説明

太陽電池モジュールの製造方法、太陽電池モジュール用導電体接続用部材及び太陽電池モジュール

【課題】太陽電池セル間の接続工程の簡略化を図ることができ、優れた接続信頼性を得ることを可能とする導電体接続用部材および導電体接続用部材を用いた太陽電池モジュールの製造方法を提供する。
【解決手段】主面の少なくとも一方に粗化面1aまたは粗化面1bを有する金属箔1と、金属箔1の粗化面1aまたは粗化面1b上に形成された接着剤層2または接着剤層3とを備える導電体接続用部材10を、太陽電池セル間の接続の接続に用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電体接続用部材、接続構造及び太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池モジュールは、複数の太陽電池セルがその表面電極に電気的に接続された配線部材を介して直列及び/又は並列に接続された構造を有している。そして、電極と配線部材との接続には、従来、はんだが用いられてきた(例えば、特許文献1を参照)。はんだは、導通性、固着強度等の接続信頼性に優れ、安価で汎用性があることから広く用いられている。
【0003】
一方、環境保護の観点などから、はんだを使用しない配線の接続方法が検討されている。例えば、下記特許文献2及び3には、ペースト状やフィルム状の導電性接着剤を用いた接続方法が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−204256号公報
【特許文献2】特開2000−286436号公報
【特許文献3】特開2005−101519号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたはんだを用いた接続方法では、はんだの溶融温度が通常230〜260℃程度であることから、接続に伴う高温やはんだの体積収縮が太陽電池セルの半導体構造に悪影響を及ぼし、作製された太陽電池モジュールの特性劣化が生じやすい。さらには、最近の半導体基板の薄型化により、セルの割れや反りがより一層発生しやすくなっている。また、はんだによる接続は、電極及び配線部材間の距離を制御することが困難であるため、パッケージングの際の寸法精度を十分に得ることが難しい。十分な寸法精度が得られないと、パッケージングプロセスの際に、製品の歩留まりの低下につながる。
【0006】
一方、特許文献2及び3に記載されているような導電性接着剤を用いて電極と配線部材との接続を行う手法は、はんだを用いる場合に比べて低温での接着が可能であることから、高温で加熱されることによる太陽電池セルへの悪影響を抑制することができると考えられる。しかし、この手法によって太陽電池モジュールを作製するには、先ず、太陽電池セルの電極上にペースト状或いはフィルム状の導電性接着剤を塗布或いは積層することにより接着剤層を形成し、次いで、形成された接着剤層に配線部材を位置合わせしてから接着するという工程を、すべての電極について繰返す必要がある。そのため、接続工程が煩雑化して太陽電池モジュールの生産性が低下するという問題があった。また、特許文献2及び3に記載の方法は、被着体の表面状態の影響が考慮されておらず、十分な接続信頼性(特には高温高湿下での接続信頼性)が得られない場合があった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、互いに離れている導電体同士を電気的に接続する場合の接続工程の簡略化を図ることができるとともに優れた接続信頼性を得ることを可能とする導電体接続用部材を提供することを目的とする。また、本発明は、優れた生産性と高い接続信頼性とを両立できる接続構造及び太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、主面の少なくとも一方に粗化面を有する金属箔と、該金属箔の粗化面上に形成された接着剤層とを備える導電体接続用部材を提供する。
【0009】
本発明の導電体接続用部材によれば、導電体接続用部材の一部を、接続すべき導電体に粗化面が対向するように配置し、これを対向する方向に加熱加圧し、これと同様にして、導電体接続用部材の別の部分と他の導電体とを加熱加圧することにより、金属箔及び各導電体を電気的に接続し且つ接着することができ、互いに離れている導電体同士を電気的に接続する場合の接続工程の簡略化を図ることができるとともに優れた接続信頼性を得ることが可能となる。
【0010】
上記の効果が得られる理由としては、本発明の導電体接続用部材が上記構成を有することにより、導電体と、各導電体を電気的に接続する配線部材としての役割を有する金属箔との間に厚みを制御した接着剤層を容易に配設することができ、良好な接着が可能となること、はんだを用いる場合に比べてより低温(特には、200℃以下)で導電体と金属箔とを接続することができ、導電体が設けられている基材の割れや反りなどを十分に抑制することができこと、及び、金属箔の粗化面の突起により導電体と金属箔との導通が得られやすくなることで導電体の表面状態の影響が低減されることによるものと本発明者らは考えている。
【0011】
本発明の導電体用接続部材において、導電体と金属箔との導電性を向上させる観点から、接着剤層が形成されている上記粗化面の最大高さをRy(μm)としたときに、接着剤層の厚みt(μm)が、Ryの3倍以下であることが好ましい。
【0012】
本明細書において、最大高さとは、JIS−B0601−1994に準拠して導出される値であり、超深度形状測定顕微鏡(例えば、KEYENCES社製、超深度形状測定顕微鏡「VK−8510」など)による観察と、画像計測・解析ソフトによる算出とにより導出される。また、接着剤層の厚さは、マイクロメータにより測定される値である。
【0013】
また、本発明の導電体用接続部材において、接着剤層が潜在性硬化剤を含むことが好ましい。
【0014】
更に、本発明の導電体用接続部材において、接着剤層が導電粒子を含むことが好ましい。
【0015】
また、上記接着剤層が導電粒子を含み、接着剤層が形成されている上記粗化面の最大高さをRy(μm)としたときに、導電粒子の平均粒径D(μm)がRy以下であることが好ましい。このような場合、接続時に接触点数を増やして低抵抗化の効果を得ることや、接続部に気泡の混入を防止することで接続信頼性を更に向上させることが可能となる。
【0016】
また、上記接着剤層が導電粒子を含む場合、接着剤層が形成されている上記粗化面の十点平均粗さをRza(μm)とし、接続される導電体の接着剤層と接する面の十点平均粗さをRzb(μm)としたときに、導電粒子の最大粒径rmax(μm)がRzaとRzbとの和以下であることが好ましい。導電粒子の最大粒径を、接続すべき導電体の表面粗さ及び金属箔の表面粗さに応じて上記のように設定することで、より広い粒径分布を有する導電粒子を用いながら十分な接着性と優れた導電性を得ることが可能となり、この種の用途に多用される均一粒径の導電粒子を用いる場合に比べてより低コストで接続信頼性の向上を図ることができる。
