレート板1が固定されている箇所では支持金具4の代わりに補助支持金具50を取り付けることができ、支持金具4を配設できない箇所でも補助支持金具50で外装下地材5を支持することができて外装下地材5を強固に取り付けることができるものである。
【0049】
また、補助支持金具50の長手方向と略平行に切欠部53を形成するので、支持金具4を固定した第1の固定具9と補助支持金具50を取り付ける第2の固定具52が一直線上に並んでいなくても、補助支持金具50を切欠部53の長手方向に沿ってスライド移動させることによって、外装下地材5を支持できる位置に位置合わせすることができ、補助支持金具50による外装下地材5の支持を確実に行うことができるものである。
【0050】
また、補助支持金具50を切欠部53の長手方向に沿ってスライド移動させて位置合わせするので、支持金具4を固定した第1の固定具9と補助支持金具50を取り付ける第2の固定具52が一直線上に並んでいなくても、補助支持金具50を切欠部53の長手方向に沿ってスライド移動させることによって、外装下地材5を支持できる位置に位置合わせすることができ、補助支持金具50による外装下地材5の支持を確実に行うことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態の一例を示す正面図である。
【図3】同上の一部を示す正面図である。
【図4】同上の支持金具と係止部材の一例を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【図5】同上の補助支持金具の一例を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【図6】同上の固定具の一例を示し、(a)(b)は正面図である。
【図7】同上の補助支持金具を取り付けた状態を示し、(a)(b)は断面図である。
【図8】同上の補助支持金具のスライド移動を示す断面図である。
【図9】同上の外装材葺替え用冶具の施工状態の一例を示し、(a)乃至(c)は断面図である。
【図10】同上の補助支持金具と外装下地材の施工状態の一例を示す正面図である。
【図11】同上の支持金具と外装下地材の施工状態の一例を示す断面図である。
【図12】同上の支持金具の他例を示す斜視図である。
【図13】同上の支持金具と係止部材の他例を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【図14】同上の(a)は新規の外装下地材を示す断面図、(b)は母屋を示す断面図、(c)は第2の固定具を示す正面図である。
【符号の説明】
【0052】
1 スレート板
2 新規の外装材
4 支持金具
5 新規の外装下地材
7 凹部
8 凸部
9 固定具
9a 上部
10 脚部
25 挿入孔
26 係止片
31 支持面
50 補助支持金具
51 支持片
52 固定具
53 切欠部
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根とか壁のリフォームに用いられる外装材葺替え用の支持金具及び補助支持金具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築分野において、石綿を含むスレート板は、耐火性、耐水性、耐久性に優れているとの理由から、屋根材或いは壁材として広く使用されているが、建築後かなりの年数が経過して例えば屋根材のリフォームが必要となった場合は、スレート板の上から新規のカバールーフを被覆し、ドリルビスをカバールーフからスレート板に打入することで、カバールーフを石綿スレート板に固着することが一般に行われている。
【0003】
しかしながら、ドリルビスが老巧化しているスレート板に貫通すると、鉄骨の切り粉及びスレート板の切り粉や破片が落下して作業環境の悪化を招くという問題がある。特に、スレート板の場合には、人体に害を及ぼす石綿(アスベスト)を含んだ切り粉が落下する危険性がある。しかも、従来ではドリルビスでスレート板を貫通し、既存の母屋まで打ち込む必要があるために、ドリルビスの打入作業に非常に手間がかかり、葺替えの作業効率が悪いという問題もある。さらに、スレート板の上には、このスレート板を固定している既存のボルトの先端部が突出しており、新規のカバールーフを固着する際に、既存のボルトの不要な先端部分を切断により除去する必要があり、既存のボルトの数が多いためにその切断作業に非常に手間と時間がかかるという問題もあった。
【0004】
そこで、スレート板の上側(表面)に突出している既存のボルトの先端部に螺合された締結ナットとスレート板との間にパッキンを介在させると共に、スレート板の上面とパッキンとの隙間に断面三角形状をしたクランプ金具の底面部を挿入して取り付け、その後、新規のカバールーフの凸部をクランプ金具の頂部に載置して上からドリルビスをクランプ金具に向けて打入することによって、新規のカバールーフをクランプ金具を介して既存のスレート板上に固定するようにした葺替工法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平10−219936号公報(第3−4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、一般にスレート板の上方に突出している既存のボルトは、真っ直ぐ上に向かずに、傾いていたり或いは歪んでいたりする場合があり、このような場合、上記公報のようなクランプ金具を用いる工法にあっては、クランプ金具がスレート板の凸部から傾いて取り付けられてしまう場合が多くなり、この場合、新規のカバールーフをクランプ金具に取り付け不能になるおそれがあった。
【0006】
