説明

多層ナノ構造フィルム

ナノ構造支持要素の複数の層を含むフィルムの形成方法を説明している。ナノ構造支持要素の第1層を、基材上にベース材料を堆積させてアニールすることによって形成させる。その後、ナノ構造の第1層の更なる成長を抑制する。ナノ構造支持要素の追加層を、追加の堆積およびアニール工程によってナノ構造の第1層上に成長させてもよい。前記多層フィルムは、増大した表面積を提供し、また触媒活性が、触媒粒子を担持するために利用できる表面積と関連するデバイスでは特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、増大された表面積を持つナノ構造フィルム類、およびかかるフィルム類の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロトン交換膜燃料電池類、センサー類、電解槽類、クロロアルカリ分離膜類などのような電気化学デバイス類は、膜電極接合体類(MEA類)から構成されている。典型的な電気化学電池で用いられるMEAとしては、例えば、アノードおよびカソードと接触しているイオン導電膜(ICM)が挙げられる。アノード/膜/カソード構造は、拡散集電体類(DCC類)と呼ばれる2つの多孔質の導電性構成要素間に挟まれて、5層のMEAを形成する。アノードで形成されたイオン類はカソードに送られて、電極に接続している外部回路に電流を流す。
【0003】
ICMは、典型的に、高分子電解質材料を含んでおり、それ自体が構造支持体を構成してもよく、または多孔質構造膜内に収容されていてもよい。カチオンまたはプロトン輸送高分子電解質材料類は、アニオン性基を含有するポリマー類の塩であってよく、また多くの場合、部分的もしくは完全にフッ素化されている。
【0004】
燃料電池MEA類は、Pt触媒または炭素担持Pt触媒のどちらかを適用した分散体の形態の触媒電極類を用いて構成されていた。高分子電解質膜に用いられる触媒の形態は、クロロ白金酸(chloroplatnic acid)の還元などの湿式化学法によって、より大きな炭素粒子上にコーティングされたPtまたはPt合金である。この形態の触媒は、アイオノマー系バインダー類、溶媒類、および多くの場合、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子類によって分散され、膜もしくは拡散集電体のどちらかに適用されるインク、ペーストまたは分散体を形成する。
【0005】
最近になって、触媒層は、触媒材料の粒子または薄膜を有するナノ構造支持要素を利用して形成された。ナノ構造触媒電極類は、ICMの非常に薄い表面層中に組み込んで触媒粒子類の高濃度分布を形成することができる。ナノ構造薄膜(NSTF)触媒層の利用によって、触媒の利用度を極めて高くすることができ、また分散法によって形成される触媒層よりも触媒の耐久性を高くすることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、化学デバイスや電気化学デバイスに利用される強化触媒層の製造方法について説明し、そして従来技術よりも優れた様々な利点を提供する。
【0007】
本発明は、増大された表面積を有する多層ナノ構造フィルム、およびかかるフィルムの製造方法を目的とする。本発明の一実施形態は、複数のナノ構造層を含む物品であって、前記ナノ構造層が針状のナノ構造支持要素を含む物品を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
様々な実施において、ナノ構造支持要素は、平均断面寸法約0.1μm未満および長さ約0.6μm超を有していてよい。ナノ構造層はそれぞれ、1cm当たりナノ構造支持要素約10個〜約1011個までの範囲のナノ構造支持要素の面密度を有してよい。ナノ構造層それぞれの厚さは、約0.3〜約1.3μmであってよい。多層フィルム一枚当たり約2層〜10層であってよい。ナノ構造支持要素は、本明細書では「ペリレンレッド」と表されるC.I.色素149などの有機系材料から形成されてよい。
【0009】
本発明の一態様によれば、ナノ構造層のナノ構造支持要素を用いて、ナノ構造薄膜触媒層を形成してよい。これらの実施において、多層構造のナノ構造支持要素は、触媒材料の適合するコーティングで被覆されている。
【0010】
ナノ構造要素の多層フィルムは、基材上に形成されてよい。基材は、多孔質であっても、および/または微構造化表面を有していてもよい。複数のナノ構造層を、例えば、イオン導電膜の表面上または拡散集電体の上に配置してもよい。
【0011】
多層フィルムを用いて形成された触媒層を用いて膜電極接合体を形成してよく、これを次にプロトン交換膜(PEM)燃料電池類および/または電解槽類などの様々な電気化学デバイスに組み込んでもよい。他の応用では、多層ナノ構造フィルムは、フィルター類、光学吸収体類、光起電デバイス類、センサー類、フレキシブル電子回路類、および/または生物学的吸着支持体用途に用いてもよい。
【0012】
本発明の別の実施形態は、複数のナノ構造層を形成するための方法を包含する。第1材料層を基材上に堆積させ、アニールして、第1のナノ構造支持要素層を形成する。第1層のナノ構造支持要素の成長部位を、例えば、第1層のナノ構造支持要素上に金属などの閉塞材料を堆積させることによって閉塞する。第2材料層を第1のナノ構造支持要素層上に堆積させる。第2材料層をアニールして、第2のナノ構造支持要素層を形成する。
【0013】
第1材料層および第2材料層は、ペリレンレッドなどの有機系材料を含んでよい。複数の層の形成は、第1材料層および第2材料層を約230℃〜約270℃の温度で約3分〜約60分間アニールすることを伴ってよい。
【0014】
本発明の一態様によれば、白金族金属などの触媒材料を、前記の第1層および第2層の上に堆積させ、これら第1層および第2層のナノ構造支持要素を均一にコーティングしてよい。
【0015】
一実施によれば、多層ナノ構造フィルムをイオン導電膜の少なくとも一つの表面に転写して、触媒で被覆された膜を形成してよい。別の実施によれば、多層ナノ構造フィルムを拡散集電体上に形成してもよい。触媒で被覆された多層ナノ構造フィルムを膜電極接合体中に組み込んでもよい。
【0016】
上記の課題を解決するための手段は、本発明の各実施形態またはあらゆる実施を説明するものではない。本発明の利点及び効果、並びに本発明に対する一層の理解は、下記の発明を実施するための最良の形態及び特許請求の範囲を添付図面と併せて参照することによって明白となり、また理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
例示実施形態についての以降の記述では、本明細書の一部を形成しかつ本発明が実施され得る様々な実施形態を一例として表している添付の図面について説明する。本発明の範囲から逸脱することなく、これら実施形態を利用して構造の変更を行うことができるものと理解すべきである。
【0018】
表面または薄膜の一つの重要な特性は、その表面積である。前記表面に分子が吸着して、その表面上で他の分子と反応する度合いまたはそれら分子同士が反応する度合いは、利用可能な表面積に直接依存する。不均質な化学または電気化学触媒作用では、表面上で生じるプロセスの効力は、表面積の大きさによって決まる。表面の面積を制御および増大できることは有利である。構造支持要素(微構造化および/またはナノ構造支持要素)を形成することによって、一つの層の表面積が増大する。
【0019】
本発明は、多層ナノ構造フィルム、多層ナノ構造フィルムを組み込んだ物品、およびかかるフィルムの製造方法を目的とする。多層ナノ構造フィルムの各層は、多数のナノ構造支持要素またはウイスカを有する。例えば、多層フィルムの層それぞれは、1cm当たり約10個〜約1011個のナノ構造支持要素までの範囲のナノ構造支持要素の面密度を有してよい。多層ナノ構造フィルムは、いかなる数の層を含んでもよい。例えば、層の数は、約2層〜約10層までの範囲であってよい。
【0020】
単層フィルムと比べて、ナノ構造支持要素の増大した面数密度(数/cm)を有する多層フィルム類が形成され、それ故に、触媒粒子類を支持するために増大した表面積が提供され得る。触媒支持要素のより高い面数密度、より高い質量比面積(m/g)を得ることができる。本明細書で説明する多層ナノ構造フィルムは、機能活性が、表面活性粒子または薄膜コーティングを支持するために利用できる表面積と関連するデバイス類において特に有用である。
【0021】
本明細書で提供される実施例は、主に燃料電池用途に関する。しかしながら、多層ナノ構造層は、様々な化学デバイスおよび電気化学デバイスに利用することができ、これには、幾つかある装置の中でも、例えば、フィルター類、光学吸収体類、バッテリー類、電解槽類、光起電デバイス類、センサー類、フレキシブル電子回路類、改質装置類、触媒コンバータ類、酸化装置類、および/または生物学的吸着支持体類が挙げられる。
【0022】
本明細書における実施形態で説明される多層フィルムを用いて、膜電極接合体類(MEA類)に用いられる触媒層を形成することができる。これらの用途では、触媒層の表面積は、燃料電池または他の電気化学デバイスにおけるそれらの性能に結びつく。ナノ構造薄膜触媒類の表面積は、様々な空間規模で生じる少なくとも4つの主要な特徴で決定される。これらの特徴には、次のものが包含される:個々のナノ構造支持要素それぞれの上における触媒コーティングの表面粗さ、平均的に触媒で被覆されたナノ構造要素の幾何学的な表面積(これは、ほぼ直円柱に近似されてよい)、単位面積当たりの支持要素類の数、およびナノ構造支持要素がその上で成長する、基材の表面積。
【0023】
