説明

多元合金ローターセクション、それを含む溶接されたタービンローター及びその製造方法

【課題】異種材料を接合して構成したタービンロータの接合部の強度などを改善した製造方法の提供。
【解決手段】多元合金の多セクション溶接タービンローター10の製造方法は、一体となったミクロ組織を有する鍛造された多元合金ローターセクションを用意することを含んでおり、このローターセクションは第1の合金組成32を有する第1の合金30及び第2の合金組成42を有する第2の合金40を含んでおり、第1の合金30からなる第1の溶接面34を第1の端部36に、また第2の合金40からなる第2の溶接面44を反対側の第2の端部46に有している。また、第1の合金組成52からなる第1のローターセクション50及び第2の合金組成62からなる第2のローターセクション60を用意することも含む。さらに、第1のローターセクション50を第1の溶接面34に溶接し、第2のローターセクション60を第2の溶接面44に溶接することも含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示されている主題は、一般に多元合金タービンローターに関し、より詳細には複数の溶接されたローターセクションを有する多元合金タービンローターに関する。
【背景技術】
【0002】
タービンローターの作動温度はローターの長さに沿って変わり、第1段が最も高い温度を有し、その後の段の温度は一般に徐々に低くなる。この異なる作動条件のため、適切なローター材料の選択とローターの製造が複雑になる。すなわち、単一の化学成分のモノリシックローター(すなわち、組立品ではないローター)はタービンの低圧(LP)、中圧(IP)及び高圧(HP)セクション又は段の各々の特性必要条件を満たすことができないからである。例えば、産業用ガスタービンのタービンローターのようなタービンローターの入口及び排出領域は異なる材料特性必要条件を有する。高温の入口領域は通例、高いクリープ破断強さを有するが中程度の強靱性しかもたない材料を必要とする。他方、排出領域は同レベルの高温クリープ強度を必要としないが、排出領域に使用されるより長いタービンブレードによって課せられるより高い負荷のため適切な材料は通例非常に高い強靱性をもたなければならない。ローターの性質を調整し、より高いコストの高温高強度合金の利用をローターの必要とされる部分のみに限定し、かつ高い強靱性と必要とされる場合のその他の性質を確保するために、様々なアプローチが利用されて来ている。
【0003】
上述の理由から、異なる化学成分のセクションを組み立てることで構築されたローターが広く用いられている。ガスタービン及びジェットエンジン用のローターは、一連のディスク及びシャフトを互いにボルト締めすることにより構築することが多い。例えば、大きい蒸気タービンは通例、タービンの異なるセクションに使用される別個のシェル又はフード内に収容された別個のローターからなるボルト締めされた構成を有する。より小さい蒸気タービンでは、ミッドスパンカップリング(mid-span coupling)を利用して、高温及び低温部品を1つのシェル内にボルト締めすることができる。ボルト締めされた構成を有するローターは広く使用されているが、これには部品の数の増大、組立の必要条件の増大、ローターアセンブリの長さの増大、及びローターアセンブリの必要なバランスの達成に関連する複雑さの増大を始めとする幾つかの欠点がある。
【0004】
ローターのHP及びIPセクションのような必要なところには高温高強度合金を提供し、かつローターのLPセクションのようなより低温の部分にはより低コストでより低強度の高強靱性合金を利用するワンピース又はモノリシックの多元合金タービンローターが開発されている。モノリシック多元合金ローターは公知であるが、それを大きいローター鍛造品として製造するのに必要な材料と方法は複雑で高価である。さらに、特定のローターセクションの交換は一般に可能ではなく、またこれはタービンの作動寿命の間のメンテナンスのコストの観点から望ましくない。
【0005】
異なる金属合金を溶接することにより製造された多セクション多元合金ローターも提案されている。しかし、その使用は異なる合金溶接継手に通例伴う1以上の以下の問題のために限定されている。1つの問題は、溶融池における、広い温度範囲にわたって凝固することになり、その結果溶接部内部の広範囲の融点に対応し得る広く異なる化学成分の混合に起因する高い溶接割れ感受性である。別の問題は、共晶相のような低い融解温度相により引き起こされる粒間溶離のような機構による熱影響域亀裂発生、又は歪み時効亀裂発生である。さらに別の問題は、広く異なる化学成分を有する合金の混合による複雑な相の形成に起因する引張強さ、延性、高サイクル及び低サイクル疲労、クリープ破壊、破壊靱性などのような乏しい溶接継手の機械的性質である。さらにもう1つ別の問題は、溶接継手部の熱膨張の不整合に起因する高い一時的な熱的歪みである。別の問題は、高温の作動時の、溶接継手部の複雑な準安定相、及び溶接継手部における様々な金属間相のような脆性相の形成という結果となり得る拡散効果に起因する長期のミクロ組織不安定性の可能性である。さらにもう1つ別の問題は、溶接後熱処理中又は長期供用中の溶接拡散ゾーンにおける炭素、ホウ素、及びその他の元素の偏析である。かかる偏析は溶接部と母材との間の化学成分の変動によって生じる。かかる効果は重要な性質の低下及び亀裂感受性を起こし得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第7065872号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
異なる合金を溶接してタービンローターを形成する過去のアプローチでは、一方又は両方のローターセクションの継手面上に様々な化学成分の融接された肉盛層を設置している。この肉盛層には一様な又は様々な合金化学成分を有するものがある。この肉盛はプリフォームを溶接する前に熱処理され機械加工される。このアプローチは高価で時間がかかり、また異なる金属の溶接に関連する上記の問題の幾つかを軽減し得ない。
【0008】
様々な多元合金の溶接されたタービンローター構造体及びその製造方法は公知であるが、公知の全ての構造体は異なる金属の溶接を必要とし、多かれ少なかれ上記の関連する問題を有する。
【0009】
従って、異なる金属の溶接に関連する問題を低減又は排除する溶接された多元合金ローター構成及びその製造方法が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1つの局面により、多元合金多セクション溶接タービンローターを製造する方法が提供される。この方法は、モノリシック構造を有しており、第1の合金組成を有する第1の合金及び第2の合金組成を有する第2の合金を含み、第1の端部に第1の合金を含む第1の溶接面を、また反対側の第2の端部に第2の合金を含む第2の溶接面を含む鍛造された多元合金ローターセクションを用意することを含んでいる。また、この方法は、第1の合金組成を含む第1のローターセクション、及び第2の合金組成を含む第2のローターセクションを用意することも含んでいる。この方法はまた、第1のローターセクションを第1の溶接面に溶接し、かつ第2のローターセクションを第2の溶接面に溶接することを含んでいる。
【0011】
本発明の別の局面により、多元合金多セクション溶接タービンローターが提供される。このローターは、モノリシック構造を有しており、第1の合金組成を有する第1の合金及び第2の合金組成を有する第2の合金を含み、第1の端部に第1の合金を含む第1の溶接面を、また反対側の第2の端部に第2の合金を含む第2の溶接面を含む多元合金ローターセクションを含んでおり、このモノリシック構造は鍛造された粒子形態を有している。このローターはまた第1の合金組成からなる第1のローターセクションを含んでおり、この第1のローターセクションは第1の溶接継手により第1の溶接面に接合されている。また、このローターは第2の合金組成からなる第2のローターセクションも含んでおり、この第2のローターセクションは第2の溶接継手により第2の溶接面に接合されている。
【0012】
