説明

多孔質金属品および多孔質金属品の製造方法

プリフォーム(11)を使用して、少なくとも10%の連続気孔(12)を含有する金属品(10)を製造する方法であって、有機結合剤(26)、湿潤剤、および容易に液体溶媒(24)に溶解する顆粒材料(25)を混合して、10体積パーセント以上の前記顆粒材料(25)を組み合わせた成形用ペースト(20)を得るステップ;該ペーストを気泡プリフォームに成形し、金属または合金を開孔空間(28)に浸透させるステップ;前記湿潤剤を蒸発させ、該結合剤を分解するのに十分な温度に前記プリフォームを焼成し、プリフォーム(11)中の開放連続気孔の網目を作製するステップ;前記開孔空間を液体金属または合金(23)で充填するステップを含む方法。焼成したプリフォームの全てまたは一部は、細孔の網目を介して液体溶媒によって容易に浸出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属発泡体、マイクロセルラー金属、金属スポンジまたは金属格子トラス構造と称する材料を含む、高度多孔質金属体の製造に関し、これらの全ては、指針として少なくとも10%の(一般にはそれよりはるかに大きい)気孔率を有する金属構造である。かかる多孔質金属材料を生成するために、かなり広範囲の処理経路が開発されてきた(例えば、Metal Foams:A Design Guide、M F アシュビー、A G エバンス、N A フレック、L J ギブソン、J W ハッチンソン、H N G ワドリー、2000年、Butterworth−Heinemann、[J バンハート、Progress in Materials Science 46(2001年)559〜632頁]、http://www.metalfoam.net/に記載の通り)。
【背景技術】
【0002】
より具体的には、本発明は、発泡体構造を画定する除去可能な耐火性の型またはスペースホルダーの周りに溶融金属を浸透させることを含むキャスティング法によって、かかる材料または構造を製造することに関する。この種類に該当する金属発泡体用の幾つかの処理経路が既に存在する。例えば、[M F アシュビー、A G エバンス、N A フレック、L J ギブソン、J W ハッチンソン、H N G ワドリー「Metal Foams:A Design Guide」Butterworth−Heinemann、Boston(2000年)]、[J バンハート、Progress in Mterials Science 46(2001年)559〜632]、[Y コンデ、J−F デスポア、R グッドール、A マルモッタン、L サルボ、C サンマーチおよびA モーテンセン、Advanced Engineering Materials 8(9)795〜803頁(2006年)]に総説されている。かかる型またはスペースホルダーの要件、したがってそれらが製造される方法は、通常、物品の総体積の40%を超える複雑な連続気孔のため、一般に中空(hollow)キャスティングを成形するために使用される方法とは異なっている。
【0003】
ポリマー前駆体を伴うインベストメント鋳造を使用する方法は、[Y ヤマダ、K シモジマ、Y サカグチ、M マブチ、N ナカムラ、T アサヒナ、T ムカイ、H カナハシおよびK ヒガシ、Journal of Materals Science Letters、18(1999年)1477〜1480頁]に開示されており、これはERG Materials and Aerospace Corporation(http://www.ergaerospace.com/)から現在市販の「Duocel金属発泡体」を製造するために使用される方法であることも推測される[M F アシュビー、A G エバンス、N A フレック、L J ギブソン、J W ハッチンソン、H N G ワドリー「Metal Foams:A Design Guide」Butterworth−Heinemann、Boston(2000年)]。この方法では、例えばポリウレタンのオープンセルの有機発泡体を、耐火性スラリー、通常インベストメント鋳造用成形化合物で充填し、これを硬化させた後、熱処理を使用して型を高密度化し、最初のポリマー前駆体を除去する。そのようにして形成した型に金属を流し込むが、次いで型材料は、従来法を使用して、例えば機械的振とうによってまたは水ジェットを用いて取り外すことになろう。
【0004】
[J バンハート、Progress in Materials Science 46(2001年)559〜632頁]によって引用されている米国特許第3052967号には、高温で分解し、砂を振るい落とすことができる結合剤と結合した、砂粒子のプリフォーム(preform)を使用する発泡体の製造方法が開示されている。
【0005】
キャスティングが十分急速に行われる場合、焼結ポリマー顆粒をアルミニウムと共にプリフォームとして使用することができる。キャスティング後、熱分解処理を使用してポリマーを除く。この方法は、例えば、Fraunhofer Institute in Bremen、http://www、ifam.fraunhofer.de/index.php?seite=/2801/leich tbauwerkstoffe/offenporoese−strukturen/&lang=enに記載されている。
【0006】
