説明

天然オイルから誘導されるシリコーンコポリマーおよびシリコーンエラストマー

以下の成分の反応生成物を含む組成物を開示する:A)ケイ素に結合した水素原子を少なくとも2個有するオルガノ水素ポリシロキサン、B)少なくとも1個の脂肪族不飽和結合を有する植物油、C)ヒドロシリル化触媒、および、D)場合により、分子内に末端の肪族不飽和基を少なくとも2個有する架橋性化合物、F)場合により、アルファオレフィン化合物。この反応生成物は、オルガノ水素シロキサンのケイ素に結合した水素原子と、植物油中の脂肪族不飽和結合との付加反応によって形成される少なくとも1種のシリコーンコポリマーを含む。さらに、このような組成物の製造方法、およびパーソナルケア製品におけるこれらの使用を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オルガノ水素ポリシロキサン、天然の油、およびヒドロシリル化触媒の反応生成物を含有する組成物、このような組成物の製造方法、ならびにパーソナルケア製品におけるこれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコーンおよび植物油(天然油ともいう)は、多くのパーソナルケア製剤の成分としてよく用いられ、それぞれ、最終的な製剤に独特の特性上または性能上の利点をもたらす。パーソナルケア製剤の新たな成分を同定することには、長い間興味が持たれており、異なる部類の化合物からの構造的特徴を1つの化合物に兼ね備えさせることによって新たな分子を合成するアプローチが用いられることが多かった。このアプローチにより、今日の市販のパーソナルケア製品の多くにおいて一般的である、多様な有機修飾シリコーンが開発された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この目的を達成するために、シリコーン類と植物油とを組み合わせて、各部類の材料の独特の特性を維持しながら、新たなまたはより良い特性が見出される可能性があるパーソナルケア成分を製造することに興味が持たれてきた。しかし、シリコーン類の添加によって化学的に修飾された植物油を合成する試みが成功することは、たとえあったとしてもほとんどなかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、植物油をシリコーン類で修飾するための方法を見出した。この方法は、植物油に存在する不飽和炭素-炭素結合を、オルガノ水素ポリシロキサンでヒドロシリル化する工程を含む。ヒドロシリル化反応は当分野で周知であるが、シリコーンで修飾された植物油はこの反応を用いてうまく合成されていなかった。
【0005】
本発明者らは、驚くべきことに、オルガノ水素ポリシロキサンを用いて植物油中の炭素-炭素結合をヒドロシリル化することが可能であり、この方法を用いて、シリコーン-植物油コポリマーであると考えられるさまざまな新たな化合物を合成することができることを見出した。この反応を用いて、エラストマー特性を有するシリコーン-植物油コポリマーを合成することができる。このエラストマー性シリコーン-植物油コポリマーを、さまざまなシリコーンおよび有機低分子量流動体とブレンドして、ゲル組成物を形成させることができる。
【0006】
本発明は、
A)ケイ素に結合した水素原子を少なくとも2個有するオルガノ水素ポリシロキサン、
B)少なくとも1個の脂肪族不飽和結合を有する植物油、
C)ヒドロシリル化触媒、および
D)場合により、分子内に末端脂肪族不飽和基を少なくとも2個有する架橋性化合物、
F)場合により、アルファオレフィン化合物
の反応生成物を含む組成物であって、
前記反応生成物が、前記オルガノ水素シロキサンのケイ素に結合した水素原子と、前記植物油中の脂肪族不飽和基との間の付加反応によって形成されたシリコーンコポリマーを少なくとも1種含有する組成物
に関する。
【0007】
1つの実施態様では、シリコーンコポリマーは、下記平均式の構造単位:
(E)SiO(3−m)/2
(式中、
は、一価の炭化水素基であり、
Eは、少なくとも1個のSi−C結合によって前記構造単位中のケイ素に結合した脂肪酸エステル基であり、前記Si−C結合の炭素原子は、前記植物油の脂肪族不飽和結合中に最初に存在していた炭素原子の1つであり、mは0から2までの範囲にある)
を少なくとも1個有するオルガノポリシロキサンを含む。
【0008】
本発明は、
A)少なくとも2個のSiH単位を有するオルガノ水素ポリシロキサン、
B)少なくとも1個の脂肪族不飽和結合を有する植物油、および
C)ヒドロシリル化触媒
を、E)場合により、溶媒
の存在下で反応させる工程を含む、シリコーン修飾植物油の製造方法にも関する。
【0009】
1つの実施態様は、
I)A)平均式:[(CH)HSiO](式中、gは3〜8である)を有するオルガノ水素ポリシロキサン、
B)少なくとも1個の脂肪族不飽和結合を有する植物油、および
C)ヒドロシリル化触媒
を反応させる工程であって、反応生成物が未反応のSiH単位を有する工程と、
II)工程I)の生成物を、
D)分子内に末端脂肪族不飽和基を少なくとも2個有する架橋性化合物
と、E)場合により、溶媒
の存在下でさらに反応させる工程と
を含む、シリコーンコポリマーの製造方法を開示する。
本発明はさらに、本明細書に開示するシリコーンコポリマーを含有するパーソナルケア製品の配合に関する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明のシリコーンコポリマーであるSilNat、対照、および純粋なホホバ油をそれぞれ含有する組成物でトリートメントした毛髪束についての、グロスメーターによる光沢の評価を示す。
【図2】図2は、SilNat、対照、および純粋なホホバ油をそれぞれ含有する組成物でトリートメントした毛髪束についての、感覚的なデータを示す。
【図3】図3は、SilNat、対照、および純粋なホホバ油をそれぞれ含有する組成物でトリートメントした毛髪束についての、シャインボックスによる光沢の評価を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示のシリコーンコポリマーおよびエラストマーは、オルガノ水素ポリシロキサン、植物油、およびヒドロシリル化触媒の反応生成物(Si−C結合に基づく生成物)を少なくとも1種含有する。このシリコーンコポリマーおよびエラストマーは、オルガノ水素ポリシロキサンと、植物油との間のヒドロシリル化反応によって得ることができる。このヒドロキシル化反応は、溶媒なしでも、溶媒の存在下でも実施することができる。このシリコーン修飾植物油は、
A)ケイ素に結合した水素原子を少なくとも2個有するオルガノ水素ポリシロキサン、
B)少なくとも1個の脂肪族不飽和結合を有する植物油、
C)ヒドロシリル化触媒、および
D)場合により、分子内に末端脂肪族不飽和基を少なくとも2個有する架橋性化合物、
F)場合により、アルファオレフィン化合物
を反応させる工程を含む本発明の方法によって得ることができる。
以下に、成分A〜Fを説明する。
【0012】
[A)オルガノ水素ポリシロキサン]
本発明の成分A)は、ケイ素に結合した水素原子を平均して1分子当たり少なくとも2個有するオルガノ水素ポリシロキサンである。本明細書において、オルガノ水素ポリシロキサンは、ケイ素に結合した水素原子(SiH)を有する任意のオルガノポリシロキサンである。オルガノ水素ポリシロキサンは、シロキシ単位(RSiO0.5)、(RSiO)、(RSiO1.5)、または(SiO)から独立に選択されるシロキサン単位を有するポリマーである(式中、Rは、任意の一価の有機基であってよい)。オルガノポリシロキサンのシロキシ単位(RSiO0.5)、(RSiO)、(RSiO1.5)、または(SiO)のRがメチル基である場合、シロキシ単位は、一般に、それぞれM単位、D単位、T単位、およびQ単位と呼ばれる。これらのシロキシ単位は、さまざまな態様で組み合わされて環状、線状、または分岐状の構造を形成することができる。得られるポリマー構造の化学的および物理的な性質はさまざまであり得る。例えば、オルガノポリシロキサンは、揮発性もしくは低粘度の流状体、高粘度の流状体/ゴム状体、エラストマーもしくはゴム、および樹脂であり得る。
オルガノ水素ポリシロキサンは、少なくとも1個のSiHを有するシロキシ単位を有するオルガノポリシロキサンである。SiH単位がM、D、またはTシロキシ単位上に存在する場合、このシロキシ単位は、「M」シロキシ単位(RHSiO0.5)、「D」シロキシ単位(RHSiO)、または「T」シロキシ単位(HSiO1.5)のように表すことができる。したがって、本発明において有用なオルガノ水素ポリシロキサンは、任意の数のM、M、D、D、T、T、またはQシロキシ単位を含むことができ、SiHを有するシロキシ単位を少なくとも1個有し、1分子中に平均して少なくとも2個のSiH単位が存在する。成分A)は、単一のオルガノ水素ポリシロキサンであっても、以下の特性;構造、粘度、平均分子量、シロキサン単位、および配列の少なくとも1つが異なる2種以上のオルガノ水素ポリシロキサンを含む配合物であってもよい。
