説明

多方向押圧型スイッチ

【課題】異なるタイプの多方向押圧型スイッチの部品の種類を減少できる多方向押圧型スイッチを提供する。
【解決手段】フレキシブル回路基板11に中央スイッチ41と周囲スイッチ43とを構成してなるスイッチ板10を具備する。揺動型キートップ80と揺動型キートップ80のキートップ挿通孔81に挿入される押圧型キートップ100とを第1連結板50に取り付けた第1連結板付キートップ120をスイッチ板10に設置することで構成される多方向押圧型スイッチ1−1、或いは揺動兼押圧型キートップ160を第2連結板140に取り付けた第2連結板付キートップ180をスイッチ板10に設置することで構成される多方向押圧型スイッチ1−2において、スイッチ板10を、第1連結板付キートップ120の第1連結板50と、第2連結板付キートップ180の第2連結板140の両者を何れも取り付けられる共通スイッチ板とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多方向押圧型スイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車載用ナビゲーションシステム、コンピュータ、各種携帯機器、各種OA機器、ゲーム機などを操作するデバイスとして、多方向押圧型スイッチがある。多方向押圧型スイッチは、回路基板の中央に中央スイッチを、中央スイッチの周囲を囲む位置に複数の周囲スイッチを設置し、これら各スイッチをその上部に設置したキートップによってオンオフ操作する構造に構成されている。
【0003】
そして多方向押圧型スイッチに用いるキートップとしては、円板状の1枚の揺動兼押圧型キートップや、円板状の揺動型キートップの中央に設けた開口に上下動自在に押圧型キートップを設けたものがある。揺動兼押圧型キートップを設けた多方向押圧型スイッチは、この揺動兼押圧型キートップの中央を真下に押圧することで中央スイッチをオンし、揺動兼押圧型キートップの周囲を押圧して揺動することで下降した側の真下に位置する周囲スイッチをオンする。一方揺動型キートップと押圧型キートップとを用いた構造の多方向押圧型スイッチは、押圧型キートップを真下に押圧することで中央スイッチをオンし、揺動型キートップを押圧して揺動することで下降した側の真下に位置する周囲スイッチをオンする。
【0004】
そして従来、上記2種類のタイプの多方向押圧型スイッチを構成する各部品は、キートップの構造及びキートップの動作の相違等により、それぞれ別々の異なる部品によって構成されていた。このため両タイプの多方向押圧型スイッチを生産しようとした場合、部品の種類が多くなり、生産コストの上昇、生産効率の煩雑化を招いていた。
【特許文献1】特開2001−185004号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、異なるタイプの多方向押圧型スイッチの部品の種類を減少でき、生産コストの低減化、生産効率の向上を図ることができる多方向押圧型スイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願請求項1に記載の発明は、回路基板に中央スイッチ接点と、前記中央スイッチ接点の周囲を囲む複数の周囲スイッチ接点とを設け、さらに前記中央スイッチ接点と周囲スイッチ接点上にそれぞれ反転板を取り付けることでそれぞれ中央スイッチと周囲スイッチとを構成してなるスイッチ板を具備するとともに、内部にキートップ挿通孔を設けるとともに前記各周囲スイッチを押圧する押圧部を有してなる揺動型キートップと、前記揺動型キートップのキートップ挿通孔に上下動自在に挿入されるとともに前記中央スイッチを押圧する押圧部を有してなる押圧型キートップとを弾性を有する第1連結板に取り付けた第1連結板付キートップを前記スイッチ板に設置することで構成される多方向押圧型スイッチ、或いは前記中央スイッチ及び前記各周囲スイッチを押圧する押圧部を有してなる揺動兼押圧型キートップを弾性を有する第2連結板に取り付けた第2連結板付キートップを前記スイッチ板に設置することで構成される多方向押圧型スイッチにおいて、前記スイッチ板を、前記第1連結板付キートップの第1連結板と、前記第2連結板付キートップの第2連結板の両者を何れも取り付けられる共通スイッチ板としたことを特徴とする多方向押圧型スイッチにある。
