説明

大腸癌マーカー遺伝子

【課題】大腸癌マーカー遺伝子として、ヒト由来の新規なマンノース転移酵素遺伝子を提供する。
【解決手段】下記(A)又は(B)の何れかの蛋白質をコードするHmat−Xa遺伝子を提供する。(A)特定のアミノ酸配列を有するアミノ酸配列の蛋白質。(B)特定のアミノ酸配列を有するのアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入及び/又は付加を含むアミノ酸配列を有し、かつ、糖転移酵素活性を有する蛋白質。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大腸癌の診断のために有用な新規な腫瘍マーカー遺伝子に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオテクノロジーの発達により、ヒトのホルモン・血液凝固因子などがバイオ医薬として生産されるようになった。バイオ医薬のかなりのものが、蛋白に糖鎖が共有結合した糖蛋白といわれるものである。これら有用糖蛋白遺伝子のクローニングにもとづく大腸菌での産生系の確立の試みの過程で、大腸菌へのヒト遺伝子の組み換えでは活性が発現できないことがわかった。その主たる原因は、大腸菌ではヒトの体内で産生する際に付加する糖鎖の生合成系が存在しないために、糖鎖を欠いた蛋白が産生されることによる。そのために、有用糖蛋白産生系として、ヒトと同様な糖鎖生合成系を持つチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)をはじめとする動物培養細胞を用いた産生系が開発され、バイオインダストリーにおける生産で実用化されている。糖蛋白の糖鎖として主要なものにアスパラギン結合型糖鎖とムチン型糖鎖がある。糖蛋白のアスパラギン結合型糖鎖は、リピド中間体[Glc3Man9GlcNAc2-P-P-ドリコール(Dol):Glc; グルコース、Man;マンノース、GlcNAc; N-アセチルグルコサミン、P:リン酸]を前駆体としている。リピド中間体の生合成は粗面小胞体膜の細胞質側で開始され、糖ヌクレオチド(UDP-GlcNAcおよびGDP-Man)を糖供与体とする7段階の反応、そして、粗面小胞体膜の内腔側に転送後のドリコールリン酸糖(Dol-P-ManおよびDol-P-Glc)を糖供与体とする7段階の反応、合計全14段階の糖転移酵素反応によって行われる。リピド中間体の構造およびその生合成過程は、酵母、植物、動物といった真核生物間で共通である。
【0003】
本発明者のうちの一人は、ヒト・バーキットリンパ腫由来Raji細胞の培養にリピド中間体の生合成過程最初の反応であるN-アセチルグルコサミン-1-リン酸転移酵素を特異的に阻害するツニカマイシンを投与すると、その細胞増殖がG1期で可逆的に停止することを発見した[Nishikawa, Y., Yamamoto, Y., Kaji, K. and Mitsui, H.: Biochem. Biophys. Res. Commun. 97: 1296-1303(1980)]。これは真核細胞の細胞周期上のG1期通過に、リピド中間体の生合成および糖蛋白のアスパラギン結合型糖鎖生合成が必要であることを初めて明らかにしたのである。この発見は、本発明者の一人による、マウス乳癌由来FM3A細胞からのリピド中間体生合成変異株G258(マンノース転移酵素IV変異株と思われる)の分離のための理論的根拠となった[Nishikawa, Y.: J. Cell. Physiol. 119:260-266(1984)]。また、酵母においても追試され、その後の酵母に於けるリピド中間体生合成変異株分離のための理論的根拠になった。以上の研究の流れから、本発明者らは、リピド中間体生合成過程のうち、粗面小胞体膜の細胞質側で行われる、前半5段階のマンノース転移酵素に焦点をあてて研究を行っている。そして、酵母でクローニングされたマンノース転移酵素遺伝子のアミノ酸配列をもとに、ヒト遺伝子のホモロジー・クローニングを行ってきた。すなわち、酵母でクローニングされたALG1遺伝子(マンノース転移酵素I遺伝子)、ALG2遺伝子(マンノース転移酵素III遺伝子とされてきた)、ALG11遺伝子(マンノース転移酵素V遺伝子とされている)に相同なヒト遺伝子としてHmat-1、Hmat-3、Hmat-5 の各遺伝子をクローニングした。そして、その塩基配列を決定し、それから推定アミノ酸配列を得た。それらは、糖ヌクレオチドを糖供与体とする糖転移酵素に特有なlycosyl transferase group 1 domainおよび糖ヌクレオチド結合部位と考えられているDXD(DDX)配列(D:アスパラギン酸、X:任意のアミノ酸)を持っていた。
【0004】
癌化に伴う糖蛋白糖鎖の構造変化については、1975年前後から報告が出ている。ここでは、癌化による糖蛋白のアスパラギン結合型糖鎖の分岐構造としての、α1-6アームのManα1-6に対してβ1-6結合で付加するN-アセチルグルコサミンの増加と、それに先立つβ1-6N-アセチルグルコサミン転移酵素(N-アセチルグルコサミン転移酵素VI)の発現昂進について述べる。
【0005】
糖蛋白のアスパラギン結合型糖鎖のβ1-6分岐は、N-アセチルグルコサミン転移酵素Vによって形成され、同分岐は、その後のポリラクトサミン構造の生成、シアル酸付加に続く。この分岐の形成は、細胞表層や細胞外マトリックスに存在する糖蛋白が関わる細胞の基質への接着などに影響する。山下ら[J. Biol. Chem. 260: 3893-3969(1985);非特許文献1]によってポリオーマウイルスによるBHK細胞の形質転換によってβ1-6分岐が増加し、かつ、N-アセチルグルコサミン転移酵素V活性が増加することが報告された。この報告を契機に、N-アセチルグルコサミン転移酵素V活性(発現)と形質転換、腫瘍転移[Dennisら Science 236: 582-585(1987) ;非特許文献2、谷口らClin. Cancer Res. 6: 1772-1776(2000) ;非特許文献3]などとの関係に焦点があてられた。そして、Dennisら[J. Biol. Chem. 266: 1772-1782(1991)];非特許文献4]により、ヒト肺ガンなどにおいて、β1-6分岐が増加し、それとN-アセチルグルコサミン転移酵素V活性が対応していることが示されてきた。更に、このN-アセチルグルコサミン転移酵素V活性の上昇は、N-アセチルグルコサミン転移酵素V遺伝子(Mgat-5)転写活性と平行していることについても多くの報告がある[Petretti ら Biochim. Biophys. Acta 1428:209-218(1999);非特許文献5]。この転写は、Ets-1, src、erbB2などの関与が知られており、同遺伝子の5'上流領域にあるets-1結合部位へのEts-1蛋白の結合が促進的に関与していることが、谷口ら[J. Biol. Chem. 271: 26706-26712(1966) ;非特許文献6]により示されている。N-アセチルグルコサミン転移酵素V活性と腫瘍転移との関係では、谷口ら[J. Biol. Chem. 277: 16960-16966(2001) ;非特許文献7]により、N-アセチルグルコサミン転移酵素V活性の上昇により、マトリプターゼは、そのβ1-6 分岐が増加して、蛋白分解に抵抗性となり、タンパク的に安定化され、それが、腫瘍転移に働くウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子とHGF(肝細胞増殖因子)の両蛋白の活性化を促進するということで説明されている。また、癌化の過程で、細胞表層のインテグリンであるフィブロネクチンレセプターα5β1のβ1インテグリンのアスパラギン結合型糖鎖における、N-アセチルグルコサミン転移酵素V活性によるβ1-6 分岐の増加が、α5・β1両サブユニットの密集形成を阻害し、結果として、癌細胞の基質への接着性を弱め、より移動しやすくなるという結果も得られている[ Guoら Cancer Res. 62: 6837-6845(2002) ;非特許文献8]。更に、N-アセチルグルコサミン転移酵素V遺伝子ノックアウトマウスを用いた解析において、N-アセチルグルコサミン転移酵素Vが腫瘍増殖と腫瘍転移に必須であること[Dennisら Nature Med. 6:306-312(2000) ;非特許文献9]が示され、今までの研究の流れと矛盾しない。
我々が見いだしたHmat-Xaの腫瘍における発現調節についても、今後、同様にして、詳細な解析が必要となろう。
【0006】
【化1】

【0007】
【非特許文献1】Yamashita, K., Tachibana, Y., Ohkura, T., and Kobata, A. J.Biol.Chem. 260: 3893-3969(1985)
【非特許文献2】Dennis, J.W., Laferte, S., Waghorne, C., Breitman, M.L., Kerbel, R.S. Science 236: 582-585(1987)
【非特許文献3】Murata, K., Miyoshi, E., Kameyama, M., Ishikawa, O., Kabuto, T., Sasaki,Y., Hiratsuka, M., Ohigashi, H., Ishiguro, S., Ito, S., Honda, H., Takemura, F., Taniguchi, N., and Imaoka, S. Clin. Cancer Res. 6: 1772-1776(2000)
【非特許文献4】Yousefi, S., Higgins, E., Daoling, Z., Pollex-Kruger, A., Hindsgaul, O., and Dennis, J.W. J. Biol. Chem. 266: 1772-1782(1991)
【非特許文献5】Petretti, T., Schulze, B., Schlag, P.M., and Kemmner, W. Biochim. Biophys. Acta 1428:209-218(1999)
【非特許文献6】Kang, R., Saito, H., Ihara, Y., Miyoshi, E., Koyama, N., Sheng, Y., and Taniguchi, N. J. Biol. Chem. 271: 26706-26712(1966)
【非特許文献7】Ihara, S., Miyoshi, E., Ko, J.H., Murata, K., Nakahara ,S., Honke, K., Dickson, R.B., Lin, C.Y., and Taniguchi, N. J. Biol. Chem. 277: 16960-16966 (2001)
【非特許文献8】Guo, H.B., Lee, I., Kamar, M., Akiyama, S.K., and Pierce, M. Cancer Res. 62: 6837-6845(2002)
【非特許文献9】Granovsky, M., Fata, J., Pawling, J., Muller, W.J., Khokha, R., and Dennis, J.W. Nature Med. 6:306-312(2000)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の通り、リピド中間体生合成に働くマンノース転移酵素のうち、幾つかのマンノース転移酵素のクローニングは進んでいるが、未だ全てのマンノース転移酵素がクローニングされているわけではない。リピド中間体生合成に関するマンノース転移酵素のうち、前半の、GDP-Manを糖供与体とする5段階は、それらの過程のうち少なくても2段階に関する変異株が酵母から温度感受性変異株として分離され、更に我々によりマウス乳癌由来FM3A細胞からマンノース転移酵素IV?の変異株としてG258変異株が分離されていることから、真核細胞の増殖にとって必須と考えられる。また、後半の 、Dol-P-Manを糖供与体とする4段階は、マウス細胞やCHO細胞から分離されたDol-P-Man合成酵素欠損変異株[Thy-1-class E(dpm1) 、Lec15(dpm2)]が正常に増殖できることから必須ではない。しかしながら、重篤な脳神経症状や肝機能障害などを呈するヒト先天性グリコシル化異常症(Congenital Disorders of Glycosylation: CDG)タイプIのサブタイプとして、これらマンノース転移酵素活性に欠陥を持ち、その結果、フルサイズのリピド中間体の供給が間に合わず、糖蛋白において、ポリペプチドあたりのアスパラギン結合型糖鎖の数が減少して、上記のような機能障害をもたらすヒト遺伝病の症例が、世界中で、ここ数年、相次いで見つかっている。
マンノース転移酵素としては、リピド中間体生合成以外に、GPIアンカー蛋白における糖鎖の生合成に関わるマンノース転移酵素やO-マンノシル化蛋白のマンノシル化を触媒する酵素も見つかっている。そして、これらにおいても、その欠損により重篤な症状を示すヒト遺伝病が見つかっている。しかし、これらの他にはマンノース転移酵素の存在は知られていない。
以上のように、生体内におけるマンノース転移酵素の役割として、特に癌などの疾患との係わりに関する知見は、まだ蓄積しつつある段階にある。本発明は、ヒト由来の新規なマンノース転移酵素遺伝子(特に、全生物を通じて未知であるGDP-マンノースを糖供与体とするマンノース転移酵素IIおよびマンノース転移酵素IV)をクローニングすることを解決すべき課題とした。さらに本発明は、例えば、その欠陥がヒト先天的グリコシル化異常症の原因遺伝子となるような、また、癌のマーカー遺伝子となるような、マンノース転移酵素遺伝子をクローニングすることを解決すべき課題とした。さらに本発明は、得られたマンノース転移酵素遺伝子を用いて、ヒト先天的グリコシル化異常症の遺伝子診断や癌の診断方法を提供することを解決すべき課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決することを目的として、以下のパラメーターを用いてバイオインフォーマティックスの手法で、未知遺伝子のクローニングを企てた。今回、検索に用いたパラメーターは、(1)既知の糖転移酵素の相同性に基づいた分類のデータベースであるCaZY などを用いた、ヒトのマンノース転移酵素I、マンノース転移酵素III、マンノース転移酵素Vを始めとする、GDP-マンノースなどの糖ヌクレオチドを糖供与体とする糖転移酵素に共通なドメインGlycosyltransferase group 1 domainを持つ糖転移酵素および糖転移酵素候補のアミノ酸配列、(2)既知の全生物のマンノース転移酵素のアミノ
酸配列、(3)糖ヌクレオチドを供与体とする糖転移酵素に共通の、DXDあるいは DDX 配列、(4)糖ヌクレオチドにおけるα-グリコシド結合を、そのまま維持して結合するretaining typeの糖転移酵素に共通のEX7E配列、(5)酵母リピド中間体生合成に働く糖転移酵素、酵母ドリコールキナーゼ(Sec59蛋白)、イヌオリゴ糖転移酵素ribophorin Iサブユニットなどで提唱された仮想的ドリコール認識配列PDRSの、以上、5つである。
【0010】
そして、先ず、Glycosyltransferase group 1 domainを持つショウジョウバエQ9VXN0蛋白のアミノ酸配列をもとに、ヒトESTデータベースを探索した結果、Q9VXN0蛋白に相同なヒト蛋白をコードするESTクローンとしてBI770600およびAU119344を同定した。
次に、これらの塩基配列およびアミノ酸配列の情報をもとに、更に検索を進めて得た全ORFと思われる領域を含む塩基配列をもとに設計したプライマーを用いてヒト胎児脳cDNAプールを鋳型にPCRを行った。さらに、得られたPCR産物を用いて、ヒト胎児脳cDNA ライブラリーを検索した結果、アミノ酸457残基をコードする1371塩基から成るORFを同定することに成功し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明によれば、下記(A)又は(B)の何れかの蛋白質が提供される。
(A)配列番号2に記載のアミノ酸配列を有する蛋白質。