【0017】
本明細書において、十点平均粗さとは、JIS−B0601−1994に準拠して導出される値であり、超深度形状測定顕微鏡(例えば、KEYENCES社製、超深度形状測定顕微鏡「VK−8510」など)による観察と、画像計測・解析ソフトによる算出とにより導出される。
【0018】
また、本発明の導電体用接続部材においては、更に高水準の接続信頼性を達成する観点から、上記接着剤層が潜在性硬化剤及び導電粒子を含み、接着剤層が形成されている粗化面の最大高さをRy(μm)としたときに、導電粒子の平均粒径D(μm)がRy以下であり、且つ、接着剤層が形成されている粗化面の十点平均粗さをRza(μm)とし、接続される導電体の接着剤層と接する面の十点平均粗さをRzb(μm)としたときに、導電粒子の最大粒径rmax(μm)がRzaとRzbとの和以下であることが好ましい。
【0019】
また、上記接着剤層が潜在性硬化剤を含む場合、接着剤層が形成されている上記粗化面の最大高さをRy(μm)としたときに、潜在性硬化剤の平均粒径Dc(μm)がRy以下であることが好ましい。潜在性硬化剤の平均粒径を粗化面の最大高さ以下とすることにより、保管中の導電体接続用部材に圧力がかかったときに潜在性硬化剤の機能が低下してしまうことを抑制でき、導電体接続用部材の保存安定性を十分確保しつつ接着性の向上を図ることが可能となる。特に、上記の条件は、導電体接続用部材をテープ巻重体とする場合の保存安定性の確保に有効である。
【0020】
本発明の導電体接続用部材において、上記金属箔が帯状であることが好ましい。この場合、接続部に合わせた一定幅にしやすくなり、また長さ方向に連続させると接続時の自動化が容易となるなど、接続工程の簡略化に有効な効果を得ることができる。
【0021】
また、本発明の導電体接続用部材において、導電性や耐腐食性、可撓性などの観点から、金属箔が、Cu、Ag、Au、Fe、Ni、Pb、Zn、Co、Ti、Mg、Sn及びAlから選ばれる1つ以上の金属を含むものであることが好ましい。
【0022】
また、本発明の導電体接続用部材において、接着剤層の形成容易性や加工時の粗さ保持性などの観点から、上記粗化面の十点平均粗さRza(μm)が30μm以下であることが好ましい。
【0023】
また、本発明は、上記本発明の導電体接続用部材と導電体とを、導電体接続用部材の粗化面及び導電体が接着剤層を介して対向するように配置し、これらを加熱加圧することにより得られる、金属箔と導電体とが電気的に接続されているとともに接着された接続構造を提供する。
【0024】
本発明の接続構造によれば、本発明の導電体接続用部材によって導電体に配線部材としての金属箔が電気的に接続されているので、接続工程が簡略化でき且つ優れた接続信頼性を得ることができる。このような本発明の接続構造を、配線接続を必要とする電気・電子部品(特には太陽電池モジュール)に適用すれば、部品の生産性の向上及び接続信頼性の向上を実現することが可能となる。
【0025】
本発明に接続構造において、導電体の金属箔と接続される面が表面粗さを有し、導電体の表面粗さ部の突起と、金属箔の粗化面の突起とが接触していることが好ましい。
【0026】
また、本発明は、表面電極を有する複数の太陽電池セルを備える太陽電池モジュールであって、太陽電池セル同士が、表面電極に接着部材で接着された金属箔を介して電気的に接続されており、金属箔の表面電極と接する面が粗化面であり、金属箔が、上記本発明の導電体接続用部材により設けられている太陽電池モジュールを提供する。
【0027】
本発明の太陽電池モジュールによれば、本発明の導電体接続用部材により設けられた金属箔を介して太陽電池セル同士が接続されていることにより、製造が容易であり且つ優れた接続信頼性を得ることができる。したがって、本発明の太陽電池モジュールによれば、優れた生産性と高い接続信頼性とを両立することができる。
【0028】
また、本発明の太陽電池モジュールにおいて、金属箔の、表面電極と接する面以外の一部又は全部が、樹脂で被覆されていることが好ましい。この場合、金属箔と他の導電部材との接触による電気的な短絡(ショート)を有効に防止することができ、また、金属箔の腐食を防止できることにより金属箔の耐久性を向上させることができる。
【0029】
また、本発明の太陽電池モジュールが、太陽電池セル同士を、両主面に粗化面を有する金属箔の両粗化面上に接着剤層が設けられた上記導電体接続用部材によって直列に接続してなるものである場合、それぞれの接着剤層が、金属箔と電極とを接着する機能、及び、金属箔を被覆する樹脂としての機能を兼ねることができ、このような太陽電池モジュールは高信頼性でありながら製造しやすいものとなり得る。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、互いに離れている導電体同士を電気的に接続する場合の接続工程の簡略化を図ることができるとともに優れた接続信頼性を得ることを可能とする導電体接続用部材を提供することができる。また、本発明によれば、優れた生産性と高い接続信頼性とを両立できる接続構造及び太陽電池モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る導電体接続用部材の一実施形態を示す模式断面図である。
【図2】本発明に係る導電体接続用部材の他の実施形態を示す模式断面図である。
【図3】接続される電極の表面粗さ及び金属箔の粗化面の表面粗さと、接着剤層の厚みとの関係を説明するための図である。
【図4】接続される電極の表面粗さ及び金属箔の粗化面の表面粗さと、接着剤層の厚みとの関係を説明するための図である。
【図5】接続される電極の表面粗さ及び金属箔の粗化面の表面粗さと、接着剤層の厚みとの関係を説明するための図である。
【図6】実施形態に係る接続構造を示す模式断面図である。
【図7】実施形態に係る太陽電池モジュールの要部を示す模式図である。
【図8】実施形態に係る太陽電池モジュールの一部を示す模式断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0033】
図1は、本発明の導電体接続用部材の一実施形態を示す模式断面図である。図1に示す導電体接続用部材10は、両主面が粗化面1a,1bである帯状の金属箔1と、金属箔の両粗化面上に設けられた第1の接着剤層2及び第2の接着剤層3とを備えるものであり、接着剤付き金属箔テープの形態を有している。また、図2は、本発明の導電体接続用部材の別の実施形態を示す模式断面図である。図2に示す導電体接続用部材20は、主面の一方が粗化面1aである帯状の金属箔1と、金属箔の粗化面上に設けられた第1の接着剤層2とを備えるものである。また、導電体接続用部材20の接着剤層2は、潜在性硬化剤4と導電粒子5とを含んでいる。
【0034】
