多波長光源
【課題】OSNRを維持しつつ、多数の波長の連続光を生成することのできる多波長光源を提供する。
【解決手段】多波長光源は、単一周波数あるいは複数の周波数の連続光を出力する種光源発生部からの光を光周回部に入力させ、種光源発生部からの種光に周波数同期した複数の周波数の光を生成する。光周回部には、光の周波数をシフトする光周波数シフタが設けられ、光周波数シフタの出力を入力側に戻す周回路を持つ。周回路には、周波数単位ごとに、光減衰量を調整可能な光スペクトル成形器が設けられ、光減衰量を調整することにより、光周回部から出力される光周波数の数等を変える。種光源発生部、光周波数シフタ、光スペクトル成形器は、生成すべきキャリア数、キャリア配置、キャリア周波数間隔の情報を取得する信号生成制御部によって制御される。
【解決手段】多波長光源は、単一周波数あるいは複数の周波数の連続光を出力する種光源発生部からの光を光周回部に入力させ、種光源発生部からの種光に周波数同期した複数の周波数の光を生成する。光周回部には、光の周波数をシフトする光周波数シフタが設けられ、光周波数シフタの出力を入力側に戻す周回路を持つ。周回路には、周波数単位ごとに、光減衰量を調整可能な光スペクトル成形器が設けられ、光減衰量を調整することにより、光周回部から出力される光周波数の数等を変える。種光源発生部、光周波数シフタ、光スペクトル成形器は、生成すべきキャリア数、キャリア配置、キャリア周波数間隔の情報を取得する信号生成制御部によって制御される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の実施形態は、複数の波長の信号光を生成する多波長光源に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットや携帯電話の普及による通信容量の増大にともない、幹線系光通信システムの大容量化が必要とされており、1波長当たりの通信容量が40Gbit/sまたは100Gbit/sを超える光送受信器の研究開発が行われている。
【0003】
しかし、1波長当たりの伝送容量を大きくすると、光信号対雑音比(OSNR:Optical Signal to Noise Ratio)の低下や、伝送路の波長分散、偏波モード分散、非線形効果等による波形歪みのため、伝送信号の品質劣化が大きくなる。
【0004】
このため、40Gbit/sを超える光通信システムでは、OSNR耐力及び伝送路の波形歪み耐力があるデジタルコヒーレント受信方式が注目されている。
従来の受信方式では、光強度のON/OFFを2値信号に割り当てて直接検波する(OOK;On-Off Keying)。これに対して、デジタルコヒーレント受信方式では、光強度と位相情報をコヒーレント受信システムにより抽出し、抽出された光強度と位相の情報をアナログ/デジタル変換器(ADC)により量子化することで、デジタル信号処理回路にて復調を行う。
【0005】
デジタルコヒーレント受信方式は、コヒーレント受信方式によるOSNR耐力の改善と、デジタル信号処理回路による波形歪みの補償が可能なため、1波長当たりの通信容量が大きい場合でも伝送信号の品質劣化を抑圧することができる。また、デジタル信号処理回路により波形歪みの補償が可能となるため、ネットワークの構成変更などによる経路変更にも比較的柔軟に対応することが可能となる。
【0006】
さらに、デジタルコヒーレント受信方式は、1シンボルで多ビットの情報を送信可能な変調方式と組み合わせ、周波数効率の高い伝送システムを構築することができる。このような変調方式としては、QPSK(4値位相変調方式)、8PSK、16QAM、256QAMなどのように位相情報や強度情報を多値化する多値変調方式や、直交する偏波に異なる情報を多重する偏波多重方式、1波長グリッド内に高密度多重された複数の周波数(サブキャリア)に異なる情報を多重するマルチキャリア多重方式等が知られている。特に、マルチキャリア多重方式の中でも、直交周波数分割多重 (OFDM: Orthogonal Frequency Division Multiplexing) 方式が将来の光通信方式として有力視されている。
【0007】
OFDM信号を生成するためには、光の周波数が同期した複数の光が必要となる。なお、以下の説明においては、光の周波数と波長は相互に一対一に対応し、それぞれはキャリアとなるので、光の周波数といったり、光の波長、キャリアということがある。
【0008】
更に、OFDMのキャリア数(即ち、1つのOFDM信号あたりのトータルビットレート)はネットワークのトラフィックに応じて可変できることが望ましい。
【0009】
図1は、従来の多波長光源の例を説明する図である。
図1(a)の多波長光源においては、光SSB(Single Side-Band)変調装置10、光増幅器11、12、光フィルタ13、光合波器(光カプラ)14、光分波器(光カプラ)16からなる光周回部に、レーザダイオード15からの中心周波数 f0の連続光を入力する。光SSB変調装置10の光SSB変調器には、駆動信号として、周波数Δfの周期波と、これをπ/2だけ移相した周期波とが入力される。
【0010】
光SSB変調装置10を通過することによって入力光はΔfだけ周波数が高周波数側にシフトし、中心周波数がf1-=f0+Δfとなる。その一部分は出力され(図1(b)の0周回出力)、残りの一部分は光周回部内を伝搬し、光フィルタ13および光増幅器12を通過し、再度光SSB変調装置10に入力される。
【0011】
中心周波数f1の連続光は、光SSB変調装置10の光SSB変調器を通ることにより、Δf周波数シフトし中心周波数f2となる。同様に、一部分は出力され(図1(b)の1周回出力) 、残りの一部分は光周回部内を伝搬する。以下これを繰り返し、5周回出力でf1からf6までの多波長連続光を得ることができる。図1(a)の例では、光周回部内にある光フィルタ13の透過帯域がf1からf5までを透過するものとなっているので、f7以降の光は発生しない。
【0012】
以上のように、光SSB変調装置10は、入力された連続光の周波数をシフトするものなので、光周波数シフタとも呼ぶ。逆に、光周波数シフタは、入力された連続光の周波数をシフトすることが出来るものであれば、光SSB変調器を使ったものには限定されない。
【0013】
以上のような、光SSB変調装置10と光周回部からなる多波長光源では、その生成波長数が増大すると、周回数の多い波長の光信号対雑音比(OSNR:Optical Signal to Noise Ratio)が劣化する。
【0014】
図2は、OSNRの劣化について説明する図である。
図2には、横軸を生成キャリア数、縦軸を各キャリアのOSNRとして、生成キャリア数の増大と共に、各キャリアのOSNRがどのように変化するかを示したグラフである。生成キャリア数が1の場合には、キャリアのOSNRは、50dB以上あるが、生成キャリア数が8となると、各キャリアのOSNRは、40dBまで落ちている。更に、生成キャリア数が9、10と増えると、更に、各キャリアのOSNRが下がることが示されている。
【0015】
図3は、多数の波長を通信に使う場合に、従来必要とされた構成について説明する図である。
図2にもあるように、従来の多波長光源では、各キャリアのOSNRの問題から、1つの光源で生成できる波長数は、せいぜい8個程度である。したがって、数十波や数百波を多重するような光通信システムでは、図3に示すように、図1のような多波長光源を多数設ける必要が生じる。しかし、このようにすると、光源の数が増加し、通信システムとしてのコストも大きくなってしまう。
【0016】
更に、従来技術には、多波長同時発振のファイバリング共振器型光源や、多波長光源の波長安定性を確保するための波長管理装置や、一定の周波数間隔を有する多波長連続光を同時に供給可能な多波長光源等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開平10−93164号公報
【特許文献2】特開2000−47278号公報
【特許文献3】特開2005−77584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
以下の実施形態においては、OSNRを維持しつつ、多数の波長の連続光を生成することのできる多波長光源を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
以下の実施形態の一側面による多波長光源は、入力された光の周波数を、設定された周波数幅だけシフトする光周波数シフタと、複数の異なる周波数の光を該光周波数シフタに入力させる種光源発生部と、該光周波数シフタの出力を該光周波数シフタの入力側に周回させる周回路と、該光周波数シフタの出力する各周波数の光について個別に減衰量を設定可能で、設定された周波数の光のみを透過させる光スペクトル成形器と、設定されたキャリア数、キャリア配置、キャリア周波数間隔に基づいて、該種光源発生部の出力周波数、該種光源発生部の出力する各光の出力パワー、該光周波数シフタの該周波数幅、該光スペクトル成形器の減衰量を制御する制御部とを備える。
【発明の効果】
【0020】
以下の実施形態によれば、OSNRを維持しつつ、多数の波長の連続光を生成することのできる多波長光源が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】従来の多波長光源の例を説明する図である。
【図2】OSNRの劣化について説明する図である。
【図3】多数の波長を通信に使う場合に、従来必要とされた構成について説明する図である。
【図4】本実施形態の構成を説明する図である。
【図5】図4の多波長光源の動作を説明する図である。
【図6】本実施形態の制御処理の流れを示すフローチャート(その1)である。
【図7】本実施形態の制御処理の流れを示すフローチャート(その2)である。
【図8】本実施形態の制御処理の流れを示すフローチャート(その3)である。
【図9】本実施形態の制御処理の流れを示すフローチャート(その4)である。
【図10】本実施形態の多波長光源の出力端OSNR及び出力パワーの導出について説明する図である。
【図11】本実施形態の第2の構成例を示す図(その1)である。
【図12】本実施形態の第2の構成例を示す図(その2)である。
【図13】本実施形態の第2の構成例を示す図(その3)である。
【図14】本実施形態の第3の構成例を示す図である。
【図15】本実施形態の第4の構成例を説明する図(その1)である。
【図16】本実施形態の第4の構成例を説明する図(その2)である。
【図17】本実施形態の第5の構成例を説明する図である。
【図18】本実施形態の第6の構成例を説明する図である。
【図19】本実施形態の第7の構成例を説明する図である。
【図20】本実施形態の第8の構成例を説明する図である。
【図21】本実施形態の第9の構成例を説明する図である。
【図22】本実施形態の第10の構成例を説明する図(その1)である。
【図23】本実施形態の第10の構成例を説明する図(その2)である。
【図24】種光源発生部の構成例を示す図(その1)である。
【図25】種光源発生部の構成例を示す図(その2)である。
【図26】種光源発生部の構成例を示す図(その3)である。
【図27】種光源発生部の構成例を示す図(その4)である。
【図28】種光源発生部の構成例を示す図(その5)である。
【図29】本実施形態の多波長光源を用いた光送信器の図である。
【図30】本実施形態を適用した光通信システムの図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図4は、本実施形態の構成を説明する図である。
図4において、図1と同じ構成要素には同じ参照符号を付し、それらの説明を省略する。
【0023】
本実施形態の多波長光源では、単一波長(周波数)の連続光を出力、もしくは、異なる波長(周波数)の連続光を複数出力する種光源発生部20と、複数の周波数の連続光を生成する光周回部21と、光周回部21内に設けられ、周波数単位毎に光減衰量が設定可能な光スペクトル成形器22と、ネットワーク制御装置から要求されたキャリア数、キャリア周波数配置、キャリア周波数間隔に応じて、種光源発生部20が発生する光の周波数, 光周波数シフタ10の周波数シフト量、光スペクトル成形器22の透過周波数及び減衰量を制御する信号生成制御部23とを備える。
【0024】
以上の構成により、所望のOSNRを満足しながら、キャリア数、キャリア配置、キャリア間隔を変えることができると共に、後述するように必要な多波長光源数を削減することが出来る多波長光源を構成することができる。
【0025】
図5は、図4の多波長光源の動作を説明する図である。
図5において、図4と同じ構成要素には同じ参照符号を付す。
種光源発生部20より光周波数f0,f3,f8の光を出力する。なお、この種光源発生部20からの連続光を種光と呼ぶ。光スペクトル成形器22をf1,f4-f6,f9-f10が透過するように設定することにより、光周波数f1-f2,f4-f7, f9-f11 の多波長光を得ることができる。すなわち、光スペクトル生成器22は、光周波数f1、f4-f6、f9-f10のみを透過させる。光周波数f0の連続光が光周波数シフトされて光周波数f1の連続光となり、これが、さらに光周波数シフトされて光周波数f2の連続光となる。光周波数f2は、光スペクトル成形器22を透過できないので、光周波数f3は出力されない。同様に、種光源発生部20からの光周波数f3の連続光からは、光周波数f4−f7の連続光が生成される。光周波数f7の連続光が光スペクトル生成器22を透過できないので、光周波数f8は、出力されない。種光源発生部20からの光周波数f8の連続光からは、光周波数f9−f11の連続光が生成される。光周波数f11の連続光は、光スペクトル生成器22を透過できないので、これ以上の周波数の光は生成されない。
【0026】
以上の構成によると、種光源発生部20からの複数の光周波数の種光から多くの光周波数の連続光を生成しており、1つの光周波数の種光からは比較的数が少ない、周波数シフトされた連続光が生成される。したがって、1つの光周波数の連続光から多くの周波数シフトされた連続光を生成することにより生じる、光周回部21の周回回数が多い連続光のOSNRが悪くなるということを避けることができる。
【0027】
また、種光源発生部20が1台で複数の光周波数の異なる連続光を出力するので、多くの光周波数の連続光を発生するのに、光源を多く用意する必要が無い。
なお、上記の例では、光周波数シフタ10は、高周波側に光周波数をシフトする変調部構成を示したが、低周波側に光周波数をシフトする構成でも構わない。
【0028】
高周波側に光周波数をシフトする場合には、発生させるキャリア群の一番低い周波数から周波数シフト量を引いた周波数の連続光を種光源発生部20に発光させる。低周波数側にシフトする場合には、キャリア群の中で一番高い周波数に周波数シフト量を足した周波数の連続光を種光源発生部20に発光させる。
【0029】
光スペクトル成形器22は、1:Nの光波長選択スイッチ、波長プロセッサ等で構成可能である(N:1以上の整数、 N=9程度は現在製品化されている)。入力された光(多波長)を任意のポートへ出力できる光波長選択スイッチについては、以下の文献を参照されたい。
G. Baxter, et al., “Highly programmable Wavelength Selective Switch
based on Liquid Crystal on Silicon switching elements,” OFC2006, OTuF2, 2006
また、波長プロセッサについては以下の文献を参照されたい。
Y. Sakurai, et al., “LCOS-Based 4x4 Wavelength Cross-Connect Switch For Flexible Channel Management in ROADMs,” OFC2011, OTuM4, 2011
また、光周波数シフタ/光SSB変調器については、以下の文献を参照されたい。
M. Izutsu, S. Shikama, and T. Sueta, “Integrated optical SSB modulator/frequency shifter,” IEEE J. Quantum Electron., vol. QE-17, pp.2225-2227, Nov. 1981
B. Desormiere, C. Maerfeld, and J. Desbois, “An integrated optic frequency translator for microwave lightwave systems,” J. Lightwave Technol., vol. 8, pp. 506-513, Apr. 1990.
