説明

外観検査装置及び外観検査方法

【課題】被検査対象の外観検査時間を短縮し、さらに、画像を保存するためのメモリ容量を低減する。
【解決手段】被検査対象の外観の合否を判定する外観検査装置101において、被検査対象50または60を撮像する複数のカメラ160a及び160bと、被検査対象の画像に基づいて、被検査対象の外観の合否を判定する検査処理部230と、複数のカメラと検査処理部との間に設けられ、かつ、合成画像出力モード及び非合成画像出力モードのいずれか一方を行うイメージ合成/非合成部220とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板等の被検査対象の外観を検査する外観検査装置、及び外観検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被検査対象の外観を検査する外観検査装置は、例えば、複数のカメラと、画像処理部と、検査処理部とを有する構成となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
複数のカメラは、被検査対象の画像(以下、「撮像画像」と称する)を撮像するための構成要素である。複数のカメラは、それぞれ、例えば、レンズとラインセンサとを備えたラインセンサカメラとして、構成されている。複数のカメラは、各カメラの視野が隣接するカメラの視野と若干重なるように、撮像ラインに沿って、一列に配置されている。各カメラのレンズは、撮像ラインに沿って、被検査対象の表面で反射した光(以下、「反射光」と称する)をラインセンサに結像する。そして、各カメラのラインセンサは、レンズによって結像された反射光を光電変換して撮像信号を取得する。これにより、各カメラは、被検査対象の表面上を走査して、被検査対象を撮像する。このとき、各カメラは、自身が撮像した撮像画像の一部が隣接するカメラによって撮像された撮像画像の一部と重複するように、すなわち、被検査対象以外の不要な部分が写るように、被検査対象を撮像する。
【0004】
画像処理部は、複数のカメラによって撮像された複数枚の撮像画像を合成して一枚の合成画像を作成するための構成要素である。画像処理部は、CPUとRAMによって構成されている。画像処理部は、被検査対象の複数枚の撮像画像に対して、予め定められた補正処理、例えば、複数枚の撮像画像の中の一枚に対して、隣接するカメラによって撮像された撮像画像と重複する部分の画素を削除して補正画像を作成し、この補正画像を隣接するカメラによって撮像された撮像画像と合成することにより、一枚の合成画像を作成する。
【0005】
検査処理部は、合成画像に基づいて、被検査対象の外観の合否を判定するための構成要素である。検査処理部は、CPUとRAMによって構成されている。検査処理部は、画像処理部によって作成された合成画像に対して、予め定められた合否判定基準を参照して、当該合成画像に写っている被検査対象が合否判定基準を満たすか否かを判定する。これによって、検査処理部は、被検査対象の外観の合否を判定する。
【0006】
上述の通り、特許文献1に開示の従来の外観検査装置は、被検査対象の外観の合否を判定するために、合成画像を作成している。
【0007】
このとき、従来の外観検査装置は、被検査対象のサイズの大小に関係なく、常に、被検査対象以外の不要な部分が各撮像画像に写るように、複数のカメラが被検査対象を撮像し、さらに、画像処理部が、あるカメラが撮像した一枚の撮像画像に対して、このカメラに隣接するカメラによって撮像された一枚の撮像画像(以下、「隣接撮像画像」と称する)と重複する部分の画素を削除して補正画像を作成し、この補正画像を隣接撮像画像と合成することにより、一枚の合成画像を作成していた。
【特許文献1】特開2004−226128号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の従来の外観検査装置は、被検査対象のサイズの大小に関係なく、常に、被検査対象以外の不要な部分が各撮像画像に写るように、複数のカメラが被検査対象を撮像しているため、撮像画像の補正処理及び補正画像と撮像画像の合成処理に時間が掛かるという課題があった。
【0009】
また、上述の従来の外観検査装置は、複数のカメラによって撮像された複数枚の撮像画像と補正画像と合成画像とを保存するためのメモリ容量を確保する必要があるという課題があった。
【0010】
また、上述の従来の外観検査装置は、各撮像画像が被検査対象以外の不要な部分を含んでいるため、不要な部分の画像分だけ余分に、撮像画像を保存するための無駄なメモリ容量を確保する必要があるという課題があった。
【0011】
この発明の目的は、このような課題を解決するために、被検査対象のサイズに応じて、合成画像を作成することなく、単一のカメラによって撮像された撮像画像に基づいて、被検査対象の外観を検査することができる外観検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の課題を解決するために、この発明に係る外観検査装置は、複数のカメラ、検査処理部、及びイメージ合成/非合成部を有している。
【0013】
複数のカメラは、被検査対象を撮像するための構成要素である。
【0014】
検査処理部は、カメラによって撮像された被検査対象の撮像画像に基づいて、被検査対象の外観の合否を判定するための構成要素である。
【0015】
イメージ合成/非合成部は、複数のカメラによって撮像された被検査対象の複数枚の撮像画像を合成して一枚の合成画像を作成して、この合成画像を検査処理部に出力するモードを合成画像出力モードとし、及びそのような合成画像を作成せずに、単一のカメラによって撮像された被検査対象の一枚の撮像画像を検査処理部に出力するモードを非合成画像出力モードとする場合に、複数のカメラから被検査対象の複数枚の撮像画像を取得して、被検査対象のサイズに応じて、合成画像出力モード及び非合成画像出力モードのいずれか一方を行うための構成要素である。
【0016】
このような外観検査装置によれば、被検査対象のサイズに応じて、合成画像出力モード及び非合成画像出力モードのいずれか一方を選択して実行することができる。
【0017】
なお、この外観検査装置は、好ましくは、イメージ合成/非合成部は、被検査対象のサイズが単一のカメラの視野より大きい場合に、合成画像出力モードを行って被検査対象の合成画像を検査処理部に出力し、及び、被検査対象のサイズが単一のカメラの視野以下の場合に、非合成画像出力モードを行って被検査対象の撮像画像を検査処理部に出力するとよい。このような外観検査装置によれば、被検査対象のサイズがカメラの視野以下の場合に、非合成画像出力モードを選択して実行することができる。
【0018】
また、この外観検査装置は、好ましくは、検査処理部は、複数のカメラに対応して複数設けられており、イメージ合成/非合成部は、被検査対象のサイズが単一のカメラの視野以下の場合に、それぞれのカメラによって撮像された被検査対象のそれぞれの撮像画像を、それぞれのカメラに対応するそれぞれの検査処理部に出力し、及び複数の検査処理部は、それぞれ、対応するカメラによって撮像された被検査対象の撮像画像に基づいて、他の検査処理部と並行して被検査対象の外観の合否を判定するとよい。このような外観検査装置によれば、被検査対象のサイズがカメラの視野以下の場合に、各検査処理部が、複数のカメラによって撮像された被検査対象のそれぞれの撮像画像に基づいて、他の検査処理部と並行して被検査対象の外観の合否を判定することができる。
【0019】
また、この外観検査装置は、好ましくは、さらに、被検査対象をカメラの撮像位置に搬送するためのテーブルを有し、テーブルは、被検査対象のサイズを測定するための被検査対象サイズ測定センサを備えており、及びイメージ合成/非合成部は、テーブルの被検査対象サイズ測定センサによって測定された被検査対象のサイズに応じて、合成画像出力モード及び非合成画像出力モードのいずれか一方を行うとよい。このような外観検査装置によれば、テーブルの被検査対象サイズ測定センサによって測定された被検査対象のサイズに応じて、合成画像出力モード及び非合成画像出力モードのいずれか一方を選択して実行することができる。
【0020】
この発明に係る外観検査方法は、撮像ステップと、画像処理ステップと、検査処理ステップとを含む。
【0021】
撮像ステップにおいて、複数のカメラが被検査対象を撮像する。
【0022】
画像処理ステップでは、イメージ合成/非合成部が、複数のカメラによって撮像された被検査対象の複数枚の撮像画像を合成して一枚の合成画像を作成して、合成画像を検査処理部に出力するモードを合成画像出力モードとし、及び合成画像を作成せずに、単一のカメラによって撮像された被検査対象の一枚の撮像画像を検査処理部に出力するモードを非合成画像出力モードとする場合に、イメージ合成/非合成部が、複数のカメラから被検査対象の複数枚の撮像画像を取得して、被検査対象のサイズに応じて、合成画像出力モード及び非合成画像出力モードのいずれか一方を行う。
【0023】
検査処理ステップでは、検査処理部が、イメージ合成/非合成部から出力された被検査対象の画像に基づいて、被検査対象の外観の合否を判定する。このような外観検査方法によれば、被検査対象のサイズに応じて、合成画像出力モード及び非合成画像出力モードのいずれか一方を選択して実行することができる。
【0024】