金属箔の両面に接着剤層が設けられている導電体接続用部材10は、後述する太陽電池モジュールを作製する場合に、太陽電池セルの表面電極と、隣の太陽電池セルの裏面に設けられた表面電極(裏面電極)とを接続する接続工程を容易に行うことができる。すなわち、両面に接着剤層が設けられているので、導電体接続用部材を反転させることなく表面電極と裏面電極との接続が可能となる。また、電極との接続に関与しない接着剤層は、金属箔の被覆材として機能することで、金属箔と他の導電部材との接触による電気的な短絡(ショート)を有効に防止することができ、また、金属箔の腐食を防止できることにより金属箔の耐久性を向上させることができる。このような効果は、導電体接続用部材10を同一面上に設けられた導電体同士を接続する場合に用いても得ることができる。
【0035】
一方、金属箔の片面に接着剤層が設けられている導電体接続用部材20は、部材の作製が容易であり、コストの点で優れており、同一面上に設けられた導電体同士を接続する場合などに好適である。
【0036】
導電体接続用部材10、20は、接着剤付き金属箔テープの形態を有しており、テープとして巻重する場合、離型紙などのセパレータを接着剤層の面上に設けるか、導電体接続用部材20の場合には金属箔1の背面にシリコン等の背面処理剤層を設けることが好ましい。
【0037】
金属箔1としては、例えば、Cu、Ag、Au、Fe、Ni、Pb、Zn、Co、Ti、Mg、Sn及びAlから選ばれる1つ以上の金属を含むもの、及びこれらを積層したものが挙げられる。本実施形態においては、導電性に優れていることから、銅箔及びアルミ箔が好ましい。
【0038】
金属箔1の粗化面は、例えば、研磨粉やロールなどによる物理的な方法、エッチング等の化学的な方法などの公知の表面粗化方法により設けることができる。
【0039】
金属箔1の厚みは、5〜150μm程度とすることができる。本実施形態の導電体接続用部材をテープとして巻重する場合は、変形性や取り扱い性の点で、金属箔の厚みが20〜100μm程度であることが好ましい。なお、金属箔の厚みが薄く、強度が不足する場合は、プラスチックフィルム等による補強を行うことができる。
【0040】
本実施形態において用いられる金属箔としては、電気化学的に不規則な微細な凹凸を設けた一般的に電解箔と呼ばれるものが入手の容易性から好適である。特に、プリント配線板の材料である銅張り積層板に用いる電解銅箔が、汎用材料として入手が容易で経済的にも好適である。この電解銅箔は、突起部の底辺の面積が平均10〜500μm程度であるものが一般的である。
【0041】
粗化面の粗さについては、特に限定されないが、粗さが大きくなると接着剤層の形成が難しくなったり、加工時に粗さを十分保持することが困難となったりする傾向にあり、粗さが小さくなりすぎると十分な導電性が得られにくくなるため、最大高さRyが3μm〜35μmであることが好ましい。また、粗化面の最大高さRyは、接着剤層の形成容易性や加工時の粗さ保持性の観点から、30μm以下が好ましく、25μm以下がより好ましい。粗化面の好適な粗さを十点平均粗さで設定する場合、粗化面十点平均粗さRzaは30μm以下が好ましく、25μm以下がより好ましく、15μm以下がさらにより好ましい。
【0042】
接着剤層2、3としては、熱可塑性材料や、熱や光により硬化性を示す硬化性材料を含んで形成されるものが広く適用できる。本実施形態においては、接続後の耐熱性や耐湿性に優れることから、接着剤層が硬化性材料を含むことが好ましい。硬化性材料としては、熱硬化性樹脂が挙げられ、公知のものを使用できる。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、等が挙げられる。その中でも、接続信頼性の観点から、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、及びアクリル樹脂のうちの少なくとも1つが接着剤層に含有されることが好ましい。
【0043】
また、接着剤層2、3は、熱硬化性樹脂と、この熱硬化性樹脂の潜在性硬化剤とを含むことが好ましい。潜在性硬化剤は、熱及び/又は圧力による反応開始の活性点が比較的明瞭であり、加熱加圧工程を伴う接続方法に好適である。更に、接着剤層2、3は、エポキシ樹脂と、エポキシ樹脂の潜在性硬化剤とを含むことがより好ましい。潜在性硬化剤を含有したエポキシ系接着剤から形成される接着剤層は、短時間硬化が可能で接続作業性が良く、分子構造上接着性に優れるので特に好ましい。
【0044】
上記エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、ハロゲン化されていてもよく、水素添加されていてもよい。これらのエポキシ樹脂は、2種以上を併用してもよい。
【0045】
潜在性硬化剤としては、アニオン重合性の触媒型硬化剤、カチオン重合性の触媒型硬化剤、重付加型の硬化剤等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上の混合物として使用できる。これらのうち、速硬化性において優れ、化学当量的な考慮が不要である点からは、アニオン又はカチオン重合性の触媒型硬化剤が好ましい。
【0046】
アニオン又はカチオン重合性の触媒型硬化剤としては、例えば、第3級アミン類、イミダゾール類、ヒドラジド系化合物、三フッ化ホウ素−アミン錯体、オニウム塩(スルホニウム塩、アンモニウム塩等)、アミンイミド、ジアミノマレオニトリル、メラミン及びその誘導体、ポリアミンの塩、ジシアンジアミド等が挙げられ、これらの変成物も用いることが可能である。重付加型の硬化剤としては、ポリアミン類、ポリメルカプタン、ポリフェノール、酸無水物等が挙げられる。
【0047】
アニオン重合性の触媒型硬化剤として第3級アミン類やイミダゾール類を用いた場合、エポキシ樹脂は160℃〜200℃程度の中温で数10秒〜数時間程度の加熱により硬化する。このために可使時間(ポットライフ)が比較的長いので好ましい。
【0048】
カチオン重合性の触媒型硬化剤としては、エネルギー線照射によりエポキシ樹脂を硬化させる感光性オニウム塩(芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩等が主として用いられる)が好ましい。また、エネルギー線照射以外に加熱によって活性化しエポキシ樹脂を硬化させるものとして、脂肪族スルホニウム塩等がある。この種の硬化剤は、速硬化性という特徴を有することから好ましい。
【0049】
これらの硬化剤を、ポリウレタン系、ポリエステル系等の高分子物質や、ニッケル、銅等の金属薄膜及びケイ酸カルシウム等の無機物で被覆してマイクロカプセル化したものは、可使時間が延長できるため好ましい。
【0050】
接着剤層の活性温度は、40〜200℃が好ましく、50〜150℃がより好ましい。活性温度が40℃未満であると、室温(25℃)との温度差が少なく、接続用部材の保存に低温が必要となり、一方、200℃を超えると、接続部分以外の部材に熱影響を与えやすくなる。なお、接着剤層の活性温度は、接着剤層を試料とし、DSC(示差走査熱量計)を用いて、室温から10℃/分で昇温させた時の発熱ピ−ク温度を示す。
【0051】