【0013】
1つの実施態様では、オルガノ水素ポリシロキサンは、一般式:
HRSiO[RSiO]−SiR
(式中、Rは、一価の炭化水素基であり、
xは1以上であるか、あるいはxは1から400までの範囲であってよく、あるいはxは5から100までの範囲であってよい)
の、線状の、SiH末端化されたオルガノ水素ポリシロキサンを含む。
は、置換または非置換の脂肪族または芳香族炭化水素であってよい。一価の非置換脂肪族炭化水素は、これらだけに限定されないが、アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ペンチル、オクチル、ウンデシル、およびオクタデシルなど)、およびシクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基など)によって例示される。一価の置換脂肪族炭化水素基は、これらだけに限定されないが、ハロゲン化アルキル基(例えば、クロロメチル、3−クロロプロピル、3,3,3−トリフルオルプロピルなど)によって例示される。芳香族炭化水素基は、これらだけに限定されないが、フェニル、トルイル、キシリル、ベンジル、スチリル、および2−フェニルエチルによって例示される。
【0014】
線状の、SiH末端化されたオルガノ水素ポリシロキサンは、一般式:
(CHHSiO[(CHSiO]SiH(CH
(式中、xは上で定義したとおりである)
を含むSiH末端ポリジメチルシロキサンによって例示される。
【0015】
成分A)は、SiH含有シクロシロキサン環を1分子中に少なくとも1個、あるいは少なくとも2個有するオルガノ水素シロキサンであってよい。シクロシロキサン環は、シロキシ単位を少なくとも3個(すなわち、シロキサン環を形成するために必要とされる最小限の数)有していてよく、環状構造を形成するシロキシ単位(RSiO0.5)、(RSiO)、(RSiO1.5)、または(SiO)の任意の組み合わせであってよく、各シロキサン環上の環状シロキシ単位の少なくとも1個が1つのSiH単位を有する(すなわち、環内に存在するシロキシ単位(RHSiO0.5)、(RHSiO)、または(HSiO1.5)を少なくとも1個有する)。これらのシロキシ単位は、Rがメチルである場合、それぞれ、Mシロキシ単位、Dシロキシ単位、およびTシロキシ単位として表すことができる。
【0016】
1つの実施態様では、成分A)は、そのシロキサン環上のSiH単位を少なくとも2個有し、そのシクロシロキサン環上に少なくとも2個のSiH単位を有する限り、(上で定義した)任意の数のシロキシ単位を有していてよい、オルガノ水素シクロシロキサン(a)である。例えば、環状シロキサンは、M、M、D、D、T、またはT任意の数のシロキシ単位を含んでいてよい。成分A)の調製に有用なこのようなオルガノ水素シクロシロキサンの代表的、非制限的な例は、平均式:D(式中、aは1以上であり、bは0以上であり、a+bは3以上である)を有する。あるいは、オルガノ水素シクロシロキサンは、式:[(CH)HSiO](式中、gは3〜8である)を有するオルガノ水素シクロシロキサン(例えば、D、D、D、またはこれらの混合)から選択することができる。
【0017】
別の実施態様では、成分A)のオルガノ水素シロキサンは、分子中にSiH含有シクロシロキサン環を少なくとも2個有し、オルガノ水素シロキサンのシクロシロキサン環は、二価の有機基もしくはシロキサン基またはこれらの混合によって互いに連結され得る。この二価の連結基は、Yで表すことができ、シクロシロキサンをGで表すことができる。したがって、このようなオルガノ水素シロキサンは、一般式:G−[Y−G](式中、Gは、上述したとおりのシクロシロキサンであり、Yは、二価の有機基、シロキサン基、ポリオキシアルキレン基、またはこれらの基の混合であり、下付き文字aは、0より大である)によって表すことができる。SiH含有シクロシロキサン環を少なくとも2個有するオルガノ水素シロキサンは、
a) シロキサン環上にSiH単位を少なくとも2個有するオルガノ水素シクロシロキサンと、D)分子内に末端脂肪族不飽和基を少なくとも2個有する化合物または化合物の混合物とのヒドロシリル化反応によって合成することができる。シロキサン環上に少なくとも2個のSiH単位を有するこのオルガノ水素シクロシロキサン(a)は、上で定義したものと同じである。分子内に少なくとも2個の脂肪族不飽和炭化水素基を有する好適な化合物はを、成分D)として後述する。
【0018】
オルガノ水素シロキサンと不飽和化合物とが関与するヒドロシリル化反応は周知である。当分野で知られている任意の好適なヒドロシリル化触媒を用いることができ、あるいは成分C)として以下に記述するヒドロシリル化触媒から選択することができる。公知のヒドロシリル化技術および反応の任意のものを採用して、a) シロキサン環上にSiH単位を少なくとも2個有するオルガノ水素シクロシロキサンと、D)分子内に末端脂肪族不飽和基を少なくとも2個有する化合物または化合物の混合物とから、成分A)を調製することができる。しかし、この反応は、分子内にSiH含有シクロシロキサン環を少なくとも2個有するオルガノ水素シクロシロキサンが得られるような方法で実施する。典型的には、ヒドロシリル化反応を、モル過剰のa)シロキサン環上にSiH単位を少なくとも2個有するオルガノ水素シクロシロキサンと、D)分子内に末端脂肪族不飽和基を少なくとも2個有する化合物または化合物の混合物とを用いて実質する。モル過剰は、SiH単位の不飽和基に対するモル比として表現することができ、この比は、2/1〜8/1、あるいは2/1〜6/1、あるいは3/1〜4/1の範囲である。
【0019】
あるいは、成分A)として有用なオルガノ水素シロキサンは、その好適なオルガノ水素シロキサンについての教示を参照により本明細書に組み込む国際公開第03/093349号に教示された、任意のオルガノ水素シロキサンから選択することができる。
【0020】
[B)植物油]
成分B)は、少なくとも1個の不飽和基を有する植物油である。本明細書において「植物油」は、任意の「天然」源(例えば、植物または野菜など)から誘導された任意の脂質化合物を意味する。したがって、天然油は、種子または木の実から抽出した任意の植物液体または野菜脂質であってよい。天然油は、周囲温度で固体の野菜脂質である天然バターも包含する。多くの植物油は、脂肪酸のエステルをトリグリセリドの形態で含有する。トリグリセリドは、飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸のいずれかでエステル化されたグリセリンである。このような脂肪酸のトリグリセリドエステルの例は、オレイン酸(C18:1)、リノール酸(C18:2)、およびリノレン酸(C18:3)、を含む植物油に見られる。
【0021】
本発明において成分B)として好適な植物油の代表的、非制限的な例には、ホホバ油、大豆油、サフラワー油、あまに油、とうもろこし油、ひまわり油、キャノーラ油、ごま油、綿実油、パーム油、なたね油、桐油、魚油、落花生油、スイートアーモンド油、ビューテーリーフ油(beautyleaf oil)、パーム油、ぶどうの種油、アララ油(arara oil)、綿実油、アプリコット油、ヒマシ油、アルファルファ油、骨髄油、カシューナッツ油、燕麦油、ハウチワマメ油、ケナフ油、キンセンカ油、トウダイグサ油、パンプキンシード油、コリアンダー油、からし油、クロフサスグリ油、カメリナ油、油桐木油(tung oil tree oil)、ピーナッツ油、けし油、ヒマの実油、ペカンナッツ油、ブラジルナッツ油、ブラジル獅子頭(brazilian tree)からの油、麦芽油、ククイ油、骨髄油、カラテバターオイル(karate butter oil)、大麦油、雑穀油、クロフサスグリ種子油、シア油(シアバターとしても知られている)、とうもろこし油、オオマツヨイグサ油、トケイソウ油、パッションフルーツ油、キノア油、ジャコウバラ油、マカダミア油、マスカットばら油、ヘーゼルナッツ油、アボカード油、オリーブオイル、またはシリアル(コーン、小麦、大麦、もしくはライ麦)の胚芽油、およびこれらの混合物が含まれる。
【0022】
1つの実施態様では、ホホバ油を植物油として選択する。ホホバ油は、本来、モノ不飽和アルコールと脂肪酸とから誘導される非分岐状モノエステルによって構成され、この非分岐状モノエステルが最終組成物の97%を占める。最も豊富な異性体は、ドコサ-シス-13-エニルエイコサ-シス-11-エノエート(37%)およびエイコサ-シス-11-エニルオクタデカ-シス-9-エノエート(24%)であり、エステルの複合ブレンドの50%より多くを占める。この油は、典型的には、遊離の脂肪酸を2%より多く有さない。
【0023】
別の実施態様では、植物油はゴマ油である。ゴマ植物は、脂肪種子のなたねと種類が類似しており、特に東インドで栽培されている。この種子の油含有量は、45〜54%である。Sesamun Indicumの種子から得られるものは、精製されたトリグリセリド油である。トリグリセリドの脂肪酸エステルは、約1:1の比のリノール酸およびオレイン酸のエステルから本質的になる。
【化1】

