多孔質フィルムを有するフロック加工された物品
本発明は多孔質フィルムを備えるフロック加工された物品及びこのような物品を製造する方法に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフロック加工された物品に係り、より具体的にはフロック加工されたグラフィックに関する。
【背景技術】
【0002】
フロック加工された物品は幅広く応用されている。フロック加工された物品は成形された物品だけでなく織物装飾にも用いられている。フロックは、ベルベット状のコーティングを布、ゴム、フィルム、または紙上に形成するために用いられる、精度よく切り詰められるか粉砕された天然または合成繊維である。フロックは、一般的に約0.010〜0.250インチ(0.25mm〜6.25mm)の長さを有する。
【0003】
フロック加工された物品を形成するために、二つの方法が採用される。ダイレクト・フロック加工(direct flocking)として知られる一方法においては、フロック繊維は粘着剤で覆われた基板上に静電付着される。前記基板は典型的には織物であるが、ゴム、ポリカーボネート等のようないずれの種類の材料でもよい。他方の方法はフロック転写(flocked transfer)として知られている。フロック転写において、前記フロック繊維は、まず仮のまたは剥離性の粘着剤で覆われた紙またはポリマ(ポリエステル)フィルムのような犠牲的なキャリア上に静電付着される。永久粘着剤が前記フロック繊維の開放面に付着される。成形物は転写体として知られている。フロック繊維を織物のような所望の基板に付着させるために、前記基板が前記永久粘着剤で覆われるとともに粘着剤を基板に結合させるために熱が付与される。前記キャリア及び付着された剥離性粘着剤は、その後開放フロック面を露出させるために取り除かれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フロック加工物品の形成においては多数の検討事項がある。第1に、例としての前記基板またはキャリアは導電性であるとともに電界線の方向性に与える影響は最小限であろう。電界線が電気的に絶縁された基板によって変更されると、前記フロック繊維は基板またはキャリアの面に対して直交せず、したがって方向付けに失敗する。手触り及び高級感だけでなく物品の寿命もこのような繊維の方向付けの失敗によって悪影響を受けてしまう。第2に、前記キャリアの除去後、剥離性粘着剤の実質的な量が前記繊維に残ることを避けるために、前記剥離性粘着剤は前記繊維よりもさらに強く前記キャリアに粘着されるべきである。露出したフロック面に所望の手触りを提供するためにこのような余剰粘着剤は除去される必要があり、したがって製造コストが増加する。この問題を解決するために、製造者は剥離性粘着剤の複数の層を一般的に使用しており、費用が高い。前記キャリアは、使用後に廃棄されるときに地球に優しくなるべきである。しかしながら、キャリアのほとんどは石油関連仕上げを用いており、これはキャリア費用を増加させるだけでなく廃棄されたときに環境に有害である。最後に、前記キャリアは、水性粘着剤の使用を許容するように耐水性であるべきである。このような粘着剤は、一般的に溶剤性粘着剤よりも極めて毒性が低く、且つ安全に使用できる。問題は製造者が安価で耐水性のキャリアを見出すことができなかったことである。最も頻繁に使用される紙キャリアは耐水性ではないので、溶剤性粘着剤の使用が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これらの及び他の必要性は本発明の様々な実施形態及び構成によって解決される。本発明は多孔質フィルムを備えるフロック加工された物品及びグラフィックに関する。
本発明の一実施形態において、フロック加工された物品またはグラフィックは多孔質フ
ィルムを含み、多孔質フィルムは好適にはマイクロ及び/またはマクロ気孔性を有する。前記フィルムはどのような多孔質フィルムまたは基板でもよく、好適にはガス(空気)透過性である。さらに好適には、前記多孔質フィルムは一以上の有機ポリマ及び金属酸化物微粒子充填剤を含む。例示的な充填剤は普通の砂である。様々なフロック加工された物品及びグラフィックにおいて、フィルムは犠牲的なキャリア、フロック加工された基板、他の非互換性または弱い互換性の物質のための結合剤、もしくは物品またはグラフィックに好適な特性を提供する中間層である。
【0006】
好適なフィルムは非常に有益な多数の特性を有し、該特性は以下を含む。
(i)アクリル(ラテックス)粘着コーティングのような水溶性粘着剤、溶剤性粘着剤、及び予め形成された独立の熱硬化性及び熱可塑性の熱活性粘着剤における高い機械的粘着力、
(ii)水溶性粘着剤における水によって比較的影響されない高い耐水性、
(iii)積層体に高い不透過度を加えつつ両側の二つの異なる材料を共に保持すべくタイコート(tie−coat)として機能するのに十分な引張応力、
(iv)フロック加工において通常に用いられる少なくとも静電界のほとんどが、基板表面に略直交する方向に基板を通過して、優れたフロック方向性及び密度を基板表面にもたらす半導体特性または高導電特性、
(v)品質の低下なしに且つ3パーセント以下の収縮で材料を熱プロセスに耐えさせ得る高い耐熱性、
(vi)環境的に互換性のある要素(例えば砂)が大部分を占める、及び/又は
(vii)前記フィルムの第2片及び/または他の互換性のある材料に高周波エネルギによって結合される能力。
【0007】
剥離性粘着剤及び永久粘着剤に対するフィルムの高い粘着力は、多孔質の効果によると考えられる。理論によって拘束されることを望まなくても、多孔質表面によって形成される荒さは実質的に粘着力を向上させる。
【0008】
フィルムの耐水性は、多孔質フィルムが合成物質であり且つシリカ粒(例えば砂)のような金属酸化物で実質的に充填されることによりもたらされる。前記フィルムは水溶性粘着剤で被覆されるとともに、皺がよらないかまたは収縮しない。しかし、強い機械的粘着力を有する紙のように急速に乾燥する。耐水性は、溶剤性化学粘着剤(及びそれらに付随する毒性)を使用する必要性を排除する。機械的粘着力についての高い潜在力は、化学的な粘着力を可能とする特別なコーティングを従来の合成フィルム基板に付与する必要性を除く。
【0009】
理論によって拘束されることを望まなくても、半導体性または導電性は、フィルムの空気透過性及び/または気孔率に少なくとも一部において起因すると思われる。よく理解されるように、フィルムの導電性は自身の空気透過性及び/または気孔率に直接的に関連する。フィルムのフロック側の静電界の比較的高い強さは、一般に少なくとも約80パーセント、さらに一般的には少なくとも約90パーセント、さらに一般的には少なくとも95パーセント、さらに一般的には少なくとも約98パーセントのフロック加工後のフィルム上のフロック繊維が、フィルム上の剥離性粘着剤/永久粘着剤中に埋め込まれることをもたらし、且つ同じパーセンテージのフロック繊維にフィルム面及び粘着面に略直交する所望の方向性を与える。前記面上のフロックの密度はまた、可塑性フィルムのような他の一般的なキャリアを用いるフロックの密度よりも典型的に高い。
【0010】
多孔質フィルムは多数の他の互換性及び非互換性材料に両側でよく結合する。したがって所謂「タイコート(tie coat)」層としてよく機能する。例えば、フィルムは上記した多様な粘着剤に結合する。粘着剤は熱可塑性パウダ、独立した熱活性フィルム、
または液体被覆として適用される。特に、前記フィルムは、高温溶解粘着剤を含む熱硬化及び/または熱可塑性粘着剤の予め形成された独立フィルムに容易に積層される。加えて、本発明は、多孔質フィルムが高周波エネルギによって多孔質フィルムの第2片及び/または他の互換性のある材料に結合されることを見出した。この方法においては、本願においてさらに十分に説明されるように、多孔質フィルムを用いて作られた複数の製品は、結合された複数の転写体を有する多孔質フィルムのシートを形成することに続いて、多孔質フィルムの連続シートに結合されることができる。
【0011】
フロック粘着、方向付け、及び密度は、セルロース基板(例えば紙)及び非水溶性粘着剤を用いて実現されるそれと同様か、場合によっては優れている。紙と異なり、多孔質フィルムは、高い機械的粘着力を有する水溶性の剥離性粘着剤を許容する(それにより、フィルムに剥離性粘着剤の非常に高い粘着力が提供され、したがって剥離力が付与された場合、粘着剤は、もし合成物質であれば通常は非常に平坦な面をする埋め込まれたフロック繊維よりも多孔質フィルムに粘着するのが好ましく、、それらは楽に且つきれいに剥離性粘着剤から引っ張られる)。フィルムは多孔性、導電性、且つ空気透過性であるので、静電高圧は前記フィルムを通過すると考えられ、したがって(高電圧の消失または放電のために)耐静電コーティングが不要になる(電荷はフィルムに蓄積または増加されず、したがって静電界の対抗潜在強度を減らす)。高い対向強度を維持する必要性は、実質的に除去されるとともに前記静電界において比較的直線的な力を有するので、静電界は同静電界線と干渉するフィルムにおいてよりも非常に強くなるであろう。高圧電荷は、フィルムの周りを進む必要なく、フィルムを通って直線的に進むので、高圧電荷は接地部、普通は前記フィルムシートの直下にある金属パレットに直線的に進むことができる。
【0012】
多孔質フィルムは、単独で少しの引張応力を有するが、一以上の他の材料と結合されると引張応力が実質的に向上する。例えば、フィルムは、それ自身によっては、従来の紙キャリアの強度に欠ける。したがって、一見は、耐久性を必要とする機械(ウェブ)ベースの処理及び製品での使用のためにはふさわしくない候補に思われる。しかしながら、水または溶剤系の剥離性粘着剤で被覆されると、剥離性粘着剤は、フロック繊維を捕捉し且つ保持する粘着面を提供するだけでなく、粘着剤が乾燥及び硬化された後のフィルム強度を実質的に向上させる。まだ湿っており水が微多孔質フィルムを流れる間、水の高い導電性によって高電圧フィルムを通過することも補助される。理論によって拘束されることを望まなくても、剥離性粘着剤はフィルムの気孔率及び透過性の組み合わせ効果によってフィルム基質に入り込むと考えられる。乾燥後、剥離性粘着剤は、好適な強度増加を提供するためにフィルムの孔を実質的に塞ぐ。剥離性粘着剤とフィルムの気孔率/透過性との相乗効果は、ウェブ型引張応力、真空クリーニング、機械的ブラッシュ、焼成、及び熱転写プロセス(例えば、加熱加圧、冷却、キャリア引っ張り、及び繊維の解放)のような次のプロセス段階中に付与される力に耐えるのに十分なように、多孔質フィルムを強化する。付加的な支持フィルムがそれにも関わらずフロックを含む側とは反対の多孔質フィルムの側に付加される。
【0013】
多孔質フィルムは、連続及び非連続フロックプロセスにおいて犠牲的なキャリアとして使われるだけでなく、ステッカ、パッチ、フィルム等のようなフロック加工されたデザインにおける基板としても使用される。媒体の他の作用部材が前記フロック繊維から多孔質フィルムの反対側に取り付けられる。多孔質フィルムはフロック転写キャリア媒体及びフロック加熱転写体の双方において使用される。一媒体構成において、紙裏地から容易に剥がされるとともに所望の面に粘着されるステッカが提供される。多孔質フィルムの高い柔軟性は、容易にこの用途に適用可能であるとともに静電フロック加工に適している。多孔質フィルムは転写プロセス及びフロックの方向付けプロセスの双方と、樹脂装飾物品の成形において用いられるような三次元挿入物とにおいて用いられる。成形物品は、米国特許第6,929,771号及び係属中の米国特許出願第10/394,357号(2003
年3月21日出願)にさらに説明されており、各々は参照することにより援用される。
【0014】
多孔質フィルムは、複数色フロック加工(フロック加工が行なわれる前にフロックが染められる)及び昇華印刷の後の単色フロック加工に用いられることができる。フィルムの耐熱性は特に、インクジェット印刷及び昇華染料転写技術によって、昇華染料熱転写インクを使用して昇華印刷を行うことを可能にする。これらの技術は係属中の米国特許出願第10/614,340号(2003年7月3日出願)、第11/139,439号(2005年5月26日出願)、及び第11/036,887号(2005年1月14日出願)にさらに開示され、各々は参照することにより援用される。
【0015】
犠牲キャリアとして用いられるとき、多孔質フィルムは水性の粘着剤と互換性があるので、多孔質フィルムは紙のような他のキャリアに対して非常に優れる。紙には、水性の粘着剤の水がセルロース繊維を侵して膨張させる危険があり、紙は水の存在によって皺がよったり、縮まったりする。この問題の結果、溶剤性粘着剤が紙キャリアとともに使用されていた。溶剤性粘着物質は、有毒物質が作業場で使用されることを要する。このような化学物質は人間に有毒なだけでなく、時々火花を発する高圧静電界の下では爆発性でもある。プラスチゾル物質は紙に受容可能であるが、ゲルを経るのに高い温度を要するとともに、完全硬化を達成するのに融解段階を要する。その後、粘着剤が比較的高温に晒されると、粘着剤が再度熱から粘着性になるという危険があり、これはフロック繊維コーティングを粘着性のあるプラチゾルにもつれさせる。プラチゾル及びいくつかの溶剤性粘着剤は導電性でないか、または水溶性粘着剤と同じくらい導電性がある。最後に、水溶性粘着剤は、他の化学物質よりも容易にかつ都合よく掃除でき、且つ環境に実質的に無害であると考えられ、したがって使用に望ましい。
【0016】
前記多孔質フィルムのさらなる利点は、低コスト、許容レベルの耐熱性、及び寸法安定性を含む。前記多孔質フィルムのさらなる利点は、金属酸化物充填剤から構成されるとき、製造において石油製品の低消費によって魅力的である。
【0017】
これらの及び他の利点は本願に含まれる発明の開示から明らかとなる。前述の実施形態及び構成は完成されてもいないし網羅的でもない。理解されるように、本発明の他の実施形態は、単独または組み合わせで利用することが可能である。
【0018】
