説明

外部電極用導電性ペースト組成物、これを含む積層セラミックキャパシタ及びその製造方法

【課題】放射状のクラック及びブリスターの発生率を下げることのできる外部電極用導電性ペースト組成物、これを含む積層セラミックキャパシタ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明による外部電極用導電性ペースト組成物は、銅で構成され、平均粒径が3μm以下の第1粉末と、前記銅より拡散速度が遅く融点が高く、平均粒径が180nm以下の第2粉末とを含む。本発明による外部電極用導電性ペースト組成物においては、電極焼成時に銅及び第2粉末からなる全率固溶体が形成される。これにより、外部電極の焼結速度が遅くなり、焼結温度が上昇してガス放出が円滑に行われるので、ブリスターの発生率が下がり、内部電極の体積膨張による放射状のクラックの発生率が下がる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部電極用導電性ペースト組成物、これを含む積層セラミックキャパシタ及びその製造方法に関し、より詳細には、放射状のクラック及びブリスターの発生率を下げることのできる外部電極用導電性ペースト組成物、これを含む積層セラミックキャパシタ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、キャパシタ、インダクタ、圧電体素子、バリスタ、又はサーミスタなどのセラミック材料を用いる電子部品は、セラミック材料からなるセラミック本体、前記セラミック本体の内部に形成された内部電極、及び前記内部電極に接続するように前記セラミック本体の表面に設置された外部電極を備える。
【0003】
セラミック電子部品の1つである積層セラミックキャパシタは、積層された複数の誘電体層、一誘電体層を介して対向配置される内部電極、及び前記内部電極に電気的に接続された外部電極を含む。
【0004】
このような積層セラミックキャパシタは、小型かつ大容量を実現し、実装が容易であるという利点により、コンピュータ、PDA、携帯電話などの移動通信装置の部品として広く用いられている。
【0005】
最近、電子製品が小型化及び多機能化するにつれてチップ部品も小型化及び高機能化する傾向にあるため、積層セラミックキャパシタも小型かつ大容量の製品が要求されている。
【0006】
一般的な積層セラミックキャパシタの製造方法は次の通りである。まず、セラミックグリーンシートを製造し、セラミックグリーンシート上に導電性ペーストを印刷して内部電極膜を形成する。次に、内部電極膜が形成されたセラミックグリーンシートを数十〜数百層積層してグリーンセラミック積層体を形成する。次に、グリーンセラミック積層体を高温及び高圧で圧着して硬くした後、切断工程によりグリーンチップを製造する。次に、グリーンチップを焼成、研磨し、外部電極を形成することにより、積層セラミックキャパシタを完成する。
【0007】
近年、積層セラミックキャパシタの小型化及び大容量化により、セラミック積層体の薄膜化及び多層化が試みられている。しかし、このような薄膜化及び多層化により放射状のクラックやブリスターなどの欠陥が発生し、積層セラミックキャパシタの信頼性の低下を招く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国公開特許第2006−0085683号公報
【特許文献2】特許第3850212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような問題を解決するためのもので、放射状のクラック及びブリスターの発生率を下げることのできる外部電極用導電性ペースト組成物、これを含む積層セラミックキャパシタ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための手段として、本発明の一実施形態は、銅で構成され、平均粒径が3μm以下の第1粉末と、前記銅より拡散速度が遅く融点が高く、平均粒径が180nm以下の第2粉末とを含む外部電極用導電性ペースト組成物を提供する。
【0011】
前記第2粉末は、ニッケル、コバルト、鉄、及びチタンからなる群から選択される1つ以上であってもよい。
【0012】
前記第2粉末は、パウダータイプ、前記第2粉末と銅の合金タイプ、又は銅に前記第2粉末がコーティングされたコア−シェルタイプでもよい。
【0013】
前記第2粉末は、前記第1粉末に対して0.01〜30%の重量比で含まれるようにしてもよい。
