説明

多色電子デバイス、および印刷によるその形成方法

工作物上にサブピクセルの行の規則的な配列を形成する方法を提供する。これらのサブピクセルはc種類の異なる色を有し、その中のa種類の色は印刷によって形成される。サブピクセルピッチはsである。本発明の方法は、(a)一列に配列したz個の隣接ノズルをaセット有する印刷ヘッドを提供するステップであって、同じセット中の隣接ノズル間の間隔がp1=csであり、異なるセット中の隣接ノズル間の間隔がp2=(c+1)sであり、印刷ヘッドが工作物に対して第1の位置にあるステップと;(b)a種類の色のそれぞれに1つの、a種類の異なる印刷インクを提供するステップと;(c)1つのセット中のそれぞれのノズルに同じ色が収容され、異なる色がノズルの各セットに供給されるように、それぞれの印刷インクをノズルに供給するステップと;(d)印刷ヘッドを使用してサブピクセルのaz個の行の第1のセットを印刷するステップと;(e)距離dだけ、印刷ヘッドに対して横方向に工作物を移動させるステップであって、d=cz(s)であるステップと;(f)印刷ヘッドを使用してサブピクセルのaz個の行の第2のセットを印刷するステップと;(g)サブピクセルのaz個の行が合計nセットとなるように、ステップ(e)および(f)をn−2回繰り返すステップとを含む。
本発明の方法においては、a、c、n、およびzは、独立して、1を超える整数である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、電子デバイスおよび方法に関し、特に、電極と異なる色の有機活性領域とを有する電子デバイス、およびその形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスとしては、液晶ディスプレイ(「LCD」)、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイなどを挙げることができる。電子デバイスの製造は、溶液堆積技術を使用して行うことができる。電子デバイスの製造方法の1つは、印刷(たとえば、インクジェット印刷、連続印刷など)によって基体上に有機層を堆積することである。ある印刷方法では、印刷される液体組成物としては、有機溶媒、水性溶媒、または溶媒の組み合わせを有する溶液中、分散体中、エマルジョン中、または懸濁物中の有機材料が挙げられる。印刷後、溶媒を蒸発させると、有機材料が残存して電子デバイスの有機層が形成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
典型的には、第1の色が印刷され、次に印刷装置が再調整され、第2の色が印刷される。場合によっては、第1の印刷色を有する基体が、第2の色を印刷する第2のプリンタまで移動する。このためには、プリンタの調整および位置合わせの時間も必要となる。多くの場合、赤色、緑色、および青色の3色が印刷される。この場合、それぞれの色で再調整および/または再度の位置合わせのための時間が必要となる。場合によっては、一部の色が印刷によって塗布され、一部の色は非印刷堆積によって塗布される。改善された堆積方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
工作物上にサブピクセルの行の規則的な配列を形成する方法であって、サブピクセルがc種類の異なる色、およびサブピクセルピッチsを有し、色の中のa種類が印刷によって形成され:
(a)一列に配列したz個の隣接ノズルをaセット有する印刷ヘッドを提供するステップであって、同じセット中の隣接ノズル間の間隔がp1=csであり、異なるセット中の隣接ノズル間の間隔がp2=(c+1)sであり、印刷ヘッドが工作物に対して第1の位置にあるステップと;
(b)a種類の色のそれぞれに1つの、a種類の異なる印刷インクを提供するステップと;
(c)1つのセット中のそれぞれのノズルに同じ色が収容され、異なる色がノズルの各セットに供給されるように、それぞれの印刷インクをノズルに供給するステップと;
(d)印刷ヘッドを使用してサブピクセルのaz個の行の第1のセットを印刷するステップと;
(e)距離dだけ、印刷ヘッドに対して横方向に工作物を移動させるステップであって、d=cz(s)であるステップと;
(f)印刷ヘッドを使用してサブピクセルのaz個の行の第2のセットを印刷するステップと;
(g)サブピクセルのaz個の行が合計nセットとなるように、ステップ(e)および(f)をn−2回繰り返すステップとを含み;
ここで:
aは1を超える整数であり;
cは1を超える整数であり;
nは1を超える整数であり、
zは1を超える整数である、
方法を提供する。
【0005】
b種類の色が非印刷方法によって塗布される上記方法であって:
(h)非印刷堆積用のb種類の異なる材料を提供するステップと;
(i)非印刷方法によって、b種類の材料のそれぞれを別々に工作物上に堆積するステップとをさらに含み;
ここで:
bは0を超える整数であり;
c=a+bである、
方法も提供する。
【0006】
以上の一般的説明および以下の詳細な説明は、単に例示的および説明的なものであり、添付の特許請求の範囲において規定される本発明を限定するものではない。
【0007】
本明細書において提示される概念の理解を進めるために、添付の図面において実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】工作物およびプリンタの断面図である。
【図2】ディスプレイなどの電子デバイスを製造するための工作物の平面図である。
【図3】3つの印刷色を有する印刷方法を説明する図である。
【図4】2つの印刷色を有する印刷方法を説明する図である。
【図5】3つの印刷色および2つの非印刷色を有する印刷方法を説明する図である。
【図6】2つの印刷色および2つの非印刷色を有する印刷方法を説明する図である。
【図7】赤色および緑色の印刷色を有し、青色が非印刷方法によって堆積される印刷方法を示す図である。
【0009】
当業者であれば理解しているように、図面中の要素は、平易かつ明快にするために示されており、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではない。たとえば、本発明の実施形態を理解しやすいようにするために、図面中の一部の要素の寸法が他の要素よりも誇張されている場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0010】