本願で使用されるように、「少なくとも一つ」、「一以上」、及び「及び/または」は、接続性及び分離性の双方である制約のない表現である。例えば、「A、B及びCの少な
くとも一つ」、「A、BまたはCの少なくとも一つ」、「A、B及びCの一以上」、「A、
BまたはCの一以上」及び「A、B及び/またはC」は、A単独、B単独、C単独、A及
びB同時、A及びC同時、B及びC同時、またはA、B及びC同時を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1〜図3を参照すると、本発明の実施形態に係る装飾用媒体が示される。媒体1100,1200及び1300は各々フロック層1104及び多孔質フィルム1112を備える。媒体1100は、前記多孔質フィルム1112の両側に設けられた第1の永久粘着剤1108と付加的な第2の永久粘着剤1116とをさらに備える。媒体1200は、剥離性粘着剤1200と付加的な永久粘着層1116とを含む。
【0020】
前記多孔質フィルム1112は、好適には小さな孔寸法と制御された口径とを有する不織物の微多孔質材料である。前記不織物フィルムは、特定の種類のフロック加工及びプリントに適した滑らかな表面を提供するためにカレンダ加工される。前記フィルム1112は、好適には、実質的に非水溶性の熱可塑性有機ポリマの基質、微細に分割された実質的に非水溶性の充填剤粒子、及び前記微多孔質材料の実質的に全体に亘って連通する相互接
続された孔のネットワークを含む。
【0021】
前記充填剤粒子は、好適には、基質全体に亘って分布される多孔質の無機充填剤であり、微多孔質材料の約40〜約90重量パーセントである。充填剤粒子の例は、向上されたマイクロ多孔率、向上された熱安定性、上昇された温度での耐流性、減少した絶縁耐力(非充填フィルムと比較して)、改善されたインク受容性等のような所望の特性を与える沈降シリカまたは珪藻土を含む。一構成において、前記充填剤粒子は、アルミナ、シリカ、及び好適なシリカを含むチタニアのような金属酸化物である。好適には、粒子の少なくとも50重量パーセントは非晶質沈降シリカ粒子である。前記粒子は、最大寸法が好適には約5マイクロメータより小さく、さらに好適には約1マイクロメータ以下であり、さらに好適には約0.05マイクロメータ以下であり、且つ平均孔寸法は好適には1マイクロメータより小さく、さらに好適には約0.1マイクロメータ以下である。前記孔は、前記微多孔質材料の約35〜約95容量パーセントである。
【0022】
微多孔質材料の基質は、好適には超高分子量で非水溶性の可塑性有機ポリマを含む。適切なポリマの例は、ポリオレフィン、ポリ(ハロ−置換オレフィン)、ポリエステル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリ(ビニルハロゲン化合物)、ポリ(塩化ビニリデンハロゲン化合物)、ポリスチレン、ポリ(ビニルエステル)、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリスルフィド、ポリイミド、ポリシラン、ポリシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリアクリレート、及びポリメチルアクリレートを含み、好適にはポリ(塩化ビニル)、塩化ビニルの共重合体、及びそれらの混合物を含む。一構成において、前記基質材料は単独でまたは低分子量ポリエチレン若しくはポリオレフィン共重合体との混合で用いられる超高分子量ポリエチレンである。他の構成においては、ポリエステル、ポリアミド、及びハロゲン化ポリマをベースとして代替の系が用いられる。前記基質材料は、可塑剤、潤滑剤、及び抗酸化剤をさらに含んでもよい。
【0023】
前記微多孔質材料は、好適には揮発性の液状媒体(例えば、水及び/又は非水溶媒)及び媒体に溶解または分散された結合剤を含む実質的に非多孔質のコーティング組成物で被覆される。前記コーティングは、例えば強制空気乾燥オーブン、紫外線、電子ビーム照射等を用いて乾燥される種類からなる。前記結合剤はフィルム形成有機ポリマを含み、そのフィルム形成有機ポリマは好適には、(a)約100,000〜3,000,000の範囲の好適な平均分子量を有する水溶性ポリ(エチレン酸化物)と、(b)水溶可能または水分散可能な架橋性ウレタンアクリレートハイブリッドポリマとを含む。ポリ(エチレン酸化物)に加えてまたは代わりに、前記有機ポリマはさらに付加有機ポリマを含む。該付加有機ポリマは、例えば水溶性セルロース誘導有機ポリマ、水溶性非セルロース誘導有機ポリマ、及び/または水分散ポリマである。該水分散ポリマは、例えばポリ(エチレンアクリル酸共重合体)、ポリ(エチレン)及びポリ(エチレン酸化物)である一構成において、前記コーティングはアクリルポリマ、スチレンアクリルポリマ、脂肪族ポリウレタン(ポリエーテルまたはポリエステル骨格のどちらかを有する)、ポリエステル樹脂、及びフルオロポリマを含む。一構成において、前記ポリ(エチレン酸化物)は、低アルキレン酸化物とエチレン酸化物の共重合体、及びエチレン酸化物の単独重合体を含む。好適には、前記コーティングの有機ポリマ成分は、前記ウレタンアクリレートハイブリッドポリマを約20〜約80重量パーセント含む。前記コーティングは、界面活性剤及びアジュバント材料をさらに含む。乾燥及び架橋後において、前記コーティングと多孔質材料基板との間の剥離強度は高い。
【0024】
前記コーティングは、紫外線にさらされることによる黄変に対する良好な耐性を提供するために改良される。紫外線劣化に対する耐性は、公知の安定剤化合物を前記構成に添加することによって向上する。このような安定剤の例は、ヒンダードアミン系光安定剤、ベンゾトリアゾール、亜リン酸塩、抗酸化剤、及び当業者に公知の他の添加物を含む。
【0025】
前記フィルムは、約300グラム/25.4マイクロメートルより大きい好適な穿刺強度(puncture strength)と、1000psi(1000重量ポンド毎
平方インチ、約6.89Pa)で約2パーセントより小さい好適な引張強度と、90℃で160分後の約5パーセントの収縮より小さい好適な熱能力(thermal ability)とを有する。
【0026】
好適な多孔質フィルムは、参照することによって援用される米国特許第6,025,068号にさらに開示される。特に好適な多孔質フィルムはピーピージー・インダストリーズ社(PPG Industries Inc.)によってテスリン(TeslinTM、多孔質の高充填ポリエチレン基質シート材料)の登録商標のもとに販売されている。バッテリセパレータ膜もまた用いることができる。実例は、ダラミック社(Daramic, Inc.)によって販売されるダラミック・インダストリアル・シーエル(Daramic Industrial CLTM、登録商標、多孔質の高充填ポリエチレン基質シート材料)、オランダ国のディーエスエム・ソリュテック(DSM Solutech)及び日本国の帝人ファイバー株式会社によって販売されるソルフィル(SolufillTM、登録商標)及びソルポー(SoluporTM、登録商標)、イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I. du Pont de Nemours and Company)によって販売されるタイベック(TyvekTM、登録商標、紡糸結合ポリエチレン繊維)、及びセルガード(Celgard)またはダラミック社(Daramic, Inc.)によってアーティシン(ArtysinTM)の登録商標のもとに販売されるバッテリセパレータ膜を含む。アーティシン(ArtysinTM)は、コーディングされていない単層の高充填ポリオレフィンシートである。
【0027】
フロック層1104の前記フロック繊維は、天然または合成のいずれであろうとも好適な材料であればよい。好適には、前記フロックはポリエステル(ポリ(エチレンテレフタル酸エステル)及びポリ(シクロヘキシレン−ジメチレンテレフタル酸エステル)等)、ビニル、ナイロン、レーヨン等から成る。
【0028】
前記様々な永久粘着剤1108及び1116は、水性及び溶剤性粘着剤、ならびに予め形成されたフィルム粘着剤等、どのような適切な粘着剤でもよい。好適な永久粘着剤は、液状体、粉状体または(予め形成された)独立したフィルムであるかどうかに関係なく、熱硬化性の及び熱溶解する熱可塑性の粘着剤を含む。理解されるように、所定温度より高く加熱されると、熱硬化性粘着剤は不可逆的に固化、活性化及び/または硬化する。この特性は、通常、加熱または輻射によって誘発される分子組成の架橋反応と関連する。熱硬化性粘着剤は、有機過酸化物、イソシアン酸塩、または硫黄のような硬化剤を含む。熱可塑性及び熱硬化性粘着剤の例は、ポリエチレン、フェノール、アルキド樹脂、アクリル、アミノ樹脂、ポリエステル、エポキシド、ポリウレタン、ポリアミド、及びシリコーンを含む。
【0029】
前記剥離性粘着剤1200は、例えば、ポリビニル酢酸塩、ポリビニルアルコール、塩化ポリビニル、ポリビニルブチラール、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、セルロース誘導体、ゴム誘導体、澱粉、カゼイン、デキストリン、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、松やに、シリコーン、またはこれらの成分のうちの2以上を含む組成物等、樹脂または共重合体のようないずれの仮粘着剤でもよい。
【0030】
前記粘着剤1108,1116及び1200は、充填剤、触媒、着色剤(染料または色素)、及び光学的な遮断/反射/吸収材料のような添加剤を含有してもよい。前記好適な多孔質フィルム、すなわちテスリン(TeslinTM、登録商標)及びアーティシン(Artysin TM、登録商標)は、紫外線(UV)輻射に対して高感度であるとともに
直射日光に晒されると急速に劣化する。そのため、前記粘着剤の光学透過率を実質的に減少させるために、前記粘着剤は、光遮断、吸収、及び/または反射材料を含んでもよい。好適には、前記粘着剤は、多孔質フィルムの光接触側にあるとき、約75パーセント、さらに好適には85パーセント、またさらに好適には少なくとも約95パーセントの紫外線輻射波を遮断する。このような光学的な遮断/反射/吸収材料は当業者に公知である。
【0031】
第1の製品構成において、該製品はパッチである。図1を参照すると、パッチは前記フロック層1104、第1の永久粘着層1108、及び多孔質フィルム1112を含む。典型的には、前記パッチは前記第2永久粘着剤1116を有していない。
【0032】
第2の製品構成において、該製品はステッカであるとともにフロック層1104、第1の永久粘着層1108、多孔質フィルム1112、及び第2の永久粘着層1116を備える。前記第2の永久粘着層1116は、織物のような所望の基板に粘着する。
【0033】
前記第1及び第2の製品構成は、一般的にダイレクト・フロック加工技術を用いてフロック加工される。
第3の製品構成において、該製品は熱転写体である。図2を参照すると、前記熱転写体は、前記多孔質フィルム1112(キャリアとして作用する)、剥離性粘着層1200、前記フロック層1104、及び前記永久粘着層1116を備える。理解されるように、前記剥離性粘着剤1200及び多孔質フィルムキャリア1108は、前記製品が熱転写技術を用いて織物のような所望の基板に付着された後、取り除かれる。この製品は、米国特許第4,810,549号、第5,047,103号、第5,207,851号、第5,346,746号、第5,597,637号、第5,858,156号、第6,010,764号、第6,083,332号、及び第6,110,560号、ならびに係属中の米国特許出願第10/265,206号(2002年10月4日出願)、第10/613,981号(2003年7月3日出願)、第10/613,982号(2003年7月3日出願)、第10/614,399号(2003年7月3日出願)、第10/961,821号(2004年10月7日出願)、第09/621,830号(2000年7月24日出願)、第09/735,721号(2000年12月13日出願)、第10/455,575号(2003年6月4日出願)、第10/670,091号(2003年9月23日出願)、第10/455,541号(2003年6月4日出願)、及び第11/000,672号(2004年11月30日)にさらに記載されており、各々は参照することによって援用される。
【0034】
第4の製品構成において、該製品は非互換性挿入物1304を含む。非互換性挿入物1304は、反射材料、ホログラム、グリッタ、織物、金属または金属蒸着フィルム、非金属フィルム、ガラス粒子(例えばシークイン)等のような、フロック以外のいずれの種類の媒体でもよい。前記製品は付加的な第2の粘着層1116を含む。
【0035】
第5の製品構成において、該製品もまた非互換性挿入物1904を含む。図12を参照すると、装飾用複合媒体熱転写体1900が示される。前記熱転写体1900は、前記多孔質フィルム1112、剥離性粘着剤1200、フロック層1104、非フロック媒体1904、及び永久粘着剤1108を含む。前記非フロック媒体1904は、ビード(図示せず)、グリッタ、織物、金属または金属蒸着フィルム、非金属フィルム、ガラス粒子(例えばシークイン)等のようないずれの好適に設計された媒体でもよい。前記永久粘着剤1108は、フロック層1104及び非フロック媒体1904の両方に付着され、したがって前記粘着剤が所望の目標基板に当接するとともに加熱されるとき、フロック及び非フロック媒体は前記基板に永久的に粘着される。前記多孔質フィルム/剥離性粘着剤キャリアは、その後、前記装飾用媒体を露出するために取り除かれる。
【0036】
図13及び図14は他の複合媒体熱転写体2000を示す。該転写体2000は、前記多孔質フィルム1112、剥離性粘着剤1200、フロック層1104、永久粘着剤1108、及び熱転写インク層2004を含む。図14に示されるように、前記層2004は、複数の異色バンド2100a〜2100gを有し、各バンド2100a〜2100gは異なる色である。前記永久及び剥離性粘着剤は、前記フロック層1104と同一の広がりを持ち、熱転写インク層2004によって占められる領域には存在しない。
