説明

多層接着接合不織布シートおよびその形成方法

少なくとも1つの合成ポリマー繊維状不織布層が水性接着剤を使用して第2層に接着接合されている多層不織布シート構造体が開示される。不織布層は速い乾燥時間を与えるために選択される。多層不織布シート構造体は医療服に有用である。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
接着接合多層不織布シート構造体は、医療服をはじめとする様々な最終用途のために当該技術分野で公知である。例えば、クレンショウ(Crenshaw)らの特許文献1は、柔軟なラテックス・バインダー材料を使用して組織層のような第2不織布材料に接合された第1不織布材料、例えばスパンボンド不織布を含んでなる2層不織布を記載している。ラテックス・バインダーは乾燥され、加熱ロールを用いて硬化される。
【0002】
多層ゾーン付き手術着のような医療服は、手術着のフロントおよび手術着袖のより低い部分のような、流体との接触が起こる可能性の最も高い手術着の区域に強化層を接着させることによって通常形成される。多層ゾーンは、高められた着心地の良さのために全面的に高度の通気性を維持しながら、液体希釈汚染物質が衣服布を通過しないことを確実にするための追加保護を提供する。
【0003】
ゾーン化医療服の製造のために使用される不織布材料には、ポリプロピレン・スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SMS)不織布およびソンタラ(Sontara)(登録商標)スパンレースポリエステル/木材パルプ不織布(デラウェア州ウィルミントンのイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.du Pont de Nemours and Company,Wilmington,DE)によって製造される)のような水流交絡布が含まれる。例えば、医療服の製造では、強化層が指定場所でカット布のパターンピース上へ接着されて最終衣服の構築で使用されるであろう強化ゾーンを有するパターンピースを形成する。同一の強化布ピースは一般にパイルに積み重ねられ、引き続き強化布ピースのパイルは、2つもしくはそれ以上の異なるまたは同じパターンピースを接合して最終衣服を形成するようなさらなる加工のために別の場所に移される。強化層が基層にしっかりと接合していない場合、層はパイルに積み重ねられているが、層は相対的に移動することができる。これは、強化層が基布上のおよび最終衣服での所望の場所と一致しない結果をもたらし、かつまた、強化層が元々配置されていた接着剤の輪郭を残す。
【0004】
スパンレース布の層が水性接着剤を使用してスパンレース布の第2層に接合されてゾーン化手術着の製造でのような多層不織布シート構造体を形成する場合、接合された層が相対的に移動せずに多層不織布シートをさらに加工できるように層間の接合強度は急速に増加する。一方、強化されたゾーンが水性接着剤を使用してポリプロピレンSMS布のピースをポリプロピレンSMS基布に接合することによって形成されるゾーン化医療服の製造にポリプロピレンSMS材料が使用される場合、多層ポリプロピレン不織布シートでの層間の接合強度はより徐々に増加し、より長い乾燥時間または乾燥を加速するための熱の使用を必要とすることが分かった。
【0005】
【特許文献1】米国特許第4,588,457号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
加熱乾燥工程なしに、従って製造時間およびコストを削減して、水性接着剤組成物で別の層に接合した後急速に高い接合強度を構築する、医療服の製造に好適な布を求める要求が当該技術分野には残っている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の実施形態では、本発明は(a)10ミクロン未満の平均繊維径を有する連続スパ
ンボンド繊維を含んでなる、少なくとも約15cmの静水頭を有するスパンボンド不織布層であって、スパンボンド繊維の表面が少なくとも約25ダイン/cmの表面張力を有するポリマーを含んでなり、内面および外面を有するスパンボンド不織布層と、(b)不織布、編布、織布、およびフィルムよりなる群から選択される、内面および外面を有する第2層とを含んでなり、(c)スパンボンド層と第2層の内面の少なくとも一部分を接着させるポリマー接着剤であって、水性の接着剤組成物に由来するポリマー接着剤で接着されている多層不織布シートに関する。
【0008】
別の実施形態では、本発明は(a)内面および外面を有するスパンボンド−メルトブローン−スパンボンド不織布を含んでなる第1層であって、メルトブローン層がメルトブローン繊維を含んでなり、メルトブローン繊維の表面が少なくとも約25ダイン/cmの表面張力を有するポリマー成分を含んでなる第1層と、(b)不織布、編布、織布、およびフィルムよりなる群から選択される、内面および外面を有する第2層とを含んでなり、(c)第1層と第2層の内面の少なくとも一部分を接着させるポリマー接着剤であって、水性の接着剤組成物に由来するポリマー接着剤で接着されている多層不織布シートに関する。
【0009】
本発明の別の実施形態は、ベースシート材料および少なくとも1つの多層ゾーンを含んでなり、多層ゾーンが水性接着剤組成物由来のポリマー接着剤によってベースシートに接着された、少なくとも約15cmの静水頭を有し、かつ、10ミクロン未満の平均繊維径を有する連続スパンボンド繊維を含んでなるスパンボンド不織布を含んでなる医療服であって、スパンボンド繊維の表面が少なくとも約25ダイン/cmの表面張力を有するポリマーを含んでなる医療服に関する。
【0010】
本発明の別の実施形態は、ベースシート材料および少なくとも1つの多層ゾーンを含んでなり、多層ゾーンが水性接着剤組成物由来のポリマー接着剤によってベースシートに接着されたスパンボンド−メルトブローン−スパンボンド不織布を含んでなる医療服であって、メルトブローン層が少なくとも約25ダイン/cmの表面張力を有する第1ポリマー成分を含んでなる表面を有するメルトブローン繊維を含んでなる医療服に関する。
【0011】
本発明の別の実施形態は(a)少なくとも約15cmの静水頭を有し、かつ、10ミクロン未満の平均繊維径を有する連続スパンボンド繊維を含んでなるスパンボンド不織布層であって、スパンボンド繊維の表面が少なくとも約25ダイン/cmの表面張力を有するポリマーを含んでなり、内面および外面を有するスパンボンド不織布層を提供し、(b)不織布、編布、織布、およびフィルムよりなる群から選択される、内面および外面を有する第2層を提供し、(c)第1層の内面の1つの少なくとも一部分または第2層の内面に水性接着剤組成物を塗布し、そして(d)スパンボンド不織布層の内面側と第2層の内面側とを接触させて表面を接着させることを含んでなる多層接着接合不織布シートの形成方法に関する。
【0012】
本発明の別の実施形態は(a)内面および外面を有するスパンボンド−メルトブローン−スパンボンド不織布を含んでなる第1層であって、メルトブローン層がメルトブローン繊維を含んでなり、メルトブローン繊維の表面が少なくとも約25ダイン/cmの表面張力を有するポリマーを含んでなる第1層を提供し、(b)不織布、編布、織布、およびフィルムよりなる群から選択される、内面および外面を有する第2層を提供し、(c)第1層の内面の1つの少なくとも一部分または第2層の内面に水性接着剤組成物を塗布し、そして(d)第1層の内面側と第2層の内面側とを接触させて表面を接着させることを含んでなる多層接着接合不織布シートの形成方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
スパンボンドまたはSMS布の層がゾーン化手術着の製造におけるようにスパンボンド、SMS布の層または他のシート様層に接合されて多層不織布シート構造体を形成する場合、多層不織布シートを、接合された層が相対的に移動することなくさらに加工することができるように層間の接合強度が急速に増加するならば有利であろう。
