説明

多成分同時蒸着による多機能性複合纎維、これを具備した複合材料及びその製造方法

【課題】電気泳動法と電解メッキ法の同時実施によって、ナノ粒子と金属がカーボン纎維に同時に混合附着されるようにした多成分同時蒸着による多機能性複合纎維と、これを具備した複合材料及び多機能性複合纎維の製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明による多成分同時蒸着による多機能性複合纎維は、直径が5〜10μmの外径を持つ連続纎維が多数本纏まった束形状を持つカーボン纎維120と、前記カーボン纎維120の外面に電気泳動過程を通じて附着されるナノ粒子160と、前記カーボン纎維160の外面に電解メッキ過程を通じて附着される金属140を含んで構成されて、前記ナノ粒子160と金属140は電気泳動過程と電解メッキ過程の同時実施によって、前記カーボン纎維120の外面に混合した状態で附着されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気泳動法と電解メッキ法の同時実施によってナノ粒子と金属がカーボン纎維に同時に混合附着されるようにして、機械的特性、電気伝導率及び熱伝導率が向上されるようにした多成分同時蒸着による多機能性複合纎維と、これを具備した複合材料及び多機能性複合纎維の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブを含むナノ粒子は、電気伝導率と熱伝導率及び強度が優秀であり、高分子に少量添加されても元々の高分子の構造/機能的特性より非常に向上された特性を持つナノ複合材料を得ることができる。
【0003】
特に、最近には、カーボンナノチューブを多様な材料に添加して、要求される向上された物性を持つようにした複合材料が開発されている。
【0004】
しかし、カーボンナノチューブが含有された複合材料は、既存のマイクロ纎維補強複合材料に比べて機械的特性が10〜20%水準にとどまっているので、ナノ複合材料を救助用及び多機能用で使うにはマイクロ纎維とカーボンナノチューブをハイブリッド化するとか、カーボンナノチューブの添加量を画期的に増加させるしかない実情である。
【0005】
そして、カーボンナノチューブが含有された複合材料は、軽量の高強度素材として、特に航空宇宙及び防衛産業分野に幅広く適用させるために多い研究がなされている。
【0006】
しかし、高分子材料の低い構造/機能的特性のゆえ厚さ方向の特性が脆弱であるため複合材料の広範囲な適用を阻害し、材料の特性に関するデータベースが不十分であるため信頼性と安全性が脆弱である問題がある。
【0007】
従って、カーボンナノチューブが混合された樹脂をカーボン纎維に合浸し、高強度及び高剛性が要求される救助用複合材料の製造に多くの研究がなされている。
【0008】
しかし、カーボンナノチューブが混合された樹脂は、粘度が高くなっていて合浸に困難があり、樹脂が合浸されたとしでも、カーボンナノチューブはカーボン纎維束によってフィルタリングされて、カーボン纎維束の内部まで浸透されない問題点がある。
【0009】
また、複合材料の製造には数多くの工程が要求されており、生産性が低下して製造コストが急上昇するようになり、価格競争力が低い問題点がある。
【0010】
そして、アメリカ公開特許第2008-0118736号には、ポリマーマトリックスを持った複合材料が掲示されている。
【0011】
しかし、纎維または粒子で構成されたフィラー表面に粉砕したグラファイトを噴射して形成しているので、付着力が低下し、材料の損失が多い問題点がある。
【0012】
また、複雑で数多くの段階を経らなければならないので、生産性が低下する問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、電気泳動法と電解メッキ法の同時実施によって、ナノ粒子と金属がカーボン纎維に同時に混合附着されるようにした多成分同時蒸着による多機能性複合纎維と、これを具備した複合材料及び多機能性複合纎維の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の実施例による多機能性複合纎維は、直径が5〜10μmの外径を持つ連続纎維が多数本纏まった束形状を持つカーボン纎維、前記カーボン纎維の外面に電気泳動過程を通じて附着されるナノ粒子と、前記カーボン纎維の外面に電解メッキ過程を通じて附着される金属を含んで構成され、前記ナノ粒子と金属は電気泳動過程と電解メッキ過程の同時実施によって、前記カーボン纎維の外面に混合した状態で附着される。
【0015】