本発明のさらに別の局面により、多元合金ローターセクションが提供される。この多元合金ローターセクションはモノリシックミクロ組織を有しており、第1の合金組成を有する第1の合金部分及び第2の合金組成を有する第2の合金部分を含み、第1の端部に第1の合金からなる第1の溶接面を、また反対側の第2の端部に第2の合金部分からなる第2の溶接面を含んでおり、このモノリシックミクロ組織は鍛造された粒子形態を有している。
【0013】
本発明と考えられる主題は本明細書に続く特許請求の範囲に明確に規定され記載されている。本発明の上記及びその他の特徴、及び利点は添付の図面を参照した以下の詳細な説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1A及び1Bは、本明細書に開示されている、多元合金多セクション溶接タービンローターを製造する方法及びそれにより製造される溶接されたローターの概略図である。
【図2】図2Aは、本明細書に開示されている、鍛造された多元合金ローターセクションを用いて鍛造された多元合金ローターを製造する方法を図解するフローチャートである。
【図3】図2Bは、本明細書に開示されている、鍛造された多元合金ローターセクショを製造する方法を図解するフローチャートである。
【図4】図3A−3Eは、本明細書に開示されている、多元合金鍛造プリフォームを製造し、これを鍛造して多元合金ローターセクションを形成する方法の代表的な実施形態の概略図である。
【図5】図3F−3Iは、本明細書に開示されている、多元合金鍛造プリフォームを製造し、これを鍛造して多元合金ローターセクションを形成する方法の代表的な実施形態の概略図である。
【図6】図4A−4Eは、本明細書に開示されている、多元合金鍛造プリフォームを製造し、これを鍛造して多元合金ローターセクションを形成する方法の第2の代表的な実施形態の概略図である。
【図7】図4F−4Jは、本明細書に開示されている、多元合金鍛造プリフォームを製造し、これを鍛造して多元合金ローターセクションを形成する方法の第2の代表的な実施形態の概略図である。
【図8】図5A及び5Bは、本明細書に開示されている、多元合金多セクション溶接タービンローターを製造する方法及びそれにより製造される溶接されたローターの第2の代表的な実施形態の概略図である。
【図9】図6A−6Fは、本明細書に開示されている、多元合金鍛造プリフォームを製造し、これを鍛造して多元合金ローターセクションを形成する方法の第3の代表的な実施形態の概略図である。
【0015】
図7は、本明細書に開示されている、多元合金多セクション溶接タービンローターを製造する方法及びそれにより製造される溶接されたローターの第3の代表的な実施形態の概略図である。
【図10】図8A−8Dは、本明細書に開示されている、多元合金鍛造プリフォームを製造し、これを鍛造して多元合金ローターセクションを形成する方法の第4の代表的な実施形態の概略図である。
【図11】図9A−9Dは、本明細書に開示されている、多元合金鍛造プリフォームを製造し、これを鍛造して多元合金ローターセクションを形成する方法の第5の代表的な実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面中で使用する術語のうち、一般に、下線を引いた要素は方法に関連して使用している。詳細な説明では、図面に関連した例を用いて本発明の実施形態を利点及び特徴と共に説明する。
【0017】
代表的な多セクション(多数の部分からなる)多元合金溶接タービンローター構造体及びこれらのローターを代表的な鍛造された多元合金ローターセクションを利用して製造する方法が、かかるローターセクションを製造する代表的な方法と共に開示されている。図1A、1B及び2Aを参照すると、多元合金多セクション溶接タービンローター10を製造する方法100が開示されている。この方法100は、モノリシック構造22を有する鍛造された多元合金ローターセクション20を形成すること110を含んでいる。多元合金ローターセクション20は、第1の合金組成32を有する第1の合金部分30及び第2の合金組成42を有する第2の合金部分40を含んでいる。第1の合金部分30及び第2の合金部分40は、界面23で画定される部分を有する一体構造からなる。第1の合金30は多元合金ローターセクション20の第1の端部36に第1の溶接面34をもっている。第2の合金40は第1の端部36と反対側の第2の端部46に第2の溶接面44をもっている。第1の合金組成32は第2の合金組成42と異なっている。第1の合金30及び第2の合金40は、本明細書に記載されているものを含めていかなる適切な合金であってもよい。
【0018】
方法100はまた、第1のローターセクション合金組成52及び第1の溶接面34に近接して配置されるように設定された溶接面54を有する第1のローターセクション50を形成すること120も含んでいる。第1のローターセクション合金組成52は溶接面54の近くで第1の合金組成32と実質的に同一である。図1A及び1Bに示した代表的な実施形態において、第1のローターセクション合金組成52は溶接面54の近くで第1の合金組成32と同一であり、この実施形態の場合組成52は第1のローターセクション50全体で実質的に同じである。
【0019】
方法100はまた、第2のローターセクション合金組成62及び第2の溶接面44に近接して配置されるように設定された溶接面64を有する第2のローターセクション60を用意すること130も含んでいる。第2のローターセクション合金組成62は溶接面64の近くで第2の合金組成42と実質的に同一である。図1A及び1Bに示した代表的な実施形態において、第2のローターセクション合金組成62は溶接面64の近くで第2の合金組成42と同一であり、この実施形態の場合組成62は第2のローターセクション60全体で実質的に同じである。
【0020】
方法100はまた、第1の溶接面34と溶接面54との間で溶接継手70を形成することにより第1のローターセクション50を多元合金ローターセクション20に溶接すること140も含んでいる。溶接140には、任意の適切な溶接方法又は、類似の金属及び合金を接合する方法、特にNi基、Fe基及びCo基超合金、若しくはこれらの組合せを始めとする各種の超合金を接合するのに適した方法、並びに各種グレードのステンレス鋼を始めとする各種グレードの鋼を接合するのに適した方法が包含され得る。
【0021】
方法100はまた、第2の溶接面44と溶接面64との間に溶接継手80を形成することにより第2のローターセクション60を多元合金ローターセクション20に溶接すること150も含んでいる。溶接150にも、任意の適切な溶接方法又は、類似の金属及び合金を接合する方法、特にNi基、Fe基及びCo基超合金、若しくはこれらの組合せを始めとする各種超合金を接合するのに適した方法、並びに各種グレードのステンレス鋼を始めとする各種グレードの鋼を接合するのに適した方法が包含され得る。溶接工程140及び溶接工程150は同じ溶接方法又は異なる溶接方法を利用することができる。1つの代表的な実施形態において、溶接140及び溶接150はいずれも、融接、例えばタングステン不活性ガス(TIG)、サブマージアーク(SA)電子線(EB)、レーザー溶接又は溶接される材料のリフローが界面の近くに局在化される他の融接方法を含む。
【0022】
1つの代表的な実施形態において、方法100は、第1のローターセクションを溶接する140か又は第2のローターセクションを溶接する150前に鍛造された多元合金ローターセクション20を機械加工すること160を含んでもよい。機械加工160を用いて、第1の端部36及び第2の端部46でセクション20の中央の部分から材料を除去して、図示したような内側に凹んだ面を形成することができる。これらの位置における材料の除去は、第1の溶接面34及び第2の溶接面44の形成及び画定と併せて使用することもできる。また、これらの位置における材料の除去により、ハブの内部に望ましい隙間82が提供され、溶接中溶接面34及び44全体がこれらに跨る溶接継手を形成するのに充分な程に近付き得る溶接150が可能になり、かつローターセクションの直径全体にわたる溶接部を形成する必要性が排除される。機械加工160には、あらゆる適切な形態の金属加工、例えば、CNC機械加工、研磨などを始めとする溶接のための溶接面を調製するのに使用される方法が包含され得る。
【0023】