【0014】
本発明は、少なくとも第1および第2シート層を含んでなる多層不織布シートであって、第1層がその少なくとも1つの表面上にスパンボンド繊維を含んでなる不織布を含んでなる多層不織布シートに関する。第1および第2層は、スパンボンド繊維層を接着剤組成物と接触させて、水性接着剤組成物に由来するポリマー接着剤によって接合される。本発明の多層接着接合シート構造体は、周囲条件下で短い乾燥時間後に、当該技術分野で公知のある種の他の接着接合多層シート構造体より高い接合強度を持つようになる。
【0015】
本発明によれば、多層不織布シート構造体は、その少なくとも1つの表面上にスパンボンド繊維を含んでなる不織布を水性接着剤を使用して第2層に接合することによって製造される。スパンボンド繊維の表面は少なくとも約25ダイン/cmの表面張力を有するポリマーを含んでなる。スパンボンド布は、多層不織布シートを形成する前にフルオロケミカル組成物で処理することができる。一実施形態では、不織布層は、メルトブローン繊維の表面が少なくとも約25ダイン/cmの表面張力を有するポリマーを含んでなるスパンボンド−メルトブローン−スパンボンド複合不織布である。
【0016】
用語「ポリオレフィン」は本明細書で用いるところでは、ホモポリマー、共重合体、および少なくとも50重量パーセントの不飽和炭化水素モノマーから製造されたポリマーのブレンドを意味することを意図される。ポリオレフィンの例には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリスチレン、およびそれらの共重合体が挙げられる。
【0017】
用語「ポリエチレン」(PE)は本明細書で用いるところではエチレンのホモポリマーだけでなく、繰り返し単位の少なくとも85%がエチレン単位である共重合体をも包含することを意図される。
【0018】
用語「ポリプロピレン」(PP)は本明細書で用いるところではプロピレンのホモポリマーだけでなく、繰り返し単位の少なくとも85%がプロピレン単位である共重合体をも包含することを意図される。
【0019】
用語「線状低密度ポリエチレン」(LLDPE)は本明細書で用いるところでは約0.955g/cm未満、好ましくは0.91g/cm〜0.95g/cmの範囲、より好ましくは0.92g/cm〜0.95g/cmの範囲の密度を有する線状のエチレン/α−オレフィン共重合体を意味する。線状低密度ポリエチレンは、エチレンを、α−オレフィン分子当たり3〜12個の炭素、好ましくはα−オレフィン分子当たり4〜8個の炭素を有する少量のアルファ,ベータ−エチレン系不飽和アルケンコモノマー(α−オレフィン)と共重合させることによって製造される。LLDPEを製造するためにエチレンと共重合させることができるアルファ−オレフィンには、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、またはそれらの混合物が含まれる。好ましくは、α−オレフィンは1−ヘキセンまたは1−オクテンである。
【0020】
用語「高密度ポリエチレン」(HDPE)は本明細書で用いるところでは少なくとも約0.94g/cm、好ましくは約0.94g/cm〜約0.965g/cmの範囲の密度を有するポリエチレンホモポリマーを意味する。
【0021】
用語「ポリエステル」は本明細書で用いるところでは繰り返し単位の少なくとも85%
がエステル単位の形成によって生み出された結合を持ったジカルボン酸とジヒドロキシアルコールとの縮合生成物であるポリマーを包含することを意図される。これには、芳香族、脂肪族、飽和、および不飽和のジ酸およびジアルコールが含まれる。用語「ポリエステル」には本明細書で用いるところでは共重合体(ブロック、グラフト、ランダムおよび交互共重合体のような)、それらのブレンド、および変性物もまた含まれる。ポリエステルの例には、エチレングリコールとテレフタル酸との縮合生成物であるポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、および1,3−プロパンジオールとテレフタル酸との縮合生成物であるポリ(1,3−プロピレンテレフタレート)が挙げられる。
【0022】
用語「不織布、シート、層またはウェブ」は本明細書で用いるところでは編布または織布とは対照的に、特定可能なパターンなしに平面材料を形成するためにランダムに置かれている個々の繊維、フィラメント、またはスレッドの構造体を意味する。不織布の例には、メルトブローンウェブ、スパンボンドウェブ、カードウェブ、エアレイドウェブ、ならびに1つもしくはそれ以上の不織布層を含んでなるウェット−レイドウェブおよび複合ウェブが挙げられる。
【0023】
用語「多層不織布シート」は本明細書で用いるところでは少なくとも第1層が不織布である少なくとも第1および第2シート層を含んでなる多層構造体を意味する。第2層は不織布(第1層と同じかかまたはそれとは異なる)、織布、編布、またはフィルムであることができる。用語「多層接着接合不織布シート」は、第1層が水性接着剤組成物に由来するポリマー接着剤の層によって第2層に接合されている多層不織布シートを意味する。多層接着接合不織布シートは、例えば多層接着接合ゾーンが物品の部分上に形成される場合には物品の一部を含んでなってもよい。あるいはまた、物品は専ら多層接着接合不織布シートから製造することができる。
【0024】
用語「メルトブローン繊維」は本明細書で用いるところでは、溶融加工可能なポリマーを複数の毛細管を通して溶融流れとして高速ガス(例えば空気)流れ中へ押し出すことを含んでなるメルトブローによって形成される繊維を意味する。高速ガス流れは溶融した熱可塑性ポリマー材料を繊維化してそれらの直径を小さくし、約0.5〜10マイクロメートルの直径を有するメルトブローン繊維を形成する。メルトブローン繊維は一般に不連続繊維であるが、また連続であることもできる。高速ガス流れによって運ばれたメルトブローン繊維は一般に収集面上に沈積されてランダムに分散した繊維のメルトブローンウェブを形成する。
【0025】
用語「スパンボンド」繊維は本明細書で用いるところでは紡糸口金の複数の細かい、通常円形の毛細管から溶融した熱可塑性ポリマー材料を繊維として押し出し、押し出された繊維の直径を次に延伸によって急速に小さくし、次に繊維を急冷することによって形成される繊維を意味する。卵形、多葉状などのような他の繊維断面形状もまた用いることができる。スパンボンド繊維は一般に連続であり、約5マイクロメートルより大きい平均直径を有する。スパンボンド不織布またはウェブは、小孔のあるスクリーンまたはベルトのような収集面上にスパンボンド繊維をランダムに置くことによって形成される。スパンボンドウェブは一般に、ホット−ロールカレンダー加工によるまたはウェブを高圧で飽和水蒸気室を通過させることによるような当該技術分野で公知の方法によって接合される。例えば、ウェブはスパンボンド布の端から端まで置かれた複数の熱接合点で熱点接合することができる。
【0026】
用語「スパンレース布」は本明細書で用いるところではバインダーなしである強い布を提供するためにウェブ中の繊維を絡ませることによって製造される不織布を意味する。例えば、スパンレース布は、メッシュスクリーンのような多孔質支持体上に繊維の不織ウェブを支持し、水圧ニードリング法におけるように、支持されたウェブを水ジェットの下を
通過させることによって製造することができる。繊維は繰り返しパターンで絡ませることができる。
【0027】
