説明

多段のダイヤフラム式サクションポンプ

本発明は、多段のダイヤフラム式サクションポンプであって、少なくとも2つのポンプ室を備え、該ポンプ室がそれぞれ、少なくとも1つの入口弁を有する流体入口と、少なくとも1つの出口弁を有する流体出口とを有しており、さらに、複数の前記ポンプ室の前記流体入口を接続する吸込管路を備え、相連なるポンプ室はそれぞれ少なくとも1つの接続管路を介して、当該ダイヤフラム式ポンプが前記吸込管路内の所定の差圧の達成/超過時に前記ポンプ室の並列に作動する運転から前記ポンプ室の少なくとも直列にも作動する運転へと移行するように互いに接続されており、前記少なくとも1つの接続管路の流入領域及び流出領域において、それぞれ、後続のポンプ段に向かって開弁する少なくとも1つの逆止弁が接続されている形式のものに関する。本発明に係るダイヤフラム式サクションポンプは、前記接続管路の前記流入領域及び前記流出領域に設けられた逆止弁が、前記ポンプ室の前記入口弁及び前記出口弁と比較して小さく形成されており、かつ該逆止弁に、前記接続管路の、隣接するポンプ室に向かって開放されたそれぞれ1つの管路区分が、前記入口弁及び前記出口弁と比較して小さな内法の管路横断面を備えて配設されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多段のダイヤフラム式サクションポンプであって、少なくとも2つのポンプ室を備え、該ポンプ室がそれぞれ、少なくとも1つの入口弁を有する流体入口と、少なくとも1つの出口弁を有する流体出口とを有しており、さらに、複数の前記ポンプ室の前記流体入口を接続する吸込管路を備え、相連なるポンプ室はそれぞれ少なくとも1つの接続管路を介して、当該ダイヤフラム式ポンプが前記吸込管路内の所定の差圧の達成/超過時に前記ポンプ室の並列に作動する運転から前記ポンプ室の少なくとも直列にも作動する運転へと移行するように互いに接続されており、前記少なくとも1つの接続管路の流入領域及び流出領域において、後続のポンプ段に向かって開弁する少なくとも1つの逆止弁が接続されている形式のものに関する。
【0002】
排気時、例えばオートクレーブの排気時、一方では大きな圧送出力が所望され、他方では良好な到達真空が所望される。大きな圧送出力は、ヘッドの並列接続によって達成され、良好な到達真空は、多段の運転、つまり直列接続によって達成される。多くの用途、とりわけ実験室領域での用途において、多段の配列でのみ達成可能な低い到達圧力が必要となる。
【0003】
WO2004/088138において既に、それぞれ1つの往復動型のポンプダイヤフラムによって画成される2つのポンプ室を有するマイクロ真空ポンプが公知である。これらのポンプ室の各々は、入口弁を有する流体入口と、出口弁を有する流体出口とを有しており、ポンプ室の流体入口を接続する吸込管路と、流体出口を接続する吐出管路とが設けられている。ポンプ室は接続管路を介して、この公知のマイクロ真空ポンプが吸込管路内の所定の差圧の到達及び超過時にマイクロ真空ポンプのポンプ室の並列に作動する運転から、これらのポンプ室の直列に作動する運転に移行するように互いに接続されている。接続管路の流入領域にも流出領域にも、後続のポンプ段に向かって開弁するそれぞれ1つの逆止弁が接続されている。この公知のダイヤフラム式サクションポンプの製造に関連するコストを下げるために、接続管路内に介装される逆止弁は、両ポンプ室の入口弁及び出口弁と比肩できる大きさを有している。それに応じて、接続管路の、逆止弁のうちの1つと、隣接するポンプ室との間に設けられる管路区分も、比肩できる大きさに寸法設定されている。それでもなお、ポンピングプロセスの開始期において流体流をまず、並列に接続された入口弁及び出口弁を介して案内することができるように、接続管路内には絞りが介装されている。絞りは、相応の圧力差及び減じられたポンプ出力が達成されて始めてその絞り作用を失う。吸込プロセスの開始時、この公知のマイクロ真空ポンプは、これらのポンプ室の並列に作動する配列をとる。それというのも、接続管路内に設けられた絞りは、この系を、空気循環中のまだ存在しない障害に基づいて、初期段階においてはより容易に並列に作動可能なものとするからである。これらの並列に作動する配列が、到達真空の領域に達して、吸込管路における圧力差が最大に達するやいなや、流体は遥かに容易に、接続管路内に存在する絞りを通して流動することができる。その結果、同時に、可及的高い到達真空を達成するために、これらのポンプ室の直列の運転への配列変更もなされる。