多数の態様および実施形態を以上に説明してきたが、これらは単に例示的で非限定的なものである。本明細書を読めば、本発明の範囲から逸脱しない他の態様および実施形態が実現可能であることが、当業者には分かるであろう。
【0011】
いずれか1つ以上の本発明の実施形態のその他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかとなるであろう。この詳細な説明では、最初に、用語の定義および説明を扱い、続いて、プリンタ、印刷方法、非印刷方法、ならびに電子デバイスを扱う。
【0012】
1.用語の定義および説明
以下に説明する実施形態の詳細を扱う前に、一部の用語について定義または説明を行う。
【0013】
ノズルに関して使用される用語「隣接」は、それらのノズルが互いに直接隣接していることを意味することを意図している。
【0014】
用語「配列」は、要素の規則的な配置を意味することを意図している。配列としては、規則的な配置中で、通常は列および行によって指定される、ピクセル、サブピクセル、セル、またはその他の構造を挙げることができる。配列は、x方向およびy方向で示される場合がある。
【0015】
用語「青色」は、約400〜500nmの範囲内の波長を意味する。
【0016】
用語「連続」およびその変形は、実質的に中断されていないことを意味することを意図している。一実施形態においては、連続的な印刷は、液体または液体組成物の実質的に中断されない流れを使用した印刷であり、液滴を使用する堆積技術とは対照的である。別の一実施形態においては、連続的に延在するとは、層、部材、または構造の中のその長さに沿った中断が実質的に存在しない、ある長さの層、部材、または構造を意味する。
【0017】
用語「電子デバイス」は、全体として、適切に電気的に接続され、適切な電位が供給される場合にある機能を果たす一群の回路、電子部品、またはそれらのあらゆる組み合わせを意味することを意図している。電子デバイスは、システムに含まれる場合もあるし、システムの一部である場合もある。電子デバイスの例としては、ディスプレイ、センサーアレイ、コンピューターシステム、アビオニクスシステム、自動車、携帯電話、その他の家庭用または産業用電子製品、あるいはそれらのあらゆる組み合わせが挙げられる。
【0018】
用語「緑色」は、約500〜600nmの範囲内の波長を意味する。
【0019】
用語「ゲスト材料」は、ホスト材料を含む層内で、その層の電子的特性、あるいは放射線の放出、受信、またはフィルタリングの目標波長を、そのような材料を含まない層の電子的特性、あるいは放射線の放出、受信、またはフィルタリングの波長に対して変化させる材料を意味することを意図している。
【0020】
用語「ホスト材料」は、ゲスト材料を加える場合も加えない場合もある、通常は層の形態の材料を意味することを意図している。ホスト材料は、電子的特性、あるいは放射線を放出、受信、またはフィルタリングする能力を有する場合もあるし、有さない場合もある。
【0021】
用語「発光材料」は、可視光線を放出することができる材料を意味することを意図している。「可視」は、約400〜700nmに相当する波長を有する放射線スペクトルを意味する。
【0022】
用語「液体組成物」は、液体媒体中に溶解して溶液を形成する材料、液体媒体中に分散して分散体を形成する材料、液体媒体中に懸濁して懸濁物またはエマルジョンを形成する材料を意味することを意図している。
【0023】
用語「液体媒体」は、溶液、分散体、懸濁物、またはエマルジョンの中の液体を意味することを意図している。用語「液体媒体」は、1種類の溶媒が存在するか、または2種類以上の溶媒が存在するかとは無関係に使用され、したがって、液体媒体は、その用語の単数形または複数形(すなわち、複数の液体媒体)として使用される。
【0024】
用語「ノズル」は、それを介して液体組成物または液体媒体を定量供給することができる装置の一部を意味することを意図している。
【0025】
用語「印刷インク」は、1つの色の発光材料を含む液体組成物を意味することを意図している。
【0026】
用語「配向」は、特徴が延在する主方向を意味することを意図している。同じ高さまたは異なる高さにおける異なる特徴の間では、それらの特徴は、実質的に平行、実質的に直交、または互いに対して別の角度の関係で配向することができる。
【0027】
用語「ピッチ」は、特徴の寸法と、直接隣接する特徴の間の間隔の寸法との合計を意味することを意図している。
【0028】
用語「ピクセル」は、配列の最小の完全な繰り返し単位を意味することを意図している。用語「サブピクセル」は、ピクセルのすべてではなく一部のみを構成するピクセルの一部を意味することを意図している。フルカラーディスプレイにおいては、フルカラーピクセルは、赤色、緑色、および青色のスペクトル領域の原色を有する3種類のサブピクセルを含むことができる。
【0029】
用語「印刷」は、印刷ヘッド、あるいは液体または液体組成物を工作物上に定量供給する他の類似の構造を使用することによって、層を選択的に堆積する行為を意味することを意図している。
【0030】
用語「印刷装置」は、工作物上に層を印刷するために設計された、1つ以上の材料、設備、組立体、または部分組立体の組み合わせを意味することを意図している。
【0031】
用語「赤色」は、約600〜700nmの範囲内の波長を意味する。
【0032】
用語「工作物」は、1つ以上のデバイス層を上に有する基体を意味することを意図している。デバイス層は、無機の場合も有機の場合もある。
【0033】
本明細書において使用される場合、用語「含んでなる」、「含んでなること」、「含む」、「含むこと」、「有する」、「有すること」、またはそれらの他のあらゆる変形は、非排他的な包含を扱うことを意図している。たとえば、ある一連の特徴を含むプロセス、方法、物品、または装置は、それらの特徴にのみに必ずしも限定されるわけではなく、そのようなプロセス、方法、物品、または装置に関して明示されず固有のものでもない他の特徴を含むことができる。さらに、反対の意味で明記されない限り、「または」は、包含的な「または」を意味するのであって、排他的な「または」を意味するのではない。たとえば、条件AまたはBが満たされるのは、Aが真であり(または存在し)Bが偽である(または存在しない)、Aが偽であり(または存在せず)Bが真である(または存在する)、ならびにAおよびBの両方が真である(または存在する)のいずれか1つによってである。
