多孔質エレメントを有する研磨パッド及びその製造方法と使用方法
本開示は、多孔質研磨エレメントを用いた研磨パッド、並びにそのパッドの製造方法及び研磨工程での使用方法に関する。例示的一実施形態では、研磨パッドは多数の研磨エレメントを含み、少なくともその幾つかは多孔質であり、1つ又は複数の他の研磨エレメントに対して研磨エレメントの横方向の動きを制限するように夫々の研磨エレメントを支持層に取り付けるが、研磨エレメントの研磨表面に垂直な軸では移動可能である。ある実施形態では、研磨パッドは支持層、及び更には、研磨組成物分布層の上に複数の研磨エレメントを配置及び適宜取り付けるために配置したガイド板を含んでもよい。幾つかの実施形態では、細孔が実質的に多孔質研磨エレメントの全体にわたって分布している。他の実施形態では、細孔が実質的にエレメントの研磨表面に分布している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、多孔質研磨エレメントを有する研磨パッド、及び、そのような研磨パッドの製造方法、及び、例えば、化学機械平坦化工程における研磨工程でのそのような研磨パッドの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子及び集積回路の製造中、シリコン・ウェーハを一連の析出とエッチングのステップを通して繰り返し処理し、上を覆う物質層及び素子構造を形成する。化学機械平坦化(CMP)として知られている研磨技術は、析出及びエッチングのステップ後の表面凹凸(隆起、同じでない高さの領域、くぼみ、及び溝など)の残存を除去するために使用できるものであり、傷又はくぼみ(ディッシングとして知られている)がなく、ウェーハ表面の全域で高い均一性がある平坦なウェーハ表面を得ることを目的とするものである。
【0003】
標準的なCMP研磨工程では、ウェーハのような基板を、典型的には、水及び/又はエッチング化学要素中の研磨粒子のスラリーである作業流体の存在下で研磨パッドに対して押し付け、相対的に動かす。研磨スラリーと共に使用する様々なCMP研磨パッドが、例えば、米国特許番号第5,257,478号、5,921,855号、6,126,532号、6,899,598B2号、及び7,267,610号に開示されている。米国特許番号第6,908,366B2などで、固定された研磨パッドも知られている。この特許では、研磨粒子は、一般に、パッドの表面に固定されており、多くの場合、正確に成形された研磨組成物がパッド表面から伸びている形状をしている。最近、圧縮性の下層から伸びる多数の研磨エレメントを有する研磨パッドが国際特許出願公開公報第WO/2006/057714号に記載された。様々な研磨パッドが知られ、また使用されているが、特に、大きなダイ直径が使われていたり、又はウェーハ表面平坦性及び研磨均一性の高いレベルが要求されるCMP工程では、技術は進み続け、CMPのための新たな改良された研磨パッドが要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,257,478号
【特許文献2】米国特許第5,921,855号
【特許文献3】米国特許第6,126,532号
【特許文献4】米国特許第6,899,598B2号
【特許文献5】米国特許第7,267,610号
【特許文献6】米国特許第6,908,366B2号
【特許文献7】国際特許出願公開公報第WO/2006/057714号
【特許文献8】国際特許出願公開公報第WO/2006/055720号
【特許文献9】米国仮特許出願番号第61/053,429号
【特許文献10】米国特許第6,238,592B1号
【特許文献11】米国特許第6,491,843B1号
【特許文献12】国際特許出願公開公報第WO/2002/33736号
【特許文献13】米国仮特許出願番号第60/926,244号
【発明の概要】
【0005】
例示的一実施形態において、本開示は、複数の研磨エレメントを備える研磨パッドであって、1つ又は複数の他の研磨エレメントに対して研磨エレメントの横方向の動きを制限するように夫々の研磨エレメントを支持層に取り付けるが、研磨エレメントの研磨表面に垂直な軸では移動可能であり、少なくとも研磨エレメントの一部は多孔質研磨エレメントを備え、少なくとも夫々の多孔質研磨エレメントの表面は複数の細孔を備える、研磨パッドを記載する。
【0006】
ある実施形態において、細孔は、実質的に多孔質研磨エレメントの全体にわたって分布することができる。他の例示的実施形態では、細孔は実質的にエレメントの研磨表面に分布することができる。幾つかの特定の例示的実施形態では、実質的にエレメントの研磨表面に分布する細孔が円筒形、三角形、長方形、台形、半球形、及びその組み合わせからなるグループから選択された断面形状を有する複数のチャネルを備える。
【0007】
他の例示的実施形態において、本開示は、第1の主要面及び第1の主要面と反対側の第2の主要面を有する支持層、支持層の第1の主要面に取り付けた複数の研磨エレメント、並びに第1の主要表面及び第1の主要表面と反対側の第2の主要表面を有するガイド板を備える研磨パッドを記載する。ガイド板は、支持層から遠位の第1の主要表面と共に、第1の主要面上に複数の研磨エレメントを配置するために置かれ、研磨エレメントは、ガイド板の第1の主要表面から第1の主要面に実質的に垂直な第1の方向に沿って伸び、少なくとも研磨エレメントの一部は、多孔質研磨エレメントを含み、また少なくとも夫々の多孔質研磨エレメントの一部は、複数の細孔を含む。
【0008】
ある例示的実施形態において、細孔は、実質的に多孔質研磨エレメントの全体にわたって分布することができる。他の例示的実施形態では、細孔は、実質的にエレメントの研磨表面に分布することができる。幾つかの特定の例示的実施形態では、実質的にエレメントの研磨表面に分布する細孔が円筒形、三角形、長方形、台形、半球形、及びその組み合わせからなるグループから選択された断面形状を有する複数のチャネルを備える。
【0009】
更なる例示的実施形態において、本開示は、研磨工程において上述したような研磨パッドの使用方法に向けられる。この方法は、基板の表面が複数の研磨エレメントを備える研磨パッドの研磨表面に接することを含み、少なくとも研磨エレメントの幾つかは、多孔質で、基板に対して相対的に研磨パッドが動き基板の表面を研磨する。ある例示的実施形態では、研磨パッド表面と基板表面の間の接触面に作業流体を供給することができる。
【0010】
別の例示的実施形態において、研磨パッドの製造方法を提供し、この方法は、複数の多孔質研磨エレメントを形成し、また支持層に多孔質研磨エレメントを取り付けることを含む。ある実施形態では、この方法はポリマー溶解で飽和したガスの射出成形、反応上でガスを放出しポリマーを形成する反応混合物の射出成形、超臨界ガス中で溶解したポリマーを含む混合物の射出成形、溶媒中の非相溶性ポリマーの混合物の射出成形、熱可塑性ポリマーの中に分散した多孔質熱硬化性粒子の射出成形、及びその組み合わせによる多孔質研磨エレメントの形成を含む。
【0011】
本開示に係る多孔質研磨エレメントを有する研磨パッドの例示的実施形態は、様々な研磨用途に使用できる多様な特徴及び特性を持っている。幾つかの現時点の好ましい実施形態では、本開示の研磨パッドは、集積回路及び半導体素子の製造で使用されるウェーハの化学機械平坦化(CMP)に特によく適している可能性がある。或る例示的実施形態では、本開示に記載の研磨パッドは、以下の利点の幾つか、又は全てをもたらすことができる。
【0012】
例えば、幾つかの例示的実施形態において、本開示に係る研磨パッドは、CMP工程で使用される作業流体が、パッドの研磨表面と研磨される基板表面の間の接触面でより留まりやすいように働くことができ、それにより、研磨を促進する上での作業流体の有効性を高める。他の例示的実施形態では、本開示に係る研磨パッドは、研磨中のウェーハ表面のディッシング及び/又はエッジ・エロージョンを軽減又は解消することができる。幾つかの例示的実施形態では、本開示に係る研磨パッドのCMP工程での使用は、ウェーハ研磨均一性の改善、研磨されたウェーハ表面の平面化、ウェーハからのエッジ・ダイ生産量の増加、並びにCMP工程運用の許容度及び一貫性の改善をもたらすことができる。
【0013】
別の例示的実施形態において、本開示に係る多孔質エレメントを用いる研磨パッドの使用は、表面均一性の要求レベルを維持して高いチップ生産量を得ながらのより大きい直径のウェーハの処理、ウェーハ表面の研磨均一性を維持するためにパッド表面のコンディショニングが必要とされる前のより多くのウェーハの処理、あるいは処理時間及びパッド・コンディショナー上の摩耗の低減を可能にすることができる。或る実施形態では、多孔質研磨エレメントを用いるCMPパッドは、溝などの表面構造を有する従来のCMPパッドの優位性及び利点をもたらすこともできるが、低コストでより再現性よく製造することもできる。
【0014】
本開示の例示的実施形態の様々な観点及び利点について概要を述べてきた。上記の概要は、本発明の夫々の図示した実施形態又はここでの或る例示的実施形態のあらゆる実施態様を説明することを目的としていない。以下でより具体的に説明する「図面」及び「発明を実施するための形態」が、ここで開示した原理を使用した好ましい実施形態を例示する。
【0015】
本開示の例示的実施形態について、添付図面を参照して更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本開示の例示的一実施形態による突出した多孔質エレメントを備えた研磨パッドの側面図である。
【図2】本開示の他の例示的実施形態に係る突出した多孔質エレメントを備えた研磨パッドの側面図である。
【図3A】本開示の例示的一実施形態に係る多孔質研磨エレメントの斜視図である。
【図3B】図3Aの例示的多孔質研磨エレメントの上面図である。
【図3C】研磨表面に実質的に垂直な方向でエレメントを切断した後の図3Aの例示的多孔質研磨エレメントの拡大斜視図である。
【図4A】本開示の他の例示的実施形態に係る多孔質研磨エレメントの斜視図である。
【図4B】本開示の他の例示的実施形態に係る多孔質研磨エレメントの斜視図である。
【図4C】本開示の別の例示的実施形態に係る多孔質研磨エレメントの斜視図である。
【図5A】研磨表面に実質的に平行な方向でエレメントを切断した後の本開示の例示的実施形態に係る多孔質研磨エレメントの顕微鏡写真である。
【図5B】研磨表面に実質的に垂直な方向でエレメントを切断した後の図5Aの多孔質研磨エレメントの顕微鏡写真である。
【図6A】本開示の更なる例示的実施形態に係る多孔質研磨エレメントの多孔質研磨表面の顕微鏡写真である。
【図6B】研磨表面に実質的に垂直な方向でエレメントを切断した後の図6Aの多孔質研磨エレメントの顕微鏡写真である。
【図7】本開示の更にもう1つの例示的実施形態に係る多孔質研磨エレメントの多孔質研磨表面の顕微鏡写真である。
【0017】
図面中の類似の参照番号は、類似の要素を示す。ここで示した図面は、原寸に比例していない。また図面では、研磨パッドの構成要素は、選択された特徴が強調されるように寸法設定されている。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ウェーハ研磨の標準的なCMPスラリー工程において、特性トポグラフィを処理するウェーハは、研磨パッド、及び砥粒及び研磨化学要素を含む研磨溶液に接触状態にされる。研磨パッドが軟質の場合、ソフト・パッドがウェーハ上の高くなった領域と同じ速度で低い領域を研磨することが原因で、ディッシング及びエロージョンの現象が起きることがある。研磨パッドが硬質の場合は、ディッシング及びエロージョンは著しく低減されることがある。しかしながら、硬質研磨パッドはダイを均一に平坦化するのに有利に良い結果をもたらすことができるが、ウェーハ周囲で生じるリバウンド効果が原因で、ウェーハ均一性では不都合なほど正確さに欠ける結果をもたらすこともある。このリバウンド効果は、粗悪なエッジの生産及び狭いCMP研磨工程ウィンドウをもたらす。更に、このような硬質研磨パッドは異なるウェーハ・トポグラフィに敏感であり、またウェーハとの接触面及び研磨溶液を維持する最適な研磨テクスチャを作り出すためのパッド・コンディショナーの使用に完全に依存するため、硬質研磨パッドでは安定な研磨工程を開発するのが困難なことがある。
【0019】
本開示は、多孔質研磨エレメントを用いた改善された研磨パッドに関し、軟質の研磨パッド及び硬質研磨パッド夫々の不利な特性の幾つかを排除又は低減させながら、様々な実施形態において軟質の研磨パッド及び硬質研磨パッドの両方の有利な特性の幾つかを組み合わせている。本開示の様々な例示的実施形態を、ここで図面を個別に参照して説明していく。本開示の例示的実施形態は、本開示の精神及び範囲から逸脱せずに様々な改良及び変更をすることができる。従って、本発明の実施形態は以下に記載する例示的実施形態に制限されるものではなく、特許請求の範囲及びその任意の同等物で示した制約によって抑制されるべきものであることを理解されたい。
【0020】
図1を参照すると、複数の研磨エレメント4を備えた研磨パッド2の例示的実施形態を示している。1つ又は複数の他の研磨エレメント4に対して研磨エレメント4の横方向の動きを制限するように夫々の研磨エレメント4を支持層10に取り付けるが、夫々の研磨エレメント4の研磨表面14に垂直な軸では動けるようにしておく。少なくとも研磨エレメント4の一部は多孔質であり、少なくとも研磨エレメント4の表面には、この場合、少なくとも研磨表面14には、複数の細孔(図1では示していない)を備える。図1に示す特定の実施形態では、研磨エレメント4の全体にわたって十分に分布した複数の細孔15を有するものとして、夫々の多孔質研磨エレメント4も示されている。他の例示的実施形態(図1では示していないが図3〜4で図示している)では、細孔が、研磨エレメント4に十分に、又は研磨エレメント4の研磨表面14の近くだけに分布している。
【0021】
更に、図1で示した特定の実施形態では、3つの研磨エレメント4を示し、全ての研磨エレメント4を、多孔質研磨表面14及び研磨エレメント4の全体にわたって十分に分布した細孔15の両方を含む多孔質研磨エレメントとして示している。しかしながら、任意の数の研磨エレメント4が使用でき、また多孔質研磨エレメントの数はわずか1つの研磨エレメント、全ての研磨エレメントと同じ数、又はその間の任意の数に選択できることを理解されるであろう。
【0022】
更に、研磨パッド2は 、実質的に、全く同一の研磨エレメント4だけを備える必要はないことが理解されるであろう。従って、例えば、多孔質研磨エレメントと無孔質研磨エレメントとの任意の組み合わせ又は配列で、複数の多孔質研磨エレメント4を構成してもよい。更に、研磨エレメント4の全体にわたって細孔が十分に分布した研磨エレメント4、研磨エレメント4に十分に、又は研磨エレメント4の研磨表面14の近くだけに、細孔が分布した研磨エレメント4、及び実質的に細孔がない研磨エレメント4の組み合わせ又は配列を有する研磨パッド2も有利に製造できる。
【0023】
図1で示した特定の実施形態では、例えば、支持層に直接ボンディングで、又は接着剤を使用して支持層10の第1の主要面に取り付けられた研磨エレメント4を示している。任意選択の研磨組成物分布層8も併せて図1に示している。これは、研磨エレメントのガイド板としても役立つものである。研磨工程中、任意選択の研磨組成物分布層8は、個々の研磨エレメント4への作業流体及び/又は研磨スラリーの配給を援助する。
【0024】