【0024】
他の特定の実施態様では、植物油は、シアバター、オオマツヨイグサ油、ヒマシ油、スイートアーモンド油、米ぬか油、ひまわり油、ブドウ種子油、なたね油、パーム油、またはこれらの混合物から選択する。内部二重結合の種類および量に関する組成的データについては、下記節の実施例にさらに開示する。
【0025】
[C)ヒドロシリル化触媒]
成分C)は、ヒドロシリル化触媒である。成分C)は、オルガノ水素シロキサンと植物油との反応を促進するために十分な量で添加する。しかし、成分C)の量は、組成物の重量に基づいて0.01〜1,000ppm、あるいは0.01〜100ppm、あるいは0.01〜50ppmの白金族金属の範囲であってよい。
【0026】
好適なヒドロシリル化触媒は、当分野で知られており、市販されている。成分C)は、白金族、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、またはイリジウムから選ばれた白金群金属、もしくはこれらの有機金属化合物、またはこれらの組合せを含むことができる。成分C)は、例えばクロロ白金酸、クロロ白金酸六水和物、二塩化白金などの化合物、前記化合物と低分子量オルガノポリシロキサンとの錯体、または、マトリックスもしくはコアシェル型の構造内にマイクロカプセル化された白金化合物によって例示される。白金と低分子量オルガノポリシロキサンとの錯体には、1,3-ジエテニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンの白金錯体が含まれる。これらの錯体を、樹脂マトリックス内にマイクロカプセル化することができる。あるいは、触媒が、1,3-ジエテニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンの白金錯体を含んでいてもよい。触媒が、低分子量オルガノポリシロキサンとの白金錯体である場合には、触媒の量は、組成物の総質量に基づいて0.02〜0.2質量部であってよい。
【0027】
成分C)として好適なヒドロシリル化触媒は、例えば、米国特許第3,159,601号、同第3,220,972号、同第3,296,291号、同第3,419,593号、同第3,516,946号、同第3,814,730号、同第3,989,668号、同第4,784,879号、同第5,036,117号、および5,175,325号、ならびに欧州特許第0347895号に記載されている。マイクロカプセル化ヒドロシリル化触媒およびその製造方法も当分野で知られており、米国特許第4,766,176号および同第5,017,654号で例示される。
【0028】
[D)分子内に少なくとも2個の末端脂肪族不飽和基を有する架橋性化合物]
成分D)は、分子内に少なくとも2個の末端脂肪族不飽和基を有する任意の化合物または化合物の混合物である。この化合物は、任意のジエン、ジイン、またはエン-イン化合物である。ジエン、ジイン、またはエン-イン化合物は、少なくとも2個の末端不飽和基が、分子内のこれらの基の間の何らかの分離基とともに存在する化合物(高分子化合物も含む)である。不飽和基は、化合物の末端にあるか、あるいは高分子化合物の一部である場合にはペンダント型である。末端不飽和基またはペンダント不飽和基を有する化合物は、式:R−Y−R(式中、Rは、炭素原子を2〜12個有する一価の不飽和脂肪族炭化水素基であり、Yは、二価の有機基、シロキサン基、またはこれらの混合である)によって表すことができる。典型的にはRは、CH=CH−、CH=CHCH−、CH=C(CH)CH−、またはCH≡C−、ならびに類似の置換不飽和基〔例えば、HC=C(CH)−およびHC≡C(CH)−など〕である。
【0029】
成分D)は、典型的には、成分A)、B)、およびC)の反応生成物であるシリコーンコポリマーの分子量を増加させるために用いる。成分D)を使用して、以下により詳細に議論するとおり、シリコーンのターポリマーまたは架橋構造(シリコーンエラストマー材料を含む)を形成させることができる。
【0030】
成分D)としての式:R−Y−Rを有する化合物は、Yの選択次第で、「有機」、「炭化水素」、「有機ポリマー」、「ポリエーテル」、または「シロキサン」であると考えることができる。Yは、二価の炭化水素、シロキサン、ポリシロキサン、ポリアルキレン、ポリイソアルキレン、炭化水素-シリコーンコポリマー、またはこれらの混合物であってよい。
【0031】
1つの実施態様では、成分D)は、有機化合物から選択され、本明細書においてD)と表示され、式:R−Y−R(式中、Rは、炭素原子2〜12個を有する一価の不飽和脂肪族基であり、Yは、二価の炭化水素である)を有する。二価の炭化水素Yは、炭素を1〜30個有していてよく、脂肪族または芳香族構造のいずれかであってよく、分岐状であっても非分岐状であってもよい。あるいは、D中の連結基Yは、炭素を1〜12個有するアルキレン基であってよい。化合物Dは、炭素1〜30個を有するα,ω-不飽和アルケンもしくはアルキレンまたはこれらの混合物から選択することができる。成分D)は、これらだけに限定されないが、1,4-ペンタジエン、1,5-ヘキサジエン、1,6-ヘプタジエン、1,7-オクタジエン、1,8-ノナジエン、1,9-デカジエン、1,11-ドデカジエン、1,13-テトラデカジエン、および1,19-エイコサジエン、1,3-ブタジイン、1,5-ヘキサジイン(ジプロパルギル)、および1-ヘキセン-5-インによって例示することができる。
【0032】
別の実施態様では、成分D)は、式:R−Y−R(式中、Yは、シロキサンである)から選択され、本明細書においてD)と表示される。このYシロキサン基は、脂肪族不飽和を有する有機基(Rで表される)の少なくとも2個に結合してR−Y−R構造を形成する任意のオルガノシロキサンから選択することができる。したがって、成分D)は、任意のオルガノシロキサン、およびこれらの混合物であってよく、平均式:
SiO(3−m)/2
(式中、Rは有機基であり、
は、上で定義したとおりの一価の不飽和脂肪族基であり、かつ、
mは0〜2である)
で表される少なくとも2個のシロキサン単位を含んでいてよい。
【0033】
このRは、オルガノポリシロキサン分子の任意のモノ-、ジ-、またはトリ-シロキシ単位上に、例えば、(RSiO0.5)、(RRSiO)、または(RSiO1.5)として存在していてよく、R置換基を有さない他のシロキシ単位、例えば、(RSiO0.5 )、(RSiO)、(RSiO1.5)、または(SiO)(式中、Rは独立に任意の有機基、あるいは炭素1〜30個を有するアルキル基、あるいはメチルである)との組合せで存在していてもよい(ただし、オルガノポリシロキサンに少なくとも2個のR置換基が存在する)。
【0034】
成分D)として好適な、代表的、非限定的なシロキサンベースのR−Y−R構造の例には、以下のものが含まれる:
(RSiO0.5)(SiO(RSiO0.5)、
(RSiO0.5)(SiO(RSiO)(RSiO0.5)、
(RSiO0.5)(RSiO)(RSiO0.5)、
(RSiO0.5)(RSiO)(RRSiO)(RSiO0.5)、
(RSiO0.5)(RSiO)(RRSiO)(RSiO1.5(RSiO0.5)、
(RSiO0.5)(RSiO)(RRSiO)(SiO(RSiO0.5
(式中、wは0以上であり、xは0以上であり、yは2以上であり、かつzは0以上であり、Rは有機基であり、Rは、一価の不飽和脂肪族炭化水素基である)。
【0035】
は、ビニル官能性ポリジメチルシロキサン(ビニルシロキサン)、例えば、以下の平均式を有するものなどから選択することができる。
CH=CH(Me)SiO[MeSiO]Si(Me)CH=CH
MeSiO[(Me)SiO][CH=CH(Me)SiO]SiMe
(式中、Meはメチル基であり、
xは0以上であり、あるいはxは0〜200であり、あるいはxは5〜100であり、
yは2以上であり、あるいはyは2〜200であり、あるいはyは5〜100である)。
は、ヘキセニル官能性ポリジメチルシロキサンからも選択することができる。ビニル官能性ポリジメチルシロキサンおよびヘキセニル官能性ポリジメチルシロキサンの両者は知られており、多数市販されている。
【0036】
別の実施態様では、成分D)は、ポリエーテル化合物から選択され、本明細書においてD)と表示され、
式:R−Y−R
〔式中、Rは、上で定義したとおりであり、
は、式:(C2nO)
(式中、nは2から4までであり、bは2より大であり、あるいはbは2〜100の範囲であってよく、あるいはbは2〜50の範囲であってよい)
を有するポリオキシアルキレン基である〕
を有する。
ポリオキシアルキレン基は、典型的には、オキシエチレン単位(CO)、オキシプロピレン単位(CO)、オキシブチレン単位(CO)、またはこれらの混合を含むことができる。したがって、R−Y−R化合物は、下記式:
−O−[(CO)(CO)(CO)]−R
(式中、c、d、およびeは、それぞれ独立に、0〜100の範囲であってよく、ただし、c+d+eの合計は2より大、あるいはc+d+eの合計は2〜100の範囲、あるいはc+d+eの合計は2〜50の範囲である)
を有するポリオキシアルキレン基から選択することができる。
【0037】
あるいは、ポリオキシアルキレン基は、オキシプロピレン単位(CO)だけを含む。R−Y−R化合物を含有するポリオキシプロピレンの代表的、非限定的な例には以下のものが含まれる。
C=CHCHO[CO]CHCH=CH2、
C=CHO[CO]CH=CH2、
C=C(CH)CHO[CO]CHC(CH)=CH2、
HC≡CCHO[CO]CHC≡CH、
HC≡CC(CHO[CO]C(CHC≡CH
(式中、dは上で定義したとおりである)。
−Y−R化合物を含有するポリオキシブチレンの代表的、非限定的な例には以下のものが含まれる。
C=CHCHO[CO]CHCH=CH
C=CHO[CO]CH=CH
C=C(CH)CHO[CO]CHC(CH)=CH
HC≡CCHO[CO]CHC≡CH、
HC≡CC(CHO[CO]C(CHC≡CH。
成分D)は、さまざまなポリエーテルの混合物、すなわちD成分の混合物であってもよい。
【0038】
別の実施態様では、成分D)は、R−Y−R化合物から選択され、本明細書においてD)と表示され、Rは上で定義したとおりであり、Yは、C2〜C6アルキレン単位からのポリアルキレン基またはこれらの異性体類から選択されるポリアルキレン基である。1つの例は、ポリイソブチレン基であり、イソブチレン単位を有するポリマーとなる。ポリイソブチレン基の分子量は、さまざまであってよいの範囲にあるが、典型的には、100〜10,000g/モルの範囲である。ポリイソブチレン基を有するR−Y−R化合物の代表的、非限定的な例には、BASF社からOPPONOL BVの商品名の下で商業的に入手可能な化合物、例えば、OPPONOL BV 5K(平均分子量5000g/モルを有するジアリル末端ポリイソブチレン)が含まれる。
【0039】
さらに別の実施態様では、成分D)は、R−Y−R化合物から選択され、本明細書においてD)と表示され、Rは上で定義したとおりであり、Yは、炭化水素-シリコーンコポリマー基である。炭化水素-シリコーンコポリマー基は、下記式を有していてよい。
−[R(RSiO)
(式中、RおよびRは上で定義したとおりであり、uおよびvは、独立に1以上であり、あるいはuは1〜20の範囲であり、あるいはvは2〜500、または2〜200の範囲であり、qは1より大であり、あるいはqは2〜500の範囲であり、あるいはqは2〜100の範囲である)。
炭化水素-シリコーンコポリマー基を有するR−Y−R化合物は、α-ω不飽和炭化水素(例えば、Dとして上述した化合物)と、オルガノ水素シロキサンとの間のヒドロシリル化反応によって合成することができる。このような反応の代表的、非限定的な例を以下に示す。
【化2】