また、本発明の実施例による多機能性複合纎維を具備した複合材料は、直径が5〜10μmの外径を持つ連続纎維が多数本纏まった束形状を持つカーボン纎維と、前記カーボン纎維の外面に電気泳動過程を通じて附着されるナノ粒子と、前記カーボン纎維の外面に電解メッキ過程を通じて附着される金属で成り立った多機能性複合纎維と、前記複合纎維に合浸されて複合纎維の形状を維持する高分子混合物を含んで構成されて、前記ナノ粒子と金属は電気泳動過程と電解メッキ過程の同時実施によって、前記カーボン纎維の外面に混合した状態で附着される。
【0016】
また、本発明の実施例による多機能性複合纎維の製造方法は、直径が5〜10μmの外径を持つ連続纎維が多数本纏まった束形状を持つカーボン纎維とナノ粒子及び金属材料を準備する材料準備段階と、前記ナノ粒子表面が陽(+)電荷を帯びるようにする機能化段階と、陽(+)電荷を帯びたナノ粒子と金属材料を電解液が入っている複合処理槽に装入して、前記カーボン纎維の外面にナノ粒子及び金属を同時に附着させる電気蒸着段階で構成される。
【発明の効果】
【0017】
本発明の多成分同時蒸着による多機能性複合纎維、これを具備した複合材料及びその製造方法によれば、複合纎維の機械的特性、電気伝導率及び熱伝導率の向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の具体的な実施例を図面を参照しながら詳しく説明する。なお、本発明は本発明の思想が提示される実施例に制限されるのではなく、また他の構成要素の追加、変更、削除などによって、他の発明または本発明の思想の範囲内に含まれる他の実施例を容易く提案することができる。
【0019】
図1には、本発明による多機能性複合纎維の内部構成を概略的に現わした縦断面図が図示されている。
【0020】
図1のように、本発明による多機能性複合纎維100は、多数連続纎維が纏まった束形状を持つカーボン纎維120によって基本的な形体を成すようになる。
【0021】
前記カーボン纎維120は、直径が5〜10μmの外径を持つ連続纎維が数千本纏まった束形状を持ち、一つの方向または平面方向の織物が適用可能である。
【0022】
そして、前記カーボン纎維120は、後術されるナノ粒子160と金属140の付着のために前処理は行わず、アルコールまたはアセトンを利用した表面洗浄を選択的に実施可能である。
【0023】
また、前記カーボン纎維120は、金属140のより效率的な付着のために、カーボン纎維120表面にパラジウムまたは白金を利用した触媒化過程S150が選択的に実施されることもできる。
【0024】
そして、前記カーボン纎維120の外面にはナノ粒子160と金属140が附着されている。
【0025】
前記金属140は、伝導性が高い金属で構成される。例えば、前記金属140は、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)など伝導性が高い金属の中で、一つ以上を含んで構成されることができ、本発明の実施例では銅(Cu)が適用されている。
【0026】
また、前記金属140の厚さは、複合纎維100の要求される物性、即ち構造的役割または機能的役割によって1nm〜500nmの厚さ範囲内で、多様に実施可能であるのは勿論である。
【0027】
前記カーボン纎維120外側にはナノ粒子160が具備される。前記ナノ粒子160はカーボン纎維120の強度、剛性及び伝導性を同時に向上させるための構成である。
【0028】
すなわち、図1では、前記ナノ粒子160及び金属140がカーボン纎維120と相互違う垂直線上に位置して層を成し、カーボン纎維120から分離されたことに図示されているが、前記ナノ粒子160及び金属140は、織物形態のカーボン纎維120内部空間に合浸されて、複合纎維100の強度、剛性及び伝導性を向上させることができるようになる。
【0029】
そして、前記ナノ粒子は160は、カーボンナノ粒子(カーボンナノチューブ、炭素ナノ纎維、カーボンブラックなど)、セラミックスナノ粒子、金属ナノ粒子の中で、一つ以上を含んで構成されることもでき、本発明の実施例で前記ナノ粒子160はカーボンナノチューブが適用されている。
【0030】
また、前記金属140とナノ粒子160は、電気泳動法及び電解メッキ法を同時に実施することで、カーボン纎維120の外面に同時に蒸着されて形成される。
【0031】
すなわち、前記ナノ粒子160は電解メッキ法を通じてカーボン纎維の外面に附着され、前記金属140は電気泳動法を通じてカーボン纎維120の外面に附着され、前記電気泳動法と電解メッキ法は同時に実施される。
【0032】
よって、前記金属140とナノ粒子160は、図1の拡大して示している部分のような状態でカーボン纎維120の外面に附着される。
【0033】