K. Shibuya, S. Hisatake, and T. Kobayashi, “10-GHz-Order High-Efficiency Electrooptic Frequency Shifter Using Slant-Periodic Domain Inversion,” Photon. Technol. Lett, vol. 16, pp. 1939-1941, Aug. 2004.
【0030】
図6〜図9は、本実施形態の制御処理の流れを示すフローチャートである。
図6は、光増幅器の出力を徐々に立ち上げる場合の制御フローチャートである。
まず、ステップS10において、信号生成制御部がネットワーク制御装置(不図示)から、キャリア数、キャリア周波数配置、キャリア周波数間隔に関する情報を受信する。ステップS11において、信号生成制御部が、受信した情報に基づいて、光スペクトル成形器の減衰量、光周波数シフタの周波数シフト量、及び、種光源発生部の種光の数、種光の波長等を設定する。ステップS12において、種光を光周回部に入力し、ステップS13において、光周回部内の光増幅器の出力を徐々に増加させ、決められた出力値で停止させる。ここで、ステップS13の光増幅器の出力を徐々に増加させるのは、急に強い光強度の連続光が出力されると、本実施形態の多波長光源に接続される、後段の装置において高強度のサージが発生し、装置を故障させてしまう可能性があるからである。
【0031】
ステップS12において、本実施形態の場合、種光源発生部が発生する種光の数は、キャリア群の数と同じになる。本実施形態におけるキャリア群とはキャリアの集まりのことで、生成すべきキャリアのうち、高周波側および低周波側にキャリア周波数間隔が、図5で周波数fを横軸としてΔfを間隔とする目盛りを持つ光周波数グリッド上において二つ以上離れている場合に、隣り合った周波数を持つキャリアを一つの群として見なす。ただし、最も低周波数のキャリアを含む場合には、光周波数グリッド上において、高周波側のみにキャリア周波数間隔で二つ以上と離れている場合に一つの群と見なす。また、最も高周波数のキャリアを含む場合には低周波側のみにキャリア周波数間隔で二つ以上離れている場合に一つの群と見なす。
【0032】
光周波数シフタが高周波側にΔfhighだけ光周波数シフトする場合、それぞれのキャリア群の中で最も低いキャリア周波数からΔfhighだけ引いた光周波数を、それぞれのキャリア群の種光の周波数とする。また、光スペクトル成形器は、それぞれのキャリア群の最も高い周波数は透過しないように設定するが、それら以外の生成すべきキャリア周波数は透過するように設定する。
【0033】
光周波数シフタが低周波数側にΔflowだけ光周波数シフトする場合、それぞれのキャリア群の中で最も高いキャリア周波数にΔflowだけ足した光周波数を、それぞれのキャリア群の種光の周波数とする。また、光スペクトル成形器は、それぞれのキャリア群の最も低い周波数は透過しないように設定するが、それら以外の生成すべきキャリア周波数は透過するように設定する。
【0034】
図7は、種光の出力パワーを徐々に立ち上げる場合の処理のフローチャートである。
ステップS15において、信号生成制御部がネットワーク制御装置(不図示)からキャリア数、キャリア周波数配置、キャリア周波数間隔に関する情報を受信する。ステップS16において、信号生成制御部が、受信した情報に基づいて、光スペクトル成形器の減衰量、光周波数シフタの周波数シフト量、及び、種光源発生部の種光の数、それらの波長を設定する。ステップS17において、光周回部内の光増幅器を予め設定された設定値の利得で動作させる。ステップS18において、種光の出力パワーを徐々に増加させ、予め設定された設定値で停止する。ここでも、本実施形態の多波長光源の後段の装置内でサージが発生しないように、種光の出力パワーを徐々に増加させる。
【0035】
図8は、光増幅器の出力を徐々に立ち上げる場合の別の処理のフローチャートである。
ステップS20において、信号生成制御部がネットワーク制御装置(不図示)からキャリア数、キャリア周波数位置、キャリア周波数間隔に関する情報を受信する。ステップS21において、信号生成制御部は、受信した情報に基づいて、光周波数シフタの周波数シフト量、及び、種光源発生部の種光の数、それらの波長を設定する。ステップS22において、信号生成制御部は、受信した情報、及び、後述の式(26)、(27)に基づいて、光スペクトル成形器の減衰量を設定する。ステップS23において、種光を光周回部に入力し、ステップS24において、光周回部内の光増幅器の出力を徐々に増加させ、決められた出力値で停止させる。ここでも、光増幅器の出力を徐々に増加させ、後段の装置におけるサージの発生を防止する。
【0036】
ステップS22においては、光スペクトル成形器の透過帯域設定に追加して、後述の式(26), (27)を満たすように、光スペクトル成形器の減衰量を設定することにより出力パワーを一定にすることができる。
【0037】
図9は、種光の出力パワーを徐々に立ち上げる場合の別の処理のフローチャートである。
ステップS30において、信号生成制御部がネットワーク制御装置(不図示)からキャリア数、キャリア周波数配置、キャリア周波数間隔に関する情報を受信する。ステップS31において、信号生成制御部は、受信した情報に基づいて、光周波数シフタの周波数シフト量、及び、種光源発生部の種光の数、それらの波長を設定する。ステップS32において、受信した情報、及び、後述の式(26)、(27)に基づいて、光スペクトル成形器の減衰量を設定する。ステップS33において、光周回部内の光増幅器を設定値で動作させ、ステップS34において、種光の出力パワーを徐々に増加させ、設定値で停止する。ここでも、後段の装置においてサージが起こらないように、種光の出力パワーを徐々に増加する。
【0038】
図10は、本実施形態の多波長光源の出力端OSNR及び出力パワーの導出について説明する図である。
ここでは、図8、9の式(26)、(27)を導出する。図10は、Pin1_fx、Pin2_fx、P0が、多波長光源内のどの部分の光強度であるか、及び、どの部分の光カプラ1、2の損失であるかを示している。
【0039】
光周波数f0、光パワーP0の種光を光周回部に入力する。理想的な光周波数シフタを仮定する。ここでは、光周波数シフタは、入力された光の周波数をΔfだけ高周波側にシフトさせるとする。このとき、光周波数シフタを1回通過した周波数f1(=f0 + Δf)の光信号のOSNR (FinalOSNR1)、および、出力パワー Pf1は、以下の式で与えられる。
FinalOSNR1=OSNRLOOP1=P0α1/(NF(f1)1hf1Δf)・(1)
Pf1=P0α1G(f1)α2・・・(2)
【0040】
次に、1回だけ周回し、2回光周波数シフタ(光SSB変調器)を通過した周波数f2(=f1+Δf)の光信号のOSNRおよび出力パワーPf2は、以下の式で与えられる。
FinalOSNR2=(OSNRLOOP1−1+OSNRLOOP2−1)−1・・・(3)
Pf2=P0α1G(f1)1α3ATTf1G(f1)2α4G(f2)1α2・・・(4)
ここでOSNRLOOP1は以下の式で表される。
OSNRLOOP1=((Pin1_f2/(NF(f2)1hf2Δf))−1+
(Pin2_f1/(NF(f1)2hf1Δf))−1)−1・・・(5)
ここで、
Pin2_f1=P0α1G(f1)1α3ATTf1・・・(6):周波数f1を持った光の光増幅器2への入力パワー
Pin1_f2=P0α1G(f1)1α3ATTf1G(f1)2α4・・・(7):周波数f2を持った光の光増幅器1への入力パワー
NF(f)k:光増幅器kの周波数fにおける雑音指数
h:プランク定数
Δf:測定帯域幅
G(fj)k:光増幅器kの周波数fjにおける利得
ATTfj:光スペクトル成形器の周波数fjにおける減衰量
α1:光カプラ1(図10の(2)−>(1)の方向)の損失+光SSB変調器挿入損失+変調損失
α2:光カプラ2(図10の(1)−>(2)の方向)の損失
α3:光カプラ2(図10の(1)−>(3)の方向)の損失
α4:光カプラ1(図10の(3)−>(1)の方向)の損失+光SSB変調器挿入損失+変調損失
である。
【0041】
よって、光周波数f1の光信号のOSNRと、光周波数f2, f3, …の光信号のOSNRおよび出力パワーは以下のようになる。
・光周波数f1
FinalOSNR1=OSNRLOOP1=P0α1/(NF(f1)1hf1Δf)・・(8)
Pf1=P0α1G(f1)1α2・・・(9)
・光周波数 f2, f3, f4 …
【数1】
【0042】
なお、上式中のパラメータは以下の通りである。
【数2】
【0043】
中心周波数がfNの光の光増幅器1への入力パワーは
【数3】
となる。また、中心周波数がfNの光の光増幅器2への入力パワーは、
【数4】
【0044】
中心周波数がfNの光の光周回部出力パワーは、
PfN=G(fN)1α2Pin1_fN N=1,2,3・・・ ・・・(24)
多波長光源で生成される各波長光の出力パワーが一定となる条件は、式 (9), (11)より
【数5】
【0045】
式(25)は、以下のようにまとめることができる。
【数6】
【0046】
以上の式(26)、(27)を満たすように、P0、G(fx)、ATTfxの値を求め、これにしたがって、種光源発生部の出力パワー、光増幅器の利得、光スペクトル成形器の減衰量を制御することにより、出力パワーが複数の周波数にわたって一定な多波長の種光を得ることができる。
【0047】
図11〜図13は、本実施形態の第2の構成例を示す図である。
図11において、図4と同じ構成要素には同じ参照符号を付し、それらの説明を省略する。
【0048】
周波数同期可能な種光源発生部(図13参照)20aより光周波数f0,f5の連続光を出力する。光スペクトル成形器22を、光周波数f1-f4,f6-f9が透過できるように設定することにより、光周波数が同期した、周波数f1-f10 の多波長光を得ることができる。光周波数が異なる連続光を生成する種光源発生部として、各周波数の種光が周波数同期していないものを使用する場合には、各周波数の種光に周波数同期した周回光を生成することは出来るが、周波数の異なる種光から生成された周回光同士は周波数同期しないものとなる。一方、種光源発生部20aが複数の周波数の種光を出力する際、種光の各周波数の連続光が互いに周波数同期していると、光周回部21で生成されるその他の周波数の光は、種光に周波数同期して生成されるので、すべての周波数の光についても周波数同期された光が得られる。
【0049】
図12は、図11の構成において、横軸を生成キャリア数、縦軸を各キャリアのOSNRとして、OSNR特性を従来技術と本構成例について示したグラフである。従来の技術では、生成キャリア数が8のときに、OSNRが40dBとなっているが、本構成例の場合、生成キャリア数が10のとき、OSNRが同程度となっている。したがって、本構成例を用いた場合の方が、多くの周波数同期したキャリアを生成することが出来ることが分かる。
【0050】
図13は、周波数同期した複数の種光を発生する種光源発生部の構成例を示す図である。
光源30は、周波数グリッド上で、発生したい周波数f5に対し、周波数f0から見てf5−f0=Δfsだけ周波数が低い周波数f−5の光を光周回部37に入力する。光周回部37は、図11の光周回部21と同様な構成となっており、光カプラ31、34、光周波数シフタ32、光増幅器33、36、光スペクトル成形器35からなっている。光周波数シフタ32でΔfs(=f0-f−5)の光周波数シフトを発生させる。光スペクトル成形器35ではf0のみを透過させるように設定する。以上により、出力として、周波数同期した周波数f0とf5の種光が生成される。光源30の発生周波数、光スペクトル成形器35の透過周波数、光周波数シフタの周波数シフト量は、信号生成制御部からの信号によって制御される。
【0051】
図14は、本実施形態の第3の構成例を示す図である。
図14において、図11と同じ構成要素には同じ参照符号を付し、それらの説明を省略する。
【0052】
図11の構成例と同様に、周波数同期可能な種光源発生部20aより光周波数f0、f5の光を出力する。光スペクトル成形器22が光周波数f1-f3、f6-f8を透過するように設定することにより、光周波数が同期した、光周波数f1-f4、f6-f9 の多波長光を得ることができる。図11の構成例では、光周波数f1−f10の光を発生したが、本構成例では、光周波数f5、f10を発生しない。これらの光周波数の光を発生しないことにより、周波数が隣り合ったキャリア群を2つ作り、その間にガードバンドを設けたものとなる。例えば、光周波数f1-f4、と光周波数f6-f9の光で、適用される信号光の変調方式が異なる場合、これらのキャリア群同士で干渉が起こり、信号劣化が起こってしまう。したがって、このような場合、変調方式の異なるキャリア群の間には、信号光の無い光周波数すなわち、ガードバンドを設けるようにする。
