説明

外部バリア層を有する有機電子デバイス

有機デバイスパッケージ(20)は上面および下面を有する可撓性基板(24)を含む。さらに、有機デバイスパッケージ(20)は、可撓性基板(24)の上面に配置された、第1の面および第2の面を有する有機電子デバイス(28)を含む。さらに、有機デバイスパッケージ(20)は可撓性基板(24)の下面に配置された第1のバリア層(32)を含む。可撓性基板はプラスチック、金属フォイル、または可撓性ガラスのうちの1つを含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に有機電子デバイスに関し、より詳細には有機照明デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、限定はしないが、有機発光デバイス、有機光電池、有機エレクトロクロミックデバイス、有機トランジスタ、有機集積回路、および有機センサなどの有機電子デバイスが、低コストおよび可撓性基板との適合性のためにシリコン電子デバイスに対する高性能代替案として多くの注目を引いている。
【0003】
最近の十年間に有機電子デバイスの分野で非常に大きな進歩があった。これまで液晶ディスプレイ(LCD)はほとんどのディスプレイ用途で使用された。しかし、LCDディスプレイは高い生産量および商業費用を必要とする。現在、限定はしないが、有機発光デバイスなどの有機電子デバイスはディスプレイ用途および面照明用途などの用途での使用が増加している。
【0004】
当業者によって理解されるように、有機発光ダイオード(OLED)などの有機発光デバイスは2つの電極の間にはさまれた薄い有機層のスタックを含む。有機層は少なくとも1つの放出層を含む。他の層は正孔注入層、正孔輸送層、および電子輸送層を含むことができる。一般に2ボルトと10ボルトとの間の適切な電圧をOLED照明デバイスに印加するとき、注入された正電荷および負電荷は放出層で再結合して光を生成する。さらに、有機層の構造ならびにアノードおよびカソードの選択は、放出層の再結合プロセスを最大化し、それによりOLEDデバイスからの光出力を最大化するように設計が行われる。この構造は大きくかつ環境上望ましくない水銀灯の必要をなくし、より薄くより多用途でより小型のディスプレイまたは面照明デバイスをもたらす。さらに、OLEDは有利にはほとんど電力を消費しない。特徴を組み合わせると、OLEDディスプレイは、付加される重量を少なくかつ占めるスペースを少なくしながら、魅力的な方法でより多くの情報を有利に伝達することができる。
【0005】
現在、OLEDなどの有機電子デバイスは一般にガラス基板を含む。ガラス基板は、光がOLEDから漏れ出ることを可能にするとともに、OLEDが水分および酸素にさらされないようにする。以下で理解されるように、大気中に存在する水分および酸素は、OLEDの光学的特性および/または電気的特性の劣化などの悪影響をもたらすことが当技術分野で知られている。例えば、OLED中の有機材料を酸素および水分にさらすとOLEDの寿命が厳しく制限されることがある。さらに、水分および酸素はOLEDに関連する「ダークスポット」およびピクセル収縮を増加させることが当技術分野で知られている。
【0006】
一般に、OLEDはバッチ処理を使用して製造される。しかし、製造コストを低減するために、連続的な方法でデバイスを処理することが望ましいことがある。連続処理を容易にするための1つの機構は、ロールツーロール可撓性基板を組み込み、その上にOLEDを製作することである。その結果、基板は剛性のガラスから可撓性のガラスまたはプラスチックに移行している。OLEDの製作にプラスチック基板を使用するには、一般に、水分および酸素がプラスチック基板を通り抜けないように内部バリア層を有するプラスチック基板を使用するかまたはバリア特性を有するプラスチック基板を使用することになる。可撓性ガラスおよびバリア被覆プラスチック基板は共に脆弱になる傾向があり、処理中に気密特性を損なわないようにかなりの注意を必要とする。さらに、電極に微細な形体を生成させるために一般に使用されるスクライビングまたはエンボシングなどの処理段階が脆弱な基板に物理的損傷をもたらすことがある。
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0023974号公報
【特許文献2】米国特許第6,835,950号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、OLEDを製作する準備ができた後、OLEDが確実に環境要素の浸透を受けないようにしながらバリア層のない可撓性で丈夫なプラスチック基板上にOLEDを高いコスト効果で連続的に処理しやすくする技法を開発し、それによって現在の技法の制約を回避することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
手短に言えば、本技法の態様によれば有機デバイスパッケージが提示される。有機デバイスパッケージは上面および下面を有する可撓性基板を含む。さらに、有機デバイスパッケージは、可撓性基板の上面に配置された、第1の面および第2の面を有する有機電子デバイスを含む。さらに、有機デバイスパッケージは撓性基板の下面に配置された第1のバリア層を含む。
【0009】
本技法の別の態様によれば、有機デバイスパッケージを製作する方法が提示される。この方法は上面および下面を有する可撓性基板を供給する段階を含む。さらに、この方法は第1の面および第2の面を有する有機電子デバイスを可撓性基板の上面に配置する段階を含む。この方法は第1のバリア層を可撓性基板の下面に配置する段階も含む。さらに、第2のバリア層の周囲が有機デバイスパッケージの縁部のまわりを包むように構成されるように、有機電子デバイスの第1の面に隣接して第2のバリア層を配置する段階を含む。さらに、この方法は第2のバリア層を可撓性基板の反対側の第1のバリア層の面に結合する段階を含む。
【0010】
本技法のさらに別の態様によれば、有機デバイスパッケージが提示される。有機デバイスパッケージは上面および下面を有する可撓性基板を含む。さらに、有機デバイスパッケージは、可撓性基板の上面に配置された、第1の面および第2の面を有する有機電子デバイスを含む。さらに、有機デバイスパッケージは、可撓性基板の下面に配置された、内側表面および外側表面を有する第1のバリア層も含む。さらに、有機デバイスパッケージは、有機電子デバイスの第1の面に隣接して配置された、内側表面および外側表面を有する第2のバリア層を含む。有機デバイスパッケージは、第1のバリア層と第2のバリア層との間の有機電子デバイスの周囲の近くに配置された縁部封入材料も含み、縁部封入材料は有機デバイスパッケージの周辺縁部を気密封止するように構成される。
