太陽電池とその製造方法
【課題】半導体基板に十分量のドーパントを拡散させることによって、p-n接合特性を向上できる太陽電池及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の一実施例による太陽電池の製造方法は、半導体基板の一面に多孔性膜を形成する段階と、前記多孔性膜にドーパントを含有する化合物を噴射する段階と、前記ドーパントを拡散させて前記半導体基板の一面にエミッタ層を形成する段階を含む。かかる製造方法を用いることで、導体基板に十分量のドーパントを拡散させることが可能となり、太陽電池のp-n接合特性を向上できる。
【解決手段】本発明の一実施例による太陽電池の製造方法は、半導体基板の一面に多孔性膜を形成する段階と、前記多孔性膜にドーパントを含有する化合物を噴射する段階と、前記ドーパントを拡散させて前記半導体基板の一面にエミッタ層を形成する段階を含む。かかる製造方法を用いることで、導体基板に十分量のドーパントを拡散させることが可能となり、太陽電池のp-n接合特性を向上できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は太陽電池とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は太陽エネルギーから電気エネルギーを生成する電池である。太陽電池は環境に優しくエネルギー源が無限である。また、寿命が長い長所を有している。太陽電池の種類としては、シリコン太陽電池、染料感応太陽電池などがある。
【0003】
シリコン太陽電池は、p-n接合を形成する互いに異なる導電型の半導体基板とエミッタ層、このエミッタ層に電気的に連結する前面電極、及び半導体基板に電気的に連結する後面電極を含んで構成される。
【0004】
一般に、前記エミッタ層は、高温拡散法、印刷法、スプレー法によって形成される。高温拡散法は、拡散炉を用いるため生産性が落ち、大型には不向きである。印刷法は、高価な材料を用いるため、材料損失が多く、生産性が落ちる。スプレー法は、ドーパント含有化合物を半導体基板の表面に噴霧した後、高温熱処理でドーパントを拡散させる方法によりエミッタ層を形成する方法である。このスプレー法は、他の方法に比べて生産性に優れている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記スプレー法に用いられるドーパント含有化合物は、親水性である反面、半導体基板は疎水性である。従って、半導体基板上にドーパント含有化合物が十分に形成されないという問題があった。また、高温熱処理過程でドーパント含有化合物が気化するため、ドーパントが半導体基板に十分に拡散できない。従って、適切な濃度のエミッタ層を形成することが困難なため、p-n接合の特性が落ちるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的は、p-n接合特性を向上させることが可能な、新規かつ改良された太陽電池およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、半導体基板の一面に多孔性膜を形成する段階と、前記多孔性膜にドーパントを含有する化合物を噴射する段階と、前記ドーパントを拡散させて、前記半導体基板の一面にエミッタ層を形成する段階と、を含むことを特徴とする、太陽電池の製造方法が提供される。
【0008】
上記のドーパントは、熱処理によって、多孔性膜から半導体基板まで拡散してもよい。
【0009】
上記の多孔性膜は、半導体基板の一面で行われる化学的処理によって形成され、半導体基板と同一物質で構成されてもよい。
【0010】
上記の化学的処理は、フッ酸処理であってもよい。
【0011】
上記の多孔性膜は、シリコンを含んでもよい。多孔性膜を形成する物質がシリコンの場合、エネルギーバンドギャップが異なって、既存のシリコン太陽電池で使用できなかった光領域まで用いることができるため、その効果が大きい。
【0012】
上記の多孔性膜は、蒸着法または印刷法によって形成されてもよい。
【0013】
上記の多孔性膜は、シリコン、酸化チタン、酸化シリコン、及び窒化シリコンからなる群より選択される少なくとも何れか一つの物質を含んでもよい。
【0014】
上記のエミッタ層を形成する段階以降に、多孔性膜を除去する段階を更に含んでもよい。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、半導体基板と、半導体基板の一面に形成されたエミッタ層と、エミッタ層上に形成され、太陽光の反射を防止する多孔性膜と、を含む太陽電池が提供される。
【0016】
上記の多孔性膜とエミッタ層とは、同一物質で構成されてもよい。
【0017】
上記の多孔性膜は、シリコンを含んでもよい。
【0018】