なお、この外観検査方法は、好ましくは、画像処理ステップで、イメージ合成/非合成部は、被検査対象のサイズが単一のカメラの視野より大きい場合に、合成画像出力モードを行って被検査対象の合成画像を検査処理部に出力し、及び、被検査対象のサイズが単一のカメラの視野以下の場合に、非合成画像出力モードを行って被検査対象の撮像画像を検査処理部に出力するとよい。このような外観検査方法によれば、被検査対象のサイズがカメラの視野以下の場合に、非合成画像出力モードを選択して実行することができる。
【0025】
また、この外観検査方法は、好ましくは、検査処理部は、複数のカメラに対応して複数設けられており、画像処理ステップで、イメージ合成/非合成部は、被検査対象のサイズが単一のカメラの視野以下の場合に、それぞれのカメラによって撮像された被検査対象のそれぞれの撮像画像を、それぞれのカメラに対応するそれぞれの検査処理部に出力し、及び、検査処理ステップで、複数の検査処理部は、それぞれ、対応するカメラによって撮像された被検査対象の撮像画像に基づいて、他の検査処理部と並行して被検査対象の外観の合否を判定するとよい。このような外観検査方法によれば、被検査対象のサイズがカメラの視野以下の場合に、各検査処理部が、複数のカメラによって撮像された被検査対象のそれぞれの撮像画像に基づいて、他の検査処理部と並行して被検査対象の外観の合否を判定することができる。
【0026】
また、この外観検査方法は、好ましくは、さらに、被検査対象をカメラの撮像位置に搬送するテーブルを有し、テーブルは、被検査対象のサイズを測定するための被検査対象サイズ測定センサを備えており、画像処理ステップで、イメージ合成/非合成部は、テーブルの被検査対象サイズ測定センサによって測定された被検査対象のサイズに応じて、合成画像出力モード及び非合成画像出力モードのいずれか一方を行うとよい。このような外観検査方法によれば、テーブルの被検査対象サイズ測定センサによって測定された被検査対象のサイズに応じて、合成画像出力モード及び非合成画像出力モードのいずれか一方を選択して実行することができる。
【発明の効果】
【0027】
この発明に係る外観検査装置及び外観検査方法によれば、被検査対象のサイズに応じて、合成画像出力モード及び非合成画像出力モードのいずれか一方を選択して実行する。
【0028】
したがって、この装置及び方法によれば、例えば、被検査対象のサイズが単一のカメラの視野以下の場合に、非合成画像出力モードを選択して実行することにより、被検査対象の合成画像を作成せずに、単一のカメラによって撮像された被検査対象の撮像画像に基づいて、被検査対象の外観の合否を判定することになる。
【0029】
そのため、この装置及び方法によれば、例えば、被検査対象のサイズが単一のカメラの視野以下の場合に、各撮像画像の補正処理及び各補正画像の合成処理を排除することができるので、従来よりも、撮像画像の補正処理及び補正画像と撮像画像の合成処理に掛かっていた時間だけ、検査時間を短縮することができるという効果を有する。
【0030】
また、この装置及び方法によれば、例えば、被検査対象のサイズが単一のカメラの視野以下の場合に、メモリに保存する画像は一枚の撮像画像だけでよい。しかも、このメモリに保存する撮像画像は、被検査対象以外の不要な部分、すなわち、隣接するカメラによって撮像された撮像画像との重複部分を含まなくてよい。
【0031】
したがって、この装置及び方法によれば、従来のように、複数のカメラによって撮像された複数枚の撮像画像と補正画像と合成画像とを保存するためのメモリ容量を確保する必要がなく、また、従来のように、不要な部分の画像分だけ余分に、撮像画像を保存するための無駄なメモリ容量を確保する必要もない。
【0032】
そのため、この装置及び方法によれば、例えば、被検査対象のサイズが単一のカメラの視野以下の場合に、画像を保存するためのメモリ容量を抑えることができるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、図を参照して、この発明の実施の形態につき説明する。なお、各図は、各構成要素の形状、大きさ及び配置関係を、この発明を理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、この発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0034】
[実施の形態例1]
<外観検査装置の構成>
以下、図1を参照して、この発明が適用される外観検査装置の概略構成につき説明する。なお、図1は、実施の形態例1に係る外観検査装置の概略構成を示す図である。
【0035】
外観検査装置101は、この実施の形態例1に係る、被検査対象の外観を検査する装置である。
【0036】
外観検査装置101は、テーブル110、照明150、複数のカメラ(図1に示す例では、第1及び第2カメラ160a及び160b)、演算部200、入出力部260、格納部270等を有している。
【0037】
テーブル110は、被検査対象を搬送するための構成要素である。テーブル110は、被検査対象を上に載置した状態で搬送路上を水平方向に移動することによって、被検査対象をカメラの視野内に搬送する。例えば、図1に示す例では、テーブル110は、小型の被検査対象50を上に載置した状態で矢印10の搬送方向に移動することによって、被検査対象50を第1カメラ160aの視野162a内に搬送する。または、テーブル110は、大型の被検査対象60を上に載置した状態で矢印10の搬送方向に移動することによって、被検査対象60を第1カメラ160aの視野162a及び第2カメラ160bの視野162b内に搬送する。
【0038】
照明150は、テーブル110の上に載置された被検査対象に光を照らすための構成要素である。照明150は、テーブル110の上方に配置されている。
【0039】
第1カメラ160aは、テーブル110の上に載置された被検査対象を撮像するための構成要素である。通常は、第1カメラ160aは、その光軸をテーブル110の載置面に対し直交させて、載置面から光軸上の一定の距離だけ離間した位置に固定されている。第1カメラ160aは、例えば、光電変換、すなわち、外部から受けた光を電気信号に変換するラインセンサによって構成されている。なお、この実施の形態例では、第1カメラ160aの視野162aは、幅W162aに設定されているものとする。この幅W162aに関する情報は、格納部270に読み出し自在に格納されている。第1カメラ(以下、「第1ラインセンサカメラ」と称する場合もある)160aは、テーブル110の上に載置された被検査対象の、視野162a内に位置する部分を撮像して、撮像した画像(以下、「撮像画像」と称する)の信号を後述する第1イメージキャプチャ部210aに出力する。
【0040】
第2カメラ160bは、第1カメラ160aと同様に、テーブル110の上に載置された被検査対象を撮像するための構成要素であって、テーブル110の載置面に対して第1カメラ160aと同じ距離だけ離間して固定されている。第2カメラ160bは、第1カメラ160aと同様に、例えば、ラインセンサによって構成されている。なお、この実施の形態例では、第2カメラ160bの視野162bは、幅W162bに設定されているものとする。なお、この第2カメラ160bの視野162bの幅W162bは、通常、第1カメラ160aの視野162aの幅W162aと同じ幅となっている。この幅W162bに関する情報は、格納部270に読み出し自在に格納されている。第2カメラ160bは、第1カメラ160aと一列に配置されている。具体的には、第2カメラ160bは、第2カメラ160bの視野162bが第1カメラ160aの視野162aと同一線上にかつ第1カメラ160aの視野162aと若干重なるように、第1カメラ160aに隣接して配置されている。第2カメラ(以下、「第2ラインセンサカメラ」と称する場合もある)160bは、テーブル110の上に載置された被検査対象の、視野162b内に位置する部分を撮像して、撮像した撮像画像の信号を後述する第2イメージキャプチャ部210bに出力する。
【0041】
なお、図1に示す例では、カメラの数は2台となっている。しかしながら、カメラの数は3台またはそれ以上であってもよい。この場合、各カメラは、一列に配置されているとよい。具体的には、各カメラは、各カメラの視野が同一線上に配置されかつ隣接するカメラの視野同士が若干重なるように、配置されているとよい。これにより、外観検査装置101は、3台またはそれ以上のカメラによって、図1に示す被検査対象60よりもさらに幅の広い被検査対象の外観を検査することが可能となる。
【0042】
演算部200は、各種の演算を行う構成要素である。演算部200は、CPUによって構成されている。演算部200は、複数のイメージキャプチャ部(図1に示す例では、第1及び第2イメージキャプチャ部210a及び210b)、イメージ合成/非合成部220、検査処理部230、機構制御部240、全体制御部250等の機能手段を備えている。
【0043】
第1イメージキャプチャ部210aは、第1カメラ160aから順次出力された信号に基づいて、一枚の撮像画像を表すイメージデータを生成するための構成要素である。第1イメージキャプチャ部210aは、イメージデータとして生成した一枚の撮像画像を画像処理部であるイメージ合成/非合成部220に出力する。
【0044】