【0011】
本技法のさらに別の態様によれば、有機デバイスパッケージを製作する方法が提示される。この方法は上面および下面を有する可撓性基板を供給する段階を含む。この方法は第1の面および第2の面を有する有機電子デバイスを可撓性基板の上面に配置する段階も含む。さらに、この方法は内側表面および外側表面を有する第1のバリア層を可撓性基板の下面に配置する段階を含む。さらに、この方法は内側表面および外側表面を有する第2のバリア層を有機電子デバイスの第1の面に隣接して配置する段階を含む。さらに、この方法は第1のバリア層および第2のバリア層を結合する段階を含む。
【0012】
本技法のさらに別の態様によれば、有機デバイスパッケージが提示される。有機デバイスパッケージは上面および下面を有する可撓性基板を含む。さらに、有機デバイスパッケージは、可撓性基板の上面に配置された、第1の面および第2の面を有する有機電子デバイスを含む。さらに、有機デバイスパッケージは、可撓性基板の下面に配置された、第1の内側表面および第1の外側表面を有する第1のバリア層を含む。有機デバイスパッケージは、有機電子デバイスの第1の面に隣接して配置された、第2の内側表面および第2の外側表面を有する第2のバリア層も含み、第2のバリア層の周囲が可撓性基板の反対側の第1のバリア層の面に結合されるように、第2のバリア層は有機デバイスパッケージの縁部のまわりを包むように構成された周囲を含む。さらに、有機デバイスパッケージは、第1の外側表面の一部に配置された、第1の面および第2の面を有する機能層を含み、機能層は有機デバイスパッケージの出力を増強するように構成される。
【0013】
本発明のこれらおよび他の特徴、態様、利点は、同様の記号が図面全体を通して同様の部分を表す添付図面を参照しながら以下の詳細な説明が読まれるときよりよく理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
傷つきやすいOLED構成要素は、水分および酸素の悪影響を回避するために様々な技法によって封入されている。例えば、バリア層を使用すると、外部環境からOLED領域への水分および酸素の浸透が防止される。現在、封入されたOLEDを製作するために使用される基板は、剛性ガラス、可撓性ガラス、またはプラスチックを含む。プラスチック基板を使用すると、水分および酸素が基板に浸透しないようにバリア被覆の使用を必要とすることがある。さらに、可撓性ガラスおよびバリア被覆プラスチック基板は共に脆弱になる傾向があり、処理およびその先の使用中に気密特性を損ねないようにかなりの注意を必要とすることがある。したがって、有機電子デバイスの気密性を確実に維持しながらOLEDなどの有機電子デバイスを高いコスト効果で処理する技法を開発することが望ましいであろう。本明細書で説明される技法はこれらの問題のいくつかまたはすべてに対処する。
【0015】
図1を参照して、有機デバイスパッケージの例示的実施形態の断面側面図10が示される。当業者なら理解されるように、図は例示的目的用であり、原寸に比例して描かれていない。現在意図されている構成では、有機デバイスパッケージ10は上面および下面を有する基板12を含むように概略図で示される。本技法の態様によれば、基板12は可撓性基板を含むことができる。
【0016】
本技法の他の態様によれば、可撓性基板12は、限定はしないが、プラスチック、金属フォイル、または可撓性ガラスなどの材料を含むことができる。さらに、可撓性基板12は、ロールツーロール処理に適合する可撓性基板を含むことができる。可撓性基板12は一般に薄く、約6.4マイクロメートル(0.25ミル)から約1.27ミリメートル(50.0ミル)の範囲、好ましくは約12.7マイクロメートル(0.5ミル)から約254マイクロメートル(10.0ミル)の範囲の厚さを有する。「可撓性」という用語は、一般に約100cm未満の曲率半径を有する形状に曲げることができることを意味する。有利には、可撓性基板12用のフィルムのロールを組み込むと、大量で低コストのリールツーリール処理の使用および有機デバイスパッケージの製作が可能になる。フィルムのロールは、例えば幅は30.5センチメートル(1フィート)を有し、その上にいくつかの構成要素(例えば、有機電子デバイス)を製作することができる。可撓性基板12は単層を含むことができ、または様々な材料の複数の隣接した層を有する構造を含むことができる。回転可能な基板を使用することによって、デバイスの製造性を改善することができる。
【0017】
さらに、可撓性基板12は、約1から約2.5の範囲、好ましくは約1から約2の範囲の屈折率を有することができる。可撓性基板12は一般に任意の可撓性に好適な高分子材料を含むことができる。さらに、可撓性基板12は、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフォン、Kapton HまたはKapton E(Dupontによって製作された)またはUpilex(UBE Industries, Ltd.によって製作された)などのポリイミド、環状オレフィン(COC)などのポリノルボルネン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの液晶高分子(LCP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、およびポリエチレンナフタレート(PEN)を含むことができる。
【0018】
用途に応じて、以下でより詳細に説明されるように、可撓性基板12は実質的に透明なフィルムを含むこともできる。本明細書で使用されるように、「実質的に透明な」とは、材料が可視光(すなわち、約400nmから約700nmの範囲の波長を有する)の少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約80%の全透過を可能にすることを指す。
【0019】
