説明

多重分離装置および多重分離方法

【課題】制御チャネルを使用することなく、分離した各チャンネルのデータを符号化した符号化方式を自動的に判別可能な多重分離装置を提供する。
【解決手段】多重分離部11でチャンネル毎に分離したデータにつき、符号化方式判別部12にて、所定の単位で分割した各符号語について、あらかじめ定めた特定の符号語の発生頻度、または、隣接する符号語間の不一致ビット数が、あらかじめ定めた閾値よりも大きいまたは小さいことを示すデータの特徴を有しているか否かに基づいて、当該データを符号化した符号化方式が、PCM A−law符号化方式、ITU−T G.726(ADPCM)符号化方式、ITU−T G.766(FAX)、E−Mailまたは共通線信号を少なくとも含むデータの符号化に用いられるDATA符号化方式のいずれか、あるいは、その他の符号化方式であることを判別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多重分離装置および多重分離方法に関し、特に、制御チャネルを使用しない場合でも、分離したチャンネルのデータの符号化方式を自動的に判別することが可能な多重分離装置および多重分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
音声データやFAXデータを符号化する際の符号化方式として、PCM A−law符号化方式、ITU−T G.726(ADPCM)符号化方式、ITU−T G.766(FAX)等や、関連するものとしてE−Mailまたは共通線信号等のデータの符号化に用いられるDATA符号化方式など、各種の方式が存在している。これらの符号化方式においては相互の互換性がなく、データ受信側においては、何らかの手段によって、符号化に用いられた符号化方式を通知してもらい、それに応じた復号方式で復号せざるを得ない。
【0003】
一方、音声データを送受信する際の伝送路を有効に利用可能とするために、複数のチャンネルを多重化したり、チャンネル毎に分離したりする多重分離装置が用いられている。ここで、該多重分離装置において多重化されている符号化データには、前述のように、種々の符号化方式で符号化されたデータが混在している。このため、従来の多重分離装置においては、チャンネル毎に分離したデータの符号化方式を判別する手段として制御チャンネルを用いて送信元から符号化方式を通知してもらうような構成や、制御チャンネルを用いずに、回線情報として受信側に通知してもらい、手動で符号化方式を設定するような構成とされている。(特許文献1参照)
【特許文献1】特開2001−177834号公報(第3−6頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の多重分離装置は、制御チャンネルを用いると、特殊な構成を必要とし、コストアップになるとともに、汎用性を喪失するという問題があり、一方、多重分離装置において制御チャネルを使用しない場合、別途、受信側に対して回線情報を通知し、受信側では受け取った回線情報を手動で設定することが必要であった。さらに、このような回線情報を用いる場合、回線情報が更新される毎に、受信側に対して通知を行わなければならず、リアルタイムでは対応することができないという問題がある。また、手動で設定する作業が繁雑であることと、人為的なミスが発生してしまうという問題もある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、入力されてくるデータの特徴を識別することによって、当該データを符号化している符号化方式を自動的に判別可能な多重分離装置および多重分離方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の課題を解決するため、本発明による多重分離装置および多重分離方法は、次のような特徴的な構成を採用している。
【0007】
(1)入力された多重化データをチャンネル毎に分離したり、チャンネル毎のデータを多重化して出力する多重分離装置において、チャンネル毎のデータの特徴を抽出することにより当該データの符号化方式を判別する符号化方式判別手段を備え、当該符号化方式判別手段が、前記データをあらかじめ定めた単位で分割した各符号語について、あらかじめ定めた特定の符号語の発生頻度、または、隣接する符号語間の不一致ビット数が、あらかじめ定めた閾値よりも大なること、あるいは、小なることを示すデータの特徴を有しているか否かに基づいて、当該データを符号化した符号化方式が、PCM A−law符号化方式、ITU−T G.726(ADPCM)符号化方式、ITU−T G.766(FAX)、E−Mailまたは共通線信号を少なくとも含むデータの符号化に用いられるDATA符号化方式のいずれか、あるいは、その他の符号化方式であることを判別する多重分離装置。
(2)前記符号化方式判別手段が、前記データを符号化した符号化方式を判別する際に、前記データの中から、符号化方式判別用としてあらかじめ定めた所定の長さのデータ長を抽出して、抽出した該データ長のデータを用いて、符号化方式を判別する上記(1)の多重分離装置。
(3)抽出するデータ長を示す前記所定の長さが、1000bitから8000bitの範囲内にある上記(2)の多重分離装置。
(4)前記データを分割するあらかじめ定めた前記単位が、4bit、8bit、64bitのいずれかである上記(1)ないし(3)のいずれかの多重分離装置。
(5)あらかじめ定めた前記単位として、64bit毎に分割した符号語において、隣接符号語間の不一致ビット数が5ないし10個の範囲となる発生頻度が、その他の不一致ビット数の発生頻度よりも大なる場合、前記データを符号化した符号化方式をITU−T G.766(FAX)符号化方式と判定する上記(4)の多重分離装置。
(6)隣接符号語間の不一致ビット数が5ないし10個の範囲となる合計発生頻度が、全体の発生頻度のうちの50%以上を占める場合、前記データを符号化した符号化方式をITU−T G.766(FAX)符号化方式と判定する上記(5)の多重分離装置。