【0004】
しかしながら、この公知のダイヤフラム式ポンプの逆止弁が、入口弁及び出口弁に匹敵する大きさを有しており、かつ接続管路の、逆止弁間に設けられる管路区分が、相応に大きな内法の管路横断面を有しているので、これらの管路区分には、それに応じて大きな有害なもしくは望ましくない空間が生じる。この空間は、公知のダイヤフラム式サクションポンプの達成可能な到達真空に対して不利に働き、並列の運転形式と直列の運転形式との間の切換点に対して否定的な影響を及ぼす。
【0005】
それゆえ、本願発明の課題は、特に、公知の従来技術と比較して、可及的高い到達真空の発生を可及的短い時間で可能にする、最適な切換点への接近が得られる冒頭で述べた形式の多段のダイヤフラム式サクションポンプを提供することである。
【0006】
この課題を解決するための手段は、特に、前記接続管路の前記流入領域及び前記流出領域に設けられた逆止弁が、前記ポンプ室の前記入口弁及び前記出口弁と比較して小さく形成されており、かつ該逆止弁に、前記接続管路の、隣接するポンプ室に向かって開放されたそれぞれ1つの管路区分が、前記入口弁及び前記出口弁と比較して小さな内法の管路横断面を備えて配設されていることにある。
【0007】
本発明に係るダイヤフラム式ポンプは、ダイヤフラム式ポンプのポンプ室を互いに接続する少なくとも1つの接続管路に、流入側にも流出側にも、これらのポンプ室の入口弁及び出口弁と比較して明らかに小さく寸法設定されている逆止弁を備える。これにより、これらの逆止弁の可動の弁体は、より小さな可動の質量を有し、それに応じてより迅速に反応することもできるので、並列の運転形式と直列の運転形式との間の最適な切換点への接近が明らかに促進される。接続管路が最適な切換点の領域で初めて有効となるので、かつ接続管路がこのポンピング期において比較的小さな圧送量を実現するだけでよいので、接続管路の内法の横断面は、吸込管路及び吐出管路と比較して比較的小さく構成され得る。このことは、少なくとも1つの接続管路内に設けられる逆止弁を、吸込弁及び吐出弁と比較して著しく小さな通流横断面、及び相応に小さな直径を備えて構成することも可能にする。これにより、逆止弁は、その可動の弁体又は遮断体の小さな質量に基づいて、吸込弁及び吐出弁の閉弁時に迅速に反応することができ、これにより、本発明に係るダイヤフラム式ポンプが圧力差の移行領域において圧送しないか、又は圧送するにしても不十分にしか圧送しないことを防止する。逆止弁には、それぞれ1つの、隣接するポンプ室に通じる管路区分が配設されており、この管路区分が入口弁及び出口弁と比較して大幅に小さな内法の管路横断面を有するので、逆止弁と、隣接するポンプ室との間に残される有害な空間を、極めて低い到達真空の形成も可能であるほどに小さく維持することができる。それゆえ、本発明に係るダイヤフラム式ポンプは、比較的簡単な技術的手段によって、可及的小さな到達真空を可及的短い時間で発生させることを可能にする。
【0008】
この場合、逆止弁に、接続通路の、隣接するポンプ室に接続されるそれぞれ1つの管路区分が配設されており、この管路区分は入口弁及び出口弁と比較して、管路区分が入口弁及び出口弁に対してより小さな有害な空間を形成するように寸法設定されている態様が、有利である。
【0009】
逆止弁は、ポンピングプロセスの開始期において入口弁及び出口弁が作動し、逆止弁はポンピングプロセスの後続の期において、有利にはほぼ最適な切換点で作動するように寸法設定かつ/又は設計されていると特に有利である。
【0010】
初期の高い圧送出力時の吸込管路及び吐出管路内の流動損失を可及的僅かに維持するために、吸込管路及び/又は吐出管路が、少なくとも1つの接続管路と比較してより大きな内法の管路横断面を有すると有利である。
【0011】
接続管路を通流する僅かな圧送流に基づいて、スペース上の理由から、その管路横断面をより小さく構成することも有利である。
【0012】
なお、出口弁が、場合によっては少なくとも1つの消音器を介して、大気に向かって開放されているように形成されていることも可能である。このような態様では、出口弁を接続する吐出管路が省略される。