【0007】
本願請求項2に記載の発明は、前記スイッチ板の中央スイッチ接点及び周囲スイッチ接点のそれぞれを囲む位置に回路基板上面に突出する支持台部を設けることで各スイッチ接点上に支持台部によって囲まれる反転板収納部を設け、各反転板収納部内に前記反転板を収納することで中央スイッチ及び周囲スイッチを構成し、さらに支持台部上面に覆い板を設置することで各反転板収納部を覆ったことを特徴とする請求項1に記載の多方向押圧型スイッチにある。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、揺動型キートップと押圧型キートップとを取り付けてなる多方向押圧型スイッチと、揺動兼押圧型キートップを取り付けてなる多方向押圧型スイッチとに用いるスイッチ板を共通スイッチ板としたので、両タイプの多方向押圧型スイッチを構成する部品の種類を減少でき、生産コストの低減化、生産効率の向上を図ることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、スイッチ板の上面に容易に反転板を設置でき、スイッチ板の組み立てが容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明を適用する一方の多方向押圧型スイッチ(以下「第1多方向押圧型スイッチ」という)1−1の分解斜視図、図2は第1多方向押圧型スイッチ1−1の斜視図、図3は本発明を適用する他方の多方向押圧型スイッチ(以下「第2多方向押圧型スイッチ」という)1−2の分解斜視図、図4は第2多方向押圧型スイッチ1−2の斜視図である。
【0011】
図1,図2に示すように第1多方向押圧型スイッチ1−1は、5枚の反転板31と覆い板33とを取り付けてなるスイッチ板(以下「共通スイッチ板」という)10の上部に、第1連結板50に揺動型キートップ80と押圧型キートップ100とを取り付けた第1連結板付キートップ120を設置することで構成されている。以下各構成部品について説明する。共通スイッチ板10は、弾性(可撓性)を有する合成樹脂フイルム(この実施形態ではポリエチレンテレフタレートフイルム(PETフイルム))製の回路基板(以下「フレキシブル回路基板」という)11の下面側の略全面に合成樹脂製の基台21を取り付け、基台21を構成する合成樹脂の一部を回路基板11の上面側にも形成して支持台部23とし、支持台部23によって囲まれる各反転板収納部25内に反転板31を収納してその上部を覆い板33によって覆って構成されている。
【0012】
回路基板11はその上面中央に中央スイッチ接点13を設け、前記中央スイッチ接点13の周囲を囲む複数(この実施形態では4つ)の位置に周囲スイッチ接点15を設け、また外周の所定位置から帯状に突出する引出部17を設けて構成されている。中央スイッチ接点13と周囲スイッチ接点15は、何れも中央に設けた円形の接点パターンと、この接点パターンを囲む接点パターンとを具備して構成されており、中央スイッチ接点13と周囲スイッチ接点15に接続される図示しない回路パターンは引出部17に引き出されている。また回路基板11の所定の複数位置には、回路基板11の下面側の基台21と上面側の支持台部23とを連結する図示しない小孔が設けられている。
【0013】