(7)あらかじめ定めた前記単位として、8bit毎に分割した符号語において、符号語“63”、“126”、“159”、“207”、“231”、“243”、“249”、“252”(いずれも10進数表示)の発生頻度が、他の符号語の発生頻度よりも大なる場合、前記データを符号化した符号化方式を前記DATA符号化方式と判定する上記(4)ないし(6)のいずれかの多重分離装置。
(8)8bit毎に分割した符号語“63”、“126”、“159”、“207”、“231”、“243”、“249”、“252”(いずれも10進数表示)の合計発生頻度が、全体の発生頻度のうちの30%以上を占める場合、前記データを符号化した符号化方式を前記DATA符号化方式と判定する上記(7)の多重分離装置。
(9)あらかじめ定めた前記単位として、8bitに分割した符号語において、符号語“85”および、“213”(いずれも10進数表示)の発生頻度が、他の符号語の発生頻度よりも大なる場合、前記データを符号化した符号化方式をPCM A−law符号化方式と判定する上記(4)ないし(8)のいずれかの多重分離装置。
(10)8bit毎に分割した符号語“85”および、“213”(いずれも10進数表示)の合計発生頻度が、全体の発生頻度のうちの3%以上を占める場合、前記データを符号化した符号化方式をPCM A−law符号化方式と判定する上記(9)の多重分離装置。
(11)あらかじめ定めた前記単位として、4bitに分割した符号語において、符号語“1”、“14”、“15”(いずれも10進数表示)の発生頻度が、他の符号語の発生頻度より大なる場合、または、符号語“7”、“8”、“9”(いずれも10進数表示)の発生頻度が、他の符号語の発生頻度より小なる場合、前記データを符号化した符号化方式をITU−T G.726(ADPCM)符号化方式と判定する上記(4)ないし(10)のいずれかの多重分離装置。
(12)4bit毎に分割した符号語“1”、“14”、“15”(いずれも10進数表示)の発生頻度が、それぞれ、全体の発生頻度のうちの10%以上を占める場合、前記データを符号化した符号化方式をITU−T G.726(ADPCM)符号化方式と判定する上記(11)の多重分離装置。
(13)4bit毎に分割した符号語“7”、“8”、“9”(いずれも10進数表示)の合計発生頻度が、全体の発生頻度のうちの6%以下である場合、前記データを符号化した符号化方式をITU−T G.726(ADPCM)符号化方式と判定する上記(11)または(12)の多重分離装置。
(14)前記データの特徴に基づいて、当該データを符号化している符号化方式を判別する際に、PCM A−law符号化方式、ITU−T G.726(ADPCM)符号化方式、ITU−T G.766(FAX)、前記DATA符号化方式のいずれから優先して判別するかを示す判別優先順位があらかじめ定められている上記(1)ないし(13)のいずれかの多重分離装置。
(15)あらかじめ定められている前記判別優先順位が、ITU−T G.766(FAX)、前記DATA符号化方式、PCM A−law符号化方式、ITU−T G.726(ADPCM)符号化方式、の順序であり、前記データの特徴がいずれの符号化方式にも該当していないと判定した場合に、その他の符号化方式と判定する上記(14)の多重分離装置。
(16)前記データの特徴に基づいて、当該データを符号化している符号化方式を判別する際に、PCM A−law符号化方式、ITU−T G.726(ADPCM)符号化方式、ITU−T G.766(FAX)、前記DATA符号化方式のそれぞれを判定するために用いられる前記閾値に比して、当該データを前記単位毎に分割した符号語が示すデータの特徴が、1.0倍以上となる前記閾値に該当する符号化方式を、当該データを符号化している符号化方式と判定する上記(1)ないし(13)のいずれかの多重分離装置。
(17)前記データの特徴に基づいて、当該データを符号化している符号化方式を判別する際に、PCM A−law符号化方式、ITU−T G.726(ADPCM)符号化方式、ITU−T G.766(FAX)、前記DATA符号化方式のそれぞれを判定するために用いられる前記閾値に比して、当該データを前記単位毎に分割した符号語が示すデータの特徴が、1.0倍以上となる前記閾値に該当する符号化方式が複数存在している場合、前記閾値をより大きく上回っている符号化方式を、当該データを符号化している符号化方式と判定する上記(16)の多重分離装置。
(18)前記データの特徴に基づいて、当該データを符号化している符号化方式を判別する際に、PCM A−law符号化方式、ITU−T G.726(ADPCM)符号化方式、ITU−T G.766(FAX)、前記DATA符号化方式のそれぞれを判定するために用いられる前記閾値に比して、当該データを前記単位毎に分割した符号語が示すデータの特徴が、1.0倍以上となる前記閾値に該当する符号化方式が一つも存在していない場合、いずれの符号化方式にも該当しないその他の符号化方式と判定する上記(16)または(17)の多重分離装置。
(19)前記データの特徴に基づいて、当該データを符号化した符号化方式を判別する際に、あらかじめ定めた所定回数、繰り返して、同一の符号化方式が判別されるか否かに基づいて、当該データを符号化した符号化方式を判別する上記(1)ないし(18)のいずれかの多重分離装置。
(20)あらかじめ定めた前記所定回数が、1回ないし3回の範囲内にある上記(19)の多重分離装置。