(B)配列番号2に記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入及び/又は付加を含むアミノ酸配列を有し、かつ、糖転移酵素活性を有する蛋白質。
【0012】
本発明の別の側面によれば、下記(A)又は(B)の何れかの蛋白質をコードするDNAが提供される。
(A)配列番号2に記載のアミノ酸配列を有する蛋白質。
(B)配列番号2に記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入及び/又は付加を含むアミノ酸配列を有し、かつ、糖転移酵素活性を有する蛋白質。
【0013】
本発明のさらに別の側面によれば、下記(a)、(b)又は(c)の何れかのDNAが提供される。
(a)配列番号1に記載の塩基配列を有するDNA。
(b)配列番号1に記載の塩基配列において、1若しくは数個の塩基の置換、欠失、挿入及び/又は付加を含む塩基配列を有し、かつ、糖転移酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA。
(c)配列番号1に記載の塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、糖転移酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA。
【0014】
本発明のさらに別の側面によれば、上記した本発明のDNAを含有する、組み換えベクターが提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、上記した本発明のDNA又は組み換えベクターを有する、形質転換体が提供される。
【0015】
本発明のさらに別の側面によれば、上記した本発明の蛋白質に対する抗体、上記した本発明の蛋白質に対する抗体を含む大腸癌の診断薬、並びに生体試料中における上記蛋白質の発現を上記抗体を用いて検出又は測定することを含む大腸癌の診断方法が提供される。
【0016】
本発明のさらに別の側面によれば、上記した本発明のDNAの塩基配列の部分配列又はその相補配列から成るオリゴヌクレオチド、上記した本発明のDNAの塩基配列の部分配列又はその相補配列から成るオリゴヌクレオチドを含む大腸癌の診断薬、並びに生体試料中における上記DNAの発現を上記オリゴヌクレオチドを用いて検出又は測定することを含む大腸癌の診断方法が提供される。
本発明のさらに別の側面によれば、大腸癌のマーカーとして上記した本発明の蛋白質を使用する方法が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、Glycosyltransferase group 1 domainを含む新規な遺伝子としてHmat-Xa遺伝子が提供される。本発明の遺伝子は、健常人の大腸腺上皮組織では発現が低いが、大腸腺癌組織では特異的に発現が昂進しているため、大腸腺癌の腫瘍マーカーとして有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明についてさらに具体的に説明する。
(1)本発明の蛋白質
本発明の蛋白質は、下記(A)又は(B)の何れかの蛋白質である。
(A)配列番号2に記載のアミノ酸配列を有する蛋白質。
(B)配列番号2に記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入及び/又は付加を含むアミノ酸配列を有し、かつ、糖転移酵素活性を有する蛋白質。
【0019】
本明細書で言う糖転移酵素活性を有する蛋白質とは、糖を転移する酵素活性を有する限り特に限定されないが、好ましくは、Glycosyltransferase group 1 domainを有し、さらに好ましくは糖ヌクレオチドを糖供与体とする糖転移酵素に特有のDXD(Xは任意:例えば、DKD)あるいはDDX(Xは任意:例えば、DDY)配列を有する蛋白質を意味する。
【0020】
上記した「配列番号2に記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置
換、欠失、挿入及び/又は付加を含むアミノ酸配列」における「1若しくは数個」の範囲は特には限定されないが、例えば、1から20個、好ましくは1から10個、より好ましくは1から7個、さらに好ましくは1から5個、特に好ましくは1から3個程度を意味する。
【0021】
本発明の蛋白質の入手・製造方法は特に限定されず、天然由来の蛋白質でも、化学合成した蛋白質でも、遺伝子組み換え技術により作製した組み換え蛋白質の何れでもよい。比較的容易な操作でかつ大量に製造できるという点では、組み換え蛋白質が好ましい。
【0022】
天然由来の蛋白質を入手する場合には、該蛋白質を発現している細胞又は組織から蛋白質の単離・精製方法を適宜組み合わせて単離することができる。化学合成蛋白質を入手する場合には、例えば、Fmoc法(フルオレニルメチルオキシカルボニル法)、tBoc法(t-ブチルオキシカルボニル法)等の化学合成法に従って本発明の蛋白質を合成することができる。また、各種の市販のペプチド合成機を利用して本発明の蛋白質を合成することもできる。
【0023】
本発明の蛋白質を組み換え蛋白質として産生するには、該蛋白質をコードする塩基配列(例えば、配列番号1に記載の塩基配列)を有するDNA又はその変異体又は相同体を入手し、これを好適な発現系に導入することにより本発明の蛋白質を製造することができる。
【0024】
発現ベクターとしては、好ましくは宿主細胞において自立複製可能であるか、あるいは宿主細胞の染色体中へ組込み可能であるものであればよく、本発明の遺伝子を発現できる位置にプロモーターを含有しているものが使用される。また、本発明の蛋白質をコードする遺伝子を有する形質転換体は、上記の発現ベクターを宿主に導入することにより作製することができる。宿主は、細菌、酵母、動物細胞、昆虫細胞のいずれでもよく、また宿主への発現ベクターの導入は、各宿主に応じた公知の手法により行えばよい。
【0025】
本発明においては、上記のようにして作製した本発明の遺伝子を有する形質転換体を培養し、培養物中に本発明の蛋白質を生成蓄積させ、該培養物より本発明の蛋白質を採取することにより組み換え蛋白質を単離することができる。
【0026】
本発明の形質転換体が大腸菌等の原核生物、酵母菌等の真核生物である場合、これら微生物を培養する培地は、該微生物が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、形質転換体の培養を効率的に行える培地であれば天然培地、合成培地のいずれでもよい。また培養条件も該微生物を培養するのに通常用いられる条件にて行えばよい。培養後、形質転換体の培養物から本発明の蛋白質を単離精製するには、通常の蛋白質の単離、精製法を用いればよい。
【0027】
なお、配列番号2に記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入及び/又は付加を含むアミノ酸配列を有する蛋白質は、配列番号2に記載のアミノ酸配列をコードするDNA配列の一例示す配列番号1に記載の塩基配列の情報に基づいて当業者であれば適宜製造又は入手することができる。
【0028】
即ち、配列番号2に記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入及び/又は付加を含むアミノ酸配列を有する蛋白質をコードする塩基配列を有する遺伝子(変異遺伝子)は、化学合成、遺伝子工学的手法又は突然変異誘発などの当業者に既知の任意の方法で作製することもできる。具体的には、配列番号1に記載の塩基配列を有するDNAを利用し、これらDNAに変異を導入することにより変異DNAを取得することができる。
【0029】
例えば、配列番号1に記載の塩基配列を有するDNAに対し、変異原となる薬剤と接触作用させる方法、紫外線を照射する方法、遺伝子工学的手法等を用いて行うことができる。遺伝子工学的手法の一つである部位特異的変異誘発法は特定の位置に特定の変異を導入できる手法であることから有用であり、Molecular Cloning: A laboratory Mannual, 3rd ed., Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY., 2001(以下、モレキュラークローニング第3版と略す)、Current Protocols in Molecular Biology, Supplement 1-38, John Wiley & Sons (1987-1997)(以下、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジーと略す)等に記載の方法に準じて行うことができる。
【0030】
(2)本発明のDNA
本発明のDNAは、上記(1)に記載した本発明の蛋白質をコードするDNAであり、好ましくは、下記(a)、(b)又は(c)の何れかのDNAである。
(a)配列番号1に記載の塩基配列を有するDNA。
(b)配列番号1に記載の塩基配列において、1若しくは数個の塩基の置換、欠失、挿入及び/又は付加を含む塩基配列を有し、かつ、糖転移酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA。
(c)配列番号1に記載の塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、糖転移酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA。
【0031】
上記した「配列番号1に記載の塩基配列において、1若しくは数個の塩基の置換、欠失、挿入及び/又は付加を含む塩基配列」における「1若しくは数個」の範囲は特には限定されないが、例えば、1から60個、好ましくは1から30個、より好ましくは1から20個、さらに好ましくは1から15個、さらに好ましくは1から10個、さらに好ましくは1から5個、特に好ましくは1から3個程度を意味する。
【0032】
上記した「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」とは、DNAをプローブとして使用し、コロニー・ハイブリダイゼーション法、プラークハイブリダイゼーション法、あるいはサザンブロットハイブリダイゼーション法等を用いることにより得られるDNAの塩基配列を意味し、例えば、コロニーあるいはプラーク由来のDNA又は該DNAの断片を固定化したフィルターを用いて、0.7〜1.0MのNaCl存在下、65℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2×SSC溶液(1×SSC溶液は、150mM塩化ナトリウム、15mMクエン酸ナトリウム)を用い、65℃条件下でフィルターを洗浄することにより同定できるDNA等を挙げることができる。ハイブリダイゼーションは、モレキュラークローニング第3版等に記載されている方法に準じて行うことができる。
【0033】
ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするDNAとしては、プローブとして使用するDNAの塩基配列と一定以上の相同性を有するDNAが挙げられ、例えば70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは93%以上、特に好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上の相同性を有するDNAが挙げられる。
【0034】
本発明のDNAの取得方法は特に限定されない。本明細書中の配列表の配列番号1および配列番号2に記載した塩基配列及びアミノ酸配列の情報に基づいて適当なブローブやプライマーを調製し、それらを用いてヒトなどのcDNAライブラリーをスクリーニングすることにより本発明のDNAを単離することができる。cDNAライブラリーは、本発明のDNAを発現している細胞、器官又は組織から作製することが好ましい。
【0035】
PCR法により配列番号1に記載した塩基配列を有するDNAを取得することもできる。ヒト染色体DNA又はヒトcDNAライブラリーを鋳型として使用し、配列番号1に記載した塩基配列を増幅できるように設計した1対のプライマーを用いてPCRを行う。PCRの反応条件は適宜設定することができ、例えば、94℃で30秒間(変性)、55℃で30秒〜1分間(アニーリング)、72℃で2分間(伸長)からなる反応工程を1サイクルとして、例えば30サイクル行った後、72℃で7分間反応させる条件などを挙げることができる。次いで、増幅されたDNA断片を、大腸菌等の宿主で増幅可能な適切なベクター中にクローニングすることができる。
【0036】
上記したプローブ又はプライマーの調製、cDNAライブラリーの構築、cDNAライブラリーのスクリーニング、並びに目的遺伝子のクローニングなどの操作は当業者に既知であり、例えば、モレキュラークローニング第3版、カレント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロジー等に記載された方法に準じて行うことができる。
【0037】
(3)本発明の抗体
本発明は、上記した本発明の蛋白質をエピトープ(抗原)として認識する抗体に関する。
【0038】
本発明の抗体はポリクローナル抗体でもモノクローナル抗体でもよく、その作製は定法により行なうことができる。
【0039】
例えば、ポリクローナル抗体は、本発明の蛋白質を抗原として哺乳動物を免疫感作し、該哺乳動物から血液を採取し、採取した血液から抗体を分離・精製することにより得ることができる。例えば、マウス、ハムスター、モルモット、ニワトリ、ラット、ウサギ、イヌ、ヤギ、ヒツジ、ウシ等の哺乳動物を免疫することができる。免疫感作の方法は当業者に公知であり、例えば抗原を、例えば7〜30日間隔で2〜3回投与すればよい。投与量は1回につき、例えば抗原約0.05〜2mg程度とすることができる。投与経路も特に限定されず、皮下投与、皮内投与、腹膜腔内投与、静脈内投与、筋肉内投与等を適宜選択することができる。また、抗原は適当な緩衝液、例えば完全フロイントアジュバント又は水酸化アルミニウム等の通常用いられるアジュバントを含有する適当な緩衝液に溶解して用いることができる。
【0040】
免疫感作した哺乳動物を一定期間飼育した後、抗体価が上昇してきたら、例えば100μg〜1000μgの抗原を用いて追加免疫を行なうことができる。最後の投与から1〜2ケ月後に免疫感作した哺乳動物から血液を採取して、該血液を、例えば遠心分離、硫酸アンモニウム又はポリエチレングリコールを用いた沈澱、ゲルろ過クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等のクロマトグラフィー等の常法によって分離・精製することにより、ポリクローナル抗血清として、本発明の蛋白質を認識するポリクローナル抗体を得ることができる。
【0041】
一方、モノクローナル抗体はハイブリドーマを調製して得ることができる。例えば、抗体産生細胞とミエローマ細胞株との細胞融合によりハイブリドーマを得ることができる。本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、以下のような細胞融合法によって得ることができる。
【0042】
抗体産生細胞としては、免疫された動物からの脾細胞、リンパ節細胞、Bリンパ球等を使用する。抗原としては、本発明の蛋白質又はその部分ペプチドを使用する。免疫動物としてはマウス、ラット等を使用でき、これらの動物への抗原の投与は常法により行う。例えば完全フロインドアジュバント、不完全フロインドアジュバントなどのアジュバントと抗原である本発明の蛋白質との懸濁液もしくは乳化液を動物の静脈、皮下、皮内、腹腔内等に数回投与することによって動物を免疫化する。免疫化した動物から抗体産生細胞として例えば脾細胞を取得し、これとミエローマ細胞とを公知の方法(G.Kohler et al .,Nature,256 495(1975))により融合してハイブリドーマを作製することができる。
【0043】