第1近似のために、単層ナノ構造フィルムの幾何学的な表面積は、個々のナノ構造要素を、平滑な表面、直径W、長さL、および1平方cm当たりの数密度Nを有する直円柱として処理することによって簡単に算出することができる。単純化するためにナノ構造要素の先端部分(tips)の面積を無視すれば、単位平面面積当たりのフィルムの表面積は、単純には、S=πW×L×Nである。加えて、ナノ構造要素の表面が平滑でないが、平滑な表面に比べて粗さファクターR(>1)を有するのであれば、S=πW×L×N×Rである。最後に、ナノ構造が、平面の場合よりも表面積増加分αを有する、より大規模の微構造化基材上で成長するのであれば、S=απW×L×N×Rである。Sには、Sを増加させるための5つのパラメータまたは方法があることが、
この式から分かる。本明細書で説明される多層フィルム類は、より高い密度(単位面積当たりのナノ構造要素の数)Nを提供し、それ故に、触媒層の表面積Sを増加させる。本発明の実施形態による多層ナノ構造フィルムの形成を、図1のフローチャートに例示する。このプロセスは、複数の針状のナノ構造支持要素層をもたらす。このプロセスは、基材上の第1材料層の堆積110と、第1アニール工程中のナノ構造支持要素の形成120を包含する。第1層のナノ構造支持要素の成長を抑制する125。例えば、閉塞材料をナノ構造支持要素上に堆積させる。閉塞材料は、ナノ構造支持要素の更なる成長を抑制する。第2材料層を、第1のナノ構造支持要素層上に堆積させる130。第2アニール工程140により、第2のナノ構造支持要素層が生成される。追加のナノ構造支持要素層を形成してもよい。例えば、約2層〜約10層を形成してよい。前記フィルムの表面積は、積み重ねたナノ構造支持要素層の数に相当する倍率で増大させることができる。
【0024】
ナノ構造層類を堆積させるための基材として有用な材料類としては、気相堆積工程とアニール工程の間にそれらに課される温度および真空においてそれらの一体性を維持するものが挙げられる。基材は、可撓性または剛性の、平面または非平面、凸状、凹状、テクスチャー加工したもの、あるいはこれらの組み合わせであり得る。基材は、例えばフィルター用途において有用な多孔質材料から製造されてよい。
【0025】
好ましい基材材料には、有機材料および無機材料が包含される(例えば、ガラス類、セラミック類、金属類、および半導体類が挙げられる)。好ましい無機基材材料はガラスまたは金属である。好ましい有機基材材料は、ポリイミドである。より好ましくは、基材は、非金属の場合、静電気を除去するためまたは有用な光学特性を付与するために、10〜70nm厚の導電性金属層で金属被覆する。この層は不連続であってよい。
【0026】
代表的な有機基材類としては、アニール温度で安定なものであって、例えば、ポリイミドフィルム(例えば、デラウェア州ウィルミントン(Wilmington)のデュポン・エレクトロニクス(DuPont Electronics)から販売名「カプトン(KAPTON)」として市販されているもの)、高温安定性ポリイミド類、ポリエステル類、ポリアミド類(polyamids)、およびポリアラミド類(polyaramids)などのポリマー類が挙げられる。
【0027】
基材類として有用な金属類としては、例えば、アルミニウム、コバルト、クロム、モリブデン、ニッケル、白金、タンタル、またはこれらの組み合わせが挙げられる。基材材料として有用なセラミックスとしては、例えば、アルミナおよびシリカなどの金属酸化物または非金属酸化物類が挙げられる。有用な無機非金属は、シリコンである。
【0028】
ナノ構造支持要素類は、様々な配向性や、直線形状および湾曲した形状を有することができる(例えば、ウイスカー類、棒状、錐形、ピラミッド状、球形、円筒形、細長いもの(laths)、管状などであって、これらは、ねじるか、湾曲させるか、中空であるか、または真っ直ぐであり得る)。ナノ構造支持要素類は、C.I.色素赤色149号(ペリレンレッド)などの有機色素を用いて形成されてよい。支持要素類に使用される材料類は、好ましくは、基材上に堆積されるときに連続層を形成することが可能である。幾つかの用途では、連続層の厚さは、約1ナノメートル〜約1000ナノメートルまでの範囲である。
【0029】
ナノ構造支持要素の形成方法は、同一所有者の米国特許第4,812,352号、米国特許第5,879,827号、および米国特許第6,136,412号に説明されており、これら特許を参照として本明細書に組み込む。有機ナノ構造層の製造方法は、材料科学と工業(Materials Science and Engineering)、A158(1992年)、1〜6頁;真空科学技術学会誌(J. Vac. Sci. Technol.)A、5(4)、7月/8月号、1987年、1914〜1916頁;真空科学技術学会誌A、6、(3)、5月/8月号、1988年、1907〜1911頁;固体薄膜(Thin Solid Films)、186、1990年、327〜347頁;材料科学会誌(J. Mat. Sci.)、25、1990年、5257〜5268頁;液体急冷金属(Rapidly Quenched Metals)、第5回液体急冷金属に関する国際会議の予稿集、ドイツ国ウュルツブルグ(Wurzburg)(1984年9月3日〜7日)、S.スティーブ(S. Steeb)等編、ニューヨークのエルシヴィア・サイエンス出版(Elsevier Science Publishers B.V.)(1985年)、1117〜1124頁;光科学と工業(Photo. Sci. and Eng.)、24、(4)、7月/8月、1980年、211〜216頁;および米国特許第4,568,598号、米国特許第4,340,276号に開示されており、これら特許の開示内容を参照として本明細書に組み込む。炭素ナノチューブアレイを用いた触媒層の特性は、論文「穴を整列させた炭素ナノチューブアレイにおける白金の高度分散および電極触媒性(High Dispersion and Electrocatalytic Properties of Platinum on Well-Aligned Carbon Nanotube Arrays)」、炭素42(Carbon 42)(2004年)191〜197頁に開示されている。
【0030】
ナノ構造の成長源である材料の堆積は、有機材料層を基材上に適用するための当該技術分野において公知の技術を利用して有機色素層を基材上にコーティングすることを伴い、これには、例えば、気相成膜法(例えば、蒸着、昇華、および化学気相成膜法)、および溶液塗布または分散液塗布(例えば、ディップ塗布、スプレー塗布、スピン塗布、ブレード塗工またはナイフ塗布、バー塗布、ロール塗布、および流し込み塗布(すなわち、液体を表面に流し込んで、この液体を表面上で流動させること))が挙げられる。
【0031】
一実施形態では、ペリレンレッドの有機層、またはその他の好適な材料を物理的真空蒸着(すなわち、適用された真空下での有機材料の昇華)によって適用する。ペリレンレッド層の厚さは、例えば、約0.03〜約0.5μmまでの範囲であってよい。前記有機層を、第1アニール工程中に真空下(すなわち、約0.1パスカル未満)でアニールして、堆積させたままの(as-deposited)ペリレンレッドからナノ構造支持要素を成長させる。コーティングしたペリレンレッドは、例えば、約160〜約270℃までの範囲の温度でアニールしてよい。最初の有機層をナノ構造層に転化するのに要するアニール時間は、アニール温度に依存する。
【0032】
典型的に、約2分〜約6時間までの範囲のアニール時間で十分である。例えば、アニールは、約20分〜約4時間までの範囲であってよい。ペリレンレッドの場合、実質的に全ての最初の有機層をナノ構造支持要素に転化するが、最初の堆積させた材料を昇華させない最適なアニール温度は、堆積させた層の厚さによって変化することが認められる。典型的に、最初の有機層の厚さが約0.05〜約0.15μmである場合、アニール温度は約245〜約270℃までの範囲である。
【0033】
ナノ構造支持要素類の成長に関するこの基本的なメカニズムは、堆積させたままの(as-deposited)層において出現するらせん転位の結果生じ、この転位は配向した別個の結晶ウイスカのための成長部位として機能する。フィルムを真空下で加熱(アニール)すると、ペリレン分子類は、再度昇華するよりもむしろ、表面上を前記転位部位方向へ拡散して、ナノ構造支持要素の成長を開始する。
【0034】
前述の方法によるナノ構造支持要素の初期形成後、ナノ構造支持要素の更なる成長を抑制する。例えば、支持要素の更なる成長は、前記支持要素上に閉塞材料を堆積させることによって抑制され得る。閉塞材料は、無機材料であることができ、またはそれは高分子材料を包含する有機材料であることができる。有用な閉塞材料類には、原子的にまたはナノ構造支持要素のらせん転位成長部位を閉塞するために十分に小さな分子で堆積させることができるあらゆる金属または他の材料が包含される。例えば、閉塞材料は、Pt、Pd、Au、Ruなどを含んでよい。
【0035】
閉塞材料の好ましい厚さは、典型的に、約0.2〜約50nmまでの範囲である。閉塞材料を、ナノ構造層上に従来の技術を用いて堆積させてもよい。機械力によるナノ構造層の錯乱を回避するあらゆる方法を用いて、閉塞材料を堆積させることができる。好適な方法としては、例えば、気相成膜法(例えば、蒸着、スパッタコーティング、および化学気相成膜法)溶液塗布または分散液塗布(例えば、ディップ塗布、スプレー塗布、スピン塗布、流し込み塗布(すなわち、液体を表面に流し込んで、この液体をナノ構造層上で流動させた後、溶媒を除去させること))、浸漬塗布(すなわち、微構造化層が溶液から分子類を、または分散液からコロイド類もしくは他の粒子類を吸着することができるのに十分な時間、その微構造化層を溶液に浸漬すること)、電気めっきおよび無電解メッキが挙げられる。閉塞材料は、例えば、イオンスパッタ蒸着、カソードアーク蒸着、蒸気凝縮、真空昇華法、物理気相輸送、化学気相輸送、および金属有機化学気相成膜法などの気相成膜法によって堆積されてよい。幾つかの実施形態において、適合するコーティング材料は、触媒金属または金属合金である。
【0036】