ガイド板として使用されるとき、研磨組成物分布層8(ガイド板)の第1の主要表面が支持層10から遠位となり、また研磨組成物分布層8(ガイド板)の第2の主要表面が研磨組成物分布層8(ガイド板)の第1の主要表面の反対側となるように、研磨組成物分布層8(ガイド板)を支持層10の第1の主要面上に置いて、複数の研磨エレメント4の配置を促進することができる。
【0025】
研磨エレメントは、研磨組成物分布層8(ガイド板)の第1の主要表面から支持層10の第1の主要面に実質的に垂直の第1の方向に沿って伸びる。研磨組成物分布層8がガイド板としても使用される場合、研磨組成物分布層8(ガイド板)を通して伸びる複数の開口部6を設けるのが好ましい。夫々の研磨エレメント4の一部は、対応する開口部6の中へ伸びる。従って、複数の開口部6は、支持層10上で研磨エレメント4の配置をガイドする役目を果たす。
【0026】
図1で示した特定の実施形態では、任意選択の感圧接着剤層12を支持層10に隣接して、研磨組成物分布層8の反対側に示している。これは、CMP研磨装置(図1では示していない)の研磨プラテン(図1では示していない)に研磨パッド2を固定するのに使うことができる。
【0027】
図2を参照すると、研磨パッド2’の他の例示的実施形態を示している。研磨パッド2’は、第1の主要面及び第1の主要面の反対側の第2の主要面を有する支持層30、夫々の研磨エレメント24が支持層30の第1の主要面に夫々の研磨エレメント24を取り付けるための取り付けフランジ25を有する複数の研磨エレメント24、並びに第1の主要表面及び第1の主要表面の反対側の第2の主要表面を有するガイド板31を備え、ガイド板31は支持層30から遠位となるガイド板31の第1の主要表面を用いて支持層30の第1の主要面上に複数の研磨エレメント24を配置するために置かれる。
【0028】
図2で示すように、夫々の研磨エレメント24は、ガイド板31の第1の主要表面から第1の主要面に実質的に垂直な第1の方向に沿って伸びる。少なくとも研磨エレメント24の一部は、多孔質研磨エレメントを含み、また少なくとも夫々の多孔質研磨エレメントの一部は、この場合研磨表面23であるが、複数の細孔(図2では示していない)を含む。図2で示した特定の実施形態では、夫々の多孔質研磨エレメント24は、研磨エレメント24の全体にわたって十分に分布する複数の細孔15を有するものとしても示されている。他の例示的実施形態(図2では示していないが図4A〜4Cで示している)では、細孔15は、研磨エレメント24に十分に、又は研磨エレメント24の研磨表面23の近くだけに分布している。
【0029】
更に、図2で示した特定の実施形態では、3つの研磨エレメント24を示し、全ての研磨エレメント24を、多孔質研磨表面14及び研磨エレメント24の全体にわたって十分に分布した細孔15の両方を含む多孔質研磨エレメントとして示している。しかしながら、任意の数の研磨エレメント24が使用でき、また多孔質研磨エレメントの数はわずか1つの研磨エレメント、全ての研磨エレメントと同じ数、又はその間の任意の数を選択できることを理解されるであろう。
【0030】
更に、研磨パッド2’は 、実質的に全く同一の研磨エレメント24だけを備える必要はないことが理解されるであろう。従って、例えば、多孔質研磨エレメントと無孔質研磨エレメントとの任意の組み合わせ又は配列で複数の多孔質研磨エレメント24を構成してもよい。更に、研磨エレメント24の全体にわたって細孔が十分に分布した研磨エレメント24、研磨エレメント24に十分に又は研磨エレメント24の研磨表面23の近くだけに細孔が分布した研磨エレメント24、及び実質的に細孔がない研磨エレメント24の組み合わせ又は配列を有する研磨パッド2’も有利に製造できる。
【0031】
任意選択の研磨組成物分布層28を図2で、更に、図示している。研磨工程中、任意選択の研磨組成物分布層28は、個々の研磨エレメント24への作業流体及び/又は研磨スラリーの配給を援助する。複数の開口部26は、図2で示すように、少なくともガイド板31及び任意選択の研磨組成物分布層28を通して伸びるように設けることもできる。
【0032】
図2に示すように、幾つかの実施形態では、夫々の研磨エレメント24は取り付けフランジ25を有し、ガイド層31の第2の主要表面に対応するフランジ25の噛み合いによって、夫々の研磨エレメント24を支持層30の第1の主要面に取り付ける。少なくとも夫々の研磨エレメント24の一部は対応する開口部26の中へ伸び、夫々の研磨エレメント24は対応する開口部26を貫通し、ガイド板31の第1の主要表面から外側に伸びる。従って、ガイド板31の複数の開口部26は、支持層30に夫々対応する研磨エレメント24を取り付けるために夫々のフランジ25と噛み合いながら、支持層30の上で研磨エレメント24の横方向の配置をガイドする役目を果たす。
【0033】
従って、研磨工程中、研磨エレメント24は、ガイド板31によって支持層30に取り付けられたままでありながら、支持層30の第1の主要面と実質的に垂直な方向に受ける位置変化に対して無関係に自由となる。幾つかの実施形態では、これは、非軟質研磨エレメント、例えば研磨表面に十分に又は表面近くだけに分布する細孔を有する多孔質研磨エレメントを可能にすることができる。このような多孔質研磨エレメントは、軟質研磨パッドの幾つかの有利な特性を示す軟質研磨エレメントとして役立つことができる。
【0034】
図2に示す特定の実施形態では、支持層30とガイド板31の間の接触面に置いた粘着性の任意選択の接着層34を使って、研磨エレメント24を更に支持層30の第1の主要面に取り付ける。しかしながら、例えば熱と圧力を使用した研磨エレメント24の支持層30への直接ボンディングを含む他のボンディング方法も使うことができる。このような研磨エレメントは、非軟質研磨パッドの幾つかの有利な特性を示す非軟質研磨エレメントとして役立つことができる。
【0035】
図2で示していない関連する例示的実施形態では、複数の開口部は開口部のアレイとして配置することができ、ここで、開口部26の少なくとも一部は、主要な穴及びガイド板31のアンダーカット領域を含み、アンダーカット領域は、対応する研磨エレメント・フランジ25とかみ合う肩を形成し、それにより、研磨エレメント24と支持層30の間の接着の必要性なしに研磨エレメント24を保持する。
【0036】
更に、任意選択の接着層36は、図2で示すように、任意選択の研磨組成物分布層28をガイド板31の第1の主要表面に取り付けるのに使用できる。更に、図2で示す特定の実施形態では、支持層30に隣接してガイド板31の反対側に、任意選択の感圧接着剤層32を示している。これは、CMP研磨装置(図2では示していない)の研磨プラテン(図2では示していない)に研磨パッド2’を固定するのに使うことができる。
【0037】
図3A〜図3Bを参照すると、研磨表面14と略平行な方向で研磨エレメント4を透視した研磨エレメント4の断面形状は、対象とする用途に基づいて幅広く変えることができる。図3Aは図3B(これは研磨エレメント4の研磨表面14を示す)に示すような略円形断面を有する略円筒形状の研磨エレメント4を示しているが、他の断面形状も可能であり、ある実施形態で記載することができる。例えば、円形、楕円形、三角形、正方形、長方形、及び台形の断面形状が有用なことがある。
【0038】
図3A及び3Bで示すような円形断面を有する円筒形状の研磨エレメント4では、研磨表面14に略平行な方向での研磨エレメント4の断面直径は、約50μmから約20mmとすることができ、ある実施形態では、断面直径は約1mmから約15mmであり、また他の実施形態では断面直径は約5mmから約15mm(又は約5mmから約10mm)である。非円形の断面を有する非円筒形状の研磨エレメントでは、特徴寸法を使い高さ、幅、及び長さを特定する観点で研磨エレメントの寸法を特徴づけることができる。ある例示的実施形態では、特徴寸法は約0.1mmから約30mmとなるよう選択することができる。
【0039】
他の例示的実施形態では、研磨表面14に略平行な方向の夫々の研磨エレメント4の断面領域は、約1mm2から約1,000mm2とすることができ、他の実施形態では約10mm2から約500mm2、また更に他の実施形態では約20mm2から約250mm2とすることができる。
【0040】
研磨エレメント(図1の4、図2の24)は、対象とする用途に基づき、様々なパターンで支持層(図1の10、図2の30)の主要面上に分布することができ、パターンは、一様であっても、又は一様でなくてもよい。研磨エレメントは、実質的に支持層の表面全体にあってもよく、又は研磨エレメントを含まない支持層の領域があってもよい。幾つかの実施例では、研磨エレメントは、支持層の主要表面全領域の約30から80パーセントとなる支持層の平均表面被覆率を有し、これは、研磨エレメントの数、夫々の研磨エレメントの断面領域、及び研磨パッドの断面領域によって決まる。
【0041】
研磨パッドの主要表面に略平行な方向の研磨パッドの断面領域は、幾つかの例示的実施形態において、約100cm2から約300,000cm2に及ぶことができ、他の実施形態では、約1,000cm2から約100,000cm2、また更に他の実施形態では、約2,000cm2から約50,000cm2に及ぶことができる。
【0042】
研磨作業での研磨パッド(図1の2、図2の2’)の最初の使用の前は、幾つかの例示的実施形態において、夫々の研磨エレメント(図1の4、図2の24)が支持層(図1の10、図2の30)の第1の主要面に実質的に垂直な第1の方向に沿って伸びる。他の例示的実施形態では、夫々の研磨エレメントが、ガイド板(図2の31)を含む面の少なくとも約0.25mm上方に第1の方向に沿って伸びる。別の例示的実施形態では、夫々の研磨エレメントが、支持層(図1の10、図2の30)を含む面の少なくとも約0.25mm上方に第1の方向に沿って伸びる。更なる例示的実施形態では、研磨エレメント(図1の2、図2の2’)のベースあるいは底の上の研磨表面(図1の14、図2の23)の高さが、0.25mm、0.5mm、1.5mm、2.0mm、2.5mm、3.0mm、5.0mm、10mm又はそれ以上であってもよく、これは、使われる研磨組成物及び研磨エレメント用に選択される材料に依存する。
【0043】
再び、図1〜2を参照すると、研磨組成物分布層(図1の8、図2の28)及びガイド板31の全体にわたる開口部(図1の6、図2の26)の深さ及び間隔は、個別のCMP工程での必要に応じて変えることができる。研磨エレメント(図1の4、図2の24)は、互いに及び研磨組成物分布層(図1の8、図2の28)並びにガイド板31に対して、夫々平面配向を維持し、研磨組成物分布層(図1の8、図2の28)及びガイド板31の表面の上に突き出る。
【0044】
幾つかの例示的実施形態では、研磨エレメント(図1の4、図2の24)の伸長によってガイド板31及び任意の研磨組成物分布層(図1の8、図2の28)の上にできるボリュームは、研磨組成物分布層(図1の8、図2の28)表面の研磨組成物の分布のための場所を形成することができる。研磨エレメント(図1の4、図2の24)は、研磨組成物分布層(図1の8、図2の28)の上に、研磨エレメントの材料特性及び研磨組成物分布層(図1の8、図2の28)表面を覆う研磨組成物(作業流体及び又は研磨スラリー)の必要な流れに少なくともある程度基づく量だけ突き出る。
【0045】
図1〜2に示すように、研磨エレメント4(又はフランジ状の研磨エレメント24)の少なくとも一部は、多孔質研磨エレメントであり、これは、ある実施形態では少なくとも多孔質研磨表面(図1の14、図2の23)を有し、スライドしながら又は回転しながら研磨される基板(図1では示していない)と接触することができる。他の実施形態では、多孔質研磨エレメントは、多孔質研磨表面を有していなくてもよく、多孔質研磨エレメントの実質的に全体にわたって分布する細孔を有するものでもよい。このような多孔質研磨エレメントは、軟質研磨パッドの幾つかの有利な特性を示す軟質研磨エレメントとして役に立つことができる。
【0046】
幾つかの特定の例示的実施形態では、1つ又は複数の研磨エレメント4は、研磨エレメント4の実質的に全体にわたって多孔質気泡の形で分布する複数の細孔15を含むことができる。気泡は、独立型気泡、又は連続型気泡であってよい。独立型気泡は、幾つかの実施形態で好適なことがある。気泡中の複数の細孔15は、細孔サイズ、例えば細孔の直径、の単峰型分布を示すのが好ましい。幾つかの例示的実施形態では、複数の細孔は、約1ナノメートルから約100μmの平均細孔サイズを示す。他の例示的実施形態では、複数の細孔は、約1μmから約50μmの平均細孔サイズを示す。
【0047】
次に、図3A〜3C及び4A〜4Cを参照すると、研磨エレメント4(図3A〜3B)又は、フランジ型研磨エレメント24(図4A〜4C)の研磨表面14(図3A〜3B)又は23(図4A〜4C)は、実質的に平坦な表面、又はテクスチャとすることができる。ある現時点の好ましい実施形態では、夫々の多孔質研磨エレメントの少なくとも研磨表面は、例えば微細な表面穴又は細孔15を用いた多孔質で作られており、穴、通路、溝、チャネルなどの形をとることができる。研磨表面のこのような細孔15は、基板(図示していない)及び対応する多孔質研磨エレメントの間の接触面への研磨組成物(図示していないが例えば作業流体及び/又は砥粒研磨スラリー)の分布及び維持を促進する働きをすることができる。
【0048】
図3A〜3Cで示す或る例示的実施形態において、研磨表面14は、略円筒形状の毛細管である細孔15を含む。図3Cで示すように、細孔15は、研磨表面14から研磨エレメント4の中へ伸びることができる。関係する実施形態では、研磨表面は、研磨表面23からフランジ型研磨エレメント24の中へ伸びる略円筒形状の毛細管である細孔15を含む。細孔は円筒形状である必要はなく、例えば円錐形、長方形、ピラミッド形などの他の孔形状が可能である。細孔の特徴寸法は、一般に幅、長さ、又は直径に加えて深さで表すことができる。細孔の特徴寸法は、深さが約25マイクロメートル(μm)から約6,500μm、幅が約5μmから約500μm、長さが約10μmから約1,000μm、直径が約5μmから約1,000μmに及ぶことができる。
【0049】
図4Bで示す他の例示的実施形態において、研磨表面23は、複数のチャネル27の形の細孔を含む。ここで、夫々のチャネル27は、対応する研磨エレメント24の研磨表面23の少なくとも一部に広がり、研磨表面23と略平行な方向に広がるのが好ましい。夫々のチャネル27は、研磨表面23と略平行な方向で、対応する研磨エレメント24の研磨表面23の全体に広がるのが好ましい。図4Cで示す他の例示的実施形態においては、細は、チャネル27の2次元的なアレイの形をとることができ、夫々のチャネル27は、研磨表面23の一部だけに広がる。
【0050】
別の例示的実施形態において、チャネル27は、実質的に任意の形状、例えば円筒形、三角形、長方形、台形、半球形、及びそれらの組み合わせの形状を有することができる。幾つかの例示的実施形態では、研磨エレメント24の研磨表面23に実質的に垂直な方向の夫々のチャネル27の深さは、約100μmから約7500μmとなるよう選択される。他の例示的実施形態において、研磨エレメント24の研磨表面23と実質的に平行な方向の夫々のチャネル27の断面領域は、約75平方マイクロメートル(μm2)から約3×106μm2となるよう選択される。
【0051】
