多孔性グラジエントポリマー複合材料
本発明は、数種の充填材及び/又は繊維並びに数個の孔を取り入れた発泡ポリマー複合材料製品であって、2つの異なるグラジエント、すなわち、充填材及び/又は繊維密度のグラジエント及び孔密度のグラジエントを示すことに特徴を有する、上記発泡性ポリマー複合材料製品に関する。
本発明によるポリマー複合材料は、組織工学、骨の置換、消費財、輸送又は任意の他の好適な分野において有利に使用されうる。本発明は、該ポリマー複合材料を製造する方法も含む。
本発明によるポリマー複合材料は、組織工学、骨の置換、消費財、輸送又は任意の他の好適な分野において有利に使用されうる。本発明は、該ポリマー複合材料を製造する方法も含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填剤及び/又は繊維を組み込んだポリマーに基づく、複合多孔質製品、及びそれらの加工方法に関する。かかる複合構造は、組織工学、骨の置換、消費財、輸送又は他の任意の好適な分野で有利に使用されることができる。
【背景技術】
【0002】
多孔性材料は、天然に(骨、木、スポンジなど)並びに合成材料(発泡体、サンドイッチ構造のためのハニカムなど)において数多く存在する。たとえば、骨の構造は、軽さ、剛性、強度、形状、多孔性、治癒性能などに関して性能を発揮しつつ、何百万年の間に自然に最適化されてきた。基本的に骨は、多孔率及び力学的特性のさまざまな分布を有する天然のセラミック及びポリマー材料であり、この材料及び構造を模倣することは興味深い。
【0003】
天然の骨の性能を発揮するか又は類似のミクロ構造に基づく任意の合成複合材料は、たとえば、最適化されたインプラントとしてそれらが使用可能なバイオ医療分野における応用などの、次世代ポリマー複合材料のための新たな機会を開くであろう。同様の構造が、軽さと強度が必要とされる応用における新規な機会も提案するであろう。
【0004】
本明細書においては、「多孔率」と「孔密度」は同義語である。
【0005】
多孔性ポリマー
ポリマー発泡体は、絶縁パネル、家具、ダンピング(damping)成分、複合材サンドイッチ構造などのさまざまな応用において広く使用されている。これらの多孔性固体の力学的特性は主に、孔の形態、原材料の特性及び泡の密度に依存する(Gibson and Ashby 1988)。いくつかの発泡方法がさまざまなポリマータイプにしたがって開発された(Klempner and Frisch 1991)。現在の研究は、孔サイズおよび密度の分布およびグラジエントをより良く制御し、並びにそれらの形態を発展させるために発泡メカニズムをより良く理解することを目的とする。
【0006】
複合材料
ポリマーベースの複合材料は、そのデザインの自由性のために開発され、ポリマーとさまざまな充填材または繊維との組み合わせを介する、個々に合わせた力学的特性を提供してきた(Manson 2000)。強化材の組成、配向及び構造が、所望の最終的性能を提供するために選択可能である。いくつかの加工方法が、最適の性能を保証するために最小限の多孔率を有する複合材料を得るという同じ目的で開発された。実際、制御されない孔の形態は、応力集中、剛性の減少及び早期の故障を誘導する。
【0007】
グラジエント材料
グラジエント材料の主な特徴は、その性質が位置とともに徐々に変化することである。材料中のグラジエントという性質は、位置に依存する化学組成、マイクロ構造又は原子配列によって生じる。人類によって製造されたグラジエント材料の初期の例は、ポリウレタンスキンフォームであって、これは、表面が完全に密であり、内部が多孔性である。それらは、低重量で高い衝撃強度を提供し、したがって車の中のインスツルメントパネル又はヘッドレストに使用される(Piechota and Rohr 1975)。他の基準は、(バルク全体またはコーティングのみの)グラデーションの配置又は傾斜機能性の材料(FGM)の場合にはグラデーションの機能であることができる。FGMの加工のためには、多くの技術が利用可能である。金属又はセラミック材料のためには、硬化の前にさらなるグラデーションステップが導入されれば、伝統的な粉体加工が使用可能である。湿式加工は、粉体の代わりに水性懸濁液を使用する。
【0008】
ポリマーベースの複合材料においては、シートの積層(2Dファブリックの積み重ね)が、厚み全体で段階的なグラジエントを有する製品を得るために使用される。時には、かかる複合材料中の含浸距離はかなり長く、予備含浸された母材及び混繊(ハイブリッド)糸の開発などを促した(Bourban, Bernet et al. 2001)。シートの積層においてはさらに、層間剥離、応力の集中及び分布、内部応力の発生(Sunderland, Yu et al. 2001)又は複合材料の繊維強化材ネットワーク中に蓄えられた弾性エネルギーによる脱硬化(Wolfrath, Michaud et al. 2005)に直面するかもしれない。脱硬化現象は、熱可塑性材料中の多孔率グラジエントの製作に使用可能である。これによって、達成可能な多孔率グラジエントが、脱硬化中の多孔率の増加に直接結びつけられる。この技術は、ポリマーベースのグラジエント複合材料の非常に特異的かつ限定された設計のみを可能とする。実際には、たとえば、骨の構造を正確に模倣するために、より大きな孔体積、孔サイズ及び分布の制御、充填材及び繊維の位置の正確な制御が必要とされる。多孔率と強化材のグラジエントの組み合わせがなお開発されるべきである。
【0009】
実際に、骨は、個々に合った多孔性複合材料の良い例である。それは、マイクロ及びナノレベルでの複雑なヒエラルキー的組織を有し、そして、基本成分としてのヒドロキシアパタイト結晶、コラーゲン分子および水からできている。さらに、それは、皮質から骨梁組織に向かって構造及びコラーゲン濃度の連続的変化を示す。孔が密閉気孔から開気孔にかわる界面がある。この意味で、骨は傾斜機能性材料であると考えられる。骨は粘弾性であり、異方性である。本発明は、これらの骨の特性を模倣する複合材料系及び加工方法を提案する。
【0010】
生物医学的応用における、ポリマー及び複合材料
ステンレススチール、チタニウム及びその合金、リン酸カルシウム及びアルミナセラミックス、ポリエチレン(PE)及びポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、及びこれらの材料の複合体は、整形外科手術において使用されてきた。現在、生物分解性のポリマーも研究されており、上手く骨が治癒した後の第二の手術を避ける目的で、なんらかの臨床的成功を収めている。
【0011】
ポリマー生体材料は、われわれの現代社会でのヘルスケア及び健康において、顕著な重要性を獲得した(Chu 2000)。繊維及び織布は、この分野でいくつかの応用を見出した。創縫合における包帯は、医薬における繊維の第一のかつ主要な用途を表す。布は、包帯などの外部で、又はそれらが柔軟性及び多孔性をもたらす血管移植片などの内部で、又はそれらが異方性をもたらすことができ、骨の性質により合ったものである、臀部プロテーゼ中のポリマーの補強材としてのいずれかの用途を有することができる。布は、組織工学における足場のためにも使用されることができる(Hutmacher 2000)。機能的組織及び器官の置換を発展させるために、科学及び工学における競争は現在一緒になっている(Burg, Porter et al. 2000; Rose and Oreffo 2002)。足場として適用において、繊維は不織布メッシュとして使用されており、これは、高い多孔率及び細胞接着及び増殖のための大きな表面積を提供する。しかしながら、このタイプの足場は、高度に変形可能であり、力学的特性に乏しい(Cima, Vacanti et al.1991)。低密度ポリエチレン (LDPE)でコーティングした超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)繊維を用いる3D織物によって足場を作ることも試みられた。この3D布は、軟骨への応用において試験され、周囲の組織との適合性を示した(Shikinami and Kawarada 1998)。Wintermantel も、編まれた繊維を有する上部構造が、多孔性かつ変形可能であって複雑な形状となること、そして、ポリマーによる含浸によって剛性が増加可能であることから、組織工学において使用可能であることを示唆した(Wintermantel, Mayer et al., 1996)。合成組織移植片を提供するために組織工学における研究も行われた(Atala and Mooney 1997)。組織工学のための足場は、細胞の接着のための高比表面積を有するために多孔性が高く、かつ、血管形成、栄養の拡散及び細胞の増殖と分化を可能とするために高い空隙容積を有する必要がある。かかる多孔質構造についての第一のアイデアは、連続気泡フォームである。フォーム形成の4つの主要な技術が、それらに固有の利益及び欠点:溶媒のキャスティング及び粒子の洗脱、気泡発生、エマルジョンの凍結乾燥及び熱により誘導された相分離、を有する生体吸着性ポリマーのために主に開発された。それらは、熱可塑性物質、そしてより特別には、生体吸着性かつ生物適合性のポリマーに適合可能である。密閉気孔を有する非医療グレードのPE又はPETフォームが、包装、スポーツ、建築及び自動車において使用されることは知られている。生物適合性グレードのこれらのポリマー及び生体吸収性ポリマーは確実に、個々に合った開気孔構造が将来的に生成可能となった場合に生物医学的適用のためにより広く考慮されるであろう。
【0012】
特に意図された用途が硬組織工学である場合に、ポリマーフォームの力学的特性が低く見えることは注目される。したがって、3次元の開気孔フォーム、すなわち、充填材、繊維及び/又は織布で補強された多孔性ポリマーを製造し、評価することは興味深い。さらに、これらの補強材は、異方性、性質及び機能のグラジエントをもたらすことができる。
【0013】
骨組織工学のための多孔性ポリマー複合材料
骨の移植が整形外科手術において日常的な手順であるにもかかわらず、現在、満足のいく代用骨は利用可能でない。合成代用骨の使用は増加しているが、フランスにおける臨床的に利用可能な代用骨をみると、整形外科への応用のために利用可能なポリマー足場はない(Mainard, Gouin et al. 2001)。使用される合成骨移植片のほとんどは、リン酸カルシウムなどのセラミックから作られており、これはそれらの低い強靭性及び脆弱な力学的挙動により耐力的応用が可能でない。実際に、さまざまな外科的状況、特に耐力的応用において使用可能な新しい合成骨足場が必要とされている。そして、多孔性ポリマー複合材料ベースの足場は、魅力的な解決法を示す。
【0014】
骨及び軟骨組織工学における最初のステップは、細胞及び組織の最大の内方成長を負荷するために制御された高い多孔性を有する足場を開発することである。それは、細胞の増殖、分化及び機能を支援することができるはずである。骨のためには、マトリックス内部への細胞の増殖に必要な最小孔径は100μmである(Laurencin, Attawia et al. 1996)。実際、200〜400μmの理想的な孔サイズ範囲が骨芽細胞にとっては好ましいということが示唆されており、それは、その範囲が骨芽細胞の機械的受容器に最適の圧迫と張力を与えるからである(Boyan, Hummert et al. 1996)。サイズ多孔率の主要な側面の一つは、細胞による孔の閉塞を回避することである。有効多孔率も骨の内方成長に重要である(Baksh and Davies 2000)。しかしながら、骨細胞に関しては、拡散は孔サイズに関連していないようであり、マイクロメーターサイズの細管が栄養のこれらの細胞への到達を可能としている。骨形成が血管の支援を必要とするため、足場も血管形成の迅速な発達を可能としなければならない。
【0015】
バイオメカニクスの観点からは、耐力的応用が計画される場合、足場の性質は骨の性質に近いものでなければならない。骨格組織のゆっくりとした再生においては、機械的応力は後期分化相の間に増加して、修復組織の力学的機能を適切に整列化しそして成熟させるべきであるが、初期相においては低く設定されるべきである。初期の高い剛性は、一次的な結合の後の漸次的吸収、そして耐力機能を獲得するための同時の骨の治癒に対応する剛性の減少を可能とするであろう。