【0040】
成分D)は任意のジエン、ジイン、またはエン-イン化合物の混合物(例えば、D、D、D、D、およびDの任意の組合せなど)であってよい。
【0041】
本組成物を調製するために用いる成分a)および成分D)の量は、個々の成分、および所望のSiHと脂肪族不飽和との比によってさまざまである。本発明の組成物を調製するために有用な、成分a)中のSiHの、成分D)からの脂肪族不飽和に対する比は、10:1〜1:10、あるいは5:1〜1:5、あるいは4:1〜1:4であってよい。
【0042】
[E)場合により含まれる溶媒]
ヒドロシリル化反応は、溶媒なしで、あるいは溶媒の存在下で実施することができる。溶媒は、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールまたはn-プロパノールなど)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、またはメチルイソブチルケトンなど)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、またはキシレンなど)、脂肪族炭化水素(例えば、ヘプタン、ヘキサン、またはオクタンなど)、グリコールエーテル(例えば、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、またはエチレングリコールn-ブチルエーテルなど)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、1,1,1-トリクロロエタン、塩化メチレン、クロロホルムなど)、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、揮発油、鉱物油、またはナフサであってよい。有機溶媒は、脂肪族炭化水素(例えば、イソドデカン、Isoper L(C11〜C13)、Isoper H(C11〜C12)、水素化ポリデセンであってよい。エーテルおよびエステルには、イソデシルネオペンタノエート、ネオペンチルグリコールヘプタノエート、グリコールジステアレート、ジカプリリルカーボネート、ジエチルヘキシルカーボネート、プロピレングリコールnブチルエーテル、エチル-3エトキシプロピオネート、プロピレングリコールメチルエーテルアセタート、トリデシルネオペンタノエート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールメチルエーテル(PGME)、オクチルドデシルネオペンタノエート、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート、およびパルミチン酸オクチルが含まれる。
【0043】
溶媒は、揮発性メチルシロキサン、揮発性エチルシロキサン、または、25℃で1〜1000mm/秒の範囲の粘度を有する揮発性メチルエチルシロキサン〔例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサデカメチルヘプタシロキサン、ヘプタメチル-3-{(トリメチルシリル)オキシ}トリシロキサン、ヘキサメチル-3,3,ビス{(トリメチルシリル)オキシ)}トリシロキサンペンタメチル{(トリメチルシリル)オキシ)}シクロトリシロキサン、ならびに、ポリジメチルシロキサン、ポリエチルシロキサン、ポリメチルエチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサンなど〕から選択することもできる。
【0044】
溶媒の量は、最高50質量%までであってよいが、典型的には、20〜50質量%であり、前記質量%は、ヒドロシリル化反応における組成物の総質量を基準とする。ヒドロシリル化反応中に用いる溶媒は、その後得られる反応生成物混合物から、様々な公知の方法によって除去することができ、あるいは組成物中に残っていてもよい。
[F)アルファオレフィン]
成分F)は、アルファオレフィンである。アルファオレフィンは、アルファオレフィン性の有機またはシリコーン化合物であってよい。しばしば、ヒドロシリル化反応後に、少量のSiHがシリコーンコポリマーまたはシリコーンエラストマー中に残存する。得られるシリコーンコポリマーまたはエラストマーを、アルファオレフィンとさらにヒドロシリル化反応させて、全ての残存SiHを消費させることができる。典型的には、成分A)、B)、C)、および場合によりD)から得られる生成組成物のSiH含量を最初に測定し、十分量のアルファオレフィンF)および触媒C)をSiHをさらに反応させるために添加する。典型的には、用いるアルファオレフィンの量は、生成組成物のSiH含量のモル過剰量である。1つの実施態様では、アルファオレフィンは、過剰または未反応のオレフィンが得られる生成組成物から減圧下で除去可能であるように十分に揮発性である。このような場合、アルファオレフィンは、低分子量アルケン、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレンなどであってよい。別の実施態様では、アルファオレフィンは、高分子量アルケン、例えば、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-オクタデセンなどである。さらに別の実施態様では、アルファオレフィンは、有機官能性基(例えば、アルコール、ジオール、またはエポキシなど)を有していてよい。
【0045】
他のアルファオレフィン性有機化合物を用いて、コポリマー中の少量の未反応SiHと反応させることができる。これらの化合物の例には、これらだけに限定されないが、モノ-アリルポリ(オキシアルキレン)、ビニル-、ヘキセニル-末端シリコーンが含まれる。
【0046】
[シリコーンコポリマー]
本発明のシリコーンコポリマーは、それぞれ上で定義した、成分A)、B)、C)、場合によりD)、および場合によりF)のヒドロシリル化反応生成物として得ることができる。任意のヒドロシリル化反応プロセスを用いて本シリコーンコポリマーを製造することができる。典型的な条件および特定の変形態様について以下にさらに詳細に議論する。
【0047】
理論に拘束されることを望まないが、本発明者らは、オルガノ水素ポリシロキサンと植物油との間のヒドロシリル化反応において、反応生成物の一部は、オルガノ水素ポリシロキサンのSiH単位と、天然植物油に存在するさまざまな脂肪酸エステルの内部炭素-炭素二重結合との間の付加反応から生じると考える。これらの脂肪酸エステルは、選択した植物油の組成によって反映されるように、トリグリセリドをベースとする化合物であってよく、あるいは、ホホバ油にみられるように、脂肪酸モノエステルであってもよい。したがって、反応生成物は、植物油ベースの脂肪酸エステル(本明細書においてEとして表示される)とオルガノポリシロキサンとを連結する、加水分解が可能でないSi−C結合を、少なくとも1個有する。したがって、このシリコーンコポリマーの反応生成物は、下記平均式のシロキシ単位:
(E)SiO(3−m)/2
(式中、
は、一価の炭化水素基であり、
Eは、少なくとも1個のSi−C結合によって前記構造単位中のケイ素に結合した脂肪酸エステル基であり、前記Si−C結合の炭素原子は前記植物油の脂肪族不飽和結合中に最初に存在していた炭素原子の1つであり、
mは0から2までの範囲にある)
を少なくとも1個有する。
本明細書において、「脂肪酸エステル」は、天然の植物油化合物中にみられる任意のエステル官能性有機基であってよく、典型的にはトリグリセリドまたはモノグリセリドのいずれかであってよい。トリグリセリドまたはモノグリセリドは、グリセリンをベースとした脂肪酸エステルである。このような脂肪酸エステル植物油化合物は、一般に、炭素原子16〜50個を有し、1分子当たり少なくとも1個の内部二重結合を有する。
【0048】
脂肪酸エステル基Eの代表的、非限定的な例には、パルミテート、マルガレート、ステアレート、オレエート、リノレート、リノリネート、ガドレート、エルケート、およびテトラコサノエートが含まれる。
【0049】
別の実施態様では、シリコーンコポリマーは、下記平均式の構造単位:
SiO(3−m)/2(E’)SiO(3−m)/2
(式中、
は、一価の炭化水素基であり、
E’は、少なくとも1個のSi−C結合によって前記構造単位中のケイ素に結合した脂肪酸エステル基であり、前記Si−C結合の炭素原子は前記植物油の脂肪族不飽和結合中に最初に存在していた炭素原子の1つであり、
mは0から2までの範囲にある)
を少なくとも1個有するオルガノポリシロキサンを含む。
【0050】
脂肪酸エステル基E’の代表的、非限定的な例には、内部二重結合を少なくとも2個有するもの、例えば、リノレートまたはリノレネートが含まれる。
【0051】
さらなる実施態様では、式:R(E)SiO(3−m)/2またはRSiO(3−m)/2(E’)SiO(3−m)/2を有する構造単位を少なくとも1個有するオルガノポリシロキサンが、SiH官能性シロキシ単位をさらに有していてもよい。したがって、オルガノポリシロキサン反応生成物が、オルガノ水素シロキサンとみなされてもよい。
【0052】
1つの実施態様では、反応生成物は、下記平均式の構造単位:
E−RSiO−[RSiO]−SiR
(式中、
Eは、上で定義したとおりの脂肪酸エステル基であり、
は、上で定義したとおりの一価の炭化水素基であり、
は、水素またはEである)
を含む。
【0053】
植物油とオルガノ水素ポリシロキサンとの間のヒドロシリル化反応は、同じエステル分子または異なるエステル分子のいずれかに存在する2個の不飽和基が炭素原子の数にかかわらず付加することによってもたらされ、ブロックコポリマー(ABA)(式中、Aは、反応前の不飽和エステルである)の形成が伴うことが予想される。このような生成物の代表的、非限定的な例を下記に示す。
【化3】