(21)入力された多重化データをチャンネル毎に分離したり、チャンネル毎のデータを多重化して出力する多重分離方法において、チャンネル毎のデータの特徴を抽出することにより当該データの符号化方式を判別する符号化方式判別ステップを備え、当該符号化方式判別ステップが、前記データをあらかじめ定めた単位で分割した各符号語について、あらかじめ定めた特定の符号語の発生頻度、または、隣接する符号語間の不一致ビット数が、あらかじめ定めた閾値よりも大なること、あるいは、小なることを示すデータの特徴を有しているか否かに基づいて、当該データを符号化した符号化方式が、PCM A−law符号化方式、ITU−T G.726(ADPCM)符号化方式、ITU−T G.766(FAX)、E−Mailまたは共通線信号を少なくとも含むデータの符号化に用いられるDATA符号化方式のいずれか、あるいは、その他の符号化方式であることを判別する多重分離方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の多重分離装置および多重分離方法によれば、次のような効果を奏することができる。
【0009】
第1の効果は、制御チャネルを用いない場合であっても、自動的に符号化方式を判別することが可能になることにある。その理由は、入力データのbit列の出現パターンを調査し、符号化方式の特徴を現す結果を得ることにより符号化方式を特定するようにしているためである。
【0010】
第2の効果は、制御チャネルを用いない場合であっても、受信側で符号化方式を特定する回線情報をリアルタイムに入手することができるようになることにある。その理由は、従来は、制御チャネルを用いない場合は、送信側の作業員が、別途、回線情報を受信側の作業員に連絡する必要があり、時間的な損失が発生してしまっていたが、多重分離装置に符号化方式の自動判別手段を導入することによって、回線情報をリアルタイムでほぼ入手することが可能になるからである。
【0011】
第3の効果は、人為的なミスの発生を無くして、判別した符号化方式を正確に設定することができることにある。その理由は、符号化方式の自動判別手段によって判別した回線情報すなわち符号化方式を、自動的に多重分離装置に設定することにより、制御チャネルを使用する場合と同じ働きを持たせることができるようにしたためである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明による多重分離装置および多重分離方法の好適実施形態例について添付図を参照して説明する。
【0013】
[本実施形態の構成の説明]
図1は、本発明による多重分離装置の概略構成の一実施形態を示すブロック構成図である。図1に示すように、多重分離装置1は、入力信号(入力データ)の多重分離を行う多重分離部11と、チャンネル毎のデータの符号化方式を判別する符号化方式判別部12とを少なくとも含んで構成されている。
【0014】
すなわち、符号化方式判別部12は、符号化方式が未知のチャンネル毎のデータを入力して、そのデータを符号化した符号化方式の判別を行うものであり、判別結果の符号化方式を判別情報(回線情報)として多重分離部11へ出力する。一方、多重分離部11は、指定された信号種別を基に、多重化されている入力データを各チャンネルに分離して、各データの符号化方式を回線情報として設定して、分離したデータとともにチャンネル1、チャンネル2、…、チャンネルnとして出力する従来の多重分離装置と同様の動作を行うものである。
【0015】
[動作の説明]
次に、図1の多重分離装置1の動作について説明する。まず、多重分離装置1の全体の動作について説明する。符号化方式が未知の多重化された入力データを多重分離部11に入力して、フレーム構成に従って、タイムスロット順・ビット順に入力データの分離を行う。多重分離部11でチャンネル毎に分離したデータは符号化方式判別部12に入力されて、符号化方式の判別が行われ、その判別結果が、多重分離部11に通知されてくる。多重分離部11は、符号化方式判別部12からの判別結果と、分離したデータとを、それぞれのチャンネルに出力する。
【0016】
次に、符号化方式判別部12内の符号化方式判別動作について、図2のフローチャートを用いて説明する。ここに、図2は、本発明の多重分離装置1に備えられる符号化方式判別部12の符号化方式を判別する動作の一例を説明するための動作フローチャートである。まず、多重分離部11から分離されて入力されてくる、符号化方式が未知のデータについて、符号化方式を判別するために必要とする十分に長いデータ長としてあらかじめ定めたデータ長l(例えば、1000〜8000bitの範囲、望ましくは5120bit)のデータを取得する(ステップS1)。
【0017】
次いで、抽出したデータ長lのデータのbit列をあらかじめ定めた単位毎に分割した各符号語の特徴を調査して、該特徴を有する符号化方式を特定することにより、当該データの符号化方式を判別する(ステップS2)。この符号化方式判別方法の詳細については、後述する。
【0018】
次に、この符号化方式の判別結果が、前回、前々回、…とn回(例えば、1〜3回の範囲。好ましくは3回)連続して同じ結果が得られているか否かをチェックする(ステップS3)。n回連続して同じ符号化方式という判別結果が得られた場合は(ステップS3のYES)、判別した符号化方式を最終的なものとして確定する(ステップS4)。一方、同じ判別結果がn回連続して得られなかった場合は(ステップS3のNO)、符号化方式の確定には至っていないものとして、今回の判別結果を記憶して(ステップS5)、次の符号化方式判別時における前回の判別結果として使用する。
【0019】
すなわち、記憶部MEMには、(n−1)回分の判別結果(例えば、3回連続して同一の判別結果が得られているか否かを確認する場合は、前回と前々回との2回分の判別結果)が記憶されており、n回連続して同じ判別結果が得られない場合は、記憶部MEMの内容が順次上書き更新されていく。
【0020】
次に、図2のフローチャートのステップS2における符号化方式の判別処理の具体的な手法について説明する。本発明においては、符号化方式を判別する手法として、符号化方式に応じてデータに必然的に現れる各符号化方式の特徴を検知して、判別の指標としている。ここで、本発明の符号化方式判別部12で判別の対象とする符号化方式は、音声データやFAXに関連する符号化方式を中心にした次の5種類である。
(1)ITU−T G.766(FAX)