また、既存のボルトは風雨等に曝されているために腐食している場合が多く、このために、締結ナットが既存のボルトに螺合できずにクランプ金具を既存のボルトに固定することができないことがあり、この場合も新規のカバールーフをクランプ金具に取り付け不能になるおそれがあった。
【0007】
このため、従来ではスレート板から既存のボルトを一旦引き抜いて打ち直す必要があり、作業に多大な手間がかかる恐れがあった。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、既存のボルトに傾きや歪みや腐食等がある場合でも、既存のボルトを利用して新規の外装材を既存の外装材の表面に容易に取り付けることができ、屋根或いは壁のリフォームを簡易かつ外観良く確実に行うことができる外装材葺替え用の支持金具及び補助支持金具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に係る外装材葺替え用の支持金具4は、既存の壁や屋根のスレート板1の表面を新規の外装材2で被覆するために、スレート板1の表面に配設される支持金具4であって、断面略逆U字状に形成され、両側部がスレート板1の凸部8を跨いでその両側の凹部7に配置される一対の脚部10としてなり、上面部が新規の外装材2を支持するための支持面31としてなり、スレート板1を固定している固定具9のスレート板1から突出している上部を挿入するための挿入孔25と、挿入孔25から突出している固定具9の上部9aに係止させる係止片26とを支持面31に設けて成ることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の請求項2に係る外装材葺替え用の支持金具4は、請求項1において、複数の係止片26を支持面31に設けて成ることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の請求項3に係る外装材葺替え用の支持金具4は、請求項2において、複数の係止片26の先端間の間隙28を固定具9の直径よりも小さく形成して成ることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の請求項4に係る外装材葺替え用の支持金具4は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、挿入孔25を固定具9の直径よりも大きく形成して成ることを特徴とするものである。
【0013】
本発明の請求項5に係る外装材葺替え用の支持金具4は、請求項1乃至4のいずれかにおいて、上記の支持面31を、新規の外装材2が載設される外装下地材5を載置するための外装下地材支持面31として形成して成ることを特徴とするものである。
【0014】
本発明の請求項6に係る外装材葺替え用の支持金具4は、請求項1乃至5のいずれかにおいて、上記の支持面31の略中央に凹所17を形成して成ることを特徴とするものである。
【0015】
本発明の請求項7に係る外装材葺替え用の補助支持金具50は、既存の壁や屋根のスレート板1の表面を新規の外装材2で被覆するために、スレート板1の表面に配設される補助支持金具50であって、断面略U字状に形成され、その両側部に新規の外装材2を支持するための支持片51を突設し、スレート板1を固定している固定具52のスレート板1から突出している上端部を挿着するための切欠部53を設けて成ることを特徴とするものである。
【0016】
本発明の請求項8に係る外装材葺替え用の補助支持金具50は、請求項7において、補助支持金具50の長手方向と略平行に切欠部53を形成して成ることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の支持金具4では、支持金具4の挿入孔25に固定具9の上部9aを挿入すると共に挿入孔25に挿入された第1の固定具9の上部9aに係止片26を係止することによって、スレート板1を固定する固定具9に対して支持金具4を簡単に係止させて固定することができると共に、既存の固定具9の傾きや歪みによって仮りに支持金具4が傾いて取り付けられても、複数の支持金具4の各支持面31上に亘って外装下地材5を固着することで、支持金具4の傾きを外装下地材5にて矯正できるようになり、これにより外装下地材5に新規の外装材2を安定良く配設できるようになる。また、支持金具4を固定具9に固定する際にナットを螺合しないので、固定具9が腐食していても支持金具4を固定具9に対して取り付け可能となり、既存の固定具9を取り替える必要がないものである。
【0018】
本発明の補助支持金具50では、上部が短いボルト70やビス55などである固定具52で既存のスレート板1が固定されている箇所では支持金具4の代わりに補助支持金具50を取り付けることができ、支持金具4を配設できない箇所でも補助支持金具50で外装下地材5を支持することができて外装下地材5を強固に取り付けることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0020】
この実施の形態では既存の屋根のリフォームについて説明するが、これに限定されるものではない。この屋根には既存の外装材として波板状のスレート板1が葺設されている。スレート板1は既存の固定具である第1の固定具9及び第2の固定具52を用いて家屋の母屋21に固着されている。母屋21は既存の外装下地材であって、例えば、C型鋼やリップ溝型鋼などから形成されている。
【0021】
第1の固定具9は図2、3に示すようにフックボルトのようなボルト等であって、スレート板1の凸部8に打入された第1の固定具9の下端部9bが母屋21に固定されている。また、第1の固定具9の上部(先部)9aはスレート板1の凸部8を貫通してスレート板1の上側に突出しており、この突出した上部9aにパッキン13とナット座金14とがこの順に嵌め込まれ、最後に既存の締付ナット15が螺合されている。