あるいは、除去可能なスペースホルダーの周りの金属粉末の焼結を使用することができる。所望の金属の粉末を、水または適切な熱処理のいずれかによって除去することができる十分な量の材料の粒子と混合し、その後粉末を焼成し、粘着性材料を製造することができる。この段階中、スペースホルダーの粒子は、発泡体の気孔部を保持している。使用されるスペースホルダーの例には、塩[Y Y チャオ、D X サン、Scripta Mater.44(2001年)]および尿素[B ジャン(Jiang)、N Q チャオ C S シー、J J リー、Scripta Mater.53(2005年)781〜785頁]が含まれる(共に水に溶解することによって除去される)。
【0007】
比較的簡単な方法では、米国特許第3236706号に記載のように、通常の食卓塩の粒を使用して発泡体の気孔率を画定する。粒が浸透すると、粒の間の空間に溶融金属が浸透し、その溶融金属が凝固した後に、塩を水への溶解によって除去することができる。発泡体の気孔率(0.6〜0.9の範囲)、気孔形状(形成可能な塩結晶の組の中に様々な形を使用することによって)、および孔径(5μm〜2mmの範囲)を変えるために、研究によってこの方法が開発されてきた。[C サンマーチおよびA モーテンセン、Acta Materalia 49 3959(2001年);C サンマーチ、J−F デスポアおよびA モーテンセン、Acta Materalia 52 2895(2004年);J−F デスポア、Y コンデ、C サンマーチおよびA モーテンセン、Advanced Engineering Materials 6(6)444(2004年);C ガイヤール(Gaillard)、J−F デスポアおよびA モーテンセン、Materials Science and Engineering A374(1〜2)250(2004年);R グッドール、A マルモッタン、L サルボおよびA モーテンセン、Materials Science and Engineering A465(1〜2)124(2007年)]参照。しかし該方法は、利用できる塩結晶のサイズおよび形によって制限され、直径約0.5mmを超える塩の粒は、それより小さい粒と同じようには圧縮できず、溶解によってプリフォームを除去する速度が遅くなるという事実がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第3052967号明細書
【特許文献2】米国特許第3236706号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、シェイプホルダーを使用して、(i)成形しやすさ、(ii)金属と接触する際の化学的不活性と組み合わさった、金属溶融温度における十分な強度、ならびに(iii)経済的であって、いかなる段階でも環境に有害な廃棄物または放出物を生成することなく、急速かつ容易に除去可能なことを組み合わせた、少なくとも10%、好ましくは40%以上の連続気孔を有する物品を製造することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態は、プリフォームを使用して、少なくとも10%の連続気孔を含有する金属品または合金品を製造する方法を提供し、該方法は、有機結合剤、湿潤剤、および顆粒材料を混合して、容易に液体溶媒に溶解する前記顆粒材料を10体積パーセント以上と熱分解性である前記有機結合剤とを組み合わせた成形用ペーストを得るステップ、成形用ペーストを気泡プリフォームに成形し、金属または合金が浸透することになる開孔空間を得るステップ、前記湿潤剤を蒸発させ、さらに、該有機結合剤を分解し、プリフォーム中の開放連続気孔の網目を作製するのに十分な温度に前記プリフォームを焼成するステップ、前記開孔空間を液体金属または金属合金で充填するステップを含む。
【0011】
本方法は、有利には、好ましくは可湿性および水溶性の微細な耐火性材料ならびに好ましくは炭化可能な材料を形成して結合の一助とする有機結合剤を含有する、成形用ペーストまたは生地を使用する。このペーストまたは生地は、例えば食品業界の生地成形技術またはコンピューター制御された三次元自由成形(free−forming)法を含む多くの可能な方法を使用して、多孔質金属品における気孔部の所望の形状およびサイズに成形することができる。次いでそれを焼成して、この形を保持しながら硬化させる。これによって、それが金属キャスティング用の型に入れる可溶性スペースホルダーとしての使用に適するものとなる。例えばその生地は、制御されたサイズの多数の小球に成形することができ、次いでそれらは、単純な充填により、正確な体積分率の気孔率および孔径を有するプリフォームに合体される。
【0012】
次いで、スペースホルダーまたはプリフォームを空気中で加熱して、成形材料を硬化し、さらなる熱処理によって、そうでなければキャスティングに導入されることになる揮発性物質を除去し、存在する結合剤相の総量を低減する。次いでそれを型に入れ、適切な場合には圧力下で金属をキャスティングするが、この圧力は、プリフォームを生成する焼成ペーストまたは生地内の気孔が、金属で充填されないように十分小さいままである。凝固および機械加工(必要であれば)の後、プリフォームを、液体溶媒、好ましくは水に接触させることによって除去して、連続気孔を40体積%以上含有する金属品を残す。本発明により製造されたスペースホルダーの性質は、本明細書に開示のスペースホルダー材料の微細な構成要素である顆粒のサイズ、可湿性、および連続気孔の組合せによって、この最後の操作速度を著しく高める。水ではない別の液体(例えばアルコールまたは他の溶媒)を使用することもできよう。溶媒および顆粒材料は、その顆粒材料が溶媒によって十分に湿潤するように選択することができる。
【0013】