(2)DATA(E−Mail、共通線信号等を少なくとも含むデータを符号化する方式)
(3)PCM A−law
(4)ITU−T G.726(ADPCM)
(5)その他
【0021】
これら5種類の各符号化方式のうち、(5)項を除く各符号化方式について、それぞれで符号化したデータに必然的に現れる各符号化方式の特徴とその判別方法について、次に説明する。すなわち、あらかじめ定めた単位(例えば、4bit、8bit、64bitのいずれかの単位)で、データ列を分割したそれぞれの符号語について、あらかじめ定めた特定の符号語(各符号化方式の特徴を示す符号語)の発生頻度、あるいは、隣接符号語間の不一致ビット数が、あらかじめ定めた閾値(各符号化方式を判別するための判断基準となるそれぞれの閾値)よりも大きいかまたは小さいかというデータの特徴を検出することによって、前述の5種類の符号化方式を判別することができるという根拠について、次に説明する。
【0022】
まず、ITU−T G.766(FAX)符号化方式のデータ配列上の特徴について説明する。ITU−T G.766(FAX)符号化方式の場合、64bit毎に1つの単位(フレーム)を構成している。そして、ITU−T G.766(FAX)の規格では、64bitのフレームの中で、あらかじめプロトコルとして決定されている部分があり、かつ、フレーム毎の差異bit数は小さいという特徴がある。
【0023】
このため、ITU−T G.766(FAX)符号化方式によって符号化されたデータの特性は、図3に示す通り、フレームの単位である64bit毎に分割されたデータについて、各フレーム前後を1bit毎に比較すると、その不一致bit数が小さく、概ね5〜10bit数の間の不一致に収まるデータで構成されているという特性を有している。ここに、図3は、ITU−T G.766(FAX)符号化方式によって符号化されたデータの特性を示す特性図であり、ITU−T G.766(FAX)符号化方式の場合の64bit毎のコード間距離(すなわち、隣接符号語間の不一致bit数)の分布を例示している。
【0024】
したがって、かくのごときデータ配列上の特徴を利用して、ITU−T G.766(FAX)符号化方式の判別を行うことができる。すなわち、ITU−T G.766(FAX)符号化方式で符号化された符号化データを判別する処理の流れは、以下の通りである。
(a)まず、対象データを64bit毎に分割する。
(b)次に、分割された64bitのデータそれぞれに対して、1つの64bitデータと次の64bitデータの1〜64番目のbitそれぞれを比較し、両者に不一致となるbit数(隣接符号語間の不一致bit数)を計算する。
【0025】
(c)不一致bit数が5bitから10bitまでの6個の範囲内に収まるデータの合計出現頻度が顕著であれば、例えば、ITU−T G.766(FAX)符号化方式の判定基準となる閾値として、全体の50%以上を占める場合であれば(完全にランダムなデータであれば、6/64=9.3%程度である)、ITU−T G.766(FAX)符号化方式のデータであると判定し、そうでなければ、別の符号化方式の判別処理を行う。
【0026】
次に、DATA(E−Mail、共通線信号等のデータを符号化する場合)の符号化方式のデータ配列上の特徴について説明する。DATA(E−Mail、共通線信号等)の回線においては、一般に、同期を取るための同期信号として、8bitの‘01111110’の連続符号語が用いられている。この同期信号は、送信データが無い場合においても、回線中に連続して流れているため、符号語として出現する頻度が極めて高い。‘01111110’は連続して流れているので、選択する8bitによっては、‘01111110’が1bitずつ順次前後にシフトしたビット列として検知される。
【0027】
このため、図4に示す通り、‘01111110’(10進数表示で126)の他に、‘11111100’(10進数表示で252)、‘11111001’(10進数表示で249)、‘11110011’(10進数表示で243)、‘11100111’(10進数表示で231)、‘11001111’(10進数表示で207)、‘10011111’(10進数表示で159)、‘00111111’(10進数表示で63)の出現頻度が顕著であるという特徴がある。ここに、図4は、DATA(E−Mail、共通線信号等)の符号化データの8bit符号語の分布特性の一例を示す特性図である。
【0028】
したがって、かくのごときデータ配列上の特徴を利用して、DATA(E−Mail、共通線信号等)の符号化方式の判別を行うことができる。すなわち、DATA(E−Mail、共通線信号等)の符号化データを判別する処理の流れは、以下の通りである。
(a)まず、対象データを8bit毎に分割する。
(b)次に、‘00000000’から‘11111111’の範囲において、分割された8bitの符号語毎に、出現する出現回数をカウントする。
【0029】
(c)‘01111110’、‘11111100’、‘11111001’、‘11110011’、‘11100111’、‘11001111’、‘10011111’、‘00111111’の合計出現頻度が顕著であれば、例えば、DATA(E−Mail、共通線信号等)符号化方式の判定基準となる閾値として、全体の30%以上を占める場合であれば(完全にランダムなデータであれば、8/256=3%程度である)、DATA(E−Mail、共通線信号等)の符号化方式で符号化されたデータであると判定する。そうでなければ、別の符号化方式の判別処理を行う。
【0030】
次に、PCM A−lawの符号化方式のデータ配列上の特徴について説明する。PCM A−law符号化方式は、音声データに対して用いられる符号化方式である。音声データの場合は、無音を示す振幅が‘0’となることが多いという性質がある。
【0031】