【0022】
一方、第2の固定具52は第1の固定具9と比較して上部がスレート板1の凸部8の表面から上方に大きく突出していないボルト70や径が細すぎたり太すぎたりするボルト、ビス55やネジ等の頭部を有する固定具、一直線上に並んでいない固定具などのうちのいずれか一つであって、支持金具4を取り付けることができない固定具である。具体的には、図6(a)に示すように、第1の固定具9と同様なボルトにおいて締付ナット15よりも上側の部分の長さ(余長)が15mm未満であるボルト70、あるいは図6(b)に示すようにビス55やネジ等の頭部を有するものなどを第2の固定具52とすることができる。
【0023】
本発明の外装材葺替え用冶具3は、例えば、厚み1.5〜2.0mm程度のステンレス鋼板や亜鉛めっき鋼板から形成されるものであり、図1に示すように、既存のスレート板1上に載設される複数の支持金具4と、複数の係止部材40と、各支持金具4及び補助支持金具50の上面に載置される長尺の新規の外装下地材5、及び図5(a)乃至(c)で示すような一個又は複数の補助支持金具50とを備えて構成されている。
【0024】
上記支持金具4は断面略逆U字状に形成されており、図4(a)乃至(c)に示すように、上面部が矩形状の下地材支持面31として形成されると共に両側部が脚部10として形成されている。すなわち、新規の外装下地材5を支持するための下地材支持面31の両端から下方に向けて拡開した形状をして左右一対の脚部10が下地材支持面31に一体形成されている。そして、脚部10はスレート板1の1つの凸部8を跨いでその両側の凹部7に載置されるものであり、この実施の形態では各脚部10の下端部10aは凹部7に沿って湾曲しており、凹部7の上面に沿って安定良く載置されるようになっている。
【0025】
また、支持金具4の下地材支持面31の略中央には凹所17が設けられていると共に平面視で略長孔の挿入孔25が凹所17の底面を貫通するように形成されている。下地材支持面31に設けたこの挿入孔25は第1の固定具9の直径よりも充分に大きく形成されている。また、上記下地材支持面31の凹所17以外の箇所は、新規の外装下地材5を載置するための載置部27として形成されている。
【0026】
外装下地材5は、下方に開口したC字状凸部5aの両端からフランジ部5bがそれぞれ突出したC型チャンネル(ハット型鋼)で構成されており、スレート板1上の複数箇所に配置された支持金具4の各下地材支持面31の載置部27上に載置されて支持された状態で、スレート板1の凸部8の長手方向と直交する方向に向けて配置されるものである。ここでは、C字状凸部5aの内側に既存の第1の固定具9の上部9aを収納した状態で、両端のフランジ部5bを載置部27上にそれぞれ載置し、載置部27の2箇所で各フランジ部5bがビスやリベットなどの固定具にて固着されるようになっている。
【0027】
係止部材40は略板状に形成されるものであって、その略中央部に一対の係止片26が切り起こし加工により上方に突出して形成されている。この一対の係止片26は互いに対向し、且つ一対の係止片26の先端(上端)が互いに近づくように各係止片26は傾斜して形成されており、一対の係止片26の対向する先端(上端)間には間隙28が形成されている。この間隙28の寸法は上記の既存の第1の固定具9の上部9aの直径よりもやや小さめに形成されている。
【0028】
補助支持金具50は図5(a)乃至(c)に示すように、平面視で矩形状の底部60の両側に側片部61を全長に亘って設けると共に両方の側片部61の上端に外側(底部60と反対側)に向けて支持片51を全長に亘って突設することにより形成されている。上記の側片部61は底部60に対してほぼ垂直に上側に向いて突出しており、これにより、補助支持金具50は断面略U字状(上面が開口する断面略コ字状)に形成されて正荷重を安定して受け持つことができる。また、補助支持金具50の底部60には補助支持金具50の長手方向と略平行に長い切欠部53が設けられている。切欠部53は底部60の長手方向における一方の端部から略中央部にまで至るように形成されている。また、切欠部53の端部の開口は他の部分に比べて幅広に形成されている。また、切欠部53は底部60を厚み方向で貫通するように形成されている。さらに、底部60はその長手方向と平行な中心線に沿って上向き凸状となるように緩やかに屈曲されており、これにより、補助支持金具50の底面(底部60の下面)がスレート板1の凸部8の頂部の表面にほぼ沿った曲面(R形状)とすることができ、補助支持金具50をスレート板1の凸部8に取り付けたときに、凸部8の表面と補助支持金具50の底面との間に隙間があきにくくなって補助支持金具50のガタツキを少なくすることができると共に補助支持金具50に加わる新規の外装下地材5や新規の外装材2等の荷重を凸部8の広い面積に分散させることができて老朽化した既存のスレート板1の破損を防止することができるものである。また、補助支持金具50の長手方向の寸法は支持金具4の前後方向(一対の脚部10の対向方向と直交する方向であって、支持金具4を凸部8に配設した際に凸部8の長手方向と略平行となる方向)の寸法よりも1.2〜2.0倍程度長く形成されている。
【0029】
上記新規の外装下地材5は、スレート板1の凸部8の長手方向に所定間隔を隔てた複数箇所に設置されるものであり、各外装下地材5のC字状凸部5aの上面は、新規の外装材2を支持するための支持面6として形成されている。
【0030】
