説明

多年生つる性植物の育苗装置

【課題】建物の緑化システムに適した生育状態のつる性植物を容易に育苗する。
【解決手段】
本発明に係るつる性植物の育苗装置1は、多年生のつる性植物の苗が植えられたポットを列状に並べた状態で収納可能であって、培養液が循環するプランター40と、複数のプランター40が、ポットの並び方向とは交差する方向に間隔を空けて載置されると共に、隣り合うプランター同士の間に、苗が有するつるが通るための開口部23が設けられた棚部20と、床面Gまでの高さがつるの必要長さ以上となる位置で棚部20を支持する脚部30とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多年生つる性植物の育苗装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、冷暖房エネルギーを抑制でき、二酸化炭素を吸収できることから、建物の屋根、屋上、壁面を緑化する建物の緑化システムが脚光を浴びている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−20542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の緑化システムでは多年生のつる性植物が用いられるが、苗の状態のつる性植物を用いた場合、つる性植物が所望の面積を覆う程度に繁茂するまで長期間を要してしまうという問題がある。
【0005】
そこで、ある程度つるが伸びるまで生育されたつる性植物の使用が考えられる。ここで、一般的な育苗のように地面に近いところで苗を育成した場合には、伸びたつるを地面に這わせることになり、育苗に広い面積が必要となってしまう。また、つる同士が絡んでしまったり、地面に接したつるから根が生えてしまったりすることもある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、建物の緑化システムに適した生育状態のつる性植物を容易に育苗できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は、多年生のつる性植物の苗を育成する育苗装置であって、前記苗が植えられたポットを列状に並べた状態で収納可能であって、培養液が循環するプランターと、複数の前記プランターが、前記ポットの並び方向とは交差する方向に間隔を空けて載置されると共に、隣り合う前記プランター同士の間に、前記苗が有するつるが通るための開口部が設けられた棚部とを有することを特徴とする。
【0008】
本発明の育苗装置によれば、棚部にプランターを載置して育苗することで、プランターから伸びたつるは、棚部に設けられた開口部を通って垂下する。このとき、つるは下方に伸びようとするので、隣り合うつる同士が絡み合ってしまう不具合を抑制できる。また、つるが壁面や地面に接しないので、このつるから根が伸びてしまう不具合も抑制できる。
【0009】
前述の育苗装置において、前記棚部よりも上側の位置に配置され、前記棚部を覆う屋根を設けた場合には、雨水がプランターに混入することを抑制できる。これにより、培養液の濃度が薄まったり、病原菌が混入してしまったりする不具合を抑制できる。
【0010】
前述のつる性植物の育苗装置において、前記屋根を、透光性を有する素材で構成した場合には、つる性植物に日光をあてることができ、生育を促すことができる。
【0011】
前述の育苗装置において、前記脚部には、外筒部材と前記外筒部材に挿入される内筒部材とを有し、前記内筒部材を前記外筒部材に対して進退させることで全長を伸縮させる脚を設け、この脚の伸縮に応じて棚部の高さ位置を定めるように構成した場合には、作業内容に応じて棚部の高さ位置を調整でき、作業性を向上させることができる。
【0012】
前述の育苗装置において、前記棚部を、ジャッキ装置によって上下方向に移動されるように構成した場合には、棚部の高さ位置の調整が容易になる。
【0013】
前述の育苗装置において、前記多年生のつる性植物が、ウコギ科のつる性植物である場合には、耐寒性や耐暑性に優れ、垂下性を有するので、建物の緑化を適切に行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のつる性植物の育苗装置によれば、建物の緑化システムに適した生育状態のつる性植物を容易に育苗できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態の育苗装置を説明する図である。
【図2】育苗装置の構成を説明する斜視図である。
【図3】(a)は、プランター及び培養液の循環機構を説明する図である。(b)は、プランターにおけるつる性植物の苗の状態を説明する断面図である。
