説明

大気ガスの測定方法及び装置

【課題】 S/N比が高く、且つ迅速な検出を可能とする亜酸化窒素ガス、及び大気ガス成分の測定方法及び装置の提供。
【解決手段】 本発明は、キャリヤーガスによって搬送される試料ガス中の成分を、ガスクロマトグラフにより分離し、該ガスクロマトグラフからの流出ガスを検出器に導入するガスの測定方法において、キャリヤーガスとしてヘリウムガスを用い、添加ガスとして窒素ガスを用いることを特徴とする、ECDによる亜酸化窒素、及び大気ガスの測定方法であり、前記添加ガスとして窒素ガスに加えてメタンガスを添加することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大気ガスの測定方法に関し、詳しくは、ヘリウムガスをキャリヤーガスとするガスクロマトグラフを用いて、試料ガスの一回注入により温室効果ガスの測定を可能とする大気微量ガスの迅速な測定方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大気中のメタンガス(CH4)、二酸化炭素ガス(CO2)、亜酸化窒素ガス(N2O)は京都議定書で削減目標が定められた温室効果ガスであり、その発生量を推定するための濃度測定、及び大気中濃度の観測には、通常ガスクロマトグラフ乃至赤外線分光器が使用されている。
【0003】
しかし、上記の3成分の温室効果ガスは、それぞれ化学的性質が異なることから、ガスクロマトグラフによる検出は、それぞれ異なる方法により行われていた。即ちメタンガスは、炭化水素類としての燃焼特性を活かして水素炎イオン化検出器を使用するのが適当とされ、水素炎イオン化検出器によるメタンガスの検出には、ヘリウムガスがキャリヤーガスとして使用されてきた。
【0004】
又、二酸化炭素ガスは、大気中濃度が比較的高い(約370ppm)ことから非選択性の熱伝導度検出器を使用するのが適当とされ、熱伝導度検出器による二酸化炭素ガスの検出にも、ヘリウムガスがキャリヤーガスとして使用されてきた。
【0005】
一方、亜酸化窒素ガスは、電子捕獲能を活かした選択的検出器である電子捕獲型検出器を使用するのが適当とされ、電子捕獲型検出器による亜酸化窒素ガスの検出には、アルゴンガスにメタンガスを5%加えたキャリヤーガスが使用され、ヘリウムガスがキャリヤーガスとして用いられることはなかった(非特許文献1、及び2を参照。)。
【0006】
したがって、これらのガスを検出し濃度の定量分析を行うには、用いるキャリヤーガスが異なることから、個々の成分を分離した上で、個々の検出に適した別々の検出器へと目的成分を導入する必要があり、結果を得るまでには多大の労力と時間を要した。
【0007】
しかもこれらのガスは大気中で低沸点のガス態であり、特に二酸化炭素と亜酸化窒素は分子量がほぼ同一なことから、ガスクロマトグラム上での溶出時間が互いに近接していて、その完全な分離は容易ではなかった。
【0008】
【非特許文献1】色摩信義著「アイソトープ便覧」p606丸善 1984年
【非特許文献2】吉田他「ガス中の超微量不純物の分析法に関する研究(2)」高圧ガスVol.29,No.2(1992)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、S/N比が高く、且つ迅速な検出を可能とする大気ガス成分の測定方法及び装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、キャリヤーガスとしてヘリウムガスを用い、添加ガスとして窒素ガスを添加いることにより、電子捕獲型検出器(Electron Capture Detector、以下ECDという。)を用いた亜酸化窒素の高感度の測定が可能であること見出し、本発明にいたった。
即ち本発明は以下の通りである。
【0011】
本発明は、キャリヤーガスによって搬送される試料ガス中の成分を、ガスクロマトグラフにより分離し、該ガスクロマトグラフからの流出ガスを検出器に導入するガスの測定方法において、キャリヤーガスとしてヘリウムガスを用い、添加ガスとして窒素ガスを用いることを特徴とする、ECDによる亜酸化窒素の測定方法である。
【0012】
更に前記亜酸化窒素の測定方法において、添加ガスとして更にメタンガスを添加することが好ましい。
【0013】
更に本発明は、前記亜酸化窒素の測定方法を用いた、試料ガスの一回注入による、大気ガス成分の測定方法である。
