説明

外観検査装置および外観検査方法

【課題】セラミック基板の外観検査における誤判定を防止するとともに、外観検査の作業効率を向上することのできる外観検査装置を提供する。
【解決手段】セラミック基板を個別に収容するためのトレイと、セラミック基板をトレイを背景にして撮像した第1の画像を得るための第1の撮像装置と、トレイに振動を加えるための振動装置と、振動装置により振動が加えられた後に,セラミック基板をトレイを背景にして撮像した第2の画像を得るための第2の撮像装置と、第1及び第2の画像を演算処理するための画像処理部とを有し、第1の画像の画像処理時に検出された暗色系領域の発見エリアに関する位置座標データと、第2の画像の画像処理時に検出された暗色系領域の発見エリアに関する位置座標データとが一致した場合にそのセラミック基板は不良品と確定されることを特徴とする外観検査装置による。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、短冊状のセラミックシートから分割されて個片化されたセラミック基板の外観を検査するための外観検査装置及び外観検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、短冊状のセラミックシートを分割して個片化したセラミック基板を製造する場合、分割時にセラミック基板の外縁の、特に、角部の周辺にバリと呼ばれる突起ができて不良品化する場合があり、出荷前に外観検査を行って不良品を取り除く必要があった。
通常、このようなセラミック基板の外観検査においては、個片化されたセラミック基板を個別に収容するための断面凹状の収納ポケットを多数備えたトレイにセラミック基板を個別に収容した後、撮像装置である、例えば、CCDカメラ等を用いてトレイを背景にセラミック基板を撮像して得られた画像を、画像処理部において演算処理することでセラミック基板の外縁の角部周辺にバリ等がないかを検査していた。
この場合、トレイの収納ポケットの内側面にセラミック基板の角が接触又は近接していると、セラミック基板と収納ポケットの間に陰ができて、外観上あたかもバリができているかのように見えてしまい、本来良品と判定されるべきものが不良品として誤判定されてしまい、製品の歩留まりを低下させる原因になっていた。
また、セラミック基板を個片化させた際の破片や異物等のゴミがセラミック基板の外縁に付着している場合にも、外観上あたかもバリができているかのように見えてしまい、やはり、製品の歩留まりを低下させる原因になっていた。
このような課題に対処する目的で、電子部品の外観検査方法等に関する発明が開示されている。
【0003】
特許文献1には「キャリアテープ内の電子部品の外観検査方法及び外観検査機構」という名称で、電子部品を収納するための凹型のポケット部が所定間隔で形成されたキャリアテープに収納されている電子部品について画像情報に基づいて外観検査を行なう外観検査方法及びそれに用いる外観検査機構に関するものであり、特にキャリアテープのポケット部に収納される電子部品としては例えば半導体装置のチップ・サイズ・パッケージ(CSP:chip size package)のような小型のチップ型電子部品を対象としたものに関する発明が開示されている。
特許文献1に開示される発明は、文献中に記載される符号をそのまま用いて説明すると、キャリアテープ33を間欠送りするためのパルスモータ3、スプロケット5,9及びベルト7と、電子部品の画像情報を取得するためのカメラ13と、画像情報に基づいて電子部品の外観良否判定を行なう画像処理部15と、パルスモータ3の駆動を制御するための制御部11を備えるものであり、画像処理部15は電子部品の検査結果を不良と判定した場合にその旨の信号23を制御部11に送り、制御部11はキャリアテープ33を進行方向(矢印A)及び後退方向(矢印B)に移動させるようにパルスモータ3を駆動させてキャリアテープ33を振動させてポケット部内の電子部品の収納位置を修正し、さらに、キャリアテープ33の振動後にカメラ13及び画像処理部15により再検査を行なうことを特徴とするものである。
上記構成の特許文献1に開示される発明によれば、キャリアテープのポケット部を画像情報取得位置に間欠送りするための機構として正逆回転可能な搬送機構を用い、電子部品の検査結果が不良と判定された場合に、搬送機構を正回転及び逆回転させてキャリアテープを進行方向及び後退方向に移動させることによりキャリアテープを振動させる振動工程と、振動工程後に再検査を行なう再検査工程を行なうようにしたので、電子部品の収納位置を修正するための特別の機構を用いることなく、電子部品がポケット部に異常収納されているときに振動工程により収納状態を正常にすることができ、その後、電子部品の再検査を行なうことにより、電子部品の異常収納に起因する誤検査を回避することができる。これにより、低コストで、装置の大型化を招くことなく、電子部品の異常収納に起因する誤検査を回避することができるという効果が期待できる。
【0004】
また、特許文献2には「電子部品の外観検査方法および外観検査装置」という名称で、電子部品の外観不良を発見するための電子部品の外観検査方法および外観検査装置に関する発明が開示されている。
特許文献2に開示される発明は、電子部品の外観不良を発見するための外観検査方法であって、前記電子部品の外観画像を撮影し、該外観画像を複数の検査領域に分割し、あらかじめ前記検査領域ごとに設定しておいた検査基準値と、前記各検査領域における画像データから算出される判別パラメータとを比較し、その結果に基づいて、前記外観不良の存否を判定することを特徴とするものである。
上記構成の特許文献2に開示される発明によれば、電子部品の外観画像を撮影し、この外観画像を複数の検査領域に分割し、さらに、あらかじめ各検査領域ごとに設定しておいた検査基準値と、各検査領域における画像データから算出される判別パラメータとを比較し、その結果に基づいて、外観不良の存否を判定するようになっているために、電子部品の全領域を細分化して認識し、各領域の特性に応じて詳細な検査を行う可能であり、これにより、従来に比較して、多種多様な不良に対して充分な検査能力を得ることができるとともに、検査精度の向上を図ることが可能となる。
【0005】
さらに、特許文献3には「外観検査装置および外観検査方法」という名称で、検査対象物の外観検査を行う外観検査装置および外観検査方法に関し、特にトレイのポケット内に収納された検査対象物を複数の視野に分割して撮影して外観検査を行う外観検査装置および外観検査方法に関する発明が開示されている。
特許文献3に開示される外観検査装置は、文献中の符号をそのまま用いて説明すると、姿勢検出部56による位置合わせ処理によって算出された姿勢情報は、移動制御部59に出力され、移動制御部59は、姿勢情報に基づいて第2撮影視野82以降の全ての撮影視野8の撮影位置を決定することを特徴とするものである。また、姿勢検出部56によって算出された姿勢情報は、画像処理部57にも出力され、画像処理部57は、姿勢情報に基づいて画像から第1領域Aを検査領域として抽出して傾きを補正し、画像処理部57によって画像から抽出され傾きを補正された第1領域Aは、検査部58によって検査されるものである。
上記構成の特許文献3に開示される発明によれば、トレイのポケットに収納された検査対象物を複数の撮影視野で分割撮影する際に、トレイのポケットに収納された検査対象物の位置決めをすることなく、各撮影視野で撮影された画像を高精度に検査することができる外観検査装置および外観検査方法を提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−142774号公報
【特許文献2】特開2002−243655号公報
【特許文献3】特開2009−109505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されるような方法では、誤検査を回避して検査精度を向上できると考えられるものの、1つのラインにおいて2回以上の再検査が行われた場合、検査作業の作業効率が低下し、製品の出荷前の検査時に多くの時間を割く必要があり生産性を向上し難いという課題があった。
【0008】
また、特許文献2や特許文献3に開示される発明の場合はいずれも、先に述べたようなセラミック基板の外観検査を行った場合、トレイの収納ポケットとセラミック基板の間にできる影や、セラミック基板の外縁に付着する破片や異物等のゴミにより、本来、適性と判断されるべきセラミック基板が誤ってバリがある不良品として誤判定されるのを回避することは困難であるという課題があった。
【0009】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものでありその目的は、セラミックス基板の外観検査において、再検査の回数を最少にしながら、本来適性であると判断されるべきセラミック基板が誤って不良品と判定されるのを最小限度にすることができる外観検査装置及び外観検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため請求項1記載の発明である外観検査装置は、短冊状のセラミックシートから分割されて個片化されたセラミック基板の外観を検査するための外観検査装置であって、この外観検査装置は、セラミック基板を個別に収容するための断面凹状の収納ポケットを複数備えたトレイと、セラミック基板を,トレイを背景にして撮像した第1の画像を得るための第1の撮像装置と、トレイに振動を加えるための振動装置と、振動装置により振動が加えられた後に,セラミック基板を,トレイを背景にして撮像した第2の画像を得るための第2の撮像装置と、第1及び第2の画像を演算処理するための画像処理部と、を有し、セラミック基板はトレイの収納ポケットが形成される面よりも暗色系であり、第1の画像の画像処理においては、トレイに収容される全てのセラミック基板について,その辺の角を含む外縁の外の領域に,外縁に接触して形成される暗色系領域があるか否かが検査され、暗色系領域が検出された場合、不良品と仮判定され,第2の画像の画像処理においては、第1の画像の画像処理において暗色系領域が検出されたセラミック基板のみを対象とし,対象となるセラミック基板について、外縁に接触して形成される暗色系領域があるか否かが検査され、暗色系領域が検出された場合、第1の画像の画像処理時に検出された暗色系領域の発見エリアに関する位置座標データと、第2の画像の画像処理時に検出された暗色系領域の発見エリアに関する位置座標データとが一致した場合に、セラミック基板は不良品と確定されることを特徴とするものである。
上記構成の請求項1記載の発明において、トレイ及びトレイに形成される収納ポケットは、個片化されたセラミック基板を収納ポケットに個別に収容して保持するという作用を有する。