【0034】
また、本発明の要素および成分を説明するために「a」または「an」も使用されている。これは単に便宜的なものであり、本発明の一般的な意味を提供するために行われている。この記述は、1つまたは少なくとも1つを含むものと読むべきであり、明らかに他の意味となる場合を除けば、単数形は複数形も含んでいる。
【0035】
元素周期表中の縦列に対応する族の番号は、CRC Handbook of Checistry and Physics,81stEdition(2000−2001に見ることができる「新表記法」(New Notation)の規則を使用している。
【0036】
特に定義しない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されている意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと類似または同等の方法および材料を使用して、本発明の実施形態の実施または試験を行うことができるが、好適な方法および材料については以下に説明する。本明細書において言及されるあらゆる刊行物、特許出願、特許、およびその他の参考文献は、特に明記しない限り、それらの記載内容全体が援用される。矛盾が生じる場合には、定義を含めて本明細書に従うものとする。さらに、材料、方法、および実施例は、単に説明的なものであって、限定を意図したものではない。
【0037】
本明細書に記載されていない程度の、具体的な材料、処理行為、および回路に関する多くの詳細は従来通りであり、それらについては、有機発光ダイオードディスプレイ、光源、光検出器、光電池、および半導体要素の技術分野の教科書およびその他の情報源中に見ることができる。
【0038】
2.プリンタ
特定の実施形態を扱う前に、本明細書に記載の概念を理解しやすくするために、プリンタを扱う。
【0039】
図1に示されるように、プリンタ10は、第1のセットの2つのノズル110と、第2のセットの2つのノズル120とが取り付けられた印刷ヘッド100を有する。同じセット中のノズル110の間の間隔はp1と示されている。異なるセット中の隣接ノズル110および120の間の間隔はp2と示されている。プリンタには、適切な液体組成物を各ノズルに供給するためのライン(図示せず)が取り付けられている。第1のセット中のノズル110が第1の色を収容し、第2のセット中のノズル120が第1の色とは異なる第2の色を収容するように、それぞれの色の異なる液体組成物が供給される。
【0040】
印刷ヘッドは工作物20の上に示されている。印刷ヘッドおよび工作物は、Lで示されるように、互いに対して移動することができる。この横方向の移動は相対的である。ある場合では、工作物が移動する。ある場合では、印刷ヘッドが移動する。ある場合では、印刷ヘッドと工作物との両方が移動する。簡単にするために、この移動は、印刷ヘッドのみが移動し、工作物は静止しているかのように取り扱う。印刷ヘッドおよび工作物のいずれかまたは両方が移動することができるが、互いに対するそれらの相対的な移動のみが問題となることは理解されよう。
【0041】
図1に示される実施形態においては、プリンタは4つのノズルを有する。ノズルの実際の数はこれより多くてもよく、実際の製造を考慮することによってのみ限定される。ある実施形態においては、ノズル数は6〜24の範囲である。
【0042】
印刷のための送出は、液体材料をパターンで堆積するためのあらゆる周知のシステムであってよい。印刷技術の例の一部としては、インクジェットおよび連続ノズルスプレーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
3.印刷方法
図2は、電子デバイスを製造するための工作物20の平面図である。工作物は、サブピクセル開口部210の規則的な配列を有する基体200を含む。工作物は、第1の縁端部201と反対側の縁端部202とを有する。図面中には数個のサブピクセルのみが示されている。実際には、デバイスは、数百個以上のサブピクセルを有することができる。ある実施形態においては、サブピクセル開口部は、物理的閉じ込め構造、化学的閉じ込め構造、またはその両方であってよい閉じ込め構造(図示せず)によって画定される。サブピクセル開口部210は、211、212、および213で示される行の規則的な配列中に存在する。サブピクセルピッチはsで示されている。この図中では、3つのサブピクセルを合わせたものがピクセル220を形成する。図示される実施形態においては、サブピクセル210は長方形である。円形、楕円形、正方形、または多角形などの他のサブピクセル形状を使用することもできる。印刷方向は、図中にxで示されている。横方向の移動は、印刷方向に対して垂直であるy方向の移動として定義される。
【0044】
本明細書に記載の方法においては、サブピクセルの行の規則的な配列が工作物上に形成される。これらのサブピクセルはサブピクセルピッチsを有する。この印刷ステップは:
(a)一列に配列したz個の隣接ノズルをaセット有する印刷ヘッドを提供するステップであって、同じセット中の隣接ノズル間の間隔がp1=csであり、異なるセット中の隣接ノズル間の間隔がp2=(c+1)sであり、印刷ヘッドが工作物に対して第1の位置にあるステップと;
(b)a種類の色のそれぞれに1つの、異なる印刷インクを提供するステップと;
(c)1つのセット中のそれぞれのノズルに同じ色が収容され、異なる色がノズルの各セットに供給されるように、それぞれの印刷インクをノズルに供給するステップと;
(d)印刷ヘッドを使用してサブピクセルのaz個の行の第1のセットを印刷するステップと;
(e)距離dだけ、印刷ヘッドに対して横方向に工作物を移動させるステップであって、d=cz(s)であるステップと;
(f)印刷ヘッドを使用してサブピクセルのaz個の行の第2のセットを印刷するステップと;
(g)サブピクセルaz個の行が合計nセットとなるように、ステップ(e)および(f)をn−2回繰り返すステップとを含み;
ここで:
aは0を超える整数であり;
cは2を超える整数であり;
nは1を超える整数であり、
zは1を超える整数である。
【0045】