第2イメージキャプチャ部210bは、第1イメージキャプチャ部210aと同様に、第2カメラ160bから順次出力された信号に基づいて、一枚の撮像画像を表すイメージデータを生成するための構成要素である。第2イメージキャプチャ部210bは、イメージデータとして生成した一枚の撮像画像を画像処理部であるイメージ合成/非合成部220に出力する。
【0045】
イメージ合成/非合成部220は、被検査対象のサイズに応じて、合成画像出力モード及び非合成画像出力モードのいずれか一方を行うための構成要素である。なお、「合成画像出力モード」とは、複数のカメラ(図1に示す例では、第1及び第2カメラ160a及び160b)によって撮像された被検査対象の複数枚の撮像画像を合成して一枚の合成画像を作成し、この合成画像を検査処理部230に出力するモードを意味している。また、「非合成画像出力モード」とは、合成画像を作成せずに、単一のカメラ(図1に示す例では、第1カメラ160a)によって撮像された被検査対象の一枚の撮像画像を検査処理部230に出力するモードを意味している。イメージ合成/非合成部220は、複数のカメラから被検査対象の複数枚の撮像画像を取得して(図1に示す例では、第1カメラ160a及び第2カメラ160bから被検査対象の2枚の撮像画像を取得して)、モードが合成画像出力モードである場合に、複数のカメラによって撮像された被検査対象の複数枚の撮像画像に対して、重複する部分の削除等の補正処理を行った後、複数枚の撮像画像を合成して一枚の合成画像を作成し、この合成画像を検査処理部230に出力する。他方、イメージ合成/非合成部220は、複数のカメラから被検査対象の複数枚の撮像画像を取得して、モードが非合成画像出力モードである場合に、合成画像を作成せずに、単一のカメラによって撮像された一枚の撮像画像(図1に示す例では、第1カメラ160aによって撮像された撮像画像)を検査処理部230に出力する。
【0046】
このイメージ合成/非合成部220は、例えば、撮像画像に対して被検査対象の検出処理を行ったり、撮像画像の補正処理を行う画像処理部としても機能する。なお、「補正処理」としては、例えば、合成画像出力モード時に、第1イメージキャプチャ部210aから出力されたイメージデータに含まれる被検査対象の画像、すなわち、第1カメラ160aによって撮像された撮像画像(以下、「第1カメラ160aの撮像画像」と称する場合もある)に写る被検査対象の画像と、第2イメージキャプチャ部210bから出力されたイメージデータに含まれる被検査対象の画像、すなわち、第2カメラ160bによって撮像された撮像画像(以下、「第2カメラ160bの撮像画像」と称する場合もある)に写る被検査対象の画像との重複する部分を、一方のイメージデータから削除する処理等がある。
【0047】
検査処理部230は、イメージ合成/非合成部220から出力された被検査対象の画像に基づいて、被検査対象の外観の合否を判定するための構成要素である。検査処理部230は、モードが合成画像出力モードである場合に、イメージ合成/非合成部220から被検査対象の一枚の合成画像を取得する。この場合、検査処理部230は、被検査対象の一枚の合成画像に基づいて、被検査対象の外観の合否を判定する。他方、検査処理部230は、モードが非合成画像出力モードである場合に、イメージ合成/非合成部220から被検査対象の一枚の撮像画像を取得する。この場合、検査処理部230は、被検査対象の一枚の撮像画像に基づいて、被検査対象の外観の合否を判定する。なお、検査処理部230は、被検査対象の外観の合否を判定する以外に、被検査対象に不良箇所が存在する場合に、その不良箇所を積極的に外部機器600に通知するように動作してもよい。
【0048】
機構制御部240は、機構系の各構成要素の動作、すなわち、テーブル110、アクチュエータ120、モータ130、照明150等の動作を制御するための構成要素である。機構制御部240は、モータ130を駆動させたり、停止させたりすることにより、アクチュエータ120を介してテーブル110に載置された被検査対象の搬送を制御する。また、機構制御部240は、照明150を点灯させたり、消灯させたりすることにより、被検査対象の照度を制御する。
【0049】
全体制御部250は、画像処理系の各構成要素の動作、すなわち、第1及び第2イメージキャプチャ部210a及び210b、イメージ合成/非合成部220、検査処理部230等の動作、及び、機構系の各構成要素の動作、すなわち、テーブル110、アクチュエータ120、モータ130、照明150、機構制御部240の動作を制御するための構成要素である。なお、この実施の形態例では、全体制御部250は、後述する外部機器500から、後述する入出力部260を介して、格納部270に入力されて格納されている後述する被検査対象情報に基づいて、被検査対象のサイズを認識し、このサイズに応じて、イメージ合成/非合成部220の動作モードを、非合成画像出力モードまたは合成画像出力モードに設定する。例えば、全体制御部250は、被検査対象のサイズがカメラ160aの視野以下の場合に、イメージデータの非合成出力処理の指示をイメージ合成/非合成部220に出力することにより、イメージ合成/非合成部220の動作モードを、非合成画像出力モードに設定する。他方、全体制御部250は、被検査対象のサイズがカメラの視野よりも大きい場合に、イメージデータの合成出力処理の指示をイメージ合成/非合成部220に出力することにより、イメージ合成/非合成部220の動作モードを、合成画像出力モードに設定する。
【0050】
入出力部260は、データ入力用の外部機器500から各種の情報を外観検査装置101内に入力したり、外観検査装置101内から各種の情報をデータ出力用の外部機器600に出力するための構成要素である。この入出力部260は、例えば、外観検査装置101の操作者が、各種の情報や指示を入力する操作キー等を備えている。
【0051】
入出力部260は、例えば、外部機器500から被検査対象に関する情報(以下、単に「被検査対象情報」と称する)を外観検査装置101内に入力する。この「被検査対象情報」は、例えば、被検査対象のサイズや被検査対象の各領域の色等の情報を含んでいる。この被検査対象情報に含まれている被検査対象のサイズや被検査対象の各領域の色等の情報は、被検査対象の外観検査に際して、検査の合否判定基準として用いられる。以下、この被検査対象情報に含まれている被検査対象のサイズや被検査対象の各領域の色等の情報を「合否判定基準データ」と称する。また、入出力部260は、例えば、外観検査装置101内から被検査対象の外観検査の結果に関する情報(以下、単に「検査結果情報」と称する)を外部機器600に出力する。
【0052】
なお、外部機器500は、入力用の機器である。外部機器500としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスクやCD−ROM、USBメモリ等の各種の記憶媒体505、ハードディスク装置やコンピュータ等の各種の記憶装置510その他がある。また、外部機器600は、出力用の機器である。外部機器600としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスクやCD−ROM、USBメモリ等の各種の記憶媒体605、ハードディスク装置やコンピュータ等の各種の記憶装置610、プリンタ612、ディスプレイ614その他がある。なお、図1に示す例では、外部機器500と外部機器600は、別個のものとして示されているが、これらは、同一のものであってもよい。例えば、外部機器600のディスプレイ614は、タッチパネルとして構成されていれば、入力用の外部機器500としても機能することができる。
【0053】
格納部270は、各種のプログラムや情報を格納する構成要素である。格納部270は、RAMによって構成されている。
【0054】
格納部270は、例えば、被検査対象の外観検査に供するプログラム(以下、「外観検査用プログラム」と称する)や、各カメラの視野の幅に関する情報(この実施の形態例では、第1カメラ160aの視野162aの幅W162aに関する情報及び第2カメラ160bの視野162bの幅W162bに関する情報)を予め読み出し自在に格納している。なお、「カメラの視野の幅に関する情報」とは、例えば、カメラとテーブルとが対向している状態で測定されたカメラの視野の幅に対応する画素数の値を意味している。以下、「カメラの視野の幅に関する情報」を単に「視野幅情報」と称する。この視野幅情報が表す幅は、後述するS120の判定で、被検査対象のサイズがカメラの視野以下か否かを判定する際の基準値となる。また、格納部270は、入出力部260を介して外部機器500から外観検査装置101内に入力された被検査対象情報その他のデータを読み出し自在に格納する。なお、この実施の形態例では、「被検査対象情報」は、被検査対象のサイズや各領域の色の情報等を含んでいる。
【0055】
なお、外観検査装置101の画像処理系の各構成要素及び機構系の各構成要素の動作は、格納部270に予め格納された外観検査用プログラムに基づいて、行われる。すなわち、画像処理系の第1及び第2イメージキャプチャ部210a及び210b、イメージ合成/非合成部220、検査処理部230、及び、機構系の機構制御部240は、それぞれ、外観検査時に、格納部270に予め格納された外観検査用プログラムを参照して、被検査対象の外観検査を行う。以下、この点については、説明を省略する。