新規の外装材2はカバールーフなどと称されるものであって、図2のものではフラット部32と凸部30とが交互に連続形成された波形の金属単板で構成されているが、その形状は波形には限定されないものであり、また、金属単板に限定されるものでもなく、例えば上下二枚の金属外皮間に断熱材を充填したサンドイッチパネル等であってもよいものである。
【0031】
そして、上記構成の外装材葺替え用冶具3を用いて既存の屋根のスレート板1上に新規の外装材2を被覆するにあたっては、次のようにして行う。まず、スレート板1の表面(上面)から突出している既存の第1の固定具9に上方から支持金具4を近づけ、支持金具4を徐々に下方に移動させていくことによって、支持金具4の挿入孔25に下側から第1の固定具9の上部9aを挿入(被挿)する。このようにしてスレート板1の凸部8の表面から突出している複数の既存の第1の固定具9のそれぞれに支持金具4を装着することにより、スレート板1の1つの凸部8を跨ぐように支持金具4をスレート板1の表面の複数箇所に配置する。尚、支持金具4を取り付ける第1の固定具9はほぼ一直線上に並んでいるものであり、後述のように、一直線上に並んでいない第1の固定具9には支持金具4を取り付けずに補助支持金具50を取り付けるのが好ましく、この場合、スレート板1の凸部8の上側に突出する第1の固定具9の上部9aが不要であったり邪魔になったりすることがあるので、第1の固定具9の上部9aを切断等により除去して第2の固定具52とすることができる。
【0032】
次に、支持金具4を装着した第1の固定具9に係止部材40を装着して支持金具4を係止部材40で上側から押えて固定する。係止部材40を第1の固定具9に装着するにあたっては、係止部材40の一対の係止片26を互いに離れる方向に弾性的に変形させながらその先端間の間隙28に第1の固定具9の上部9aを挿入(被挿)する。このように間隙28に第1の固定具9の上部9aを挿入すると、第1の固定具9の上部9aのネジ溝に一対の係止片26の先端が入り込むことにより第1の固定具9の上部9aに係止片26が弾性的に係止されることになり、これにより、一対の係止片26で第1の固定具9の上部9aを挟持して係止部材40を上側に移動しないように装着することができる。また、間隙28が第1の固定具9の直径よりもやや小さく形成されていて係止部材40が第1の固定具9に装着しにくい場合は、係止部材40を金づち等の打入具で打ち付けて第1の固定具9に打入する。また、係止部材40は凹所17内で支持金具4の上面に当接するまで第1の固定具9に挿入することにより、係止部材40を下地材支持面31に載置して設けることができると共に係止片26を下地材支持面31に設けることができる。また、第1の固定具9への係止片26の係止により係止部材40を上動不能に固定すると共にこの係止部材40で支持金具4を上側から押さえつけることによって、支持金具4を第1の固定具9に固定することができる。尚、支持金具4はその脚部10で下地材支持面31を支えているので、凹所17の下面側が締付ナット15に接触しない状態で固定されるものである。
【0033】
そして、上記のように支持金具4と係止部材40を別体に形成し、第1の固定具9及び下地材支持面31に対して係止部材40を移動自在に形成するので、支持金具4と係止部材40とを別々に第1の固定具9に取り付けることによって、第1の固定具9が傾いていてもその傾きに対応して係止部材40を移動させながら係止部材40及び係止片26の位置調整を行うことができ、係止片26を第1の固定具9の上部9aに係止させやすくなるものであり、係止部材40の取り付け作業が行いやすくなるものである。
【0034】
一方、支持金具4が配設されない箇所には補助支持金具50を配設するようにする。「支持金具4が配設されない箇所」とは支持金具4を配設することができない箇所であって、上記の第2の固定具52でスレート板1が固定されている箇所である。これら固定具52でスレート板1を母屋21に固定している箇所は上記のような支持金具4を配設することはできない。そこで、上記のような固定具52を用いた箇所では補助支持金具50を配設するようにする。
【0035】
補助支持金具50を配設するにあたっては、まず、第2の固定具52が図6(a)に示すようなボルトの場合には、必要に応じて締付ナット15をボルトに対して少し緩めて締付ナット15と凸部8の表面との間に隙間を形成する。また、第2の固定具52が図6(b)に示すようなビス55やネジ等の場合には、必要に応じて第2の固定具52を母屋21に対して少し緩めて第2の固定具52の頭部55aと凸部8の表面との間に隙間を形成する。この時、上記隙間の上下方向の寸法は補助支持金具50の底部60の厚みとほぼ同等にする。また、締付ナット15やビス55を緩めなくても、締付ナット15や頭部55aと凸部8の表面との間に隙間を形成できる場合は、締付ナット15やビス55を緩めなくてもよい。次に、第2の固定具52の側方から補助支持金具50を近づけて第2の固定具52の上端部、すなわち締付ナット15や頭部55aの直下の部分を補助支持金具50の切欠部53に挿入することによって、締付ナット15や頭部55aと凸部8の表面との隙間に補助支持金具50の底部60の切欠部53の両側部分を差し込んで、第2の固定具52に補助支持金具50を取り付ける。この時、上記隙間の上下方向の寸法と補助支持金具50の底部60の厚みとはほぼ同等であるので、補助支持金具50を金づち等で打ち付けて底部60の切欠部53の両側部分を上記隙間に強制的に差し込んで締付ナット15や頭部55aと凸部8の表面との間で挟持し、第2の固定具52に補助支持金具50を固定するものである。ここで、補助支持金具50の長手方向はスレート板1の凸部8の長手方向(軒棟方向)と略平行な状態となる。また、補助支持金具50の上方には第2の固定具52の上端部は突出しないものであり、図8に矢印で示すように、補助支持金具50に対して新規の外装下地材5の設置する際において外装下地材5をスライド移動させて設置位置を決める際に第2の固定具52が妨げになることはない。