【0037】
前記熱転写インク層2004は、どのような好適な感熱インク含有組成物でもよく、プラチゾルが好適である。昇華転写インクプリントにおいて理解されるように、特殊感熱染料はキャリア紙またはフィルム上に付着する。前記紙または転写体は、染料をキャリアに付着させるための平板または回転板によるオフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、感光法またはフレキソ印刷、またはセリグラフ印刷のような適切な技術によって印刷されるとともに、その後乾燥される。所望の基板への前記インクの転写は、高温ロールまたはドラムの助力を実質的に用いて、規制された圧力のもとで所定温度において前記転写体を前記目標基板面と約5秒間から約1分間の間接触するように配置することによって行われる。前記高温ドラムは、所定形式で印刷する場合、水平板を有する高温プレス機を備え、または印刷された用紙及び印刷されるべき合成材料のロールからの連続印刷の場合、張力によるベルト回転に関連する回転加熱シリンダを備える。昇華インク印刷の一部として、前記目標基板は、前記転写された昇華染料インクを熱固定するために熱及び圧力に晒される。熱及び圧力の付与中、前記フロック層1104は、3次元パターンを形成するために、前記インクに沿って前記目標基板に付着される。前記粘着剤1108は熱によって活性化される。前記フロック層1104の前記目標基板への付着の後、前記フィルム1112及び剥離性粘着剤1200は、前記フロック層を露出させるために前記フロックから取り除かれる。理解されるように、前記フロック層1104は単一または複数色となることができる。
【0038】
図1の物品を製造する過程は図5に示される。
ステップ500において、前記永久粘着剤は所望のパターンで基板上に印刷される。
ステップ504において、前記フロック繊維が、好適には静電フロック技術によって前記永久粘着剤上に付着される。
【0039】
フロック物品508がその後所望の基板に付着される。
図13及び図14の熱転写体を製造する方法の過程を図6を参照して説明する。
ステップ2200において、前記熱転写インク層2004が所望の領域において前記フィルム1112上に印刷される。前記層2004が印刷される前記領域は粘着剤不要である。各インク色のために、前記インク層は前記色が付着された後に洗い流される。したがって、インク層2004は第1色のために印刷されるとともにその後洗い流され、第2色のために印刷されるとともにその後洗い流され、その他様々な色が付着されるまで印刷されるとともにその後洗い流される。図14の例において、第1、第2、第3、第4、第5、第6、及び第7色2100a〜2100gを有する各領域は、異なる時間に印刷されるとともに洗い流される。
【0040】
ステップ2204において、前記剥離性粘着剤1200はフロック加工される領域に(例えばスクリーン印刷によって)付着される。剥離性粘着剤1200は前記インク層2004によって占められる領域に付着されない。
【0041】
ステップ2208において、前記剥離性粘着剤1200がフロック表面領域を形成するためにフロック加工される。
ステップ2212において、前記永久粘着剤1108が前記インク層2004によって占められる領域に付着されずに前記フロックに付着される。前記転写体2000は、乾燥
、洗浄、及び粘着剤硬化のような更なる処理に供される。
【0042】
前記転写体が所望の目標基板に付着されるとき、前記転写体は、インク粒子を前記基板に動かせ且つ転写するのに十分な温度に加熱されるとともに前記粘着剤1108を軟化させる。前記粘着剤を前記基板に堅固に付着させるために、圧力が前記転写体2000に付与される。前記熱が取り除かれた後、前記インクによって着色された非フロック領域及び前記インクによって着色されないフロック領域を有する3次元模様を提供するために、前記フィルム1112及び剥離性粘着剤1200が取り除かれる。高温分離が用いられてもよい。高温分離において、インクの一部は前記フィルム1112上に残るとともに、インクの他部分は前記基板に転写される。このようにして、前記フィルム1112が取り除かれるとき、前記インク層2004は「分離」する。
【0043】
第4の製品構成において、該製品はパッチである。前記製品は前記多孔質フィルム1112(キャリアとして作用する)、剥離性粘着層1200、及び前記フロック層1104を含むとともに、前記永久粘着層1116を有していない。
【0044】
直接フロック製品の「パッチ」の変形例において、図13及び図14の前記製品は転写体として構成されない。したがって、前記剥離性粘着剤1200は存在しないとともに、前記永久粘着剤1108によって置換される。前記永久粘着剤1108は前記上部フロック面2008に存在しない。前記インク層2004は典型的には熱転写層ではなく被転写層として構成される。したがって、前記層2004は最終装飾層であるので、前記層2004はインクジェットまたはスクリーン昇華インク印刷を含む昇華インク直接印刷によって付着される。前記模様は前記フィルム1112から切り取られるとともにパッチとして使用される。
【0045】
前記第3の製品構成は、前記フロック繊維を熱転写インク層2004が存在しない前記剥離性粘着剤にフロック加工することによって一般的に製造される。換言すると、前記第3の製品構成は、前記剥離性粘着剤1200を所望のパターンで前記微多孔質フィルム1104上に付着させるステップと、その後好適には静電フロック技術を用いて前記剥離性粘着剤上にフロックを付着させるステップと、そして最終的に前記永久粘着層1116を前記フロックの露出端に付着させるステップとによって形成される。
【0046】
図3の前記第4の製品構成は、フロック加工が行われる前に前記挿入物1304が前記永久粘着剤1108上に位置決めされることを除き、図5のステップによって形成される。前記挿入物1304はマスクとして作用するとともにフロック繊維が前記挿入物1304によって覆われた領域において前記永久粘着剤1108に粘着することを阻止する。
【0047】
図4を参照すると、フロック加工において前記好適な多孔質フィルムを使用することによって認められる利点が示される。図4に示されるように、静電磁場1000は、電界強度の大幅な減少なしに容易に前記多孔質フィルム1112を通過する。磁場線1000は、前記剥離性粘着剤1200の表面1104に対して略鉛直の方向性をさらに維持する。前記フィルムの転写性は、自身の通気性(好適には約1〜約25(マクマリン数、MacMullin♯)の範囲、さらに好適には約1〜約15の範囲、またさらに好適には約2.5〜約11の範囲)及び含水量に起因すると考えられている。前記フィルムは好適には約0.5〜約10重量パーセント、さらに好適には約2〜約5重量パーセントの範囲の含水量を有する。
【0048】
図2に示された種類の複数の熱転写体を製造する工程の実施形態が図7〜図8にさらに示される。その後、本発明の他の態様に従って、以下で詳述するように製造された熱転写体は高周波エネルギによって前記多孔質フィルムの連続ウェブに結合されて、前記ウェブ
と結合された複数の熱転写体を有する多孔質フィルムのウェブを形成する。
【0049】
複数の独立した熱転写体を製造する工程のステップ2300において、多孔質フィルム2404の連続ウェブが提供される。典型的には、多孔質フィルム2404の連続ウェブはロール2402上に提供されるとともに、巻かれていない。
【0050】
ステップ2302において、多孔質フィルム2404の前記連続ウェブは、吹き付け、ローラ、またはナイフ等によるどのような適切な構成または方法によっても所望なパターンで剥離性粘着剤1200によって被覆される。
【0051】
ステップS2304において、フロック加工された多孔質フィルム2405の連続ウェブを提供するために、多孔質フィルム2404の連続ウェブは剥離性剥離性粘着剤1200上にフロック加工、好適には直接的にフロック加工される。直接的なフロック加工は適切な構成または方法、好適には静電フロック加工である。前記フロックの第1端は、前記フロック1104を多孔質フィルム1112の所定位置に保持するために、前記剥離性粘着剤1200に当接する。フロック1104は単色の複数のフロック繊維を備えるか、または代わりに異色の複数のフロック繊維を備える。複数色のフロック加工は、フロック加工ホイールまたはその他の適切な構成によって達成される。
【0052】
ステップ2306において、剥離性粘着剤1200は、フロック加工された多孔質フィルム2405の連続ウェブを温風乾燥機に通過させるか、またはその他の適切な構成によって乾燥される。代わりに、フロック加工された多孔質フィルム2405の連続ウェブ上の剥離性粘着剤は、例えば熱せられたドラム上に前記ロールを運搬することによって接触加熱によって乾燥されてもよい。さらに代替案として、前記連続ウェブ上の前記剥離性粘着剤は空気乾燥されてもよい。
【0053】
ステップ2308において、余剰フロックがフロック加工された多孔質フィルム2405の連続ウェブから取り除かれる。典型的には、前記ロールは、余剰フロックを前記ロールの側面の頂部から除去するために、振動させるか軽く打つか等によって攪拌され、及び/または前記余剰フロックはバキュームによって取り除かれる。
【0054】
ステップ2310において、フロック加工された多孔質フィルム2405の連続ウェブ上の前記フロックの自由端は、前記永久粘着剤が前記フロック1104の反対の第2端に前記第1端から物理的に当接するように、永久粘着剤1116に当接する。前記永久粘着剤1116は、熱可塑性または熱硬化性粘着剤のようなどのような適切な粘着剤でもよい。好適には、前記永久粘着剤はロール2408から運搬される熱硬化性粘着剤のウェブである。好適にはまた、前記熱硬化性粘着剤は、予め形成された、連続、固体、及び独立シートの形態で提供される。一実施形態において、熱硬化性粘着剤2406のウェブはロール2408から引き出されるとともに、図示されるようにフロック加工された多孔質フィルム2405のウェブのフロック1104の第2端と連続的に当接する。犠牲的な剥離紙のような取り外し可能なキャリアフィルム(図示せず)が熱硬化性フィルム上に提供されてもよい。前記剥離紙は、前記粘着フィルムの自由表面上に配置される。代わりに、前記永久粘着剤が前記フロックの自由端に吹き付けられてもよい。
【0055】
ステップ2312において、フロック加工された転写ウェブ2410を形成するために、フロック加工された連続多孔質フィルム2405のウェブと熱硬化性粘着剤2406のウェブとが圧力のみ(熱を付与するとともに前記粘着層を活性させるオプションを用いて)、熱のみ、または熱及び圧力を用いて積層される。その後、前記キャリアフィルム(もしあれば)がフロック加工された転写ウェブ2410から取り除かれる。
【0056】
選択的には、予め形成された、固体、及び独立シートの形態の熱可塑性粘着剤のような付加粘着剤は積層によってフロック加工された転写ウェブ2410の熱硬化性粘着剤に当接及び粘着することができる。
【0057】
選択的なステップ2314において、複数の所望の熱転写製品2412は所望の寸法及び形状となるように、フロック加工された転写ウェブ2410から切り取られる。前記切り取りは、ダイによって及び/またはレーザによってのようなどのような適切な方法によって行われてもよい。切り取られた独立熱転写体2412は、フロック加工された転写ウェブ2410の下の容器に集められるとともに、フロック加工された転写ウェブ2410の残部は、運搬され続ける。
【0058】
代わりに、フロック加工された転写体ウェブ2410の除去部は、例えば切り取り片がラインの端部で集められるように切り取り片を移動ベルト上に残しつつ、製品がラインに沿って移動するときに再巻取りされてもよい。
【0059】
一実施形態において、フロック加工された転写体ウェブ2410は、前記独立した熱転写ユニットのバルク量の製造を容易にするために、2以上の幅狭なリボンに分離されるとともに前述したように切り取られてもよい。
【0060】
独立して切り取られた複数の熱転写体は、バルク量で購買者に販売されることが可能である。複数の独立した熱転写体を、容易に譲渡可能且つさらに自動化された熱転写体の処理で利用可能な形態で提供するために、すなわち基板への熱転写体の次の付着を提供するために、本発明は製造された熱転写体のような複数の間隔を介した製品を有する材料の連続ロールを製造する方法をさらに含む。
【0061】
他の実施形態において、粘着剤または加熱を必要としない高周波エネルギによって他の多孔質フィルムに結合される多孔質フィルム(または他の互換性材料)の能力の特段の利点を得る方法が提供される。
【0062】
図9〜10に示されるように、材料に結合される間隔を介した複数の製品を有する材料の連続ロールを製造する方法が提供される。前記製品は、熱転写体、パッチ、ステッカ等を含む本願に記載されたような多孔質フィルムを有する装飾用媒体のどのような実施形態でもよい。代わりに、前記製品は前記多孔質フィルムを備える外面を有する他の製品でもよい。
【0063】
また、図9〜10に示されるように、ステップ2500において、ロール2602上の多孔質フィルム2600の連続ウェブが提供されるとともに運搬される。多孔質フィルム2600の前記連続ウェブは前記方法が自動化されることを可能とする。代わりに、前記転写体が結合される前記多孔質フィルムは、固体状の予め形成された独立シートの形態で提供されることができるとともに、前記方法の各ステップは手動で行われてもよい。
【0064】
ステップ2502において、熱転写体2412(永久粘着フィルム1116を有する)のような複数の製品、または直接的にフロック加工された物品1100(永久粘着剤1116を有するまたは有しない)が、多孔質フィルム2600の連続ウェブの最上面2604が各熱転写体2412の前記キャリアシート(すなわち多孔質フィルム1112表面)に接触するように、好適には順次多孔質フィルム2600の連続ウェブの最上面2604上に配置される。理解されるように、転写体2412上の粘着剤または他の介在材料は前記多孔質フィルムに直接的に結合される。熱転写体2412(または代替物品1100)は典型的には互いに距離をおいて多孔質フィルムのウェブ上に配置される。好適には、図示されるように前記フィルムがいずれか二つの熱転写体間で切られるような距離である。