【0016】
さらに、材料は、生体吸収性の構成要素が使用される場合にさえ、複雑な形状の部品に容易に加工されなくてはならない(米国特許第0054372A1号)。
【0017】
これまで、熱可塑性ポリマーフォームはおもにマイクロサイズであり、より最近では、ナノサイズであり、充填材はフォームを補強し及び/又はフォームの形態及び性質を個々に合ったものとするために使用された。それらは、ポリウレタンの反応性の発泡、溶媒相の加工、及びガス発泡化などのさまざまな経路を介して製造された。後者の技術は、特に生体吸収性リン酸カルシウム−ポリ(L-乳酸)(PLA)系に応用され、改善された圧縮抵抗及び骨細胞との改善された生物適合性を示す(Mathieu, Montjovent et al. 2005;Mathieu, Bourban et al.2006;Mathieu, Bourban et al., 2006)。観察された力学的特性の増加は、フォーム密度の増加と関連している。上記筆者らは、多孔性複合材料の製造は、第一にポリマーマトリックス中の充填材の均一な分散に基づいており、これは、孔壁の組成がフォーム間で変動しないことを暗示していると記載している。これらの多孔性複合材料中に存在する唯一のグラジエントは発泡過程によって誘導され、サンプルのコア中および外側における異なる冷却速度によって、より小さな孔によるより高いフォーム密度が中間部よりも後者において得られる。多孔率のグラジエントは、特に骨の構造を模倣し、そしてこれらのバイオ複合材料は、生物適合性であり、細胞の増殖及び分化を可能とすることが示された(Montjovent et al. 2005)。
【0018】
先に引用された反応性の発泡及び溶媒ベースの方法は、繊維強化フォームを得るために使用された。しかしながら、粒子及び短繊維は、ポリマーフォームを十分に補強しない。ポリウレタン(PUR)フォームは、グラスファイバー、ジュート又は亜麻織物ですでに補強されている(Bledzki A.K. 2001)。しかしながら、われわれの知識によれば、連続繊維が熱可塑性フォーム中に取り入れられて、相互に結合され、そしてミクロサイズの孔が得られたことはない。さらに、多孔質又は多孔性構造の場合に、繊維体積におけるグラジエントは考慮されてこなかった。マトリックス中に場合により短繊維/粒子と組み合わせて連続的な繊維を添加することは、多孔率が一定に保たれる場合にさえ、さらなる強化を可能とする。強化材体積及び多孔率のグラジエントを組み合わせることによって、構造は、骨梁と皮質骨の間に空隙を有し、構造及び密度に不連続性のない、自然の骨の構造に類似するようにあつらえられる。フォーム中の長い連続的な補強繊維の使用の利益は、実際、多孔率とともに臨界的な繊維長が増加し、そしてしたがって、フォームの力学的性質(弾性率、破壊抵抗)が増加可能であることにある。
【0019】
理想的には、材料は複雑な形状の部品に容易に加工されなければならない。自然の組織の粘弾性及び異方性の性質を示す材料は、それが体によりよく一体化し、最適の方法で負荷を伝達して瞬時に応力集中と剛性ミスマッチを減少させるために好ましいであろう。
【0020】
現在のセラミックインプラントは、固有の強靭性の低さを有し、そして容易に成形又はねじ釘で取り付けることができない、それが、理想的でないとされる理由である。また、弾性率ミスマッチによるインプラントと骨の間の微小な動きによって誘発される炎症の危険性もある。
【0021】
生物適合性かつ生体吸収性のポリマーは、その代わりに延性を有する。たとえば、生体吸収性のポリ(L−乳酸)(PLA)は、インプラントおよび代用骨材料のための非常によい候補である。繊維及び/又は充填材は、力学的挙動のみならず、寸法又は温度安定性、バリア特性および生物学的機能性などのPLAの他の性質を改善するためにも添加されることができる。米国特許第5108755号は、劣化条件下での経時的な降伏力及びヤング係数の保持を改善するために、一定の生物分解性繊維で補強されたポリ−ε−カプロラクトンマトリックスを含む複合材料を開示する。米国特許第4655777号は、骨固定プレートの強度を増加させるために、代用骨インプラントの場合のような顕著な多孔率を有さない、生物分解性繊維で強化されたマトリックスを開示する。該複合材料は、慣用の加工経路を用いて製造される。バルク複合材料の場合のように、多孔性複合材料構造によって、同様に性質の範囲が拡張されることができる。
【0022】
要するに、現在の足場の力学的性能は改善の必要があり、骨の欠損に正確にフィットするように手術中に加工可能でもなければならない。ポリマーベースの複合材料は、力学的性質に広がりを持たせかつデザインの自由度を提供するために、骨の微細構造を模倣する能力がある。
【0023】
したがって、熱可塑性マトリックス及び充填材、短繊維又は長繊維又は連続繊維などの強化要素を有し、補強材体積及び多孔率のグラジエントを同時に有する複合材料の製作を可能とする新しい技術が必要とされている。構造及び応力集中における不連続性のない、骨梁及び皮質骨の間に空隙を有する自然の骨の構造に類似するようにあつらえられることのできる、複合材料構造中に繊維体積及び多孔率のグラジエントを組み合わせることが挑戦される。類似の構造が同様に、植物界のものなどの他の天然の材料中にも見出されることができる。
【発明の概要】
【0024】
好ましくは繊維及び/又は充填材の正確な設置とその後の複合材料プレフォームのガス発泡化を含む溶剤を含まないプロセスによって得られた、多孔性の強化ポリマー複合材料製品が提案される。該複合材料製品は、充填材、短繊維、長繊維又は連続繊維及びそれらの組み合わせを含むポリマーに基づく制御された気泡構造を有する。(繊維が使用される場合には)繊維体積のグラジエントは、フィラメント、糸又は混繊糸の設置を介して制御され;局所的に65体積%以下の繊維含量に達することができる。多孔率は、0〜90体積%で変化することができ、多孔率のグラジエントはガス発泡パラメータを変化させることによって達成される。該プロセスは、製品のいくつかの方向においてあつらえられた充填材/繊維体積及び多孔率のバリエーションを有するポリマーフォームを製造するために、さまざまなタイプのグラジエントを組み合わせることができる。繊維は力学的係数及び多孔性複合材料の強度を改善する一方、所望の異方性及び機能特性を提供する。
【0025】
本発明は、以下の図によって例示された実施例を含む詳細な説明によって以下でよりよく理解されるであろう。
【0026】
詳細な説明
本発明は、独自のミクロ構造、マクロ構造、形態及び特性に関して記述される複合材料フォームとも呼ばれる、多孔質又は多孔性の複合材料製品に関する。そして、かかる製品を得るための方法がそれ自身の詳細によって示される。
【0027】
図1に示されるとおり、本発明の複合材料は、充填材又は繊維などの少なくとも1つの追加の材料を取り囲む連続相を示す多孔質ポリマーマトリックスである。多孔性又は多孔質構造は、壁(2)によって分離されている、セルとも呼ばれる開放の又は閉じた孔(1)を表す。充填材、粒子又は短繊維(3)、或いは2次元構成(4)及び3次元構造(5)の連続繊維の形態の補強材が検討される。それらは、それぞれ、タイプA、B及びCの新規な多孔性複合材料を表す。数種の補強材タイプの組み合わせが可能である。充填材又は繊維の量は、取り囲むポリマーの量に比例し、そして一般的には、体積分率で表される。
【0028】
多孔率は、孔の相対的体積及び孔サイズの分布に関して定義される。孔サイズ及び/又は孔体積が構造のある位置と他の位置で変化する場合、多孔率のグラジエントが得られる。構造のさまざまな方向における望ましい孔体積の変動によって、異なる分布関数が使用可能である。孔が相互に連結される場合、孔は閉じた及び/又は開放のものであることができる。孔サイズの制御は、液体又は生物学的媒体が注入されるか、或いは生細胞が多孔質複合材料中へ増殖する応用のためには重要である。
【0029】
充填材の分布は、構造全体で均一であることができるが、少なくとも1つの方向に沿った体積分率の変動(図1)は、本発明との関係で望ましい組成及び性能のグラジエントを生成する。繊維は、その長さ及びその直径の間のさまざまなアスペクト比をとることができる。アスペクト比の増加とともに、短繊維から長繊維、そして連続繊維までのさまざまなタイプの繊維が通常検討される。後者については、繊維長は、考慮される要素又は構造の長さに近いか又はより大きい。機能繊維が添加される場合、繊維の正確な設置は、繊維含量又は体積のグラジエント、そしてしたがって、性質のグラジエント又は機能のグラジエントを誘導するために必要である。繊維の相対的位置に依存して、数種のグラジエントタイプが得られる。
【0030】
以下に記載の方法は、少なくとも1つの方向における組成、体積分率及び性質の線形又は非線形の変動に関して、いくつかの空間的方向における変動及びグラジエントの組み合わせに関して、そして、グラジエントの組み合わせに関してさまざまなグラジエントタイプを提案する。たとえば、ある部分の中心における高い気孔率から該部分の外皮における低い気孔率までの気孔率の変動は、中心における低い繊維含量及び該部分の外部領域における高い繊維含量と組み合わせられることができる。
【0031】
本発明の上記多孔性複合材料の加工方法は、以下の主要な2つのステップ:a)補強材又は機能性材料の調製及び正確な設置、及びb)インサイチュでの孔の生成を含む。
【0032】
a)補強材又は機能性材料の設置
上記の充填材及び繊維は、孔を生成する次の加工ステップの後、所望の位置にとどまって、最終的な多孔性複合材料中のグラジエント特性を保障する。
【0033】
充填材及び短繊維の設置
充填材、短繊維、長繊維、所望の長さで切断された押出又は予備含浸複合物は、型表面に設置され、そして型表面のさまざまな領域での重量又は体積分率の変動を生成するために局所的に分配される。充填材の設置は、手動で又は自動化設備を用いて行われる(EP1184147A2)。そして、プレフォームは次の加工ステップに移動して多孔性複合材料に変換される。Aタイプの多孔性複合材料は、この補強材の設置及びプレフォームをベースとする。
【0034】
長繊維の設置
この加工ステップは、タイプB及びCの多孔性複合材料を得るための特定の設置方法に関する。
【0035】
一方向のタイプB複合材料の加工のためには、滑らかな繊維の分配及びしたがってグラジエントを達成するための正確な繊維又は糸の設置を行うために、曲がりくねった設備(図2)が開発される。糸又は繊維の束(6)は、ボビン(7)からとかれて、次の加工ステップのための型として働くモジュール(8)上に連続的に巻かれる。この型(8)は、さまざまな形状であることができる。図3及び図4は、2つの例を提供する。巻き取りのための駆動力は、型および各ボビンのための独立したスピードを可能とする回転モーターである。このスピードを制御することにより、垂直方向の繊維配置が制御可能である。繊維案内装置(9)は、リニアーモーターによって動かされることができ、したがって、水平方向又は長軸方向の繊維配置が制御される。
【0036】
この装置は、断面における糸又は繊維の正確な分配を有する一方向の複合材料を作り出すことを可能とする。さらに、補強繊維及びポリマー繊維の比が制御される。1つ以上の繊維タイプの、任意の2D繊維の体積グラジエントが達成可能である。乾燥繊維、予備含浸繊維、混繊繊維、被覆繊維などの補強繊維;又は発泡性繊維、可塑性繊維などの機能繊維、任意の断面を有する繊維、ナノ充填材ベースのポリマー繊維、光ファイバー、金属繊維又はこれらの繊維のハイブリッド糸が使用されることができる。配置された繊維が感水性である場合、適切な乾燥ステップが追加されることができる。フィラメント又は繊維の束が使用される場合、混繊糸を型の上に直接作ることが可能である。
【0037】