別の例示的実施形態において、支持層は、軟質ゴムあるいはポリマーなどの柔軟で軟質な材料を含む。支持層は、硬いフレーム又は枠などの非圧縮性とすることができるが、好ましくは、圧縮性であって研磨表面方向に陽圧をもたらすものがよい。幾つかの例示的実施形態において、支持層は、圧縮性のポリマー材料、推奨された発泡ポリマー、及び発泡ポリマー材料で作られているのが好ましい。独立型気泡が好ましいこともある。幾つかの例示的実施形態において、少なくとも一部に多孔質研磨エレメントを含む研磨エレメントは、支持層に取り付けられた研磨エレメントの単一のシートとして支持層と共に形成することができる。その支持層は、多孔質支持層でもよい。
【0052】
幾つかの例示的実施形態では、支持層はシリコン、天然ゴム、スチレンブタジエン・ゴム、ネオプレン、ポリウレタン、及びこれらの組み合わせから選択されるポリマー材料を含む。支持層は、更に、充填剤、微粒子、繊維、補強材、及び同類のものなどの様々な追加材料を含んでもよい。支持層は、液体不浸透性であることが好ましい(しかし、任意選択の障壁と組み合わせて支持層への液体浸透を避けたり又は抑制して浸透性の材料を使うこともできる)。
【0053】
ポリウレタンは、特に、有用な支持層の材料であるとされている。好適なポリウレタンとして、例えば、コネチカット州ロジャースのRogers社からPORONの商品名で市販されているもの、また同様にミシガン州ミッドランドのDow Chemical社からPELLETHANEの商品名で市販されているもの、特に、PELLETHANE2102−65Dがある。他の好適な材料としては、例えば、MYLARの商品名で広く市販されている2軸配向されたPETなどのテレフタル酸ポリエチレン(PET)、また同様にBONDTEXの商品名でカリフォルニア州サンタアナのRubberite Cypress Sponge Rubber Products社から市販されている接着ゴムシートがある。
【0054】
研磨エレメントは、推奨されたポリマー材料を用いた様々な材料を含むことができる。好適なポリマー材料として、例えば、ポリウレタン、ポリアクリル酸塩、ポリビニル・アルコール・ポリエステル、ポリカーボネート、及びDELRIN(デラウェア州ウィルミントンのE.I.DuPont de Nemours社から市販されている)の商品名で市販されているアセタールがある。幾つかの例示的実施形態では、少なくとも幾つかの研磨エレメントは、熱可塑性のポリウレタン、ポリアクリル酸塩、ポリビニル・アルコール、又はこれらの組み合わせを含む。
【0055】
研磨エレメントは、例えば、金属微粒子、セラミック微粒子、ポリマー微粒子、繊維、これらの組み合わせなどを含む強化ポリマー又は他の複合材料を含んでもよい。或る実施形態では、研磨エレメントは、カーボン、グラファイト、金属又はこれらの組み合わせなどの充填剤を含めることによって、電気的及び/又は熱的に伝導性があるように作ることができる。他の実施形態では、上述の電気的又は熱的伝導性がある充填剤を用いて又は用いずに、例えばORMECOM(ドイツ・アンマースベクのOrmecon Chemie社から市販されている)の商品名で販売されているポリアニリン(PANI)などの電気的伝導性があるポリマーが使用できる。
【0056】
ガイド板は、ポリマー、共重合体、ポリマーブレンド、ポリマー複合材料、又はこれらの組み合わせなどの様々な材料で作ることができる。非伝導性及び液体不浸透性のポリマー材料が一般に好まれ、ポリカーボネートが特に有用であるとされている。
【0057】
任意選択の研磨組成物分布層も、様々なポリマー材料で作ることができる。研磨組成物分布層は、幾つかの実施形態において、少なくとも1つの親水性ポリマーを含んでよい。好適な親水性ポリマーには、ポリウレタン、ポリアクリル酸塩、ポリビニル・アルコール、ポリオキシメチレン、及びこれらの組み合わせがある。ポリマー材料は、好ましくは、多孔質で、より好ましくは、気泡を含み、研磨組成物分布層が圧縮されているとき研磨作業中に基板方向に陽圧をもたらすものがよい。
【0058】
開放型(open)若しくは閉鎖型(closed)の気泡を有する多孔質材料又は発泡材料は、或る実施形態において好ましいことがある。幾つかの特定の実施形態では、研磨組成物分布層は、約10から約90パーセントの間の多孔率を有する。他の実施例において、研磨組成物層は、例えば、親水性ウレタンなどのヒドロゲル材料を含んでもよく、これは、水を吸収することができ、吸収は、好ましくは、重量の約5から約60パーセントに及び、研磨作業中に滑らかな表面を提供する。
【0059】
幾つかの例示的実施形態において、研磨組成物分布層は、研磨中の基板の表面全域で実質的に均一に研磨組成物を分布させることができ、より均一な研磨を実現することが可能となる。研磨組成物分布層は、適宜バッフル、溝(図示していない)、細孔、及びそれと同類のものなどの流量抵抗要素を含むことができ、研磨中に研磨組成物の流量を調整する。別の例示的実施形態において、研磨組成物分布層は、異なる材料の幾つかの層を含むことができ、研磨表面からの深さの変化に対して研磨組成物の必要な流量を実現する。
【0060】
幾つかの例示的実施形態では(例えば、図6B参照)、1つ又は複数の研磨エレメントは、研磨エレメントの中に形成されたオープン・コア領域又はキャビティを含んでもよい。但し、そのような配列は必須ではない。幾つかの実施形態において、国際特許出願公開公報第WO/2006/055720号に記載されているように、研磨エレメントのコアは圧力、伝導度、キャパシタンス、渦電流、などを検出するセンサを含むことができる。更に,他の実施形態において、研磨パッドは、研磨表面に垂直な方向のパッドを通して広がる窓を含んでもよく、又は、透明な層及び/又は透明な研磨エレメントを使用してもよく、「終点窓を用いた研磨パッド及びそのシステムと使用方法(POLISHING PAD WITH ENDPOINT WINDOW AND SYSTEMS AND METHOD OF USING THE SAME)」と題名がつけられた2008年5月15日に出願された同時継続の米国仮特許出願番号第61/053,429号に記載されているように、研磨工程の視覚的な終点を可能にさせる。
【0061】
上記で使用した「透明な層」という用語は、透明な領域を備える層を含む、ということを意味し、これは、層の残りの部分と同じ又は異なる材料で作ることができる。幾つかの例示的実施形態において、エレメント、層又は領域は、透明であってよく、又は、材料に熱及び/又は圧力を供給することにより透明にしてもよく、又は、層の中に好適に置かれた開口部の適所に透明な材料を流し込み、透明な領域を作り出してもよい。別の実施形態では、支持層の全体が、終点検出装置で利用される対象波長の範囲のエネルギーに対して透明である、又は、透明にする材料で作られていてもよい。透明なエレメント、層又は領域のための好ましい透明な材料には、例えば、透明なポリウレタンがある。
【0062】
更に、上述したように、「透明」という用語は、終点検出装置で利用される対象波長の範囲のエネルギーに対して実質的に透明であるエレメント、層、及び又は領域を含むことを意味する。或る例示的実施形態において、終点検出装置は、1つ又は複数の電磁エネルギー源を使用し、紫外線光、可視光、赤外線光、マイクロ波、電波、これらの組み合わせなどの形で放出する。或る実施形態では、「透明」という用語は、透明なエレメント、層又は領域に作用する対象波長のエネルギーの少なくとも約25%(例えば、少なくとも約35%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%)がそれを通して伝わることを意味する。
【0063】
幾つかの例示的実施形態において、支持層は、透明である。或る例示的実施形態では、少なくとも1つの研磨エレメントは、透明である。更なる例示的実施形態において、少なくとも1つの研磨エレメントは、透明であり、接着層及び支持層も透明である。別の例示的実施形態では、支持層、ガイド板、研磨組成物分布層、少なくとも1つの研磨エレメント、又はこれらの組み合わせが透明である。
【0064】
本開示は、更に、研磨工程において上述したような研磨パッドの使用方法に向けられる。この方法は、研磨パッドの研磨表面に基板表面を接触させることを含み、研磨パッドは、複数の研磨エレメントを備え、少なくともその幾つかは多孔質であり、基板に対して研磨パッドを相対的に動かし、基板表面を研磨する。或る例示的実施形態では、作業流体を研磨パッド表面と基板表面の間の接触面に供給してもよい。本技術分野では好適な作業流体が知られており、例えば、これは、米国特許第6,238,592B1号、6,491,843B1号、及び国際特許出願公開公報第WO/2002/33736号で述べられているものでよい。
【0065】
ここに記載されている研磨パッドは、幾つかの実施形態において、製造するのに比較的容易で安価となる可能性がある。好適な製造工程は、米国仮特許出願番号第60/926,244号に記載されている。以下に、幾つかの例示的製造工程の簡単な説明を記載する。この説明は、包括的であること又は他を制限することを意味するものではない。
【0066】
このように、更なる例示的実施形態において、研磨パッドの製造方法が提供される。この方法は、複数の多孔質研磨エレメントを形成し、また支持層に多孔質研磨エレメントを取り付けることを含む。或る実施形態において、この方法は、ポリマー溶解で飽和したガスの射出成形、反応上でガスを放出しポリマーを形成する反応混合物の射出成形、超臨界ガス中で溶解したポリマーを含む混合物の射出成形、溶媒中の非相溶性ポリマーの混合物の射出成形、熱可塑性ポリマーの中に分散した多孔質熱硬化性粒子の射出成形、及びその組み合わせによる多孔質研磨エレメントの形成を含む。
【0067】
更なる或る実施形態において、研磨エレメントの研磨表面に与えられた多数の穴は、例えば、射出成形、カレンダ成形、機械的な穴あけ、レーザ穴あけ、針打ち抜き、ガス分散発泡、化学処理、及びこれらの組み合わせによって与えることができる。
【0068】
本開示に係る多孔質研磨エレメントを有する研磨パッドの例示的実施形態は、様々な研磨用途に使用できる多様な特徴及び特性を有する可能性がある。幾つかの現時点の好ましい実施形態において、本開示の研磨パッドは、集積回路及び半導体素子の製造で使用されるウェーハの化学機械平坦化(CMP)に特によく適している可能性がある。或る例示的実施形態において、本開示で記載の研磨パッドは、本技術分野で知られている研磨パッドにわたって利点をもたらすことができる。
【0069】
例えば、幾つかの例示的実施形態において、本開示に係る研磨パッドは、CMP工程で使用される作業流体が、パッドの研磨表面と研磨される基板表面の間の接触面でより留まりやすいように働くことができ、これにより、研磨を促進する上での作業流体の有効性を高める。他の例示的実施形態において、本開示による研磨パッドは、研磨中のウェーハ表面のディッシング及び/又はエッジ・エロージョンを軽減又は解消することができる。幾つかの例示的実施形態において、本開示による研磨パッドのCMP工程での使用は、ウェーハ研磨均一性の改善、研磨されたウェーハ表面の平面化、ウェーハからのエッジ・ダイ生産量の増加、並びにCMP工程運用の許容度及び一貫性の改善をもたらすことができる。
【0070】
別の例示的実施形態において、本開示に係る多孔質エレメントを用いる研磨パッドの使用は、表面均一性の要求レベルを維持して高いチップ生産量を得ながらのより大きい直径のウェーハの処理、ウェーハ表面の研磨均一性を維持するためにパッド表面のコンディショニングが必要とされる前のより多くのウェーハの処理、あるいは処理時間及びパッド・コンディショナー上の摩耗の低減を可能にすることができる。
【0071】
本開示に係る例示的研磨パッドを、次に以下の非制限の実施例を参照して説明する。
【実施例】
【0072】
以下の非制限的な実施例は、支持層に取り付けられた複数の研磨エレメントを含む研磨パッドの製造に用いることができる、多孔質及び無孔質の研磨エレメントの両方の様々な製造方法について説明する。ここで、研磨エレメントの少なくとも一部は、多孔質研磨エレメントであり、また夫々の多孔質研磨エレメントの少なくとも一部は、複数の細孔を備える。
【0073】
実施例1
本実施例は、無孔質研磨エレメント(実施例1A)及び細孔が実質的に研磨エレメント全体に分布している多孔質研磨エレメント(実施例1B)の両方の製造を説明する。多孔質研磨エレメントは、超臨界ガス中で溶解したポリマーを含む混合物の射出成形によって製造した。
【0074】
210℃、圧力3800gでのメルト・インデックスが5である熱可塑性ポリウレタン(オハイオ州クリーブランドのLubrizol Advanced Materials社のEstane ETE 60DT3 NAT 022P)を選択した。熱可塑性ポリウレタンのペレットを、直径30mmの単スクリュー(L/D=24:1)を備えた80トンMT・Arburg射出成形プレス機(ドイツ・ロースブルグのArburg GmbH社)の中に、ポリマー溶解をもたらすために上昇させた温度と圧力で供給した。
【0075】
比較例1Aでは、ポリマー溶解を32−キャビティ、コールド・ランナー型(9.2gの固体射出重量)で射出成形し、内部に円筒形状のキャビティをもち、0.15グラム/エレメントの重さの実質的に無孔質な研磨エレメントを形成した。
【0076】
実施例1Bでは、Mass Pulse Dosing供給システムを装備したTrexel SII−TR10(マサチューセッツ州ウォーバンのTrexel社から市販されている)を使用して、上昇させた温度と圧力の下でポリマー溶解の中に窒素ガスを注入し、ポリマー溶解の中に超臨界窒素の0.6%w/w混合を形成した。超臨界窒素及びポリマー溶解の混合を32−キャビティ、コールド・ランナー型(9.2gの固体射出重量)で射出成形し、内部に円筒形状のキャビティをもち、0.135gの重さがあり、実質的に研磨エレメント全体にわたって細孔が分布する多孔質の研磨エレメントを形成した。
【0077】
押出成形機の夫々のゾーンの温度、型温度、スクリュー、注入、圧縮圧力、成形時間及び押し付けトン数を、実施例1Aと1Bを比較して表1にまとめる。
【0078】
【表1】
表1
【0079】
図5Aは、本開示の他の例示的実施形態に係る、研磨表面に実質的に平行な方向でエレメントを切断した後の、実施例1Bの多孔質研磨エレメントの顕微鏡写真である。図5Bは、研磨表面に実質的に垂直な方向でエレメントを切断した後の、図5Aの多孔質研磨エレメントの顕微鏡写真である。図5Aの顕微鏡写真に基づくと、平均細孔サイズは33.208μmと測定され、細孔サイズの中央値は30.931μmと測定され、細孔サイズの分布の標準偏差は13.686μmと測定され、最小細孔サイズは3.712μmと測定され、また、最大細孔サイズは150.943μmと測定された。
【0080】
実施例2
本実施例は、細孔が実質的にエレメントの研磨表面にのみ分布している多孔質研磨エレメントの製造を説明する。
【0081】
無孔質の研磨エレメントは、上記の比較実施例1Aで概略記述したように、初めは210℃、圧力3800gでのメルト・インデックスが5である熱可塑性ポリウレタン(オハイオ州クリーブランドのLubrizol Advanced Materials社のEstane ETE 60DT3 NAT 022P)を射出成形することにより製造し、直径約15mmの測定値である略円筒形状の研磨エレメントを形成した。
【0082】
射出成形された研磨エレメントの研磨表面を、次に、ナノ秒のパルス・レート、15kHzの反復レート、60〜80%(0.8〜1.1ワット)の出力設定及び100mm/秒から300mm/秒の間のスキャン・レート(全部で29.8秒及び13.2秒の実行時間)で動作するAVIA355nm紫外線レーザ(カリフォルニア州サンタクララのCoherent社)を使用しレーザ穴あけして、多孔質の研磨エレメントを形成した。
