説明

多層プリント配線板用絶縁樹脂付き銅箔

【課題】 成形時にボイド残りがなく、層間絶縁樹脂厚のバラツキが少なく、ガラスクロスのない絶縁層を有するプリント配線板を提供すること。
【解決手段】 下記の各成分を必須成分として含有する絶縁樹脂組成物を銅箔に塗布してなる絶縁樹脂付き銅箔であって、前記絶縁樹脂の層が2層以上であり、最も銅箔側の樹脂層を実質的にノンフローとし最外層の樹脂層を軟化点60〜90℃としたことを特徴とする多層プリント配線板用絶縁樹脂付き銅箔。
(1)重量平均分子量が103 〜105 のサルフォン基を有する熱可塑性樹脂、(2)ハロゲン化されていないエポキシ当量500以下の多官能エポキシ樹脂、(3)エポキシ樹脂硬化剤、及び(4)無機充填材。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は絶縁樹脂付き銅箔に関し、特に、良好な成形性を有する、即ち成形時にボイド残りがなく、回路層間の絶縁層の厚みを一定に確保でき、またハロゲン化合物、リン化合物を使用せずに高度な難燃性を示し、高耐熱性であるエポキシ樹脂系絶縁樹脂付き銅箔に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、多層プリント配線板を製造する場合、回路が形成された内層回路基板上にガラスクロス基材にエポキシ樹脂を含浸して半硬化させたプリプレグシートを1枚以上重ね、更にその上に銅箔を重ね熱板プレスにて加圧一体成形するという工程を経ている。多層積層プレス時のガラスクロス入りプリプレグと銅箔セットの工程、及びガラスクロスプリプレグのコスト等により高コストとなっている。また、プレス時に樹脂をフローさせて内層回路を埋め込み、樹脂フローによってボイドを追い出す成形方法が取られるため層間絶縁樹脂厚を一定に保つのが難しい。加えてガラスクロスに樹脂を含浸させる方法のため、回路層間にガラスクロスがあることにより樹脂のガラスクロスに対する含浸度合いにより耐吸湿性、耐マイグレーション性に影響がでる場合がある。
【0003】最近、ビルドアップ方式による多層プリント配線板が,高密度部品実装を目的とし,IVH形成と高密度配線を低コストで実現するために急ピッチで開発されてきている。特にBGA、CSPなどの高密度パッケージの採用が進み、ビルドアップ多層配線板の開発に拍車がかかっている。一般的なビルドアップ多層配線板は、内層回路板にエポキシ樹脂等の樹脂のみで構成される100μm厚以下の層間絶縁層と銅箔(回路用導体)とを積み重ねながら成形する。
【0004】一方、エポキシ樹脂等に代表される熱硬化性樹脂は、その優れた特性からプリント配線板をはじめとする電気・電子機器部品に広く使用されており、火災に対する安全性を確保するために難燃性が付与されている場合が多い。これらの樹脂の難燃化は従来臭素化エポキシ樹脂等のハロゲン含有化合物を用いることが一般的であった。これらのハロゲン含有化合物は高度な難燃性を有するが、芳香族臭素化合物は熱分解すると腐食性の臭素、臭化水素を分離するだけでなく、酸素存在下で分解した場合に毒性の高いポリブロムジベンゾフラン、及びポリジブロモベンゾオキシンを形成する可能性がある。また、臭素を含有する老朽廃材の処分は困難である。このような理由から臭素含有難燃剤に代わる難燃剤としてリン化合物や窒素化合物か検討されている。前述のように、リン化合物及び窒素化合物によって難燃化を実現することができる。しかしながら、リン化合物を使用すると、ブリード発生や、吸水率が高くなり、樹脂特性悪化の原因にもなり得る可能性がある。
【0005】近年、既存のプレス設備を用いガラスクロスを用いない多層プリント配線板を製造する技術が注目されている。しかしプレスによる方法においては、既存の技術ではガラスクロス等の基材がない絶縁層の厚みのバラツキを大きいという問題がある。また、これらの絶縁樹脂層を難燃化するために、ハロゲン化合物またはリン化合物が使用されているのが現状であり、これらが存在しないと難燃性を十分に発現することができない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ビルドアップ方式による多層プリント配線板において、フィルム状の層間絶縁樹脂層を用いた場合、ガラスクロス基材がないためプレス成形した後の絶縁樹脂の厚みのバラツキが大きく、また、適正な成形条件の幅が小さく、成形が非常に難しい。