上記の多孔性膜とエミッタ層とは、互いに異なる物質で構成されてもよい。
【0019】
上記の多孔性膜は、酸化チタン、酸化シリコン、及び窒化シリコンからなる群より選択される少なくとも何れか一つの物質を含んでもよい。
【0020】
上記のエミッタ層に電気的に連結する第1電極と、上記の半導体基板に電気的に連結する第2電極と、を更に含んでもよい。
【0021】
本発明は、かかる手段を用いることにより、半導体基板に十分量のドーパントを拡散させることができ、p-n接合特性を向上させることが可能である。
【発明の効果】
【0022】
本発明による太陽電池の製造方法によれば、多孔性膜がドーパント含有化合物を十分に保存でき、高温熱処理時のドーパント含有化合物の気化を防止し、十分量のドーパントを半導体基板に拡散できる。これにより、適切な濃度のエミッタ部を形成することができ、結果的にp-n接合の特性を向上させて、製造された太陽電池の特性を向上できる。
【0023】
また、エミッタ層の形成にスプレー方法を適用して、工程を単純化し、生産性を向上でき、多様の後面構造を有する太陽電池を製造できる。
【0024】
一方、本発明による太陽電池は、多孔性膜を形成して、短波長領域の光を利用でき、太陽光の利用比率を画期的に向上させ、太陽光の反射を防止できるため、太陽電池の効率を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0026】
図1A〜図1Fは、本発明の一実施例による太陽電池製造方法の工程を示した断面図である。
【0027】
まず、図1Aに示したように、シリコンで形成されたp型の半導体基板10を準備する。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。つまり、n型の半導体基板でもよく、シリコン以外の多様な半導体物質で構成される半導体基板を準備してもよい。
【0028】
太陽電池の特性を向上させるために、前処理を行うこともできる。前処理では、アルカリ水溶液または混合酸溶液を用いて、半導体基板10をエッチングして不純物を除去する。エッチングによって、半導体基板10の損傷した部分が除去されて、半導体基板10の表面に微細な凹凸が形成される。従って、太陽光の損失を低減できる。
【0029】
次に、図1Bに示したように、半導体基板10の一面に多孔性膜12を形成する。本実施例では、半導体基板10の一面に多孔性を与える化学的処理をして、多孔性膜12を形成する。このような化学的処理としては、例えばフッ酸処理などがある。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明に多孔性を与える多様な方法を利用して、多孔性膜を形成することができる。
【0030】
この時、多孔性膜12は、半導体基板10と実質的に同一物質で構成される。しかし、半導体基板10とは異なって、多孔性シリコンで形成されているため、半導体基板10とはエネルギーバンドギャップが異なる。
【0031】
次に、図1C及び図1Dに示したように、半導体基板10の一面に、詳しく言えば、多孔性膜12と半導体基板10の境界の部分に、エミッタ層16を形成する。
【0032】
図1Cに示したように、スプレー法で、リン含有化合物14を多孔性膜12に噴射する。
【0033】
多孔性膜12に噴射されたリン含有化合物14が、多孔性膜12の表面と気孔に保存される。従って、半導体基板10が疎水性特性を有する場合にも、十分な量のリン含有化合物14が多孔性膜12に保存される。
【0034】
本実施例では、n型のエミッタ層16を形成するためにドーパントとしてリンを用いたが、本発明がこれに限定されず、リン以外の多様な物質をドーパントとして用いることができる。また、エミッタ層16の導電型と半導体基板10の導電型とは、互いに異なる型を用いてもよいため、例えばn型半導体基板が用いられる場合には、p型のエミッタ層を形成してもよい。
【0035】
次に、図1Dに示したように、例えば高温熱処理により、多孔性膜から半導体基板10にリンを拡散させて、n型のエミッタ層16を形成する。赤外線ランプを利用して、高温熱処理ができ、その他にも多様な方法が適用される。この時、リンが多孔性膜12にも残留するため、多孔性膜12は、エミッタ層16と実質的に同一物質、つまり、リンがドーピングされたシリコンで構成される。
【0036】
本実施例では、多孔性膜12にリン含有化合物が十分に保存されているため、半導体基板10により多くの量のドーパントを拡散できる。また、半導体基板10の前面に形成された多孔性膜12が、高温熱処理中リン含有化合物14の気化を防止して、半導体基板10に拡散するドーパント量を増加できる。従って、所望の濃度のエミッタ層16を形成することができ、p-n接合の特性を向上できる。
【0037】