また、接着剤層の活性温度は、低温側に設定すると反応性は向上するが保存性が低下する傾向にあるので、これらを考慮して決定することが好ましい。すなわち、本実施形態の導電体接続用部材によれば、接着剤層の活性温度以下の熱処理により基板に設けられた導電体上に仮接続することができ、金属箔及び接着剤付き基板を得ることができる。そして、接着剤層の活性温度を上記の範囲に設定することで、接着剤層の保存性を十分確保しつつ、活性温度以上に加熱した場合には信頼性に優れた接続を実現することが容易となる。これにより、仮接続品をまとめて後から一括硬化する等の2段階硬化がより有効に実現可能となる。また、上記のような仮接続品を作製する場合、活性温度以下では硬化反応に伴う接着剤層の粘度上昇がほとんど無いので、電極の微細凹凸への充填性に優れ、製造管理が行い易くなるという効果を得ることができる。
【0052】
本実施形態の導電体接続用部材は、金属箔の粗化面の粗さを利用して厚み方向の導電性を得ることができるが、接続時に凹凸面の数を増やして接触点数を増加させる点から、接着剤層が導電粒子を含有することが好ましい。
【0053】
導電粒子としては、特に限定されるものではないが、例えば、金粒子、銀粒子、銅粒子、ニッケル粒子、金めっきニッケル粒子、金/ニッケルめっきプラスチック粒子、銅めっき粒子、ニッケルめっき粒子等が挙げられる。また、導電粒子は、接続時の被着体表面の凹凸に対する導電粒子の埋め込み性の観点から、毬栗状または球状の粒子形状を有するものが好ましい。すなわち、このような形状の導電粒子は、金属箔や被着体表面の複雑な凹凸形状に対しても埋め込み性が高く、接続後の振動や膨張などの変動に対して追随性が高く、接続信頼性をより向上させることが可能となる。
【0054】
本実施形態において導電粒子は、粒径分布が1〜50μm程度、好ましくは1〜30μmの範囲のものを用いることができる。
【0055】
接着剤層に含有される導電粒子の含有量は、接着剤層の接着性が著しく低下しない範囲であればよく、例えば、接着剤層の全体積を基準として10体積%以下、好ましくは0.1〜7体積%とすることができる。
【0056】
本実施形態の導電体用接続部材において、上記接着剤層が導電粒子を含む場合、接着性及び導電性を高水準で両立させる観点から、接着剤層が形成されている粗化面の最大高さをRy(μm)としたときに、導電粒子の平均粒径D(μm)がRy以下であることが好ましい。このようにすれば、接続時に接触点数を増やして低抵抗化の効果を得ることや、接続部に気泡の混入を防止することで接続信頼性を更に向上させることが可能となる。
【0057】
また、上記接着剤層が導電粒子を含む場合、接着剤層が形成されている粗化面の十点平均粗さをRza(μm)とし、接続される導電体の接着剤層と接する面の十点平均粗さをRzb(μm)としたときに、導電粒子の最大粒径rmax(μm)がRzaとRzbとの和以下であることが好ましく、導電粒子の最大粒径rmax(μm)がRza以下であることがより好ましい。導電粒子の最大粒径を、接続すべき導電体の表面粗さ及び金属箔の表面粗さに応じて上記のように設定することで、より広い粒径分布(例えば、1〜50μm、好ましくは1〜30μmの範囲)を有する導電粒子を用いながら十分な接着性と優れた導電性を得ることが可能となり、この種の用途に多用される均一粒径の導電粒子を用いる場合に比べてより低コストで接続信頼性の向上を図ることができる。
【0058】
また、本実施形態の導電体用接続部材においては、更に高水準の接続信頼性を達成する観点から、上記接着剤層が潜在性硬化剤及び導電粒子を含み、接着剤層が形成されている粗化面の最大高さをRy(μm)としたときに、導電粒子の平均粒径D(μm)がRy以下であり、且つ、接着剤層が形成されている粗化面の十点平均粗さをRza(μm)とし、接続される導電体の接着剤層と接する面の十点平均粗さをRzb(μm)としたときに、導電粒子の最大粒径rmax(μm)がRzaとRzbとの和以下であることが好ましい。
【0059】
また、本実施形態の導電体用接続部材において、接着剤層が潜在性硬化剤を含む場合、接着剤層が形成されている粗化面の最大高さをRy(μm)としたときに、潜在性硬化剤の平均粒径Dc(μm)がRy以下であることが好ましい。潜在性硬化剤の平均粒径を粗化面の最大高さ以下とすることにより、保管中の導電体接続用部材に圧力がかかったときに潜在性硬化剤の機能が低下してしまうことを抑制でき、導電体接続用部材の保存安定性を十分確保しつつ接着性の向上を図ることが可能となる。特に、上記の条件は、導電体接続用部材をテープ巻重体とする場合の保存安定性の確保に有効である。
【0060】
また、接着剤層が潜在性硬化剤と導電粒子とを含む場合、潜在性硬化剤の平均粒径Dcが導電粒子の平均粒径Dよりも小さいことが、保存性の向上や、接着剤層の表面がより平滑となることで接着性及び導電性の両立を得る点からより好ましい。なお、本明細書において、導電粒子の平均粒径Dは、次式により求められる値を意味する。また、潜在性硬化剤の平均粒径Dcについても同様にして求められる値を意味する。
【0061】
【数1】



ここで、式中、nは、最大径がdなる粒子の数を示す。粒径の測定方法としては、一般的に用いられる電子顕微鏡や光学顕微鏡、コールターカウンター、光散乱法などが挙げられる。なお、粒子がアスペクト比を有する場合、dは中心径を採用する。また、本発明においては、電子顕微鏡により最低10個以上の粒子について測定することが好ましい。
【0062】
本実施形態において、接着剤層の厚みは粗化面の底部(凹部)からの平均的な距離を基準として適宜設定されるが、接着性の点からは厚いほうが好ましく、導電性の点からは薄いほうが好ましい。両特性を考慮すると、接着剤層の厚みは、5〜50μm程度が好ましく、接続信頼性をより向上させる点から9〜45μmがより好ましい。
【0063】
また、本実施形態の導電体接続用部材においては、接着剤層の厚みt(μm)は、接続する導電体の表面状態に応じて設定することが好ましい。以下、導電体の表面状態を大きく3通りに分け、それぞれの場合で好適な接着剤層の厚みについて、図面を参照しながら説明する。
【0064】
図3〜5は、接続される電極の表面粗さ及び金属箔の粗化面の表面粗さと、接着剤層の厚みとの関係を説明するための図である。図3は、接続される導電体が、ほぼ平滑な被着面7aを有する電極6aである場合を示している。また、図5は、接続される導電体が、金属箔の粗化面の最大高さRyと同程度の粗さの被着面7cを有する電極6cである場合を示している。また、図4は、接続される導電体が、図3に示されるほぼ平滑な被着面7aと図5に示される金属箔の粗化面の最大高さRyと同程度の粗さの被着面7cとの中間レベルの粗さの被着面7bを有する電極6bである場合を示している。
【0065】