例えば、熱転写体2412は近接する熱転写体からどの方向においても約2〜12インチ(約5.08〜約30.5センチメートル)、好適には約6〜10インチ(約15.2〜約25.4センチメートル)だけ離間されている。
【0065】
ステップ2504において、熱転写体2412(または物品1100)は微多孔質フィルム2604に高周波エネルギ源2608を用いる高周波エネルギを用いて結合される。典型的には、熱転写体2412は、前記熱転写体がステップ2502において配置される位置付近の多孔質フィルムの連続ウェブに結合される。好適には圧力と組み合わせた高周波振動エネルギの使用によって、熱転写体の多孔質フィルムと連続ウェブの多孔質フィルムとの間が結合及び/または溶接される。いずれの適切な高周波エネルギ源も高周波エネルギを伝送するために用いられることができる。高周波エネルギ源はいずれの適切な源にもなり得る。多孔質フィルムのウェブが前記高周波エネルギ源2608を通って運搬されるとき、前記源は熱転写体の多孔質フィルム面と連続ウェブの多孔質フィルムとを熱及び粘着剤を使用することなく互いに結合及び/または溶接させる。前記源は熱転写体をその最上面を接触させるか、多孔質フィルムの織物の底部側を接触させるか、または両方を接触させる。
【0066】
好適には、接触点に溶接部を形成するために、高周波エネルギは、熱転写体と多孔質フィルムのウェブとの間の少なくとも一接点、好適には少なくとも二接点に付与される。一実施形態において、熱転写体の四隅で熱転写体と多孔質フィルムの織物との間に溶接部を形成するために、高周波エネルギが熱転写体の四隅に付与される。
【0067】
製造工程からの熱及び粘着剤の除去は、多くの安全性に対する懸念を解消するとともに、焼け焦げまたは余分な粘着剤に起因する製造製品の廃棄をも阻止する。全ての所望の製品がウェブに結合されると、結合された複数の製品を有する多孔質フィルムのウェブを提供するために、ウェブは切られるとともに再度巻取られる。
【0068】
図11は、多孔質フィルム2600の織物に結合された熱転写体2412の断面を示す。図示されるように、熱転写体は、永久粘着剤1116の層と、フロック層1104と、剥離性粘着剤1200の層と、キャリア(すなわち多孔質フィルム1112の層)とを有する。キャリアシートの底面2700は、多孔質フィルム2600のウェブの最上面2702に接触する。図示されるように、熱転写体2412は接点2704a及び2704bで多孔質フィルムのウェブと結合及び/または溶接される。多孔質フィルム2600のウェブは該ウェブに結合される複数の熱転写体を含んでもよく、または代わりに他の製品または多孔質フィルムの外面を有する複数の他の製品、または多孔質フィルムと互換性のある他の材料を含んでもよい。
【0069】
代わりに、多孔質フィルムの外層を有する複数の製品は他の互換性材料に結合されてもよい。換言すると、前記製品は多孔質フィルムの連続ウェブに結合される必要はない。多孔質フィルム外面を有する製品または物品が高周波エネルギによって結合される他の互換性材料は、熱可塑性材等の織物及び樹脂、PVC(ポリ塩化ビニル)、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル、ナイロン、ポリカーボネート、及び酢酸塩を含むが、これらに限られない。一実施形態において、前記互換性材料は少なくとも約50パーセントの合成材料を含む。
【0070】
本発明の多数の変形及び変更を用いることができる。本発明の他の特徴を提供することなしにいくつかの特徴を提供することが可能であろう。
本発明には、種々の実施態様において、本明細書中で実質的に描写および説明された、成分、方法、工程、システム、および/または装置が含まれ、それらの種々の実施態様、サブコンビネーション、およびサブセットが含まれる。当業者は、本発明の開示を理解し
た後には、本発明を如何にして構成および使用するかを理解するであろう。本発明の、種々の実施態様においては、本明細書中に、または種々の実施態様に描写および説明がなされていない部材の存在しない装置および工程を提供することが含まれる。また、例えば、性能を改良すること、実施を容易にすること、および実施費用を減少させることのうちの少なくとも1つのために、先の装置または工程において用いられ得るような部材が存在しない場合が含まれる。
【0071】
本発明の先述の議論は、図示および説明の目的でなされている。先の記述は、本発明をその形態すなわち本発明書中で開示された形態に限定することが意図されているものではない。先述の発明の詳細な説明においては例えば、本発明の種々の要件は、開示を簡素化する目的で、1以上の実施態様に分類されている。この開示の方法は、請求項に記載された発明が、各々の請求項に明白に引用されているより多くの要件を要求するという意図を反映しているとして、解釈されるべきでない。むしろ、以下の請求項には、先述の開示された実施態様の1つにおける全ての要件よりも少なく、発明の態様が存在することを反映しているとして、解釈されるべきである。したがって、請求項は、各請求項が本発明の別個の好適な実施態様として、それ自身に立脚しているとして、この発明の詳細な説明に援用される。
【0072】
さらに、本発明の説明には1以上の実施態様および、ある変形例および変更例が含まれているが、例えば、本発明の開示を理解した後に当業者の技術および知識内にあり得るような、他の変形例および変更例も本発明の範囲内にある。許容される範囲までの代替の実施態様を含む権利を獲得することが意図される。許容される範囲には、請求項の記載に対する代替、相互交換可能、および均等である構造体、作用、範囲、またはステップが、そのような代替、相互交換可能、および均等である構造体、作用、範囲、またはステップが本明細書中に開示されているか否かを問わず、かつ、任意の特許可能な発明課題を公然に供することを意図していなくても、含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施形態に係る多孔質フィルムを用いて製造された装飾的な媒体の側面図。
【図2】本発明の実施形態に係る多孔質フィルムを用いて製造された装飾的な媒体の側面図。
【図3】非互換性挿入物を有するフロック加工された物品の側面図。
【図4】多孔質フィルムを通過する電界を示す側面図。
【図5】図1のダイレクト・フロック物品を製造するステップを示すフローチャート。
【図6】図2の熱転写体を製造するステップを示すフローチャート。
【図7】図2に示された種類の複数の熱転写体を製造するステップを示すフローチャート。
【図8】図2に示された種類の複数の熱転写体を製造する組み付けライン示すフローチャート。
【図9】結合された複数の転写体を有する多孔質材の連続ウェブを製造するステップを示すフローチャート。
【図10】結合された複数の転写体を有する多孔質材の連続ウェブを製造する組み付けラインを示すフローチャート。
【図11】本発明の一実施形態に係る多孔質フィルムの連続ウェブに結合された熱転写体の平面図。
【図12】本発明の一実施形態に係る装飾的な媒体の側面図。
【図13】本発明の一実施形態に係る装飾的な熱転写体の側面図。
【図14】図13の熱転写体の平面図。
【技術分野】
【0001】
本発明はフロック加工された物品に係り、より具体的にはフロック加工されたグラフィックに関する。
【背景技術】
【0002】
フロック加工された物品は幅広く応用されている。フロック加工された物品は成形された物品だけでなく織物装飾にも用いられている。フロックは、ベルベット状のコーティングを布、ゴム、フィルム、または紙上に形成するために用いられる、精度よく切り詰められるか粉砕された天然または合成繊維である。フロックは、一般的に約0.010〜0.250インチ(0.25mm〜6.25mm)の長さを有する。
【0003】
フロック加工された物品を形成するために、二つの方法が採用される。ダイレクト・フロック加工(direct flocking)として知られる一方法においては、フロック繊維は粘着剤で覆われた基板上に静電付着される。前記基板は典型的には織物であるが、ゴム、ポリカーボネート等のようないずれの種類の材料でもよい。他方の方法はフロック転写(flocked transfer)として知られている。フロック転写において、前記フロック繊維は、まず仮のまたは剥離性の粘着剤で覆われた紙またはポリマ(ポリエステル)フィルムのような犠牲的なキャリア上に静電付着される。永久粘着剤が前記フロック繊維の開放面に付着される。成形物は転写体として知られている。フロック繊維を織物のような所望の基板に付着させるために、前記基板が前記永久粘着剤で覆われるとともに粘着剤を基板に結合させるために熱が付与される。前記キャリア及び付着された剥離性粘着剤は、その後開放フロック面を露出させるために取り除かれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フロック加工物品の形成においては多数の検討事項がある。第1に、例としての前記基板またはキャリアは導電性であるとともに電界線の方向性に与える影響は最小限であろう。電界線が電気的に絶縁された基板によって変更されると、前記フロック繊維は基板またはキャリアの面に対して直交せず、したがって方向付けに失敗する。手触り及び高級感だけでなく物品の寿命もこのような繊維の方向付けの失敗によって悪影響を受けてしまう。第2に、前記キャリアの除去後、剥離性粘着剤の実質的な量が前記繊維に残ることを避けるために、前記剥離性粘着剤は前記繊維よりもさらに強く前記キャリアに粘着されるべきである。露出したフロック面に所望の手触りを提供するためにこのような余剰粘着剤は除去される必要があり、したがって製造コストが増加する。この問題を解決するために、製造者は剥離性粘着剤の複数の層を一般的に使用しており、費用が高い。前記キャリアは、使用後に廃棄されるときに地球に優しくなるべきである。しかしながら、キャリアのほとんどは石油関連仕上げを用いており、これはキャリア費用を増加させるだけでなく廃棄されたときに環境に有害である。最後に、前記キャリアは、水性粘着剤の使用を許容するように耐水性であるべきである。このような粘着剤は、一般的に溶剤性粘着剤よりも極めて毒性が低く、且つ安全に使用できる。問題は製造者が安価で耐水性のキャリアを見出すことができなかったことである。最も頻繁に使用される紙キャリアは耐水性ではないので、溶剤性粘着剤の使用が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これらの及び他の必要性は本発明の様々な実施形態及び構成によって解決される。本発明は多孔質フィルムを備えるフロック加工された物品及びグラフィックに関する。
本発明の一実施形態において、フロック加工された物品またはグラフィックは多孔質フ
ィルムを含み、多孔質フィルムは好適にはマイクロ及び/またはマクロ気孔性を有する。前記フィルムはどのような多孔質フィルムまたは基板でもよく、好適にはガス(空気)透過性である。さらに好適には、前記多孔質フィルムは一以上の有機ポリマ及び金属酸化物微粒子充填剤を含む。例示的な充填剤は普通の砂である。様々なフロック加工された物品及びグラフィックにおいて、フィルムは犠牲的なキャリア、フロック加工された基板、他の非互換性または弱い互換性の物質のための結合剤、もしくは物品またはグラフィックに好適な特性を提供する中間層である。
【0006】
好適なフィルムは非常に有益な多数の特性を有し、該特性は以下を含む。
(i)アクリル(ラテックス)粘着コーティングのような水溶性粘着剤、溶剤性粘着剤、及び予め形成された独立の熱硬化性及び熱可塑性の熱活性粘着剤における高い機械的粘着力、
(ii)水溶性粘着剤における水によって比較的影響されない高い耐水性、
(iii)積層体に高い不透過度を加えつつ両側の二つの異なる材料を共に保持すべくタイコート(tie−coat)として機能するのに十分な引張応力、
(iv)フロック加工において通常に用いられる少なくとも静電界のほとんどが、基板表面に略直交する方向に基板を通過して、優れたフロック方向性及び密度を基板表面にもたらす半導体特性または高導電特性、
(v)品質の低下なしに且つ3パーセント以下の収縮で材料を熱プロセスに耐えさせ得る高い耐熱性、
(vi)環境的に互換性のある要素(例えば砂)が大部分を占める、及び/又は
(vii)前記フィルムの第2片及び/または他の互換性のある材料に高周波エネルギによって結合される能力。
【0007】
剥離性粘着剤及び永久粘着剤に対するフィルムの高い粘着力は、多孔質の効果によると考えられる。理論によって拘束されることを望まなくても、多孔質表面によって形成される荒さは実質的に粘着力を向上させる。
【0008】
フィルムの耐水性は、多孔質フィルムが合成物質であり且つシリカ粒(例えば砂)のような金属酸化物で実質的に充填されることによりもたらされる。前記フィルムは水溶性粘着剤で被覆されるとともに、皺がよらないかまたは収縮しない。しかし、強い機械的粘着力を有する紙のように急速に乾燥する。耐水性は、溶剤性化学粘着剤(及びそれらに付随する毒性)を使用する必要性を排除する。機械的粘着力についての高い潜在力は、化学的な粘着力を可能とする特別なコーティングを従来の合成フィルム基板に付与する必要性を除く。
【0009】
理論によって拘束されることを望まなくても、半導体性または導電性は、フィルムの空気透過性及び/または気孔率に少なくとも一部において起因すると思われる。よく理解されるように、フィルムの導電性は自身の空気透過性及び/または気孔率に直接的に関連する。フィルムのフロック側の静電界の比較的高い強さは、一般に少なくとも約80パーセント、さらに一般的には少なくとも約90パーセント、さらに一般的には少なくとも95パーセント、さらに一般的には少なくとも約98パーセントのフロック加工後のフィルム上のフロック繊維が、フィルム上の剥離性粘着剤/永久粘着剤中に埋め込まれることをもたらし、且つ同じパーセンテージのフロック繊維にフィルム面及び粘着面に略直交する所望の方向性を与える。前記面上のフロックの密度はまた、可塑性フィルムのような他の一般的なキャリアを用いるフロックの密度よりも典型的に高い。