このため、PCM A−law符号化方式で符号化されたデータの特徴として、図5に示す通り、振幅‘0’を示す8bit符号語である‘01010101’(10進数表示で85:−0’に相当)と、‘11010101’(10進数表示で213:‘+0’に相当)の出現頻度が顕著に高くなるという特徴がある。ここに、図5は、PCM A−law符号化方式によって符号化された8bit符号語データの特性の一例を示す特性図である。
【0032】
したがって、かくのごときデータ配列上の特徴を利用して、PCM A−lawの符号化方式の判別を行うことができる。すなわち、PCM A−law符号化方式で符号化された符号化データを判別する処理の流れは、以下の通りである。
(a)まず、対象データを8bit毎に分割する。
(b)次に、‘00000000’から‘11111111’の範囲において、分割された8bitの符号語毎に、出現する出現回数をカウントする。
【0033】
(c)‘01010101’(10進数表示で85)と、‘11010101’(10進数表示で213)の合計出現頻度が顕著であれば、例えば、PCM A−law符号化方式の判定基準となる閾値として、全体の3%以上を占める場合であれば(完全にランダムなデータであれば、2/256=0.7%程度)、PCM A−law符号化方式のデータであると判定する。そうでなければ、別の符号化方式の判別処理を行う。
【0034】
次に、ITU−T G.726(ADPCM)符号化方式のデータ配列上の特徴について説明する。ITU−T G.726(ADPCM)符号化方式も、PCM A−lawの符号化方式と同様、音声データに対して用いられる符号化方式である。音声データは、前述の通り、無音を示す振幅が‘0’となることが多いという性質がある。
【0035】
ITU−T G.726(ADPCM)符号化方式においては、音声の振幅を‘−7’から‘+7’までに量子化して4bit符号語を割り付けるが、振幅が小さくなればなるほど、細かく量子化の値を割り付ける。すなわち、絶対値が7に近づくほど出現頻度は低く、反対に、絶対値が‘0’に近づくほど出現頻度が高くなる。
【0036】
このため、ITU−T G.726(ADPCM)符号化方式で符号化された場合には、データを4bit毎に分割すると、図6に示す通り、4bit符号語は‘−0’に相当する‘1111’や、‘+1’、‘−1’にそれぞれ相当する‘1110’、‘0001’の出現頻度が高く、符号語として‘+7’に相当する‘0111’や‘−7’、‘−6’にそれぞれ相当する‘1000’、‘1001’の出現頻度は低いという特徴がある。ここに、図6は、ITUーT G.726(ADPCM)符号化方式によって符号化された4bit符号語データの特性の一例を示す特性図である。
【0037】
したがって、かくのごときデータ配列上の特徴を利用して、ITU−T G.726(ADPCM)符号化方式の判別を行うことができる。すなわち、ITU−T G.726(ADPCM)符号化方式で符号化された符号化データを判別する処理の流れは、以下の通りである。
(a)まず、対象データを4bit毎に分割する。
(b)次に、‘0000’から‘1111’の範囲において、分割された4bitの符号語毎に、出現する出現回数をカウントする。
【0038】
(c)‘1110’(10進数表示で14)、‘1111’(10進数表示で15)、‘0001’(10進数表示で1)それぞれの出現頻度が顕著であれば、例えば、ITU−T G.726(ADPCM)符号化方式の判定基準となる閾値として、それぞれの符号語の出現頻度が全体の10%以上を満たす場合であれば(完全にランダムなデータであれば、1/16=6%程度)、ITU−T G.726(ADPCM)符号化方式のデータであると判定する。
【0039】
(d)あるいは、‘0111’(10進数表示で7)、‘1000’(10進数表示で8)、‘1001’(10進数表示で9)の合計出現頻度が著しく少なければ、例えば、合計出現頻度が全体の6%以下を満たす場合であれば(完全にランダムなデータであれば、3/16=18%程度)、ITU−T G.726(ADPCM)符号化方式のデータであると判定する。そうでなければ、別の符号化方式の判別処理を行う。
【0040】
以上のITU−T G.766(FAX)符号化方式、DATA(E−Mail、共通線信号等)の符号化方式、PCM A−law符号化方式、ITU−T G.726(ADPCM)符号化方式のいずれの特徴も示さないデータであった場合は、その他の符号化方式によって符号化されたデータであると判定する。
【0041】
ここで、ITU−T G.766(FAX)符号化方式、DATA(E−Mail、共通線信号等)の符号化方式、PCM A−law符号化方式、ITU−T G.726(ADPCM)符号化方式、その他の符号化方式のいずれから優先的に判別するかを示す判別優先順位をあらかじめ定めるようにしても良い。本実施形態においては、前述したように、ITU−T G.766(FAX)符号化方式、DATA(E−Mail、共通線信号等)の符号化方式、PCM A−law符号化方式、ITU−T G.726(ADPCM)符号化方式、その他の符号化方式の順序で判別するようにしている。
【実施例1】
【0042】
次に、符号化方式が未知の対象データのデータ配列上の特徴に基づいて、符号化方式を判別するという以上のような処理方法について、さらに、図7のフローチャートを用いて説明する。ここに、図7は、符号化データのデータ配列上の特徴に基づいて、その符号化方式を判別する処理の一例を説明するためのフローチャートであり、図2におけるステップS2に示した符号化方式判別部12の「判別処理」の詳細を示すものである。
【0043】
まず、入力されてくるデータを64bit毎に分割し(ステップS11)、前後の64bit間でコード間の距離を計算する(ステップS12)。前後に隣接するコード(符号語)間の距離の計算結果すなわち不一致bit数の出現頻度の計算結果として、5bitから10bitまでの6個に収まる合計出現頻度が顕著で、例えば全体の50%以上を占めているというITU−T G.766(FAX)符号化方式の特徴を有しているか否かを判定する(ステップS13)。有していれば(ステップS13のYES)、ITU−T G.766(FAX)符号化方式によって符号化されたデータであると判定する(ステップS21)。
