説明

多層シート材料およびその製造方法

本発明は、少なくとも1つのテキスタイル基材層(5)と、可塑剤含有ポリ塩化ビニルでできた少なくとも1つの発泡層(3)と、可塑剤含有ポリ塩化ビニルでできた少なくとも1つのカバー層(2)と、カバー層上で外側に向く少なくとも1つのコーティング層(1)とを含む多層シート材料に関する。本発明は、さらに、多層シート材料を製造する方法、およびシート材料でできた車両用の内部トリム部分に関する。高温老化下での黄変の傾向を減じ、色堅牢度を向上させるために、カバー層中のポリ塩化ビニル部分は、懸濁重合(S−PVC)法により生成されたポリ塩化ビニルを少なくとも50重量%ベースとし、カバー層の組成は、水酸化カルシウム安定剤、および/または1〜3重量%のカルシウムと1〜2重量%の亜鉛とを含むCa/Zn安定剤を含む。シート材料は、リバース塗装方法およびカレンダ加工または押出し方法の組み合わせで製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのテキスタイルバッキング層と、可塑化ポリ塩化ビニルでできた少なくとも1つの発泡層と、可塑化ポリ塩化ビニルでできた少なくとも1つの外側層と、外側層上に少なくとも1つの外向きラッカー層とを含む多層シート状構造に関する。本発明は、さらに、多層シート状構造を製造する方法、同じく、シート状構造で構成された車両用内装被覆構成要素にも関する。
【背景技術】
【0002】
テキスタイルバッキング層上の可塑化ポリ塩化ビニルでできたシート状構造は、自動車の内装被覆、家具、バッグ等用に周知されており、例を挙げると、シートおよびドアインサートのカバーとして車両に用いられている。このタイプのシート状構造に一般的に用いられている他の用語は、合成皮革である。それらは、例えば、DD第130491 A1号明細書に記載されている。シート状構造は、通常、多層構造を有し、発泡バッキングを有することが多く、それらの上側には、様々な形状およびタイプの、三次元構造のエンボス加工された表面、すなわち、パターニングまたはグレインとして知られたものを有する。多層構造は、エンボス加工された、上部が任意でラッカー塗装された外側または装飾層と、任意で、発泡中間層と、ラミネーション接着層により他の層に、例えば、ボンドしておいたテキスタイルバッキング層とで構成されていることが多い。
【0003】
合成皮革中ポリ塩化ビニル(PVC)でできた層に用いる可塑剤は、主に、フタレート、例えば、ジイソノニルフタレート(DINP)またはジイソデシルフタレート(DIDP)、セバケート、例えば、ジオクチルセバケート(DOS)、トリメリテート、例えば、トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート(TOTM)または同様の石油系化合物である。例えば、欧州特許第1 294 799B1号明細書から、植物油をベースとする脂肪酸生成物を、PVCの可塑剤として用いることができることも知られている。
【0004】
様々な材料を、テキスタイルバッキング層に用いることができ、それらは、ニット、織布または不織布の形態を採ることができる。用いられる下にある材料は、概して、ポリエステル、綿、ポリアミドまたはそれから得られる混合織布/ループ形成ニットであり、ポリエステルおよびポリアミドは、合成ポリマー(合成繊維)でできた化学的に生成された繊維である。
【0005】
シート状構造は、概して、リバースコーティングまたは直接コーティングによるコーティングプロセスにより製造される。ここで用いる材料は、EPVCの等級であり、乳化重合プロセスにより生成される。EPVCの等級のものを、可塑剤と混合すると、それらは、ペースト状液体のコンシステンシーを有するため、コーティングプロセスで処理することができる。他の可能な生成プロセスは、個々の層のカレンダ加工を行うものである。ここでは、SPVCとして知られている等級を用いることも可能である。SPVCは、懸濁重合プロセスにより生成される。SPVCが固体のコンシステンシーだと、通常、それをコーティングプロセスに用いることはできない。SPVC組成物は、通常、カレンダ加工より前の化合組立体、例えば、ニーダーや押出し機において、高温に曝されるときのみ可塑化され、その後にのみ、カレンダロールにより成形して、フィルムとすることができる。ただし、EPVCと同様の挙動を示すミクロ懸濁PVCの特定の等級のものがある。
【0006】