【0010】
多孔質フィルムは多数の他の互換性及び非互換性材料に両側でよく結合する。したがって所謂「タイコート(tie coat)」層としてよく機能する。例えば、フィルムは上記した多様な粘着剤に結合する。粘着剤は熱可塑性パウダ、独立した熱活性フィルム、
または液体被覆として適用される。特に、前記フィルムは、高温溶解粘着剤を含む熱硬化及び/または熱可塑性粘着剤の予め形成された独立フィルムに容易に積層される。加えて、本発明は、多孔質フィルムが高周波エネルギによって多孔質フィルムの第2片及び/または他の互換性のある材料に結合されることを見出した。この方法においては、本願においてさらに十分に説明されるように、多孔質フィルムを用いて作られた複数の製品は、結合された複数の転写体を有する多孔質フィルムのシートを形成することに続いて、多孔質フィルムの連続シートに結合されることができる。
【0011】
フロック粘着、方向付け、及び密度は、セルロース基板(例えば紙)及び非水溶性粘着剤を用いて実現されるそれと同様か、場合によっては優れている。紙と異なり、多孔質フィルムは、高い機械的粘着力を有する水溶性の剥離性粘着剤を許容する(それにより、フィルムに剥離性粘着剤の非常に高い粘着力が提供され、したがって剥離力が付与された場合、粘着剤は、もし合成物質であれば通常は非常に平坦な面をする埋め込まれたフロック繊維よりも多孔質フィルムに粘着するのが好ましく、、それらは楽に且つきれいに剥離性粘着剤から引っ張られる)。フィルムは多孔性、導電性、且つ空気透過性であるので、静電高圧は前記フィルムを通過すると考えられ、したがって(高電圧の消失または放電のために)耐静電コーティングが不要になる(電荷はフィルムに蓄積または増加されず、したがって静電界の対抗潜在強度を減らす)。高い対向強度を維持する必要性は、実質的に除去されるとともに前記静電界において比較的直線的な力を有するので、静電界は同静電界線と干渉するフィルムにおいてよりも非常に強くなるであろう。高圧電荷は、フィルムの周りを進む必要なく、フィルムを通って直線的に進むので、高圧電荷は接地部、普通は前記フィルムシートの直下にある金属パレットに直線的に進むことができる。
【0012】
多孔質フィルムは、単独で少しの引張応力を有するが、一以上の他の材料と結合されると引張応力が実質的に向上する。例えば、フィルムは、それ自身によっては、従来の紙キャリアの強度に欠ける。したがって、一見は、耐久性を必要とする機械(ウェブ)ベースの処理及び製品での使用のためにはふさわしくない候補に思われる。しかしながら、水または溶剤系の剥離性粘着剤で被覆されると、剥離性粘着剤は、フロック繊維を捕捉し且つ保持する粘着面を提供するだけでなく、粘着剤が乾燥及び硬化された後のフィルム強度を実質的に向上させる。まだ湿っており水が微多孔質フィルムを流れる間、水の高い導電性によって高電圧フィルムを通過することも補助される。理論によって拘束されることを望まなくても、剥離性粘着剤はフィルムの気孔率及び透過性の組み合わせ効果によってフィルム基質に入り込むと考えられる。乾燥後、剥離性粘着剤は、好適な強度増加を提供するためにフィルムの孔を実質的に塞ぐ。剥離性粘着剤とフィルムの気孔率/透過性との相乗効果は、ウェブ型引張応力、真空クリーニング、機械的ブラッシュ、焼成、及び熱転写プロセス(例えば、加熱加圧、冷却、キャリア引っ張り、及び繊維の解放)のような次のプロセス段階中に付与される力に耐えるのに十分なように、多孔質フィルムを強化する。付加的な支持フィルムがそれにも関わらずフロックを含む側とは反対の多孔質フィルムの側に付加される。
【0013】
多孔質フィルムは、連続及び非連続フロックプロセスにおいて犠牲的なキャリアとして使われるだけでなく、ステッカ、パッチ、フィルム等のようなフロック加工されたデザインにおける基板としても使用される。媒体の他の作用部材が前記フロック繊維から多孔質フィルムの反対側に取り付けられる。多孔質フィルムはフロック転写キャリア媒体及びフロック加熱転写体の双方において使用される。一媒体構成において、紙裏地から容易に剥がされるとともに所望の面に粘着されるステッカが提供される。多孔質フィルムの高い柔軟性は、容易にこの用途に適用可能であるとともに静電フロック加工に適している。多孔質フィルムは転写プロセス及びフロックの方向付けプロセスの双方と、樹脂装飾物品の成形において用いられるような三次元挿入物とにおいて用いられる。成形物品は、米国特許第6,929,771号及び係属中の米国特許出願第10/394,357号(2003
年3月21日出願)にさらに説明されており、各々は参照することにより援用される。
【0014】
多孔質フィルムは、複数色フロック加工(フロック加工が行なわれる前にフロックが染められる)及び昇華印刷の後の単色フロック加工に用いられることができる。フィルムの耐熱性は特に、インクジェット印刷及び昇華染料転写技術によって、昇華染料熱転写インクを使用して昇華印刷を行うことを可能にする。これらの技術は係属中の米国特許出願第10/614,340号(2003年7月3日出願)、第11/139,439号(2005年5月26日出願)、及び第11/036,887号(2005年1月14日出願)にさらに開示され、各々は参照することにより援用される。
【0015】
犠牲キャリアとして用いられるとき、多孔質フィルムは水性の粘着剤と互換性があるので、多孔質フィルムは紙のような他のキャリアに対して非常に優れる。紙には、水性の粘着剤の水がセルロース繊維を侵して膨張させる危険があり、紙は水の存在によって皺がよったり、縮まったりする。この問題の結果、溶剤性粘着剤が紙キャリアとともに使用されていた。溶剤性粘着物質は、有毒物質が作業場で使用されることを要する。このような化学物質は人間に有毒なだけでなく、時々火花を発する高圧静電界の下では爆発性でもある。プラスチゾル物質は紙に受容可能であるが、ゲルを経るのに高い温度を要するとともに、完全硬化を達成するのに融解段階を要する。その後、粘着剤が比較的高温に晒されると、粘着剤が再度熱から粘着性になるという危険があり、これはフロック繊維コーティングを粘着性のあるプラチゾルにもつれさせる。プラチゾル及びいくつかの溶剤性粘着剤は導電性でないか、または水溶性粘着剤と同じくらい導電性がある。最後に、水溶性粘着剤は、他の化学物質よりも容易にかつ都合よく掃除でき、且つ環境に実質的に無害であると考えられ、したがって使用に望ましい。
【0016】
前記多孔質フィルムのさらなる利点は、低コスト、許容レベルの耐熱性、及び寸法安定性を含む。前記多孔質フィルムのさらなる利点は、金属酸化物充填剤から構成されるとき、製造において石油製品の低消費によって魅力的である。
【0017】
これらの及び他の利点は本願に含まれる発明の開示から明らかとなる。前述の実施形態及び構成は完成されてもいないし網羅的でもない。理解されるように、本発明の他の実施形態は、単独または組み合わせで利用することが可能である。
【0018】
本願で使用されるように、「少なくとも一つ」、「一以上」、及び「及び/または」は、接続性及び分離性の双方である制約のない表現である。例えば、「A、B及びCの少な
くとも一つ」、「A、BまたはCの少なくとも一つ」、「A、B及びCの一以上」、「A、
BまたはCの一以上」及び「A、B及び/またはC」は、A単独、B単独、C単独、A及
びB同時、A及びC同時、B及びC同時、またはA、B及びC同時を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1〜図3を参照すると、本発明の実施形態に係る装飾用媒体が示される。媒体1100,1200及び1300は各々フロック層1104及び多孔質フィルム1112を備える。媒体1100は、前記多孔質フィルム1112の両側に設けられた第1の永久粘着剤1108と付加的な第2の永久粘着剤1116とをさらに備える。媒体1200は、剥離性粘着剤1200と付加的な永久粘着層1116とを含む。
【0020】
前記多孔質フィルム1112は、好適には小さな孔寸法と制御された口径とを有する不織物の微多孔質材料である。前記不織物フィルムは、特定の種類のフロック加工及びプリントに適した滑らかな表面を提供するためにカレンダ加工される。前記フィルム1112は、好適には、実質的に非水溶性の熱可塑性有機ポリマの基質、微細に分割された実質的に非水溶性の充填剤粒子、及び前記微多孔質材料の実質的に全体に亘って連通する相互接
続された孔のネットワークを含む。
【0021】
前記充填剤粒子は、好適には、基質全体に亘って分布される多孔質の無機充填剤であり、微多孔質材料の約40〜約90重量パーセントである。充填剤粒子の例は、向上されたマイクロ多孔率、向上された熱安定性、上昇された温度での耐流性、減少した絶縁耐力(非充填フィルムと比較して)、改善されたインク受容性等のような所望の特性を与える沈降シリカまたは珪藻土を含む。一構成において、前記充填剤粒子は、アルミナ、シリカ、及び好適なシリカを含むチタニアのような金属酸化物である。好適には、粒子の少なくとも50重量パーセントは非晶質沈降シリカ粒子である。前記粒子は、最大寸法が好適には約5マイクロメータより小さく、さらに好適には約1マイクロメータ以下であり、さらに好適には約0.05マイクロメータ以下であり、且つ平均孔寸法は好適には1マイクロメータより小さく、さらに好適には約0.1マイクロメータ以下である。前記孔は、前記微多孔質材料の約35〜約95容量パーセントである。
【0022】
微多孔質材料の基質は、好適には超高分子量で非水溶性の可塑性有機ポリマを含む。適切なポリマの例は、ポリオレフィン、ポリ(ハロ−置換オレフィン)、ポリエステル、ポリエチレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリ(ビニルハロゲン化合物)、ポリ(塩化ビニリデンハロゲン化合物)、ポリスチレン、ポリ(ビニルエステル)、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリスルフィド、ポリイミド、ポリシラン、ポリシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリアクリレート、及びポリメチルアクリレートを含み、好適にはポリ(塩化ビニル)、塩化ビニルの共重合体、及びそれらの混合物を含む。一構成において、前記基質材料は単独でまたは低分子量ポリエチレン若しくはポリオレフィン共重合体との混合で用いられる超高分子量ポリエチレンである。他の構成においては、ポリエステル、ポリアミド、及びハロゲン化ポリマをベースとして代替の系が用いられる。前記基質材料は、可塑剤、潤滑剤、及び抗酸化剤をさらに含んでもよい。
【0023】
前記微多孔質材料は、好適には揮発性の液状媒体(例えば、水及び/又は非水溶媒)及び媒体に溶解または分散された結合剤を含む実質的に非多孔質のコーティング組成物で被覆される。前記コーティングは、例えば強制空気乾燥オーブン、紫外線、電子ビーム照射等を用いて乾燥される種類からなる。前記結合剤はフィルム形成有機ポリマを含み、そのフィルム形成有機ポリマは好適には、(a)約100,000〜3,000,000の範囲の好適な平均分子量を有する水溶性ポリ(エチレン酸化物)と、(b)水溶可能または水分散可能な架橋性ウレタンアクリレートハイブリッドポリマとを含む。ポリ(エチレン酸化物)に加えてまたは代わりに、前記有機ポリマはさらに付加有機ポリマを含む。該付加有機ポリマは、例えば水溶性セルロース誘導有機ポリマ、水溶性非セルロース誘導有機ポリマ、及び/または水分散ポリマである。該水分散ポリマは、例えばポリ(エチレンアクリル酸共重合体)、ポリ(エチレン)及びポリ(エチレン酸化物)である一構成において、前記コーティングはアクリルポリマ、スチレンアクリルポリマ、脂肪族ポリウレタン(ポリエーテルまたはポリエステル骨格のどちらかを有する)、ポリエステル樹脂、及びフルオロポリマを含む。一構成において、前記ポリ(エチレン酸化物)は、低アルキレン酸化物とエチレン酸化物の共重合体、及びエチレン酸化物の単独重合体を含む。好適には、前記コーティングの有機ポリマ成分は、前記ウレタンアクリレートハイブリッドポリマを約20〜約80重量パーセント含む。前記コーティングは、界面活性剤及びアジュバント材料をさらに含む。乾燥及び架橋後において、前記コーティングと多孔質材料基板との間の剥離強度は高い。
【0024】
前記コーティングは、紫外線にさらされることによる黄変に対する良好な耐性を提供するために改良される。紫外線劣化に対する耐性は、公知の安定剤化合物を前記構成に添加することによって向上する。このような安定剤の例は、ヒンダードアミン系光安定剤、ベンゾトリアゾール、亜リン酸塩、抗酸化剤、及び当業者に公知の他の添加物を含む。
【0025】
前記フィルムは、約300グラム/25.4マイクロメートルより大きい好適な穿刺強度(puncture strength)と、1000psi(1000重量ポンド毎
平方インチ、約6.89Pa)で約2パーセントより小さい好適な引張強度と、90℃で160分後の約5パーセントの収縮より小さい好適な熱能力(thermal ability)とを有する。
【0026】
