説明

天然油ヒドロキシル化物の製造方法

天然油ヒドロキシル化物を調製するための方法であって、上記方法は、200ダルトン未満の分子量を有するヒドロキシル基含有アミノ化合物を、植物油由来ポリオールと反応させることを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年4月18日に出願された米国仮出願第60/925,034号と、2008年4月14日に出願された米国出願第12/082,808号との優先権を主張する。
【0002】
本発明は、天然油ヒドロキシル化物を調製するための方法に関し、上記方法は、175ダルトン未満の分子量を有するヒドロキシル基含有アミノ化合物を、植物油由来ポリオールと反応させることを含む。本出願は、2007年4月18日に出願された米国仮出願第60/925,034号からの優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
天然油由来ポリオールは、ポリウレタン材料を製造するために、ポリウレタン産業において用いるための石油系ポリオールの代替案として考慮されている。ポリウレタン材料を製造するために、プロトンが活性化される基、例えば、ヒドロキシル基が、ウレタン結合を生じさせるイソシアネート基との反応のために必要である。ひまし油を除いて、ほとんど全ての有用な植物油は、飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸のトリアシルグリセロール構造体の中に、残念ながらヒドロキシル基を含まない。しかし、ひまし油の供給は、制限された地理的地域におけるそれらの成長のために制限されている。
【0004】
ポリウレタン産業において用いるために、植物油のトリアシルグリセロールにヒドロキシル基を化学的に導入する必要性がある。
【0005】
ポリウレタンは、これらの材料を人類の日常生活に非常に有用にする広範囲の特性を有するポリマー材料の類である。例えば、ポリウレタンは、家具、衣類、自動車、カーペット、並びにフォーム、エラストマー、コーティング、接着剤、シーリング剤、及び複合材料の状態の複数の用途において用いられている。
【0006】
2004年8月23日に出願された、Casperらの米国特許出願第10/924332号明細書では、植物油からポリオールを製造するための簡素な、実用的な方法が特許請求の範囲に記載されている。上記工程は、酢酸及び過酸化水素を用いた「1ポット」方法であり、トリアシルグリセロール構造の不飽和脂肪酸の二重結合を酸化し、それによりエポキシ基を生成し、次いで高温で酢酸を用いてin situでこれらのエポキシ基を開環する。酢酸を用いたエポキシ基の開環により、C18〜C22脂肪酸炭素鎖のC9、C12又はC15位のところに、同時に、ヒドロキシル基及び隣接するアセテート基が発生する。というのは、上記ヒドロキシル基は、脂肪酸鎖の中間付近に発生するからであり、上記ヒドロキシル基は、第2級ヒドロキシル基である。
【0007】
この方法において、追加の触媒は必要なかった。同様に、この方法において、無機酸は用いられなかった。この方法から製造された最終ポリオールは、基本単位としてトリアシル−グリセロール構造から構成されるが、どうやらそれらの一部が、お互いに連結する結果、これらのダイマー又はそれ超のオリゴマー化トリアシルグリセロール単位が、ヒドロキシル化されていない初期のトリアシルグリセロールと比較して約2倍高い平均分子量のポリオールを生じさせた。
【0008】
この方法から製造されたポリオールのトリアシルグリセロール単位において、官能基、例えば、ヒドロキシル基、アセテート基及び炭素−炭素二重結合が、最終構造単位に存在する。上記特許出願から製造されたポリオールの物理化学的特徴は、下記の通りである:ヒドロキシル価69〜195mgKOH/g、粘度119〜35000cP(25℃)、ヨウ素価5〜15cgI2/g、分子量1600〜2200ダルトン、水溶性0.004%重量/重量未満、凝固点1〜8°C、酸価1.0mgKOH/g未満、ヒドロキシル官能価2〜7、残余の過酸化物なし、及び無機酸なし。その中の分子量は、標準として狭い分子量分布のポリスチレンを用い、GPCを用いて測定された数平均分子量である。分子量分布の存在は、天然油起源に固有である。この特許出願中の方法から合成されたポリオールは、概して天然油ポリオールであり、そしてそれらは、BioBased Technologies,LLC,Rogers,Arkansasから商標名Agrol(商標)の下で市販されている。
【0009】
Monteavaroら(Monteavaro,L.L.;da Silva,E.O.;Costa,A.P.O.;Samios,D.;Gerbase,A.E.;Petzhold,C.,「Polyurethane Networks from Formiated Soy Polyols:Synthesis and Mechanical Characterization.JAOCS(2005),82:365−371.(2005)」)は、植物油(3/1.5/1)の二重結合上で、蟻酸及び過酸化水素を用いた1ステップ合成を用いた大豆ポリオールを調製した。
【0010】
この方法は、不飽和脂肪酸のエポキシ化の反応ステップが続き、ポリオールを生成させるためのエポキシ基の開環が続く。65℃で反応時間を単に変化させることにより、生成したポリオールは、53〜162の範囲にわたるヒドロキシル価、1.2〜2.2の酸価、及び230〜9844cPの範囲における粘度を有していた。上記ポリオールの分子量は、最大2404ダルトンであると報告された。この公報の記載に基づくと、得られたポリオールの構造は、ヒドロキシル化植物油エステルの範疇にあるが、この方法は、上述の米国特許出願第10/924332号明細書の方法において生成した酢酸エステルと異なる蟻酸エステルを生成する。
【0011】
米国特許出願公開第2007/0123725号明細書には、未変性の不飽和脂肪酸トリグリセリドを、パーオキシカルボン酸を有するポリオールに転換することによる天然油に基づいたポリオールの調製方法が記載され、そこでは、リン酸が触媒として用いられ、追加のアルコキル化ステップが続く。天然油ポリオールを調製するステップ及び記載される天然油ポリオールを改変する追加のステップにおいて、アミン又はヒドロキシアルキルアミンは、天然油ヒドロキシル化物を生成させるために、この特許出願において用いられていない。
【0012】
Fornolら(Fornol,A.R.;Onah,E.;Ghosh,S.;Frazier,C.E.;Sohn,S.;Wilkes,G.L.;及びLong,T.E.,「Synthesis and Characterization on Triglyceride−Based Polyols and Tack−Free Coatings via TheAir Oxidation of Soy Oil.J.Appl.Poly.Sci.(2006),102:690−697」)は、7〜110mgKOH/gの範囲にわたるヒドロキシル価を有するポリオールを製造するために、大豆油に対する乾燥空気酸化を提供した。乾燥空気方法により、不飽和脂肪酸の二重結合に隣接するプロトンの反応性により、ヒドロキシル基が生成する。これにより、さらなるエステルの形成なく製造された天然油ポリオールがもたらされうる。
【0013】
Thomas Kurthらの氏名における米国特許出願公開第2002/0058774号明細書は、選択可能な官能基を有するポリオールを生成するために、多官能価のアルコールを有する植物油ポリオールから、エステル交換方法において、植物油ポリオールを製造する方法が記載される。
【0014】
国際公開第2006/094227号パンフレット及び米国特許出願公開第2007/0173632号明細書には、高いヒドロキシル価を有する天然油由来ポリオールを製造するために、酸化工程において、鉄含有触媒を用いる方法が記載され、そこでは、ヒドロキシル価は、220mgKOH/gであった。
【0015】