用語「スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド不織布」(SMS)は本明細書で用いるところでは2つのスパンボンド層の間に挟まれ、それらに接合されたメルトブローン繊維のウェブを含んでなる複合不織布を意味する。SMS不織布は、移動する多孔質の収集面上に、順次、スパンボンド繊維の第1層、メルトブローン繊維の層、およびスパンボンド繊維の第2層を沈積させることによってインラインで形成することができる。集められた層は、加熱するまたは加熱しないことができ、平滑であるまたは模様付きであることができる2つのロール間に形成されたニップを通過させることによって接合することができる。あるいはまた、個々のスパンボンドおよびメルトブローン層を、あらかじめ形成させ、場合により接合し、例えば布を巻取ロールに巻き取るなど、個々に集めることができる。個々の層は、しばらく経って層にすることによってアセンブルし、接合してSMS不織布を形成することができる。追加のスパンボンドおよび/またはメルトブローン層をSMS布、例えばスパンボンド−メルトブローン−メルトブローン−スパンボンドなどに組み入れることができる。あるいはまた、スパンボンド布の単一層およびメルトブローン布の単一層を用いてスパンボンド−メルトブローン布を形成することができる。
【0028】
用語「多成分繊維」は本明細書で用いるところでは単繊維を形成するために共に紡糸された少なくとも2つの別個のポリマー成分よりなる任意の繊維を意味する。少なくとも2つのポリマー成分は、多成分繊維の断面の端から端まで別個の実質的に一定に置かれたゾーンに好ましくは配置され、繊維の長さに沿って実質的に連続して伸びる。好ましくは多成分繊維は、2つの別個のポリマーから製造されている複合繊維である。複合繊維は当該技術分野では公知であり、ポリマー成分の1つが繊維の外側外周面上にシースを形成する第2ポリマー成分によって取り囲まれるコアを形成するシース・コア繊維と、第1ポリマー成分が第2ポリマー成分によって形成されるセグメントに隣接するセグメントを形成し、両ポリマーが繊維表面上に露出されて各セグメントが繊維の長さに沿って実質的に連続であるサイド−バイ−サイド断面とを含む。多成分繊維は、ポリマー材料の単一の均一のまたは不均一のブレンドから押し出される繊維とは区別される。しかしながら、多成分繊維を形成するために使用される別個のポリマー成分の1つもしくはそれ以上はポリマー材料のブレンドを含んでなることができる。
【0029】
用語「水性接着剤組成物」は本明細書で用いるところでは実質的にすべて水である溶剤に分散されたまたは溶解された接着材料を含んでなる接着剤組成物を意味する。例えば、水性接着剤組成物はエマルジョンであることができる。接着材料は天然材料か合成材料かのどちらかであることができる。水性接着剤組成物は、追加の加熱工程を必要とせずに、乾燥すると、室温、例えば約15℃〜約30℃で一般に硬化する材料を含むために配合される。
【0030】
本発明の多層接着接合不織布シートは、その側面の少なくとも1つ上に不織布を含んでなる第1層を、水性接着剤を使用して第2層に接合することによって製造される。第2層に接合される第1層の側面はスパンボンド繊維を含んでなる。第1および第2層は好ましくは約10〜100g/mの坪量を有する。第1層がスパンボンド不織布である場合、スパンボンド繊維の外周面の少なくとも一部分はその少なくとも一部分に少なくとも約25ダイン/cm(20℃で測定された)の表面張力を有する合成ポリマーを含んでなる。より好ましくは、スパンボンド繊維の外周面の少なくとも一部分は少なくとも約30ダイン/cmの表面張力を有する合成ポリマーを含んでなる。スパンボンド繊維は22ミクロン以下、好ましくは19ミクロン以下である直径を好ましくは有する。第1層がスパンボンド布である一実施形態では、スパンボンド繊維は10ミクロン未満、好ましくは約8ミクロン以下である直径を有し、かつ、スパンボンド布は少なくとも約15cmの静水頭を
有する。例えば、参照により本明細書によって援用される、ルーディシル(Rudisill)らの米国特許第5,885,909号明細書に記載されている不織布が第1層として使用されてもよい。スパンボンド繊維は単一成分または多成分繊維であることができる。好適なスパンボンド布の例には、シースがポリ(エチレンテレフタレート)共重合体のようなポリエステル共重合体を含んでなり、コアがポリ(エチレンテレフタレート)のようなポリエステルを含んでなるシース/コア・スパンボンド布が挙げられる。
【0031】
少なくとも約25ダイン/cmの表面張力を有するポリマーの例には、ポリエチレンのようなポリオレフィン、ポリ(エチレンテレフタレート)またはポリ(1.3−プロピレンテレフタレート)のようなポリエステル、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)(ナイロン66)またはポリ(カプロアミド)(ナイロン6)のようなポリアミド、およびポリスチレン、ならびにそれらのブレンドおよび共重合体が挙げられる。例えば、ポリエチレンは約31ダイン/cmの表面張力を有し、ポリ(エチレンテレフタレート)ホモポリマーは約43ダイン/cmの表面張力を有する。ポリプロピレンは約20ダイン/cmの表面張力を有し、それ故少なくとも約25ダイン/cmの表面張力を有するポリマー成分として好適ではない。好適なポリエチレンには、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、およびそれらのブレンドが含まれる。一実施形態では、スパンボンド繊維の外周面は本質的に少なくとも約25ダイン/cmの表面張力を有する1つもしくはそれ以上のポリマーよりなる。例えば、スパンボンド繊維は本質的に1つもしくはそれ以上のポリエチレンよりなることができる。あるいはまた、スパンボンド繊維はポリエチレンと約25ダイン/cm未満の表面張力を有する別のポリマーとのブレンドを含んでなることができる。ポリマーブレンドについては、ポリマーブレンドは好ましくは少なくとも約25ダイン/cmの加重平均表面張力(容量基準)を有する。例えば、43ダイン/cmの表面張力を有する75容量パーセント・ポリエチレンと20ダイン/cmの表面張力を有する25容量パーセント・ポリプロピレンとを含んでなるポリマーブレンドは、0.75(43)+0.25(20)=37.25ダイン/cmの加重平均表面張力を有するであろう。あるいはまた、スパンボンド繊維は、スパンボンド繊維の外周面の少なくとも一部分が少なくとも約25ダイン/cmの表面張力を有するポリマーを含んでなる多成分スパンボンド繊維であることができる。多成分スパンボンド繊維中のポリマー成分の1つもしくはそれ以上は少なくとも約25ダイン/cmの表面張力を有する第1ポリマーと第2ポリマーとのブレンドを含んでなることができる。一実施形態では、スパンボンド繊維は、2つのポリマー成分がシース/コア断面に配置されている複合繊維であって、シースが少なくとも約25ダイン/cmの表面張力を有するポリマーを含んでなる複合繊維を含んでなる。シースは本質的に少なくとも約25ダイン/cmの表面張力を有する1つもしくはそれ以上のポリマーよりなることができる。好適なコアポリマーの例には、ポリエステル、ポリアミド、およびポリプロピレンが挙げられる。例えば、スパンボンド繊維は、シースがポリエチレンを含んでなり、コアがポリエステルを含んでなるシース/コア複合繊維を含んでなることができる。
【0032】
別の実施形態では、第1層は、SMS不織布のメルトブローン層がメルトブローン繊維の外周面の少なくとも一部分上に少なくとも約25ダイン/cm、好ましくは少なくとも約40ダイン/cmの表面張力を有するポリマーを含んでなるメルトブローン繊維を含んでなるスパンボンド−メルトブローン−スパンボンド不織布を含んでなることができる。メルトブローン繊維は、ポリマー成分がサイド−バイ−サイド構造に配置され、メルトブローン繊維中のポリマー成分の少なくとも1つが少なくとも約40ダイン/cmの表面張力を有する複合繊維を含んでなることができる。少なくとも約40ダイン/cmの表面張力を有する好適なポリマーの例には、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(1,3−プロピレンテレフタレート)、ポリ(1,4−ブチレンテレフタレート)のようなポリエステル、およびイソフタル酸または1,4−シクロヘキサンジメタノールで変性されたポリ(エチレンテレフタレート)のようなポリエステル共重合体が挙げられる。