【0007】このようなプロセスにおいて、銅箔粗化面へのコーティング樹脂を1層で形成する場合、軟化点が高い樹脂をコーティングすると成形時のフローが少なく内層回路の凹凸を埋め込むだけのフロー量を確保できなくなる。また樹脂の軟化点を下げて成形時のフローを多くすると内層回路の凹凸を埋め込むことはできるがフロー量が多すぎ絶縁層間厚を一定に確保するのが難しくなる。また、近年の環境問題への関心の高まりから、ハロゲン系難燃材排除の傾向が強いが、これらに使用されている樹脂は未だハロゲン系難燃材を使用しているケースが多い。
【0008】本発明は、かかる問題を改善するために種々検討し、完成されたものであり、ガラスクロスのない絶縁層を有するプリント配線板を、絶縁樹脂層にボイド残りがなく、絶縁樹脂の厚みのバラツキを少なく作製することを目的とし、かつその層間絶縁樹脂中にはハロゲン化合物あるいはリン化合物を使用せず高度な難燃性を達成し、耐熱特性に優れた絶縁樹脂付き銅箔を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記の各成分を必須成分として含有する絶縁樹脂組成物を銅箔に塗布してなる絶縁樹脂付き銅箔であって、前記絶縁樹脂の層が2層以上であり、最も銅箔側の樹脂層を多層成形温度にて実質的にノンフローとし最外層の樹脂層を軟化点60〜90℃としたことを特徴とする多層プリント配線板用絶縁樹脂付き銅箔に関するものである。
(1)重量平均分子量が103 〜105 のサルフォン基を有する熱可塑性樹脂、(2)ハロゲン化されていないエポキシ当量500以下の多官能エポキシ樹脂、(3)エポキシ樹脂硬化剤、及び(4)無機充填材。
【0010】本発明において、重量平均分子量が103 〜105 のサルフォン基を有する熱可塑性樹脂(1)は、成形時の樹脂流れを小さくし、絶縁層の厚みを維持すること、組成物に可とう性を付与すること、及び絶縁樹脂の高耐熱化と共に、得られた多層プリント配線板の難燃化を達成するものである。重量平均分子量が103未満では成形時に流動性が良すぎて絶縁層の厚みを維持することが困難となる。重量平均分子量が105 を越えるとエポキシ樹脂との相溶性が低下すること及び流動性が必要以上に悪くなることにより好ましくない。(1)成分としては、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ビスフェノールS型フェノキシ樹脂等であるが、難燃性、耐熱性等を考えるとポリエーテルサルフォンが好ましい。
【0011】成分(1)の配合割合は(1)、(2)及び(3)成分の合計量の20〜60重量%が好ましい。20重量%より少ないと、粘度が高くならずノンフロー樹脂として厚みを保つことが不十分となり、従ってプレスした後の絶縁層間厚の確保ができなくなる。また難燃性も十分に発現出来ない。一方、60重量%より多いと、プレス時の樹脂のフローが悪くなり成形が困難となる。また、サルフォン基を有する熱可塑性樹脂は、末端が水酸基、カルボキシル基、あるいはアミノ基で変性されていれば、エポキシ樹脂との相溶性や反応性も良いことから、エポキシ樹脂との相分離を押さえると共に、硬化物の耐熱性も向上する為、上記変性が行われている事が望ましい。
【0012】上記(1)成分のサルフォン基を有する熱可塑性樹脂単独では、密着性に欠けること、及び銅箔にコートするために溶剤に溶解して所定温度のワニスとしたときに、粘度が高く、コート時の作業性が良くない。このような欠点を改善するために(2)ハロゲン化されていないエポキシ当量500以下の多官能エポキシ樹脂を配合する。エポキシ当量が500を越えると上記の欠点を改善する効果が小さい。(2)成分の配合割合は(1)、(2)及び(3)成分の合計量の10〜70重量%が好ましい。10重量%未満では上記の効果が十分に期待できず、また、70重量%を越えると前記高分子量のサルフォン基を有する熱可塑性樹脂の効果が小さくなる。
