説明

天然ヒバの伐根処理方法

【課題】天然ヒバ立木の伐採跡地に放置されている天然ヒバの伐根から天然ヒバ油を抽出処理して、枯渇の懸念されている天然ヒバ油の供給発散を継続させる。
【解決手段】本発明の天然ヒバの伐根処理方法は、天然ヒバ立木の伐採跡地から天然ヒバの伐根を収集して細かい砕片に粉砕し、粉砕片群から天然ヒバ油を抽出処理して、発泡材の封入された細孔容器と別体もしくは取り外し可能に取り付けた貯蔵装置に保管して置き、適量の天然ヒバ油の含浸された細孔容器を天然ヒバ油の浸透させたい部位に設置して天然ヒバ油を発散させると共に、天然ヒバ油の発散された後には貯蔵装置から必要な天然ヒバ油を発泡材に含浸させて、天然ヒバ油の継続的な供給発散を図っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本来的に廃棄処分される天然ヒバ材の伐根を有効に処理する天然ヒバ材の伐根を有益に活用する処分の仕方であって、従来は無為に廃棄されていた伐根内の濃密なヒバ油も無駄にしない天然ヒバの伐根処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高級建築資材として戸建住宅等を構築するために天然ヒバ材を木材として伐採し、加工工場において所定の形状に加工処理することが普通に行われており、図5に示すように、この際に大鋸等で建築材に加工する際に発生するヒバ材の粒、粉末19を水に溶けない撥水製の袋16に詰めて浴槽内の湯中に入れるか、日常生活においても大鋸屑がこぼれない程度に開放した複数の通気孔18を有する通気性の袋詰めにして封入17しながら部屋の適当な位置や寝具の枕等に挿入して、粒、粉末19の成分中のヒノキオール、β―ドラプリン等のトロポロン系成分によって、身体の健康や犬猫等の臭気除去等の多目的機能に有効に作用するように利用することが普及されてきた。(例えば特許文献1を参照)
【0003】
そして、従来の天然ヒバを利用する手法は、天然ヒバ材を住宅等の建築資材として加工することを主たる目的にするものであり、その際の切削加工時に大鋸等によって切削されながら発生する鋸屑を集めて非溶性の紙袋や鋸屑の大きさよりも小径の細孔を数多く備えた多孔質袋の中に封入しているものであった。又、その使用方法においても、これらの紙袋や多孔質袋を浴槽内の湯中に入れて鋸屑のヒバ油を湯中に浸透させて置き、浴槽に入浴して来る人体に優しく接触させたり、寝具として適所に使用することによって睡眠中の身体をヒバ油の雰囲気中に置くことで人体に無意識な効能を与えたりするものであり、この他にも家畜の踏みわらの中や犬猫等のペットを飼育している容器中に配置することで鋸屑からのヒバ油によって臭気を一掃しようとするものであった。
【0004】
従って、従来からの通常の手法によって入手可能な天然ヒバ材の鋸屑及びそこから得られる天然ヒバ油は、極めて微量であると共に、その存続確保においても、昨今のように残存している天然ヒバ材の減少傾向から推定される天然ヒバ油の確保状況は、益々困窮を極めることが明々白々なものである。
【0005】
ましてや、切削加工時の鋸屑を非溶性の紙袋や小径の細孔から成る多孔質袋の中に封入して自然発散させる天然ヒバ油の利用方法にあっては、紙袋や多孔質袋の利用頻度が極めて少ないことからも、天然ヒバ油の有効活用は大きな問題点を含んでいる。
【特許文献1】実開平8−744号公報(段落0003〜0008、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した天然ヒバ油の有効活用が孕んでいる大きな問題点を解決しようとするものであり、従来は無為に放置していた天然ヒバの伐根を有効に活用することによって、残存している天然ヒバ材の減少傾向への対策と併せて天然ヒバ油を含浸させている紙袋や多孔質袋の利用頻度が極めて少ないことへの対策をも多くの経費を要することなく無難に解決できる天然ヒバ油の有効活用方法を提供する天然ヒバの伐根処理を基本的な目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による第1の天然ヒバの伐根処理方法は、天然ヒバ立木の伐採跡地から廃棄されるために放置されている天然ヒバの伐根を収集するものであり、収集した天然ヒバの伐根を細かい砕片に粉砕すると共に、生成された粉砕片群から水蒸気蒸留装置等を用いて天然ヒバ油を抽出処理し貯蔵装置に保管して所定の場所に置いている。