より具体的に説明すれば、前記ナノ粒子160と金属140は、電気泳動法と電解メッキ法の同時実施によってカーボン纎維120の外面に同時に附着されるので、図1の拡大して示している部分のように前記カーボン纎維120の外面には、ナノ粒子160が先に附着されてその周りに金属140が取り囲む形態を持つこともでき、逆に前記カーボン纎維120の外面に金属140が蒸着される中に、金属140内部にナノ粒子160が挿入される形態を持つこともできる。
【0034】
よって、前記カーボン纎維120の外側にナノ粒子160と金属140が別個の層で構成された階層構造に比べるて、ナノ粒子160と金属140が混合した構造を持つ複合纎維100は、優れた界面結合力を持つようになり、よって機械的物性と電気的及び熱的物性が向上されることができる。
【0035】
以下、図2を参照して前記多機能性複合纎維の製造方法を説明する。
【0036】
図2には、本発明による多成分同時蒸着による多機能性複合纎維の製造方法を現わした製造工程図が図示されている。
【0037】
図面のように、前記複合纎維100を製造するための過程は大きく、直径が5〜10μmの外径を持つ連続纎維が多数本纏まった束形状を持つカーボン纎維120とナノ粒子160及び金属材料(図3の図面符号130)を準備する材料準備段階S100と、前記ナノ粒子160表面が陽(+)電荷を帯びるようにする機能化段階S200と、陽(+)電荷を帯びたナノ粒子160と金属材料130を電解液が入っている複合処理槽180に装入して、前記カーボン纎維120の外面にナノ粒子160及び金属140を同時に附着させる電気蒸着段階S300で構成される。
【0038】
前記材料準備段階S100で、電解液は、水またはエチルアルコール、メタノール、アセトン、プロパノル、DMF(dimethylformamide)、DMA(dimethylacetamide)など、5以上の相対誘電率を持つ多様な溶媒が選択的に適用可能である。
【0039】
そして、前記材料準備段階S100で前記カーボン纎維120は、ナノ粒子160と金属140が容易く附着されるように、アルコールまたはアセトンを利用して表面を洗浄する表面洗浄過程(未図示)と、前記カーボン纎維120表面にパラジウムまたは白金で触媒化処理する触媒化過程S150が選択的に含まれることができる。
【0040】
前記材料準備段階S100が完了すれば、機能化段階S200が実施される。前記機能化段階S200は、ナノ粒子160表面が陽(+)電荷を帯びるようにする過程であり、イミン基、アミン基などの官能基を取り入れることで可能になる。
【0041】
すなわち、前記機能化段階S200は、本発明の実施例で、100mgの水に2gのカーボンナノチューブと0.5gのPEI(polyethylenimine)を添加して超音波で15分間処理を行う。
【0042】
この時、前記ナノ粒子160はイミン基が導入されて陽(+)電荷を帯びるようになる。すなわち、前記ナノ粒子160は、電解液で充分に洗浄してフィルタリングした後、70℃の真空オーブンで10時間の間乾燥させれば、前記ナノ粒子160表面はイミン基が導入されて陽(+)電荷を帯びるようになる。
【0043】
そして、前記機能化段階S200を経ったナノ粒子(本発明の実施例ではカーボンナノチューブを使う)は、選択的に電解液で充分に洗浄しフィルタリングした後、70℃の真空オーブンで10時間の間乾燥させた後、また電解液に浸けられてbath typeとbeam typeの超音波下で分散処理をすることができる。
【0044】
また、前記機能化段階S200は、プラズマ処理を通じてナノ粒子160表面にアミン基、イミン基など官能基が導入されて、陽(+)電荷を帯びるようにすることが可能である。
【0045】
前記機能化段階S200の以後には、電気蒸着段階S300が実施される。前記電気蒸着段階S300は、機能化されたナノ粒子160と、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)などの伝導性が高い金属中の一つ以上を選択的に含む金属140を前記カーボン纎維120外側に同時に附着させるための過程である。
【0046】
この時、前記金属140は、複合纎維100の要求される物性、即ち構造的役割または機能的役割によって、1nm〜500nmの厚さ範囲内で多様に蒸着可能である。
【0047】
より詳しくは、前記電気蒸着段階S300は、前記ナノ粒子160を電気泳動法でカーボン纎維120の外面に附着させる電気泳動過程S320と、前記金属材料130を電解メッキ法でカーボン纎維120の外面に附着させる電解メッキ過程S340とで構成され、前記電気泳動過程S320と電解メッキ過程S340は同時に実施される。
【0048】
以下、図3を参照して、前記電気蒸着段階S300の実施例を詳しく説明する。
【0049】