【0013】
接続管路内に設けられた逆止弁の反応時間を最適化するために、逆止弁がそれぞれ1つの弁ディスクを弁体又は遮断体として有しており、前記差圧の、直列の運転形式への切換を惹起する圧力範囲が、ディスク直径の確定及び/又は弁ディスクの質量の調整によって前選択可能又は確定可能であると有利である。
【0014】
弁を切り換えるために必要な可及的高い差圧が生じるように、後続のポンプ段に配設されたダイヤフラムが、ダイヤフラムの吸込運動及び吐出運動に関して互いにずらされてタイミング制御(getaktet)されていると有利である。
【0015】
この場合、本発明の有利な態様では、後続のポンプ段に配設されたダイヤフラムが、ダイヤフラムの吸込運動又は吐出運動に関して180°互いにずらされてタイミング制御されている。
【0016】
ポンプ段間の有害な空間は、各々の接続管路内に2つの逆止弁が接続されており、両逆止弁の一方が流入側に、他方が流出側に配置されているとさらに付加的に減じられる。
【0017】
本発明に係るダイヤフラム式ポンプは、2段の構成に限定されるものではなく、2つより多くのポンプ段を備え、特に3段又はより多段に構成されていてもよい。この場合、最初のポンプ段及び最後のポンプ段にそれぞれ少なくとも1つの入口弁、1つの出口弁及び1つの逆止弁が開口する、かつ/又は残りのあるいは中間のポンプ段にそれぞれ少なくとも1つの入口弁、1つの出口弁及び2つの逆止弁が開口すると、有利である。
【0018】
本発明のその他の態様は、請求の範囲及び図面から看取される。以下に、有利な実施の形態を参照しながら本発明についてさらに詳細な説明を加える。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】当初並列に作動する運転形式から、実質的に自動的に、直列に作動する運転形式に転換可能な複数のポンプ室を備える多段のダイヤフラム式サクションポンプの構成を概略的に示す図である。
【図2】本実施の形態では4段に形成されているダイヤフラム式サクションポンプをやはり概略的に示す図である。
【図3】単頭のダイヤフラム式ポンプと比較して、図1及び図2に示した多段のダイヤフラム式サクションポンプの圧送出力あるいは吸込能力を、達成される到達真空に関連付けて示す図である。
【図4】図1又は図2に示した多頭のダイヤフラム式サクションポンプの第1のポンプ段の、流体出口に設けられる吐出弁及び接続管路に配置される逆止弁の領域における縦断面図である。
【0020】
図1には、多段のダイヤフラム式サクションポンプ10が示されている。ダイヤフラム式サクションポンプ10は、少なくとも2つ、本実施の形態では特に3つのポンプ室H,H及びHを有する。ポンプ室H,H及びHは、それぞれ、少なくとも1つの入口弁SV1,SV2あるいはSV3を有する1つの流体入口と、少なくとも1つの出口弁DV1,DV2あるいはDV3を有する1つの流体出口とを有する。ダイヤフラム式サクションポンプ10は、ポンプ室H,H及びHの流体入口を接続する吸込管路Aと、流体出口を接続する吐出管路Bとを有する。相連なるポンプ室H,H,Hは、それぞれ、少なくとも1つの接続管路C1あるいはC2を介して、ダイヤフラム式サクションポンプ1が、吸込管路A内の所定の差圧の到達時、特に超過時に、ダイヤフラム式サクションポンプ1のポンプ室H,H及びHの並列に作動する運転から、これらのポンプ室H,H及びHの直列に作動する運転へと移行するように、互いに接続されている。
【0021】
図1には、それぞれ、相連なるポンプ室を互いに接続する接続管路C1及びC2が、吸込管路A及び吐出管路Bと比較して小さな内法の管路横断面を有することが概略的に示されている。さらに、図1からは、少なくとも1つの接続管路C1,C2内に、後続のポンプ段H,H及びHに向かって開弁する少なくとも1つの逆止弁が介装されていることが明らかである。図1に示すポンプ構成では、各々の接続管路C1及びC2内に、それぞれ2つの逆止弁RV1,RV2あるいはRV3,RV4が介装されており、これらの逆止弁RV1,RV2あるいはRV3,RV4のうち、一方が流入側に配置され、他方が流出側に配置されている。