初期のナノ構造支持要素の成長を抑制した後、現存するナノ構造支持要素上に第2材料層を堆積させる。例えば、第2ペリレンレッド層、またはナノ構造層を生成できることが知られている他の材料層を、室温でもしくは室温付近で、現存するナノ構造支持要素上に真空コーティングしてもよい。第2アニール工程は、材料の2回目の堆積に続く。第2堆積工程およびアニール工程によって、第2のナノ構造層が形成される。ある実施では、2回目の堆積は、約500オングストロームの厚さを有するペリレンレッドのコーティングを必要とする場合がある。このアセンブリはその後、約160〜約270℃までの範囲の温度で約2分〜約6時間、2度目のアニールに付す。
【0037】
本明細書で説明したプロセスによって形成される多層フィルムのナノ構造支持要素は、約0.6μmを超える垂直寸法と、約0.03μm〜約0.1μmまでの範囲の水平寸法とを有してよい。ナノ構造支持要素の長さ対平均断面寸法の縦横比は、約3:1〜約100:1であってよい。幾つかの実施では、ナノ構造支持要素の各層の厚さは、約0.3〜約1.3μmであってよい。
【0038】
ナノ構造層を形成させるのに有用な有機材料には、例えば、そのπ電子密度が広範に非局在化した鎖または環を含む平面分子類が包含される。これら有機材料は、一般に、ヘリンボーン形状で結晶化する。例えば、幾つかの実施形態では、多核式芳香族炭化水素類および複素環式芳香族化合物類として広く分類されている有機材料を用いる。これら材料としては、例えば、ナフタレン類、フェナントレン類、ペリレン類、アントラセン類、コロネン類、およびピレン類が挙げられる。前述のように、有用な多核式芳香族炭化水素は、N,N’−ジ(3,5−キシリル)ペリレン−3,4,9,10ビス(ジカルボキシイミド)(ニュージャージー州サマーセット(Somerset)の米国ヘキスト社(American Hoechst Corp.)から取引表記「C.I.色素 赤色149号(C. I. PIGMENT RED 149)」として市販されているもの)であって、本明細書では「ペリレンレッド」と表す。
【0039】
ナノ構造層を製造するのに有用な無機材料としては、例えば、炭素、ダイアモンド状炭素、炭素ナノチューブ類、セラミックス(例えば、アルミナ、シリカ、酸化鉄、および酸化銅などの金属酸化物または非金属酸化物;窒化ケイ素および窒化チタンなどの金属窒化物または非金属窒化物;および、炭化ケイ素などの金属炭化物または非金属炭化物;ホウ化チタンなどの金属ホウ化物または非金属ホウ化物);硫化カドミウムおよび硫化亜鉛などの金属硫化物または非金属硫化物;ケイ化マグネシウム、ケイ化カルシウム、およびケイ化鉄などの金属ケイ化物;金属類(例えば、金、銀、白金、オスミウム、イリジウム、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、およびこれらの組み合わせなどの貴金属類;スカンジウム、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、ジルコニウム、およびこれらの組み合わせなどの遷移金属類、ビスマス、鉛、インジウム、アンチモン、スズ、亜鉛、およびアルミニウムなどの低融点金属類;タングステン、レニウム、タンタル、モリブデン、およびこれらの組み合わせなどの高融点金属類);および半導体材料類(例えば、ダイアモンド、ゲルマニウム、セレン、砒素、ケイ素、テルル、ガリウム砒化物、アンチモン化ガリウム、りん化ガリウム、アンチモン化アルミニウム、アンチモン化インジウム、インジウムスズ酸化物、アンチモン化亜鉛、りん化インジウム、砒化アルミニウムガリウム、テルル化亜鉛、およびこれらの組み合わせ)が挙げられる。
【0040】
前述のように、本明細書で説明した多層ナノ構造フィルムを用いて、燃料電池膜電極接合体類(MEA類)での利用に好適なナノ構造触媒層を形成してもよい。複数の層の増大した表面積は、プロトン交換膜(PEM)燃料電池類および/または電解槽類(electrolyers)で利用されるもののようなより高い触媒負荷特性を、MEA類に有利に付与する。
【0041】
ナノ構造支持要素を適切にコーティングする触媒材料の1つ以上の層は、所望の触媒特性を与える機能層として働き、そして更に、導電性や機械特性(例えば、各ナノ構造層を含む支持要素を強化および/または保護する特性)、および低い蒸気圧特性をも与える場合がある。
【0042】
初期ナノ構造支持要素の先端部分(tips)を閉塞させるために用いられるのと同じ材料を、適合する触媒コーティングとして用いてもよい。適合するコーティングは、有機材料でも無機材料でもよい。有用な無機の適合するコーティング材料としては白金族金属類が挙げられ、これらには、Pt、Pd、Au、Ruなど、これら金属の合金類、および本明細書に記載した遷移金属類などの他の無機材料が包含される。適合するコーティングは、例えば、Fe/C/N、導電性高分子類(例えば、ポリアセチレン)、およびポリ−p−キシレン由来のポリマー類などの材料を含んでよい。
【0043】
適合するコーティングの好ましい厚さは、典型的に、約0.2〜約50nmまでの範囲内である。適合するコーティングは、常套の技術を用いてナノ構造層上に堆積されてよく、これには、例えば、米国特許第4,812,352号、および米国特許第5,039,561号に開示されているものが包含され、これら特許の開示内容を参照として本明細書に組み込む。機械力によるナノ構造層の錯乱を回避するあらゆる方法を用いて、均一なコーティングを堆積させることができる。好適な方法としては、例えば、気相成膜法(例えば、真空蒸着、スパッタコーティング、および化学気相成膜法)溶液塗布または分散液塗布(例えば、ディップ塗布、スプレー塗布、スピン塗布、流し込み塗布(すなわち、液体を表面に流し込んで、この液体を微構造化層上で流動させた後、溶媒を除去させること))、浸漬塗布(すなわち、多層ナノ構造フィルムを、前記層が溶液から分子類を、または分散液からコロイド類もしくは他の粒子類を吸着させることができるのに十分な時間、溶液に浸漬すること)、電気めっきおよび無電解メッキが挙げられる。適合するコーティングは、例えば、イオンスパッタ蒸着、カソードアーク蒸着、蒸気凝縮、真空昇華法、物理気相輸送、化学気相輸送、金属有機化学気相成膜法、イオンアシスト蒸着、およびJET蒸着(JET VAPOR DEPOSITION)(商標)などの気相成膜法によって堆積されてよい。幾つかの実施形態では、適合するコーティング材料は、触媒金属または金属合金である。
【0044】
模様の付いた適合するコーティングを堆積させる場合、このような不連続コーティングを生成するために、当該技術分野で公知の手段によって前記堆積技術を修正する。公知の修正としては、例えば、マスク類、シャッター類、移動する基材類、指向性イオンビーム類、および付着源ビームの利用が挙げられる。
【0045】
幾つかの用途では、形成された針状ナノ構造支持要素類の重要な態様は、それらが初期基材から膜中へ容易に転写可能であり、MEA触媒電極層を形成させること;それらが、ナノ構造支持要素上でのより高い負荷(重量百分率)の触媒コーティングを、好ましくは、支持体と触媒粒子類の総重量に対して少なくとも80重量%の割合の触媒コーティングを表面上に堆積させることができること;それらが、基材平面の面積の少なくとも10〜15倍の大表面積値の支持体を触媒に提供するのに十分な数密度と縦横比を有すること;そして初期基材上での針状ナノ構造支持要素の形状と配向が、触媒材料を有する要素の均一なコーティングを促すことである。
【0046】
触媒堆積法の重要な態様は、それらが、結果として、10ナノメートル程度、好ましくは2〜50nm程度の粒径の多結晶粒子類を含む薄い触媒フィルムであって、前記支持要素の外表面積の少なくとも一部を均一にコーティングするものを形成させることである。
【0047】
一般に、触媒は、触媒粒子中に成長する核形成部位で、ナノ構造支持要素上に堆積される。得られた触媒粒子の寸法は、支持要素の初期寸法と触媒負荷との関数であることが発見された。同じ触媒負荷(mg/cm)の場合、より長い触媒支持体の方が、同じ断面寸法のより短い触媒支持要素と比べると、より小さな触媒粒径を有するより薄い触媒フィルムをもたらす。
【0048】
図2のフローチャートには、本発明の実施形態による触媒で被覆された膜の製造方法を示している。第1材料を転写基材上に堆積させ210、アニールして、ナノ構造支持要素の第1層を形成させる220。ナノ構造支持要素の成長を、例えば、閉塞材料をナノ構造支持要素上に堆積させることによって抑制する225。材料の第2層を、閉塞されたナノ構造支持要素上に堆積させる230。この材料をアニールして、前記第1層上にナノ構造支持要素の第2層を形成させる240。
【0049】
触媒材料をナノ構造支持要素の前記第1および第2層上に堆積させて、ナノ構造触媒層を形成させる250。ナノ構造触媒層を、次に、イオン導電膜(ICM)の片面または両面と対向して配置して、中間体アセンブリを形成させる260。この中間体アセンブリに圧力、および任意に熱を加えて、触媒層をICMに結合する270。剥離工程で転写基材を除去して、触媒で被覆された膜を残す280。
【0050】
イオン導電膜(ICM)は、いかなる好適なイオン交換電解質から構成されてよい。電解質類は、好ましくは固体またはゲルである。本発明において有用な電解質類としては、高分子電解質類などのイオン導電性材料類、およびイオン交換樹脂類を挙げることができる。電解質類は、好ましくは、プロトン交換膜燃料電池での利用に好適なプロトン伝導性アイオノマー類である。
【0051】
テトラフルオロエチレン(TFE)と、次式:FSO−CF−CF−O−CF(CF)−CF−O−CF=CFによるコモノマーとのコポリマー類が知られており、デラウェア州ウィルミントン(Wilmington)のデュポン・ケミカル・カンパニー(DuPont Chemical Company)製の商標名ナフィオン(Nafion)(登録商標)として硫酸形態で、すなわち、HSO−に加水分解されるFSO−末端基を有する形態で販売されている。ナフィオン(Nafion)(登録商標)は、通常、燃料電池で利用するために、高分子電解質膜を製造する際に一般的に利用される。テトラフルオロエチレン(TFE)と、次式:FSO−CF−CF−O−CF=CFによるコモノマーとのコポリマー類も公知であり、燃料電池で利用するための高分子電解質膜を製造する際に、スルホン酸形態で、すなわち、HSO−に加水分解されるFSO−末端基を有する形態で利用される。テトラフルオロエチレン(TFE)と、HSO−に加水分解されるFSO−末端基を有するFSO−CFCFCFCF−O−CF=CFとのコポリマー類が最も好ましい。