【図4】つる性植物の苗を育てている状態を説明する斜視図である。
【図5】(a)は、つるが短いつる性植物を棚部に載置した状態を説明する図である。(b)は、棚部に載置したつる性植物からつるが下垂した状態を説明する図である。
【図6】第2実施形態の育苗装置を説明する図であり、(a)は本体部の斜視図であり、(b)は支柱の部分拡大図である。
【図7】ジャッキ装置の動作を模式的に説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
===第1実施形態===
図1に示す育苗装置1は、本体部10とハウス部60とを有する。本体部10は、つる性植物の苗を育てるための部分であり、ハウス部60は、本体部10を外側から覆うことで風雨から苗を守るための部分である。この育苗装置1で育てられるつる性植物としては、多年生のものが用いられる。耐寒性及び耐暑性に優れ、また垂下性を有するという観点からウコギ科のつる性植物が好適に用いられる。ウコギ科のつる性植物としては、ヘデラ・ヘリックス、ヘデラ・アルジェニシス、ヘデラ・コルシカ、ヘデラ・ハイバニカ等が挙げられる。
【0017】
図2にも示すように、本体部10は、棚部20と脚部30とを有する。棚部20は、プランター40が載置される部分である。本実施形態の棚部20は、平面視で長方形状の外観形状をしている。そして、複数の金属製パイプ21を複数本並行に並べ、直交する方向に配置された他の金属製パイプ22に固定することで構成されている。
【0018】
この棚部20には、複数のプランター40が横並びに配置されている。このプランター40は、図3に示すように、つる性植物46の苗が植えられたポット41を列状に並べた状態で収納する部材であり、上面が開放された直方体状部材によって構成されている。プランター上面における短辺側の長さは、1つのポット41が収納可能な程度とされ、長辺側の長さは多数のポット41を収納可能な程度とされる。例えば、プランター40は、短辺側の長さが5〜10cm、長辺側の長さが1〜3m、深さが5〜10cm程度の直方体状部材によって構成されている。
【0019】
このプランター40には、つる性植物46を培養するための培養液(液肥)が供給される。この実施形態では、床面G付近に設置した培養液タンク42と棚部20に載置されたプランター40との間で培養液が循環される。このため、プランター40の長手方向の一端部と培養液タンク42とを供給管43で接続するとともに、プランター40の長手方向他端部と培養液タンク42とを排出管44で接続する。そして、供給管43の途中に設けた培養液ポンプ45により、培養液タンク42に貯留された培養液をプランター40に汲み上げ、プランター40内の余剰の培養液を、排出管44を通じて培養液タンク42に戻している。
【0020】
図5に示すように、プランター40同士は、棚部20の上に間隔を空けて配置されている。すなわち、複数のプランター40が、ポット41の並び方向とは交差する方向に間隔を空けて載置されている。そして、隣り合うプランター40同士の間には開口部23が設けられている。本実施形態では、プランター40の長辺側側面に沿って配置される金属製パイプ21,21同士の間が開口部23に相当する。この開口部23は、プランター40内のポット41を取り出す際に、作業者の手を入れたり、ポット41を通過させたりするために用いられる。また、ポット41に植えられたつる性植物46のつるは、この開口部23を通って棚部20の下方に垂れ下がる。
【0021】
図1及び図2に示すように、脚部30は、床面Gから所定高さの位置に棚部20を支持する部材であり、本実施形態では、棚部20における各コーナーやコーナー同士の間に立設された複数の金属製パイプ31と、水平方向に配置されてこれらの金属製パイプ31の下端を固定する他の金属製パイプ32によって構成されている。この脚部30によって、棚部20と床面Gとの間には、つる性植物46のつるが伸びるために十分な距離が確保される。本実施形態では、例えば床面Gから1.8mの高さとなるように棚部20が支持されている。
【0022】
また、本実施形態では、棚部20の下方に培養台50を設けている。この培養台50は、つる性植物46を挿し木により発根させる際に、挿し木にした状態のポット41を載置するものである。本実施形態において、培養台50は、矩形状の天板51と、この天板51の4隅に取り付けられた脚52とを有している。この培養台50では、床面Gから数十cmの高さ(すなわち人の膝程度の高さ)に、天板51が位置付けられる。
【0023】
