説明

多極型プローブおよびこれを含む探傷装置

【課題】 多芯ケーブルの長さを調整することができるだけでなく、多芯ケーブルの故障の際の修理を容易にし、経済性を向上させる多極型プローブおよびこれを含む探傷装置を提供すること。
【解決手段】 探傷のための検査信号を発する検査部18と、この検査部18を収納する収納部16とを備え、多芯ケーブル12を介して探傷装置本体に接続されて用いられる多極型プローブ2において、前記収納部16に、前記多芯ケーブル12を着脱可能に取り付けるためのレセプタクルコネクタ25が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体の探傷を行うための多極型プローブおよびこれを含む探傷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、金属等の被検体の傷などを検査する方法として、超音波を利用する超音波探傷法や、渦電流を利用する渦流探傷法などが知られている。それら探傷を行うプローブとして、フェーズドアレイプローブやマルチコイルプローブのように複数の極を持つ多極型プローブが周知となっている。これら多極型プローブは、一般に、超音波や交流磁界などの検査信号を発する検査部と、この検査部を収納する収納部とを備えており、多芯ケーブルを介して探傷装置本体に取り付けられるようになっている。すなわち、多芯ケーブルの一端に前記収納部が取り付けられ、多芯ケーブルの他端にはコネクタが取り付けられており、このコネクタを探傷装置本体に取り付けることにより、探傷装置本体と多極型プローブとが連結される。
【0003】
このような構成によると、確かに探傷装置本体と多極型プローブとを連結することはできるものの、多芯ケーブルの長さが固定され、ユーザー側でその多芯ケーブルの長さを変更することができないため、検査の状況によっては、多芯ケーブルが長すぎて探傷の邪魔になったり、逆に短すぎて探傷できなかったりする場合が生じてしまう。
そこで、探傷装置本体に多芯ケーブルの巻き取り機構を設け、検査に使用する多芯ケーブルの長さを調整することができるようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−190151号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような構成によると、検査時において多芯ケーブルを引っ張って巻き取り機構から延ばして使用するため、多芯ケーブルに張力がかかり故障しやすくなる。多芯ケーブルが破損した場合、プローブ本体は適正に動作する場合であっても、多極型プローブ全体を買い換えるか修理に出す必要がある。そのため、多極型プローブの維持管理のためのコストが上昇するだけでなく、修理に出している間の時間のロスが発生してしまうという問題がある。
なお、これらの問題は、特に、巻き取り機構を設けた場合に顕著になるが、従来の一般的な多極型プローブにおいても生じるものである。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、多芯ケーブルの長さを調整することができるだけでなく、多芯ケーブルの故障の際の修理を容易にし、経済性を向上させることができる多極型プローブおよびこれを含む探傷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提供する。
請求項1に係る発明は、探傷のための検査信号を発する検査部と、この検査部を収納する収納部とを備え、多芯ケーブルを介して探傷装置本体に接続されて用いられる多極型プローブにおいて、前記収納部に、前記多芯ケーブルを着脱可能に取り付けるためのレセプタクルコネクタが設けられていることを特徴とする。
【0007】
この発明に係る多極型プローブにおいては、収納部に収納された検査部から検査信号が発されて、探傷が行われる。このとき、レセプタクルコネクタを介して多芯ケーブルが収納部に取り付けられる。そのため、多芯ケーブルが収納部に対して着脱可能な状態となる。
これにより、多芯ケーブルのみが破損した場合に、その多芯ケーブルを取り外し、多芯ケーブルのみを交換し修理することができる。また、検査状況によって、必要な多芯ケーブルの長さが異なるが、レセプタクルコネクタを介して適正な長さの多芯ケーブルを選択的に取り付けることができる。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の多極型プローブにおいて、前記レセプタクルコネクタに嵌合するプラグコネクタが設けられた多芯ケーブルを備えることを特徴とする。
【0009】