特定の一特徴によれば、プリフォーム材料内の開孔径は、前記開孔空間と比較して1/3以下まで微小である。
【0014】
特定の一特徴によれば、気泡プリフォームは型に入れられ、その後前記開孔空間は、好ましくは低圧法によって、液体金属または金属合金、例えばアルミニウムまたはその合金の1つで充填され、金属または合金の凝固後に、プリフォーム材料の全てが、水などの液体溶媒での洗浄によって凝固金属または凝固合金から流し出される。かかる方法では、高度な制御を用いて、1mmを超える孔径を有する金属発泡体を得ることができる。従来法によるこのサイズを超えるものでは、塩粒子は、プリフォーム圧縮段階中に変形せずに割れる傾向があり、それによって気孔の形状または気孔の体積分率の制御が困難となる。有機結合剤および湿潤剤は、従来法のこの制限を克服する。
【0015】
別の特徴によれば、成形用ペーストは、NaClの可溶性粒子および炭素含有結合剤から本質的になる。炭水化物、好ましくは粉砕した小麦粒子の混合物が、結合剤の例示的化合物である。キャスティング中に溶融金属との接触に耐えられる、かかるNaClの粒子または類似の顆粒材料を含むペーストは、成形することができ、これが本発明の別の重要な利点である。塩粒子は、直径150μm未満に粉砕することができるが、この方法を使用して、それより大きなペースト粒子を使用して、大きいプリフォーム(数センチメートル以上の寸法を有する)を製造することができる。
【0016】
ここに開示の方法では、プリフォーム材料の溶解後に、高い気孔率の金属品を得ることができる。溶解時間は、本方法では従来法と比較して非常に短いが、従来法の浸出工程は、気孔直径数個分程度の距離にわたる拡散によって律速される。溶解をそのように急速に得ることができる理由は(数センチメートルの幅の複数の小片に、従来法では数日かかっていた代わりに)、プリフォーム焼成体の内部の気孔部である。内部の気孔部は、湿潤剤の蒸発によって、および/または結合剤の熱分解によって作り出される。蒸発および熱分解は、高度多孔質アルミニウムを製造するために設計されたプリフォームについては、一般に400〜500℃の温度の熱処理によって実施することができる。有機結合剤、例えば小麦成分は熱分解されることになり、残りの炭素の多くは、酸素との反応によって除去される。これによって、多くの細孔を含有する、成形された塩プリフォームが残る。
【0017】
別の特徴によれば、前記成形用ペーストを得るための混合物は、有機結合剤5〜20wt%、顆粒材料50〜80wt%および湿潤剤としての水15〜25wt%を含有する。かかる組成物は、プリフォーム材料の成形を容易にし、溶解によるプリフォームの除去速度を増大するように適合される。
【0018】
別の特徴によれば、蒸発は、ペーストを1〜5時間、100℃および500℃の間の少なくとも1つの温度で加熱して硬化させるステップを含む。プリフォームは、最初に100〜200℃で加熱することができ、その後硬化したプリフォームを400〜500℃でさらに最大16時間加熱して、結合剤由来の残りの炭素残渣を低減する。
【0019】
別の特徴によれば、成形は、成形用ペーストを個別の球に成形し、それらを一緒に圧縮して、前記気泡プリフォームを製造するステップを含む。あるいは成形用ペーストを、個別の円柱または他の適切な形態に成形し、それらを一緒に圧縮して、前記気泡プリフォームを製造することができる。
【0020】
別の特徴によれば、本発明によって製造された高度多孔質金属は、少なくとも1つの相変化熱管理材料、例えばパラフィンと組み合わされる。得られた複合材料は、良好な熱伝導性(多孔質金属による)と、高い熱保存能(相変化材料による)とが組み合わさり、熱管理用途に有用となり得る。
【0021】
より一般的には、多孔質金属品は、濾過、熱交換、音響応用(例えば吸音)、触媒(触媒支持材料として)、またはそれらの組合せなどの多数の用途に使用することができる。導管または類似の部品も、多孔質金属品に包含される。
【0022】
別の特徴によれば、本方法に従って製造された多孔質金属品は、本方法に従って調製されたプリフォームに隣接して開放空間を残す型に、単に金属をキャスティングすることによって高密度金属品と途切れなく組み合わされる。次いで、得られたキャスティングは、一方は密度が高く、他方は高度多孔性の2つの領域が、継目なく接続していることを特徴とし、これによって、多孔性材料と高密度材料との界面において、より大きい強度およびより高い伝導性が確実となる。かかる特徴は、例えば本発明によって製造される材料の伝熱用途においてかなり有利となり得る。
【0023】
本発明の実施形態は、さらに、少なくとも10%の連続気孔を含有する金属品または合金品の製造に適したプリフォームを提供することであり、該プリフォームは、空洞を含有し、顆粒材料の粒子および炭素含有結合剤を本質的に含む、水溶性の焼成体、前記焼成体の空洞によって画定され、液体金属または金属合金によって浸透されるように設計されている第1の開放気孔部、ならびにプリフォームを作る隣接する焼成体粒子間の微細な空間の網目に相当し、水で充填されるように設計されている第2の開放気孔部を含むことを特徴とする。
【0024】
適切な炭素含有結合剤の使用によって、プリフォームは、高レベルの連続気孔を含有する金属品または合金品を得るように容易に成形することができる。さらに、焼成体内に存在する微細な開放気孔部によって、浸出操作はかなり速くなる。
【0025】
別の特徴によれば、焼成体内の最大の粒子間空間は、約100μmである。したがって、微細な開放気孔部は、溶融金属または合金では全く浸透されない。
【0026】