次に、ハウス部60について説明する。図1及び図2に示すように、ハウス部60は、壁部61と屋根62とを有している。壁部61は、本体部10の周りを囲む状態で設けられており、骨組み63に透明なビニールシート64を取り付けることで構成されている。屋根62は、棚部20よりも上側に配置され、壁部61と同様に骨組み65に透明なビニールシート66を取り付けることで構成されている。
【0024】
要するに、この実施形態のハウス部60は、いわゆるビニールハウスのように構成されている。これにより、育苗中のつる性植物46に日光を照射しつつ、このつる性植物46が風雨にさらされてしまうことを抑制できる。その結果、病原菌の繁殖等に起因する発病や生育不良を抑制できる。
【0025】
なお、ハウス部60に関し、ビニールシートに代えて、透明ガラス板や透明樹脂板を用いてもよい。また、壁部61や屋根62を木材等の遮光性材料で構成し、人工太陽光を照射する照明部を設けてもよい。
【0026】
特に、ビニールシート、透明ガラス板、透明樹脂板といった非透水性であって透光性を有する素材で屋根62を構成した場合には、つる性植物46に日光をあてることができ、生育を促すことができる。
【0027】
次に、上記の育苗装置1を用いたつる性植物46の育苗について説明する。図4に示すように、この育苗装置1では、培養台50に載置したポット41でつる性植物46を発根させる。発根に際しては、種子が植えられたポット41に対して定期的な散水が行われるが、前述したように培養台50の高さは人の膝程度であるため、作業に際して腰を過度に曲げずに済み、作業負担の軽減が図れる。また、培養台50が人の膝程度の高さであることから、棚部20との間にはつるの生育に必要とされる十分な高さを確保できる。このため、棚部20よりも下側の空間を有効に活用できる。
【0028】
つる性植物46が発根し、根付いたならば、ポット41を棚部20上のプランター40内にセットする。このとき、作業者は、脚立を用いてポット41をセットする。すなわち、作業者は、棚部20よりも下の位置からポット41を持ち上げ、棚部20の開口部23を通過させる。そして、ポット41をプランター40よりも上側に位置させた後、プランター40内にセットする。
【0029】
ここで、本実施形態では、培養台50に載置されたポット41をプランター40にセットするので、作業性を高めることができる。例えば、一人で作業する場合には、脚立上での移動距離を少なくできる。また、二人で作業する場合には、下側の作業者が培養台50の上に乗ることで、脚立上の作業者との距離を狭めることができ、楽な体制でポット41をプランター40にセットできる。
【0030】
プランター40にポット41をセットしたならば、つるが十分伸びるまでつる性植物46を生育させる。このとき、ポット41に植えられたつる性植物46に栄養を与えるが、本実施形態の育苗装置1では、培養液ポンプ45を動作させて培養液を循環させているので、容易に栄養を与えることができる。また、本体部10がハウス部60に覆われているので、プランター40内の培養液が雨水によって希釈されてしまう不具合を抑制でき、生育の管理が容易になる。
【0031】
ポット41に植えられたつる性植物46のつるは、生育するにつれて伸びる。例えば、図5(a)に示すように、プランター40にセットされた直後において、つる性植物46のつるは、棚部20よりも上側に位置している。その後、生育するにつれてつる性植物46のつるは下向きに伸び、図5(b)に示すように、棚部20の開口部23を通って垂れ下がる。このとき、前述した多年生のつる性植物46は、空中だと根を生やさないという性質を有しているので、根を生やさずに所定の長さまでつるが伸びたつる性植物46を容易に育てることができる。
【0032】
そして、所望の長さまでつるが伸びたならば、作業者は、プランター40からポット41を取り外し、このつる性植物46を建物の緑化に用いる。
【0033】
<まとめ>
以上説明したように、第1実施形態の育苗装置1では、多年生のつる性植物46の苗が植えられたポット41を列状に並べた状態で収納可能であって、培養液が循環するプランター40と、複数のプランター40が、ポット41の並び方向とは交差する方向に間隔を空けて載置されると共に、隣り合うプランター40同士の間に、苗が有するつるが通るための開口部23が設けられた棚部20とを有している。これにより、棚部20にプランター40を載置してつる性植物46を育苗することで、プランター40から伸びたつるは、棚部20に設けられた開口部23を通って垂下する。このとき、つるは下方に伸びようとするので、隣り合うつる同士が絡み合ってしまう不具合を抑制できる。また、つるが壁面や地面に接しないので、このつるから根が伸びてしまう不具合も抑制できる。
【0034】