【0036】
また、補助支持金具50の長手方向の寸法は、図14に示すように、新規の外装下地材5の幅寸法Aと母屋21の幅寸法Bと第2の固定具52の径Cとした場合にこれらの合計(A+B+C)以上とするのが好ましく、これにより、一つの母屋21に対して取り付けられている第2の固定具52が一直線上に並んでいない場合でも新規の外装下地材5を確実に支持できるように補助支持金具50を配設することができる。第2の固定具52としては、例えば、図7(a)に示すように下端部が略L字状の係止部63に形成されたもの、あるいは図7(b)に示すように第2の固定具52の下端部が略V字状の係止部63に形成されたものが用いられる。母屋21がリップ溝形鋼の場合、図7(a)に示す第2の固定具52は母屋21の側面(開口していない方の側面)に沿って配置され、その係止部63を母屋21の下面に係止することにより母屋21に取り付けられる。一方、図7(b)に示す第2の固定具52は母屋21の上側のリップ片62に係止部63を係止することにより母屋21に取り付けられる。すなわち、図7(a)に示す第2の固定具52と図7(b)に示す第2の固定具52は、母屋21を挟んで互いに反対側に取り付けられるものである。従って、一つの母屋21に対して図7(a)に示す第2の固定具52と図7(b)に示す第2の固定具52の両方が用いられていると、スレート板1の凸部8の表面における第2の固定具52の上端部の突出位置が母屋21の幅寸法分がずれてしまうことになり、このために、一つの母屋21に対して取り付けられている第2の固定具52が一直線上に並ばないことがある。そして、このような場合であっても新規の外装下地材5を確実に支持できるように、補助支持金具50の長手方向の寸法を上記のように設定するものであり、補助支持金具50の長手方向の寸法は施工現場によっても異なるが、例えば、140〜160mmにすることができる。また、補助支持金具50を上記のように比較的全長を長く形成するために、正荷重を分散して受け持たせることができ、老朽化した既存のスレート板1への局所的な荷重負担を軽減することができてスレート板1の破損を低減することができるものである。しかも、図9(b)(c)の想像線で示すように、補助支持金具50は切欠部53の長手方向に沿ってスライド移動可能であるので、外装下地材5を支持することができる位置あるいは補助支持金具50の長手方向の略中央部で外装下地材5を支持することができる位置まで補助支持金具50をスライド移動して位置合わせすることができ、補助支持金具50による外装下地材5の支持を確実に行うことができるものである。
【0037】
また、一つの母屋21に対して取り付けられている第1の固定具9が一直線上に並んでいない場合でも補助支持金具50を配設することができる。つまり、略一直線上に並ぶ多数の第1の固定具9に対しては支持金具4を取り付け、一直線上に並んでいない少数の第1の固定具9に対しては補助支持金具50を取り付けるようにするものである。一つの母屋21に対して取り付けられている第1の固定具9が一直線上に並んでいない場合において、全ての第1の固定具9に上記の支持金具4を取り付けると、支持金具4が一直線上に並ばず、真っ直ぐな外装下地材5を支持金具4に載置するにあたって、支持金具4に載置されないで固着されない部分が外装下地材5に生じて外装下地材5を強固に取り付けることができない恐れがある。そこで、このように一直線上に並んでいない第1の固定具9に対しては支持金具4よりも長い補助支持金具50を取り付けることによって、支持金具4を取り付けても支持できない外装下地材5の一部を補助支持金具50で支持することができ、外装下地材5を強固に取り付けることができるものである。
【0038】
尚、実際の施工現場においては、スレート板1を固定する固定具は十分な余長を有し且つ略一直線上に並んでいる第1の固定具9が大多数を占めており、第2の固定具52が用いられている箇所や一直線上に並んでいない第1の固定具9はわずかであり、補助支持金具50の使用個数は支持金具4の使用個数よりも非常に少ないものである。また、補助支持金具50に比べて支持金具4は第1の固定具9に加えて一対の脚部10でも固定されるためにスレート板1への固定強度が高いので、支持金具4を補助支持金具50よりも多く使用するものであり、補助支持金具50は支持金具4の補助的な役割で使用するものである。
【0039】
上記のようにして支持金具4と補助支持金具50をスレート板1の凸部8の表面に固定した後、図9(a)乃至(c)及び図10に示すように、外装下地材5のフランジ部5bを支持金具4の下地材支持面31の載置部27上及び補助支持金具50の支持片51上に載置し、外装下地材5のフランジ部5bを載置部27及び支持片51にビス等の固着具にて固着する。ここで、図11に示すように、支持金具4を取り付けた第1の固定具9ではその上部9a全体を新規の外装下地材5のC字状凸部5aの内側に収納するようにする。このようにして複数の支持金具4と補助支持金具50に亘るように外装下地材5を架設した後、この外装下地材5のC字状凸部5aの支持面6上に新規の外装材2を載置し、図2に示すように、第1の固定具9から外れた位置で新規の外装材2の凸部30の上方からドリルビス20を打入して、ドリルビス20の先端を新規の外装下地材5のC字状凸部5aの上面部に打ち込む。これにより、ドリルビス20と既存の第1の固定具9とが互いに接触することなく、新規の外装材2を新規の外装下地材5に対して確実に固定できるようになり、この結果、新規の外装下地材5と支持金具4と補助支持金具50からなる外装材葺替え用冶具3を用いて、新規の外装材2をスレート板1上に簡単に施工できるようになる。尚、ドリルビス20を打入する位置は第1の固定具9から外れた位置でなくても良く、第1の固定具9の上方位置においてドリルビス20を打入してもよい。
