説明

天然栄養食品、医薬素材用トロロアオイ種子(仁)製品

天然栄養食品、医薬素材用トロロアオイ種子(仁)製品であって、トロロアオイ種子中の雑物を取り除いてから、トロロアオイ種子の殻を割れさせて、トロロアオイ種子の粒状粉を取り出し脱脂してから調製される。食用製品や生物医薬品の原料として利用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物資源開発分野に属し、食用品や生物医薬産業原料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トロロアオイ Abelmoschus manihot(Linn.)Medicusはアオイ科トロロアオイ属の草本植物である。1994年1月1日に施行される中国国家標準GB/Tl4467−93におけるコードが6000010003であり、公開番号のCN101002536A文献に記載されたハイビスカス(Hibiscus manihotL)はトロロアオイ種から選択した好ましい種群である。当該植物の開発に関する様々な特許文献及び公開論文で無毒だと認めている。本発明者は当該植物を食用した人群に対する調査を行って、何千人も全株の若芽と全株を粉にして食用したことが分かった。トロロアオイ同属植物のオクラ[Esculentus(Linn.)Moench]は上記中国国家標準コードが6000010002であり、種子(仁)素材の開発において応用方案がなかった。実用例を言及した文献もあり、例えば、国連食糧農業機関の『熱帯植物』には「……菜園野菜として植えて、その緑長い莢果を収穫し、未熟した莢果には粘性物質が含まれている。成熟した莢果の種子が単胃動物が必要なタンパク質を補足することができるので、鶏の飼料として使われる場合もある。資料によると種子にはゴシポールを含有する」と書かれている。本発明者以外に、トロロアオイ種子(仁)を主題とする文献を提出した人はまだいない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、食品原料や生物医薬原料用の高タンパク質素材と種子(仁)脂肪を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
高タンパク質素材でのタンパク質含有量は32.5%であり、そのタンパク質の品質が大豆タンパク質と類似するが、大豆タンパク中には人体に対する有害な酵素、例えば、有害なサポニンなどが含有されていない。種子(仁)脂肪は天然ビタミンE、オレイン酸、リノール酸を多く含有しており、アメリカ航空宇宙局が推薦するヒポファエラムノイデス油よりも品質が優れている。
【0005】
本発明では、トロロアオイ種子中の雑物を取り除いてから、トロロアオイ種子の殻を割れさせて、トロロアオイ種子の粒状粉を取り出し脱脂してから調製する。
【0006】
具体的には、トロロアオイ種子中の雑物を取り除いてから、トロロアオイ種子殻を割れさせて、トロロアオイ種子の粒状粉を取り出し脱脂してから調製することを特徴とするトロロアオイ種子(仁)を加工して得たトロロアオイ種子(仁)製品である。
【0007】
トロロアオイ種子中の雑物を取り除いて、種子殻を割れて取り除いて、種子の粒状粉を取り出してから機械的に脱脂する。脱脂されたトロロアオイ種子(仁)をオイル含有浄品、即ち、トロロアオイ種子(仁)オイル含有浄品製品と呼び、トロロアオイ種子粒状粉を脱脂し得た油質の不純物を取り除いてできた製品をトロロアオイ種子(仁)脂製品と呼ぶ。
【0008】
種子殻を取り除いたトロロアオイ種子粒状粉や機械的に脱脂したトロロアオイ種子(仁)オイル含有浄品製品に対して抽出脱脂を行って、脱脂されたトロロアオイ種子(仁)を浄品、即ち、トロロアオイ種子(仁)浄品製品と呼び、脱脂して得た脂肪中の不純物を取り除いてできた製品をトロロアオイ種子(仁)脂製品と呼ぶ。