細胞融合に使用するミエローマ細胞株としては、例えばマウスではP3X63Ag8、P3U1株、Sp2/0株などが挙げられる。細胞融合を行なうに際しては、ポリエチレングリコール、センダイウイルスなどの融合促進剤を用い、細胞融合後のハイブリドーマの選択にはヒポキサンチン・アミノプテリン・チミジン(HAT)培地を常法に従って使用する。細胞融合により得られるハイブリドーマは限界希釈法等によりクローニングする。さらに必要に応じて、本発明の蛋白質を用いた酵素免疫測定法によりスクリーニングを行うことにより、本発明の蛋白質を特異的に認識するモノクローナル抗体を産生する細胞
株を得ることができる。
【0044】
このようにして得られたハイブリドーマから目的とするモノクローナル抗体を製造するには、通常の細胞培養法や腹水形成法により該ハイブリドーマを培養し、培養上清あるいは腹水から該モノクローナル抗体を精製すればよい。培養上清もしくは腹水からのモノクローナル抗体の精製は、常法により行なうことができる。例えば、硫安分画、ゲルろ過、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーなどを適宜組み合わせて使用できる。
【0045】
また、上記した抗体の断片も本発明の範囲内である。抗体の断片としては、F(ab')2フラグメント、Fab'フラグメント等が挙げられる。
【0046】
さらに、上記した抗体の標識抗体も本発明の範囲内である。即ち、上記のようにして作製した本発明の抗体は標識して使用することができる。抗体の標識の種類及び標識方法は当業者に公知である。例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ又はアルカリホスファターゼなどの酵素標識、FITC(フルオレセインイソチオシアネート)又はTRITC(テトラメチルローダミンBイソチオシアネート)等の蛍光標識、コロイド金属および着色ラテックスなどの呈色物質による標識、ビオチンなどのアフィニティー標識、あるいは125Iなどの同位体標識などを挙げることができる。
【0047】
(4)本発明の抗体を用いた大腸癌の診断薬及び診断方法
本発明は、上記した本発明の蛋白質に対する抗体を含む大腸癌の診断薬、並びに、生体試料中における本発明の蛋白質の発現を本発明の抗体を用いて検出又は測定することを含む大腸癌の診断方法に関する。ここで用いる生体試料としてはヒトや動物から採取した生体試料(例えば、臓器、生体組織、血液、尿など)、あるいはこれらの生体試料から樹立した初代培養細胞又は細胞株などが用いられる。
【0048】
上記(3)に記載した本発明の抗体を用いて、本発明の蛋白質を免疫学的に検出する方法としては、免疫組織化学染色法、フローサイトメトリー、ウェスタンブロッティング法、サンドイッチELISA等の酵素免疫測定法(EIA)、又は放射性免疫測定法(RIA)などがあり、これらの技術は当業者に周知である。
【0049】
免疫組織化学染色法は、生体組織や細胞を固定化し、本発明の抗体を反応させ、さらに蛍光物質、酵素、ビオチン、金コロイド、放射性物質等で標識した抗イムノグロブリン抗体あるいは抗体断片を反応させた後、必要に応じて標識抗体の可視化を行い、顕微鏡等を用いて観察することにより組織や細胞中における本発明の蛋白質の存在を検出又は測定する方法である。蛍光物質標識としては、フルオレセイン・イソチオシアネート(FITC)、テトラメチルローダミン・イソチオシアネート等が用いられる。酵素標識の場合はペルオキシダーゼやアルカリフォスファターゼ等が用いられ、酵素により発色する基質を添加して発色反応させることができる。
【0050】
フローサイトメトリーでは、細胞に本発明の抗体を反応させ、さらに蛍光物質でラベルした抗イムノグロブリン抗体あるいは抗体断片を反応させた後、蛍光色素をフローサイトメーターで測定することにより、細胞中での本発明の蛋白質の発現を検出することができる。
【0051】
ウェスタンブロッティング法は、生体組織や細胞の破砕液をSDS-PAGEで分画した後、ゲルを膜にブロッティングし、この膜に本発明の抗体を反応させ、さらにペルオキシダーゼやアルカリフォスファターゼなどの酵素や125I等の放射性物質で標識した抗イムノグロブリン抗体を反応させた後、 本発明の蛋白質のバンドを検出する方法である。
【0052】
酵素免疫測定法の一種であるサンドイッチELISAでは、抗原認識部位の異なる2種類の本発明の抗体を用意し、一方の抗体はプレートに吸着させておく。生体組織や細胞から調製した細胞破砕液を試験サンプルとしてプレートに接触させて反応を行い、さらに抗原認識部位の異なる他方の抗体を反応させ、さらにペルオキシダーゼやアルカリフォスファターゼなどの酵素で標識した抗イムノグロブリン抗体を反応させる。酵素により発色する基質を添加して発色反応させた後、分光光度計により発色強度を測定することにより、サンプル中の本発明の蛋白質の検出または測定を行うことができる。
【0053】
また、放射性免疫測定法は、酵素でなく125I等の放射性物質で標識した抗体を用いて、酵素免疫測定法と同様の操作を行い、シンチレーションカウンターで放射線を測定する方法である。
【0054】
上記した方法を利用することにより、生体試料中における本発明の蛋白質の発現を本発明の抗体を用いて検出又は測定することができる、これにより大腸癌の診断を行うことができる。即ち、生体試料中における本発明の蛋白質の発現量が、正常の場合と比較して高まっている場合には大腸癌の疑いがあると診断することができる。
【0055】
(5)本発明のオリゴヌクレオチド
本発明は、上記した本発明のDNAの塩基配列の部分配列又はその相補配列から成るオリゴヌクレオチドに関する。
本発明のオリゴヌクレオチドの具体例としては、本発明のDNAの塩基配列中の連続した5〜100塩基と同じ配列を有するセンスオリゴヌクレオチド、当該センスオリゴヌクレオチドと相補的な配列を有するアンチセンスオリゴヌクレオチド、および、当該センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドのオリゴヌクレオチド誘導体などが挙げられる。さらに具体的には、配列番号1の塩基配列中の連続した5〜100塩基と同じ配列を有するDNAまたは該DNAと相補的な配列を有するDNAを挙げることができる。また、配列の長さは、一般的には5〜100塩基であり、好ましくは10〜60塩基であり、より 好ましくは15〜50塩基である。
【0056】
本発明のオリゴヌクレオチドは、本発明のDNAまたはその断片の塩基配列情報を基に、核酸合成機などを用いる常法により製造することができる。
【0057】
また、上記のオリゴヌクレオチドの誘導体も本発明のオリゴヌクレオチドとして利用することができる。オリゴヌクレオチド誘導体としては、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がホスホロチオエート結合に変換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のリン酸ジエステル結合がN3'-P5'ホスフォアミデート結合に変換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のリボースとリン酸ジエステル結合がペプチド核酸結合に変換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC-5プロピニルウラシルで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のウラシルがC-5チアゾールウラシルで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のシトシンがC-5プロピニルシトシンで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のシトシンがフェノキサジン修飾シトシンで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、オリゴヌクレオチド中のリボースが2'-O-プロピルリボースで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体、あるいはオリゴヌクレオチド中のリボースが2'-メトキシエトキシリボースで置換されたオリゴヌクレオチド誘導体等をあげることができる。
【0058】
(6)本発明のオリゴヌクレオチドを用いた大腸癌の診断薬及び診断方法
本発明は、上記した本発明のオリゴヌクレオチドを含む大腸癌の診断薬、並びに、生体試料中における本発明のDNAの発現を本発明のオリゴヌクレオチドを用いて検出又は測定することを含む大腸癌の診断方法に関する。
【0059】
具体的には、上記(5)に記載した本発明のオリゴヌクレオチドを用いて、本発明のDNAのmRNAを検出することにより、本発明のDNAの発現を検出又は測定することができる。
【0060】
本発明のDNAのmRNAを検出する方法としては、例えばノーザンブロット法、in situハイブリダイゼーション法、定量的PCR法、ディファレンシャル・ハイブリダイゼーション法、DNAチップ法、リボヌクレアーゼ保護アッセイ法等があげられる。これらの方法により各種試料における本発明のDNAのmRNAレベルでの発現量を調べることができる。これらの方法によって、本発明のDNAがどのような組織や細胞で発現しているかという情報を得ることができる。ここで用いる試料としてはヒトや動物から採取した生体試料(例えば、臓器、生体組織、血液、尿など)、あるいはこれらの生体試料から樹立した初代培養細胞又は細胞株などが用いられる。
【0061】
ノーザンブロット法は、試料から抽出した全RNAあるいはmRNAをゲル電気泳動で分離後、膜に転写し、本発明のオリゴヌクレオチドを標識で標識して調製した標識プローブを用いてハイブリダイゼーション及び洗浄を行い、本発明のDNAのmRNAを、標識プローブが結合したバンドとして検出する方法である。バンドの強度は、本発明のDNAのmRNA量を反映しているので、本発明のDNAのmRNAレベルでの発現量を定量することもできる。
【0062】
In situハイブリダイゼーション法は、試料である臓器や生体組織からパラフィン包埋切片あるいはクリオスタット切片を作製し、該切片に対して本発明のオリゴヌクレオチドより調製した標識プローブを用いてハイブリダイゼーション及び洗浄を行い、組織内における本発明のDNAの発現細胞の種類や発現部位などを詳細に検出する方法である。
【0063】
定量的PCR法は、試料由来RNAからオリゴdTプライマーと逆転写酵素を用いて合成したcDNAを鋳型として本発明のオリゴヌクレオチドプライマーを用いてPCRを行い、本発明のDNAのmRNAに由来するDNA断片を特異的に増幅する方法である。増幅されたDNA断片量は、試料中における本発明のDNAのmRNAの量を反映することから、本発明のDNAのmRNAを定量することが可能である。
【0064】
ディファレンシャル・ハイブリダイゼーション法やDNAチップ法は、本発明のオリゴヌクレオチドを固定化させた基盤に対して、試料由来RNAから合成した標識cDNAをプローブとしてハイブリダイゼーション及び洗浄を行うことで、試料中の本発明のDNAのmRNAレベルでの発現を検出する方法である。
【0065】
リボヌクレアーゼ保護アッセイでは、まず本発明のDNAの3'端にT7プロモーターなどのプロモーター配列を結合し、標識NTPおよびプロモーター特異的なRNAポリメラーゼを用いたインビトロの転写系により標識したアンチセンスRNAを合成する。この標識アンチセンスRNAを試料から調製したRNAとハイブリダイゼーションさせ、検体中の本発明のmRNAとRNA-RNAハイブリッドを形成させた後、リボヌクレアーゼで消化し、ハイブリッドの形成によりリボヌクレアーゼによる消化から保護されたバンドをゲル電気泳動で検出する。保護されたバンドを定量することで、本発明のDNAのmRNAレベルでの発現を定量することができる。
【0066】
以上のような方法により、被検者および健常者から生検等により採取した臓器や生体組織、血液等の生体試料、あるいはこれから培養した初代培養細胞を検体として用い、両者における本発明のDNAのmRNAレベルでの発現の定量を行って比較することにより、本発明のDNAのmRNAレベルの発現量が健常者と比べて増加しているかどうかを診断することができる。そして、検体中における本発明のDNAの発現量が、健常者の場合と比較して高まっている場合には、大腸癌の疑いがあると診断することができる。
【0067】
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0068】
実施例1:新規遺伝子の検索とHmat-Xa遺伝子の同定
段落番号0008に記したように、全生物を通じて、その遺伝子が未だにクローニングされていないマンノース転移酵素IIおよびマンノース転移酵素IVも、上記のマンノース転移酵素I、マンノース転移酵素IIIおよびマンノース転移酵素Vと同様に、糖ヌクレオチドであるGDP-マンノースをマンノース供与体としている。そこで、以下のパラメーターを用いてバイオインフォーマティックスの手法で、未知遺伝子のクローニングを企てた。検索に用いたパラメーターは、(1)CaZY などを用いた、ヒトのマンノース転移酵素I、マンノース転移酵素III、マンノース転移酵素Vを始めとする、糖ヌクレオチドを糖供与体とする糖転移酵素に共通なドメインGlycosyltransferase group 1 domainを持つ糖転移酵素および糖転移酵素候補のアミノ酸配列、(2)既知の全生物のマンノース転移酵素のアミノ酸配列、(3)糖ヌクレオチドを供与体とする糖転移酵素に共通の、DXDあるいは DDX 配列、(4)糖ヌクレオチドにおけるα-グリコシド結合を維持して結合する糖転移酵素に共通のEX7E配列、(5)酵母リピド中間体生合成に働く糖転移酵素、酵母ドリコールキナーゼ(Sec59蛋白)、イヌオリゴ糖転移酵素ribophorin Iサブユニットなどで提唱された仮想的ドリコール認識配列PDRS、である。
以上のことから、まず、Pfamに登録されているGlycosyltransferase group 1 domainを持つ糖転移酵素グループに属する約1000の蛋白のうち、真核生物由来のもので、機能未知のものをリストアップした。
【0069】
その結果、ショウジョウバエQ9VXN0、シロイヌナズナQ9LPN6、イネQ9AXB1、Trypanosoma Q9U532、シロイヌナズナQ9M147などが、リストアップされた。そして、それらのアミノ酸配列をパラメーターとして、DDBJのヒトESTデータベースをtBLASTnサーチした。
【0070】
そのうち、Q9VXN0のアミノ酸配列によるヒトESTデータベースのtBLASTnサーチで本発明の遺伝子に関する結果が得られた。すなわち、高いbitでヒト未知EST2種にヒットした。そのうち1つのグループはQ9VXN0のアミノ酸配列のC末端側に位置する、Glycosyltransferase group 1 domain部分に相同、もう一つは、Q9VXN0のアミノ酸配列のN末端に相同であった。前者に属するヒトESTクローンとしてBI770600、AU119344などがあり、後者に属するヒトESTクローンとして、BI488854などがある。尚、Q9VXN0のGlycosyltransferase group 1 domain部分に相同性を示すヒト既知遺伝子として、マンノース転移酵素III遺伝子Hmat-3とGPIアンカーにおける糖鎖生合成の第一段階に働くN-アセチルグルコサミン転移酵素遺伝子PIG-Aが検出された。
【0071】
そこで、更に、ヒトESTクローンBI770600に相同なヒトESTをサーチすると、高い相同性を示すグループと、未知遺伝子3種にヒットした。尚、BI770600は2番染色体に由来することもこの段階で判明した。次に、BI770600およびBI770600に相同なヒトESTとして検出されたAU119344、AI082171、BG682274をもとに、272アミノ酸からなる部分的 アミノ酸配列(配列番号5)を作成した。
【0072】