【0040】
上記のように本発明では、支持金具4の下地材支持面31に設けた挿入孔25及び一対の係止片26の間の間隙28に既存の第1の固定具9の上部9aを差し込むだけで、係止片26を第1の固定具9の上部9aに対してワンタッチで係止させて支持金具4を第1の固定具9に固定することができるが、この時、既存の締付ナット15を緩めたり新たなナットを締めたりする必要がないので、第1の固定具9が腐食していて既存の締付ナット15や新たなナットが回らない場合でも、支持金具4を第1の固定具9に容易に固定することができるものである。また、挿入孔25及び間隙28は支持金具4の下地材支持面31の略中心に位置しているので、挿入孔25及び間隙28に第1の固定具9の上部9aを押し込むだけで、支持金具4を正確に配置できるものである。
【0041】
また、支持金具4の下地材支持面31は既存の第1の固定具9に対して傾動可能となるので、仮りに既存の第1の固定具9に傾きや歪みがあって支持金具4が傾いて取り付けられても、複数の支持金具4の各載置部27上に亘って新規の外装下地材5を載置することで支持金具4を第1の固定具9に対して傾動させて支持金具4の傾きを矯正することができ、新規の外装下地材5上に外装材2を安定良く施工できるものである。しかも、スレート板1の凸部8と新規の外装材2の凸部30とを揃えた状態で外観良く施工できるようになる。尚、スレート板1の凸部8と新規の外装材2の凸部30とを必ずしも揃える必要はなく、互いにずれていてもよく、新規の外装材2はスレート板1の凸部8に影響されないで自由に配設することができる。
【0042】
しかも、支持金具4と新規の外装下地材5とからなる外装材葺替え用冶具3は、新規の外装材2によって上から覆われるので、屋根の外観が外装材葺替え用冶具3で損なわれるようなこともない。そのうえ、新規の外装材2を外装材葺替え用冶具3を介して既存のスレート板1の既存の第1の固定具9に対して固着できるので、老巧化した既存のスレート板1を傷めることなく且つ切り粉が落下するのを防止しながら、新規の外装材2をスレート板1上に強固に取付けることができる。つまり、新規の外装材2の上からドリルビス20を打ち込む際には、ドリルビス20は老巧化したスレート板1には打入されないことから、老巧化したスレート板1に大きな打撃力がかからず、スレート板1に割れやクラックが発生するのを十分に防止できるものであり、特に、人体の害となる石綿を含んだ切り粉が落下する危険性がなく、作業環境面で良好となる。
【0043】
上記の実施の形態では支持金具4と係止部材40を別体に形成してそれぞれを別々に第1の固定具9に取り付けるようにしたが、支持金具4に係止部材40を一体的に形成して両方を一緒に第1の固定具9に取り付けるようにしても良い。図12、13には上記と同様に形成される支持金具4と係止部材40とを一体的に形成したものが示してあって、凹所17の底面に係止部材40がリベット等の固定具41で固定して設けられている。係止部材40の一対の係止片26は互いに対向して挿入孔25の上側に配置されている。また、挿入孔25の略中央部の上方において一対の係止片26の対向する先端(上端)間には間隙28が形成されている。このようにして下地材支持面31には挿入孔25と係止片26が設けられている。尚、この実施の形態の支持金具4の挿入孔25は、図4に示す上記実施の形態の支持金具4の挿入孔25よりも小さめに形成されている。
【0044】
このように係止部材40を一体的に設けた支持金具4は次のようにして施工することができる。まず、スレート板1の表面(上面)から突出している既存の第1の固定具9に上方から支持金具4を近づけ、支持金具4を徐々に下方に移動させていくことによって、支持金具4の挿入孔25に下側から第1の固定具9の上部9aを挿入(被挿)すると共に係止部材40の一対の係止片26を互いに離れる方向に弾性的に変形させながら、挿入孔25の上側に突出した第1の固定具9の上部9aを間隙28に下側から挿入(被挿)する。このように間隙28に第1の固定具9の上部9aを挿入すると、第1の固定具9の上部9aのネジ溝に一対の係止片26の先端が入り込むことにより第1の固定具9の上部9aに係止片26が弾性的に係止されることになり、これにより、一対の係止片26で第1の固定具9の上部9aを挟持して係止部材40及び支持金具4を上側に移動しないように第1の固定具9に装着することができる。このようにしてスレート板1の凸部8の表面から突出している複数の既存の第1の固定具9のそれぞれに支持金具4を装着することにより、スレート板1の1つの凸部8を跨ぐように支持金具4をスレート板1の表面の複数箇所に配置して固定する。
【0045】
そして、このようにして支持金具4をスレート板1の表面に固定した後は上記の実施の形態と同様にして新規の外装材2を施工することができるものである。この実施の形態では第1の固定具9が傾いていない場合に好適に用いることができ、支持金具4と係止部材40を一体的に形成するので、両方を一緒に第1の固定具9に取り付けることができ、上記の実施の形態に比べて作業性が向上して施工の効率を高めることができるものである。
【0046】