また、第1及び第2の撮像装置は、個々のセラミック基板を,トレイを背景に撮像することにより第1及び第2の画像の電子データを取得するという作用を有する。加えて、セラミック基板をトレイの収納ポケットが形成される面よりも暗色系の色調とすることで、第1及び第2の撮像装置により撮像した際に、セラミック基板とトレイの境界を明瞭にするという作用を有する。
また、画像処理部は、第1及び第2の画像において、セラミック基板を個別にその周辺の領域とともに認識し、個々のセラミック基板について,その辺の角を含む外縁の外の領域に,外縁に接触して形成される暗色系領域があるか否かを検査するという作用を有する。そして、セラミック基板の外縁に暗色系領域が発見された場合、そのセラミック基板は不良品と仮判定される。
また、振動装置は、セラミック基板にトレイを介して間接的に振動を加えるという作用を有する。そして、この振動により、第1の画像の撮像時に、収納ポケットの内側面に接触又は近接するセラミック基板を、収納ポケットの内側面から離間させるという作用を有する。
また、画像処理部は、第1及び第2の画像において、セラミック基板を個別にその周辺の領域とともに認識し、個々のセラミック基板について,その辺の角を含む外縁の外の領域に,外縁に接触して形成される暗色系領域があるか否かを検査するという作用を有する。
そして、セラミック基板の外縁に暗色系領域が発見された場合、そのセラミック基板を不良品と仮判定する。
請求項1記載の発明においては、第1の画像の画像処理の結果、不良品と仮判定された個々のセラミック基板に対して、振動装置により振動を与えた後に再度トレイを背景にして第2の画像を撮像し、この第2の画像を別途画像処理することにより不良箇所の検出を再び行い、そのセラミック基板において第1の画像の画像処理時に検出された暗色系領域の検出エリアに関する位置情報データと、第2画像の画像処理時に検出された暗色系領域の検出エリアに関する位置情報データとが一致した場合にのみ、最終的にそのセラミック基板を不良品と確定するよう構成することで、第1の画像を画像処理した際の不良品の仮判定が、セラミック基板自体の不良に基づくものではなく、収納ポケットにおけるセラミック基板の収容位置が不適切であることが原因であったり、破片や異物等のゴミが一時的にセラミック基板の外縁に付着していること等が原因である場合に、その原因を排除した状態でセラミック基板の外観の再検査を可能にするという作用を有する。
これにより、第1の画像のみを画像処理し、その結果のみを、個々のセラミック基板に対する適正又は不良品と判定する際の根拠にする場合に比べて、セラミック基板が不良品と誤判定されてしまう恐れを大幅に低減するという作用を有する。
さらに、第2の画像の画像処理を行う際に、先の第1の画像の画像処理において不良品と仮判定されたセラミック基板のみを対象とすることで、第2の画像の画像処理にかかる時間を大幅に短縮するという作用を有する。
【0011】
請求項2記載の発明である外観検査装置は、短冊状のセラミックシートから分割されて個片化されたセラミック基板の外観を検査するための外観検査装置であって、この外観検査装置は、セラミック基板を個別に収容するための断面凹状の収納ポケットを複数備えた第1のトレイと、第1のトレイから移動されたセラミック基板を個別に収容するための断面凹状の収納ポケットを複数備えた第2のトレイと、セラミック基板を第1のトレイを背景にして撮像した第1の画像を得るための第1の撮像装置と、第1の画像が画像処理された際に不良品と仮判定され,第1のトレイから第2のトレイに移動されたセラミック基板を,第2のトレイを背景にして撮像した第2の画像を得るための第2の撮像装置と、第1及び第2の画像を演算処理するための画像処理部と、を有し、セラミック基板は第1及び第2のトレイの収納ポケットが形成される面よりも暗色系であり、第1の画像の画像処理においては、第1のトレイに収容される全てのセラミック基板について,その辺の前記角を含む外縁の外の領域に,外縁に接触して形成される暗色系領域があるか否かが検査され、暗色系領域が検出された場合、不良品と仮判定され,第2の画像の画像処理においては、第1のトレイから第2のトレイに移動された全てのセラミック基板について、外縁に接触して形成される暗色系領域があるか否かが検査され、暗色系領域が検出された場合、
第1の画像の画像処理時に検出された暗色系領域の発見エリアに関する位置座標データと、第2の画像の画像処理時に検出された暗色系領域の発見エリアに関する位置座標データとが一致した場合に、そのセラミック基板は不良品と確定されることを特徴とするものである。
上記構成の請求項2記載の発明において、第1及び第2のトレイ及び、これらのトレイに形成される収納ポケットは、個片化されたセラミック基板を収納ポケットに個別に収容して保持するという作用を有する。また、第1の撮像装置は、個片化されたセラミック基板を、第1のトレイを背景に撮像することにより第1の画像の電子データを取得するという作用を有する。さらに、第2の撮像装置は、第1の画像が画像処理された際に不良品と仮判定され,第1のトレイから第2のトレイに移動されたセラミック基板を、第2のトレイを背景に撮像することにより第2の画像の電子データを取得するという作用を有する。
加えて、セラミック基板を第1又は第2のトレイの収納ポケットが形成される面よりも暗色系の色調とすることで、第1及び第2の撮像装置により撮像した際に、第1又は第2の画像におけるセラミック基板とトレイの境界を明瞭にするという作用を有する。
また、画像処理部は、第1及び第2の画像において、セラミック基板を個別にその周辺の領域とともに認識し、個々のセラミック基板について,その辺の角を含む外縁の外の領域に,外縁に接触して形成される暗色系領域があるか否かを検査するという作用を有する。
そして、セラミック基板の外縁に暗色系領域が発見された場合、そのセラミック基板は不良品と仮判定される。
さらに、移動装置は、第1の画像が画像処理された際に、不良品と仮判定されたセラミック基板を取り出して第2のトレイに移動させるという作用を有する。この作業により、第1の画像が画像処理された際の不良品の仮判定が、セラミック基板自体の不良に因るものではなく、第1のトレイの不具合に起因する場合に、第2の画像の撮像時にその原因を排除するという作用を有する。
請求項2記載の発明においては、第1の画像の画像処理の結果、不良品と仮判定されたセラミック基板のみを移動装置により第2のトレイに移動した後、第2のトレイを背景にして第2の画像を撮像し、この第2の画像を別途画像処理することにより不良箇所の抽出を再度行い、そのセラミック基板において第1の画像の画像処理時に検出された暗色系領域の検出エリアに関する位置情報データと、第2画像の画像処理時に検出された暗色系領域の検出エリアに関する位置情報データとが一致した場合にのみ、最終的にそのセラミック基板を不良品と確定するよう構成することで、第1の画像を画像処理した際の不良品の仮判定が、セラミック基板自体の不良に基づくものではなく、第1のトレイ自体や,収納ポケットにおけるセラミック基板の収容位置が不適切であることが原因であった場合に、その原因を排除した状態でセラミック基板の外観の再検査を可能にするという作用を有する。
これにより、第1の画像のみを画像処理し、その結果のみを、個々のセラミック基板に対する適正又は不良品との判定の根拠にする場合に比べて、セラミック基板が不良品と誤判定されてしまう恐れを大幅に低減するという作用を有する。
さらに、第2の画像の画像処理を行う際に、先の第1の画像の画像処理において不良品と仮判定されたセラミック基板のみを対象とすることで、第2の画像の画像処理にかかる時間を大幅に短縮するという作用を有する。
【0012】
請求項3記載の発明である外観検査方法は、短冊状のセラミックシートから分割されて個片化されたセラミック基板の外観を検査するための外観検査方法であって、断面凹状の収納ポケットを複数備えたトレイにセラミック基板を個別に収容する第1の工程と、この第1の工程の後に、セラミック基板を,トレイを背景にして第1の撮像装置により撮像して第1の画像を得る第2の工程と、この第2の工程の後に、第1の画像を画像処理部において演算処理して,不良品の仮判定を行う第3の工程と、この第3の工程の後に、振動装置によりセラミック基板にトレイごと振動を加える第4の工程と、この第4の工程の後に、セラミック基板を,トレイを背景にして第2の撮像装置により撮像して第2の画像を得る第5の工程と、この第5の工程の後に、第2の画像を画像処理部において演算処理して,不良箇所の抽出を行う第6の工程と、を有し、セラミック基板はトレイの収納ポケットが形成される面よりも暗色系であり、第3の工程においては、トレイに収容される全てのセラミック基板について,その辺の角を含む外縁の外の領域に,外縁に接触して形成される暗色系領域があるか否かが検査され、暗色系領域が検出された場合、不良品と仮判定され,第6の工程においては、第3の工程において不良品と仮判定されたセラミック基板のみを対象とし,対象となるセラミック基板について,外縁に接触して形成される暗色系領域が存在するか否かが検査され、暗色系領域が検出された場合、第3の工程において記憶された暗色系領域の発見エリアに関する位置座標データと、第6の工程において記憶された暗色系領域の発見エリアに関する位置座標データとが一致した場合に、そのセラミック基板は不良品と確定されることを特徴とするものである。
上記構成の請求項3記載の発明において、第1の工程は、断面凹状の収納ポケットを複数備えたトレイにセラミック基板を個別に収容する準備工程である。
また、第2の工程は、セラミック基板を,トレイを背景にして第1の撮像装置により撮像して第1の画像を取得するという作用を有する。
さらに、第3の工程は、第1の画像を画像処理部において演算処理して,不良品の仮判定を行うという作用を有する。より具体的には、トレイに収容される全てのセラミック基板を対象とし,個々のセラミック基板について,その辺の角を含む外縁の外の領域に,外縁に接触して形成される暗色系領域があるか否かを検査することにより、セラミック基板の角近傍の外縁にバリ等の不良箇所が存在する可能性があるか否かが検査されて、バリ等の不良箇所を有すると考えられるセラミック基板を抽出するという作用を有する。
続く第4の工程は、振動装置によりセラミック基板にトレイごと振動を加えることにより、トレイの収納ポケット内においてセラミック基板が収納ポケットの内側面に接触又は近接していた場合に、振動により収納ポケットの内側面からセラミック基板を離間させるという作用を有する。
さらに、第5の工程は、セラミック基板を,トレイを背景にして第2の撮像装置により撮像して第2の画像を取得するという作用を有する。
そして、第6の工程は、第2の画像を画像処理部において演算処理して,不良箇所の抽出を行うという作用を有する。より具体的には、第3の工程において不良品と仮判定されたセラミック基板を対象とし,その個々のセラミック基板について,外縁に接触して形成される暗色系領域があるか否かを検査することにより、セラミック基板の角近傍の外縁にバリ等の不良箇所が存在する可能性があるか否かが検査されて、バリ等の不良箇所を有すると考えられるセラミック基板を抽出するという作用を有する。