本実施例では、スプレー法を利用するため、半導体基板10の前面にだけ、エミッタ層16を形成することができる。つまり、前面だけでなく、側面及び後面にエミッタ層が形成され、前面と後面を短絡させる工程が必要な高温拡散法などの方法に比べて、工程を単純化できる。また、後面のエミッタ層を除去するための補正工程を要せず、太陽電池に多様な後面構造を適用できる。
【0038】
次に、図1Eに示したように、半導体基板10の後面に、アルミニウムペーストをスクリーン印刷した後に熱処理して、半導体基板10に電気的に連結する後面電極18を形成する。しかし、本発明はこれに限定されず、後面電極18が多様な物質で形成でき、これらも本発明の範囲に属する。
【0039】
この時、熱処理によって、アルミニウムが半導体基板10の後面に所定の厚さで拡散され、p+型の後面電界層20が形成される。この後面電界層20は、光励起された電子が半導体基板10の後面に移動することを防止する役割を果たす。
【0040】
次に、図1Fに示したように、多孔性膜12の上で、エミッタ層16に電気的に連結する前面電極22を形成する。この前面電極22は、例えば導電性ペーストを任意のパターンで塗布した後、熱処理して形成でき、例えば、銀(Ag)で形成できる。前述したように、ドーパントがエミッタ層16に拡散した後にも、多孔性膜12にドーパントが残留するため、多孔性膜12とエミッタ層16が、実質的に同一物質で構成される。従って、多孔性膜12の上に前面電極22が形成されても、前面電極22とエミッタ層16が電気的に連結される。
【0041】
上記のような製造方法によって製造された太陽電池は、半導体基板10、この半導体基板10の前面に形成されるエミッタ層16、多孔性膜12及び前面電極22、また、半導体基板10の後面に形成される後面電極18を含んで構成される。多孔性膜12は多孔性シリコンで構成される。
【0042】
この時、半導体基板10及びエミッタ層16を形成する非多孔性シリコンのエネルギーバンドギャップと多孔性膜12を形成する多孔性シリコンのエネルギーバンドギャップが互いに異なるため、従来使用できなかった短波長領域帯の太陽光を利用できる。従って、太陽光の利用比率を画期的に向上できる。
【0043】
また、多孔性膜12の皴(しわ)形成効果によって、前面反射率を約1%水準まで低くでき、それにより太陽電池の受光効率を向上できる。このように、本実施例では、多孔性膜12が反射防止効果を有するため、別途の反射防止膜を要しないが、場合によっては反射防止膜をさらに形成することができ、これも本発明の範囲に属する。
【0044】
以下、本発明の他の実施例による太陽電池の製造方法及びこれによる太陽電池を、詳細に説明する。前記実施例と同一または類似する工程については、詳細な説明を省略して、異なる部分だけ詳細に説明する。
【0045】
図2A〜図2Fは、本発明の他の実施例による太陽電池製造方法の工程を示した断面図である。
【0046】
図2Aに示したように、シリコンで形成されたp型の半導体基板110を準備する。
【0047】
次に、図2Bに示したように、半導体基板110の一面に、蒸着法または印刷法で、多孔性膜112を形成する。ここで、多孔性膜112は、酸化チタン、酸化シリコン、窒化シリコンなどで形成できる。多孔性膜112は、半導体基板110と相異する物質で構成されるため、以下、説明するエミッタ層とも相異する物質で構成される。
【0048】
次に、図2C及び図2Dに示したように、半導体基板110の一面にエミッタ層を、詳しく言えば、多孔性膜112と半導体基板110の境界の部分にエミッタ層116を形成する。
【0049】
即ち、図2Cに示したように、スプレー法でリン含有化合物を多孔性膜112に噴射した後、図2Dに示したように、高温熱処理によってリンを拡散させて、n型のエミッタ層116を形成する。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、リン以外の多様な物質をドーパントとして使用できる。
【0050】
本実施例では、高温熱処理によって、多孔性膜112の密度が高まり、これにより多孔性膜112は、反射防止膜として機能できるようになる。
【0051】
次に、図2Eに示したように、半導体基板110の後面に、後面電極118と後面電界層120を形成する。
【0052】
次に、図2Fに示したように、エミッタ層116に電気的に連結される前面電極122を形成する。この前面電極122は、多孔性膜112の上に導電性物質を含有するペースト、例えば、銀を含むペーストを所定のパターンに塗布した後、熱処理して形成される。熱処理中、導電性ペースト下部の多孔性膜112が除去されて前面電極122とエミッタ層116が接触し、前面電極122とエミッタ層116が、電気的に連結される。
【0053】