図3の場合、金属箔1の粗化面の突起と被着面7aとが接触したときに、被着面7aの底部9aと金属箔1の粗化面の底部8との間が十分に接着剤で充填されるよう、接着剤層の厚みta(μm)を金属箔の粗化面の最大高さRy(μm)とほぼ同じに設定することが好ましい。具体的には、接着剤層の厚みtaは、導電体の接着剤層と接する面の最大高さ(μm)とほぼ同じ値(ta/Ry=約1.0となる値)を中心値とし、この前後に安全幅を設けて設定されることが好ましい。なお、安全幅は、例えば、接続される導電体としての電極面の形状及び粗さ、金属箔の粗さ及び形状、接着剤層の流動特性、並びに、接続時の接着剤のはみ出し量などの因子を考慮して設定することができる。本実施形態においては、安全幅の範囲を上記ta/Ryが0.7〜1.2程度の範囲内になるよう設定することが好ましい。この場合、金属箔の粗化面の凹凸を活用し易くなるため好ましい。
【0066】
図4の場合、金属箔1の粗化面の突起と被着面7bとが接触したときに、被着面7bの底部9bと金属箔1の粗化面の底部8との間が十分に接着剤で充填されるよう、接着剤層の厚みtb(μm)を金属箔の粗化面の最大高さRy(μm)の1〜2倍に設定することが好ましい。
【0067】
図5の場合、金属箔1の粗化面の突起と被着面7cとが接触したときに、被着面7cの底部9cと金属箔1の粗化面の底部8との間が十分に接着剤で充填されるよう、接着剤層の厚みtc(μm)を金属箔の粗化面の最大高さRy(μm)の2〜3倍に設定することが好ましい。
【0068】
図3に示される場合や非定型的な微小凹凸の接触により導電性が得られる図4及び図5に示される場合などのような導電体の表面粗さの影響、並びに、接着剤の流動性などを考慮すると、接着剤層が形成されている上記粗化面の最大高さをRy(μm)としたときに、接着剤層の厚みt(μm)が、Ryの3倍以下であることが高接続信頼性を得る点で好ましく、0.7〜3倍であることがより好ましい。接着剤層の厚みt(μm)が、Ryの3倍を超えると、十分な導電性が得られにくくなる。また、接着剤層の厚みt(μm)が、Ryの0.7倍未満であると、十分な接着性が得られにくくなる。
【0069】
なお、上記のように金属箔の粗化面の最大高さを基準として接着剤層の厚みを設定することにより高接続信頼性が得られやすくなる理由としては、金属箔と導電体との間隔が、金属箔の表面における凹凸粗さの高低差で一番大きい部分、すなわちRyに大きく依存するため、このRyを指標として接着剤層の厚みを設定することで、導電体の表面状態にバラツキがある場合であっても充填性及び導電性の双方をより確実かつ容易に両立できるためと本発明者らは考える。
【0070】
接着剤層2、3には、上記成分以外に、硬化剤、硬化促進剤、および導電体が設けられている基材との接着性や濡れ性を改善する為に、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤やアルミネート系カップリング剤等の改質材料、また、導電粒子の分散性を向上させる為に、燐酸カルシウムや、炭酸カルシウム等の分散剤、銀や銅マイグレーションなどを抑制する為のキレート材料等を含有させることができる。
【0071】
以上説明した本実施形態の導電体接続用部材は、導電体上に配置し、加熱加圧することで、金属箔と導電体とを接着しつつ、通電時には金属箔及び導電体間で10−1Ω/cm以下程度の低抵抗性を示す導通を達成することが可能である。
【0072】
本実施形態の導電体接続用部材は、太陽電池セル同士を複数個、直列及び/又は並列に接続するための接続用部材として好適である。
【0073】
次に、本実施形態の導電体接続用部材を用いる導電体の接続方法について説明する。
【0074】
第1実施形態に係る導電体の接続方法は、導電体接続用部材10を用いて互いに離れている第1の導電体と第2の導電体とを電気的に接続する方法であって、導電体接続用部材10の一部と第1の導電体とを、導電体接続用部材10の粗化面1a及び第1の導電体が第1の接着剤層2を介して対向するように配置し、これらを加熱加圧して、金属箔1と第1の導電体とを電気的に接続するとともに接着する第1ステップと、導電体接続用部材10の他の部分と第2の導電体とを、導電体接続用部材10の粗化面1b及び第2の導電体が第2の接着剤層3を介して対向するように配置し、これらを加熱加圧して、金属箔1と第2の導電体とを電気的に接続するとともに接着する第2ステップとを有する。これにより、第1の導電体と第2の導電体とが、導電体に接着された金属箔1を介して電気的に接続される。本実施形態の導電体の接続方法は、例えば、太陽電池セル同士を複数個、直列に接続するのに好適である。
【0075】
なお、上記の第1ステップ及び第2ステップは、同時に行ってもよく、第1ステップ、第2ステップの順或いはこの逆の順に行ってもよい。また、上記第2ステップが、導電体接続用部材10の他の部分と第2の導電体とを、導電体接続用部材10の粗化面1a及び第2の導電体が第1の接着剤層2を介して対向するように配置し、これらを加熱加圧して、金属箔1と第2の導電体とを電気的に接続するとともに接着するものであってもよい。この場合、例えば、太陽電池セル同士を複数個、並列に接続する場合などに好適である。
【0076】
また、第2実施形態に係る導電体の接続方法は、導電体接続用部材20を用いて互いに離れている第1の導電体と第2の導電体とを電気的に接続する方法であって、導電体接続用部材20の一部と第1の導電体とを、導電体接続用部材20の粗化面1a及び第1の導電体が第1の接着剤層2を介して対向するように配置し、これらを加熱加圧して、金属箔1と第1の導電体とを電気的に接続するとともに接着する第1ステップと、導電体接続用部材20の他の部分と第2の導電体とを、導電体接続用部材20の粗化面1a及び第2の導電体が第1の接着剤層2を介して対向するように配置し、これらを加熱加圧して、金属箔1と第2の導電体とを電気的に接続するとともに接着する第2ステップとを有する。これにより、第1の導電体と第2の導電体とが、導電体に接着された金属箔1を介して電気的に接続される。なお、上記の第1ステップ及び第2ステップは、同時に行ってもよく、第1ステップ、第2ステップの順或いはこの逆の順に行ってもよい。本実施形態の導電体の接続方法は、例えば、太陽電池セル同士を複数個、並列に接続する場合などに好適である。
【0077】
上記の第1実施形態及び第2実施形態に係る導電体の接続方法における導電体としては、例えば、太陽電池セルのバス電極、電磁波シールドのシールド配線やアース電極、ショートモード用途の半導体電極やディスプレイ電極などが挙げられる。
【0078】
太陽電池セルのバス電極としては、電気的導通を得ることができる公知の材質として一般的な銀を含有したガラスペーストや接着剤樹脂に各種の導電粒子を分散した銀ペースト、金ペースト、カーボンペースト、ニッケルペースト、アルミペーストおよび焼成や蒸着によって形成されるITO等が挙げられるが、耐熱性、導電性、安定性、コストの観点から銀を含有したガラスペースト電極が好適に用いられる。また、太陽電池セルの場合、Siの単結晶、多結晶、非結晶の少なくとも一つ以上からなる半導体基板上に、スクリーン印刷等によってAg電極とAl電極がそれぞれ設けられることが主である。このとき、電極表面は一般的に3〜30μmの凹凸を有していることがある。特に、太陽電池セルに形成される電極は、最大高さRyで30μm程度、十点平均粗さRzで2〜30μm程度、一般的にも2〜18μmと、粗い場合が多い。
【0079】