また、この育苗装置1では、棚部20よりも上側の位置に配置され、棚部20を覆う屋根62を設けているので、雨水がプランター40に混入することを抑制できる。これにより、培養液の濃度が薄まったり、雑菌が混入してしまったりする不具合を抑制できる。さらに、この屋根62を、ビニールシートのように、非透水性であって透光性を有する素材で構成しているので、つる性植物46に日光をあてることができ、生育を促すことができる。
また、多年生のつる性植物46として、耐寒性や耐暑性に優れ、垂下性を有するウコギ科のつる性植物を用いているので、建物の緑化を適切に行うことができる。
【0035】
===第2実施形態===
前述の第1実施形態では、棚部20に載置されたプランター40にポット41をセットする場合、作業者は、脚立に乗った状態で作業をすることになる。同様に、建物の緑化に用いるため、生育したつる性植物46を育苗装置1から外す場合にも、作業者は、脚立に乗った状態で作業をすることになる。ここで、脚立を用いた高所作業は、地上作業に比べて作業性が損なわれてしまう。
【0036】
第2実施形態は、このような事情に鑑みてなされたものであり、第1実施形態の特徴はそのままに、作業性を向上させることを目的として改良を加えたものである。以下、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に説明をする。
【0037】
第2実施形態の育苗装置1は、本体部10´の構成に特徴を有する。すなわち、図6(a)に示すように、本体部10´は、上側本体部10Aと下側本体部10Bとを有しており、上側本体部10Aを下側本体部10Bに対して上下方向に移動させることで、上側本体部10Aが有する棚部20の高さを設定している。
【0038】
具体的に説明すると、第2実施形態では、図6(a)に示すように、第1実施形態の金属製パイプ31に代わる脚33を、外筒部材33aと、この外筒部材33aに挿入される内筒部材33bとによって構成し、内筒部材33bを外筒部材33aに対して進退させることで、全長を伸縮させるようにしている。また、外筒部材33aの上端部には、外筒部材33aの半径方向に進退可能な固定ねじ33cを設けている。そして、固定ねじ33cを緩めることで内筒部材33bの外筒部材33aに対する移動を許容し、固定ねじ33cを締め込むことで内筒部材33bを外筒部材33aに対して固定する。そして、上側本体部10Aは、棚部20と内筒部材33bとを含んで構成され、下側本体部10Bは、外筒部材33aと固定ねじ33cと他の金属製パイプ32とを含んで構成されている。
【0039】
なお、棚部20と共にプランター40が上下方向に移動することから、本実施形態における供給管43及び排出管44(図3を参照)は、可撓性を有するとともに長さに多少の余裕を持たせた樹脂性ホースが用いられている。これにより、プランター40が上下方向に移動しても、培養液を循環させることができる。
【0040】
本実施形態では、棚部20を上下方向に移動させるための油圧式のジャッキ装置70が設けられている。このジャッキ装置70は、下端部が床面Gに載置され、上端部が棚部20の下面に当接している。そして、油圧で作動することにより、伸長時の全長が育苗時における棚部20の必要高さ以上となり、収縮時の全長がポット41の着脱時における棚部20の必要高さ以下になる。また、プランター40やポット41を載せた状態の棚部20を上昇させるのに十分な力を発生する。このため、固定ねじ33cを緩めた状態でジャッキ装置70を伸長させることで、図7(a)に示すように、棚部20を上方側の育苗高さ(例えば1.8m)に位置付けることができる。一方、固定ねじ33cを緩めた状態でジャッキ装置70を収縮させることで、図7(b)に示すように、棚部20を下方側の作業高さ(例えば1.0m)に位置付けることができる。
【0041】
従って、この育苗装置1を用いてつる性植物46を育苗する場合には、まず、固定ねじ33cを緩めた状態でジャッキ装置70を収縮させ、棚部20を作業高さに位置付ける。そして、棚部20が作業高さに位置付けられた状態で、根付いた状態のつる性植物46が植えられたポット41をプランター40にセットする。ポット41をプランター40にセットしたならば、棚部20を育苗高さまで移動させる。すなわち、ジャッキ装置70を伸長させて棚部20を育苗高さまで上昇させる。棚部20が育苗高さに達したら、固定ねじ33cを締め込み、棚部20が降りてこないように固定する。そして、つる性植物46が十分に生育したならば、棚部20を作業高さに位置付けてつる性植物46をポット41ごと取り外し、新しいポット41をセットする。
【0042】