Guo及びPetrovicら(Guo,A.;Javni,I;Petrovic,Z.,「Rigid Polyurethane Foams Based on Soybean Oil.J.Appl.Poly.Sci.(2000),77:467−473」)は、エポキシ化大豆油を、メタノールとオキシラン/エポキシド開環反応させることを経由した大豆ポリオールの調製を開示する。メタノールがエポキシ環を攻撃して、ヒドロキシル基が発生し、同時に脂肪酸炭素鎖上に隣接するエーテル結合が生成する。従って、上記ポリオールは、ヒドロキシル化植物油エーテルと分類される。上記ポリオールは、184〜215mgKOH/gの範囲にわたるヒドロキシル価と、周囲における7200〜10400cPの範囲にわたる粘度とを有する。
【0016】
別の方法では、Zlatanicら(Zlatanic,A.;Lava,C.;Zhang,W.;Petrovic,Z.S.,「Effect of Structure on Properties of Polyols and Polyurethanes Based on Different Vegetable Oils,J.Poly.Sci.:Part B:Polymer Physics(2004),42:809−819」)は、油の不飽和脂肪酸のエポキシ化、続いてテトラフルオロほう酸触媒の存在下、沸騰したメタノール内におけるエポキシ基の開環を伴う、いくつかのポリオールを合成した。新規な油が、カノーラ、ヒマワリ、大豆、アマニ、ヒマワリ及びコーン油から誘導された。ヒドロキシル価は、173.6〜247.8であると測定され、そして粘度は、27℃において1850〜18200cPの範囲であった。
【0017】
米国特許第6,107,433号明細書では、Petrovicらが、パーオキシ酸を植物油に添加し、エポキシ化された植物油を生成し、次いで、このエポキシ化された植物油を、植物油系ポリオールを生成させるように、アルコール、水、及び触媒量のホウフッ化水素酸の混合物に添加した。この方法から調製されたポリオールは、110〜213mgKOH/gの範囲にわたるヒドロキシル価と、室温における1000〜7000cPの範囲にわたる粘度とを有していた。上述の方法は、複数ステップの方法である。アルコールとの開環から合成されたポリオールは、ヒドロキシル化植物性エステルと化学組成が異なるヒドロキシル化植物油エーテルである。
【0018】
Guo及びPetrovicら(Guo,A.;Demydov,D.;Zhang,W.;Petrovic,Z.S.,「Polyols and Polyurethanes From Hydroformylation of Soybean Oil,J.Polym.Environment(2002),10(112):49−52」)は、160及び230mgKOH/gのヒドロキシル価を有する2つのポリオールを合成するために、ロジウム−触媒化ヒドロホルミル化を利用した。ヒドロホルミル化により、追加のエステル又はエーテル結合のどちらかの生成なしで、不飽和脂肪酸の炭素−炭素二重結合に隣接するヒドロキシメチル基が生成し、ひいては得られたポリオールの構造は、植物油エステル又はヒドロキシル化植物油エーテルのどちらかと異なる。このヒドロホルミル化方法から調製された植物油由来ポリオールは、米国特許出願公開第2006/0276609号明細書に記載されている。
【0019】
これは、複数ステップの方法である。というのは、メチルエステル生成、ヒドロキシホルミル化、次いでポリオール、ポリアミン又はアミノアルコールと反応するメチルエステルの使用が、別個のステップとして実施されたからである。この方法では、ヒドロキシメチル化脂肪酸メチルエステル(モノマー)と反応させるためにアミンが用いられた。アミン反応物質に関する反応位置は、この特許化工程において、モノマーのメチルエステルである。この方法の主要な欠点の1つは、生成したメタノールを、ポリウレタン用途向けの最終製品から除去する必要があることである。
【0020】
米国特許出願公開第2006/0194974号明細書において、Narayanらは、アルコール及びアルカリ性触媒の反応混合物において、植物油をオゾンと反応させ、トリグリセリドの脂肪酸基内の二重結合を開裂させることによりポリオールを調製した。上記ポリオールは、特許請求の範囲に記載されるように、トリグリセリド単位当たり、0.5〜5.0個のヒドロキシル基を有していた。しかし、粘度データは、報告されなかった。
【0021】
オゾン媒介化方法からの大豆油由来ポリオールの合成が、Tranら(Tran、P.;Graiver,D.;Narayan,R.,「Ozone−Mediated Polyol Synthesis From Soybean Oil.Journal of the American Oil Chemists’Society(2005),82(9),653−719」)により開示されている。
【0022】
Petrovicら(Petrovic,Z.S.;Zhang,W.;Javni,I.,「Structure and Properties of Polyurethanes Prepare From Triglyceride Polyols by Ozonolysis,Biomacromolecules(2005),6:713−719」)は、3種の油からのオゾン分解により、大豆ポリオールを調製した。トリリノレインカノーラ油、大豆油、及びカノーラ油に関するヒドロキシル価は、それぞれ、298、228及び260mgKOH/gであった。3種のポリオールは、室温で固体であった。オゾン分解により、不飽和脂肪酸が開裂し、より短い不飽和脂肪酸が得られ、従って、オゾン分解により調製された植物油由来ポリオールは、植物油内の通常のトリアシルグリセロールよりも低い分子量を有するトリアシルグリセロールを構成する。
【0023】
分子量の相違に加えて、上記オゾン分解から調製されたヒドロキシル基は、脂肪酸炭素鎖の末端のところに配置され、それにより、それらは、第1級ヒドロキシル基であり、一方、例えば、米国特許出願第10/924332号明細書に記載される方法を用いた、エポキシ基の開環から調製されたヒドロキシル基は、脂肪酸炭素鎖のC9若しくはC10、C12若しくはC13、及び/又はC15若しくはC16炭素のところにほぼ必ず配置される。
【0024】
Kurthらは、米国特許出願公開第2003/0191274号明細書及び同第2004/0209971号明細書において、吹込み大豆油(blown soy oil)の官能基が、グリセリンを特定の糖(例えば、サッカロース)を用いてエステル交換した場合に増加することを特許請求の範囲に記載している。これらの2つの特許出願に記載される方法は、アミン及び/又はヒドロキシアルキルアミンを用いない酸化に基づく。
【0025】
Dwan’Isaら(Jena−pierre,L.Dwan’Isa,Lawrence T.Drzal,Amar K.Mohanty,Manjusri Misra,(Michigan State Univ.2004),Polyol Fatty Acid Polyesters Process and Polyurethane Therefrom)は、国際公開第2004/099227号パンフレットにおいて、ポリウレタンの調製のために有用なポリオール脂肪酸ポリエステル組成物を製造するための、溶媒を含まない方法を開示する。
【0026】
これらの組成物は、アルカリ金属塩又は塩基、例えば、水酸化カリウムの存在下で、天然資源、例えば、ソルビトールから誘導した複数官能性のヒドロキシル化合物と、天然油を反応させることにより好ましくは製造される。後者の化合物は、反応混合物をけん化するようにもはたらく触媒としてはたらく。得られうるポリオールのヒドロキシル価は、434mgKOH/g程度であった。この特許出願に記載される方法は、実際は、エステル交換方法である。同様の方法がまた、米国特許出願公開第2002/0058774号明細書に見出される。これらの特許書類において、上記ポリオールの粘度値は記載されていない。
【0027】