さらに、有機デバイスパッケージ10は、可撓性基板12の上面に配置された、第1の面および第2の面を有する有機電子デバイス14を含むことができる。有機電子デバイス14は、有機発光デバイス(OLED)、有機光電池、有機光検出器、有機エレクトロクロミックデバイス、有機センサ、またはそれの組合せのうちの1つを含むことができる。さらに、一実施形態では、有機電子デバイス14は、2つの導体または電極の間に配置された、いくつかの有機半導体層を含むことができる。したがって、図1に示されていないが、有機電子デバイス14の電極は、有機電子デバイス14内で光生成反応を開始するのに使用される外部電流源に電気的に結合される。本技法の態様によれば、有機電子デバイス14はロールツーロール処理を使用して可撓性基板12上に製作することができる。
【0020】
本技法の例示的態様によれば、第1のバリア層16は可撓性基板12の下面に配置することができる。一実施形態によれば、可撓性基板12上への有機電子デバイス14の製作が完成した後、第1のバリア層16を配置することができる。第1のバリア層16は、水分および酸素が可撓性基板12を通って有機電子デバイス14の領域に拡散しないように構成することができる。第1のバリア層16が可撓性基板12の下面を完全に覆うように、有機電子デバイス14が製作される表面の反対側の可撓性基板12の表面上に第1のバリア層16を配置するか、さもなければ形成することができる。第1のバリア層16は、約10nmから約10mmの範囲、好ましくは約1000nmから約1mmの範囲の厚さで配置することができる。
【0021】
さらに、光が可撓性基板12を透過するのを妨げない第1のバリア層16の厚さを選択することが一般に望ましい。例えば、第1のバリア層16は光透過の低減が約20%未満、好ましくは約5%未満になるように第1のバリア層16の厚さを選択することが有利であろう。さらに、基板12の可撓性を著しく低減せず、特性が曲げによって著しく劣化しない第1のバリア層の材料および厚さを選択することも望ましい。第1のバリア層16は、物理気相蒸着、プラズマ強化化学気相蒸着(PECVD)、高周波プラズマ強化化学気相蒸着(RFPECVD)、膨張熱プラズマ化学気相蒸着(ETPCVD)、反応性スパッタリング、電子サイクロドローンレジデンスプラズマ強化化学気相蒸着(ECRPECVD)、誘導結合プラズマ強化化学気相蒸着(ICPECVD)、スパッタ蒸着、蒸発、原子層蒸着(ALD)、またはそれの組合せなどの任意の適切な堆積技法によって配置することができる。
【0022】
第1のバリア層16は、限定はしないが、例えば、有機被覆、無機被覆、有機ハイブリッド被覆、無機ハイブリッド被覆、または金属フォイルを含むことができる。有機被覆材料は、炭素、水素、酸素、および反応物のタイプに応じて適宜に硫黄、窒素、ケイ素などの他の二次的な元素を含むことができる。被覆の有機構成物になる適切な反応物は、15個までの炭素原子を有する、線状アルカンまたは分枝アルカン、アルケン、アルキン、アルコール、アルデヒド、エーテル、アルキレンオキシド、芳香族などである。無機被覆材料およびセラミック被覆材料は、一般に、IIA、IIIA、IVA、VA、VIA、VIIA、IBおよびIIB族の元素、IIIB、IVBおよびVB族の金属、ならびに希土類金属の酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物、酸窒化物、酸炭化物、またはそれの組合せを含む。例えば、炭化ケイ素はシラン(SiH)、およびメタンまたはキシレンなどの有機材料から生成されたプラズマの再結合によって基板上に堆積することができる。酸炭化ケイ素は、シラン、メタンおよび酸素から、またはシランおよび酸化プロピレンから生成されたプラズマから堆積することができる。酸炭化ケイ素は、テトラエトキシシラン(TEOS)、ヘキサメチルジシロキサン(HMDSO)、ヘキサメチルジシラザン(HMDSN)、またはオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)などの有機ケイ素前駆物質から生成されたプラズマからも堆積することができる。窒化ケイ素はシランおよびアンモニアから生成されたプラズマから堆積することができる。酸炭窒化アルミニウムはアルミニウムチタネートおよびアンモニアの混合物から生成されたプラズマから堆積することができる。金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素などの反応物の他の組合せを所望の被覆構成物を得るために選択することができる。
【0023】
さらに、第1のバリア層16はハイブリッド有機/無機材料または多層の有機/無機材料を含むことができる。有機材料はアクリル酸樹脂、エポキシ樹脂、エポキシアミン、キシレン、シロキサン、シリコーンなどを含むことができる。特定の反応物の選択は当業者なら理解することができる。さらに、可撓性基板12の透明性が必要でない用途では大部分の金属が第1のバリア層16に適合することができる。以下で理解されるように、可撓性基板12は、気密基板を供給するために第1のバリア層16を組み込む構成物を含むことができる。
【0024】
本技法の例示的態様によれば、気密バリアを有機デバイスパッケージに適用することができる。一実施形態では、気密バリアは、有機電子デバイス14の第1の面に隣接して配置することができる第2のバリア層18とすることができる。さらに、第2のバリア層18は、限定はしないが、有機被覆、無機被覆、有機ハイブリッド被覆、無機ハイブリッド被覆、または金属フォイルなどの材料を含むことができる。
【0025】
第2のバリア層18は、約10nmから約10mmの範囲、好ましくは約1000nmから約1mmの範囲の厚さで配置することができる。第1のバリア層16を参照しながら先に説明されたように、光が可撓性基板12を透過するのを妨げない第2のバリア層18の厚さを選択することが一般に望ましい。例えば、第2のバリア層18は光透過の低減が約20%未満、好ましくは約5%未満になるように第2のバリア層18の材料および厚さを選択することが有益であろう。さらに、前述のように、第2のバリア層18は、プラズマ強化化学気相蒸着(PECVD)、高周波プラズマ強化化学気相蒸着(RFPECVD)、膨張熱プラズマ化学気相蒸着(ETPCVD)、反応性スパッタリング、電子サイクロドローンレジデンスプラズマ強化化学気相蒸着(ECRPECVD)、誘導結合プラズマ強化化学気相蒸着(ICPECVD)、スパッタ蒸着、蒸発、原子層蒸着(ALD)、またはそれの組合せなどの任意の適切な堆積技法によって配置することができる。
【0026】