【0052】
本発明において有用なイオン導電性材料類は、アルカリ(alkalai)金属塩もしくはアルカリ(alkalai)土類金属塩またはプロトン酸と、ポリエーテル、ポリエステル、またはポリイミドなどの一つ以上の極性ポリマー類との錯体類、あるいはアルカリ(alkalai)金属塩もしくはアルカリ(alkalai)土類金属塩またはプロトン酸と、上記極性ポリマーをセグメントとして含有する網状組織または架橋ポリマーとの錯体類であることができる。有用なポリエーテル類としては、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノエーテル、ポリエチレングリコールジエーテル、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールモノエーテル、およびポリプロピレングリコールジエーテルなどのポリオキシアルキレン類;これらポリエーテル類のコポリマー類、例えば、ポリ(オキシエチレン−コ−オキシプロピレン)グリコール、ポリ(オキシエチレン−コ−オキシプロピレン)グリコールモノエーテル、およびポリ(オキシエチレン−コ−オキシプロピレン)グリコールジエーテル;エチレンジアミンと上記ポリオキシアルキレン類との縮合生成物;上記ポリオキシアルキレン類のリン酸エステル類、脂肪族カルボン酸エステル類、または芳香族カルボン酸エステル類などのエステル類が挙げられる。例えば、ポリエチレングリコールとジアルキルシロキサン類とのコポリマー、ポリエチレングリコールと無水マレイン酸とのコポリマー、またはポリエチレングリコールモノエチルエーテルとメタクリル酸とのコポリマーは、当該技術分野では公知であり、本発明のICMにおいて有用であるのに十分なイオン伝導度を示す。
【0053】
有用な錯体形成試薬類としては、アルカリ(alkalai)金属塩類、アルカリ(alkalai)土類金属塩、並びにプロトン酸類、およびプロトン酸塩類が挙げられる。上記塩類で有用な対イオン類は、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、チオシアン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、フルオロホウ酸イオンなどであることができる。このような塩類の代表例としては、これらに限定されないが、フッ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化リチウム、過塩素酸リチウム、チオシアン酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、フルオロホウ酸リチウム、六フッ化リン酸リチウム、リン酸、硫酸、トリフルオロメタンスルホン酸、テトラフルオロエチレンスルホン酸、ヘキサフルオロブタンスルホン酸などが挙げられる。
【0054】
本発明において電解質として有用なイオン交換樹脂類としては、炭化水素系樹脂およびフルオロカーボン系樹脂が挙げられる。炭化水素系イオン交換樹脂類には、フェノール酸系樹脂またはスルホン酸系樹脂;フェノール−ホルムアルデヒド、ポリスチレン、スチレン−ジビニルベンゼンコポリマー類、スチレン−ブタジエンコポリマー類、スチレン−ジビニルベンゼン−塩化ビニルターポリマー類などのような縮合樹脂類であって、スルホン化によるカチオン交換能力を持たせたもの、またはクロロメチル化後に、対応する四級アミンへ転化することによってアニオン交換能力を持つものを挙げることができる。
【0055】
フルオロカーボン系イオン交換樹脂類としては、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロスルホニルエトキシビニルエーテルまたはテトラフルオロエチレン−ヒドロキシル化(ペルフルオロビニルエーテル)コポリマー類の水和物類を挙げることができる。例えば、燃料電池のカソードにおいて耐酸化性および/または耐酸性が望まれる場合、スルホン酸、カルボン酸、および/またはリン酸官能性を有するフルオロカーボン系樹脂類が好ましい。フルオロカーボン系樹脂類は、典型的に、ハロゲンや強酸類および強塩基類による酸化に優れた耐性を示し、そして本発明において有用な複合電解質膜類に好ましいことがある。スルホン酸基官能性を有するフルオロカーボン系樹脂類の一群は、ナフィオン(Nafion)(商標)樹脂類(デラウェア州ウィルミントン(Wilmington)のデュポン・ケミカルズ(DuPont Chemicals)製であって、マサチューセッツ州ウォバーン(Woburn)のエレクトロケム社(ElectroChem, Inc.)およびウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee)のアルドリッチ・ケミカル社(Aldrich Chemical Co., Inc.)から入手可能なもの)である。本発明において有用であり得る他のフルオロカーボン系イオン交換樹脂類は、アリールペルフルオロアルキルスルホニルイミドカチオン交換基を含有するオレフィン類の(コ)ポリマー類であって、次の一般式(I):CH(下付き)2=CH−Ar−SO−N−SO(C+n F+2n)を有するものを含み、前記式中、nは0〜11、好ましくは0〜3、そして最も好ましくは0であり、また前記式中、Arはあらゆる置換もしくは非置換の二価のアリール基、好ましくは単環式の基、そして最も好ましくは二価のフェニル基(本明細書ではフェニルと呼ぶ)である。Arには、いかなる置換もしくは非置換の芳香族部分が包含されてもよく、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インデン、フルオレン、シクロペタジエンおよびピレンが挙げられ、ここで、前記部分の分子量は、好ましくは400以下、より好ましくは100以下である。Arは、本明細書中で定義されるように、いかなる基で置換されてもよい。一つのこのような樹脂は、次式(II):スチレニル−SO−SOCFを有するスチレニルトリフルオロメチルスルホニルイミド(STSI)のフリーラジカル重合に由来するイオン導電性材料、p−STSIである。
【0056】
ICMはまた、上記電解質類のうちいずれかと組み合わせた多孔質膜材料を含む複合膜であってもよい。いかなる好適な多孔質膜も使用してよい。本発明の強化膜類として有用な多孔質膜類は、少なくとも1つの液状の電解質溶液をその中に注入または吸収させるのに十分な多孔性を有し、かつ電気化学電池内での動作条件に耐えるのに十分な強度を有するいかなる構造のものであることもできる。好ましくは、本発明において有用な多孔質膜類は、ポリオレフィンまたはハロゲン化、好ましくはフッ素化、ポリ(ビニル)樹脂のように、前記電池内での条件に不活性なポリマーを含む。日本国東京の住友電気工業社(Sumitomo Electric Industries, Inc.)製のポアフロン(Poreflon)(商標)および、ペンシルバニア州フィースターヴィル(Feasterville)のテトラテック社(Tetratec, Inc.)製のテトラテックス(Tetratex)(商標)などの膨張性PTFE膜類を使用してもよい。
【0057】
本発明において有用な多孔質膜類は、例えば、米国特許第4,539,256号、米国特許第4,726,989号、米国特許第4,867,881号、米国特許第5,120,594号、および米国特許第5,260,360号に記載されているように、熱誘導型相分離(TIPS)法で調製されたミクロ孔質フィルムを含んでよく、これら特許の教示を参照として本明細書に組み込む。TIPSフィルムは、間隔を空けて無作為に分散した、等軸の、不均一な形状の、多数の熱可塑性ポリマー粒子類であって、前記ポリマーの結晶化温度では前記ポリマーと不混和性である液体で任意にコーティングされており、好ましくはフィルム、膜、またはシート材料の形状を呈している。粒子で画定されるミクロ細孔は、好ましくは、電解質をその中に組み込ませるのに十分な寸法のものである。
【0058】
TIPSプロセスでフィルムを調製するのに好適なポリマー類には、熱可塑性ポリマー類、感熱ポリマー類、および混合したポリマー類が相溶し得る限り、これらのポリマー類の混合物が包含される。超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)などの感熱ポリマー類は、直接、溶融加工することはできないが、溶融加工するためにその粘度を十分に低下させる希釈剤の存在下で溶融加工することが可能である。
【0059】
好適なポリマー類には、例えば、結晶性ビニルポリマー類、縮合ポリマー類、および酸化ポリマー類が包含される。代表的な結晶性ビニルポリマー類としては、例えば、高密度および低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリ(メチルメタクリレート)などのポリアクリレート類、ポリ(フッ化ビニリデン)などのフッ素含有ポリマー類などが挙げられる。有用な縮合ポリマー類としては、例えば、ポリ(エチレンテレフタレート)およびポリ(ブチレンテレフタレート)などのポリエステル類、ナイロン(Nylon)(商標)族の多数の構成員を包含するポリアミド類、ポリカーボネート類、ポリスルホン類が挙げられる。有用な酸化ポリマー類としては、例えば、ポリ(フェニレンオキサイド)およびポリ(エーテルケトン)が挙げられる。ポリマー類およびコポリマー類のブレンドも本発明で使用してよい。本発明の強化膜類として使用するのに好ましいポリマー類には、それらの加水分解耐性および耐酸化性のために、ポリオレフィン類およびフッ素含有ポリマー類などの結晶性ポリマー類が包含される。好ましいポリオレフィン類としては、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンコポリマー類、およびポリ(フッ化ビニリデン)が挙げられる。