Wolffらは、英国特許第1248919号明細書(1968)において、脂肪酸誘導体から誘導されたポリウレタンを記載し、そして英国特許第1248919号明細書において、脂肪酸又は脂肪酸メチルエステルを、ジエタノールアミンと反応させることからポリオールを調製するための方法を記載し、そこでは、ポリオールのヒドロキシル価は、200mgKOH/g未満であった。これらのポリオールの粘度値は、報告されなかった。特許化された方法の特許請求の範囲の1つにおいて記載されるように、上記反応から生成した、少なくとも80%のアルコールが除去された。
【0028】
Badriらは、Production of a High−Functionality RBD Palm Kernel Oil−Based Polyester Polyol,Journal of Applied Polymer Science.,Badri,K.H.;Ahmad,S.H.;Zakaria,S.(2001),81(2),384−389において、触媒としてのオクタン酸カリウム及び乳化剤としてのエチレングリコールを用いて、油を、ソルビトール及びエタノールアミン(70/30比)と反応させることにより、パーム核油由来ポリオールを合成し、精製し、漂白し、そして脱臭気化した。1313cPの粘度(25℃)と、450〜470mgKOH/gの範囲にわたるヒドロキシル価とを有するポリオールが得られた。この方法は、原材料として上記油を直接用いるので、脂肪酸の炭素鎖上に、当初からヒドロキシル基は存在しない。Badriの方法と同様であるが、大豆油を用いる方法が、中国特許出願第1869184号明細書に記載されている。さらに、脂肪酸の炭素鎖上に、当初からヒドロキシル基は存在しなかった。
【0029】
Jenkinesは、国際公開第2005123798号パンフレットにおいて、脂肪酸アミドポリオールを用いたカーペット基材の製造方法を開示している。上記発明者は、上記パンフレットにおいて、脂肪酸アミドポリオールにより、一般的なポリオールを、毎年再生可能な資源から誘導したポリオールに大きく置換することができる一方で、エッジカール、タフトバインド、粘度、及び硬化速度を維持することを実証した。上記発明者は、英国特許第1248919号明細書を、脂肪酸アミドポリオールの合成のためのサポート文献として言及している。彼の記述では、上記脂肪酸アミドポリオールを調製するために用いられる脂肪酸エステルを、上記油又は脂肪、及び低級アルコール、例えば、メタノール又はエタノールの間のエステル交換反応において得ることができる。
【0030】
彼の記述から、得られたアミドポリオールは、初期脂肪酸出発原料に相当する炭化水素テール(ヒドロキシル基なし)と、当初のアルカノールアミン化合物の構造により規定される、お互いに空間的な関係を有するヒドロキシル基とを含むのが典型的である。ヒドロキシル当量は、概して、125〜225、好ましくは約150〜200の範囲にある。国際公開第2005123798号パンフレット内で用いられる脂肪酸アミドポリオールは、Ele&Pelron Corp.,Lyons,Illinoisから、PEL−AMID 676A(ヒドロキシル価,168mgKOH/g)、PEL−AMID 676(ヒドロキシル価,110mgKOH/g)、及びPEL−SOY744(ヒドロキシル価,440mgKOH/g)の商業名の下で市販されている。PEL−AMID 676A及び676は、エトキシ化製品である。PEL−SOY744は、約10%のグリセリンが混合されているので、440の高いヒドロキシル価を有する。
【0031】
中国特許出願第1837180号明細書は、菜種油から生物系ポリオールを製造する方法を開示している。この方法の最初のステップは、複数のアルコール及び菜種油の、触媒としての水酸化アルカリとのアルコール分解反応であり、モノ脂肪酸エステルを生成する。次いで、エポキシ化を、有機過酸化物を用いて、アルコール化不飽和脂肪酸上で実施する。第3のステップは、エポキシ基を、アミン及びエタノールアミンを含むプロトン−活性化化合物で開環することである。
【0032】
最終ポリオール生成物を得るために、水洗浄及び精製ステップがまた、各反応ステップの間又はその後、及び各反応ステップの前に用いられた。これは、明らかに複数ステップの方法である。アミン及びエタノールアミンが第3のステップにおいて用いられ、不飽和脂肪酸モノエステル上に生成したエポキシ環を開環する。最も好ましいエタノールアミンは、開示されるように、第3級アミンを有するもの、例えば、トリイソプロパノールアミン、トリエタノール−アミン、メチルジエタノールアミン、及びメチルジイソプロパノールアミンである。
【0033】
中国特許出願公開第1837181号明細書には、菜種油から生物系ポリオールを製造する方法が開示され、そこでは、有機過酸化物を用いて菜種油のエポキシ化を進行させ、アルコールを用いてエポキシ基の開環を進行させ、次いでエタノールアミンを含む複数のアルコールを用いてアルコール分解を進行させる。最終ポリオール生成物を得るために、水洗浄及び精製ステップの使用がまた、各反応ステップの後、及び各反応ステップの前に用いられた。最も好ましいエタノールアミンは、開示されるように、第3級アミンを有するもの、例えば、トリイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン及びメチルジイソプロパノールアミンである。この複雑な工程において、最終ポリオールのヒドロキシル価は、500mgKOH/g超であった。
【0034】
Huら(Hu,Y.−H.;Gao,Y.;Wang,D.−N.;Hu,C.−P.;Zu,S.;Vanoverloop,L.;Randall,D.,「Rigid Polyurethane Foam Prepared From a Rapeseed Oil Based Polyol,Journal of Applied Polymer Science(2002),84(3),591−597」)は、菜種油からポリオールを合成するための2ステップ法を報告している。第1のステップでは、菜種油を、40℃〜50℃で1時間、過酸化水素及び蟻酸と反応させ、次いで、水相及び油相を分離させるために一晩中静値した。ヒドロキシル価100mgKOH/g、酸価5mgKOH/g、及び粘度400cP(25℃)を有するヒドロキシル化ナタネシードオイルを生成した。
【0035】
次いで、ヒドロキシル化菜種油を、150℃で、触媒として水酸化リチウムを用いて、トリエタノールアミンと反応させた。著者は、これは、トリエタノールアミンを用いたヒドロキシル化菜種油のアルコール分解方法であり、ヒドロキシル価367mgKOH/g、酸価0.14mgKOH/g、及び粘度1600cPのポリオールを生成させると断言している。ヒドロキシル化菜種油のエタノールアミン及びジエタノールアミンとの反応がまた、副反応として実証された。これは、不純物としてトリエタノールアミン中に存在するエタノールアミン及びジエタノールアミンのためである。
【0036】
まとめると、上記文献に記載されるポリオールは、通常、250mgKOH/g未満のヒドロキシル価を有し、そしていくつかは、200mgKOH/g超のヒドロキシル価を有している。ヒドロキシル価は、上記ポリオールから製造されたポリウレタン材料の特性に影響を与える重要なパラメータの1つである。粘度は、ポリウレタン材料の調製時に、加工及び製造効果及び混合品質により大きな影響を有する別のパラメータである。例えば、それは、スプレー方法又は反応射出成形(RIM)方法又は高圧成形化フォーム方法においてポリオールを用いるために有利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0037】
従って、高いヒドロキシル価を有し、且つ25℃において100〜10,000cPの範囲における比較的低粘度を提供するポリオールを合成する必要がある。ヒドロキシル価は、二重結合のエポキシ化反応を経由した植物油由来ポリオールの調製時における、不飽和脂肪酸鎖内の二重結合の消費に関し、そして通常、250mgKOH/g超のヒドロキシル価を有する植物油由来ポリオールを得ることは難しい。一方、より複数のヒドロキシル基を含むポリオールはまた、より高い粘度を有することが見出されている。高ヒドロキシル価及び低粘度を有する植物油由来ポリオールを合成することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0038】