可塑化ポリ塩化ビニルでできた層を備えたシート状構造のこれまでの欠点は、PVC分子の分解により、特に、100℃を超える高温での熱老化で黄変すること、そして、例えば、自動車のインストルメントパネル(ダッシュボード)にそれを用いるのは、シート状構造の下にある暗色、特に、黒色または暗褐色により黄変が遮蔽されているときのみ可能であることである。自動車のインストルメントパネルの表面温度は、車両が日に当たっていると100℃を超える。従来のPVC安定剤では、EPVCを含むシート状構造における黄変という問題を軽減することが、これまでできなかった。現在の傾向から、縫製カバーのあるインストルメントパネルに比較的淡色が望まれるときは、現在のやり方では、本革またはポリウレタンベースの合成皮革を用いている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、序論で述べたように、可塑化ポリ塩化ビニルでできた層を有し、黄変の傾向が減じ、それゆえ、熱老化中、非常に良好に機能するため、耐変色性の向上した多層シート状構造を提供するという目的に基づくものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、外側層中のポリ塩化ビニル含量の少なくとも50重量%が、懸濁重合プロセス(SPVC)により生成しておいたポリ塩化ビニルをベースとしていて、外側層の組成が、水酸化カルシウム安定剤、および/または1〜3重量%のカルシウムと1〜2重量%の亜鉛とを含むCa/Zn安定剤を含むという点で目的を達成する。
【0009】
意外なことに、耐変色性の改善が達成できること、すなわち、シート状構造の色が薄灰色または他の淡色であっても、120℃での2週間後の老化後、GS≧4のグレースケール等級が得られることが見出された。シート状構造を、自動車インストルメントパネルの外側カバーとして用いる場合、黄変の傾向が著しく減少することが分かる。前記影響は、水酸化カルシウム安定剤および/または特定のCa/Zn安定剤を、外側層のPVCの合計含量を基準として、外側層のSPVCの少なくとも50重量%と組み合わせたときのみ見られた。前記影響は、前記安定剤をEPVCのみで用いた場合には見られなかった。
【0010】
外側層の組成のPVC含量の少なくとも50重量%は、SPVCをベースとするものであるが、残りのPVC含量はEPVCとすることができる。しかしながら、外側層のPVC含量の少なくとも75重量%、特に、少なくとも95重量%が、SPVCをベースとするのが好ましく、得られる処理技術は、外側層のカレンダ加工中、有利であり、結果は、熱安定性に有利である。
【0011】
外側層の組成は、安定剤として、水酸化カルシウム安定剤および/または特定のCa/Zn安定剤を含む。Ca/Zn安定剤は、PVC処理に従来用いられる金属石鹸安定剤を含む。このタイプの安定剤中、1〜3重量%のカルシウムおよび1〜2重量%の亜鉛の特定の含量が重要である。
【0012】
黄変からの特に良好な保護を達成するためには、外側層の組成が、0.5〜10phr(樹脂の100重量部当たりの部)、好ましくは2〜6phrのCa/Zn安定剤を含むと有利であることが証明されている。
【0013】
この変形として、外側層の組成はまた、1〜20phr、好ましくは、3〜10phrの水酸化カルシウム安定剤を含むことができる。
【0014】
本発明のある好ましい発展において、外側層の組成は、さらなる安定剤として過塩素酸塩を含む。その結果、耐変色性がさらに改善され、耐アミン性が結果として改善される。耐アミン性に関して、≧4.5のグレースケール値を達成することができる。
【0015】
過塩素酸塩として過塩素酸ナトリウムを用いると、耐アミン性に関して特に有効である。しかしながら、他の過塩素酸塩を用いることもできる。
【0016】
本発明のある有利な実施形態において、外側層の組成が、Ca/Zn安定剤を含む場合、外側層の組成におけるCa/Zn安定剤からのカルシウムプラス亜鉛対過塩素酸塩の重量比は、1:0.5〜1:10、好ましくは、1:1〜1:6である。これらの比より低いと、耐アミン性は乏しいものとなり、熱老化中の黄変の増大が見られる。過剰量の安定剤は、シート状構造のコストを増大し、追加の恩恵がなく、場合によっては、熱安定性を乏しくする。
【0017】
外側層の組成が、安定剤として水酸化カルシウムを含む場合、外側層の組成中の水酸化カルシウム安定剤、すなわち、Ca(OH)対過塩素酸塩の重量比は、20:1〜1:1、好ましくは、8:1〜14:1である。
【0018】