機械的に脱脂したトロロアオイ種子(仁)オイル含有浄品製品に対しては水分含有量を測定し、180℃以下で水分を乾燥させて、水分含有量を16%以下にする。
【0009】
抽出脱脂したトロロアオイ種子(仁)浄品製品に対しては抽出媒体の含有量を測定し、120℃以下まで加熱し抽出媒体を取り除くと共に水分を蒸発させ、水分含有量を16%以下にする。抽出物の含有量は50mg/kgの国家標準範囲以内にする。
【0010】
トロロアオイ種子(仁)を脱脂して得た種子(仁)脂に対する処理としては、圧搾脱脂や抽出脱脂生産中に粗製油を取出し、不純物を取り除いてから静止放置して沈殿させ、沈殿物から油脂を分離した後、通常の方法にように処理する。
本発明の製品は食用品原料や生物医薬原料として応用される。
上記に記載したトロロアオイとしては、従来技術でのトロロアオイ種群のハイビスカス(Hibiscus manihotL)が好ましい。具体的な手順は下記の通りである。
【0011】
一、トロロアオイ種子を選別し、粉塵、泥砂、小さい植物屑などを取り除く。選別方法については、穀物選別用風選機、選別設備を用いて、小麦、大麦などの穀物選別操作で行う。選別後のトロロアオイ種子を浄種と呼ぶ。
【0012】
二、選別済みトロロアオイ浄種の殻を割れる。トロロアオイ種子殻の重さ、厚さと硬さがすべての穀物より高くて、綿実殻と相当するが、綿実殻と種子(仁)の間に剥き易い種子(仁)膜があるので、穀物中での蕎麦のように剥き易いものの、トロロアオイ種子殻が種子(仁)との接合が緊密で、脱殻設備で剥きにくいので、関係した殻割れ処理をしなければならない。殻割れ処理方法は三つがあり、一番目は穀物用のロール圧延設備で圧延し殻を割れる。二番目は破砕、粉砕設備で衝突し殻を割れる。三番目は膨張設備を用いて膨張法で殻を割れる。殻を割ったトロロアオイ種子を予料と呼ぶ。
【0013】
三、殻を割ったトロロアオイ種子、すなわち予料の殻を取り除く。トロロアオイ種子殻は綿実殻より硬くて、小麦、小米殻のように簡単に食用のためのものを作るのは難しくて、よく整備しない場合、製品の応用に影響を与えることになり、さらには、直接に脱脂工程にも影響を与えることになり、そのため、対応した措置を取ってトロロアオイ種子殻を取り除く必要がある。殻の取除き方法としては三種類がある。その1つは、通常穀物用選別方法にて篩で分離する。2番目は、麦麸を除去し、精粉を作る方法で吹き分ける。3番目は、膨張処理した種子に対して松果の松仁を加工する方法で殻剥き作業を行う。殻を除去したトロロアオイ種子(仁)の粒状粉素材を浄料と呼ぶ。
【0014】
四、殻除去済みのトロロアオイ種子(仁)の粒状粉素材(即ち、浄料)に対して脱脂処理を行う。浄料には15%以上の脂肪が含まれているため、脱脂しないと酸化しやすく、製品の保管と運輸に影響を与え、味とタンパク質含有量のコントロールにも影響を与えるため、浄料を得ると早速に脱脂する必要がある。非自動的に連続生産の生産工芸設計に対して、脱脂は通常に浄料を得る後21日間以内に行われる。脱脂方法には下記の二種類がある。一、綿実オイル用設備を使って機械圧搾法や螺旋押出法で直接に脱脂し、脱脂したトロロアオイ種子粒状粉がオイル含有浄品(即ち、トロロアオイのオイル含有浄品製品)と呼び、脱脂された脂肪をトロロアオイ種子(仁)脂製品と呼ぶ。二、浄料や圧搾脱脂されたオイル含有浄品に対して大豆オイル抽出法で脱脂を抽出し、脱脂したトロロアオイ種子粒状粉をトロロアオイ種子(仁)浄品製品と呼び、脱脂された脂肪をトロロアオイ種子(仁)脂製品と呼ぶ。
【0015】