一実施形態では、有機デバイスパッケージの縁部のまわりを包むように第2のバリア層18の周囲をパターン化して第2のバリア層18の周囲が可撓性基板12の反対側の第1のバリア層16の面に結合することができるように第2のバリア層18は配置することができる。言い換えれば、第2のバリア層18の周囲は第1のバリア層16の第2の面に結合され、それによって有機デバイスパッケージを気密封止するように構成することができる。この例示的実施形態は図2を参照しながら示されさらに説明される。代替の実施形態では、有機デバイスパッケージの周辺縁部を気密封止するように構成された縁部封入用材料は、第1のバリア層16と第2のバリア層18との間の有機電子デバイス14の周囲に沿って配置することができる。
【0027】
一実施形態によれば、第1のバリア層16および第2のバリア層18は第1の材料を使用して形成することができる。前述のように、第1の材料は、有機被覆、無機被覆、有機ハイブリッド被覆、無機ハイブリッド被覆、金属フォイル、またはそれの組合せのうちの1つを含むことができる。あるいは、第2のバリア層18は第2の材料を使用して形成することができ、第2の材料は第1の材料と異なる。
【0028】
用途に応じて、可撓性基板12ならびに第1のバリア層16および第2のバリア層18は不透明または透明にすることができる。以下で理解されるように、底面放出OLED構造では、光は有機電子デバイス14から可撓性基板12および第1のバリア層16を介して送出することができる。したがって、底面放出OLED構造では、可撓性基板12および第1のバリア層16は実質的に透明であり、一方、第2のバリア層18は不透明にすることができる。前述のように、「実質的に透明な」とは、材料が可視光の少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約80%の全透過を可能にすることを指す。第2のバリア層18は、限定はしないが、金属などの反射材料を含むことができる。例えば、金属はアルミニウム(Al)、銀(Ag)、またはクロミウム(Cr)を含むことができる。さらに、本技法の態様によれば、反射材料の被覆を有する材料も第2のバリア層18として使用することができる。例えば、金属はガラスまたはプラスチック上に被覆することができる。本技法の態様によれば、反射被覆(図示せず)をもつ第2のバリア層18は、実質的に透明な可撓性基板12から別の方向に放出されたどのような放射も反射し、そのような放射を可撓性基板12の方に向け、この方向に放出された全放射量が増加するように組み込むことができる。さらに、第2のバリア層18は、有利には、酸素および水分などの反応しやすい環境要素を有機電子デバイス14に拡散させないための材料を含むことができる。
【0029】
しかし、上面放出OLED構造では、光は有機電子デバイス14から第2のバリア層18を通して送出することができる。その結果、可撓性基板12および第1のバリア層16は不透明にすることができ、一方、第2のバリア層18は実質的に透明であろう。本実施形態では、第1のバリア層16は金属を含むことができる。あるいは、第1のバリア層16は反射材料で被覆されたガラスまたはプラスチックを含むことができる。前述のように、反射被覆(図示せず)をもつ第1のバリア層16は、第1のバリア層16からのどのような放射も第2のバリア層18の方に反射し、それによってこの方向に放出された放射を増大するように組み込むことができる。さらに、前述のように、第1のバリア層18は、有機デバイスパッケージ10に気密性を与えるための材料を含むこともできる。
【0030】
さらに、光が有機デバイスパッケージ10の上部および下部の両方から送出される透明なOLED構造の場合、可撓性基板12ならびに第1のバリア層16および第2のバリア層18は実質的に透明になるように構成されるであろう。以下で理解されるように、本実施形態では、光が有機デバイスパッケージ10の上部および下部の両方から送出されるので、第1のバリア層16および第2のバリア層18の反射被覆の使用は省かれるであろう。
【0031】
さらに、第1のバリア層16および第2のバリア層18は、有機デバイスパッケージ10の可撓性を不利に低減させないように、十分に薄くなるように構成されるであろう。さらに、第1のバリア層16および第2のバリア層18は、有機電子デバイス14への酸素および水分の拡散をさらに低減するために様々な金属または金属化合物のいくつかの層を含むことができる。一実施形態では、有機電子デバイス14に直接隣接している第1および第2のバリア層16、18の内側層は反射性であり、一方、外側層は、有機電子デバイス14への酸素および水の拡散速度を低減させるために組み込むことができる金属酸化物、窒化物、炭化物、酸窒化物、または酸炭化物などの非反射性の材料または化合物を含むことができる。
【0032】
図2は、本技法の態様に従って有機デバイスパッケージを製作する例示的プロセス20を示す。プロセスは段階22で始まり、上面および下面を有する可撓性基板24が選択される。前述のように、可撓性基板24は、プラスチック、金属フォイル、または可撓性ガラスのうちの1つを含むことができる。段階26で、第1の面および第2の面を有する有機電子デバイス28を可撓性基板24の上面に形成することができる。有機電子デバイス28は、OLED、有機光電池、有機光検出器、有機エレクトロクロミックデバイス、有機センサ、またはそれの組合せのうちの1つを含むことができる。前述のように、有機電子デバイス28は2つの導電性電極の間にはさまれたいくつかの有機層を含むことができる。
【0033】
続いて、段階30で、第1のバリア層32を可撓性基板24の下面に配置することができる。前述のように、第1のバリア層32は、デバイスの動作を不利に妨げることがある有機電子デバイス28への酸素および水分の浸透を防止するように構成される。上面および下面を有する第1のバリア層32は、接着層34を介して可撓性基板24に結合することができる。言い換えれば、接着層34は第1のバリア層32の上面を可撓性基板24の下面に取り付けるのに役立つ。本実施形態では、接着層34は光学的に透明な特性を示すように選択することができる。例えば、接着層34は、硬化性エポキシ樹脂、アクリル酸樹脂、熱可塑性樹脂および/またはそれの組合せのうちの1つを含むことができ、硬化には熱、圧力、もしくは紫外線および/またはそれの組合せを必要とすることがある。さらに、接着層34の厚さは約0.1ミクロンから約1mmの範囲にすることができる。このように第1のバリア層32を付加すれば、完成した有機電子デバイス28が確実に動作することができるものよりも高いかまたは低い処理条件/温度で第1のバリア層32を製作することができることに留意されたい。
【0034】