このような製造方法によって、製造された太陽電池において、多孔性膜112は、半導体基板110及びエミッタ層116と異なる物質であり、反射防止膜として機能できる物質で構成される。つまり、多孔性膜112は、p-n接合特性を向上させ、また、反射防止膜として機能し、反射防止膜を別途に要せず、工程を単純化できる。
【0054】
以上説明したように、本発明は太陽電池とその製造方法に関し、特に効率を向上できる構造の太陽電池及びその製造方法に関する。
【0055】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0056】
例えば、上述した実施形態においては、多孔性膜が反射防止膜として機能することを説明したが、これとは異なるエミッタ層を形成した後、多孔性膜を除去可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1A】本発明の一実施例による太陽電池製造方法の工程を示した断面図である。
【図1B】本発明の一実施例による太陽電池製造方法の工程を示した断面図である。
【図1C】本発明の一実施例による太陽電池製造方法の工程を示した断面図である。
【図1D】本発明の一実施例による太陽電池製造方法の工程を示した断面図である。
【図1E】本発明の一実施例による太陽電池製造方法の工程を示した断面図である。
【図1F】本発明の一実施例による太陽電池製造方法の工程を示した断面図である。
【図2A】本発明の他の実施例による太陽電池製造方法の工程を示した断面図である。
【図2B】本発明の他の実施例による太陽電池製造方法の工程を示した断面図である。
【図2C】本発明の他の実施例による太陽電池製造方法の工程を示した断面図である。
【図2D】本発明の他の実施例による太陽電池製造方法の工程を示した断面図である。
【図2E】本発明の他の実施例による太陽電池製造方法の工程を示した断面図である。
【図2F】本発明の他の実施例による太陽電池製造方法の工程を示した断面図である。
【符号の説明】
【0058】
10,110 半導体基板
12,112 多孔性膜
16,116 エミッタ層
14 リン含有化合物
18,118 後面電極
20,120 後面電界層
22,122 前面電極
【技術分野】
【0001】
本発明は太陽電池とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は太陽エネルギーから電気エネルギーを生成する電池である。太陽電池は環境に優しくエネルギー源が無限である。また、寿命が長い長所を有している。太陽電池の種類としては、シリコン太陽電池、染料感応太陽電池などがある。
【0003】
シリコン太陽電池は、p-n接合を形成する互いに異なる導電型の半導体基板とエミッタ層、このエミッタ層に電気的に連結する前面電極、及び半導体基板に電気的に連結する後面電極を含んで構成される。
【0004】
一般に、前記エミッタ層は、高温拡散法、印刷法、スプレー法によって形成される。高温拡散法は、拡散炉を用いるため生産性が落ち、大型には不向きである。印刷法は、高価な材料を用いるため、材料損失が多く、生産性が落ちる。スプレー法は、ドーパント含有化合物を半導体基板の表面に噴霧した後、高温熱処理でドーパントを拡散させる方法によりエミッタ層を形成する方法である。このスプレー法は、他の方法に比べて生産性に優れている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記スプレー法に用いられるドーパント含有化合物は、親水性である反面、半導体基板は疎水性である。従って、半導体基板上にドーパント含有化合物が十分に形成されないという問題があった。また、高温熱処理過程でドーパント含有化合物が気化するため、ドーパントが半導体基板に十分に拡散できない。従って、適切な濃度のエミッタ層を形成することが困難なため、p-n接合の特性が落ちるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的は、p-n接合特性を向上させることが可能な、新規かつ改良された太陽電池およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、半導体基板の一面に多孔性膜を形成する段階と、前記多孔性膜にドーパントを含有する化合物を噴射する段階と、前記ドーパントを拡散させて、前記半導体基板の一面にエミッタ層を形成する段階と、を含むことを特徴とする、太陽電池の製造方法が提供される。
【0008】
上記のドーパントは、熱処理によって、多孔性膜から半導体基板まで拡散してもよい。
【0009】
上記の多孔性膜は、半導体基板の一面で行われる化学的処理によって形成され、半導体基板と同一物質で構成されてもよい。
【0010】
上記の化学的処理は、フッ酸処理であってもよい。
【0011】
上記の多孔性膜は、シリコンを含んでもよい。多孔性膜を形成する物質がシリコンの場合、エネルギーバンドギャップが異なって、既存のシリコン太陽電池で使用できなかった光領域まで用いることができるため、その効果が大きい。