【0033】
上に記載されたメルトブローン層を含んでなるSMS不織布を使用する一実施形態では、SMS不織布中のスパンボンド層の少なくとも1つが、その外周面の少なくとも一部分上に少なくとも約25ダイン/cm、好ましくは少なくとも約30ダイン/cmの表面張力を有するポリマーを含んでなるスパンボンド繊維を含んでなることができる。スパンボンド層は、ポリマー成分がシース/コア断面に配置されている複合繊維であって、シースが少なくとも約25ダイン/cmの表面張力を有するポリマーを含んでなる複合繊維を含んでなることができる。シースは本質的に少なくとも約25ダイン/cmの表面張力を有する1つもしくはそれ以上のポリマーよりなることができる。
【0034】
第1層はさらに、第1層に局所的に塗布されるまたは紡糸中に第1層のスパンボンド繊維中にメルト添加剤として組み入れることができる、フルオロケミカルを含んでなることができる。第1層がSMS布である場合、フルオロケミカル・メルト添加剤はメルトブローン繊維中に組み入れることもできる。フルオロケミカル・メルト添加剤は、例えば繊維の加熱時に繊維の表面に移動することが当該技術分野では知られている。局所フルオロケミカルが使用される場合、第1層は第2シート層に接合する前にフルオロケミカル仕上剤で局所的に処理される。フルオロケミカル仕上剤は当該技術分野で公知であり、一般にフルオロポリマーの水性エマルジョンである。フルオロケミカル仕上剤は一般に、生理食塩水、血液、アルコール、およびオイルのような手術室で普通に見いだされる水より低い表面張力を有するものをはじめとする、液体をはじく布の能力を高めるために手術着に使用される不織布に局所的に塗布される。好適なフルオロポリマーには、イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(デラウェア州ウィルミントン)から入手可能なゾニール(Zonyl)(登録商標)フルオロポリマーのようなフッ素化アクリル共重合体が含まれる。フルオロケミカル仕上剤は好ましくは少なくとも約6の撥アルコール度格付けを有する第1層をもたらすのに十分なレベルで第1層に塗布される。
【0035】
第1層がSMS不織布であって、スパンボンド繊維がシース/コア・ポリエチレン/ポリ(エチレンテレフタレート)繊維を含んでなり、かつ、メルトブローン繊維がサイド−バイ−サイド構造に配置された約20〜92重量パーセントの線状低密度ポリエチレンのようなポリオレフィン成分と約80〜8重量パーセントのポリ(エチレンテレフタレート)のようなポリエステル成分とを含んでなる複合繊維であるSMS不織布である場合、約0.132重量%〜0.33重量%、より好ましくは約0.25重量%〜0.33重量%のフルオロケミカル・レベルが許容される撥アルコール度および水衝撃格付けをもたらすことが見いだされた。これは、100%ポリエステルSMS不織布で許容される撥アルコール度および水衝撃格付けを達成するために必要とされるフルオロケミカルの量より低い。第2層もまたフルオロケミカルを含んでなることができる。未処理ポリプロピレンおよびポリエチレン不織布は一般に2〜4の撥アルコール度格付けを有する。フルオロケミカル仕上剤は、スプレーまたは発泡塗布、キス−ロール塗布、または布を仕上剤溶液に浸漬し、引き続き例えば含浸布を2つのロール間に形成されたニップを通過させることによってなど、過剰の仕上剤を絞り出す浸漬−圧搾法のような当該技術分野で公知の方法を用いて不織布または他の層に塗布することができる。
【0036】
本発明の多層複合不織布シートを形成する第2層は第1層と同じものかまたはそれとは異なるものであることができる。第2層はフィルム、不織布、織布、または編布であることができる。第2層がフィルムである場合、水性接着剤組成物は好ましくは第1層に塗布され、それは次にフィルム層と接触させられる。一実施形態では、第2層は実質的に第1層と同じものかまたはそれとは異なるものであることができる不織ウェブである。一実施形態では、第1および第2層の両方がSMS不織布である。かかる一実施形態では、接着材料によって接合されたスパンボンド側面は、その外周面の少なくとも一部分上に少なくとも約25ダイン/cmの表面張力を有するポリマーを含んでなるスパンボンド繊維を含
んでなり、メルトブローン繊維は、ポリマー成分がサイド−バイ−サイド構造に配置され、かつ、メルトブローン繊維中のポリマー成分の少なくとも1つが少なくとも約40ダイン/cmの表面張力を有する複合繊維を含んでなる。2つの層が水性接着剤を使用して接合されている場合にポリエステル/木材パルプ・スパンレース布に匹敵する乾燥時間を提供することが分かったSMS布は、ポリエステル/ポリエチレン・コア/シース・スパンボンド複合繊維ウェブおよびサイド−バイ−サイド・ポリエステル/ポリエチレン・メルトブローン複合繊維のウェブを含んでなる。
【0037】
好適な水性接着剤組成物は、追加の加熱工程を必要とせずに、乾燥すると、室温、例えば約15℃〜約30℃で一般に硬化する材料を含むものであり、ポリ(酢酸ビニル)共重合体、例えばエチレンと酢酸ビニルとの共重合体の水性分散系またはエマルジョンを含む。かかる接着剤は多数の製造業者から商業的に入手可能である。接着材料は非架橋性または架橋性であることができる。水性接着剤は好ましくは40〜80重量パーセント固形分を含んでなり、接着剤組成物の残りは主として水を含んでなる。より好ましくは、水性接着剤組成物は50〜75重量パーセント固形分、最も好ましくは約60〜75重量パーセント固形分を含んでなる。粘着性付与剤、酸化防止剤/防腐剤、および粘度調整剤のような他の添加剤もまた水性接着剤組成物に含むことができる。
【0038】
本発明の多層接着接合不織布シートは当該技術分野で公知の方法を用いて製造することができる。例えば、水性接着剤組成物は、少なくとも約25ダイン/cmの表面張力を有するポリマーを含んでなる第1層のスパンボンド側面もしくは第2層の側面、または両方に塗布され、少なくとも約25ダイン/cmの表面張力を有するポリマーを含んでなる第1層のスパンボンド側面に接着剤が接触して、接着剤層が層間に挟まれているように層を接触させることができる。水性接着剤組成物を層に塗布するために好適な方法には、スクィーズボトルもしくはチューブもしくはローラー付刃ボトルを用いる手塗り、吹き付け塗り、または塗りロール(例えばキスロール)を用いる層上への接着剤の印刷が含まれる。例えば、不連続パターンの接着剤を塗布することが望ましい場合、彫刻ロールを用いることができる。水性接着剤組成物は、層の1つまたは両方の外周に隣接する表面上に塗布することができる。同様に、接着剤は、あるパターンの接着剤として、例えば一連の線または他の不連続パターンとして層の1つまたは両方の全表面の一面に塗布することができる。あるいはまた、接着剤は層の1つまたは両方に連続層として塗布することができる。通気性が望まれる医療服のような最終用途のためには、水性接着剤組成物は好ましくは不連続様式で塗布され、接着剤被覆領域間に通気性の接着剤なしの領域を残す。経済的観点から必要なだけ少ない水性接着剤組成物を使用すること、および層が相対的に移動することなく多層接着接合不織布シートのさらなる取扱いおよび加工を可能にする値まで層の接合強度が増加するために必要とされる乾燥時間を削減することが好ましい。不十分な接着剤が使用された場合、層間の接合は不十分であろう。余りにも多くの接着剤が使用された場合、乾燥時間が長くなり得るおよび/または水性接着剤組成物が1つもしくはそれ以上のシート層にしみ込み得る。接着剤組成物が1つもしくはそれ以上の表面層にしみ込んだ場合、それは、湿った接着剤を含んでなる強化パターンピースが他の強化ピースと積み重ねられた時に隣接する強化パターンピースをくっつけるような問題を引き起こし得る。接着剤組成物が1つもしくはそれ以上のシート層にしみ込んだ場合、それは、多層接着接合不織布シートに目に見える欠陥をもたらし得る。