本明細書に開示される本発明の実施形態の1つは、天然油ヒドロキシル化物を調製するための方法である。上記方法は、200ダルトン未満の分子量を有するヒドロキシル基含有アミノ化合物を、天然植物油ポリオールと、減圧下、十分な時間及び十分な温度において反応させ、240〜530mgKOH/gの範囲にわたるヒドロキシル価と、25℃で260〜5300cPの範囲にわたる粘度とを有する天然油ヒドロキシル化物を生成させることを含む。
【0039】
第2の実施形態では、本発明は、触媒を含む上述の方法を記載する。
【0040】
別の実施形態では、天然油ヒドロキシル化物を調製するための方法がある。上記方法は、200ダルトン未満の分子量を有するヒドロキシル基含有アミノ化合物を、植物油由来ポリオールと反応させることを含み、上記植物油由来ポリオールは、十分な時間、十分な温度、及び十分な圧力において、水の存在下で、未精製の植物油を、過酸化水素及び有機酸(1〜3個の炭素原子を有する)に接触させて、植物油内の不飽和部分に由来するヒドロキシル基を生成し、次いで、ヒドロキシル化官能性植物油から揮発性物質を分離する。
【0041】
さらなる実施形態では、触媒を用いた、まさに上述したような天然油ヒドロキシル化物を調製するための方法がある。
さらに別の実施形態は、0〜94重量%のヒドロキシル化脂肪酸ヒドロキシアルキルアミドエステル、0〜34重量%のヒドロキシル化モノ−グリセリドエステル、0〜64重量%のヒドロキシル化ジグリセリドエステル、及び0〜16重量%のグリセロールを含む天然植物油を用いる方法である。
【0042】
さらなる実施形態は、上記天然植物油が、36〜94重量%のヒドロキシル化脂肪酸ヒドロキシアルキルアミドエステル、0〜34重量%のヒドロキシル化モノ−グリセリドエステル、0〜64重量%のヒドロキシル化ジグリセリドエステル、及び0〜6重量%のグリセロールを含む方法である。
【0043】
さらに別の実施形態は、上記天然植物油が、51〜84重量%のヒドロキシル化脂肪酸ヒドロキシアルキルアミドエステル、13〜31重量%のヒドロキシル化モノ−グリセリドエステル、0〜21重量%のヒドロキシル化ジグリセリドエステル、及び0〜3重量%のグリセロールを含む方法である。
【0044】
他の実施形態の1つは、240〜530mgKOH/gの範囲にわたるヒドロキシル価の値と、25℃で260〜5300cPの範囲にわたる粘度とを有する天然油ヒドロキシル化物である合成物である。
別の実施形態では、本発明は、ポリウレタン製品を調製するための、本発明の本発明に係る天然油ヒドロキシル化物の使用を含む。
最終的な実施形態は、界面活性剤及び界面活性剤成分としての、本発明に係る天然油ヒドロキシル化物の使用である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は、当初のポリオールの一般構造である。
【図2A】図2Aは、ヒドロキシル化脂肪酸ヒドロキシアルキルアミドエステル構造を示す一般的な化学構造である。
【図2B】図2Bは、ヒドロキシル化モノグリセリドエステルを示す一般的な化学構造である。
【図2C】図2Cは、ヒドロキシル化ジグリセリドエステルの一般的な化学構造である。
【図2D】図2Dは、グリセロールに関する化学構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明は、高いヒドロキシル価及び中間体粘度を有するポリオールを製造するために、ヒドロキシアルキルアミンと反応させるための出発原料として、天然油ポリオールを利用する方法である。さらに具体的には、本発明の方法は、天然油ポリオール内のエステル結合のヒドロキシアルキルアミンによるアミノリシスである。
【0047】
高温におけるアミノリシスの後、好ましくは有機金属触媒の存在下で、天然油ポリオールは、240〜530mgKOH/gの範囲にわたる高いヒドロキシル価と、25℃における260〜5530cPの範囲にわたる粘度(中間粘度)とを有する天然油水解物に転化させた。上記ヒドロキシル化物は、一般的なポリエーテルポリオールよりも低いOH価を有する天然油ポリオールとの反応性及び混和性が改良された琥珀色の液体である。本発明に係るポリオールがポリウレタンの調製時に用いられると、これらのウレタン材料は、改良された硬度を示す。
【0048】
本発明の目的に関する「天然油ヒドロキシル化物(hydroxylate)」は、それらに結合するヒドロキシル基を有するアミノ化合物及び天然植物油に由来する材料を意味する。
【0049】
図1は、本発明に係る方法に関する当初のポリオールの一般構造であり、図1において、FGは、−CH(OH)−CH(OCOCH3)−、−CH(OCOCH3)−CH(OH)−、−(CH(OH)−CH(OH)−、及び−CH2=CH2−から選択される。R1は、−(CH27−である;R2は、−(CH27−CH3である;R3は、−(CH214−CH3、及びC14〜C22脂肪酸、−R1−FG−R2、並びに−R1−FG−CH2−FG−R4−である;R4は、−(CH24−CH3である;R5は、−(CH22−、−CH2CH(CH3)−、及び−CH2CH(OH)CH2−である;R6は、−(CH22OH、−CH2CH(CH3)OH、−CH3、−CH2CH3、−CH2−C65、−C65、−CH2CH2CH2OH、−(CH23CH3、又は−C24−C64−である。
【0050】
図2は、一般化学構造を示し、そこでは、R7はR3又は−COCH3であり;R8は、=CHCH2OH又は−CH2CH(OH)−である。
上記方法は、天然油ポリオールを含む反応器内に、所定量のヒドロキシアルキルアミンを充填し、90〜200℃において反応を実施すること(必要に応じて、当初の天然油ヒドロキシル化物の重量に基づいて0.05〜0.2重量%の有機金属触媒を含む)を提供する。
【0051】
上記ポリオール合成の際、発生した副生成物のアルコールを、上記反応器から除去すべき必要はない。本発明の方法から、廃棄物の流れは生じない。反応が完了すると、さらなる精製ステップは必要ない。得られたポリオールのヒドロキシル価は、当初の天然油ポリオールのものと比較して高い。
【0052】
本発明において用いられる天然油ポリオールのいくつかは、2004年8月23日に出願された米国特許出願第10/924332号明細書に記載される方法から調製された生成物又は中間体である(組成物及びそれらの調製を教示することに関する当該公表を、参照により本明細書に引用する)。上記天然油ポリオールは、特性、例えば、8未満のガードナーカラー示度、残余の過酸化物なし、0.01重量%未満の水、0.05〜10mgKOH/gの酸価、無機酸なし、69〜195mgKOH/gのヒドロキシル価、119〜35000cPの粘度(25℃)、5〜15cgI2/gのヨウ素価、1600〜2200ダルトンの分子量、0.004%w/w未満の水溶性、1〜8℃の凝固点、及び2〜7の官能基を有する。
【0053】
これらの特性を分析的に得るために、上記ポリオールを、AOCS公定法の分析、すなわち、AOCS公定法,DC−3d−63(酸価);AOCS公定法,Cd 1−25(脂肪及び油のヨウ素価の測定)、及びAOCS公定法,Cd 13−60(ヒドロキシル価)を用いて分析した。
【0054】
含水率を、AOCS公定法 Tb 2−64により測定し、そしてカラーガードナー1963(Glass Standard)に関するAOCS公定法,Td 1a−64を用いた。上記特性を有するが、1mgKOH/g以下の酸価を有する天然油ヒドロキシル化物は、商標名Agrol(商標)の下、BioBased Technologies,LLCから市販されている。上記特性を有するが、1mgKOH/g超の酸価を有する天然油ヒドロキシル化物はまた、2004年8月23日に出願された米国特許出願第10/924332号明細書に記載される方法から調製された中間生成物であり、BioBased Technologies,LLCから提供される。