好適な多孔質フィルムは、参照することによって援用される米国特許第6,025,068号にさらに開示される。特に好適な多孔質フィルムはピーピージー・インダストリーズ社(PPG Industries Inc.)によってテスリン(TeslinTM、多孔質の高充填ポリエチレン基質シート材料)の登録商標のもとに販売されている。バッテリセパレータ膜もまた用いることができる。実例は、ダラミック社(Daramic, Inc.)によって販売されるダラミック・インダストリアル・シーエル(Daramic Industrial CLTM、登録商標、多孔質の高充填ポリエチレン基質シート材料)、オランダ国のディーエスエム・ソリュテック(DSM Solutech)及び日本国の帝人ファイバー株式会社によって販売されるソルフィル(SolufillTM、登録商標)及びソルポー(SoluporTM、登録商標)、イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I. du Pont de Nemours and Company)によって販売されるタイベック(TyvekTM、登録商標、紡糸結合ポリエチレン繊維)、及びセルガード(Celgard)またはダラミック社(Daramic, Inc.)によってアーティシン(ArtysinTM)の登録商標のもとに販売されるバッテリセパレータ膜を含む。アーティシン(ArtysinTM)は、コーディングされていない単層の高充填ポリオレフィンシートである。
【0027】
フロック層1104の前記フロック繊維は、天然または合成のいずれであろうとも好適な材料であればよい。好適には、前記フロックはポリエステル(ポリ(エチレンテレフタル酸エステル)及びポリ(シクロヘキシレン−ジメチレンテレフタル酸エステル)等)、ビニル、ナイロン、レーヨン等から成る。
【0028】
前記様々な永久粘着剤1108及び1116は、水性及び溶剤性粘着剤、ならびに予め形成されたフィルム粘着剤等、どのような適切な粘着剤でもよい。好適な永久粘着剤は、液状体、粉状体または(予め形成された)独立したフィルムであるかどうかに関係なく、熱硬化性の及び熱溶解する熱可塑性の粘着剤を含む。理解されるように、所定温度より高く加熱されると、熱硬化性粘着剤は不可逆的に固化、活性化及び/または硬化する。この特性は、通常、加熱または輻射によって誘発される分子組成の架橋反応と関連する。熱硬化性粘着剤は、有機過酸化物、イソシアン酸塩、または硫黄のような硬化剤を含む。熱可塑性及び熱硬化性粘着剤の例は、ポリエチレン、フェノール、アルキド樹脂、アクリル、アミノ樹脂、ポリエステル、エポキシド、ポリウレタン、ポリアミド、及びシリコーンを含む。
【0029】
前記剥離性粘着剤1200は、例えば、ポリビニル酢酸塩、ポリビニルアルコール、塩化ポリビニル、ポリビニルブチラール、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、セルロース誘導体、ゴム誘導体、澱粉、カゼイン、デキストリン、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、松やに、シリコーン、またはこれらの成分のうちの2以上を含む組成物等、樹脂または共重合体のようないずれの仮粘着剤でもよい。
【0030】
前記粘着剤1108,1116及び1200は、充填剤、触媒、着色剤(染料または色素)、及び光学的な遮断/反射/吸収材料のような添加剤を含有してもよい。前記好適な多孔質フィルム、すなわちテスリン(TeslinTM、登録商標)及びアーティシン(Artysin TM、登録商標)は、紫外線(UV)輻射に対して高感度であるとともに
直射日光に晒されると急速に劣化する。そのため、前記粘着剤の光学透過率を実質的に減少させるために、前記粘着剤は、光遮断、吸収、及び/または反射材料を含んでもよい。好適には、前記粘着剤は、多孔質フィルムの光接触側にあるとき、約75パーセント、さらに好適には85パーセント、またさらに好適には少なくとも約95パーセントの紫外線輻射波を遮断する。このような光学的な遮断/反射/吸収材料は当業者に公知である。
【0031】
第1の製品構成において、該製品はパッチである。図1を参照すると、パッチは前記フロック層1104、第1の永久粘着層1108、及び多孔質フィルム1112を含む。典型的には、前記パッチは前記第2永久粘着剤1116を有していない。
【0032】
第2の製品構成において、該製品はステッカであるとともにフロック層1104、第1の永久粘着層1108、多孔質フィルム1112、及び第2の永久粘着層1116を備える。前記第2の永久粘着層1116は、織物のような所望の基板に粘着する。
【0033】
前記第1及び第2の製品構成は、一般的にダイレクト・フロック加工技術を用いてフロック加工される。
第3の製品構成において、該製品は熱転写体である。図2を参照すると、前記熱転写体は、前記多孔質フィルム1112(キャリアとして作用する)、剥離性粘着層1200、前記フロック層1104、及び前記永久粘着層1116を備える。理解されるように、前記剥離性粘着剤1200及び多孔質フィルムキャリア1108は、前記製品が熱転写技術を用いて織物のような所望の基板に付着された後、取り除かれる。この製品は、米国特許第4,810,549号、第5,047,103号、第5,207,851号、第5,346,746号、第5,597,637号、第5,858,156号、第6,010,764号、第6,083,332号、及び第6,110,560号、ならびに係属中の米国特許出願第10/265,206号(2002年10月4日出願)、第10/613,981号(2003年7月3日出願)、第10/613,982号(2003年7月3日出願)、第10/614,399号(2003年7月3日出願)、第10/961,821号(2004年10月7日出願)、第09/621,830号(2000年7月24日出願)、第09/735,721号(2000年12月13日出願)、第10/455,575号(2003年6月4日出願)、第10/670,091号(2003年9月23日出願)、第10/455,541号(2003年6月4日出願)、及び第11/000,672号(2004年11月30日)にさらに記載されており、各々は参照することによって援用される。
【0034】
第4の製品構成において、該製品は非互換性挿入物1304を含む。非互換性挿入物1304は、反射材料、ホログラム、グリッタ、織物、金属または金属蒸着フィルム、非金属フィルム、ガラス粒子(例えばシークイン)等のような、フロック以外のいずれの種類の媒体でもよい。前記製品は付加的な第2の粘着層1116を含む。
【0035】
第5の製品構成において、該製品もまた非互換性挿入物1904を含む。図12を参照すると、装飾用複合媒体熱転写体1900が示される。前記熱転写体1900は、前記多孔質フィルム1112、剥離性粘着剤1200、フロック層1104、非フロック媒体1904、及び永久粘着剤1108を含む。前記非フロック媒体1904は、ビード(図示せず)、グリッタ、織物、金属または金属蒸着フィルム、非金属フィルム、ガラス粒子(例えばシークイン)等のようないずれの好適に設計された媒体でもよい。前記永久粘着剤1108は、フロック層1104及び非フロック媒体1904の両方に付着され、したがって前記粘着剤が所望の目標基板に当接するとともに加熱されるとき、フロック及び非フロック媒体は前記基板に永久的に粘着される。前記多孔質フィルム/剥離性粘着剤キャリアは、その後、前記装飾用媒体を露出するために取り除かれる。
【0036】
図13及び図14は他の複合媒体熱転写体2000を示す。該転写体2000は、前記多孔質フィルム1112、剥離性粘着剤1200、フロック層1104、永久粘着剤1108、及び熱転写インク層2004を含む。図14に示されるように、前記層2004は、複数の異色バンド2100a〜2100gを有し、各バンド2100a〜2100gは異なる色である。前記永久及び剥離性粘着剤は、前記フロック層1104と同一の広がりを持ち、熱転写インク層2004によって占められる領域には存在しない。
【0037】
前記熱転写インク層2004は、どのような好適な感熱インク含有組成物でもよく、プラチゾルが好適である。昇華転写インクプリントにおいて理解されるように、特殊感熱染料はキャリア紙またはフィルム上に付着する。前記紙または転写体は、染料をキャリアに付着させるための平板または回転板によるオフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、感光法またはフレキソ印刷、またはセリグラフ印刷のような適切な技術によって印刷されるとともに、その後乾燥される。所望の基板への前記インクの転写は、高温ロールまたはドラムの助力を実質的に用いて、規制された圧力のもとで所定温度において前記転写体を前記目標基板面と約5秒間から約1分間の間接触するように配置することによって行われる。前記高温ドラムは、所定形式で印刷する場合、水平板を有する高温プレス機を備え、または印刷された用紙及び印刷されるべき合成材料のロールからの連続印刷の場合、張力によるベルト回転に関連する回転加熱シリンダを備える。昇華インク印刷の一部として、前記目標基板は、前記転写された昇華染料インクを熱固定するために熱及び圧力に晒される。熱及び圧力の付与中、前記フロック層1104は、3次元パターンを形成するために、前記インクに沿って前記目標基板に付着される。前記粘着剤1108は熱によって活性化される。前記フロック層1104の前記目標基板への付着の後、前記フィルム1112及び剥離性粘着剤1200は、前記フロック層を露出させるために前記フロックから取り除かれる。理解されるように、前記フロック層1104は単一または複数色となることができる。
【0038】
図1の物品を製造する過程は図5に示される。
ステップ500において、前記永久粘着剤は所望のパターンで基板上に印刷される。
ステップ504において、前記フロック繊維が、好適には静電フロック技術によって前記永久粘着剤上に付着される。
【0039】
フロック物品508がその後所望の基板に付着される。
図13及び図14の熱転写体を製造する方法の過程を図6を参照して説明する。
ステップ2200において、前記熱転写インク層2004が所望の領域において前記フィルム1112上に印刷される。前記層2004が印刷される前記領域は粘着剤不要である。各インク色のために、前記インク層は前記色が付着された後に洗い流される。したがって、インク層2004は第1色のために印刷されるとともにその後洗い流され、第2色のために印刷されるとともにその後洗い流され、その他様々な色が付着されるまで印刷されるとともにその後洗い流される。図14の例において、第1、第2、第3、第4、第5、第6、及び第7色2100a〜2100gを有する各領域は、異なる時間に印刷されるとともに洗い流される。
【0040】
ステップ2204において、前記剥離性粘着剤1200はフロック加工される領域に(例えばスクリーン印刷によって)付着される。剥離性粘着剤1200は前記インク層2004によって占められる領域に付着されない。
【0041】
ステップ2208において、前記剥離性粘着剤1200がフロック表面領域を形成するためにフロック加工される。
ステップ2212において、前記永久粘着剤1108が前記インク層2004によって占められる領域に付着されずに前記フロックに付着される。前記転写体2000は、乾燥
、洗浄、及び粘着剤硬化のような更なる処理に供される。
【0042】
前記転写体が所望の目標基板に付着されるとき、前記転写体は、インク粒子を前記基板に動かせ且つ転写するのに十分な温度に加熱されるとともに前記粘着剤1108を軟化させる。前記粘着剤を前記基板に堅固に付着させるために、圧力が前記転写体2000に付与される。前記熱が取り除かれた後、前記インクによって着色された非フロック領域及び前記インクによって着色されないフロック領域を有する3次元模様を提供するために、前記フィルム1112及び剥離性粘着剤1200が取り除かれる。高温分離が用いられてもよい。高温分離において、インクの一部は前記フィルム1112上に残るとともに、インクの他部分は前記基板に転写される。このようにして、前記フィルム1112が取り除かれるとき、前記インク層2004は「分離」する。
【0043】
第4の製品構成において、該製品はパッチである。前記製品は前記多孔質フィルム1112(キャリアとして作用する)、剥離性粘着層1200、及び前記フロック層1104を含むとともに、前記永久粘着層1116を有していない。
【0044】
直接フロック製品の「パッチ」の変形例において、図13及び図14の前記製品は転写体として構成されない。したがって、前記剥離性粘着剤1200は存在しないとともに、前記永久粘着剤1108によって置換される。前記永久粘着剤1108は前記上部フロック面2008に存在しない。前記インク層2004は典型的には熱転写層ではなく被転写層として構成される。したがって、前記層2004は最終装飾層であるので、前記層2004はインクジェットまたはスクリーン昇華インク印刷を含む昇華インク直接印刷によって付着される。前記模様は前記フィルム1112から切り取られるとともにパッチとして使用される。
【0045】
前記第3の製品構成は、前記フロック繊維を熱転写インク層2004が存在しない前記剥離性粘着剤にフロック加工することによって一般的に製造される。換言すると、前記第3の製品構成は、前記剥離性粘着剤1200を所望のパターンで前記微多孔質フィルム1104上に付着させるステップと、その後好適には静電フロック技術を用いて前記剥離性粘着剤上にフロックを付着させるステップと、そして最終的に前記永久粘着層1116を前記フロックの露出端に付着させるステップとによって形成される。
【0046】
図3の前記第4の製品構成は、フロック加工が行われる前に前記挿入物1304が前記永久粘着剤1108上に位置決めされることを除き、図5のステップによって形成される。前記挿入物1304はマスクとして作用するとともにフロック繊維が前記挿入物1304によって覆われた領域において前記永久粘着剤1108に粘着することを阻止する。
【0047】
図4を参照すると、フロック加工において前記好適な多孔質フィルムを使用することによって認められる利点が示される。図4に示されるように、静電磁場1000は、電界強度の大幅な減少なしに容易に前記多孔質フィルム1112を通過する。磁場線1000は、前記剥離性粘着剤1200の表面1104に対して略鉛直の方向性をさらに維持する。前記フィルムの転写性は、自身の通気性(好適には約1〜約25(マクマリン数、MacMullin♯)の範囲、さらに好適には約1〜約15の範囲、またさらに好適には約2.5〜約11の範囲)及び含水量に起因すると考えられている。前記フィルムは好適には約0.5〜約10重量パーセント、さらに好適には約2〜約5重量パーセントの範囲の含水量を有する。
