説明

太陽電池モジュール一体型屋根材、これに用いる固定部材及び太陽電池モジュールの交換方法

【課題】屋根面への施工後に太陽電池モジュールの交換が可能で且つ容易であり、用いる固定部材を共通化して作業効率の良い太陽電池モジュール一体型屋根材を提供する。
【解決手段】屋根材であるベース材10上に固定部材20を介して太陽電池モジュール2が一体的に固定された太陽電池モジュール一体型屋根材1であって、固定部材20は、太陽電池モジュール2の端部を挟持するコ字形の保持部21と、ベース材10上にボルト23a及びナット23bにより固定される設置片22とを備え、保持部21と設置片22とが連結部24によって連結され、且つ、太陽電池モジュール2の裏面に位置する保持部21の下水平部21bとベース材10との間には隙間Sが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の屋根面に敷設される屋根材に太陽電池モジュールを搭載した太陽電池モジュール一体型屋根材、太陽電池モジュールの固定部材及び交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は、建物の屋根や窓などに取り付けて利用され、業務用のみならず、一般住宅用にも需要が拡大してきている。一般住宅用としては、種々の太陽電池付き屋根材が開発されている。
【0003】
従来、太陽電池モジュール一体型屋根材では、太陽電池モジュールは、図10に示すように、ボルト103を有する側断面コ字形の固定部材102を用いて、屋根材104に一体的に固定されている。即ち、太陽電池モジュール101は、緩衝材105を介してコ字形の固定部材102に挟持される。そして、太陽電池モジュール101を保持する固定部材102は、その設置片102aに固定されたボルト103を屋根材104の貫通孔106に挿通し、屋根材104の表面に設置片102aを密着させた状態で、上記ボルト103にナット107を螺合することにより、屋根材104上に固定されている。
【0004】
例えば、特許文献1,2には、屋根材への設置側にボルトを有するコ字形の固定部材を用いて、太陽電池モジュールを屋根材に固定する技術が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−32454号公報
【特許文献2】特開2001−90264号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ボルトを有するコ字形の固定部材を用いて太陽電池モジュールを屋根材に一体固定する構造は、屋根面に施工後の太陽電池モジュールの交換が困難であるという問題がある。即ち、施工後には、締結したナットが屋根材の裏面側に位置するため、ナットを緩めて固定部材と共に太陽電池モジュールを屋根材から取り外すことができない。この場合、固定部材の上面側片を切除すれば太陽電池モジュールを取り外すこと可能であるが、太陽電池モジュールの交換後に、再度、固定部材を固定することができない。
【0007】
特許文献1,2では、軒側のみをボルトを有するコ字形の固定部材を用いて固定し、棟側は取り外し可能な別構造の部材で固定する工夫がなされている。
【0008】
しかしながら、固定部材の作製効率や、太陽電池モジュールを屋根材に固定する作業効率を考慮すれば、部品点数や作業方法の種類は少ない方が好ましく、軒側と棟側との双方の固定部材を共通化することが望ましい。
【0009】
本発明の課題は、上記の事情に鑑み、屋根面への施工後に太陽電池モジュールの交換が可能で且つ容易であり、用いる固定部材を共通化して作業効率の良い太陽電池モジュール一体型屋根材、太陽電池モジュールの固定部材及び交換方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1は、太陽電池モジュールをベース材に固定して太陽電池モジュール一体型屋根材を構成するための固定部材であって、