さらに、ネットワーク構造の形成が可能であり、このネットワーク形成では、同じ油分子内の各炭素-炭素二重結合は、異なるシリコーン分子のSiH結合と反応する。
【0054】
下記構造により、シリコーンコポリマー反応生成物として得ることができるオルガノポリシロキサン構造およびオルガノ水素シロキサン構造の代表的、非限定的な例を示す。
【化4】

【化5】

【0055】
A)、B)、C)、ならびに場合によりD)およびF)の反応生成物を含む組成物は、組成物中に、少なくとも5質量%、あるいは10質量%、あるいは30質量%のシリコーンコポリマーを含む。
【0056】
[シリコーンコポリマーおよびシリコーンエラストマーの製造方法]
本発明のシリコーンコポリマーおよびシリコーンエラストマーは、上で定義した成分A)、B)、C)、ならびに場合によりD)およびF)のヒドロシリル化反応生成物として得ることができる。
【0057】
このヒドロシリル化反応は、溶媒の存在下で実施することができ、この溶媒は、その後公知の方法で除去することができる。あるいは、ヒドロシリル化反応は、溶媒中で実施することができ、この溶媒は、得られる組成物中に担体液体として残存していてもよい。
【0058】
シリコーンコポリマまたはエラストマーを製造するためにヒドロシリル化反応に用いる成分A)、B)、および場合によりD)の量は、さまざまであってよく、典型的には、使用量は、反応混合物中の成分B)(および存在する場合には追加的に成分D))からの不飽和基の、成分A)のSiH含量に対するモル比として表される。典型的には、ヒドロシリル化反応は、ヒドロシリル化反応でSiHを完全に消費することを確実にするために、不飽和基対SiHをわずかにモル過剰で用いて実施する。典型的には、ヒドロシリル化反応は、20%、あるいは10%、あるいは1%モル過剰の不飽和基のオルガノ水素ポリシロキサンを、SiH含量に対して用いて実施する。
【0059】
ヒドロシリル化反応の温度は、さまざまであってよいが、典型的には、80℃〜150℃の範囲の温度で実施する。典型的には、成分B)を、100℃〜150℃の範囲の温度で成分A)と反応させる。
【0060】
ヒドロシリル化反応は、単一段階の反応で行うことができるが、一連の反応として行うこともできる。例えば、成分A)およびB)を、最初に、SiH単位を有するシリコーンコポリマーを形成するような方法で反応させる(例えば、反応混合物中にSiHがモル過剰で存在する場合、あるいは植物油中の安定なC=C結合の一部が反応しない場合など)。得られるSiH含有シリコーンコポリマーを、その後、本明細書にさらに詳細に記載するように、さらに成分D)またはF)と反応させることができる。あるいは、成分A)およびD)を最初に反応させて、部分的に架橋したオルガノ水素シロキサンを形成させ〔成分A)のSiHを、成分D)の不飽和基に対してモル過剰で用いる〕、その後これを成分B)と反応させて、シリコーンコポリマーまたはエラストマーを形成させる。
【0061】
シリコーンで修飾した植物油を製造するための方法の1つの実施態様では、成分A)とB)との間のヒドロシリル化反応は、末端脂肪族不飽和基を有する有機化合物またはポリマーの非存在下で実施する。上で議論したとおり、本方法で用いる植物油は内部不飽和炭素-炭素二重結合を有する。一般に、末端炭素-炭素二重結合のヒドロシリル化反応速度は、内部炭素-炭素二重結合の反応速度より大幅に早い。したがって、成分A)とB)との間のヒドロシリル化反応は、末端脂肪族不飽和炭素-炭素二重結合を有するいかなる炭化水素も存在しない条件下で実施する。
【0062】
あるいは、シリコーンコポリマー、特にシリコーンエラストマーは、
I)a) シロキサン環上にSiH単位を少なくとも2個有するオルガノ水素シクロシロキサン、
B)少なくとも1個の脂肪族不飽和結合を有する植物油、および
C)ヒドロシリル化触媒
を、E)場合により、溶媒
の存在下で反応させる工程であって、反応生成物が未反応のSiH単位をなお有する工程と、
II)工程I)の生成物を、
b)分子内に末端脂肪族不飽和基を少なくとも2個有する化合物、
C)ヒドロシリル化触媒
を、E)場合により、溶媒
の存在下でさらに反応させて、シリコーンコポリマーまたはエラストマーを形成させる工程と
を含む方法によって製造することができる。
【0063】
成分a)、A)、B)、C)は、上述したものと同じである。この反応は、上述した条件と同様の条件下でも実施することができる。
前述した工程II)において、成分A)のSiH単位の、成分B)の脂肪族不飽和に対するモル比は、10/1〜1/10、あるいは5/1〜1/5、あるいは4/1〜1/4の範囲でさまざまである。
【0064】
[シリコーンエラストマーを含有するゲル化した組成物]
シリコーンエラストマーに、キャリア液体〔例えば、成分E)として上述した溶媒など〕を添加して、ゲル化組成物を形成させることができる。あるいは、シリコーンエラストマーを別個の反応で最初に製造し、次いで、キャリア液体に添加してゲルを得ることができる。本発明のゲル化した組成物は、それらが堅くしっかりしていることによって特徴付けることができる。ゲルを特徴付けるために有用な試験は、Gelatin Manufacturers Institute of Americaによって推奨されている試験であり、例えば、「Texture Analyzer」を使用する試験である(model TA.XT2、Stable Micro System Inc.社、英国、Godalming)。ゲルを特徴付けるために用いられるこのテスト方法のさらなる詳細および記述は、国際公開第2007/109240号、同第2007/109260号、および同第2007/109282号にみることができる。
【0065】
本発明のシリコーンゲルは、少なくとも200ニュートン/m、あるいは少なくとも400ニュートン/m、あるいは少なくとも600ニュートン/mの圧縮硬度を有する。
【0066】
[シリコーンエラストマーを含有するゲルペースト組成物]
本発明のゲル化した組成物を使用して、活性剤を含有するゲルペースト組成物を調製することができる。この調製では、
I)上述したとおりのシリコーンエラストマーを剪断する工程と、
II)剪断されたシリコーンエラストマーを、追加量の
E)上述したとおりの溶媒、
G)場合により、パーソナルケアまたはヘルスケア活性剤
と混合する工程と
によって、ゲルペースト組成物を形成させる。
【0067】
本発明のシリコーンポリエーテルエラストマーゲル組成物ブレンドは、キャリア液体に不連続に分散された架橋シリコーンエラストマーゲル粒子であるとみなすことができる。したがって、このシリコーンエラストマー組成物は、低分子量シリコーン液体の効果的な流体力学的増粘剤である。このため、これらを用いて有用なゲルブレンド組成物、例えば、「ペースト」組成物を調製することができる。
【0068】
このようなシリコーンエラストマーブレンドを製造するために、初期のエラストマー含量(IEC)が既知である前述したシリコーンエラストマーゲルを剪断にかけて小さな粒子径を得た後、さらに最終的なエラストマー含量(FEC)に希釈する。「剪断」は、本明細書において、任意の剪断混合プロセス、例えば、ホモジナイジング、ソナレーティング、または当分野で剪断混合として知られている任意の他の混合方法を指す。シリコーンエラストマーゲル組成物の剪断混合により、粒径が低減された組成物が得られる。次いで、低減された粒径を有するその後の組成物を、さらにキャリア液体と混合する。キャリア液体は、上述したような任意の溶媒であってよいが、典型的には、揮発性メチルシロキサン、例えばDなどであってよい。キャリア液体を、低減された粒径を有するシリコーンエラストマー組成物と混合する技術は、重要ではなく、典型的には、単に撹拌または混合する工程を含む。得られる組成物は、ペーストであるとみなすことができ、100,000cP(mPa・秒)より高い粘度を有する。
【0069】
シリコーンゲルおよびゲルペーストを、さまざまなパーソナルケアまたはヘルスケア用活性剤と組み合わせることができる。このようなパーソナルケアまたはヘルスケア用活性剤の代表的、非制限的な例は、参照によりその好適なパーソナルケアまたはヘルスケア用活性剤についての教示を本明細書に組み込む、国際公開第2007/109240号、同第2007/109260号、および同第2007/109282号に記載されている。
【0070】
シリコーン修飾植物油は、パーソナルケア製剤(例えば、制汗性、脱臭剤、スキンクリーム、スキンケアローション、モイスチャライザー、フェイシャルトリートメント、しわリムーバー、顔用クレンザー、バスオイル、日焼け止め、プレシェーブローション、アフターシェーブローション、液状セッケン、シェービングソープ、シェービング用泡剤、ヘアシャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアスプレー、ムース、パーマ剤、ヘアキューティクルコーティング、メイクアップ、カラーコスメティック、ファンデーション、ほお紅、口紅、リップバーム、アイライナー、マスカラ、マニキュア液、またパウダーなど)に組み込むことができる。
【0071】
本発明のパーソナルケア組成物は、クリーム、ゲル、パウダー、ペースト、または自由に注ぐことができる液体の形態であってよい。一般に、このような組成物は、組成物中に室温で固体の材料が存在しない場合には、室温で、単純なプロペラミキサー、Brookfield回転ミキサー、あるいはホモジナイジングミキサーを用いて調製することができる。典型的には、特別な装置またはプロセス条件は全く必要とされない。製造する形態の種類次第で、調製方法はさまざまであるが、そのような方法は当分野で周知である。
【0072】
本発明の組成物は、標準的な方法によって使用することができる。例えば、ヒトの体(例えば、皮膚または毛髪など)に、アプリケーター、ブラシを用いて、あるいは手で、これらを注ぐか/あるいは身体上または中にこすったりマッサージすることによって適用する。除去方法、例えばカラーコスメティックの除去方法は、周知の標準的方法であり、洗浄、拭き取り、ピーリングなどが含まれる。皮膚に使用するために、本発明の組成物は、例えば、皮膚へのコンディショニングなどの従来の方法を用いることができる。その目的のための組成物の有効量を皮膚に適用する。このような有効量は、一般に、1mg/cm〜3mg/cmの範囲でさまざまである。皮膚への適用は、典型的には、組成物を皮膚に作用させる工程を含む。この皮膚への適用方法は、皮膚に組成物を接触させる工程と、次いで、組成物を皮膚にすり込む工程とを含む。これらの工程は、所望の利益を達成するために所望される回数繰り返すことができる。
【0073】
本発明の組成物の毛髪への使用には、毛髪をコンディショニングするための従来の方法を用いることができる。毛髪をコンディショニングするための本組成物の有効量を、毛髪に適用する。このような有効量は、一般に、1g〜50g、典型的には1g〜20gの範囲でさまざまである。毛髪への適用は、典型的には、組成物を毛髪全体に作用させて、毛髪のほとんどまたは全てが組成物と接触するようにする工程を含む。この毛髪をコンディショニングする方法は、有効量のヘアケア組成物を毛髪に適用する工程と、次いで、組成物を毛髪全体に作用させる工程とを含む。これらの工程は、所望の利益を達成するために所望される回数繰り返すことができる。
【実施例】
【0074】
これらの実施例は、本発明を当業者に説明することを意図するものであり、請求項に記載する発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。全ての測定および実験は、特に指定しない限り、23℃で実施した。
【0075】
[材料]
(植物油)
ホホバ油、ゴマ油、オオマツヨイグサ油、シアバター、ヒマシ油、なたね油、パーム油、を、Lipo Chemicals社(207 Nineteenth Avenue, Paterson NJ 07504)から供給されたままで用いた。下記実施例において記述する「植物油ブレンド」は、75質量%のなたね油と25質量%のパーム油とのブレンドであった。下記表1および表2に、これらの代表的な例で用いた油の組成をまとめる。
【表1】