【0039】
それらを接着させるために層を接触させた後、層間の接合を向上させるために圧力をかけることができ、水性接着剤組成物は乾燥される。水性接着剤は乾燥すると一般に室温で硬化するので、接着剤組成物中の水の比較的高い百分率でさえ、接合層は接着接合ポリプロピレンSMS材料のような当該技術分野における他の材料と比較して短時間後にかなりの湿潤接合強度を持つようになるので、本発明の多層接着接合不織布シートを製造する際に何の追加の加熱工程も必要とされない。本発明の多層接着接合不織布シートがさらなる
加工で取り扱われるのに十分な接合強度を達成するための周囲温度(一般に約15℃〜約30℃)での典型的な乾燥時間は、使用される水性接着剤組成物に依存して、約5〜7分の範囲である。これは、周囲条件下で少なくとも15分の乾燥時間を一般に必要とするポリプロピレンSMS材料より約2倍〜3倍速い。
【0040】
多層接着接合不織布シートは、衣服が専ら多層接着接合シートからカットされたピースからアセンブルされる医療服のような接着接合物品の製造に使用することができる。例えば、多層接着接合不織布シートは、層が実質的に完全にオーバーラップして不織布層を第2層に接合することによって製造することができ、接着接合多層不織布シートは乾燥され、巻き取られる。次にロール物品は、後の加工工程で医療服または他の物品へ二次加工することができる。
【0041】
あるいはまた、ベースシート上で選択された区域(ゾーン)が本発明の多層接着接合不織布シートを含んでなるゾーン化医療服を製造することができる。一実施形態では、第2層として使用されるロール物品フィルムまたは布は様々なパターンピースへカットされ、それらは最終的には接合されて(例えば超音波もしくは熱接合または裁縫によって)ガウンを形成するであろう。例えば、ガウンの袖部分を形成するであろうピース、ガウンのフロントを形成するであろう胸部パネル、およびガウンのバックを形成するであろうバックパネルなどのようなパターンピースをカットすることができる。第1層(上に記載された不織布から選択される)は所望の形状/サイズへカットされ、水性接着剤組成物を使用して第2層からカットされた1つもしくはそれ以上のパターンピースに接合されて、本発明の多層接着接合不織布を含んでなるゾーンを形成する。第2層は、第1層と同じ材料であるかまたはそれとは異なることができる。あるいはまた、第1層は様々なパターンピースへカットすることができ、第2層は衣服で強化層として使用することができる。第1または第2層を含んでなる細長いピースは、接合されている表面が本発明の多層接着接合不織布材料を含んでなる接合ゾーンを形成するように、水性接着剤組成物を使用してガウンへ接合して衣服タイを形成することができる。
【0042】
別の実施形態では、上記方法の組合せを用いて医療服を製造することができる。例えば、衣服の袖を形成するであろう布は、あらかじめ製造された本発明の多層接着接合不織布シートから専らカットすることができ、衣服の胴部の残りは別のシート材料またはゾーン化材料を含んでなることができ、ここで、衣服の胴部の残りの一部が本発明による2層の接着接合によって形成されたゾーンを含んでなる。
【0043】
試験方法
上の説明でおよび後に続く実施例で、報告される様々な特性値および性質を測定するために次の試験方法を用いた。ASTMは米国材料試験協会(American Society for Testing and Materials)を意味し、INDAは不織布工業会(the Associastion of the Nonwoven Fabric Industry)を意味する。
【0044】
接着剪断強度は、実施例に記載される接着接合多層シートの保持/設定強度の尺度として用いた。接着剪断強度は、次の試験方法を用いて時間の関数として測定した。2ピースの布を貼り合わせ、あらかじめ定めた時間間隔で試験して経時的な生強度および強度増加を明らかにした。剪断試験では、2つの4インチ幅×6インチ長さ(10.2cm×15.2cm)ピースの布を図1に示すように貼り合わせた。各ピースの布を、各サンプルに塗布された接着剤の量がおおよそ一定のままであることを確認するために接着剤の塗布前に秤量した。接着剤の外周2を、スクィーズボトルを用いて布ピース1上に配置し、ピースを秤量し、図1に示すように接着剤層とオーバーラップするように第2布ピース3を第1布の部分の最上部上に配置した。接着剤の外周はおおよそ4インチ×4インチ(10.
2×10.2cm)であり、おおよそ16インチ(40.6cm)の接着剤の外周を提供した。インストロン(Instron)クランプをサンプルの剪断中に取り付けるため2インチ(5.1cm)張出し(4a、4b)を各ピースの布の端に残した。外周を構成する接着剤のビードの幅は用いたスクィーズボトルのサイズに依存する。異なるサイズのチップ付きの2つの異なるボトル・サイズ(198060および265100、両方ともサリー・ビューティ・サプライ(Sally Beauty Supply)から入手可能である)を実施例で用いた。2つの異なるチップ・サイズは2つの異なる量の接着剤が布上に配置されることを可能にした。小さなボトルはおおよそ0.4g(0.01g/cm(量1))の重さがある接着剤の外周を生み出し、大きなボトルはおおよそ0.8g(0.02g/cm(量2))の重さがある接着剤の外周を生み出した。上述したように、これは塗布の一貫性をモニターするために追跡した。不織布材料からの医療服の製造において当該技術分野で一般に行われるものと同様に、サンプルを、接着剤の外周層をカバーする布の部分の一面に手を走らせることにより圧力をかけることによって接着させた。
【0045】
剪断試験は、5インチ(12.7cm)のクランプ間隔で3インチ(7.6cm)クランプを備え付けたインストロン装置を用いて行った。インストロン装置の試験速度は5インチ/分(12.7cm/分)であった。
【0046】
異なる材料について様々な接着剤を比較するために、時間「t」で測定した剪断強度(S)と接着剤を完全に乾燥させた時に測定した極限剪断強度(S極限、室温で24時間の乾燥後に測定した)との比を、方程式(1)に示すような%極限強度として実施例で報告する。
%極限強度=S/S極限×100 (1)
【0047】
追加サンプルもまた室温での60時間の乾燥後に試験し、それは24時間の乾燥が極限強度に達するために十分であることを確認した。%極限強度はサンプルの乾燥度の尺度である。例えば、100%の%極限強度を有するサンプルは完全に乾燥しているであろうが、50%の%極限強度のサンプルは半分乾燥しているに過ぎないであろう。剪断強度(S)を、3、6、8、12、または20分間乾燥させた多層サンプルについて測定した。2セットのサンプルを各乾燥時間用に調製し、結果を平均した。
【0048】
平均繊維径は走査電子顕微鏡法によって測定した。75繊維を測定し、結果を平均する。非円形の断面を有する繊維については、「有効径」は同じ断面積を有する仮想円形繊維の直径に等しい。用語平均繊維径が非円形断面を有する繊維について用いられる場合、平均繊維径は平均有効径であることが理解される。
【0049】
ポリマーについての20℃での表面張力値は、フェルジナンド・ロドリゲス(Ferdinand Rodriguez)著、ポリマー科学の原理(Principles of Polymer Science)、第3版、ニューヨーク、へミスフェア・パブリッシング・コーポレーション、1989年、367−370ページに報告されている。あるいはまた、表面張力は、ASTM D724−99紙の表面湿潤性についての標準試験方法(Standard Test Method for Surface Wettability of Paper)(接触角方法(Angle−of−Contact