本発明はまた、型内で溶融金属をキャスティングすることによって製造された、画定された規則的形状の空洞を含有し、前記方法を使用して製造された高度多孔質金属品を提供し、その気孔は直径3〜7mmを有し、気孔率は物品の体積の60〜95%となることを特徴とする。かかる気孔を有する多孔質物品は、従来法では容易に得ることができず、というのは大きい塩粒子が不規則な形状であることが多く、一緒に圧縮される場合、変形する代わりに割れ、したがってそれらの間に小さなウィンドウしかない複数の孔をもたらすからである。さらに、かかる開放気孔部を有する大きいサイズの物品を得ることができる。例えば、長さL>5cmおよび別の特徴的な寸法D>4cmを有する物品を製造することができる(Dには、断面の直径または長い側がなり得る)。画定された規則的形状の空洞を含有する、かかる寸法の多孔質金属品は、従来法では工業的に製造することができず、というのは気孔形状の制御が難しく、次いで溶解ステップに必要な時間が長くなるからである。
【0027】
本発明の他の特徴および利点は、非限定的な実施例によって与えられる以下の説明の間に、添付の図を参照しながら当業者には理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の例示的方法の略図である。
【図2】熱処理後に本方法によって製造された球の断面の、走査型電子顕微鏡像の図である。
【図3】室温で水道水のビーカーに入れた場合の、図2に示される気孔率の直径5mmの球の、急速な崩壊を示す一連の図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
様々な図において、同じ参照番号は、同一または類似の要素を示すために使用される。
【0030】
本発明は、多孔質金属品10をキャスティングする方法に関する。図1を参照すると、その方法は、内部気孔部12の形状および空間分布を画定するプリフォーム11を使用することによって実施される。材料内の孔のサイズおよび形状を十分に制御するために、この方法は、プリフォーム11が、適切な成形21および熱処理(22a、22b)後に、高温におけるキャスティング中に溶融金属23との接触に耐えるのに十分な機械的強度および化学的不活性を有する耐火性パターンを残すペースト20または生地から生成されることを定めるものであり、良好な湿潤性および水溶性が組み合わさった内部連続気孔の網目は、プリフォーム11を急速に溶解させる。この最後のステップの速度は、プリフォーム11が、連続気孔のはるかに微細な網目をさらに含有し、溶媒24によって湿潤し、したがってプリフォーム11への毛細管力によって急速に除去されるという事実によって、他の可溶性のスペースホルダーよりも著しく速い。これにより、可溶相は溶媒24に急速に溶解し、その結果プリフォーム11はその後すぐに崩壊する。
【0031】
ペースト20は、適切な溶媒24に溶ける耐火性材料の粒子25、少量のこの溶媒24、およびペーストの形成の一助とするための有機添加剤26から生成されることになる。溶媒24の量は、20体積%未満、さらには5体積%未満となり得る。有機添加剤26は、溶媒24を含有し得る。耐火性粒子25は、それに限定されるものではないが、NaCl、NaAlO、Al(SO、BaS、KSOまたはNaSであり得る。塩は、好ましくはペースト20の主成分である。好ましい実施形態では、溶媒24は水であるが、他の多くの液体を使用することもできよう。さらに好ましい実施形態では、有機添加剤26は、粉砕した小麦殻粒粉、シロップまたは他の植物由来の粉を含む他の材料であってよい。有機添加剤26は熱分解性であり、成形21を容易にする結合剤を形成する。5mmを超える直径を有するボールBを集めて、プリフォームを組み立てることができる。ペースト20は特に、比較的「従来の」金属発泡体について、集めてプリフォームにすることができる球またはボールB、あるいは円柱などの他の形を作るために使用することができ、これらを構築して整列したプリフォームにして、液体または熱移動に好ましい向きを備えた細長い気孔を有する多孔質材料を製造することができる(当然のことながら他の多くの気孔形状も可能である)。プリフォーム11はペースト状または生地状なので、金属または合金の分率を低減し、および/または最終物品10中の個々の気孔を連結するウィンドウを開口するように、プリフォーム11をさらに圧縮することができる。孔のサイズおよび形状に関するこの柔軟性は、この方法の重要な利点である。
【0032】
図1の例示的な実施形態では、アルミニウム発泡体の製造は、プリフォーム11の主要構成成分として、NaCl、水および殻粒粉の混合物を使用することによって実施される。湿潤剤として使用される溶媒24は、熱処理(22a、22b)中に蒸発する。好ましくは、湿潤剤は50〜100℃の範囲の沸点を有する。
【0033】
成形可能なペーストまたは生地20を生成するために、粉砕したNaClまたは他の適切な顆粒材料の粒子25は、粉砕した殻粒粉(普通の食料品用の小麦粉が適している)などの有機添加剤26、および溶媒24、一般に水と混合される。図1に示すように、次いでこのペースト20は、生地成形に適した任意の操作、例えば、回転、押出、切断または他の成形操作によって、最終片の気孔部12に望ましい形態に成形される。熱処理22aは、ペースト20を処理できる固体に変え、さらなる熱処理22bは、残りの結合剤の量を低減し、固体を硬化し、それによりキャスティング中にかかる力に耐えるのに十分な強度を有し、キャスティング操作中に溶融金属と接触する際、その一体性を保持するのに十分に不活性であり、水および結合剤(例えば粉)によって残される内部気孔部の第2の網目を含有する多孔性の可溶性プリフォーム11が残る。さらなる熱処理22bは、成形された部分がそれらの水分または類似の溶媒24を喪失した後に、より高温で行われる(非限定的な実施形態では400〜500℃)。次いで有機添加剤26、例えば粉成分が熱分解され、残っている炭素の殆どが、酸素との反応によって除去される。これによって多数の細孔を含有する、成形済みの塩のプリフォーム11が残る。