この発明に係る多極型プローブにおいては、多芯ケーブルに設けられたプラグコネクタをレセプタクルコネクタに嵌合させることによって、多芯ケーブルが収納部に対して着脱可能になる。
これにより、簡易な構成によって、収納部に対して着脱可能に多芯ケーブルを取り付けることができる。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の多極型プローブにおいて、前記プラグコネクタが、前記多芯ケーブルの両端に設けられていることを特徴とする。
【0011】
この発明に係る多極型プローブにおいては、多芯ケーブルの両端に設けられたプラグコネクタのいずれか一方がレセプタクルコネクタに嵌合され、他方が探傷装置本体のコネクタに嵌合される。そのため、多芯ケーブルの基端と先端とを逆向きにしても、探傷装置本体に接続することができる。
これにより、取り付けの向きを意識することなく、容易に多芯ケーブルを取り付けることができる。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項2または請求項3に記載の多極型プローブにおいて、前記収納部の内部に前記レセプタクルコネクタが設置され、このレセプタクルコネクタが、前記収納部に形成された開口部から露出して構成されており、前記多芯ケーブルが、前記開口部を覆う蓋部を有し、この蓋部に前記プラグコネクタが設けられていることを特徴とする。
【0013】
この発明に係る多極型プローブにおいては、レセプタクルコネクタにプラグコネクタを嵌合させると、蓋部によって開口部が覆われる。
これにより、収納部と多芯ケーブルとを確実に連結させるとともに、収納部内に水、油、塵埃などが侵入するのを防止することができる。
【0014】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の多極型プローブにおいて、前記収納部が、前記多芯ケーブルの横断面積より大きな面積を有する平坦面を備え、前記開口部が、前記平坦面の略一面にわたって形成されていることを特徴とする。
【0015】
この発明に係る多極型プローブにおいては、前記平坦面の略一面にわたって開口部が形成されていることから、種々の大きさや形状を有するレセプタクルコネクタを設置することができる。そのため、検査部に必要な極数に合わせて、適正なレセプタクルコネクタを設置することができる。
これにより、検査部に必要な極数が増えても容易に対応することができ、多極への自由度を向上させることができる。
【0016】
請求項6に係る発明は、請求項4または請求項5に記載の多極型プローブにおいて、前記収納部または前記蓋部に、前記開口部の周囲または前記プラグコネクタの周囲にわたって弾性部材が設けられていることを特徴とする。
【0017】
この発明に係る多極型プローブにおいては、蓋部によって開口部を覆うと、弾性部材によって、収納部内が密閉される。
これにより、防水性、防油性、防塵性などを向上させることができる。
【0018】
請求項7に係る発明は、請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の多極型プローブにおいて、前記蓋部に、この蓋部を支持する延長アームが設けられていることを特徴とする。
【0019】
この発明に係る多極型プローブにおいては、レセプタクルコネクタにプラグコネクタを嵌合させると、蓋部と収納部とが連結され、収納部が蓋部を介して延長アームにより支持される。
これにより、延長アームを把持することにより、手の届かない場所や、手の入らないような狭い場所であっても、収納部および検査部を送り込むことができ、検査時における利便性を向上させることができる。
【0020】
請求項8に係る発明は、請求項7に記載の多極型プローブにおいて、前記延長アームが湾曲可能に構成され、前記延長アームの湾曲状態を保持する保持手段を備えることを特徴とする。
【0021】
この発明に係る多極型プローブにおいては、延長アームが湾曲させられ、保持手段により、その湾曲状態が保持される。
これにより、被検体内の障害物などを避けて、探傷面に対して検査部を適正に当てることができる。
【0022】
請求項9に係る発明は、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の多極型プローブと、この多極型プローブを操作するための探傷装置本体とを備えることを特徴とする。
【0023】