次に、この配列をもとに、蛋白のドメイン構造を検索するインターネットのサイトであるProdomで、同プログラムをもとに、ドメイン検索した結果、この配列がマンノース転移酵素ドメイン(K150-W253)を持つことが判明した。更に、このProdomの検索でこれらの配列を持つヒト蛋白として、Q9HE5があることも判明した(但し、機能は未知であり、Glycosyltransferase group 1 domainを持つもののリストには入っていなかった。)。以上から、新規糖転移遺伝子である可能性が高いと考え、この遺伝子をHmat-Xaと命名して、遺伝子のクローニングに着手した。尚、Hmat-Xa遺伝子に相同な配列は、酵母遺伝子には見あたらなかった。
また、CAZYのglycosyltransferase family の方の検索をすると、Hmat-3遺伝子およびHmat-5遺伝子が属しているglycosyltransferase family 4に未知ヒトESTクローンAK021815があり、それは我々が見いだしたHmat-Xa遺伝子に相同であることがわかった。
【0073】
実施例2:Hmat-Xa遺伝子のクローニング:
このAK021815 をもとに、以下の検索をおこなった。EST クローンAK021815と、これにBLASTでヒットしたESTクローンAK091684を比較して、AK091684がAK021815よりも5'側に637bp伸長していることを見出した(同時にAK091684がエクソン1つ分スキップしていることも見出した; 下図の黒の大文字配列が欠如したエクソンに相当)。また、AK021815の最上流側エクソンを含むゲノミッククローンAC010681には、このAK091684の637bp配列は含まれていなかった。そこで、AK091684の配列(全長2353bp)で再度BLAST検索を行ったところ、AC010681に隣接するゲノミッククローンAC009957が検出され、この中にAK091684の2〜613番目のヌクレオチドが4分割されて含まれていた(614〜967番目のヌクレオチドは、同時に検出されたAC010681中に含まれていた)。また、AK091684の2〜400番目のヌクレオチドを元にESTデータベースを検索したところ、AK091684よりもさらに5'側に伸長したESTクローンが複数検出され(BG027230, BG427368等)、これらESTクローンの5'側伸長部分のコンセンサスをとり、Hmat-Xa cDNA配列を5'側にさらに59bp伸長させた(この59bp配列は、ゲノミッククローンAC009957にさらに5'側に隣接するゲノミッククローンAC010130に含まれる)。この59bp配列の5'側には、なおもスプライシングによりエクソンが連結している可能性が残されているが、59bp配列中には、in frameで終止コドン(TAG)が存在するため、開始コドンは、AK091684の93〜95番目の位置(ATG)であると結論づけられた。
【0074】
以上の結果から、下図の配列(配列番号6)に、Hmat-Xa遺伝子ORFの全長が含まれると考えた。/(改行)はエクソン境界部を示す。黒大文字部分のエクソンを欠如したAK091684パターンのスプライシングが生じると、下流の大文字のTAAでORF(ORF2)が終了するのに対して、このエクソンを含むAK021815パターンのスプライシングが生じると、さらに下流の大文字のTGAまでORF(ORF1)が続き、Glycosyltransferase group 1 domainに有為な相同性を示す。
【0075】
/gtatctctgcatTAGccagattggacatatgtaaagggacatcagtatatctggatcatcag/
attgtgcttcaagaagaccatagggaagaacgcattttcatcttgctgcaaaagttgcaatagaa/
gatctgaaggtttgaatgggccaATGagtatcctcatcattgaagcattctatggaggctcccataaacagctggtggat
cttcttcaagaagagttaggagactgtgtcgtttatacccttcctgcaaagaaatggcattggagagcccggacatctgc
tttatatttctctcagaccattcccatcagtgagcattacag/
gaccctctttgcaagttcagtgcttaacctgaccgaactggctgcccttcggcctgaccttgggaaactgaaaaagattc
tgtattttcacgagaaccagttgatatatcctgtcaagaaatgtcaggagagggatttccaatatggatacaaccaaatt
ctttcatg/
cctggtggctgatgtggttgtattcaactcagtttttaatatggaatcatttctcacttccatgggaaaatttatgaagc
tgattcctgatcacagacccaaggatctggaaagcatcatcagacccaagtgccaagttatttactttcccatcaggttt
cctgatgtgagcag/
attcatgcccaagcacaaaacaacccatttaaagaagatgctcggccttaaaggaaatggcggtgcggttctgtccatgg
cccttccttttcagccagagcagagagattcagaggatttattgaagaattttaattcagagtgtgatacacactgtggc
cttgatactgcacgacaagaatatttgggtaactcattaagacaggaatcagacttgaaaaaatccacctcgtcagataa
ttcaagctctcatcatggtgaaaataaacaaaatctgactgttgatccctgtgacattttgggtggagttgataatcagc
aaagactgctacacattgtctggcctcacaggtg/
ggagcatgataaagatccagaaagcttttttaaggtattaatgcatcttaaagacttaggactcaatttccacgtgtctg
tacttggagaaaccttcacagatgtcccag
ATATTTTTTCAGAGGCCAAAAAGGCATTGGGATCTTCTGTCTTACACTGGGGCTACTTACCCAGCAAAGATGACTACTTC
CAAGTACTGTGCATGGCTGATGTTGTCATCTCAACAGCTAAGCATGAATTCTTTGGAGTGGCAAT/
gttggaagctgtgtactgtgggtgttacccactttgtcctaaagatttggtttatcccgaaatatttccag/
ctgaatatctgtattctacacctgaacagctttcaaaaaggctccagaatttctgcaagagaccagatattaTAAgaaaa
catctctataag/
ggtgaaatcgctccgttttcttgggcagccctacatggtaaattcaggtctctgcttacaacagaacctagggaagattt
gTGAcagatggggctaagtcacaaacttgcagcctaaggcagagtctgaagaactttccagagtgtgcccatatttacct
gatcagagagaaaagaaaatctgcagaggaagctgagcctggctgcttgtcatagctgacacagagccatctgccacaaa
cctgtggcggcttcagatctccaatccctgccaccaccccaactcaaattaaatacagattcctagagacgttatgatgg
ttacacatgtcctcggcatcacatgtaggagactgttcaaaaaaaatatgtggcctgttgtataaccgcactcatgtatc
ccatatgtggtgccacattgaatttccggttgaatccgtttttatcctttgtactggatgacatggtgcctgaattcttt
cttttcgccgacacgatggcagccaaactgcagcttcaaacgctcacacttggctgggtttctacctaggttgccaggtt
atcatcggagccttcttgtgtcctcaaagggccacgaggcctgaaaggaggatcagaatgctttgggattaattgggcag
ccatcgcagaattgtttgtgggcaaagggctgctttagcacttttcttttagcaaattaatgactctcaggcacaggggg
ttttaagtgaaggtattaataagaggtctggcaggtattcccatgattcacagagttacatttgcatttaattaatctta
aagttgcaagataaacagctgtaattcggacaaacatgacaaacacagtgaagccaactatcccataaaatgaacactga
catacttgttttaatttttttcccagcgtaaaaatagaaaaatcaaaatactcctaacaaaaccagtgattttgatagaa
atatttctccaatatacttgcatccacctacaaatataaccttttcaagataaatcgcttatgatttcaatagtcaaact
gctgtgtttgttgatgtaaagatgttttgaatggctagatggtaaaataaattcttaataaagtacccactgc
【0076】
この推定された全長配列に基づき、pUC118またはpUC119ベクターのSmaI部位へのクローニング用のPCRプライマーとして、
XA-9F : ATCAGATTGTGCTTCAAGAAGACCATAGGG (配列番号7)
XA-10R : TGACAAGCAGCCAGGCTCAGCTTCCTCTGC (配列番号8)
を設計し(グライナージャパンに委託合成)、brain及びliverのcDNAプール(MTC Panel Human I;Clontech)を鋳型にして、以下の条件で、PCRを行った。
【0077】
反応液組成:
Human MTC Panel のcDNA (brainまたはliver) 5μl
dH2O 36.25μl
10×buffer (酵素付属、No.1) 5μl
10mM dNTP mix 1μl
10μM各プライマー 1μlずつ
Expand Long Template PCR System (Roche Diagnostics)のenzyme mix 0.75μl
反応液のtotal 50μl
【0078】
反応条件:
94℃ 1 minの後、(94℃ 30 sec・68℃ 3 min) × 50 cycles、68℃ 2 min
【0079】
1%アガロースゲル電気泳動の結果、ヒトのbrainとliver、いずれの組織からも予想された2つのサイズ(約1.6kb及び1.45kb)の増幅断片が確認された。このPCR反応液をPCR Product Purification Kit (Roche Diagnostics)を用いてマニュアル通り精製し、EtOH沈殿を行って濃縮した後、Sma I切断したpUC118またはpUC119ベクターに連結し(Takara Ligation Kit ver.2をマニュアル通り使用)、大腸菌JM109を形質転換してクローニングした。
こうして、pUCベクターにクローニング後、それら2つのサイズの陽性クローンの塩基配列を決定した。
【0080】
pUCベクターにクローニング後の配列決定用プライマーとして、以下のプライマーを用いた。
puCF: CGCCAGGGTTTTCCCAGTCACGAC (配列番号9)
pUCR: CGGATAACAATTTCACACAGGAAAC (配列番号10)
XA-5R: TCTGCTCTGGCTGAAAAGGAAGGGCCATGG (配列番号11)
XA-7F: GAAGATGCTCGGCCTTAAAGGAAATGGCGG (配列番号12)
【0081】
上記の通り、ORFは2種類あり、その第1(ORF1)は、ORFが1374塩基(アミノ酸458残基をコード)あり、第2(ORF2)はORFが1128塩基(アミノ酸376残基をコード)あった。この2つのORF のうち、ORF1のみにGlycosyltransferase group 1 domainが含まれていた。すなわち、このORF1 がHmat-Xa遺伝子である。
【0082】
配列番号1: Hmat-Xa遺伝子(ORF1)を含む塩基配列
開始コドンと終始コドンを大文字で示した。
gtatctctgcatTAGccagattggacatatgtaaagggacatcagtatatctggatcatcagattgtgcttcaagaagac
catagggaagaacgcattttcatcttgctgcaaaagttgcaatagaagatctgaaggtttgaatgggccaATGagtatcc
tcatcattgaagcattctatggaggctcccataaacagctggtggatcttcttcaagaagagttaggagactgtgtcgtt
tatacccttcctgcaaagaaatggcattggagagcccggacatctgctttatatttctctcagaccattcccatcagtga
gcattacaggaccctctttgcaagttcagtgcttaacctgaccgaactggctgcccttcggcctgaccttgggaaactga
aaaagattctgtattttcacgagaaccagttgatatatcctgtcaagaaatgtcaggagagggatttccaatatggatac
aaccaaattctttcatgcctggtggctgatgtggttgtattcaactcagtttttaatatggaatcatttctcacttccat
gggaaaatttatgaagctgattcctgatcacagacccaaggatctggaaagcatcatcagacccaagtgccaagttattt
actttcccatcaggtttcctgatgtgagcagattcatgcccaagcacaaaacaacccatttaaagaagatgctcggcctt
aaaggaaatggcggtgcggttctgtccatggcccttccttttcagccagagcagagagattcagaggatttattgaagaa
ttttaattcagagtgtgatacacactgtggccttgatactgcacgacaagaatatttgggtaactcattaagacaggaat
cagacttgaaaaaatccacctcgtcagataattcaagctctcatcatggtgaaaataaacaaaatctgactgttgatccc
tgtgacattttgggtggagttgataatcagcaaagactgctacacattgtctggcctcacaggtgggagcatgataaaga
tccagaaagcttttttaaggtattaatgcatcttaaagacttaggactcaatttccacgtgtctgtacttggagaaacct
tcacagatgtcccagATATTTTTTCAGAGGCCAAAAAGGCATTGGGATCTTCTGTCTTACACTGGGGCTACTTACCCAGC
AAAGATGACTACTTCCAAGTACTGTGCATGGCTGATGTTGTCATCTCAACAGCTAAGCATGAATTCTTTGGAGTGGCAAT
gttggaagctgtgtactgtgggtgttacccactttgtcctaaagatttggtttatcccgaaatatttccagctgaatatc
tgtattctacacctgaacagctttcaaaaaggctccagaatttctgcaagagaccagatattaTAAgaaaacatctctat
aagggtgaaatcgctccgttttcttgggcagccctacatggtaaattcaggtctctgcttacaacagaacctagggaaga
tttgTGAcagatggggctaagtcacaaacttgcagcctaaggcagagtctgaagaactttccagagtgtgcccatattta
cctgatcagagagaaaagaaaatctgcagaggaagctgagcctggctgcttgtcatagctgacacagagccatctgccac
aaacctgtggcggcttcagatctccaatccctgccaccaccccaactcaaattaaatacagattcctagagacgttatga