上記のいずれの実施の形態においてもスレート屋根のリフォームを説明したが、既存の壁であるスレート壁のリフォームも可能である。つまり、本発明の外装材葺替え用冶具3を構成する支持金具4と補助支持金具50と新規の外装下地材5となる胴縁及びカバーウォール等の新規の外装材2とを準備し、まず、既存のスレート壁の外装材(スレート壁材)の表面から突出している既存の第1の固定具9の上部(先部)9aに本発明の支持金具4の挿入孔25を差し込むと共にこの第1の固定具9の上部9aに係止片26を弾性的に係止することによって支持金具4を第1の固定具9に取り付け、また、補助支持金具50も上記の実施の形態と同様にして取り付け、新規の外装下地材5(胴縁)を支持金具4の載置部27及び補助支持金具50の支持片51にビス等で固着した後、新規の外装材2(カバーウォール)を新規の外装下地材5の支持面6にビス等で固着する。これにより、既存の第1の固定具9を取り替えることなく、スレート壁のリフォームを簡易且つ確実に、しかも、外観良く行えるものである。
【0047】
また本発明の外装材葺替え用冶具3は、一般住宅だけでなく、工場とか体育館などの大型建物における各種のリフォームに広く適用可能である。
【0048】
上記の外装材葺替え用冶具は、既存の壁や屋根のスレート板1の表面を新規の外装材2で被覆するための外装材葺替え用冶具であって、スレート板1の表面に配設される複数の支持金具4と、支持金具4が配設されない箇所においてスレート板1の表面に配設される補助支持金具50と、新規の外装材2を支持するための支持面6を有する外装下地材5とで構成され、上記支持金具4は断面略逆U字状に形成され、両側部がスレート板1の凸部8を跨いでその両側の凹部7に配置される一対の脚部10としてなり、上面部が外装下地材5を支持するための下地材支持面31としてなり、スレート板1を固定している第1の固定具9のスレート板1の凸部8から突出している上部9aを挿入するための挿入孔25と、挿入孔25から突出している第1の固定具9の上部9aに係止させる係止片26とを下地材支持面31に設け、上記補助支持金具50は断面略U字状に形成され、その両側部に外装下地材5を支持するための支持片51を略水平方向に突設し、スレート板1を固定している第2の固定具52のスレート板1の凸部8から突出している上端部を挿着するための切欠部53を補助支持金具50の底部60に設けるので、支持金具4の挿入孔25に第1の固定具9の上部9aを挿入すると共に挿入孔25に挿入された第1の固定具9の上部9aに係止片26を係止することによって、スレート板1を固定する第1の固定具9に対して支持金具4を簡単に係止させて固定することができると共に、既存の第1の固定具9の傾きや歪みによって仮りに支持金具4が傾いて取り付けられても、複数の支持金具4の各下地材支持面31上に亘って外装下地材5を固着することで、支持金具4の傾きを外装下地材5にて矯正できるようになり、これにより外装下地材5に新規の外装材2を安定良く配設できるようになる。また、支持金具4を第1の固定具9に固定する際にナットを螺合しないので、第1の固定具9が腐食していても支持金具4を第1の固定具9に対して取り付け可能となり、既存の第1の固定具9を取り替える必要がないものである。また、上部が短いボルト70やビス55などである第2の固定具52で既存のスレート板1が固定されている箇所では支持金具4の代わりに補助支持金具50を取り付けることができ、支持金具4を配設できない箇所でも補助支持金具50で外装下地材5を支持することができて外装下地材5を強固に取り付けることができるものである。
【0049】
また、補助支持金具50の長手方向と略平行に切欠部53を形成するので、支持金具4を固定した第1の固定具9と補助支持金具50を取り付ける第2の固定具52が一直線上に並んでいなくても、補助支持金具50を切欠部53の長手方向に沿ってスライド移動させることによって、外装下地材5を支持できる位置に位置合わせすることができ、補助支持金具50による外装下地材5の支持を確実に行うことができるものである。
【0050】
また、補助支持金具50を切欠部53の長手方向に沿ってスライド移動させて位置合わせするので、支持金具4を固定した第1の固定具9と補助支持金具50を取り付ける第2の固定具52が一直線上に並んでいなくても、補助支持金具50を切欠部53の長手方向に沿ってスライド移動させることによって、外装下地材5を支持できる位置に位置合わせすることができ、補助支持金具50による外装下地材5の支持を確実に行うことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態の一例を示す正面図である。
【図3】同上の一部を示す正面図である。
【図4】同上の支持金具と係止部材の一例を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【図5】同上の補助支持金具の一例を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【図6】同上の固定具の一例を示し、(a)(b)は正面図である。
【図7】同上の補助支持金具を取り付けた状態を示し、(a)(b)は断面図である。
【図8】同上の補助支持金具のスライド移動を示す断面図である。
【図9】同上の外装材葺替え用冶具の施工状態の一例を示し、(a)乃至(c)は断面図である。
【図10】同上の補助支持金具と外装下地材の施工状態の一例を示す正面図である。
【図11】同上の支持金具と外装下地材の施工状態の一例を示す断面図である。
【図12】同上の支持金具の他例を示す斜視図である。
【図13】同上の支持金具と係止部材の他例を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【図14】同上の(a)は新規の外装下地材を示す断面図、(b)は母屋を示す断面図、(c)は第2の固定具を示す正面図である。
【符号の説明】
【0052】
1 スレート板
2 新規の外装材
4 支持金具