基台21は前記回路基板11の下面を略覆う寸法形状で板状に形成されている。一方回路基板11の上面側に設けられる支持台部23は、中央スイッチ接点13及び各周囲スイッチ接点15のそれぞれを囲む位置に平板状に突出して構成されており、支持台部23によって囲まれる各スイッチ接点13,15上部を反転板収納部25としている。また基台21の外周から外方に放射状に突出するように複数(この実施形態では4つ)の矩形状の連結板取付部27が設けられている。連結板取付部27はその上部が回路基板11の上面よりも上方に位置し、その上面には上方向に向かって突出する小円柱状の取付部29が設けられている。そして支持台部23及び連結板取付部27を含む基台21全体は、回路基板11をインサート成形することで回路基板11と一体化されている。その際回路基板11に設けた前記図示しない小孔を通して合成樹脂が回路基板11の上下面で一体化される。基台21を構成する合成樹脂としては、例えば熱可塑性のPBT樹脂やABS樹脂等を用いる。
【0014】
反転板31は弾性金属板をドーム形状に形成して構成されている。覆い板33は可撓性を有する略矩形状のシート部材(例えば合成樹脂フイルム、紙、不織布等)であり、各頂点となる部分から外方に向けて放射状に帯状に突出する突出部35を設け、またその下面に接着層(のり層)を設けて構成されている。言い替えれば覆い板33は前記複数の反転板収納部25の全てをほぼ覆い、且つ各反転板収納部25の周囲の支持台部23上面に対向する面に載置できる寸法形状に形成されている。
【0015】
第1連結板50は弾性(可撓性)を有する合成樹脂フイルム(例えばPETフイルム)によって構成され、中央に設けた略円形の押圧型キートップ取付部51と押圧型キートップ取付部51の周囲を囲むリング状の枠部53の間を複数本(この実施形態では4本)の細帯状のヒンジ部55によって等間隔に連結し、各ヒンジ部55間にそれぞれ形成される複数(4つ)の開口内に円形の揺動型キートップ取付部57を設置し、これらキートップ取付部57をそれぞれ細帯状のヒンジ部59によって枠部53に連結し、さらに枠部53の外周から外方に複数(4つ)放射状に等間隔に舌片状の基台取付部61を突設して構成されている。押圧型キートップ取付部51には下記する押圧型キートップ100の押圧部101と一対の取付部103とをそれぞれ挿入する円形の押圧部挿通部63と取付孔65,65とが設けられている。各揺動型キートップ取付部57にはそれぞれ下記する揺動型キートップ80の取付部85を挿入する円形の取付孔67が設けられている。各基台取付部61には前記基台21の取付部29を挿入する円形の被取付部69が設けられている。また前記各ヒンジ部55間にそれぞれ形成される複数(4つ)の開口内の一部をそれぞれ押圧部挿通部71としている。
【0016】
図5は揺動型キートップ80を下面側から見た斜視図である。同図及び図1に示すように、揺動型キートップ80は合成樹脂(例えばABS樹脂等)を略円板状に成形して構成されており、その中央には円形の貫通孔からなるキートップ挿通孔81を設け、またその下面の4ヶ所には下方向に向かって突出する小突起状の押圧部83を設け、またその下面の各押圧部83の間の位置(前記第1連結板50の各取付孔67に対向する位置)には各取付孔67に挿入される寸法形状の小突起状の取付部85を設けて構成されている。
【0017】
図6は押圧型キートップ100を下面側から見た斜視図である。同図及び図1に示すように、押圧型キートップ100は合成樹脂(例えばABS樹脂等)を略円板状に成形して構成されており、その外形寸法は前記揺動型キートップ80のキートップ挿通孔81に略ぴったり挿入される寸法に形成されている。そしてその下面の中央(前記第1連結板50の押圧部挿通部63に対向する位置)には押圧部挿通部63に挿入される寸法形状の下方向に向かって突出する小突起状の押圧部101が設けられ、またその下面の押圧部101の両側部(前記第1連結板50の各取付孔65に対向する位置)には各取付孔65に挿入される寸法形状の下方向に向かって突出する小突起状の取付部103が設けられている。
【0018】
次に図3,図4に示すように第2多方向押圧型スイッチ1−2は、前記第1多方向押圧型スイッチ1−1に用いた共通スイッチ板10(反転板31と覆い板33を含む)と同一(同一部品)の共通スイッチ板10の上部に、第2連結板140に揺動兼押圧型キートップ160を取り付けた第2連結板付キートップ180を設置することで構成される。以下第2連結板140と揺動兼押圧型キートップ160について説明する。