【0053】
図14の構成例によれば、このようなガードバンドを設ける操作も、光スペクトル生成器22の透過帯域を制御することによって行なうことができる。しかも、種光源発生部20aは、2つのキャリア群を生成するための、2つの周波数の光を周波数同期させて生成するので、2つのキャリア群同士は、やはり周波数同期することになる。
【0054】
図15及び図16は、本実施形態の第4の構成例を説明する図である。
図15において、図11と同じ構成要素には同じ参照符号を付し、それらの説明を省略する。
【0055】
光周回部21の出力光を光カプラ40で分岐し、光分波器41で各キャリアを分波する。そして、パワーモニタ42−1〜42−9で各発生キャリアのパワーをモニタする。モニタされた各キャリアのパワーは、出力パワー情報収集部43において、各周波数のパワーに関する情報として集められ、各周波数の光のパワーが平坦になるようなスペクトル成形器22の減衰量を算出する。算出した結果を信号生成制御部23に通知し、信号生成制御部23から光スペクトル成形器22に各周波数の減衰量を設定する指示を行い、各周波数の光のパワーが平坦になるようにする。
【0056】
これにより、光周波数シフタ10における残留成分の発生、光増幅器利得の波長依存性等、各コンポーネントの不完全から生じる出力光のパワー不均一性を改善することができる。
【0057】
光スペクトル生成器22の減衰量の算出は、例えば、以下のようにして行なう。
すなわち、モニタした複数の生成キャリアのトータルパワーをもとめ、その値を生成したキャリアの総数で割り、ターゲットパワー(Ptarget)とする。
【数7】
各キャリアのパワーモニタ値PMON_kとPtargetとの差分をΔATTとする。以下の式に示されるように、現在の減衰量 ATTnow_kにΔATTを足したものを更新値ATTnext_kとして、光スペクトル成形器22の減衰量を制御する。
ΔATTk[dB]=PMON_k[dB]−Ptarget[dB]
ATTnext_k[dB]=ATTnow_k[dB]+ΔATTk[dB]
ΔATTk:Ptargetと各キャリアのパワーモニタ値PMON_kとの差分ターゲットパワー
ATTnow_k:周波数kにおける減衰量の現在値
ATTnext_k:周波数kにおける減衰量の更新値
【0058】
図16は、図15の構成例における動作を示すフローチャートである。
ステップS40において、信号生成制御部がネットワーク制御装置(不図示)からキャリア数、キャリア周波数配置、キャリア周波数間隔に関する情報を受信する。ステップS41において、信号生成制御部は、受信した情報に基づいて、光スペクトル成形器の減衰量、光周波数シフタの周波数シフト量、及び、種光源発生部の種光の数、それらの波長を設定する。ステップS42において、種光を光周回部に入力する。ステップS43において、光周回部内の光増幅器の出力を徐々に増加させ、決められた出力値で停止させる。
【0059】
ステップS44において、周波数ごとに出力パワーをモニタする。ステップS45において、ΔATTkを出力パワー情報収集部で演算する。ステップS46において、ΔATTkが設定値以下か否かを判断する。これは、減衰量が余り変わらない場合には、処理をスキップするための判断である。設定値は、各周波数の光のパワーの偏差が許容範囲内にあるか否かを判断するものであり、設計者が経験的に、実験などを行なって決定する。ステップS46の判断がYesの場合には、処理を終了する。ステップS46の判断がNoの場合には、ステップS47に進み、出力パワー情報収集部が信号生成制御部に新たな減衰量ATTnext_kを通知する。ステップS48において、信号生成制御部から光スペクトル生成器に新たな減衰量を設定し、ステップS44に戻る。
【0060】
図17は、本実施形態の第5の構成例を説明する図である。
図17において、図11と同じ構成要素には同じ参照符号を付し、それらの説明を省略する。
【0061】
種光源発生部20の出力を周波数選択スイッチ50に接続する。そして、信号生成制御部23からの信号に従い周波数選択スイッチ50を切り替えて、複数の光周回部21−1〜21−3に異なる周波数の光を分配する。光周回部21−1の光周波数シフタ10は、周波数間隔Δfaで複数の周波数の光を生成する。光周回部21−2の光周波数シフタ10は、周波数間隔Δfbで、光周回部21−3の光周波数シフタ10は、周波数間隔Δfcで複数の周波数の光を生成する。
【0062】
このように、異なる周波数間隔で多波長光を発生させる場合に、従来では、複数の光源が必要であったが、本構成例では、種光源発生部が1つで、異なるキャリア周波数間隔での多波長光発生が可能となる。
【0063】
図18は、本実施形態の第6の構成例を説明する図である。
図18においては、図11と同じ構成要素には同じ参照符号を付し、それらの説明を省略する。
【0064】
種光源発生部20は、光周波数f0の光のみを光周回部21aに出力する。多出力ポート光スペクトル成形器55、および、多入力ポート光スペクトル成形器56のポート1は周波数f1,f3,f5,f7の光のみを透過させ、ポート2は、周波数f2,f4,f6の光のみを透過させるように設定されている。ポート1, 2には、それぞれ光増幅器57−1、57−2が接続されている。図18の例では、種光は1波長のみだが、二つ以上の種光を光周回部21aに入力させるようにしても良い。
【0065】
以上の構成によれば、光増幅器57−1、57−2それぞれに入力される光の数が減少する。したがって、光増幅器57−1、57−2それぞれへの総入力パワーを半分にすることができ、光増幅器が増幅しなければならないパワーの幅に余裕が出来る。光増幅器に入力される光パワーが大きいと、増幅した場合、光パワーが飽和してしまい、相対的にノイズのレベルが大きくなってしまう。したがって、光増幅器への入力パワーを減少させることにより、相対的なノイズのレベルを減少させ、信号品質を改善させることができる。
【0066】
なお、上記構成例では、光の周波数を偶数番と奇数番の周波数のグループに分けているが、必ずしもその必要はなく、1つの光増幅器への入力パワーが減少するようになれば、どのようなわけ方でも良い。また、上記構成例では、複数の周波数の光を2つに分けたが、3つ以上に分けてもよい。この場合、1つの光増幅器への入力パワーがより減少するので、より信号品質を改善するのに有効である。
【0067】
図19は、本実施形態の第7の構成例を説明する図である。
図19において、図11と同じ構成要素には同じ参照符号を付し、それらの説明を省略する。
【0068】
種光源発生部は、光周波数f0の光を発振するLD60−1と光周波数f5の光を発振するLD60−2とからなり、これらからの光を光合波器61で合波して、光周回部21に入力させる。光周回部21は、周波数f1-f3、f6-f8の光を発生するとする。光周回部21の出力を光カプラ62で分波し、光フィルタ63で光周波数f3の光のみを抽出する。抽出された光周波数f3の光を位相同期部64に入力させ、光周波数f3とf5の位相同期を施す。これにより、光周波数f1-f3 とf6-f8の間で周波数同期、位相同期を実現することができる。
【0069】
すなわち、光周波数f3の光は、種光である光周波数f0の光から光周回部21で生成されたものであるので、光周波数f0の光と光周波数f1-f3の光は、周波数同期、位相同期している。また、光周波数f6-f8の光は、同様に、光周波数f5の光に、周波数同期、位相同期している。したがって、光周波数f3の光と光周波数f5の光を位相同期させることにより、光周波数f1-f3の光と光周波数f6-f8の光を、周波数同期、位相同期させることが出来る。ここでは、光周波数f3とf5の光の位相同期を取るとしたが、光周波数f3の代わりに光周波数f0-f2のいずれかを使ってもよく、また、光周波数f5の代わりに光周波数f6-f8のいずれを使っても良い。 位相同期方法としては、注入同期法を用いる方法、あるいは、光位相同期回路を用いる方法等が考えられる。
【0070】
注入同期法については、以下の文献を参照されたい。注入同期法においては、Master laserから出力された中心周波数fiの光を種光としてSlave laserが発振し、種光と位相同期した光出力を得る。周波数シフト量Δfは種光とSlave laserの様々なパラメータによって変わる。
・栖原 敏明, “半導体レーザーの基礎”, 共立出版株式会社, pp. 230-233.
・S. Kobayashi and T. Kimura, “Injection Locking in AIGaAs Semiconductor Laser,” IEEE J. Quantum Electron. QE-17, 681 (1981).
【0071】
光位相同期回路を用いた方法については、以下の文献を参照されたい。
光位相同期回路を用いる方法では、Master laserとSlave laserの周波数差および位相差信号とローカルオシレータの周波数および位相差比較を行い、その差が0になるようにフィードバックをかける。
・M.Prevedelli, T.Freegarde and T.W.H¨ansch,“Phase Locking of grating-tuned diode lasers”,Appl. Phys. B. 60, S241 (1995)
【0072】
図20は、本実施形態の第8の構成例を説明する図である。
図20において、図11と同じ構成要素には同じ参照符号を付し、それらの説明を省略する。
【0073】
図20の構成例では、光周回部21内の光スペクトル成形器22の減衰量を、光周波数が高くなるにつれ小さくすることによって、周回数が多い周波数側の信号光の品質改善を実現する。種光源発生部20から周波数f0の光が出力され、光周回部21で、周波数f1-f8の光が発生されるとする。光が光周回部21内を周回するごとに、周波数f1から周波数f8が順次発生される。しかし、光が光周回部21内部を周回すると、光周波数シフタ10、光スペクトル成形器22、光増幅器11、12を何回も通過することになるので、周回数が多くなると、それだけノイズを多く含むようになってしまう。その場合、蓄積するノイズに合わせて光の強度を大きく保ってやると、ノイズに対する光の強度の比が高く維持され、信号光のOSNRを均一化することが出来る。そこで、本構成例では、光スペクトル成形器22において、周回数の少ない光は減衰量を多くし、周回数が多くなるにつれ、減衰量を少なくするようにする。
【0074】
図21は、本実施形態の第9の構成例を説明する図である。
図21において、図11と同じ構成要素には同じ参照符号を付し、それらの説明を省略する。
【0075】
図20の構成に加えて、光周回部21の出力に光スペクトル成形器70を挿入して各キャリアのパワーが均一になるように調節する。図20の場合には、光スペクトル成形器22で、周回数の少ない周波数の減衰量を大きくし、周回数が多くなるにつれ、減衰量を少なくしていた。この場合、信号光の強度が周回数の少ない周波数は小さく、周回数が多くなるにつれ、光強度が大きくなる。すなわち、周波数ごとに光強度が異なってしまい、スペクトルの形状が、斜めになっている。OSNRはこれにより改善するが、光強度が異なることにより、本実施形態の多波長光源の後段の装置において周波数ごとに光再生処理や増幅処理をする場合に周波数ごとに不均一が生じてしまう。そこで、本構成例では、光周回部21の出力に光スペクトル成形器70を設け、全ての周波数の光強度がほぼ均一になるように、周波数ごとの減衰量を調整する。ノイズは光周回部21で信号光にのるので、光周回部21の出力で光強度を調整すれば、ノイズがのった後、ノイズごと信号光の光強度を調整することが出来る。これにより、周波数ごとのOSNRを維持したまま、光強度を均一に調整することが出来る。
【0076】
図22及び図23は、本実施形態の第10の構成例を説明する図である。
図22において、図11と同じ構成要素には同じ参照符号を付し、それらの説明を省略する。
【0077】
種光源発生部20aより光周波数f3,f8の光を出力する。光周回部21bには、1入力2出力光スペクトル成形器75が設けられる。1入力2出力光スペクトル成形器75の出力ポート1側には光周波数f3-f6,f9-f10が出力され、出力ポート2側には光周波数f2-f3が出力されるように設定する。光周波数シフタ10−1は+Δfの周波数シフトを,光周波数シフタ10−2は-Δfの周波数シフトを発生させる。このように、負の周波数シフトを発生させるには、光周波数シフタを構成する光SSB変調器への駆動信号として、周波数Δfの信号のほか、この信号を−π/2だけ移相した信号を入力するようにする。以上の構成により、2つの種光で、光周波数f1-f2,f4-f7,f9-f11 の3つのキャリア群に相当する多波長光を得ることができる。
【0078】