次いで、天然ヒバ油を発散させたい場合には、細孔容器に封入された発泡材に貯蔵装置中の天然ヒバ油を適量だけ注入するものであり、しかる後に、適量の天然ヒバ油を含浸された細孔容器は、天然ヒバ油を浸透させたい部位に適当な個数だけ設置するものである。
【0008】
本発明による第2の天然ヒバの伐根処理方法は、上記第1の天然ヒバの伐根処理方法において、天然ヒバ油を保管している貯蔵装置は、天然ヒバ油を含浸させる発泡材が封入されている細孔容器の適当な位置に取り外し可能な状態で添付されているものであり、細孔容器の発泡材が天然ヒバ油を発散させてしまった後には、添付されている貯蔵装置から必要とする天然ヒバ油を発泡材に含浸させることで、必要な天然ヒバ油の供給発散を迅速に継続させることが出来るようになっている。
【発明の効果】
【0009】
本発明による第1の天然ヒバの伐根処理方法は、天然ヒバ立木の伐採跡地にあって無為なままに放置されて枯渇されるのを待っていた天然ヒバの伐根を収集し、天然ヒバ材よりも濃密な天然ヒバ油が浸透されている伐根を、天然ヒバ油を入手する目的のために加工工場において細かい砕片に粉砕して、生成された粉砕片群から水蒸気蒸留装置等を用いて密度の濃い天然ヒバ油を積極効果的に獲得するものであり、従来からの問題点を解決して天然ヒバ油を潤沢に提供できる効果を奏している。
【0010】
又、本発明による第2の天然ヒバの伐根処理方法は、上述したような手法によって入手できる天然ヒバ油を特別に用意した貯蔵装置に保管して必要なときに必要な量だけ天然ヒバ油を含浸させる発泡材の封入されている細孔容器に供給することを目的にしているものであり、天然ヒバ油を発散させた後の細孔容器の発泡材には、添付されている貯蔵装置から必要とする天然ヒバ油を補給させて、必要な天然ヒバ油の供給発散を迅速にして無駄無く継続出来る効果を奏している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
第1の発明による天然ヒバの伐根処理方法は、天然ヒバ立木の伐採跡地から天然ヒバの伐根を収集して、この天然ヒバの伐根を粉砕すると共に生成された粉砕片群から天然ヒバ油を抽出処理して貯蔵装置に保管して置くものであり、一方では、撥水性及び通気性を備えた細孔容器に封入された多孔性の発泡材を用意して置き、使用時には、この発泡材に貯蔵装置中の天然ヒバ油を適量だけ注入して、しかる後に適量の天然ヒバ油を含浸されたこの細孔容器を天然ヒバ油を浸透させたい浴槽の湯中、香気を必要とする居室やペット等の臭気を除去したい部位に設置するものである。
【0012】
以下に、本発明による天然ヒバの伐根処理方法の実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、天然ヒバ立木の伐採跡地を示す天然ヒバ林の概要を示している。図において天然ヒバ立木は、建築資材用等に切り出されており、天然ヒバの伐根1は、天然ヒバの伐採跡地2に埋め残されたままの状態で腐敗等の自然崩壊を待つのみであって、その再利用については全く何らの検討もなされていないのが実情であった。
【0014】
図2は、伐採跡地2に埋設されている伐根1を積極的に掘り出した場合の一般的な伐根の形状を示しているものであって、伐根1は、基本的に天然ヒバ立木の建築資材として利用することも出来る材木部分3と、山林の地中に生え伸びて本質的には廃棄されるのが普通であったところの根4とから構成されている。
【0015】
然るに、本発明の場合には、可能な限り取り出すことの出来る根4を残したままの状態の伐根1を、天然ヒバ立木の伐採跡地2から掘り起こしている。従って、天然ヒバ立木の伐根は、従来と異なって何ら廃棄されること無く天然ヒバ林から取り出されることになり、建築資材等の木材として利用される立木の部分と自然の腐敗を待って廃棄されていた伐根とが、何ら捨てることなく有意義に活用されることになる。