【0019】
第2連結板140は弾性(可撓性)を有する合成樹脂フイルム(例えばPETフイルム)によって構成され、中央に設けた略円形の中央取付部141と中央取付部141の周囲を囲むリング状の枠部143の間を複数本(この実施形態では4組)の細帯状のヒンジ部145によって等間隔に連結し、各ヒンジ部145間にそれぞれ形成される複数(4つ)の開口内に円形の揺動型キートップ取付部147を設置し、これらキートップ取付部147をそれぞれ細帯状のヒンジ部149によって中央取付部141に連結し、さらに枠部143の外周から外方に複数(4つ)放射状に等間隔に舌片状の基台取付部151を突設して構成されている。中央取付部141には下記する揺動兼押圧型キートップ160の押圧部161(図7参照)を挿入する円形の押圧部挿通部153が設けられている。各揺動型キートップ取付部147にはそれぞれ下記する揺動兼押圧型キートップ160の取付部165(図7参照)を挿入する円形の取付孔155が設けられている。各基台取付部151には共通スイッチ板10の取付部29を挿入する円形の被取付部157が設けられている。各被取付部157の位置は、前記第1連結板50の各被取付部69の位置と一致している。ヒンジ部145の枠部143に連結される側は、二股になっており、中央に形成される開口部を押圧部挿通部159としている。
【0020】
図7は揺動兼押圧型キートップ160を下面側から見た斜視図である。同図及び図3に示すように、揺動兼押圧型キートップ160は合成樹脂(例えばABS樹脂等)を略円板状に成形して構成されており、その下面中央に下方向に向かって突出する小突起状の押圧部161を設けると共に、押圧部161の周囲4ヶ所に下方向に向かって突出する小突起状の押圧部163を設け、また各押圧部163の間の位置(前記第2連結板140の各取付孔155に対向する位置)に各取付孔155に挿入される小突起状の取付部165を設けて構成されている。押圧部161の高さは押圧部163の高さより少し高く形成されている。
【0021】
次に以上の各構成部品からなる第1多方向押圧型スイッチ1−1及び第2多方向押圧型スイッチ1−2の組み立て手順を説明する。即ちまず反転板31と覆い板33とを取り付けてなる共通スイッチ板10と、揺動型キートップ80及び押圧型キートップ100を第1連結板50に取り付けてなる第1連結板付キートップ120と、揺動兼押圧型キートップ160を第2連結板140に取り付けてなる第2連結板付キートップ180とをそれぞれ組み立てる。
【0022】
即ちまず共通スイッチ板10を組み立てるには、図1又は図3に示すように、回路基板11上に設けた各反転板収納部25内にそれぞれ反転板31を収納し、反転板31の外周辺の少なくとも一部を中央スイッチ接点13と周囲スイッチ接点15の各周囲を囲む接点パターンに当接して中央スイッチ41とその周囲の周囲スイッチ43とを構成する。そして全ての反転板収納部25を覆うように反転板収納部25上に覆い板33を取り付ける。覆い板33の下面には接着層が設けられているので、覆い板33は各反転板収納部25の周囲の支持台部23の上面に接着される。このとき同時に覆い板33の下面が反転板31の上面中央に接着しても良い。これによって共通スイッチ板10が完成する。このようにこの実施形態に係る共通スイッチ板10によれば、共通スイッチ板10の上面に設けた反転板収納部25に容易に反転板31を収納・設置できるので、共通スイッチ板10の組み立てが容易に行える。
【0023】
次に第1連結板付キートップ120を組み立てるには、第1連結板50の押圧型キートップ取付部51上に押圧型キートップ100を載置し、同時にその周囲に揺動型キートップ80を載置する。このとき揺動型キートップ80のキートップ挿通孔81内に押圧型キートップ100が挿入され、また揺動型キートップ80の各押圧部83と各取付部85とがそれぞれ第1連結板50の各押圧部挿通部71と各取付孔67とに挿入され、同時に押圧型キートップ100の押圧部101と取付部103とがそれぞれ第1連結板50の押圧部挿通部63と取付孔65とに挿入される。そして第1連結板50の下面において前記各取付部85と取付部103の先端を熱カシメし、これによって揺動型キートップ80及び押圧型キートップ100を第1連結板50に取り付けた第1連結板付キートップ120が完成する。