正の周波数シフトのみで3つのキャリア群に相当する多波長光を得るためには、3つの周波数の種光が必要だが、本構成例では、種光として2つの周波数の光で十分となる。このように、負の周波数シフトを用いることにより、種光の個数を削減することが可能となる。
【0079】
図23は、図22で用いられる1入力2出力光スペクトル成形器の構成例を説明する図である。
図22の場合、1入力2出力光スペクトル成形器は、周波数f3の光を出力ポート1, 2のどちらにも出力する必要がある。そのため、3ポート出力の光スペクトル成形器80のポート2から周波数f3の光を出力するようにし、これを光分波器82で分波し、光合波器81、83に入力するようにする。
【0080】
すなわち、光スペクトル成形器80の出力ポート1−3の透過周波数を以下のように設定にする。
ポート1: f4-f6, f9-f10
ポート2: f3
ポート3: f2
そして、光合波器81で、周波数f3-f6、f9-f10の光を合波して、出力ポート1に出力し、光合波器83で、周波数f2、f3の光を合波して、出力ポート2に出力するようにする。
【0081】
図24〜図28は、種光源発生部の構成例を示す図である。
図24では、種光源発生部は、複数の波長(周波数)固定の光源LD0-LDN、および、光合波器85からなり、信号生成制御部からの情報を元に光源LD0-LDNをON/OFFしたり、出力パワーの制御を行なう。
【0082】
図25では、種光源発生部は、複数の波長(周波数)固定の光源LD0-LDM、光減衰器86−1〜86−M+1、光合波器87からなり、光源LD0-LDMの出力に光減衰器86−1〜86−M+1をそれぞれ配置する。そして、信号生成制御部からの制御信号に基づいて光減衰器86−1〜86−M+1の減衰量を制御し、出力パワー制御を行ったり、出力光のON/OFFを行う。
【0083】
図26では、種光源発生部は、一つ以上の波長(周波数)可変光源LD1-LDKおよび光合波器90からなり、信号生成制御部からの情報を元に光源LD1-LDKのON/OFF、波長(周波数)設定を行い、出力パワーの制御を行う。
【0084】
図27では、種光源発生部は、複数の波長(周波数)可変の光源LD1-LDK、光減衰器91−1〜91−K、光合波器92からなり、波長可変光源LD1-LDKの出力に光減衰器91−1〜91−Kを配置する。信号生成制御部からの制御信号により、光減衰器91−1〜91−Kの減衰量を制御し、周波数ごとに出力パワー制御を行ったり、光減衰器91−1〜91−Kを用いて、出力光のON/OFFを行う。
【0085】
図28では、種光源発生部は、図13の多波長光源(ただし、LD30の出力をf0のみとする)と光スペクトル成形器95からなり、信号生成制御部からの情報を元に多波長光(f1-f8)を生成し、光周回部37の出力にある光スペクトル成形器95を用いて、必要な種光(例えば、f1、f8)を出力するようにすることができる。図28の構成により、周波数同期した複数の種光を得ることができる。
【0086】
図29は、本実施形態の多波長光源を用いた光送信器の図である。
本実施形態の多波長光源100を用いた光送信器では、多波長光源100から出力される多波長光を、分波器104で、各波長の光に分波し、各波長ごとに設けられた変調器101−1〜101−nで変調する。変調器101−1〜101−nからの信号光は、各波長ごとに設けられる光減衰器102−1〜102−nにおいて、光強度が調整され、合波器103において合波されて、波長多重光として、出力される。
【0087】
図30は、本実施形態を適用した光通信システムの図である。
本実施形態の多波長光源を用いた光送信器105から送信された光信号は、中継器106において、3R処理されて、転送される。アド・ドロップ装置107では、所定の波長の信号光が、送受信器110にドロップされると共に、送受信器110からの所定の波長の信号光が中継器106からの信号光とアドされる。アド・ドロップ装置107からの出力は、中継器108を介して、受信器109によって受信される。
【0088】
上記実施形態のほかに、以下の付記を開示する。
(付記1)
入力された光の周波数を、設定された周波数幅だけシフトする光周波数シフタと、
複数の異なる周波数の光を該光周波数シフタに入力させる種光源発生部と、
該光周波数シフタの出力を該光周波数シフタの入力側に周回させる周回路と、
該光周波数シフタの出力する各周波数の光について個別に減衰量を設定可能で、光スペクトル成形器と、
キャリア数、キャリア配置、キャリア周波数間隔の少なくとも一つに基づいて、該種光源発生部の出力周波数と、該光スペクトル成形器の減衰量を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする多波長光源。
(付記2)
前記制御部は、種光源発生部からの光の出力パワーを制御することを特徴とする付記1に記載の多波長光源。
(付記3)
前記制御部は、光周波数シフタの前記周波数幅を制御することを特徴とする付記1に記載の多波長光源。
(付記4)
キャリア数、キャリア配置、キャリア周波数間隔の少なくとも一つに基づいて、更に前記種光源発生部の出力する各光の出力パワーまたは前記光周波数シフタの周波数幅を制御することを特徴とする付記1に記載の多波長光源。
(付記5)
前記種光源発生部は、複数の異なる周波数の光を出力し、該複数の異なる周波数の光は、互いに周波数同期していることを特徴とする付記1または付記4に記載の多波長光源。
(付記6)
前記多波長光源は、出力する複数の周波数の光が互いに周波数同期していることを特徴とする付記5に記載の多波長光源。
(付記7)
前記光スペクトル成形器は、種光との周波数差の絶対値が大きくなるに伴い減衰量が大きくなることを特徴とする付記1または付記4に記載の多波長光源。
(付記8)
前記光周波数シフタからの出力光を入力とするように、第2の光スペクトル成形器が設けられ、
該第2の光スペクトル成形器は、複数の周波数の光のパワーが略均一になるように、各周波数の光の減衰量を制御することを特徴とする付記7に記載の多波長光源。
(付記9)
前記光スペクトル成形器は、前記周回路に設けられ、前記光周波数シフタの出力を入力とし、出力を該光周波数シフタへの入力とすることを特徴とする付記1または付記4に記載の多波長光源。
(付記10)
前記周波数シフタからの出力光を入力とする位置に、各周波数の光のパワーを検出するパワーモニタを備え、
前記制御部は、該パワーモニタにおいて検出された各周波数の光のパワーに基づいて、各周波数のパワーが略均一となるように、前記光スペクトル減衰器の減衰量を制御することを特徴とする付記1または付記4に記載の多波長光源。
(付記11)
複数の周波数の光を出力する種光源発生部と、
該光源の出力を各周波数の光に分波する周波数選択スイッチと、
付記1の光周波数シフタ、光スペクトル成形器及び周回路からなる、該周波数選択スイッチからの光を受信する複数のユニットとを備え、
該複数のユニットのそれぞれの光周波数シフタは、互いに異なる周波数幅で入力光の周波数をシフトすることを特徴とする多波長光源。
(付記12)
前記種光源発生部は、
入力された光の周波数を、設定された周波数幅だけシフトする第2の光周波数シフタと、
単一の周波数の光を該第2の光周波数シフタに入力させる光源と、
該第2の光周波数シフタの出力を該第2の光周波数シフタの入力側に周回する第2の周回路と、
該第2の光周波数シフタが出力する各周波数の光について個別に減衰量を設定可能で、設定された周波数の光のみを透過させる、該第2の周回路に設けられた第2の光スペクトル成形器と、
を備え、
周波数同期した複数の周波数の光を発生することを特徴とする付記1または付記4に記載の多波長光源。
(付記13)
前記周回路を伝搬する複数の周波数の光を複数のグループに分割し、各グループの光について光増幅器と光スペクトル成形器を設けることを特徴とする付記1または付記4に記載の多波長光源。
(付記14)
前記種光源発生部は、異なる周波数の光を出力する複数のレーザダイオードを含み、
該複数のレーザダイオード間について、発振光の位相同期が取られることを特徴とする付記1または付記4に記載の多波長光源。
(付記15)
前記光周波数シフタは、
入力された光の周波数を、設定された周波数幅だけ高周波数にシフトする第1の光周波数シフトユニットと、
入力された光の周波数を、設定された周波数幅だけ低周波数にシフトする第2の光周波数シフトユニットと、
を備え、
前記光スペクトル成形器は、各周波数の光の減衰量を調整すると共に、各周波数の光を該第1の光周波数シフトユニットと、該第2の光周波数ユニットに振り分けることを特徴とする付記1または付記4に記載の多波長光源。
(付記16)
前記種光源発生部は、
異なる周波数の光を出力する複数のレーザダイオードと、
該複数のレーザダイオードから出力される光を合波する光合波器と、
を備えることを特徴とする付記1または付記4に記載の多波長光源。
(付記17)
前記複数のレーザダイオードには、それぞれ光減衰器が設けられることを特徴とする付記16に記載の多波長光源。
(付記18)
前記レーザダイオードは、出力周波数が可変であることを特徴とする付記16または17に記載の多波長光源。
(付記19)
付記1に記載の波長光源を備えた光送信器。
(付記20)
付記17に記載の光送信器を備えた光通信システム。
【符号の説明】
【0089】
10、32、10−1、10−2 光SSB変調装置(光周波数シフタ)
11、12、33、36、57−1、57−2、11−1、11−2、12−1、12−2 光増幅器
13、63 光フィルタ
14、16、31、34、40、62 光カプラ
15、30、60−1、60−2 光源(LD)
20、20a 種光源発生部
21、21−1〜21−3、21a、21b、37 光周回部
22、35、70、80、95 光スペクトル生成器
23 信号生成制御部
41、82 光分波器
42−1〜42−9 パワーモニタ
43 出力パワー情報収集部
50 周波数選択スイッチ
55 多出力ポート光スペクトル成形器
56 多入力ポート光スペクトル成形器
61、81、83 光合波器
64 位相同期部
75 1入力2出力光スペクトル成形器
85、87、90、92 光合波器
86−1〜86−M+1、91−1〜91−K+1 光減衰器
【技術分野】
【0001】
以下の実施形態は、複数の波長の信号光を生成する多波長光源に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットや携帯電話の普及による通信容量の増大にともない、幹線系光通信システムの大容量化が必要とされており、1波長当たりの通信容量が40Gbit/sまたは100Gbit/sを超える光送受信器の研究開発が行われている。
【0003】
しかし、1波長当たりの伝送容量を大きくすると、光信号対雑音比(OSNR:Optical Signal to Noise Ratio)の低下や、伝送路の波長分散、偏波モード分散、非線形効果等による波形歪みのため、伝送信号の品質劣化が大きくなる。
【0004】
このため、40Gbit/sを超える光通信システムでは、OSNR耐力及び伝送路の波形歪み耐力があるデジタルコヒーレント受信方式が注目されている。
従来の受信方式では、光強度のON/OFFを2値信号に割り当てて直接検波する(OOK;On-Off Keying)。これに対して、デジタルコヒーレント受信方式では、光強度と位相情報をコヒーレント受信システムにより抽出し、抽出された光強度と位相の情報をアナログ/デジタル変換器(ADC)により量子化することで、デジタル信号処理回路にて復調を行う。
【0005】
デジタルコヒーレント受信方式は、コヒーレント受信方式によるOSNR耐力の改善と、デジタル信号処理回路による波形歪みの補償が可能なため、1波長当たりの通信容量が大きい場合でも伝送信号の品質劣化を抑圧することができる。また、デジタル信号処理回路により波形歪みの補償が可能となるため、ネットワークの構成変更などによる経路変更にも比較的柔軟に対応することが可能となる。
【0006】
さらに、デジタルコヒーレント受信方式は、1シンボルで多ビットの情報を送信可能な変調方式と組み合わせ、周波数効率の高い伝送システムを構築することができる。このような変調方式としては、QPSK(4値位相変調方式)、8PSK、16QAM、256QAMなどのように位相情報や強度情報を多値化する多値変調方式や、直交する偏波に異なる情報を多重する偏波多重方式、1波長グリッド内に高密度多重された複数の周波数(サブキャリア)に異なる情報を多重するマルチキャリア多重方式等が知られている。特に、マルチキャリア多重方式の中でも、直交周波数分割多重 (OFDM: Orthogonal Frequency Division Multiplexing) 方式が将来の光通信方式として有力視されている。
【0007】
OFDM信号を生成するためには、光の周波数が同期した複数の光が必要となる。なお、以下の説明においては、光の周波数と波長は相互に一対一に対応し、それぞれはキャリアとなるので、光の周波数といったり、光の波長、キャリアということがある。