また、第1実施形態及び第2実施形態に係る導電体の接続方法において、上記接着剤層が導電粒子を含む場合、接着性及び導電性を高水準で両立させる観点から、接着剤層が形成されている粗化面の最大高さをRy(μm)としたときに、導電粒子の平均粒径D(μm)がRy以下であることが好ましい。また、上記接着剤層が導電粒子を含む場合、接着剤層が形成されている粗化面の十点平均粗さをRza(μm)とし、接続される導電体の接着剤層と接する面の十点平均粗さをRzb(μm)としたときに、導電粒子の最大粒径rmax(μm)がRzaとRzbとの和以下であることが好ましく、導電粒子の最大粒径rmax(μm)がRza以下であることがより好ましい。また、接着剤層が形成されている粗化面の最大高さをRy(μm)としたときに、接着剤層の厚みt(μm)が、Ryの3倍以下であることが高接続信頼性を得る点で好ましく、0.7〜3倍であることがより好ましい。
【0080】
また、本実施形態に係る導電体の接続方法においては、更に高水準の接続信頼性を達成する観点から、上記接着剤層が潜在性硬化剤及び導電粒子を含み、接着剤層が形成されている粗化面の最大高さをRy(μm)としたときに、導電粒子の平均粒径D(μm)がRy以下であり、且つ、接着剤層が形成されている粗化面の十点平均粗さをRza(μm)とし、接続される導電体の接着剤層と接する面の十点平均粗さをRzb(μm)としたときに、導電粒子の最大粒径rmax(μm)がRzaとRzbとの和以下であることが好ましい。また、上記接着剤層が潜在性硬化剤を含む場合、接着剤層が形成されている上記粗化面の最大高さをRy(μm)としたときに、潜在性硬化剤の平均粒径Dc(μm)がRy以下であることが好ましい。
【0081】
加熱温度及び加圧圧力の条件は、金属箔と導電体との間の電気的接続が確保でき、導電体及び金属箔が接着剤層により接着される範囲であれば、特に制限されない。なお、この加圧及び加熱の諸条件は、使用する用途、接着剤層中の各成分、導電体が設けられている基材の材料等によって適宜選択される。例えば、接着剤層が熱硬化性樹脂を含むものである場合、加熱温度は、熱硬化性樹脂が硬化する温度であればよい。また、加圧圧力は、導電体及び金属箔間が十分に密着され、かつ導電体や金属箔等が損傷しない範囲であればよい。さらに、加熱・加圧時間は、導電体が設けられている基材等に過剰に熱が伝搬して、それらの材料が損傷したり変質したりしないような時間であればよい。具体的には、加圧圧力は、0.1MPa〜10MPa、加熱温度は、100℃〜220℃、加熱加圧時間は、60秒以下が好ましい。また、これらの条件は、低圧、低温、短時間の方向がより好ましい。
【0082】
図6は、本発明に係る接続構造を示す模式断面図である。図6に示す接続構造30は、本実施形態の導電性接続用部材20(接着剤付き金属箔テープ)の一部分と導電体である電極とを、導電体接続用部材の粗化面及び電極が接着剤層を介して対向するように配置し、これらを加熱加圧することにより得られたものであり、導電性接続用部材20の金属箔1の祖化面の突起部分の一部が電極6の突起部と直接接触するとともに金属箔1及び電極6が接着剤層2の硬化物2aによって接着された構造を有している。また、接続構造30においては、金属箔1の祖化面の突起部分の一部と、電極4の突起部との接触に加えて、導電粒子5による接触点が増加している。このような接続構造によれば、金属箔1及び電極6の被着面7が接着剤の接着力や硬化収縮力などにより固定維持されることで、金属箔1及び電極6間で得られた導電性が安定して維持され、導電体同士の接続信頼性を十分なものとすることができる。
【0083】
上述したように、本実施形態の導電体接続用部材は、太陽電池セル同士を複数個、直列及び/又は並列に接続するための接続部材として好適である。太陽電池は、太陽電池セルを複数個、直列及び/又は並列に接続し、耐環境性のために強化ガラスなどで挟み込み、間隙を透明性のある樹脂によって埋められた外部端子を備えた太陽電池モジュールを含んで構成される。
【0084】
ここで、図7は、本実施形態の太陽電池モジュールの要部を示す模式図であり、複数の太陽電池セルが相互に配線接続された構造の概略を示している。図7(a)は太陽電池モジュールの表面側を示し、図7(b)は裏面側を示し、図7(c)は側面側を示す。
【0085】
図7(a)〜(c)に示すように、太陽電池モジュール100は、半導体ウエハ11の表面側にグリッド電極12及びバス電極(表面電極)14aが、裏面側に裏面電極13及びバス電極(表面電極)14bがそれぞれ形成された太陽電池セルが、配線部材10aにより複数相互に接続されている。そして、配線部材10aの一端が表面電極としてのバス電極14aと、他端が表面電極としてのバス電極14bと、接続されている。なお、配線部材10aは、導電性接続用部材10を用いて設けられたものである。具体的には、導電性接続用部材10の一端側をバス電極14a上に、導電体接続用部材10の粗化面1a及びバス電極14aが第1の接着剤層2を介して対向するように配置し、これらを対向方向に加熱加圧し、導電性接続用部材10の他端側をバス電極14b上に、導電体接続用部材10の粗化面1b及びバス電極14bが第2の接着剤層3を介して対向するように配置し、これらを対向方向に加熱加圧することにより、配線部材10aは設けられている。
【0086】
本実施形態においては、金属箔1及びバス電極14a、並びに金属箔1及びバス電極14bが、導電粒子を介在して接続されていてもよい。
【0087】
また、図8は、図7(c)に示される太陽電池モジュールのVIII−VIII線に沿った断面図である。なお、図8には、半導体ウエハ11の表面側のみを示し、裏面側の構成について省略している。本実施形態の太陽電池モジュールは、導電性接続用部材10の一端側をバス電極14a上に配して加熱加圧する工程を経て作製されており、金属箔1及びバス電極14aが、電気的に接続されるとともにバス電極14aの表面粗さ部に充填された接着剤層2の硬化物2aによって接着された構造を有している。更に、本実施形態においては、金属箔1のバス電極14aと接する面以外の部分が接着剤の硬化物(好ましくは樹脂)によって被覆されている。具体的には、金属箔1のバス電極14aと接する面の反対側面は、第2の接着剤層3の硬化物3aによって被覆され、金属箔1の側面は接続時の加熱加圧ではみ出た接着剤(余剰接着剤)の硬化物15によって被覆されている。このような構造によれば、金属箔と他の導電部材との接触による電気的な短絡(ショート)を有効に防止することができ、また、金属箔の腐食を防止できることにより金属箔の耐久性を向上させることができる。
【0088】
また、本実施形態のように導電性接続用部材10がテープ状である場合、部材の幅が長さ方向に比べて非常に小さいことから金属箔の側面方向への接着剤のはみ出しを多くすることができ、接続部の強度を補強する効果が得られやすくなる。
【0089】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0090】