図3には、本発明の多成分同時蒸着による多機能性複合纎維の製造方法において、一段階である電気蒸着段階の原理を現わした概念図が図示されている。
【0050】
図3のように、本発明の実施例で、前記複合処理槽180内部には、分散している陽(+)電荷を帯びたナノ粒子160が電解液と一緒に装入され、前記カーボン纎維120は陰(-)極に、金属材料130は陽(+)極にそれぞれ連結した後、前記カーボン纎維120と金属材料130を一定間隔に離隔した後固定した。
【0051】
本発明の実施例で、前記金属材料130には銅(Cu)板が適用され、ナノ粒子160にはカーボンナノチューブが適用されて、前記カーボン纎維120と銅(Cu)の離隔間隔は0.8cmとした。
【0052】
以後、前記カーボン纎維120とナノ粒子160に30Vの電圧を5分間印加する。この時、陽(+)電荷を帯びたカーボンナノチューブは、陰(-)電荷を帯びたカーボン纎維120の表面に電気泳動法を通じて蒸着されてナノ粒子160を形成するようになり、前記金属材料130には、陽(+)極が繋がり電解液でイオン化(Cu→Cu2++2e-)された後、イオン化されたCu2+は陰(-)極が繋がった前記カーボン纎維120及びナノ粒子160の外面に附着されて、金属140を形成するようになる。
【0053】
よって、前記電気蒸着段階S300が完了すれば、前記カーボン纎維120の外面には、ナノ粒子160と金属140が同時に形成される。
【0054】
より具体的には、前記カーボン纎維120の外面には、ナノ粒子160が先に附着されて、ナノ粒子160の外面を金属140が取り囲む形態を持つこともでき、又は前記金属140がカーボン纎維120の外面に先に蒸着されて、金属140が蒸着される過程の中に、金属140内部にナノ粒子160が挿入される形態を持つこともできる。
【0055】
前記電気蒸着段階S300の以後には、ナノ粒子160と金属140が附着されたカーボン纎維120を複合処理槽180から取り出して、電解液で洗浄する洗浄過程S360が実施される。
【0056】
洗浄が完了した複合纎維100は真空オーブンに装入されで、70℃で約10時間の間乾燥させることで、乾燥過程S380が行われる。
【0057】
前記した過程が完了すれば、図4のように前記複合纎維100の外面には、金属140で取り囲まれたナノ粒子160が附着されて突起のような形状を持つようになり、それを拡大した図5を見れば、カーボンナノチューブと金属140が同時に蒸着されたことを確認することができる。
【0058】
図4及び図5は、本発明による多成分同時蒸着による多機能性複合纎維の製造方法によって製造された複合纎維の実物拡大写真である。
【0059】
また、実施例による複合纎維の成分をEDS成分分析した結果、図6のように実施例で、金属材料130と使われた銅(Cu)が検出されたことを確認することができる。
【0060】
そして、前記多機能性複合纎維の電気伝導率及び強度測定のために、本発明の実施例では、多機能性複合纎維を具備した複合材料を製造した。
【0061】
この時、前記複合材料は、多機能性複合纎維と前記複合纎維に高分子混合物を合浸して構成されたもので、前記高分子混合物は、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂中の一つ以上を含んで構成される。
【0062】
そして、前記高分子混合物には、ナノ材料、ナノカーボン材料中の一つ以上を選択的に含ませることができる。
【0063】
また、前記ナノ材料は500nm以下の粒径を持ち、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)など伝導性金属中の一つ以上を含んで構成される。
【0064】
そして、前記ナノカーボン材料は500nm以下の粒径を持ち、カーボンナノチューブ、カーボンナノ纎維、カーボンブラックなどナノ粒子中の一つ以上を含んで構成される。
【0065】
本発明の実施例で、前記複合材料は、前述した構成を持つ多機能性複合纎維(80mm×80mm)を12枚積層した後、樹脂充填工程を通じてエポキシ樹脂(YD128+KBH1089)を複合纎維の束(bundle)の間に合浸した。
【0066】
そして、エポキシ樹脂が合浸された複合纎維を120℃のオーブンで2時間の間加熱し硬化させることで複合材料を製造した。
【0067】
製造された複合材料に対してはshort beamテストを通じてせん断強度を測定し、2-probe伝導性試験を通じて平面方向と厚さ方向の電気伝導率を測定し、その結果は図7〜図9のようである。
【0068】
図7のように、比較例と実施例の電気伝導率を測定した結果、複合材料の平面方向と厚さ方向皆が比較例の電気伝導率より高いことが分かる。
【0069】