次の硬化又は発泡ステップの前の繊維の位置のいかなる変更も避けるために、設置された繊維をさらに移動させずに設置された繊維の束が予備硬化されることができる。型は、たとえば、加熱プレスのプレートの間に設置される。2つの圧縮パーツ(10)によって圧力が加えられる。2つのストッパー(11)が、予備硬化のために型が加熱されるときに溶融ポリマーが流れていくことを防ぐ。適用される温度、時間及び圧力は、所与の予備硬化レベルを提供し、これは複合材料プレフォーム中の孔の所与の体積分率である。グラジエント特性を有する複合材料を直接に硬化させるためには、プレフォームの最終的な硬化のために慣用の型も使用可能である。そして、上記の予備含浸された、予備硬化された、又は硬化されたプレフォームのいずれも以下に記載のとおりに発泡されることができる。
【0038】
3D繊維構造(タイプC)を含む複合材料フォームを加工するために、図4に示す繊維ホルダーが使用される。乾燥した又は予備含浸された状態の上記の補強繊維及び機能繊維、並びに麻くず及び糸がホルダー上で固定されることができる。上記のB−タイプ複合材料のプレフォームもここに組み込まれることができる。一方向の、交差した、二重に交差した、そして多数の3D繊維の分布及び布地の構造が実現されるか又はこのホルダー上に設置されることができる。実際、繊維は垂直にまたは要素(12)及び(13)間に異なる角度で整列化されることができる。これらの要素(12)及び(13)は、図4に示すように湾曲するかわりに直線であるような、他の構造を有することができる。さらに、繊維は2つ以上の要素(14)間で水平に保持されることができる。したがって、繊維はいかなる配向を有することもできる。正確に要素間に設置された繊維又は糸の量を変化させることによって、繊維体積のグラジエントが生成する。例えば、要素(13)から要素(15)にわたって、徐々により多くの繊維を設置することによって、放射状のグラジエントが得られる。
【0039】
ホルダーが、異なるサイズのより多く又はより少ない要素を有することができ、そしてそれらのいくつかが組み合わせ可能であることは明らかである。さらに、ホルダーは、乾燥した又は予備含浸された織物、編み物又は編まれたプレフォームなどのいかなるタイプの繊維布地及び布も保持するために使用されることができる。
【0040】
その後のすべての発泡ステップのために補強繊維が正しい位置に広げられたままであることを保証する、この繊維ホルダーとともに、繊維はコーティング又は予備含浸のための液体又は溶融マトリックスポリマーの浴中に浸されることができる。その後、繊維ホルダー及び繊維は発泡チャンバー内の型に入れられる。所望のポリマー体積分率を完成することが必要である場合、マトリックス材料を十分なものとするためにポリマーの粉末又は顆粒が型に加えられる。
【0041】
こうして溶媒を含まない熱可塑性フォームを加工することができ、それは方向づけられた連続繊維によって補強される。これによって、最も良いと思われる繊維の方向並びに繊維の分布及び繊維体積のグラジエントが、選択されることができる。
【0042】
b)多孔性の生成
硬化の制御
多孔性は、タイプB複合材料プレフォームの予備硬化パラメータを制御することによって得ることができる。図3の型を横切る熱伝導を変化させること、圧力レベル及び時間を制御することによって、かかる複合材料中に多孔率グラジエントを生成することが可能である。加工パラメータは各ポリマー材料タイプに特異的である。試験が実施されて、この技術による制御された方法で20%以下の多孔率が得られることを示している。
【0043】
複合材料のガス発泡化
本発明においては、発泡プロセスが、複合材料フォームの製造のために提案される。該プロセスは、いかなる溶媒又は追加の化学的発泡剤の使用も回避し、そして核生成及び孔の複合材料中への成長を可能とする一方、補強材の位置を維持する。続いて、多孔率及び補強材含量のグラジエントが得られる。
【0044】
調製された充填材または短繊維に基づくプレフォーム並びに連続繊維に基づくプレフォームが、発泡プロセスがそこにおいて誘導される、加熱され、加圧され、そして閉じた容器中に入れられる。超臨界CO2が受け入れ用の型の中に入れられた複合材料プレフォームを発泡させるのに使用される。ここではパラメータはポリ(L-乳酸)ベースの系について示されるが、任意のタイプの熱可塑性物質ベースの系のために調整されることができることは明らかである。CO2はオートクレーブ中に浸透し、圧力は50〜300バール、より好ましくは100〜250バールまで増加される。ガス飽和温度Tsat及びガス飽和圧力Psatは、材料中へのガスの拡散及び濃度を制御する。1〜20バール/秒、より好ましくは3〜15バール/秒の制御された流速のガス放出によって減圧が行われる。孔は核生成される。減圧および水によるさらなる冷却によって発泡チャンバーは同時に冷却される。冷却速度は、好ましくは0.5〜7.0℃/秒である。減圧初速度dP/dt及び最大冷却速度dT/dtは、孔の拡張及び安定化に影響を及ぼす、重要なパラメータである。上記の加工パラメータは、多孔率の様々なグラジエントを達成するために孔サイズ及び分布を制御するために変化させられる。繊維の存在は、孔の核生成及び成長に影響し、そしてしたがって、特異的な発泡パラメータを必要とする。例えば、相互に連結された孔を生成するためには、より高い飽和圧力及びより遅い冷却速度が要求される。
【0045】
それらは主にポリマーベースのものであるため、型にはめて作った複合材料フォームのサンプルは、所与の用途の特定の要求に応じて切断され、機械加工され、又はねじで締め付けられることができる。
【0046】
結論として、本発明は、複合材料プレフォームを発泡させ、そしてあつらえられたグラジエントを有する多孔性複合材料構造を得るステップに先立つ、充填材又は繊維の設置及び調製ステップを統合する方法に関する。
【0047】
上記の方法及びそれらの組み合わせによって、0〜90体積%で変動する多孔率グラジエントが達成可能である。同時に、固体材料内の繊維分率であると定義される繊維体積分率は、さまざまなグラジエントタイプを得るために、局所的に0〜65%にあつらえられることができる。したがって、局所的な多孔率レベル及び繊維体積分率によって、弾性係数などの力学的性質が広い範囲で変動可能である。実施例は、特定の材料系のための値を提供する。
【0048】
材料系
一般に、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリウレタン(PUR)などの熱可塑性ポリマーが使用可能である。それらは、上記の方法の加工ステップを用いて標準的な充填材又は繊維によって補強されることができる。
【0049】
生物医学の分野においてすでに使用されている生物適合性及び生物分解性ポリマー、繊維及び粒子は、それぞれ、たとえば、足場として使用される生物適合性及び生物分解性の多孔質製品を調製するために考慮されることができる。好適なポリマーのいくつかの例は、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(乳酸)(PLA、L又はD、Lエナンチオマー)、ポリ(ε−カプロラクトン)(PCL)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)、ポリ(β−ヒドロキシルブチレート)(PHB)、ポリ(β−ヒドロキシ吉草酸塩)、ポリ(p−ジオキサノン)(PDS)、ポリ(オルトエステル)、ポリペプチド、およびこれらのコポリマーなどのα−ポリヒドロキシ酸である。
【0050】
発泡プロセスのためには、ポリマー又は化合物は固有の粘度、好ましくは0.8dL/g超、そしてより好ましくは1.0dL/g超を有さなければ成らない。ポリマー加水分解を防ぐために、それらは加工の前に乾燥されることが好ましい。
【0051】
補強要素は、微粒子状の充填材、短繊維、長繊維又は連続繊維の形状を有することができる。それらは、乾燥しているか、樹脂に予備含浸されているか、コーティングされているか、又は調合工程の結果物であることができる。セラミック粒子のいくつかの好適な例は、ヒドロキシアパタイト(HAp)、β−リン酸三カルシウム(β−TCP)、炭酸カルシウム(CC)、リン酸二水素カルシウム(CDHP)、リン酸水素カルシウム(CHP)、又はこれらの混合物などのリン酸カルシウム塩類、及びBioglass(登録商標)、リン酸ベースのガラスなどの生体活性ガラスである。セルロース、でんぷんなどの天然及び再生可能な資源をベースとする充填材及び繊維も使用可能である。充填材の体積分率は、好ましくは0〜15体積%をなす。タイプAの複合材料は、さまざまな材料で作られたナノフィラー又はナノチューブなどのナノメーター範囲の充填材、粒子又は繊維も含むことができる。
【0052】
長繊維及び連続繊維は、ガラス、カーボンなどの伝統的な材料、Bioglass(登録商標)及びリン酸塩ベースのガラスなどの吸収性ガラスから作られることができる。ポリマー及び複合繊維も使用される。たとえば、セルロース繊維又は木質繊維が、再生可能資源から作られた多孔性複合材料を加工するために使用される。充填材又は他の補強材を含むポリマー繊維も想定される。ポリマーの粘度を増加させる充填材材料とは反対に、長繊維/連続繊維の体積分率は65%にまで増加することができる。ポリマーの発泡能力は、かかる高い繊維体積分率においても維持され、それは、ポリマーの粘度が変化しないからである。(最終的には、低分率の充填材を加えられる)ポリマーは、連続繊維の周囲で単純に発泡するであろう。それにもかかわらず、孔のサイズ及び分布は繊維の存在及び分布の影響を受ける。
【0053】
上記の方法によって、さまざまな充填材及び繊維のタイプの組み合わせが可能である。たとえば、ハイブリッド繊維系、ポリマー繊維、生物分解性繊維、金属繊維、光ファイバー、機能繊維が、本発明の方法を用いて多孔性複合材料構造中に組み込まれることができる。したがって、機能的に等級分けされた複合材料が加工可能である。分解性の、発泡性の、コーティングされた、又は中空繊維がさらなる多孔性及び孔を最終的な複合材料中に分配するためのさらなる方法をもたらすことができる。
【0054】
得られた複合材料フォームは、多孔率に関してあつらえられることができる。明らかに、それらは構造に更なる機能をもたらす、任意の媒体、液体又はゲルで浸潤されそして満たされることができる。たとえば、生物活性のある又は流動活性のある流体が、それぞれ組織工学への応用及び制振材のために興味のあるものである。他の例は、液体であるか又は液体中に溶解された、異化作用又は同化作用性薬物、成長因子などのタンパク質、又は骨代謝に影響を及ぼす任意の化学物質であって、したがって孔の表面に沈殿させられることのできるものの使用である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】図1は、充填材又は短繊維体積のグラジエントを有する新規な多孔性複合材料(タイプA)、連続繊維の2D分布を有する多孔性複合材料(タイプB)及び連続繊維の3D分布を有する多孔性複合材料(タイプC)についての断面を模式的に表すものである。
【図2】図2は、タイプBの複合材料を加工するための補強材及び機能繊維又は糸の正確な設置のための曲がりくねった設備である。
【図3】図3は、タイプB複合材料の繊維の設置及び予備硬化のための型を詳細に表す。
【図4】図4は、タイプCの複合材料を加工するための補強材及び機能繊維又は糸を設置しそして方向づけるためのホルダーを示す。
【図5】図5は、多孔率のグラジエントを示す、タイプA複合材料の断面を示す。
【図6】図6は、どちらも200℃における、予備硬化及び硬化のための加工ウインドウを示す。
【図7】図7は、繊維を含まない中心を有する複合材料Bの断面、糸の方向に対して垂直な断面の顕微鏡写真である。
【図8】図8は、タイプB複合材料における多孔率及び繊維のグラジエントの例である。
【図9】図9は、繊維を設置し、方向づけ、そして維持するための設備も示す、グラスファイバー−PLAフォームである。
【図10】図10は、連続繊維により補強されたフォームの微細構造。繊維の束は、開気孔及び閉気孔の間にある。糸の方向に対して垂直な断面である。
【図11】図11は、連続繊維により補強されたフォームの微細構造。左は、繊維の方向に対して水平な断面、そして右は、角度で方向づけられた繊維の断面である。
【図12】図12は、所与のタイプCの複合材料の応力−緊張曲線である。
【図13】図13は、グラスファイバーで補強されたPLAフォームの係数及び多孔率範囲の例である。
【実施例1】
【0056】