この発明に係る探傷装置においては、上記請求項1から請求項8のいずれか一項に係る発明と同様の効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、レセプタクルコネクタを介して多芯ケーブルを収納部に着脱可能に取り付けるようにしているため、多芯ケーブルを取り外すことにより、その故障の際の修理を容易にすることができるだけでなく、一般的に安価な多芯ケーブルのみを適正なものに交換するだけで元のように探傷することができる。そのため、維持管理を容易にし、経済性を向上させることができる。さらに、必要な多芯ケーブルの長さを選択的に取り付けることにより、検査状況に応じて、その長さを容易に調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(実施例1)
以下、本発明の第1実施例における探傷装置について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明を超音波探傷装置に適用した場合の例を示す図であって、符号1は超音波探傷装置を示している。
この超音波探傷装置1は、被検体に押し当てて多チャンネルによって探傷を行う多極型プローブ2と、この多極型プローブ2を操作するための箱型の装置本体部(探傷装置本体)3とを備えている。
【0026】
装置本体部3の前面中央には、探傷のための画像を映し出すモニタ6が設けられており、このモニタ6の近傍には各種の役割を担うスイッチ7が設けられている。装置本体部3の上面には、様々な入力機器および出力機器を接続するための接続部9が設けられている。
また、多極型プローブ2は、箱型のプローブ本体11と多芯ケーブル12とを備えており、多芯ケーブル12を介して、装置本体部3とプローブ本体11とが電気的に接続されている。
【0027】
プローブ本体11は、図2に示すように、ステンレス鋼からなるハウジング(収納部)16を備えている。このハウジング16は有底角筒状をなしており、その内部には検査信号としての超音波を発生させる超音波モジュール(検査部)18が設けられている。
超音波モジュール18は、箱型に形成された支持体20を備えている。支持体20は、背面負荷材として超音波を吸収する材質からなっている。例えば、支持体20は、ポリウレタン樹脂に酸化金属粉末を混合して注型し熱硬化することにより形成されている。さらに、上記酸化金属としては、三酸化タングステンの粉末を重量比でポリウレタン樹脂1に対して3倍を混合して使用している。
【0028】
支持体20の側壁の一つには、例えばフレキシブル基板やリジット基板等のプリント配線板から構成された複数の電極を有する電極配線部材(不図示)が取り付けられている。
また、支持体20の底面には、電圧を印加することにより変形する複数の圧電振動子21が設けられている。これら圧電振動子21が振動することにより、超音波を送受信するようになっている。
さらに、圧電振動子21の底面全体には、被検体に接触させる音響整合層22が設けられている。この音響整合層22は、被検体と圧電振動子21との間の音響マッチングをとるとともに、圧電振動子21を保護するためのものである。
【0029】
このような構成のもと、電極配線部材の複数の電極を介して各圧電振動子21に電圧を印加すると、それら圧電振動子21が振動することにより超音波を発するようになっている。そして、支持体20側に向かう超音波は支持体20により吸収、減衰し、音響整合層22側に向かう超音波は被検体に向かうようになっている。
【0030】
さらに、本実施例におけるハウジング16の側壁の一つには、多芯ケーブル12を着脱可能に取り付けるためのレセプタクルコネクタ25が設けられている。このレセプタクルコネクタ25は、電極配線部材に電気的に接続されている。
また、多芯ケーブル12の両端には、図3に示すように、レセプタクルコネクタ25に嵌合する同一のプラグコネクタ26がそれぞれ設けられている。そして、これらプラグコネクタ26のいずれか一方をレセプタクルコネクタ25に嵌合させることにより、多芯ケーブル12とプローブ本体11とが着脱可能に連結されるようになっている。また、他方のプラグコネクタ26は、図1に示す接続部9に着脱可能に取り付けられるようになっている。
【0031】
次に、このように構成された本実施例における超音波探傷装置1の作用について説明する。
まず、探傷に必要な適正な長さの多芯ケーブル12を選択し、後述するように多芯ケーブル12を介してプローブ本体11を装置本体部3に取り付ける。そして、プローブ本体11を被検体内に挿入し、所定のスイッチ7を押圧する。すると、不図示の電源回路から多芯ケーブル12を介して電極配線部材を経て各圧電振動子21に電圧が印加される。そして、各圧電振動子21が振動し、被検体に向けて超音波が発せられる。この超音波は被検体に反射させられエコーとして各圧電振動子21を振動させる。これにより、超音波が受信され、モニタ6にその受信状態が映し出される。そして、モニタ6に映し出される画像を見ながら探傷を行い、探傷が終わると検査結果に応じて所定の処置が行われる。