【0083】
この実施例2によって製造した多孔質研磨エレメントの多孔質表面を、図6Aの顕微鏡写真で示す。図6Bは、研磨表面に実質的に垂直な方向でエレメントを切断した後の、図6Aの多孔質研磨エレメントの顕微鏡写真である。
【0084】
実施例3
本実施例は、無孔質研磨エレメント(実施例3A)及び細孔が研磨表面上に形成された複数のチャネルの形で実質的にエレメントの研磨表面だけに分布する多孔質研磨エレメント(実施例3B)の両方の製造を説明する。
【0085】
多孔質研磨エレメントを、210℃、圧力3800gでのメルト・インデックスが5である熱可塑性ポリウレタン(オハイオ州クリーブランドのLubrizol Advanced Materials社のEstane ETE 60DT3 NAT 022P)の射出成形によって製造した。熱可塑性ポリウレタンのペレットを、直径25mmの単スクリュー(L/D=24.6:1)を備えたEngel100トン射出成形プレス機(ペンシルバニア州ヨークのEngel Machinery社)の中に、ポリマー溶解をもたらすために上昇させた温度と圧力で供給した。
【0086】
熱可塑性ポリウレタン溶解を、2−キャビティ、1つのキャビティに波状型インサート及び他のキャビティに空きの型インサートを装備したコールド・ランナー型(34.01gの射出重量)で射出成形した。押出成形機の夫々のゾーンの温度、型温度、注入及び圧縮圧力、成形時間並びに押し付けトン数を表2にまとめる。
【0087】
【表2】
表2
【0088】
図7は、本開示の更に他の例示的実施形態に係る多孔質研磨エレメントの研磨表面上の、波状型インサートによって形成された複数のチャネルを示した顕微鏡写真である。
【0089】
先に述べたように「発明を実施するための形態」で提供した教示を使用して、個々の多孔質及び適宜無孔質研磨エレメントを支持層に取り付け、本発明の様々な実施形態に係る研磨パッドを実現することができる。単一の研磨パッドを説明する特に有利な一実施形態では、バックフィル・チャンバ(back−fill chamber)を用いてマルチ・キャビティの型が実現でき、ここで、夫々のキャビティは、研磨エレメントに対応する。ここで記載したような多孔質研磨エレメント及び無孔質研磨エレメントを含んでよい複数の研磨エレメントを、好適なポリマー溶解をマルチ・キャビティの型で射出成形することにより、また同じポリマー溶解又は他のポリマー溶解をバックフィル・チャンバに充填することにより形成し、支持層を形成することができる。型の冷却で研磨エレメントは支持層に付着したままとなり、これによって、支持層と共に研磨エレメントの単一シートとして複数の研磨エレメントを形成する。
【0090】
「実施形態」という用語の前に「例示的」という用語が有るか無いかを問わず、本明細書にわたって「一実施形態」、「或る実施形態」、「1つ又は複数の実施形態」又は「実施形態」という言及は、実施形態と関連して記載した特有の形状、構造、材料、又は特性が、本発明の或る例示的実施形態の少なくとも一実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書にわたって様々な箇所にある「1つ或いは複数の実施形態で」、「或る実施形態で」、「一実施形態で」又は「実施形態で」などの表現の出現は、本発明の或る例示的実施形態と同じ実施形態を必ずしも参照しているものではない。更には、特有の形状、構造、材料、又は特性は、1つ又は複数の実施形態で任意の好適な方法で組み合わせてもよい。
【0091】
本明細書は或る例示的実施形態を詳細に説明したが、当業者は上述の点を理解すれば、これらの実施形態の代替、変形、及び等価物を容易に思いつくことは明らかである。従って、本開示は、先に明記した実施形態に必要以上に制限されるものではないことを理解すべきである。特に、ここで使われたように、終点までの数値範囲の記述は、その範囲内を含めた全ての数を含むことを意味する(例えば、1から5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)。更に、ここで使われた全ての数は、「約」という用語によって変更されると考える。更には、ここで参照した全ての刊行物及び特許は、夫々の個々の刊行物又は特許の内容が具体的かつ個別に引用により援用されるよう記載されたのと同じ程度まで、その全体が引用により援用される。
【0092】
様々な例示的実施形態を説明してきた。これらの、そして、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲のスコープ内にある。
【技術分野】
【0001】
本開示は、多孔質研磨エレメントを有する研磨パッド、及び、そのような研磨パッドの製造方法、及び、例えば、化学機械平坦化工程における研磨工程でのそのような研磨パッドの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子及び集積回路の製造中、シリコン・ウェーハを一連の析出とエッチングのステップを通して繰り返し処理し、上を覆う物質層及び素子構造を形成する。化学機械平坦化(CMP)として知られている研磨技術は、析出及びエッチングのステップ後の表面凹凸(隆起、同じでない高さの領域、くぼみ、及び溝など)の残存を除去するために使用できるものであり、傷又はくぼみ(ディッシングとして知られている)がなく、ウェーハ表面の全域で高い均一性がある平坦なウェーハ表面を得ることを目的とするものである。
【0003】
標準的なCMP研磨工程では、ウェーハのような基板を、典型的には、水及び/又はエッチング化学要素中の研磨粒子のスラリーである作業流体の存在下で研磨パッドに対して押し付け、相対的に動かす。研磨スラリーと共に使用する様々なCMP研磨パッドが、例えば、米国特許番号第5,257,478号、5,921,855号、6,126,532号、6,899,598B2号、及び7,267,610号に開示されている。米国特許番号第6,908,366B2などで、固定された研磨パッドも知られている。この特許では、研磨粒子は、一般に、パッドの表面に固定されており、多くの場合、正確に成形された研磨組成物がパッド表面から伸びている形状をしている。最近、圧縮性の下層から伸びる多数の研磨エレメントを有する研磨パッドが国際特許出願公開公報第WO/2006/057714号に記載された。様々な研磨パッドが知られ、また使用されているが、特に、大きなダイ直径が使われていたり、又はウェーハ表面平坦性及び研磨均一性の高いレベルが要求されるCMP工程では、技術は進み続け、CMPのための新たな改良された研磨パッドが要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,257,478号
【特許文献2】米国特許第5,921,855号
【特許文献3】米国特許第6,126,532号
【特許文献4】米国特許第6,899,598B2号
【特許文献5】米国特許第7,267,610号
【特許文献6】米国特許第6,908,366B2号
【特許文献7】国際特許出願公開公報第WO/2006/057714号
【特許文献8】国際特許出願公開公報第WO/2006/055720号
【特許文献9】米国仮特許出願番号第61/053,429号
【特許文献10】米国特許第6,238,592B1号
【特許文献11】米国特許第6,491,843B1号
【特許文献12】国際特許出願公開公報第WO/2002/33736号
【特許文献13】米国仮特許出願番号第60/926,244号
【発明の概要】
【0005】
例示的一実施形態において、本開示は、複数の研磨エレメントを備える研磨パッドであって、1つ又は複数の他の研磨エレメントに対して研磨エレメントの横方向の動きを制限するように夫々の研磨エレメントを支持層に取り付けるが、研磨エレメントの研磨表面に垂直な軸では移動可能であり、少なくとも研磨エレメントの一部は多孔質研磨エレメントを備え、少なくとも夫々の多孔質研磨エレメントの表面は複数の細孔を備える、研磨パッドを記載する。
【0006】
ある実施形態において、細孔は、実質的に多孔質研磨エレメントの全体にわたって分布することができる。他の例示的実施形態では、細孔は実質的にエレメントの研磨表面に分布することができる。幾つかの特定の例示的実施形態では、実質的にエレメントの研磨表面に分布する細孔が円筒形、三角形、長方形、台形、半球形、及びその組み合わせからなるグループから選択された断面形状を有する複数のチャネルを備える。
【0007】
他の例示的実施形態において、本開示は、第1の主要面及び第1の主要面と反対側の第2の主要面を有する支持層、支持層の第1の主要面に取り付けた複数の研磨エレメント、並びに第1の主要表面及び第1の主要表面と反対側の第2の主要表面を有するガイド板を備える研磨パッドを記載する。ガイド板は、支持層から遠位の第1の主要表面と共に、第1の主要面上に複数の研磨エレメントを配置するために置かれ、研磨エレメントは、ガイド板の第1の主要表面から第1の主要面に実質的に垂直な第1の方向に沿って伸び、少なくとも研磨エレメントの一部は、多孔質研磨エレメントを含み、また少なくとも夫々の多孔質研磨エレメントの一部は、複数の細孔を含む。
【0008】
ある例示的実施形態において、細孔は、実質的に多孔質研磨エレメントの全体にわたって分布することができる。他の例示的実施形態では、細孔は、実質的にエレメントの研磨表面に分布することができる。幾つかの特定の例示的実施形態では、実質的にエレメントの研磨表面に分布する細孔が円筒形、三角形、長方形、台形、半球形、及びその組み合わせからなるグループから選択された断面形状を有する複数のチャネルを備える。
【0009】
更なる例示的実施形態において、本開示は、研磨工程において上述したような研磨パッドの使用方法に向けられる。この方法は、基板の表面が複数の研磨エレメントを備える研磨パッドの研磨表面に接することを含み、少なくとも研磨エレメントの幾つかは、多孔質で、基板に対して相対的に研磨パッドが動き基板の表面を研磨する。ある例示的実施形態では、研磨パッド表面と基板表面の間の接触面に作業流体を供給することができる。
【0010】
別の例示的実施形態において、研磨パッドの製造方法を提供し、この方法は、複数の多孔質研磨エレメントを形成し、また支持層に多孔質研磨エレメントを取り付けることを含む。ある実施形態では、この方法はポリマー溶解で飽和したガスの射出成形、反応上でガスを放出しポリマーを形成する反応混合物の射出成形、超臨界ガス中で溶解したポリマーを含む混合物の射出成形、溶媒中の非相溶性ポリマーの混合物の射出成形、熱可塑性ポリマーの中に分散した多孔質熱硬化性粒子の射出成形、及びその組み合わせによる多孔質研磨エレメントの形成を含む。
【0011】
本開示に係る多孔質研磨エレメントを有する研磨パッドの例示的実施形態は、様々な研磨用途に使用できる多様な特徴及び特性を持っている。幾つかの現時点の好ましい実施形態では、本開示の研磨パッドは、集積回路及び半導体素子の製造で使用されるウェーハの化学機械平坦化(CMP)に特によく適している可能性がある。或る例示的実施形態では、本開示に記載の研磨パッドは、以下の利点の幾つか、又は全てをもたらすことができる。
【0012】
例えば、幾つかの例示的実施形態において、本開示に係る研磨パッドは、CMP工程で使用される作業流体が、パッドの研磨表面と研磨される基板表面の間の接触面でより留まりやすいように働くことができ、それにより、研磨を促進する上での作業流体の有効性を高める。他の例示的実施形態では、本開示に係る研磨パッドは、研磨中のウェーハ表面のディッシング及び/又はエッジ・エロージョンを軽減又は解消することができる。幾つかの例示的実施形態では、本開示に係る研磨パッドのCMP工程での使用は、ウェーハ研磨均一性の改善、研磨されたウェーハ表面の平面化、ウェーハからのエッジ・ダイ生産量の増加、並びにCMP工程運用の許容度及び一貫性の改善をもたらすことができる。
【0013】
別の例示的実施形態において、本開示に係る多孔質エレメントを用いる研磨パッドの使用は、表面均一性の要求レベルを維持して高いチップ生産量を得ながらのより大きい直径のウェーハの処理、ウェーハ表面の研磨均一性を維持するためにパッド表面のコンディショニングが必要とされる前のより多くのウェーハの処理、あるいは処理時間及びパッド・コンディショナー上の摩耗の低減を可能にすることができる。或る実施形態では、多孔質研磨エレメントを用いるCMPパッドは、溝などの表面構造を有する従来のCMPパッドの優位性及び利点をもたらすこともできるが、低コストでより再現性よく製造することもできる。
【0014】
本開示の例示的実施形態の様々な観点及び利点について概要を述べてきた。上記の概要は、本発明の夫々の図示した実施形態又はここでの或る例示的実施形態のあらゆる実施態様を説明することを目的としていない。以下でより具体的に説明する「図面」及び「発明を実施するための形態」が、ここで開示した原理を使用した好ましい実施形態を例示する。
【0015】
本開示の例示的実施形態について、添付図面を参照して更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本開示の例示的一実施形態による突出した多孔質エレメントを備えた研磨パッドの側面図である。
【図2】本開示の他の例示的実施形態に係る突出した多孔質エレメントを備えた研磨パッドの側面図である。
【図3A】本開示の例示的一実施形態に係る多孔質研磨エレメントの斜視図である。
【図3B】図3Aの例示的多孔質研磨エレメントの上面図である。
【図3C】研磨表面に実質的に垂直な方向でエレメントを切断した後の図3Aの例示的多孔質研磨エレメントの拡大斜視図である。
【図4A】本開示の他の例示的実施形態に係る多孔質研磨エレメントの斜視図である。
【図4B】本開示の他の例示的実施形態に係る多孔質研磨エレメントの斜視図である。
【図4C】本開示の別の例示的実施形態に係る多孔質研磨エレメントの斜視図である。
【図5A】研磨表面に実質的に平行な方向でエレメントを切断した後の本開示の例示的実施形態に係る多孔質研磨エレメントの顕微鏡写真である。
【図5B】研磨表面に実質的に垂直な方向でエレメントを切断した後の図5Aの多孔質研磨エレメントの顕微鏡写真である。
【図6A】本開示の更なる例示的実施形態に係る多孔質研磨エレメントの多孔質研磨表面の顕微鏡写真である。
【図6B】研磨表面に実質的に垂直な方向でエレメントを切断した後の図6Aの多孔質研磨エレメントの顕微鏡写真である。
【図7】本開示の更にもう1つの例示的実施形態に係る多孔質研磨エレメントの多孔質研磨表面の顕微鏡写真である。
【0017】
図面中の類似の参照番号は、類似の要素を示す。ここで示した図面は、原寸に比例していない。また図面では、研磨パッドの構成要素は、選択された特徴が強調されるように寸法設定されている。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ウェーハ研磨の標準的なCMPスラリー工程において、特性トポグラフィを処理するウェーハは、研磨パッド、及び砥粒及び研磨化学要素を含む研磨溶液に接触状態にされる。研磨パッドが軟質の場合、ソフト・パッドがウェーハ上の高くなった領域と同じ速度で低い領域を研磨することが原因で、ディッシング及びエロージョンの現象が起きることがある。研磨パッドが硬質の場合は、ディッシング及びエロージョンは著しく低減されることがある。しかしながら、硬質研磨パッドはダイを均一に平坦化するのに有利に良い結果をもたらすことができるが、ウェーハ周囲で生じるリバウンド効果が原因で、ウェーハ均一性では不都合なほど正確さに欠ける結果をもたらすこともある。このリバウンド効果は、粗悪なエッジの生産及び狭いCMP研磨工程ウィンドウをもたらす。更に、このような硬質研磨パッドは異なるウェーハ・トポグラフィに敏感であり、またウェーハとの接触面及び研磨溶液を維持する最適な研磨テクスチャを作り出すためのパッド・コンディショナーの使用に完全に依存するため、硬質研磨パッドでは安定な研磨工程を開発するのが困難なことがある。