印刷ヘッドは、az個のノズルを有し、ここでaは印刷色の数であり、zは、任意の特定の色のノズルの数である。各色のノズル互いに一群にまとめられ、それによって印刷ヘッドは、第1の色のすべてのノズルを有し、次に第2の色のすべてのノズルを有する、などとなる。ある実施形態においては、cは3または4である。ある実施形態においては、c=3である場合、それらの色は、赤色、青色、および緑色である。ある実施形態においては、b=2であり、印刷色は、赤色および緑色である。ある実施形態においては、c=4である場合、それらの色は、赤色、青色、緑色、および白色である。ある実施形態においては、b=3であり、印刷色は、赤色、緑色、および白色である。
【0046】
印刷ヘッドは、工作物上の第1の印刷位置で開始する。この第1の位置をA1と呼び、これについては後の項で議論する。ある実施形態においては、プリンタは、図2中に201で示される工作物の一方の縁端部に配置され、サブピクセルの第1の行上で位置合わせされる。ノズルは、サブピクセルの行中に印刷されるようにすべてのノズルが位置合わせされるような距離だけ、間隔が開けられている。したがって、これらのノズルは、サブピクセルピッチsの倍数だけ間隔を開けている。用語「ある数の倍数」は、その数に0を超える整数を乗じた値を意味する。各セット中のノズルは、p1=csだけ間隔を開けている。異なるセットの隣接ノズル、言い換えると、異なる色を印刷するための隣接ノズルは、p2=(c+1)sだけ間隔を開けている。
【0047】
プリンタは、x方向で工作物にわたって印刷することで、サブピクセルの行の第1のセットが印刷される。印刷される行の数は、印刷ヘッドのノズルの総数に等しい。
【0048】
行の第1のセットの印刷終了後、印刷ヘッドは、工作物に沿って横方向に隣接する印刷位置まで移動する。この位置をA2と呼び、これについては後の項で議論する。この移動は、工作物の面に対して並行であり、行方向と直交するy方向である。移動距離dは、サブピクセルピッチsの倍数でもあり、d=czsである。次にaz個の行の第2のセットが印刷される。この印刷は、第1の印刷の反対方向であってもよいし、または印刷ヘッドが第1の印刷と同じ側に戻って同じ方向で印刷することもできる。これは、装置およびソフトウェアによって決定される。
【0049】
dだけ移動して、az個のサブピクセル行を印刷するステップは、図2に202で示される工作物の反対側の縁端部までプリンタが到達するまで続けられる。したがって、印刷されるサブピクセル行印刷が合計nセットとなるように、上記ステップはn−2回繰り返される。このnという数は、ディスプレイの印刷に対応させるために非常に大きくなりうる。ある実施形態においては、nは少なくとも50であり;ある実施形態においては、nは少なくとも100である。nの値の上限は、サブピクセルピッチs、および印刷される工作物の大きさによって決定される。サブピクセルピッチsは、所望の解像度によって決定される。ある実施形態においては、sは1〜20ミクロンの範囲内である。この印刷方法においては、数個のサブピクセル開口部が、第1の縁端部および反対側の縁端部において印刷されない。これらは工作物上のむだな領域となる。
【0050】
実際には、サブピクセル行は、あらゆる順序で印刷することができる。工作物に対する印刷ヘッドの移動は前述した通りであり、az個のサブピクセル行のnセットが、位置A1、A2、A3などから出発して印刷されるが、必ずしもこの順序通りでなくてもよい。印刷の正確な順序は、プリンタの最も効率的な使用方法によって決定される。
【0051】
本明細書に記載の方法を、図3においてさらに説明する。図3中、3つの印刷色、M1、M2、およびM3が存在する。印刷ヘッド上には各色に2つのノズルが存在する。したがって、この図においては:
a=3
c=3、および
z=2である。
【0052】
これらの色は、「プリンタ」と表示される列の下に示されるように配列される。最初の2つのノズルは色M1用であり、次の2つのノズルは色M2用であり、最後の2つのノズルは色M3用である。同じ色のノズル間の間隔はcであり、これは3サブピクセル単位となる。隣接するM1ノズルとM2ノズルとの間の間隔、ならびに隣接するM2ノズルとM3ノズルとの間の間隔はc+1であり、これは4サブピクセル単位となる。印刷ヘッドは、サブピクセル行1の上に色M1を有する第1のノズルが第1の縁端部に位置するように配置される。これが、A1で示される第1の印刷位置である。位置A1は、第1のノズルが上に配置されるサブピクセル行として定義される。プリンタによって、工作物の行方向にわたって印刷されることで、色M1の行がサブピクセル行1および4の中に形成され、色M2の行がサブピクセル行8および11の中に形成され、色M3の行がサブピクセル行15および18の中に形成される。これは、印刷#1で表示される列中に示されている。明確にするために、それぞれの色で1つのサブピクセルしか示していないが、それぞれがサブピクセルの行全体を表している。次に、プリンタは距離dだけ横方向に移動し、このdはczサブピクセル単位に等しく、この場合は6である。これがプリンタの位置A2となる。次に、プリンタによって、行の第2のセットが印刷され:印刷#2で表示される列中に示されるように、色M1の行がサブピクセル行7および10の中に、色M2の行がサブピクセル行14および17の中に、色M3の行がサブピクセル行21および24の中に印刷される。明確にするために、印刷#2は、印刷#1の右側にずらして示している。印刷#1および印刷#2の両方、ならびにその他のすべての印刷番号は、工作物にわたって印刷されるサブピクセルの行全体を表している。次に、プリンタは6サブピクセル単位だけ再び横方向に移動する。これがプリンタの位置A3となる。次に、プリンタによって行の第3のセットが印刷され:印刷#3で表示される列中に示されるように、色M1の行がサブピクセル行13および16の中に、色M2の行がサブピクセル行20および23の中に、色M3の行がサブピクセル行27および30の中に印刷される。この実施例においては、このプロセスが、位置A4および印刷#4、位置A5および印刷#5、位置A6および印刷#6、そして最後に位置A7および印刷#7に関して繰り返される。したがって、この実施例ではn=7であり、印刷される行の総数はnaz=42である。
【0053】
この時点で、印刷は工作物の反対側の縁端部に到達している。実際には、ほとんどのデバイスではより多くの行、最大で数百、またはそれ以上のサブピクセルが必要であり、これらの行は類似の方法で印刷される。図中の42のサブピクセル行は単なる例として示している。
【0054】