【0055】
本明細書に規定される分子量は、一般的な数平均分子量として規定されている。所与のポリオールの分子量は、Waters製2487デュアルλ吸光度検出器、Waters製2414屈折率検出器、及び2つのWaters Styragel(商標)HR 1 THF カラムを備えたWaters製ゲル浸透クロマトグラフを用いて測定された。テトラヒドロフラン溶離剤の流速は、40℃で、1mL/分であった。狭い分子量分布を有するポリスチレン標準(Watersから購入)を、分子量校正用に用いた。従って、得られた分子量は、相対的な分子量である。上記ポリスチレン標準は、0.93×103、1.05×103、1.26×103、1.31×103、1.99×103、2.97×103、3.37×103、4.49×103、4.92×103及び5.03×103ダルトンの分子量であった。
【0056】
中間生成物を用いるために、本発明の方法を、同様の規格を有するポリオールを製造するための米国特許出願第10/924332号明細書に記載される方法に簡易に組み込むことができる。2004年8月23日に出願された米国特許出願第10/924332号明細書に記載される方法において、飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸を含む植物油を、90〜130℃において、所定量の過酸化水素及び酢酸と反応させる。その後、アミノリシスを、必要に応じて有機金属触媒の存在下で、高温で実施し、全てのエポキシ基が消失した後、水及び過剰量の酢酸を完全に除去する。
【0057】
天然油ヒドロキシル化物に転換するために用いられうる天然油は、飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸のトリアシルグリセロールを含むものである。例には、大豆油、ヒマシ油、パーム油、菜種油、綿実油、コーン油、ヒマワリ油、オリーブ油、カノーラ油、ピーナッツ油、ココナッツ油、藻油(algae oil)、ジャトロファ油(latropha oil)、並びに動物性脂肪が含まれるが、これらに限定されるものではない。好ましい植物油は、大豆油、カノーラ油、ジャトロファ油、藻油、及びパーム油である。
【0058】
本発明において有用なヒドロキシアルキルアミンは、それらの分子構造において少なくとも1つのヒドロキシル基と結合した第2級アミン基を有し、且つ74〜166ダルトンの範囲にわたる分子量を有するものである。好ましいヒドロキシアルキルアミンは、単一分子内で、少なくとも1つのヒドロキシル基と、1つの第2級アミン基とを有するヒドロキシアルキルアミンである。
【0059】
本発明の目的において、上記ヒドロキシアルキルアミン(hydroxylkyamine)には、メチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、2−(エチルアミノ)エタノール、N−ベンジルエタノールアミン、2−アニリノエタノール(anilimoethanol)、3−ピロリジノール、プロリノール、3−ピペリジノール、2−(イソプロピルアミノ)−エタノール、1−(2−ヒドロキシエチルアミノ)プロパノール、3−メチルアミノ−1,2−プロパンジオール、2−ピペリジンメタノール、2−(tert−ブチルアミノ)エタノール、2−(ブチルアミノ)エタノール、1−(2−アミノエチルアミノ)−2−プロパノール、2−(3−アミノプロピルアミノ)エタノール、3−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−1−プロパノール、及び2−(2−エチルアニリノ)エタノール、ジイソプロパノールアミン、2−(2−(メチルアミノ)−エチルアミノ)エタノール、ピロリジノール、プロリノール、ピペリジノール、ピペリジンメタノール、及びこれらのヒドロキシアルキルアミンの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されるものではない。好ましい範囲における分子量を有するが、第1級アミン、例えば、エタノールアミンを含むヒドロキシル基を有するヒドロキシアルキルアミンにより、本発明を用いて固形ポリオールを製造することができ、そしてこれは、本発明の目的において有利ではない。
【0060】
本発明において有用な有機金属触媒は、チタネートである。上記チタネートの例には、チタンエトキシド、チタンイソプロポキシド、チタンn−プロポキシド、チタンn−ブトキシド、チタン2−エチルヘキソキシド、チタンイソブトキシド、及びチタンブトキシイソプロポキシ、又は他のチタネートが含まれるが、これらに限定されるものではない。上記チタネートは、Tyzor(商標)(DuPont(商標)、Tyzor@usa.dupont.com)又はVertec(商標)(Johnson Matthey Catalysts,4106 New West Rd,Pasadena,TX 77507−1882)の商標名の下で市販されている。
【0061】
上記触媒の量は、当初のヒドロキシル化植物油エステルの重量に基づいて、0.05〜0.20重量%の範囲にある。0.1%重量%における上記触媒の使用が好ましい。
反応は、90〜200℃の温度において実施され、そして約140〜150℃の温度が好ましい。
【0062】
上記アミノリシス反応を、チタネート触媒を用いずに実施することができる一方で、驚くべきことに、チタネート触媒を用いて製造された、得られたポリオールは、良好な凍結/解凍安定性を示すことが見出された。
【0063】
得られたポリオールは、240〜530mgKOH/gのヒドロキシル価と、260〜5530cPの粘度(25℃)とを有する琥珀色の液体であった。当初のポリオール、ヒドロキシアルキルアミン、及びヒドロキシアルキルアミンの組み合わせは、注意深く選択する必要があった。アミノリシス化剤として、選択されたヒドロキシアルキルアミンを用いると、得られたポリオールの粘度は、260cP程度(25℃)の低さであり得ることがまた、本明細書に開示されている。
【0064】
図1Aに示すように、当初のポリオールの分子構造の一部である、2種のエステル結合、グリシド酸のエステル及び酢酸のエステルがある。ヒドロキシアルキルアミンがグリシド酸のエステル結合と反応した後に、トリアシルグリセロール構造が壊れ、そしてヒドロキシル化脂肪酸ヒドロキシアルキルアミドエステル構造(図2A)、ヒドロキシル化モノ−グリセリドエステル(図2B)、ヒドロキシル化ジグリセリドエステル(図2C)、及びグリセロール(図2D)に転化する。
【0065】
ヒドロキシアルキルアミンが、酢酸エステル結合を攻撃すると、ヒドロキシアルキルアセトアミドが生成する。一方では、第2級ヒドロキシル基が、元のアセテート位置に発生する。上記反応はまた、天然油ヒドロキシル化物、例えば、当初のポリオールとしてのヒドロキシル化植物油エーテルを変性するために好適である。しかし、上記天然油ヒドロキシル化物にはアセテート基が存在しないので、上記他の天然油ヒドロキシル化物が出発材料として用いられると、ヒドロキシアルキルアセトアミドが生成しない。
【0066】
先に述べたように、ヒドロキシル基は、天然油ヒドロキシル化物の脂肪酸鎖に存在する。天然油ヒドロキシル化物内のこれらのヒドロキシル基は、脂肪酸炭素鎖の中間付近に位置する第2級ヒドロキシル基である。天然油ヒドロキシル化物と共に、ヒドロキシアルキルアミンにより進行するアミノリシスの際、上記ヒドロキシル基は、未反応のままである。これに加えて、一度、アセトアミドが生成すると、さらなるヒドロキシル基が、元のヒドロキシル基に隣接して発生しうる。従って、本発明の得られたポリオール内のヒドロキシル価の値及びヒドロキシル基の構造は、上記ヒドロキシアルキルアミンの構造だけではなく、当初のポリオール、及び当初のポリオールの割合と共に上記ヒドロキシアルキルアミンの割合により規定される。
【0067】