方法100はまた、第1のローターセクションを溶接する140か又は第2のローターセクションを溶接する150前に鍛造された多元合金ローターセクション20を熱処理すること170を含んでいてもよい。熱処理には、第1の合金30若しくは第2の合金40、又はその両者の特性を作り出すのに望ましいあらゆる適切な熱処理が包含させ得る。これには、全溶体化(スーパーソルバス)熱処理、部分溶体化(サブソルバス)熱処理(すなわち、合金ミクロ組織の1つ又はその他を十分に再結晶させない)、時効化熱処理、相変態熱処理などが包含され得る。提供されるあらゆる熱処理170は、第1の合金30及び第2の合金40の両方の特性に与える影響を考慮しなければならない。熱処理170はまた、第1の合金30及び第2の合金40が異なる最高温度、異なる保持温度、加熱及び冷却速度などを始めとする異なる加熱及び冷却計画に付される様々な形態の差動熱処理も包含し得る。
【0024】
本明細書に記載されているタービンローター10構造体は特別に設計された鍛造された多元合金ローターセクション20を使用する。すなわち、鍛造品の一方の端部の合金化学成分及び冶金学的特性が1つの合金組成(例えば CrMoV低合金鋼)を含み、鍛造品の他方の端部が第1の合金組成とは異なる第2の合金組成(例えばニッケル基超合金)を含む。かかる鍛造された多元合金ローターセクション20は、各端部で同一の合金組成を有するモノリシック合金ローターセクションと溶接することにより有効に接合することができ、確立されている溶接手法に従って優れた低リスクで類似の合金組成溶接部を生成することができる。
【0025】
方法100により製造されるタービンローター10はモノリシック又は差動熱処理を用いて熱処理することができ、この場合、1以上の多元合金セクション20、又はモノリシックローターセクション50、60の熱処理条件(例えば、温度、時間、加熱速度、冷却速度、雰囲気)は、ローター10内で所望のミクロ組織及び特性を達成するために、例えば、機械的強さ、強靱性など高めるために、他のセクションと、又は1つのセクション(例えば、多元合金セクション20)内で異なる。
【0026】
1つの重要な局面は、高温強度、クリープ、及び亀裂抵抗性を有する材料を使用する高温段と、より高い強度及び強靱性を有するがより低いクリープ抵抗性を有する材料を使用する相対的に低温の段との間のギャップを埋めるスペーサーとして、特別に設計された鍛造された多元合金セクション20を使用することである。かかるスペーサー鍛造品を使用すると、本明細書に記載されたような異なる金属溶接継手を有する溶接されたローターで起こる問題を呈することがなく、以下の利点を有する類似の合金溶接継手が可能になる。先ず第一に、類似の合金溶融池の凝固範囲は異なる合金溶融池よりずっと狭いので、類似合金化学成分は確立されている溶接手法を用いて溶接部及び熱影響域(HAZ)の亀裂発生のリスクを伴うことなく互いに溶接することができる。第二に、類似の合金溶接継手内は熱膨張の不整合が比較的に低く、このためその継手部の熱的歪みが低くなるので、溶接部及びHAZの亀裂発生のリスクが低くなる。第三に、類似の合金溶接部は複雑な望ましくない冶金学的相のリスクが比較的低く、従って長期のミクロ組織安定性が増大する。鍛造された多元合金ローターセクション20はそれ自体がローターの作動セクションとして機能するが、ローターの長さに沿って類似の合金溶接継手の使用を可能にするスペーサー又は移行部材としても機能し、同様に本明細書に記載したような乏しい溶接性及び溶接特性を始めとする異なる合金溶接継手の使用に伴うある種の制限及び問題を回避する。第四に、このローターセクション構成によると、非常に高価であり大きいサイズで製造するのが困難であることが知られている大きいモノリシックローター鍛造品を使用するのではなくより小さいローターセクション鍛造品を用いて、必要なところにだけ高いコストの高温合金を使用することによってより低いコスト及び改良された生産性が得られる。本明細書に記載されているローター10のもう1つ別の独特な局面は、様々な段のクリープ強度要件を生み出すために、ボア及びリム合金の割合及び組成、並びに軸方向の合金差を調整できる能力である。
【0027】
これらのローター10は、所望の機械的性質、溶接品質、生産性(より小さいセクションは一般にモノリシックローターより生産性が高い)、耐食性、全体の材料コスト(全体のローター10ではなく必要な部分の1以上のセクション20のみに高いコストの合金を使用)、及び所望の溶接継手(異なる合金溶接部ではなく類似の合金溶接部の使用)を提供するのに適当な大きさ及び合金組成又は化学成分の鍛造された多元合金セクション20を用いて構築することができる。鍛造セクションの化学成分及びミクロ組織は、ローター段の温度能力及び特性必要条件を満たすように選択することができる。多元合金鍛造ローターセクション20は、本明細書に記載されているいずれかのアプローチを用い、隣接するモノリシックセクション化学成分の割合を変動させて製造することができる。鍛造された多元合金セクション20の端面の溶接継手は、ローターセクション20の合金と実質的に同様又は同一の合金組成の隣接するモノリシック合金ローターセクションの類似の合金溶接部を用いて製造することができる。
【0028】
図1A〜9Dを参照して、鍛造された多元合金ローターセクション20は、一般に本明細書中では鍛造というが、鍛造と共に、熱感圧延のような多元合金鍛造プリフォームを可塑的に変形するその他の方法を包含し得るあらゆる適切な形成方法によって製造することができる。例えば、一般に図1A−1B及び3A−3Iを参照して、これは、本明細書中でさらに記載されるように、粉末金属圧縮体の縦軸に沿って少なくとも軸方向に分離された少なくとも2種の異なる合金組成を様々な割合で含有する粉末金属圧縮体又はプリフォームから形成された特別に設計された多元合金ローターセクションの鍛造220を含み得る。この圧縮体は次いで、熱感静水圧プレス(HIP)又は何らかの適切な粉末圧縮体圧密化法により圧密化して多元合金鍛造プリフォームを形成した後所望の形態に鍛造するか、或いは押し出し圧密化して鍛造プリフォームを形成した後所望の形態に鍛造することができる(図3A−3I)。一般に図4A−5Bを参照して、多元合金ローターセクション20の鍛造はまた、半径方向に分離された(例えば、ボア及びリム領域)少なくとも2種の異なる合金を様々な割合で含有する特別に設計された多元合金粉末金属圧縮体の鍛造も含み得る。この圧縮体は次いで、HIP又は何らかの適切な粉末圧縮体圧密化法により圧密化して鍛造プリフォーム340を形成し、所望の形態に鍛造するか、又は押し出して鍛造プリフォームを形成し、その後鍛造プリフォームの鍛造により鍛造された多元合金ローターセクション20を形成することができる。一般に図6A−7を参照すると、セクション20の鍛造はまた、所定の組成上又は化学成分の傾斜を有する多元合金電極のESR又はVAR融解により製造された多元合金ESR又はVARインゴットを含むプリフォームの鍛造も含み得る。これらの電極は、HIP若しくは他の適切な粉末圧縮体圧密化法により、又は多元合金鍛造プリフォームを形成するために所望の合金組成のロッドのようなプリフォームを摩擦溶接若しくは慣性溶接することにより形成された圧密化された粉末圧縮体を含み得、その後かかるプリフォームの鍛造により鍛造された多元合金ローターセクション20を製造する。一般に図8A−8Dを参照すると、セクション20の鍛造はまた、第2の合金組成のプリフォームの上に第1の合金組成物を溶射成形するか、或いは第1の合金組成のプリフォームを溶射成形した後そのプリフォームの上に第2の合金組成物を溶射成形して多元合金鍛造プリフォームを生成することによって製造されたプリフォームを鍛造する方法700も含み得、その後溶射成形されたプリフォームをHIPにより圧密化し、かかるプリフォームを鍛造(又は圧延)して、鍛造された多元合金ローターセクション20を形成する。一般に図9A−9Dを参照すると、セクション20の鍛造はまた、第1の合金組成の粉末を第2の合金組成のプリフォームに適用することにより、例えば1つの合金組成の層を(例えば、粒子をレーザー結合することにより)第2の合金組成のプリフォームの溶接継手面に適用することにより製造された鍛造プリフォームの鍛造900も含み得、その後HIPにより粉末層を圧密化し多元合金鍛造プリフォームを形成した後、鍛造プリフォームの鍛造により鍛造された多元合金ローターセクション20を形成する。鍛造された多元合金ローターセクションを形成する方法に使用する多元合金鍛造プリフォームを形成するためのこれらの方法を以下にさらに記載する。