【0014】
本発明の他の実施形態は、セラミック素体と、前記セラミック素体の内部に形成され、一端が前記セラミック素体の側面にそれぞれ交互に露出する複数の第1及び第2内部電極と、前記セラミック素体の側面に形成され、前記第1及び第2内部電極に電気的に接続された第1及び第2外部電極とを含み、前記第1及び第2外部電極は、銅で構成され、平均粒径が3μm以下の第1粉末、及び前記銅より拡散速度が遅く融点が高く、平均粒径が180nm以下の第2粉末を含む導電性ペーストの焼成により得られたものであり、前記第1及び第2粉末からなる全率固溶体を含み、気孔率が0.01〜2.0%である積層セラミックキャパシタを提供する。
【0015】
前記第2粉末は、ニッケル、コバルト、鉄、及びチタンからなる群から選択される1つ以上であってもよい。
【0016】
前記第2粉末は、パウダータイプ、前記第2粉末と銅の合金タイプ、又は銅に前記第2粉末がコーティングされたコア−シェルタイプでもよい。
【0017】
前記第2粉末は、前記第1粉末に対して0.01〜30%の重量比で含まれるようにしてもよい。
【0018】
本発明のさらに他の実施形態は、複数のセラミックグリーンシートを設ける段階と、前記セラミックグリーンシートに第1及び第2内部電極パターンを形成する段階と、前記第1及び第2内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートを積層してセラミック積層体を形成する段階と、前記第1及び第2内部電極パターンの一端が側面から交互に露出するように前記セラミック積層体を切断して焼成し、セラミック素体を形成する段階と、前記一端に電気的に接続するように、前記セラミック素体の側面に、銅で構成され、平均粒径が3μm以下の第1粉末、及び前記銅より拡散速度が遅く融点が高く、平均粒径が180nm以下の第2粉末を含む外部電極用導電性ペーストで第1及び第2外部電極パターンを形成する段階と、前記第1及び第2外部電極パターンを焼結して第1及び第2外部電極を形成する段階とを含む積層セラミックキャパシタの製造方法を提供する。
【0019】
前記第1及び第2外部電極の形成は600〜900℃で行うようにしてもよい。
【0020】
前記第2粉末は、ニッケル、コバルト、鉄、及びチタンからなる群から選択される1つ以上であってもよい。
【0021】
前記第2粉末は、パウダータイプ、前記第2粉末と銅の合金タイプ、又は銅に前記第2粉末がコーティングされたコア−シェルタイプでもよい。
【0022】
前記第2粉末は、前記第1粉末に対して0.01〜30%の重量比で含まれるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明による外部電極用導電性ペーストにおいては、銅で構成され、平均粒径が3μm以下の第1粉末に、銅粉末より拡散速度が遅く融点が高い第2粉末が添加されることによって、電極焼成時に銅及び第2粉末からなる全率固溶体が形成される。これにより、外部電極の焼結速度が遅くなり、焼結温度が上昇してガス放出が円滑に行われるので、ブリスターの発生率を下げることができる。また、外部電極から内部電極への拡散が抑制され、内部電極の体積膨張による放射状のクラックの発生率が下がる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1a】本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタを示す概略斜視図である。
【図1b】図1aのA−A’線断面図である。
【図1c】図1aのB−B’線断面図である。
【図2】本発明の一実施形態による外部電極用導電性ペースト組成物の焼結収縮曲線である。
【図3】本発明の一実施形態による外部電極用導電性ペースト組成物の焼結挙動模式図である。
【図4】本発明の実施例1及び比較例1によるブリスターの発生率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。
【0026】
しかしながら、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲が後述する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野における通常の知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。従って、図面において、構成要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張することもあり、同一の構成要素には同一の符号を付す。