Method))に従って20℃で測定することができる。測定が行われるポリマー基材はフィルムの形態にあることができる。あるいはまた、不織布シートは圧力下で加熱して表面張力測定用の平滑なフィルム様表面を有する基材を提供することができる。接触角をダイン/cmとして報告される表面張力に変換する。
【0050】
撥アルコール度格付けはアルコールおよびアルコール/水溶液による湿潤および浸透に対する布の抵抗性の尺度であり、布が抵抗できるイソプロピルアルコール溶液の最高百分
率として表され(10点スケールで表される−10は純イソプロピルアルコールである)、INDA IST 80.6−92に従って行った。
【0051】
静水頭は静水圧下での液体水による浸透に対するシートの抵抗性の尺度である。試験は、参照により本明細書によって援用されるAATCC(米国繊維化学者・色彩技術者協会)−127に従って行い、センチメートル単位で報告する。
【実施例】
【0052】
実施例1
本実施例は、2つの同一の2成分SMS層が水性接着剤を使用して接着される多層接着接合不織布シートの形成を実証する。
【0053】
2つのスパンボンド層の間に挟まれたメルトブローン層でできた約61g/mの坪量を有するSMS布を多層不織布シートとして使用した。スパンボンド層は13.71ミクロン(標準偏差0.88ミクロン)の平均繊維径を有するシース−コア・スパンボンド繊維を含んでなった。シース成分は、PETコア成分(デラウェア州ウィルミントンのイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニーから入手可能なクライスター(Crystar)(登録商標)4449)を取り囲むLLDPE(オハイオ州シンシナチのエクィスター・ケミカル社(Equistar Chemical Co.,Cincinnati,OH)から入手した、融点125℃)であった。メルトブローン層は、LLDPE(オハイオ州シンシナチのエクィスター・ケミカル社から入手した、融点125℃)およびPET(デラウェア州ウィルミントンのイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニーから入手可能なクライスター(登録商標)4449)ポリマー成分から製造されたサイド−バイ−サイド断面を有する複合繊維を含んでなった。スパンボンド繊維中のポリエステル成分対ポリエチレン成分の比は重量で50:50であり、メルトブローン繊維中のポリエステル成分対ポリエチレン成分の比は重量で65:35であった。SMS複合布を熱点接合し、浸漬−圧搾法を用いてゾニール(登録商標)7040フッ素化アクリルフルオロポリマーを含むフルオロケミカル仕上剤(水性エマルジョン)で処理した。仕上剤の含浸量は1g仕上剤対1gSMS布であり、SMS布上0.5重量パーセントのフルオロポリマー固形分に相当した。フルオロポリマー処理SMS布は約7.5の撥アルコール度を有した。
【0054】
使用した接着剤は、非架橋性ポリ(酢酸ビニル)共重合体のおおよそ70重量パーセントの固形分含有率を有する水性接着剤、エルスワース・カンパニー(Ellsworth
Company)(ウィスコンシン州アップルトン(Appleton,WI))から入手可能な製品コードA−3474−Aであった。あるサンプルでは量1の接着剤を、他のサンプルでは量2の接着剤を使用して接着剤をSMS材料の1層に塗布した。同じSMS材料の第2層を上に記載したように第1層に接合した。
【0055】
比較例A
実施例1で上に記載した手順に従って、かつ、同じ水性接着剤組成物を使用して、単一成分PPメルトブローンおよびスパンボンド層を含んでなるSMS不織布を使用して多層接着接合布を製造した。点接合ポリプロピレンSMS布は約54g/mの坪量を有し、商業的に入手可能な医療服からサンプルをカットすることによって得た。布は約7.5の撥アルコール度を有し、それがフルオロケミカルで処理されたことを示唆した。
【0056】
図2は、比較例Aの単一成分PP布対実施例1で使用した2成分SMS布の乾燥試験中の挙動を比較する。結果は、本発明の2層接着接合2成分SMS不織布がおおよそ20分後におおよそ90%極限強度に近づくのに、比較例Aの2層SMS接着接合単一成分PP布2不織布が同じ乾燥時間後に極限剪断強度の約30%を達成したに過ぎなかったことを
実証している。両材料とも最終的には湿った接着接合層が相対的に移動することなく該層を取り扱うことを可能にするほど十分に高い剪断接合強度を達成するが、周囲条件下で乾燥された時に本発明の多層接着接合不織布シートは比較例AのポリプロピレンSMSベース材料より速くこの剪断接合強度を達成し、製造時間の削減を提供する。
【0057】
実施例2
実施例1で使用したものと同じ2成分SMS材料を、ポリ(酢酸ビニル)共重合体のおおよそ65重量パーセントの固形分含有率を有する水性接着剤、ボスチック・フィンドリー・カンパニー(Bostik Findley Company)(ウィスコンシン州ウォーワトサ(Wauwatosa,WI))から入手可能な製品コードL8263Nを使って実施例1に記載した方法を用いて評価した。
【0058】
比較例B
比較例Aで使用した同じポリプロピレンSMS材料を、実施例2で使用した同じ水性接着剤を使用して評価した。時間の関数としての%極限強度を、それを実施例2についての結果と比較して図3に示す。比較例BのPP2層SMS接着接合シートについてのおおよそ20%極限強度に比べて、0.01g/cmの接着剤(量1)については実施例2の2層布は20分後におおよそ75%極限強度を達成し、0.02g/cmの接着剤(量2)についてはそれはおおよそ62%極限強度を達成した。
【0059】
実施例3
実施例1で使用したものと同じ2成分SMS材料を、実施例1に記載した方法を用いておおよそ60重量パーセントの固形分含有率を有する水性ポリ(酢酸ビニル)共重合体接着剤(ナショナル・スターチ・カンパニー(National Starch Company)(ニュージャージー州ブリッジウォーター(Bridgewater,NJ))によって製造された)を使って評価した。
【0060】
比較例C
比較例Aで使用した同じポリプロピレンSMS材料を、実施例3で使用した同じ水性接着剤を使用して評価した。時間の関数としての%極限強度を、それを実施例3の結果と比較して図4に示す。比較例CのPP2層SMS接着接合シートについて0.01g/cmの接着剤についてのおおよそ4%極限強度および0.02g/cmの接着剤についての17%極限強度に比べて、0.01g/cmの接着剤(量1)について実施例3の2層布は20分後におおよそ78%極限強度を達成し、0.02g/cmの接着剤(量2)についてそれはおおよそ60%極限強度を達成した。
【0061】
実施例4
実施例1で使用した2成分SMS布を、木材パルプ−ポリエステル・スパンレース布(デラウェア州ウィルミントンのイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニーから入手可能なソンタラ(登録商標)F903スパンレース不織布)のPET側面に接着した。スパンレース布を、浸漬−圧搾法を用いてゾニール(登録商標)8315フッ素化アクリルフルオロポリマーを含むフルオロケミカル仕上剤(水性エマルジョン)で処理した。仕上剤の含浸量は1.25g仕上剤対1gスパンレース布であり、スパンレース布上0.75重量パーセントのフルオロポリマー固形分に相当した。仕上げスパンレース布は約7.5の撥アルコール度を有した。実施例1で使用した水性接着剤を、スクィーズボトルの端に備え付けられたローラー−チップを用いて(業界での現行塗布方法に類似の)SMS層に塗布した。ローラーチップは幅がおおよそ1インチ(2.54cm)であった。材料上に配置された接着剤の量は幅1インチ×長さ1インチ(2.54cm×2.54cm)であった。木材パルプ−ポリエステル・スパンレース材料はおおよそ幅が1インチおよび長さが14インチであった。接着剤をSMS材料上に配置し、スパンレース布を