【0008】
更に、OFDMのキャリア数(即ち、1つのOFDM信号あたりのトータルビットレート)はネットワークのトラフィックに応じて可変できることが望ましい。
【0009】
図1は、従来の多波長光源の例を説明する図である。
図1(a)の多波長光源においては、光SSB(Single Side-Band)変調装置10、光増幅器11、12、光フィルタ13、光合波器(光カプラ)14、光分波器(光カプラ)16からなる光周回部に、レーザダイオード15からの中心周波数 f0の連続光を入力する。光SSB変調装置10の光SSB変調器には、駆動信号として、周波数Δfの周期波と、これをπ/2だけ移相した周期波とが入力される。
【0010】
光SSB変調装置10を通過することによって入力光はΔfだけ周波数が高周波数側にシフトし、中心周波数がf1-=f0+Δfとなる。その一部分は出力され(図1(b)の0周回出力)、残りの一部分は光周回部内を伝搬し、光フィルタ13および光増幅器12を通過し、再度光SSB変調装置10に入力される。
【0011】
中心周波数f1の連続光は、光SSB変調装置10の光SSB変調器を通ることにより、Δf周波数シフトし中心周波数f2となる。同様に、一部分は出力され(図1(b)の1周回出力) 、残りの一部分は光周回部内を伝搬する。以下これを繰り返し、5周回出力でf1からf6までの多波長連続光を得ることができる。図1(a)の例では、光周回部内にある光フィルタ13の透過帯域がf1からf5までを透過するものとなっているので、f7以降の光は発生しない。
【0012】
以上のように、光SSB変調装置10は、入力された連続光の周波数をシフトするものなので、光周波数シフタとも呼ぶ。逆に、光周波数シフタは、入力された連続光の周波数をシフトすることが出来るものであれば、光SSB変調器を使ったものには限定されない。
【0013】
以上のような、光SSB変調装置10と光周回部からなる多波長光源では、その生成波長数が増大すると、周回数の多い波長の光信号対雑音比(OSNR:Optical Signal to Noise Ratio)が劣化する。
【0014】
図2は、OSNRの劣化について説明する図である。
図2には、横軸を生成キャリア数、縦軸を各キャリアのOSNRとして、生成キャリア数の増大と共に、各キャリアのOSNRがどのように変化するかを示したグラフである。生成キャリア数が1の場合には、キャリアのOSNRは、50dB以上あるが、生成キャリア数が8となると、各キャリアのOSNRは、40dBまで落ちている。更に、生成キャリア数が9、10と増えると、更に、各キャリアのOSNRが下がることが示されている。
【0015】
図3は、多数の波長を通信に使う場合に、従来必要とされた構成について説明する図である。
図2にもあるように、従来の多波長光源では、各キャリアのOSNRの問題から、1つの光源で生成できる波長数は、せいぜい8個程度である。したがって、数十波や数百波を多重するような光通信システムでは、図3に示すように、図1のような多波長光源を多数設ける必要が生じる。しかし、このようにすると、光源の数が増加し、通信システムとしてのコストも大きくなってしまう。
【0016】
更に、従来技術には、多波長同時発振のファイバリング共振器型光源や、多波長光源の波長安定性を確保するための波長管理装置や、一定の周波数間隔を有する多波長連続光を同時に供給可能な多波長光源等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開平10−93164号公報
【特許文献2】特開2000−47278号公報
【特許文献3】特開2005−77584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
以下の実施形態においては、OSNRを維持しつつ、多数の波長の連続光を生成することのできる多波長光源を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
以下の実施形態の一側面による多波長光源は、入力された光の周波数を、設定された周波数幅だけシフトする光周波数シフタと、複数の異なる周波数の光を該光周波数シフタに入力させる種光源発生部と、該光周波数シフタの出力を該光周波数シフタの入力側に周回させる周回路と、該光周波数シフタの出力する各周波数の光について個別に減衰量を設定可能で、設定された周波数の光のみを透過させる光スペクトル成形器と、設定されたキャリア数、キャリア配置、キャリア周波数間隔に基づいて、該種光源発生部の出力周波数、該種光源発生部の出力する各光の出力パワー、該光周波数シフタの該周波数幅、該光スペクトル成形器の減衰量を制御する制御部とを備える。
【発明の効果】
【0020】
以下の実施形態によれば、OSNRを維持しつつ、多数の波長の連続光を生成することのできる多波長光源が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】従来の多波長光源の例を説明する図である。
【図2】OSNRの劣化について説明する図である。
【図3】多数の波長を通信に使う場合に、従来必要とされた構成について説明する図である。
【図4】本実施形態の構成を説明する図である。
【図5】図4の多波長光源の動作を説明する図である。
【図6】本実施形態の制御処理の流れを示すフローチャート(その1)である。
【図7】本実施形態の制御処理の流れを示すフローチャート(その2)である。
【図8】本実施形態の制御処理の流れを示すフローチャート(その3)である。
【図9】本実施形態の制御処理の流れを示すフローチャート(その4)である。
【図10】本実施形態の多波長光源の出力端OSNR及び出力パワーの導出について説明する図である。
【図11】本実施形態の第2の構成例を示す図(その1)である。
【図12】本実施形態の第2の構成例を示す図(その2)である。
【図13】本実施形態の第2の構成例を示す図(その3)である。
【図14】本実施形態の第3の構成例を示す図である。
【図15】本実施形態の第4の構成例を説明する図(その1)である。
【図16】本実施形態の第4の構成例を説明する図(その2)である。
【図17】本実施形態の第5の構成例を説明する図である。
【図18】本実施形態の第6の構成例を説明する図である。
【図19】本実施形態の第7の構成例を説明する図である。
【図20】本実施形態の第8の構成例を説明する図である。
【図21】本実施形態の第9の構成例を説明する図である。
【図22】本実施形態の第10の構成例を説明する図(その1)である。
【図23】本実施形態の第10の構成例を説明する図(その2)である。
【図24】種光源発生部の構成例を示す図(その1)である。
【図25】種光源発生部の構成例を示す図(その2)である。
【図26】種光源発生部の構成例を示す図(その3)である。
【図27】種光源発生部の構成例を示す図(その4)である。
【図28】種光源発生部の構成例を示す図(その5)である。
【図29】本実施形態の多波長光源を用いた光送信器の図である。
【図30】本実施形態を適用した光通信システムの図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図4は、本実施形態の構成を説明する図である。
図4において、図1と同じ構成要素には同じ参照符号を付し、それらの説明を省略する。
【0023】
本実施形態の多波長光源では、単一波長(周波数)の連続光を出力、もしくは、異なる波長(周波数)の連続光を複数出力する種光源発生部20と、複数の周波数の連続光を生成する光周回部21と、光周回部21内に設けられ、周波数単位毎に光減衰量が設定可能な光スペクトル成形器22と、ネットワーク制御装置から要求されたキャリア数、キャリア周波数配置、キャリア周波数間隔に応じて、種光源発生部20が発生する光の周波数, 光周波数シフタ10の周波数シフト量、光スペクトル成形器22の透過周波数及び減衰量を制御する信号生成制御部23とを備える。
【0024】
以上の構成により、所望のOSNRを満足しながら、キャリア数、キャリア配置、キャリア間隔を変えることができると共に、後述するように必要な多波長光源数を削減することが出来る多波長光源を構成することができる。
【0025】
図5は、図4の多波長光源の動作を説明する図である。
図5において、図4と同じ構成要素には同じ参照符号を付す。
種光源発生部20より光周波数f0,f3,f8の光を出力する。なお、この種光源発生部20からの連続光を種光と呼ぶ。光スペクトル成形器22をf1,f4-f6,f9-f10が透過するように設定することにより、光周波数f1-f2,f4-f7, f9-f11 の多波長光を得ることができる。すなわち、光スペクトル生成器22は、光周波数f1、f4-f6、f9-f10のみを透過させる。光周波数f0の連続光が光周波数シフトされて光周波数f1の連続光となり、これが、さらに光周波数シフトされて光周波数f2の連続光となる。光周波数f2は、光スペクトル成形器22を透過できないので、光周波数f3は出力されない。同様に、種光源発生部20からの光周波数f3の連続光からは、光周波数f4−f7の連続光が生成される。光周波数f7の連続光が光スペクトル生成器22を透過できないので、光周波数f8は、出力されない。種光源発生部20からの光周波数f8の連続光からは、光周波数f9−f11の連続光が生成される。光周波数f11の連続光は、光スペクトル生成器22を透過できないので、これ以上の周波数の光は生成されない。
【0026】
以上の構成によると、種光源発生部20からの複数の光周波数の種光から多くの光周波数の連続光を生成しており、1つの光周波数の種光からは比較的数が少ない、周波数シフトされた連続光が生成される。したがって、1つの光周波数の連続光から多くの周波数シフトされた連続光を生成することにより生じる、光周回部21の周回回数が多い連続光のOSNRが悪くなるということを避けることができる。
【0027】
また、種光源発生部20が1台で複数の光周波数の異なる連続光を出力するので、多くの光周波数の連続光を発生するのに、光源を多く用意する必要が無い。
なお、上記の例では、光周波数シフタ10は、高周波側に光周波数をシフトする変調部構成を示したが、低周波側に光周波数をシフトする構成でも構わない。
【0028】
高周波側に光周波数をシフトする場合には、発生させるキャリア群の一番低い周波数から周波数シフト量を引いた周波数の連続光を種光源発生部20に発光させる。低周波数側にシフトする場合には、キャリア群の中で一番高い周波数に周波数シフト量を足した周波数の連続光を種光源発生部20に発光させる。
【0029】
光スペクトル成形器22は、1:Nの光波長選択スイッチ、波長プロセッサ等で構成可能である(N:1以上の整数、 N=9程度は現在製品化されている)。入力された光(多波長)を任意のポートへ出力できる光波長選択スイッチについては、以下の文献を参照されたい。
G. Baxter, et al., “Highly programmable Wavelength Selective Switch
based on Liquid Crystal on Silicon switching elements,” OFC2006, OTuF2, 2006
また、波長プロセッサについては以下の文献を参照されたい。
Y. Sakurai, et al., “LCOS-Based 4x4 Wavelength Cross-Connect Switch For Flexible Channel Management in ROADMs,” OFC2011, OTuM4, 2011
また、光周波数シフタ/光SSB変調器については、以下の文献を参照されたい。
M. Izutsu, S. Shikama, and T. Sueta, “Integrated optical SSB modulator/frequency shifter,” IEEE J. Quantum Electron., vol. QE-17, pp.2225-2227, Nov. 1981
B. Desormiere, C. Maerfeld, and J. Desbois, “An integrated optic frequency translator for microwave lightwave systems,” J. Lightwave Technol., vol. 8, pp. 506-513, Apr. 1990.
K. Shibuya, S. Hisatake, and T. Kobayashi, “10-GHz-Order High-Efficiency Electrooptic Frequency Shifter Using Slant-Periodic Domain Inversion,” Photon. Technol. Lett, vol. 16, pp. 1939-1941, Aug. 2004.