得られたポリオールは、図2に示される4種の主要な種類の化学成分の混合物である。本発明に係るポリオールは、0〜94重量%のヒドロキシル化脂肪酸ヒドロキシアルキルアミドエステル(図2A)、0〜34重量%のヒドロキシル化モノ−グリセリドエステル(図2B)、0〜64重量%のヒドロキシル化ジグリセリドエステル(図2C)、及び0〜16重量%のグリセロール(図2D)を含む。得られるポリオールの好ましい組成は、36〜94重量%のヒドロキシル化脂肪酸ヒドロキシアルキルアミドエステル、0〜34重量%のヒドロキシル化モノ−グリセリドエステル、0〜64重量%のヒドロキシル化ジグリセリドエステル、及び0〜6重量%のグリセロールを含む。
【0068】
得られるポリオールのもっとも好ましい組成は、51〜84重量%のヒドロキシル化脂肪酸ヒドロキシアルキルアミドエステル、13〜31重量%のヒドロキシル化モノ−グリセリドエステル、0〜21重量%のヒドロキシル化ジグリセリドエステル、及び0〜3重量%のグリセロールを含む。本発明に係るポリオールは、240〜530mgKOH/gの範囲にわたるヒドロキシル価を有する。最も好ましいヒドロキシル価は、240〜450mgKOH/gの範囲にわたり、そして最も好ましい粘度範囲は、25℃で260〜6000cPである。
【0069】
示される特徴を有するポリオールを製造するために、アミノリシス反応ステップ内で用いられうるヒドロキシアルキルアミンの量は、当初のヒドロキシル化植物油エステルの重量に基づいて0.1〜70重量%である。好ましい範囲は、ヒドロキシル化植物油エステルの重量に基づいて6〜70重量%であり、そして最も好ましい範囲は、当初のポリオールに基づいて9〜36重量%である。
【0070】
この組成はまた、a)脂肪酸モノアルカノールアミド又は脂肪酸ジアルカノールアミド;及びb)天然油ジグリセリド又は天然油モノグリセリド又はそれらの混合物から成る生成物として記載することができ、脂肪酸基はまた、アセテート、メトキシド等の基を含んでもよい。さらに、上記生成物の組成は、最大で合計20%のグリセリン、トリグリセリド及び短分子鎖(C1〜C5)ジ−又はモノアルカノール−アミドを含むことができる。
【0071】
上記反応の際、不活性ガスのブランケットを用いて本発明の方法を実施することが、本発明の範囲内であると企図され、上記不活性ガスは、例えば、窒素である。
【0072】
本発明の方法において減圧が用いられることに留意し、そして本発明の目的において、上記減圧は、0.5〜3時間の間、25〜200トルの範囲にわたりうる。
【0073】
ポリオールの凍結/解凍安定性試験は、米国特許出願公開第2006/0041156号明細書に記載される手順と同様である。すなわち、80gのニートポリオールを、120mLの広口の透明なガラス瓶に入れる。ふたを確実に閉め、そして上記ガラス瓶を、4時間の間、−4℃の冷凍室内に置く。4時間後、試料を上記冷凍室から取出し、そしてそれが液体の状態に戻るまで、室温(約24℃)において温める。次いで、上記試料を、相分離の存在、沈殿した粒子、浮遊している粒子又は認識可能な曇りに関して目視により観察する。次いで、上記工程を、少なくとも3回の凍結/解凍サイクルの間繰り返す。
【0074】
創作にかかるポリオールは、触媒を用いて又は用いずに、イソシアネートと反応して、ポリウレタンを形成することができる。ポリウレタン材料を製造するために用いられうるイソシアネートは、1つ超の官能性イソシアネート基を有する任意の分子でありうる。例には、任意の市販のイソシアネート、例えば、トルエンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、及びイソホロンジイソシアネートが含まれるが、これらに限定されるものではない。ポリオールの最も重要な特性のいくつかは、反応性、混和性、及び水混和性に関して特徴付けられる。創作にかかるポリオールから製造されたポリウレタン材料の硬度はまた、当初の天然油ヒドロキシル化物に匹敵する。創作にかかるポリオールは、高い反応性を有し、そして当初のポリオールの、選択された石油系ポリエーテルポリオールとの混和性を改良するために用いられうる。
【0075】
固体のポリウレタン材料が製造されると、創作にかかるポリオールで製造され、得られたポリウレタン材料は、当初のポリオールを用いて調製された材料と比較して、高い硬度を示す。
【0076】
得られたポリオールの反応性は、ブルックフィールド粘度試験(BVT)方法を用いた、ゲル化時間を用いて特徴付けられる。このBVT方法は、ポリオールと、液化MDIとの反応を用いて、粘度増加を測定する。ポリオールの反応特性を決定するために、上記ポリオールの好適な試料サイズ(概して、100g)を、250mLの広口プラスチックカップ内に置く。このカップに、上記ポリオール重量に基づいて0.05重量%の触媒を添加し、次いで1000RPMで30秒間、機械撹拌を用いて混合する。上記触媒をポリオールと混合した後、計算された量の液化MDI(NCOインデックス,1.05)を同一の混合装置上で30秒間混合する。
【0077】
30秒の混合の後、カップを攪拌器から取出し、粘度計の上に置き、そして粘度上昇を40分間記録した。収集した時間及び粘度のデータを、コンピュータの表計算ソフト又は図形プログラムを用いてプロットし、試験すべきポリオールに関するBVT反応性曲線を得る。粘度−硬化時間プロットの際、粘度が25000cPに達するゲル化時間を記録する。ゲル化時間は、ポリオールの、イソシアネートとの反応性の測定である。ゲル化時間が短いほど、ポリオールの反応性が高い。
【0078】
単一のメートルスケールシリンダー内で、2種の異なるポリオールを混合することにより、混和性試験を実施する。次いで、上記シリンダーを、少なくとも12時間、70℃のオーブン内に置き、次いでオーブンから取出し、そしてさらに48時間、室温に戻す。各相の体積を記録する。混和性は、一般的なポリエーテルポリオール内の天然油由来ポリオールの溶解性を指し、上記一般的なポリエーテルポリオール50mLに溶解した天然油ヒドロキシル化物の体積比に基づいて計算される。
【0079】
天然油ヒドロキシル化物の、一般的なポリオールとの混和性は、ポリウレタン用途において、上記天然油ヒドロキシル化物を使用するための非常に重要な特性である。というのは、異なるポリオールの調合物が、複数のポリウレタン系において物理的性質を調整するためのパラメータとして用いられるからである。2つの非混和性液体の均質混合が第3の液体成分(すなわち、創作にかかるポリオール)の助力により観察されると、第3の成分が表面相互作用を最大化し、そして液体−液体系に均質な分子間相互作用をもたらすことが一般的に示唆される。言い換えれば、第3の液体成分は、混和性に対する改良が観察された場合、2つの非混和性液体の間の表面活性を示さなければならない。同一の試験がまた、水の、創作にかかるポリオールとの混和性の特性化に関して用いられる。水の、ポリオールとの混和性は、水により発泡したポリウレタンフォームの進歩に関する重要なパラメータである。
【0080】
ポリウレタン材料は、機械撹拌器を用いて、得られたポリオールを、イソシアネート(1.05NCO/OHモル比)と混合することにより調製される。次いで、混合物を、室温又は高温のどちらかにおいて硬化させるために型に移動させる。最終の固体ポリウレタン材料を、試験の前に、雰囲気において、2週間、エージングする。ショアーA及びショアーD硬度を、Rubber Property−Durometer Hardnessに関するASTM D2240−05規格試験方法に従って試験する。
【実施例】
【0081】
続く例において、下記の材料を用いた。
[ポリオール−1]
ヒドロキシル価114mgKOH/g、粘度530cP(25℃)、ヨウ素価92cgI2/g、酸価1.0mgKOH/g未満、含水率0.1%w/w未満、凝固点2℃、水溶性0.004%w/w未満、及び分子量1750ダルトン.
このポリオールは、Agrol(商標)3.6として、BioBased Technologies,LLCから入手できる。
【0082】
[ポリオール−2]
ヒドロキシル価124mgKOH/g、粘度780cP(25℃)、酸価1.0mgKOH/g未満、ヨウ素価86cgI2/g、含水率0.1%w/w未満、凝固点2℃、水溶性0.004%w/w未満、及び分子量1830ダルトン.