【0034】
プリフォーム11内への溶融アルミニウムまたは合金の浸透27は、浸透される空間28が十分に大きい場合には重力キャスティングによって実施することができ、そうでない場合には幾つかの圧力キャスティング法のいずれかに適用される圧力を利用して実施することができるが、前記適用圧力は、プリフォーム内のより微細な気孔が金属で浸透されないように十分低いままである(ガス圧力浸透、ダイキャスティングなど)。したがって、浸透した金属(23)の量は、ボールBの間の空間28によって画定される総体積以下である。浸透27は、これらの2つの体積を等しくするために実施することができる。かかる総体積を先のように推定して、次いで浸透27中にかけられる圧力を適合することができる。
【0035】
金属または合金が凝固した後、プリフォーム11は、片部30を浸水し、次いで水がプリフォーム11のより微細な気孔の中に浸透し、その可溶性成分を溶解することによって急速に除去することができ、したがってプリフォーム11を急速に崩壊させて、元のプリフォーム11の形によって画定された気孔部12を含む金属品10を残す。浸出31の前に、図1に示すように任意選択の機械加工を実施することができる。実際、金属または合金がプリフォーム11の大きい方の開孔内で凝固すると、必要に応じて(ニアネットシェイプ法が可能であるが)機械加工ステップ40を実施することができ、その後水に溶解させる。
【0036】
プリフォーム11は、アルミニウムなどの溶融金属23で、または耐火性粒子25の融点よりも低い融点を有する任意の他の材料/合金(NaClについては801℃)によって浸透され得ることを理解されたい。浸透圧力の制御は、ペースト20から生成された、プリフォーム材料自体の中に残っている微細な気孔ではなく塩部分の間の開放空間28が浸透されるように実施される。図2に示したものなどの、この方法を使用して生成した塩の構造の断面のSEM画像(走査型電子顕微鏡像)の簡易分析は、耐火性粒子25が体積の約60%を占め(先験的に予測できるように)、最大の粒子間空間は約100μmであることを示している。アルミニウムが塩を湿潤しないと、より大きい空間28が、熱処理されたプリフォーム11内の細孔よりも著しく低い適用圧力において金属で充填されることになるので、プリフォーム材料に浸透しないことは実際に比較的容易である。溶融金属23で浸透されるように設計された空間28は、直径3mm以上の気孔を有する多孔質材料が製造される場合、十分に大きく、一般に少なくとも0.3mmを超え、好ましくは0.6mmを超える。
【0037】
浸出31は、内部気孔部の第2の網目内の溶媒24の浸透が理由となり、急速に実施される。これはさらに本方法の利点となる。焼成プリフォームの全てまたは一部は、図2に示される細孔の網目を介して容易に浸出することができる。
【0038】
図3は、図1に示される実施形態に従って生成した塩の、直径5mmの球41の一連の画像を示している。球41は、室温で水道水のビーカー42に滴下される。分かるように、浸水と球41の完全な崩壊との間の時間は15秒未満である。同じサイズの固体塩の粒は、それほど急速に溶解しないと思われ、固体塩の直径5mmの粒が溶解するのに要する時間は著しく長くなる。溶解速度のこの差異同様、この方法によって生成された塩構造が飽和塩溶液に浸漬される場合にさえ、蒸留水を用いるよりほんのわずかにゆっくり崩壊するということは興味深い観測である。
【0039】
この差異に関する説明の一部は、生地経路によって生成されたプリフォーム11に残る微細な気孔部である。例示的実施形態では、これらの気孔は、最初に水が、次いで粉の殆どが熱処理(22a、22b)によって追い出される場合に残る。その後プリフォーム11が水と接触させられる場合、水は塩を湿潤し、毛細管現象によってこれらの細孔内に引き込まれ、したがってプリフォーム11中に急速に取り込まれる。ペースト20の耐火性粒子25に関して類似の特徴を有する任意の溶媒についての溶解も同じになろう。別の説明の一部は、飽和塩溶液中でもプリフォーム11が崩壊することに関し、このことは、それが単にプリフォームの崩壊に至る塩の粒間の接触点の溶解ではないことを示している(このことは恐らく実際に一役割を担っているが)。むしろ水は塩と非常に小さい二面角を有し、したがってプリフォームの崩壊に至る大部分の塩の粒の境界を「切断」する。固体塩(完全な溶解を要する)に対する、この崩壊によって可能になるプリフォームの除去速度の増大は、本方法の重要な利点である。
【0040】
工業規模における本方法の環境に対する影響の詳細な評価は実施されていないが、先験的にこれに関しても魅力のあるものとなるはずである。プリフォーム11の全ての成分は、図1に示す実施形態の天然の水、塩および粉であってよい。焼成温度における塩の分圧は非常に低いので(1.5×10−22Paの値が妥当な推定値である)、大気中への放出の回避は容易となるはずである。粉が熱分解する焼成の最終段階によって幾らかの放出が生じるが、これらは非毒性であり、容易に濾過できる可能性が高い(本質的に、これらはトーストを焼く場合に放出されるものである)。また浸出31は、任意の添加剤なしに水中で実施することができるため、放出されるものはNaClしかない。このことは、沿岸地では問題にならないことを証明するはずであり、内陸での製造については、粉砕ステップ後に水の沸騰によって再利用のために塩を回収するクローズドシステムを設計することができよう。本発明をさらに、その使用の特定の実施例を使用して以下に示すが、これらは当然のことながら例示的なものであり、基本となる発明の多くの変更を考案することができる。