【0056】
また、図1に示す外観検査装置101の画像処理系の各構成要素は、前段の構成要素から後段の構成要素にデータを直接出力しているかのように示されているが、実際には、格納部270を介して、前段の構成要素から後段の構成要素にデータを出力している。したがって、入出力部260から外観検査装置101内に入力された被検査対象情報、第1及び第2カメラ160a及び160bによって撮像された撮像画像、第1及び第2イメージキャプチャ部210a及び210bによって生成されたイメージデータ、イメージ合成/非合成部220から検査処理部230に出力された合成画像または撮像画像、検査処理部230によって作成された検査結果情報等は、一旦、格納部270に読み出し自在に格納されてから、その後の処理を行う所要の構成要素に出力される。以下、この点については、コンピュータ処理では常套手段であるので、その詳細な説明を省略する。
【0057】
<外観検査装置の動作>
以下、図2を参照して、実施の形態例1に係る外観検査装置の動作につき説明する。なお、図2は、実施の形態例1に係る外観検査装置の動作を示すフローチャートである。
【0058】
なお、以下の説明では、図1に示すように、外観検査装置101のテーブル110には、小型の被検査対象50または大型の被検査対象60のいずれかが既に載置されているものとする。また、格納部270には、被検査対象のサイズや各領域の色に関する情報を含んでいる被検査対象情報が、既に格納されているものとする。
【0059】
外観検査の開始に際して、例えば、外部機器500の操作者は、外部機器500を操作して、被検査対象を指定する情報(以下、「被検査対象指定情報」と称する)を外部機器500に入力する。この被検査対象指定情報は、例えば、被検査対象が基板であれば、基板の種類毎に付された基板コードを用いるのが一般的である。この後、操作者は、外部機器500を操作して、さらに、外観検査の実行を指示する指令(以下、「外観検査の実行指令」と称する)を外部機器500に入力する。外部機器500は、操作者によって被検査対象指定情報及び外観検査の実行指令が入力されると、これに応答して、当該被検査対象指定情報及び外観検査の実行指令を、外観検査装置101に出力する。外観検査装置101は、入出力部260を介して、外部機器500から、被検査対象指定情報及び外観検査の実行指令が入力されると、これに応答して、被検査対象の外観検査を開始する。
【0060】
または、外観検査の開始に際して、例えば、外観検査装置101の操作者は、外観検査装置101に設けられた入出力部260に備えられている操作キーを操作して、被検査対象指定情報及び外観検査の実行指令を、外観検査装置101に入力する。外観検査装置101は、操作者によって被検査対象指定情報及び外観検査の実行指令が入力されると、これに応答して、被検査対象の外観検査を開始する。
【0061】
外観検査装置101の全体制御部250は、外観検査が開始されると、これに応答して、被検査対象情報の認識処理を行う(S110)。
【0062】
この認識処理では、全体制御部250は、まず、格納部270に予め格納された基準または参照用の被検査対象情報を読み出す。このとき、全体制御部250は、外観検査の開始時に外部機器500の操作者または外観検査装置101の操作者によって入力された被検査対象指定情報が指定している被検査対象の情報を読み出す。ここでは、例えば、被検査対象指定情報として、基板コードが入力されると、全体制御部250は、この基板コードに対応した被検査対象情報を読み出す。
【0063】
そして、全体制御部250は、読み出した被検査対象情報を解読して、被検査対象情報に含まれている被検査対象のサイズや被検査対象の各領域の色等の情報を認識する。なお、このとき認識された「被検査対象のサイズ」の情報は、後述するS120、すなわち、「認識した被検査対象のサイズがカメラ視野以下か否かを判定する」工程で用いられる。また、このとき認識された「被検査対象のサイズ」及び「被検査対象の各領域の色」の情報は、後述するS220、すなわち、「外観検査処理」工程で用いられる。
【0064】
まず、S110の後、全体制御部250は、認識した被検査対象のサイズがカメラの視野以下か否かを判定する(S120)。この判定では、全体制御部250は、格納部270から上述の視野幅情報(この実施の形態例では、第1カメラ160aの視野162aの幅W162aに関する情報)を判定の基準値として読み出し、認識した被検査対象のサイズと読み出した視野幅情報が表す幅W162aとで大小を比較する。なお、ここでは、被検査対象の厚さが考慮されていないが、被検査対象の厚さを考慮して判定の基準値となる視野幅情報の値が補正されていてもよい。全体制御部250は、大小を比較した結果、認識した被検査対象のサイズが読み出した視野幅情報が表す幅W162a以下である場合に、認識した被検査対象のサイズがカメラの視野以下であると判定する。他方、全体制御部250は、認識した被検査対象のサイズが読み出した視野幅情報が表す幅W162aよりも大きい場合に、認識した被検査対象のサイズがカメラの視野以下でないと判定する。このようにして、全体制御部250は、被検査対象のサイズがカメラの視野以下か否かを判定する。
【0065】
なお、この判定で、「被検査対象のサイズがカメラの視野以下である」すなわち「イエス(Yes)」(以下、“Yes”と称する)と判定された場合に、外観検査装置101のイメージ合成/非合成部220は、非合成画像出力モードで動作することになる。また、この判定で、「被検査対象のサイズがカメラの視野以下でない」すなわち「ノー(No)」(以下、“No”と称する)と判定された場合に、外観検査装置101のイメージ合成/非合成部220は、合成画像出力モードで動作することになる。この実施の形態例では、小型の被検査対象50のサイズは、カメラの視野以下となっており、また、大型の被検査対象60のサイズは、カメラの視野よりも大きくなっている。そのため、外見検査装置101の全体制御部250は、被検査対象が小型の被検査対象50である場合に、“Yes”と判定し、また、被検査対象が大型の被検査対象60である場合に、“No”と判定する。
【0066】
S120の判定で、“Yes”と判定された場合に、全体制御部250は、非合成画像出力モードの設定処理を行う(S130a)。この非合成画像出力モードの設定処理では、全体制御部250は、イメージ合成/非合成部220に対して、動作モードを非合成画像出力モードとする設定を行う。
【0067】
S130aの後、全体制御部250は、照明点灯処理を行い(S140a)、さらに、被検査対象の搬送処理を行う(S150a)。なお、照明点灯処理では、全体制御部250は、照明150を点灯させるように、機構制御部240を制御する。また、被検査対象の搬送処理では、全体制御部250は、モータ130及びアクチュエータ120を駆動させるように、機構制御部240を制御する。機構制御部240は、全体制御部250による制御に応答して、モータ130及びアクチュエータ120を駆動させて、アクチュエータ120に連結されたテーブル110を矢印10方向に移動させる。これにより、テーブル110に載置された被検査対象が、搬送されて、第1カメラ160aの視野162a及び第2カメラ160bの視野162b上を通過する。なお、S150aの動作時点において、全体制御部250は、少なくともテーブル110が第1カメラ160aの視野162a及び第2カメラ160bの視野162b上を通過する前に、第1及び第2カメラ160a及び160bを予め起動させている。
【0068】
S150aとほぼ同時に、第1及び第2カメラ160a及び160bは、それぞれ、撮像処理を行う(S160a)。この撮像処理では、第1カメラ160aは、テーブル110が第1カメラ160aの視野162a上を通過する際に、視野162a上のテーブル110及び被検査対象50を連続して撮像する。そして、第1カメラ160aは、この撮像処理で取得した撮像信号を第1イメージキャプチャ部210aに順次出力する。また、この撮像処理では、第2カメラ160bは、テーブル110が第2カメラ160bの視野162b上を通過する際に、視野162b上のテーブル110及び被検査対象50を連続して撮像する。そして、第2カメラ160bは、この撮像処理で取得した撮像信号を第2イメージキャプチャ部210bに順次出力する。
【0069】
S160aの後、第1及び第2イメージキャプチャ部210a及び210bは、それぞれ、第1カメラ160aまたは第2カメラ160bから撮像信号が順次入力されると、これに応答して、イメージデータ生成処理を行う(S170a)。
【0070】
このイメージデータ生成処理では、第1イメージキャプチャ部210aは、第1カメラ160aから順次出力されて格納部270に格納された撮像信号に基づいて、一枚の撮像画像を表すイメージデータを生成する。この第1イメージキャプチャ部210aによって生成されたイメージデータは、第1カメラ160aによって撮像されたテーブル110及び被検査対象50が写っている一枚の撮像画像である。第1イメージキャプチャ部210aは、生成したイメージデータ、すなわち、第1カメラ160aによって撮像されたテーブル110及び被検査対象50が写っている一枚の撮像画像を格納部270に格納し、この撮像画像の生成に応答して、イメージ合成/非合成部220は、格納部270からこの撮像画像を読み出す。