【0019】
本開示は、多孔質研磨エレメントを用いた改善された研磨パッドに関し、軟質の研磨パッド及び硬質研磨パッド夫々の不利な特性の幾つかを排除又は低減させながら、様々な実施形態において軟質の研磨パッド及び硬質研磨パッドの両方の有利な特性の幾つかを組み合わせている。本開示の様々な例示的実施形態を、ここで図面を個別に参照して説明していく。本開示の例示的実施形態は、本開示の精神及び範囲から逸脱せずに様々な改良及び変更をすることができる。従って、本発明の実施形態は以下に記載する例示的実施形態に制限されるものではなく、特許請求の範囲及びその任意の同等物で示した制約によって抑制されるべきものであることを理解されたい。
【0020】
図1を参照すると、複数の研磨エレメント4を備えた研磨パッド2の例示的実施形態を示している。1つ又は複数の他の研磨エレメント4に対して研磨エレメント4の横方向の動きを制限するように夫々の研磨エレメント4を支持層10に取り付けるが、夫々の研磨エレメント4の研磨表面14に垂直な軸では動けるようにしておく。少なくとも研磨エレメント4の一部は多孔質であり、少なくとも研磨エレメント4の表面には、この場合、少なくとも研磨表面14には、複数の細孔(図1では示していない)を備える。図1に示す特定の実施形態では、研磨エレメント4の全体にわたって十分に分布した複数の細孔15を有するものとして、夫々の多孔質研磨エレメント4も示されている。他の例示的実施形態(図1では示していないが図3〜4で図示している)では、細孔が、研磨エレメント4に十分に、又は研磨エレメント4の研磨表面14の近くだけに分布している。
【0021】
更に、図1で示した特定の実施形態では、3つの研磨エレメント4を示し、全ての研磨エレメント4を、多孔質研磨表面14及び研磨エレメント4の全体にわたって十分に分布した細孔15の両方を含む多孔質研磨エレメントとして示している。しかしながら、任意の数の研磨エレメント4が使用でき、また多孔質研磨エレメントの数はわずか1つの研磨エレメント、全ての研磨エレメントと同じ数、又はその間の任意の数に選択できることを理解されるであろう。
【0022】
更に、研磨パッド2は 、実質的に、全く同一の研磨エレメント4だけを備える必要はないことが理解されるであろう。従って、例えば、多孔質研磨エレメントと無孔質研磨エレメントとの任意の組み合わせ又は配列で、複数の多孔質研磨エレメント4を構成してもよい。更に、研磨エレメント4の全体にわたって細孔が十分に分布した研磨エレメント4、研磨エレメント4に十分に、又は研磨エレメント4の研磨表面14の近くだけに、細孔が分布した研磨エレメント4、及び実質的に細孔がない研磨エレメント4の組み合わせ又は配列を有する研磨パッド2も有利に製造できる。
【0023】
図1で示した特定の実施形態では、例えば、支持層に直接ボンディングで、又は接着剤を使用して支持層10の第1の主要面に取り付けられた研磨エレメント4を示している。任意選択の研磨組成物分布層8も併せて図1に示している。これは、研磨エレメントのガイド板としても役立つものである。研磨工程中、任意選択の研磨組成物分布層8は、個々の研磨エレメント4への作業流体及び/又は研磨スラリーの配給を援助する。
【0024】
ガイド板として使用されるとき、研磨組成物分布層8(ガイド板)の第1の主要表面が支持層10から遠位となり、また研磨組成物分布層8(ガイド板)の第2の主要表面が研磨組成物分布層8(ガイド板)の第1の主要表面の反対側となるように、研磨組成物分布層8(ガイド板)を支持層10の第1の主要面上に置いて、複数の研磨エレメント4の配置を促進することができる。
【0025】
研磨エレメントは、研磨組成物分布層8(ガイド板)の第1の主要表面から支持層10の第1の主要面に実質的に垂直の第1の方向に沿って伸びる。研磨組成物分布層8がガイド板としても使用される場合、研磨組成物分布層8(ガイド板)を通して伸びる複数の開口部6を設けるのが好ましい。夫々の研磨エレメント4の一部は、対応する開口部6の中へ伸びる。従って、複数の開口部6は、支持層10上で研磨エレメント4の配置をガイドする役目を果たす。
【0026】
図1で示した特定の実施形態では、任意選択の感圧接着剤層12を支持層10に隣接して、研磨組成物分布層8の反対側に示している。これは、CMP研磨装置(図1では示していない)の研磨プラテン(図1では示していない)に研磨パッド2を固定するのに使うことができる。
【0027】
図2を参照すると、研磨パッド2’の他の例示的実施形態を示している。研磨パッド2’は、第1の主要面及び第1の主要面の反対側の第2の主要面を有する支持層30、夫々の研磨エレメント24が支持層30の第1の主要面に夫々の研磨エレメント24を取り付けるための取り付けフランジ25を有する複数の研磨エレメント24、並びに第1の主要表面及び第1の主要表面の反対側の第2の主要表面を有するガイド板31を備え、ガイド板31は支持層30から遠位となるガイド板31の第1の主要表面を用いて支持層30の第1の主要面上に複数の研磨エレメント24を配置するために置かれる。
【0028】
図2で示すように、夫々の研磨エレメント24は、ガイド板31の第1の主要表面から第1の主要面に実質的に垂直な第1の方向に沿って伸びる。少なくとも研磨エレメント24の一部は、多孔質研磨エレメントを含み、また少なくとも夫々の多孔質研磨エレメントの一部は、この場合研磨表面23であるが、複数の細孔(図2では示していない)を含む。図2で示した特定の実施形態では、夫々の多孔質研磨エレメント24は、研磨エレメント24の全体にわたって十分に分布する複数の細孔15を有するものとしても示されている。他の例示的実施形態(図2では示していないが図4A〜4Cで示している)では、細孔15は、研磨エレメント24に十分に、又は研磨エレメント24の研磨表面23の近くだけに分布している。
【0029】
更に、図2で示した特定の実施形態では、3つの研磨エレメント24を示し、全ての研磨エレメント24を、多孔質研磨表面14及び研磨エレメント24の全体にわたって十分に分布した細孔15の両方を含む多孔質研磨エレメントとして示している。しかしながら、任意の数の研磨エレメント24が使用でき、また多孔質研磨エレメントの数はわずか1つの研磨エレメント、全ての研磨エレメントと同じ数、又はその間の任意の数を選択できることを理解されるであろう。
【0030】
更に、研磨パッド2’は 、実質的に全く同一の研磨エレメント24だけを備える必要はないことが理解されるであろう。従って、例えば、多孔質研磨エレメントと無孔質研磨エレメントとの任意の組み合わせ又は配列で複数の多孔質研磨エレメント24を構成してもよい。更に、研磨エレメント24の全体にわたって細孔が十分に分布した研磨エレメント24、研磨エレメント24に十分に又は研磨エレメント24の研磨表面23の近くだけに細孔が分布した研磨エレメント24、及び実質的に細孔がない研磨エレメント24の組み合わせ又は配列を有する研磨パッド2’も有利に製造できる。
【0031】
任意選択の研磨組成物分布層28を図2で、更に、図示している。研磨工程中、任意選択の研磨組成物分布層28は、個々の研磨エレメント24への作業流体及び/又は研磨スラリーの配給を援助する。複数の開口部26は、図2で示すように、少なくともガイド板31及び任意選択の研磨組成物分布層28を通して伸びるように設けることもできる。
【0032】
図2に示すように、幾つかの実施形態では、夫々の研磨エレメント24は取り付けフランジ25を有し、ガイド層31の第2の主要表面に対応するフランジ25の噛み合いによって、夫々の研磨エレメント24を支持層30の第1の主要面に取り付ける。少なくとも夫々の研磨エレメント24の一部は対応する開口部26の中へ伸び、夫々の研磨エレメント24は対応する開口部26を貫通し、ガイド板31の第1の主要表面から外側に伸びる。従って、ガイド板31の複数の開口部26は、支持層30に夫々対応する研磨エレメント24を取り付けるために夫々のフランジ25と噛み合いながら、支持層30の上で研磨エレメント24の横方向の配置をガイドする役目を果たす。
【0033】
従って、研磨工程中、研磨エレメント24は、ガイド板31によって支持層30に取り付けられたままでありながら、支持層30の第1の主要面と実質的に垂直な方向に受ける位置変化に対して無関係に自由となる。幾つかの実施形態では、これは、非軟質研磨エレメント、例えば研磨表面に十分に又は表面近くだけに分布する細孔を有する多孔質研磨エレメントを可能にすることができる。このような多孔質研磨エレメントは、軟質研磨パッドの幾つかの有利な特性を示す軟質研磨エレメントとして役立つことができる。
【0034】
図2に示す特定の実施形態では、支持層30とガイド板31の間の接触面に置いた粘着性の任意選択の接着層34を使って、研磨エレメント24を更に支持層30の第1の主要面に取り付ける。しかしながら、例えば熱と圧力を使用した研磨エレメント24の支持層30への直接ボンディングを含む他のボンディング方法も使うことができる。このような研磨エレメントは、非軟質研磨パッドの幾つかの有利な特性を示す非軟質研磨エレメントとして役立つことができる。
【0035】
図2で示していない関連する例示的実施形態では、複数の開口部は開口部のアレイとして配置することができ、ここで、開口部26の少なくとも一部は、主要な穴及びガイド板31のアンダーカット領域を含み、アンダーカット領域は、対応する研磨エレメント・フランジ25とかみ合う肩を形成し、それにより、研磨エレメント24と支持層30の間の接着の必要性なしに研磨エレメント24を保持する。
【0036】
更に、任意選択の接着層36は、図2で示すように、任意選択の研磨組成物分布層28をガイド板31の第1の主要表面に取り付けるのに使用できる。更に、図2で示す特定の実施形態では、支持層30に隣接してガイド板31の反対側に、任意選択の感圧接着剤層32を示している。これは、CMP研磨装置(図2では示していない)の研磨プラテン(図2では示していない)に研磨パッド2’を固定するのに使うことができる。
【0037】
図3A〜図3Bを参照すると、研磨表面14と略平行な方向で研磨エレメント4を透視した研磨エレメント4の断面形状は、対象とする用途に基づいて幅広く変えることができる。図3Aは図3B(これは研磨エレメント4の研磨表面14を示す)に示すような略円形断面を有する略円筒形状の研磨エレメント4を示しているが、他の断面形状も可能であり、ある実施形態で記載することができる。例えば、円形、楕円形、三角形、正方形、長方形、及び台形の断面形状が有用なことがある。
【0038】
図3A及び3Bで示すような円形断面を有する円筒形状の研磨エレメント4では、研磨表面14に略平行な方向での研磨エレメント4の断面直径は、約50μmから約20mmとすることができ、ある実施形態では、断面直径は約1mmから約15mmであり、また他の実施形態では断面直径は約5mmから約15mm(又は約5mmから約10mm)である。非円形の断面を有する非円筒形状の研磨エレメントでは、特徴寸法を使い高さ、幅、及び長さを特定する観点で研磨エレメントの寸法を特徴づけることができる。ある例示的実施形態では、特徴寸法は約0.1mmから約30mmとなるよう選択することができる。
【0039】
他の例示的実施形態では、研磨表面14に略平行な方向の夫々の研磨エレメント4の断面領域は、約1mm2から約1,000mm2とすることができ、他の実施形態では約10mm2から約500mm2、また更に他の実施形態では約20mm2から約250mm2とすることができる。
【0040】
研磨エレメント(図1の4、図2の24)は、対象とする用途に基づき、様々なパターンで支持層(図1の10、図2の30)の主要面上に分布することができ、パターンは、一様であっても、又は一様でなくてもよい。研磨エレメントは、実質的に支持層の表面全体にあってもよく、又は研磨エレメントを含まない支持層の領域があってもよい。幾つかの実施例では、研磨エレメントは、支持層の主要表面全領域の約30から80パーセントとなる支持層の平均表面被覆率を有し、これは、研磨エレメントの数、夫々の研磨エレメントの断面領域、及び研磨パッドの断面領域によって決まる。
【0041】
研磨パッドの主要表面に略平行な方向の研磨パッドの断面領域は、幾つかの例示的実施形態において、約100cm2から約300,000cm2に及ぶことができ、他の実施形態では、約1,000cm2から約100,000cm2、また更に他の実施形態では、約2,000cm2から約50,000cm2に及ぶことができる。
【0042】
研磨作業での研磨パッド(図1の2、図2の2’)の最初の使用の前は、幾つかの例示的実施形態において、夫々の研磨エレメント(図1の4、図2の24)が支持層(図1の10、図2の30)の第1の主要面に実質的に垂直な第1の方向に沿って伸びる。他の例示的実施形態では、夫々の研磨エレメントが、ガイド板(図2の31)を含む面の少なくとも約0.25mm上方に第1の方向に沿って伸びる。別の例示的実施形態では、夫々の研磨エレメントが、支持層(図1の10、図2の30)を含む面の少なくとも約0.25mm上方に第1の方向に沿って伸びる。更なる例示的実施形態では、研磨エレメント(図1の2、図2の2’)のベースあるいは底の上の研磨表面(図1の14、図2の23)の高さが、0.25mm、0.5mm、1.5mm、2.0mm、2.5mm、3.0mm、5.0mm、10mm又はそれ以上であってもよく、これは、使われる研磨組成物及び研磨エレメント用に選択される材料に依存する。
【0043】
再び、図1〜2を参照すると、研磨組成物分布層(図1の8、図2の28)及びガイド板31の全体にわたる開口部(図1の6、図2の26)の深さ及び間隔は、個別のCMP工程での必要に応じて変えることができる。研磨エレメント(図1の4、図2の24)は、互いに及び研磨組成物分布層(図1の8、図2の28)並びにガイド板31に対して、夫々平面配向を維持し、研磨組成物分布層(図1の8、図2の28)及びガイド板31の表面の上に突き出る。
【0044】
幾つかの例示的実施形態では、研磨エレメント(図1の4、図2の24)の伸長によってガイド板31及び任意の研磨組成物分布層(図1の8、図2の28)の上にできるボリュームは、研磨組成物分布層(図1の8、図2の28)表面の研磨組成物の分布のための場所を形成することができる。研磨エレメント(図1の4、図2の24)は、研磨組成物分布層(図1の8、図2の28)の上に、研磨エレメントの材料特性及び研磨組成物分布層(図1の8、図2の28)表面を覆う研磨組成物(作業流体及び又は研磨スラリー)の必要な流れに少なくともある程度基づく量だけ突き出る。
【0045】
図1〜2に示すように、研磨エレメント4(又はフランジ状の研磨エレメント24)の少なくとも一部は、多孔質研磨エレメントであり、これは、ある実施形態では少なくとも多孔質研磨表面(図1の14、図2の23)を有し、スライドしながら又は回転しながら研磨される基板(図1では示していない)と接触することができる。他の実施形態では、多孔質研磨エレメントは、多孔質研磨表面を有していなくてもよく、多孔質研磨エレメントの実質的に全体にわたって分布する細孔を有するものでもよい。このような多孔質研磨エレメントは、軟質研磨パッドの幾つかの有利な特性を示す軟質研磨エレメントとして役に立つことができる。
【0046】