【0027】
図1aは、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタを示す概略斜視図であり、図1bは、図1aのA−A’線断面図であり、図1cは、図1aのB−B’線断面図である。
【0028】
図1a〜図1cを参照すると、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタ100は、セラミック素体110と、セラミック素体110の内部に形成された第1及び第2内部電極130a、130bと、第1及び第2内部電極130a、130bに電気的に接続された第1及び第2外部電極120a、120bとを含む。
【0029】
セラミック素体110は、複数のセラミック誘電体層111を積層した後に焼結したもので、隣接する誘電体層間の境界を確認できない程度に一体化されている。
【0030】
セラミック誘電体層111は、高い誘電率を有するセラミック材料からなり、例えばチタン酸バリウム(BaTiO)系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料、又はチタン酸ストロンチウム(SrTiO)系材料などが使用可能であるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
第1及び第2内部電極130a、130bは、複数のセラミック誘電体層111を積層する過程で前記一誘電体層を介して形成されたもので、焼結によりセラミック素体110の内部に形成される。
【0032】
第1及び第2内部電極130a、130bは、異なる極性を有する1対の電極であって、誘電体層の積層方向に沿って対向配置され、誘電体層により互いに電気的に絶縁されている。
【0033】
第1及び第2内部電極130a、130bの一端は、交互にセラミック素体110の両側面に露出する。セラミック素体110の側面に露出する第1及び第2内部電極130a、130bの一端は、それぞれ第1及び第2外部電極120a、120bに電気的に接続する。
【0034】
第1及び第2外部電極120a、120bに所定の電圧を印加すると、対向する第1及び第2内部電極130a、130b間には電荷が蓄積される。ここで、積層セラミックキャパシタの静電容量は、対向する第1及び第2内部電極130a、130bの面積に比例する。
【0035】
第1及び第2内部電極130a、130bは、導電性金属で形成され、例えばNi又はNi合金からなるものを使用する。前記Ni合金としては、Niと共にMn、Cr、Co、又はAlを含有するものが好ましい。
【0036】
第1及び第2外部電極120a、120bは、外部電極用導電性ペーストの焼成により形成されたものであり、前記外部電極用導電性ペーストは、銅で構成され、平均粒径が3μm以下の第1粉末、及び銅より拡散速度が遅く融点が高く、平均粒径が180nm以下の第2粉末を含む。
【0037】
本発明の一実施形態による第1及び第2外部電極120a、120bは、銅を主成分とするもので、平均粒径が3μm以下の銅粉末を含み、気孔率が0.01〜2.0%であり、緻密度に優れ、内部電極との接触性に優れる。
【0038】
一般に、微粒の銅粉末は、焼結開始及び焼結速度が速いことから、電極焼成時に発生するガスの放出が難しいため、セラミック素体110と第1及び第2外部電極120a、120bの接触領域にブリスター不良が発生することがある。
【0039】
また、第1及び第2内部電極130a、130bと第1及び第2外部電極120a、120bの接続時、外部電極用導電性ペーストに含まれる銅粉末が内部電極を構成するニッケル成分より拡散速度が速いため、外部電極から内部電極への拡散が主導的に起こり、内部電極の体積が増加して誘電体層に応力を加えることによって、図1cに示すように、放射状のクラックを誘発することがある。チップの末端から発生した放射状のクラックがチップの内部まで進行した場合、積層セラミックキャパシタの信頼性を低下させる。
【0040】
また、外部電極用導電性ペーストに、銅より拡散速度が遅く融点が高く、平均粒径が180nm以下の第2粉末を追加で含むことによって、電極焼成時に銅と第2粉末の全率固溶体が生成される。銅及び第2粉末からなる全率固溶体は焼結温度が銅より高いため、焼結速度が制御される。
【0041】