また、セラミック基板を、トレイの収納ポケットが形成される面よりも暗色系の色調とすることで、第1又は第2の画像におけるセラミック基板とトレイの境界を明瞭にするという作用を有する。
そして、請求項3記載の外観検査方法においては、第3の工程において、不良品と仮判定された個々のセラミック基板に対して、振動装置により振動を与えた後に再度トレイを背景にして第2の画像を撮像し、第6の工程において第2の画像を用いて不良箇所の抽出を再度行い、そのセラミック基板において第1の画像の画像処理時に検出された暗色系領域の検出エリアに関する位置情報データと、第2画像の画像処理時に検出された暗色系領域の検出エリアに関する位置情報データとを照合してこれらが一致した場合にのみ、最終的にそのセラミック基板を不良品と確定するよう構成することで、第3の工程における不良品の仮判定が、セラミック基板自体の不良に基づくものではなく、収納ポケットにおけるセラミック基板の収容位置が不適切であったり、破片や異物等のゴミが一時的にセラミック基板の外縁に付着していること等が原因であった場合に、その原因を排除した状態でセラミック基板の外観の再検査を可能にするという作用を有する。
これにより、第1の画像のみを画像処理し、その結果のみを、個々のセラミック基板に対する適正又は不良品と判定する際の根拠にする場合に比べて、セラミック基板が不良品と誤判定されてしまうおそれを大幅に低減するという作用を有する。
さらに、第6の工程において画像処理の対象を、第3の工程において不良品と仮判定されたセラミック基板のみとすることで、第2の画像の画像処理にかかる時間を大幅に短縮するという作用を有する。
【0013】
請求項4記載の発明である外観検査方法は、短冊状のセラミックシートから分割されて個片化されたセラミック基板の外観を検査するための外観検査方法であって、断面凹状の収納ポケットを複数備えた第1のトレイにセラミック基板を個別に収容する第1の工程と、この第1の工程の後に、セラミック基板を,第1のトレイを背景にして第1の撮像装置により撮像して第1の画像を得る第2の工程と、この第2の工程の後に、第1の画像を画像処理部において演算処理して,不良品の仮判定を行う第3の工程と、この第3の工程の後に、第3の工程において不良品と仮判定されたセラミック基板を断面凹状の収納ポケットを複数備えた第2のトレイに移動させる第4の工程と、この第4の工程の後に、セラミック基板を,第2のトレイを背景にして第2の撮像装置により撮像して第2の画像を得る第5の工程と、この第5の工程の後に、第2の画像を画像処理部において演算処理して,不良箇所の抽出を行う第6の工程と、を有し、セラミック基板は第1及び第2のトレイの収納ポケットが形成される面よりも暗色系であり、第3の工程においては、第1のトレイに収容される全てのセラミック基板について,その辺の角を含む外縁の外の領域に,外縁に接触して形成される暗色系領域があるか否かが検査され、暗色系領域が検出された場合、不良品と仮判定され,第6の工程においては、第2のトレイに収容される全てのセラミック基板について,外縁に接触して形成される暗色系領域が存在するか否かが検査され、暗色系領域が検出された場合、第3の工程において取得された暗色系領域の発見エリアに関する位置座標データと、第6の工程において取得された暗色系領域の発見エリアに関する位置座標データとが一致した場合に、そのセラミック基板は不良品と確定されることを特徴とするものである。
上記構成の請求項4記載の発明において、第1の工程は、断面凹状の収納ポケットを複数備えた第1のトレイにセラミック基板を個別に収容する準備工程である。
また、第2の工程は、セラミック基板を,第1のトレイを背景にして第1の撮像装置により撮像して第1の画像を得るという作用を有する。
さらに、第3の工程は、第1の画像を画像処理部において演算処理して,不良品の仮判定を行うという作用を有する。より具体的には、トレイに収容される全てのセラミック基板を対象とし,個々のセラミック基板について,その辺の角を含む外縁の外の領域に,外縁に接触して形成される暗色系領域があるか否かを検査することにより、セラミック基板の角近傍の外縁にバリ等の不良箇所が存在する可能性があるか否かが検査されて、バリ等の不良箇所を有すると考えられるセラミック基板を抽出するという作用を有する。
続く第4の工程は、先の第3の工程において不良品と仮判定されたセラミック基板を、第2のトレイに移動させるという作用を有する。この工程を設けることにより、第1のトレイに不具合があり,そこに収容されるセラミック基板に何ら問題がないにも関わらず不良品と仮判定されたものについて、第1のトレイに起因する原因を排除するという作用を有する。
さらに、第5の工程は、セラミック基板を,第2のトレイを背景にして第2の撮像装置により撮像して第2の画像を得るという作用を有する。
そして、第6の工程は、第2の画像を画像処理部において演算処理して,不良箇所の抽出を再度行うという作用を有する。より具体的には、第3の工程において不良品と仮判定され,移動装置により移動された全てのセラミック基板を対象とし,その個々のセラミック基板について,外縁に接触して形成される暗色系領域があるか否かを検査することにより、セラミック基板の角近傍の外縁にバリ等の不良箇所が存在する可能性があるか否かが検査されて、バリ等の不良箇所を有すると考えられるセラミック基板を抽出するという作用を有する。
また、セラミック基板を、トレイの収納ポケットが形成される面よりも暗色系の色調とすることで、第1又は第2の画像におけるセラミック基板とトレイの境界を明瞭にするという作用を有する。
そして、請求項4記載の外観検査方法においては、第3の工程において、不良品と仮判定された個々のセラミック基板を第2のトレイに移し替えた後に再度第2のトレイを背景にして第2の画像を撮像し、第6の工程において第2の画像を用いて不良箇所の抽出を再び行い、そのセラミック基板において第1の画像の画像処理時に検出された暗色系領域の検出エリアに関する位置情報データと、第2画像の画像処理時に検出された暗色系領域の検出エリアに関する位置情報データとが一致した場合にのみ、最終的にそのセラミック基板を不良品と確定するよう構成することで、第3の工程における不良品の仮判定が、セラミック基板自体の不良に基づくものではなく、収納ポケットにおけるセラミック基板の収容位置が不適切であったり、第1のトレイ自体が不具合を有すること等が原因であった場合に、その原因を排除した状態でセラミック基板の外観の再検査を可能にするという作用を有する。
これにより、第1の画像のみを画像処理し、その結果のみを、個々のセラミック基板に対する適正又は不良品と判定する際の根拠にする場合に比べて、セラミック基板が不良品と誤判定されてしまうおそれを大幅に低減するという作用を有する。
さらに、第6の工程において画像処理の対象となるのを、第3の工程において不良品と仮判定されたセラミック基板のみとすることで、第2の画像の画像処理にかかる時間を大幅に短縮するという作用を有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1記載の外観検査装置によれば、被検査対象であるセラミック基板の外縁にバリが生じていないものが誤って不良品として誤判定されてしまうのを防止して、外観検査に伴う製品の歩留まりの低下を抑制することができるという効果を有する。
つまり、セラミック基板の再検査時(第2の画像の撮像時)には、収納ポケットに収納されるセラミック基板の収容状態に変化が加えられているので、より具体的には,振動装置により振動が加えられて収納ポケット内におけるセラミック基板の収納位置が変化しているので、セラミック基板の外縁にバリが生じている以外の場合において、第1の画像の画像処理時に検出された暗色系領域の発見エリアに関する位置座標データと、第2の画像の画像処理時に検出された暗色系領域の発見エリアに関する位置座標データとが一致する可能性は極めて低くなる。このため、請求項1記載の発明を用いて外観検査を行った場合に、最終的に確定された不良品判定が誤判定である可能性を小さくすることができる。
しかも、1つのセラミックス基板に対して、実施される検査の回数(撮像回数)は最大で2回であり、かつ、再検査の対象は(第2の画像における画像処理の対象となるのは)第1の画像の画像処理において不良品と判定されたもののみであるため、外観検査に要する時間も短縮することができる。
従って、適正なセラミック基板が不良品として誤判定されるおそれが少なく、かつ、迅速に外観検査を行うことのできる外観検査装置を提供することができるという効果を有する。
【0015】
本発明の請求項2記載の外観検査装置によれば、被検査対象であるセラミック基板の外縁にバリが生じていないものが誤って不良品として誤判定されてしまうのを防止して、外観検査に伴う製品の歩留まりの低下を抑制することができるという効果を有する。
つまり、セラミック基板の再検査時(第2の画像の撮像時)には、収納ポケットに収納されるセラミック基板の収容状態に変化が加えられているので、より具体的には,セラミック基板を載置・収納するトレイが交換されることにより、収納ポケット内におけるセラミック基板の収納位置も変えられ,さらに,第1の画像の撮像時のトレイに起因する不具合が排除されるので、セラミック基板の外縁にバリが生じている以外の場合において、第1の画像の画像処理時に検出された暗色系領域の発見エリアに関する位置座標データと、第2の画像の画像処理時に検出された暗色系領域の発見エリアに関する位置座標データとが一致する可能性は極めて低くなる。このため、請求項2記載の発明を用いて外観検査を行った場合に、最終的に確定された不良品判定が誤判定である可能性を極めて小さくすることができる。
しかも、1つのセラミックス基板に対して、実施される検査の回数(撮像回数)は最大で2回であり、かつ、再検査の対象は(第2画像の撮像対象となるのは)第1の画像の画像処理において不良品と判定されたもののみであるため、外観検査に要する時間も短縮することができる。
従って、誤判定されるおそれが少なく、かつ、迅速に外観検査を行うことのできる外観検査装置を提供することができるという効果を有する。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明を方法の発明として捉えたものであり、その効果は請求項1記載の発明と同じである。
【0017】
請求項4記載の発明は、請求項2記載の発明を方法の発明として捉えたものであり、その効果は請求項2記載の発明と同じである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例1に係る外観検査装置の一例を示す概念図である。
【図2】(a)は本発明の実施例1に係る外観検査装置のトレイにセラミック基板を載置した状態を示す概念図であり、(b)はその部分拡大図である。