【0060】
幾つかの実施形態では、触媒層を拡散集電体(DCC)上に直接形成してよい。DCCは、反応物質ガスを通過させている間に電極から電流を集めることが可能ないかなる材料でもあり得る。DCC類は、ガス状反応物質および水蒸気が触媒や膜へ透過できる通路を提供し、そして更には、外部負荷に電力を供給するために、触媒層内で発生した電流を集める。DCCは、典型的に、カーボン紙、あるいは炭素または金属などの導電性材料のメッシュ、または、多孔質のもしくは透過性のウェブもしくは布地を含む。
【0061】
拡散集電体類(DCC類)は、ミクロ孔質層(MPL)および電極裏材層(EBL)を包含し、ここで、MPLは、触媒層とEBLとの間に配置される。EBL類の炭素繊維構造体は、一般に粗く多孔質の表面を有しており、触媒層と低結合性接着を示す。結合性接着を高めるために、MPLをEBL類の表面上にコーティングする。このことがEBL類の粗く多孔質の表面を平滑にし、触媒層との良好な結合性接着を提供し、そして水透過特性を提供する。
【0062】
EBL類はそれぞれ、炭素繊維構造体(例えば、織られた炭素繊維構造体および不織炭素繊維構造体)のような、いかなる好適な導電性多孔質基材であってもよい。市販の炭素繊維構造体類の例としては、マサチューセッツ州ローウェル(Lowell)のバラード・マテリアル・プロダクツ(Ballard Material Products)製の取引表記「アヴカーブ(AvCarb)P50」炭素繊維紙;マサチューセッツ州ウォバーン(Woburn)のエレクトロケム社(ElectroChem, Inc.)から入手可能な「東レ(Toray)」カーボン紙;マサチューセッツ州ローレンス(Lawrence)のスペクトラコープ(Spectracorp)製の「スペクトラカーブ(SpectraCarb)」;マサチューセッツ州イースト・ワルポール(East Walpole)のハリングスワース・アンド・ヴォーズ・カンパニー(Hollingsworth & Vose Company)製の「AFN」不織炭素布;およびミズーリ州セント・ルイス(St. Louis)のゾルテック・カンパニーズ社(Zoltek Companies, Inc.)製の「ゾルテック(Zoltek)」炭素布が挙げられる。EBL類を更に処理して、疎水性を高めるかまたは付与してもよい。例えば、EBL類を、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)およびフッ素化エチレンプロピレン(FEP)などの高度フッ素化ポリマー類で処理してもよい。
【0063】
本明細書に記載の触媒で被覆されたナノ構造類は、ICMの表面に直接適用されてよいが、その全体に埋め込まなくてよい。触媒で被覆されたナノ構造要素類は、粒子類とICMとの間に頑丈な接合を作製する必要がある限りにのみ、埋め込まれてよい。触媒で被覆されたナノ構造要素類の体積の99%程度をICM内部に埋め込んでよいが、好ましくは触媒で被覆されたナノ構造要素類の体積の95%以下、そしてより好ましくは90%以下をICM内部に収容する。幾つかの実施形態では、触媒で被覆されたナノ構造要素類はそれぞれ、一部がICM内部に、そして一部がICMの外部にあってよい。その他の実施形態では、触媒で被覆されたナノ構造要素類の全個体群のうちの一部がICM内部に、そして一部がICM外部にあってよく、ただし、幾つかの粒子は埋め込まれており、他の粒子は埋め込まれておらず、そして残りは部分的に埋め込まれている。
【0064】
触媒で被覆されたナノ構造要素類は、ICMの表面に、一配向でまたはランダム方向で部分的に埋め込むことができる。前者の場合、触媒で被覆されたナノ構造要素類は、原則的に支持体粒子類の片面上の触媒のみが固体高分子電解質と接触するようにICMの表面と平行して配向することができ、またはそれらは、事実上それらの長さの一部分をICM表面と垂直に配向されて、ICM表面中に埋め込むことができるか、または触媒で被覆された支持要素類は、いかなる中間位置または位置の組み合わせを有することができる。更に、ナノ構造要素類は、その寸法を更に低減させて電極層を更に圧縮させるように、破壊または破砕されてもよい。好ましくは、良好なプロトン伝導のためにアイオノマーで針状支持要素類をコーティングするが、触媒表面への良好な反応物質の出入りのために、触媒で被覆された針状の支持要素類の間に空隙を残す。
【0065】
触媒で被覆されたナノ構造要素をICMまたはDCCに適用してMEAを形成させる好適な方法としては、熱および圧力を加えながら静圧縮することが挙げられ、または連続ロール製造、積層、ニップロール加工、またはカレンダー加工に好適な方法としては、その後、初期の触媒支持体フィルム基材をICM表面から剥離して、触媒粒子類を埋め込んだままにすることが挙げられる。
【0066】
基材上に担持された触媒で被覆されたナノ構造要素類は、機械的圧力および任意に熱を加えた後に当初の基材を除去することによって、ICMへ転写して付着することができる。あらゆる好適な圧力源を使用してよい。液圧プレスを用いてもよい。好ましくは、圧力は、1つのまたは一連のニップロールによって加えられてよい。このプロセスは、繰り返し操作で平台印刷機を用いるかまたは連続操作でロールを用いた連続プロセスにも適用可能である。圧力源と基材との間のシム、スペーサ、および他の機械装置中間体を、圧力を均一に分布させるために用いてよい。触媒粒子類は、好ましくは、ICM表面に適用された基材上に担持させることで、粒子類が膜表面と接触する。一実施形態では、ICMは、ICMと対向して配置された触媒で被覆されたナノ構造支持要素のポリイミド担持層の2枚のシートの間に配置してもよい。被覆されていないポリイミドとPTFEシートの追加の層を、圧力を均一に分布するために、前記サンドイッチ構造物の両面に更に積層し、そして最後に、一対のステンレス鋼製シムをこのアセンブリの外側に配置する。プレス加工後、基材を取り除いて、触媒で被覆されたナノ構造要素をICMに付着させたままにする。プレス加工の圧力と温度と時間は、ナノ構造要素を膜中に部分的に埋め込むのに十分であるように、いかなる組み合わせであってもよい。用いられる厳密な条件は、用いられるナノ構造要素の性質に部分的に左右される。
【0067】
約90〜約900MPaの圧力を用いて、ナノ構造層をICMへ転写してよい。一実施形態では、約180〜約270MPaの圧力を用いる。プレス加工温度は、触媒で被覆されたナノ構造要素をICMに付着させるのに十分なように選択してよいが、膜ポリマーのガラス転位温度(T)未満である。例えば、プレス加工温度は、約80℃〜約300℃まで、そして最も好ましくは約100℃〜150℃までであってよい。プレス加工時間は、約1秒超であってよく、また約1分であってよい。プレス加工に送り込んだ後、MEA構成要素をプレス加工する前に、低圧でまたは無圧状態で、プレス加工温度に平衡化させてよい。あるいは、MEA構成要素は、この目的に適合したオーブンまたは他の装置で予熱してもよい。好ましくは、MEA構成要素は、プレス加工前に1〜10分間予熱する。MEAは、プレス加工機から取り出す前またはその後で冷却してよい。プレス加工機の圧盤は、水冷するか、またはいずれかの他の好適な手段で冷却してよい。MEAを、プレス加工機内で更に加圧しながら1〜10分間冷却してよい。MEAは、好ましくは、プレス加工機から取り出す前に約50℃未満まで冷却する。真空圧盤を利用するプレス加工機を、所望により利用してよい。
【0068】
例えば、MEAは、高光沢紙と、50μm(2ミル)のポリイミドシートと、アノード触媒と、膜と、カソード触媒と、50μm(2ミル)のポリイミドと、高光沢紙の最終シートとから成るサンドイッチ構造物を組み立てることによって、触媒で被覆されたナノ構造要素を膜上に転写することから成る積層手順を用いて作製されてよい。このアセンブリを、132℃(270°F)においてロール速度0.005m/秒(1フィート/分)および適度なニップロール圧で2本の熱ロールラミネータに送り込んで、触媒を膜に転写させる。その後、光沢紙とポリイミドを剥離して、3層の触媒で被覆された膜(CCM)にする。
【0069】
別の実施形態では、MEAは、好適な溶媒を用いてICMを前処理することにより、室温および約9〜約900MPaまでの圧力で形成させることができる。対照して、従来技術では、触媒/アイオノマー層とICMの間に緊密な接合を得るために高温が必要である。ペルフルオロスルホン酸高分子膜表面を溶媒(好ましくは、ヘプタン)に短時間曝露することにより、前記触媒で被覆されたナノ構造支持体粒子類を支持体基材からICMに室温で転写して、ICM内に部分的に埋め込むことができる。
【0070】
この実施形態では、好ましくは9〜900MPaの圧力を用いる。最も好ましくは、45〜180MPaの圧力を用いる。好ましくは、プレス加工温度は、室温、すなわち約25℃であるが、0°〜50℃までのいずれであってもよい。プレス加工時間は、好ましくは1秒超であり、そして最も好ましくは10秒〜約1分までである。プレス加工を室温で行うため、予熱やプレス加工後の冷却が必要ない。
【0071】
ICMは、浸漬、飽和物質との接触、溶射、または蒸気の凝縮を包含するいずれかの手段によって溶媒に短時間曝露することによって、前処理するが、浸漬が好ましい。前処理後に過度の溶媒を取り除いてよい。ICMを傷つけないいずれかの曝露時間を用いてよいが、少なくとも1秒間が好ましい。用いられる溶媒は、無極性溶媒類、ヘプタン、イソプロパノール、メタノール、アセトン、IPA、C17SOH、オクタン、エタノール、THF、MEK、DMSO、シクロヘキサン、またはクロロへキサノンから選択されてよい。無極性溶媒が好ましい。最適な湿潤および乾燥条件を有すること、およびICMを膨潤または変形させずにナノ構造触媒類をICM表面へ完全に転写することができることが認められたので、ヘプタンが最も好ましい。