外部電極の焼結速度が遅くなり、焼結温度が上昇してガス放出が円滑に行われるので、ブリスターの発生率を下げることができる。また、外部電極から内部電極への拡散が抑制され、内部電極の体積膨張による放射状のクラックの発生率が下がる。
【0042】
以下、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を説明する。
【0043】
まず、複数のセラミックグリーンシートを用意する。ここで、セラミックグリーンシートは、セラミック粉末、バインダー、溶剤を混合してスラリーを製造し、ドクターブレード法により前記スラリーを数μmの厚さを有するシート状にして製造する。
【0044】
次に、セラミックグリーンシートの表面に、内部電極ペーストを塗布して第1及び第2内部電極パターンを形成する。
【0045】
前記第1及び第2内部電極パターンは、スクリーン印刷法により形成してもよい。前記内部電極ペーストは、Ni又はNi合金からなる粉末を有機バインダー及び有機溶剤に分散させてペースト状にしたものである。前記Ni合金は、Niと共にMn、Cr、Co、又はAlを含有するものであってもよい。
【0046】
前記有機バインダーとしては、当業界で公知のものが使用可能であり、例えばセルロース系樹脂、エポキシ樹脂、アリール樹脂、アクリル樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、アルキド樹脂、ロジンエステルなどのバインダーが使用可能であるが、これらに限定されるものではない。
【0047】
また、前記有機溶剤としては、当業界で公知のものが使用可能であり、例えばブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、テレピン油、α−テレビネオール、エチルセロソルブ、ブチルフタレートなどの溶剤が使用可能であるが、これらに限定されるものではない。
【0048】
次に、第1及び第2内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートを積層し、積層方向から加圧して、積層されたセラミックグリーンシートと内部電極ペーストとを圧着する。このようにして、セラミックグリーンシートと内部電極ペーストとが交互に積層されたセラミック積層体を製造する。
【0049】
次に、セラミック積層体を1つのキャパシタに対応する領域毎に切断してチップ化する。このとき、第1及び第2内部電極パターンの一端が側面から交互に露出するように切断する。
【0050】
次に、チップ化した積層体を例えば約1200℃で焼成してセラミック素体を製造する。セラミック素体を水及び研磨媒体を含むバレル内で処理して表面研磨を行う。表面研磨はセラミック積層体の製造段階で行ってもよい。
【0051】
次に、セラミック素体の側面を覆い、セラミック素体の側面に露出した第1及び第2内部電極に電気的に接続するように、第1及び第2外部電極を形成する。
【0052】
以下、外部電極の形成方法を具体的に説明する。
【0053】
まず、銅で構成され、平均粒径が3μm以下の第1粉末、及び前記銅より拡散速度が遅く融点が高く、平均粒径が180nmの第2粉末を用意する。前記第1粉末及び第2粉末と有機バインダーを混合して外部電極用導電性ペーストを製造する。
【0054】
前記第2粉末は、ニッケル、コバルト、鉄、及びチタンの1つ以上を含んでもよい。また、前記第2粉末は、パウダータイプ、第2粉末と銅の合金タイプ、又は銅に第2粉末がコーティングされたコア−シェルタイプでもよい。
【0055】
前記第1粉末に対する前記第2粉末の重量比は0.01〜30重量%であってもよい。重量比が0.01重量%未満であると、焼結速度の制御が難しいため、ブリスター又は放射状のクラックが発生する恐れがあり、30重量%を超えると、接触不良が発生したり緻密度が低下する恐れがある。
【0056】
次に、前記外部電極用導電性ペーストをセラミック素体の側面に塗布して第1及び第2外部電極パターンを形成する。その後、前記外部電極用導電性ペーストを焼結して外部電極を形成する。前記外部電極用導電性ペーストの焼結は、600〜900℃で行ってもよい。
【0057】
次に、前記外部電極の表面にニッケル、スズなどのメッキ処理を施してもよい。
【0058】
一般に、平均粒径が小さい粉末を使用するほど、内部電極との接触性及び緻密度が向上する。しかし、粉末の平均粒径が小さくなるほど、焼結開始及び焼結速度が速くなる。これにより、高温で発生するガスの放出が難しいため、セラミック素体と外部電極の間に隙間が生じるブリスター不良が発生することがある。