さらに、段階36で、第2のバリア層38を有機電子デバイス28の第1の面に隣接して配置することができる。本実施形態では、第2のバリア層38は、第2のバリア層38の周囲が有機デバイスパッケージのまわりを包むように配置される。言い換えれば、第2のバリア層38の周囲が第1のバリア層32の第2の面に結合し、それによって有機デバイスパッケージを気密封止するように、第2のバリア層38の周囲は有機デバイスパッケージを封入するように構成することができる。
【0035】
第1のバリア層32と第2のバリア層38との間の結合は、第1のバリア層32および第2のバリア層38を結合するように構成された封止材料40を介して達成することができる。図示された実施形態では、第2のバリア層38は封止材料40を介して第1のバリア層32の下面に結合される。一実施形態では、封止材料40はエポキシ樹脂を含むことができる。あるいは、封止材料40は低融点を有する金属および/または金属合金を含むことができる。例えば、封止材料40はガリウムまたはインジウムの一方を含むことができる。低融点をもつ金属は、インジウム、スズ、インジウムのビスマス合金、スズの合金、またはそれの組合せを含むことができる。さらに、金属の融点は摂氏約25度から摂氏約200度の範囲、好ましくは摂氏約100度から摂氏約150度の範囲にすることができる。以下で理解されるように、封止材料40は、プラスチック基板へのどのような損傷も、またはどのような有機高分子の電気的性能への悪影響も回避するように低融点をもつ金属および/または金属合金を含むことができる。
【0036】
さらに、結合の段階は、第1のバリア層32および第2のバリア層38を結合しやすくするために有機デバイスパッケージを加熱する段階を含むこともできる。あるいは、結合は、封止材料40を介して、第1のバリア層32および第2のバリア層38を結合しやすくするために有機デバイスパッケージに圧力を加えることによって達成することもできる。第1のバリア層32および第2のバリア層38の結合は、有機デバイスパッケージを紫外線にさらすことによって達成することもできる。本技法の態様によれば、加熱すること、圧力を加えること、および紫外線にデバイスをさらすことの組合せを使用して第1のバリア層32および第2のバリア層38を結合することができる。
【0037】
図3は、本技法の態様に従って有機デバイスパッケージを製作する例示的プロセス42を示す。プロセス42は段階44で始まり、上面および下面を有する可撓性基板46が選択される。さらに、段階48で、第1の面および第2の面を有する有機電子デバイス50を可撓性基板46の上面に形成することができる。
【0038】
続いて、段階52で、第1のバリア層54および第2のバリア層56を配置することができる。現在意図されている構成では、内側表面および外側表面を有する第1のバリア層54を可撓性基板46の下面に配置することができる。さらに、限定はしないが、エポキシ樹脂などの接合材料(図示せず)を第1のバリア層54の内側表面に被覆することができる。
【0039】
以下で理解されるように、接合材料は、物理的特性および機械的特性において変性を受ける材料と定義することができる。構造体の変性は、接合材料を高エネルギー放射にさらすことによって、または過酸化物を使用する化学プロセスによって引き起こすことができる。両方の方法は、材料内の分子結合、架橋、物理的混合を促進する。架橋によって生成される反応は、材料、および照射のレベルなどの処理の変数にとりわけ依存する。架橋は、熱機械的特性の強化、寸法安定性の改善、応力亀裂の低減、および物理的靱性の改善などの重要な特性の利点を生成することができる。紫外光または温度にさらすとき、接合材料は硬化され第1のバリア層54を可撓性基板46に取り付けることができる。
【0040】
同様に、内側表面および外側表面を有する第2のバリア層56を有機電子デバイス50の上面に配置することができる。接合材料(図示せず)は第2のバリア層56の内側表面に被覆することができる。前述のように、接合材料は第2のバリア層56を有機電子デバイス50に取り付けやすくする。
【0041】
一実施形態では、第1のバリア層54および第2のバリア層56は第1の材料を使用して形成することができる。前述のように、第1の材料は、有機被覆、無機被覆、有機ハイブリッド被覆、無機ハイブリッド被覆、金属フォイル、またはそれの組合せのうちの1つを含むことができる。あるいは、第2のバリア層56は第2の材料を使用して形成することができ、第2の材料は第1の材料と異なる。さらに、前述のように、デバイスの用途に応じて、光を送出する方向に誘導しやすくするように反射被覆を第1のバリア層54または第2のバリア層56のいずれかに配置することができる。しかし、以下で理解されるように、有機電子デバイス50が透明なOLEDである場合、反射被覆は省かれるであろう。
【0042】
段階52に続いて、第1のバリア層54および第2のバリア層56は段階58で有機電子デバイス50を気密封止するように結合することができる。本技法の態様によれば、第1のバリア層54と第2のバリア層56との間の結合は、縁部封入材料60の使用を介して達成することができる。
【0043】
縁部封入材料60は第1のバリア層54と第2のバリア層56との間の有機電子デバイス50の周囲の近くに配置され、それによって有機デバイスパッケージの周辺縁部を気密封止することができる。したがって、一実施形態では、縁部封入材料60は第1のバリア層54に配置することができる。あるいは、縁部封入材料60は第2のバリア層56に配置することができる。一方、縁部封入材料60は第1のバリア層54および第2のバリア層56の両方に配置することができる。さらに、一例示的実施形態では、第1のバリア層54および第2のバリア層56をそれぞれ可撓性基板46および有機電子デバイス50に隣接して配置する段階の前に、縁部封入材料60を、第1のバリア層54、第2のバリア層56、またはそれの組合せのうちの1つに配置することができる。本技法のさらなる態様によれば、縁部封入材料60は第1のバリア層54と第2のバリア層56との間の有機電子デバイス50の周囲のまわりに注入することができる。
【0044】
さらに、一実施形態では、縁部封入材料60は第1のバリア層54の材料と同様の材料を含むことができる。あるいは、縁部封入材料60は第2のバリア層56の材料と同様の材料を含むことができる。さらに、図示の実施形態で示されるように、本技法の態様に従って、縁部封入材料60は第1のバリア層54および第2のバリア層56の材料の組合せを含むこともできる。
【0045】