【実施例】
【0041】
<実施例1>
粉砕した小麦殻粒粉15.2gを水30g(30ml)と混合して、薄いペーストを形成した。このペーストに、粉砕したNaCl粒子(全て直径150μm未満)108.2gを徐々に混入した。これによって、その混合物は容易に成形することができる硬いペースト20に変化した。ペースト20を、成形ステップ21で、直径約6mmの球またはボールBに成形し(手で)、次いで少量の塩をまぶして、それらをさらに乾燥し、硬化前にペーストをクリープすることによって変形を低減した。それらの球を、直径30mmおよび高さ70mmの塩でコーティングした型M1に詰め、2時間静置して乾燥させた。次いで型M1を200℃で2時間加熱し、その後それらの球が褐色または黒色に変わったことを観測した。次いで温度を500℃に上昇した。この温度で16時間後、球が灰色/白色に変わったことを観測し、プリフォーム11を、全体として型M1から取り外すことができた。プリフォーム11を、最上部にAl−12Si(共晶組成)合金のインゴットを備えた別の型M2に入れた。これを真空下で600℃に加熱し、その結果溶融金属23によってプリフォーム11の約15cm上に液体ヘッドが形成され、浸透27が生じた。凝固後、過剰の高密度金属を除去し、プリフォーム11を伴う部分を水道流の下に置いた。20秒後、物品10を水から取り出し乾燥させ、プリフォーム11は、溶解し、完全に洗い流されたことが分かった。
【0042】
<実施例2>
粉砕した小麦殻粒粉15.1gを水30.3gと混合した。この混合物に塩103.8gを添加して、滑らかなペースト20を形成した。ペースト20を、直径約7mmの球またはボールBに成形し、次いで少量の塩をまぶして、それらをさらに乾燥し、乾燥前にペースト20のクリープによる変形を低減した。それらの球を、プリフォームの中心を経て垂直に走るように置かれた直径8mmのAl 6060合金の管を備えた、直径30mmおよび高さ70mmの塩でコーティングした型M1に詰めた。プリフォームを70℃で3時間乾燥させ、次いで200℃で16時間加熱し、その後それらの球が黒色に変わったことを観測し、球が灰色/白色に変わることが観測されるまで、温度をさらに4時間400℃に上昇した。次いでプリフォーム11を型M1から取り出した。スペースホールド用のアルミニウム管を取り出し、清浄にし、再び置く前に端部を封止し、プリフォーム11を、型M2を形成するるつぼ内に入れ、空気下で600℃に加熱した。600℃で溶融したAl−12Si合金23を型M2に注ぎ、プリフォーム11の約20cm上に液体ヘッドを形成した。凝固後、過剰の高密度金属を除去し、プリフォーム11を伴う部分を5mmの厚さの薄片に切った。これらの薄片の幾つかを、水道流の下に置いた。10秒後、それらを水から取り出し乾燥させ、プリフォーム11は、溶解し、オープンセルの金属発泡体構造が管の周りに残されたことが分かった。
【0043】
<実施例3>
粉砕した小麦殻粒粉8.03gを水20.47gと混合し、この混合物に粉砕したNaCl88.76gを添加して、滑らかなペースト20を形成した。ペースト20を、直径約6mmの球またはボールBに成形し、これらを型M1に入れた。プリフォームを200℃で2時間加熱した。温度を500℃に上昇し、プリフォームをさらに16時間静置した。次いでプリフォーム11を、99.99%の純度のアルミニウムのインゴットのすぐ下の、型M2を形成するるつぼ内に入れた。これを真空下で710℃に加熱し、金属23が溶融したら20mbarのアルゴンを炉に入れ、金属23でのプリフォーム11の浸透を引き起こした。冷却後、過剰の高密度金属をプリフォーム11から切り出し、直径36mmおよび高さ28mmの円柱を残した。次いで、サンプル片30を水道流の下に置いた。45秒後にそれを調べ、全てのプリフォーム材料が除去されたことが分かった。質量測定によって、気孔率は78%であると算出された。
【0044】
<実施例4>
2種類の異なるペースト20を調製した。ペースト番号1は、粉砕した小麦殻粒粉18.8gを水20.9gと最初に混合することによって、相対的に塩を殆ど用いずに調製した。この混合物に塩54gを混合した。このペースト番号1は非常に成形しやすく、直径約6mmの球にした。ペースト番号2は、粉砕した小麦殻粒粉6.2gを水20.5gと最初に混合することによって、相対的に多量の塩を用いて調製した。この混合物に塩99.1gを添加した。製造したペーストは分割せず、大きく変形しなかった。それをやはり直径約6mmの球にした。両方の種類の球を、200℃のオーブン内に2.5時間入れ、次いで3時間かけて温度を最大500℃に段階的に上昇した。サンプルを500℃で15時間静置した。
【0045】
冷却後、球の強度および溶解速度を調べた。ペースト番号1(少量の塩)を使用して生成した球は脆く、手で容易に圧壊することができた。水を入れた200mlのビーカー42にそれらを落とすと、ビーカー42の底部に達する前に微細な粒子の分散物に分解した(約1秒かかる)。ペースト番号2(多量の塩)を使用して生成した球は、著しく強く、手では圧壊することができなかった。水を入れた200mlのビーカー42にボールBを落とすと、5秒で微細な粒子に分解した。