【0013】(2)成分のエポキシ樹脂としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂等であり、多層プリント配線板の難燃化がより効果的に行われるのは、硫黄、窒素などのヘテロ原子を含むエポキシ樹脂、燃えにくい骨格のエポキシ樹脂、つまり酸素指数が高いエポキシ樹脂が望ましい。
【0014】次に、(3)エポキシ樹脂硬化剤はアミン化合物、イミダゾール化合物、酸無水物、フェノール系硬化剤などでが使用されるが、サルフォン基を含有する化合物が望ましい。サルフォン基を含有するエポキシ硬化剤でエポキシ樹脂を硬化させることで、103 〜105 のサルフォン基を有する熱可塑性樹脂とエポキシ樹脂との相溶性を高めることが出来る。硬化剤の配合量は、当量比で、(2)成分に対して0.9〜1.1が好ましい。この範囲を外れると、耐熱性や電気特性が低下するようになる。
【0015】上記成分の他に、線膨張率、耐熱性、耐燃性などの向上のために、溶融シリカ、結晶性シリカ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、クレー、硫酸バリウム、マイカ、タルク、ホワイトカーボン、Eガラス微粉末などの無機充填材(4)を配合する。この配合量は他の成分全体に対して5〜50重量%が好ましい。5重量%より少ないと上記の配合効果が小さく、50重量%より多く配合すると、層間絶縁樹脂の溶融粘性が高くなり、内層回路間への埋込性が低下するようになる。
【0016】さらに、銅箔や内層回路基板との密着力を高めたり、耐湿性を向上させるためにエポキシシラン等のシランカップリング剤あるいはチタネート系カップリング剤、ボイドを防ぐための消泡剤の添加も可能である。
【0017】溶剤としては、接着剤を銅箔に塗布し80℃〜160℃で乾燥した後において、接着剤中に残りにくいものを選択しなければならない。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、n−ヘキサン、メタノール、エタノール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、メトキシプロパノール、シクロヘキサノン、ジメチルフォルムアミドなどが用いられる。
【0018】層間絶縁樹脂付き銅箔は、以下の工程により作製される。最も銅箔側の樹脂層(第1層)は、上記(1)〜(4)成分を溶剤に所定の濃度で溶解した樹脂ワニスを銅箔のアンカー面に塗工し、通常80℃〜160℃で加熱乾燥を行う。第1層は上記各成分の配合割合や加熱乾燥条件等の調整により成形時に実質的のノンフローとする。本発明の場合、多層化のための成形温度は150〜200℃程度である。絶縁樹脂中の揮発成分は組成全体に対して2.0%以下にすることが好ましい。この揮発成分は0.3〜1.0%がより好ましい。第1層の厚みは15μm〜70μmが好ましい。15μmより薄いと乾燥過剰となることがあり条件を変更する必要が出てくる。また、多層化成形後の層間絶縁厚みを確保することが困難となることがある。70μmより厚いと樹脂中の揮発成分を2.0%以下にするために多くの熱量と時間が必要となる。以下、これと同様にして第2層目以上を塗工していく。
【0019】最外層樹脂は(1)重量平均分子量が103 〜105 のサルフォン基を有する熱可塑性樹脂と(2)ハロゲン化されていないエポキシ当量500以下の多官能エポキシ樹脂を混合して軟化点が60〜110℃に調整し、内層回路の凹凸を埋め込むためのフロー量を確保する。使用するハロゲン化されていないエポキシ当量500以下の多官能エポキシ樹脂の種類、配合量は混合した樹脂の軟化点が60〜110℃にできる範囲であれば種類及び量は問わない。但し、常温で液状であるエポキシ樹脂を多量に配合すると、常温において樹脂層が液状エポキシ樹脂によるべとつきを生じ好ましくない。そのため液状エポキシ樹脂の配合量は10〜45%が好ましい。このような層構成、即ち、成形時ノンフローである層と適切な軟化点を有する層とを有することにより、良好な成形性が確保される。従って、成形して得られた多層プリント配線板は、その絶縁樹脂層において、ボイド残りがなく、絶縁樹脂層の厚さバラツキが小さく、絶縁樹脂層の密着性、引き剥がし強さ等の性能を確保することができる。