印刷結果は、「パターン」と表示される列に示されている。A1の縁端部および反対側の縁端部において、サブピクセルからサブピクセル行が欠落していることが分かる。したがって使用できるデバイス領域はサブピクセル行13からサブピクセル行45である。
【0055】
図4中、2つの印刷色M1およびM2が存在する。印刷ヘッド上には各色で5つのノズルが存在する。したがって、この図においては:
a=2
c=2、および
z=5である。
【0056】
これらの色は、「プリンタ」と表示される列の下に示されるように配列される。最初の5つのノズルは色M1用であり、次の5つのノズルは色M2用である。同じ色のノズル間の間隔はcであり、これは2サブピクセル単位となる。隣接するM1ノズルとM2ノズルとの間の間隔はc+1であり、これは3サブピクセル単位となる。図3に関して説明したように、印刷ヘッドは、サブピクセル行1の上のA1に配置される。プリンタによって、工作物の行方向にわたって印刷されることで、色M1の行がサブピクセル行1、3、5、7、および9の中に形成され、色M2の行がサブピクセル行12、14、16、18、および20の中に形成される。これは、印刷#1で表示される列中に示されている。図3と同様に、明確にするために、それぞれの色で1つのサブピクセルしか示していないが、それぞれがサブピクセルの行全体を表している。次に、プリンタは距離dだけ横方向に移動し、このdはczサブピクセル単位に等しく、この場合は10である。これがプリンタの位置A2となる。次に、プリンタによって、行の第2のセットが印刷され:印刷#2で表示される列中に示されるように、色M1の行がサブピクセル行11、13、15、17、および19の中に印刷され;色M2の行がサブピクセル行22、24、26、28、および30の中に印刷される。明確にするために、印刷#2は、印刷#1の右側にずらして示している。印刷#1および印刷#2の両方、ならびにその他のすべての印刷番号は、工作物にわたって印刷されるサブピクセルの行全体を表している。次に、プリンタは10サブピクセル単位だけ再び横方向に移動する。これがプリンタの位置A3となる。次に、プリンタによって行の第3のセットが印刷され:印刷#3で表示される列中に示されるように、色M1の行がサブピクセル行21、23、25、27、および29の中に印刷され;色M2の行がサブピクセル行32、34、36、38、および40の中に印刷される。この実施例においては、このプロセスが位置A4および印刷#4に関して繰り返される。したがって、この実施例ではn=4であり、印刷される行の総数はnaz=40である。
【0057】
この時点で、印刷は工作物の反対側の縁端部に到達している。前述したように、実際にはより多くの行が印刷され、図面中の40のサブピクセル行は単なる例として示している。
【0058】
印刷結果は、「パターン」と表示される列に示されている。A1の縁端部および反対側の縁端部において、サブピクセルからサブピクセル行が欠落していることが分かる。したがって使用できるデバイス領域はサブピクセル行13からサブピクセル行40である。
【0059】
4.非印刷方法
ある実施形態においては、デバイスのすべての色が印刷されるとは限らない。1つ以上の色が、他の堆積方法を使用して堆積される。このような方法としては、気相堆積、熱転写、ならびにスピンコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、浸漬コーティング、スロットダイコーティング、およびスプレーコーティングなどの連続液相堆積技術が挙げられるが、これらに限定されるものではない。このような方法は周知であり文献に記載されている。印刷と非印刷堆積との併用は、たとえば、米国特許出願公開第2008−0067924号明細書および米国特許出願公開第2008−0157659号明細書に開示されている。
【0060】
この実施形態において、印刷は、非印刷色のための空間を残す必要があり、非印刷色は印刷ステップの前または後に塗布することができる。ある実施形態においては、非印刷色は、層全体として塗布される。ある実施形態においては、非印刷色はピクセル化される。「ピクセル化」は、色が、その色のサブピクセル領域内にのみ堆積されることを意味する。ある実施形態においては、少なくとも1つの非印刷色が全体に塗布され、少なくとも1つの非印刷色がピクセル化される。
【0061】
この実施形態において、前述したように印刷される色の数はaであり、非印刷方法によって堆積される色の数はbである。色の総数はc=a+bとなる。
【0062】
非印刷ステップは:
(h)非印刷堆積用のb種類の異なる材料を提供するステップと;
(i)非印刷方法によって工作物上にb種類の材料を別々に堆積するステップとであり、
ここでbは0を超える整数である。
【0063】
非印刷色は、印刷色の前または後に堆積することができる。ある実施形態においては、非印刷色は、印刷色の後に堆積される。
【0064】
ある実施形態においては、bは1である。ある実施形態においては、非印刷材料は気相堆積によって堆積される。ある実施形態においては、非印刷材料が青色発光材料であり、印刷ステップの後に気相堆積によって全体に堆積される。ある実施形態においては、非印刷材料が赤色発光材料であり、全体に堆積される。
【0065】
非印刷堆積を含む方法を図5〜7にさらに示している。図5中、3つの印刷色M1、M2、およびM3が存在し、さらに1つの追加の色が非印刷堆積によって塗布される。印刷ヘッド上には各色で2つのノズルが存在する。したがって、この図においては:
a=3
b=1
c=4、および
z=2である。
【0066】