幾つかの特定の例示的実施形態では、1つ又は複数の研磨エレメント4は、研磨エレメント4の実質的に全体にわたって多孔質気泡の形で分布する複数の細孔15を含むことができる。気泡は、独立型気泡、又は連続型気泡であってよい。独立型気泡は、幾つかの実施形態で好適なことがある。気泡中の複数の細孔15は、細孔サイズ、例えば細孔の直径、の単峰型分布を示すのが好ましい。幾つかの例示的実施形態では、複数の細孔は、約1ナノメートルから約100μmの平均細孔サイズを示す。他の例示的実施形態では、複数の細孔は、約1μmから約50μmの平均細孔サイズを示す。
【0047】
次に、図3A〜3C及び4A〜4Cを参照すると、研磨エレメント4(図3A〜3B)又は、フランジ型研磨エレメント24(図4A〜4C)の研磨表面14(図3A〜3B)又は23(図4A〜4C)は、実質的に平坦な表面、又はテクスチャとすることができる。ある現時点の好ましい実施形態では、夫々の多孔質研磨エレメントの少なくとも研磨表面は、例えば微細な表面穴又は細孔15を用いた多孔質で作られており、穴、通路、溝、チャネルなどの形をとることができる。研磨表面のこのような細孔15は、基板(図示していない)及び対応する多孔質研磨エレメントの間の接触面への研磨組成物(図示していないが例えば作業流体及び/又は砥粒研磨スラリー)の分布及び維持を促進する働きをすることができる。
【0048】
図3A〜3Cで示す或る例示的実施形態において、研磨表面14は、略円筒形状の毛細管である細孔15を含む。図3Cで示すように、細孔15は、研磨表面14から研磨エレメント4の中へ伸びることができる。関係する実施形態では、研磨表面は、研磨表面23からフランジ型研磨エレメント24の中へ伸びる略円筒形状の毛細管である細孔15を含む。細孔は円筒形状である必要はなく、例えば円錐形、長方形、ピラミッド形などの他の孔形状が可能である。細孔の特徴寸法は、一般に幅、長さ、又は直径に加えて深さで表すことができる。細孔の特徴寸法は、深さが約25マイクロメートル(μm)から約6,500μm、幅が約5μmから約500μm、長さが約10μmから約1,000μm、直径が約5μmから約1,000μmに及ぶことができる。
【0049】
図4Bで示す他の例示的実施形態において、研磨表面23は、複数のチャネル27の形の細孔を含む。ここで、夫々のチャネル27は、対応する研磨エレメント24の研磨表面23の少なくとも一部に広がり、研磨表面23と略平行な方向に広がるのが好ましい。夫々のチャネル27は、研磨表面23と略平行な方向で、対応する研磨エレメント24の研磨表面23の全体に広がるのが好ましい。図4Cで示す他の例示的実施形態においては、細は、チャネル27の2次元的なアレイの形をとることができ、夫々のチャネル27は、研磨表面23の一部だけに広がる。
【0050】
別の例示的実施形態において、チャネル27は、実質的に任意の形状、例えば円筒形、三角形、長方形、台形、半球形、及びそれらの組み合わせの形状を有することができる。幾つかの例示的実施形態では、研磨エレメント24の研磨表面23に実質的に垂直な方向の夫々のチャネル27の深さは、約100μmから約7500μmとなるよう選択される。他の例示的実施形態において、研磨エレメント24の研磨表面23と実質的に平行な方向の夫々のチャネル27の断面領域は、約75平方マイクロメートル(μm2)から約3×106μm2となるよう選択される。
【0051】
別の例示的実施形態において、支持層は、軟質ゴムあるいはポリマーなどの柔軟で軟質な材料を含む。支持層は、硬いフレーム又は枠などの非圧縮性とすることができるが、好ましくは、圧縮性であって研磨表面方向に陽圧をもたらすものがよい。幾つかの例示的実施形態において、支持層は、圧縮性のポリマー材料、推奨された発泡ポリマー、及び発泡ポリマー材料で作られているのが好ましい。独立型気泡が好ましいこともある。幾つかの例示的実施形態において、少なくとも一部に多孔質研磨エレメントを含む研磨エレメントは、支持層に取り付けられた研磨エレメントの単一のシートとして支持層と共に形成することができる。その支持層は、多孔質支持層でもよい。
【0052】
幾つかの例示的実施形態では、支持層はシリコン、天然ゴム、スチレンブタジエン・ゴム、ネオプレン、ポリウレタン、及びこれらの組み合わせから選択されるポリマー材料を含む。支持層は、更に、充填剤、微粒子、繊維、補強材、及び同類のものなどの様々な追加材料を含んでもよい。支持層は、液体不浸透性であることが好ましい(しかし、任意選択の障壁と組み合わせて支持層への液体浸透を避けたり又は抑制して浸透性の材料を使うこともできる)。
【0053】
ポリウレタンは、特に、有用な支持層の材料であるとされている。好適なポリウレタンとして、例えば、コネチカット州ロジャースのRogers社からPORONの商品名で市販されているもの、また同様にミシガン州ミッドランドのDow Chemical社からPELLETHANEの商品名で市販されているもの、特に、PELLETHANE2102−65Dがある。他の好適な材料としては、例えば、MYLARの商品名で広く市販されている2軸配向されたPETなどのテレフタル酸ポリエチレン(PET)、また同様にBONDTEXの商品名でカリフォルニア州サンタアナのRubberite Cypress Sponge Rubber Products社から市販されている接着ゴムシートがある。
【0054】
研磨エレメントは、推奨されたポリマー材料を用いた様々な材料を含むことができる。好適なポリマー材料として、例えば、ポリウレタン、ポリアクリル酸塩、ポリビニル・アルコール・ポリエステル、ポリカーボネート、及びDELRIN(デラウェア州ウィルミントンのE.I.DuPont de Nemours社から市販されている)の商品名で市販されているアセタールがある。幾つかの例示的実施形態では、少なくとも幾つかの研磨エレメントは、熱可塑性のポリウレタン、ポリアクリル酸塩、ポリビニル・アルコール、又はこれらの組み合わせを含む。
【0055】
研磨エレメントは、例えば、金属微粒子、セラミック微粒子、ポリマー微粒子、繊維、これらの組み合わせなどを含む強化ポリマー又は他の複合材料を含んでもよい。或る実施形態では、研磨エレメントは、カーボン、グラファイト、金属又はこれらの組み合わせなどの充填剤を含めることによって、電気的及び/又は熱的に伝導性があるように作ることができる。他の実施形態では、上述の電気的又は熱的伝導性がある充填剤を用いて又は用いずに、例えばORMECOM(ドイツ・アンマースベクのOrmecon Chemie社から市販されている)の商品名で販売されているポリアニリン(PANI)などの電気的伝導性があるポリマーが使用できる。
【0056】
ガイド板は、ポリマー、共重合体、ポリマーブレンド、ポリマー複合材料、又はこれらの組み合わせなどの様々な材料で作ることができる。非伝導性及び液体不浸透性のポリマー材料が一般に好まれ、ポリカーボネートが特に有用であるとされている。
【0057】
任意選択の研磨組成物分布層も、様々なポリマー材料で作ることができる。研磨組成物分布層は、幾つかの実施形態において、少なくとも1つの親水性ポリマーを含んでよい。好適な親水性ポリマーには、ポリウレタン、ポリアクリル酸塩、ポリビニル・アルコール、ポリオキシメチレン、及びこれらの組み合わせがある。ポリマー材料は、好ましくは、多孔質で、より好ましくは、気泡を含み、研磨組成物分布層が圧縮されているとき研磨作業中に基板方向に陽圧をもたらすものがよい。
【0058】
開放型(open)若しくは閉鎖型(closed)の気泡を有する多孔質材料又は発泡材料は、或る実施形態において好ましいことがある。幾つかの特定の実施形態では、研磨組成物分布層は、約10から約90パーセントの間の多孔率を有する。他の実施例において、研磨組成物層は、例えば、親水性ウレタンなどのヒドロゲル材料を含んでもよく、これは、水を吸収することができ、吸収は、好ましくは、重量の約5から約60パーセントに及び、研磨作業中に滑らかな表面を提供する。
【0059】
幾つかの例示的実施形態において、研磨組成物分布層は、研磨中の基板の表面全域で実質的に均一に研磨組成物を分布させることができ、より均一な研磨を実現することが可能となる。研磨組成物分布層は、適宜バッフル、溝(図示していない)、細孔、及びそれと同類のものなどの流量抵抗要素を含むことができ、研磨中に研磨組成物の流量を調整する。別の例示的実施形態において、研磨組成物分布層は、異なる材料の幾つかの層を含むことができ、研磨表面からの深さの変化に対して研磨組成物の必要な流量を実現する。
【0060】
幾つかの例示的実施形態では(例えば、図6B参照)、1つ又は複数の研磨エレメントは、研磨エレメントの中に形成されたオープン・コア領域又はキャビティを含んでもよい。但し、そのような配列は必須ではない。幾つかの実施形態において、国際特許出願公開公報第WO/2006/055720号に記載されているように、研磨エレメントのコアは圧力、伝導度、キャパシタンス、渦電流、などを検出するセンサを含むことができる。更に,他の実施形態において、研磨パッドは、研磨表面に垂直な方向のパッドを通して広がる窓を含んでもよく、又は、透明な層及び/又は透明な研磨エレメントを使用してもよく、「終点窓を用いた研磨パッド及びそのシステムと使用方法(POLISHING PAD WITH ENDPOINT WINDOW AND SYSTEMS AND METHOD OF USING THE SAME)」と題名がつけられた2008年5月15日に出願された同時継続の米国仮特許出願番号第61/053,429号に記載されているように、研磨工程の視覚的な終点を可能にさせる。
【0061】
上記で使用した「透明な層」という用語は、透明な領域を備える層を含む、ということを意味し、これは、層の残りの部分と同じ又は異なる材料で作ることができる。幾つかの例示的実施形態において、エレメント、層又は領域は、透明であってよく、又は、材料に熱及び/又は圧力を供給することにより透明にしてもよく、又は、層の中に好適に置かれた開口部の適所に透明な材料を流し込み、透明な領域を作り出してもよい。別の実施形態では、支持層の全体が、終点検出装置で利用される対象波長の範囲のエネルギーに対して透明である、又は、透明にする材料で作られていてもよい。透明なエレメント、層又は領域のための好ましい透明な材料には、例えば、透明なポリウレタンがある。
【0062】
更に、上述したように、「透明」という用語は、終点検出装置で利用される対象波長の範囲のエネルギーに対して実質的に透明であるエレメント、層、及び又は領域を含むことを意味する。或る例示的実施形態において、終点検出装置は、1つ又は複数の電磁エネルギー源を使用し、紫外線光、可視光、赤外線光、マイクロ波、電波、これらの組み合わせなどの形で放出する。或る実施形態では、「透明」という用語は、透明なエレメント、層又は領域に作用する対象波長のエネルギーの少なくとも約25%(例えば、少なくとも約35%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%)がそれを通して伝わることを意味する。
【0063】
幾つかの例示的実施形態において、支持層は、透明である。或る例示的実施形態では、少なくとも1つの研磨エレメントは、透明である。更なる例示的実施形態において、少なくとも1つの研磨エレメントは、透明であり、接着層及び支持層も透明である。別の例示的実施形態では、支持層、ガイド板、研磨組成物分布層、少なくとも1つの研磨エレメント、又はこれらの組み合わせが透明である。
【0064】
本開示は、更に、研磨工程において上述したような研磨パッドの使用方法に向けられる。この方法は、研磨パッドの研磨表面に基板表面を接触させることを含み、研磨パッドは、複数の研磨エレメントを備え、少なくともその幾つかは多孔質であり、基板に対して研磨パッドを相対的に動かし、基板表面を研磨する。或る例示的実施形態では、作業流体を研磨パッド表面と基板表面の間の接触面に供給してもよい。本技術分野では好適な作業流体が知られており、例えば、これは、米国特許第6,238,592B1号、6,491,843B1号、及び国際特許出願公開公報第WO/2002/33736号で述べられているものでよい。
【0065】
ここに記載されている研磨パッドは、幾つかの実施形態において、製造するのに比較的容易で安価となる可能性がある。好適な製造工程は、米国仮特許出願番号第60/926,244号に記載されている。以下に、幾つかの例示的製造工程の簡単な説明を記載する。この説明は、包括的であること又は他を制限することを意味するものではない。
【0066】
このように、更なる例示的実施形態において、研磨パッドの製造方法が提供される。この方法は、複数の多孔質研磨エレメントを形成し、また支持層に多孔質研磨エレメントを取り付けることを含む。或る実施形態において、この方法は、ポリマー溶解で飽和したガスの射出成形、反応上でガスを放出しポリマーを形成する反応混合物の射出成形、超臨界ガス中で溶解したポリマーを含む混合物の射出成形、溶媒中の非相溶性ポリマーの混合物の射出成形、熱可塑性ポリマーの中に分散した多孔質熱硬化性粒子の射出成形、及びその組み合わせによる多孔質研磨エレメントの形成を含む。
【0067】
更なる或る実施形態において、研磨エレメントの研磨表面に与えられた多数の穴は、例えば、射出成形、カレンダ成形、機械的な穴あけ、レーザ穴あけ、針打ち抜き、ガス分散発泡、化学処理、及びこれらの組み合わせによって与えることができる。
【0068】
本開示に係る多孔質研磨エレメントを有する研磨パッドの例示的実施形態は、様々な研磨用途に使用できる多様な特徴及び特性を有する可能性がある。幾つかの現時点の好ましい実施形態において、本開示の研磨パッドは、集積回路及び半導体素子の製造で使用されるウェーハの化学機械平坦化(CMP)に特によく適している可能性がある。或る例示的実施形態において、本開示で記載の研磨パッドは、本技術分野で知られている研磨パッドにわたって利点をもたらすことができる。
【0069】
例えば、幾つかの例示的実施形態において、本開示に係る研磨パッドは、CMP工程で使用される作業流体が、パッドの研磨表面と研磨される基板表面の間の接触面でより留まりやすいように働くことができ、これにより、研磨を促進する上での作業流体の有効性を高める。他の例示的実施形態において、本開示による研磨パッドは、研磨中のウェーハ表面のディッシング及び/又はエッジ・エロージョンを軽減又は解消することができる。幾つかの例示的実施形態において、本開示による研磨パッドのCMP工程での使用は、ウェーハ研磨均一性の改善、研磨されたウェーハ表面の平面化、ウェーハからのエッジ・ダイ生産量の増加、並びにCMP工程運用の許容度及び一貫性の改善をもたらすことができる。
【0070】
別の例示的実施形態において、本開示に係る多孔質エレメントを用いる研磨パッドの使用は、表面均一性の要求レベルを維持して高いチップ生産量を得ながらのより大きい直径のウェーハの処理、ウェーハ表面の研磨均一性を維持するためにパッド表面のコンディショニングが必要とされる前のより多くのウェーハの処理、あるいは処理時間及びパッド・コンディショナー上の摩耗の低減を可能にすることができる。
【0071】
本開示に係る例示的研磨パッドを、次に以下の非制限の実施例を参照して説明する。
【実施例】
【0072】
以下の非制限的な実施例は、支持層に取り付けられた複数の研磨エレメントを含む研磨パッドの製造に用いることができる、多孔質及び無孔質の研磨エレメントの両方の様々な製造方法について説明する。ここで、研磨エレメントの少なくとも一部は、多孔質研磨エレメントであり、また夫々の多孔質研磨エレメントの少なくとも一部は、複数の細孔を備える。