【0020】絶縁樹脂を2層以上塗工すると乾燥時にうける熱量が多くなるが、銅箔側にコートした樹脂が未硬化又は半硬化の状態で残るようにする必要がある。本発明においては、上記組成と塗工条件を調整することにより、2層以上を1層ずつ重ね塗工することが可能である。また、銅箔にノンフローの樹脂を塗工し、一方、離型キャリアフィルムに軟化点を60〜110℃に調整した樹脂を塗工し、これら2種の塗工シートを熱ロールにより圧着して2層の絶縁樹脂層を形成することも可能である。そして、多層プリント配線板を製造するために、内層回路板と絶縁樹脂付き銅箔とのプレス成形時、170℃以上に加熱すると、硬化剤がエポキシ樹脂と反応し、均一な硬化物が得られる。
【0021】本発明の絶縁樹脂付き銅箔は、通常の真空プレスにより内層回路基板にラミネートし硬化させて、容易に外層回路を有する多層プリント配線板を形成することができる。
【0022】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明する。配合量における「部」は重量部である。
【0023】<実施例1>末端水酸基変性ポリエーテルサルフォン(平均分子量24000、住友化学(株)製 5003P)70部とビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量275、日本化薬(株)製 NC−300P)7.5部、液状ノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量175、油化シェルエポキシ(株)製 エピコート152)28部、硬化剤として3,3’−ジアミノジフェニルサルフォン(三井化学(株)製 3,3−DAS)10部とをDMF、MEK混合溶剤に攪拌・溶解し、そこへ、チタネート系カップリング剤(味の素(株)製 KR−46B)0.1部、硫酸バリウム10部を添加して銅箔側樹脂ワニスを作製した。この樹脂は乾燥後において、170℃でのフローはゼロである。
【0024】さらに末端水酸基変性ポリエーテルサルフォン(平均分子量24000、住友化学(株)製 5003P)24部とビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量275、日本化薬(株)製 NC−300P)20部、液状ノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量175、油化シェルエポキシ(株)製 エピコート152)15部、硬化剤として3.3‘−ジアミノジフェニルサルフォン(三井化学(株)製 3,3−DAS)10部とをDMF、MEK混合溶剤に攪拌・溶解し、そこへチタネート系カップリング剤(味の素(株)製 KR−46B)0.1部、硫酸バリウム10部を添加して乾燥後の軟化点が89℃の最外層樹脂ワニスを作製した。
【0025】厚さ18μmの銅箔を用意し、このアンカー面に1層目として乾燥樹脂厚50μmとなるように、銅箔側樹脂ワニスをコンマコーターにて塗布し、100℃で3分、150℃で3分加熱乾燥した。次いで、2層目として乾燥樹脂厚50μmなるよう最外層樹脂ワニスをコンマコーターにて塗布し100℃で5分、150℃で5分加熱乾燥して全樹脂厚100μmの絶縁樹脂付き銅箔を得た。
【0026】別に、基材厚0.1mm、銅箔厚35μmのガラスエポキシ両面銅張積層板をパターン加工して内層回路板を得た。銅箔表面を黒化処理した後、内層回路板の両面に上記絶縁樹脂付き銅箔を重ね合わせた。