【0048】
図2に示された種類の複数の熱転写体を製造する工程の実施形態が図7〜図8にさらに示される。その後、本発明の他の態様に従って、以下で詳述するように製造された熱転写体は高周波エネルギによって前記多孔質フィルムの連続ウェブに結合されて、前記ウェブ
と結合された複数の熱転写体を有する多孔質フィルムのウェブを形成する。
【0049】
複数の独立した熱転写体を製造する工程のステップ2300において、多孔質フィルム2404の連続ウェブが提供される。典型的には、多孔質フィルム2404の連続ウェブはロール2402上に提供されるとともに、巻かれていない。
【0050】
ステップ2302において、多孔質フィルム2404の前記連続ウェブは、吹き付け、ローラ、またはナイフ等によるどのような適切な構成または方法によっても所望なパターンで剥離性粘着剤1200によって被覆される。
【0051】
ステップS2304において、フロック加工された多孔質フィルム2405の連続ウェブを提供するために、多孔質フィルム2404の連続ウェブは剥離性剥離性粘着剤1200上にフロック加工、好適には直接的にフロック加工される。直接的なフロック加工は適切な構成または方法、好適には静電フロック加工である。前記フロックの第1端は、前記フロック1104を多孔質フィルム1112の所定位置に保持するために、前記剥離性粘着剤1200に当接する。フロック1104は単色の複数のフロック繊維を備えるか、または代わりに異色の複数のフロック繊維を備える。複数色のフロック加工は、フロック加工ホイールまたはその他の適切な構成によって達成される。
【0052】
ステップ2306において、剥離性粘着剤1200は、フロック加工された多孔質フィルム2405の連続ウェブを温風乾燥機に通過させるか、またはその他の適切な構成によって乾燥される。代わりに、フロック加工された多孔質フィルム2405の連続ウェブ上の剥離性粘着剤は、例えば熱せられたドラム上に前記ロールを運搬することによって接触加熱によって乾燥されてもよい。さらに代替案として、前記連続ウェブ上の前記剥離性粘着剤は空気乾燥されてもよい。
【0053】
ステップ2308において、余剰フロックがフロック加工された多孔質フィルム2405の連続ウェブから取り除かれる。典型的には、前記ロールは、余剰フロックを前記ロールの側面の頂部から除去するために、振動させるか軽く打つか等によって攪拌され、及び/または前記余剰フロックはバキュームによって取り除かれる。
【0054】
ステップ2310において、フロック加工された多孔質フィルム2405の連続ウェブ上の前記フロックの自由端は、前記永久粘着剤が前記フロック1104の反対の第2端に前記第1端から物理的に当接するように、永久粘着剤1116に当接する。前記永久粘着剤1116は、熱可塑性または熱硬化性粘着剤のようなどのような適切な粘着剤でもよい。好適には、前記永久粘着剤はロール2408から運搬される熱硬化性粘着剤のウェブである。好適にはまた、前記熱硬化性粘着剤は、予め形成された、連続、固体、及び独立シートの形態で提供される。一実施形態において、熱硬化性粘着剤2406のウェブはロール2408から引き出されるとともに、図示されるようにフロック加工された多孔質フィルム2405のウェブのフロック1104の第2端と連続的に当接する。犠牲的な剥離紙のような取り外し可能なキャリアフィルム(図示せず)が熱硬化性フィルム上に提供されてもよい。前記剥離紙は、前記粘着フィルムの自由表面上に配置される。代わりに、前記永久粘着剤が前記フロックの自由端に吹き付けられてもよい。
【0055】
ステップ2312において、フロック加工された転写ウェブ2410を形成するために、フロック加工された連続多孔質フィルム2405のウェブと熱硬化性粘着剤2406のウェブとが圧力のみ(熱を付与するとともに前記粘着層を活性させるオプションを用いて)、熱のみ、または熱及び圧力を用いて積層される。その後、前記キャリアフィルム(もしあれば)がフロック加工された転写ウェブ2410から取り除かれる。
【0056】
選択的には、予め形成された、固体、及び独立シートの形態の熱可塑性粘着剤のような付加粘着剤は積層によってフロック加工された転写ウェブ2410の熱硬化性粘着剤に当接及び粘着することができる。
【0057】
選択的なステップ2314において、複数の所望の熱転写製品2412は所望の寸法及び形状となるように、フロック加工された転写ウェブ2410から切り取られる。前記切り取りは、ダイによって及び/またはレーザによってのようなどのような適切な方法によって行われてもよい。切り取られた独立熱転写体2412は、フロック加工された転写ウェブ2410の下の容器に集められるとともに、フロック加工された転写ウェブ2410の残部は、運搬され続ける。
【0058】
代わりに、フロック加工された転写体ウェブ2410の除去部は、例えば切り取り片がラインの端部で集められるように切り取り片を移動ベルト上に残しつつ、製品がラインに沿って移動するときに再巻取りされてもよい。
【0059】
一実施形態において、フロック加工された転写体ウェブ2410は、前記独立した熱転写ユニットのバルク量の製造を容易にするために、2以上の幅狭なリボンに分離されるとともに前述したように切り取られてもよい。
【0060】
独立して切り取られた複数の熱転写体は、バルク量で購買者に販売されることが可能である。複数の独立した熱転写体を、容易に譲渡可能且つさらに自動化された熱転写体の処理で利用可能な形態で提供するために、すなわち基板への熱転写体の次の付着を提供するために、本発明は製造された熱転写体のような複数の間隔を介した製品を有する材料の連続ロールを製造する方法をさらに含む。
【0061】
他の実施形態において、粘着剤または加熱を必要としない高周波エネルギによって他の多孔質フィルムに結合される多孔質フィルム(または他の互換性材料)の能力の特段の利点を得る方法が提供される。
【0062】
図9〜10に示されるように、材料に結合される間隔を介した複数の製品を有する材料の連続ロールを製造する方法が提供される。前記製品は、熱転写体、パッチ、ステッカ等を含む本願に記載されたような多孔質フィルムを有する装飾用媒体のどのような実施形態でもよい。代わりに、前記製品は前記多孔質フィルムを備える外面を有する他の製品でもよい。
【0063】
また、図9〜10に示されるように、ステップ2500において、ロール2602上の多孔質フィルム2600の連続ウェブが提供されるとともに運搬される。多孔質フィルム2600の前記連続ウェブは前記方法が自動化されることを可能とする。代わりに、前記転写体が結合される前記多孔質フィルムは、固体状の予め形成された独立シートの形態で提供されることができるとともに、前記方法の各ステップは手動で行われてもよい。
【0064】
ステップ2502において、熱転写体2412(永久粘着フィルム1116を有する)のような複数の製品、または直接的にフロック加工された物品1100(永久粘着剤1116を有するまたは有しない)が、多孔質フィルム2600の連続ウェブの最上面2604が各熱転写体2412の前記キャリアシート(すなわち多孔質フィルム1112表面)に接触するように、好適には順次多孔質フィルム2600の連続ウェブの最上面2604上に配置される。理解されるように、転写体2412上の粘着剤または他の介在材料は前記多孔質フィルムに直接的に結合される。熱転写体2412(または代替物品1100)は典型的には互いに距離をおいて多孔質フィルムのウェブ上に配置される。好適には、図示されるように前記フィルムがいずれか二つの熱転写体間で切られるような距離である。
例えば、熱転写体2412は近接する熱転写体からどの方向においても約2〜12インチ(約5.08〜約30.5センチメートル)、好適には約6〜10インチ(約15.2〜約25.4センチメートル)だけ離間されている。
【0065】
ステップ2504において、熱転写体2412(または物品1100)は微多孔質フィルム2604に高周波エネルギ源2608を用いる高周波エネルギを用いて結合される。典型的には、熱転写体2412は、前記熱転写体がステップ2502において配置される位置付近の多孔質フィルムの連続ウェブに結合される。好適には圧力と組み合わせた高周波振動エネルギの使用によって、熱転写体の多孔質フィルムと連続ウェブの多孔質フィルムとの間が結合及び/または溶接される。いずれの適切な高周波エネルギ源も高周波エネルギを伝送するために用いられることができる。高周波エネルギ源はいずれの適切な源にもなり得る。多孔質フィルムのウェブが前記高周波エネルギ源2608を通って運搬されるとき、前記源は熱転写体の多孔質フィルム面と連続ウェブの多孔質フィルムとを熱及び粘着剤を使用することなく互いに結合及び/または溶接させる。前記源は熱転写体をその最上面を接触させるか、多孔質フィルムの織物の底部側を接触させるか、または両方を接触させる。
【0066】
好適には、接触点に溶接部を形成するために、高周波エネルギは、熱転写体と多孔質フィルムのウェブとの間の少なくとも一接点、好適には少なくとも二接点に付与される。一実施形態において、熱転写体の四隅で熱転写体と多孔質フィルムの織物との間に溶接部を形成するために、高周波エネルギが熱転写体の四隅に付与される。
【0067】
製造工程からの熱及び粘着剤の除去は、多くの安全性に対する懸念を解消するとともに、焼け焦げまたは余分な粘着剤に起因する製造製品の廃棄をも阻止する。全ての所望の製品がウェブに結合されると、結合された複数の製品を有する多孔質フィルムのウェブを提供するために、ウェブは切られるとともに再度巻取られる。
【0068】
図11は、多孔質フィルム2600の織物に結合された熱転写体2412の断面を示す。図示されるように、熱転写体は、永久粘着剤1116の層と、フロック層1104と、剥離性粘着剤1200の層と、キャリア(すなわち多孔質フィルム1112の層)とを有する。キャリアシートの底面2700は、多孔質フィルム2600のウェブの最上面2702に接触する。図示されるように、熱転写体2412は接点2704a及び2704bで多孔質フィルムのウェブと結合及び/または溶接される。多孔質フィルム2600のウェブは該ウェブに結合される複数の熱転写体を含んでもよく、または代わりに他の製品または多孔質フィルムの外面を有する複数の他の製品、または多孔質フィルムと互換性のある他の材料を含んでもよい。
【0069】
代わりに、多孔質フィルムの外層を有する複数の製品は他の互換性材料に結合されてもよい。換言すると、前記製品は多孔質フィルムの連続ウェブに結合される必要はない。多孔質フィルム外面を有する製品または物品が高周波エネルギによって結合される他の互換性材料は、熱可塑性材等の織物及び樹脂、PVC(ポリ塩化ビニル)、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル、ナイロン、ポリカーボネート、及び酢酸塩を含むが、これらに限られない。一実施形態において、前記互換性材料は少なくとも約50パーセントの合成材料を含む。
【0070】
本発明の多数の変形及び変更を用いることができる。本発明の他の特徴を提供することなしにいくつかの特徴を提供することが可能であろう。
本発明には、種々の実施態様において、本明細書中で実質的に描写および説明された、成分、方法、工程、システム、および/または装置が含まれ、それらの種々の実施態様、サブコンビネーション、およびサブセットが含まれる。当業者は、本発明の開示を理解し
た後には、本発明を如何にして構成および使用するかを理解するであろう。本発明の、種々の実施態様においては、本明細書中に、または種々の実施態様に描写および説明がなされていない部材の存在しない装置および工程を提供することが含まれる。また、例えば、性能を改良すること、実施を容易にすること、および実施費用を減少させることのうちの少なくとも1つのために、先の装置または工程において用いられ得るような部材が存在しない場合が含まれる。
【0071】
本発明の先述の議論は、図示および説明の目的でなされている。先の記述は、本発明をその形態すなわち本発明書中で開示された形態に限定することが意図されているものではない。先述の発明の詳細な説明においては例えば、本発明の種々の要件は、開示を簡素化する目的で、1以上の実施態様に分類されている。この開示の方法は、請求項に記載された発明が、各々の請求項に明白に引用されているより多くの要件を要求するという意図を反映しているとして、解釈されるべきでない。むしろ、以下の請求項には、先述の開示された実施態様の1つにおける全ての要件よりも少なく、発明の態様が存在することを反映しているとして、解釈されるべきである。したがって、請求項は、各請求項が本発明の別個の好適な実施態様として、それ自身に立脚しているとして、この発明の詳細な説明に援用される。
【0072】
さらに、本発明の説明には1以上の実施態様および、ある変形例および変更例が含まれているが、例えば、本発明の開示を理解した後に当業者の技術および知識内にあり得るような、他の変形例および変更例も本発明の範囲内にある。許容される範囲までの代替の実施態様を含む権利を獲得することが意図される。許容される範囲には、請求項の記載に対する代替、相互交換可能、および均等である構造体、作用、範囲、またはステップが、そのような代替、相互交換可能、および均等である構造体、作用、範囲、またはステップが本明細書中に開示されているか否かを問わず、かつ、任意の特許可能な発明課題を公然に供することを意図していなくても、含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施形態に係る多孔質フィルムを用いて製造された装飾的な媒体の側面図。
【図2】本発明の実施形態に係る多孔質フィルムを用いて製造された装飾的な媒体の側面図。
【図3】非互換性挿入物を有するフロック加工された物品の側面図。
【図4】多孔質フィルムを通過する電界を示す側面図。
【図5】図1のダイレクト・フロック物品を製造するステップを示すフローチャート。
【図6】図2の熱転写体を製造するステップを示すフローチャート。
【図7】図2に示された種類の複数の熱転写体を製造するステップを示すフローチャート。