【0024】
次に第2連結板付キートップ180を組み立てるには、第2連結板140上に揺動兼押圧型キートップ160を載置する。このとき揺動兼押圧型キートップ160の各押圧部161,163をそれぞれ第2連結板140の押圧部挿通部153,159に挿入し、同時に揺動兼押圧型キートップ160の各取付部165を第2連結板140の各取付孔155に挿入する。そして第2連結板140の下面において前記各取付部165の先端を熱カシメし、これによって揺動兼押圧型キートップ160を第2連結板140に取り付けた第2連結板付キートップ180が完成する。
【0025】
そして揺動型キートップ80と押圧型キートップ100とを用いた第1多方向押圧型スイッチ1−1を組み立てる場合は、図1に示すように、共通スイッチ板10上に前記第1連結板付キートップ120を載置し、その際第1連結板50の各被取付部69に基台21の各取付部29を挿入し、各取付部29の先端を熱カシメする。これによって図2に示す第1多方向押圧型スイッチ1−1が完成する。このとき揺動型キートップ80の各押圧部83先端と押圧型キートップ100の押圧部101先端は、共通スイッチ板10の各スイッチ41の反転板31の中央上部の覆い板33上面に当接又は接近している。
【0026】
一方揺動兼押圧型キートップ160を用いた第2多方向押圧型スイッチ1−2を組み立てる場合は、図3に示すように、共通スイッチ板10上に前記第2連結板付キートップ180を載置し、その際第2連結板140の各被取付部157に基台21の各取付部29を挿入し、各取付部29の先端を熱カシメする。これによって図4に示す第2多方向押圧型スイッチ1−2が完成する。このとき揺動兼押圧型キートップ160の各押圧部161,163先端は、共通スイッチ板10の各スイッチ41の反転板31の中央上部の覆い板33上面に当接又は接近している。
【0027】
以上説明したように本発明によれば、揺動型キートップ80と押圧型キートップ100とを用いた第1多方向押圧型スイッチ1−1に用いるスイッチ板10と、揺動兼押圧型キートップ160を用いた第2多方向押圧型スイッチ1−2に用いるスイッチ板10とを同一の共通スイッチ板10としたので、異なるタイプの多方向押圧型スイッチ1−1,1−2であっても、それらに用いる部品の種類を減少でき、これによって生産コストが低減化する。また共通スイッチ板10を何れのタイプにも使用することができるので、生産効率の向上が図れ、異なるタイプの多方向押圧型スイッチ1−1,1−2の何れの生産も容易になる。
【0028】
そして完成した多方向押圧型スイッチ1−1において、押圧型キートップ100を押圧すれば、その押圧部101が中央スイッチ41を押圧し、これをオンする。前記押圧を解除すれば反転板31の弾性復帰力によって押圧型キートップ100は元の位置に自動復帰し中央スイッチ41はオフする。揺動型キートップ80の何れかの部分を押圧して揺動させれば、下降した側の押圧部83がこれに対向する周囲スイッチ43を押圧し、これをオンする。前記押圧を解除すれば反転板31の弾性復帰力によって揺動型キートップ80は元の位置に自動復帰し周囲スイッチ43はオフする。一方完成した多方向押圧型スイッチ1−2において、揺動兼押圧型キートップ160の中央を押圧すれば、揺動兼押圧型キートップ160全体が真下に下降し中央の押圧部161が中央スイッチ41を押圧し、これをオンする。このとき周囲の押圧部163は中央の押圧部161よりも高さが少し低いので周囲スイッチ43はオンされない。前記押圧を解除すれば反転板31の弾性復帰力によって押圧兼揺動型キートップ160は元の位置に自動復帰し中央スイッチ41はオフする。揺動兼揺動型キートップ160の周囲の何れかの部分を押圧して揺動させれば、下降した側の押圧部163がこれに対向する周囲スイッチ43を押圧し、これをオンする。前記押圧を解除すれば反転板31の弾性復帰力によって揺動兼押圧型キートップ160は元の位置に自動復帰し周囲スイッチ43はオフする。