tggttacacatgtcctcggcatcacatgtaggagactgttcaaaaaaaatatgtggcctgttgtataaccgcactcatgt
atcccatatgtggtgccacattgaatttccggttgaatccgtttttatcctttgtactggatgacatggtgcctgaattc
tttcttttcgccgacacgatggcagccaaactgcagcttcaaacgctcacacttggctgggtttctacctaggttgccag
gttatcatcggagccttcttgtgtcctcaaagggccacgaggcctgaaaggaggatcagaatgctttgggattaattggg
cagccatcgcagaattgtttgtgggcaaagggctgctttagcacttttcttttagcaaattaatgactctcaggcacagg
gggttttaagtgaaggtattaataagaggtctggcaggtattcccatgattcacagagttacatttgcatttaattaatc
ttaaagttgcaagataaacagctgtaattcggacaaacatgacaaacacagtgaagccaactatcccataaaatgaacac
tgacatacttgttttaatttttttcccagcgtaaaaatagaaaaatcaaaatactcctaacaaaaccagtgattttgata
gaaatatttctccaatatacttgcatccacctacaaatataaccttttcaagataaatcgcttatgatttcaatagtcaa
actgctgtgtttgttgatgtaaagatgttttgaatggctagatggtaaaataaattcttaataaagtacccactgc
【0083】
配列番号2:ORF1のアミノ酸配列
下線部はORF2のアミノ酸配列とは異なる配列を示す。
MSILIIEAFYGGSHKQLVDLLQEELGDCVVYTLPAKKWHWRARTSALYFSQTIPISEHYRTLFASSVLNLTELAALRPDL
GKLKKILYFHENQLIYPVKKCQERDFQYGYNQILSCLVADVVVFNSVFNMESFLTSMGKFMKLIPDHRPKDLESIIRPKC
QVIYFPIRFPDVSRFMPKHKTTHLKKMLGLKGNGGAVLSMALPFQPEQRDSEDLLKNFNSECDTHCGLDTARQEYLGNSL
RQESDLKKSTSSDNSSSHHGENKQNLTVDPCDILGGVDNQQRLLHIVWPHRWEHDKDPESFFKVLMHLKDLGLNFHVSVL
GETFTDVPDIFSEAKKALGSSVLHWGYLPSKDDYFQVLCMADVVISTAKHEFFGVAMLEAVYCGCYPLCPKDLVYPEIFP
AEYLYSTPEQLSKRLQNFCKRPDIIRKHLYKGEIAPFSWAALHGKFRSLLTTEPREDL(term)
【0084】
配列番号3: ORF2を含む塩基配列
開始コドンと終始コドンを大文字で示した。
gtatctctgcatTAGccagattggacatatgtaaagggacatcagtatatctggatcatcagattgtgcttcaagaagac
catagggaagaacgcattttcatcttgctgcaaaagttgcaatagaagatctgaaggtttgaatgggccaATGagtatcc
tcatcattgaagcattctatggaggctcccataaacagctggtggatcttcttcaagaagagttaggagactgtgtcgtt
tatacccttcctgcaaagaaatggcattggagagcccggacatctgctttatatttctctcagaccattcccatcagtga
gcattacaggaccctctttgcaagttcagtgcttaacctgaccgaactggctgcccttcggcctgaccttgggaaactga
aaaagattctgtattttcacgagaaccagttgatatatcctgtcaagaaatgtcaggagagggatttccaatatggatac
aaccaaattctttcatgcctggtggctgatgtggttgtattcaactcagtttttaatatggaatcatttctcacttccat
gggaaaatttatgaagctgattcctgatcacagacccaaggatctggaaagcatcatcagacccaagtgccaagttattt
actttcccatcaggtttcctgatgtgagcagattcatgcccaagcacaaaacaacccatttaaagaagatgctcggcctt
aaaggaaatggcggtgcggttctgtccatggcccttccttttcagccagagcagagagattcagaggatttattgaagaa
ttttaattcagagtgtgatacacactgtggccttgatactgcacgacaagaatatttgggtaactcattaagacaggaat
cagacttgaaaaaatccacctcgtcagataattcaagctctcatcatggtgaaaataaacaaaatctgactgttgatccc
tgtgacattttgggtggagttgataatcagcaaagactgctacacattgtctggcctcacaggtgggagcatgataaaga
tccagaaagcttttttaaggtattaatgcatcttaaagacttaggactcaatttccacgtgtctgtacttggagaaacct
tcacagatgtcccaggttggaagctgtgtactgtgggtgttacccactttgtcctaaagatttggtttatcccgaaatat
ttccagctgaatatctgtattctacacctgaacagctttcaaaaaggctccagaatttctgcaagagaccagatattaTA
Agaaaacatctctataagggtgaaatcgctccgttttcttgggcagccctacatggtaaattcaggtctctgcttacaac
agaacctagggaagatttgTGAcagatggggctaagtcacaaacttgcagcctaaggcagagtctgaagaactttccaga
gtgtgcccatatttacctgatcagagagaaaagaaaatctgcagaggaagctgagcctggctgcttgtcatagctgacac
agagccatctgccacaaacctgtggcggcttcagatctccaatccctgccaccaccccaactcaaattaaatacagattc
ctagagacgttatgatggttacacatgtcctcggcatcacatgtaggagactgttcaaaaaaaatatgtggcctgttgta
taaccgcactcatgtatcccatatgtggtgccacattgaatttccggttgaatccgtttttatcctttgtactggatgac
atggtgcctgaattctttcttttcgccgacacgatggcagccaaactgcagcttcaaacgctcacacttggctgggtttc
tacctaggttgccaggttatcatcggagccttcttgtgtcctcaaagggccacgaggcctgaaaggaggatcagaatgct
ttgggattaattgggcagccatcgcagaattgtttgtgggcaaagggctgctttagcacttttcttttagcaaattaatg
actctcaggcacagggggttttaagtgaaggtattaataagaggtctggcaggtattcccatgattcacagagttacatt
tgcatttaattaatcttaaagttgcaagataaacagctgtaattcggacaaacatgacaaacacagtgaagccaactatc
ccataaaatgaacactgacatacttgttttaatttttttcccagcgtaaaaatagaaaaatcaaaatactcctaacaaaa
ccagtgattttgatagaaatatttctccaatatacttgcatccacctacaaatataaccttttcaagataaatcgcttat
gatttcaatagtcaaactgctgtgtttgttgatgtaaagatgttttgaatggctagatggtaaaataaattcttaataaa
gtacccactgc
【0085】
配列番号4: ORF2のアミノ酸配列
下線部はORF1のアミノ酸配列とは異なる配列を示す。
MSILIIEAFYGGSHKQLVDLLQEELGDCVVYTLPAKKWHWRARTSALYFSQTIPISEHYRTLFASSVLNLTELAALRPDL
GKLKKILYFHENQLIYPVKKCQERDFQYGYNQILSCLVADVVVFNSVFNMESFLTSMGKFMKLIPDHRPKDLESIIRPKC
QVIYFPIRFPDVSRFMPKHKTTHLKKMLGLKGNGGAVLSMALPFQPEQRDSEDLLKNFNSECDTHCGLDTARQEYLGNSL
RQESDLKKSTSSDNSSSHHGENKQNLTVDPCDILGGVDNQQRLLHIVWPHRWEHDKDPESFFKVLMHLKDLGLNFHVSVL
GETFTDVPGWKLCTVGVTHFVLKIWFIPKYFQLNICILHLNSFQKGSRISARDQIL(term)
【0086】
実施例3:ホモロジー検索
上記の方法によるHmat-Xa遺伝子のクローニングと平行して、微生物起源のマンノース転移酵素のアミノ酸配列をもとに、ヒトESTデータベースに対して、新規糖転移酵素遺伝子候補をtBLASTn検索した結果、結核菌Mycobacterium tuberculosisのPimC遺伝子の遺伝子産物である仮想的マンノース転移酵素(Q9RLP4)およびMethanosarcina mazeiのマンノース転移酵素(Q8PZ44)が、Hmat-Xa遺伝子と相同性を持つ蛋白して検出された。このことから、Hmat-Xa遺伝子がマンノース転移酵素をコードする遺伝子である可能性が示唆された。
【0087】
実施例4:Hmat-Xa遺伝子の発現(mRNAの発現)
Hmat-Xa遺伝子(ORF1)のヒト組織別の発現および正常腺上皮および腺癌における発現をRT-PCR法により、半定量的に検討した。具体的には、以下の通り行った。
【0088】
XA-17F : GACTCAATTTCCACGTGTCTGTACTTGGAG(配列番号13)とXA-10R(配列番号8)を用いて、RT-PCRを行った。試験した組織は、MTC Panel Human I及びMTC Panel Human II(いずれも正常組織由来、Clontech)に含まれる14組織と、MTC Panel Human Tumor(ガン組織由来、Clontech)である。
【0089】
反応液組成:
MTC Panelの各cDNA 5μl
dH2O 36.25μl
10×buffer (酵素付属、No.1) 5μl
10mM dNTP mix 1μl
プライマーmix(XA-17FおよびXA-10R;各10μM) 2μl
Expand Long Template PCR System (Roche Diagnostics)のenzyme mix 0.75μl
反応液のtotal 50μl
【0090】
反応条件:
94℃ 30 secの後、(94℃ 30 sec(変性)・68℃ 2 min(アニーリング)) ×30または34 cycles、68℃ 2 min(伸長)
【0091】
PCR後、反応液の10μlを用いて1%アガロースゲル電気泳動を行い、全ての組織から、予想された2つのサイズ、すなわち、ORF1 の部分配列(約570bp)及びORF2 の部分配列(420bp)の増幅断片を検出した。
【0092】
結果を図1(a)および(b)に示す。図1(a)の結果より分かるように、Hmat-Xa遺伝子の発現は、胎盤、卵巣、腎臓、肝臓、膵臓で高く、大腸、心臓、骨格筋で低かった。コントロールとして、グリセルアルデヒドー3-リン酸デヒドロゲナーゼ(G3PDH)についても、Clontechのhuman G3PDH control primer setを用いてRT-PCR(22サイクル)を行った。その結果、G3PDHは調べた全ての組織で同程度の発現が見られた。
Hmat-Xa遺伝子は、前記したように、酵母に相同な配列が見あたらない、そして、本項に示したように、ヒト組織間で発現の程度に相違がある。一方、リピド中間体生合成に働く遺伝子は真核生物間で普遍に存在している(保存されている)遺伝子であり、また、常に発現している、いわゆる、ハウスキーピング遺伝子であり、真核生物の各組織で同程度に発現している遺伝子である(私達は、ヒト・マンノース転移酵素I遺伝子およびヒト・マンノース転移酵素III遺伝子の組織別発現を検討したが、組織に於ける発現の程度に大きな違いは見られなかった)。そのようなことから、Hmat-Xa遺伝子はリピド中間体生合成に働くマンノース転移酵素ではないことが予想される。
【0093】
図1(b)に示した結果は、Hmat-Xa遺伝子の正常腺上皮と腺癌における転写を、肺、大腸、前立腺、卵巣、膵臓の5つの組織について、RT-PCRで比較したものである。コントロールとして、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(G3PDH)についてもRT-PCR(22サイクルのPCR)を行った。その結果、G3PDHは5つの組織において、正常・癌を問わず、ほぼ同程度の発現が見られた。一方、Hmat-Xa遺伝子については、以下の結果が得られた。肺では正常組織・腺癌組織では発現が低かった。大腸では正常組織では発現が低かったが、腺癌で発現の著しい昂進が見られた。一方、前立腺、卵巣、膵臓では正常組織では顕著な発現が見られたが、腺癌では発現が著しく低下した。このことから、大腸腺癌でHmat-Xa遺伝子の転写昂進が腫瘍マーカーとなりうることが示された。
【0094】
実施例5:Hmat-Xa遺伝子の発現(蛋白レベルでの発現)
この目的のために、まずHAタグ付加Hmat-Xa遺伝子を作製した。すなわち、すでにpUCベクターにクローニングしたORF1を含む配列(配列番号1)をPCRで増幅し、動物細胞発現用ベクター(pMH; Roche Diagnostics)のKpnI-NotI部位間に組み込んだ。
PCRの条件と反応組成液は、実施例2に記してある通りである。但し、鋳型DNAは形質転換株由来であり、プライマーは下記の通りである。
【0095】
用いたPCRプライマー:
XA-11FK aaggtaccaccATGAGTATCCTCATCATTG(配列番号14)
XA-12RN gggcggccgCAAATCTTCCCTAGGCTCTGT(配列番号15)
【0096】
また、酵母発現用には、上記の方法でpMHベクターにHmat-Xa 遺伝子を組み込んだ後に、構築されたHAタグ含有Hmat-Xa遺伝子部分をPCRで増幅し、酵母発現用ベクター(pESC-URA; Stratagene)のSalI-XhoI部位間に組み込んだ。
PCR の条件と反応液組成は、実施例2に記してある通りである。但し、鋳型DNA は形質転換株由来であり、プライマーは下記の通りである。
【0097】
プライマー
HA-RX: ggctcgagTTAGACGTAGTCTGGGACGTCG (配列番号16)
XA-11FS: gggtcgacATGAGTATCCTCATCATTGAAG (配列番号17)
【0098】
以上によって、構築されたHAタグ付加Hmat-Xa遺伝子含有pMHベクターおよびHAタグ付加Hmat-Xa遺伝子含有pESC-URAベクターにより、HeLa細胞あるいは酵母の形質転換を行った。
【0099】
A. HAタグ付加Hmat-Xa遺伝子導入HeLa細胞の作成