【0044】
一方、ITU−T G.766(FAX)符号化方式の特徴を有していなければ(ステップS13のNO)、次の判別処理を試す。次の判別処理として、データを8bit毎に分割し(ステップS14)、分割された8bitの符号語の出現回数を計算する(ステップS15)。計算結果として、‘01111110’とそれをシフトした符号語、すなわち、符号語‘01111110’、‘11111100’、‘11111001’、‘11110011’、‘11100111’、‘11001111’、‘10011111’、‘00111111’の合計出現頻度が顕著で、例えば全体の30%以上を占めているというDATA(E−Mail、共通線信号等)の符号化データの特徴を有しているか否かを判定する(ステップS16)。有していれば(ステップS16のYES)、DATA(E−Mail、共通線信号等)の符号化データであると判定する(ステップS22)。
【0045】
一方、DATA(E−Mail、共通線信号等)の符号化データの特徴を有していなければ(ステップS16のNO)、次の判別処理を試す。次の判別処理として、8bit毎に分割しているデータについて、符号語‘01010101’と‘11010101’との合計出現頻度が顕著で、例えば全体の3%以上を占めているというPCM A−law符号化方式の特徴を有しているか否かを判定する(ステップS17)。有していれば(ステップS17のYES)、PCM A−law符号化方式によって符号化されたデータであると判定する(ステップS23)。
【0046】
一方、PCM A−law符号化方式の特徴を有していなければ(ステップS17のNO)、次の判別処理を試す。次の判別処理として、データを4bit毎に分割し(ステップS18)、分割された4bitの符号語の出現回数を計算する(ステップS19)。計算結果として、符号語‘0001’、‘1110’、‘1111’それぞれの出現頻度が顕著で、例えば、それぞれの出現頻度が全体の10%以上を満たすか、あるいは、符号語‘0111’、‘1000’、‘1001’の合計出現頻度が著しく少なく、例えば、合計出現頻度が全体の6%以下を満たす、というITU−T G.726(ADPCM)符号化方式の特徴を有しているか否かを判定する(ステップS20)。有していれば(ステップS20のYES)、ITU−T G.726(ADPCM)符号化方式によって符号化されたデータであると判定し(ステップS24)、有していなければ(ステップS20のNO)、その他の符号化方式として判定する(ステップS25)。
【実施例2】
【0047】
次に、符号化方式が未知の入力データを基にして、各符号化方式の特徴を利用して、入力データを符号化した符号化方式を判別する方法の異なる実施例について、図8のテーブルを用いて以下に説明する。ここに、図8は、符号化方式を編別するチェック項目を登録しているチェックリストの一例を示すテーブルであり、本発明の異なる実施例を説明するものである。本実施例は、チェックリストとして、ITU−T G.766(FAX)符号化方式、DATA(E−Mail、共通線信号等)の符号化方式、PCM A−law符号化方式、ITU−T G.726(ADPCM)符号化方式、の各符号化方式についてすべて判別を行うように構成するものであり、判別対象のデータを各符号化方式に応じてあらかじめ定めた単位毎に分割した符号語が示すデータの特徴が、それぞれの符号化方式の判定基準として設定されている各閾値に対して、1.0倍以上になっているか否かを判定することによって、当該データを符号化した符号化方式を決定しようとするものである。
【0048】
チェックリストを用いる本実施例は、すべての符号化方式について、各符号化方式それぞれで対象データを符号化していないか否かを網羅的に判別しようとしているため、図7に示した前述の判別処理方法に比して、判別処理に時間がかかる方法ではあるが、判別精度が高くなるという特徴を備えている。すなわち、図8のチェックリストに示すように、本実施例においては、次のチェック項目をすべて調査する。
【0049】
(1)64bit符号語毎の不一致bit数が5bitから10bitまでとなるデータの合計出現頻度が、ITU−T G.766(FAX)符号化方式の判定基準となる閾値50%の何倍か。
(2)‘01111110’とそれをシフトしたそれぞれの符号語の合計出現頻度が、DATA(E−Mail、共通線信号等)の符号化データ判定基準となる閾値30%の何倍か。
(3)8bit毎にデータを分割した符号語において、‘01010101’と‘11010101’の合計出現頻度が、PCM A−law符号化方式の判定基準となる閾値3%の何倍か。
(4)4bit毎にデータを分割した符号語において、‘0001’、‘1111’、‘1110’中の一番低い出現頻度が、ITU−T G.726(ADPCM)符号化方式の判定基準となる閾値10%の何倍か。
【0050】
(1)〜(4)それぞれのチェック項目の結果として、各閾値の1.0倍以上となる値が、1項目のみで、残りの3項目は1.0倍未満の値であれば、1.0倍以上となった項目の特徴を有する符号化方式であると判定する。また、2項目以上の複数の項目の値が1.0倍以上である場合には、閾値からより大きく上回った値の項目の特徴を有する符号化方式と判定する。一方、全項目が各閾値の1.0倍未満の値であった場合には、前述の4つの符号化方式には該当しないその他の符号化方式として判定する。
【0051】
なお、図8のテーブルには、図3ないし図6の特性図にて例示した各符号化方式のデータ例について、前述した4つのチェック項目によるチェック結果を例示している。このデータ例の場合、図8に示すように、いずれも、対応する符号化方式における1個のチェック項目のみで、閾値の1.0倍以上の値となっており、それぞれの符号化方式の特徴を顕著に示している。