太陽電池モジュールの端部を挟持する側断面が略コ字形で上水平部、垂直部、下水平部からなる保持部と、ベース材に固定される設置片と、該設置片に付設されたボルト及び該ボルトに締結されるナットと、該設置片をベース材に固定した際に下水平部とベース材との間に所定の隙間が形成されるように上記下水平部と設置片とを連結する連結部と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明の第2は、太陽電池モジュールを固定部材を介してベース材に固定してなる太陽電池モジュール一体型屋根材であって、
上記本発明第1の固定部材を用い、
上記固定部材の保持部により太陽電池モジュールの端部を挟持し、且つ、ボルト及びナットにより上記固定部材の設置片をベース材に固定することにより、太陽電池モジュールをベース材に固定してなることを特徴とする。
【0012】
本発明の第3は、上記本発明第2の太陽電池モジュール一体型屋根材における太陽電池モジュールの交換方法であって、
固定部材の保持部の上水平部を切除して太陽電池モジュールを取り外した後、固定部材の保持部の垂直部を切除し、新たな太陽電池モジュールを配置し、側断面が略コ字形で上水平部、垂直部、下水平部からなる挟持部材で、固定部材の保持部に残された下水平部と新たな太陽電池モジュールの端部とを挟持することにより、新たな太陽電池モジュールをベース材に固定することを特徴とする。
【0013】
本発明の第4は、太陽電池モジュールをベース材に固定して太陽電池モジュール一体型屋根材を構成する際に太陽電池モジュールをベース材上に支持する支持部材であって、
太陽電池モジュールの端部を裏面から支持する下水平部と、ベース材に固定される設置片と、該設置片に付設されたボルト及び該ボルトに締結されるナットと、該設置片をベース材に固定した際に下水平部とベース材との間に所定の隙間が形成されるように上記下水平部と設置片とを連結する連結部と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明の第5は、太陽電池モジュールをベース材に固定してなる太陽電池モジュール一体型屋根材であって、
上記本発明第4の支持部材と、側断面が略コ字形で上水平部、垂直部、下水平部からなる挟持部材とを用い、
上記支持部材の下水平部上に太陽電池モジュールの端部を配置し、該太陽電池モジュールの端部と支持部材の下水平部とを上記挟持部材で挟持し、且つ、支持部材のボルト及びナットにより該支持部材の設置片をベース材に固定することにより、太陽電池モジュールをベース材に固定してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、固定部材の保持部と設置片とを連結する連結部によって、屋根材(ベース材)と保持部との間に所定間隔以上の隙間が形成されるため、太陽電池モジュールを交換する際に、再固定用の挟持部材の一部を保持部と屋根材との隙間に進入させて、上記保持部に残された下水平部と共に太陽電池モジュールの端部を挟持することができる。従って、屋根面に施工後に任意の箇所の太陽電池モジュールのみを容易に交換することができ、用いる固定部材を共通化して作業効率を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明するが、本発明は本実施形態に限るものではない。
【0017】
〔第1の実施形態〕
先ず、図1〜図6に本発明の太陽電池モジュール一体型屋根材の好ましい実施形態を挙げて、本発明の太陽電池モジュール一体型屋根材、及びその構成要素である固定部材について説明する。
【0018】
図1は、本発明の第1の実施形態の太陽電池モジュール一体型屋根材を示す側断面図であり、図2は斜視図、図3,図4はそれぞれ、当該太陽電池モジュール一体型屋根材を屋根面に施工した状態の斜視図と側断面図である。図5は、当該太陽電池モジュール一体型屋根材の一端部の側断面図である。図6は、第1の実施形態の太陽電池モジュール一体型屋根材における固定部材と、後述する太陽電池モジュール交換用の挟持部材とを示す模式図である。
【0019】
図1及び図2に示すように、本例の太陽電池モジュール一体型屋根材1は、屋根材としてのベース材10上に、固定部材20を介して、光電変換装置である太陽電池モジュール2を一体的に固定したものである。
【0020】
本実施形態の太陽電池モジュール2は薄型太陽電池モジュールであって、扁平な直方体状を呈しており、封止材により光電変換素子が密閉されている。