【0016】
即ち、発明者が検討したところによると、天然ヒバ立木における天然ヒバ油の蓄財保有される部分は、従来の認識と異なって、木材として利用される立木の部分において多く蓄積されているものではなく、立木よりも根の部分に多く蓄積されていることが解明されたものであるから、これまで自然淘汰されていた伐根の部分を採油の目的を持って粉砕加工しながら天然ヒバ油を抽出することで、天然ヒバ立木全体からの天然ヒバ油の採油量が最大になるからである。益してや、従来は見向きもされていなかった伐根の部分を放置することなく、天然ヒバ油が発散される前の段階において、天然ヒバ立木の伐採跡地2から伐根1を掘り起こして天然ヒバ油を抽出することは、天然資源を有効利用する点においても大いに奨励されるべきである。
【0017】
伐根1からの天然ヒバ油の採集は、基本的には天然ヒバの材木を機械加工する際に発生する大鋸屑のように、伐根1を粉砕加工して形成した粉砕片を全て収集した後に、これを従来と同様に水蒸気蒸留装置等の天然ヒバ油の抽出装置によって簡易に行うものであり、採油された天然ヒバ油を図3に示すような任意の貯蔵装置5に保管している。
【0018】
天然ヒバの伐根が含有している天然ヒバ油の成分は、伐根4.17kgからの抽出物において、ヘキサンが85.87g、クロロホルムが73.13g及びメタノールが100.39gであることから、単位量での各成分は、ヘキサンで20.6g/kg、クロロホルムでは17.5g/kgであり、メタノールにおいては24.1g/kgであった。これらの各成分は、天然ヒバ材の大鋸屑における成分量と比較しても遜色の無いものであって資源の欠乏している時期において、決して無為に滅亡させてしまうものでないことは明らかである。
【0019】
これによって、従来のように大鋸屑のような加工粉砕片から自然放散してしまうことが無いように、伐根からの豊満にして濃密な天然ヒバ油を厳密に貯蔵するものであるから、天然資源としてその欠乏が危惧される天然ヒバ油の自然放散を心配することなく、長期に亘って必要に応じて使用可能なように有効管理している。
【0020】
図3に示す貯蔵装置5の例では、天然ヒバ油6をガラスや金属製の貯蔵部7に保管しており、貯蔵部7には天然ヒバ油6を挿入もしくは抽出するための先細りな入口部8が必要に応じて設けられている。入口部8は、その先端をキャップ9で封鎖されており、天然ヒバ油6の貯蔵部7からの天然発散や漏洩が行われないように厳重に管理されている。
【0021】
本実施例の場合には、貯蔵部7が保持布10で覆われていて、貯蔵部7に外部から破壊等の傷が付けられないように保持布10で保護されており、保持布10には後述する細孔容器に付属させるためにチャック等の取付装置11が取り付けられているが、細孔容器を使用していない場合には取付装置11を用いることで細孔容器に貯蔵装置5を付属させて一緒に保管可能なようにすると共に、所定の部位に配置する場合には、この取付装置11を操作して細孔容器から貯蔵装置5を取り外して貯蔵装置5のみを厳重に管理できるようにしているものである。
【0022】
次に、伐根から採取した天然ヒバ油の使用方法について記述する。図4は、天然ヒバ油を含浸させて所定の発散もしくは浸透させるための細孔容器12の概要図である。
【0023】
細孔容器12は、スポンジ等の多孔性であって天然ヒバ油の適量を浸透させている発泡体13を中心にして構成されるものであり、発泡体13は、全体的に複数の細孔14を備えているので、天然ヒバ油が発泡体の全域に亘って均等に浸透しながら内部に保持できるように構成されている。又、この発泡体13は、複数の多孔15を備えたメッシュ袋もしくは容易には水に溶けない紙製の袋等の内部に封入されていることから、発泡体13及びその内部に含浸されている天然ヒバ油は浴槽の湯中や屋内の所定の部位に容易に保持されるものである。
【0024】