【0014】
更に本発明は、少なくともヘリウムガスであるキャリヤーガスと、窒素ガスと該窒素ガスに対して0.002〜5体積%のメタンガスからなる添加ガスと、2以上の恒温層を備えたガスクロマトグラフとからなる大気ガス成分の測定装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の測定方法及び装置は、試料ガスの1回注入により、S/N比の極めて高い大気微量ガス成分の検出を可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、キャリヤーガスによって搬送される試料ガス中の成分を、ガスクロマトグラフにより分離し、該ガスクロマトグラフからの流出ガスをECDに導入する亜酸化窒素ガスの測定方法において、キャリヤーガスとしてヘリウムガスを用い、添加ガスとして窒素ガスを用いることを特徴とし、窒素ガスに加えてメタンガスを添加することが好ましい。
【0017】
更に本発明は、前記ヘリウムガスをキャリヤーガスとし、窒素ガスを添加する亜酸化窒素の測定方法を用い、従来は試料ガスの一回注入によっては検出が不可能であったメタンガス、二酸化炭素ガス、及び亜酸化窒素ガスの分別測定を可能とする大気微量ガスの測定方法、及び該測定方法を用いた装置である。
以下本発明について、詳細に説明する。
【0018】
<ヘリウムガスをキャリヤーガスとする亜酸化窒素の測定方法>
【0019】
本発明のガスの測定方法は、市販のガスクロマトグラフを用いることが出来る。本発明のガスの測定方法は、温度の異なる恒温槽を少なくとも2個必要とするために、本発明のガスクロマトグラフとしては、2個以上の恒温槽を有するものであることが好ましい。
【0020】
本発明のガスの測定方法はキャリヤーガスとしてヘリウムガスを用い、添加ガスとして窒素ガスを用いることを特徴とし、窒素ガスに加えてメタンガスを添加することが好ましい。前記ヘリウムガス、窒素ガス、及びメタンガスはいずれも、純度が99.99%以上であることが好ましい。
【0021】
ガス分離管(以下カラムという。)としては、スチレンポリマー微細粉末を内包したカラム、及び有孔活性炭微細粉末を内包したカラムを用いる。前記スチレンポリマー微細粉末を内包したカラムとして具体的には、市販のPorapak N、PorapakQ等が好ましく、Porapak Nがより好ましい。前記有孔活性炭微細粉末を内包したカラムとして具体的には、市販のUnibeads Cが好ましい。
【0022】
バイヤル瓶等に採取した試料ガスを、ガスクロマトグラフの注入口より0.5〜3cc注入し、前記キャリヤーガスと混合する(以下混合ガスということがある。)。前記キャリヤーガスの流量は、30〜50ml/minが好ましく、35〜45ml/minがより好ましい。
【0023】
前記混合ガスは、前記スチレンポリマー微細粉末を内包したカラムを通過させた後に、前記有孔活性炭微細粉末を内包したカラムを通過させる。該有孔活性炭微細粉末を内包したカラムを通過させた混合ガスは、該カラムの高温により発生する可能性があるブリーズを防止するために、再度スチレンポリマー微細粉末を内包したカラムを通過させることが好ましい。
【0024】
前記スチレンポリマー微細粉末を内包したカラムの温度は100〜140℃が好ましく、有孔活性炭微細粉末を内包したカラムの温度は140〜180℃が好ましい。前記スチレンポリマー微細粉末を内包したカラムを通すことにより水分が分離され、有孔活性炭微細粉末を内包したカラムを通すことにより炭素化合物分が分離されることにより、ヘリウムガスをキャリヤーガスとする亜酸化窒素の検出が可能となったものと思われる。
【0025】
前記再度のスチレンポリマー微細粉末を内包したカラムを通過させた混合ガスは、ECD直前に添加ガスが添加される。
【0026】
前記添加ガスとして窒素ガスが用いるが、該添加量はヘリウムガスの流量に対し25〜80体積流量%(以下単に流量%という。)が好ましく、40〜60流量%がより好ましい。前記窒素ガスに加えて、微量のメタンガスを添加することにより、検出感度が高まり、S/N比が高まることから好ましい。メタンガスの添加量はヘリウムガスと窒素ガスの総流量に対し0.001〜3流量%が好ましく、0.001〜2流量%がより好ましい。
【0027】