【0032】
本実施例における超音波探傷装置1においては、以下のようにして、プローブ本体11と装置本体部3とが着脱可能に連結される。
すなわち、多芯ケーブル12のいずれか一方のプラグコネクタ26の基端部を指で把持して、そのプラグコネクタ26を、図3に示すように、レセプタクルコネクタ25に嵌め込む。すると、プラグコネクタ26とレセプタクルコネクタ25とが機械的かつ電気的に接続され、これにより、多芯ケーブル12とプローブ本体11とが接続される。このとき、多芯ケーブル12とプローブ本体11との接続にロックがかかり、多芯ケーブル12が不意に外れるのが防止される。
【0033】
さらに、同様にして他方のプラグコネクタ26を接続部9に取り付ける。これにより、装置本体部3とプローブ本体11とが機械的かつ電気的に接続される。
【0034】
一方、多芯ケーブル12をプローブ本体11から取り外すときには、前記一方のプラグコネクタ26の基端部を指で把持し、プラグコネクタ26の一部を引くことにより、ロックが解除され、レセプタクルコネクタ25からプラグコネクタ26が引き抜かれる。これによって、多芯ケーブル12がプローブ本体11から取り外される。
また、多芯ケーブル12を装置本体部3から取り外すときにも、同様にして、他方のプラグコネクタ26を引き抜くことにより、容易に取り外される。
【0035】
以上より、本実施例における超音波探傷装置1によれば、多芯ケーブル12がプラグコネクタ26およびレセプタクルコネクタ25を介してプローブ本体11に取り付けられるため、多芯ケーブル12をプローブ本体11から容易に取り外すことができる。そのため、多芯ケーブル12のみが破損した場合に、その多芯ケーブル12を取り外し、多芯ケーブル12のみを交換し修理することができ、経済性を向上させることができる。さらに、適正な長さの多芯ケーブル12を選択的に取り付け、または取り替えることにより、検査状況に応じてその長さを容易に調整することができる。
【0036】
また、多芯ケーブル12の両端に、同一のプラグコネクタ26が設けられているため、多芯ケーブル12の基端と先端とを逆向きにしても、レセプタクルコネクタ25や接続部9にそれぞれ接続することができ、そのため、多芯ケーブル12の取り付けの向きを意識することなく、プローブ本体11と装置本体部3とを容易に取り付けることができる。
【0037】
なお、ハウジング16を有底角筒状としたが、これに限ることはなく、その形状は適宜変更可能である。
【0038】
(実施例2)
次に、本発明の第2の実施例について説明する。
図4から図6は、本発明の第2の実施例を示したものである。
図4から図6において、図1から図3に記載の構成要素と同一部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
この実施例と上記第1の実施例とは基本的構成は同一であり、以下の点において異なるものとなっている。
【0039】
すなわち、本実施例におけるハウジング16は角筒状に形成されており、その開放端には、図5に示すように、平坦面37が設けられている。この平坦面37の面積は、多芯ケーブル12の横断面積より大きく設定されている。そして、平坦面37の中央には、平坦面37の略一面にわたって矩形の開口部35が形成されている。ここで、上述の平坦面37の面積とは、開口部35の周囲の平坦部分だけでなく開口部35の開口部分も含めたものとする。平坦面37には、開口部35の周囲にわたって矩形枠状の弾性部材34が設けられており、この弾性部材34の外側には、ネジ孔32が形成されている。
【0040】
また、ハウジング16の筒孔には、平面視して矩形のレセプタクルコネクタ25が設置されており、このレセプタクルコネクタ25が、開口部35から露出した状態になっている。そして、レセプタクルコネクタ25のサイズは、開口部35の縁一杯になるように設定されている。
さらに、多芯ケーブル12の一端には、平面視して矩形の蓋部28が設けられている。蓋部28の外面のうち、ハウジング16に重ねられる重ね合わせ面28aには、図6に示すように、レセプタクルコネクタ25に嵌合する、平面視して矩形のプラグコネクタ26が設けら、その周囲には、プラグコネクタ26の延出方向に蓋部28を貫通する貫通孔31が形成されている。そして、重ね合わせ面28aは、平坦面37と略同一寸法に形成されている。
【0041】