【0030】
図6〜図9は、本実施形態の制御処理の流れを示すフローチャートである。
図6は、光増幅器の出力を徐々に立ち上げる場合の制御フローチャートである。
まず、ステップS10において、信号生成制御部がネットワーク制御装置(不図示)から、キャリア数、キャリア周波数配置、キャリア周波数間隔に関する情報を受信する。ステップS11において、信号生成制御部が、受信した情報に基づいて、光スペクトル成形器の減衰量、光周波数シフタの周波数シフト量、及び、種光源発生部の種光の数、種光の波長等を設定する。ステップS12において、種光を光周回部に入力し、ステップS13において、光周回部内の光増幅器の出力を徐々に増加させ、決められた出力値で停止させる。ここで、ステップS13の光増幅器の出力を徐々に増加させるのは、急に強い光強度の連続光が出力されると、本実施形態の多波長光源に接続される、後段の装置において高強度のサージが発生し、装置を故障させてしまう可能性があるからである。
【0031】
ステップS12において、本実施形態の場合、種光源発生部が発生する種光の数は、キャリア群の数と同じになる。本実施形態におけるキャリア群とはキャリアの集まりのことで、生成すべきキャリアのうち、高周波側および低周波側にキャリア周波数間隔が、図5で周波数fを横軸としてΔfを間隔とする目盛りを持つ光周波数グリッド上において二つ以上離れている場合に、隣り合った周波数を持つキャリアを一つの群として見なす。ただし、最も低周波数のキャリアを含む場合には、光周波数グリッド上において、高周波側のみにキャリア周波数間隔で二つ以上と離れている場合に一つの群と見なす。また、最も高周波数のキャリアを含む場合には低周波側のみにキャリア周波数間隔で二つ以上離れている場合に一つの群と見なす。
【0032】
光周波数シフタが高周波側にΔfhighだけ光周波数シフトする場合、それぞれのキャリア群の中で最も低いキャリア周波数からΔfhighだけ引いた光周波数を、それぞれのキャリア群の種光の周波数とする。また、光スペクトル成形器は、それぞれのキャリア群の最も高い周波数は透過しないように設定するが、それら以外の生成すべきキャリア周波数は透過するように設定する。
【0033】
光周波数シフタが低周波数側にΔflowだけ光周波数シフトする場合、それぞれのキャリア群の中で最も高いキャリア周波数にΔflowだけ足した光周波数を、それぞれのキャリア群の種光の周波数とする。また、光スペクトル成形器は、それぞれのキャリア群の最も低い周波数は透過しないように設定するが、それら以外の生成すべきキャリア周波数は透過するように設定する。
【0034】
図7は、種光の出力パワーを徐々に立ち上げる場合の処理のフローチャートである。
ステップS15において、信号生成制御部がネットワーク制御装置(不図示)からキャリア数、キャリア周波数配置、キャリア周波数間隔に関する情報を受信する。ステップS16において、信号生成制御部が、受信した情報に基づいて、光スペクトル成形器の減衰量、光周波数シフタの周波数シフト量、及び、種光源発生部の種光の数、それらの波長を設定する。ステップS17において、光周回部内の光増幅器を予め設定された設定値の利得で動作させる。ステップS18において、種光の出力パワーを徐々に増加させ、予め設定された設定値で停止する。ここでも、本実施形態の多波長光源の後段の装置内でサージが発生しないように、種光の出力パワーを徐々に増加させる。
【0035】
図8は、光増幅器の出力を徐々に立ち上げる場合の別の処理のフローチャートである。
ステップS20において、信号生成制御部がネットワーク制御装置(不図示)からキャリア数、キャリア周波数位置、キャリア周波数間隔に関する情報を受信する。ステップS21において、信号生成制御部は、受信した情報に基づいて、光周波数シフタの周波数シフト量、及び、種光源発生部の種光の数、それらの波長を設定する。ステップS22において、信号生成制御部は、受信した情報、及び、後述の式(26)、(27)に基づいて、光スペクトル成形器の減衰量を設定する。ステップS23において、種光を光周回部に入力し、ステップS24において、光周回部内の光増幅器の出力を徐々に増加させ、決められた出力値で停止させる。ここでも、光増幅器の出力を徐々に増加させ、後段の装置におけるサージの発生を防止する。
【0036】
ステップS22においては、光スペクトル成形器の透過帯域設定に追加して、後述の式(26), (27)を満たすように、光スペクトル成形器の減衰量を設定することにより出力パワーを一定にすることができる。
【0037】
図9は、種光の出力パワーを徐々に立ち上げる場合の別の処理のフローチャートである。
ステップS30において、信号生成制御部がネットワーク制御装置(不図示)からキャリア数、キャリア周波数配置、キャリア周波数間隔に関する情報を受信する。ステップS31において、信号生成制御部は、受信した情報に基づいて、光周波数シフタの周波数シフト量、及び、種光源発生部の種光の数、それらの波長を設定する。ステップS32において、受信した情報、及び、後述の式(26)、(27)に基づいて、光スペクトル成形器の減衰量を設定する。ステップS33において、光周回部内の光増幅器を設定値で動作させ、ステップS34において、種光の出力パワーを徐々に増加させ、設定値で停止する。ここでも、後段の装置においてサージが起こらないように、種光の出力パワーを徐々に増加する。
【0038】
図10は、本実施形態の多波長光源の出力端OSNR及び出力パワーの導出について説明する図である。
ここでは、図8、9の式(26)、(27)を導出する。図10は、Pin1_fx、Pin2_fx、P0が、多波長光源内のどの部分の光強度であるか、及び、どの部分の光カプラ1、2の損失であるかを示している。
【0039】
光周波数f0、光パワーP0の種光を光周回部に入力する。理想的な光周波数シフタを仮定する。ここでは、光周波数シフタは、入力された光の周波数をΔfだけ高周波側にシフトさせるとする。このとき、光周波数シフタを1回通過した周波数f1(=f0 + Δf)の光信号のOSNR (FinalOSNR1)、および、出力パワー Pf1は、以下の式で与えられる。
FinalOSNR1=OSNRLOOP1=P0α1/(NF(f1)1hf1Δf)・(1)
Pf1=P0α1G(f1)α2・・・(2)
【0040】
次に、1回だけ周回し、2回光周波数シフタ(光SSB変調器)を通過した周波数f2(=f1+Δf)の光信号のOSNRおよび出力パワーPf2は、以下の式で与えられる。
FinalOSNR2=(OSNRLOOP1−1+OSNRLOOP2−1)−1・・・(3)
Pf2=P0α1G(f1)1α3ATTf1G(f1)2α4G(f2)1α2・・・(4)
ここでOSNRLOOP1は以下の式で表される。
OSNRLOOP1=((Pin1_f2/(NF(f2)1hf2Δf))−1+
(Pin2_f1/(NF(f1)2hf1Δf))−1)−1・・・(5)
ここで、
Pin2_f1=P0α1G(f1)1α3ATTf1・・・(6):周波数f1を持った光の光増幅器2への入力パワー
Pin1_f2=P0α1G(f1)1α3ATTf1G(f1)2α4・・・(7):周波数f2を持った光の光増幅器1への入力パワー
NF(f)k:光増幅器kの周波数fにおける雑音指数
h:プランク定数
Δf:測定帯域幅
G(fj)k:光増幅器kの周波数fjにおける利得
ATTfj:光スペクトル成形器の周波数fjにおける減衰量
α1:光カプラ1(図10の(2)−>(1)の方向)の損失+光SSB変調器挿入損失+変調損失
α2:光カプラ2(図10の(1)−>(2)の方向)の損失
α3:光カプラ2(図10の(1)−>(3)の方向)の損失
α4:光カプラ1(図10の(3)−>(1)の方向)の損失+光SSB変調器挿入損失+変調損失
である。
【0041】
よって、光周波数f1の光信号のOSNRと、光周波数f2, f3, …の光信号のOSNRおよび出力パワーは以下のようになる。
・光周波数f1
FinalOSNR1=OSNRLOOP1=P0α1/(NF(f1)1hf1Δf)・・(8)
Pf1=P0α1G(f1)1α2・・・(9)
・光周波数 f2, f3, f4 …
【数1】
【0042】
なお、上式中のパラメータは以下の通りである。
【数2】
【0043】
中心周波数がfNの光の光増幅器1への入力パワーは
【数3】
となる。また、中心周波数がfNの光の光増幅器2への入力パワーは、
【数4】
【0044】
中心周波数がfNの光の光周回部出力パワーは、
PfN=G(fN)1α2Pin1_fN N=1,2,3・・・ ・・・(24)
多波長光源で生成される各波長光の出力パワーが一定となる条件は、式 (9), (11)より
【数5】
【0045】
式(25)は、以下のようにまとめることができる。
【数6】
【0046】
以上の式(26)、(27)を満たすように、P0、G(fx)、ATTfxの値を求め、これにしたがって、種光源発生部の出力パワー、光増幅器の利得、光スペクトル成形器の減衰量を制御することにより、出力パワーが複数の周波数にわたって一定な多波長の種光を得ることができる。
【0047】
図11〜図13は、本実施形態の第2の構成例を示す図である。
図11において、図4と同じ構成要素には同じ参照符号を付し、それらの説明を省略する。
【0048】
周波数同期可能な種光源発生部(図13参照)20aより光周波数f0,f5の連続光を出力する。光スペクトル成形器22を、光周波数f1-f4,f6-f9が透過できるように設定することにより、光周波数が同期した、周波数f1-f10 の多波長光を得ることができる。光周波数が異なる連続光を生成する種光源発生部として、各周波数の種光が周波数同期していないものを使用する場合には、各周波数の種光に周波数同期した周回光を生成することは出来るが、周波数の異なる種光から生成された周回光同士は周波数同期しないものとなる。一方、種光源発生部20aが複数の周波数の種光を出力する際、種光の各周波数の連続光が互いに周波数同期していると、光周回部21で生成されるその他の周波数の光は、種光に周波数同期して生成されるので、すべての周波数の光についても周波数同期された光が得られる。
【0049】
図12は、図11の構成において、横軸を生成キャリア数、縦軸を各キャリアのOSNRとして、OSNR特性を従来技術と本構成例について示したグラフである。従来の技術では、生成キャリア数が8のときに、OSNRが40dBとなっているが、本構成例の場合、生成キャリア数が10のとき、OSNRが同程度となっている。したがって、本構成例を用いた場合の方が、多くの周波数同期したキャリアを生成することが出来ることが分かる。
【0050】
図13は、周波数同期した複数の種光を発生する種光源発生部の構成例を示す図である。
光源30は、周波数グリッド上で、発生したい周波数f5に対し、周波数f0から見てf5−f0=Δfsだけ周波数が低い周波数f−5の光を光周回部37に入力する。光周回部37は、図11の光周回部21と同様な構成となっており、光カプラ31、34、光周波数シフタ32、光増幅器33、36、光スペクトル成形器35からなっている。光周波数シフタ32でΔfs(=f0-f−5)の光周波数シフトを発生させる。光スペクトル成形器35ではf0のみを透過させるように設定する。以上により、出力として、周波数同期した周波数f0とf5の種光が生成される。光源30の発生周波数、光スペクトル成形器35の透過周波数、光周波数シフタの周波数シフト量は、信号生成制御部からの信号によって制御される。
【0051】
図14は、本実施形態の第3の構成例を示す図である。
図14において、図11と同じ構成要素には同じ参照符号を付し、それらの説明を省略する。
【0052】
図11の構成例と同様に、周波数同期可能な種光源発生部20aより光周波数f0、f5の光を出力する。光スペクトル成形器22が光周波数f1-f3、f6-f8を透過するように設定することにより、光周波数が同期した、光周波数f1-f4、f6-f9 の多波長光を得ることができる。図11の構成例では、光周波数f1−f10の光を発生したが、本構成例では、光周波数f5、f10を発生しない。これらの光周波数の光を発生しないことにより、周波数が隣り合ったキャリア群を2つ作り、その間にガードバンドを設けたものとなる。例えば、光周波数f1-f4、と光周波数f6-f9の光で、適用される信号光の変調方式が異なる場合、これらのキャリア群同士で干渉が起こり、信号劣化が起こってしまう。したがって、このような場合、変調方式の異なるキャリア群の間には、信号光の無い光周波数すなわち、ガードバンドを設けるようにする。
【0053】
図14の構成例によれば、このようなガードバンドを設ける操作も、光スペクトル生成器22の透過帯域を制御することによって行なうことができる。しかも、種光源発生部20aは、2つのキャリア群を生成するための、2つの周波数の光を周波数同期させて生成するので、2つのキャリア群同士は、やはり周波数同期することになる。
【0054】
図15及び図16は、本実施形態の第4の構成例を説明する図である。
図15において、図11と同じ構成要素には同じ参照符号を付し、それらの説明を省略する。
【0055】
光周回部21の出力光を光カプラ40で分岐し、光分波器41で各キャリアを分波する。そして、パワーモニタ42−1〜42−9で各発生キャリアのパワーをモニタする。モニタされた各キャリアのパワーは、出力パワー情報収集部43において、各周波数のパワーに関する情報として集められ、各周波数の光のパワーが平坦になるようなスペクトル成形器22の減衰量を算出する。算出した結果を信号生成制御部23に通知し、信号生成制御部23から光スペクトル成形器22に各周波数の減衰量を設定する指示を行い、各周波数の光のパワーが平坦になるようにする。
【0056】
これにより、光周波数シフタ10における残留成分の発生、光増幅器利得の波長依存性等、各コンポーネントの不完全から生じる出力光のパワー不均一性を改善することができる。
【0057】
光スペクトル生成器22の減衰量の算出は、例えば、以下のようにして行なう。
すなわち、モニタした複数の生成キャリアのトータルパワーをもとめ、その値を生成したキャリアの総数で割り、ターゲットパワー(Ptarget)とする。
【数7】
各キャリアのパワーモニタ値PMON_kとPtargetとの差分をΔATTとする。以下の式に示されるように、現在の減衰量 ATTnow_kにΔATTを足したものを更新値ATTnext_kとして、光スペクトル成形器22の減衰量を制御する。
ΔATTk[dB]=PMON_k[dB]−Ptarget[dB]
ATTnext_k[dB]=ATTnow_k[dB]+ΔATTk[dB]
ΔATTk:Ptargetと各キャリアのパワーモニタ値PMON_kとの差分ターゲットパワー
ATTnow_k:周波数kにおける減衰量の現在値
ATTnext_k:周波数kにおける減衰量の更新値
【0058】
図16は、図15の構成例における動作を示すフローチャートである。
ステップS40において、信号生成制御部がネットワーク制御装置(不図示)からキャリア数、キャリア周波数配置、キャリア周波数間隔に関する情報を受信する。ステップS41において、信号生成制御部は、受信した情報に基づいて、光スペクトル成形器の減衰量、光周波数シフタの周波数シフト量、及び、種光源発生部の種光の数、それらの波長を設定する。ステップS42において、種光を光周回部に入力する。ステップS43において、光周回部内の光増幅器の出力を徐々に増加させ、決められた出力値で停止させる。
【0059】
ステップS44において、周波数ごとに出力パワーをモニタする。ステップS45において、ΔATTkを出力パワー情報収集部で演算する。ステップS46において、ΔATTkが設定値以下か否かを判断する。これは、減衰量が余り変わらない場合には、処理をスキップするための判断である。設定値は、各周波数の光のパワーの偏差が許容範囲内にあるか否かを判断するものであり、設計者が経験的に、実験などを行なって決定する。ステップS46の判断がYesの場合には、処理を終了する。ステップS46の判断がNoの場合には、ステップS47に進み、出力パワー情報収集部が信号生成制御部に新たな減衰量ATTnext_kを通知する。ステップS48において、信号生成制御部から光スペクトル生成器に新たな減衰量を設定し、ステップS44に戻る。
【0060】
図17は、本実施形態の第5の構成例を説明する図である。
図17において、図11と同じ構成要素には同じ参照符号を付し、それらの説明を省略する。
【0061】
種光源発生部20の出力を周波数選択スイッチ50に接続する。そして、信号生成制御部23からの信号に従い周波数選択スイッチ50を切り替えて、複数の光周回部21−1〜21−3に異なる周波数の光を分配する。光周回部21−1の光周波数シフタ10は、周波数間隔Δfaで複数の周波数の光を生成する。光周回部21−2の光周波数シフタ10は、周波数間隔Δfbで、光周回部21−3の光周波数シフタ10は、周波数間隔Δfcで複数の周波数の光を生成する。
【0062】
このように、異なる周波数間隔で多波長光を発生させる場合に、従来では、複数の光源が必要であったが、本構成例では、種光源発生部が1つで、異なるキャリア周波数間隔での多波長光発生が可能となる。
【0063】
図18は、本実施形態の第6の構成例を説明する図である。
図18においては、図11と同じ構成要素には同じ参照符号を付し、それらの説明を省略する。
【0064】
種光源発生部20は、光周波数f0の光のみを光周回部21aに出力する。多出力ポート光スペクトル成形器55、および、多入力ポート光スペクトル成形器56のポート1は周波数f1,f3,f5,f7の光のみを透過させ、ポート2は、周波数f2,f4,f6の光のみを透過させるように設定されている。ポート1, 2には、それぞれ光増幅器57−1、57−2が接続されている。図18の例では、種光は1波長のみだが、二つ以上の種光を光周回部21aに入力させるようにしても良い。
【0065】
以上の構成によれば、光増幅器57−1、57−2それぞれに入力される光の数が減少する。したがって、光増幅器57−1、57−2それぞれへの総入力パワーを半分にすることができ、光増幅器が増幅しなければならないパワーの幅に余裕が出来る。光増幅器に入力される光パワーが大きいと、増幅した場合、光パワーが飽和してしまい、相対的にノイズのレベルが大きくなってしまう。したがって、光増幅器への入力パワーを減少させることにより、相対的なノイズのレベルを減少させ、信号品質を改善させることができる。
【0066】
なお、上記構成例では、光の周波数を偶数番と奇数番の周波数のグループに分けているが、必ずしもその必要はなく、1つの光増幅器への入力パワーが減少するようになれば、どのようなわけ方でも良い。また、上記構成例では、複数の周波数の光を2つに分けたが、3つ以上に分けてもよい。この場合、1つの光増幅器への入力パワーがより減少するので、より信号品質を改善するのに有効である。
【0067】
図19は、本実施形態の第7の構成例を説明する図である。
図19において、図11と同じ構成要素には同じ参照符号を付し、それらの説明を省略する。
【0068】
種光源発生部は、光周波数f0の光を発振するLD60−1と光周波数f5の光を発振するLD60−2とからなり、これらからの光を光合波器61で合波して、光周回部21に入力させる。光周回部21は、周波数f1-f3、f6-f8の光を発生するとする。光周回部21の出力を光カプラ62で分波し、光フィルタ63で光周波数f3の光のみを抽出する。抽出された光周波数f3の光を位相同期部64に入力させ、光周波数f3とf5の位相同期を施す。これにより、光周波数f1-f3 とf6-f8の間で周波数同期、位相同期を実現することができる。
【0069】
すなわち、光周波数f3の光は、種光である光周波数f0の光から光周回部21で生成されたものであるので、光周波数f0の光と光周波数f1-f3の光は、周波数同期、位相同期している。また、光周波数f6-f8の光は、同様に、光周波数f5の光に、周波数同期、位相同期している。したがって、光周波数f3の光と光周波数f5の光を位相同期させることにより、光周波数f1-f3の光と光周波数f6-f8の光を、周波数同期、位相同期させることが出来る。ここでは、光周波数f3とf5の光の位相同期を取るとしたが、光周波数f3の代わりに光周波数f0-f2のいずれかを使ってもよく、また、光周波数f5の代わりに光周波数f6-f8のいずれを使っても良い。 位相同期方法としては、注入同期法を用いる方法、あるいは、光位相同期回路を用いる方法等が考えられる。
【0070】
注入同期法については、以下の文献を参照されたい。注入同期法においては、Master laserから出力された中心周波数fiの光を種光としてSlave laserが発振し、種光と位相同期した光出力を得る。周波数シフト量Δfは種光とSlave laserの様々なパラメータによって変わる。
・栖原 敏明, “半導体レーザーの基礎”, 共立出版株式会社, pp. 230-233.