【図8】図2に示された種類の複数の熱転写体を製造する組み付けライン示すフローチャート。
【図9】結合された複数の転写体を有する多孔質材の連続ウェブを製造するステップを示すフローチャート。
【図10】結合された複数の転写体を有する多孔質材の連続ウェブを製造する組み付けラインを示すフローチャート。
【図11】本発明の一実施形態に係る多孔質フィルムの連続ウェブに結合された熱転写体の平面図。
【図12】本発明の一実施形態に係る装飾的な媒体の側面図。
【図13】本発明の一実施形態に係る装飾的な熱転写体の側面図。
【図14】図13の熱転写体の平面図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)粘着剤を多孔質フィルムに付着させる行程と、
(b)前記フィルム上にフロック層を形成するために前記粘着剤に静電フロック加工を施す行程と、
を備える方法。
【請求項2】
前記粘着剤は剥離性粘着剤であって、前記剥離性粘着剤は前記多孔質フィルムと前記フロック層との間に設けられ、
(c)前記フロック層の開放面に永久粘着剤を付着させる行程であって、前記フロック層は前記永久粘着剤と前記剥離性粘着剤との間に設けられること
をさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記粘着剤は、前記フィルムと前記フロックとの間に設けられた永久粘着剤である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記多孔質フィルムは微多孔質フィルムであって、前記微多孔質フィルムは無機充填剤を含み、前記微多孔質フィルムは耐水性であるとともに少なくとも半導電性である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
(c)粘着剤が存在しない場合に、前記多孔質フィルムを所望の基板に結合する行程をさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記多孔質フィルムは、実質的に非水溶性の熱可塑性有機ポリマの基質と充填剤粒子とを含むとともに、ガス透過性であり且つ不透水性である請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記多孔質フィルムは実質的に非多孔質のコーティングを含み、前記コーティングはフィルム形成ポリマを含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
(c)非互換性挿入物を前記多孔質フィルムに結合する行程をさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記多孔質フィルムは、前記多孔質フィルムと前記剥離性粘着剤との間に設けられる熱転写インク層を含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
(c)複数の前記フロック加工されたフィルムをウェブ材料に結合する行程であって、前記ウェブ材料も多孔質フィルムであることをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項11】
請求項1に記載の行程によって製造される、フロック加工された物品。
【請求項12】
結合された複数の転写体を有する微多孔質フィルムのロールを製造する方法であって、
微多孔質フィルムの連続シートを提供する行程と、
複数の製造物を微多孔質フィルムの前記連続シートに接触させる行程であって、前記製造物は微多孔質フィルムの外面を有することと、
高周波エネルギを用いて、前記製造物のうちの少なくとも一つにおける微多孔質フィルムの前記外面の少なくとも一部を、微多孔質フィルムの前記連続シートの少なくとも一部に接合する行程と
を備える方法。
【請求項13】
前記製造物の微多孔質フィルムは微多孔質フィルムの前記シートに直接的に結合される
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
(a)所望のパターンで剥離性粘着剤を微多孔質フィルムに付着させる行程と、
(b)第1及び第2面を有するフロック層を形成するために前記剥離性粘着剤に静電フロック加工を施す行程であって、前記第1面は前記剥離性粘着剤に接触することと、
(c)前記フロック層の前記第2面に永久粘着剤を付着させる行程であって、前記フロック層は前記永久粘着剤と前記剥離性粘着剤との間に設けられることと
を備える方法。
【請求項15】
前記多孔質フィルムは微多孔質フィルムであって、前記微多孔質フィルムは粒子状の充填剤を含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記充填剤は前記多孔質フィルムの約40〜約90重量パーセントであり、前記充填剤の粒子は約5マイクロメータより小さい最大寸法を有し、前記多孔質フィルムの孔は前記多孔質フィルムの約35〜約95容量パーセントである請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記充填剤は金属酸化物であり、前記多孔質フィルムは実質的に非多孔質のコーティングを含み、前記コーティングは結合剤を含み、前記結合剤はフィルム形成ポリマであり、前記結合剤は約100,000〜約300,000の範囲の分子量を有する請求項16に記載の方法。
【請求項18】
(a)所望のパターンで永久粘着剤を微多孔質フィルムに付着させる行程と、
(b)第1及び第2面を有するフロック層を形成するために前記永久粘着剤に静電フロック加工を施す行程であって、前記第1面は前記永久粘着剤に接触することと
を備える方法。
【請求項19】
前記多孔質フィルムは微多孔質フィルムであって、前記微多孔質フィルムは粒子状の充填剤を備える請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記充填剤は前記多孔質フィルムの約40〜約90重量パーセントであり、前記充填剤の粒子は約5マイクロメータより小さい最大寸法を有し、前記多孔質フィルムの孔は前記多孔質フィルムの約35〜約95重量パーセントである請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記充填剤は金属酸化物であり、前記多孔質フィルムは実質的に非多孔質のコーティングを含み、前記コーティングは結合剤を含み、前記結合剤はフィルム形成ポリマであり、前記結合剤は約100,000〜約300,000の範囲の分子量を有する請求項20に記載の方法。
【請求項1】
(a)粘着剤を多孔質フィルムに付着させる行程と、
(b)前記フィルム上にフロック層を形成するために前記粘着剤に静電フロック加工を施す行程と、
を備える方法。
【請求項2】
前記粘着剤は剥離性粘着剤であって、前記剥離性粘着剤は前記多孔質フィルムと前記フロック層との間に設けられ、
(c)前記フロック層の開放面に永久粘着剤を付着させる行程であって、前記フロック層は前記永久粘着剤と前記剥離性粘着剤との間に設けられること
をさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記粘着剤は、前記フィルムと前記フロックとの間に設けられた永久粘着剤である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記多孔質フィルムは微多孔質フィルムであって、前記微多孔質フィルムは無機充填剤を含み、前記微多孔質フィルムは耐水性であるとともに少なくとも半導電性である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
(c)粘着剤が存在しない場合に、前記多孔質フィルムを所望の基板に結合する行程をさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記多孔質フィルムは、実質的に非水溶性の熱可塑性有機ポリマの基質と充填剤粒子とを含むとともに、ガス透過性であり且つ不透水性である請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記多孔質フィルムは実質的に非多孔質のコーティングを含み、前記コーティングはフィルム形成ポリマを含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
(c)非互換性挿入物を前記多孔質フィルムに結合する行程をさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記多孔質フィルムは、前記多孔質フィルムと前記剥離性粘着剤との間に設けられる熱転写インク層を含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
(c)複数の前記フロック加工されたフィルムをウェブ材料に結合する行程であって、前記ウェブ材料も多孔質フィルムであることをさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項11】
請求項1に記載の行程によって製造される、フロック加工された物品。
【請求項12】
結合された複数の転写体を有する微多孔質フィルムのロールを製造する方法であって、
微多孔質フィルムの連続シートを提供する行程と、
複数の製造物を微多孔質フィルムの前記連続シートに接触させる行程であって、前記製造物は微多孔質フィルムの外面を有することと、
高周波エネルギを用いて、前記製造物のうちの少なくとも一つにおける微多孔質フィルムの前記外面の少なくとも一部を、微多孔質フィルムの前記連続シートの少なくとも一部に接合する行程と
を備える方法。
【請求項13】
前記製造物の微多孔質フィルムは微多孔質フィルムの前記シートに直接的に結合される
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
(a)所望のパターンで剥離性粘着剤を微多孔質フィルムに付着させる行程と、
(b)第1及び第2面を有するフロック層を形成するために前記剥離性粘着剤に静電フロック加工を施す行程であって、前記第1面は前記剥離性粘着剤に接触することと、
(c)前記フロック層の前記第2面に永久粘着剤を付着させる行程であって、前記フロック層は前記永久粘着剤と前記剥離性粘着剤との間に設けられることと
を備える方法。
【請求項15】
前記多孔質フィルムは微多孔質フィルムであって、前記微多孔質フィルムは粒子状の充填剤を含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記充填剤は前記多孔質フィルムの約40〜約90重量パーセントであり、前記充填剤の粒子は約5マイクロメータより小さい最大寸法を有し、前記多孔質フィルムの孔は前記多孔質フィルムの約35〜約95容量パーセントである請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記充填剤は金属酸化物であり、前記多孔質フィルムは実質的に非多孔質のコーティングを含み、前記コーティングは結合剤を含み、前記結合剤はフィルム形成ポリマであり、前記結合剤は約100,000〜約300,000の範囲の分子量を有する請求項16に記載の方法。
【請求項18】
(a)所望のパターンで永久粘着剤を微多孔質フィルムに付着させる行程と、
(b)第1及び第2面を有するフロック層を形成するために前記永久粘着剤に静電フロック加工を施す行程であって、前記第1面は前記永久粘着剤に接触することと
を備える方法。
【請求項19】
前記多孔質フィルムは微多孔質フィルムであって、前記微多孔質フィルムは粒子状の充填剤を備える請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記充填剤は前記多孔質フィルムの約40〜約90重量パーセントであり、前記充填剤の粒子は約5マイクロメータより小さい最大寸法を有し、前記多孔質フィルムの孔は前記多孔質フィルムの約35〜約95重量パーセントである請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記充填剤は金属酸化物であり、前記多孔質フィルムは実質的に非多孔質のコーティングを含み、前記コーティングは結合剤を含み、前記結合剤はフィルム形成ポリマであり、前記結合剤は約100,000〜約300,000の範囲の分子量を有する請求項20に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2009−502485(P2009−502485A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−524196(P2008−524196)
【出願日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際出願番号】PCT/US2006/029409
【国際公開番号】WO2007/016341
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(503034456)ハイ ボルテイジ グラフィックス インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】HIGH VOLTAGE GRAPHICS,INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際出願番号】PCT/US2006/029409
【国際公開番号】WO2007/016341
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(503034456)ハイ ボルテイジ グラフィックス インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】HIGH VOLTAGE GRAPHICS,INC.
【Fターム(参考)】
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