【0073】
実施例1
本実施例は、無孔質研磨エレメント(実施例1A)及び細孔が実質的に研磨エレメント全体に分布している多孔質研磨エレメント(実施例1B)の両方の製造を説明する。多孔質研磨エレメントは、超臨界ガス中で溶解したポリマーを含む混合物の射出成形によって製造した。
【0074】
210℃、圧力3800gでのメルト・インデックスが5である熱可塑性ポリウレタン(オハイオ州クリーブランドのLubrizol Advanced Materials社のEstane ETE 60DT3 NAT 022P)を選択した。熱可塑性ポリウレタンのペレットを、直径30mmの単スクリュー(L/D=24:1)を備えた80トンMT・Arburg射出成形プレス機(ドイツ・ロースブルグのArburg GmbH社)の中に、ポリマー溶解をもたらすために上昇させた温度と圧力で供給した。
【0075】
比較例1Aでは、ポリマー溶解を32−キャビティ、コールド・ランナー型(9.2gの固体射出重量)で射出成形し、内部に円筒形状のキャビティをもち、0.15グラム/エレメントの重さの実質的に無孔質な研磨エレメントを形成した。
【0076】
実施例1Bでは、Mass Pulse Dosing供給システムを装備したTrexel SII−TR10(マサチューセッツ州ウォーバンのTrexel社から市販されている)を使用して、上昇させた温度と圧力の下でポリマー溶解の中に窒素ガスを注入し、ポリマー溶解の中に超臨界窒素の0.6%w/w混合を形成した。超臨界窒素及びポリマー溶解の混合を32−キャビティ、コールド・ランナー型(9.2gの固体射出重量)で射出成形し、内部に円筒形状のキャビティをもち、0.135gの重さがあり、実質的に研磨エレメント全体にわたって細孔が分布する多孔質の研磨エレメントを形成した。
【0077】
押出成形機の夫々のゾーンの温度、型温度、スクリュー、注入、圧縮圧力、成形時間及び押し付けトン数を、実施例1Aと1Bを比較して表1にまとめる。
【0078】
【表1】
表1
【0079】
図5Aは、本開示の他の例示的実施形態に係る、研磨表面に実質的に平行な方向でエレメントを切断した後の、実施例1Bの多孔質研磨エレメントの顕微鏡写真である。図5Bは、研磨表面に実質的に垂直な方向でエレメントを切断した後の、図5Aの多孔質研磨エレメントの顕微鏡写真である。図5Aの顕微鏡写真に基づくと、平均細孔サイズは33.208μmと測定され、細孔サイズの中央値は30.931μmと測定され、細孔サイズの分布の標準偏差は13.686μmと測定され、最小細孔サイズは3.712μmと測定され、また、最大細孔サイズは150.943μmと測定された。
【0080】
実施例2
本実施例は、細孔が実質的にエレメントの研磨表面にのみ分布している多孔質研磨エレメントの製造を説明する。
【0081】
無孔質の研磨エレメントは、上記の比較実施例1Aで概略記述したように、初めは210℃、圧力3800gでのメルト・インデックスが5である熱可塑性ポリウレタン(オハイオ州クリーブランドのLubrizol Advanced Materials社のEstane ETE 60DT3 NAT 022P)を射出成形することにより製造し、直径約15mmの測定値である略円筒形状の研磨エレメントを形成した。
【0082】
射出成形された研磨エレメントの研磨表面を、次に、ナノ秒のパルス・レート、15kHzの反復レート、60〜80%(0.8〜1.1ワット)の出力設定及び100mm/秒から300mm/秒の間のスキャン・レート(全部で29.8秒及び13.2秒の実行時間)で動作するAVIA355nm紫外線レーザ(カリフォルニア州サンタクララのCoherent社)を使用しレーザ穴あけして、多孔質の研磨エレメントを形成した。
【0083】
この実施例2によって製造した多孔質研磨エレメントの多孔質表面を、図6Aの顕微鏡写真で示す。図6Bは、研磨表面に実質的に垂直な方向でエレメントを切断した後の、図6Aの多孔質研磨エレメントの顕微鏡写真である。
【0084】
実施例3
本実施例は、無孔質研磨エレメント(実施例3A)及び細孔が研磨表面上に形成された複数のチャネルの形で実質的にエレメントの研磨表面だけに分布する多孔質研磨エレメント(実施例3B)の両方の製造を説明する。
【0085】
多孔質研磨エレメントを、210℃、圧力3800gでのメルト・インデックスが5である熱可塑性ポリウレタン(オハイオ州クリーブランドのLubrizol Advanced Materials社のEstane ETE 60DT3 NAT 022P)の射出成形によって製造した。熱可塑性ポリウレタンのペレットを、直径25mmの単スクリュー(L/D=24.6:1)を備えたEngel100トン射出成形プレス機(ペンシルバニア州ヨークのEngel Machinery社)の中に、ポリマー溶解をもたらすために上昇させた温度と圧力で供給した。
【0086】
熱可塑性ポリウレタン溶解を、2−キャビティ、1つのキャビティに波状型インサート及び他のキャビティに空きの型インサートを装備したコールド・ランナー型(34.01gの射出重量)で射出成形した。押出成形機の夫々のゾーンの温度、型温度、注入及び圧縮圧力、成形時間並びに押し付けトン数を表2にまとめる。
【0087】
【表2】
表2
【0088】
図7は、本開示の更に他の例示的実施形態に係る多孔質研磨エレメントの研磨表面上の、波状型インサートによって形成された複数のチャネルを示した顕微鏡写真である。
【0089】
先に述べたように「発明を実施するための形態」で提供した教示を使用して、個々の多孔質及び適宜無孔質研磨エレメントを支持層に取り付け、本発明の様々な実施形態に係る研磨パッドを実現することができる。単一の研磨パッドを説明する特に有利な一実施形態では、バックフィル・チャンバ(back−fill chamber)を用いてマルチ・キャビティの型が実現でき、ここで、夫々のキャビティは、研磨エレメントに対応する。ここで記載したような多孔質研磨エレメント及び無孔質研磨エレメントを含んでよい複数の研磨エレメントを、好適なポリマー溶解をマルチ・キャビティの型で射出成形することにより、また同じポリマー溶解又は他のポリマー溶解をバックフィル・チャンバに充填することにより形成し、支持層を形成することができる。型の冷却で研磨エレメントは支持層に付着したままとなり、これによって、支持層と共に研磨エレメントの単一シートとして複数の研磨エレメントを形成する。
【0090】
「実施形態」という用語の前に「例示的」という用語が有るか無いかを問わず、本明細書にわたって「一実施形態」、「或る実施形態」、「1つ又は複数の実施形態」又は「実施形態」という言及は、実施形態と関連して記載した特有の形状、構造、材料、又は特性が、本発明の或る例示的実施形態の少なくとも一実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書にわたって様々な箇所にある「1つ或いは複数の実施形態で」、「或る実施形態で」、「一実施形態で」又は「実施形態で」などの表現の出現は、本発明の或る例示的実施形態と同じ実施形態を必ずしも参照しているものではない。更には、特有の形状、構造、材料、又は特性は、1つ又は複数の実施形態で任意の好適な方法で組み合わせてもよい。
【0091】
本明細書は或る例示的実施形態を詳細に説明したが、当業者は上述の点を理解すれば、これらの実施形態の代替、変形、及び等価物を容易に思いつくことは明らかである。従って、本開示は、先に明記した実施形態に必要以上に制限されるものではないことを理解すべきである。特に、ここで使われたように、終点までの数値範囲の記述は、その範囲内を含めた全ての数を含むことを意味する(例えば、1から5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)。更に、ここで使われた全ての数は、「約」という用語によって変更されると考える。更には、ここで参照した全ての刊行物及び特許は、夫々の個々の刊行物又は特許の内容が具体的かつ個別に引用により援用されるよう記載されたのと同じ程度まで、その全体が引用により援用される。
【0092】
様々な例示的実施形態を説明してきた。これらの、そして、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲のスコープ内にある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の研磨エレメントを備える研磨パッドであって、
各研磨エレメントは、1つ又は複数の他の研磨エレメントに対して研磨エレメントの横方向の動きを制限するものの、研磨エレメントの研磨表面に垂直な軸においては移動可能であるように、支持層に取り付けられており、
研磨エレメントの少なくとも1つは、多孔質研磨エレメントを有し、
各多孔質研磨エレメントの少なくとも1つの表面は、複数の細孔を有することを特徴とする、研磨パッド。
【請求項2】
第1の主要面と、該第1の主要面の反対側の第2の主要面とを有する支持層を備えた研磨パッドであって、
支持層の第1の主要面に取り付けた複数の研磨エレメントと、
第1の主要表面と、該第1の主要表面の反対側の第2の主要表面とを有するガイド板であって、支持層から遠位にある第1の主要表面と共に第1の主要面上に複数の研磨エレメントを配置するために設けられたガイド板を備え、
研磨エレメントは、ガイド板の上記第1の主要表面から上記第1の主要面に実質的に垂直な第1の方向に沿って延在し、
研磨エレメントの少なくとも1つは、多孔質研磨エレメントを含み、
各多孔質研磨エレメントの少なくとも一部は、複数の細孔を含むことを特徴とする、研磨パッド。
【請求項3】
更に、上記ガイド板を通って上記第1の主要表面から上記第2の主要表面に延在する複数の開口部を備え、
各研磨エレメントの少なくとも一部は、対応する開口部の中に延在し、各研磨エレメントは、上記ガイド板の上記第1の主要表面から外側に延在することを特徴とする、請求項2に記載の研磨パッド。
【請求項4】
各研磨エレメントの一部は、上記対応する開口部を貫通することを特徴とする、請求項3に記載の研磨パッド。
【請求項5】
各研磨エレメントは、上記支持層と上記ガイド板との間の接触面における接着剤によって、上記第1の主要面に取り付けられていることを特徴とする、請求項4に記載の研磨パッド。
【請求項6】
各研磨エレメントは、フランジを有し、
各研磨エレメントは、上記ガイド層の上記第2の主要表面に対する上記対応するフランジの噛み合いによって、上記第1の主要面に取り付けられていることを特徴とする、請求項4に記載の研磨パッド。
【請求項7】
上記複数の開口部は、開口部のアレイとして配置され、
上記開口部の少なくとも一部は、主要な穴と、アンダーカット領域とを含み、
上記アンダーカット領域は、その対応する研磨エレメント・フランジを保持する肩を形成することを特徴とする、請求項3に記載の研磨パッド。
【請求項8】
上記ガイド板は、ポリマー、共重合体、ポリマーブレンド、ポリマー複合材料、若しくはこれらの組み合わせを含むことを特徴とする、請求項2に記載の研磨パッド。
【請求項9】
上記ガイド板は、上記第1の方向に沿って、上記研磨エレメントの配向を維持する一方、上記ガイド板に対して、上記第1の方向に沿って研磨エレメントを独立的に平行移動できるようにすることを特徴とする、請求項2に記載の研磨パッド。
【請求項10】
更に、上記ガイド板の上記第1の主要表面の少なくとも一部をカバーする研磨組成物分布層を含むことを特徴とする、請求項2に記載の研磨パッド。
【請求項11】
上記研磨組成物分布層は、少なくとも1つの親水性ポリマーを含むことを特徴とする、請求項10に記載の研磨パッド。
【請求項12】
各研磨エレメントは、上記第1の方向に沿って、上記研磨組成物分布層を含む面の上方に少なくとも約0.25mm延在することを特徴とする、請求項10に記載の研磨パッド。
【請求項13】
各研磨エレメントは、上記第1の方向に沿って、上記ガイド板を含む面の上方に少なくとも約0.25mm延在することを特徴とする、請求項2に記載の研磨パッド。
【請求項14】
各研磨エレメントは、上記第1の方向に沿って、上記支持層を含む面の上方に少なくとも0.25mm延在することを特徴とする、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
【請求項15】
実質的に、全ての研磨エレメントが多孔質研磨エレメントを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
【請求項16】
各多孔質研磨エレメントを含む上記複数の細孔は、実質的に、上記多孔質研磨エレメントの全体にわたって分布していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
【請求項17】
各多孔質研磨エレメントは、上記第1及び第2の主要面から遠位にある研磨表面を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
【請求項18】
各研磨表面の少なくとも一部は、上記複数の細孔を含むことを特徴とする、請求項17に記載の研磨パッド。
【請求項19】
上記研磨表面を含む上記複数の細孔は、円筒形、三角形、長方形、台形、半球形、及びこれらの組み合わせからなるグループから選択された断面形状を有する複数のチャネルを含むことを特徴とする、請求項18に記載の研磨パッド。
【請求項20】
各チャネルの上記第1の方向の深さは、約100マイクロメートルから約7500マイクロメートルであることを特徴とする、請求項19に記載の研磨パッド。
【請求項21】
各チャネルの断面領域は、約75平方マイクロメートルから約3×106平方マイクロメートルであることを特徴とする、請求項19に記載の研磨パッド。
【請求項22】
1つ若しくは複数の上記研磨エレメントの中に、キャビティが形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
【請求項23】
上記記複数の細孔は、閉鎖型気泡を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
【請求項24】
上記複数の細孔は、開放型気泡を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
【請求項25】
上記複数の細孔は、細孔サイズの単峰型分布を示すことを特徴とする、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
【請求項26】
上記複数の細孔は、約1ナノメートルから約100マイクロメートルの平均細孔サイズを示す、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
【請求項27】
上記複数の細孔は、約1マイクロメートルから約50マイクロメートルの平均細孔サイズを示すことを特徴とする、請求項26に記載の研磨パッド。
【請求項28】
上記各研磨エレメントは、上記研磨エレメントを上記支持層に接着することにより、支持層に取り付けられることを特徴とする、請求項1又は2に記載の研磨エレメント。
【請求項29】
上記研磨エレメントの少なくとも幾つかは、上記第1の方向で取られた断面であって、円形、楕円形、三角形、正方形、長方形、及び台形から選択された断面を有するように選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
【請求項30】
上記複数の研磨エレメントは、上記支持層と共に、研磨エレメントの単一シートとして形成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