【0021】
太陽電池モジュール2を搭載するベース材10は、例えば、セメント系の屋根材、粘土瓦または金属瓦等により形成されている。このベース材10は、単純な平板形状であっても構わないが、外観を屋根材に似せるために、モジュール搭載部分11の板厚が薄く形成され、その軒側端部において裏面側に突出した着座部12が形成されている。
【0022】
また、ベース材10の棟側端部の裏面側には、後述する野地板3に当接する断面逆台形状の脚部13が形成されており、その表面側には棟側に隣接するベース材10の着座部12が着座する縦方向ラップ部14が延設されている。縦方向ラップ部14は、上記モジュール搭載部分11よりも板厚を増大させて突設され、モジュール搭載部分11に太陽電池モジュール2を配置した際に、太陽電池モジュール2の上面と縦方向ラップ部14の上面とが同一平面となるように形成されている。この縦方向ラップ部14には、釘やビス等で固定する止着孔17が開設されている。
【0023】
さらに、左右方向(軒棟方向に直交する方向)の一端部には、隣接するベース材10を上側に重ねる横方向ラップ部15が延設されている。横方向ラップ部15は、上記屈曲した着座部12によってベース材10の他端部に区画される下部空間16に該横方向ラップ部15が配置される。尚、本例では、横方向ラップ部15が紙面上ベース材10の左端部に延設されているが、これに限るものではなく、ベース材10の右端部に延設してもよい。
【0024】
図3及び図4に示すように、太陽電池モジュール一体型屋根材1は、野地板3等の屋根面上に沿って、瓦等の屋根材を縦横に敷設するように施工される。即ち、野地板3上に太陽電池モジュール一体型屋根材1を配置し、縦方向ラップ部14の止着孔17に不図示の釘やビス等を止着して固定する。左右方向における太陽電池モジュール一体型屋根材1の配置は、図3に示すように、横方向ラップ部15上に左隣りの太陽電池モジュール一体型屋根材1の右端部が重なるように施工される。軒棟方向における太陽電池モジュール一体型屋根材1の配置は、図4に示すように、軒側の太陽電池モジュール一体型屋根材1の縦方向ラップ部14上に棟側の太陽電池モジュール一体型屋根材1の着座部12が着座して重なるように施工される。野地板3上には防水性のルーフ材が敷設される場合もあるが、本例の太陽電池モジュール一体型屋根材1の施工法は基本的に変わらない。
【0025】
このようにして屋根面上に縦横に敷設された複数の太陽電池モジュール2は、不図示の接続ケーブルによって直列または/及び並列に電気的に接続される。
【0026】
図5及び図6に示すように、本例の固定部材20は側断面形状がコ字形を呈しており、太陽電池モジュール2の端部を表裏面側から挟持する保持部21と、ベース材10上に当接するように配置される設置片22と、この設置片22に設けられ、ベース材10に固定するボルト23a及びナット23bとを備えている。本例では、太陽電池モジュール2の幅方向両端部を左右両側において2対の固定部材20で保持している。
【0027】
保持部21は、太陽電池モジュール2の表面側に対向する上水平部21aと、その裏面側に対向する下水平部21bと、その側面に対向し、上記上水平部21a及び下水平部21bを連結する垂直部21cとから構成され、これらは連続してコ字形を呈している。
【0028】
設置片22と保持部21の下水平部21bとは連結部24によって連結され、図6(a)に示すように、下水平部21b及び設置片22が同一平面にならず、且つ、互いに平行になるように、連結部24が下水平部21及び設置片22に対して傾いてこれらを連結している。これにより、設置片22をベース材10に当接させてボルト23a及びナット23bによって固定した際には、上記ベース材10と下水平部21bとの間に所定間隔以上の隙間Sが形成される。ここで、所定間隔以上の隙間Sとは、図6(b)に示す、モジュール交換後の再固定用の挟持部材40の下水平部40bの板厚t以上の間隔を有することを意味する。
【0029】