さらに、前述のように、結合の段階は、第1のバリア層54および第2のバリア層56を結合しやすくするために有機デバイスパッケージを加熱する段階を含むこともできる。あるいは、結合は、縁部封入材料60を介して、第1のバリア層54および第2のバリア層56を結合しやすくするために有機デバイスパッケージに圧力を加えることによって達成することもできる。第1のバリア層54および第2のバリア層56の結合は、有機デバイスパッケージを紫外線にさらすことによって達成することもできる。本技法の態様によれば、加熱すること、圧力を加えること、および有機デバイスパッケージを紫外線にさらすことの組合せを第1のバリア層54および第2のバリア層56に対して使用することができる。
【0046】
次に図4に移って、本技法の態様に従って有機デバイスパッケージを製作する例示的プロセス62が示される。図示の実施形態では、段階64〜68を図3を参照しながら先に説明されたように行うことができる。
【0047】
段階64がプロセス62の最初の段階であり、上面および下面を有する可撓性基板46が選択される。第1の面および第2の面を有する有機電子デバイス50を段階66で可撓性基板46の上面に形成することができる。
【0048】
段階68で、内側表面および外側表面を有する第1のバリア層54を可撓性基板46の下面に配置することができる。さらに、内側表面および外側表面を有する第2のバリア層56を有機電子デバイス50の第1の面に隣接して配置することができる。さらに、前述のように、接合材料(図示せず)を第1のバリア層54および第2のバリア層56のそれぞれの内側表面に配置することができる。接合材料は、第1のバリア層54および第2のバリア層56をそれぞれ可撓性基板46および有機電子デバイス50に取り付けるように構成することができる。
【0049】
続いて、段階70で、第1のバリア層54および第2のバリア層56は、有機電子デバイス50を気密封止するように結合することができる。第1のバリア層54と第2のバリア層56との間の結合は縁部封入材料72の使用を介して達成することができる。縁部封入材料72は第1のバリア層54と第2のバリア層56との間の有機電子デバイス50の周囲の近くに配置され、それによって有機デバイスパッケージの周辺縁部を気密封止しやすくすることができる。さらに、図4の図示された実施形態では、縁部封入材料72は、本技法の態様に従って低融点を有する金属を含むことができる。低融点をもつ金属は、インジウム、スズ、ビスマス合金、またはそれの組合せを含むことができる。さらに、前述のように、金属の融点は摂氏約50度から摂氏約200度の範囲、好ましくは摂氏約100度から摂氏約150度の範囲にすることができる。
【0050】
前述のように、縁部封入材料72は、第1のバリア層54、第2のバリア層56、またはそれの組合せのうちの1つに配置することができる。あるいは、本技法のさらなる態様によれば、縁部封入材料72は第1のバリア層54と第2のバリア層56との間の有機電子デバイス50の周囲のまわりに注入することができる。
【0051】
さらに、前述のように、結合の段階は、有機デバイスパッケージを加熱すること、有機デバイスパッケージに圧力を加えること、または有機デバイスパッケージを紫外線にさらすことのうちの1つを含むこともできる。本技法の態様によれば、加熱すること、圧力を加えること、および有機デバイスパッケージを紫外線にさらすことの組合せを使用して第1のバリア層54および第2のバリア層56を結合することができる。
【0052】
次に図5に移って、本技法の態様に従って有機デバイスパッケージを製作する例示的プロセス74が示される。プロセスは段階76で始まり、上面および下面を有する可撓性基板78が選択される。前述のように、可撓性基板78は、プラスチック、金属フォイル、または可撓性ガラスのうちの1つを含むことができる。段階80で、第1の面および第2の面を有する有機電子デバイス82を可撓性基板78の上面に形成することができる。前述のように、有機電子デバイス82は、OLED、有機光電池、有機光検出器、有機エレクトロクロミックデバイス、有機センサ、またはそれの組合せのうちの1つを含むことができる。さらに、有機電子デバイス82は、前述のように、2つの導電性電極の間にはさまれたいくつかの有機層を含むことができる。
【0053】
続いて、段階84で、第1のバリア層86を可撓性基板78の下面に配置することができる。前述のように、第1のバリア層86は、デバイスの動作を不利に妨げることがある有機電子デバイス82への酸素および水分の浸透を防止するように構成される。上面および下面を有する第1のバリア層86は、第1の接着層88を介して可撓性基板78に結合することができる。言い換えれば、第1の接着層88は第1のバリア層86の上面を可撓性基板78の下面に取り付けるのに役立つ。本実施形態では、第1の接着層88は光学的に透明な特性を示すように選択することができる。例えば、第1の接着層88は、硬化性エポキシ樹脂、アクリル酸樹脂、熱可塑性樹脂および/またはそれの組合せのうちの1つを含むことができ、硬化には熱、圧力、もしくは紫外線および/またはそれの組合せを必要とすることがある。さらに、接着層88の厚さは約0.1ミクロンから約1mmの範囲にすることができる。このように第1のバリア層86を付加すれば、完成した有機電子デバイス82が確実に動作することができるものよりも高いかまたは低い処理条件/温度で第1のバリア層86を製作することができることに留意されたい。
【0054】
さらに、段階90で、第2のバリア層92を有機電子デバイス82の第1の面に隣接して配置することができる。本実施形態では、第2のバリア層92は、第2のバリア層92の周囲が有機デバイスパッケージのまわりを包むように配置される。言い換えれば、第2のバリア層92の周囲が第1のバリア層86の第2の面に結合し、それによってデバイスを気密封止するように、第2のバリア層92の周囲は有機デバイスパッケージを封入するように構成することができる。
【0055】
結合の段階は、第1のバリア層86および第2のバリア層92を結合しやすくするために有機デバイスパッケージを加熱する段階を含むことができる。あるいは、結合は、第1のバリア層86および第2のバリア層92を結合しやすくするために有機デバイスパッケージに圧力を加えることによって達成することもできる。第1のバリア層86および第2のバリア層92の結合は有機デバイスパッケージを紫外線にさらすことによって達成することもできる。本技法の態様によれば、加熱すること、圧力を加えること、および有機デバイスパッケージを紫外線にさらすことの組合せを使用して第1のバリア層86および第2のバリア層92を結合することができる。