【0029】
再び図1A及び1Bを参照して、多元合金多セクション溶接タービンローター10は、モノリシックミクロ組織22及び縦軸24を有する鍛造された多元合金ローターセクション20を有している。本明細書で使用する場合、モノリシックミクロ組織とは、多元合金ローターセクション20がそれらの間に界面23においてそれぞれの合金の構成成分の限定された相互混合により特徴付けられる一体となったミクロ組織を有するか、或いは2つの合金の間の移行ゾーンが局在化された歪みの集中を回避するために化学成分及びミクロ組織の制御された傾斜を提供するように調整することが可能であるという事実を指していう。界面23は、第1の合金30及び第2の合金40の一方又は両方の融解及び再凝固により特徴付けられ、さらには融解/再凝固に独特なミクロ組織の形態学的特徴、例えばこれらのプロセスに関連する独特な相、特に上記のような低い融解温度相により特徴付けられるミクロ組織を有する溶接継手を含まない。図1A及び1Bに示されているように、鍛造された多元合金ローターセクション20は、円筒型のハブ26及び、ハブ26から外側へ突出している複数の軸方向に間隔をあけ軸方向に分離された円筒型のディスク27、28、29を含むように構成され得る。図1A及び1Bに示されているように、第1の合金部分30と第2の合金部分40は鍛造された多元合金ローターセクション20に沿って軸方向に分離され得る。また、図1A及び1Bに示されているように、第1の合金部分30と第2の合金部分40は縦軸24に関しても半径方向に分離され得る。鍛造された多元合金ローターセクション20のこれらの局面により、タービンローター10に課される設計及び性能要件に関して必要とされる場合、異なる合金特性を有する合金を軸方向に間隔をあけて配置することができるという能力を含めて有利な設計自由度が得られる。例えば、ローター10のHPセクション90において、このセクションに使用される第1の合金30又は第2の合金40として選択される合金は高い作動温度における高強度、高温酸化に対する抵抗性、高温保持時間疲労亀裂抵抗性、高温の侵食及び腐食耐性などが必要とされ得る。同様に、作動温度が一般に幾らか低いIPセクション92においては、IPセクション92の部分、又はこのセクションに位置するタービンディスクの最も外側の部分、例えば突出するディスク28の最も外側の部分で、HPセクションに関して上記した高温特性の幾つか又は全てを保持するのが望ましいであろう。また、ローター10のコア部分すなわちハブ26では、このセクションにおける増大した動的負荷(ダイナミックローディング)のため、より高い強靱性を提供するのが望ましいであろう。さらに、LPセクション94の場合、ローター10のこのセクションにおける大幅に低い作動温度のため、上記の高温特性の要件は実質的に低下し得、一方、ローター10のこのセクションに取り付けられるなお大きくてより重いタービンブレードに関連してローター10のこのセクションでは動的負荷がさらに大きいため、このセクションはHPセクション90及びIPセクション92と比べて高まった強靱性を有するのが望ましいであろう。
【0030】
鍛造された多元合金ローターセクション20は鍛造されたミクロ組織を有する。鍛造されたミクロ組織は鍛造に特徴的な変形を含んでいる。
【0031】
第1の合金30と第2の合金40は異なる合金構成成分、構成成分の相対量、異なる相若しくは異なるミクロ組織形態、又は以上の組合せのいずれかを有する異なる合金組成である。例えば、第1の合金30又は第2の合金40の一方はNi基若しくはFe基超合金、又はこれらの組合せを含み得、第1の合金30又は第2の合金40の他方はステンレス鋼のような鋼を含み得る。
【0032】
LPセクション94合金として使用する第1の合金30又は第2の合金40の1つとして適した注目に値する商業用合金としては、様々な量のニッケル、クロム、モリブデン、バナジウム、化学成分又はその他の構成成分を含み、一般に表1に特定されているNiCrMoV型の低合金鋼がある。IPセクション92又はHPセクション90として使用するのに適した合金としては、本明細書に記載されている種類の増大する高温特性を有する各種の合金、例えば従来のCrMoV低合金鋼、様々なレベルのMo、V、W、Nb、B及びNを有する9−14Cr型ステンレス鋼合金、Fe−Ni合金、又はNi基超合金がある。LPセクション94に適した合金として次のものがある。
【0033】
【表1】

HP及び中間セクション90及び92として適した合金には次のものがある。
【0034】
【表2】

図2Bを参照して、鍛造された多元合金ローターセクション20は、多元合金鍛造プリフォーム21を形成し210、多元合金鍛造プリフォーム21を鍛造して220鍛造された多元合金ローターセクション20を形成することを含む方法200により提供し得る。形成する工程210と鍛造する工程220は、図3A−9Dに示され、以下にさらに記載する幾つかの代表的な実施形態を参照して理解され得る。
【0035】
図3A−3Iを参照して、1つの代表的な実施形態において、多元合金鍛造プリフォーム21(図3F)を形成する工程210では、多元合金粉末プリフォーム350(図3E)を形成する工程310を含む方法300を使用し得る。多元合金粉末プリフォーム350は、第1の合金組成32を有する第1の金属粉末を含んでなる第1の部分352と、第2の合金組成42を有する第2の金属粉末を含んでなる第2の部分356とを含んでいる。方法300はまた、粉末プリフォーム350を圧密化して320、第1の合金組成354の粉末を焼結し密度を高めて第1の合金30を形成し、また第2の合金組成358の粉末を焼結し密度を高めて第2の合金40(図3F)を形成することも含んでおり、この第1の合金30と第2の合金40が多元合金鍛造プリフォーム21を構成する。
【0036】
図3Aを参照して、第1の合金組成32を有する第1の金属粉末の層を金属缶金属缶のような適切な容器364に入れる。この層は任意の適切な厚さを有することができる。図3Bを参照して、第1の管366を容器364内に挿入して、第2の合金組成42の粉末を第1の管366の内部に、また第1の合金組成32の粉末を管366の外側に分離して配置すると共に、これらの粉末部分の所定の大きさ及び位置を提供する。この容器364に、両方の合金粉末を第1の所定のレベル368まで充填する。第1の所定のレベル368に達したら、第1の管366を引き抜く。図3Cを参照して、第2の管370を容器364内に入れる。図示した実施形態において、第2の管370は第1の管366より大きい直径を有している。しかし、相対的な直径の大きさが逆転した他の実施形態も可能である。第1の管366と第2の管370の両方の中心を容器364の縦軸372と合わせて、粉末を容器364内で軸対称に配置することができる。この容器364に、再び両方の合金粉末を第2の所定のレベル374まで充填する。第2の所定のレベル374に達したら、第2の管370を引き抜く。このプロセスを様々な直径の任意の数の管を用いて繰り返して、2種の粉末の界面に所望の数の段を形成することができる。図3Dを参照して、第2の管370を引き抜いたら、容器364に再び第2の合金組成42の粉末を充填する。容器364に充填したら、密封状態で容器364にカバー376を取り付け、容器364を、例えば密封管378を介して排気した後、図3Eに示されているように密閉することにより多元合金粉末プリフォーム350を形成する310。図3Eを参照して、排気した容器364と多元合金粉末プリフォーム350を圧密化して320、一定時間適切に加熱・加圧することにより、例えば、熱感静水圧プレス(HIP)で押圧することにより、多元合金粉末プリフォーム350を焼結し十分又は理論密度まで緻密にする。その後、容器364を、機械加工のような化学的又は機械的方法を始めとする任意の適切な方法によって除去することにより、図3Fに示したような多元合金鍛造プリフォーム21を形成する210ことができる(図2B)。多元合金鍛造プリフォーム21(例えば、ビレット)は階段状の第2の合金40の上に第1の合金30の補完的な階段状の内部構造を有する。この構造により、多元合金鍛造プリフォーム21内で第1の合金32と第2の合金42の軸方向(長手方向)と半径方向の両方向の分離が可能になる。
【0037】