このような構成のもと、プラグコネクタ26をレセプタクルコネクタ25に嵌合させると、ハウジング16と蓋部28とが重ね合わされて、開口部35が蓋部28によって覆われる。そして、蓋部28の周壁とハウジング16の周壁とがそれぞれ面一に配されるとともに、貫通孔31とネジ孔32とがそれぞれ一致した位置に配される。周壁同士を面一にするのは、被検体内でのプローブ本体11の移動をスムーズにし、段差によって埃や油などを拾わないようにするためである。
さらに、上記重ね合わされた状態から、ネジ29を貫通孔31に挿通しネジ孔32に螺合させることにより、蓋部28がハウジング16に固定される。このとき、弾性部材34が平坦面37と重ね合わせ面28aとによって押圧され、これによりハウジング16内が密閉される。
一方、蓋部28を取り外すときには、各ネジ29を外して、蓋部28を引っ張る。すると、レセプタクルコネクタ25からプラグコネクタ26が外されて、蓋部28がハウジング16から取り外される。
【0042】
以上より、本実施例における超音波探傷装置1によれば、ハウジング16内にレセプタクルコネクタ25を設置し、蓋部28にプラグコネクタ26を設置して、プラグコネクタ26をレセプタクルコネクタ25に嵌合させたときに、開口部35を蓋部28によって覆うように構成しているため、多芯ケーブル12とプローブ本体11とを確実に連結させるとともに、ハウジング16内への水、油、塵埃などの侵入を防止することができる。
【0043】
また、平坦面37の略一面にわたって開口部35が形成されていることから、種々の大きさや形状を有するレセプタクルコネクタ25を設置することができる。さらに、レセプタクルコネクタ25のサイズは、開口部35の縁一杯になるように設定されていることから、従来よりもレセプタクルコネクタ25を大きくすることができ、そのため、圧電振動子21に印加するための必要な極数を増加させることができる。
また、ハウジング16と蓋部28とを連結すると、弾性部材34によりハウジング16内が密閉されることから、防水性、防油性、防塵性などをより向上させることができる。
【0044】
なお、本実施例においては、平坦面37に弾性部材34を設けるとしたが、これに限ることはなく、重ね合わせ面28aに設けるようにしてもよい。また、この弾性部材34を設けなくてもよい。但し、弾性部材34を設けたほうが、防水性、防油性、防塵性などの点で好ましいのは上述の通りである。
また、ハウジング16と蓋部28とをネジ29とネジ孔32とにより連結するとしたが、これに限ることはなく、それらの設置数や設置場所を変更したり、他の連結手段に変更することができる。
さらに、ハウジング16を角筒状としたが、これに限ることはなく、その形状は適宜変更可能であり、それに合わせて蓋部28の形状も変更可能である。
【0045】
(実施例3)
次に、本発明の第3の実施例について説明する。
図7は、本発明の第3の実施例を示したものである。
本実施例における蓋部28には、この蓋部28を支持し、管状に延びる延長アーム39が設けられている。延長アーム39には、この延長アーム39より大径に設定された把持部40が設けられている。
このような構成のもと、蓋部28とハウジング16とを上記第2の実施例と同様に連結すると、ハウジング16が蓋部28を介して延長アーム39により支持される。
【0046】
以上より、本実施例によれば、蓋部28とハウジング16とを連結し、把持部40を把持することにより、手の届かない場所や、手の入らないような狭い場所であっても、プローブ本体11を送り込むことができ、検査時における利便性を向上させることができる。
【0047】
(実施例4)
次に、本発明の第4の実施例について説明する。
図8および図9は、本発明の第4の実施例を示したものである。
本実施例における延長アーム39は、インターロックチューブ(保持手段)42を備えている。延長アーム39は、このインターロックチューブ42によって、図9に示すように、湾曲可能になっており、かつその湾曲した状態が保持されるようになっている。
【0048】
以上より、被検体内の様々な状況に応じて、延長アーム39を湾曲させ、さらにその湾曲状態を保持することにより、障害物を避けることができ、被検体に対してプローブ本体11を適正に当てることができる。そのため、迅速かつ高精度な探傷を行うことができる。
【0049】
なお、上記第1から第4の実施例においては、多極型プローブ2がプローブ本体11と多芯ケーブル12とを備えるものとしたが、これに限ることはなく、プローブ本体11のみからなるとしてもよい。但し、その場合であっても、多極型プローブ2と装置本体部3とを多芯ケーブル12を介して接続するのは言うまでもない。