このポリオールは、Agrol(商標)4.0として、BioBased Technologies,LLCから入手できる。
【0083】
[ポリオール−3]
ヒドロキシル価131mgKOH/g、酸価1.0mgKOH/g未満、粘度1100cP(25℃)、ヨウ素価79cgI2/g、含水率0.1%w/w未満、凝固点2℃、水溶性0.004%w/w未満、及び分子量1848ダルトン.
このポリオールは、Agrol(商標)4.3として、BioBased Technologies,LLCから入手できる。
【0084】
[ポリオール−4]
ヒドロキシル価103mgKOH/g、粘度320cP(25℃)、酸価1.0mgKOH/g未満、ヨウ素価101cgI2/g、含水率0.1%w/w未満、凝固点2℃、水溶性0.004%w/w未満、及び分子量1654ダルトン.
このポリオールは、Agrol(商標)3.0として、BioBased Technologies,LLCから入手できる。
【0085】
[ポリオール−5]
ヒドロキシル価360mgKOH/g、粘度3500cP(25℃)、含水率0.1%w/w未満、分子量730ダルトン、官能価4.7、及び比重(special gravity)1.08(25℃).
このポリオールは、Jeffol(商標)SG360として、Huntsman International LLCから入手できる。
【0086】
[Mondur(商標)MR−Light]
NCO含有率31.0(最小値)、酸性度0.01〜0.03%、粘度150〜250cP(25℃)、当量132、官能価2.8、及び比重124.
このイソシアネート製品は、Bayer Materials Science,LLCから入手できる。
【0087】
[T−12]
ジブチルチンジラウレート、DABCO(商標)T−12としてAir Productsから市販される。
[チタン(IV)2−エチルヘキソキシド]
Vertec(商標)EHTとして、Johnson Mattheyから市販される。
【0088】
[例1]
[当初の天然油ポリオールの合成]
当初のポリオール、すなわち、ヒドロキシル化植物油エステルに関する合成手順は、米国特許出願第10/924332号明細書に記載されている。この手順を用いて、69〜195mgKOH/gのヒドロキシル価、119〜34800cPの粘度(25℃)、及び相応して2.0〜7.0の範囲にわたる官能価を有する天然油ポリオールが合成された。
【0089】
[例2]
500gのポリオール−3を、3首フラスコ内で、56.82gのジエタノールアミン及び0.25gのチタン(IV)2−エチルヘキソキシドと反応させた。反応物質を、2時間、撹拌しながら90℃まで加熱し、そして110℃で2時間、次いで150℃で2.5時間保持した。生じたポリオールは、ヒドロキシル価239mgKOH/gと、酸価0.21mgKOH/gとを有していた。
【0090】
[例3]
200gのポリオール−2を、3首フラスコ内で、100gのジエタノールアミン及び0.1gのチタン(IV)2−エチルヘキソキシドと反応させた。反応物質を、撹拌しながら150℃まで加熱し、そして140℃で24時間反応を続けた。ヒドロキシル価450mgKOH/g及び粘度5530cP(25℃)を有するポリオールが生じた。
【0091】
[例4]
40.82kgのポリオール−2を含む15ガロンの反応器に、140℃で、窒素下、8.16kgのジエタノールアミン及び0.041kgのチタン(IV)2−エチルヘキソキシドを充填した。反応を、140℃で12時間続け、次いで、反応混合物を追加の精製ステップなしで、60℃に冷却した。得られたポリオールは、ヒドロキシル価333mgKOH/gと、粘度2210cP(25℃)とを有していた。
【0092】
[例5]
200gのポリオール−2を、3首フラスコ内で、48gのジエタノールアミン及び0.2gのチタン(IV)2−エチルヘキソキシドと反応させた。反応物質を、撹拌しながら、21時間、140℃に加熱した。ヒドロキシル価349mgKOH/g及び粘度2590cP(25℃)を有するポリオールを得た。
【0093】
[例6]
例5と同様に、供給比を、200gのポリオール−2、75gのジエタノールアミン、及び0.2gのチタン(IV)2−エチルヘキソキシドに変更した。ヒドロキシル価426mgKOH/g及び粘度4460cP(25℃)を有するポリオールを得た。
【0094】
[例7]
200gのポリオール−2を、3首フラスコ内で、69gのジエタノールアミン、50gのグリセロール、及び0.2gのチタン(IV)2−エチルヘキソキシドと反応させた。反応物質を、撹拌しながら、22時間、140℃に加熱した。ヒドロキシル価501mgKOH/g及び粘度4320cP(25℃)を有するポリオールを得た。
【0095】
[例8]
700gのポリオール−4を、3首フラスコ内で、134gの2−(エチルアミノ)エタノール、及び0.1gのチタン(IV)2−エチルヘキソキシドと反応させた。反応物質を、撹拌しながら、12時間、140℃に加熱した。ヒドロキシル価256mgKOH/g及び粘度260cP(25℃)を有するポリオールを得た。
【0096】
[例9]
200gのポリオール−3を、3首フラスコ内で、60gのエタノールアミン、及び0.2gのチタン(IV)2−エチルヘキソキシドと反応させた。反応物質を、撹拌しながら、17時間、140℃に加熱した。ヒドロキシル価296mgKOH/g及び融点50〜54℃を有するポリオールを得た。
【0097】
[例10]
[凍結/解凍安定性]
凍結/解凍安定性試験の結果を、表1に示す。
【0098】
【表1】

【0099】
[例11]
[反応性比較]
100gのポリオールを、室温において、インデックス105(1.05NCO/OHモル比)で、Mondur(商標)MR−Lightと混合した。次いで、粘度−硬化時間曲線を、BVT手法に従って記録した。0.05重量%(ポリオール重量に基づく)のT−12(触媒)を用いると、ポリオール−3、当初のヒドロキシル化植物油の、Mondur(商標)MR−Lightとのゲル化時間は、16.5分であった。例4からの創作にかかるポリオールは、触媒を用いない場合でも8分のゲル化時間を有していた。例4からのポリオール20重量%(ポリオールの総重量に基づく)を、ポリオール80重量%と混合すると、触媒として0.015重量%のT−12を用いたゲル化時間は、9分と記録された。結果は、創作にかかるポリオールが、当初のポリオールよりも非常に早くイソシアネートと反応することを示している。創作にかかるポリオールを、当初のポリオールと混合すると、ポリオール混合物の反応性は、有意に促進される。
【0100】
[例12]
[天然油ヒドロキシル化物の、選択されたポリエーテルポリオールとの混和性]
シリンダー内の、50mLのポリオール−5と混合された50mLのポリオール−1を、12時間、70℃のオーブン内に置き、等体積を有する2つの相を観察した。このシリンダーをオーブンから取出し、そして室温で3日間置いた。3日の終わりに、等体積を有する2つの相を観察し、ポリオール−1は、ポリオール−5と混和性を有しないことを実証した。例4からの本発明に係るポリオール、並びにあるケースではポリオール−1、及び他のケースではポリオール−5に対する試験において、同一の実験手順を用いた。ポリオール−5と創作にかかるポリオール、ポリオール−1と創作にかかるポリオールのいずれかから製造されたブレンドにおいて、1つの単一相が観察された。結果は、例4からの創作にかかるポリオールは、ポリオール−1又はポリオール−5のどちらかと100%v/v混和性であることを実証している。
【0101】
同一の試験手順に続き、30mLのポリオール−1及び20mLの例4からの創作にかかるポリオールを、シリンダー内で50mLのポリオール−5と混合し、次いで12時間、70℃のオーブン内に置いたところ、相分離は観察なれなかった;しかし、色の勾配が、液体の底部から頂部に観察された。
【0102】
シリンダーを3日間、室温に置いた後、20mLの上層と、80mLの下層とを有する2つの相が観察され、20%(v/v)のポリオール−1が、室温でポリオール−5に溶解したことを実証した。25mLのポリオール−1及び50mLの創作にかかるポリオールを、25mLのポリオール−5と混合し、70℃で12時間、又は室温で3日間を問わず、1つの単一相が観察され、ポリオール−1が、これらの実験条件の下、創作にかかるポリオールの助力を受けて、ポリオール−5に100%(v/v)溶解することを実証した。
【0103】
[例13]
[創作にかかるポリオールの、水との混和性]
当初の天然油ヒドロキシル化物及び創作にかかるポリオールの両方が、実際には水と相溶せず、当初のポリオール及び例4からの創作にかかるポリオールの水溶性は、25℃で0.004重量%未満である。ポリオール−5は、水と完全に混和性である。10mLの水及び30mLの創作にかかるポリオールを、20mLのポリオール−5と混合すると、室温又は70℃を問わず、1つの単一相が観察された。しかし、水、創作にかかるポリオール、及びポリオール−5の組成に加えて、20mLのポリオール−1及び追加の10mLのポリオール−5を添加すると、液体混合物を70℃で12時間置いた後、2つの分離した相が観察された。結果は、水との混和性の改良は、当初のポリオールよりも創作にかかるポリオールにおいて比較的好都合である。