【0056】
続いて、段階94で、本技法の態様に従って、1つまたは複数の機能層96を第1のバリア層86の一部に配置することができる。図示の実施形態では、第1の面および第2の面を有する機能層86は可撓性基板78の反対側の第1のバリア層96の側の一部に配置される。機能層96は有機デバイスパッケージの出力を増強するように構成することができる。さらに、機能層96は所望の光学特性および電気特性を示すように選択することができる。例えば、機能層96は、フォトルミネセント材料、色フィルタ、エレクトロクロミック材料、輝度増強膜、反射防止膜、またはそれの組合せのうちの1つを含むことができる。さらに、機能層96の厚さは約0.1ミクロンから約1mmの範囲にすることができる。さらに、図5に示されるように、第2の接着層98を使用して機能層96を第1のバリア層86に取り付けることができる。
【0057】
図6は、図5の例示的有機デバイスパッケージの断面線6−6に沿った断面側面図100を示す。図6において、有機デバイスパッケージ100は第1のバリア層86の外側表面の一部に配置された機能層96を含むように示されている。
【0058】
図7を参照すると、図5に示された有機デバイスパッケージの代替の実施形態の断面側面図102が示される。図示の実施形態では、前述のように、有機電子デバイス82は可撓性基板78の上面に配置される。本実施形態では、第1の面および第2の面を有する機能層96は可撓性基板78の下面に配置することができる。さらに、第1の接着層88は機能層96の第1の面を可撓性基板78の下面に取り付けやすくすることができる。さらに、第1のバリア層86は機能層96の第2の面に配置することができる。さらに、第2の接着層98は第1のバリア層86を機能層96に取り付けるように構成することができる。
【0059】
前述の有機デバイスパッケージおよびそれを製作する方法の様々な実施形態により、気密封止された有機電子デバイスを高いコスト効果で製作できるようになる。さらに、前述の製作方法を使用すると、有機電子デバイスが脆弱な可撓性基板上で連続的に処理されるのではなく、有機電子デバイスは気密の性質のない可撓性で丈夫な基板上で連続的に処理される。有機電子デバイス製作の後で、脆弱な気密バリアが有機電子デバイスに付加され、それによって気密有機デバイスパッケージが形成される。スクライビングおよびエンボシングなどの処理技法を有利に使用して、脆弱な気密バリアを損なうことなく有機電子デバイスの電極に微細な形体を生成することができる。これらの有機デバイスパッケージは、ディスプレイ用途、面照明用途、および他の用途などの様々な分野での用途を見いだすことができる。
【0060】
本明細書において本発明のいくつかの特徴だけが示され説明されたが、多くの改変および変更が当業者により行われるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲はすべてのそのような改変および変更を本発明の真の趣旨に入るものとして含むように意図されていることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本技法の態様による例示的有機デバイスパッケージを示す断面側面図である。
【図2】本技法の態様に従って有機デバイスパッケージを製作する例示的プロセスを示す図である。
【図3】本技法の態様に従って有機デバイスパッケージを製作する別の例示的プロセスを示す図である。
【図4】本技法の態様に従って有機デバイスパッケージを製作するさらに別の例示的プロセスを示す図である。
【図5】本技法の態様に従って有機デバイスパッケージを製作する別の例示的プロセスを示す図である。
【図6】本技法の態様による、図5に示された有機デバイスパッケージの例示的実施形態の断面線6−6に沿った断面側面図である。
【図7】本技法の態様による図5に示された有機デバイスパッケージの代替の例示的実施形態の断面側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面および下面を有する可撓性基板と、
前記可撓性基板の前記上面に配置された、第1の面および第2の面を有する有機電子デバイスと、
前記可撓性基板の前記下面に配置された第1のバリア層と
を備える有機デバイスパッケージ。
【請求項2】
前記可撓性基板が、プラスチック、金属フォイル、または可撓性ガラスのうちの1つを含む、請求項1記載の有機デバイスパッケージ。
【請求項3】
前記有機電子デバイスが、有機発光デバイス、有機光電池、有機光検出器、有機エレクトロクロミックデバイス、有機センサ、またはそれの組合せのうちの1つを含む、請求項1記載の有機デバイスパッケージ。
【請求項4】
前記第1のバリア層が、プラスチック、金属フォイル、または可撓性ガラスのうちの1つを含む第1のタイプの材料を含む、請求項1記載の有機デバイスパッケージ。
【請求項5】
前記有機電子デバイスの前記第1の面に隣接して配置された第2のバリア層をさらに含む、請求項1記載の有機デバイスパッケージ。
【請求項6】
前記第2のバリア層が、プラスチック、金属フォイル、または可撓性ガラスのうちの1つを含む第2のタイプの材料を含む、請求項5記載の有機デバイスパッケージ。
【請求項7】
前記第2のバリア層が、前記第1のタイプの材料と異なる第2のタイプの材料を含む、請求項5記載の有機デバイスパッケージ。
【請求項8】
前記第2のバリア層の周囲が前記可撓性基板の反対側の前記第1のバリア層の面に結合されるように、前記第2のバリア層が前記有機デバイスパッケージの縁部のまわりを包むように構成された前記周囲を含む、請求項5記載の有機デバイスパッケージ。
【請求項9】
前記第1のバリア層と前記第2のバリア層との間の前記有機電子デバイスの周辺の近くに配置され、前記有機デバイスパッケージの周辺縁部を気密封止するように構成される縁部封入材料をさらに含む、請求項1記載の有機デバイスパッケージ。
【請求項10】
有機デバイスパッケージを製作する方法であって、
上面および下面を有する可撓性基板を供給する段階と、
第1の面および第2の面を有する有機電子デバイスを前記可撓性基板の前記上面に配置する段階と、
第1のバリア層を前記可撓性基板の前記下面に配置する段階と、
第2のバリア層の周囲が前記有機デバイスパッケージの縁部のまわりを包むように構成されるように、前記有機電子デバイスの前記第1の面に隣接して第2のバリア層を配置する段階と、