【0012】
上記の多孔性膜は、蒸着法または印刷法によって形成されてもよい。
【0013】
上記の多孔性膜は、シリコン、酸化チタン、酸化シリコン、及び窒化シリコンからなる群より選択される少なくとも何れか一つの物質を含んでもよい。
【0014】
上記のエミッタ層を形成する段階以降に、多孔性膜を除去する段階を更に含んでもよい。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、半導体基板と、半導体基板の一面に形成されたエミッタ層と、エミッタ層上に形成され、太陽光の反射を防止する多孔性膜と、を含む太陽電池が提供される。
【0016】
上記の多孔性膜とエミッタ層とは、同一物質で構成されてもよい。
【0017】
上記の多孔性膜は、シリコンを含んでもよい。
【0018】
上記の多孔性膜とエミッタ層とは、互いに異なる物質で構成されてもよい。
【0019】
上記の多孔性膜は、酸化チタン、酸化シリコン、及び窒化シリコンからなる群より選択される少なくとも何れか一つの物質を含んでもよい。
【0020】
上記のエミッタ層に電気的に連結する第1電極と、上記の半導体基板に電気的に連結する第2電極と、を更に含んでもよい。
【0021】
本発明は、かかる手段を用いることにより、半導体基板に十分量のドーパントを拡散させることができ、p-n接合特性を向上させることが可能である。
【発明の効果】
【0022】
本発明による太陽電池の製造方法によれば、多孔性膜がドーパント含有化合物を十分に保存でき、高温熱処理時のドーパント含有化合物の気化を防止し、十分量のドーパントを半導体基板に拡散できる。これにより、適切な濃度のエミッタ部を形成することができ、結果的にp-n接合の特性を向上させて、製造された太陽電池の特性を向上できる。
【0023】
また、エミッタ層の形成にスプレー方法を適用して、工程を単純化し、生産性を向上でき、多様の後面構造を有する太陽電池を製造できる。
【0024】
一方、本発明による太陽電池は、多孔性膜を形成して、短波長領域の光を利用でき、太陽光の利用比率を画期的に向上させ、太陽光の反射を防止できるため、太陽電池の効率を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0026】
図1A〜図1Fは、本発明の一実施例による太陽電池製造方法の工程を示した断面図である。
【0027】
まず、図1Aに示したように、シリコンで形成されたp型の半導体基板10を準備する。しかし、本発明がこれに限定されるものではない。つまり、n型の半導体基板でもよく、シリコン以外の多様な半導体物質で構成される半導体基板を準備してもよい。
【0028】
太陽電池の特性を向上させるために、前処理を行うこともできる。前処理では、アルカリ水溶液または混合酸溶液を用いて、半導体基板10をエッチングして不純物を除去する。エッチングによって、半導体基板10の損傷した部分が除去されて、半導体基板10の表面に微細な凹凸が形成される。従って、太陽光の損失を低減できる。
【0029】
次に、図1Bに示したように、半導体基板10の一面に多孔性膜12を形成する。本実施例では、半導体基板10の一面に多孔性を与える化学的処理をして、多孔性膜12を形成する。このような化学的処理としては、例えばフッ酸処理などがある。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明に多孔性を与える多様な方法を利用して、多孔性膜を形成することができる。
【0030】
この時、多孔性膜12は、半導体基板10と実質的に同一物質で構成される。しかし、半導体基板10とは異なって、多孔性シリコンで形成されているため、半導体基板10とはエネルギーバンドギャップが異なる。
【0031】
次に、図1C及び図1Dに示したように、半導体基板10の一面に、詳しく言えば、多孔性膜12と半導体基板10の境界の部分に、エミッタ層16を形成する。
【0032】
図1Cに示したように、スプレー法で、リン含有化合物14を多孔性膜12に噴射する。
【0033】
多孔性膜12に噴射されたリン含有化合物14が、多孔性膜12の表面と気孔に保存される。従って、半導体基板10が疎水性特性を有する場合にも、十分な量のリン含有化合物14が多孔性膜12に保存される。
【0034】
本実施例では、n型のエミッタ層16を形成するためにドーパントとしてリンを用いたが、本発明がこれに限定されず、リン以外の多様な物質をドーパントとして用いることができる。また、エミッタ層16の導電型と半導体基板10の導電型とは、互いに異なる型を用いてもよいため、例えばn型半導体基板が用いられる場合には、p型のエミッタ層を形成してもよい。
【0035】