これらの色は、「プリンタ」と表示される列の下に示されるように配列される。最初の2つのノズルは色M1用であり、次の2つのノズルは色M2用であり、最後の2つのノズルは色M3用である。同じ色のノズル間の間隔はcであり、これは4サブピクセル単位となる。隣接するM1ノズルとM2ノズルとの間の間隔はc+1であり、これは5サブピクセル単位となる。図3に関して説明したように、印刷ヘッドは、サブピクセル行1の上のA1に配置される。プリンタによって、工作物の行方向にわたって印刷されることで、色M1の行がサブピクセル行1および5の中に形成され、色M2の行がサブピクセル行10および14の中に形成され、色M3の行がサブピクセル行19および23の中に形成される。これは、印刷#1で表示される列中に示されている。図3と同様に、明確にするために、それぞれの色で1つのサブピクセルしか示していないが、それぞれがサブピクセルの行全体を表している。次に、プリンタは距離dだけ横方向に移動し、このdはczサブピクセル単位に等しく、この場合は8である。これがプリンタの位置A2となる。次に、プリンタによって、行の第2のセットが印刷され:印刷#2で表示される列中に示されるように、色M1の行がサブピクセル行9および13の中に印刷され;色M2の行がサブピクセル行18および22の中に印刷され;色M3の行がサブピクセル行27および31の中に印刷される。明確にするために、印刷#2は、印刷#1の右側にずらして示している。印刷#1および印刷#2の両方、ならびにその他のすべての印刷番号は、工作物にわたって印刷されるサブピクセルの行全体を表している。次に、プリンタは8サブピクセル単位だけ再び横方向に移動する。これがプリンタの位置A3となる。次に、プリンタによって行の第3のセットが印刷され:印刷#3で表示される列中に示されるように、色M1の行がサブピクセル行17および21の中に印刷され;色M2の行がサブピクセル行26および30の中に印刷され;色M3の行がサブピクセル行35および39の中に印刷される。この実施例においては、このプロセスが位置A4および印刷#4、ならびに位置A5および印刷#5に関して繰り返される。したがって、この実施例ではn=5であり、印刷される行の総数はnaz=30である。
【0067】
この時点で、印刷は工作物の反対側の縁端部に到達している。前述したように、実際にはより多くの行が印刷され、図面中の30のサブピクセル行は単なる例として示している。
【0068】
印刷結果は、「パターン」と表示される列に示されている。A1の縁端部および反対側の縁端部において、サブピクセルからサブピクセル行が欠落していることが分かる。サブピクセルの空間は、色M4の非印刷堆積のために、サブピクセル行20、24、28、32、36、および40を利用することができ、それによって完全な4色ピクセル単位が形成される。したがって使用できるデバイス領域はサブピクセル行17からサブピクセル行40である。
【0069】
図6中、2つの印刷色M1およびM2が存在し、2つの追加の色M3およびM4が非印刷堆積によって塗布される。印刷ヘッド上には各色で2つのノズルが存在する。したがって、この図においては:
a=2
b=2
c=4、および
z=2である。
【0070】
これらの色は、「プリンタ」と表示される列の下に示されるように配列される。最初の2つのノズルは色M1用であり、次の2つのノズルは色M2用である。同じ色のノズル間の間隔はcであり、これは4サブピクセル単位となる。隣接するM1ノズルとM2ノズルとの間の間隔はc+1であり、これは5サブピクセル単位となる。図3に関して説明したように、印刷ヘッドは、サブピクセル行1の上のA1に配置される。プリンタによって、工作物の行方向にわたって印刷されることで、色M1の行がサブピクセル行1および5の中に形成され、色M2の行がサブピクセル行10および14の中に形成される。これは、印刷#1で表示される列中に示されている。図3と同様に、明確にするために、それぞれの色で1つのサブピクセルしか示していないが、それぞれがサブピクセルの行全体を表している。次に、プリンタは距離dだけ横方向に移動し、このdはczサブピクセル単位に等しく、この場合は8である。これがプリンタの位置A2となる。次に、プリンタによって、行の第2のセットが印刷され、印刷#2で表示される列中に示されるように、色M1の行がサブピクセル行9および13の中に印刷され、色M2の行がサブピクセル行18および22の中に印刷される。明確にするために、印刷#2は、印刷#1の右側にずらして示している。印刷#1および印刷#2の両方、ならびにその他のすべての印刷番号は、工作物にわたって印刷されるサブピクセルの行全体を表している。次に、プリンタは8サブピクセル単位だけ再び横方向に移動する。これがプリンタの位置A3となる。次に、プリンタによって行の第3のセットが印刷され、印刷#3で表示される列中に示されるように、色M1の行がサブピクセル行17および21の中に印刷され、色M2の行がサブピクセル行26および30の中に印刷される。この実施例においては、このプロセスが位置A4および印刷#4、位置A5および印刷#5、ならびに位置A6および印刷#6に関して繰り返される。したがって、この実施例ではn=6であり、印刷される行の総数はnaz=24である。
【0071】
この時点で、印刷は工作物の反対側の縁端部に到達している。前述したように、実際にはより多くの行が印刷され、図面中の24のサブピクセル行は単なる例として示している。
【0072】
印刷結果は、「パターン」と表示される列に示されている。A1の縁端部および反対側の縁端部において、サブピクセルからサブピクセル行が欠落していることが分かる。サブピクセルの空間は、非印刷方法による色M3の堆積のために、サブピクセル行11、15、19、23、27、31、35、39、43、および47を利用することができ;非印刷方法による色M4の堆積のために、サブピクセル行12、16、20、24、28、32、36、40、44、および48を利用することができ、それによって完全な43色ピクセル単位が形成される。したがって使用できるデバイス領域はサブピクセル行9からサブピクセル行48である。
【0073】
図7中、2つの印刷色の赤色および緑色が存在し、青色が非印刷堆積によって塗布される。印刷ヘッド上には各色で4つのノズルが存在する。したがって、この図においては:
a=2
b=1
c=3、および
z=4である。
【0074】