5 新規の外装下地材
7 凹部
8 凸部
9 固定具
9a 上部
10 脚部
25 挿入孔
26 係止片
31 支持面
50 補助支持金具
51 支持片
52 固定具
53 切欠部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既存の壁や屋根のスレート板の表面を新規の外装材で被覆するために、スレート板の表面に配設される支持金具であって、断面略逆U字状に形成され、両側部がスレート板の凸部を跨いでその両側の凹部に配置される一対の脚部としてなり、上面部が新規の外装材を支持するための支持面としてなり、スレート板を固定している固定具のスレート板から突出している上部を挿入するための挿入孔と、挿入孔から突出している固定具の上部に係止させる係止片とを支持面に設けて成ることを特徴とする外装材葺替え用の支持金具。
【請求項2】
複数の係止片を支持面に設けて成ることを特徴とする請求項1に記載の外装材葺替え用の支持金具。
【請求項3】
複数の係止片の先端間の間隙を固定具の直径よりも小さく形成して成ることを特徴とする請求項2に記載の外装材葺替え用の支持金具。
【請求項4】
挿入孔を固定具の直径よりも大きく形成して成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の外装材葺替え用の支持金具。
【請求項5】
上記の支持面を、新規の外装材が載設される外装下地材を載置するための外装下地材支持面として形成して成ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の外装材葺替え用の支持金具。
【請求項6】
上記の支持面の略中央に凹所を形成して成ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の外装材葺替え用の支持金具。
【請求項7】
既存の壁や屋根のスレート板の表面を新規の外装材で被覆するために、スレート板の表面に配設される補助支持金具であって、断面略U字状に形成され、その両側部に新規の外装材を支持するための支持片を突設し、スレート板を固定している固定具のスレート板から突出している上端部を挿着するための切欠部を設けて成ることを特徴とする外装材葺替え用の補助支持金具。
【請求項8】
補助支持金具の長手方向と略平行に切欠部を形成して成ることを特徴とする請求項7に記載の外装材葺替え用の補助支持金具。
【請求項1】
既存の壁や屋根のスレート板の表面を新規の外装材で被覆するために、スレート板の表面に配設される支持金具であって、断面略逆U字状に形成され、両側部がスレート板の凸部を跨いでその両側の凹部に配置される一対の脚部としてなり、上面部が新規の外装材を支持するための支持面としてなり、スレート板を固定している固定具のスレート板から突出している上部を挿入するための挿入孔と、挿入孔から突出している固定具の上部に係止させる係止片とを支持面に設けて成ることを特徴とする外装材葺替え用の支持金具。
【請求項2】
複数の係止片を支持面に設けて成ることを特徴とする請求項1に記載の外装材葺替え用の支持金具。
【請求項3】
複数の係止片の先端間の間隙を固定具の直径よりも小さく形成して成ることを特徴とする請求項2に記載の外装材葺替え用の支持金具。
【請求項4】
挿入孔を固定具の直径よりも大きく形成して成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の外装材葺替え用の支持金具。
【請求項5】
上記の支持面を、新規の外装材が載設される外装下地材を載置するための外装下地材支持面として形成して成ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の外装材葺替え用の支持金具。
【請求項6】
上記の支持面の略中央に凹所を形成して成ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の外装材葺替え用の支持金具。
【請求項7】
既存の壁や屋根のスレート板の表面を新規の外装材で被覆するために、スレート板の表面に配設される補助支持金具であって、断面略U字状に形成され、その両側部に新規の外装材を支持するための支持片を突設し、スレート板を固定している固定具のスレート板から突出している上端部を挿着するための切欠部を設けて成ることを特徴とする外装材葺替え用の補助支持金具。
【請求項8】
補助支持金具の長手方向と略平行に切欠部を形成して成ることを特徴とする請求項7に記載の外装材葺替え用の補助支持金具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−186989(P2007−186989A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−39751(P2007−39751)
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【分割の表示】特願2002−273970(P2002−273970)の分割
【原出願日】平成14年9月19日(2002.9.19)
【出願人】(000207436)日鉄住金鋼板株式会社 (178)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【分割の表示】特願2002−273970(P2002−273970)の分割
【原出願日】平成14年9月19日(2002.9.19)
【出願人】(000207436)日鉄住金鋼板株式会社 (178)
【Fターム(参考)】
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