図3F及び3Gを参照して、多元合金鍛造プリフォーム21を次いで適切な鍛造プレスで鍛造して220、鍛造された多元合金ローターセクション20を形成することにより、変形及び塑性流れを引き起こし、結果として本明細書に記載される鍛造された多元合金ブランク390を得る。
【0038】
鍛造220の後、鍛造された多元合金ブランク390はさらに仕上げ加工処理を受けてローターセクション20を形成する。注目されるように、この構成により、第2の合金40の可変の直径のコアを覆う第1の合金30の可変の厚さの被覆が得られ、ここでカバーの厚さとコアの直径は反比例して変化する。また、例示した構成により、実質的に全部が第2の合金である一方の端部と実質的に全部が第1の合金である反対の端部も得られるが、他の構成も可能である。鍛造された多元合金ブランク390は次に、図3Hに示されているように、溶体化熱処理、部分溶体化熱処理、時効化熱処理、などのような熱処理240にかけて特性を引き出すことになろう。
【0039】
図3Iを参照して、鍛造された多元合金ブランク390を機械加工250して、本明細書に記載されている特徴を有する第1の合金30と第2の合金40をもつ鍛造された多元合金ローターセクション20を形成する。鍛造された多元合金ローターセクション20は、縦軸24に沿って軸方向に分離され、また縦軸24に関して半径方向に分離された第1の合金30と第2の合金40を含んでいる。図1A及び1Bを参照して、鍛造された多元合金ローターセクション20は方法100に従って本明細書に記載されている多セクション多元合金ローターを製造するのに使用することができる。第1の合金30と第2の合金40のこの構成は、ハブ26(図1B)が実質的又は全体的に第2の合金40からなり、突出ディスク27、28、29がディスクの周辺の部分に様々な量と厚さの第1の合金30を有する多元合金ローターセクション20を提供するのに使用することができ、ここで厚さ(t)はローターセクション20の長さに沿って軸方向に変化する。この構成を使用して、例えば、ローターセクション20のHPセクション90及び端部に高温合金を配置すると共に、この合金の厚さをローターの長さに沿ってローターセクション20のLPセクション94及び反対側の端部に向かって低減することができる。
【0040】
図4A−4Jを参照して、第2の代表的な実施形態において、多元合金鍛造プリフォーム21はまた、多元合金粉末プリフォーム350を形成する工程310を含む方法300によって形成することもできる。多元合金粉末プリフォーム350は、第1の合金組成32を有する第1の金属粉末を含んでなる第1の部分352と、第2の合金組成42を有する第2の金属粉末を含んでなる第2の部分356とを含んでいる。方法300はまた、粉末プリフォーム350を圧密化して320、第1の合金組成32の粉末を焼結し緻密にして第1の合金30を形成すると共に、第2の合金組成42の粉末を焼結し緻密にして第2の合金40を形成することも含んでおり、この第1の合金と第2の合金40が多元合金鍛造プリフォーム21を構成する。
【0041】
図4Aを参照して、第1の管366を容器364内に挿入して、第2の合金組成42の粉末を第1の管366の内部に、また第1の合金組成32の粉末を管366の外側に分離して配置すると共に、これらの粉末部分の所定の大きさと位置を定める。容器364に両方の合金粉末を充填し、第1の管366を引き抜く。第1の管366は容器364の縦軸372と中心を合わせて、粉末が容器364内で軸対称に配置されるようにすることができる。第1及び第2の合金粉末の軸対称の配置は、粉末が圧密化されたとき得られるローターセクションの長さに沿って軸372に対する第1の合金と第2の合金の慣性モーメントの回転のバランスを維持する点で有利である。容器364が充填されたら、金属蓋のようなカバー376を容器364に密封状態で取り付け、図4Bに示されているように密封管378を介するといったような何らかの適切な排気手段を用いて排気した後密閉することにより多元合金粉末プリフォーム350を形成する310。図4Cを参照して、排気した容器364と多元合金粉末プリフォーム350を圧密化し320て、一定の時間適切に加熱・加圧することにより、例えば熱感静水圧プレス(HIP)でプレスすることにより、粉末プリフォーム350を焼結し十分な又は理論密度に密度を高めて多元合金鍛造プリフォーム21(図4E)を形成する。多元合金鍛造プリフォーム21は、第2の合金40の円筒を覆う第1の合金30の環状のリングを含む構造を有している。この構造により、多元合金鍛造プリフォーム21内の第1の合金30と第2の合金40の半径方向の分離が提供される。或いは、図4Dを参照して、多元合金鍛造プリフォーム21は、第1の合金組成32の粉末と第2の合金組成42の粉末を、粉末が圧密化され押出物が形成されるのに充分な温度で押出ダイ365に通して矢印359で示される方向に押し出すことによって形成してもよい。この押出物は切断して多元合金鍛造プリフォーム21を形成することができる。
【0042】
図4D−4Fを参照して、多元合金鍛造プリフォーム21を次に適切な鍛造プレスで鍛造する220ことにより、変形と塑性流れを起こさせ、結果として鍛造されたミクロ組織を得る。
【0043】
鍛造220の後、鍛造された多元合金ブランク390をさらに仕上げ加工処理にかけて本明細書に記載されているローターセクション20を形成する。第1の合金30と第2の合金40が圧縮されると、第2の合金40の均一な円筒と第1の合金30の環状のリングは外側へ変形し、他の合金の一体型の外側へ膨らんだ円筒を覆って一方の合金の外側へ膨らんだ層又はシェルを形成する。注目されるように、この構造により、第2の合金40の可変の直径のコアを覆う第1の合金30の均一な厚さの被覆が得られ、ここでコアの直径は両端における概略同じ直径からコアの中央の領域におけるより大きい直径へと増大し、一方被覆はコアの周辺全体で均一な厚さを維持する。鍛造された多元合金ブランク390は場合により、本明細書に記載され、図4Gに示されているように、溶体化熱処理、部分溶体化熱処理、時効化熱処理、等、又はこれらの組合せのような熱処理240にかけてその特性を引き出すことができる。図4H、或いは図4I及び4Jを参照して、鍛造された多元合金ブランク390を機械加工して250、本明細書に記載されている特徴を有する鍛造された多元合金ローターセクション20を形成する。鍛造された多元合金ローターセクション20は縦軸24に沿って半径方向に分離された第1の合金30と第2の合金40を含んでいる。鍛造された多元合金ローターセクション20は、本明細書に記載されている多セクション多元合金ローター10を製造するのに使用することができる。この第1の合金と第2の合金の構成を使用して、ハブ26(図1B)が実質的又は全体的に第2の合金40からなり、1以上の突出ディスクがディスクの周辺の部分で第1の合金30の均一な厚さを有し、その厚さ(t)がローターセクション20の長さに沿って軸方向に変化するような多元合金ローターセクション20を提供することができる。この構造体は、例えば、ローターセクション20のHPセクション及び高温の端部に高温合金を配置し、この合金の厚さをローターの長さに沿ってローターセクション20のLPセクション及び反対側(比較的に低い温度)の端部に向かって低減するのに使用することができる。図4I及び4Jに示されているように、機械加工250を用いて、本明細書に記載されている目的のために例示されている内側に凹んだ面のように、第1の端部36及び第2の端部46でセクション20の中央の部分から材料を除去することもできる。鍛造された多元合金ローターセクション20を使用して、本明細書に記載されている多セクション多元合金ローター10を製造することができる。
【0044】
図5A及び5Bを参照すると、多元合金多セクション溶接タービンローター10を製造する第2の代表的な実施形態の方法400が開示されている。この方法400は、各々がモノリシック構造22.1及び22.2を有する複数の鍛造された多元合金ローターセクション20.1及び20.2を用意する工程410を含んでいる。多元合金ローターセクション20.1は第1の合金組成32.1を有する第1の合金30.1部分と第2の合金組成42.1を有する第2の合金40.1部分とを含んでいる。第2の合金40.1部分は多元合金ローターセクション20.1の第1の端部36.1に第1の溶接面34.1を含んでいる。第2の合金40.1は第1の端部36.1と反対側の第2の端部46.1に第2の溶接面44.1を含んでいる。第1の合金組成32.1は第2の合金組成42.1とは異なっており、本明細書に記載されているものを含めていかなる適切なローター合金も含み得る。