【0071】
また、このイメージデータ生成処理では、第2イメージキャプチャ部210bは、第2カメラ160bから順次出力されて格納部270に格納された撮像信号に基づいて、一枚の撮像画像を表すイメージデータを生成する。この第2イメージキャプチャ部210bによって生成されたイメージデータは、第2カメラ160bによって撮像されたテーブル110及び被検査対象50が写っている一枚の撮像画像である。第2イメージキャプチャ部210bは、生成したイメージデータ、すなわち、第2カメラ160bによって撮像されたテーブル110及び被検査対象50が写っている一枚の撮像画像を格納部270に格納し、この撮像画像の生成に応答して、イメージ合成/非合成部220は、格納部270からこの撮像画像を読み出す。
【0072】
S170aの後、イメージ合成/非合成部220は、第1イメージキャプチャ部210aからの撮像画像、すなわち、第1カメラ160aの撮像画像と、第2イメージキャプチャ部210bからの撮像画像、すなわち、第2カメラ160bの撮像画像とが入力されると、これに応答して、被検査対象検出処理を行う(S180a)。この被検査対象検出処理では、イメージ合成/非合成部220は、第1カメラ160aの撮像画像及び第2カメラ160bの撮像画像の中から被検査対象を検出する。なお、被検査対象の検出は、被検査対象の輝度値と被検査対象の背景となるテーブル110の輝度値とが異なることを利用して、輝度値が予め定められた基準値以上に変化する領域を検出することによって、行われる。この基準値は、被検査対象毎に、例えば、基板毎に、予め、格納部270に読み出し自在に格納されている。
【0073】
なお、外観検査装置101の動作は、S180aで検出された被検査対象がいずれの撮像画像の中から検出されたかによって、変わる。そこで、S180aの後、イメージ合成/非合成部220は、被検査対象が第1カメラ160aの撮像画像に存在するのか否かを判定する(S190a)。
【0074】
S190aの判定で、「被検査対象が第1カメラ160aの撮像画像に存在する」すなわち「イエス(Yes)」(以下、“Yes”と称する)と判定された場合に、イメージ合成/非合成部220は、第1カメラ160aによる非合成画像出力処理を行う(S210b)。この第1カメラ160aによる非合成画像出力処理では、イメージ合成/非合成部220は、第1カメラ160aの撮像画像、すなわち、第1イメージキャプチャ部210aからの撮像画像を、合成処理することなく、検査処理部230に出力する。以下、外観検査装置101の動作は、S220に進む。
【0075】
他方、S190aの判定で、「被検査対象が第1カメラ160aの撮像画像に存在しない」すなわち「ノー(No)」(以下、“No”と称する)と判定された場合に、イメージ合成/非合成部220は、第2カメラ160bによる非合成画像出力処理を行う(S210c)。この第2カメラ160bによる非合成画像出力処理では、イメージ合成/非合成部220は、第2カメラ160bの撮像画像、すなわち、第2イメージキャプチャ部210bからの撮像画像を、合成処理することなく、検査処理部230に出力する。以下、外観検査装置101の動作は、S220に進む。
【0076】
なお、上述のS120の判定で、“No”と判定された場合に、外観検査装置101は、以下のS130d〜S210dの動作を行う。このS130d〜S210dの中のS140d〜S180dの動作は、上述のS120の判定で“Yes”と判定された場合の動作、すなわち、上述のS140a〜S180aの動作と同様の動作である。
【0077】
すなわち、上述のS120の判定で、“No”と判定された場合に、全体制御部250は、合成画像出力モードの設定処理を行う(S130d)。この合成画像出力モードの設定処理では、全体制御部250は、イメージ合成/非合成部220に対して、動作モードを合成画像出力モードとする設定を行う。
【0078】
S130dの後、全体制御部250は、S140aと同様に、照明点灯処理を行い(S140d)、さらに、S150aと同様に、被検査対象の搬送処理を行う(S150d)。なお、S150dの動作時点において、全体制御部250は、少なくともテーブル110が第1カメラ160aの視野162a及び第2カメラ160bの視野162b上を通過する前に、第1及び第2カメラ160a及び160bを予め起動させている。
【0079】
S150dとほぼ同時に、第1及び第2カメラ160a及び160bは、それぞれ、S160aと同様に、撮像処理を行う(S160d)。この撮像処理では、第1カメラ160aは、撮像処理により取得した信号を第1イメージキャプチャ部210aに順次出力する。また、第2カメラ160bは、撮像処理により取得した信号を第2イメージキャプチャ部210bに順次出力する。
【0080】
S160dの後、第1及び第2イメージキャプチャ部210a及び210bは、それぞれ、第1カメラ160aまたは第2カメラ160bから撮像処理により取得された信号が順次入力されると、これに応答して、S170aと同様に、イメージデータ生成処理を行う(S170d)。
【0081】
このイメージデータ生成処理では、第1イメージキャプチャ部210aは、生成したイメージデータ、すなわち、第1カメラ160aによって撮像されたテーブル110及び被検査対象60の撮像画像を格納部270に格納し、この撮像画像の生成に応答して、イメージ合成/非合成部220は、格納部270から撮像画像を読み出す。
【0082】
また、このイメージデータ生成処理では、第2イメージキャプチャ部210bは、生成したイメージデータ、すなわち、第2カメラ160bによって撮像されたテーブル110及び被検査対象60の撮像画像を格納部270に格納し、この撮像画像の生成に応答して、イメージ合成/非合成部220は、格納部270から撮像画像を読み出す。
【0083】
S170dの後、イメージ合成/非合成部220は、第1イメージキャプチャ部210aからの撮像画像及び第2イメージキャプチャ部210bからの撮像画像が入力されると、これに応答して、S180aと同様に、被検査対象検出処理を行う(S180d)。
【0084】
S180dの後、イメージ合成/非合成部220は、合成画像出力処理を行う(S210d)。この合成画像出力処理では、まず、イメージ合成/非合成部220は、第1及び第2カメラ160a及び160bの視野の重複する領域を考慮して、第1カメラ160aによって撮像された一枚の撮像画像、すなわち、第1イメージキャプチャ部210aからの一枚の撮像画像と、第2カメラ160bによって撮像された一枚の撮像画像、すなわち、第2イメージキャプチャ部210bからの一枚の撮像画像との重複する部分を一方の撮像画像から削除する補正処理を行う。
【0085】
この補正処理は、具体的には、以下のようにして行われる。
【0086】
まず、イメージ合成/非合成部220は、第1カメラ160aによって撮像された一枚の撮像画像から、検出の基準となる箇所を検出する。この「検出の基準となる箇所」としては、例えば、被検査対象が基板であれば、アライメントマークやパッド等が好適である。
【0087】
同様に、イメージ合成/非合成部220は、第2カメラ160bによって撮像された一枚の撮像画像の中から、検出の基準となる箇所を検出する。
【0088】
次に、イメージ合成/非合成部220は、第1カメラ160aによって撮像された一枚の撮像画像の中から検出された検出の基準となる箇所と第2カメラ160bによって撮像された一枚の撮像画像の中から検出された検出の基準となる箇所とが一致するように、第1カメラ160aによって撮像された一枚の撮像画像と第2カメラ160bによって撮像された一枚の撮像画像とを重ね合わせて、さらに、重ね合わせた撮像画像の中から双方の撮像画像の重複する部分を検出する。
【0089】
次に、イメージ合成/非合成部220は、双方の重複する部分を一方の撮像画像、例えば、第2カメラ160bの撮像画像の中から削除する。
【0090】
このようにして、補正処理が行われる。
【0091】
補正処理の後、イメージ合成/非合成部220は、第1カメラ160aによって撮像された一枚の撮像画像と、第2カメラ160bによって撮像され、かつ、補正処理により重複する部分が削除された一枚の撮像画像とを合成することによって、一枚の合成画像を作成する。
【0092】
そして、イメージ合成/非合成部220は、作成した一枚の合成画像を検査処理部230に出力する。以下、外観検査装置101の動作は、S220に進む。
【0093】
S210b、S210c、または、S210dの後、検査処理部230は、イメージ合成/非合成部220から画像が入力されると、これに応答して、被検査対象の外観検査処理を行う(S220)。
【0094】
この外観検査処理では、まず、検査処理部230は、イメージ合成/非合成部220から入力された画像の中から、被検査対象部分の画像を抽出する。なお、この被検査対象部分の画像の抽出は、S180aまたはS180dで、イメージ合成/非合成部220に行わせるようにしてもよい。
【0095】
次に、この外観検査処理では、検査処理部230は、S110で認識した被検査対象のサイズや被検査対象の各領域の色等の情報を合否判定基準データとし、イメージ合成/非合成部220から抽出された被検査対象部分の画像に対して、この合否判定基準データに基づいて、被検査対象の外観の合否を検査する。