これらの色は、「プリンタ」と表示される列の下に示されるように配列される。最初の4つのノズルは赤色用であり、次の2つのノズルは緑色用である。同じ色のノズル間の間隔はcであり、これは3サブピクセル単位となる。隣接する赤色ノズルと緑色ノズルとの間の間隔はc+1であり、これは4サブピクセル単位となる。図3に関して説明したように、印刷ヘッドは、サブピクセル行1の上のA1に配置される。プリンタによって、工作物の行方向にわたって印刷されることで、赤色の行がサブピクセル行1、4、7、および10の中に形成され、緑色の行がサブピクセル行14、17、20、および23の中に形成される。これは、印刷#1で表示される列中に示されている。図3と同様に、明確にするために、それぞれの色で1つのサブピクセルしか示していないが、それぞれがサブピクセルの行全体を表している。次に、プリンタは距離dだけ横方向に移動し、このdはczサブピクセル単位に等しく、この場合は12である。これがプリンタの位置A2となる。次に、プリンタによって、行の第2のセットが印刷され:印刷#2で表示される列中に示されるように、赤色の行がサブピクセル行13、16、19、および22の中に印刷され;緑色の行がサブピクセル行26、29、32、および35の中に印刷される。明確にするために、印刷#2は、印刷#1の右側にずらして示している。印刷#1および印刷#2の両方、ならびにその他のすべての印刷番号は、工作物にわたって印刷されるサブピクセルの行全体を表している。次に、プリンタは12サブピクセル単位だけ再び横方向に移動する。これがプリンタの位置A3となる。次に、プリンタによって行の第3のセットが印刷され:印刷#3で表示される列中に示されるように、赤色の行がサブピクセル行25、28、31、および34の中に印刷され;緑色の行がサブピクセル行38、41、44、および47の中に印刷される。この実施例においては、このプロセスが位置A4および印刷#4に関して繰り返される。したがって、この実施例ではn=4であり、印刷される行の総数はnaz=32である。
【0075】
この時点で、印刷は工作物の反対側の縁端部に到達している。前述したように、実際にはより多くの行が印刷され、図面中の32のサブピクセル行は単なる例として示している。
【0076】
印刷結果は、「印刷されたパターン」で表示される列中に示される。A1の縁端部および反対側の縁端部において、サブピクセルからサブピクセル行が欠落していることが分かる。空いている適切なサブピクセル行に非印刷方法によって青色を堆積することによって、完全な3色ピクセル単位が形成され、その結果は「非印刷堆積後のパターン」(Pattern after Non−Printing Dep.)で表示される列中に示される。したがって使用できるデバイス領域はサブピクセル行13からサブピクセル行48である。
【0077】
5.電子デバイス
本明細書に記載の印刷方法を使用できるデバイスとしては、有機電子デバイスが挙げられる。用語「有機電子デバイス」または場合により単に「電子デバイス」は、1つ以上の有機半導体層または材料を含むデバイスを意味することを意図している。有機電子デバイスとしては:(1)電気エネルギーを放射線に変換するデバイス(たとえば、発光ダイオード、発光ダイオードディスプレイ、ダイオードレーザー、または照明パネル)、(2)電子的過程を介して信号を検出するデバイス(たとえば、光検出器、光導電セル、フォトレジスタ、光スイッチ、光トランジスタ、光電管、赤外(「IR」)検出器、またはバイオセンサー))、(3)放射線を電気エネルギーに変換するデバイス(たとえば、光起電力デバイスまたは太陽電池)、(4)1つ以上の有機半導体層を含む1つ以上の電子部品(たとえば、トランジスタまたはダイオード)を含むデバイス、または項目(1)〜(4)のデバイスのあらゆる組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0078】
このようなデバイスにおいては、2つの電気接触層の間に有機活性層が挟まれている。少なくとも1つの電気接触層は、光が電気接触層を通過できるように光透過性である。電気接触層に電気を印加すると、有機活性層は、光透過性電気接触層を透過する光を発する。周知のように、発光層と電気接触層との間にさらなる電気活性層が存在することができる。
【0079】
必要な色を得るために、このようなデバイス中の活性成分としての有機発光性化合物を使用することは周知である。本明細書に記載の方法は、異なる色を発光する発光材料の堆積に適している。印刷ステップは、発光材料を含有する液体組成物を印刷することによって行われる。非印刷ステップは、材料単独を使用して、または発光材料を含有する液体組成物から行うことができる。
【0080】
限定するものではないが、小分子有機蛍光性化合物、蛍光性およびリン光性の金属錯体、共役ポリマー、ならびにそれらの混合物などのあらゆる発光材料をデバイス中に使用することができる。蛍光性化合物の例としては、クリセン類、ピレン類、ペリレン類、ルブレン類、クマリン類、アントラセン類、チアジアゾール類、それらの誘導体、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。金属錯体の例としては、トリス(8−ヒドロキシキノラト)アルミニウム(Alq3)などの金属キレート化オキシノイド化合物;Petrovらの米国特許第6,670,645号明細書ならびに国際公開第03/063555号パンフレットおよび国際公開第2004/016710号パンフレットに記載されるような、フェニルピリジン、フェニルキノリン、またはフェニルピリミジンの配位子を有するイリジウム錯体などの、シクロメタレート化されたイリジウムおよび白金の発光性化合物、ならびに、たとえば国際公開第03/008424号パンフレット、国際公開第03/091688号パンフレット、および国際公開第03/040257号パンフレットに記載される有機金属錯体、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。場合によっては、加工特性および/または電子特性を改善するために小分子蛍光材料または有機金属材料がドーパントとしてホスト材料とともに堆積される。共役ポリマーの例としては、ポリ(フェニレンビニレン)類、ポリフルオレン類、ポリ(スピロビフルオレン)類、ポリチオフェン類、ポリ(p−フェニレン)類、それらのコポリマー、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0081】
特定の化合物または関連する種類の化合物に対する好適な液体媒体は、当業者によって容易に決定することができる。ある用途においては、これらの化合物が非水溶媒中に溶解することが望ましい。このような非水溶媒は、C1〜C20アルコール類、エーテル類、および酸エステル類などの比較的極性であってもよいし、あるいはC1〜C12アルカン類、またはトルエン、キシレン類、トリフルオロトルエンなどの芳香族などの比較的非極性であってもよい。新規化合物を含む本明細書に記載されるような溶液または分散体のいずれかとしての液体組成物の製造に使用すると好適な他の液体としては、塩素化炭化水素類(塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼンなど)、芳香族炭化水素類(置換および非置換のトルエン類およびキシレン類など)、トリフルロトルエン(triflurotoluene)など)、極性溶媒(テトラヒドロフラン(THP)、N−メチルピロリドンなど)エステル類(エチルアセテートなど)アルコール類(イソプロパノール)、ケイトン類(keytones)(シクロペンタトン(cyclopentatone))、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。発光材料に好適な溶媒は、たとえば国際公開第2007/145979号パンフレットに記載されている。