【図3】(a)〜(c)はいずれも本発明の実施例1に係る外観検査装置により不良箇所が検出されたセラミック基板の例を示す図である。
【図4】本発明の実施例1に係るセラミック基板の外観検査方法の作業手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施例2に係る外観検査装置の一例を示す概念図である。
【図6】本発明の実施例2に係るセラミック基板の外観検査方法の作業手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施例3に係る外観検査システムのシステム構成図である。
【図8】本発明の実施例3に係る外観検査プログラムの流れを示すフローチャートである。
【図9】本発明の実施例4に係る外観検査装置の一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施の形態に係る外観検査装置及び外観検査方法及び外観検査システムについて実施例1乃至実施例4を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
本発明の実施例1に係る外観検査装置及び外観検査方法について図1乃至図3を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の実施例1に係る外観検査装置の一例を示す概念図である。
実施例1に係る外観検査装置1aは、短冊状のセラミックシートから分割されて個片化されたセラミック基板4の外観を検査して高い精度で不良品を抽出するための検査装置であり、その構成は主に、図1に示すように、個片化されたセラミック基板4を個別に収納するための断面凹状の収納ポケット3が複数形成されたトレイ2と、このトレイ2を搬送するための搬送装置5と、トレイ2に載置されたセラミック基板4を、トレイ2を背景にして撮像するための撮像装置6a,6b、そして、トレイ2に載置されたセラミック基板4に間接的に振動を与えるための振動装置7を備え、さらに、撮像装置6a,6bにおいて撮像された画像を受信して演算処理するための画像処理部8を備えるものである。なお、画像処理部8にモニタ等からなる出力部15を設けておいてもよい。
【0021】
より具体的には、実施例1に係る外観検査装置1aにおいては、個片化されたセラミック基板4を個別に収納したトレイ2が、ベルトコンベアー等からなる搬送装置5により、トレイ2の移動方向の下流側に設けられる撮像装置6aの下に搬送されて、まず、トレイ2を背景にしたセラミック基板4の画像が第1の画像として撮像され、この後、セラミック基板4を載置・収容したトレイ2は搬送装置5によってさらに搬送されて振動装置7のもとに移動し、振動装置7によりトレイ2に載置・収容されるセラミック基板4に間接的に振動が加えられる。そして、この後、トレイ2に載置・収納されたセラミック基板4は、再び搬送装置5によって搬送されて、振動装置7の下流側に設けられる撮像装置6bの下に移動される、そして、ここで撮像装置6bにより再びトレイ2を背景にしたセラミック基板4の画像が第2の画像として撮像されるよう構成されている。
また、撮像装置6aにより撮像された第1の画像は、画像処理部8に送られ、画像処理部8において全てのセラミック基板4についてその外縁部に暗色系領域として検出される不良箇所があるか否かが演算処理により検査され、その結果に基づいて不良品の仮判定が行なわれる。
さらに、撮像装置6bにより撮像された第2の画像においては、先の第1の画像の演算処理の結果、不良品の仮判定がなされたセラミック基板4のみを対象とし、第1の画像の演算処理結果と、第2の画像の演算処理結果を照合・比較して最終的にそのセラミック基板4に対する不良品か否かの判定が決定される仕組みになっている。
【0022】
ここで、図2を参照しながら、セラミック基板4の外観の検査領域について説明する。
図2(a)は本発明の実施例1に係る外観検査装置のトレイにセラミック基板を載置した状態を示す概念図であり、(b)はその部分拡大図である。なお、図1に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図2に示すように、トレイ2には、例えば、平面形状が矩形状で,断面凹状の収納ポケット3が縦横に規則正しく形成され、その個々の収納ポケット3内に1つずつ個片化されたセラミック基板4が収納されている。
そして、図1に示す撮像装置6a又は6bにおいては、図2(a)に示すような状態の画像が第1又は第2の画像として撮像される。また、特に第1の画像においては、例えば、個々の収納ポケット3に識別符号が付与され、それぞれに収容されるセラミック基板4が、外観検査の結果が確定するまでその識別符号により識別されるよう構成されている。なお、この識別符号は、文字、記号、番号を含む概念である。
より具体的に説明すると、図2(a)には特に明示していないが、例えば、トレイ2の右上の収納ポケット3に収容されるセラミック基板4には識別符号として数字の「1」が付与され、紙面左に、そして、紙面下方に向うにつれて数字が大きくなるように識別符号が付与されている。つまり、図2(a)におけるトレイ2において、紙面左上に配置される収納ポケット3に収容されるセラミック基板4の識別符号は「5」であり、紙面右下に配置される収納ポケット3に収容されるセラミック基板4の識別符号は「46」であり、紙面左下に配置される収納ポケット3に収容されるセラミック基板4の識別符号は「50」である。
【0023】
さらに、図2(a)中の破線で囲った領域を拡大して示したものが図2(b)である。
実施例1に係る外観検査装置1aにおいては、被検査対象であるセラミック基板4を、トレイ2の収納ポケット3が形成される面よりも暗い色調としている。これにより、トレイ2を背景にして第1,第2の画像を撮像した際に、第1,第2の画像中におけるセラミック基板4の境界を明瞭にすることができる。なお、以下に示す他の実施例2に係る第1のトレイ及び第2のトレイにおいても同様である。
先の図1に示す撮像装置6a,6bにおいて撮像された第1の画像,第2の画像が画像処理部8において演算処理される場合、個々のセラミック基板4が、その背景を構成するトレイ2の収納ポケット3とともに認識される。すなわち、図2(b)に示すように、セラミック基板4及びその周囲が画像エリア16として認識される。このとき、画像エリア16内におけるセラミック基板4が角度ずれを起こしている場合には、自動で修正される(後述の図3(c)参照)。
そして、この画像エリア16においてセラミック基板4の外縁を構成する辺4a〜4a及び角4b〜4bが認識され、これに基づいて、角4b〜4bを形成する全ての辺4a〜4aの,角4b〜4bを含むセラミック基板4の外縁の外の領域がそれぞれ図2(b)中において、矩形状の破線で示されるエリアA〜Aとして認識される。
【0024】
なお、通常、セラミック基板4を不良品化させる主な原因の1つには、セラミック基板4の外縁に形成されるバリと呼ばれる突起があり、このバリのほとんどはセラミック基板4の角4b〜4b近傍に形成されるため、実施例1に係る外観検査装置1aでは、角4b〜4bの近傍でかつ角4b〜4bを含む領域8箇所を検査エリアA〜Aとして設定している。
また、実施例1に係る外観検査装置1aにおいては、セラミック基板4の外形を形成する各辺4a〜4aにおいてそれぞれ、隣り合う角(角4b,4b、角4b,4b、角4b,4b、角4b,4b)を1つずつ含みながら、独立した2箇所を検査エリア(検査エリアA,A、検査エリアA,A、検査エリアA,A、検査エリアA,A)として設定することで、そのセラミック基板4が不良品か否かを最終的に決定する際に、誤判定が起こる確率を小さくすることができる。この理由の詳細については後述する。
なお、検査エリアA〜Aの設定方法は、以下に示す他の実施例においても同じである。
【0025】
本発明の実施例1乃至実施例3記載の発明においては、個々のセラミック基板4について、この検査エリアA〜A内に、セラミック基板4の外縁(辺4a〜4a)に接触して形成される暗色系領域があるか否かを検査することにより、セラミック基板4の外縁にバリ等の不良箇所があるか否かを間接的に判断している。
【0026】
ここで、図2(b)に示すような検査エリアA〜Aを検査した場合の、不良箇所の検出例について図3を参照しながら説明する。
図3(a)〜(c)はいずれも本発明の実施例1に係る外観検査装置により不良箇所が検出されたセラミック基板の例を示す図である。なお、図1又は図2に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図3(a)に示すセラミック基板4では、辺4aの角4b側にバリ17が形成されており、このバリ17は、検査エリアAの検査時に辺4aに接触して形成される暗色系領域として検出される。
図3(b)に示すセラミック基板4では、辺4aの角4b寄りにゴミ18が付着しており、このゴミ18は、検査エリアAの検査時に辺4aに接触して形成される暗色系領域として検出される。
図3(c)に示すセラミック基板4では、収納ポケット3内においてセラミック基板4が角度ズレを起こした状態で収容され、さらに、そのセラミック基板4の角4bが収納ポケット3の内側面3aに近接しているために内側面3aと辺4aとの間に影19が生じており、この影19は検査エリアAの検査時に辺4aに接触して形成される暗色系領域として検出される。
しかしながら、図3(b),(c)の場合はいずれもセラミック基板4に実質的な不良箇所があるというわけではないので、検査エリアA〜Aの検査結果をそのままセラミック基板4の不良品の判定に反映させた場合、本来不良品ではないセラミック基板4が不良品として抽出されてしまう。
【0027】
先にも述べたように、通常、画像処理技術を用いたセラミック基板4の外観検査を行った場合、不良品として判定される原因の主なものとしては以下の3種類がある。
(1)セラミック基板4の外縁にバリ17が形成される場合
(2)セラミック基板4の外縁にゴミ18が付着している場合
(3)トレイ2の収納ポケット3の内側面3aに、セラミック基板4が接触又は近接している場合に、セラミック基板4と収納ポケット3の内側面の間に影19が生じている場合
そして、上記(1)の場合は、そのセラミック基板4は明らかに不良品であるのに対して、(2)及び(3)の場合はセラミック基板4に不良箇所があるわけではないので不良品とするのは誤りである。
そして、上述の(2)及び(3)の場合、収納ポケット3内におけるセラミック基板4の収納位置をずらしたり、セラミック基板4に外部から振動を与える等によりセラミック基板4の収納状態を変化させることで、暗色系領域が検出される検査エリア(検査エリアA〜A)が変わったり、あるいは、暗色系領域が検出されなくなる。
これに対して、(1)の場合では、収納ポケット3内においてセラミック基板4が回転移動しない限り、セラミック基板4の収納ポケット3内における収納状態を変化させたとしても、検査時に暗色系領域が検出される検査エリア(検査エリアA〜A)は同じである。