なお前記添加ガスとして、窒素ガスと該窒素ガスに対して0.002〜5体積%のメタンガスを含有した混合ガスを測定前にあらかじめ製造しておき、該あらかじめ製造されたガスを、添加ガスとして使用することが、検出の効率、及び精度の安定の観点からは好ましい。
【0028】
前記添加ガスを添加後に、ECDにより亜酸化窒素を検出する。亜酸化窒素の検出は、前記キャリヤーガスの流量が35〜45ml/minの場合で、前記キャリヤーガスの流出開始から4.0〜5.5分の間に測定することができる。
【0029】
<温室効果ガスの迅速測定方法>
本発明の亜酸化窒素ガスの測定方法を用いることにより、温室効果ガスである二酸化炭素ガス、メタンガス及び亜酸化窒素ガスを、採取ガスをガスクロマトグラフに1回注入することで、以下の手順により迅速に検出することが可能である。
【0030】
メタンガスの検出は、前記ヘリウムガスをキャリヤーガスとする亜酸化窒素ガスの測定方法と同一の経路により、前記混合ガスは前記有孔活性炭微細粉末を内包したカラムを通過した後に、前記再度のスチレンポリマー微細粉末を内包したカラムを通過し、該カラム出口に設置した水素炎イオン化検出器( Flame Ionization Detector、以下 FIDという。) によって検出することができる。メタンガスの検出は前記キャリヤーガスの流量が35〜45ml/minの場合で、前記キャリヤーガスの流出開始から2.5〜3.0分の間に測定することができる。
【0031】
二酸化炭素ガスの検出は、前記ヘリウムガスをキャリヤーガスとする亜酸化窒素ガスの測定方法と同一の経路により、前記添加ガスとして窒素ガス、又は窒素ガスとメタンガスを添加する直前に、熱伝導度検出器(Thermal ConductivityDetector、以下TCDという。)を設置し二酸化炭素を検出することが出来る。二酸化炭素ガスの検出は前記キャリヤーガスの流量が35〜45ml/minの場合で、前記キャリヤーガスの流出開始から3.5〜4.5分の間に測定することができる。
【0032】
亜酸化窒素ガスの検出は、前記二酸化炭素ガスの検出のためのTCDの直後に、前記添加ガスとして窒素ガス、又は窒素ガスとメタンガスを添加し、前記添加ガスを添加後にECDにより亜酸化窒素を測定することができる。上記の通り亜酸化窒素の検出は、キャリヤーガスの流量が35〜45ml/minの場合で、キャリヤーガスの流出開始から4.0〜5.5分の間に測定することができる。
【0033】
前記有孔活性炭微細粉末を内包したカラムを通過した後の混合ガスの経路は、スイッチングバルブの操作により、FIDへの経路とTCD、ECDへの経路とを異なるものとする。該FIDへの経路においても、ECDへの経路と同様に、再度のスチレンポリマー微細粉末を内包したカラムを設けることが好ましい。
【0034】
又TCDとFIDの測定のためのレファレンスとして、ヘリウムガスのみを前記混合ガスと同一流量で流出させ、混合ガスに用いたと同一のカラムを通過させて、それぞれの検出をすることが好ましいが、ゼオライト微細粉末を内包したカラムを用いることもできる。前記ゼオライト微細粉末を内包したカラムとしては、市販のMolecularSieve 5Aが好ましい。
【0035】
前記温室効果ガス以外のガスについても、本発明の亜酸化窒素の測定方法を用いることにより、容易に分離し、測定することが可能である。
【実施例】
【0036】
(実施例1)
本発明の内容を以下の実施例で更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
本発明の装置は市販のガスクロマトグラフ(島津GC14−B型ガスクロマトグラフ)を2台使用しているが、温度の異なる恒温槽を2個必要とするためであり、恒温槽以外は1台のガスクロマトグラフの機能を用いた。
【0037】
図1は本発明の温室効果ガスの測定方法を示す系統図である。ガスの供給系統、スイッチバルブ、8本の分離カラム、及びメタンガスの検出部としてFID、二酸化炭素の検出部としてTCD、亜酸化窒素の検出部としてECDをそれぞれ配置した。
【0038】
本発明の分析装置に供給するキャリヤーガスの供給系統としては、ヘリウムガス供給部21の下流に、クリーンフィルター61(ヴァリアン社製ガスクリーニングユニット:モレキュラーシーブと、ヴァリアン社製ガスクリーニングユニット:オキシゲントラップを併用)を設け、ガス流量調整器31、32、33、34(島津CFC-114PM型)を備えた。キャリヤーガスは、高純度ヘリウムガス(JFP社製:G2グレード、純度99.999%以上)を用い、ガス流量はいずれのガス流量調整器も40ml/minとした。