【0052】
[産業上の利用可能性]
以上の詳細な説明からも明らかなように、本発明による多重分離装置1は、複数の符号化データを復号するための装置に適用することも可能であるし、さらには、符号化方式が未知の複数の異なる装置からそれぞれ出力されてくる符号化データを、多重分離装置1の符号化方式判別部12を通すことによって、データ配列上の特徴を抽出して、その符号化方式を判別するといった形態に適用することも可能である。
【0053】
以上、本発明の好適実施例の構成を説明した。しかし、斯かる実施例は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることは、当業者には容易に理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明による多重分離装置の概略構成の一実施形態を示すブロック構成図である。
【図2】本発明の多重分離装置に備えられる符号化方式判別部の符号化方式を判別する動作の一例を説明するための動作フローチャートである。
【図3】ITU−T G.766(FAX)符号化方式によって符号化されたデータの特性の一例を示す特性図である。
【図4】DATA(E−Mail、共通線信号等)の符号化データの8bit符号語の分布特性の一例を示す特性図である。
【図5】PCM A−law符号化方式によって符号化された8bit符号語データの特性の一例を示す特性図である。
【図6】ITUーT G.726(ADPCM)符号化方式によって符号化された4bit符号語データの特性の一例を示す特性図である。
【図7】符号化データのデータ配列上の特徴に基づいて、その符号化方式を判別する処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【図8】符号化方式を編別するチェック項目を登録しているチェックリストの一例を示すテーブルである。
【符号の説明】
【0055】
1 多重分離装置
11 多重分離部
12 符号化方式判別部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された多重化データをチャンネル毎に分離したり、チャンネル毎のデータを多重化して出力する多重分離装置において、チャンネル毎のデータの特徴を抽出することにより当該データの符号化方式を判別する符号化方式判別手段を備え、当該符号化方式判別手段が、前記データをあらかじめ定めた単位で分割した各符号語について、あらかじめ定めた特定の符号語の発生頻度、または、隣接する符号語間の不一致ビット数が、あらかじめ定めた閾値よりも大なること、あるいは、小なることを示すデータの特徴を有しているか否かに基づいて、当該データを符号化した符号化方式が、PCM A−law符号化方式、ITU−T G.726(ADPCM)符号化方式、ITU−T G.766(FAX)、E−Mailまたは共通線信号を少なくとも含むデータの符号化に用いられるDATA符号化方式のいずれか、あるいは、その他の符号化方式であることを判別することを特徴とする多重分離装置。
【請求項2】
前記符号化方式判別手段が、前記データを符号化した符号化方式を判別する際に、前記データの中から、符号化方式判別用としてあらかじめ定めた所定の長さのデータ長を抽出して、抽出した該データ長のデータを用いて、符号化方式を判別することを特徴とする請求項1に記載の多重分離装置。
【請求項3】
抽出するデータ長を示す前記所定の長さが、1000bitから8000bitの範囲内にあることを特徴とする請求項2に記載の多重分離装置。
【請求項4】
前記データを分割するあらかじめ定めた前記単位が、4bit、8bit、64bitのいずれかであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の多重分離装置。
【請求項5】
あらかじめ定めた前記単位として、64bit毎に分割した符号語において、隣接符号語間の不一致ビット数が5ないし10個の範囲となる発生頻度が、その他の不一致ビット数の発生頻度よりも大なる場合、前記データを符号化した符号化方式をITU−T G.766(FAX)符号化方式と判定することを特徴とする請求項4に記載の多重分離装置。
【請求項6】
隣接符号語間の不一致ビット数が5ないし10個の範囲となる合計発生頻度が、全体の発生頻度のうちの50%以上を占める場合、前記データを符号化した符号化方式をITU−T G.766(FAX)符号化方式と判定することを特徴とする請求項5に記載の多重分離装置。
【請求項7】
あらかじめ定めた前記単位として、8bit毎に分割した符号語において、符号語“63”、“126”、“159”、“207”、“231”、“243”、“249”、“252”(いずれも10進数表示)の発生頻度が、他の符号語の発生頻度よりも大なる場合、前記データを符号化した符号化方式を前記DATA符号化方式と判定することを特徴とする請求項4ないし6のいずれかに記載の多重分離装置。
【請求項8】
8bit毎に分割した符号語“63”、“126”、“159”、“207”、“231”、“243”、“249”、“252”(いずれも10進数表示)の合計発生頻度が、全体の発生頻度のうちの30%以上を占める場合、前記データを符号化した符号化方式を前記DATA符号化方式と判定することを特徴とする請求項7に記載の多重分離装置。
【請求項9】
あらかじめ定めた前記単位として、8bitに分割した符号語において、符号語“85”および、“213”(いずれも10進数表示)の発生頻度が、他の符号語の発生頻度よりも大なる場合、前記データを符号化した符号化方式をPCM A−law符号化方式と判定することを特徴とする請求項4ないし8のいずれかに記載の多重分離装置。
【請求項10】
8bit毎に分割した符号語“85”および、“213”(いずれも10進数表示)の合計発生頻度が、全体の発生頻度のうちの3%以上を占める場合、前記データを符号化した符号化方式をPCM A−law符号化方式と判定することを特徴とする請求項9に記載の多重分離装置。