外側層の組成はまた、既述の安定剤と共に、当業者に知られた、従来の量のさらなるPVC安定剤も含むことができる。これらの安定剤としては、CH−酸化合物(β−ジケトン、ジヒドロピリジン、アセチルアセトネート等)、酸化防止剤(ヒンダードフェノール、立体障害アミン)、ポリオール、ハイドロタルサイト、ゼオライトおよび有機安定剤がある。
【0019】
フォギングとして知られた光散乱膜の形成を伴う、自動車の客室における窓ガラスの内側での蒸発した揮発性物質の凝縮の程度を減じるためには、シート状構造のPVC層中の可塑剤が、フタレートおよび/またはトリメリテートをベースとするものとし、少なくとも470g/モルのモル質量Mを有するようにすると有利である。このように、VOC値≦100ppmおよびFOG値≦250ppmのVDA278排気規制に適合することができ、かつ120℃で16時間にわたって測定された凝縮物値が<1.3mgのDIN75201フォギングにも適合することができる。
【0020】
シート状構造に存在するPVC層は、可塑剤および安定剤と共に、従来の添加剤、例えば、老化を抑制する溶剤(例えば、酸化防止剤)、フィラー、難燃剤(三酸化アンチモン)、発泡剤(例えば、アゾジカルボンアミド)、顔料(例えば、カーボンブラック、二酸化チタン)、およびその他の補助物質(例えば、粘度助剤、接着促進剤等)を含む。
【0021】
シート状構造のテキスタイルバッキング層は、天然繊維または化学的に生成された繊維をベースとすることができ、ハイブリッド繊維または混合織布として、または混合ニットとしても用いることができる。例を挙げると、綿繊維およびポリエステル繊維でできた延伸−ループニットを、好ましくは、35:65の混合比で用いることができる。
【0022】
テキスタイルバッキング層は、編布の形態を採ることができる。しかしながら、織布および不織布を用いることもできる。合成皮革としての適用のために所望の特性プロフィールを得るには、テキスタイルバッキング層は、延伸−ループニットの形態を採ると有利である。
【0023】
多層シート状構造は、可塑化ポリ塩化ビニルでできた少なくとも1つの発泡層を有する。フィルムは、このように、「柔らかな」手触りを与えることができ、すなわち、顧客は、特に魅力的で、感触の柔らかいシート状構造を得る。
【0024】
多層シート状構造は、さらに、外側層に適用された外向きラッカー層を有する。用いることのできるラッカーは、Iben博士により、2001年9月27日にビュルツブルクでのペーストについてのSKZ会議で示されたようなものであり、適法方法も記載されていた。多層シート状構造は、ポリウレタンを含む、および/またはポリ塩化ビニル/アクリレートを含むラッカー層を有するのが好ましい。前記ラッカー層により、確実に、摩耗性が改善され、日焼け止めローションに対する高い抵抗性が達成される。前記ラッカーは、さらに、きしり止特性も与えることができる。分散液系、すなわち、水系ラッカーは、VOC≦100ppmという低いVDA278排気規制に適合させるのに特に有利である。
【0025】
シート状構造、特に、合成皮革の所望の特性プロフィールに関して理想的な製品について、多層シート状構造が、以下に述べる順番で以下の構造を有すると有利であることが証明されている。
−ポリウレタンおよび/またはPVC−アクリレートを含むラッカー層、
−可塑化ポリ塩化ビニルでできた外側層、
−可塑化ポリ塩化ビニルでできた任意の発泡中間層、
−ラミネーション接着層、
−テキスタイルバッキング層。
【0026】
個々の層は、異なる機能を有する。たいていの透明ラッカー層は、ガラスレベルを調整し、かつ、耐摩耗性、触覚特性、引っ掻き抵抗性、耐熱性、耐光性およびクリーナーに対する耐溶剤性といった表面特性も調整する。可塑化ポリ塩化ビニルでできた外側層は、着色に利用され、摩耗、引っ掻きおよびクリーニング組成物に対する抵抗性に関して支持的な影響を有する。耐熱および耐光性がなければならない。中間層は、発泡または圧密構造を有することができる。発泡層は、主に、皮のような触覚特性を、主に与えるための役割を果たす。中間層はまた、複合体の成分へのリバースラミネーション中、材料を通したテキスタイル構造の圧痕を排除する役割も果たす。テキスタイルバッキング層は、シート状構造全体の伸展性、引張り強さおよび引裂き伝播抵抗性といった機械的特性に実質的に関与し、それに応じて選択すべきである。
【0027】
多層シート状構造は、熱老化中の高い耐変色性という特徴を有する合成皮革であるのが好ましい。