充填材及び多孔率のグラジエントを組み合わせた複合材料製品(タイプA)
この実施例の目的は、どのようにタイプAの複合多孔質構造(図1)を得るかを例解することである。
最初に、5gのPLA+5%のβ−TCP(PLA-5TCP)、及び5gのPLA+10%のβ−TCP(PLA-10TCP)を不活性大気下で、マイクロエクストルーダー(Micro5、DSM;オランダ)を用いて押し出す。以下のパラメータ:100rpmのスクリュー回転スピード、4分の滞留時間及び200℃の設定温度を使用する。そして、押し出された複合物を乾燥し、そして1cmの長さのロッドに切断する。直径50mmのシリンダーの型の内部に、直径35mmの紙のシリンダーを設置する。このシリンダー内部に、5gのPLA-5TCPを入れ、そして外側に5gのPLA-10TCPを加える。そして、紙のシリンダーを取り除き、β−TCP濃度のグラジエントを複合材料中に導く。
【0057】
第二のステップにおいては、発泡が行われる。先に記載のように調製された型をオートクレーブ中に置く。きつく閉めた後、圧力を200バールまで、そして温度を195℃まで上昇させる。10分間の飽和の後、圧力を最大速度4.5バール/秒で解除し、そして同時に冷却がおこる。加工パラメータを制御して、2つのグラジエント:第一に、最初の複合材料ロッドの設置による、コアよりも高い外部でのβ−TCP充填材(3)濃度;第二に、加工中のフォームの外側及びコアにおける差別的冷却により誘導される多孔性のグラジエント、を有する多孔性複合材料構造が達成される(図5)。
【実施例2】
【0058】
繊維のグラジエント及び多孔率のグラジエントを組み合わせた複合材料製品(タイプB)
繊維体積グラジエントを有するタイプB複合材料の加工ステップ及び微細構造が記載される。ポリアミド(PA12)繊維の束を32モノフィラメント及びカーボンファイバー(CF)、この場合、250モノフィラメントの束、とともに型(8)の周囲に設置するために巻いたセットアップを使用する(図2及び3)。ビームの外側におけるカーボンファイバーの繊維体積分率は15%である。図6は、熱可塑性材料が200℃で加工される場合の予備硬化及び最終的な硬化に使用する加工パラメータを示す。例えば、図7は、繊維に富む領域(4)に囲まれた繊維を含まない中心(16)を有するポリアミド12(PA12)/カーボンファイバー(CF)複合材料のセクションを示す。図7は、繊維の束の間の相対的位置が、固形化ステップの間、維持されることができたことも示す。水平及び垂直方向においては、それぞれ500μm及び200μm未満の束設置の精度がこの材料系によって達成された。
【0059】
図8は、おもに型の上での熱移動である、硬化パラメータの制御によって誘導された多孔率グラジエントを有するPA12/CF複合材料のセクションを図解する。かかる多孔率グラジエントを達成するには、型の1つの側を200℃で加熱するのみである。外側は室温に保たれ、これがプレフォーム全体の温度グラジエントを誘導する。30分間、1バールの圧力が提供される。時間、圧力及び温度のパラメータを操作して、異なる多孔率グラジエントが加工可能である。孔(17)は、繊維グラジエント(4)によって補強されたポリマーマトリックス(18)中に分配される。
【実施例3】
【0060】
繊維及び多孔率のグラジエントを組み合わせる複合材料構造:タイプB及びC
ここでの主な挑戦は、繊維体積及び多孔率のグラジエント、そしてより具体的には、ガス発泡プロセスを該システムに応用する場合、最初の繊維補強材フォームは、0%〜90%の範囲の多孔率を有する。
【0061】
この実施例は、グラスファイバーで補強された生体吸収性ポリマー、ポリ(L-乳酸)(PLA)に基づくが、該方法はこの材料系に限定されない。
【0062】
連続的な慣用のEグラスファイバーをホルダーの周囲に徐々に巻いて(図4)、異なる繊維体積を有する数種の層を形成し、そして発泡の間、繊維を安定に保ち、かつ方向づける。そして、ホルダーを加圧チャンバーのためのシリンダー状の型中に入れ、そして繊維にPLAペレット(15g)を加える。PLAペレットは、グラスファイバーとともに巻かれたPLAペレットで置換されるか又はそれと併合されて、混繊糸を形成することができる。そして、200バールの飽和圧力を用いてガス発泡を実施する。こうして、グラスファイバーで補強されたPLAフォームが、孔壁に位置付けられた方向づけられた繊維(4)とともに得られる(図10)。こうして、開気孔及び閉鎖気孔(1)及び繊維を併合する。図11は、繊維(4)及び多孔率(1)の分布を示す他の断面を図示する。図12は、2体積%のグラスファイバー及び70%の多孔率で補強されたPLAフォームの応力−緊張曲線の一例である。圧縮をひずみ速度0.1s-1で実施した。弾性係数、E=342MPa、及び12MPaの弾性崩壊応力(elastic collapse stress)は、この特別なフォームの測定された特性であった。
【0063】
局所的な多孔率レベル及び繊維体積分率に依存して、圧縮弾性係数Eなどの力学的特性は、広い範囲において、そして異なるグラジエントタイプにおいて変化することができる。材料系PLA及びEグラスファイバーのためには、達成可能な性質の範囲の概要が図13に示される。最初の3つのラインは、80%〜0%までの多孔率のグラジエントの変化とともにいかに係数が変化するかを示す。最後の3つのラインは、5〜50%の繊維体積含量のグラジエントの追加による係数の増加を図示する。この結果は、多孔率及び繊維体積分率のグラジエントを組み合わせたときの性質も示す。
【0064】
先に検討した実施例において、充填材、短繊維、又は長繊維又は連続繊維で補強されたフォームの加工及び得られた構造が、医学分野における応用で実証されたが、加工技術は、他の応用のための、かかる多孔性グラジエント複合材料の製作も可能とする。
【実施例4】
【0065】
薬物担体として使用される、グラジエント複合材料構造
ドラッグデリバリーシステムは、骨代謝の制御における主要な関心事である。そして、開発された複合材料を、異化作用性又は同化作用性の骨の薬物、成長因子などのタンパク質又は骨代謝に効果のある任意の化学物質と併用することには重要な潜在能力がある。複合材料と併合された上記で列挙された物質を混合することも可能である。複合材料とビスホスホネートの組み合わせは興味深い。複合材料は、異なる濃度のビスホスホネートを含む溶液中に浸漬されて、複合材料が含浸され、そして孔表面が薬物溶液でコーティングされることを可能とする。可能なプロセスは、複合材料を10〜500mM、好ましくは20〜200mMのビスホスホネートを含む水溶液中に1時間、好ましくは15〜30分間浸漬することである。薬物を含む得られた複合材料は、フリーザー、好ましくは−10℃〜−30℃の中で、手術が行われるまで保存される。たとえば、動物試験が実施され、ビスホスホネート(Zoledronate)を含む複合材料がラット関節丘の骨欠損部に挿入される。ビスホスホネートを負荷した複合材料は、重要な骨形成を誘導し(同化作用)、これは、ビスホスホネートが骨の同化作用を増加させるためでなく、骨の異化活性を低下させるために設計された薬物であることから予想外のものである。この複合材料とビスホスホネートの組み合わせによって増加した骨の同化作用は、この特別なデリバリーシステムによるものであり、そして治療の観点からは非常に興味深い。
【0066】
そして、概念実証が達成され、複合材料は、異化作用性又は同化作用性の骨の薬物、成長因子などのタンパク質又は骨代謝に効果のある任意の化学物質、そして特にビスホスホネートの有効な担体であることできる。
【0067】
参考文献
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填剤及び/又は繊維を組み込んだポリマーに基づく、複合多孔質製品、及びそれらの加工方法に関する。かかる複合構造は、組織工学、骨の置換、消費財、輸送又は他の任意の好適な分野で有利に使用されることができる。
【背景技術】
【0002】
多孔性材料は、天然に(骨、木、スポンジなど)並びに合成材料(発泡体、サンドイッチ構造のためのハニカムなど)において数多く存在する。たとえば、骨の構造は、軽さ、剛性、強度、形状、多孔性、治癒性能などに関して性能を発揮しつつ、何百万年の間に自然に最適化されてきた。基本的に骨は、多孔率及び力学的特性のさまざまな分布を有する天然のセラミック及びポリマー材料であり、この材料及び構造を模倣することは興味深い。
【0003】
天然の骨の性能を発揮するか又は類似のミクロ構造に基づく任意の合成複合材料は、たとえば、最適化されたインプラントとしてそれらが使用可能なバイオ医療分野における応用などの、次世代ポリマー複合材料のための新たな機会を開くであろう。同様の構造が、軽さと強度が必要とされる応用における新規な機会も提案するであろう。
【0004】
本明細書においては、「多孔率」と「孔密度」は同義語である。
【0005】
多孔性ポリマー
ポリマー発泡体は、絶縁パネル、家具、ダンピング(damping)成分、複合材サンドイッチ構造などのさまざまな応用において広く使用されている。これらの多孔性固体の力学的特性は主に、孔の形態、原材料の特性及び泡の密度に依存する(Gibson and Ashby 1988)。いくつかの発泡方法がさまざまなポリマータイプにしたがって開発された(Klempner and Frisch 1991)。現在の研究は、孔サイズおよび密度の分布およびグラジエントをより良く制御し、並びにそれらの形態を発展させるために発泡メカニズムをより良く理解することを目的とする。
【0006】
複合材料
ポリマーベースの複合材料は、そのデザインの自由性のために開発され、ポリマーとさまざまな充填材または繊維との組み合わせを介する、個々に合わせた力学的特性を提供してきた(Manson 2000)。強化材の組成、配向及び構造が、所望の最終的性能を提供するために選択可能である。いくつかの加工方法が、最適の性能を保証するために最小限の多孔率を有する複合材料を得るという同じ目的で開発された。実際、制御されない孔の形態は、応力集中、剛性の減少及び早期の故障を誘導する。
【0007】
グラジエント材料
グラジエント材料の主な特徴は、その性質が位置とともに徐々に変化することである。材料中のグラジエントという性質は、位置に依存する化学組成、マイクロ構造又は原子配列によって生じる。人類によって製造されたグラジエント材料の初期の例は、ポリウレタンスキンフォームであって、これは、表面が完全に密であり、内部が多孔性である。それらは、低重量で高い衝撃強度を提供し、したがって車の中のインスツルメントパネル又はヘッドレストに使用される(Piechota and Rohr 1975)。他の基準は、(バルク全体またはコーティングのみの)グラデーションの配置又は傾斜機能性の材料(FGM)の場合にはグラデーションの機能であることができる。FGMの加工のためには、多くの技術が利用可能である。金属又はセラミック材料のためには、硬化の前にさらなるグラデーションステップが導入されれば、伝統的な粉体加工が使用可能である。湿式加工は、粉体の代わりに水性懸濁液を使用する。
【0008】
ポリマーベースの複合材料においては、シートの積層(2Dファブリックの積み重ね)が、厚み全体で段階的なグラジエントを有する製品を得るために使用される。時には、かかる複合材料中の含浸距離はかなり長く、予備含浸された母材及び混繊(ハイブリッド)糸の開発などを促した(Bourban, Bernet et al. 2001)。シートの積層においてはさらに、層間剥離、応力の集中及び分布、内部応力の発生(Sunderland, Yu et al. 2001)又は複合材料の繊維強化材ネットワーク中に蓄えられた弾性エネルギーによる脱硬化(Wolfrath, Michaud et al. 2005)に直面するかもしれない。脱硬化現象は、熱可塑性材料中の多孔率グラジエントの製作に使用可能である。これによって、達成可能な多孔率グラジエントが、脱硬化中の多孔率の増加に直接結びつけられる。この技術は、ポリマーベースのグラジエント複合材料の非常に特異的かつ限定された設計のみを可能とする。実際には、たとえば、骨の構造を正確に模倣するために、より大きな孔体積、孔サイズ及び分布の制御、充填材及び繊維の位置の正確な制御が必要とされる。多孔率と強化材のグラジエントの組み合わせがなお開発されるべきである。