【0072】
触媒を担持するためのナノ構造支持要素に加えて、寸法が1〜50ミクロン範囲の特徴を有する微構造を多層ナノ構造フィルムに更に付与してもよく、それにより、触媒作用された膜表面がこれらの微構造で更に複製される。図3は、ナノ構造層が微構造化形状と適合する、このようなCCM表面の断面の走査電子顕微鏡写真である。触媒で被覆された膜(CCM)の単位平面面積当たりの実際のナノ構造触媒層の表面積(CCMのスタッキング軸に対して垂直に測定したもの)は、微構造化基材の幾何学的な表面積ファクター分だけ増加する。図3に示す例では、表面の各部分がCCMのスタッキング軸の法線に対して45°の角度であるため、このファクターは、1.414、または2の平方根である。しかしながら、得られたCCM厚さ増分は、1.414よりもはるかに少なく、また実際には無視できるほど小さかった。加えて、微構造の深さを、ICMの厚さに比べて比較的小さくすることも可能である。
【0073】
微構造は、あらゆる有効な方法で付与することができる。一つの好ましい方法は、微構造化された初期基材上にナノ構造を形成させることであり、これを本明細書中では、微構造化触媒転写基材(MCTS)と表す。微構造は、触媒で被覆されたナノ構造要素をICMへ転写する工程中にCCMへ付与されて、初期基材を剥離した後に残る。ナノ構造およびCCMの形成条件は上述と同じである。別の方法は、形成されたCCMに微構造を型押しするかまたは成形することである。微構造を均一な幾何学状にする必要はない。ランダムな寸法でかつランダムに配列された特徴によって、前記と同じ目的を達成することができる。
【0074】
触媒電極領域を微構造化することによるCCMの平面面積あたりの実際の触媒面積の増加は、触媒層が十分に薄く、微構造特徴の大きさよりもおよそ一桁薄く、そしてこれら微構造特徴が膜の厚さよりも小さい場合に達成することができる。例えば、本発明における膜の触媒作用した表面領域の厚さは、2ミクロン以下であることができる。微構造化特徴の幅は約12ミクロンであってよく、微構造化特徴のピークから谷までの高さは約6ミクロンであってよく、そして膜の厚さは20ミクロン以上であることができる。
【0075】
本発明のナノ構造支持要素のために微構造化基材を利用して微構造を付与すると、2つの更なる利点が、触媒を適用してCCMを形成させるプロセスに現れる。膜転写応用、例えば、燃料電池類および/または電解槽類のための本発明の支持体粒子類の重要な態様は、支持体粒子が、膜表面へ転写可能な基材上に形成されることである。この要件によって、平面基材から容易に払い落とされる支持体粒子類、または連続ウェブコーティングプロセスで行われるようにコア周囲にこのような平面基材を巻き上げることによって損傷を受ける支持体粒子類をもたらす場合がある。ナノ構造触媒支持要素が微構造化基材上にあることで、大部分の極めて小さな触媒で被覆された支持粒子類が、ピークよりも低い位置にある谷の中に入って、巻き上げ時の損傷から防ぐため、損傷し得ないようにすることができる。微構造化基材によって与えられる2つ目のプロセスの利点は、触媒作用した支持体粒子をCCM表面に転写するプロセスで実現されてよい。頻繁に熱および圧力を利用してもよく、また真空にすることでのように、プレス加工プロセスの開始時に界面から空気を除去することが重要であることもある。ナノ構造触媒支持要素を担持する大量の平面基材から転写する場合、CCMと支持体基材の間に空気を溜めることができる。排気中にCCMと基材の間に間隔を空けるための微構造化ピークを有することで、プレス−転写が開始する直前に空気をより効果的に除去することができる。
【0076】
本発明の触媒層を利用して形成されたMEA類は、様々な種類、構造および技術の燃料電池アセンブリおよびスタックに組み込まれてもよい。典型的な燃料電池を図4Aに表す。燃料電池は、水素燃料と空気からの酸素を化合して、電気と熱と水を生成する電気化学デバイスである。燃料電池類は燃焼を利用しないため、燃料電池類は、有害な流出物をほとんど生成しない。燃料電池類は、水素燃料と酸素を直接電気に変換し、そして例えば、内燃機関の発電機よりも非常に高効率で稼動することができる。
【0077】
図4Aに示す燃料電池10は、アノード14に隣接した拡散集電体(DCC)12を包含する。アノード14には、イオン導電膜(ICM)16が隣接している。カソード18は、ICM16と隣接して位置し、そして第2DCC19がカソード18と隣接して位置している。運転時に、水素燃料は、燃料電池10のアノード部分に導入されて、第1DCC12からアノード14を通り越す。アノード14では、水素燃料が水素イオン(H)と電子(e)に分離される。
【0078】
ICM16は、水素イオンまたはプロトンのみを、ICM16から燃料電池10のカソード部分へ通過させることができる。電子は、ICM16を通過することができず、そしてその代わりに、電流の形態で外部電子回路を貫流する。この電流は、電動モーターなどの電気負荷17に電力を供給するか、または充電式電池などのエネルギー蓄積デバイスに向けることが可能である。
【0079】
酸素は、第2DCC19から燃料電池10のカソード側に流れ込む。酸素がカソード18を通り越すと、酸素とプロトンと電子が化合して水と熱を生成する。
【0080】
図4Aに示すような個々の燃料電池を、以降に説明するような結合型燃料電池アセンブリ類としてパッケージ化することができる。結合型燃料電池アセンブリ類(本明細書では結合型電池アセンブリ類(UCA類)またはマルチセルアセンブリ類(MCA類)と呼ぶ)は、多数の他のUCA類/MCA類と組み合わせて燃料電池スタックを形成させることができる。UCA類/MCA類は、多数のUCA類/MCA類とスタック内部で電気的に直列に接続されて、総スタック電圧を決定することでき、また各電池の活性な表面積が総電流を決定する。所定の燃料電池スタックで発生する総電力は、総スタック電圧と総電流を乗じることによって求めることができる。
【0081】
ここで図4Bを参照すると、PEM燃料電池技術に従って実装されたUCAの一実施形態が例示されている。図4Bに示すように、UCA20の膜電極接合体(MEA)25には、5つの構成要素層が内蔵されている。ICM層22は、一対の拡散集電体(DCC)の間に挟まれている。アノード30は第1DCC24と前記膜22との間に位置し、そしてカソード32は前記膜22と第2DCC26との間に位置する。あるいは、UCAは、2つ以上のMEAを収容してMCAを形成させることができる。
【0082】
一つの構成では、ICM層22は、一方の表面上にアノード触媒層30を、そしてもう一方の表面上にカソード触媒層32を包含するように製造される。この構造体は、多くの場合、触媒で被覆された膜またはCCMと呼ばれる。別の構成によれば、第1および第2DCC24、26は、アノードおよびカソード触媒層30、32をそれぞれ包含するように製造される。更に別の構成では、アノード触媒コーティング30は、一部を第1DCC24上に、そして一部をICM層22の一方の表面上に配置することができ、またカソード触媒コーティング32は、一部を第2DCC26上に、そして一部をICM層22のもう一方の表面上に配置することができる。
【0083】
DCC24、26は、典型的に、炭素繊維紙または不織材料または織布から製造される。製品の構成に依存して、DCC24、26は、片面または両面にミクロ孔質層を有することが可能である。DCC24、26は、上述のように、触媒コーティングを包含または排除するように製造することができる。
【0084】
図4Bに示す特定の実施形態では、第1縁部シールシステム34と第2縁部シールシステム36の間に挟まれたMEA25が示されている。第1および第2縁部シールシステム34および36には、流場プレート40および42がそれぞれ隣接している。流場プレート40、42にはそれぞれ、水素燃料と酸素供給燃料とが通過するガス流路溝領域43とポート45が包含される。図4Bに示す構成では、流場プレート40、42は、単極の流場プレートとして構成されており、この場合、唯一のMEA25がそれらの間に挟まれている。
【0085】
縁部シールシステム34、36は、UCAパッケージ内部に必要な密封を提供して、様々な流体(気体/液体)の移動および反応領域を、相互の汚染からとUCA20からの不適切な流出から隔離し、また流場プレート40、42間の電気的な分離とハードストップ圧縮制御とを更に提供する場合もある。
【0086】
図5〜8は、本明細書に記載のようにして形成された触媒層を有する燃料電池アセンブリ類を組み込むことができる、様々な発電システムを例示している。図5に示す燃料電池システム1000は、本明細書中の実施形態で例示されるような燃料電池アセンブリを利用し得る多くの可能性のあるシステムのうちの一つを表している。
【0087】
燃料電池システム1000は、燃料プロセッサ1004、発電セクション1006、および電力コンディショナ1008を包含する。燃料プロセッサ1004は、燃料改質装置を包含するものであって、天然ガスなどの燃料源を受容し、そして燃料源を加工して水素が豊富な燃料を生成する。水素が豊富な燃料を発電セクション1006に供給する。発電セクション1006内では、発電セクション1006内に収容された燃料電池スタック(類)のUCA類のスタックに、水素が豊富な燃料を導入する。空気の供給を発電セクション1006にも提供し、酸素源を燃料電池のスタック(類)に提供する。
【0088】
発電セクション1006の燃料電池スタック(類)は、DC電源と、使用可能な熱と、清浄な水を生成する。再生システムでは、副生成物である熱のうちいくらかまたは全てを用いて、蒸気を生成することができ、次に、その蒸気を燃料プロセッサ1004で用いて、その様々な加工機能を実行することができる。発電セクション1006で生成されたDC電源を電力コンディショナ1008に送って、後で使用するために異なる電圧でDC電源をAC電源へまたはDC電源をDC電源へ変換する。AC電源変換はDC出力を提供するシステムでは包含される必要がないことが分かる。