前記第2のバリア層を前記可撓性基板の反対側の前記第1のバリア層の面に結合する段階と
を含む方法。
【請求項11】
前記可撓性基板と前記第1のバリア層との間に、前記可撓性基板および前記第1のバリア層を結合するように構成される接合材料を配置する段階を含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記第2のバリア層の一部に、前記有機デバイスパッケージの出力を増強するように構成される機能層を配置する段階を含む、請求項10記載の方法。
【請求項13】
上面および下面を有する可撓性基板と、
前記可撓性基板の前記上面に配置された、第1の面および第2の面を有する有機電子デバイスと、
前記可撓性基板の前記下面に配置された、第1の内側表面および第1の外側表面を有する第1のバリア層と、
前記有機電子デバイスの前記第1の面に隣接して配置された、第2の内側表面および第2の外側表面を有する第2のバリア層と、
前記第1のバリア層と前記第2のバリア層との間の前記有機電子デバイスの周囲の近くに配置され、前記有機デバイスパッケージの周辺縁部を気密封止するように構成される縁部封入材料と
を備える有機デバイスパッケージ。
【請求項14】
前記第1および第2のバリア層の内側表面の各々に配置され、前記第1のバリア層および前記第2のバリア層をそれぞれ前記可撓性基板および前記有機電子デバイスに取り付けるように構成される接合材料をさらに含む、請求項13記載の有機デバイスパッケージ。
【請求項15】
前記縁部封入材料が、前記第1のバリア層、前記第2のバリア層、またはそれの組合せのうちの1つに配置される、請求項13記載の有機デバイスパッケージ。
【請求項16】
前記縁部封入材料が前記第1のバリア層と前記第2のバリア層との間に注入される、請求項13記載の有機デバイスパッケージ。
【請求項17】
前記縁部封入材料が、前記第1のバリア層の材料、前記第2のバリア層の材料、またはそれの組合せと同様である材料を含む、請求項13記載の有機デバイスパッケージ。
【請求項18】
前記縁部封入材料が、低融点を有する金属または金属合金を含む、請求項13記載の有機デバイスパッケージ。
【請求項19】
有機デバイスパッケージを製作する方法であって、
上面および下面を有する可撓性基板を供給する段階と、
第1の面および第2の面を有する有機電子デバイスを前記可撓性基板の前記上面に配置する段階と、
内側表面および外側表面を有する第1のバリア層を前記可撓性基板の前記下面に配置する段階と、
内側表面および外側表面を有する第2のバリア層を前記有機電子デバイスの前記第1の面に隣接して配置する段階と、
前記第1のバリア層および前記第2のバリア層を結合する段階と
を含む方法。
【請求項20】
前記第1のバリア層および前記第2のバリア層を結合する段階が、前記第2のバリア層の周囲が前記有機デバイスパッケージの縁部のまわりを包むように構成されるように前記第2のバリア層をパターン化する段階と、前記第2のバリア層を前記可撓性基板の反対側の前記第1のバリア層の面に結合する段階とを含む、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記第1のバリア層と前記第2のバリア層との間の前記有機電子デバイスの周囲の近くに、前記有機デバイスパッケージの周辺縁部を気密封止するように構成される縁部封入材料を配置する段階をさらに含む、請求項19記載の方法。
【請求項22】
前記縁部封入材料を配置する段階が、前記縁部封入材料を前記第1のバリア層に配置する段階、前記縁部封入材料を前記第2のバリア層に配置する段階、またはそれの組合せのうちの1つを含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
縁部封入材料を配置する段階が前記第1のバリア層と前記第2のバリア層との間に前記縁部封入材料を注入する段階を含む、請求項21記載の方法。
【請求項24】
前記縁部封入材料が、前記第1のバリア層の材料、前記第2のバリア層の材料、またはそれの組合せと同様である材料を含む、請求項21記載の方法。
【請求項25】
前記縁部封入材料が低融点を有する金属または金属合金を含む、請求項21記載の方法。
【請求項26】
前記第1のバリア層および前記第2のバリア層の一方または両方に圧力を加える段階、前記第1のバリア層および前記第2のバリア層を加熱する段階、前記第1のバリア層および前記第2のバリア層を紫外線にさらす段階、またはそれの組合せをさらに含む、請求項19記載の方法。
【請求項27】
前記第1および第2のバリア層の内側表面の各々に、前記第1のバリア層および前記第2のバリア層をそれぞれ前記可撓性基板および前記有機電子デバイスに取り付けるように構成される接合材料を配置する段階をさらに含む、請求項19記載の方法。
【請求項28】
上面および下面を有する可撓性基板と、
前記可撓性基板の前記上面に配置された、第1の面および第2の面を有する有機電子デバイスと、
前記可撓性基板の前記下面に配置され、第1の内側表面および第1の外側表面を有する第1のバリア層と、
前記有機電子デバイスの前記第1の面に隣接して配置され、第2の内側表面および第2の外側表面を有する第2のバリア層であって、前記第2のバリア層の周囲が前記可撓性基板の反対側の前記第1のバリア層の面に結合されるように、前記有機デバイスパッケージの縁部のまわりを包むように構成された前記周囲を含む第2のバリア層と、
前記第1の外側表面の一部に配置された、第1の面および第2の面を有する機能層であって、前記有機デバイスパッケージの出力を増強するように構成される機能層と
を備える有機デバイスパッケージ。
【請求項29】
前記第1および第2のバリア層の内側表面の各々に配置され、前記第1のバリア層および前記第2のバリア層をそれぞれ前記可撓性基板および前記有機電子デバイスに取り付けるように構成される接合材料をさらに含む、請求項28記載の有機デバイスパッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−535177(P2008−535177A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−504030(P2008−504030)
【出願日】平成18年1月27日(2006.1.27)
【国際出願番号】PCT/US2006/002955
【国際公開番号】WO2006/107379
【国際公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】