【0039】
添加ガスの供給系統としては、窒素ガス供給部23の下流に、ガス流量調整器35(島津CFC-114PM型)、及びクリーンフィルター62(Supelco社OMI-2型)を備え、メタンガス供給部24の下流に、ガス流量調整器36(島津CFC-114PM型)、及びクリーンフィルター63(Supelco社OMI-2型)を備えた。
【0040】
本発明の分析装置に用いる分離カラムは、いずれも外径3mmのスチレン鋼製のものを用い、以下の通り8本使用した。
カラム41:Porapak N 60/80 mesh(内径2.0mm、長さ1.0 m、Waters社製)
カラム42:Porapak N 60/80 mesh(内径2.0mm、長さ1.0 m、Waters社製)
カラム43:Unibeads C 80/100 mesh(内径2.0mm、長さ1.5 m、GLサイエンス社製)
カラム44:Shimalite Q 60/80 mesh(内径2.0mm、長さ1.5 m、島津製作所製)
カラム45:Molecular Sieve 5A 60/80mesh(内径2.0mm、長さ1.5 m、Waters社製)
カラム46:Porapak N 60/80 mesh(内径2.0mm、長さ1.0 m、Waters社製)
カラム47:Porapak N 60/80 mesh(内径2.0mm、長さ1.0 m、Waters社製)
カラム48:Molecular Sieve 5A 60/80mesh(内径2.0mm、長さ1.5 m、Waters社製)
【0041】
本装置は図1に示さない2個の温度の異なる恒温槽を用いた。前記カラム43のみを温度160℃の恒温槽に、その他のカラムは温度110℃の恒温槽に配置した。各機器を接続するガス配管は全てSUS316チューブとし、外径2mmのものを使用した。
【0042】
バイヤル瓶に採取した試料ガスを、ガスクロマトグラフの試料注入口20より1cc注入し、流量調整弁31から、前記キャリヤーガスを40ml/minの流量で流出させて、試料ガスとキャリヤーガスとの混合ガスを作製した。
【0043】
前記混合ガスは、流出開始から1.45分が経過するまでは、スイッチバルブ71(島津製作所製、空気圧駆動型10方スイッチングバルブ)の操作により、カラム42、及びカラム43を通過し、カラム43を通過後の前記混合ガスは、スイッチバルブ72(島津製作所製、空気圧駆動型6方スイッチングバルブ)の操作により、カラム47を通過して排出された。前記時間の間に前記経路を混合ガスが通過することにより、検出の目的とするガスよりも低沸点のガスが排出された。
【0044】
開始から1.45分経過後に、スイッチバルブ71の操作により、混合ガスはバルブ5を経由し、カラム44を経て排出された。該排出により、目的とするガスよりも高沸点のガスが排出された。同時に流量調整弁32から、前記キャリヤーガスを40ml/minの流量でカラム41を経由し、カラム43に流入させた。
【0045】
前記カラム43から流出した混合ガスは、スイッチバルブ72の操作により、開始より3.00分経過までカラム47に流入し、該カラム47からの流出ガスについてFID53によりメタンガスの濃度を検出した。メタンガス濃度の検出のピークは、開始から2.7minであった。メタンガスのクロマトグラムを図2に示す。なお図2〜図4のクロマトグラムにおいて、ピークの下線はピーク面積計算のベースラインを示す。
【0046】
開始より3.00分経過後に、スイッチバルブ72の操作により、前記カラム43から流出したガスは、カラム46の経路に切り替えられ、カラム46の流出ガスについてTCD51により二酸化炭素の濃度を検出した。二酸化炭素ガス濃度の検出のピークは、開始から3.9minであった。二酸化炭素ガスのクロマトグラムを図3に示す。
【0047】
前記TCD51により二酸化炭素の濃度を検出した後の混合ガスに、添加ガスを添加した。該添加ガスは、窒素ガス供給部23から純度99.999%以上の窒素ガスを20ml/minの流量で、メタンガス供給部24から純度99.999%以上のメタンガスをヘリウムガスと窒素ガスの総流量に対し0.5%の割合で、それぞれガスクリーンフィルタ62,63を通過させた後に添加した。該添加後のガスについてECD55により亜酸化窒素の濃度を検出した。亜酸化窒素ガス濃度の検出のピークは、開始から4.8minであった。亜酸化窒素ガスのクロマトグラムを図4に示す。