【0096】
この検査では、検査処理部230は、まず、イメージ合成/非合成部220から抽出された被検査対象部分の画像に基づいて、この被検査対象部分の画像における被検査対象のサイズや被検査対象の各領域の色を認識し、さらに、被検査対象部分の画像における被検査対象のサイズや被検査対象の各領域の色が、合否判定基準データのものと予め定められた誤差範囲内で一致するか否かを判定する。これにより、検査処理部230は、被検査対象の外観の合否を検査する。
【0097】
S220の後、検査処理部230は、被検査対象の外観を検査すると、これに応答して、検査結果情報の格納・出力処理を行う(S230)。この検査結果情報の格納・出力処理では、検査処理部230は、S220の外観検査処理における判定結果に基づいて、検査情報を作成し、作成した検査結果情報を格納部270に格納するとともに、全体制御部250及び入出力部260を介して、作成した検査結果情報を外部機器600に出力する。なお、外部機器600は、外観検査装置101から出力された検査結果情報を、記憶媒体605や記憶装置610に格納したり、プリンタ612に印刷させたり、または、ディスプレイ614に表示させたりする。
【0098】
以上の通り、この実施の形態例に係る外観検査装置101は、被検査対象のサイズに応じて、非合成画像出力モード及び合成画像出力モードのいずれか一方を選択して実行する。
【0099】
すなわち、この外観検査装置101は、被検査対象のサイズがカメラの視野以下である場合に、イメージ合成/非合成部220が、第1カメラ160aの撮像画像または第2カメラ160bの撮像画像を、合成処理することなく、検査処理部230に出力する。他方、この外観検査装置101は、被検査対象のサイズがカメラの視野よりも大きい場合に、イメージ合成/非合成部220が、第1カメラ160aの撮像画像及び第2カメラ160bの撮像画像を合成処理して一枚の合成画像を作成し、作成した合成画像を、検査処理部230に出力する。
【0100】
そのため、この外観検査装置101によれば、例えば、被検査対象のサイズが単一のカメラの視野以下の場合に、撮像画像の補正処理及び補正画像と撮像画像の合成処理を排除することができるので、従来よりも、撮像画像の補正処理及び補正画像と撮像画像の合成処理に掛かっていた時間だけ、検査時間を短縮することができるという効果を有する。
【0101】
また、この外観検査装置101によれば、例えば、被検査対象のサイズが単一のカメラの視野以下の場合に、メモリ、すなわち、格納部270に保存する画像が一枚の撮像画像だけでよい。しかも、このメモリに保存する撮像画像は、被検査対象以外の不要な部分、すなわち、隣接するカメラによって撮像された撮像画像との重複部分を含まなくてよい。
【0102】
したがって、この外観検査装置101によれば、従来のように、複数のカメラによって撮像された複数枚の撮像画像と補正画像と合成画像とを保存するためのメモリ容量を確保する必要がなく、また、従来のように、不要な部分の画像分だけ余分に、撮像画像を保存するための無駄なメモリ容量を確保する必要もない。
【0103】
そのため、この外観検査装置101によれば、例えば、被検査対象のサイズが単一のカメラの視野以下の場合に、画像を保存するためのメモリ容量を抑えることができるという効果を有する。
【0104】
[実施の形態例2]
実施の形態例1では、検査処理部230は、1個しか設けられていなかった。これに対して、実施の形態例2では、検査処理部230は、複数のカメラに対応して複数設けられている。
【0105】
<外観検査装置の構成>
以下、図3を参照して、実施の形態例2に係る外観検査装置の概略構成につき説明する。なお、図3は、実施の形態例2に係る外観検査装置の概略構成を示す図である。
【0106】
この実施の形態例に係る外観検査装置102は、カメラの数に応じて複数の検査処理部230を有している。図3に示す例では、外観検査装置102は、カメラの数が2つであるので、2つの検査処理部230a及び230bを有している。以下、検査処理部230aを「第1検査処理部230a」と称し、検査処理部230bを「第2検査処理部230b」と称する。
【0107】
この外観検査装置102のイメージ合成/非合成部220は、被検査対象のサイズが単一のカメラの視野以下の場合に、第1カメラ160aによって撮像された被検査対象の撮像画像を第1検査処理部230aに出力するとともに、第2カメラ160bによって撮像された被検査対象の撮像画像を第2検査処理部230bに出力する。そして、第1検査処理部230aは、第1カメラ160aによって撮像された被検査対象の撮像画像に基づいて、被検査対象の外観の合否を判定するとともに、第2検査処理部230bは、第2カメラ160bによって撮像された被検査対象の撮像画像に基づいて、被検査対象の外観の合否を判定する。このとき、第1検査処理部230aと第2検査処理部230bは、それぞれ、並行して被検査対象の外観の合否を判定する。
【0108】
これにより、この外観検査装置102は、被検査対象のサイズがカメラの視野以下の場合に、第1検査処理部230aが、第1カメラ160aによって撮像された被検査対象の撮像画像に基づいて、また、第2検査処理部230bが、第2カメラ160bによって撮像された被検査対象の撮像画像に基づいて、それぞれ、並行して被検査対象の外観の合否を判定することができる。
【0109】
なお、外観検査装置102は、2つの検査処理部230a及び230bを有している以外は、実施の形態例1の外観検査装置101と同じ構成要素を有している。以下、実施の形態例1の外観検査装置101と共通な構成要素については、説明を省略する。
【0110】
<外観検査装置の動作>
以下、図4を参照して、実施の形態例2に係る外観検査装置の動作につき説明する。なお、図4は、実施の形態例2に係る外観検査装置の動作を示すフローチャートである。
【0111】
なお、以下の説明では、図3に示すように、外観検査装置102のテーブル110には、サイズがカメラの視野以下の小型の被検査対象50aが第1カメラ160aの視野162a上に配置されており、さらに、サイズがカメラの視野以下の小型の被検査対象60aが第2カメラ160bの視野162b上に配置されているものとする。
【0112】
以下、この実施の形態例2の外観検査装置102の動作について、実施の形態例1の外観検査装置101と相違する動作を重点的に説明し、実施の形態例1の外観検査装置101と同様の動作(図2参照)については、上述した実施の形態例1の外観検査装置101の動作をこの実施の形態例2の外観検査装置102に読み替えるものとして簡略して説明する。
【0113】
図4に示すように、S110、S120、及びS130a〜S190aにおいて、この実施の形態例2の外観検査装置102は、実施の形態例1の外観検査装置101と同様に動作する(図2参照)。
【0114】
但し、この実施の形態例では、S190aの判定で、“Yes”と判定された場合に、外観検査装置102のイメージ合成/非合成部220は、さらに、被検査対象が第2カメラ160bの撮像画像にも存在するのか否かを判定する(S200a)。
【0115】
他方、S190aの判定で、“No”と判定された場合に、イメージ合成/非合成部220は、第2カメラ160bによる非合成画像出力処理を行う(S210c)。この第2カメラ160bによる非合成画像出力処理では、イメージ合成/非合成部220は、第2カメラ160bの撮像画像を、合成処理することなく、第2検査処理部230bに出力する。以下、外観検査装置102の動作は、S220に進む。
【0116】
S200aの判定で、「被検査対象が第2カメラ160bの撮像画像にも存在する」すなわち「イエス(Yes)」(以下、“Yes”と称する)と判定された場合に、イメージ合成/非合成部220は、第1カメラ160aによる非合成画像出力処理及び第2カメラ160bによる非合成画像出力処理を平行して行う(S210a)。この第1カメラ160aによる非合成画像出力処理及び第2カメラ160bによる非合成画像出力処理では、イメージ合成/非合成部220は、第1カメラ160aの撮像画像を、合成処理することなく、第1検査処理部230aに出力するとともに、第2カメラ160bの撮像画像を、合成処理することなく、第2検査処理部230bに出力する。以下、外観検査装置102の動作は、S220に進む。
【0117】
他方、S200aの判定で、「被検査対象が第2カメラ160bの撮像画像には存在しない」すなわち「ノー(No)」(以下、“No”と称する)と判定された場合に、イメージ合成/非合成部220は、第1カメラ160aによる非合成画像出力処理を行う(S210b)。この第1カメラ160aによる非合成画像出力処理では、イメージ合成/非合成部220は、第1カメラ160aの撮像画像を、合成処理することなく、第1検査処理部230aに出力する。以下、外観検査装置102の動作は、S220に進む。
【0118】
なお、上述のS120の判定で、“No”と判定された場合に、図4に示すように、S130d〜210dにおいて、実施の形態例2の外観検査装置102は、実施の形態例1の外観検査装置101と同様に動作する(図2参照)。なお、S210dの動作、すなわち、合成画像出力処理では、イメージ合成/非合成部220は、第1カメラ160aの撮像画像と第2カメラ160bの撮像画像を合成処理して一枚の合成画像を作成し、作成した合成画像を、第1及び第2検査処理部230a及び230bの予め定められた一方に出力する。なお、この実施の形態例では、イメージ合成/非合成部220は、合成画像を第1検査処理部230aに出力するものとして説明する。以下、外観検査装置102の動作は、S220に進む。