【0089】
図6は、燃料供給ユニット1105と、燃料電池発電セクション1106と、電力コンディショナ1108とを包含する燃料電池電源1100を例示している。燃料供給ユニット1105には、燃料電池発電セクション1106へ供給される水素燃料を入れたリザーバが内蔵されている。発電セクション1106内部では、水素燃料を空気または酸素と共に、燃料電池発電セクション1106に収容された燃料電池スタック(類)に導入する。
【0090】
燃料電池電源システム1100の発電セクション1106は、DC電源と、使用可能な熱と、清浄な水を生成する。発電セクション1106で生成されたDC電源は、必要に応じてDCからACへの変換またはDCからDCへの変換のために、電力コンディショナ1108に送られてよい。図6に例示された燃料電池電源システム1100は、例えば、据え置き型または携帯用のACまたはDC発電機として提供されてよい。
【0091】
図7に例示される実施では、燃料電池システムは、燃料電池電源で発生した電力を用いて、電源を供給して、コンピュータを作動させる。図7に関連して説明すると、燃料電池電源システムには、燃料供給ユニット1205と燃料電池発電セクション1206が内蔵されている。燃料供給ユニット1205は、水素燃料を燃料電池発電セクション1206に提供する。前記発電セクション1206の燃料電池スタック(類)が、デスクトップまたはラップトップコンピュータなどのコンピュータ1210を作動させるために用いられる電力を生成する。
【0092】
図8に例示される別の実施では、燃料電池電源からの電力を用いて自動車1310を運転する。この構成では、燃料供給ユニット1305が水素燃料を燃料電池発電セクション1306に供給する。前記発電セクション1306の燃料電池スタック(類)が、自動車1310の駆動機構に連結されたモーター1308を動かすために用いられる電力を生成する。
【0093】
実施例1:
本実施例では、4つのナノ構造層を、以降、MCTSと呼ぶ微構造化触媒転写基材上に形成した。MCTSは、厚さ50ミクロン、幅約30cmのポリイミド製のロールであって、米国特許第6,136,412号に教示されているようにして、90度の夾角で深さ(ピークから谷まで)12ミクロンおよびピークからピークまでが24ミクロンの一連の平行なV型の溝およびピークで形成されたアクリレート樹脂コーティングを有する。公称厚さ1680オングストローム(平面相当)の第1のPR149層を、MCTSウェブ上にコーティングした。それを、前記ウェブを300℃に加熱した直径1.8m(6フィート)のドラムにウェブ速度0.005m/秒(1フィート/分)〜0.01m/秒(2フィート/分)で通すことで、連続ロールとして真空下でアニールして、ナノ構造フィルムを製造した。次に、前記ウェブ上にPtを、単位平面当たりPt約650オングストロームに相当する約0.14mg/cmの質量負荷までスパッタした。ナノ構造化PR149フィルム類の形成およびコーティングに関する他の参考文献は、本明細書に組み込まれた多数の特許に見出すことができる。
【0094】
こうしてコーティングされたMCTSの約28cm×28cmのシート(実施例1−1)を、次いで、別の真空槽に入れて、厚さ1500オングストロームの第2のPR149層を第1層のウイスカ上に堆積させた。試料シートを、その後、真空下で260〜264℃まで加熱することによってアニールし、そして冷却した。次に、更に500オングストロームのPtを、アニールしたシートに電子ビーム蒸着によって貼り付け、そしてSEMでの評価のために小試料(実施例1−2)を切り取った。
【0095】
図9Aは、上述のような2層ナノ構造フイルムで深さ12ミクロンの谷を有する微構造化MCTS基材上に成長させたナノ構造フィルムの2層を有する、試料実施例1−2の20,000倍でのSEM断面図である。尺度(ミクロン)は、下方に、一連の11個のドットで示されている。
【0096】
最初の層の最上部に成長した第2のPR149層のウイスカがあることが図9Aから分かる。第2層の中に堆積させたPR149の量が少なかったため、ウイスカは殆どない。PR149が、最初のウイスカをより長く成長させ続けるよりむしろ第2層のウイスカ中に成長するということは、第1のPR149層のウイスカ上にコーティングした第1Pt層が、ウイスカの先端部分(tips)でらせん転位の成長部位を閉塞していることが原因である。しかしながら、追加のPR149が、例えば、最初のウイスカの側面から、より小さな微結晶として成長するよりもむしろ、完成した第2層中に成長することは予想されなかった。
【0097】
その後、第2のナノ構造フィルム層を成長させるためにたった今説明した手順を繰り返して、最初の2層の最上部に第3層のウイスカを生成し、そして更に500オングストロームのPtを堆積させた。別の小試料(実施例1−3)をSEM評価のために取り除いた。
【0098】
最後に、第2のナノ構造フィルム層を成長させるためにたった今説明した手順をその後、繰り返して、最初の3層の最上部に第4層のウイスカを生成し、そして更に500オングストロームのPtを堆積させた。別の小試料(実施例1−4)をSEM評価のために取り除いた。この試料のSEM断面を、複数の層の増加した厚さのために、図9Aよりも低い倍率で図9Bに示す。図9Bでは、4層のナノ構造フィルムの合計厚さは、最初の単層フィルムの厚さ約0.7ミクロンと比べると約2.7ミクロンであり、単層フィルムは、4層のナノ構造フィルムの合計厚さの約1/4程度である。
【0099】
このプロセスを繰り返して、随意の厚さの、大表面積の多孔質フィルムを構成することができる。PR149の堆積とアニールと触媒コーティングは、単一の連続ウェブ塗布プロセスにおいて行うことができることから、コーティング源および中間体アニールステーション上で単にウェブ方向を前後に方向を変えることによって、複数の層を構成することができる。
【0100】
実施例2:
本実施例では、2つのナノ構造層を異なるMCTS基材上に、実施例1よりも大量のPR149を用いて形成し、その後の表面積を2つの方法で測定する。MCTSは、厚さ50μm、幅約30cmのポリイミド製のロールであって、米国特許第6,136,412号に教示されているようにして、角度90度で深さ6ミクロンおよびピークからピークまでが12ミクロンの一連の平行なV型の溝およびピークで形成されたアクリレート樹脂コーティングを有する。厚さ約2100オングストローム(平面相当)の第1のPR149層を、MCTSロール上にコーティングし、真空下で連続ロールとしてアニールしてナノ構造フィルムを製造する。
【0101】
約28cm×28cm角の一片の上記Pt/PR149被覆MCTSを次に、別の真空システムに設置し、そして1000オングストロームのPtで電子ビーム蒸着コーティングした。その後、その上に、厚さ150nmの第2のPR149層を実施例1と同様にして蒸着し、そして260〜265℃までの範囲でアニールして、追加のPR149をウイスカ相に転化した。また、実施例1に記載したように、第1のPR149層のウイスカの先端部分(tips)でのらせん転位をPtで閉塞したため、第2のPR149層は、第1層のウイスカの先端部分(tips)上で成長し続けなかったが、むしろ、第1のPt被覆ウイスカ層の最上部で全く新しい第2層のウイスカを成長させた。これは、実施例2−2であった。
【0102】
実施例2−3、2−4、2−5、および2−6という表記を有する幾つかの他の称呼識別の試料シートを更に作製した。図10Aおよび10Bは、微構造化基材上に得られた二重層ナノ構造フィルムのSEM断面を2つの倍率で示している。このフィルムの二重層の性質は明確に証明された。
【0103】
この試料に関するウイスカの平均面数密度(N)は、N=31/μmであることが分かった。平均ウイスカ幅は、W=0.09ミクロンであり、そして平均ウイスカ長さはL=0.67ミクロンであった。目視検査では、個々のウイスカそれぞれの上のPtコーティングの粗さを評価することは困難である。ウイスカの幅は、表面が平滑であると予見し、そしてウイスカの直径がその最も長い点であるとすることによって、ある低度の粗さに当たるように近似される。幅の推定値における粗さファクターを考慮して、R=1とする。MCTS基材の場合、α=1.414であることから、ウイスカの最上層の幾何学的表面積の推定値は、S=1.414×πW×L×N×R=8.3cm/平面面積cmである。
【0104】
開始時の被覆MCTS上の第1のPR149層のウイスカのSEMからの幾何学的パラメータの等価測定により、N=35/μm、L=0.67ミクロン、およびW=0.09ミクロンから、S=9.4cm/cmが得られる。幾何学的表面積の合計算出推定値は、第1層と第2層の合計、またはS合計=17.7cm/cmである。
【0105】
燃料電池の評価と電気化学表面積の測定のために、幾つかの膜電極接合体類(MEA類)を製造した。MEAを作製するために、触媒は、初期MCTS基材から、例えばナフィオン(Nafion)(商標)アイオノマーから作製された高分子イオン交換膜の両面へ転写される。触媒は、熱ロールラミネーションにより、厚さ30μmの膜へのナフィオン(Nafion)(商標)の溶液キャスティングおよび乾燥によって作製されたPEM膜へ転写した。MEA試料は、上記および予め組み込まれた特許に記載のラミネーション条件によって製造した。MEAは、片面(カソード)または両面(アノードおよびカソード)のどちらかに本発明の二重層触媒を有していた。二重層が片面にあった場合、MEAのもう一方の面には、標準的な単層触媒電極層があった。これら試料から、燃料電池触媒特性評価の当業者には周知の水素吸着/脱着サイクリック・ボルタンメトリー技術を用いて、触媒電極の電気化学的に活性な表面積(ESCA)を測定した。いかなる場合でも、ECSAはMEAの両電極について測定することができる。以下の表1では、幾つかのMEAについて得られたECSA値を、両面に単層触媒電極のみを有する標準的なMEAと比較している。表1に、実施例2からの二重層触媒を用いて作製された電極の、測定された電気化学表面積をまとめる。