【0029】
以上説明したように、本発明には、フレキシブル回路基板11に中央スイッチ接点13と、中央スイッチ接点13の周囲を囲む複数の周囲スイッチ接点15とを設け、さらに中央スイッチ接点13と周囲スイッチ接点15上にそれぞれ反転板31を取り付けることでそれぞれ中央スイッチ41と周囲スイッチ43とを構成してなるスイッチ板10を具備するとともに、内部にキートップ挿通孔81を設けるとともに各周囲スイッチ43を押圧する押圧部83を有してなる揺動型キートップ80と、揺動型キートップ80のキートップ挿通孔81に上下動自在に挿入されるとともに中央スイッチ41を押圧する押圧部101を有してなる押圧型キートップ100とを弾性を有する第1連結板50に取り付けた第1連結板付キートップ120を前記スイッチ板10に設置することで構成される第1多方向押圧型スイッチ1−1、或いは中央スイッチ41及び各周囲スイッチ43を押圧する押圧部161,163を有してなる揺動兼押圧型キートップ160を弾性を有する第2連結板140に取り付けた第2連結板付キートップ180を前記スイッチ板10に設置することで構成される多方向押圧型スイッチ1−2において、スイッチ板10を、第1連結板付キートップ120の第1連結板50と、第2連結板付キートップ180の第2連結板140の両者を何れも取り付けられる共通スイッチ板とした構成が開示されている。
【0030】
また本発明のスイッチ板10は、中央スイッチ接点13及び周囲スイッチ接点15のそれぞれを囲む位置にフレキシブル回路基板11上面に突出する支持台部23を設けることで各スイッチ接点13,15上に支持台部23によって囲まれる反転板収納部25を設け、各反転板収納部25内に反転板31を収納することで中央スイッチ41及び周囲スイッチ43を構成し、さらに支持台部23上面に覆い板33を設置することで各反転板収納部25を覆って構成されている。
【0031】
また本発明は、フレキシブル回路基板11に中央スイッチ接点13と、中央スイッチ接点13の周囲を囲む複数の周囲スイッチ接点15とを設け、さらに中央スイッチ接点13と周囲スイッチ接点15上にそれぞれ反転板31を取り付けることでそれぞれ中央スイッチ41と周囲スイッチ43とを構成してなるスイッチ板10と、内部にキートップ挿通孔81を設けるとともに各周囲スイッチ43を押圧する押圧部83を有してなる揺動型キートップ80と、揺動型キートップ80のキートップ挿通孔83に上下動自在に挿入されるとともに中央スイッチ41を押圧する押圧部101を有してなる押圧型キートップ100と、中央スイッチ41及び各周囲スイッチ43を押圧する押圧部161,163を有してなる揺動兼押圧型キートップ160と、揺動型キートップ80及び押圧型キートップ100を取り付ける弾性を有する第1連結板50と、揺動兼押圧型キートップ160を取り付ける弾性を有する第2連結板140と、を用意し、揺動型キートップ80及び押圧型キートップ100を取り付けた第1連結板50、又は揺動兼押圧型キートップ160を取り付けた第2連結板140の何れか一方を選択して同一形状のスイッチ板10上に設置して取り付ける多方向押圧型スイッチの製造方法を開示している。
【0032】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状・構造・材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば上記実施形態では回路基板としてフレキシブル回路基板を用いたが、硬質の回路基板を用いても良い。また周囲スイッチの数や配置位置は種々変更可能である。また上記実施形態では、スイッチ接点上に反転板を取り付けてスイッチを構成している(反転板が可動接点板となっている)が、2枚の回路基板にそれぞれ設けたスイッチ接点同士を2枚の回路基板を重ね合わせることで所定の隙間を介して対向してなるいわゆるメンブレン型のスイッチ構造であってもよい。その場合、反転板は一方の回路基板のスイッチ接点を設けた部分の反対面側に設置する。また上記実施形態では覆い板を1枚で構成したが、複数枚で構成しても良い。また支持台部による反転板収納部の形状も種々の変形が可能である。またその他の各部材及び各部分の形状や数量も種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】第1多方向押圧型スイッチ1−1の分解斜視図である。