Fugene 6(Roche)を 6μl、HAタグ付加Hmat-Xa 遺伝子含有コンストラクトを2μg含み、無血清DMEM培地で全量を100μlとした後、その全量を、HeLa細胞をDMEM培地で対数増殖期(3×105細胞/ml)まで4ml量培養したシャーレに加えた。3日間培養後、コロニー形成させるために、細胞懸濁液を1/64および1/128に希釈して、ジェネティシン(400 μg/ml)含有DMEM培地4ml中にまいた。さらに10日間培養後、コロニー形成した細胞を集め、96穴プレート、24穴プレート、100mmシャーレの順に培養して行き、1コロニー由来の細胞を増やした。このような中から、形質転換株を得た。
【0100】
B.HAタグ付加Hmat-Xa遺伝子導入酵母の作成
<方法>
酵母YPH499株をYPDA培地1mlにて、30℃恒温槽で9時間振盪培養後、遠心で集菌し、そこに、100μlのOne Step Buffer(0.2M 酢酸リチウム、40% PEG4000、100mM DTT)を加えて懸濁。HAタグ付加Hmat-Xa遺伝子含有pESC-URAベクター溶液3μl(2μg)を加えて混合し、45℃恒温槽で、30分間、ヒートショックを与えた後、SD-URA寒天培地に、塗布し、30℃で3日間培養した。
【0101】
C.形質転換細胞中に於ける導入遺伝子の確認とそのmRNA への転写の確認
HeLa 細胞におけるHAタグ付加Hmat-Xa遺伝子の存在をPCR 法で、また、同遺伝子のRNAへの発現(転写)をRT-PCR 法で確認した。また、酵母におけるHAタグ付加Hmat-Xa遺伝子の存在をPCR 法で確認した。
【0102】
HAタグ配列付加Hmat-Xa遺伝子導入HeLa細胞において、PCRおよびRT-PCRに使用したプライマー
HeLa導入HAタグ配列付加Hmat-Xa遺伝子の存在および転写確認用
Forward: XR-17F(前述)
Reverse: H1-CHR(HA タグ配列 含有プライマー)
GACGTAGTCTGGGACGTCGTATGGGTACACTACCCATACGACGTCCCAGACTACGTCTAA (配列番号18)
【0103】
HeLa内在性 Hmat-Xa遺伝子の存在および転写確認用
Forward: XR-17F(前述)
Reverse: XR-10R(前述)
【0104】
A. PCR
(1)PCR反応液組成:
0.2mM dNTPmix
0.2μM Fプライマー
0.2μM Rプライマー
0.75μg template DNA
2.6U Expand High Fidelity PCR System Enzyme(Roche Diagnostics)
10 X Buffer (酵素液に付随)
15mM MgCl2
Total 50μl
【0105】
(2)PCR反応条件:
1、 94℃ 1min (変性)
2、 94℃ 1min (変性)
3、 55℃ 1min (アニーリング)
4、 72℃ 1min (伸長)
5、 4℃ 30min
2〜4を35回繰り返す。
【0106】
B.RT-PCR
(1)RT-PCR反応液組成:
Ready-To-Go RT-PCR Beads (Amersham Pharmacia Biotech)
200nM F、Rプライマー
RNA 1ng
0.1% DEPC含有滅菌水
Total 50μl
【0107】
(2)RT-PCR反応条件:
1、 42℃ 45min (逆転写酵素反応)
2、 94℃ 5min (変性)
3、 94℃ 1min (変性)
4、 55℃ 1min (アニーリング)
5、 72℃ 1min (伸長)
6、 4℃ 30min
3〜5を45回繰り返す。
【0108】
HAタグ配列付加Hmat-Xa遺伝子導入HeLa酵母において、HAタグ配列付加Hmat-Xa遺伝子の存在確認用のPCRに使用したプライマーは、
Forward: XR-17F(前述)
Reverse: H1-CHR(HA タグ配列 含有プライマー、前述)
【0109】
結果を図2に示す。
図2(a)は、HAタグ付加Hmat-Xa遺伝子形質転換細胞に於ける同遺伝子の存在をPCRで確認した結果を示す。その結果、図の様に、プライマーから予想された、長さ約980bPのサイズのバンドがHeLa細胞の系(レーン2)および酵母の系(レーン3)で検出されたので、同遺伝子が両細胞内に導入されたことが確認できた。
【0110】
図2(b)は、HAタグ付加Hmat-Xa導入HeLa細胞から全RNAを抽出後、HAタグ付加Hmat-Xa特異的プライマーを用いてRT-PCRを行った結果を示す。その結果、レーン2に示すように、やはり、プライマーから予想された、長さ約980bpのサイズのバンドが検出され、Hmat-Xa遺伝子がmRNAに転写されていることがわかった。尚、レーン2(HAタグ付加Hmat-Xa遺伝子形質転換HeLa)およびレーン3(非形質転換HeLa)で見られた520bpのバンドは、HeLa細胞の内在性のHmat-Xa遺伝子の発現によるものである。
【0111】
また、抗HAタグ抗体を用いたウエスタンで蛋白としての発現を検討した。
ウエスタン法
1.HAタグ付加Hmat-Xa遺伝子形質転換HeLa細胞からのSDS-PAGE用サンプルの調製
HAタグ付加Hmat-Xa遺伝子形質転換HeLa細胞を、DMEM 培地+ 10%FCSを含む100mmの組織培養用シャーレ12枚で培養後、培地を除去し、さらに、細胞を氷冷PBS(-)で2度洗浄した。次に、細胞を2%EDTA-PBS(-)溶液ではがして遠心で回収した。沈殿した細胞をPBS(-)200μlで洗浄し湿重量を測定した。細胞湿重量の10倍量のサンプルバッファー[2%SDS, 100mM DTT, 0.36M Tris-HCl(pH6.8), 1mM PMSF]を加えピペッテング後、100℃で、5分間煮沸した。サンプルを氷冷後、20Gの注射針をつけたシリンジで30秒間、続いて、26Gの注射針をつけたシリンジで30秒間吸引排出した後、15000rpm、4℃、15min遠心し、上清(SDS可溶化画分)を回収した。そして、上清の蛋白量を測定した。
【0112】
2.サンプルのSDS-PAGEとPDF膜への転写(ブロッティング)
ゲル板で、縦9 cm、横10cm、厚さ1mmの、1%SDS-10%ポリアクリルアミドゲルを作成し、蛋白量を揃えたサンプル質溶液をゲルのウェルに加えた。30mA/gelの定電流で泳動した。ゲルをプラステック容器に移し、転写buffer 100mlを加えて洗浄した(この洗浄を5回繰り返した)後、ブロッティング装置にてPVDF膜に転写した。さらに、ブロッティング後のPVDF膜を10%スキムミルク溶液でブロッキング後、TBS-Tで洗浄した。
【0113】
3.抗体処理
PVDF膜をハイブリダイゼーション用パック中で、家兎抗HA抗体(Bethyl laboratories, Inc:A190-108A)の10%スキムミルク溶液による1000倍希釈液5mlと、室温で1時間反応させた。PVDF膜をTBS-Tで洗浄した(この洗浄を5回繰り返した)後、ペルオキシダーゼ標識ロバ抗家兎抗体(Amersham Biosciences NIF824)の、10%スキムミルク溶液による1000倍希釈液10mlと、室温で1時間反応させた。PVDF膜をTBS-Tで洗浄した(この洗浄を5回繰り返した)
【0114】
4.検出
PVDF膜をラップの上に置き、PVDF膜面積(cm2)あたり、0.1mlの検出液(Amersham Bio sciences: RPN2132)をのせ、5分間放置した。検出液を除去後、PVDF膜をラップで包み 、その上にX線フィルム[Hyper film ECL (Amersham: 型番 RPN2104K)]を置き、Hyper film cassetteにセットし、30秒間、1分間、5分間、30分間露光させた。続いて、露光させたX線フィルムを現像した。
【0115】
上記の通り、HAタグ付加Hmat-Xa導入HeLa細胞とMockの系およびHAタグ付加Hmat-Xa導入酵母(導入遺伝子を誘導した系と非誘導の系)を界面活性剤で可溶化してSDS-PAGE後、抗HA抗体を用いたウエスタンブロット解析を行った。その結果、図3に示すように、HAタグ付加Hmat-Xa導入HeLa細胞およびHAタグ付加Hmat-Xa導入酵母のHmat-Xa発現誘導の系で、予想された52.07kDaの位置にHAタグ付加Hmat-Xa蛋白のバンドが検出された。すなわち、Hmat-Xa遺伝子が蛋白として発現(翻訳)していることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】図1は、Hmat-Xa遺伝子( ORF-1 )のヒト組織別の発現をRT-PCR法により調 べた結果を示す。
【図2】図2は、HAタグ付加Hmat-Xa遺伝子形質転換HeLa細胞におけるHAタグ付加Hmat-Xa遺伝子の転写を調べた結果を示す。(a)形質転換細胞におけるHAタグ付加Hmat-Xa遺伝子の存在レーン1:マーカー、レーン2:HAタグ付加Hmat-Xa導入HeLa、レーン3:HAタグ付加Hmat-Xa導入酵母(b)形質転換細胞におけるHAタグ付加Hmat-Xa遺伝子の転写レーン1:マーカー、レーン2:HAタグ付加Hmat-Xa導入HeLa、レーン3:非導入HeLa
【図3】図3は、抗HA 抗体によるウエスタン解析の結果を示す。
【配列表フリーテキスト】
【0117】
SEQUENCE LISTING
<110> Tokai University
<120> A marker gene for colon cancer
<130> A51782A
<160> 18
<210> 1
<211> 2556
<212> DNA
<213> Human
<400> 1
gtatctctgc attagccaga ttggacatat gtaaagggac atcagtatat ctggatcatc 60
agattgtgct tcaagaagac catagggaag aacgcatttt catcttgctg caaaagttgc 120
aatagaagat ctgaaggttt gaatgggcca atgagtatcc tcatcattga agcattctat 180
ggaggctccc ataaacagct ggtggatctt cttcaagaag agttaggaga ctgtgtcgtt 240
tatacccttc ctgcaaagaa atggcattgg agagcccgga catctgcttt atatttctct 300
cagaccattc ccatcagtga gcattacagg accctctttg caagttcagt gcttaacctg 360
accgaactgg ctgcccttcg gcctgacctt gggaaactga aaaagattct gtattttcac 420
gagaaccagt tgatatatcc tgtcaagaaa tgtcaggaga gggatttcca atatggatac 480
aaccaaattc tttcatgcct ggtggctgat gtggttgtat tcaactcagt ttttaatatg 540
gaatcatttc tcacttccat gggaaaattt atgaagctga ttcctgatca cagacccaag 600
gatctggaaa gcatcatcag acccaagtgc caagttattt actttcccat caggtttcct 660
gatgtgagca gattcatgcc caagcacaaa acaacccatt taaagaagat gctcggcctt 720
aaaggaaatg gcggtgcggt tctgtccatg gcccttcctt ttcagccaga gcagagagat 780
tcagaggatt tattgaagaa ttttaattca gagtgtgata cacactgtgg ccttgatact 840
gcacgacaag aatatttggg taactcatta agacaggaat cagacttgaa aaaatccacc 900
tcgtcagata attcaagctc tcatcatggt gaaaataaac aaaatctgac tgttgatccc 960
tgtgacattt tgggtggagt tgataatcag caaagactgc tacacattgt ctggcctcac 1020
aggtgggagc atgataaaga tccagaaagc ttttttaagg tattaatgca tcttaaagac 1080
ttaggactca atttccacgt gtctgtactt ggagaaacct tcacagatgt cccagatatt 1140
ttttcagagg ccaaaaaggc attgggatct tctgtcttac actggggcta cttacccagc 1200
aaagatgact acttccaagt actgtgcatg gctgatgttg tcatctcaac agctaagcat 1260
gaattctttg gagtggcaat gttggaagct gtgtactgtg ggtgttaccc actttgtcct 1320
aaagatttgg tttatcccga aatatttcca gctgaatatc tgtattctac acctgaacag 1380
ctttcaaaaa ggctccagaa tttctgcaag agaccagata ttataagaaa acatctctat 1440
aagggtgaaa tcgctccgtt ttcttgggca gccctacatg gtaaattcag gtctctgctt 1500
acaacagaac ctagggaaga tttgtgacag atggggctaa gtcacaaact tgcagcctaa 1560
ggcagagtct gaagaacttt ccagagtgtg cccatattta cctgatcaga gagaaaagaa 1620
aatctgcaga ggaagctgag cctggctgct tgtcatagct gacacagagc catctgccac 1680
aaacctgtgg cggcttcaga tctccaatcc ctgccaccac cccaactcaa attaaataca 1740
gattcctaga gacgttatga tggttacaca tgtcctcggc atcacatgta ggagactgtt 1800
caaaaaaaat atgtggcctg ttgtataacc gcactcatgt atcccatatg tggtgccaca 1860
ttgaatttcc ggttgaatcc gtttttatcc tttgtactgg atgacatggt gcctgaattc 1920
tttcttttcg ccgacacgat ggcagccaaa ctgcagcttc aaacgctcac acttggctgg 1980
gtttctacct aggttgccag gttatcatcg gagccttctt gtgtcctcaa agggccacga 2040
ggcctgaaag gaggatcaga atgctttggg attaattggg cagccatcgc agaattgttt 2100
gtgggcaaag ggctgcttta gcacttttct tttagcaaat taatgactct caggcacagg 2160
gggttttaag tgaaggtatt aataagaggt ctggcaggta ttcccatgat tcacagagtt 2220
acatttgcat ttaattaatc ttaaagttgc aagataaaca gctgtaattc ggacaaacat 2280
gacaaacaca gtgaagccaa ctatcccata aaatgaacac tgacatactt gttttaattt 2340
ttttcccagc gtaaaaatag aaaaatcaaa atactcctaa caaaaccagt gattttgata 2400
gaaatatttc tccaatatac ttgcatccac ctacaaatat aaccttttca agataaatcg 2460
cttatgattt caatagtcaa actgctgtgt ttgttgatgt aaagatgttt tgaatggcta 2520
gatggtaaaa taaattctta ataaagtacc cactgc 2556
<210> 2