【0028】
そこで発明者はこの点に注目し、トレイ2に載置されたセラミック基板4の収納ポケット3内における収納状態を変化させる前後でそれぞれ1回ずつトレイ2を背景にして画像を撮像し、これらの画像における,不良箇所と考えられる暗色系領域の検出エリア(検査エリアA〜A)を互いに比較・照合して、暗色系領域が検出されたエリアが一致した場合にのみそのセラミック基板4を不良品と確定することで、上述の(2)及び(3)のケースが安易に不良品として誤判定されてしまうのを防止できることを見出した。
さらに発明者は、全てのセラミック基板4に対して、不良箇所と考えられる暗色系領域の検出作業を2回実施するのではなく、第1の画像を演算処理した際に、不良箇所と考えられる暗色系領域が検出されたセラミック基板4に対してのみ,第2の画像の演算処理を実施して不良箇所と考えられる暗色系領域の検出作業を実施することで、セラミック基板4の外観検査時における画像の演算処理にかかる時間を最少にした。
従って、実施例1に係る外観検査装置1aによれば、セラミック基板4の外観を高精度にかつ迅速に検査して不良品の抽出を行なうことができるという効果を有する。
【0029】
ここで、個片化されたセラミック基板4から不良品が抽出される手順について具体例を挙げて説明する。
いま、図2(a)に示すようなトレイ2に載置・収容される50個のセラミック基板4を、トレイ2を背景にして撮像装置6aにより撮像し、撮像装置6aから得られた第1の画像における個々のセラミック基板4の画像エリア16を画像処理部8において演算処理を行ったところ、識別符号として、「2」,「17」,「23」,「30」,「48」が付与された5個のセラミック基板4おいて不良箇所と考えられる暗色系領域が発見されたとする。
なお、上記識別符号が付与されたそれぞれのセラミック基板4における暗色系領域の発見箇所については、以下の表1に示す通りである。また、下表1に示す符号「A」〜「A」はいずれも、検査エリアA〜Aを省略して示したものである。さらに、下表1において「−」は、第2の画像の演算処理が実施されなかったことを意味している。
また、第1の画像を画像処理部8において演算処理した結果のみでは、不良品と仮判定された原因が上述の(1)〜(3)のいずれに該当するかについては判断することができない。
【0030】
【表1】

【0031】
そして、トレイ2に収容されるセラミック基板4の全てに対して図1に示す振動装置7により振動を与えた後、再びトレイ2に収容されるセラミック基板4を、トレイ2を背景にして撮像装置6bにより撮像し、撮像装置6bから第2の画像を得る。
さらに、この第2の画像においては、先の第1の画像を演算処理した際に不良品と仮判定された識別符号「2」,「17」,「23」,「30」,「48」のそれぞれのセラミック基板4(上表1中のハッチングを付した部分を参照)のみを対象にして、再度演算処理を実行した。この第2の画像の演算処理結果についても上表1に併せて示した。
【0032】
上表1に示すように、識別符号「2」が付されたセラミック基板4では、第1の画像の演算処理時に、検査エリアA,Aの2箇所で暗色系領域が検出されて不良品と仮判定され、その後、第2の画像の演算処理においては検査エリアAにおいてのみ暗色系領域が検出された。この場合、第1,第2の画像において検出された暗色系領域の検出位置は一致しないので、識別符号「2」が付されたセラミック基板4は最終的に良品と判定される。
識別符号「17」が付されたセラミック基板4では、第1の画像の演算処理時に、検査エリアAにおいて暗色系領域が検出されて不良品と仮判定され、その後、第2の画像の演算処理においては検査エリアA,Aにおいて暗色系領域が検出された。この場合、第1,第2の画像において検出された暗色系領域の検出位置において、検査エリアAが共通しているため、識別符号「17」が付されたセラミック基板4は最終的に不良品と判定される。
識別符号「23」が付されたセラミック基板4では、第1の画像の演算処理時に、検査エリアAにおいて暗色系領域が検出されて不良品と仮判定され、その後、第2の画像の演算処理では暗色系領域は検出されなかった。この場合、第1,第2の画像において検出された暗色系領域の検出位置は一致しないので、識別符号「23」が付されたセラミック基板4は最終的に良品と判定される。
識別符号「30」が付されたセラミック基板4では、第1の画像の演算処理時に、検査エリアA,Aの2箇所で暗色系領域が検出されて不良品と仮判定され、その後、第2の画像の演算処理においては検査エリアAのみにおいて暗色系領域が検出された。この場合、第1,第2の画像において検出された暗色系領域の検出位置において、検査エリアAが共通しているため、識別符号「30」が付されたセラミック基板4は最終的に不良品と判定される。
識別符号「48」が付されたセラミック基板4では、第1の画像の演算処理時に、検査エリアAにおいて暗色系領域が検出されて不良品と仮判定され、その後、第2の画像の演算処理においては検査エリアAにおいて暗色系領域が検出された。この場合、第1,第2の画像において検出された暗色系領域の検出位置は一致しないので、識別符号「48」が付されたセラミック基板4は最終的に良品と判定される。
【0033】
従って、50個のセラミック基板4において最終的に不良品とされたのは識別番「17」,「30」の2つのセラミック基板4であった。
このように、実施例1に係る外観検査装置1aによれば、作業効率が高くかつ検査精度の高い外観検査装置を提供することができるという効果を有する。
また、個々のセラミック基板4を撮像した画像エリア16において、セラミック基板4の外縁を形成する辺4a〜4aのそれぞれに、各辺4a〜4aの全てを包含した4箇所の検査エリアを設定する場合に比べて、図2(b)に示すように、各辺4a〜4aに対して、セラミック基板4の角を含みながらそれぞれ2箇所ずつ合計8箇所の検査エリアA〜Aを設定した場合の方が、個々のセラミック基板4に対して最終的に誤判定が起こる可能性を小さくすることができる。
【0034】
このことは以下の例を考えると明らかである。
図2(b)に示す画像エリア16内において、例えば、検査エリアA,Aを、検査エリアA,Aを、検査エリアA,Aを、検査エリアA,Aを連結してそれぞれ1つの検査エリアとした場合で、かつ、例えば、第1の画像の演算処理時に検査エリアAにおいて図3(c)に示すような影19に起因する暗色系領域が検出されたものの、実際にはそのセラミック基板4には何ら不良箇所がない場合を想定する。
そして、振動装置7によりそのセラミック基板4に振動を与えた結果、今度はセラミック基板4の角4bが収納ポケット3の内側面3aに近接して、角4bと収納ポケット3の内側面3aとの間に影19が生じた場合、第2の画像を画像処理した際に、検査エリアAにおいて暗色系領域が検出されることになる。
そして、検査エリアAと検査エリアAとを連結して1つの検査エリアと認識させた場合には、第1の画像を演算処理して検出された暗色系領域の検出位置と、第1の画像を演算処理して検出された暗色系領域の検出位置が一致するので、結果として、このセラミック基板4は実質的な不良箇所を有さないにも関わらず不良品として確定してしまうことになり、誤判定が起こってしまう。
【0035】
このように、セラミック基板4の外縁に設定する検査エリアを細かく細分化し、その数を多くすることで、実施例1に係る外観検査装置1aが誤判定を起こす確率を低くすることができる。
その一方で、検査エリアを細かく細分化し、その数を多くすることは、画像の演算処理を煩雑にして外観検査の作業効率を低下させるというデメリットをもたらすため、実施例1に係る外観検査装置1aにおいては、セラミック基板4の外観不良の一要因がセラミック基板4の角4b〜4b近傍に形成されるバリであることから、セラミック基板4の周囲に設定される検査エリアの数を8箇所(検査エリアA〜A)としている。
【0036】
ここで、図4を参照しながら実施例1に係るセラミック基板の外観検査方法について説明する。実施例1に係るセラミック基板の外観検査方法は、上述の実施例1に係る外観検査装置1aによるセラミック基板の外観検査手順を方法の発明として捉えたものである。
図4は本発明の実施例1に係るセラミック基板の外観検査方法の作業手順を示すフローチャートである。なお、図1乃至図3に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図4に示すように、実施例1に係るセラミック基板4の外観検査方法20aにおいては、まず、準備工程として先の図1及び図2に示すようなトレイ2の収納ポケット3内に個別に個片化されたセラミック基板4を収容して(ステップS10)から、搬送装置5によりトレイ2ごとセラミック基板4を撮像装置6aのもとに搬送して、撮像装置6aによりトレイ2を背景にして第1の画像を撮像する(ステップS11)。そして、この第1の画像を画像処理部8に送って演算処理して,個々のセラミック基板4に対して,先の図2(b)に示す画像エリア16内の検査エリアA〜Aに暗色系領域があるか否かを検査して,検査エリアA〜Aのいずれかに暗色系領域が1箇所でも発見されたものは不良品と仮判定する(ステップS12)。また、このとき、検査エリアA〜Aに暗色系領域が発見されなかったセラミック基板4については良品と確定する。
この後、不良品と仮判定されたセラミック基板4と,良品と確定されたセラミック基板4とを両方を載せたトレイ2は搬送装置5により振動装置7のもとに搬送されて、振動装置7によりトレイ2を介して間接的にセラミック基板4に振動が加えられた後(ステップS13)、さらに、撮像装置6bのもとに搬送され、撮像装置6bによりトレイ2を背景にして第2の画像が撮像される(ステップS14)。
そして、ステップ14で撮像された第2の画像は、画像処理部8に送られて演算処理される(ステップS15)。なお、このステップS15では、先のステップS11において不良品と仮判定されたセラミック基板4のみを対象にして画像処理がなされる。
さらに、ステップS15の後の照合・判定工程(ステップS16)では、先のステップS11における第1の画像の演算処理結果と、ステップ14における第2の画像の演算処理結果とが比較・参照され、第1の画像と、第2の画像における暗色系領域の発見エリア(検査エリアA〜A)が共通する場合に、最終的にそのセラミック基板4は不良品と確定される。
なお、ステップS15において確定された判定結果は、例えば、図1に示すモニタ等の出力部15に出力可能としてもよい(ステップS17)。
このような実施例1に係る外観検査方法20aによれば、上述の実施例1に係る外観検査装置1aと同様に、本来良品であるセラミック基板4が不良品と誤判定されるおそれを大幅に低減するとともに、セラミック基板4の外観検査を効率的に実施することができるという効果を有する。
【0037】