特に、実施例の複合材料の厚さ方向電気伝導率は平均7.4×10-2S/cmで、5.0×10-2S/cm以上の電気伝導率を現わしおり、比較例と比べて見れば、カーボンナノチューブと金属をカーボン纎維に同時蒸着する時に、電気伝導率の明らかな向上を確認することができる。
【0070】
図7で、比較例#1はカーボン纎維であり、比較例#2はカーボンナノチューブだけ蒸着されたものであり、比較例#3は金属だけコーティングされたものである。
【0071】
そして、図7の測定の時に使われた比較例及び実施例のせん断強度を測定した結果、図8のように、実施例の複合材料は72MPaのせん断強度を現わし比較例と比べて相対的に高いことが分かる。
【0072】
また、図9の写真のように、厚さ方向(上/下方向)の破面状態を見てみれば、層間剥離が発生されず厚さ方向及び平面方向皆が構造的に安定していることを分かる。
【0073】
一方、本発明による多成分同時蒸着による多機能性複合纎維の製造方法は、金属材料を構成するにおいて他の実施例の適用が可能である。
【0074】
すなわち、図10は、本発明の多成分同時蒸着による多機能性複合纎維の他の実施例の製造方法を現わした概念図であり、この実施例で前記金属材料は、単一材料ではない多数種類の複合金属が適用された。
【0075】
すなわち、前記金属材料130は、2種以上の金属を含む単一状の合金または複合金属が適用されることもでき、前記電解液に鍍金液を溶解して適用し、イオン化された金属材料130と板状の金属材料130が、相互違う材質で構成されるようにすることもできるのであろう。
【0076】
この時、前記カーボン纎維の外面には、ナノ粒子160と2種以上の金属を含む合金または複合金属状が同時に蒸着されることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の好ましい実施例が採用された多機能性複合纎維の内部構成を概略的に見せた縦断面図。
【図2】本発明の多成分同時蒸着による多機能性複合纎維の製造方法を現わした製造工程図。
【図3】本発明の多成分同時蒸着による多機能性複合纎維の製造方法中の一段階である電気蒸着段階の原理を現わした概念図。
【図4】本発明の多成分同時蒸着による多機能性複合纎維の製造方法によって製造された多機能性複合纎維の概観を見せた写真。
【図5】図4の拡大写真。
【図6】本発明の多成分同時蒸着による多機能性複合纎維の製造方法によって製造された多機能性複合纎維のEDS成分分析結果。
【図7】本発明の多成分同時蒸着による多機能性複合纎維を具備した複合材料及び比較例の電気伝導率を測定した実験データ。
【図8】本発明の多成分同時蒸着による多機能性複合纎維を具備した複合材料及び比較例の界面せん断強度を測定した実験データ。
【図9】図8の界面せん断強度測定後の実施例と比較例の破面のイメージ。
【図10】本発明の多成分同時蒸着による多機能性複合纎維の他の実施例の製造方法を現わした概念図。
【符号の説明】
【0078】
100:複合纎維
120:カーボン纎維
130:金属材料
140:金属
160:ナノ粒子
180:複合処理槽
S100:材料準備段階
S150:触媒化過程
S200:機能化段階
S300:電気蒸着段階
S320:電気泳動段階
S340:電解メッキ過程
S360:洗浄過程
S380:乾燥過程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直径が5〜10μmの外径を持つ連続纎維が多数本纏まった束(bundle)形状を持つカーボン纎維、前記カーボン纎維の外面に電気泳動過程を通じて附着されるナノ粒子と、前記カーボン纎維の外面に電解メッキ過程を通じて附着される金属を含んで構成されて、前記ナノ粒子と金属は電気泳動過程と電解メッキ過程の同時実施によって、前記カーボン纎維の外面に混合した状態で附着されたことを特徴とする多成分同時蒸着による多機能性複合纎維。
【請求項2】
前記金属は、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)などの伝導性金属の中で一つ以上を含んで構成されることを特徴とする請求項1に記載の多成分同時蒸着による多機能性複合纎維。
【請求項3】
前記金属は、1nm〜500nmの厚さを持つことを特徴とする請求項1に記載の多成分同時蒸着による多機能性複合纎維。
【請求項4】
直径が5〜10μmの外径を持つ連続纎維が多数本纏まった束形状を持つカーボン纎維と、前記カーボン纎維の外面に電気泳動過程を通じて附着されるナノ粒子と、前記カーボン纎維の外面に電解メッキ過程を通じて附着される金属とで構成された多機能性複合纎維と、前記複合纎維に合浸され複合纎維の形状を維持する高分子混合物を含んで構成されることと、前記ナノ粒子と金属は電気泳動過程と電解メッキ過程の同時実施によって前記カーボン纎維の外面に混合した状態で附着されたことを特徴とする多成分同時蒸着による多機能性複合纎維とを具備した複合材料。