【0046】
<実施例5>
粉砕した小麦殻粒粉8.03gを水20.86gと混合した。この混合物に塩88.94gを添加して、滑らかなペースト20を形成した。ペーストを直径約4mmの球に成形し、次いでそれらを直径8mmの管の周りの型M1に入れた。次いで型M1全体を200℃のオーブン内に3時間入れ、その後管を取り出し、温度を500℃に上昇した。この温度でさらに4時間後、プリフォーム11を型M1から取り出した。この実施例は、先の諸実施例ほど加熱処理時間が長い必要はないことを示している。
【0047】
<実施例6>
NaClの代わりにNaAlCを使用してペーストを調製した。アルミン酸ナトリウムは、容易に水に溶け、融点1650℃を有する塩であり、したがってより高い融点の金属23、例えば銅での浸透27に適している。粉砕した小麦殻粒粉4.06gを水6.31gと混合した。この混合物に、NaAlO15.98gを添加した。形成したペースト20は非常に成形しやすく、直径約7mmの球またはボールに生成した。
【0048】
これらの球を200℃のオーブン内に1.5時間入れ、次いで温度を400℃に上昇し、16時間維持した。次いで8時間、温度をさらに600℃に上昇し、次いで16時間、800℃に上昇した。
【0049】
冷却後、球の強度および溶解速度を調べた。球は、手によるそれらの圧壊が容易でないほど十分に強いことが見出された。それらを、水道水を入れた200mlのビーカー42に入れると、5〜15秒で微細な粒子に分解した。
【0050】
<実施例7>
粉砕した小麦殻粒粉の代わりにシュガーシロップを使用してペーストを調製した。シュガーシロップ2.71gを、水1.55gと混合した。この混合物に、塩16.98gを添加し、ペースト20が形成されるまで混合した。ペースト20を、直径約4mmの球に成形し、それを100℃で2時間加熱し、次いで500℃で終夜(約16時間)静置した。室温の水道水200mlに入れると、得られた球は1〜2秒で分解するのが観測された。
【0051】
この最後の実施例から分かるように、湿潤剤と結合剤の2つが自然に組み合わさっていることが見出される場合、この方法では湿潤剤(この場合水)を結合剤(この場合シロップ)と物理的にブレンドすることは必須ではない。この実施例では、後に蒸発する湿潤剤を既に含有している適切な粘度の有機液体同様、さらに希釈したシロップを使用することができた。
【0052】
前述の実施例に示されるように、画定された形の空洞を含有する、金属発泡体とも呼ばれる高度多孔質金属品10は、この方法によって得ることができる。かかる金属発泡体は、様々な用途にとって興味深いものである。これらはオープンセルなので、固体(発泡体がそれに密接して置かれる)と液体(発泡体の気孔を介して流れる)との間に幾らかの熱移動が必要となる分野での使用が見出される可能性がより高い。熱移動を最大化するという観点から、興味深いことにこの方法は、(i)プリフォーム(NaClと粉の熱分解からの炭素系残渣から生成される)とアルミニウムとの間に化学的相互反応または合金化が生じず、(ii)キャスティングまたは発泡体の安定性を補強するための合金用元素またはセラミック粒子を金属に添加する必要がないことから、例外的に高い純度の発泡体を製造し得ることが示される。この方法で99.99%のAl供給原料を使用して生成された発泡体の実験サンプルの組成についての化学分析は、元素Ti、B、Fe、Si、Cu、Mn、Zn、Mg、Pb、Cr、Li、Ni、V、K、SrおよびZrの含有量が、それぞれ検出限界0.01wt%(Liの場合0.005wt%)未満であったことを示した。測定可能な濃度でアルミニウム中に存在する唯一の金属元素はSnおよびCaであったが、それぞれちょうど0.01wt%であった。
【0053】
したがって、反復法において熱分解した塩の生地で塩を置き換えることによって、新しい処理の可能性が開かれ、低コストでオープンセルのアルミニウム発泡体を製造する新しい方法が示される。この方法は、発泡体および成分構成両方の設計の高い柔軟性を特徴としている。
【0054】
本発明を、好ましい実施形態に関連して記載してきた。しかしこれらの実施形態は単に例示的なものであり、本発明はそれに限定されない。当業者であれば、他の変更および変形を、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲内で容易に行うことができ、したがって本発明は、以下の特許請求の範囲によって制限されることを企図しているに過ぎないことは理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリフォーム(11)を使用して、少なくとも10%の連続気孔(12)を含有する金属品または合金品(10)を製造する方法であって、
熱有機結合剤(26)、湿潤剤、および顆粒材料(25)を混合して、容易に液体溶媒(24)に溶解する前記顆粒材料(25)を10体積パーセント以上と熱分解性である前記有機結合剤(26)とを組み合わせた成形用ペースト(20)を得るステップ、
成形用ペースト(20)を気泡プリフォームに成形し、金属または合金が浸透することになる開孔空間(28)を得るステップ、
前記湿潤剤を蒸発させ、さらに、前記有機結合剤(26)を分解し、プリフォーム(11)中に開放連続気孔の目を作製するのに十分な温度に前記プリフォームを焼成するステップ、
前記開孔空間(28)を液体金属または金属合金(23)で充填するステップ