図1に示したダイヤフラム式サクションポンプ10は、後続のポンプ段H,H及びHを互いに接続する少なくとも1つの接続管路C1,C2内に、少なくとも1つの逆止弁RV1,RV2あるいはRV3,RV4を有する。これにより、有害な空間は、精々、接続管路C1あるいはC2の、逆止弁に至るまでに残される部分領域に限定される。少なくとも1つの逆止弁RV1,RV2あるいはRV3,RV4は接続管路C1あるいはC2内の絞りを不要にするので、湿潤蒸気を圧送する際の、出力を低下させる望ましくない凝縮液を形成しないように働く。接続管路C1及びC2が到達真空(Endvakuum)の領域で始めて有効となるので、かつ接続管路C1及びC2がこのポンピング期(Pumpphase)においては比較的小さな圧送量を実現するだけでよいので、これらの接続管路C1及びC2の内法の横断面を、吸込管路A及び吐出管路Bと比較して比較的小さく構成することができる。このことは、接続管路C1あるいはC2内に設けられる逆止弁RV1,RV2あるいはRV3,RV4を、吸込弁SV1,SV2,SV3及び吐出弁DV1,DV2,DV3と比較して著しく小さな通流横断面を備えて、及び相応に小さな直径を備えて構成することもできる。これにより、少なくとも1つの逆止弁は、その可動な弁体又は遮断体の小さな質量に基づいて、吸込弁及び吐出弁の閉弁時に、速やかに反応して、これにより、ダイヤフラム式ポンプ1が圧力差の移行領域において圧送しないか、不十分にのみ圧送することを防止する。それゆえ、ダイヤフラム式ポンプ10は、比較的簡単な技術的手段によって、可及的高い到達真空を可及的短い時間で形成することができる。
【0022】
ダイヤフラム式ポンプ10は、ポンプ室H,H及びHを互いに接続する接続管路C1及びC2内に、流入側にも流出側にも、逆止弁RV1,RV2あるいはRV3,RV4を有する。逆止弁RV1,RV2あるいはRV3,RV4は、これらのポンプ室の入口弁SV1,SV2,SV3及び出口弁DV1,DV2,DV3と比較して大幅に小さく寸法設定されている。これにより、これらの逆止弁RV1,RV2,RV3及びRV4の可動の弁体は、より小さな可動の質量を有し、かつこれに応じてより迅速に反応することができるので、並列の運転形式と直列の運転形式との間の最適な切換点への接近が大幅に促進される。加えて、逆止弁には、隣接するポンプ室H,HあるいはHに通じるそれぞれ1つの管路区分が配設されており、この管路区分は、入口弁及び出口弁と比較して大幅に小さな内法の管路横断面を有する。これにより、ポンプ室H,H及びHと、逆止弁のうちの1つRV1,RV2,RV3あるいはRV4との間に残される有害な空間を、比較的低い到達真空の発生も可能であるほどに、僅かに保つことができる。
【0023】
並列接続時、複数のヘッドは共に管路Aを介して吸い込み、共に管路Bを介して吐き出す。一段の圧縮時、到達真空領域に達すると、圧力差がB−DV1,B−DV2,A−SV2,A−SV3間に生じる。これにより、弁DV1,DV2,SV2及びSV3は、逆止弁として作業し、通流を閉鎖する。これにより、ヘッドは直列に接続されている。ガス流は、今や、A−SV1−RV1−C1−RV2−RV3−C2−RV4−DV3−Bを介してなされる。
【0024】
図1及び図2の比較から、ダイヤフラム式サクションポンプが2段又は3段に形成されているだけでなく、3以上のポンプ段を有していてもよいことは明らかである。図2には、4つのポンプ室H,H,H及びHを備える4段のダイヤフラム式サクションポンプが示されている。図2に示したダイヤフラム式サクションポンプ10のポンプ室H,H,H,Hも、それぞれ、少なくとも1つの入口弁SV1,SV2,SV3あるいはSV4を有する流体入口と、少なくとも1つの出口弁DV1,DV2,DV3あるいはDV4を有する流体出口とを備える。ポンプ室H,H,H,Hの流体入口が吸込管路Aを介して接続されている一方、ポンプヘッドH,H,HあるいはHの流体出口は、大気あるいは雰囲気に対して開放されて形成されているので、流体出口を接続する吐出管路Bは省略可能である。この場合、ポンプヘッドH,H,H,Hの流体出口がそれぞれ消音器もしくは騒音抑制装置Gを介して案内されると有利である。相連なるポンプ室H,H,H,Hは、それぞれ、接続管路C1,C2,C3を介して、図2に示したダイヤフラム式サクションポンプ10が、吸込管路内の所定の差圧の到達時、特に超過時に、ダイヤフラム式サクションポンプ1のポンプ室H,H,H,Hの並列に作動する運転から、これらのポンプ室H,H,H,Hの直列に作動する運転へ移行するように、互いに接続されている。相連なるポンプ室H,H,H,Hを互いに接続する接続管路C1,C2,C3内には、入口側にも出口側にも、それぞれ1つの逆止弁RV1,RV2,RV3,RV4,RV5,RV6が介装されている。