【表2】

【0076】
表1および表2の「組成物のまとめ」に示す組成物の情報は、一覧であり、表中に示した典型的な組成物に基づくものである。油のC=C不飽和含量は、「モノ不飽和物合計」、「ポリ不飽和物合計」、および「不飽和物合計」によって表した。
【0077】
1分子当たりの不飽和C=C結合の平均数、および不飽和C=C結合の質量%も算出した。これらは、油中の不飽和の程度を表すために有用である。「不飽和結合の平均数」は、所与のエステルセグメントについての公開された文献にみられる情報に基づいて、それがモノエステルであるかまたはトリグリセリド分枝の一部であるかを考慮することなく算出した。このことは、「不飽和C=C結合の質量%」の定義についても当てはまる。ヨウ素価も、所与の天然油の不飽和の程度を示している。
【0078】
(オルガノ水素シロキサン)
・SiH SILOXANE 1= 平均式:MHD17MHを有するジメチル水素シロキシ末端ポリジメチルシロキサン
・SiH SILOXANE 2 = 平均式:MHD6MHを有するジメチル水素シロキシ末端ポリジメチルシロキサン
・SiH SILOXANE 3 = 少なくとも2個のSiHを有し、環状環を含有するオルガノ水素シロキサン(国際公開第2007/109240号の実施例1Cに記載の方法にしたがって合成した)
・MeH CYCLICS = 式:[(CH3)HSiO]x(式中、xの平均値は、4.4である)を有するメチル水素シクロシロキサン(MeH環状物)
(他の成分)
・SYL-OFF(登録商標)4000 CATALYST (ダウ・コーニング社、Midland、MI)を、ヒドロシリル化触媒として使用した。これは、オルガノ-白金ビニルジメチコーン化合物である。
・VINYL SILOXANE = 一般式:(CH2=CH(CH2)4)(CH3)2SiO[(CH3)2SiO]dpSi(CH3)2((CH2)4(CH2=CH))
のジメチルヘキセニルシロキシ末端ジメチルポリシロキサン(これは、平均重合度(dp)が37であり、25℃での粘度は40 mm2/秒である)
・VINYL SILOXANE ♯2 = 一般式:
(CH2=CH)(CH3)2SiO[(CH3)2SiO]dpSi(CH3)2(CH=CH2)
のジメチルビニルシロキシ末端ジメチルポリシロキサンである(これは、平均重合度(dp)が8であり、25℃での粘度は4 mm2/秒である)
・Si DIENE = ジアリル官能性基を末端に有するシリコーン-炭化水素コポリマー (α,ω-ジヘキセニル炭化水素オリゴマー)〔1,5-ヘキサジエンとテトラメチルシロキサン(TMDS) とを国際公開第2007/109282号(実施例2)に記載の手順にしたがって反応させることによって調製した〕
・PO20 - Polycerin DUS-80 = プロピレンオキシド(PO)単位を20個有するα,ω-ジアリルポリプロピレンオキシド〔NOF Corporation社(日本)から〕.
・D5 CYCLICS = デカメチルシクロペンタシロキサン〔DC245 Fluid、ダウ・コーニング社から供給されている〕
・IDD = イソドデカン〔Permethyl 99A、Presperse Incorporated社から、Somerset、ニュージャージー〕
・ALPHA OLEFIN 1−1-オクテン〔Cheveron Phillips Chemical Company社から(The Woodlands、テキサス)〕
【0079】
[実施例1]:シリコーン変性ホホバ油
150 mLのビーカーに、17.9 gのD5 CYCLES(48.35 mmol)、15 gのSiH SILOXANE 1オルガノ水素ポリシロキサン(9.74 mmol)、および6.30 gのホホバ油(約10.40 mmol)を入れた。別の容器で、0.0019 gのSYL-OFF(登録商標)4000 CATALYST(活性白金10 ppm)を、3.50 gのD5 CYCLES(9.45 mmol)と混合した。ホホバ油を含有するブレンドを、シリコーンバスを用いて、開いた容器内で250 rpmの速度で定常的に激しく撹拌しながら95〜100℃に加熱した。10分間均一化させた後、SYL-OFF(登録商標)4000 CATALYSTのブレンドを最初の系に添加し、激しい撹拌および温度の両者を少なくともその後5時間維持した。この期間が経過した後、混合物をゆっくりと撹拌しながら、白色の粘稠な液体が形成されるまで冷却した。反応生成物のIRおよびNMR分析により、SiHが、原料ホホバ油中に存在するC=C結合にうまく付加したことが確認された。
【0080】
[実施例2]:シリコーン変性ゴマ油
反応フラスコに、30.0 gのD5 CYCLICS、15 gのSiH SILOXANE 1オルガノ水素シロキサン(9.74 mmol)、および10.27 gのゴマ油(約10.40 mmol)を装入した。別の容器で、0.0019 gのSYL-OFF(登録商標)4000 CATALYST(活性白金10 ppm)を、3.50 gのD5 CYCLES(9.45 mmol)と混合した。ゴマ油を含有するブレンドを、シリコーンバスを用いて、開いた容器内で250 rpmの速度で定常的に激しく撹拌しながら95〜100℃に加熱した。開いた容器内で250 rpmの定常的に激しく撹拌した。10分間均一化させた後、SYL-OFF(登録商標)4000 CATALYSTのブレンドを最初の系に添加し、激しい撹拌と95〜100℃の温度との両者を少なくともその後5時間維持した。反応生成物のIRおよびNMR分析により、SiHが、原料ゴマ油中に存在するC=C結合にうまく付加したことが確認された。
【0081】
[実施例3]:ヘアケア用添加剤としてのシリコーン変性ホホバ油
以下の「ベース」ヘアコンディショナー製剤を、これらの実施例で用いた。
【表3】

ホホバ油、またはシリコーン修飾ホホバ油(実施例1で製造したものであり、本実施例ではSilNat油として表示した)を、以下の組成にしたがうベースヘアコンディショナー製剤中で評価した。
【表4】

これらのヘアコンディショナー製剤を、DeMeo Brathers社によって供給されている2.5 cm幅および25 cm長さの寸法を有する白人の毛髪束に適用した。トリートメントした後、これらの毛髪束の光沢特性を、光沢計を使用して60°および80°で評価した。結果を図1に示す。この結果は、シリコーン修飾ホホバ油が、対照および未修飾ホホバ油に対して、改善された光沢を有することを示している。
【0082】
同じ白人の毛髪束を、さまざまな感覚特性について、パネル(10人のテスターで構成されたもの)によるランク付け評価によっても評価した。
a)SilNatは、対照および純粋なホホバ油と比較して、毛髪束のウェーブの強度を95%の信頼性レベルで増加させた。
b)SilNatは、対照および純粋なホホバ油と比較して、もつれをほぐすことを95%の信頼性レベルで容易にした。
c)SilNatは、髪を梳くことも容易にし、このことは、機器分析の測定結果において裏付けられた(95%の信頼性レベル)。
d)対照と比較して光沢を改善する(90%の信頼性レベル)。2.00%の純粋な油を有する製剤より高い光沢をもたらす(95%の信頼性レベル)。
e)未修飾ホホバ油と比較して、毛髪束のボリューム/ふくらみを増加させる傾向がある。
結果を図2に示した(活性剤に関して)。
【0083】
シリコーン修飾ホホバ油を、コンディショニング製剤についてリーブにおいて評価した。DC-245 Fluidを用いて製造した溶液を評価し、濃度を2倍にして異なる条件で試験した。
・SilNat=活性剤4.00%
・ホホバ油=活性剤4.00%および1.20%
【0084】
毛髪束を、DeMeo Brathers社によって供給されている白人の毛髪束を用いて、世界的なプロトコルにしたがって、2.5 cm幅および25 cm長さの寸法で調製した。トリートメントした毛髪束を10人のパネルに提出し、シャインボックス装置(米国特許第5,419,627号を参照)およびランク付け法を用いた。各パネリストは、毛髪束を光沢強度の点で1(光沢がより小さい)から5(光沢がより多い)の範囲でランク付けすることを依頼された。SilNatの結果を、純粋な未修飾ホホバ油と比較した。結果は、図3に示すように、SilNatが、未修飾ホホバ油と比較した場合に、両方の濃度で95%の信頼性レベルで光沢を増加させたことを示した。
【0085】
[実施例4]:SiHを有するシリコーン-植物油コポリマー
2種のシリコーン-植物油コポリマーを、MeH CYCLICSおよび植物油から、下記表にまとめたように、IDD溶媒中での白金によって触媒されたヒドロシリル化反応によって調製した。反応は、120℃にて5時間実施した。出発混合物および反応した混合物の[SiH](SiHの濃度)を、FTIRを用いて定量した。消費されたSiHの実績%(実際の%)によって、天然油中の不飽和二重結合との反応の程度が示されている。
【表5】