本発明の導電体接続用部材は、上述の太陽電池を作製する際のみでなく、例えば、電磁波シールド、タンタルコンデンサなどのショートモード、アルミ電解コンデンサ、セラミックコンデンサ、パワートランジスタ、各種センサ、MEMS関連材料、ディスプレイ材料の引き出し配線部材等を作製する際にも好適に使用することができる。
【実施例】
【0091】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0092】
(実施例1)
(1)接着剤付き金属箔テープ(導電体接続用部材)の作製
フィルム形成材としてのフェノキシ樹脂(Inchem社製、商品名「PKHA、分子量25000の高分子量エポキシ樹脂)50g、及びエポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、商品名「EPPN」)20gを、酢酸エチル175gに溶解し、溶液を得た。次いで、潜在性硬化剤としてイミダゾール系マイクロカプセルを液状エポキシ樹脂に分散したマスターバッチ型硬化剤(旭化成化成工業株式会社製、商品名「ノバキュア」、平均粒子径2μm)5gを上記溶液に添加し、固形分30質量%の接着剤層形成用塗布液を得た。なお、この塗布液の活性温度は120℃であった。
【0093】
次に、上記接着剤層形成用塗布液を、ロールコータを用いて、両面粗化電解銅箔(厚み:35μm、表面の十点平均表面粗さRza:12μm、最大高さRy:13μm)の両面に塗布し、これを110℃で5分間乾燥して、厚み14μmの接着剤層を形成し、積層体を得た。
【0094】
次に、上記積層体を、接着剤層上にセパレータとしてポリエチレンフィルムを巻き込みながらロール状に巻き取り巻物を得た。この巻物を幅2.0mmに裁断することにより、接着剤付き金属箔テープを得た。
【0095】
(2)導電性接着剤付き金属箔テープを用いた太陽電池セルの接続
シリコンウエハの表面上に、銀ガラスペーストから形成される表面電極(幅2mm×長さ15cm、十点平均表面粗さRzb:2μm、最大高さRy:13μm)を設けた太陽電池セル(厚さ:150μm、大きさ15cm×15cm)を準備した。
【0096】
次に、上記で得られた接着剤付き金属箔テープを太陽電池セルの表面電極に位置合わせし、圧着ツール(装置名AC−S300、日化設備エンジニアリング社製)を用いて170℃、2MPa、20秒で加熱加圧することにより、接着を行った。こうして、太陽電池セルの表面電極に電解銅箔による配線部材が導電性接着フィルムを介して接続した接続構造を得た。
【0097】
(実施例2)
接着剤層形成用塗布液に粒径分布幅が1〜12μm(平均粒径:7μm)の毬栗状のNi粉を2体積%添加したこと以外は実施例1と同様にして、接着剤付き金属箔テープを得た。次に、この接着剤付き金属箔テープを用い、実施例1と同様にして接続構造を得た。なお、添加した導電粒子は粒径の均一化処理が行われていないものであり、上記のように広い粒径分布を有するものである。
【0098】
(実施例3)
金属箔として厚み100μmの片面粗化銅箔(粗化面の十点平均表面粗さRza:12μm、最大高さRy:13μm)を用い、この銅箔の粗化面に接着剤層を設けたこと以外は実施例1と同様にして、接着剤付き金属箔テープを得た。次に、この接着剤付き金属箔テープを表面電極上に、粗化面と表面電極とが対向するように位置合わせし、実施例1と同様にして接続構造を得た。
【0099】
(実施例4)
金属箔として厚み20μmの片面粗化アルミ箔(粗化面の十点平均表面粗さRza:12μm、最大高さRy:13μm)を用い、このアルミ箔の粗化面に接着剤層を設けたこと以外は実施例1と同様にして、接着剤付き金属箔テープを得た。次に、この接着剤付き金属箔テープを表面電極上に、粗化面と表面電極とが対向するように位置合わせし、実施例1と同様にして接続構造を得た。
【0100】
(実施例5)
金属箔として厚み75μmの両面粗化電解銅箔(表面の十点平均表面粗さRza:2μm、最大高さRy:3μm)を用い、接着剤層の厚みを9μmにしたこと以外は実施例1と同様にして、接着剤付き金属箔テープを得た。次に、この接着剤付き金属箔テープを用い、実施例1と同様にして接続構造を得た。
【0101】
(実施例6)
金属箔として厚み75μmの両面粗化電解銅箔(表面の十点平均表面粗さRza:9μm、最大高さRy:10μm)を用い、接着剤層の厚みを18μmにしたこと以外は実施例1と同様にして、接着剤付き金属箔テープを得た。次に、この接着剤付き金属箔テープを用い、実施例1と同様にして接続構造を得た。
【0102】
(実施例7)
金属箔として厚み75μmの両面粗化電解銅箔(表面の十点平均表面粗さRza:20μm、最大高さRy:25μm)を用い、接着剤層の厚みを20μmにしたこと以外は実施例1と同様にして、接着剤付き金属箔テープを得た。次に、この接着剤付き金属箔テープを用い、実施例1と同様にして接続構造を得た。
【0103】
(実施例8)
金属箔として厚み75μmの両面粗化電解銅箔(表面の十点平均表面粗さRza:20μm、最大高さRy:25μm)を用い、接着剤層の厚みを45μmとし、潜在性硬化剤の平均粒子径(カプセル径)を4μmとしたこと以外は実施例1と同様にして、接着剤付き金属箔テープを得た。なお、塗布液の活性温度は115℃であった。次に、この接着剤付き金属箔テープを用い、太陽電池セルとして、シリコンウエハの表面上に、銀ガラスペーストから形成される表面電極(幅2mm×長さ15cm、十点平均表面粗さRzb:18μm、Ry:20μm)を設けた太陽電池セル(厚さ:150μm、大きさ15cm×15cm)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、接続構造を得た。
【0104】
(実施例9)
実施例8における接着剤層形成用塗布液に粒径分布幅が1〜12μm(平均粒径:7μm、分級なし)のめっきプラスチック粒子(ポリスチレン系粒子の表面をNi/Auで被覆)を2体積%添加したこと以外は実施例8と同様にして、接着剤付き金属箔テープを得た。次に、この接着剤付き金属箔テープを用い、実施例8と同様にして接続構造を得た。
【0105】
(参考例1)
金属箔として厚み75μmの両面粗化電解銅箔(表面の十点平均表面粗さRza:12μm、最大高さRy:13μm)を用い、接着剤層の厚みを52μmにしたこと以外は実施例1と同様にして、接着剤付き金属箔テープを得た。次に、この接着剤付き金属箔テープを用い、実施例1と同様にして接続構造を得た。
【0106】
(比較例1)
金属箔として厚み35μmの平滑電解銅箔(表面の十点平均表面粗さRza:0.2μm、最大高さRy:0.3μm)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、接着剤付き金属箔テープを得た。次に、この接着剤付き金属箔テープを用い、実施例1と同様にして接続構造を得た。
【0107】
<評価>
上記実施例1〜9、参考例1、及び比較例1の接続構造について、deltaF.F.を下記のようにして評価した。結果を表1に示す。
【0108】
[deltaF.F.]