【0082】
概要または実施例において前述したすべての行為が必要なわけではなく、特定の行為の一部は不要である場合があり、1つ以上のさらに別の行為が、前述の行為に加えて実施される場合があることに留意されたい。さらに、行為が列挙されている順序は、必ずしもそれらが実施される順序ではない。
【0083】
以上の明細書において、具体的な実施形態を参照しながら本発明の概念を説明してきた。しかし、当業者であれば、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱せずに種々の修正および変更を行えることが理解できよう。したがって、本明細書および図面は、限定的な意味ではなく説明的なものであると見なすべきであり、すべてのこのような修正は本発明の範囲内に含まれることを意図している。
【0084】
特定の実施形態に関して、利益、その他の利点、および問題に対する解決法を以上に記載してきた。しかし、これらの利益、利点、問題の解決法、ならびに、なんらかの利益、利点、または解決法を発生させたり、より顕著にしたりすることがある、あらゆる特徴が、特許請求の範囲のいずれかまたはすべての重要、必要、または本質的な特徴であるとして解釈すべきではない。
【0085】
別々の実施形態の状況において、明確にするために本明細書に記載されている特定の複数の特徴は、1つの実施形態の中で組み合わせても提供できることを理解されたい。逆に、簡潔にするため1つの実施形態の状況において説明した種々の特徴も、別々に提供したり、あらゆる副次的な組み合わせで提供したりすることができる。さらに、ある範囲において記載される値への言及は、その範囲内にあるすべての値を含んでいる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作物上にサブピクセルの行の規則的な配列を形成する方法であって、
前記サブピクセルがc種類の異なる色、およびサブピクセルピッチsを有し、前記色の中のa種類が印刷によって形成され:
(a)一列に配列したz個の隣接ノズルをaセット有する印刷ヘッドを提供するステップであって、同じセット中の隣接ノズル間の間隔がp1=csであり、異なるセット中の隣接ノズル間の間隔がp2=(c+1)sであり、前記印刷ヘッドが前記工作物に対して第1の位置にあるステップと;
(b)前記a種類の色のそれぞれ1つの、a種類の異なる印刷インクを提供するステップ;
(c)1つのセット中のそれぞれの前記ノズルに同じ色が収容され、異なる色がノズルの各セットに供給されるように、それぞれの前記印刷インクを前記ノズルに供給するステップと;
(d)前記印刷ヘッドを使用してサブピクセルのaz個の行の第1のセットを印刷するステップと;
(e)距離dだけ、前記印刷ヘッドに対して横方向に前記工作物を移動させるステップであって、d=cz(s)であるステップと;
(f)前記印刷ヘッドを使用してサブピクセルのaz個の行の第2のセットを印刷するステップと;
(g)サブピクセルのaz個の行が合計nセットとなるように、ステップ(e)および(f)をn−2回繰り返すステップとを含み;
ここで:
aは1を超える整数であり;
cは1を超える整数であり;
nは1を超える整数であり、
zは1を超える整数である、
方法。
【請求項2】
a=cである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
sが1〜20ミクロンの範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
aが3および4から選択される整数である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
c=3であり、前記色が赤色、青色、および緑色である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
c=4であり、前記色が赤色、青色、緑色、および白色である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
zが4〜8の整数である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
(h)非印刷堆積用のb種類の異なる材料を提供するステップと;
(i)非印刷方法によって、前記b種類の材料のそれぞれを別々に前記工作物上に堆積するステップとをさらに含み;
ここで:
bは0を超える整数であり;
c=a+bである、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
a=2およびb=1である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記非印刷方法が気相堆積である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記気相堆積が全体的なものである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記気相堆積がピクセル化される、請求項10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−506303(P2012−506303A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532346(P2011−532346)
【出願日】平成21年10月21日(2009.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/061460
【国際公開番号】WO2010/048269
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】