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記プリフォーム材料内の開孔径が、前記開孔空間(28)と比較して1/3以下まで微細であることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法であって、前記気泡プリフォームを型(M2)に入れ、その後前記開孔空間(28)を、低圧法によって前記液体金属または前記金属合金(23)、好ましくはアルミニウムもしくはその合金の1つで充填し、金属または合金の凝固後、前記プリフォーム材料の全てを液体溶媒(24)で洗浄することによって、凝固金属または凝固合金から洗い出すことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1から3までの一項に記載の方法であって、前記成形用ペースト(20)が、NaClの可溶性粒子および炭素含有結合剤から本質的になることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1から4までの一項に記載の方法であって、前記結合剤(26)が、炭水化物、好ましくは粉砕した殻粒粉の混合物から本質的になることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1から5の一項に記載の方法であって、前記顆粒材料(25)が、直径150μm未満に粉砕された前記粒子から本質的になることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1から6の一項に記載の方法であって、前記成形用ペースト(20)を得るための混合物が、有機結合剤(26)5〜20wt%、顆粒材料(25)50〜80wt%および湿潤剤としての水15〜25wt%を含有することを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1から7の一項に記載の方法であって、前記蒸発ステップが、前記ペーストを1〜5時間、100℃および500℃の間の少なくとも1つの温度で加熱して硬化させるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、前記プリフォームを、最初に100〜200℃で加熱し、その後硬化したプリフォームを400〜500℃でさらに最大16時間加熱して、前記結合剤由来の残りの炭素残渣を低減することを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1から9の一項に記載の方法であって、前記成形ステップが、前記成形用ペースト(20)を個別の球(B)に成形し、それらを一緒に圧縮して、前記気泡プリフォームを製造することを含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1から9の一項に記載の方法であって、前記成形ステップが、前記成形用ペースト(20)を個別の円柱に成形し、それらを一緒に圧縮して、前記気泡プリフォームを製造することを含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1から9の一項に記載の方法であって、前記方法に従って製造された多孔質金属品(10)を、少なくとも1つの相変化熱管理材料と組み合わせて複合材料を作製することを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1から9の一項に記載の方法であって、前記方法に従って製造された多孔質金属品(10)が、前記多孔質金属品(10)と同時にキャスティングされる高密度の金属品または合金品と継目なく接続されていることを特徴とする方法。
【請求項14】
少なくとも10%の連続気孔を含有する金属品または合金品の製造に適したプリフォーム(11)であって、
空洞(28)を含有し、顆粒材料(25)の粒子および炭素含有結合剤(26)を本質的に含む、水溶性の焼成体、
前記焼成体の空洞(28)によって画定され、液体の金属または金属合金(23)によって浸透されるように設計されている第1の開放気孔部、ならびに
隣接する焼成体粒子間の微細な空間の網目に相当し、水で充填されるように設計されている第2の開放気孔部
を含むことを特徴とするプリフォーム(11)。
【請求項15】
請求項14に記載のプリフォームであって、前記焼成体内の最大粒子間空間が約100μmであることを特徴とするプリフォーム。
【請求項16】
型内で溶融金属をキャスティングすることによって製造された、画定された形状の空洞を含有し、請求項1から13の一項に記載の方法を使用して製造された高度多孔質金属品(10)であって、その孔が直径3〜7mmを有し、気孔部(12)は物品(10)の体積の60〜95%となることを特徴とする高度多孔質金属品(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−518258(P2010−518258A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549424(P2009−549424)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【国際出願番号】PCT/EP2008/051883
【国際公開番号】WO2008/099014
【国際公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(502038691)エコール ポリテクニック フェデラル デ ローザンヌ (1)
【Fターム(参考)】