【0059】
また、外部電極の焼成過程で、内部電極と接触する領域では外部電極の銅粉末の内部電極への拡散が主導的に起こる。より具体的には、銅のニッケルへの拡散速度は、ニッケルの銅への拡散速度より速く、外部電極の焼成温度の780℃では約100倍速い。
【0060】
従って、外部電極の焼成時、拡散速度の違いにより、外部電極の銅粉末の内部電極への拡散が主導的に起こり、このような拡散により、内部電極と外部電極の接触領域が膨張して誘電体層に応力を加える。誘電体層に加わる応力は、クラックを発生させ、チップの末端から発生したクラックがチップの内部まで伝播した場合、積層セラミックキャパシタの信頼性を低下させる。
【0061】
しかし、本実施形態によれば、銅粉末より拡散速度が遅く融点が高い第2粉末を含む外部電極用導電性ペーストを使用することにより、拡散による内部電極の体積膨張を抑制し、放射状のクラックの発生を抑制することができる。また、銅粉末と第2粉末が全率固溶体を形成することによって、焼結速度が制御され、ブリスターの発生を抑制することができる。
【0062】
図2は、本発明の一実施形態による銅粉末及びニッケル粉末を含む外部電極用導電性ペーストの焼結収縮曲線である。
【0063】
図2を参照すると、銅粉末のみを含む場合(1)は、650℃以上の温度で急激に焼結収縮が進行するが、銅粉末及びニッケル粉末を含む場合(2)は、530℃で1次収縮が開始して600℃以上で緩やかな収縮が起こることを確認することができる。
【0064】
このようなニッケルの添加による銅の拡散速度の制御は、電極焼成時、原材料から発生する高温のガスを十分に排出させた後に外部電極が焼結されるようにして、ブリスターの問題を解決する。このように、ニッケル粉末を添加した場合、銅粉末のみを使用した場合よりも外部電極の焼結開始温度は低いが、その後に緩やかな収縮挙動を示す原因は、銅粉末に添加されたニッケルの置換型拡散(substitutional diffusion)により生成される全率固溶体の影響と判断される。
【0065】
図3は、銅とニッケルの全率固溶体が外部電極の焼結速度を抑制するメカニズムを説明するための焼結挙動模式図である。
【0066】
ニッケル粉末が添加された外部電極ペーストは、焼成が進行するにつれて銅粒子10間に存在する微分のニッケル粒子20が銅粒子10に当たってネッキング(necking)が形成される部分から全率固溶体を生成する。局部的に高いNi含量は焼成挙動を抑制するピンニング効果(pinning effect)を有し、時間が経過するにつれてポア(pore)が消滅する。ニッケル20は銅10より約370℃高い融点を有する。これにより、銅とニッケルの全率固溶体の場合、銅より高い焼
結温度を有するので、外部電極ペーストの焼結速度制御効果を示す。
【0067】
下記表1のような条件で、外部電極用導電性ペーストを製造し、これを含む積層セラミックキャパシタを製造した。製造された積層セラミックキャパシタの放射状のクラックの発生率及びブリスターの発生率を測定した。
【0068】
【表1】

【0069】
図4は、本発明の実施例1及び比較例1によるブリスターの発生率を示すグラフである。図4を参照すると、比較例1の場合、微細構造分析時に確認した緻密度完了時点である740℃以上の温度でブリスターが発生し始め、焼成温度が高くなるにつれてブリスター発生頻度が増加した。これに対して、実施例1の場合は、焼成が進行する全温度範囲でブリスターが発生しなかった。
【0070】
本発明は、前述した実施形態及び添付された図面により限定されるものではなく、添付された請求の範囲により限定される。従って、請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で様々な形態の置換、変形、及び変更が可能であることは、当該技術分野における通常の知識を有する者にとっては自明であり、これも添付された請求の範囲に記載された技術思想に属するといえる。
【符号の説明】
【0071】
100 積層セラミックキャパシタ
110 セラミック素体
111 誘電体層
120a、120b 第1及び第2外部電極
130a、130b 第1及び第2内部電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅で構成され、平均粒径が3μm以下の第1粉末と、
前記銅より拡散速度が遅く融点が高く、平均粒径が180nm以下の第2粉末と
を含むことを特徴とする外部電極用導電性ペースト組成物。