【0009】
実際に、骨は、個々に合った多孔性複合材料の良い例である。それは、マイクロ及びナノレベルでの複雑なヒエラルキー的組織を有し、そして、基本成分としてのヒドロキシアパタイト結晶、コラーゲン分子および水からできている。さらに、それは、皮質から骨梁組織に向かって構造及びコラーゲン濃度の連続的変化を示す。孔が密閉気孔から開気孔にかわる界面がある。この意味で、骨は傾斜機能性材料であると考えられる。骨は粘弾性であり、異方性である。本発明は、これらの骨の特性を模倣する複合材料系及び加工方法を提案する。
【0010】
生物医学的応用における、ポリマー及び複合材料
ステンレススチール、チタニウム及びその合金、リン酸カルシウム及びアルミナセラミックス、ポリエチレン(PE)及びポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、及びこれらの材料の複合体は、整形外科手術において使用されてきた。現在、生物分解性のポリマーも研究されており、上手く骨が治癒した後の第二の手術を避ける目的で、なんらかの臨床的成功を収めている。
【0011】
ポリマー生体材料は、われわれの現代社会でのヘルスケア及び健康において、顕著な重要性を獲得した(Chu 2000)。繊維及び織布は、この分野でいくつかの応用を見出した。創縫合における包帯は、医薬における繊維の第一のかつ主要な用途を表す。布は、包帯などの外部で、又はそれらが柔軟性及び多孔性をもたらす血管移植片などの内部で、又はそれらが異方性をもたらすことができ、骨の性質により合ったものである、臀部プロテーゼ中のポリマーの補強材としてのいずれかの用途を有することができる。布は、組織工学における足場のためにも使用されることができる(Hutmacher 2000)。機能的組織及び器官の置換を発展させるために、科学及び工学における競争は現在一緒になっている(Burg, Porter et al. 2000; Rose and Oreffo 2002)。足場として適用において、繊維は不織布メッシュとして使用されており、これは、高い多孔率及び細胞接着及び増殖のための大きな表面積を提供する。しかしながら、このタイプの足場は、高度に変形可能であり、力学的特性に乏しい(Cima, Vacanti et al.1991)。低密度ポリエチレン (LDPE)でコーティングした超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)繊維を用いる3D織物によって足場を作ることも試みられた。この3D布は、軟骨への応用において試験され、周囲の組織との適合性を示した(Shikinami and Kawarada 1998)。Wintermantel も、編まれた繊維を有する上部構造が、多孔性かつ変形可能であって複雑な形状となること、そして、ポリマーによる含浸によって剛性が増加可能であることから、組織工学において使用可能であることを示唆した(Wintermantel, Mayer et al., 1996)。合成組織移植片を提供するために組織工学における研究も行われた(Atala and Mooney 1997)。組織工学のための足場は、細胞の接着のための高比表面積を有するために多孔性が高く、かつ、血管形成、栄養の拡散及び細胞の増殖と分化を可能とするために高い空隙容積を有する必要がある。かかる多孔質構造についての第一のアイデアは、連続気泡フォームである。フォーム形成の4つの主要な技術が、それらに固有の利益及び欠点:溶媒のキャスティング及び粒子の洗脱、気泡発生、エマルジョンの凍結乾燥及び熱により誘導された相分離、を有する生体吸着性ポリマーのために主に開発された。それらは、熱可塑性物質、そしてより特別には、生体吸着性かつ生物適合性のポリマーに適合可能である。密閉気孔を有する非医療グレードのPE又はPETフォームが、包装、スポーツ、建築及び自動車において使用されることは知られている。生物適合性グレードのこれらのポリマー及び生体吸収性ポリマーは確実に、個々に合った開気孔構造が将来的に生成可能となった場合に生物医学的適用のためにより広く考慮されるであろう。
【0012】
特に意図された用途が硬組織工学である場合に、ポリマーフォームの力学的特性が低く見えることは注目される。したがって、3次元の開気孔フォーム、すなわち、充填材、繊維及び/又は織布で補強された多孔性ポリマーを製造し、評価することは興味深い。さらに、これらの補強材は、異方性、性質及び機能のグラジエントをもたらすことができる。
【0013】
骨組織工学のための多孔性ポリマー複合材料
骨の移植が整形外科手術において日常的な手順であるにもかかわらず、現在、満足のいく代用骨は利用可能でない。合成代用骨の使用は増加しているが、フランスにおける臨床的に利用可能な代用骨をみると、整形外科への応用のために利用可能なポリマー足場はない(Mainard, Gouin et al. 2001)。使用される合成骨移植片のほとんどは、リン酸カルシウムなどのセラミックから作られており、これはそれらの低い強靭性及び脆弱な力学的挙動により耐力的応用が可能でない。実際に、さまざまな外科的状況、特に耐力的応用において使用可能な新しい合成骨足場が必要とされている。そして、多孔性ポリマー複合材料ベースの足場は、魅力的な解決法を示す。
【0014】
骨及び軟骨組織工学における最初のステップは、細胞及び組織の最大の内方成長を負荷するために制御された高い多孔性を有する足場を開発することである。それは、細胞の増殖、分化及び機能を支援することができるはずである。骨のためには、マトリックス内部への細胞の増殖に必要な最小孔径は100μmである(Laurencin, Attawia et al. 1996)。実際、200〜400μmの理想的な孔サイズ範囲が骨芽細胞にとっては好ましいということが示唆されており、それは、その範囲が骨芽細胞の機械的受容器に最適の圧迫と張力を与えるからである(Boyan, Hummert et al. 1996)。サイズ多孔率の主要な側面の一つは、細胞による孔の閉塞を回避することである。有効多孔率も骨の内方成長に重要である(Baksh and Davies 2000)。しかしながら、骨細胞に関しては、拡散は孔サイズに関連していないようであり、マイクロメーターサイズの細管が栄養のこれらの細胞への到達を可能としている。骨形成が血管の支援を必要とするため、足場も血管形成の迅速な発達を可能としなければならない。
【0015】
バイオメカニクスの観点からは、耐力的応用が計画される場合、足場の性質は骨の性質に近いものでなければならない。骨格組織のゆっくりとした再生においては、機械的応力は後期分化相の間に増加して、修復組織の力学的機能を適切に整列化しそして成熟させるべきであるが、初期相においては低く設定されるべきである。初期の高い剛性は、一次的な結合の後の漸次的吸収、そして耐力機能を獲得するための同時の骨の治癒に対応する剛性の減少を可能とするであろう。
【0016】
さらに、材料は、生体吸収性の構成要素が使用される場合にさえ、複雑な形状の部品に容易に加工されなくてはならない(米国特許第0054372A1号)。
【0017】
これまで、熱可塑性ポリマーフォームはおもにマイクロサイズであり、より最近では、ナノサイズであり、充填材はフォームを補強し及び/又はフォームの形態及び性質を個々に合ったものとするために使用された。それらは、ポリウレタンの反応性の発泡、溶媒相の加工、及びガス発泡化などのさまざまな経路を介して製造された。後者の技術は、特に生体吸収性リン酸カルシウム−ポリ(L-乳酸)(PLA)系に応用され、改善された圧縮抵抗及び骨細胞との改善された生物適合性を示す(Mathieu, Montjovent et al. 2005;Mathieu, Bourban et al.2006;Mathieu, Bourban et al., 2006)。観察された力学的特性の増加は、フォーム密度の増加と関連している。上記筆者らは、多孔性複合材料の製造は、第一にポリマーマトリックス中の充填材の均一な分散に基づいており、これは、孔壁の組成がフォーム間で変動しないことを暗示していると記載している。これらの多孔性複合材料中に存在する唯一のグラジエントは発泡過程によって誘導され、サンプルのコア中および外側における異なる冷却速度によって、より小さな孔によるより高いフォーム密度が中間部よりも後者において得られる。多孔率のグラジエントは、特に骨の構造を模倣し、そしてこれらのバイオ複合材料は、生物適合性であり、細胞の増殖及び分化を可能とすることが示された(Montjovent et al. 2005)。
【0018】
先に引用された反応性の発泡及び溶媒ベースの方法は、繊維強化フォームを得るために使用された。しかしながら、粒子及び短繊維は、ポリマーフォームを十分に補強しない。ポリウレタン(PUR)フォームは、グラスファイバー、ジュート又は亜麻織物ですでに補強されている(Bledzki A.K. 2001)。しかしながら、われわれの知識によれば、連続繊維が熱可塑性フォーム中に取り入れられて、相互に結合され、そしてミクロサイズの孔が得られたことはない。さらに、多孔質又は多孔性構造の場合に、繊維体積におけるグラジエントは考慮されてこなかった。マトリックス中に場合により短繊維/粒子と組み合わせて連続的な繊維を添加することは、多孔率が一定に保たれる場合にさえ、さらなる強化を可能とする。強化材体積及び多孔率のグラジエントを組み合わせることによって、構造は、骨梁と皮質骨の間に空隙を有し、構造及び密度に不連続性のない、自然の骨の構造に類似するようにあつらえられる。フォーム中の長い連続的な補強繊維の使用の利益は、実際、多孔率とともに臨界的な繊維長が増加し、そしてしたがって、フォームの力学的性質(弾性率、破壊抵抗)が増加可能であることにある。
【0019】
理想的には、材料は複雑な形状の部品に容易に加工されなければならない。自然の組織の粘弾性及び異方性の性質を示す材料は、それが体によりよく一体化し、最適の方法で負荷を伝達して瞬時に応力集中と剛性ミスマッチを減少させるために好ましいであろう。
【0020】
現在のセラミックインプラントは、固有の強靭性の低さを有し、そして容易に成形又はねじ釘で取り付けることができない、それが、理想的でないとされる理由である。また、弾性率ミスマッチによるインプラントと骨の間の微小な動きによって誘発される炎症の危険性もある。
【0021】
生物適合性かつ生体吸収性のポリマーは、その代わりに延性を有する。たとえば、生体吸収性のポリ(L−乳酸)(PLA)は、インプラントおよび代用骨材料のための非常によい候補である。繊維及び/又は充填材は、力学的挙動のみならず、寸法又は温度安定性、バリア特性および生物学的機能性などのPLAの他の性質を改善するためにも添加されることができる。米国特許第5108755号は、劣化条件下での経時的な降伏力及びヤング係数の保持を改善するために、一定の生物分解性繊維で補強されたポリ−ε−カプロラクトンマトリックスを含む複合材料を開示する。米国特許第4655777号は、骨固定プレートの強度を増加させるために、代用骨インプラントの場合のような顕著な多孔率を有さない、生物分解性繊維で強化されたマトリックスを開示する。該複合材料は、慣用の加工経路を用いて製造される。バルク複合材料の場合のように、多孔性複合材料構造によって、同様に性質の範囲が拡張されることができる。
【0022】
要するに、現在の足場の力学的性能は改善の必要があり、骨の欠損に正確にフィットするように手術中に加工可能でもなければならない。ポリマーベースの複合材料は、力学的性質に広がりを持たせかつデザインの自由度を提供するために、骨の微細構造を模倣する能力がある。
【0023】
したがって、熱可塑性マトリックス及び充填材、短繊維又は長繊維又は連続繊維などの強化要素を有し、補強材体積及び多孔率のグラジエントを同時に有する複合材料の製作を可能とする新しい技術が必要とされている。構造及び応力集中における不連続性のない、骨梁及び皮質骨の間に空隙を有する自然の骨の構造に類似するようにあつらえられることのできる、複合材料構造中に繊維体積及び多孔率のグラジエントを組み合わせることが挑戦される。類似の構造が同様に、植物界のものなどの他の天然の材料中にも見出されることができる。