【図2】第1多方向押圧型スイッチ1−1の斜視図である。
【図3】第2多方向押圧型スイッチ1−2の分解斜視図である。
【図4】第2多方向押圧型スイッチ1−2の斜視図である。
【図5】揺動型キートップ80を下面側から見た斜視図である。
【図6】押圧型キートップ100を下面側から見た斜視図である。
【図7】揺動兼押圧型キートップ160を下面側から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0034】
1−1 第1多方向押圧型スイッチ(多方向押圧型スイッチ)
1−2 第2多方向押圧型スイッチ(多方向押圧型スイッチ)
10 共通スイッチ板(スイッチ板)
11 フレキシブル回路基板(回路基板)
13 中央スイッチ接点
15 周囲スイッチ接点
21 基台
23 支持台部
25 反転板収納部
31 反転板
33 覆い板
41 中央スイッチ
43 周囲スイッチ
50 第1連結板
80 揺動型キートップ
81 キートップ挿通孔
83 押圧部
100 押圧型キートップ
101 押圧部
120 第1連結板付キートップ
140 第2連結板
160 揺動兼押圧型キートップ
161 押圧部
180 第2連結板付キートップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板に中央スイッチ接点と、前記中央スイッチ接点の周囲を囲む複数の周囲スイッチ接点とを設け、さらに前記中央スイッチ接点と周囲スイッチ接点上にそれぞれ反転板を取り付けることでそれぞれ中央スイッチと周囲スイッチとを構成してなるスイッチ板を具備するとともに、
内部にキートップ挿通孔を設けるとともに前記各周囲スイッチを押圧する押圧部を有してなる揺動型キートップと、前記揺動型キートップのキートップ挿通孔に上下動自在に挿入されるとともに前記中央スイッチを押圧する押圧部を有してなる押圧型キートップとを弾性を有する第1連結板に取り付けた第1連結板付キートップを前記スイッチ板に設置することで構成される多方向押圧型スイッチ、或いは前記中央スイッチ及び前記各周囲スイッチを押圧する押圧部を有してなる揺動兼押圧型キートップを弾性を有する第2連結板に取り付けた第2連結板付キートップを前記スイッチ板に設置することで構成される多方向押圧型スイッチにおいて、
前記スイッチ板を、前記第1連結板付キートップの第1連結板と、前記第2連結板付キートップの第2連結板の両者を何れも取り付けられる共通スイッチ板としたことを特徴とする多方向押圧型スイッチ。
【請求項2】
前記スイッチ板の中央スイッチ接点及び周囲スイッチ接点のそれぞれを囲む位置に回路基板上面に突出する支持台部を設けることで各スイッチ接点上に支持台部によって囲まれる反転板収納部を設け、各反転板収納部内に前記反転板を収納することで中央スイッチ及び周囲スイッチを構成し、さらに支持台部上面に覆い板を設置することで各反転板収納部を覆ったことを特徴とする請求項1に記載の多方向押圧型スイッチ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−123907(P2008−123907A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−308011(P2006−308011)
【出願日】平成18年11月14日(2006.11.14)
【出願人】(000215833)帝国通信工業株式会社 (262)
【Fターム(参考)】