次に、図1Dに示したように、例えば高温熱処理により、多孔性膜から半導体基板10にリンを拡散させて、n型のエミッタ層16を形成する。赤外線ランプを利用して、高温熱処理ができ、その他にも多様な方法が適用される。この時、リンが多孔性膜12にも残留するため、多孔性膜12は、エミッタ層16と実質的に同一物質、つまり、リンがドーピングされたシリコンで構成される。
【0036】
本実施例では、多孔性膜12にリン含有化合物が十分に保存されているため、半導体基板10により多くの量のドーパントを拡散できる。また、半導体基板10の前面に形成された多孔性膜12が、高温熱処理中リン含有化合物14の気化を防止して、半導体基板10に拡散するドーパント量を増加できる。従って、所望の濃度のエミッタ層16を形成することができ、p-n接合の特性を向上できる。
【0037】
本実施例では、スプレー法を利用するため、半導体基板10の前面にだけ、エミッタ層16を形成することができる。つまり、前面だけでなく、側面及び後面にエミッタ層が形成され、前面と後面を短絡させる工程が必要な高温拡散法などの方法に比べて、工程を単純化できる。また、後面のエミッタ層を除去するための補正工程を要せず、太陽電池に多様な後面構造を適用できる。
【0038】
次に、図1Eに示したように、半導体基板10の後面に、アルミニウムペーストをスクリーン印刷した後に熱処理して、半導体基板10に電気的に連結する後面電極18を形成する。しかし、本発明はこれに限定されず、後面電極18が多様な物質で形成でき、これらも本発明の範囲に属する。
【0039】
この時、熱処理によって、アルミニウムが半導体基板10の後面に所定の厚さで拡散され、p+型の後面電界層20が形成される。この後面電界層20は、光励起された電子が半導体基板10の後面に移動することを防止する役割を果たす。
【0040】
次に、図1Fに示したように、多孔性膜12の上で、エミッタ層16に電気的に連結する前面電極22を形成する。この前面電極22は、例えば導電性ペーストを任意のパターンで塗布した後、熱処理して形成でき、例えば、銀(Ag)で形成できる。前述したように、ドーパントがエミッタ層16に拡散した後にも、多孔性膜12にドーパントが残留するため、多孔性膜12とエミッタ層16が、実質的に同一物質で構成される。従って、多孔性膜12の上に前面電極22が形成されても、前面電極22とエミッタ層16が電気的に連結される。
【0041】
上記のような製造方法によって製造された太陽電池は、半導体基板10、この半導体基板10の前面に形成されるエミッタ層16、多孔性膜12及び前面電極22、また、半導体基板10の後面に形成される後面電極18を含んで構成される。多孔性膜12は多孔性シリコンで構成される。
【0042】
この時、半導体基板10及びエミッタ層16を形成する非多孔性シリコンのエネルギーバンドギャップと多孔性膜12を形成する多孔性シリコンのエネルギーバンドギャップが互いに異なるため、従来使用できなかった短波長領域帯の太陽光を利用できる。従って、太陽光の利用比率を画期的に向上できる。
【0043】
また、多孔性膜12の皴(しわ)形成効果によって、前面反射率を約1%水準まで低くでき、それにより太陽電池の受光効率を向上できる。このように、本実施例では、多孔性膜12が反射防止効果を有するため、別途の反射防止膜を要しないが、場合によっては反射防止膜をさらに形成することができ、これも本発明の範囲に属する。
【0044】
以下、本発明の他の実施例による太陽電池の製造方法及びこれによる太陽電池を、詳細に説明する。前記実施例と同一または類似する工程については、詳細な説明を省略して、異なる部分だけ詳細に説明する。
【0045】
図2A〜図2Fは、本発明の他の実施例による太陽電池製造方法の工程を示した断面図である。
【0046】
図2Aに示したように、シリコンで形成されたp型の半導体基板110を準備する。
【0047】
次に、図2Bに示したように、半導体基板110の一面に、蒸着法または印刷法で、多孔性膜112を形成する。ここで、多孔性膜112は、酸化チタン、酸化シリコン、窒化シリコンなどで形成できる。多孔性膜112は、半導体基板110と相異する物質で構成されるため、以下、説明するエミッタ層とも相異する物質で構成される。
【0048】
次に、図2C及び図2Dに示したように、半導体基板110の一面にエミッタ層を、詳しく言えば、多孔性膜112と半導体基板110の境界の部分にエミッタ層116を形成する。
【0049】
即ち、図2Cに示したように、スプレー法でリン含有化合物を多孔性膜112に噴射した後、図2Dに示したように、高温熱処理によってリンを拡散させて、n型のエミッタ層116を形成する。しかし、本発明がこれに限定されるものではなく、リン以外の多様な物質をドーパントとして使用できる。
【0050】