【請求項2】
前記第2粉末は、ニッケル、コバルト、鉄、及びチタンからなる群から選択される1つ以上であることを特徴とする請求項1に記載の外部電極用導電性ペースト組成物。
【請求項3】
前記第2粉末は、パウダータイプ、前記第2粉末と銅の合金タイプ、又は銅に前記第2粉末がコーティングされたコア−シェルタイプであることを特徴とする請求項1に記載の外部電極用導電性ペースト組成物。
【請求項4】
前記第2粉末は、前記第1粉末に対して0.01〜30%の重量比で含まれることを特徴とする請求項1に記載の外部電極用導電性ペースト組成物。
【請求項5】
セラミック素体と、
前記セラミック素体の内部に形成され、一端が前記セラミック素体の側面にそれぞれ交互に露出する複数の第1及び第2内部電極と、
前記セラミック素体の側面に形成され、前記第1及び第2内部電極に電気的に接続された第1及び第2外部電極とを含み、
前記第1及び第2外部電極は、銅で構成され、平均粒径が3μm以下の第1粉末、及び前記銅より拡散速度が遅く融点が高く、平均粒径が180nm以下の第2粉末を含む導電性ペーストの焼成により得られたものであり、前記第1及び第2粉末からなる全率固溶体を含み、気孔率が0.01〜2.0%であることを特徴とする積層セラミックキャパシタ。
【請求項6】
前記第2粉末は、ニッケル、コバルト、鉄、及びチタンからなる群から選択される1つ以上であることを特徴とする請求項5に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項7】
前記第2粉末は、パウダータイプ、前記第2粉末と銅の合金タイプ、又は銅に前記第2粉末がコーティングされたコア−シェルタイプであることを特徴とする請求項5に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項8】
前記第2粉末は、前記第1粉末に対して0.01〜30%の重量比で含まれることを特徴とする請求項5に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項9】
複数のセラミックグリーンシートを設ける段階と、
前記セラミックグリーンシートに第1及び第2内部電極パターンを形成する段階と、
前記第1及び第2内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートを積層してセラミック積層体を形成する段階と、
前記第1及び第2内部電極パターンの一端が側面から交互に露出するように前記セラミック積層体を切断して焼成し、セラミック素体を形成する段階と、
前記一端に電気的に接続するように、前記セラミック素体の側面に、銅で構成され、平均粒径が3μm以下の第1粉末、及び前記銅より拡散速度が遅く融点が高く、平均粒径が180nm以下の第2粉末を含む外部電極用導電性ペーストで第1及び第2外部電極パターンを形成する段階と、
前記第1及び第2外部電極パターンを焼結して第1及び第2外部電極を形成する段階と
を含むことを特徴とする積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項10】
前記第1及び第2外部電極の形成は600〜900℃で行うことを特徴とする請求項9に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項11】
前記第2粉末は、ニッケル、コバルト、鉄、及びチタンからなる群から選択される1つ以上であることを特徴とする請求項9に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項12】
前記第2粉末は、パウダータイプ、前記第2粉末と銅の合金タイプ、又は銅に前記第2粉末がコーティングされたコア−シェルタイプであることを特徴とする請求項9に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項13】
前記第2粉末は、前記第1粉末に対して0.01〜30%の重量比で含まれることを特徴とする請求項9に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−124571(P2011−124571A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271254(P2010−271254)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】