このように、第2実施形態の育苗装置1では、脚33の伸縮状態に応じて棚部20の高さ位置が定められるように構成している。これにより、作業内容に応じて棚部20の高さ位置を調整でき、作業性を向上させることができる。すなわち、ポット41のセットや取り外しを下方側の作業高さで行い、つる性植物46の育苗を上方側の育苗高さで行うことができる。これにより、ポット41のセットや取り外しを、脚立を使うことなく、床面Gに立った状態で行うことができ、作業性の向上が図れる。また、この育苗装置1では、ジャッキ装置70によって棚部20を上下方向に移動しているので、棚部20の高さ位置の調整を容易に行える。
【0043】
===その他の実施形態===
前述した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく変更、改良されると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0044】
棚部20や脚部30に関し、前述の実施形態では円筒状の金属製パイプ21,22,31,32が用いられていたが、これに限定されない。例えば、アルミニウム製の角筒部材であってもよいし、プラスティック製の筒状部材であってもよい。また、木材を用いてもよい。
【0045】
また、棚部20に関し、前述の各実施形態では、一対の金属製パイプ21,21の間にプランター40を配置することでプランター40を支持していたが、この構成に限定されない。例えば、プランター40が載置される部分を板材で作成してもよい。この場合、隣り合う板材同士を、間隔を空けて配置することで、板材同士の間に開口部を形成できる。そして、この開口部を用いて、ポット41を移動させたり、つるを下垂させたりできる。
【0046】
また、ジャッキ装置70に関し、第2実施形態では油圧式のものを例示したが、油圧以外のものであってもよい。なお、ジャッキ装置70は必要に応じて設ければよい。例えば、上側本体部10Aを、人力によって上下方向へ移動させてもよいし、ハンドウインチによって上下方向へ移動させてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 育苗装置,10 本体部,10´ 本体部,10A 上側本体部,10B 下側本体部,20 棚部,21 金属製パイプ,22 他の金属製パイプ,30 脚部,31 金属製パイプ,32 他の金属製パイプ,33 脚,33a 外筒部材,33b 内筒部材,33c 固定ねじ,40 プランター,41 ポット,42 培養液タンク,43 供給管,44 排出管,45 培養液ポンプ,46 つる性植物,50 培養台,51 天板,52 脚,60 ハウス部,61 壁部,62 屋根,63 骨組み,64 ビニールシート,65 骨組み,66 ビニールシート,70 ジャッキ装置,G 床面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多年生のつる性植物の苗を育成する育苗装置であって、
前記苗が植えられたポットを列状に並べた状態で収納可能であって、培養液が循環するプランターと、
複数の前記プランターが、前記ポットの並び方向とは交差する方向に間隔を空けて載置されると共に、隣り合う前記プランター同士の間に、前記苗が有するつるが通るための開口部が設けられた棚部と、
床面までの高さが前記つるの必要長さ以上となる位置で前記棚部を支持する脚部と
を有することを特徴とするつる性植物の育苗装置。
【請求項2】
前記棚部よりも上側の位置に配置され、前記棚部を覆う屋根を有することを特徴とする、請求項1に記載のつる性植物の育苗装置。
【請求項3】
前記屋根は、
透光性を有する素材で構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載のつる性植物の育苗装置。
【請求項4】
前記脚部は、
外筒部材と前記外筒部材に挿入される内筒部材とを有し、前記内筒部材を前記外筒部材に対して進退させることで全長を伸縮させる脚を有し、
前記棚部は、
前記脚の伸縮に応じて高さ位置が定められることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のつる性植物の育苗装置。
【請求項5】
前記棚部は、
ジャッキ装置によって上下方向に移動されることを特徴とする請求項4に記載のつる性植物の育苗装置。
【請求項6】
前記多年生のつる性植物が、ウコギ科のつる性植物であることを特徴とする、請求項1から5の何れか1項に記載の栽培装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−139672(P2011−139672A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−2339(P2010−2339)
【出願日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】