・S. Kobayashi and T. Kimura, “Injection Locking in AIGaAs Semiconductor Laser,” IEEE J. Quantum Electron. QE-17, 681 (1981).
【0071】
光位相同期回路を用いた方法については、以下の文献を参照されたい。
光位相同期回路を用いる方法では、Master laserとSlave laserの周波数差および位相差信号とローカルオシレータの周波数および位相差比較を行い、その差が0になるようにフィードバックをかける。
・M.Prevedelli, T.Freegarde and T.W.H¨ansch,“Phase Locking of grating-tuned diode lasers”,Appl. Phys. B. 60, S241 (1995)
【0072】
図20は、本実施形態の第8の構成例を説明する図である。
図20において、図11と同じ構成要素には同じ参照符号を付し、それらの説明を省略する。
【0073】
図20の構成例では、光周回部21内の光スペクトル成形器22の減衰量を、光周波数が高くなるにつれ小さくすることによって、周回数が多い周波数側の信号光の品質改善を実現する。種光源発生部20から周波数f0の光が出力され、光周回部21で、周波数f1-f8の光が発生されるとする。光が光周回部21内を周回するごとに、周波数f1から周波数f8が順次発生される。しかし、光が光周回部21内部を周回すると、光周波数シフタ10、光スペクトル成形器22、光増幅器11、12を何回も通過することになるので、周回数が多くなると、それだけノイズを多く含むようになってしまう。その場合、蓄積するノイズに合わせて光の強度を大きく保ってやると、ノイズに対する光の強度の比が高く維持され、信号光のOSNRを均一化することが出来る。そこで、本構成例では、光スペクトル成形器22において、周回数の少ない光は減衰量を多くし、周回数が多くなるにつれ、減衰量を少なくするようにする。
【0074】
図21は、本実施形態の第9の構成例を説明する図である。
図21において、図11と同じ構成要素には同じ参照符号を付し、それらの説明を省略する。
【0075】
図20の構成に加えて、光周回部21の出力に光スペクトル成形器70を挿入して各キャリアのパワーが均一になるように調節する。図20の場合には、光スペクトル成形器22で、周回数の少ない周波数の減衰量を大きくし、周回数が多くなるにつれ、減衰量を少なくしていた。この場合、信号光の強度が周回数の少ない周波数は小さく、周回数が多くなるにつれ、光強度が大きくなる。すなわち、周波数ごとに光強度が異なってしまい、スペクトルの形状が、斜めになっている。OSNRはこれにより改善するが、光強度が異なることにより、本実施形態の多波長光源の後段の装置において周波数ごとに光再生処理や増幅処理をする場合に周波数ごとに不均一が生じてしまう。そこで、本構成例では、光周回部21の出力に光スペクトル成形器70を設け、全ての周波数の光強度がほぼ均一になるように、周波数ごとの減衰量を調整する。ノイズは光周回部21で信号光にのるので、光周回部21の出力で光強度を調整すれば、ノイズがのった後、ノイズごと信号光の光強度を調整することが出来る。これにより、周波数ごとのOSNRを維持したまま、光強度を均一に調整することが出来る。
【0076】
図22及び図23は、本実施形態の第10の構成例を説明する図である。
図22において、図11と同じ構成要素には同じ参照符号を付し、それらの説明を省略する。
【0077】
種光源発生部20aより光周波数f3,f8の光を出力する。光周回部21bには、1入力2出力光スペクトル成形器75が設けられる。1入力2出力光スペクトル成形器75の出力ポート1側には光周波数f3-f6,f9-f10が出力され、出力ポート2側には光周波数f2-f3が出力されるように設定する。光周波数シフタ10−1は+Δfの周波数シフトを,光周波数シフタ10−2は-Δfの周波数シフトを発生させる。このように、負の周波数シフトを発生させるには、光周波数シフタを構成する光SSB変調器への駆動信号として、周波数Δfの信号のほか、この信号を−π/2だけ移相した信号を入力するようにする。以上の構成により、2つの種光で、光周波数f1-f2,f4-f7,f9-f11 の3つのキャリア群に相当する多波長光を得ることができる。
【0078】
正の周波数シフトのみで3つのキャリア群に相当する多波長光を得るためには、3つの周波数の種光が必要だが、本構成例では、種光として2つの周波数の光で十分となる。このように、負の周波数シフトを用いることにより、種光の個数を削減することが可能となる。
【0079】
図23は、図22で用いられる1入力2出力光スペクトル成形器の構成例を説明する図である。
図22の場合、1入力2出力光スペクトル成形器は、周波数f3の光を出力ポート1, 2のどちらにも出力する必要がある。そのため、3ポート出力の光スペクトル成形器80のポート2から周波数f3の光を出力するようにし、これを光分波器82で分波し、光合波器81、83に入力するようにする。
【0080】
すなわち、光スペクトル成形器80の出力ポート1−3の透過周波数を以下のように設定にする。
ポート1: f4-f6, f9-f10
ポート2: f3
ポート3: f2
そして、光合波器81で、周波数f3-f6、f9-f10の光を合波して、出力ポート1に出力し、光合波器83で、周波数f2、f3の光を合波して、出力ポート2に出力するようにする。
【0081】
図24〜図28は、種光源発生部の構成例を示す図である。
図24では、種光源発生部は、複数の波長(周波数)固定の光源LD0-LDN、および、光合波器85からなり、信号生成制御部からの情報を元に光源LD0-LDNをON/OFFしたり、出力パワーの制御を行なう。
【0082】
図25では、種光源発生部は、複数の波長(周波数)固定の光源LD0-LDM、光減衰器86−1〜86−M+1、光合波器87からなり、光源LD0-LDMの出力に光減衰器86−1〜86−M+1をそれぞれ配置する。そして、信号生成制御部からの制御信号に基づいて光減衰器86−1〜86−M+1の減衰量を制御し、出力パワー制御を行ったり、出力光のON/OFFを行う。
【0083】
図26では、種光源発生部は、一つ以上の波長(周波数)可変光源LD1-LDKおよび光合波器90からなり、信号生成制御部からの情報を元に光源LD1-LDKのON/OFF、波長(周波数)設定を行い、出力パワーの制御を行う。
【0084】
図27では、種光源発生部は、複数の波長(周波数)可変の光源LD1-LDK、光減衰器91−1〜91−K、光合波器92からなり、波長可変光源LD1-LDKの出力に光減衰器91−1〜91−Kを配置する。信号生成制御部からの制御信号により、光減衰器91−1〜91−Kの減衰量を制御し、周波数ごとに出力パワー制御を行ったり、光減衰器91−1〜91−Kを用いて、出力光のON/OFFを行う。
【0085】
図28では、種光源発生部は、図13の多波長光源(ただし、LD30の出力をf0のみとする)と光スペクトル成形器95からなり、信号生成制御部からの情報を元に多波長光(f1-f8)を生成し、光周回部37の出力にある光スペクトル成形器95を用いて、必要な種光(例えば、f1、f8)を出力するようにすることができる。図28の構成により、周波数同期した複数の種光を得ることができる。
【0086】
図29は、本実施形態の多波長光源を用いた光送信器の図である。
本実施形態の多波長光源100を用いた光送信器では、多波長光源100から出力される多波長光を、分波器104で、各波長の光に分波し、各波長ごとに設けられた変調器101−1〜101−nで変調する。変調器101−1〜101−nからの信号光は、各波長ごとに設けられる光減衰器102−1〜102−nにおいて、光強度が調整され、合波器103において合波されて、波長多重光として、出力される。
【0087】
図30は、本実施形態を適用した光通信システムの図である。
本実施形態の多波長光源を用いた光送信器105から送信された光信号は、中継器106において、3R処理されて、転送される。アド・ドロップ装置107では、所定の波長の信号光が、送受信器110にドロップされると共に、送受信器110からの所定の波長の信号光が中継器106からの信号光とアドされる。アド・ドロップ装置107からの出力は、中継器108を介して、受信器109によって受信される。
【0088】
上記実施形態のほかに、以下の付記を開示する。
(付記1)
入力された光の周波数を、設定された周波数幅だけシフトする光周波数シフタと、
複数の異なる周波数の光を該光周波数シフタに入力させる種光源発生部と、
該光周波数シフタの出力を該光周波数シフタの入力側に周回させる周回路と、
該光周波数シフタの出力する各周波数の光について個別に減衰量を設定可能で、光スペクトル成形器と、
キャリア数、キャリア配置、キャリア周波数間隔の少なくとも一つに基づいて、該種光源発生部の出力周波数と、該光スペクトル成形器の減衰量を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする多波長光源。
(付記2)
前記制御部は、種光源発生部からの光の出力パワーを制御することを特徴とする付記1に記載の多波長光源。
(付記3)
前記制御部は、光周波数シフタの前記周波数幅を制御することを特徴とする付記1に記載の多波長光源。
(付記4)
キャリア数、キャリア配置、キャリア周波数間隔の少なくとも一つに基づいて、更に前記種光源発生部の出力する各光の出力パワーまたは前記光周波数シフタの周波数幅を制御することを特徴とする付記1に記載の多波長光源。
(付記5)
前記種光源発生部は、複数の異なる周波数の光を出力し、該複数の異なる周波数の光は、互いに周波数同期していることを特徴とする付記1または付記4に記載の多波長光源。
(付記6)
前記多波長光源は、出力する複数の周波数の光が互いに周波数同期していることを特徴とする付記5に記載の多波長光源。
(付記7)
前記光スペクトル成形器は、種光との周波数差の絶対値が大きくなるに伴い減衰量が大きくなることを特徴とする付記1または付記4に記載の多波長光源。
(付記8)
前記光周波数シフタからの出力光を入力とするように、第2の光スペクトル成形器が設けられ、
該第2の光スペクトル成形器は、複数の周波数の光のパワーが略均一になるように、各周波数の光の減衰量を制御することを特徴とする付記7に記載の多波長光源。
(付記9)
前記光スペクトル成形器は、前記周回路に設けられ、前記光周波数シフタの出力を入力とし、出力を該光周波数シフタへの入力とすることを特徴とする付記1または付記4に記載の多波長光源。
(付記10)
前記周波数シフタからの出力光を入力とする位置に、各周波数の光のパワーを検出するパワーモニタを備え、
前記制御部は、該パワーモニタにおいて検出された各周波数の光のパワーに基づいて、各周波数のパワーが略均一となるように、前記光スペクトル減衰器の減衰量を制御することを特徴とする付記1または付記4に記載の多波長光源。
(付記11)
複数の周波数の光を出力する種光源発生部と、
該光源の出力を各周波数の光に分波する周波数選択スイッチと、
付記1の光周波数シフタ、光スペクトル成形器及び周回路からなる、該周波数選択スイッチからの光を受信する複数のユニットとを備え、
該複数のユニットのそれぞれの光周波数シフタは、互いに異なる周波数幅で入力光の周波数をシフトすることを特徴とする多波長光源。
(付記12)
前記種光源発生部は、
入力された光の周波数を、設定された周波数幅だけシフトする第2の光周波数シフタと、
単一の周波数の光を該第2の光周波数シフタに入力させる光源と、
該第2の光周波数シフタの出力を該第2の光周波数シフタの入力側に周回する第2の周回路と、
該第2の光周波数シフタが出力する各周波数の光について個別に減衰量を設定可能で、設定された周波数の光のみを透過させる、該第2の周回路に設けられた第2の光スペクトル成形器と、
を備え、
周波数同期した複数の周波数の光を発生することを特徴とする付記1または付記4に記載の多波長光源。
(付記13)
前記周回路を伝搬する複数の周波数の光を複数のグループに分割し、各グループの光について光増幅器と光スペクトル成形器を設けることを特徴とする付記1または付記4に記載の多波長光源。
(付記14)
前記種光源発生部は、異なる周波数の光を出力する複数のレーザダイオードを含み、