五、本発明で製品を生産するには上記の三つの工程からそれぞれオイル浄品、浄品、種子(仁)脂という三つのものを獲得する。当該三つのものを適切に処理しなければ品質のコントロールと維持が困難になり、保管運輸と応用においても標準に適合できなくなる。従って、それらのものに対し、本発明の製品になるように相応の処理を行わなければならない。処理方法としては三つがある。一、オイル浄品種子粉の水分含有量を測定し、180℃以下で水分を乾燥させて、水分含有量を16%以下にする。二、浄品での抽出媒体含有量を測定し、120℃以下まで加熱し抽出媒体を取り除くと共に水分を蒸発させ、水分含有量を16%以下にする。抽出媒体の含有量を50mg/kg以下にする。三、種子(仁)脂を処理する。圧搾脱脂や抽出脱脂生産中における粗製油に対し、不純物を取り除き、静止放置して沈殿させ、沈殿物から油脂を分離した後、通常の方法により処理する。
【0016】
六、上記の5種工芸で処理したトロロアオイ種子粉製品を本発明製品と呼ぶ。具体的には、上記のオイル浄品をトロロアオイのオイル含有浄品製品と、浄品をトロロアオイ種子(仁)浄品製品と、種子(仁)脂をトロロアオイ種子(仁)脂製品と呼ぶ。三つの製品はそれぞれ充填剤や食品原料や医薬用素材として応用される。
上記に記載したトロロアオイは従来技術でのトロロアオイ種群のハイビスカス(Hibiscus manihotL)が好ましい。
【発明の効果】
【0017】
既存輸出した生物資源の開発情報に対して分析したところ、本発明の製品は植物タンパク質における品質が最高であり、天然不けん化物に含まれた天然ビタミンEの品種、活性及び含有量とも最高である。製品コストも類似製品の3%にしかない。
本発明の製品に含まれた定量化指標と使用効果はすべての伝統食品資源により開発された製品より優れて、例としては下記の通りである。
トロロアオイ種子(仁)浄品のアミノ酸についての分析:
コードBookman121MB、サンプル量:80.43mg、希釈体積:25ml。

FAOアミノ酸モードを標準とし、上記の種子(仁)製品に必要となるアミノ酸を評価する。

上記の評価に示すように、トロロアオイ種子(仁)浄品のアミノ酸に関する評価も高い。
トロロアオイ種子(仁)製品とヒポファエラムノイデス油での不飽和脂肪酸、VEの比較:

トロロアオイ種子(仁)製品に含まれるオレイン酸、リノール酸、VE指標もヒポファエラムノイデス油より高い。
トロロアオイ種子(仁)脂製品に含まれる有害元素の測定:
Cu O.08mg/ml Pb O.03mg/ml As O.009mg/ml Hg O.003mg/ml
多く国家の食用植物油標準より遥かに低い。
トロロアオイ種子(仁)でのゴシポール含有量は0.002%以下であり、多くの国の国家標準の0.02%よりも遥かに低い。
本発明の製品は農業製品の加工品として食用製品や生物医薬原料に応用される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施例1:トロロアオイ種のハイビスカス種子503kgを取り、振動篩を使って大、小軽い雑物を除去し、吹き式原料洗浄機で粉塵、泥砂などの雑物を除去し、種子500 kgを得る。種子を切板式松実の殻剥き機に入れて殻を剥いて予料を取ってから、振動篩で種子殻を完全に除去し、浄料400 kgを得る。その後、浄料を圧搾式搾油器に入れて圧搾脱脂し、オイル含有浄品(即ち、トロロアオイ種子(仁)オイル含有浄品製品)360kg、種子(仁)脂40kgを得る。種子(仁)脂40kgを脱水して不純物を取り除いてトロロアオイ種子脂製品38kgを得る。
【0019】