本実施例では、高温熱処理によって、多孔性膜112の密度が高まり、これにより多孔性膜112は、反射防止膜として機能できるようになる。
【0051】
次に、図2Eに示したように、半導体基板110の後面に、後面電極118と後面電界層120を形成する。
【0052】
次に、図2Fに示したように、エミッタ層116に電気的に連結される前面電極122を形成する。この前面電極122は、多孔性膜112の上に導電性物質を含有するペースト、例えば、銀を含むペーストを所定のパターンに塗布した後、熱処理して形成される。熱処理中、導電性ペースト下部の多孔性膜112が除去されて前面電極122とエミッタ層116が接触し、前面電極122とエミッタ層116が、電気的に連結される。
【0053】
このような製造方法によって、製造された太陽電池において、多孔性膜112は、半導体基板110及びエミッタ層116と異なる物質であり、反射防止膜として機能できる物質で構成される。つまり、多孔性膜112は、p-n接合特性を向上させ、また、反射防止膜として機能し、反射防止膜を別途に要せず、工程を単純化できる。
【0054】
以上説明したように、本発明は太陽電池とその製造方法に関し、特に効率を向上できる構造の太陽電池及びその製造方法に関する。
【0055】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0056】
例えば、上述した実施形態においては、多孔性膜が反射防止膜として機能することを説明したが、これとは異なるエミッタ層を形成した後、多孔性膜を除去可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1A】本発明の一実施例による太陽電池製造方法の工程を示した断面図である。
【図1B】本発明の一実施例による太陽電池製造方法の工程を示した断面図である。
【図1C】本発明の一実施例による太陽電池製造方法の工程を示した断面図である。
【図1D】本発明の一実施例による太陽電池製造方法の工程を示した断面図である。
【図1E】本発明の一実施例による太陽電池製造方法の工程を示した断面図である。
【図1F】本発明の一実施例による太陽電池製造方法の工程を示した断面図である。
【図2A】本発明の他の実施例による太陽電池製造方法の工程を示した断面図である。
【図2B】本発明の他の実施例による太陽電池製造方法の工程を示した断面図である。
【図2C】本発明の他の実施例による太陽電池製造方法の工程を示した断面図である。
【図2D】本発明の他の実施例による太陽電池製造方法の工程を示した断面図である。
【図2E】本発明の他の実施例による太陽電池製造方法の工程を示した断面図である。
【図2F】本発明の他の実施例による太陽電池製造方法の工程を示した断面図である。
【符号の説明】
【0058】
10,110 半導体基板
12,112 多孔性膜
16,116 エミッタ層
14 リン含有化合物
18,118 後面電極
20,120 後面電界層
22,122 前面電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の一面に多孔性膜を形成する段階と、
前記多孔性膜にドーパントを含有する化合物を噴射する段階と、
前記ドーパントを拡散させて、前記半導体基板の一面にエミッタ層を形成する段階と、
を含むことを特徴とする、太陽電池の製造方法。
【請求項2】
前記ドーパントは、熱処理によって、前記多孔性膜から前記半導体基板まで拡散することを特徴とする、請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項3】
前記多孔性膜は、前記半導体基板の一面で行われる化学的処理によって形成され、前記半導体基板と同一物質で構成されることを特徴とする、請求項1または2に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項4】
前記化学的処理は、フッ酸処理であることを特徴とする、請求項3に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項5】
前記多孔性膜は、シリコンを含むことを特徴とする、請求項3に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項6】
前記多孔性膜は、蒸着法または印刷法によって形成されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の太陽電池の製造方法。
【請求項7】
前記多孔性膜は、シリコン、酸化チタン、酸化シリコン、及び窒化シリコンからなる群より選択される少なくとも何れか一つの物質を含むことを特徴とする、請求項6に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項8】