【請求項31】
上記研磨エレメントの少なくとも幾つかは、熱可塑性のポリウレタン、ポリアクリル酸塩、ポリビニル・アルコール、又はこれらの組み合わせを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
【請求項32】
上記研磨エレメントは、約0.1mmから約30mmの少なくとも1つの寸法を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
【請求項33】
上記支持層は、シリコン、天然ゴム、スチレンブタジエン・ゴム、ネオプレン、ポリウレタン、及びこれらの組み合わせから選択されるポリマー材料を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
【請求項34】
更に、上記複数の研磨エレメントの反対側で、上記支持層に隣接する接着層を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
【請求項35】
少なくとも1つの研磨エレメントは、透明であり、
更に、上記接着層及び上記支持層は、透明であることを特徴とする、請求項34に記載の研磨パッド。
【請求項36】
上記研磨エレメントの少なくとも1つは、透明であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
【請求項37】
上記支持層は、透明であることを特徴とする、請求項36に記載の研磨パッド。
【請求項38】
上記支持層、上記ガイド板、上記研磨組成物分布層、少なくとも1つの研磨エレメント、又はこれらの組み合わせは、透明であることを特徴とする、請求項10に記載の研磨パッド。
【請求項39】
上記研磨エレメントの少なくとも一部は、研磨粒子を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
【請求項40】
研磨パッドの使用方法であって、
請求項1〜38のいずれか一項に係る研磨パッドの研磨表面に基板の表面を接触させるステップと、
上記基板に対して上記研磨パッドを相対的に移動させて基板の上記表面を研磨するステップと、を含むことを特徴とする使用方法。
【請求項41】
更に、上記研磨パッドの表面と上記基板の表面との間の接触面に、作業流体を供給するステップを含むことを特徴とする、請求項40に記載の使用方法。
【請求項42】
研磨パッドの製造方法であって、
複数の多孔質研磨エレメントを形成するステップと、
上記多孔質研磨エレメントを支持層に取り付けて、請求項1〜39のいずれか一項に係る研磨パッドを形成するステップと、を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項43】
上記多孔質研磨エレメントは、ポリマー溶解で飽和したガスの射出成形、反応上でガスを放出しポリマーを形成する反応混合物の射出成形、超臨界ガス中で溶解したポリマーを含む混合物の射出成形、溶媒中の非相溶性ポリマーの混合物の射出成形、熱可塑性ポリマーの中に分散した多孔質熱硬化性粒子の射出成形、及びその組み合わせにより、形成されるようにしたことを特徴とする、請求項42に記載の製造方法。
【請求項44】
上記多孔質ポリマー・エレメントは、各多孔質研磨エレメントの研磨表面で形成される細孔を有することを特徴とする、請求項43に記載の製造方法。
【請求項45】
上記細孔は、射出成形、カレンダ成形、機械的な穴あけ、レーザ穴あけ、針打ち抜き、ガス分散発泡、化学処理、及びこれらの組み合わせにより、形成されるようにしたことを特徴とする、請求項42に記載の製造方法。
【請求項1】
複数の研磨エレメントを備える研磨パッドであって、
各研磨エレメントは、1つ又は複数の他の研磨エレメントに対して研磨エレメントの横方向の動きを制限するものの、研磨エレメントの研磨表面に垂直な軸においては移動可能であるように、支持層に取り付けられており、
研磨エレメントの少なくとも1つは、多孔質研磨エレメントを有し、
各多孔質研磨エレメントの少なくとも1つの表面は、複数の細孔を有することを特徴とする、研磨パッド。
【請求項2】
第1の主要面と、該第1の主要面の反対側の第2の主要面とを有する支持層を備えた研磨パッドであって、
支持層の第1の主要面に取り付けた複数の研磨エレメントと、
第1の主要表面と、該第1の主要表面の反対側の第2の主要表面とを有するガイド板であって、支持層から遠位にある第1の主要表面と共に第1の主要面上に複数の研磨エレメントを配置するために設けられたガイド板を備え、
研磨エレメントは、ガイド板の上記第1の主要表面から上記第1の主要面に実質的に垂直な第1の方向に沿って延在し、
研磨エレメントの少なくとも1つは、多孔質研磨エレメントを含み、
各多孔質研磨エレメントの少なくとも一部は、複数の細孔を含むことを特徴とする、研磨パッド。
【請求項3】
更に、上記ガイド板を通って上記第1の主要表面から上記第2の主要表面に延在する複数の開口部を備え、
各研磨エレメントの少なくとも一部は、対応する開口部の中に延在し、各研磨エレメントは、上記ガイド板の上記第1の主要表面から外側に延在することを特徴とする、請求項2に記載の研磨パッド。
【請求項4】
各研磨エレメントの一部は、上記対応する開口部を貫通することを特徴とする、請求項3に記載の研磨パッド。
【請求項5】
各研磨エレメントは、上記支持層と上記ガイド板との間の接触面における接着剤によって、上記第1の主要面に取り付けられていることを特徴とする、請求項4に記載の研磨パッド。
【請求項6】
各研磨エレメントは、フランジを有し、
各研磨エレメントは、上記ガイド層の上記第2の主要表面に対する上記対応するフランジの噛み合いによって、上記第1の主要面に取り付けられていることを特徴とする、請求項4に記載の研磨パッド。
【請求項7】
上記複数の開口部は、開口部のアレイとして配置され、
上記開口部の少なくとも一部は、主要な穴と、アンダーカット領域とを含み、
上記アンダーカット領域は、その対応する研磨エレメント・フランジを保持する肩を形成することを特徴とする、請求項3に記載の研磨パッド。
【請求項8】
上記ガイド板は、ポリマー、共重合体、ポリマーブレンド、ポリマー複合材料、若しくはこれらの組み合わせを含むことを特徴とする、請求項2に記載の研磨パッド。
【請求項9】
上記ガイド板は、上記第1の方向に沿って、上記研磨エレメントの配向を維持する一方、上記ガイド板に対して、上記第1の方向に沿って研磨エレメントを独立的に平行移動できるようにすることを特徴とする、請求項2に記載の研磨パッド。
【請求項10】
更に、上記ガイド板の上記第1の主要表面の少なくとも一部をカバーする研磨組成物分布層を含むことを特徴とする、請求項2に記載の研磨パッド。
【請求項11】
上記研磨組成物分布層は、少なくとも1つの親水性ポリマーを含むことを特徴とする、請求項10に記載の研磨パッド。
【請求項12】
各研磨エレメントは、上記第1の方向に沿って、上記研磨組成物分布層を含む面の上方に少なくとも約0.25mm延在することを特徴とする、請求項10に記載の研磨パッド。
【請求項13】
各研磨エレメントは、上記第1の方向に沿って、上記ガイド板を含む面の上方に少なくとも約0.25mm延在することを特徴とする、請求項2に記載の研磨パッド。
【請求項14】
各研磨エレメントは、上記第1の方向に沿って、上記支持層を含む面の上方に少なくとも0.25mm延在することを特徴とする、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
【請求項15】
実質的に、全ての研磨エレメントが多孔質研磨エレメントを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
【請求項16】
各多孔質研磨エレメントを含む上記複数の細孔は、実質的に、上記多孔質研磨エレメントの全体にわたって分布していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
【請求項17】
各多孔質研磨エレメントは、上記第1及び第2の主要面から遠位にある研磨表面を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
【請求項18】
各研磨表面の少なくとも一部は、上記複数の細孔を含むことを特徴とする、請求項17に記載の研磨パッド。
【請求項19】
上記研磨表面を含む上記複数の細孔は、円筒形、三角形、長方形、台形、半球形、及びこれらの組み合わせからなるグループから選択された断面形状を有する複数のチャネルを含むことを特徴とする、請求項18に記載の研磨パッド。
【請求項20】
各チャネルの上記第1の方向の深さは、約100マイクロメートルから約7500マイクロメートルであることを特徴とする、請求項19に記載の研磨パッド。
【請求項21】
各チャネルの断面領域は、約75平方マイクロメートルから約3×106平方マイクロメートルであることを特徴とする、請求項19に記載の研磨パッド。
【請求項22】
1つ若しくは複数の上記研磨エレメントの中に、キャビティが形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
【請求項23】
上記記複数の細孔は、閉鎖型気泡を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
【請求項24】
上記複数の細孔は、開放型気泡を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
【請求項25】
上記複数の細孔は、細孔サイズの単峰型分布を示すことを特徴とする、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
【請求項26】
上記複数の細孔は、約1ナノメートルから約100マイクロメートルの平均細孔サイズを示す、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
【請求項27】
上記複数の細孔は、約1マイクロメートルから約50マイクロメートルの平均細孔サイズを示すことを特徴とする、請求項26に記載の研磨パッド。
【請求項28】
上記各研磨エレメントは、上記研磨エレメントを上記支持層に接着することにより、支持層に取り付けられることを特徴とする、請求項1又は2に記載の研磨エレメント。
【請求項29】
上記研磨エレメントの少なくとも幾つかは、上記第1の方向で取られた断面であって、円形、楕円形、三角形、正方形、長方形、及び台形から選択された断面を有するように選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
【請求項30】
上記複数の研磨エレメントは、上記支持層と共に、研磨エレメントの単一シートとして形成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
【請求項31】
上記研磨エレメントの少なくとも幾つかは、熱可塑性のポリウレタン、ポリアクリル酸塩、ポリビニル・アルコール、又はこれらの組み合わせを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
【請求項32】
上記研磨エレメントは、約0.1mmから約30mmの少なくとも1つの寸法を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
【請求項33】
上記支持層は、シリコン、天然ゴム、スチレンブタジエン・ゴム、ネオプレン、ポリウレタン、及びこれらの組み合わせから選択されるポリマー材料を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
【請求項34】
更に、上記複数の研磨エレメントの反対側で、上記支持層に隣接する接着層を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
【請求項35】
少なくとも1つの研磨エレメントは、透明であり、
更に、上記接着層及び上記支持層は、透明であることを特徴とする、請求項34に記載の研磨パッド。
【請求項36】
上記研磨エレメントの少なくとも1つは、透明であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
【請求項37】
上記支持層は、透明であることを特徴とする、請求項36に記載の研磨パッド。
【請求項38】
上記支持層、上記ガイド板、上記研磨組成物分布層、少なくとも1つの研磨エレメント、又はこれらの組み合わせは、透明であることを特徴とする、請求項10に記載の研磨パッド。
【請求項39】
上記研磨エレメントの少なくとも一部は、研磨粒子を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の研磨パッド。
【請求項40】
研磨パッドの使用方法であって、
請求項1〜38のいずれか一項に係る研磨パッドの研磨表面に基板の表面を接触させるステップと、
上記基板に対して上記研磨パッドを相対的に移動させて基板の上記表面を研磨するステップと、を含むことを特徴とする使用方法。
【請求項41】
更に、上記研磨パッドの表面と上記基板の表面との間の接触面に、作業流体を供給するステップを含むことを特徴とする、請求項40に記載の使用方法。
【請求項42】
研磨パッドの製造方法であって、
複数の多孔質研磨エレメントを形成するステップと、
上記多孔質研磨エレメントを支持層に取り付けて、請求項1〜39のいずれか一項に係る研磨パッドを形成するステップと、を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項43】
上記多孔質研磨エレメントは、ポリマー溶解で飽和したガスの射出成形、反応上でガスを放出しポリマーを形成する反応混合物の射出成形、超臨界ガス中で溶解したポリマーを含む混合物の射出成形、溶媒中の非相溶性ポリマーの混合物の射出成形、熱可塑性ポリマーの中に分散した多孔質熱硬化性粒子の射出成形、及びその組み合わせにより、形成されるようにしたことを特徴とする、請求項42に記載の製造方法。
【請求項44】
上記多孔質ポリマー・エレメントは、各多孔質研磨エレメントの研磨表面で形成される細孔を有することを特徴とする、請求項43に記載の製造方法。
【請求項45】
上記細孔は、射出成形、カレンダ成形、機械的な穴あけ、レーザ穴あけ、針打ち抜き、ガス分散発泡、化学処理、及びこれらの組み合わせにより、形成されるようにしたことを特徴とする、請求項42に記載の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【公表番号】特表2011−526218(P2011−526218A)
【公表日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516731(P2011−516731)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【国際出願番号】PCT/US2009/048940
【国際公開番号】WO2009/158665
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【国際出願番号】PCT/US2009/048940
【国際公開番号】WO2009/158665
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
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