【0086】
[実施例5]:SiHを有するシリコーン-シアバターコポリマー
2種のシリコーン-シアバターコポリマーを、MeH CYCLICSおよびシアバターから、下記表にまとめたように、IDD溶媒中での白金によって触媒されたヒドロシリル化反応によって調製した。反応は、120℃にて5時間実施した。出発混合物および反応した混合物の[SiH]を、FTIRを用いて定量した。消費されたSiHの実績%によって、天然油中の不飽和二重結合との反応の程度が示されている。
【表6】

【0087】
[実施例6]:SiHを有するシリコーン-天然油コポリマー
下記表で説明されているのは、MeH CYCLICS、VINYL SILOXANE、およびシアバターから、IDD溶媒中での白金によって触媒されたヒドロシリル化反応によって調製された2種のシリコーン-植物油コポリマーである。反応は、120℃にて5時間実施した。出発混合物および反応した混合物の[SiH]を、FTIRを用いて定量した。消費されたSiHの実績%によって、天然油中の不飽和二重結合との反応の程度が示されている。
【表7】

【0088】
[実施例7]:線状シリコーンとひまわり油とから誘導されたシリコーン-ひまわり油コポリマー
この実施例では、所定量のSiH SILOXANE 1(1.588%のSiHを有するもの)、ひまわり油、およびイソドデカン(IDD)液体を、1 Lフラスコに入れた。この混合物を、均一になるまで混合し、窒素でパージした後、50℃に加熱した。その後、触媒量の白金(IV)溶液を添加した。この混合物は、反応による発熱によって79℃まで昇温した。この混合物を120℃に加熱し、120℃に5時間保った。このコポリマー反応混合物は、0.0160質量%の残余のSiHを含有していた(すなわち、SiHの69.97%は、天然油と反応してコポリマーを形成した)。このシリコーン-ひまわり油コポリマーを、SiHを含まないものにするために、計算した量のアルファオレフィン8(1-オクテン)を混合物に組み込み、120℃にて約1時間反応させた。最終的なコポリマーを試験して、FTIR法でSiHを含んでいないことを確認した。最終的なコポリマーは、31.8%のヒマワリ油、84.2%のシリコーン、および4.0%のアルファオレフィン8末端キャップ剤を含んでいた。このコポリマーは、IDD中、51.1%の固形分を有する。
【表8】

【0089】
溶媒を含まないシリコーン-ひまわり油コポリマーを、上述の反応混合物からIDDキャリア液体をストリッピングによって除去することによって得た。このシリコーン-ひまわり油コポリマーは、透明の、明るい黄味がかった粘凋な液体であった。
【0090】
[実施例8]:シリコーン-ブドウの種子油コポリマー
この実施例では、所定量の、MeH CYCLICS、ブドウの種子油、およびイソドデカン(IDD)液体を、1 Lフラスコに入れた。この混合物を、均一になるまで混合し、窒素でパージした後、65℃に加熱した。その後、触媒量の白金(IV)溶液を添加した。この混合物は、反応による発熱によって82℃まで昇温した。この混合物を120℃に加熱し、120℃に3時間保った。このコポリマー反応混合物は、0.0134質量%の残余のSiHを含有していた(すなわち、SiHの82.5%は、天然油と反応してコポリマーを形成した)。このシリコーン-ブドウの種子油コポリマーをSiHを含まないものにするために、計算した量のアルファオレフィン8(1-オクテン)を混合物に組み込み、120℃にて約1時間反応させた。最終的なコポリマーを試験して、FTIR法でSiHが0.0020%(すなわち20 ppm)しか残っていないことを確認した。所望する場合には、追加のアルファオレフィン8を添加して、このコポリマーを完全にSiHを含まないものにすることができる。
【表9】

【0091】
溶媒を含まないシリコーン-ブドウの種子油コポリマーを、上述の反応混合物からIDDキャリア液体をストリッピングによって除去することによって得た。このシリコーン-ブドウの種子油コポリマーは、透明の、明るい黄味がかった粘凋な液体であった。
【0092】
[実施例9]:シリコーン-シアバターコポリマー
この実施例では、所定量の、MeH CYCLICS、シアバター、およびイソドデカン(IDD)液体を、1 Lフラスコに入れた。この混合物を、均一になるまで混合し、窒素でパージした後、触媒量の白金(IV)溶液を添加した。この混合物を120℃に加熱し、120℃に6時間保った。このコポリマー反応混合物は、0.0264質量%の残余のSiHを含有していた(すなわち、SiHの54%は、シアバターと反応してコポリマーを形成した)。このシリコーン-シアバターコポリマーをSiHを含まないものにするために、計算した量のアルファオレフィン8(1-オクテン)を混合物に組み込み、120℃にて約1時間反応させた。最終的なコポリマーを試験して、FTIR法でSiHが0.0027%(すなわち27 ppm)しか残っていないことを確認した。所望する場合には、追加のアルファオレフィン8を添加して、このコポリマーを完全にSiHを含まないものにすることができる。
【表10】

【0093】
溶媒を含まないシリコーン-シアバターコポリマーを、上述の反応混合物からIDDキャリア液体をストリッピングによって除去することによって得た。このシリコーン-シアバターコポリマーは、白色のやわらかい固体であった。
【0094】
[実施例10]:シリコーン-米ぬか油コポリマー
この実施例では、所定量の、MeH CYCLICS、米ぬか油、およびイソドデカン(IDD)液体を、1 Lフラスコに入れた。この混合物を、均一になるまで混合し、窒素でパージし、65℃に加熱した後、触媒量の白金(IV)溶液を添加した。この混合物を120℃に加熱し、120℃に6時間保った。このコポリマー反応混合物は、0.0648質量%の残余のSiHを含有していた(すなわち、SiHの52.2%は、米ぬか油と反応してコポリマーを形成した)。このシリコーン-米ぬか油コポリマーを、SiHを含まないものにするために、計算した量のアルファオレフィン8(1-オクテン)を混合物に組み込み、120℃にて約2時間反応させた。最終的なコポリマーを試験して、FTIR法でSiHが0.0021%(すなわち21 ppm)しか残っていないことを確認した。所望する場合には、追加のアルファオレフィン8を添加して、このコポリマーを完全にSiHを含まないものにすることができる。最終的なコポリマーは、71.6%の米ぬか油、14.0%のシリコーン、および14.4%のアルファオレフィン8末端キャップ剤を含んでいた。この反応混合物を、IDD中53.8%の固形分に整えた。
【表11】

【0095】
溶媒を含まないシリコーン-米ぬか油コポリマーを、上述の反応混合物からIDDキャリア液体をストリッピングによって除去することによって得た。このシリコーン-米ぬか油コポリマーは、透明でわずかに黄味がかった外観を有していた。
【0096】
[実施例11]:線状シリコーンとアーモンド油とから誘導されたシリコーン-アーモンド油コポリマー
この実施例では、所定量の、SiH SILOXANE 1(1.588%のSiHを有するもの)、アーモンド油、およびイソドデカン(IDD)液体を、1 Lフラスコに入れた。この混合物を、均一になるまで混合し、窒素でパージし、65℃に加熱した後、触媒量の白金(IV)溶液を添加した。この混合物を120℃に加熱し、120℃に6時間保った。このコポリマー反応混合物は、0.0253質量%の残余のSiHを含有していた(すなわち、SiHの47.6%は、天然油と反応してコポリマーを形成した)。このシリコーン-アーモンド油コポリマーをSiHを含まないものにするために、計算した量のアルファオレフィン8(1-オクテン)を混合物に組み込み、120℃にて約2時間反応させた。最終的なコポリマーを試験して、FTIR法でSiHが含まれていないことを確認した。最終的なコポリマーは、36.8%のスィートアーモンド油、57.1%のシリコーン、および6.1%のアルファオレフィン8末端キャップ剤を含んでいた。この反応混合物を、IDD中51.5%の固形分に整えた。
【表12】