【0048】
レファレンスのため、流量調整弁34により40ml/minの流量とした前記キャリヤーガスを、カラム48に流入させ、カラム48からの流出ガスをTCD52、及び FID54により検出した。
【0049】
前記図2乃至図4のクロマトグラフから、シグナル強度とノイズの波高を求め、S/N比を算出した。結果を表1に示す。
【0050】
【表1】

【0051】
表1の結果から、測定対象ガスのS/N比はいずれも、定量限界S/N比の目安値2に対し極めて高い数値となっており、本発明による微量ガスの検出精度が極めて高いことが分る。
【0052】
(実施例2)
実施例1に用いたメタンガスの添加率を、キャリヤーガス(ヘリウムガス、窒素ガス、及びメタンガス)の総流量に対し0〜4%の範囲で替えた以外は、実施例と同様にして亜酸化窒素の濃度を検出した。各添加率における亜酸化窒素のピーク面積を表2に示す。
【0053】
【表2】

【0054】
表2の結果から、メタンガスの添加率が0.001%から、亜酸化窒素のピーク面積は急激に上昇し、3%程度まで安定していることが分る。
【産業上の利用可能性】
【0055】
大気ガス、特に温室効果ガスを始めとする大気微量ガスについて、S/N比が極めて高く、且つ迅速な検出を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の温室効果ガスの測定方法を示す系統図である。
【図2】メタンガスのクロマトグラムである。
【図3】二酸化炭素ガスのクロマトグラムである。
【図4】亜酸化窒素ガスのクロマトグラムである。
【符号の説明】
【0057】
1〜16 バルブ
20 試料注入口
21 ヘリウムガス供給部
23 窒素ガス供給部
24 メタンガス供給部
25、26 水素ガス供給部
27、28 空気供給部
31〜36 ガス流量調整器
41〜48 カラム
51、52 TCD
53、54 FID
55 ECD
61〜63 ガスクリーンフィルタ
71、72 スイッチバルブ




【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリヤーガスによって搬送される試料ガス中の成分をガスクロマトグラフにより分離し、該ガスクロマトグラフからの流出ガスを検出器に導入するガスの測定方法において、キャリヤーガスとしてヘリウムガスを用い、添加ガスとして窒素ガスを用いることを特徴とする、電子捕獲型検出器による亜酸化窒素の測定方法。
【請求項2】
前記ヘリウムガスの流量が30〜50ml/minであり、前記窒素ガスの流量が、ヘリウムガスの流量の25〜80体積流量%である請求項1に記載の亜酸化窒素の測定方法。
【請求項3】
前記請求項1又は請求項2に記載の亜酸化窒素の測定方法において、添加ガスとして更にメタンガスを添加する亜酸化窒素の測定方法。
【請求項4】
前記メタンガスの添加量が、前記ヘリウムガス及び窒素ガスの総流量に対し、0.001〜3体積流量%である請求項3に記載の亜酸化窒素の測定方法。
【請求項5】
前記窒素およびメタンの添加が、前記電子捕獲型検出器の直前に行われる請求項1乃至請求項4に記載の亜酸化窒素の測定方法。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5に記載の亜酸化窒素の測定方法を用いた、試料ガスの一回注入による、大気ガス成分の測定方法。
【請求項7】
少なくとも、ヘリウムガスであるキャリヤーガスと、窒素ガスと該窒素ガスに対して0.002〜5体積%のメタンガスとからなる添加ガスと、2以上の恒温層を備えたガスクロマトグラフとからなる大気ガス成分の測定装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−275844(P2006−275844A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−96918(P2005−96918)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(501245414)独立行政法人農業環境技術研究所 (60)
【Fターム(参考)】