なお、実施例1に係る外観検査装置1aにおいては、第1の画像を取得するための撮像装置と、第2の画像を取得するための撮像装置を別々に設けた場合を例に挙げて説明しているが、例えば、撮像装置6aの下で、かつ、搬送装置5の下側に振動装置7を設けることで、第1の画像及び第2の画像を取得するための撮像装置を撮像装置6aのみとすることも可能である。
つまり、本願請求項1及び請求項3記載の発明おいては、第1の画像と第2の画像を区別するために便宜上2つの撮像装置を備える構成となっているが、第1の撮像装置である撮像装置6aと、第2の撮像装置である撮像装置6bを、1台の例えば、CCDカメラ等の撮像装置で担うことも可能である。
このことは、実施例1に係る外観検査方法20aにおいても同様である。
【実施例2】
【0038】
以下に図5を参照しながら、実施例2に係る外観検査装置及び外観検査方法について詳細に説明する。実施例2に係る外観検査装置は、上述の実施例1に係る外観検査装置1a及び外観検査方法20aと同じ技術思想に基づくものであるが、トレイ内のセラミック基板4の収納状態を変化させる手段が実施例1に係る外観検査装置1a及び外観検査方法20aとは異なっている。
より具体的には、実施例1に係る外観検査装置1a及び外観検査方法20aにおいては、第1の画像の撮像後に振動装置7によりセラミック基板4に間接的に振動を与えて、トレイ2の収納ポケット3内におけるセラミック基板4の収納状態に変化させているのに対して、実施例2に係る外観検査装置では、第1の画像の撮像を撮像した後、不良品と仮判定されたセラミック基板4のみを他のトレイに移し替えることでセラミック基板4の収納ポケット3内における収納状態を変化させるという手段を採用している。
このため、実施例2に係る外観検査装置においては、実施例1に係る外観検査装置1aの振動装置7が移動装置に置き換えられるとともに、トレイ2としての第1のトレイ2aに加えて、セラミック基板4を移し替えるための別のトレイとして第2のトレイを備えている。
【0039】
図5は本発明の実施例2に係る外観検査装置の一例を示す概念図である。なお、図1乃至図3に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。ここでは、実施例1に係る外観検査装置1aとの相違点に重点をおいて説明する。
図5に示すように、実施例2に係る外観検査装置1bは、個片化されたセラミック基板4を個別に収納するための断面凹状の収納ポケット3が複数形成された第1のトレイ2aと、この第1のトレイ2aの移動方向における上流側又は下流側に設けられ,第1のトレイ2aから移動されたセラミック基板4を個別に収容するための収納ポケット3を複数備えた第2のトレイ2bと、第1のトレイ2a及び第2のトレイ2bを搬送するための搬送装置5と、第1のトレイ2aに載置されたセラミック基板4をトレイ2を背景にして撮像するための撮像装置6aと、撮像装置6aにより撮像された第1の画像が画像処理された後に、不良品と仮判定されたセラミック基板4を、第1のトレイ2aから第2のトレイ2bに移動させるための移動装置9と、第1のトレイ2aから第2のトレイ2bに移動されたセラミック基板4を第2のトレイ2bを背景にして撮像するための撮像装置6bとを備え、撮像装置6a,6bにおいて撮像された画像を画像処理部8において演算処理してその結果に基づいてセラミック基板4の不良品を抽出するよう構成されるものである。
【0040】
より具体的には、実施例2に係る外観検査装置1bにおいては、個片化されたセラミック基板4を個別に収納した第1のトレイ2aが、ベルトコンベアー等からなる搬送装置5により、トレイ2の移動方向の下流側に設けられる撮像装置6aの下に搬送された際に、まず、第1のトレイ2aを背景にしたセラミック基板4の画像が第1の画像として撮像され、この第1の画像が画像処理部8に送られて演算処理することにより不良品の仮判定を行い、この後、不良品の仮判定がなされたセラミック基板4が、移動装置9により第1のトレイ2aから第2のトレイ2bに移動され、その後、第2のトレイ2bに載せかえられたセラミック基板4は搬送装置5により撮像装置6bのもとに搬送され、撮像装置6bにより第2のトレイ2bを背景にしたセラミック基板4の画像が第2の画像として撮像されるよう構成されている。
さらに、撮像装置6bにより撮像された第2の画像においては、全てのセラミック基板4を(第1の画像の演算処理時に不良品と仮判定されたセラミック基板4の全てを)対象にして再度画像の演算処理がなされ、第1の画像の演算処理結果と、第2の画像の演算処理結果を比較・照合して最終的にそのセラミック基板4に対する不良品か否かの判定が決定される仕組みになっている。
なお、実施例2に係る外観検査装置1bの第1,第2のトレイ2a,2bは、図2に示す実施例1に係るトレイ2と同じ構造である。
【0041】
また、実施例2に係る外観検査装置1bにおける移動装置9は、例えば、アーム部9aと吸着部9bからなり、第1のトレイ2aから不良品と仮判定されたセラミック基板4を個別に第2のトレイ2bに搬送可能に構成されてもよいし、吸着部9bは第1のトレイ2aから不良品と仮判定されたセラミック基板4の全てを同時に吸着保持して第2のトレイ2bに搬送できるよう構成してもよい。
このため、実施例2に係る外観検査装置1bにおいては、画像処理部8における第1の画像の演算処理に伴う不良品の仮判定に関するデータを、移動装置9に送信可能に構成しておく必要がある。
なお、上述の実施例2に係る外観検査装置1bにおいて、第1,第2の画像における検査エリアの設定方法,及び,第1,第2の画像の演算処理結果に基づいて不良品を判定する手順については実施例1に係る外観検査装置1aと同じであるためここでは詳細な説明は省略する。
【0042】
先に述べた実施例1に係る外観検査装置1aにおいては、トレイ2の収納ポケット3自体に、例えば、暗色系の汚れが付着していたり、傷ができる等の理由により不具合がある場合、セラミック基板4には何ら不具合がなくとも、第1,第2の画像処理時に、同じ検査エリアに暗色系領域が検出されてしまい、誤判定が起こってしまう。そして、このような不具合は、セラミック基板4に振動を与えて収納ポケット3内における収容状態に変化を与えただけでは解決することができない。
そこで、実施例2に係る外観検査装置1bにおいては、このような課題を解決するために、第1のトレイ2a自体に不具合がある場合に誤判定が起こるのを防止するために、第1の画像を撮像する際に用いるトレイを取り替えるという手段を採用している。
従って、実施例2に係る外観検査装置1bは、実施例1に係る外観検査装置1aと同じ効果に加えて、セラミック基板4を載置・収容するためのトレイ2a自体の不具合による誤判定の発生を防止することができる。
【0043】
ここで、実施例2に係るセラミック基板4の外観検査方法について図6を参照しながら説明する。ここでは、図4に示す実施例1に係るセラミック基板の外観検査方法20aとの相違点に重点をおいて説明する。
図6は本発明の実施例2に係るセラミック基板の外観検査方法の作業手順を示すフローチャートである。なお、図1乃至図5に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図6に示すように、実施例2に係るセラミック基板4の外観検査方法20bにおいては、まず、実施例1に係る外観検査方法20aの場合と同様に準備工程として、第1のトレイ2a(図2(a)を参照)の収納ポケット3内に個別に個片化されたセラミック基板4を収容して(ステップS20)から、搬送装置5により第1のトレイ2aに載置・収容セラミック基板4を撮像装置6aのもとに搬送して、撮像装置6aによりトレイ2aを背景にして第1の画像を撮像する(ステップS21)。
そして、この第1の画像を画像処理部8に送って演算処理して,個々のセラミック基板4に対して,先の図2(b)に示す画像エリア16内の検査エリアA〜Aに暗色系領域があるか否かを検査して,検査エリアA〜Aのいずれかに暗色系領域が1箇所でも発見されたものは不良品と仮判定する(ステップS22)。また、このとき、検査エリアA〜Aに暗色系領域が発見されなかったセラミック基板4については良品と確定する。
【0044】
この後、不良品と仮判定されたセラミック基板4を移動装置9により個別に又は一括で第1のトレイ2aの近傍に設けられる第2のトレイ2bに移動して(ステップS23)、第2のトレイ2bに移動されたセラミック基板4を搬送装置5により撮像装置6bのもとに搬送する。
そして、撮像装置6bにより第2のトレイ2bを背景にして不良品と仮判定されたセラミック基板4の画像が撮像されることにより第2の画像が取得される(ステップS24)。
そして、ステップ24において撮像された第2の画像は、画像処理部8に送られて演算処理される(ステップS25)。なお、このステップS25では、第2のトレイ2bに載置される全てのセラミック基板4の画像が演算処理の対象となるが、これらは全てステップS21において不良品と仮判定されたものであるため、実施例2に係る外観検査方法20bにおけるステップS24と、実施例1に係る外観検査方法20aにおけるステップS14とは実質的に同じである。
さらに、ステップS25の後の照合・判定工程(ステップS26)では、先のステップS21における第1の画像の演算処理結果と、ステップ25における第2の画像の演算処理結果とが比較・照合され、第1の画像と、第2の画像における暗色系領域の発見エリア(検査エリアA〜A)が共通する場合、最終的にそのセラミック基板4は不良品と確定される。
なお、ステップS25において確定された判定結果は、例えば、図2に示すモニタ等の出力部15に出力可能としてもよい(ステップS27)。
このような実施例2に係る外観検査方法20bによれば、先の実施例1に係る外観検査方法20aと同じ効果に加えて、第1のトレイ2a自体の不具合に起因するセラミック基板4の誤判定を防止することができるという効果を有する。
【0045】
なお、実施例2に係る外観検査装置1bにおいては、第1の画像を取得するための撮像装置と、第2の画像を取得するための撮像装置を別々に設けた場合を例に挙げて説明しているが、例えば、第1のトレイ2aから第2のトレイ2bに移し替える工程を別のレーンで行ない、第2のトレイ2bに移し替えられたセラミック基板4を再び撮像装置6aのもとに搬送するよう構成すれば、第1の画像及び第2の画像を取得するための撮像装置を撮像装置6aのみとすることができる。
つまり、本願請求項2及び請求項4記載の発明においては、第1の画像と第2の画像を区別するために便宜上2つの撮像装置を備える構成となっているが、第1の撮像装置である撮像装置6aと、第2の撮像装置である撮像装置6bを、1台の例えば、CCDカメラ等の撮像装置で担うことも可能である。このことは、実施例2に係る外観検査方法20bにおいても同様である。
また、実施例2に係る外観検査装置1b及び外観検査方法20bにおいては、移動装置9を備える場合を例に挙げて説明しているが、必ずしも移動装置9を設ける必要はなく、第1のトレイ2aから第2のトレイ2bへの移動作業を例えば、人手によって行なってもよい。