【0097】
溶媒を含まないシリコーン-アーモンド油コポリマーを、上述の反応混合物からIDDキャリア液体をストリッピングによって除去することによって得た。このシリコーンアーモンド油コポリマーは、透明、淡黄色の粘凋な液体であった。
【0098】
[実施例12]:アリルグリセロールでキャップされたシリコーン-ヒマシ油コポリマー
この実施例では、所定量の、SiH SILOXANE 2(0.35423%のSiHを有するもの)、ヒマシ油、およびイソドデカン(IDD)液体を、1 Lフラスコに入れた。この最初の混合物は、曇った不透明体であり均一ではなかった。これを、窒素でパージし、約85℃に加熱した。85℃で、混合物は透明かつ均一になった。その後、触媒量の白金(IV)溶液を添加した。この混合物を120℃に加熱し、120℃に6時間保った。このコポリマー反応混合物は、0.0454質量%の残余のSiHを含有していた(すなわち、SiHの40.3%は、天然油と反応してコポリマーを形成した)。このシリコーン-ヒマシ油コポリマーを、SiHを含まないものにするために、計算した量のアリルグリセロールを混合物に組み込み、120℃にて約2時間反応させた。最終的なコポリマーを試験して、FTIR法でSiHが0.0039%(すなわち39 ppm)しか残っていないことを確認した。追加のアリルグリセロールを添加して、このコポリマーを完全にSiHを含まないものにすることができる。最終的なコポリマーは、56.6%のヒマシ油、35.1%のシリコーン、および8.1%のアリルグリセロールを含んでいた。この反応混合物を、IDD中51.9%の固形分に整えた。
【表13】

【0099】
[実施例8]:シリコーン-植物油コポリマー経由のシリコーン-植物油エラストマー
以下のエラストマーゲルを、先に調製したシリコーン-植物油コポリマーと、Si DIENEとを用いて調製した。ヒドロシリル化反応は、純粋なIDD溶媒またはIDDと植物油との混合溶媒のいずれかの中でうまく実施することができ、70℃の反応温度でエラストマーゲルが形成された。
【表14】

【0100】
[実施例14]:シリコーン-シアバターコポリマー経由のシリコーン-シアバターエラストマー
以下のエラストマーゲルを、先に実施例5Aで調製したシリコーン-シアバターコポリマーを用いて調製した。ヒドロシリル化反応は、純粋なIDD溶媒またはIDDと植物油との混合溶媒のいずれかの中でうまく実施することができ、70℃の反応温度でエラストマーゲルが形成された。
【表15】

【0101】
[実施例15]:残余のSiH官能性を有するシリコーン-ホホバ油コポリマー
この実施例では、所定量のMeH CYCLICS、ホホバ油、およびイソドデカン(IDD)液体を、1 Lフラスコに入れた。この混合物を、均一になるまで混合し、窒素でパージし、50℃に加熱した後、触媒量の白金(IV)溶液を添加した。この混合物を120℃に加熱し、120℃に5時間保った。このコポリマー反応混合物は、0.161質量%の残余のSiHを含有していた。最終的なコポリマーは、86%のホホバ油、14%のシリコーン、および0.161%の残余のSiHを含んでいた。この反応混合物を、IDD中70%の固形分に整えた。
【表16】

【0102】
[実施例16]:シリコーン-ホホバ油コポリマー経由のシリコーン-ホホバ油エラストマー
以下のエラストマーゲルを、先に調製したシリコーン-ホホバ油コポリマーと、SiDIENEとを用いて調製した。ヒドロシリル化反応は、純粋なIDD溶媒またはIDDと植物油との混合溶媒のいずれかの中でうまく実施することができた。IDDと植物油との混合溶媒では、70℃ではエラストマーゲルが形成されず、100℃の反応温度で非常に柔らかいエラストマーゲルが形成された。
【表17】

【0103】
[実施例16]:直接法によるシリコーン-天然油エラストマー
以下のエラストマーゲルを、必要とされる成分全てを組み込み、均一になるまで混合し、次いで70℃のウォーターバス内に置いた。下記表にみられるように、ヒドロシリル化反応は、純粋なIDD溶媒またはIDDと植物油との混合溶媒のいずれかの中でうまく実施することができ、70℃でエラストマーゲルが形成された。
【表18】

【0104】
[実施例17]:シリコーン-天然油エラストマーブレンド
以下のシリコーン-天然油エラストマーブレンド(SOEB)を、ウォーリングブレンダー(Waring blender)を使用して、ゲルの塊(gel mass)を所望のゲル粒径に粉砕し、ペースト様コンシステンシーに調製した。
【表19】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)ケイ素に結合した水素原子を少なくとも2個有するオルガノ水素ポリシロキサン、
B)少なくとも1個の脂肪族不飽和結合を有する植物油、
C)ヒドロシリル化触媒、および
D)場合により、分子内に末端脂肪族不飽和基を少なくとも2個有する架橋性化合物、
F)場合により、アルファオレフィン化合物
の反応生成物を含む組成物であって、
前記反応生成物が、前記オルガノ水素シロキサンのケイ素に結合した水素原子と、前記植物油中の脂肪族不飽和基との間の付加反応によって形成されたシリコーンコポリマーを少なくとも1種含有する、組成物。
【請求項2】
前記オルガノ水素ポリシロキサンが、一般式:
HRSiO−[RSiO]−SiR
(式中、Rは、一価の炭化水素であり、xは1以上である)
の線状オルガノ水素ポリシロキサンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記オルガノ水素ポリシロキサンが、
(CHHSiO[(CHSiO]SiH(CH
(式中、xは1以上である)
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記オルガノ水素ポリシロキサンが、オルガノ水素シクロシロキサンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記オルガノ水素シクロシロキサンが、平均式:[(CH)HSiO](式中、gは3〜8である)を有する、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記植物油が、ホホバ油、ゴマ油、プリムローズ油、なたね油、パーム油、シアバター、またはこれらの混合物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記シリコーンコポリマーが、下記平均式の構造単位:
(E)SiO(3−m)/2
(式中、
は、一価の炭化水素基であり、
Eは、少なくとも1個のSi−C結合によって前記構造単位中のケイ素に結合した脂肪酸エステル基であり、前記Si−C結合の炭素原子は前記植物油の脂肪族不飽和結合中に最初に存在していた炭素原子の1つであり、
mは0から2までの範囲にある)
を少なくとも1個有するオルガノポリシロキサンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記シリコーンコポリマーが、下記平均式の構造単位:
SiO(3−m)/2(E’)SiO(3−m)/2
(式中、
は、一価の炭化水素基であり、
E’は、少なくとも1個のSi−C結合によって前記構造単位中のケイ素に結合した脂肪酸エステル基であり、前記Si−C結合の炭素原子は前記植物油の脂肪族不飽和結合中に最初に存在していた炭素原子の1つであり、
mは0から2までの範囲にある)
を少なくとも1個有するオルガノポリシロキサンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記シリコーンコポリマーが、下記平均式の構造単位:
(E)SiO−[RSiO]−SiR
(式中、
Eは、少なくとも1個のSi−C結合によって前記構造単位中のケイ素に結合した脂肪酸エステル基であり、前記Si−C結合の炭素原子は前記植物油の脂肪族不飽和結合中に最初に存在していた炭素原子の1つであり、
は、一価の炭化水素基であり、
は、水素またはEである)
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記オルガノポリシロキサンが、オルガノ水素シロキサンである、請求項7または8に記載の組成物。
【請求項11】
前記オルガノ水素シロキサンが、オルガノ水素シクロシロキサンである、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
A)少なくとも2個のSiH単位を有するオルガノ水素ポリシロキサン、
B)少なくとも1個の脂肪族不飽和結合を有する植物油、および
C)ヒドロシリル化触媒
を、E)場合により、溶媒
の存在下で反応させる工程を含む、請求項1に記載の組成物を製造する方法。
【請求項13】
前記植物油中の脂肪族不飽和結合のモル比が、前記オルガノ水素ポリシロキサン中のSiH単位に対して1以上である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記反応を、末端脂肪族不飽和基を有する有機化合物またはポリマーの非存在下で実施する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記オルガノ水素ポリシロキサンが、一般式:
HRSiO−[RSiO]−SiR
(式中、Rは、一価の炭化水素基であり、xは1以上である)
の線状オルガノ水素ポリシロキサンを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記オルガノ水素ポリシロキサンが、少なくとも2個のSiH単位をシロキサン環上に有するオルガノ水素シクロシロキサンである、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記オルガノ水素ポリシロキサンが、平均式:[(CH)HSiO](式中、gは3〜8である)を有する、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記反応において、
D)分子内に末端脂肪族不飽和基を少なくとも2個有する架橋性化合物
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
I)A)平均式:[(CH)HSiO](式中、gは3〜8である)を有するオルガノ水素ポリシロキサン、
B)少なくとも1個の脂肪族不飽和結合を有する植物油、および
C)ヒドロシリル化触媒
を反応させる工程であって、反応生成物が未反応のSiH単位を有する工程と、
II)工程I)の生成物を、
D)分子内に末端脂肪族不飽和基を少なくとも2個有する架橋性化合物
と、E)場合により、溶媒
の存在下でさらに反応させる工程と
を含む、請求項1に記載の組成物を製造する方法。
【請求項20】
前記生成物を、
F)アルファオレフィン化合物
とさらに反応させる工程をさらに含む、請求項12〜19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
請求項12〜20のいずれか一項に記載の方法によって製造された組成物。
【請求項22】
I)請求項1または21に記載の組成物を剪断する工程と、
II)D)の溶媒の追加量を混合する工程と
を含む、ゲル組成物の製造方法
【請求項23】
請求項22に記載の方法によって製造されたゲル組成物。
【請求項24】
請求項1、21、または22に記載の組成物を含むパーソナルケア製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−529233(P2010−529233A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510503(P2010−510503)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【国際出願番号】PCT/US2008/065202
【国際公開番号】WO2008/150947
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【出願人】(509328320)ダウ・コーニング・ドー・ブラジル・リミターダ (1)
【Fターム(参考)】