該複数のレーザダイオード間について、発振光の位相同期が取られることを特徴とする付記1または付記4に記載の多波長光源。
(付記15)
前記光周波数シフタは、
入力された光の周波数を、設定された周波数幅だけ高周波数にシフトする第1の光周波数シフトユニットと、
入力された光の周波数を、設定された周波数幅だけ低周波数にシフトする第2の光周波数シフトユニットと、
を備え、
前記光スペクトル成形器は、各周波数の光の減衰量を調整すると共に、各周波数の光を該第1の光周波数シフトユニットと、該第2の光周波数ユニットに振り分けることを特徴とする付記1または付記4に記載の多波長光源。
(付記16)
前記種光源発生部は、
異なる周波数の光を出力する複数のレーザダイオードと、
該複数のレーザダイオードから出力される光を合波する光合波器と、
を備えることを特徴とする付記1または付記4に記載の多波長光源。
(付記17)
前記複数のレーザダイオードには、それぞれ光減衰器が設けられることを特徴とする付記16に記載の多波長光源。
(付記18)
前記レーザダイオードは、出力周波数が可変であることを特徴とする付記16または17に記載の多波長光源。
(付記19)
付記1に記載の波長光源を備えた光送信器。
(付記20)
付記17に記載の光送信器を備えた光通信システム。
【符号の説明】
【0089】
10、32、10−1、10−2 光SSB変調装置(光周波数シフタ)
11、12、33、36、57−1、57−2、11−1、11−2、12−1、12−2 光増幅器
13、63 光フィルタ
14、16、31、34、40、62 光カプラ
15、30、60−1、60−2 光源(LD)
20、20a 種光源発生部
21、21−1〜21−3、21a、21b、37 光周回部
22、35、70、80、95 光スペクトル生成器
23 信号生成制御部
41、82 光分波器
42−1〜42−9 パワーモニタ
43 出力パワー情報収集部
50 周波数選択スイッチ
55 多出力ポート光スペクトル成形器
56 多入力ポート光スペクトル成形器
61、81、83 光合波器
64 位相同期部
75 1入力2出力光スペクトル成形器
85、87、90、92 光合波器
86−1〜86−M+1、91−1〜91−K+1 光減衰器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された光の周波数を、設定された周波数幅だけシフトする光周波数シフタと、
複数の異なる周波数の光を該光周波数シフタに入力させる種光源発生部と、
該光周波数シフタの出力を該光周波数シフタの入力側に周回させる周回路と、
該光周波数シフタの出力する各周波数の光について個別に減衰量を設定可能で、光スペクトル成形器と、
キャリア数、キャリア配置、キャリア周波数間隔の少なくとも一つに基づいて、該種光源発生部の出力周波数と、該光スペクトル成形器の減衰量を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする多波長光源。
【請求項2】
前記制御部は、種光源発生部からの光の出力パワーを制御することを特徴とする請求項1に記載の多波長光源。
【請求項3】
前記制御部は、光周波数シフタの前記周波数幅を制御することを特徴とする請求項1に記載の多波長光源。
【請求項4】
キャリア数、キャリア配置、キャリア周波数間隔の少なくとも一つに基づいて、更に前記種光源発生部の出力する各光の出力パワーまたは前記光周波数シフタの周波数幅を制御することを特徴とする請求項1に記載の多波長光源。
【請求項5】
前記種光源発生部は、複数の異なる周波数の光を出力し、該複数の異なる周波数の光は、互いに周波数同期していることを特徴とする請求項1または請求項4に記載の多波長光源。
【請求項6】
前記光スペクトル成形器は、種光との周波数差の絶対値が大きくなるに伴い減衰量が大きくなることを特徴とする請求項1または請求項4に記載の多波長光源。
【請求項7】
前記光スペクトル成形器は、前記周回路に設けられ、前記光周波数シフタの出力を入力とし、出力を該光周波数シフタへの入力とすることを特徴とする請求項1または請求項4に記載の多波長光源。
【請求項8】
前記周波数シフタからの出力光を入力とする位置に、各周波数の光のパワーを検出するパワーモニタを備え、
前記制御部は、該パワーモニタにおいて検出された各周波数の光のパワーに基づいて、各周波数のパワーが略均一となるように、前記光スペクトル減衰器の減衰量を制御することを特徴とする請求項1または請求項4に記載の多波長光源。
【請求項9】
複数の周波数の光を出力する種光源発生部と、
該光源の出力を各周波数の光に分波する周波数選択スイッチと、
請求項1の光周波数シフタ、光スペクトル成形器及び周回路からなる、該周波数選択スイッチからの光を受信する複数のユニットとを備え、
該複数のユニットのそれぞれの光周波数シフタは、互いに異なる周波数幅で入力光の周波数をシフトすることを特徴とする多波長光源。
【請求項10】
前記種光源発生部は、
入力された光の周波数を、設定された周波数幅だけシフトする第2の光周波数シフタと、
単一の周波数の光を該第2の光周波数シフタに入力させる光源と、
該第2の光周波数シフタの出力を該第2の光周波数シフタの入力側に周回する第2の周回路と、
該第2の光周波数シフタが出力する各周波数の光について個別に減衰量を設定可能で、設定された周波数の光のみを透過させる、該第2の周回路に設けられた第2の光スペクトル成形器と、
を備え、
周波数同期した複数の周波数の光を発生することを特徴とする請求項1または請求項4に記載の多波長光源。
【請求項11】
前記周回路を伝搬する複数の周波数の光を複数のグループに分割し、各グループの光について光増幅器と光スペクトル成形器を設けることを特徴とする請求項1または請求項4に記載の多波長光源。
【請求項12】
前記種光源発生部は、異なる周波数の光を出力する複数のレーザダイオードを含み、
該複数のレーザダイオード間について、発振光の位相同期が取られることを特徴とする請求項1または請求項4に記載の多波長光源。
【請求項13】
前記光周波数シフタは、
入力された光の周波数を、設定された周波数幅だけ高周波数にシフトする第1の光周波数シフトユニットと、
入力された光の周波数を、設定された周波数幅だけ低周波数にシフトする第2の光周波数シフトユニットと、
を備え、
前記光スペクトル成形器は、各周波数の光の減衰量を調整すると共に、各周波数の光を該第1の光周波数シフトユニットと、該第2の光周波数ユニットに振り分けることを特徴とする請求項1または請求項4に記載の多波長光源。
【請求項14】
前記種光源発生部は、
異なる周波数の光を出力する複数のレーザダイオードと、
該複数のレーザダイオードから出力される光を合波する光合波器と、
を備えることを特徴とする請求項1または請求項4に記載の多波長光源。
【請求項15】
請求項1に記載の波長光源を備えた光送信器。
【請求項16】
請求項15に記載の光送信器を備えた光通信システム。
【請求項1】
入力された光の周波数を、設定された周波数幅だけシフトする光周波数シフタと、
複数の異なる周波数の光を該光周波数シフタに入力させる種光源発生部と、
該光周波数シフタの出力を該光周波数シフタの入力側に周回させる周回路と、
該光周波数シフタの出力する各周波数の光について個別に減衰量を設定可能で、光スペクトル成形器と、
キャリア数、キャリア配置、キャリア周波数間隔の少なくとも一つに基づいて、該種光源発生部の出力周波数と、該光スペクトル成形器の減衰量を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする多波長光源。
【請求項2】
前記制御部は、種光源発生部からの光の出力パワーを制御することを特徴とする請求項1に記載の多波長光源。
【請求項3】
前記制御部は、光周波数シフタの前記周波数幅を制御することを特徴とする請求項1に記載の多波長光源。
【請求項4】
キャリア数、キャリア配置、キャリア周波数間隔の少なくとも一つに基づいて、更に前記種光源発生部の出力する各光の出力パワーまたは前記光周波数シフタの周波数幅を制御することを特徴とする請求項1に記載の多波長光源。
【請求項5】
前記種光源発生部は、複数の異なる周波数の光を出力し、該複数の異なる周波数の光は、互いに周波数同期していることを特徴とする請求項1または請求項4に記載の多波長光源。
【請求項6】
前記光スペクトル成形器は、種光との周波数差の絶対値が大きくなるに伴い減衰量が大きくなることを特徴とする請求項1または請求項4に記載の多波長光源。
【請求項7】
前記光スペクトル成形器は、前記周回路に設けられ、前記光周波数シフタの出力を入力とし、出力を該光周波数シフタへの入力とすることを特徴とする請求項1または請求項4に記載の多波長光源。
【請求項8】
前記周波数シフタからの出力光を入力とする位置に、各周波数の光のパワーを検出するパワーモニタを備え、
前記制御部は、該パワーモニタにおいて検出された各周波数の光のパワーに基づいて、各周波数のパワーが略均一となるように、前記光スペクトル減衰器の減衰量を制御することを特徴とする請求項1または請求項4に記載の多波長光源。
【請求項9】
複数の周波数の光を出力する種光源発生部と、
該光源の出力を各周波数の光に分波する周波数選択スイッチと、
請求項1の光周波数シフタ、光スペクトル成形器及び周回路からなる、該周波数選択スイッチからの光を受信する複数のユニットとを備え、
該複数のユニットのそれぞれの光周波数シフタは、互いに異なる周波数幅で入力光の周波数をシフトすることを特徴とする多波長光源。
【請求項10】
前記種光源発生部は、
入力された光の周波数を、設定された周波数幅だけシフトする第2の光周波数シフタと、
単一の周波数の光を該第2の光周波数シフタに入力させる光源と、
該第2の光周波数シフタの出力を該第2の光周波数シフタの入力側に周回する第2の周回路と、
該第2の光周波数シフタが出力する各周波数の光について個別に減衰量を設定可能で、設定された周波数の光のみを透過させる、該第2の周回路に設けられた第2の光スペクトル成形器と、
を備え、
周波数同期した複数の周波数の光を発生することを特徴とする請求項1または請求項4に記載の多波長光源。
【請求項11】
前記周回路を伝搬する複数の周波数の光を複数のグループに分割し、各グループの光について光増幅器と光スペクトル成形器を設けることを特徴とする請求項1または請求項4に記載の多波長光源。
【請求項12】
前記種光源発生部は、異なる周波数の光を出力する複数のレーザダイオードを含み、
該複数のレーザダイオード間について、発振光の位相同期が取られることを特徴とする請求項1または請求項4に記載の多波長光源。
【請求項13】
前記光周波数シフタは、
入力された光の周波数を、設定された周波数幅だけ高周波数にシフトする第1の光周波数シフトユニットと、
入力された光の周波数を、設定された周波数幅だけ低周波数にシフトする第2の光周波数シフトユニットと、
を備え、
前記光スペクトル成形器は、各周波数の光の減衰量を調整すると共に、各周波数の光を該第1の光周波数シフトユニットと、該第2の光周波数ユニットに振り分けることを特徴とする請求項1または請求項4に記載の多波長光源。
【請求項14】
前記種光源発生部は、
異なる周波数の光を出力する複数のレーザダイオードと、
該複数のレーザダイオードから出力される光を合波する光合波器と、
を備えることを特徴とする請求項1または請求項4に記載の多波長光源。
【請求項15】
請求項1に記載の波長光源を備えた光送信器。
【請求項16】
請求項15に記載の光送信器を備えた光通信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図20】
【図21】
【図2】
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【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2012−203264(P2012−203264A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68869(P2011−68869)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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