【0025】
図2には、破線により、ダイヤフラム式サクションポンプ10が4以上のポンプ室H,H,H,H,Hを有していてもよいことが示されている。
【0026】
図3には、図1及び図2に示したダイヤフラム式サクションポンプ10の圧送出力あるいは吸込能力が、達成される真空に関連して示されている。実線によって、単頭式のポンプの、達成可能な到達真空において制限される吸込能力が示されており、一点鎖線によって、並列接続されたポンプ室が、単頭式のポンプとは、達成可能な到達真空においてではなく、むしろ圧送出力の面で相違することが概略的に示されている。多頭式のダイヤフラム式サクションポンプのポンプ室が直列に接続されている場合、吸込能力は、単頭式のダイヤフラム式ポンプと比肩できるが、直列に接続されたポンプ室は、明らかに低い到達真空を達成することができる(図3の破線参照)。
【0027】
図1及び図2に示したダイヤフラム式ポンプは、ポンピングプロセスの開始期においては、並列に接続されたダイヤフラムヘッドの曲線経過(一点鎖線)に従い、逆止弁の弁大きさ及び弁質量の設計によって制御可能な最適な切換点OSにおいて、直列に接続されたダイヤフラム式サクションポンプの曲線経過に移行する。図1及び図2に示したダイヤフラム式サクションポンプ10は、最短時間で可及的低い到達真空を達成する点で優れている。
【0028】
図4には、図1又は図2と比肩できる多頭式のダイヤフラム式サクションポンプの第1のポンプ段Hが示されている。断面の外に配置されている流体入口が図示されていないのに対して、流体出口内に介装される出口弁DV1及び接続管路C1に設けられる逆止弁RV1は、良好に見て取ることができる。弁DV1及びRV1の比較から、本実施の形態では接続管路C1の流入領域に設けられる逆止弁RV1が、ポンプ室の入口弁及び出口弁と比較して小さく形成されており、かつこの逆止弁RV1に、接続管路C1の、隣接したポンプ室Hに向かって開放された管路区分Lが、入口弁及び出口弁と比較して小さな内法の管路横断面を備えて配設されていることが明らかである。接続管路C1が最適な切換点の領域において始めて有効となるので、かつ接続管路C1がこのポンピング期において比較的小さな圧送量を実現するだけでよいので、この接続管路C1の内法の横断面は、吸込管路及び吐出管路と比較して比較的小さく構成され得る。このことは、とりわけ、接続管路C1内に設けられる逆止弁RV1を、吸込弁及び吐出弁と比較して著しく小さな通流横断面、及び相応に小さな直径を備えて構成することも可能にする。これにより、しかし、逆止弁RV1も、そのディスク状の弁体又は遮断体の小さな質量に基づいて、吸込弁及び吐出弁の閉弁時に迅速に反応することができる。管路区分Lが入口弁及び出口弁と比較して大幅に小さな内法の管路横断面を有するので、逆止弁RV1と、隣接するポンプ室Hとの間に残される有害な空間を、著しく低い到達真空の形成も可能であるほどに僅かに維持することができる。隣接するポンプ室Hに通じる管路区分Lが、比較的小さな内法の管路横断面を有する一方、逆止弁RV1とRV2との間に設けられる管路区分Lは、場合によってはより大きな管路横断面を有していてもよい。
【0029】
図4に示した実施の形態では、管路区分L及びLは、比肩できる内法の管路横断面を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多段のダイヤフラム式サクションポンプであって、少なくとも2つのポンプ室を備え、該ポンプ室がそれぞれ、少なくとも1つの入口弁を有する流体入口と、少なくとも1つの出口弁を有する流体出口とを有しており、さらに、複数の前記ポンプ室の前記流体入口を接続する吸込管路を備え、相連なるポンプ室はそれぞれ少なくとも1つの接続管路を介して、当該ダイヤフラム式ポンプが前記吸込管路内の所定の差圧の達成/