【0045】
多元合金ローターセクション20.2は第1の合金組成32.2を有する第1の合金30.2部分と第2の合金組成42.2を有する第2の合金40.2部分とを含んでいる。第2の合金40.2は多元合金ローターセクション20.2の第1の端部36.2に第1の溶接面34.2を含んでいる。第1の合金30.2は第1の端部36.2と反対側の第2の端部46.2に第2の溶接面44.2を含んでいる。第1の合金組成32.2は第2の合金組成42.2とは異なっており、本明細書に記載されているものを含めていかなる適切な合金も含み得る。第1の合金30.1と第1の合金30.2は同じ合金組成とミクロ組織形態又は異なる合金組成とミクロ組織形態を任意の組合せで有し得るが、第2の合金組成42.1と第2の合金組成42.2はそれらの間の異なる合金溶接継手の形成を回避するために実質的に同一であるべきである。図5Aを参照して、第2の合金組成42.1と第2の合金組成42.2は実質的に同一でなければならないが、それぞれセクション20.1及び20.2における第2の合金組成42.1及び第2の合金組成42.2の相対量は異なっていてもよい。例えば、鍛造された多元合金ローターセクション20.1においては、ハブ26.1全体と突出ディスクの一部分が第2の合金組成42.1から形成されているが、鍛造された多元合金ローターセクション20.2では、ハブ26.2の一部分のみが第2の合金組成42.2から形成され、突出ディスクは全くそうなっていない。少なくとも2つの多元合金ローターセクション20.1、20.2の組合せにより、第1の合金30.1及び30.2の厚さ(t)は異なることができる(例えば、図5B)。この構成により、有利なことに、第1の合金30.1及び第1の合金30.2の厚さをローター10の長さに沿って変えることが可能になる。さらに、この構成によって、有利なことに、同様な合金溶接部の使用を維持しながら、第1の合金組成32.1を第1の合金組成32.2と異なるものとすることも可能になるであろう。
【0046】
方法400はまた、第1のローターセクション合金組成52及び第1の溶接面34.1に近接して配置されるように構成された溶接面54を有する第1のローターセクション50を用意すること420も含んでいる。第1のローターセクション合金組成52は溶接面54に近接する第2の合金組成42.1と実質的に同じである。図5A及び5Bに示されている代表的な実施形態において、第1のローターセクション合金組成52は溶接面54に近接する第2の合金組成42.1と実質的に同じであり、この実施形態において、組成52は第1のローターセクション50全体で実質的同一である。
【0047】
方法400はまた、第2のローターセクション合金組成62及び第2の溶接面44.2に近接して配置されるように設定された溶接面64を有する第2のローターセクション60を用意すること430も含んでいる。第2のローターセクション合金組成62は溶接面64に近接する第2の合金組成42.2と実質的に同じである。図5A及び5Bに示されている代表的な実施形態において、第2のローターセクション合金組成62は溶接面64に近接する第2の合金組成42.2と実質的に同一であるべきであり、この実施形態において組成62は第2のローターセクション60全体で実質的に同一である。
【0048】
方法400はまた、第1のローターセクション50を鍛造された多元合金ローターセクション20.1に溶接して440、同様な合金溶接部70を形成することも含んでいる。第1の溶接面34。溶接440は、任意の適切な溶接方法又は類似の金属及び合金を接合するための方法、特にNi基、Fe基及びCo基超合金、又はこれらの組合せを始めとする各種の超合金を接合するのに適切なもの、並びに各種のグレードのステンレス鋼を始めとする各種のグレードの鋼を接合するのに適切なものを包含し得る。
【0049】
方法400はまた、第2のローターセクション60を鍛造された多元合金ローターセクション20.2に溶接して450、第2の溶接面44.2に沿って類似の合金溶接部80を形成することも含んでいる。溶接450はまた、任意の適切な溶接方法又は類似の金属及び合金を接合する方法、特にNi基若しくはFe基超合金、又はこれらの組合せを始めとする各種の超合金を接合するのに適したもの、及び各種グレードのステンレス鋼を始めとする各種グレードの鋼を接合するのに適切なものを包含し得る。溶接工程440及び溶接工程450は同じ溶接方法又は異なる溶接方法を利用することができる。1つの代表的な実施形態において、溶接440及び溶接450には、本明細書に記載されている融接の形態が包含され得る。
【0050】
方法400はまた、第2の溶接面44.1を第1の溶接面34.2に溶接して類似の合金溶接部75を形成することによって第1の多元合金ローターセクション20.1を第2の多元ローター合金セクション20.2に溶接する工程460も含んでいる。溶接460はまた、任意の適切な溶接方法又は類似の金属及び合金を接合する方法、特にNi基若しくはFe基超合金、又はこれらの組合せを始めとする各種の超合金を接合するのに適したもの、及び各種グレードのステンレス鋼を始めとする各種グレードの鋼を接合するのに適したものを包含し得る。溶接工程440、溶接工程450及び溶接工程460は本明細書に記載されている融接の形態を包含し得る。
【0051】
本明細書に記載されているタービンローター10構造体は、鍛造品の一方の端部における合金化学成分及び冶金学的特性が1つの合金組成(例えばCrMoV低合金鋼)を含み、一方鍛造品の他方の端部が第1の合金組成と異なる第2の合金組成(例えばニッケル基超合金)を含む特別に設計された鍛造された多元合金ローターセクション20を使用する。かかる鍛造された多元合金ローターセクション20は、各端部で類似の、又は同じ合金組成を有するモノリシック合金ローターセクションに溶接することにより効果的に接合し、確立されている最良の溶接手法に従って製造される優れた低リスクで類似の合金組成溶接部を与えることができる。
【0052】
図6A−6Fを参照すると、別の代表的な実施形態において、多元合金鍛造プリフォーム21はまた、電極軸524を有する多元合金電極512を用意する工程510を含む方法500によって形成することもできる。多元合金電極512は、第2の合金組成42を有する第2の合金40を含んでなる軸方向に分離された第2の電極部分516に接合された第1の合金組成32を有する第1の合金30を含んでなる第1の電極部分514を有する。方法500はまた、多元合金電極512を融解して520多元合金鍛造プリフォーム21を形成する工程も含んでいる。
【0053】
図6Aを参照して、多元合金電極512は、第1の合金組成32を有する第1の合金30の円筒型のバー又はロッドのような第1の合金の第1の電極部分514と、第2の合金組成42を有する第2の合金40の円筒型のバー又はロッドのような第2の電極部分516とを接合することによって提供する510ことができる。第1の合金30と第2の合金40の接合は、例えば、摩擦溶接又は様々な形態のアーク溶接のようなあらゆる適切な接合方法を包含し得る。或いは、多元合金電極512は、第1の合金組成32を有する第1の電極粉末部分と第2の合金組成42を有する第2の電極粉末部分とを含む本明細書に記載されている粉末プリフォームを形成し、この粉末プリフォームを圧密化して、第1の合金組成32の第1の粉末部分を、また第2の合金組成42の第2の粉末部分を焼結し緻密にして第1の合金30を形成し、また第2の合金40を形成することによって提供する510ことができ、これらの合金が共に多元合金電極512を形成する。図6Aに示されている実施形態においては、図5Aに示されているように第1の電極部分514と第2の電極部分516との間に平面の界面のようなはっきりと線引きされた界面518がある。図3A−3Fを参照して上記した多元合金粉末プリフォームを形成し、この粉末プリフォームを圧密化して多元合金鍛造プリフォームを形成する方法を使用しても多元合金電極を形成することができるが、但し、粉末プリフォームは図3A−3Fの階段状の構造ではなく2つの別個の軸方向に分離された部分を有する。