【0119】
この実施の形態例では、S210a、S210b、S210c、または、S210dの後、外観検査装置102の検査処理部230は、イメージ合成/非合成部220から画像が入力されると、これに応答して、被検査対象の外観検査処理を行う(S220)。なお、この外観検査処理では、動作がS210aの後である場合に、第1検査処理部230aが、第1カメラ160aの撮像画像に基づいて、被検査対象50aの外観を検査するとともに、第2検査処理部230bが、第2カメラ160bの撮像画像に基づいて、被検査対象60aの外観を検査する。また、動作がS210bの後である場合に、第1検査処理部230aが、第1カメラ160aの撮像画像に基づいて、被検査対象50aの外観を検査する。動作がS210cの後である場合に、第2検査処理部230bが、第2カメラ160bの撮像画像に基づいて、被検査対象60aの外観を検査する。また、動作がS210dの後である場合に、第1検査処理部230aが、合成画像に基づいて、被検査対象の外観を検査する。
【0120】
S220の後、図4に示すように、S230において、実施の形態例2の外観検査装置102は、実施の形態例1の外観検査装置101と同様に動作する(図2参照)。
【0121】
以上の通り、この実施の形態例2に係る外観検査装置102は、被検査対象のサイズが単一のカメラの視野以下である場合に、第1検査処理部230aが、第1カメラ160aによって撮像された被検査対象のそれぞれの撮像画像に基づいて、また、第2検査処理部230bが、第2カメラ160bによって撮像された被検査対象のそれぞれの撮像画像に基づいて、並行して被検査対象の外観の合否を判定することができる。したがって、この外観検査装置102は、一度の撮像処理動作で、複数の被検査対象を同時に検査することができる。そのため、この外観検査装置102は、実施の形態例1の外観検査装置101の有する効果に加え、外観検査の処理時間を、実施の形態例1の外観検査装置101よりも短縮することができるという効果を有する。
【0122】
[実施の形態例3]
実施の形態例1及び2では、全体制御部250が、格納部270に予め格納されている被検査対象情報に基づいて、上述のS120の判定、すなわち、被検査対象のサイズがカメラの視野以下か否かの判定を行う。そのため、実施の形態例1及び2では、被検査対象情報の中に被検査対象のサイズ情報が含まれていない場合に、全体制御部250は、上述のS120の判定を行うことができない。
【0123】
これに対して、この実施の形態例3では、全体制御部250が、テーブル110に組み込まれた被検査対象を検出するためのセンサから出力された信号に基づいて、被検査対象のサイズがカメラの視野以下か否かの判定を行う。これにより、実施の形態例3では、全体制御部250は、被検査対象情報の中に被検査対象のサイズ情報が含まれていない場合でも、被検査対象のサイズがカメラの視野以下か否かの判定を行うことが可能となっている。
【0124】
<外観検査装置の構成>
以下、図5を参照して、実施の形態例3に係る外観検査装置の概略構成につき説明する。なお、図5は、実施の形態例3に係る外観検査装置の概略構成を示す図である。
【0125】
この実施の形態例に係る外観検査装置103は、カメラの数に応じて複数の検査処理部230を有している。また、図5に示す例では、外観検査装置103は、テーブル110内に被検査対象を検出するためのセンサ(以下、「被検査対象検出センサ」と称する)112を有している。
【0126】
この外観検査装置103の被検査対象検出センサ112は、例えば、複数の照度検知センサからなり、テーブル110の、第1カメラ160aの視野162aと第2カメラ160bの視野162bとが重なる領域内に、搬送方向10に沿って、配列されている。被検査対象検出センサ112は、全体制御部250と電気的に接続されており、自身の作動状態に応じて、オン状態を表す信号(以下、「オン信号」と称する)またはオフ状態を表す信号(以下、「オフ信号」と称する)を全体制御部250に出力する。
【0127】
被検査対象検出センサ112は、上に被検査対象が被さっていない場合に、照明150からの光を受けてオン状態となり、オン信号を全体制御部250に出力し、また、上に被検査対象が被さった場合に、照明150からの光が絶たれてオフ状態となり、オフ信号を全体制御部250に出力する。
【0128】
したがって、この被検査対象検出センサ112は、被検査対象のサイズがカメラの視野以下である場合に、照明150からの光を受けてオン状態となり、オン信号を全体制御部250に出力し、また、被検査対象のサイズがカメラの視野よりも大きい場合に、照明150からの光が絶たれてオフ状態となり、オフ信号を全体制御部250に出力する。
【0129】
よって、この外観検査装置103の全体制御部250は、被検査対象検出センサ112から出力されたオン信号またはオフ信号に基づいて、被検査対象のサイズが単一のカメラの視野以下であるか否かを認識することができる。その結果、この外観検査装置103の全体制御部250は、被検査対象のサイズがカメラの視野以下か否かの判定を、被検査対象検出センサ112から出力されたオン信号またはオフ信号に基づいて、行うことができる。これにより、この外観検査装置103の全体制御部250は、仮に、外部機器500から入力された被検査対象情報の中に被検査対象のサイズ情報が含まれていなくても、実施の形態例1や実施の形態例2と同様に、イメージ合成/非合成部220の動作モードを、非合成画像出力モードまたは合成画像出力モードに設定することができる。
【0130】
なお、外観検査装置103は、被検査対象検出センサ112を有している以外は、実施の形態例2の外観検査装置102と同じ構成要素を有している。以下、実施の形態例2の外観検査装置102と共通な構成要素については、説明を省略する。
【0131】
<外観検査装置の動作>
以下、図6を参照して、実施の形態例3に係る外観検査装置の動作につき説明する。なお、図6は、実施の形態例3に係る外観検査装置の動作を示すフローチャートである。
【0132】
なお、以下の説明では、図5に示すように、外観検査装置103のテーブル110には、実施の形態例2と同様に、サイズがカメラの視野以下の小型の被検査対象50aが第1カメラ160aの視野162a上に配置されており、さらに、サイズがカメラの視野以下の小型の被検査対象60aが第2カメラ160bの視野162b上に配置されているものとする。
【0133】
以下、この実施の形態例3の外観検査装置103の動作について、実施の形態例2の外観検査装置102と相違する動作を重点的に説明し、実施の形態例2の外観検査装置102と同様の動作(図4参照)については、上述した実施の形態例2の外観検査装置102の動作をこの実施の形態例3の外観検査装置103に読み替えるものとして簡略して説明する。
【0134】
図6に示すように、この実施の形態例3の外観検査装置103は、動作が開始すると、これに応答して、全体制御部250が、被検査対象検出センサ112の作動状態の認識処理を行う(S112)。この作動状態の認識処理では、被検査対象検出センサ112は、上に被検査対象が被さっていない場合に、すなわち、被検査対象のサイズがカメラの視野以下である場合に、照明150からの光を受けてオン状態となり、オン信号を全体制御部250に出力する。また、この作動状態の認識処理では、被検査対象検出センサ112は、上に被検査対象が被さった場合に、すなわち、被検査対象のサイズがカメラの視野よりも大きい場合に、照明150からの光が絶たれてオフ状態となり、オフ信号を全体制御部250に出力する。全体制御部250は、被検査対象検出センサ112から出力されたオン信号またはオフ信号に基づいて、被検査対象検出センサ112の動作状態を認識する。これにより、全体制御部250は、被検査対象検出センサ112から出力されたオン信号またはオフ信号に基づいて、被検査対象のサイズが単一のカメラの視野以下であるか否かを認識することができる。
【0135】
S112の後、全体制御部250は、被検査対象検出センサ112がオン状態か否かを判定する(S122)。なお、この判定で、「被検査対象検出センサ112がオン状態である」すなわち「イエス(Yes)」(以下、“Yes”と称する)と判定された場合に、外観検査装置103のイメージ合成/非合成部220は、非合成画像出力モードで動作し、他方、この判定で、「被検査対象検出センサ112がオン状態でない」すなわち「ノー(No)」(以下、“No”と称する)と判定された場合に、外観検査装置103のイメージ合成/非合成部220は、合成画像出力モードで動作することになる。この実施の形態例では、外観検査装置103の全体制御部250は、被検査対象が単一のカメラの視野以下の場合に、“Yes”と判定し、また、被検査対象が単一のカメラの視野よりも大きい場合に、“No”と判定する。
【0136】
S122の判定で、“Yes”と判定された場合に、全体制御部250は、非合成画像出力モードの設定処理を行う(S130a)。他方、S122の判定で、“No”と判定された場合に、全体制御部250は、合成画像出力モードの設定処理を行う(S130d)。