ボルト23aは、設置片22にベース材10に向けて立設されており、ベース材10を貫通するように起立している。従って、図1及び図5に示すように、ベース材10の四隅近傍の4箇所には、上記ボルト23aを挿通させるための貫通孔18が開設されており、このボルト23aをベース材10の貫通孔18に挿通させて、ベース材10の裏面側に突き出したボルト23aにナット23bを締結することにより、屋根材としてのベース材10と太陽電池モジュール2とが固定部材20を介して一体的に固定される。
【0030】
固定部材20の材質としては、例えば、鉄、鋼、ステンレス鋼、アルミ合金、その他の金属または合成樹脂等が挙げられる。
【0031】
ベース材10に開設した貫通孔18から漏水するのを防止するために、固定部材20の設置片22とベース材10との間に定形または不定形のシーリング材を介設したり、貫通孔18内にシーリング材を充填してもよい。
【0032】
また、ナット23bは、ボルト23aに適合していればよいが、締結固定を確実にするために、セレートを備えたフランジ付き六角ナットを用いることが好ましい。
【0033】
尚、固定部材20の保持部21で太陽電池モジュール2の端部を挟持する際には、太陽電池モジュール2の破損を防止するため、保持部21と太陽電池モジュール2との間に緩衝材30を介在させることが好ましい。緩衝材30は、弾力性を有するものであればよく、例えば、ゴム、エラストマーまたは合成樹脂が挙げられる。
【0034】
次に、図1の太陽電池モジュール一体型屋根材1における太陽電池モジュール2の交換方法について、図7に交換工程を示して説明する。図7において、(a)は、固定部材20の上水平部21aを切除した状態を示す側断面図である。(b)は、太陽電池モジュール2及び緩衝材30を取り外した状態を示す側断面図である。(c)は、固定部材20の垂直部21cを切除した状態を示す側断面図である。(d)は、交換用の太陽電池モジュール2’及び緩衝材30’を設置した状態を示す側断面図である。(e)は、再固定用の挟持部材40を設置した状態を示す側断面図である。
【0035】
本例の太陽電池モジュール2の交換方法は、上記の如く構成された太陽電池モジュール一体型屋根材1を屋根面に施工した後に、不具合のある太陽電池モジュール2を取り外して交換用の太陽電池モジュール2’に交換する方法である。
【0036】
先ず、図7(a)に示すように、太陽電池モジュール2の幅方向端部を表裏面側から挟持する固定部材20の保持部21における上水平部21aを切除して、図7(b)に示すように、緩衝材30と共に太陽電池モジュール2を取り外す。
【0037】
さらに、図7(c)に示すように、固定部材20の保持部21の垂直部21cを切除すると、保持部21には、上記設置片22と連結部24を介して連続する下水平部23bのみが残存する。
【0038】
そして、図7(d)に示すように、上水平部21a及び垂直部21cを切除し、下水平部21bのみが残存する保持部21上に、緩衝材30’を装着した交換用の太陽電池モジュール2’を載置する。
【0039】
この状態において、下水平部21bと設置片22との間には連結部24が存在するので、下水平部21bとベース材10との間には隙間Sが形成されている。この隙間Sを利用して、図7(e)に示すように、上記下水平部23bと共にその外側から上記太陽電池モジュール2の端部を挟持するように再固定用の挟持部材40を装着する。本例における再固定用の挟持部材40は、上記固定部材20の保持部21に類似した形状を有しており、相対向する上水平部40aと下水平部40b、及び、これらを連結する垂直部40cとから構成され、これらは連続して側断面がコ字形を呈している。この挟持部材40は、下水平部40bを、固定部材20の下水平部23bとベース材10との間に形成された隙間Sに進入させて装着されるので、上述したように、該隙間Sは挟持部材40の下水平部40bの板厚t以上に設定されている。
【0040】
また、挟持部材40の上水平部40aと下水平部40bとの距離、即ち垂直部40cの高さDは、(太陽電池モジュール2’の厚み+固定部材20の下水平部21bの板厚+緩衝材30’の肉厚×2)と略同等か、緩衝材30’の圧縮分だけ若干小さく設定されている。
【0041】