得られた接続構造のIV曲線を、ソーラシミュレータ(ワコム電創社製、商品名「WXS−155S−10」、AM:1.5G)を用いて測定した。また、接続構造を85℃、85%RHの高温高湿雰囲気下で1500時間静置した後、同様にIV曲線を測定した。それぞれのIV曲線からF.Fを各々導出し、高温高湿雰囲気下に静置する前のF.Fから、高温高湿条件下に静置した後のF.F.を除した値である[F.F.(0h)−F.F.(1500h)]をDelta(F.F.)とし、これを評価指標として用いた。なお、一般にDelta(F.F.)の値が0.2以下となると接続信頼性が良好であると判断される。
【0109】
【表1】



【0110】
実施例1〜9及び参考例1においては、電極/接着剤層/配線部材(金属箔)の位置合わせが容易であり、かつ、接続温度が従来のはんだ接続温度よりも低温(170℃)であり、基板の反りも見られなかった。また、接着剤層の厚みtと、この接着剤層が設けられている金属箔の粗化面の最大高さRyとの比t/Ryが0.8〜3である接着剤付き金属箔テープにより作製された実施例1〜9の接続構造は、いずれも十分に小さいDelta(F.F.)を示しており、接続信頼性に優れていることが分かった。一方、t/Ryが4である接着剤付き金属箔テープにより作製された参考例1の接続構造は、初期導通が得られ難く、deltaF.F.も大きくなる傾向にあった。また、平滑電解銅箔を用いて得られた比較例1の接続構造は初期導通が得られなかった。
【0111】
以上説明したように、本発明によれば、電極と配線部材との接続を1工程で行うことができ、太陽電池セル同士を電気的に接続する場合の接続工程の簡略化を図ることができるとともに、はんだを用いる場合に比べてより低温(特には、200℃以下)での接続が可能であり太陽電池セルへの熱的ダメージを少なくすることができる接着剤付き金属箔テープを提供することができる。また、このような接着剤付き金属箔テープを用いることにより、高信頼性を有する太陽電池モジュールを生産性よく製造することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明によれば、互いに離れている導電体同士を電気的に接続する場合の接続工程の簡略化を図ることができるとともに優れた接続信頼性を得ることを可能とする導電体接続用部材を提供することができる。また、本発明によれば、優れた生産性と高い接続信頼性とを両立できる接続構造及び太陽電池モジュールを提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面電極を有する複数の太陽電池セルを備える太陽電池モジュールの製造方法であって、
主面の少なくとも一方に粗化面を有する金属箔と、該金属箔の前記粗化面上に形成された接着剤層とを備え、前記接着剤層が形成されている前記粗化面の最大高さをRy(μm)としたときに、前記接着剤層の厚みt(μm)が、前記Ryの3倍以下である、導電体接続用部材を用いて、前記導電体接続用部材の一部と第1の太陽電池セルが有する第1の表面電極とを、前記導電体接続用部材の前記粗化面及び前記第1の表面電極が前記接着剤層を介して対向するように配置し、これらを加熱加圧して、前記金属箔と前記第1の表面電極とを電気的に接続するとともに接着し、
前記導電体接続用部材の他の部分と第2の太陽電池セルが有する第2の表面電極とを、前記導電体接続用部材の前記粗化面及び前記第2の表面電極が前記接着剤層を介して対向するように配置し、これらを加熱加圧して、前記金属箔と前記第2の表面電極とを電気的に接続するとともに接着する、
ステップを有する、太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項2】
前記接着剤層が潜在性硬化剤を含む、請求項1に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項3】
前記接着剤層が導電粒子を含む、請求項1又は2に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項4】
前記接着剤層が導電粒子を含み、
前記接着剤層が形成されている前記粗化面の最大高さをRy(μm)としたときに、前記導電粒子の平均粒径D(μm)が前記Ry以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項5】
前記接着剤層が導電粒子を含み、
前記接着剤層が形成されている前記粗化面の十点平均粗さをRza(μm)とし、前記第1の表面電極及び第2の表面電極の前記接着剤層と接する面の十点平均粗さをRzb(μm)としたときに、前記導電粒子の最大粒径rmax(μm)が前記Rzaと前記Rzbとの和以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項6】
前記接着剤層が潜在性硬化剤及び導電粒子を含み、
前記接着剤層が形成されている前記粗化面の最大高さをRy(μm)としたときに、前記導電粒子の平均粒径D(μm)が前記Ry以下であり、且つ、
前記接着剤層が形成されている前記粗化面の十点平均粗さをRza(μm)とし、前記第1の表面電極及び第2の表面電極の前記接着剤層と接する面の十点平均粗さをRzb(μm)としたときに、前記導電粒子の最大粒径rmax(μm)が前記Rzaと前記Rzbとの和以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項7】
前記接着剤層が潜在性硬化剤を含み、
前記接着剤層が形成されている前記粗化面の最大高さをRy(μm)としたときに、前記潜在性硬化剤の平均粒径Dc(μm)が前記Ry以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項8】
前記金属箔が帯状である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項9】
前記金属箔が、Cu、Ag、Au、Fe、Ni、Pb、Zn、Co、Ti、Mg、Sn及びAlから選ばれる1つ以上の金属を含むものである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項10】
前記粗化面の十点平均粗さRza(μm)が30μm以下である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項11】
主面の少なくとも一方に粗化面を有する金属箔と、該金属箔の前記粗化面上に形成された接着剤層とを備え、前記接着剤層が形成されている前記粗化面の最大高さをRy(μm)としたときに、前記接着剤層の厚みt(μm)が、前記Ryの3倍以下である、太陽電池セル同士を電気的に接続するための太陽電池モジュール用導電体接続用部材。
【請求項12】
前記接着剤層が潜在性硬化剤を含む、請求項11に記載の太陽電池モジュール用導電体接続用部材。
【請求項13】
前記接着剤層が導電粒子を含む、請求項11又は12に記載の太陽電池モジュール用導電体接続用部材。
【請求項14】
前記接着剤層が導電粒子を含み、
前記接着剤層が形成されている前記粗化面の最大高さをRy(μm)としたときに、前記導電粒子の平均粒径D(μm)が前記Ry以下である、請求項11〜13のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール用導電体接続用部材。
【請求項15】
前記接着剤層が導電粒子を含み、
前記接着剤層が形成されている前記粗化面の十点平均粗さをRza(μm)とし、接続される導電体の前記接着剤層と接する面の十点平均粗さをRzb(μm)としたときに、前記導電粒子の最大粒径rmax(μm)が前記Rzaと前記Rzbとの和以下である、請求項11〜14のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール用導電体接続用部材。
【請求項16】
前記接着剤層が潜在性硬化剤及び導電粒子を含み、
前記接着剤層が形成されている前記粗化面の最大高さをRy(μm)としたときに、前記導電粒子の平均粒径D(μm)が前記Ry以下であり、且つ、
前記接着剤層が形成されている前記粗化面の十点平均粗さをRza(μm)とし、接続される導電体の前記接着剤層と接する面の十点平均粗さをRzb(μm)としたときに、前記導電粒子の最大粒径rmax(μm)が前記Rzaと前記Rzbとの和以下である、請求項11〜13のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール用導電体接続用部材。
【請求項17】
前記接着剤層が潜在性硬化剤を含み、
前記接着剤層が形成されている前記粗化面の最大高さをRy(μm)としたときに、前記潜在性硬化剤の平均粒径Dc(μm)が前記Ry以下である、請求項11〜16のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール用導電体接続用部材。
【請求項18】
前記金属箔が帯状である、請求項11〜17のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール用導電体接続用部材。
【請求項19】
前記金属箔が、Cu、Ag、Au、Fe、Ni、Pb、Zn、Co、Ti、Mg、Sn及びAlから選ばれる1つ以上の金属を含むものである、請求項11〜18のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール用導電体接続用部材。
【請求項20】
前記粗化面の十点平均粗さRza(μm)が30μm以下である、請求項11〜19のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール用導電体接続用部材。
【請求項21】
表面電極を有する複数の太陽電池セルを備える太陽電池モジュールであって、
前記太陽電池セル同士が、前記表面電極に接着部材で接着された金属箔を介して電気的に接続されており、
前記金属箔の前記表面電極と接する面が粗化面であり、
前記金属箔が、請求項11〜20のいずれか一項に記載の太陽電池モジュール用導電体接続用部材により設けられている、太陽電池モジュール。
【請求項22】
前記金属箔の、前記表面電極と接する面以外の一部又は全部が、樹脂で被覆されている、請求項21に記載の太陽電池モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−186486(P2012−186486A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−102490(P2012−102490)
【出願日】平成24年4月27日(2012.4.27)
【分割の表示】特願2009−514129(P2009−514129)の分割
【原出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】