【0046】
なお、上述の実施例1,実施例2に係る発明においては、トレイ2や、第1のトレイ2a,第2のトレイ2bの垂直断面において、収納ポケット3の内側面3aをその底面に向うにつれて縮径するよう構成することで(図1及び図5を参照)、収納ポケット3の内側面3aにセラミック基板4が近接した際に、その隙間に影19をでき難くすることができる。
この場合、収納ポケット3の内側面3aは必ずしも、先の図1や図5に示すような傾斜面を形成する必要はなく、収納ポケット3の底面から開口部に向って凸状の曲面を成すように構成してもよい。この場合も、収納ポケット3の内側面3aにセラミック基板4が近接した際に、その隙間に影19をでき難くすることができる。
【実施例3】
【0047】
最後に本発明の実施例3に係る外観検査システム及び外観検査プログラムについて図7及び図8を参照しながら説明する。上述の実施例1及び実施例2に係る外観検査方法20a,20bは、外観検査システム又は外観検査プログラムとしても捉えることができる。
図7は本発明の実施例3に係る外観検査システムのシステム構成図である。なお、図1乃至図3に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
実施例3に係る外観検査システム10は、大きくいうと、撮像部11、演算処理部13、照合・判定部14、出力部15、そして演算処理部13における演算処理結果を一時的に記憶するための第1のメモリ12a及び第2のメモリ12bから構成されている。
実施例3に係る外観検査システムにおける撮像部11は、先の実施例1,2に係る撮像装置6a,6bであり、トレイ2や,第1のトレイ2a又は第2のトレイ2bを背景に撮像された第1の画像,あるいは,第2の画像の電子データを取得するためのものである。
この撮像部11から入力される第1,第2の画像の電子データは、図7中に矢印で示されるように演算処理部13へと送られる。
【0048】
この演算処理部13においては、先の実施例1において説明したように、個々のセラミック基板4に対してそれぞれ画像エリア16が認識され、さらに、画像エリア16において検査エリアA〜Aがそれぞれ認識されて、この検査エリアA〜A内に,セラミック基板4の不良箇所の存在を意味する,暗色系領域があるか否かが検索される。
そして、第1の画像の演算処理時に、検査エリアA〜A内に暗色系領域の存在が認められた場合には、そのセラミック基板4の識別符号と暗色系領域の発見エリアに関する情報(検査エリアA〜A)とが併せてデータとして第1のメモリ12aに、また、第2の画像の演算処理時に、検査エリアA〜A内に暗色系領域の存在が認められた場合には、そのセラミック基板4の識別符号と暗色系領域の発見エリアに関する情報(検査エリアA〜A)とが併せてデータとして第2のメモリ12bに格納される。
【0049】
なお、撮像部11(撮像装置6a)において、第1の画像が撮像された後、撮像部11(撮像装置6b)において第2の画像が撮像されるまでの間に、トレイ2又は第1のトレイ2aに載置・収納されるセラミック基板4に対してその収納状態に変化が加えられる。より具体的には、実施例1の場合はトレイ2に振動装置7により振動が加えられ、実施例2の場合は不良品と仮判定されたセラミック基板4が移動装置9により第1のトレイ2aから第2のトレイ2bに移動される。
また、特に実施例2の場合は、第1のトレイ2aから第2のトレイ2bに移動した場合、第1のトレイ2aに載置した際のセラミック基板4の識別符号をそのまま用いても良いし、第2のトレイ2bに不良品と仮判定されたセラミック基板4を載置した際に先の識別符号とは別に新たな識別符号を付与して、旧・新両方の識別符号とともに、暗色系領域の発見エリアに関する情報(検査エリアA〜A)を第2のメモリ12bに格納してもよい。この場合、第1のメモリ12aに格納されるセラミック基板4のデータと、第2のメモリ12bに格納されるセラミック基板4のデータとを確実に結びつけることができれば、セラミック基板4への識別符号の付与の仕方については特に問題としない。
【0050】
そして、照合・判定部14においては、第1のメモリ12a及び第2のメモリ12bのそれぞれから、不良品と仮判定されたセラミック基板4の暗色系領域の発見エリアに関する位置情報データが読み出されて、これらを互いに照合して、個々のセラミック基板4に対して、暗色系領域の発見エリアに関するデータが一致したものについては不良品と確定する。
さらに、照合・判定部14における判定結果については、出力部15に出力して確認可能としてもよい。
なお、第1のメモリ12aと第2のメモリ12bは、便宜上分けて記載したが、これらは1つのメモリとして、それぞれに格納されるべきデータを格納してもよい。
【0051】
ここで、実施例3に係る外観検査システム10に関する説明を止めて、図8を参照しながら実施例3に係る外観検査プログラムについて説明する。これまで図7を参照しながら説明した外観検査システム10は、システム発明であるが図7に示されるシステムを汎用のコンピュータと捉え、これを動作させる動作させるプログラムとして図8に示すフローチャートの工程を実行させることを考えるものである。
図8は本発明の実施例3に係る外観検査プログラムの流れを示すフローチャートである。図8において点線で囲んだ部分はそれぞれ図7の外観検査システム10の構成要素を示すものであり、図7に示す構成要素と同一の構成要素については同一の符号を付している。
実施例3に係る外観検査プログラム21における最初の工程は、ステップS1で示される第1の画像の撮像工程である。このステップS1では、トレイ2や,第1のトレイ2aを背景にしたセラミック基板4の画像が電子データとして得られる。
【0052】
続くステップS2は、演算処理工程である。この工程では、ステップS1において得られた第1の画像における個々のセラミック基板4について、まず、画像エリア16が認識され、さらに、この画像エリア16内において検査エリアA〜Aが認識されて、個々の検査エリアA〜Aについて暗色系領域があるか否かについて検索される。そして、検査エリアA〜Aに暗色系領域が発見された場合には、そのセラミック基板4は不良品と仮判定され、セラミック基板4の識別符号とともに暗色系領域の発見エリアに関する情報が第1のメモリ12aに一時的に記憶される。
そして、このステップS2の後のステップS3は、トレイ2や、第1のトレイ2aに載置されるセラミック基板4に対して、収納ポケット3内における収容状態に変化が加えられる工程である。より具体的には、トレイ2の外部から振動装置7により振動が加えられたり(図1を参照)、第1のトレイ2aから第2のトレイ2bに、例えば、移動装置9によりセラミック基板4が移動される(図5を参照)。
【0053】
さらに、ステップS4は、振動が加えられた後のセラミック基板4を、トレイ2を背景にして撮像装置6bにより第2の画像を撮像して電子データを得る工程、又は、第1のトレイ2aから第2のトレイ2bに移動されたセラミック基板4を,第2のトレイ2bを背景にして撮像装置6bにより第2の画像を撮像して電子データを得る工程である。
続くステップS5は、ステップ4において得られた第2の画像を、演算処理してセラミック基板4の外縁に暗色系領域があるか否かを検査する工程である。このステップS5で、演算処理の対象となるのは、先のステップS3において不良品と仮判定されたセラミック基板4のみである。また、ステップ5において得られた検査結果は、セラミック基板4の識別符号とともに第2のメモリ12bに一時的に記憶される。
そして、ステップS6では、第1のメモリ12a及び第2のメモリ12bから、不良品と仮判定されたセラミック基板4に関するデータをそれぞれ読み出し、これらを互いに比較・照合して、暗色系領域が発見された検査エリアA〜Aが共通している場合に、最終的にそのセラミック基板4を不良品と確定させる工程である。
このステップS6の後にステップS7として、ステップS6の演算結果を出力部15に出力する工程を設けてもよい。
【0054】
このような実施例3に係る外観検査システム10及び外観検査プログラム21によれば、実施例1又は実施例2に係る外観検査方法20a,外観検査方法20bと同様の効果が期待できる。
なお、実施例3に係る外観検査システム10及び外観検査プログラム21においては、撮像部11を2台の撮像装置6a,6bにより構成する場合を例に挙げているが、第1の画像及び第2の画像を撮像するための撮像装置を1台で兼ねてもよい。
【実施例4】
【0055】
本発明の実施例4に係る外観検査装置について図9を参照しながら説明する。
図9は本発明の実施例4に係る外観検査装置の一例を示す概念図である。なお、図1乃至図8に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
実施例4に係る外観検査装置1cは、先の実施例1に係る外観検査装置1aにおける搬送装置5を用いることなく、かつ、撮像装置を一台のみ用いることで、外観検査装置1aと同等の効果を有するものである。
図9に示すように、実施例4に係る外観検査装置1cは、載置台24上に、セラミック基板4を収納ポケット3に収容したトレイ2が載置され、トレイ2の鉛直上方に撮像装置6が配設され、撮像装置6において撮像された第1の画像及び第2の画像が、画像処理部8に送られ、そこで全てのセラミック基板4についてその外縁部に暗色系領域として検出される不良箇所があるか否かが演算処理により検査され、その結果に基づいて不良品の仮判定を行なうよう構成されるものである。
【0056】
また、画像処理部8における演算処理結果については、画像処理部8に接続される出力部15に出力可能としてもよい。
さらに、実施例4に係る外観検査装置1cは、載置台24に振動付与手段23を備えており、載置台24において撮像装置6による第1の画像の撮像を修了した後、振動付与手段23により載置台24に振動を加えてトレイ2内に収容されるセラミック基板4に間接的に振動が加えられるよう構成されている。
そして、セラミック基板4に振動を加えた後、再び、撮像装置6によりトレイ2内に収容されるセラミック基板4を、トレイ2を背景にして撮像することで第2の画像が取得される。
なお、第1及び第2の画像を演算処理して、セラミック基板4の不良品の仮判定を行なう手順については先の実施例1に記載される通りである。
また、実施例4に係る外観検査装置1cでは、セラミック基板4を収容したトレイ2の載置台24への搬送を、例えば、ロボットアーム等の移動手段22a,22bを用いて行なっても良いし、人手によって行なってもよい。
【0057】
このような実施例4に係る外観検査装置1cは、実施例1に係る外観検査装置1aと同じ効果を有する。
また、実施例1に係る外観検査装置1aに比べて、実施例4に係る外観検査装置1cでは、必ずしも搬送装置5を設ける必要がなく、しかも、撮像装置6を1台のみとすることができるので、外観検査装置1cをコンパクトにすることができる。