【0137】
以下、この実施の形態例3の外観検査装置103は、実施の形態例2の外観検査装置102と同様に動作する(図4参照)。
【0138】
以上の通り、この実施の形態例3の外観検査装置103の全体制御部250は、被検査対象のサイズが単一のカメラの視野以下であるか否かを、テーブル110に組み込まれた被検査対象検出センサ112から出力された信号に基づいて、判定することができる。そのため、この外観検査装置103は、実施の形態例2の外観検査装置102の有する効果に加え、仮に、外部機器500から入力された被検査対象情報の中に被検査対象のサイズ情報が含まれていなくても、実施の形態例1や実施の形態例2と同様に、イメージ合成/非合成部220の動作モードを、非合成画像出力モードまたは合成画像出力モードに設定することができるという効果を有する。
【0139】
この発明は、上述の実施の形態例に限定されることなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更や変形を行うことができる。
【0140】
例えば、実施の形態例1〜3のいずれかに係る外観検査装置は、被検査対象を自動的に供給するローダや、被検査対象を自動的に取り除くアンローダを設けることにより、被検査対象を自動的に検査することが可能となる。
【0141】
さらに、実施の形態例1〜3のいずれかに係る外観検査装置は、被検査対象を反転させる機構をテーブル110の近傍に設けることにより、被検査対象の表面だけでなく裏面も検査することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】実施の形態例1に係る外見検査装置の概略構成を示す図である。
【図2】実施の形態例1に係る外見検査装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】実施の形態例2に係る外見検査装置の概略構成を示す図である。
【図4】実施の形態例2に係る外見検査装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態例3に係る外見検査装置の概略構成を示す図である。
【図6】実施の形態例3に係る外見検査装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0143】
10 …搬送方向
50 …小型の被検査対象
60 …大型の被検査対象
101,102,103 …外観検査装置
110 …テーブル
112 …被検査対象検出センサ
120 …アクチュエータ
130 …モータ
150 …照明
160a,160b …第1及び第2カメラ(第1及び第2ラインセンサカメラ)
162a,162b …第1カメラの視野及び第2カメラの視野
W162a,W162b …第1カメラの視野の幅及び第2カメラの視野の幅
200 …演算部(CPU)
210a,210b …第1及び第2イメージキャプチャ部
220 …イメージ合成/非合成部(画像処理部)
230 …検査処理部
240 …機構制御部
250 …全体制御部
260 …入出力部
270 …格納部(RAM)
500,600 …外部機器
505,605 …記憶媒体
510,610 …記憶装置
612 …プリンタ
614 …ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査対象の外観の合否を判定する外観検査装置において、
前記被検査対象を撮像するための複数のカメラと、
前記被検査対象の撮像画像に基づいて、前記被検査対象の外観の合否を判定するための検査処理部と、
複数の前記カメラによって撮像された前記被検査対象の複数枚の撮像画像を合成して一枚の合成画像を作成し、該合成画像を前記検査処理部に出力するモードを合成画像出力モードとし、該合成画像を作成せずに、単一の前記カメラによって撮像された前記被検査対象の一枚の撮像画像を前記検査処理部に出力するモードを非合成画像出力モードとする場合に、複数の前記カメラから前記被検査対象の複数枚の撮像画像を取得して、前記被検査対象のサイズに応じて、該合成画像出力モード及び該非合成画像出力モードのいずれか一方を行うためのイメージ合成/非合成部と
を有することを特徴とする外観検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の外観検査装置において、
前記イメージ合成/非合成部は、
前記被検査対象のサイズが単一の前記カメラの視野より大きい場合に、前記合成画像出力モードを行って、前記被検査対象の前記合成画像を前記検査処理部に出力し、及び、
前記被検査対象のサイズが単一の前記カメラの視野以下の場合に、前記非合成画像出力モードを行って、前記被検査対象の前記撮像画像を前記検査処理部に出力する
ことを特徴とする外観検査装置。
【請求項3】
請求項2に記載の外観検査装置において、
前記検査処理部は、複数の前記カメラに対応して複数設けられており、
前記イメージ合成/非合成部は、前記被検査対象のサイズが単一の前記カメラの視野以下の場合に、それぞれの前記カメラによって撮像された前記被検査対象のそれぞれの前記撮像画像を、それぞれの前記カメラに対応するそれぞれの前記検査処理部に出力し、及び、
複数の前記検査処理部は、それぞれ、対応する前記カメラによって撮像された前記被検査対象の前記撮像画像に基づいて、他の前記検査処理部と並行して前記被検査対象の外観の合否を判定する
ことを特徴とする外観検査装置。
【請求項4】
請求項1に記載の外観検査装置において、
さらに、前記被検査対象を前記カメラの撮像位置に搬送するためのテーブルを有し、
前記テーブルは、前記被検査対象のサイズを測定するための被検査対象サイズ測定センサを備えており、
前記イメージ合成/非合成部は、前記テーブルの前記被検査対象サイズ測定センサによって測定された前記被検査対象のサイズに応じて、前記合成画像出力モード及び前記非合成画像出力モードのいずれか一方を行う
ことを特徴とする外観検査装置。
【請求項5】
複数のカメラとイメージ合成/非合成部と検査処理部とを用い、
複数の前記カメラが、被検査対象を撮像する撮像ステップと、
複数の前記カメラによって撮像された前記被検査対象の複数枚の撮像画像を合成して一枚の合成画像を作成し、該合成画像を前記検査処理部に出力するモードを合成画像出力モードとし、該合成画像を作成せずに、単一の前記カメラによって撮像された前記被検査対象の一枚の撮像画像を前記検査処理部に出力するモードを非合成画像出力モードとする場合に、前記イメージ合成/非合成部が、複数の前記カメラから前記被検査対象の複数枚の撮像画像を取得して、前記被検査対象のサイズに応じて、該合成画像出力モード及び該非合成画像出力モードのいずれか一方を行う画像処理ステップと、
前記検査処理部が、前記イメージ合成/非合成部から出力された前記被検査対象の画像に基づいて、前記被検査対象の外観の合否を判定する検査処理ステップと
を有することを特徴とする外観検査方法。
【請求項6】
請求項5に記載の外観検査方法において、
前記画像処理ステップで、前記イメージ合成/非合成部は、
前記被検査対象のサイズが単一の前記カメラの視野より大きい場合に、前記合成画像出力モードを行って、前記被検査対象の前記合成画像を前記検査処理部に出力し、及び、
前記被検査対象のサイズが単一の前記カメラの視野以下の場合に、前記非合成画像出力モードを行って、前記被検査対象の前記撮像画像を前記検査処理部に出力する
ことを特徴とする外観検査方法。
【請求項7】
請求項6に記載の外観検査方法において、
前記検査処理部は、複数の前記カメラに対応して複数設けられており、
前記画像処理ステップで、前記イメージ合成/非合成部は、前記被検査対象のサイズが単一の前記カメラの視野以下の場合に、それぞれの前記カメラによって撮像された前記被検査対象のそれぞれの前記撮像画像を、それぞれの前記カメラに対応するそれぞれの前記検査処理部に出力し、及び、
前記検査処理ステップで、複数の前記検査処理部は、それぞれ、対応する前記カメラによって撮像された前記被検査対象の前記撮像画像に基づいて、他の前記検査処理部と並行して前記被検査対象の外観の合否を判定する
ことを特徴とする外観検査方法。
【請求項8】
請求項5に記載の外観検査方法において、
さらに、前記被検査対象を前記カメラの撮像位置に搬送するテーブルを有し、
前記テーブルは、前記被検査対象のサイズを測定するための被検査対象サイズ測定センサを備えており、
前記画像処理ステップで、前記イメージ合成/非合成部は、前記テーブルの前記被検査対象サイズ測定センサによって測定された前記被検査対象のサイズに応じて、前記合成画像出力モード及び前記非合成画像出力モードのいずれか一方を行う
ことを特徴とする外観検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−170298(P2008−170298A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−4184(P2007−4184)
【出願日】平成19年1月12日(2007.1.12)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(592258937)沖プリンテッドサーキット株式会社 (18)
【Fターム(参考)】