前記エミッタ層を形成する段階以降に、前記多孔性膜を除去する段階を更に含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の太陽電池の製造方法。
【請求項9】
半導体基板と、
前記半導体基板の一面に形成されたエミッタ層と、
前記エミッタ層上に形成され、太陽光の反射を防止する多孔性膜と、
を含むことを特徴とする、太陽電池。
【請求項10】
前記多孔性膜と前記エミッタ層とは、同一物質で構成されることを特徴とする、請求項9に記載の太陽電池。
【請求項11】
前記多孔性膜は、シリコンを含むことを特徴とする、請求項10に記載の太陽電池。
【請求項12】
前記多孔性膜と前記エミッタ層とは、互いに異なる物質で構成されることを特徴とする、請求項9に記載の太陽電池。
【請求項13】
前記多孔性膜は、酸化チタン、酸化シリコン、及び窒化シリコンからなる群より選択される少なくとも何れか一つの物質を含むことを特徴とする、請求項12に記載の太陽電池。
【請求項14】
前記エミッタ層に電気的に連結する第1電極と、
前記半導体基板に電気的に連結する第2電極と、
を更に含むことを特徴とする、請求項9〜13のいずれかに記載の太陽電池。
【請求項1】
半導体基板の一面に多孔性膜を形成する段階と、
前記多孔性膜にドーパントを含有する化合物を噴射する段階と、
前記ドーパントを拡散させて、前記半導体基板の一面にエミッタ層を形成する段階と、
を含むことを特徴とする、太陽電池の製造方法。
【請求項2】
前記ドーパントは、熱処理によって、前記多孔性膜から前記半導体基板まで拡散することを特徴とする、請求項1に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項3】
前記多孔性膜は、前記半導体基板の一面で行われる化学的処理によって形成され、前記半導体基板と同一物質で構成されることを特徴とする、請求項1または2に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項4】
前記化学的処理は、フッ酸処理であることを特徴とする、請求項3に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項5】
前記多孔性膜は、シリコンを含むことを特徴とする、請求項3に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項6】
前記多孔性膜は、蒸着法または印刷法によって形成されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の太陽電池の製造方法。
【請求項7】
前記多孔性膜は、シリコン、酸化チタン、酸化シリコン、及び窒化シリコンからなる群より選択される少なくとも何れか一つの物質を含むことを特徴とする、請求項6に記載の太陽電池の製造方法。
【請求項8】
前記エミッタ層を形成する段階以降に、前記多孔性膜を除去する段階を更に含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の太陽電池の製造方法。
【請求項9】
半導体基板と、
前記半導体基板の一面に形成されたエミッタ層と、
前記エミッタ層上に形成され、太陽光の反射を防止する多孔性膜と、
を含むことを特徴とする、太陽電池。
【請求項10】
前記多孔性膜と前記エミッタ層とは、同一物質で構成されることを特徴とする、請求項9に記載の太陽電池。
【請求項11】
前記多孔性膜は、シリコンを含むことを特徴とする、請求項10に記載の太陽電池。
【請求項12】
前記多孔性膜と前記エミッタ層とは、互いに異なる物質で構成されることを特徴とする、請求項9に記載の太陽電池。
【請求項13】
前記多孔性膜は、酸化チタン、酸化シリコン、及び窒化シリコンからなる群より選択される少なくとも何れか一つの物質を含むことを特徴とする、請求項12に記載の太陽電池。
【請求項14】
前記エミッタ層に電気的に連結する第1電極と、
前記半導体基板に電気的に連結する第2電極と、
を更に含むことを特徴とする、請求項9〜13のいずれかに記載の太陽電池。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【公開番号】特開2007−281448(P2007−281448A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−67884(P2007−67884)
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月16日(2007.3.16)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】
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