【0027】この重ね合わされた内層回路板と絶縁樹脂付き銅箔の各1セット間にステンレス製鏡面板を挟み、1段(1対の熱盤間)に15セットを投入し、真空プレスを用いて、昇温3〜10℃/分、圧力10〜30Kg/cm2 、真空度−760〜−730mmHgの条件で、成形品温度170℃を40分以上確保して加熱加圧成形し、多層プリント配線板を作製した。
【0028】<実施例2>絶縁樹脂付き銅箔の最外層樹脂において、液状ノボラック型エポキシ樹脂を30部とし、乾燥後の軟化点を70℃とした以外は実施例1と同様にして多層プリント配線板を作製した。
【0029】<比較例1>絶縁樹脂付き銅箔を、実施例1における銅箔側樹脂層の単一層とし、乾燥樹脂厚100μmとした以外は実施例1と同様にして多層プリント配線板を得た。
【0030】<比較例2>絶縁樹脂付き銅箔を、実施例1における最外樹脂層の単一層とし、乾燥樹脂厚100μmとした以外は実施例1と同様にして多層プリント配線板を得た。
【0031】<比較例3>銅箔側、最外層樹脂共に、末端水酸基変性ポリエーテルサルフォンをビスフェノールA型フェノキシ樹脂(東都化成(株)製)とし最外層樹脂の軟化点を80℃とした以外は実施例1と同様にして多層プリント配線板を作製した。
【0032】得られた多層プリント配線板について、成形ボイド、絶縁樹脂層厚、板周辺樹脂フロー量、難燃性を測定した。その結果を表1に示す。
【0033】
【表1】


【0034】(測定方法)
内層回路板試験片:ライン幅(L)/ライン間隔(S)=120μm/180μmの細線回路、クリアランスホール:1mmφ及び3mmφ、周辺に幅2mmのスリットを有する。
1.成形ボイド:上記細線回路の線間部およびクリアランスホール部において、ボイドの有無を目視で観察した。
2.絶縁樹脂厚みバラツキ:内層回路上の層間絶縁樹脂の厚みを断面にて測定した。観察部位は上記細線回路部と幅2mmのスリット部の側面回路部である。成形された多層プリント配線板から、熱盤に最も近い上段のものと熱盤間の中間のものとを選び、これらについて、前記の絶縁樹脂厚みをそれぞれ10ヶ所ずつ測定し、それらの平均を求めた。この平均値の差の絶対値を絶縁樹脂厚みバラツキとした。
3.板周辺樹脂フロー量:成形された多層プリント配線板の周縁からはみ出た樹脂フローの長さを測定した。
4.難燃性:JIS C 6481による
【0035】
【発明の効果】本発明の多層プリント配線板用絶縁樹脂付き銅箔は、ビルドアップ方式による多層プリント配線板の製造において、成形時にボイド残りがなく、絶縁樹脂厚のバラツキが少ない、高耐熱性の多層プリント配線板を製造することができる。そして、ハロゲン化合物、リン化合物を使用しないで、優れた難燃性を示すことから、ダイオキシン等の有害物質の発生がなく環境面で安全である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記の各成分を必須成分として含有する絶縁樹脂組成物を銅箔に塗布してなる絶縁樹脂付き銅箔であって、前記絶縁樹脂の層が2層以上であり、最も銅箔側の樹脂層を多層成形温度にて実質的にノンフローとし最外層の樹脂層を軟化点60〜90℃としたことを特徴とする多層プリント配線板用絶縁樹脂付き銅箔。
(1)重量平均分子量が103 〜105 のサルフォン基を有する熱可塑性樹脂、(2)ハロゲン化されていないエポキシ当量500以下の多官能エポキシ樹脂、(3)エポキシ樹脂硬化剤、及び(4)無機充填材。
【請求項2】 銅箔に塗布された樹脂層が2層である請求項1記載の絶縁樹脂付き銅箔。
【請求項3】 エポキシ硬化剤がサルフォン基を有する化合物である請求項1又は2記載の絶縁樹脂付き銅箔。

【公開番号】特開2001−94265(P2001−94265A)
【公開日】平成13年4月6日(2001.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−270015
【出願日】平成11年9月24日(1999.9.24)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】