また、上記実施例では、超音波探傷装置1を例にとって説明したが、本発明は超音波探傷装置1に限定されるものではなく、渦流探傷装置のような他の探傷装置にも適用可能であることは言うまでもない。
なお、本発明の技術範囲は上記の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係る探傷装置の第1の実施例を示す概略斜視図である。
【図2】図1に示す多芯ケーブルのプラグコネクタをレセプタクルコネクタに嵌合させる様子を示す説明図である。
【図3】図1に示す多芯ケーブルのプラグコネクタをレセプタクルコネクタに嵌合させて、多芯ケーブルをプローブ本体に取り付けた様子を示す説明図である。
【図4】本発明に係る探傷装置の第2の実施例の要部を示す概略斜視図である。
【図5】図4に示すプローブ本体を蓋部側から見た分解斜視図である。
【図6】図4に示すプローブ本体を蓋部の重ね合わせ面側から見た分解斜視図である。
【図7】本発明に係る探傷装置の第3の実施例の要部を示す斜視図である。
【図8】本発明に係る探傷装置の第4の実施例の要部を示す図であって、延長アームを直線状に延ばした様子を示す斜視図である。
【図9】図8に示す延長アームを湾曲状に固定した様子を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0051】
1 超音波探傷装置(探傷装置)
2 多極型プローブ
3 装置本体部(探傷装置本体)
12 多芯ケーブル
18 超音波モジュール(検査部)
16 ハウジング(収納部)
25 レセプタクルコネクタ
26 プラグコネクタ
28 蓋部
34 弾性部材
35 開口部
37 平坦面
39 延長アーム
42 インターロックチューブ(保持手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
探傷のための検査信号を発する検査部と、この検査部を収納する収納部とを備え、多芯ケーブルを介して探傷装置本体に接続されて用いられる多極型プローブにおいて、
前記収納部に、前記多芯ケーブルを着脱可能に取り付けるためのレセプタクルコネクタが設けられていることを特徴とする多極型プローブ。
【請求項2】
前記レセプタクルコネクタに嵌合するプラグコネクタが設けられた多芯ケーブルを備えることを特徴とする請求項1に記載の多極型プローブ。
【請求項3】
前記プラグコネクタが、前記多芯ケーブルの両端に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の多極型プローブ。
【請求項4】
前記収納部の内部に前記レセプタクルコネクタが設置され、このレセプタクルコネクタが、前記収納部に形成された開口部から露出して構成されており、
前記多芯ケーブルが、前記開口部を覆う蓋部を有し、この蓋部に前記プラグコネクタが設けられていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の多極型プローブ。
【請求項5】
前記収納部が、前記多芯ケーブルの横断面積より大きな面積を有する平坦面を備え、
前記開口部が、前記平坦面の略一面にわたって形成されていることを特徴とする請求項4に記載の多極型プローブ。
【請求項6】
前記収納部または前記蓋部に、前記開口部の周囲または前記プラグコネクタの周囲にわたって弾性部材が設けられていることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の多極型プローブ。
【請求項7】
前記蓋部に、この蓋部を支持する延長アームが設けられていることを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の多極型プローブ。
【請求項8】
前記延長アームが湾曲可能に構成され、前記延長アームの湾曲状態を保持する保持手段を備えることを特徴とする請求項7に記載の多極型プローブ。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の多極型プローブと、
この多極型プローブを操作するための探傷装置本体とを備えることを特徴とする探傷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−194666(P2006−194666A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−4999(P2005−4999)
【出願日】平成17年1月12日(2005.1.12)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】