なお、実施例4に係る外観検査方法は、実施例1に係る外観検査方法20aと同じであるのでここでは、その構成、作用、効果に関する説明は省略する。
【0058】
また、上述の実施例4に係る外観検査装置1cにおいて、載置台24上に実施例2に係る外観検査装置1bの第1のトレイ2a及び第2のトレイ2bを載置して、1台の撮像装置6により第1の画像と第2の画像の撮像を行なうよう構成してもよい。この場合、第1のトレイ2aから第2のトレイ2bへのセラミック基板4の移動は、例えば、ロボットアーム等の搬送装置を用いてもよいし、人手によって行なってもよい。
このような実施例4の変形例に係る外観検査装置によれば、実施例2に係る外観検査装置1bと同じ効果を発揮させることができる。また、実施例2に係る外観検査装置1bに比べて、搬送装置5を設ける必要がなく、しかも、撮像装置6を1台のみとすることができるので外観検査装置をコンパクトにすることができる。
なお、実施例4の変形例に係る外観検査方法は、実施例2に係る外観検査方法20bと同じであるのでここでは、その構成、作用、効果に関する説明は省略する。
【0059】
また、上述の実施例1,2,4記載の外観検査装置1a〜1c、及び、実施例1,2に係る外観検査方法20a,20b、及び、実施例3に係る外観検査システム10及び外観検査プログラム21においては、第2の画像の演算処理時において、被検査対象のセラミック基板4の画像エリア16における検査エリアA〜Aの全てにおいて暗色系領域の有無の検出作業を行う場合を例に挙げて説明しているが、第2の画像の演算処理では、第1の画像の演算処理時に暗色領域が確認された検査エリアA〜Aのみを演算処理の対象としてもよい。
この場合、第2の画像の演算処理にかかる時間を短縮して、外観検査作業にかかる時間を短縮することができるという効果を有する。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上説明したように、本発明はセラミック基板の外観検査における誤判定を防止するとともに、外観検査の作業効率を向上することのできる外観検査装置、外観検査方法、外観検査システム、外観検査プログラムに関するものであり、電子部品の製造分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0061】
1a〜1c…外観検査装置 2…トレイ 2a…第1のトレイ 2b…第2のトレイ 3…収納ポケット 3a…内側面 4…セラミック基板 4a〜4a…辺(外縁) 4b〜4b…角 5…搬送装置 6a,6b…撮像装置 7…振動装置 8…画像処理部 9…搬送装置 9a…アーム部 9b…吸着部 10…外観検査システム 11…撮像部 12a…第1のメモリ 12b…第2のメモリ 13…演算処理部 14…照合部・判定部 15…出力部 16…画像エリア 17…バリ 18…ゴミ 19…影 20a,20b…外観検査方法 21…外観検査プログラム 22a,22b…移動手段 23…振動付与手段 24…載置台 A〜A…検査エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
短冊状のセラミックシートから分割されて個片化されたセラミック基板の外観を検査するための外観検査装置であって、
この外観検査装置は、前記セラミック基板を個別に収容するための断面凹状の収納ポケットを複数備えたトレイと、
前記セラミック基板を,前記トレイを背景にして撮像した第1の画像を得るための第1の撮像装置と、
前記トレイに振動を加えるための振動装置と、
前記振動装置により振動が加えられた後に,前記セラミック基板を,前記トレイを背景にして撮像した第2の画像を得るための第2の撮像装置と、
前記第1及び第2の画像を演算処理するための画像処理部と、を有し、
前記セラミック基板は前記トレイの前記収納ポケットが形成される面よりも暗色系であり、
前記第1の画像の画像処理においては、前記トレイに収容される全ての前記セラミック基板について,その辺の角を含む外縁の外の領域に,前記外縁に接触して形成される暗色系領域があるか否かが検査され、前記暗色系領域が検出された場合、不良品と仮判定され,
前記第2の画像の画像処理においては、前記第1の画像の画像処理において前記暗色系領域が検出された前記セラミック基板のみを対象とし,対象となる前記セラミック基板について、前記外縁に接触して形成される暗色系領域があるか否かが検査され、前記暗色系領域が検出された場合、
前記第1の画像の画像処理時に検出された前記暗色系領域の発見エリアに関する前記位置座標データと、前記第2の画像の画像処理時に検出された前記暗色系領域の発見エリアに関する前記位置座標データとが一致した場合に、前記セラミック基板は不良品と確定されることを特徴とする外観検査装置。
【請求項2】
短冊状のセラミックシートから分割されて個片化されたセラミック基板の外観を検査するための外観検査装置であって、
この外観検査装置は、前記セラミック基板を個別に収容するための断面凹状の収納ポケットを複数備えた第1のトレイと、
前記第1のトレイから移動された前記セラミック基板を個別に収容するための断面凹状の収納ポケットを複数備えた第2のトレイと、
前記セラミック基板を前記第1のトレイを背景にして撮像した第1の画像を得るための第1の撮像装置と、
前記第1の画像が画像処理された際に不良品と仮判定され,前記第1のトレイから前記第2のトレイに移動された前記セラミック基板を,前記第2のトレイを背景にして撮像した第2の画像を得るための第2の撮像装置と、
前記第1及び第2の画像を演算処理するための画像処理部と、を有し、
前記セラミック基板は前記第1及び第2のトレイの前記収納ポケットが形成される面よりも暗色系であり、
前記第1の画像の画像処理においては、前記第1のトレイに収容される全ての前記セラミック基板について,その辺の角を含む外縁の外の領域に,前記外縁に接触して形成される暗色系領域があるか否かが検査され、前記暗色系領域が検出された場合、不良品と仮判定され,
前記第2の画像の画像処理においては、前記第1のトレイから前記第2のトレイに移動された全ての前記セラミック基板について、前記外縁に接触して形成される暗色系領域があるか否かが検査され、前記暗色系領域が検出された場合、
前記第1の画像の画像処理時に検出された前記暗色系領域の発見エリアに関する前記位置座標データと、前記第2の画像の画像処理時に検出された前記暗色系領域の発見エリアに関する前記位置座標データとが一致した場合に、その前記セラミック基板は不良品と確定されることを特徴とする外観検査装置。
【請求項3】
短冊状のセラミックシートから分割されて個片化されたセラミック基板の外観を検査するための外観検査方法であって、
断面凹状の収納ポケットを複数備えたトレイに前記セラミック基板を個別に収容する第1の工程と、
この第1の工程の後に、前記セラミック基板を,前記トレイを背景にして第1の撮像装置により撮像して第1の画像を得る第2の工程と、
この第2の工程の後に、前記第1の画像を画像処理部において演算処理して,不良品の仮判定を行う第3の工程と、
この第3の工程の後に、振動装置により前記セラミック基板に前記トレイごと振動を加える第4の工程と、
この第4の工程の後に、前記セラミック基板を,前記トレイを背景にして第2の撮像装置により撮像して第2の画像を得る第5の工程と、
この第5の工程の後に、前記第2の画像を画像処理部において演算処理して,不良箇所の抽出を行う第6の工程と、を有し、
前記セラミック基板は前記トレイの前記収納ポケットが形成される面よりも暗色系であり、
前記第3の工程においては、前記トレイに収容される全ての前記セラミック基板について,その辺の角を含む外縁の外の領域に,前記外縁に接触して形成される暗色系領域があるか否かが検査され、前記暗色系領域が検出された場合、不良品と仮判定され,
前記第6の工程においては、前記第3の工程において不良品と仮判定された前記セラミック基板のみを対象とし,対象となる前記セラミック基板について,前記外縁に接触して形成される暗色系領域が存在するか否かが検査され、前記暗色系領域が検出された場合、
前記第3の工程において記憶された前記暗色系領域の発見エリアに関する前記位置座標データと、前記第6の工程において記憶された前記暗色系領域の発見エリアに関する前記位置座標データとが一致した場合に、その前記セラミック基板は不良品と確定されることを特徴とする外観検査方法。
【請求項4】
短冊状のセラミックシートから分割されて個片化されたセラミック基板の外観を検査するための外観検査方法であって、
断面凹状の収納ポケットを複数備えた第1のトレイに前記セラミック基板を個別に収容する第1の工程と、
この第1の工程の後に、前記セラミック基板を,前記第1のトレイを背景にして第1の撮像装置により撮像して第1の画像を得る第2の工程と、
この第2の工程の後に、前記第1の画像を画像処理部において演算処理して,不良品の仮判定を行う第3の工程と、
この第3の工程の後に、前記第3の工程において不良品と仮判定された前記セラミック基板を断面凹状の収納ポケットを複数備えた第2のトレイに移動させる第4の工程と、
この第4の工程の後に、前記セラミック基板を,前記第2のトレイを背景にして第2の撮像装置により撮像して第2の画像を得る第5の工程と、
この第5の工程の後に、前記第2の画像を画像処理部において演算処理して,不良箇所の抽出を行う第6の工程と、を有し、
前記セラミック基板は前記第1及び第2のトレイの前記収納ポケットが形成される面よりも暗色系であり、
前記第3の工程においては、前記第1のトレイに収容される全ての前記セラミック基板について,その辺の角を含む外縁の外の領域に,前記外縁に接触して形成される暗色系領域があるか否かが検査され、前記暗色系領域が検出された場合、不良品と仮判定され,
前記第6の工程においては、前記第2のトレイに収容される全ての前記セラミック基板について,前記外縁に接触して形成される暗色系領域が存在するか否かが検査され、前記暗色系領域が検出された場合、
前記第3の工程において取得された前記暗色系領域の発見エリアに関する前記位置座標データと、前記第6の工程において取得された前記暗色系領域の発見エリアに関する前記位置座標データとが一致した場合に、その前記セラミック基板は不良品と確定されることを特徴とする外観検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−220738(P2011−220738A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87932(P2010−87932)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【出願人】(391039896)株式会社住友金属エレクトロデバイス (276)
【Fターム(参考)】