<211> 458
<212> PRT
<213> Human
<400> 2
Met Ser Ile Leu Ile Ile Glu Ala Phe Tyr Gly Gly Ser His Lys Gln
1 5 10 15
Leu Val Asp Leu Leu Gln Glu Glu Leu Gly Asp Cys Val Val Tyr Thr
20 25 30
Leu Pro Ala Lys Lys Trp His Trp Arg Ala Arg Thr Ser Ala Leu Tyr
35 40 45
Phe Ser Gln Thr Ile Pro Ile Ser Glu His Tyr Arg Thr Leu Phe Ala
50 55 60
Ser Ser Val Leu Asn Leu Thr Glu Leu Ala Ala Leu Arg Pro Asp Leu
65 70 75 80
Gly Lys Leu Lys Lys Ile Leu Tyr Phe His Glu Asn Gln Leu Ile Tyr
85 90 96
Pro Val Lys Lys Cys Gln Glu Arg Asp Phe Gln Tyr Gly Tyr Asn Gln
100 105 110
Ile Leu Ser Cys Leu Val Ala Asp Val Val Val Phe Asn Ser Val Phe
115 120 125
Asn Met Glu Ser Phe Leu Thr Ser Met Gly Lys Phe Met Lys Leu Ile
130 135 140
Pro Asp His Arg Pro Lys Asp Leu Glu Ser Ile Ile Arg Pro Lys Cys
145 150 155 160
Gln Val Ile Tyr Phe Pro Ile Arg Phe Pro Asp Val Ser Arg Phe Met
165 170 175
Pro Lys His Lys Thr Thr His Leu Lys Lys Met Leu Gly Leu Lys Gly
180 185 190
Asn Gly Gly Ala Val Leu Ser Met Ala Leu Pro Phe Gln Pro Glu Gln
195 200 205
Arg Asp Ser Glu Asp Leu Leu Lys Asn Phe Asn Ser Glu Cys Asp Thr
210 215 220
His Cys Gly Leu Asp Thr Ala Arg Gln Glu Tyr Leu Gly Asn Ser Leu
225 230 235 240
Arg Gln Glu Ser Asp Leu Lys Lys Ser Thr Ser Ser Asp Asn Ser Ser
245 250 255
Ser His His Gly Glu Asn Lys Gln Asn Leu Thr Val Asp Pro Cys Asp
260 265 270
Ile Leu Gly Gly Val Asp Asn Gln Gln Arg Leu Leu His Ile Val Trp
275 280 285
Pro His Arg Trp Glu His Asp Lys Asp Pro Glu Ser Phe Phe Lys Val
290 295 300
Leu Met His Leu Lys Asp Leu Gly Leu Asn Phe His Val Ser Val Leu
305 310 315 320
Gly Glu Thr Phe Thr Asp Val Pro Asp Ile Phe Ser Glu Ala Lys Lys
325 330 335
Ala Leu Gly Ser Ser Val Leu His Trp Gly Tyr Leu Pro Ser Lys Asp
340 345 350
Asp Tyr Phe Gln Val Leu Cys Met Ala Asp Val Val Ile Ser Thr Ala
355 360 365
Lys His Glu Phe Phe Gly Val Ala Met Leu Glu Ala Val Tyr Cys Gly
370 375 380
Cys Tyr Pro Leu Cys Pro Lys Asp Leu Val Tyr Pro Glu Ile Phe Pro
385 390 395 400
Ala Glu Tyr Leu Tyr Ser Thr Pro Glu Gln Leu Ser Lys Arg Leu Gln
405 410 415
Asn Phe Cys Lys Arg Pro Asp Ile Ile Arg Lys His Leu Tyr Lys Gly
420 425 430
Glu Ile Ala Pro Phe Ser Trp Ala Ala Leu His Gly Lys Phe Arg Ser
435 440 445
Leu Leu Thr Thr Glu Pro Arg Glu Asp Leu
450 455
<210> 3
<211> 2411
<212> DNA
<213> Human
<400> 3
gtatctctgc attagccaga ttggacatat gtaaagggac atcagtatat ctggatcatc 60
agattgtgct tcaagaagac catagggaag aacgcatttt catcttgctg caaaagttgc 120
aatagaagat ctgaaggttt gaatgggcca atgagtatcc tcatcattga agcattctat 180
ggaggctccc ataaacagct ggtggatctt cttcaagaag agttaggaga ctgtgtcgtt 240
tatacccttc ctgcaaagaa atggcattgg agagcccgga catctgcttt atatttctct 300
cagaccattc ccatcagtga gcattacagg accctctttg caagttcagt gcttaacctg 360
accgaactgg ctgcccttcg gcctgacctt gggaaactga aaaagattct gtattttcac 420
gagaaccagt tgatatatcc tgtcaagaaa tgtcaggaga gggatttcca atatggatac 480
aaccaaattc tttcatgcct ggtggctgat gtggttgtat tcaactcagt ttttaatatg 540
gaatcatttc tcacttccat gggaaaattt atgaagctga ttcctgatca cagacccaag 600
gatctggaaa gcatcatcag acccaagtgc caagttattt actttcccat caggtttcct 660
gatgtgagca gattcatgcc caagcacaaa acaacccatt taaagaagat gctcggcctt 720
aaaggaaatg gcggtgcggt tctgtccatg gcccttcctt ttcagccaga gcagagagat 780
tcagaggatt tattgaagaa ttttaattca gagtgtgata cacactgtgg ccttgatact 840
gcacgacaag aatatttggg taactcatta agacaggaat cagacttgaa aaaatccacc 900
tcgtcagata attcaagctc tcatcatggt gaaaataaac aaaatctgac tgttgatccc 960
tgtgacattt tgggtggagt tgataatcag caaagactgc tacacattgt ctggcctcac 1020
aggtgggagc atgataaaga tccagaaagc ttttttaagg tattaatgca tcttaaagac 1080
ttaggactca atttccacgt gtctgtactt ggagaaacct tcacagatgt cccaggttgg 1140
aagctgtgta ctgtgggtgt tacccacttt gtcctaaaga tttggtttat cccgaaatat 1200
ttccagctga atatctgtat tctacacctg aacagctttc aaaaaggctc cagaatttct 1260
gcaagagacc agatattata agaaaacatc tctataaggg tgaaatcgct ccgttttctt 1320
gggcagccct acatggtaaa ttcaggtctc tgcttacaac agaacctagg gaagatttgt 1380
gacagatggg gctaagtcac aaacttgcag cctaaggcag agtctgaaga actttccaga 1440
gtgtgcccat atttacctga tcagagagaa aagaaaatct gcagaggaag ctgagcctgg 1500
ctgcttgtca tagctgacac agagccatct gccacaaacc tgtggcggct tcagatctcc 1560
aatccctgcc accaccccaa ctcaaattaa atacagattc ctagagacgt tatgatggtt 1620
acacatgtcc tcggcatcac atgtaggaga ctgttcaaaa aaaatatgtg gcctgttgta 1680
taaccgcact catgtatccc atatgtggtg ccacattgaa tttccggttg aatccgtttt 1740
tatcctttgt actggatgac atggtgcctg aattctttct tttcgccgac acgatggcag 1800
ccaaactgca gcttcaaacg ctcacacttg gctgggtttc tacctaggtt gccaggttat 1860
catcggagcc ttcttgtgtc ctcaaagggc cacgaggcct gaaaggagga tcagaatgct 1920
ttgggattaa ttgggcagcc atcgcagaat tgtttgtggg caaagggctg ctttagcact 1980
tttcttttag caaattaatg actctcaggc acagggggtt ttaagtgaag gtattaataa 2040
gaggtctggc aggtattccc atgattcaca gagttacatt tgcatttaat taatcttaaa 2100
gttgcaagat aaacagctgt aattcggaca aacatgacaa acacagtgaa gccaactatc 2160
ccataaaatg aacactgaca tacttgtttt aatttttttc ccagcgtaaa aatagaaaaa 2220
tcaaaatact cctaacaaaa ccagtgattt tgatagaaat atttctccaa tatacttgca 2280
tccacctaca aatataacct tttcaagata aatcgcttat gatttcaata gtcaaactgc 2340
tgtgtttgtt gatgtaaaga tgttttgaat ggctagatgg taaaataaat tcttaataaa 2400
gtacccactg c 2411
<210> 4
<211> 376
<212> PRT
<213> Human
<400> 4
Met Ser Ile Leu Ile Ile Glu Ala Phe Tyr Gly Gly Ser His Lys Gln
1 5 10 15
Leu Val Asp Leu Leu Gln Glu Glu Leu Gly Asp Cys Val Val Tyr Thr
20 25 30
Leu Pro Ala Lys Lys Trp His Trp Arg Ala Arg Thr Ser Ala Leu Tyr
35 40 45
Phe Ser Gln Thr Ile Pro Ile Ser Glu His Tyr Arg Thr Leu Phe Ala
50 55 60
Ser Ser Val Leu Asn Leu Thr Glu Leu Ala Ala Leu Arg Pro Asp Leu
65 70 75 80
Gly Lys Leu Lys Lys Ile Leu Tyr Phe His Glu Asn Gln Leu Ile Tyr
85 90 96
Pro Val Lys Lys Cys Gln Glu Arg Asp Phe Gln Tyr Gly Tyr Asn Gln
100 105 110
Ile Leu Ser Cys Leu Val Ala Asp Val Val Val Phe Asn Ser Val Phe
115 120 125
Asn Met Glu Ser Phe Leu Thr Ser Met Gly Lys Phe Met Lys Leu Ile
130 135 140
Pro Asp His Arg Pro Lys Asp Leu Glu Ser Ile Ile Arg Pro Lys Cys
145 150 155 160
Gln Val Ile Tyr Phe Pro Ile Arg Phe Pro Asp Val Ser Arg Phe Met
165 170 175
Pro Lys His Lys Thr Thr His Leu Lys Lys Met Leu Gly Leu Lys Gly
180 185 190
Asn Gly Gly Ala Val Leu Ser Met Ala Leu Pro Phe Gln Pro Glu Gln
195 200 205
Arg Asp Ser Glu Asp Leu Leu Lys Asn Phe Asn Ser Glu Cys Asp Thr
210 215 220
His Cys Gly Leu Asp Thr Ala Arg Gln Glu Tyr Leu Gly Asn Ser Leu
225 230 235 240
Arg Gln Glu Ser Asp Leu Lys Lys Ser Thr Ser Ser Asp Asn Ser Ser
245 250 255
Ser His His Gly Glu Asn Lys Gln Asn Leu Thr Val Asp Pro Cys Asp
260 265 270
Ile Leu Gly Gly Val Asp Asn Gln Gln Arg Leu Leu His Ile Val Trp
275 280 285
Pro His Arg Trp Glu His Asp Lys Asp Pro Glu Ser Phe Phe Lys Val
290 295 300
Leu Met His Leu Lys Asp Leu Gly Leu Asn Phe His Val Ser Val Leu
305 310 315 320
Gly Glu Thr Phe Thr Asp Val Pro Gly Trp Lys Leu Cys Thr Val Gly
325 330 335
Val Thr His Phe Val Leu Lys Ile Trp Phe Ile Pro Lys Tyr Phe Gln
340 345 350
Leu Asn Ile Cys Ile Leu His Leu Asn Ser Phe Gln Lys Gly Ser Arg
355 360 365
Ile Ser Ala Arg Asp Gln Ile Leu
370 375
<210> 5
<211> 272
<212> PRT
<213> Human
<400> 5
Met Leu Gly Leu Lys Gly Asn Gly Gly Ala Val Leu Ser Met Ala Leu
1 5 10 15
Pro Phe Gln Pro Glu Gln Arg Asp Ser Glu Asp Leu Leu Lys Asn Phe
20 25 30