【発明の概要】
【0024】
好ましくは繊維及び/又は充填材の正確な設置とその後の複合材料プレフォームのガス発泡化を含む溶剤を含まないプロセスによって得られた、多孔性の強化ポリマー複合材料製品が提案される。該複合材料製品は、充填材、短繊維、長繊維又は連続繊維及びそれらの組み合わせを含むポリマーに基づく制御された気泡構造を有する。(繊維が使用される場合には)繊維体積のグラジエントは、フィラメント、糸又は混繊糸の設置を介して制御され;局所的に65体積%以下の繊維含量に達することができる。多孔率は、0〜90体積%で変化することができ、多孔率のグラジエントはガス発泡パラメータを変化させることによって達成される。該プロセスは、製品のいくつかの方向においてあつらえられた充填材/繊維体積及び多孔率のバリエーションを有するポリマーフォームを製造するために、さまざまなタイプのグラジエントを組み合わせることができる。繊維は力学的係数及び多孔性複合材料の強度を改善する一方、所望の異方性及び機能特性を提供する。
【0025】
本発明は、以下の図によって例示された実施例を含む詳細な説明によって以下でよりよく理解されるであろう。
【0026】
詳細な説明
本発明は、独自のミクロ構造、マクロ構造、形態及び特性に関して記述される複合材料フォームとも呼ばれる、多孔質又は多孔性の複合材料製品に関する。そして、かかる製品を得るための方法がそれ自身の詳細によって示される。
【0027】
図1に示されるとおり、本発明の複合材料は、充填材又は繊維などの少なくとも1つの追加の材料を取り囲む連続相を示す多孔質ポリマーマトリックスである。多孔性又は多孔質構造は、壁(2)によって分離されている、セルとも呼ばれる開放の又は閉じた孔(1)を表す。充填材、粒子又は短繊維(3)、或いは2次元構成(4)及び3次元構造(5)の連続繊維の形態の補強材が検討される。それらは、それぞれ、タイプA、B及びCの新規な多孔性複合材料を表す。数種の補強材タイプの組み合わせが可能である。充填材又は繊維の量は、取り囲むポリマーの量に比例し、そして一般的には、体積分率で表される。
【0028】
多孔率は、孔の相対的体積及び孔サイズの分布に関して定義される。孔サイズ及び/又は孔体積が構造のある位置と他の位置で変化する場合、多孔率のグラジエントが得られる。構造のさまざまな方向における望ましい孔体積の変動によって、異なる分布関数が使用可能である。孔が相互に連結される場合、孔は閉じた及び/又は開放のものであることができる。孔サイズの制御は、液体又は生物学的媒体が注入されるか、或いは生細胞が多孔質複合材料中へ増殖する応用のためには重要である。
【0029】
充填材の分布は、構造全体で均一であることができるが、少なくとも1つの方向に沿った体積分率の変動(図1)は、本発明との関係で望ましい組成及び性能のグラジエントを生成する。繊維は、その長さ及びその直径の間のさまざまなアスペクト比をとることができる。アスペクト比の増加とともに、短繊維から長繊維、そして連続繊維までのさまざまなタイプの繊維が通常検討される。後者については、繊維長は、考慮される要素又は構造の長さに近いか又はより大きい。機能繊維が添加される場合、繊維の正確な設置は、繊維含量又は体積のグラジエント、そしてしたがって、性質のグラジエント又は機能のグラジエントを誘導するために必要である。繊維の相対的位置に依存して、数種のグラジエントタイプが得られる。
【0030】
以下に記載の方法は、少なくとも1つの方向における組成、体積分率及び性質の線形又は非線形の変動に関して、いくつかの空間的方向における変動及びグラジエントの組み合わせに関して、そして、グラジエントの組み合わせに関してさまざまなグラジエントタイプを提案する。たとえば、ある部分の中心における高い気孔率から該部分の外皮における低い気孔率までの気孔率の変動は、中心における低い繊維含量及び該部分の外部領域における高い繊維含量と組み合わせられることができる。
【0031】
本発明の上記多孔性複合材料の加工方法は、以下の主要な2つのステップ:a)補強材又は機能性材料の調製及び正確な設置、及びb)インサイチュでの孔の生成を含む。
【0032】
a)補強材又は機能性材料の設置
上記の充填材及び繊維は、孔を生成する次の加工ステップの後、所望の位置にとどまって、最終的な多孔性複合材料中のグラジエント特性を保障する。
【0033】
充填材及び短繊維の設置
充填材、短繊維、長繊維、所望の長さで切断された押出又は予備含浸複合物は、型表面に設置され、そして型表面のさまざまな領域での重量又は体積分率の変動を生成するために局所的に分配される。充填材の設置は、手動で又は自動化設備を用いて行われる(EP1184147A2)。そして、プレフォームは次の加工ステップに移動して多孔性複合材料に変換される。Aタイプの多孔性複合材料は、この補強材の設置及びプレフォームをベースとする。
【0034】
長繊維の設置
この加工ステップは、タイプB及びCの多孔性複合材料を得るための特定の設置方法に関する。
【0035】
一方向のタイプB複合材料の加工のためには、滑らかな繊維の分配及びしたがってグラジエントを達成するための正確な繊維又は糸の設置を行うために、曲がりくねった設備(図2)が開発される。糸又は繊維の束(6)は、ボビン(7)からとかれて、次の加工ステップのための型として働くモジュール(8)上に連続的に巻かれる。この型(8)は、さまざまな形状であることができる。図3及び図4は、2つの例を提供する。巻き取りのための駆動力は、型および各ボビンのための独立したスピードを可能とする回転モーターである。このスピードを制御することにより、垂直方向の繊維配置が制御可能である。繊維案内装置(9)は、リニアーモーターによって動かされることができ、したがって、水平方向又は長軸方向の繊維配置が制御される。
【0036】
この装置は、断面における糸又は繊維の正確な分配を有する一方向の複合材料を作り出すことを可能とする。さらに、補強繊維及びポリマー繊維の比が制御される。1つ以上の繊維タイプの、任意の2D繊維の体積グラジエントが達成可能である。乾燥繊維、予備含浸繊維、混繊繊維、被覆繊維などの補強繊維;又は発泡性繊維、可塑性繊維などの機能繊維、任意の断面を有する繊維、ナノ充填材ベースのポリマー繊維、光ファイバー、金属繊維又はこれらの繊維のハイブリッド糸が使用されることができる。配置された繊維が感水性である場合、適切な乾燥ステップが追加されることができる。フィラメント又は繊維の束が使用される場合、混繊糸を型の上に直接作ることが可能である。
【0037】
次の硬化又は発泡ステップの前の繊維の位置のいかなる変更も避けるために、設置された繊維をさらに移動させずに設置された繊維の束が予備硬化されることができる。型は、たとえば、加熱プレスのプレートの間に設置される。2つの圧縮パーツ(10)によって圧力が加えられる。2つのストッパー(11)が、予備硬化のために型が加熱されるときに溶融ポリマーが流れていくことを防ぐ。適用される温度、時間及び圧力は、所与の予備硬化レベルを提供し、これは複合材料プレフォーム中の孔の所与の体積分率である。グラジエント特性を有する複合材料を直接に硬化させるためには、プレフォームの最終的な硬化のために慣用の型も使用可能である。そして、上記の予備含浸された、予備硬化された、又は硬化されたプレフォームのいずれも以下に記載のとおりに発泡されることができる。
【0038】
3D繊維構造(タイプC)を含む複合材料フォームを加工するために、図4に示す繊維ホルダーが使用される。乾燥した又は予備含浸された状態の上記の補強繊維及び機能繊維、並びに麻くず及び糸がホルダー上で固定されることができる。上記のB−タイプ複合材料のプレフォームもここに組み込まれることができる。一方向の、交差した、二重に交差した、そして多数の3D繊維の分布及び布地の構造が実現されるか又はこのホルダー上に設置されることができる。実際、繊維は垂直にまたは要素(12)及び(13)間に異なる角度で整列化されることができる。これらの要素(12)及び(13)は、図4に示すように湾曲するかわりに直線であるような、他の構造を有することができる。さらに、繊維は2つ以上の要素(14)間で水平に保持されることができる。したがって、繊維はいかなる配向を有することもできる。正確に要素間に設置された繊維又は糸の量を変化させることによって、繊維体積のグラジエントが生成する。例えば、要素(13)から要素(15)にわたって、徐々により多くの繊維を設置することによって、放射状のグラジエントが得られる。
【0039】
ホルダーが、異なるサイズのより多く又はより少ない要素を有することができ、そしてそれらのいくつかが組み合わせ可能であることは明らかである。さらに、ホルダーは、乾燥した又は予備含浸された織物、編み物又は編まれたプレフォームなどのいかなるタイプの繊維布地及び布も保持するために使用されることができる。
【0040】
その後のすべての発泡ステップのために補強繊維が正しい位置に広げられたままであることを保証する、この繊維ホルダーとともに、繊維はコーティング又は予備含浸のための液体又は溶融マトリックスポリマーの浴中に浸されることができる。その後、繊維ホルダー及び繊維は発泡チャンバー内の型に入れられる。所望のポリマー体積分率を完成することが必要である場合、マトリックス材料を十分なものとするためにポリマーの粉末又は顆粒が型に加えられる。
【0041】
こうして溶媒を含まない熱可塑性フォームを加工することができ、それは方向づけられた連続繊維によって補強される。これによって、最も良いと思われる繊維の方向並びに繊維の分布及び繊維体積のグラジエントが、選択されることができる。
【0042】
b)多孔性の生成
硬化の制御
多孔性は、タイプB複合材料プレフォームの予備硬化パラメータを制御することによって得ることができる。図3の型を横切る熱伝導を変化させること、圧力レベル及び時間を制御することによって、かかる複合材料中に多孔率グラジエントを生成することが可能である。加工パラメータは各ポリマー材料タイプに特異的である。試験が実施されて、この技術による制御された方法で20%以下の多孔率が得られることを示している。
【0043】
複合材料のガス発泡化
本発明においては、発泡プロセスが、複合材料フォームの製造のために提案される。該プロセスは、いかなる溶媒又は追加の化学的発泡剤の使用も回避し、そして核生成及び孔の複合材料中への成長を可能とする一方、補強材の位置を維持する。続いて、多孔率及び補強材含量のグラジエントが得られる。
【0044】
調製された充填材または短繊維に基づくプレフォーム並びに連続繊維に基づくプレフォームが、発泡プロセスがそこにおいて誘導される、加熱され、加圧され、そして閉じた容器中に入れられる。超臨界CO2が受け入れ用の型の中に入れられた複合材料プレフォームを発泡させるのに使用される。ここではパラメータはポリ(L-乳酸)ベースの系について示されるが、任意のタイプの熱可塑性物質ベースの系のために調整されることができることは明らかである。CO2はオートクレーブ中に浸透し、圧力は50〜300バール、より好ましくは100〜250バールまで増加される。ガス飽和温度Tsat及びガス飽和圧力Psatは、材料中へのガスの拡散及び濃度を制御する。1〜20バール/秒、より好ましくは3〜15バール/秒の制御された流速のガス放出によって減圧が行われる。孔は核生成される。減圧および水によるさらなる冷却によって発泡チャンバーは同時に冷却される。冷却速度は、好ましくは0.5〜7.0℃/秒である。減圧初速度dP/dt及び最大冷却速度dT/dtは、孔の拡張及び安定化に影響を及ぼす、重要なパラメータである。上記の加工パラメータは、多孔率の様々なグラジエントを達成するために孔サイズ及び分布を制御するために変化させられる。繊維の存在は、孔の核生成及び成長に影響し、そしてしたがって、特異的な発泡パラメータを必要とする。例えば、相互に連結された孔を生成するためには、より高い飽和圧力及びより遅い冷却速度が要求される。
【0045】
それらは主にポリマーベースのものであるため、型にはめて作った複合材料フォームのサンプルは、所与の用途の特定の要求に応じて切断され、機械加工され、又はねじで締め付けられることができる。
【0046】