【0028】
本発明の多層シート状構造を製造する特に好適な方法は、リバースコーティングプロセスおよびカレンダ加工プロセスまたは押出しプロセスの組み合わせからなる。可塑化ポリ塩化ビニルでできた外側層をまず、ここでは、従来の関連の添加剤を用いて、カレンダ加工プロセスまたは押出しプロセスにより生成する。
【0029】
この後、またはこれと共に、フィルムの「基礎構造」、すなわち、可塑化ポリ塩化ビニルでできた1つ以上の層は、リバースコーティングプロセスによりテキスタイルバッキング層と共に生成される。そこでは、可塑化ポリ塩化ビニルでできた1つまたは複数の層を、バッキング材料に、すなわち、好ましくは、例えば、紙でできたバッキングフィルムに連続してコートし、テキスタイルバッキング層を、最後の層に配置してから、コーティングプロセスから得られた、テキスタイルバッキング層を含む層複合体を乾燥し、バッキング材料から剥がす。この部分複合体のためのリバースコーティングプロセスはここで終了である。
【0030】
次に、外側層を、さらなる層に結合する。この目的を達成するには、カレンダ加工プロセスまたは押出しプロセスにより生成された外側層を、一般的に、接着剤による接着ボンディングによるラミネーション、または熱ラミネーションとして知られているもの、すなわち、高温条件下での接着ボンディングにより、リバースコーティングプロセスから得られ、さらなる層およびテキスタイルバッキング層でできた層複合体に適用する。
【0031】
続いて、または、これより前に、外側層の外側表面をラッカー塗装し、任意で、エンボス加工する。このようにして、本発明の多層シート状構造が完成する。本発明の生成物はまた、処理のため、または、知覚品質を改善するのに必要な場合には、さらなる層、例えば、発泡体およびさらなるテキスタイルにラミネートまたはボンドすることもできる。工程の順番は、上述したとおり、変えることができる。
【0032】
本発明のシート状構造は、淡色であっても、耐変色性が高く、黄変に対する感度が低い、車両用内装被覆構成要素、特に、自動車のインストルメントパネルとして特に有利に用いることができる。
【0033】
本発明を、本発明の実施例を参照してより詳細に説明していく。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明のシート状構造の断面での構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1に、自動車のインストルメントパネル用の本発明のシート状構造の断面構造を示す。実質的に、ポリウレタンおよび/またはPVC−アクリレートをベースとし、2〜10μmの厚さのラッカー層1の下に、SPVCおよび可塑剤、Ca/Zn安定剤およびさらなる添加剤を含む外側層2が構成されている。これに、可塑剤、安定剤、発泡剤およびさらなる添加剤を含む発泡EPVCでできた従来の中間層3が続く。テキスタイルバッキング層5は、可塑剤、安定剤およびさらなる添加剤を含むEPVCでできた接着剤4により、中間層3に下側からラミネーションにより適用されている。この例示の実施形態におけるテキスタイルバッキング層5は、綿とポリエステルでできた延伸−ループニットで構成されている。
【0036】
以下の表1に、ポリ塩化ビニル外側層2の混合組成の量の可能な範囲、および具体例も示す。
【0037】
【表1】

【0038】
表1に示した組成は、たとえ、100℃を超える温度に長期間曝されても、黄変に対する感度が低く、耐変色性が高いという特徴を有する多層シート状構造を製造することができる。従って、それらは、例えば、自動車のインストルメントパネルの合成皮革に好適である。
【符号の説明】
【0039】
1 ラッカー層
2 ポリ塩化ビニルでできた外側層
3 発泡ポリ塩化ビニルでできた中間層
4 ポリ塩化ビニルでできたラミネーション接着層
5 テキスタイルバッキング層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのテキスタイルバッキング層(5)と、可塑化ポリ塩化ビニルでできた少なくとも1つの発泡層(3)と、可塑化ポリ塩化ビニルでできた少なくとも1つの外側層(2)と、前記外側層上に少なくとも1つの外向きラッカー層(1)とを含む多層シート状構造であって、前記外側層中の前記ポリ塩化ビニル含量の少なくとも50重量%が、懸濁重合プロセス(SPVC)により生成しておいたポリ塩化ビニルをベースとし、前記外側層の組成が、水酸化カルシウム安定剤、および/または1〜3重量%のカルシウムと1〜2重量%の亜鉛とを含むCa/Zn安定剤を含むことを特徴とする多層シート状構造。