もう1つ別の代表的な実施形態(図示してない)において、粉末プリフォームは、界面518ではなく、第1の電極粉末部分と第2の電極粉末部分との間に位置する所定の合金組成を含む移行粉末部分を含むこともできる。1つの代表的な実施形態において、所定の合金組成は、第1の合金組成32を有する第1の電極粉末と第2の合金組成42を有する第2の電極粉末との混合物として得ることができる組成を含み得、第1又は第2の合金組成の一方が0−100重量%の範囲であり得、残りの他の合金組成は100%にするのに必要な差である。移行粉末部分はいかなる所定の合金組成を有していてもよく、またいかなる適切な厚さを有していてもよく、第1の粉末部分の第1の界面及び第2の粉末部分の第2の界面は直交平面形状、及びあらゆる湾曲した形状を含めて任意の適切な形状でよく、軸に関して軸対称の界面形状が本明細書に記載されている理由から好ましい。圧密化の際、移行粉末部分は圧密化されて所定の合金組成を有する移行合金を形成する。第1の合金組成32及び第2の合金組成42として適切な合金組成は上記のものである。移行合金として適切な所定の移行合金組成としては、第1の合金組成32及び第2の合金組成42として記載したものの中間の構成成分量を有する組成がある。
【0054】
図6Bを参照して、方法500はまた、多元合金電極512を融解520して多元合金鍛造プリフォーム21を形成することも含んでいる。融解520は任意の適切な方法を用いて実施することができる。適切な方法は一般に第1の合金組成32と第2の合金組成42の違いを保持する。
【0055】
融解520に適切な方法は、鋳造技術、好ましくは消耗電極再融解技術、例えばエレクトロスラグ再融解(ESR)又は真空アーク再融解(VAR)及び類似の融解方法を使用することを含む。従来のESR又はVAR技術と同様に、図6Bは、冷却したるつぼ532に収容された溶融池528の上に吊り下げられた電極512を示している。融解中、電極512の融解した液滴が凝固して、軸方向の長さに沿って第1の合金30、中間の合金536及び第2の合金40に対応する別々の領域を有する鍛造プリフォーム21を生成する。或いは、各々の合金の別個の部材を個別にそして順に融解させて鍛造プリフォーム21を形成することができよう。この方法が図6Bに示されているが、第1の合金30と第2の合金40の順序は図示したものと逆転させることができよう。第1の合金30、中間の合金536及び第2の合金40は鍛造プリフォーム21の対応するHP、中間及びLP領域を形成するのに適当な長さを有する。鍛造プリフォーム21の中間の合金536は第1の合金30と第2の合金40の間の移行ゾーン538である。多元合金電極512が上記の移行合金を含んでいるか否かに関わらず、本質的に融解プロセス中の第1の合金30と第2の合金40の相互混合の結果として中間の合金536が形成される。多元合金電極512が移行合金を含むように形成されると、中間の合金536を制御された中間の合金組成540又はある範囲の組成を有するように配合して、インゴット534及び鍛造プリフォーム21内の移行ゾーン538の化学成分の傾斜(すなわち、第1の合金30と第2の合金40のみの融解及び相互混合の結果とは異なる合金組成)及び/又は幅を制御することができる。移行ゾーン538は、溶融池528の形状に対応するが、鍛造プリフォーム21軸524に関してある程度非対称であることができる軸方向の境界を有する形状を有し得る。
【0056】
図6Dを参照して、鍛造220の際、第1の合金30、中間の合金536及び第2の合金40は鍛造された多元合金ローターセクション20(図6E)の対応する部分を画定し、図6Eに示されているように熱処理することができる。図6Fを参照して、多元合金ローターセクション20は、本明細書に記載されているように、ネット若しくは最終の形状又はニアネット若しくはほぼ最終の形状(例えば、図6F)に鍛造してもよいし、又は所望の形状に機械加工してもよい。
【0057】
図7を参照して、鍛造された多元合金ローターセクション20を使用して、本明細書に記載されている方法100に従って溶接された多元合金多セクションローター10を製造することができる。従って、鍛造された多元合金ローターセクション20及びそれから製造される溶接されたローター10は、第1の合金30と第2の合金40のミクロ組織の間に鋭い境界又は線引きではなく自身の鍛造されたミクロ組織を有する中間の合金536及び移行ゾーン538及び中間の合金組成540を含む。
【0058】
引張強さ、破壊靱性、破壊強度、クリープ疲労、熱安定性、及び高い工程能力(反復可能性及び再現性)、並びにコスト目標のようなセクション20に所望の性質を実現するためには、鍛造された多元合金ローターセクション20の異なるHP、IP及びLPセクションに対して様々な特性が要求される。例えば、図1Eを参照して、ローターに所望の機械的性質を達成するために、鍛造されたローターセクション20の多元合金の化学成分は、機械加工の前の差動熱処理が望ましくなるように異なる熱処理温度及び持続時間が必要となるほど充分に異なるのが適当である。このために、多数の温度ゾーンを有する炉(図示してない)を用いて、ローターセクション鍛造品20の各々の領域90、92及び94に適当な熱処理温度を提供することができる。熱処理は、特定の合金の溶体化又はオーステナイト化処理及び時効化又は焼き戻し処理の両方に対して異なる温度を含み得る。溶体化又はオーステナイト化温度からの差動冷却も好ましく使用される。有害な析出反応を回避し、及び/又は強靱性を高めるべく、十分なセクション硬化を達成するために急冷を使用することができる。徐冷を使用して、熱応力を低減し、焼き割れのリスクを低下させることができる。ローターセクション鍛造品20に適した特定の温度、持続時間、並びに加熱及び冷却速度は使用する材料に依存し、かかる熱処理パラメーターは一般に当業者の能力の範囲内である。
【0059】
上記のようにモノリシック多元合金ローターセクション20製造でき、多元合金溶接ローター10を提供できることで、他の場合に第1の合金と第2の合金の別個のセクションを接合するのに必要とされる異なる合金の溶接に関連する欠点が排除される。
【0060】
図8A−8Dを参照すると、別の代表的な実施形態において、多元合金鍛造プリフォーム21はまた、第1の合金組成32を有する第1の合金30の層712を、第2の合金組成42を有する第2の合金40のプリフォーム714の上に溶射成形する710(図8A)ことを含む方法700によって形成することもできる。溶射成形710は、可動のスプレーノズル715、或いは固定ノズルとプリフォーム714が配置された可動のテーブル若しくはベッド(図示してない)とを用いて、融解した第1の合金30のスプレー713を吹き付けることによって実施することができる。或いは、複数の層712、712.1、712.2…712.nを使用してもよく、これらは同じ合金組成でもよいし、又は複数の異なる(例えば、32、32.1、32.2…32.n)合金組成で、それにより複数の異なる合金(例えば、30、30.1、30.2…30.n)を形成するようにしてもよい。さらに、第1の合金30と第2の合金40の役割を逆転させて(図示してない)、方法700が第2の合金組成42を有する第2の合金40の層を、第1の合金組成32を有する第1の合金30を含むプリフォームの上に溶射成形することを含むようにすることができる。層712は、例えば、プリフォーム714の溶接面となる一部分に設けた層を含んでいてもよい。層712は十分又は理論密度未満であり得るので、方法700は層712を圧密化する720(図8B)ことを含んでいてもよい。圧密化には、溶射された合金層を圧密化する任意の適切な方法、例えば溶射成形された層をHIPを用いて圧密化して鍛造プリフォーム21を形成する方法を含み得る。鍛造プリフォーム21は、鍛造220(図8C)(又は圧延)にかけて鍛造された多元合金ローターセクション20(図8D)を形成してもよい。鍛造された多元合金ローターセクション20はまた熱処理して、本明細書に記載されているように、冶金学的、機械的又は化学的性質を任意の組合せで引き出すこともできる。
【0061】