結論として、本発明は、複合材料プレフォームを発泡させ、そしてあつらえられたグラジエントを有する多孔性複合材料構造を得るステップに先立つ、充填材又は繊維の設置及び調製ステップを統合する方法に関する。
【0047】
上記の方法及びそれらの組み合わせによって、0〜90体積%で変動する多孔率グラジエントが達成可能である。同時に、固体材料内の繊維分率であると定義される繊維体積分率は、さまざまなグラジエントタイプを得るために、局所的に0〜65%にあつらえられることができる。したがって、局所的な多孔率レベル及び繊維体積分率によって、弾性係数などの力学的性質が広い範囲で変動可能である。実施例は、特定の材料系のための値を提供する。
【0048】
材料系
一般に、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリウレタン(PUR)などの熱可塑性ポリマーが使用可能である。それらは、上記の方法の加工ステップを用いて標準的な充填材又は繊維によって補強されることができる。
【0049】
生物医学の分野においてすでに使用されている生物適合性及び生物分解性ポリマー、繊維及び粒子は、それぞれ、たとえば、足場として使用される生物適合性及び生物分解性の多孔質製品を調製するために考慮されることができる。好適なポリマーのいくつかの例は、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(乳酸)(PLA、L又はD、Lエナンチオマー)、ポリ(ε−カプロラクトン)(PCL)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)、ポリ(β−ヒドロキシルブチレート)(PHB)、ポリ(β−ヒドロキシ吉草酸塩)、ポリ(p−ジオキサノン)(PDS)、ポリ(オルトエステル)、ポリペプチド、およびこれらのコポリマーなどのα−ポリヒドロキシ酸である。
【0050】
発泡プロセスのためには、ポリマー又は化合物は固有の粘度、好ましくは0.8dL/g超、そしてより好ましくは1.0dL/g超を有さなければ成らない。ポリマー加水分解を防ぐために、それらは加工の前に乾燥されることが好ましい。
【0051】
補強要素は、微粒子状の充填材、短繊維、長繊維又は連続繊維の形状を有することができる。それらは、乾燥しているか、樹脂に予備含浸されているか、コーティングされているか、又は調合工程の結果物であることができる。セラミック粒子のいくつかの好適な例は、ヒドロキシアパタイト(HAp)、β−リン酸三カルシウム(β−TCP)、炭酸カルシウム(CC)、リン酸二水素カルシウム(CDHP)、リン酸水素カルシウム(CHP)、又はこれらの混合物などのリン酸カルシウム塩類、及びBioglass(登録商標)、リン酸ベースのガラスなどの生体活性ガラスである。セルロース、でんぷんなどの天然及び再生可能な資源をベースとする充填材及び繊維も使用可能である。充填材の体積分率は、好ましくは0〜15体積%をなす。タイプAの複合材料は、さまざまな材料で作られたナノフィラー又はナノチューブなどのナノメーター範囲の充填材、粒子又は繊維も含むことができる。
【0052】
長繊維及び連続繊維は、ガラス、カーボンなどの伝統的な材料、Bioglass(登録商標)及びリン酸塩ベースのガラスなどの吸収性ガラスから作られることができる。ポリマー及び複合繊維も使用される。たとえば、セルロース繊維又は木質繊維が、再生可能資源から作られた多孔性複合材料を加工するために使用される。充填材又は他の補強材を含むポリマー繊維も想定される。ポリマーの粘度を増加させる充填材材料とは反対に、長繊維/連続繊維の体積分率は65%にまで増加することができる。ポリマーの発泡能力は、かかる高い繊維体積分率においても維持され、それは、ポリマーの粘度が変化しないからである。(最終的には、低分率の充填材を加えられる)ポリマーは、連続繊維の周囲で単純に発泡するであろう。それにもかかわらず、孔のサイズ及び分布は繊維の存在及び分布の影響を受ける。
【0053】
上記の方法によって、さまざまな充填材及び繊維のタイプの組み合わせが可能である。たとえば、ハイブリッド繊維系、ポリマー繊維、生物分解性繊維、金属繊維、光ファイバー、機能繊維が、本発明の方法を用いて多孔性複合材料構造中に組み込まれることができる。したがって、機能的に等級分けされた複合材料が加工可能である。分解性の、発泡性の、コーティングされた、又は中空繊維がさらなる多孔性及び孔を最終的な複合材料中に分配するためのさらなる方法をもたらすことができる。
【0054】
得られた複合材料フォームは、多孔率に関してあつらえられることができる。明らかに、それらは構造に更なる機能をもたらす、任意の媒体、液体又はゲルで浸潤されそして満たされることができる。たとえば、生物活性のある又は流動活性のある流体が、それぞれ組織工学への応用及び制振材のために興味のあるものである。他の例は、液体であるか又は液体中に溶解された、異化作用又は同化作用性薬物、成長因子などのタンパク質、又は骨代謝に影響を及ぼす任意の化学物質であって、したがって孔の表面に沈殿させられることのできるものの使用である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】図1は、充填材又は短繊維体積のグラジエントを有する新規な多孔性複合材料(タイプA)、連続繊維の2D分布を有する多孔性複合材料(タイプB)及び連続繊維の3D分布を有する多孔性複合材料(タイプC)についての断面を模式的に表すものである。
【図2】図2は、タイプBの複合材料を加工するための補強材及び機能繊維又は糸の正確な設置のための曲がりくねった設備である。
【図3】図3は、タイプB複合材料の繊維の設置及び予備硬化のための型を詳細に表す。
【図4】図4は、タイプCの複合材料を加工するための補強材及び機能繊維又は糸を設置しそして方向づけるためのホルダーを示す。
【図5】図5は、多孔率のグラジエントを示す、タイプA複合材料の断面を示す。
【図6】図6は、どちらも200℃における、予備硬化及び硬化のための加工ウインドウを示す。
【図7】図7は、繊維を含まない中心を有する複合材料Bの断面、糸の方向に対して垂直な断面の顕微鏡写真である。
【図8】図8は、タイプB複合材料における多孔率及び繊維のグラジエントの例である。
【図9】図9は、繊維を設置し、方向づけ、そして維持するための設備も示す、グラスファイバー−PLAフォームである。
【図10】図10は、連続繊維により補強されたフォームの微細構造。繊維の束は、開気孔及び閉気孔の間にある。糸の方向に対して垂直な断面である。
【図11】図11は、連続繊維により補強されたフォームの微細構造。左は、繊維の方向に対して水平な断面、そして右は、角度で方向づけられた繊維の断面である。
【図12】図12は、所与のタイプCの複合材料の応力−緊張曲線である。
【図13】図13は、グラスファイバーで補強されたPLAフォームの係数及び多孔率範囲の例である。
【実施例1】
【0056】
充填材及び多孔率のグラジエントを組み合わせた複合材料製品(タイプA)
この実施例の目的は、どのようにタイプAの複合多孔質構造(図1)を得るかを例解することである。
最初に、5gのPLA+5%のβ−TCP(PLA-5TCP)、及び5gのPLA+10%のβ−TCP(PLA-10TCP)を不活性大気下で、マイクロエクストルーダー(Micro5、DSM;オランダ)を用いて押し出す。以下のパラメータ:100rpmのスクリュー回転スピード、4分の滞留時間及び200℃の設定温度を使用する。そして、押し出された複合物を乾燥し、そして1cmの長さのロッドに切断する。直径50mmのシリンダーの型の内部に、直径35mmの紙のシリンダーを設置する。このシリンダー内部に、5gのPLA-5TCPを入れ、そして外側に5gのPLA-10TCPを加える。そして、紙のシリンダーを取り除き、β−TCP濃度のグラジエントを複合材料中に導く。
【0057】
第二のステップにおいては、発泡が行われる。先に記載のように調製された型をオートクレーブ中に置く。きつく閉めた後、圧力を200バールまで、そして温度を195℃まで上昇させる。10分間の飽和の後、圧力を最大速度4.5バール/秒で解除し、そして同時に冷却がおこる。加工パラメータを制御して、2つのグラジエント:第一に、最初の複合材料ロッドの設置による、コアよりも高い外部でのβ−TCP充填材(3)濃度;第二に、加工中のフォームの外側及びコアにおける差別的冷却により誘導される多孔性のグラジエント、を有する多孔性複合材料構造が達成される(図5)。
【実施例2】
【0058】
繊維のグラジエント及び多孔率のグラジエントを組み合わせた複合材料製品(タイプB)
繊維体積グラジエントを有するタイプB複合材料の加工ステップ及び微細構造が記載される。ポリアミド(PA12)繊維の束を32モノフィラメント及びカーボンファイバー(CF)、この場合、250モノフィラメントの束、とともに型(8)の周囲に設置するために巻いたセットアップを使用する(図2及び3)。ビームの外側におけるカーボンファイバーの繊維体積分率は15%である。図6は、熱可塑性材料が200℃で加工される場合の予備硬化及び最終的な硬化に使用する加工パラメータを示す。例えば、図7は、繊維に富む領域(4)に囲まれた繊維を含まない中心(16)を有するポリアミド12(PA12)/カーボンファイバー(CF)複合材料のセクションを示す。図7は、繊維の束の間の相対的位置が、固形化ステップの間、維持されることができたことも示す。水平及び垂直方向においては、それぞれ500μm及び200μm未満の束設置の精度がこの材料系によって達成された。
【0059】
図8は、おもに型の上での熱移動である、硬化パラメータの制御によって誘導された多孔率グラジエントを有するPA12/CF複合材料のセクションを図解する。かかる多孔率グラジエントを達成するには、型の1つの側を200℃で加熱するのみである。外側は室温に保たれ、これがプレフォーム全体の温度グラジエントを誘導する。30分間、1バールの圧力が提供される。時間、圧力及び温度のパラメータを操作して、異なる多孔率グラジエントが加工可能である。孔(17)は、繊維グラジエント(4)によって補強されたポリマーマトリックス(18)中に分配される。
【実施例3】
【0060】
繊維及び多孔率のグラジエントを組み合わせる複合材料構造:タイプB及びC
ここでの主な挑戦は、繊維体積及び多孔率のグラジエント、そしてより具体的には、ガス発泡プロセスを該システムに応用する場合、最初の繊維補強材フォームは、0%〜90%の範囲の多孔率を有する。
【0061】
この実施例は、グラスファイバーで補強された生体吸収性ポリマー、ポリ(L-乳酸)(PLA)に基づくが、該方法はこの材料系に限定されない。
【0062】
連続的な慣用のEグラスファイバーをホルダーの周囲に徐々に巻いて(図4)、異なる繊維体積を有する数種の層を形成し、そして発泡の間、繊維を安定に保ち、かつ方向づける。そして、ホルダーを加圧チャンバーのためのシリンダー状の型中に入れ、そして繊維にPLAペレット(15g)を加える。PLAペレットは、グラスファイバーとともに巻かれたPLAペレットで置換されるか又はそれと併合されて、混繊糸を形成することができる。そして、200バールの飽和圧力を用いてガス発泡を実施する。こうして、グラスファイバーで補強されたPLAフォームが、孔壁に位置付けられた方向づけられた繊維(4)とともに得られる(図10)。こうして、開気孔及び閉鎖気孔(1)及び繊維を併合する。図11は、繊維(4)及び多孔率(1)の分布を示す他の断面を図示する。図12は、2体積%のグラスファイバー及び70%の多孔率で補強されたPLAフォームの応力−緊張曲線の一例である。圧縮をひずみ速度0.1s-1で実施した。弾性係数、E=342MPa、及び12MPaの弾性崩壊応力(elastic collapse stress)は、この特別なフォームの測定された特性であった。
【0063】
局所的な多孔率レベル及び繊維体積分率に依存して、圧縮弾性係数Eなどの力学的特性は、広い範囲において、そして異なるグラジエントタイプにおいて変化することができる。材料系PLA及びEグラスファイバーのためには、達成可能な性質の範囲の概要が図13に示される。最初の3つのラインは、80%〜0%までの多孔率のグラジエントの変化とともにいかに係数が変化するかを示す。最後の3つのラインは、5〜50%の繊維体積含量のグラジエントの追加による係数の増加を図示する。この結果は、多孔率及び繊維体積分率のグラジエントを組み合わせたときの性質も示す。