実施例2: トロロアオイ種のハイビスカス種子1007kgを取り、振動篩を使って大、小軽い雑物を除去し、吹き式原料洗浄機で粉塵、泥砂などの雑物を除去し、種子1000kgを得る。種子をロール式殻剥き機(振動篩と風選システムを含む)に入れて殻を剥いて直接に材料800 kgを取ってから、螺旋式連続搾油器で連続に圧搾脱脂してオイル浄品720kgと雑物含有種子(仁)脂80kgを得る。雑物含有種子(仁)脂80kgを静止沈殿分離させ、トロロアオイ種子(仁)脂製品76kgを得る。オイル浄品に対しては市販の2号抽出剤を使用して、大豆豆粕のオイル抽出方法によりトロロアオイ種子(仁)脂製品43kgを分離させ、処理用の種子(仁)浄品657kgを得てから80℃で溶出し、すなわち抽出剤を脱去し、脱水用種子(仁)浄品661kgを得て、100℃以下で脱水させてトロロアオイ種子(仁)浄品製品657kgを得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トロロアオイ種子(仁)を加工して得た天然全価タンパク質であって、トロロアオイ種子中に対し雑物取り除き処理を行い、雑物取り除き処理を行った後のトロロアオイ種子に対し殻を割れさせる処理を行い、その後、殻を割れさせたトロロアオイ種子に対し殻取り除き処理を行い、トロロアオイ種子粒状粉を分離し、トロロアオイ種子粒状粉に対し脱脂処理を行って調製することを特徴とするトロロアオイ種子(仁)を加工して得た天然全価タンパク質。
【請求項2】
トロロアオイ種子に対し、雑物取り除き、殻割れにより種子の殻を取り除き、種子の粒状粉を分離させ、トロロアオイ種子(仁)に対して機械式オイル制作かつ脱脂を行い、トロロアオイ種子(仁)オイル含有浄品製品を得て、トロロアオイ種子粒状粉を脱脂し得た油質に対し、不純物取り除き処理してトロロアオイ種子(仁)脂製品を得ることを特徴とする請求項1に記載の製品。
【請求項3】
種子殻を取り除いたトロロアオイ種子(仁)粒状粉、或いは、機械脱脂したトロロアオイ種子(仁)オイル含有浄品製品に対して抽出脱脂処理を行ってトロロアオイ種子(仁)浄品製品を得て、脱脂して得た脂肪中の不純物を取り除いてトロロアオイ種子(仁)脂製品を得ることを特徴とする請求項1に記載の製品。
【請求項4】
機械式により脱脂したトロロアオイ種子(仁)オイル含有浄品製品に対し、水分含有量を測定し、180℃以下で水分を乾燥させて、水分含有量を16%以下にすることを特徴とする請求項1に記載の製品。
【請求項5】
抽出法にて脱脂したトロロアオイ種子(仁)浄品製品に対し、抽出媒体の含有量を測定し、120℃以下で加熱する方法で抽出媒体を取り除くと共に水分を蒸発させ、水分含有量を16%以下にし、抽出媒体の含有量を50mg/kgの国家標準範囲以内にすることを特徴とする請求項1に記載の製品。
【請求項6】
トロロアオイ種子(仁)を脱脂して得た種子(仁)脂に対する処置として、圧搾脱脂や抽出脱脂生産中に粗製油を取出し、不純物を取り除いてから静止放置沈殿し、沈殿物から油脂を分離する後、通常方法により処理することを特徴とする請求項1に記載の製品。
【請求項7】
食用品原料や生物医薬原料として応用されることを特徴とする請求項1に記載の製品。

【公表番号】特表2011−500065(P2011−500065A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530246(P2010−530246)
【出願日】平成19年10月22日(2007.10.22)
【国際出願番号】PCT/CN2007/070934
【国際公開番号】WO2009/052681
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(510176536)北京東昇農業技術開発(集団)有限公司 (3)
【Fターム(参考)】