接着剤区域に手で貼り付けた。接着剤を、スパンレース材料がより狭く、この試験ではより少ない接着剤を使用したことを除いて上の実施例1、2および3で用いた方法に類似の方法で試験した。接着剤を3、6、9、12または20分間乾燥させ、強度増加について試験した。極限強度を測定するためにサンプルをまた24および60時間放置した。図5は、時間の関数としての強度増加(%極限強度として表される)を示す。
【0062】
比較例D
比較例Aで使用した単一成分ポリプロピレンSMS材料を、実施例4と同じ方法に従って実施例4で使用した木材パルプ−ポリエステル・スパンレース布に接着させた。時間の関数としての強度増加を実施例4と比較して図5に示す。結果は、2成分SMS布を使用して形成された2層接着接合不織材料が20分後におおよそ80%の極限強度に達したが、比較例Dの単一成分ポリプロピレンSMS布を使用して形成された2層材料が同じ時間で約60%の極限強度を達成したに過ぎなかったことを示す。
【0063】
比較例E
本比較例は、単一スパンボンド布層を実施例1で使用した量1の水性接着剤で別の単一スパンボンド布層に接着させることを実証する。スパンボンド層は実施例1でSMS布を製造するために使用したものと同じものであった。各スパンボンド層は、局所的に塗布されたフルオロケミカル仕上剤を有し、34g/mの坪量を有した。時間の関数としての%極限強度を図6に示す。20分後に、互いに接着された実施例1での2層のSMSは極限強度のおおよそ80%を達成したが、比較例Eで使用した2層のスパンボンド布は極限強度の40%を達成したに過ぎなかった。さらに、接着剤が比較例Eではスパンボンド層に浸透してその外面に達したが、実施例1で使用したSMS層には浸透しなかった。
【0064】
実施例5
本実施例は、微細径スパンボンド繊維を含んでなる単一スパンボンド布層を別の単一スパンボンド布層に接着させることを実証する。シースがポリ(エチレンテレフタレート)共重合体であり、コアがポリ(エチレンテレフタレート)である、8ミクロンの平均繊維径を有するシース−コア繊維から製造された、2.2オンス/ヤード(74.6g/m)の坪量を有するスパンボンド布の2層を、量2の実施例1で使用した水性接着剤を使用して接合した。時間の関数としての%極限強度を、比較目的のために含まれた実施例1(量1の接着剤を使用した)からの結果と共に図7に示す。実施例5の接着接合スパンボンド−スパンボンド布は、実施例1の接着接合SMS−SMS布に類似の経時的強度増加を実証した。実施例5の接着接合多層布もまた、10ミクロンより大きい平均繊維径を有するスパンボンド布を使用した比較例Eの接着接合多層布より高い強度増加の速度を有した。さらに、接着剤は8ミクロンの平均繊維径を有する繊維から製造されたスパンボンド不織布層に浸透しなかった。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】剪断強度測定のための布アセンブリを例示する略図である。
【図2】実施例1および比較例Aで製造された接着接合多層シートについての%極限強度対乾燥時間のプロットである。
【図3】実施例2および比較例Bで製造された接着接合多層シートについての%極限強度対乾燥時間のプロットである。
【図4】実施例3および比較例Cで製造された接着接合多層シートについての%極限強度対乾燥時間のプロットである。
【図5】実施例4および比較例Dで製造された接着接合多層シートについての%極限強度対乾燥時間のプロットである。
【図6】実施例1および比較例Eで製造された接着接合多層シートについての%極限強度対乾燥時間のプロットである。
【図7】実施例1および実施例5で製造された接着接合多層シートについての%極限強度対乾燥時間のプロットである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)内面および外面ならびに少なくとも約15cmの静水頭を有するスパンボンド不織布層であって、10ミクロン未満の平均繊維径を有し、スパンボンド繊維の表面が少なくとも約25ダイン/cmの表面張力を有するポリマーを含んでなる連続スパンボンド繊維を含んでなるスパンボンド不織布層と、
(b)不織布、編布、織布、およびフィルムよりなる群から選択される、内面および外面を有する第2層と、
(c)該スパンボンド層と該第2層の内面の少なくとも一部分を接着させるポリマー接着剤であって、水性の接着剤組成物に由来するポリマー接着剤と
を含んでなる多層不織布シート。
【請求項2】
スパンボンド繊維が約8ミクロン以下の平均繊維径を有する請求項1に記載の多層不織布シート。
【請求項3】
少なくとも約25ダイン/cmの表面張力を有するポリマーがポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ならびにそれらのブレンドおよび共重合体よりなる群から選択される請求項1に記載の多層不織布シート。
【請求項4】
少なくとも約25ダイン/cmの表面張力を有するポリマーがポリエステル共重合体およびポリエチレンよりなる群から選択される請求項3に記載の多層不織布シート。
【請求項5】
少なくとも約25ダイン/cmの表面張力を有するポリマーがポリ(エチレンテレフタレート)共重合体である請求項4に記載の多層不織布シート。
【請求項6】
ポリ(エチレンテレフタレート)共重合体がイソフタル酸で変性されたポリ(エチレンテレフタレート)および1,4−シクロヘキサンジメタノールで変性されたポリ(エチレンテレフタレート)よりなる群から選択される請求項5に記載の多層不織布シート。
【請求項7】
スパンボンド繊維が、シースが少なくとも25ダイン/cmの表面張力を有するポリマーを含んでなるシース−コア多成分繊維である請求項4に記載の多層不織布シート。
【請求項8】
コアがポリエステルを含んでなる請求項7に記載の多層不織布シート。
【請求項9】
コアがポリ(エチレンテレフタレート)を含んでなる請求項8に記載の多層不織布シート。
【請求項10】
第2層が不織布を含んでなる請求項1または4のいずれかに記載の多層シート。
【請求項11】
第2層がスパンボンド布および少なくとも1つのメルトブローン層と少なくとも1つのスパンボンド層とを含んでなる不織布よりなる群から選択される不織布を含んでなる請求項10に記載の多層シート。
【請求項12】
第2層が、スパンボンド繊維の表面が少なくとも約25ダイン/cmの表面張力を有するポリマーを含んでなる連続スパンボンド繊維を含んでなるスパンボンド不織布層を含んでなる請求項11に記載の多層シート。
【請求項13】
(a)内面および外面を有する第1スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド不織布を含んでなる第1層であって、該メルトブローン層がメルトブローン繊維を含んでなり、該メルトブローン繊維の表面が少なくとも約25ダイン/cmの表面張力を有する第1
ポリマー成分を含んでなる第1層と、
(b)不織布、編布、織布、およびフィルムよりなる群から選択される、内面および外面を有する第2層と、
(c)該第1層と該第2層の内面の少なくとも一部分を接着させるポリマー接着剤であって、水性の接着剤組成物に由来するポリマー接着剤と
を含んでなる多層不織布シート。
【請求項14】
第1ポリマー成分がポリエチレンを含んでなる請求項13に記載の多層不織布シート。
【請求項15】
第1ポリマー成分が少なくとも約40ダイン/cmの表面張力を有する請求項13に記載の多層不織布シート。
【請求項16】
第1ポリマー成分がポリエステルを含んでなる請求項15に記載の多層不織布シート。
【請求項17】
メルトブローン繊維が複合繊維を含んでなる請求項16に記載の多層不織布シート。
【請求項18】