【請求項2】
前記外側層中の前記ポリ塩化ビニル含量の少なくとも75重量%が、SPVCをベースとするものであることを特徴とする請求項1に記載の多層シート状構造。
【請求項3】
前記外側層中の前記ポリ塩化ビニル含量の少なくとも95重量%が、SPVCをベースとするものであることを特徴とする請求項2に記載の多層シート状構造。
【請求項4】
前記外側層の組成が、0.5〜10phr(樹脂の100重量部当たりの部)、好ましくは2〜6phrのCa/Zn安定剤を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の多層シート状構造。
【請求項5】
前記外側層の組成が、1〜20phr(樹脂の100重量部当たりの部)、好ましくは3〜10phrの水酸化カルシウム安定剤を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の多層シート状構造。
【請求項6】
前記外側層の組成が、さらなる安定剤として過塩素酸塩を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の多層シート状構造。
【請求項7】
前記過塩素酸塩が、過塩素酸ナトリウムであることを特徴とする請求項6に記載の多層シート状構造。
【請求項8】
前記外側層の組成におけるCa/Zn安定剤からのカルシウムプラス亜鉛対過塩素酸塩の重量比は、1:0.5〜1:10、好ましくは、1:1〜1:6であることを特徴とする請求項6または7に記載の多層シート状構造。
【請求項9】
前記外側層の組成中の水酸化カルシウム安定剤対過塩素酸塩の重量比が、20:1〜1:1、好ましくは、8:1〜14:1であることを特徴とする請求項7に記載の多層シート状構造。
【請求項10】
前記PVC層中の可塑剤が、フタレートおよび/またはトリメリテートをベースとし、少なくとも470g/モルのモル質量Mを有することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の多層シート状構造。
【請求項11】
合成皮革であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の多層シート状構造。
【請求項12】
−カレンダ加工プロセスまたは押出しプロセスにより、可塑化ポリ塩化ビニルでできた前記外側層(2)を生成する工程と、
−リバースコーティングプロセスにより、前記テキスタイルバッキング層(5)と共に、可塑化ポリ塩化ビニルでできたさらなる層(3、4)を生成する工程であって、
a)可塑化ポリ塩化ビニルでできた層を、バッキング材料に連続的にコートし、
b)前記テキスタイルバッキング層(5)を、最終層に配置し、
c)前記コーティングプロセスにより生成された層複合体を乾燥し、前記バッキング材料から剥がす工程と、
−ラミネーションを用いて、前記カレンダ加工プロセスまたは押出しプロセスで生成した前記外側層(2)を、前記リバースコーティングプロセスで生成したさらなる層(3、4)でできた前記層複合体に適用する工程と、
−前記外側層(2)の前記外側表面をラッカー塗装し、任意で、エンボス加工する工程と
を実施することにより、請求項1〜11のいずれか1項に記載の多層シート状構造を製造する方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の多層シート状構造で構成された、車両用内装被覆構成要素、特に自動車のインストルメントパネル。

【図1】
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【公表番号】特表2013−518191(P2013−518191A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550336(P2012−550336)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【国際出願番号】PCT/EP2010/067372
【国際公開番号】WO2011/091878
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(304051447)ベネッケ・カリコ・アクチェンゲゼルシャフト (1)
【Fターム(参考)】