【請求項5】
前記高分子混合物は、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の中で、一つ以上を含んで構成されることを特徴とする請求項4に記載の多成分同時蒸着による多機能性複合纎維を具備した複合材料。
【請求項6】
前記高分子混合物には、ナノ材料、ナノカーボン材料の中で、一つ以上が含まれることを特徴とする請求項4に記載の多成分同時蒸着による多機能性複合纎維を具備した複合材料。
【請求項7】
前記ナノ材料は、500nm以下の粒径を持ち、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)などの伝導性金属の中で、一つ以上を含んで構成されることを特徴とする請求項6に記載の多成分同時蒸着による多機能性複合纎維を具備した複合材料。
【請求項8】
前記ナノカーボン材料は、500nm以下の粒径を持ち、カーボンナノチューブ、カーボンナノ纎維、カーボンブラックなどのナノ粒子の中で、一つ以上を含んで構成されることを特徴とする請求項6に記載の多成分同時蒸着による多機能性複合纎維を具備した複合材料。
【請求項9】
5×10-2S/cm以上の厚さ方向の電気伝導率を持つことを特徴とする請求項4に記載の多成分同時蒸着による多機能性複合纎維を具備した複合材料。
【請求項10】
70MPa以上のせん断強度を持つことを特徴とする請求項4に記載の多成分同時蒸着による多機能性複合纎維を具備した複合材料。
【請求項11】
直径が5〜10μmの外径を持つ連続纎維が多数本纏まった束形状を持つカーボン纎維とナノ粒子及び金属材料を準備する材料準備段階と、前記ナノ粒子表面が陽(+)電荷を帯びるようにする機能化段階と、陽(+)電荷を帯びたナノ粒子と金属材料を電解液が入っている複合処理槽に装入して、前記カーボン纎維の外面にナノ粒子及び金属を同時に附着させる電気蒸着段階とで構成されることを特徴とする多成分同時蒸着による多機能性複合纎維の製造方法。
【請求項12】
前記電気蒸着段階は、前記ナノ粒子を電気泳動法でカーボン纎維の外面に附着させる電気泳動過程と、前記金属材料を電解メッキ法でカーボン纎維の外面に附着させる電解メッキ過程とで構成されることを特徴とする請求項11に記載の多成分同時蒸着による多機能性複合纎維の製造方法。
【請求項13】
前記金属材料は、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)などの伝導性が高い金属の中で、一つ以上を含んで構成されることを特徴とする請求項11に記載の多成分同時蒸着による多機能性複合纎維の製造方法。
【請求項14】
前記金属材料は、多数金属材料を含む合金または単一金属材料で形成された金属板、及び電解液に添加される金属イオンの中の一つであることを特徴とする請求項13に記載の多成分同時蒸着による多機能性複合纎維の製造方法。
【請求項15】
前記材料準備段階と機能化段階の間には、前記カーボン纎維の表面をパラジウム(Pd)または白金(Pt)などに触媒化する触媒化過程が選択的に具備されることを特徴とする請求項11に記載の多成分同時蒸着による多機能性複合纎維の製造方法。
【請求項16】
前記電気蒸着段階以後には、前記カーボン纎維、ナノ粒子及び金属を電解液で洗浄する洗浄過程と、洗浄されたカーボン纎維、ナノ粒子及び金属を真空オーブンで乾燥する乾燥過程が選択的に具備されることを特徴とする請求項11に記載の多成分同時蒸着による多機能性複合纎維の製造方法。
【請求項17】
前記電気蒸着段階は、カーボン纎維に陰(-)極を連結し、金属材料に陽(+)極を連結した状態で、電圧を所定時間印加する過程であることを特徴とする請求項11に記載の多成分同時蒸着による多機能性複合纎維の製造方法。
【請求項18】
前記金属材料は、電気蒸着段階で金属イオンにイオン化されて金属材料に附着されることを特徴とする請求項17に記載の多成分同時蒸着による多機能性複合纎維の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図10】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−106354(P2010−106354A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−325638(P2008−325638)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(501384562)コリア インスティチュート オブ マシナリー アンド マテリアルズ (15)
【Fターム(参考)】