超過時に前記ポンプ室の並列に作動する運転から前記ポンプ室の少なくとも直列にも作動する運転へと移行するように互いに接続されており、前記少なくとも1つの接続管路の流入領域及び流出領域において、それぞれ、後続のポンプ段に向かって開弁する少なくとも1つの逆止弁が接続されている形式のものにおいて、前記接続管路の前記流入領域及び前記流出領域に設けられた逆止弁が、前記ポンプ室の前記入口弁及び前記出口弁と比較して小さく形成されており、かつ該逆止弁に、前記接続管路の、隣接するポンプ室に向かって開放されたそれぞれ1つの管路区分が、前記入口弁及び前記出口弁と比較して小さな内法の管路横断面を備えて配設されていることを特徴とする、多段のダイヤフラム式サクションポンプ。
【請求項2】
前記逆止弁は、ポンピングプロセスの開始期において前記入口弁及び前記出口弁が作動し、該逆止弁は前記ポンピングプロセスの後続の期において、有利にはほぼ最適な切換点で作動するように寸法設定かつ/又は設計されている、請求項1記載のダイヤフラム式サクションポンプ。
【請求項3】
前記逆止弁に、接続通路の、隣接するポンプ室に接続されるそれぞれ1つの管路区分が配設されており、該管路区分は前記入口弁及び前記出口弁と比較して、該管路区分が前記入口弁及び前記出口弁に対してより小さな有害な空間を形成するように寸法設定されている、請求項1又は2記載のダイヤフラム式サクションポンプ。
【請求項4】
前記吸込管路及び/又は吐出管路が、前記少なくとも1つの接続管路と比較してより大きな内法の管路横断面を有する、請求項1から3までのいずれか1項記載のダイヤフラム式サクションポンプ。
【請求項5】
前記出口弁が、場合によっては消音器を介して、大気に向かって開放されているように形成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載のダイヤフラム式サクションポンプ。
【請求項6】
前記逆止弁がそれぞれ1つの弁ディスクを弁体又は遮断体として有しており、前記差圧の、直列の運転形式への切換を惹起する圧力範囲が、ディスク直径の確定及び/又は該弁ディスクの質量の調整によって前選択可能又は確定可能である、請求項1から5までのいずれか1項記載のダイヤフラム式サクションポンプ。
【請求項7】
後続のポンプ段に配設されたダイヤフラムが、該ダイヤフラムの吸込運動及び吐出運動に関して互いにずらされてタイミング制御されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のダイヤフラム式サクションポンプ。
【請求項8】
後続のポンプ段に配設されたダイヤフラムが、該ダイヤフラムの吸込運動及び吐出運動に関して180°互いにずらされてタイミング制御されている、請求項1から7までのいずれか1項記載のダイヤフラム式サクションポンプ。
【請求項9】
当該ダイヤフラム式サクションポンプの最初のポンプ段及び最後のポンプ段にそれぞれ少なくとも1つの入口弁、1つの出口弁及び1つの逆止弁が開口する、かつ/又は残りのあるいは中間のポンプ段にそれぞれ少なくとも1つの入口弁、1つの出口弁及び2つの逆止弁が開口する、請求項1から8までのいずれか1項記載のダイヤフラム式サクションポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−505515(P2011−505515A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535264(P2010−535264)
【出願日】平成20年11月11日(2008.11.11)
【国際出願番号】PCT/EP2008/009493
【国際公開番号】WO2009/068180
【国際公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【出願人】(591049066)カー エヌ エフ ノイベルガー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (5)
【氏名又は名称原語表記】KNF Neuberger GmbH
【住所又は居所原語表記】Alter Weg 3, D−79112 Freiburg−Munzingen, Germany
【Fターム(参考)】