Asn Ser Glu Cys Asp Thr His Cys Gly Leu Asp Thr Ala Arg Gln Glu
35 40 45
Tyr Leu Gly Asn Ser Leu Arg Gln Glu Ser Asp Leu Lys Lys Ser Thr
50 55 60
Ser Ser Asp Asn Ser Ser Ser His His Gly Glu Asn Lys Gln Asn Leu
65 70 75 80
Thr Val Asp Pro Cys Asp Ile Leu Gly Gly Val Asp Asn Gln Gln Arg
85 90 95
Leu Leu His Ile Val Trp Pro His Arg Trp Glu His Asp Lys Asp Pro
100 105 110
Glu Ser Phe Phe Lys Val Leu Met His Leu Lys Asp Leu Gly Leu Asn
115 120 125
Phe His Val Ser Val Leu Gly Glu Thr Phe Thr Asp Val Pro Asp Ile
130 135 140
Phe Ser Glu Ala Lys Lys Ala Leu Gly Ser Ser Val Leu His Trp Gly
145 150 155 160
Tyr Leu Pro Ser Lys Asp Asp Tyr Phe Gln Val Leu Cys Met Ala Asp
165 170 175
Val Val Ile Ser Thr Ala Lys His Glu Phe Phe Gly Val Ala Met Leu
180 185 190
Glu Ala Val Tyr Cys Gly Cys Tyr Pro Leu Cys Pro Lys Asp Leu Val
195 200 205
Tyr Pro Glu Ile Phe Pro Ala Glu Tyr Leu Tyr Ser Thr Pro Glu Gln
210 215 220
Leu Ser Lys Arg Leu Gln Asn Phe Cys Lys Arg Pro Asp Ile Ile Arg
225 230 235 240
Lys His Leu Tyr Lys Gly Glu Ile Ala Pro Phe Ser Trp Ala Ala Leu
245 250 255
His Gly Lys Phe Arg Ser Leu Leu Thr Thr Glu Pro Arg Glu Asp Leu
260 265 270
<210> 6
<211> 2556
<212> DNA
<213> Human
<400> 6
gtatctctgc attagccaga ttggacatat gtaaagggac atcagtatat ctggatcatc 60
agattgtgct tcaagaagac catagggaag aacgcatttt catcttgctg caaaagttgc 120
aatagaagat ctgaaggttt gaatgggcca atgagtatcc tcatcattga agcattctatv180
ggaggctccc ataaacagct ggtggatctt cttcaagaag agttaggaga ctgtgtcgtt 240
tatacccttc ctgcaaagaa atggcattgg agagcccgga catctgcttt atatttctct 300
cagaccattc ccatcagtga gcattacagg accctctttg caagttcagt gcttaacctg 360
accgaactgg ctgcccttcg gcctgacctt gggaaactga aaaagattct gtattttcac 420
gagaaccagt tgatatatcc tgtcaagaaa tgtcaggaga gggatttcca atatggatac 480
aaccaaattc tttcatgcct ggtggctgat gtggttgtat tcaactcagt ttttaatatg 540
gaatcatttc tcacttccat gggaaaattt atgaagctga ttcctgatca cagacccaag 600
gatctggaaa gcatcatcag acccaagtgc caagttattt actttcccat caggtttcct 660
gatgtgagca gattcatgcc caagcacaaa acaacccatt taaagaagat gctcggcctt 720
aaaggaaatg gcggtgcggt tctgtccatg gcccttcctt ttcagccaga gcagagagat 780
tcagaggatt tattgaagaa ttttaattca gagtgtgata cacactgtgg ccttgatact 840
gcacgacaag aatatttggg taactcatta agacaggaat cagacttgaa aaaatccacc 900
tcgtcagata attcaagctc tcatcatggt gaaaataaac aaaatctgac tgttgatccc 960
tgtgacattt tgggtggagt tgataatcag caaagactgc tacacattgt ctggcctcac 1020
aggtgggagc atgataaaga tccagaaagc ttttttaagg tattaatgca tcttaaagac 1080
ttaggactca atttccacgt gtctgtactt ggagaaacct tcacagatgt cccagatatt 1140
ttttcagagg ccaaaaaggc attgggatct tctgtcttac actggggcta cttacccagc 1200
aaagatgact acttccaagt actgtgcatg gctgatgttg tcatctcaac agctaagcat 1260
gaattctttg gagtggcaat gttggaagct gtgtactgtg ggtgttaccc actttgtcct 1320
aaagatttgg tttatcccga aatatttcca gctgaatatc tgtattctac acctgaacag 1380
ctttcaaaaa ggctccagaa tttctgcaag agaccagata ttataagaaa acatctctat 1440
aagggtgaaa tcgctccgtt ttcttgggca gccctacatg gtaaattcag gtctctgctt 1500
acaacagaac ctagggaaga tttgtgacag atggggctaa gtcacaaact tgcagcctaa 1560
ggcagagtct gaagaacttt ccagagtgtg cccatattta cctgatcaga gagaaaagaa 1620
aatctgcaga ggaagctgag cctggctgct tgtcatagct gacacagagc catctgccac 1680
aaacctgtgg cggcttcaga tctccaatcc ctgccaccac cccaactcaa attaaataca 1740
gattcctaga gacgttatga tggttacaca tgtcctcggc atcacatgta ggagactgtt 1800
caaaaaaaat atgtggcctg ttgtataacc gcactcatgt atcccatatg tggtgccaca 1860
ttgaatttcc ggttgaatcc gtttttatcc tttgtactgg atgacatggt gcctgaattc 1920
tttcttttcg ccgacacgat ggcagccaaa ctgcagcttc aaacgctcac acttggctgg 1980
gtttctacct aggttgccag gttatcatcg gagccttctt gtgtcctcaa agggccacga 2040
ggcctgaaag gaggatcaga atgctttggg attaattggg cagccatcgc agaattgttt 2100
gtgggcaaag ggctgcttta gcacttttct tttagcaaat taatgactct caggcacagg 2160
gggttttaag tgaaggtatt aataagaggt ctggcaggta ttcccatgat tcacagagtt 2220
acatttgcat ttaattaatc ttaaagttgc aagataaaca gctgtaattc ggacaaacat 2280
gacaaacaca gtgaagccaa ctatcccata aaatgaacac tgacatactt gttttaattt 2340
ttttcccagc gtaaaaatag aaaaatcaaa atactcctaa caaaaccagt gattttgata 2400
gaaatatttc tccaatatac ttgcatccac ctacaaatat aaccttttca agataaatcg 2460
cttatgattt caatagtcaa actgctgtgt ttgttgatgt aaagatgttt tgaatggcta 2520
gatggtaaaa taaattctta ataaagtacc cactgc 2556
<210> 7
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial
<220>
<223> primer
<400> 7
atcagattgt gcttcaagaa gaccataggg 30
<210> 8
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial
<220>
<223> primer
<400> 8
tgacaagcag ccaggctcag cttcctctgc 30
<210> 9
<211> 24
<212> DNA
<213> Artificial
<220>
<223> primer
<400> 9
cgccagggtt ttcccagtca cgac 24
<210> 10
<211> 24
<212> DNA
<213> Artificial
<220>
<223> primer
<400> 10
cggataacaa tttcacacag gaaac 24
<210> 11
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial
<220>
<223> primer
<400> 11
tctgctctgg ctgaaaagga agggccatgg 30
<210> 12
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial
<220>
<223> primer
<400> 12
gaagatgctc ggccttaaag gaaatggcgg 30
<210> 13
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial
<220>
<223> primer
<400> 13
gactcaattt ccacgtgtct gtacttggag 30
<210> 14
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial
<220>
<223> primer
<400> 14
aaggtaccac catgagtatc ctcatcattg 30
<210> 15
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial
<220>
<223> primer
<400> 15
gggcggccgc aaatcttccc taggctctgt 30
<210> 16
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial
<220>
<223> primer
<400> 16
ggctcgagtt agacgtagtc tgggacgtcg 30
<210> 17
<211> 30
<212> DNA
<213> Artificial
<220>
<223> primer
<400> 17
gggtcgacat gagtatcctc atcattgaag 30
<210> 18
<211> 60
<212> DNA
<213> Artificial
<220>
<223> primer
<400> 18
gacgtagtct gggacgtcgt atgggtacac tacccatacg acgtcccaga ctacgtctaa 60

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)又は(B)の何れかの蛋白質。
(A)配列番号2に記載のアミノ酸配列を有する蛋白質。
(B)配列番号2に記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入及び/又は付加を含むアミノ酸配列を有し、かつ、糖転移酵素活性を有する蛋白質。
【請求項2】
下記(A)又は(B)の何れかの蛋白質をコードするDNA。
(A)配列番号2に記載のアミノ酸配列を有する蛋白質。
(B)配列番号2に記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入及び/又は付加を含むアミノ酸配列を有し、かつ、糖転移酵素活性を有する蛋白質。
【請求項3】
下記(a)、(b)又は(c)の何れかのDNA。
(a)配列番号1に記載の塩基配列を有するDNA。
(b)配列番号1に記載の塩基配列において、1若しくは数個の塩基の置換、欠失、挿入及び/又は付加を含む塩基配列を有し、かつ、糖転移酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA。
(c)配列番号1に記載の塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、糖転移酵素活性を有する蛋白質をコードするDNA。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のDNAを含有する、組み換えベクター。
【請求項5】
請求項2又は3に記載のDNA又は請求項4に記載の組み換えベクターを有する、形質転換体。
【請求項6】
請求項1に記載の蛋白質に対する抗体。
【請求項7】
請求項1に記載の蛋白質に対する抗体を含む、大腸癌の診断薬。
【請求項8】
生体試料中における請求項1に記載の蛋白質の発現を請求項6に記載の抗体を用いて検出又は測定することを含む、大腸癌の診断方法。
【請求項9】
請求項2又は3に記載のDNAの塩基配列の部分配列又はその相補配列から成るオリゴヌクレオチド。
【請求項10】
請求項2又は3に記載のDNAの塩基配列の部分配列又はその相補配列から成るオリゴヌクレオチドを含む、大腸癌の診断薬。
【請求項11】
生体試料中における請求項2又は3に記載のDNAの発現を請求項9に記載のオリゴヌクレオチドを用いて検出又は測定することを含む、大腸癌の診断方法。
【請求項12】
大腸癌のマーカーとして請求項1に記載の蛋白質を使用する方法。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−136319(P2006−136319A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−297645(P2005−297645)
【出願日】平成17年10月12日(2005.10.12)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成15年度新エネルギー・産業技術総合開発機構糖鎖合成関連遺伝子ライブラリーの構築に係る委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの
【出願人】(000125369)学校法人東海大学 (352)
【Fターム(参考)】