図9A−9Dを参照すると、もう1つ別の代表的な実施形態において、多元合金鍛造プリフォーム21はまた、例えば、可動のスプレーノズル915を介して、第1の合金組成32を有する第1の合金30の粉末913の層912、又は複数の層を、第2の合金組成42を有する第2の合金40のプリフォーム914の上に溶射することにより、適用する910(図9A)ことを含む方法900によって形成することもできる。粉末913の層912は可動のレーザー917を使用して融解させることにより圧密化することができる。或いは、プリフォーム914が可動であってもよいし、スプレーノズル及びレーザー917の一方又は両方を固定してもよい。或いはまた、複数の層912、912.1、912.2…912.Nを使用してもよく、これらは同じ合金組成でもよいし、又は複数の異なる(例えば、32、32.1、32.2…32.N)合金組成でもよく、これにより複数の異なる合金(例えば、30、30.1、30.2…30.Nを形成するようにしてもよい。さらに、また或いは、第1の合金30と第2の合金40の役割を逆転させて(図示してない)、方法900が第2の合金組成42を有する第2の合金40の層を第1の合金組成32を有する第1の合金30を含むプリフォームの上に溶射成形することを含むようにすることができる。層912は、例えば、プリフォーム914の溶接面となる部分に設けられた層を含んでいてもよい。層912は十分又は理論密度未満であり得るので、方法900はまた層912を圧密化する920(図9B)ことを含み得る。圧密化920は、例えば溶射成形された層をHIPを用いて圧密化して鍛造プリフォーム21を形成するといったような、溶融粉末粒子合金層912を圧密化する任意の適切な方法を含み得る。鍛造プリフォーム21は、鍛造プリフォーム21の鍛造220(図9C)(又は圧延)にかけて鍛造された多元合金ローターセクション20(図9D)を形成することができる。鍛造された多元合金ローターセクション20はまた、本明細書に記載されているように熱処理して、冶金学的、機械的若しくは化学的性質を任意の組合せで引き出すこともできる。
【0062】
限定された数の実施形態に関してのみ本発明を詳細に説明して来たが、本発明がかかる開示された実施形態に限定されないことは容易に理解されるであろう。むしろ、本発明は、記載しなかったが本発明の思想と範囲内に入る任意の数の変形、変更、置換又は均等物を含むように修正することができる。さらに、本発明の様々な実施形態を記載したが、本発明の局面は記載した実施形態の幾つかのみを含み得るものと了解されたい。従って、本発明は以上の説明に限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0063】
10 タービンローター
20 合金ローターセクション
21 合金鍛造プリフォーム
22 モノリシックミクロ組織
23 界面
24 縦軸
26 円筒型のハブ
27 突出ディスク
30 第1の合金部分
32 第1の合金組成
34 第1の溶接面
36 第1の端部
40 第2の合金
42 第2の合金組成
44 第2の溶接面
46 第2の端部
50 第1のローターセクション
52 セクション合金組成
54 溶接面
60 第2のローターセクション
62 セクション合金組成
64 溶接面
70 溶接継手
75 類似の合金溶接部
80 溶接継手
82 望ましい隙間
90 HPセクション
92 IPセクション
94 LPセクション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多元合金多セクション溶接タービンローターを製造する方法(100)であって、
モノリシック構造を有し、第1の合金組成(32)を有する第1の合金(30)及び第2の合金組成(42)を有する第2の合金(40)を含み、第1の端部(36)に第1の合金(30)を含む第1の溶接面(34)及び反対側の第2の端部(46)に第2の合金(40)を含む第2の溶接面(44)を含む鍛造された多元合金ローターセクション(20)を用意し(110)、
第1の合金組成(52)を含む第1のローターセクション(50)及び第2の合金組成(62)を含む第2のローターセクション(60)を用意し(120、130)、
第1のローターセクション(50)を第1の溶接面(34)に溶接し(140)、
第2のローターセクション(60)を第2の溶接面(44)に溶接する(150)
ことを含んでなる方法。
【請求項2】
多元合金鍛造プリフォーム(21)を形成し(210)、
多元合金鍛造プリフォーム(21)を鍛造して(220)、モノリシック構造を有する鍛造された多元合金ローターセクション(20)を形成する
ことを含む方法(200)によって鍛造された多元合金ローターセクション(20)を用意する、請求項1記載の方法(100)。
【請求項3】
第1の合金組成(32)を有する粉末を含む第1の部分(352)及び第2の合金組成(42)を有する粉末を含む第2の部分(356)を含む多元合金粉末プリフォーム(21)を形成し(310)、
粉末プリフォーム(21)を圧密化して(320)、第1の合金組成(32)の粉末を焼結し緻密にして第1の合金(30)を形成すると共に第2の合金(42)組成の粉末から第2の合金(40)を形成し、第1の合金(30)及び第2の合金(40)が多元合金鍛造プリフォーム(21)を構成する
方法(300)によって多元合金鍛造プリフォームを形成する、請求項2記載の方法(200)。
【請求項4】
第1の合金(30)又は第2の合金(40)の一方が他方の半径方向で内側に位置する、請求項3記載の方法(200)。
【請求項5】
多元合金ローターセクション(20)が縦軸(24)を有しており、第1の合金(30)及び第2の合金(40)が軸方向に分離されている、請求項3記載の方法(200)。
【請求項6】
電極軸(524)、軸方向に分離された第2の合金組成(42)を含む第2の電極部分(516)に接合された第1の合金組成(32)を含む第1の電極部分(514)を有する多元合金電極(512)を用意し(510)、
多元合金電極(512)を融解して(520)多元合金鍛造プリフォーム(21)を形成する
方法によって多元合金鍛造プリフォームを形成する、請求項2記載の方法(200)。
【請求項7】
第1の合金組成(32)を有する第1の電極粉末部分(352)及び第2の合金組成(42)を有する第2の電極粉末部分(352)を含む粉末プリフォームを形成し(310)、
粉末プリフォーム(21)を圧密化して(320)、第1の合金組成(32)の粉末及び第2の合金組成(32)の粉末を焼結し緻密にして多元合金電極(512)を形成する
ことによって多元合金電極(512)を用意する、請求項6記載の方法(500)。
【請求項8】
第1の合金(30)のプリフォームを形成し、
第2の合金(40)を前記プリフォーム上に付着させて(710、910)多元合金鍛造プリフォーム(21)を形成する
方法(700)によって多元合金鍛造プリフォームを形成する、請求項2記載の方法(200)。
【請求項9】
モノリシックミクロ組織及び縦軸(24)を有する多元合金ローターセクション(20)であって、ローターセクション(20)が、第1の合金組成(32)を有する第1の合金(30)及び第2の合金組成(42)を有する第2の合金(40)を含み、第1の合金(30)を含む第1の溶接面(34)を第1の端部(36)に、また第2の合金(40)を含む第2の溶接面(44)を反対側の第2の端部(46)に含みモノリシック構造が鍛造されたミクロ組織を有する多元合金ローターセクション(20)と、
第1の合金組成を含み、第1の溶接継手により第1の溶接面に接合された第1のローターセクションと、
第2の合金組成を含み、第2の溶接継手により第2の溶接面に接合された第2のローターセクションと
を含んでなる多元合金多セクション溶接タービンローター(10)。
【請求項10】
第1の合金(30)又は第2の合金(40)の一方が、縦軸(24)に関して他方の半径方向で内側に、又は縦軸に沿って軸方向に分離されて、又はこれらの組合せで位置している、請求項9記載のタービンローター(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−74916(P2011−74916A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212953(P2010−212953)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】