【請求項11】
あらかじめ定めた前記単位として、4bitに分割した符号語において、符号語“1”、“14”、“15”(いずれも10進数表示)の発生頻度が、他の符号語の発生頻度より大なる場合、または、符号語“7”、“8”、“9”(いずれも10進数表示)の発生頻度が、他の符号語の発生頻度より小なる場合、前記データを符号化した符号化方式をITU−T G.726(ADPCM)符号化方式と判定することを特徴とする請求項4ないし10のいずれかに記載の多重分離装置。
【請求項12】
4bit毎に分割した符号語“1”、“14”、“15”(いずれも10進数表示)の発生頻度が、それぞれ、全体の発生頻度のうちの10%以上を占める場合、前記データを符号化した符号化方式をITU−T G.726(ADPCM)符号化方式と判定することを特徴とする請求項11に記載の多重分離装置。
【請求項13】
4bit毎に分割した符号語“7”、“8”、“9”(いずれも10進数表示)の合計発生頻度が、全体の発生頻度のうちの6%以下である場合、前記データを符号化した符号化方式をITU−T G.726(ADPCM)符号化方式と判定することを特徴とする請求項11または12に記載の多重分離装置。
【請求項14】
前記データの特徴に基づいて、当該データを符号化している符号化方式を判別する際に、PCM A−law符号化方式、ITU−T G.726(ADPCM)符号化方式、ITU−T G.766(FAX)、前記DATA符号化方式のいずれから優先して判別するかを示す判別優先順位があらかじめ定められていることを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載の多重分離装置。
【請求項15】
あらかじめ定められている前記判別優先順位が、ITU−T G.766(FAX)、前記DATA符号化方式、PCM A−law符号化方式、ITU−T G.726(ADPCM)符号化方式、の順序であり、前記データの特徴がいずれの符号化方式にも該当していないと判定した場合に、その他の符号化方式と判定することを特徴とする請求項14に記載の多重分離装置。
【請求項16】
前記データの特徴に基づいて、当該データを符号化している符号化方式を判別する際に、PCM A−law符号化方式、ITU−T G.726(ADPCM)符号化方式、ITU−T G.766(FAX)、前記DATA符号化方式のそれぞれを判定するために用いられる前記閾値に比して、当該データを前記単位毎に分割した符号語が示すデータの特徴が、1.0倍以上となる前記閾値に該当する符号化方式を、当該データを符号化している符号化方式と判定することを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載の多重分離装置。
【請求項17】
前記データの特徴に基づいて、当該データを符号化している符号化方式を判別する際に、PCM A−law符号化方式、ITU−T G.726(ADPCM)符号化方式、ITU−T G.766(FAX)、前記DATA符号化方式のそれぞれを判定するために用いられる前記閾値に比して、当該データを前記単位毎に分割した符号語が示すデータの特徴が、1.0倍以上となる前記閾値に該当する符号化方式が複数存在している場合、前記閾値をより大きく上回っている符号化方式を、当該データを符号化している符号化方式と判定することを特徴とする請求項16に記載の多重分離装置。
【請求項18】
前記データの特徴に基づいて、当該データを符号化している符号化方式を判別する際に、PCM A−law符号化方式、ITU−T G.726(ADPCM)符号化方式、ITU−T G.766(FAX)、前記DATA符号化方式のそれぞれを判定するために用いられる前記閾値に比して、当該データを前記単位毎に分割した符号語が示すデータの特徴が、1.0倍以上となる前記閾値に該当する符号化方式が一つも存在していない場合、いずれの符号化方式にも該当しないその他の符号化方式と判定することを特徴とする請求項16または17に記載の多重分離装置。
【請求項19】
前記データの特徴に基づいて、当該データを符号化した符号化方式を判別する際に、あらかじめ定めた所定回数、繰り返して、同一の符号化方式が判別されるか否かに基づいて、当該データを符号化した符号化方式を判別することを特徴とする請求項1ないし18のいずれかに記載の多重分離装置。
【請求項20】
あらかじめ定めた前記所定回数が、1回ないし3回の範囲内にあることを特徴とする請求項19に記載の多重分離装置。
【請求項21】
入力された多重化データをチャンネル毎に分離したり、チャンネル毎のデータを多重化して出力する多重分離方法において、チャンネル毎のデータの特徴を抽出することにより当該データの符号化方式を判別する符号化方式判別ステップを備え、当該符号化方式判別ステップが、前記データをあらかじめ定めた単位で分割した各符号語について、あらかじめ定めた特定の符号語の発生頻度、または、隣接する符号語間の不一致ビット数が、あらかじめ定めた閾値よりも大なること、あるいは、小なることを示すデータの特徴を有しているか否かに基づいて、当該データを符号化した符号化方式が、PCM A−law符号化方式、ITU−T G.726(ADPCM)符号化方式、ITU−T G.766(FAX)、E−Mailまたは共通線信号を少なくとも含むデータの符号化に用いられるDATA符号化方式のいずれか、あるいは、その他の符号化方式であることを判別することを特徴とする多重分離方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−251585(P2007−251585A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−72018(P2006−72018)
【出願日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】