【0106】
【表1】

【0107】
表1から分かるように、ナノ構造体の二重層は、単層触媒層の表面積を約2倍にする。更に、前記値は、S合計=17.7cm/cmのSEM顕微鏡写真から得られた、二重層についての上記の算出された幾何学的な推定値と非常に良く合致している。
【0108】
本発明の多様な実施形態についての以上の記述は、例証と説明の目的で述べてきた。それは、本発明を網羅するものでも、開示されたまさにその形態に本発明を限定するものでもない。上記教示を考慮すれば、多くの修正及び変更が可能である。本発明の範囲は、本明細書の発明を実施するための最良の形態によって制限されず、むしろ本明細書に添付した請求項によって制限されるものとする。
【0109】
本発明はさまざまな修正形態および変更形態に順応するが、その具体例を一例として図面に示しており、また詳細に説明している。ただし、本発明を前述の特定の実施形態に限定しようとするものではないと理解すべきである。それとは逆に、添付の請求項で定義されるような本発明の範疇にあるあらゆる修正、同等物類、および代替物類を包含するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の一実施形態による多層ナノ構造フィルムの製造方法のフローチャート。
【図2】本発明の実施形態による触媒で被覆されたイオン導電膜の製造方法のフローチャート。
【図3】本発明の実施形態による、ナノ構造フィルムが微構造化形状に適合する表面の断面の走査電子顕微鏡写真。
【図4A】本発明の実施形態による、1つ以上のナノ構造触媒層を利用した燃料電池を表す。
【図4B】本発明の実施形態によって形成されたナノ構造触媒層を有するMEAを含む結合型電池アセンブリの一実施形態を表す。
【図5】本明細書において実施形態で例示したような燃料電池アセンブリが利用され得るシステムを表す。
【図6】本明細書において実施形態で例示したような燃料電池アセンブリが利用され得るシステムを表す。
【図7】本明細書において実施形態で例示したような燃料電池アセンブリが利用され得るシステムを表す。
【図8】本明細書において実施形態で例示したような燃料電池アセンブリが利用され得るシステムを表す。
【図9A】本発明の実施形態による2層のナノ構造支持要素層を有する試料のSEM断面図。
【図9B】本発明の一実施形態による4層のナノ構造支持要素層を有する試料のSEM断面図。
【図10A】本発明の一実施形態による微構造化基材上の二重層ナノ構造フィルムのSEM断面図を2つの倍率で示している。
【図10B】本発明の一実施形態による微構造化基材上の二重層ナノ構造フィルムのSEM断面図を2つの倍率で示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のナノ構造層を含む物品であって、前記ナノ構造層が針状のナノ構造支持要素を含む、物品。
【請求項2】
前記ナノ構造層が、約0.1μm未満の平均断面寸法を有するナノ構造支持要素を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記ナノ構造層が、約0.3μmを超える長さを有するナノ構造支持要素を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
前記ナノ構造層のそれぞれが、1cm当たりナノ構造支持要素で約10〜約1011個の範囲にあるナノ構造支持要素の面密度を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項5】
前記ナノ構造層が、有機系材料で形成されたナノ構造支持要素を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項6】
前記有機系材料がペリレンレッドを含む、請求項5に記載の物品。
【請求項7】
前記ナノ構造層が、コーティングを有するナノ構造支持要素を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項8】
前記コーティングが触媒材料を含む、請求項7に記載の物品。
【請求項9】
前記コーティングが金属を含む、請求項7に記載の物品。
【請求項10】
前記金属が白金族金属を含む、請求項9に記載の物品。
【請求項11】
ナノ構造層のそれぞれの厚さが約0.3〜約1.3μmである、請求項1に記載の物品。
【請求項12】
前記複数の層が約2層〜約10層から構成される、請求項1に記載の物品。
【請求項13】
基材を更に含み、前記複数のナノ構造層が前記基材上に形成される、請求項1に記載の物品。
【請求項14】
前記基材が微構造化基材を含む、請求項13に記載の物品。
【請求項15】
前記基材が多孔質である、請求項13に記載の物品。
【請求項16】
イオン導電膜を更に含み、前記複数のナノ構造層が前記イオン導電膜の表面上に配置される、請求項1に記載の物品。
【請求項17】
拡散集電体を更に含み、前記複数のナノ構造層が前記拡散集電体の表面上に配置される、請求項1に記載の物品。
【請求項18】
膜電極接合体を更に含み、前記複数のナノ構造層が前記膜電極接合体の一構成要素上に配置される、請求項1に記載の物品。
【請求項19】
電気化学デバイスを更に含み、前記電気化学デバイスが前記膜電極接合体を含む、請求項18に記載の物品。
【請求項20】
前記電気化学デバイスがプロトン交換膜燃料電池である、請求項19に記載の物品。
【請求項21】
デバイスを更に含み、前記の複数のナノ構造層が前記デバイス内に組み込まれており、そして前記デバイスが、フィルター、光学吸収体、光起電デバイス、センサー、フレキシブル電子回路、または生物学的吸着支持体を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項22】
材料の第1層を基材上に堆積させること;
前記材料の第1層をアニールして、ナノ構造支持要素の第1層を形成させること;
前記ナノ構造支持要素の前記第1層の成長部位を閉塞すること;
ナノ構造支持要素の前記第1層の上に、材料の第2層を堆積させること;および
前記材料の第2層をアニールして、ナノ構造支持要素の第2層を形成させること
、を含む方法。
【請求項23】
ナノ構造支持要素の予め形成された層の成長部位を閉塞することによって約2層〜約10層のナノ構造支持要素を形成させること、前記の予め形成されたナノ構造支持要素の層の上に追加の材料の層を堆積させること、および前記追加の材料の層をアニールして、追加のナノ構造支持要素の層を形成させることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記第1層の前記ナノ構造支持要素の前記成長部位を閉塞することが、前記ナノ構造支持要素の第1層の上に閉塞材料を堆積させることを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記閉塞材料が前記第1層の前記ナノ構造支持要素のらせん転位を閉塞する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記閉塞材料が金属を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記材料の第1層をアニールすることが、約230℃〜約270℃の温度で約3分〜約60分間アニールすることを含み;そして、
前記材料の第2層をアニールすることが、約230℃〜約270℃の温度で約3分〜約60分間アニールすることを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記材料の第1層を前記基材上に堆積させることが、前記材料の第1層を拡散集電体上に堆積させることを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記材料の第1層を前記基材上に堆積させることが、前記材料の第1層を微構造化基材上に堆積させることを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
前記材料の第1層を堆積させることおよび前記材料の第2層を堆積させることが、有機系材料を堆積させることを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項31】
前記有機系材料がペリレンレッドを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記ナノ構造支持要素の第1および第2の層の上に触媒材料を堆積させて触媒で被覆された多層ナノ構造フィルムを形成させることを更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項33】
前記触媒材料が白金族金属を堆積させることを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記触媒で被覆された多層ナノ構造フィルムをイオン導電膜の少なくとも1つの表面へ転写して、触媒で被覆された膜を形成させることを更に含む、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
多層ナノ構造フィルムを用いて膜電極接合体を形成することを更に含む、請求項32に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【公表番号】特表2009−509776(P2009−509776A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531126(P2008−531126)
【出願日】平成18年8月23日(2006.8.23)
【国際出願番号】PCT/US2006/032703
【国際公開番号】WO2007/032864
【国際公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】