【0104】
[例14]
[硬度]
当初のポリオール及び創作にかかるポリオールを含む50gのポリオールを、それぞれ、異なるポリエチレンプラスチック内で、Mondur(商標)MR−Light(105インデックス)と、少なくとも1分間、機械的に混合し、次いで硬化のため、2日間、60℃のオーブン内に置いた。固体ポリウレタン材料を、硬度試験の前に、少なくとも1週間、大気において、室温においてエージングした。ポリオール−2から製造された固体ポリウレタン材料の硬度値を、ショアーA 80及びショアーD 22として評価した。例4からの創作にかかるポリオールから製造された固体ポリウレタン材料の硬度値を、ショアーA 96及びショアーD 78として評価した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然油ヒドロキシル化物を調製するための方法であって、
200ダルトン未満の分子量を有するヒドロキシル基含有アミノ化合物を、天然植物油ポリオールと、減圧下、十分な時間及び十分な温度で反応させ、240〜530mgKOH/gの範囲にわたるヒドロキシル価の値と、25℃で260〜5300cPの範囲にわたる粘度とを有する天然油ヒドロキシル化物を提供する、
前記方法。
【請求項2】
天然油ヒドロキシル化物に転換するために用いられうる天然油が、飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸のトリアシルグリセロールを含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記天然油が、大豆油、ヒマシ油、パーム油、菜種油、綿実油、コーン油、ヒマワリ油、オリーブ油、カノーラ油、ピーナッツ油、ココナッツ油、藻油、ジャトロファ油及び動物性脂肪から本質的になる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記天然油が、大豆油、カノーラ油、ジャトロファ油、藻油、及びパーム油から本質的になる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記200ダルトン未満の分子量を有するヒドロキシル基含有アミノ化合物が、それらの分子構造内に少なくとも1つのヒドロキシル基と結合した第2級アミンと、74〜200ダルトンの範囲にわたる分子量とを有するものである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ヒドロキシアルキルアミンが、メチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、2−(エチルアミノ)エタノール、N−ベンジルエタノールアミン、2−アニリノエタノール、3−ピロリジノール、プロリノール、3−ピペリジノール、2−(イソプロピルアミノ)エタノール、1−(2−ヒドロキシエチルアミノ)プロパノール、3−メチルアミノ−1,2−プロパンジオール、2−ピペリジンメタノール、2−(tert−ブチルアミノ)エタノール、2−(ブチルアミノ)エタノール、1−(2−アミノエチルアミノ)−2−プロパノール、2−(3−アミノプロピルアミノ)エタノール、3−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−1−プロパノール、2−(2−エチルアニリノ)エタノール、ジイソプロパノールアミン、2−(2−(メチルアミノ)エチルアミノ)エタノール、ピロリジノール、プロリノール、ピペリジノール、ピペリジンメタノール、及びそれらの任意の組み合わせから本質的になる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
触媒がまた存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記触媒が、当初のヒドロキシル化植物油エステルの重量に基づいて、0.05〜0.20重量%で存在する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
温度が、90〜200℃の範囲にある、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
温度が、120℃〜150℃の範囲にある、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
減圧が、0.5〜3時間の間、0.5〜200トルの範囲にある、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記天然油ヒドロキシル化物が、
未精製の植物油を、過酸化水素及び1〜3個の炭素原子を有する有機酸と、植物油内の不飽和部分からヒドロキシル基を生成させるために十分な時間、十分な温度、及び十分な圧力において、水の存在下で接触させ、その後
ヒドロキシル化官能性植物油からいずれの揮発性物質も分離し、その後
前記ヒドロキシル化官能性植物油を、200ダルトン未満の分子量を有するヒドロキシル基含有アミノ化合物と接触させること、
を含む方法により誘導される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ヒドロキシル基を有するアミノ化合物及びポリオールの反応のための触媒が存在する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記触媒がチタネートである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記天然植物油が、0〜94重量%のヒドロキシル化脂肪酸ヒドロキシアルキルアミドエステルと、0〜34重量%のヒドロキシル化モノ−グリセリドエステルと、0〜64重量%のヒドロキシル化ジグリセリドエステルと、0〜16重量%のグリセロールとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記天然植物油が、36〜94重量%のヒドロキシル化脂肪酸ヒドロキシアルキルアミドエステルと、0〜34重量%のヒドロキシル化モノ−グリセリドエステルと、0〜64重量%のヒドロキシル化ジグリセリドエステルと、0〜6重量%のグリセロールとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記天然植物油が、51〜84重量%のヒドロキシル化脂肪酸ヒドロキシアルキルアミドエステルと、13〜31重量%のヒドロキシル化モノ−グリセリドエステルと、0〜21重量%のヒドロキシル化ジグリセリドエステルと、0〜3重量%のグリセロールとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記天然植物油が、a)脂肪酸モノアルカノールアミド;b)脂肪酸ジアルカノールアミド;c)天然油ジグリセリド;d)天然油モノグリセリド;e)天然のモノグリセリドの混合物から本質的になる群から選択される化合物を含み、ここで脂肪酸基がまた、アセテート基又はメトキシド基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記天然植物油が、グリセリン、トリグリセリド及びC1〜C5鎖、ジアルカノールアミド及びモノアルカノールアミドから成る群から選択される材料を、総量で最大20重量%さらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
請求項1に記載の方法により調製された合成物。
【請求項21】
240〜530mgKOH/gの範囲にわたるヒドロキシル価の値と、25℃で260〜5300cPの範囲にわたる粘度とを有する天然油ヒドロキシル化物である合成物。
【請求項22】
触媒の存在下、高温で、出発原料として天然油ヒドロキシル化物及びヒドロキシアルキルアミンを反応させることによる、本発明に係るポリオールの製造方法。
【請求項23】
ポリウレタン製品を製造するための方法であって、
ポリウレタン製品を製造するために、請求項21に記載の合成物及びイソシアネートを利用することを含む方法。
【請求項24】
生成物に界面活性を付与するための方法であって、
請求項21に記載の合成物、又はその合成物の混合物を、前記生成物に添加することを含む、
方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【公表番号】特表2010−524946(P2010−524946A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504112(P2010−504112)
【出願日】平成20年4月18日(2008.4.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/005051
【国際公開番号】WO2008/130646
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(509287463)バイオベースド テクノロジーズ,リミティド ライアビリティ カンパニー (1)
【Fターム(参考)】