図4では特に示していないが、発泡体13には、必要に応じて前述した天然ヒバ油を保管して置くための貯蔵装置5が容易に取り付けられるように、貯蔵部7の保持布10に取り付けられている取付装置11に対応する取付装置を備えているものであり、細孔容器12の保管時には貯蔵装置5を発泡体13と一体にして置くことも可能なように構成することも随意である。
【0025】
ところで、伐根1から抽出採取された天然ヒバ油は、細孔容器12に含浸させて温泉や浴槽の湯中に入れた場合には、上記のヘキサン、クロロホルム及びメタノールの他にも天然ヒバ抗菌から抽出されるヒノキチオール等が入浴者の人体に機能して、その血行を促進することによって健康の維持に効くと共に、水虫、アレルギー疾患、アトピー性皮膚炎にも効能があり、湯から放散されるヒノキチオール等は病原性大腸菌O157等にも効果を発揮するところから集団食中毒の予防にもてき面の効能を発揮している。
【0026】
又、天然ヒバ油を含浸させた細孔容器12を室内の適当な部位に配置すると、放散される天然ヒバ油の効能によって、室内では害虫の駆除に効果的であり、玄関、応接間、寝室、台所、戸棚及び下足箱等にあっては、間接的ながら上記の効能が人体に好ましい効果になって現れると共に、犬猫等のペット等に対しても無害であってその悪臭をも撤去できるものである。
【0027】
さらに、本伐根からの抽出天然ヒバ油は、ヘキサン、クロロホルム、メタノールから抽出されるヒノキチオールの他にも、B−ドラグリン、R−ソヤプリシン等の極めて高い抗菌力を発揮するので湯中の浸透や空間における発散において、人体の諸疾患や食中毒の防止及びシロアリ、南京虫、ゴキブリ、ノミ、ダニ等の諸害虫の駆除においてペット等にも高い効果を発揮できるものである。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、その資源の欠乏が危惧されている天然ヒバ立木及び天然ヒバ油に対して、従来は自然放置によって腐食による放逐のみを待っていた天然ヒバ立木の伐採跡地に放置されている伐根を積極的に発掘収集することで、天然ヒバ材の無為な放置を回避させて天然ヒバの伐根と天然ヒバ油の存続を図りながら天然資源の有効活用を具体的に提言するものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】天然ヒバ立木の伐採跡地における伐根の放置図である。
【図2】伐根の概要斜視図である。
【図3】天然ヒバ油の貯蔵装置図である。
【図4】細孔容器の斜視図である。
【図5】従来の天然ヒバ大鋸屑の封入袋図である。
【符号の説明】
【0030】
1 天然ヒバの伐根
2 天然ヒバの伐採跡地
3 材木部分
4 根、
5 貯蔵装置
6 天然ヒバ油
7 貯蔵部
8 入口部
9 キャップ
10 保持布
11 取付装置
12 細孔容器
13 発泡体
14 細孔
15 多孔
16 撥水性の袋
17 封入
18 通気孔
19 粒、粉末、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然ヒバ立木の伐採跡地から天然ヒバの伐根を収集し、該天然ヒバの伐根を粉砕すると共に生成された粉砕片群から天然ヒバ油を抽出処理して貯蔵装置に保管して置き、細孔容器に封入された発泡材に該貯蔵装置中の天然ヒバ油を適量だけ注入し、しかる後に適量の天然ヒバ油を含浸された該細孔容器を天然ヒバ油を浸透させたい部位に設置することを特徴とする天然ヒバの伐根処理方法。
【請求項2】
貯蔵装置が、天然ヒバ油を含浸させる発泡材の封入された細孔容器に取り外し可能な状態で添付されることを特徴とする請求項1に記載の天然ヒバの伐根処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−306772(P2006−306772A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−130753(P2005−130753)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(504134900)
【Fターム(参考)】