【0064】
先に検討した実施例において、充填材、短繊維、又は長繊維又は連続繊維で補強されたフォームの加工及び得られた構造が、医学分野における応用で実証されたが、加工技術は、他の応用のための、かかる多孔性グラジエント複合材料の製作も可能とする。
【実施例4】
【0065】
薬物担体として使用される、グラジエント複合材料構造
ドラッグデリバリーシステムは、骨代謝の制御における主要な関心事である。そして、開発された複合材料を、異化作用性又は同化作用性の骨の薬物、成長因子などのタンパク質又は骨代謝に効果のある任意の化学物質と併用することには重要な潜在能力がある。複合材料と併合された上記で列挙された物質を混合することも可能である。複合材料とビスホスホネートの組み合わせは興味深い。複合材料は、異なる濃度のビスホスホネートを含む溶液中に浸漬されて、複合材料が含浸され、そして孔表面が薬物溶液でコーティングされることを可能とする。可能なプロセスは、複合材料を10〜500mM、好ましくは20〜200mMのビスホスホネートを含む水溶液中に1時間、好ましくは15〜30分間浸漬することである。薬物を含む得られた複合材料は、フリーザー、好ましくは−10℃〜−30℃の中で、手術が行われるまで保存される。たとえば、動物試験が実施され、ビスホスホネート(Zoledronate)を含む複合材料がラット関節丘の骨欠損部に挿入される。ビスホスホネートを負荷した複合材料は、重要な骨形成を誘導し(同化作用)、これは、ビスホスホネートが骨の同化作用を増加させるためでなく、骨の異化活性を低下させるために設計された薬物であることから予想外のものである。この複合材料とビスホスホネートの組み合わせによって増加した骨の同化作用は、この特別なデリバリーシステムによるものであり、そして治療の観点からは非常に興味深い。
【0066】
そして、概念実証が達成され、複合材料は、異化作用性又は同化作用性の骨の薬物、成長因子などのタンパク質又は骨代謝に効果のある任意の化学物質、そして特にビスホスホネートの有効な担体であることできる。
【0067】
参考文献
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
数種の充填材及び/又は繊維並びに数個の孔を取り入れた発泡ポリマー複合材料製品であって、該複合材料が、充填材及び/又は繊維含量のグラジエント及び孔密度のグラジエントである2つの異なるグラジエントを示すことに特徴を有する、前記発泡ポリマー複合材料製品。
【請求項2】
以下のステップ:
乾燥した又は予備含浸された充填材及び/又は繊維を型の中に正確に設置することによる、複合材料プレフォームの調製、ここで、上記充填材及び/又は繊維は、充填材及び/又は繊維含量のグラジエントを形成するように分布されており、
前記プレフォームおよびポリマー材料の発泡型への組み込み、
孔密度のグラジエントを形成するような、前記調製された複合材料の発泡、
を含む方法によって得られる、請求項1に記載の発泡ポリマー複合材料製品。
【請求項3】
前記方法が溶媒を含まない方法である、請求項2に記載の発泡ポリマー複合材料製品。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の発泡ポリマー複合材料製品であって、孔密度の変動が、少なくとも1つの方向における前記孔密度の局所値において0〜90%である、前記発泡ポリマー複合材料製品。
【請求項5】
繊維を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発泡ポリマー複合材料製品であって、繊維含量の変動が、少なくとも1つの方向における繊維密度の局所値において0〜65%である、前記発泡ポリマー複合材料製品。
【請求項6】
充填材を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の発泡ポリマー複合材料製品であって、充填材含量の変動が、少なくとも1つの方向における充填材密度の局所値において0〜65%である、前記発泡ポリマー複合材料製品。
【請求項7】
媒体で充填されるために孔密度があつらえられる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の発泡ポリマー複合材料製品。
【請求項8】
孔密度及び力学的性能が骨組織工学への応用のためにあつらえられる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の発泡ポリマー複合材料製品。
【請求項9】
生体吸収性ポリマー及び繊維から作られた、請求項1〜8のいずれか1項に記載の発泡ポリマー複合材料製品。
【請求項10】
薬物を負荷されていることに特徴を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の発泡ポリマー複合材料製品。
【請求項11】
前記薬物がビスホスホネートである、請求項10に記載の発泡ポリマー複合材料製品。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に定義されたポリマー複合材料製品の製造方法であって、以下のステップ:
乾燥した又は予備含浸された充填材及び/又は繊維を型の中に正確に設置することによる、複合材料プレフォームの調製、ここで、上記充填材及び/又は繊維は、充填材及び/又は繊維密度のグラジエントを形成するように分布されており、
前記プレフォームおよびポリマー材料の発泡型への組み込み、
孔密度のグラジエントを形成するような、前記調製された複合材料の発泡、
を含む、前記方法。
【請求項13】
前記方法が、溶媒を含まない方法である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
あつらえられた孔密度を得るために、温度、飽和圧力、減圧速度及び冷却速度が制御され、前記孔密度が、少なくとも1つの方向において0〜90%の局所値で変動する、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
繊維を用いる、請求項12〜14のいずれか1項に記載の方法であって、ここで、前記繊維が、少なくとも1つの方向における繊維密度が0〜65%の局所値で変動するように分配される、前記方法。
【請求項16】
充填材を用いる、請求項12〜15のいずれか1項に記載の方法であって、ここで、前記充填材が、少なくとも1つの方向における充填材密度が0〜65%の局所値で変動するように分配される、前記方法。
【請求項1】
数種の充填材及び/又は繊維並びに数個の孔を取り入れた発泡ポリマー複合材料製品であって、該複合材料が、充填材及び/又は繊維含量のグラジエント及び孔密度のグラジエントである2つの異なるグラジエントを示すことに特徴を有する、前記発泡ポリマー複合材料製品。
【請求項2】
以下のステップ:
乾燥した又は予備含浸された充填材及び/又は繊維を型の中に正確に設置することによる、複合材料プレフォームの調製、ここで、上記充填材及び/又は繊維は、充填材及び/又は繊維含量のグラジエントを形成するように分布されており、
前記プレフォームおよびポリマー材料の発泡型への組み込み、
孔密度のグラジエントを形成するような、前記調製された複合材料の発泡、
を含む方法によって得られる、請求項1に記載の発泡ポリマー複合材料製品。
【請求項3】
前記方法が溶媒を含まない方法である、請求項2に記載の発泡ポリマー複合材料製品。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の発泡ポリマー複合材料製品であって、孔密度の変動が、少なくとも1つの方向における前記孔密度の局所値において0〜90%である、前記発泡ポリマー複合材料製品。
【請求項5】
繊維を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発泡ポリマー複合材料製品であって、繊維含量の変動が、少なくとも1つの方向における繊維密度の局所値において0〜65%である、前記発泡ポリマー複合材料製品。
【請求項6】
充填材を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の発泡ポリマー複合材料製品であって、充填材含量の変動が、少なくとも1つの方向における充填材密度の局所値において0〜65%である、前記発泡ポリマー複合材料製品。
【請求項7】
媒体で充填されるために孔密度があつらえられる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の発泡ポリマー複合材料製品。
【請求項8】
孔密度及び力学的性能が骨組織工学への応用のためにあつらえられる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の発泡ポリマー複合材料製品。
【請求項9】
生体吸収性ポリマー及び繊維から作られた、請求項1〜8のいずれか1項に記載の発泡ポリマー複合材料製品。
【請求項10】
薬物を負荷されていることに特徴を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の発泡ポリマー複合材料製品。
【請求項11】
前記薬物がビスホスホネートである、請求項10に記載の発泡ポリマー複合材料製品。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に定義されたポリマー複合材料製品の製造方法であって、以下のステップ:
乾燥した又は予備含浸された充填材及び/又は繊維を型の中に正確に設置することによる、複合材料プレフォームの調製、ここで、上記充填材及び/又は繊維は、充填材及び/又は繊維密度のグラジエントを形成するように分布されており、
前記プレフォームおよびポリマー材料の発泡型への組み込み、
孔密度のグラジエントを形成するような、前記調製された複合材料の発泡、
を含む、前記方法。
【請求項13】
前記方法が、溶媒を含まない方法である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
あつらえられた孔密度を得るために、温度、飽和圧力、減圧速度及び冷却速度が制御され、前記孔密度が、少なくとも1つの方向において0〜90%の局所値で変動する、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
繊維を用いる、請求項12〜14のいずれか1項に記載の方法であって、ここで、前記繊維が、少なくとも1つの方向における繊維密度が0〜65%の局所値で変動するように分配される、前記方法。
【請求項16】
充填材を用いる、請求項12〜15のいずれか1項に記載の方法であって、ここで、前記充填材が、少なくとも1つの方向における充填材密度が0〜65%の局所値で変動するように分配される、前記方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2009−542890(P2009−542890A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−519042(P2009−519042)
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【国際出願番号】PCT/IB2007/052705
【国際公開番号】WO2008/007332
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(509011514)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【国際出願番号】PCT/IB2007/052705
【国際公開番号】WO2008/007332
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(509011514)
【Fターム(参考)】
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