メルトブローン繊維がポリエチレンを含んでなる第2ポリマー成分をさらに含んでなり、かつ、ポリエステルおよびポリエチレン成分がサイド−バイ−サイド構造に配置されている請求項17に記載の多層不織布シート。
【請求項19】
ポリエステルがポリ(エチレンテレフタレート)を含んでなる請求項16〜18のいずれか1項に記載の多層不織布シート。
【請求項20】
第1層の内面が連続スパンボンド繊維を含んでなり、該スパンボンド繊維の表面がポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ならびにそれらのブレンドおよび共重合体よりなる群から選択されるポリマーを含んでなる請求項13または15のいずれか1項に記載の多層不織布シート。
【請求項21】
スパンボンド繊維の表面を含んでなるポリマーがポリエチレン、ポリエステル、ならびにそれらのブレンドおよび共重合体よりなる群から選択される請求項20に記載の多層不織布シート。
【請求項22】
第2層が不織布である請求項13または15のいずれか1項に記載の多層不織布シート。
【請求項23】
第2層が第2スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド不織布を含んでなる請求項22に記載の多層不織布シート。
【請求項24】
第2スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド不織布が第1スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド不織布と同じものである請求項23に記載の多層不織布シート。
【請求項25】
第2層がスパンレース布を含んでなる請求項22に記載の多層不織布シート。
【請求項26】
接着剤層が不連続パターンのポリマー接着剤を含んでなる請求項13に記載の多層不織布シート。
【請求項27】
ポリマー接着剤が層の少なくとも1つの外周に塗布されている請求項13に記載の多層不織布シート。
【請求項28】
ベースシート材料と少なくとも1つの多層ゾーンとを含んでなり、該多層ゾーンが水性
接着剤組成物由来のポリマー接着剤によって該ベースシートに接着された第1スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド不織布を含んでなる医療服であって、該メルトブローン層が少なくとも約25ダイン/cmの表面張力を有する第1ポリマー成分を含んでなる表面を有するメルトブローン繊維を含んでなる医療服。
【請求項29】
第1ポリマー成分がポリエチレンを含んでなる請求項28に記載の医療服。
【請求項30】
第1ポリマー成分が少なくとも約40ダイン/cmの表面張力を有する請求項28に記載の医療服。
【請求項31】
第1ポリマー成分がポリ(エチレンテレフタレート)およびポリ(エチレンテレフタレート)の共重合体よりなる群から選択される請求項30に記載の医療服。
【請求項32】
メルトブローン繊維の表面が第2ポリマー成分をさらに含んでなる請求項28に記載の医療服。
【請求項33】
第1ポリマー成分がポリエチレンを含んでなり、かつ、第2ポリマー成分がポリエステルを含んでなる請求項32に記載の医療服。
【請求項34】
ポリエステルがポリ(エチレンテレフタレート)であり、かつ、第1および第2ポリマー成分がサイド−バイ−サイド構造に配置されている請求項33に記載の医療服。
【請求項35】
ベースシートが第2スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド不織布を含んでなる請求項34に記載の医療服。
【請求項36】
第1および第2スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド不織布がポリマー接着剤組成物によって接着される前にフルオロケミカルでそれぞれ処理される請求項35に記載の医療服。
【請求項37】
第1および第2スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド不織布が同じものである請求項36に記載の医療服。
【請求項38】
ベースシート材料と少なくとも1つの多層ゾーンとを含んでなり、該多層ゾーンが水性接着剤組成物由来のポリマー接着剤によって該ベースシートに接着されたスパンボンド不織布を含んでなる医療服であって、該スパンボンド不織布が少なくとも約15cmの静水頭を有し、かつ、10ミクロン未満の平均繊維径を有する連続スパンボンド繊維を含んでなり、該スパンボンド繊維の表面が少なくとも約25ダイン/cmの表面張力を有するポリマーを含んでなる医療服。
【請求項39】
少なくとも25ダイン/cmの表面張力を含んでなるポリマーがポリエチレンおよびポリエステル共重合体よりなる群から選択される請求項38に記載の医療服。
【請求項40】
スパンボンド繊維が、ポリエチレン・シース/ポリエステル・コア繊維およびポリエステル共重合体シース/ポリエステル・コア繊維よりなる群から選択される多成分シース/コア繊維を含んでなる請求項39に記載の医療服。
【請求項41】
スパンボンド繊維がポリ(エチレンテレフタレート)共重合体シース/ポリ(エチレンテレフタレート)コア繊維を含んでなる請求項40に記載の医療服。
【請求項42】
(a)内面および外面を有するスパンボンド−メルトブローン−スパンボンド不織布を
含んでなる第1層であって、該メルトブローン層がメルトブローン繊維を含んでなり、該メルトブローン繊維の表面が少なくとも約25ダイン/cmの表面張力を有する第1ポリマー成分を含んでなる第1層を提供し、
(b)不織布、編布、織布、およびフィルムよりなる群から選択される、内面および外面を有する第2層を提供し、
(c)該第1層の内面または第2層の内面の少なくとも1つの少なくとも一部分に水性接着剤組成物を塗布し、そして
(d)該第1層の内面側と該第2層の内面側とを接触させて該表面を接着させる
ことを含んでなる多層接着接合不織布シートの形成方法。
【請求項43】
第1ポリマー成分が少なくとも約40ダイン/cmの表面張力を有する請求項42に記載の方法。
【請求項44】
第1ポリマー成分がポリエチレンを含んでなり、かつ、メルトブローン繊維が該第1ポリマー成分とサイド−バイ−サイド構造に配置されたポリ(エチレンテレフタレート)を含んでなる第2ポリマー成分をさらに含んでなる請求項42に記載の方法。
【請求項45】
多層接着接合不織布シートを約15℃〜30℃の温度で乾燥する工程をさらに含んでなる請求項42に記載の方法。
【請求項46】
(a)少なくとも約15cmの静水頭を有し、かつ、10ミクロン未満の平均繊維径を有する連続スパンボンド繊維を含んでなるスパンボンド不織布層であって、該スパンボンド繊維の表面が少なくとも約25ダイン/cmの表面張力を有するポリマーを含んでなり、かつ、内面および外面を有するスパンボンド不織布層を提供し、
(b)不織布、編布、織布、およびフィルムよりなる群から選択される、内面および外面を有する第2層を提供し、
(c)該第1層の内面または第2層の内面の少なくとも1つの少なくとも一部分に水性接着剤組成物を塗布し、そして
(d)該スパンボンド不織布層の内面側と該第2層の内面側とを接触させて該表面を接着させる
ことを含んでなる多層接着接合不織布の形成方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2006−520710(P2006−520710A)
【公表日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507429(P2006−507429)
【出願日】平成16年3月19日(2004.3.19)
【国際出願番号】PCT/US2004/008642
【国際公開番号】WO2004/085142
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】