本例では、図7に示したように、棟側の固定部材20の上水平部21aを切除してモジュール2の交換作業を行う場合について説明したが、軒側の固定部材20の上水平部21aを切除してモジュール2の交換作業を行ってもよい。即ち、太陽電池モジュール2を取り外すときには、切除した側の固定部材20において太陽電池モジュール2を上方へ持ち上げ、そのまま切除側へとスライドさせることにより、太陽電池モジュール2を取り外すことができる。交換用の太陽電池モジュール2を設置するときは、取り外すときとは逆に、切除していない側の固定部材20へ太陽電池モジュール2をスライドさせながら挿入保持し、切除した側の固定部材20の上へ太陽電池モジュール2を降ろすことにより、太陽電池モジュール2を設置することができる。棟側または軒側の一方の固定部材20の保持部21の切除を行えば、太陽電池モジュール2の交換は可能であるが、棟側及び軒側との双方の固定部材20を切除して交換作業を行っても構わない。
【0042】
但し、棟側の固定部材20の上水平部21aを切除する場合には、縦方向ラップ部14と太陽電池モジュール2’との間に、挟持部材40を取り付けるに充分な隙間が形成されている必要があるが、軒側の固定部材20の上水平部21aを切除してモジュール2の交換作業を行う場合には、軒側に挟持部材40の取付を邪魔する部材がないため、交換作業が容易である。
【0043】
挟持部材40の位置ずれを防止するため、挟持部材40とベース材10、または挟持部材40と下水平部21bとを接着剤などで接着してもよい。
【0044】
以上説明したように、本発明の太陽電池モジュール一体型屋根材1によれば、連結部24によって、下水平部21bとベース材10との間に所定間隔(挟持部材40の下水平部40bの板厚t)以上の隙間Sが形成されている。これにより、保持部21の上水平部21a及び垂直部21cを切除して太陽電池モジュール2を2’に交換した場合に、挟持部材40の下水平部40bを、固定部材20の下水平部21bとベース材10との隙間Sに進入させて、該下水平部21bと共にその外側から太陽電池モジュール2の幅方向端部を挟持させることができる。従って、屋根面に太陽電池モジュール一体型屋根材1を施工した後でも、任意の箇所の太陽電池モジュール2のみを容易に交換することができる。また、固定部材20を全て共通化することにより、部品点数を減少させ、作業効率を向上させることができる。
【0045】
尚、本例では、上記保持部21の上水平部21a及び垂直部21cを切除して太陽電池モジュール2を交換しているが、少なくとも上水平部21aを切除すれば太陽電池モジュール2の交換は可能となる。この場合には、挟持部材40の作製寸法を交換が可能なように適宜調整すればよい。
【0046】
〔第2の実施形態〕
本発明においては、図5に示した固定部材20を、太陽電池モジュール2を交換後の固定部材20(即ち、上水平部21aと垂直部21cを切除した形態)と挟持部材40とを組み合わせた構成とすることによっても、同様の効果が得られる。
【0047】
即ち、図8に示す支持部材50と図6(b)に示す挟持部材40とで固定部材とする。支持部材50は、図6(a)の固定部材20の保持部21の上水平部21aと垂直部21cとを切除した形態である。
【0048】
本例では、太陽電池モジュール2をベース材10に取り付けた直後の状態が、前記第1の実施形態の太陽電池モジュール一体型屋根材1の太陽電池モジュール2を2’に交換した後と同様の構成となり、当該状態において太陽電池モジュール2’を交換する際には、挟持部材40を取り外し、太陽電池モジュール2’を交換した後、取り外した挟持部材40を再び取り付けて、或いは新たな挟持部材40を取り付けて交換作業を終了する。
【0049】
よって、本例では基本的には第1の実施形態の太陽電池モジュール一体型屋根材1と同様の作用効果を奏するが、上記したように、太陽電池モジュール2の交換時に第1の実施形態の如く上水平部21aの切除を必要としないため、交換作業の効率化を図ることができるものである。
【0050】
尚、本例においても、挟持部材40を取り外す際に上水平部41aを一旦切除してから太陽電池モジュール2を取り外し、挟持部材40を取り外してもかまわない。
【0051】
太陽電池モジュール2と支持部材50及び挟持部材40との固定に接着剤を用いている場合には、太陽電池モジュール2の交換作業の際に、太陽電池モジュール2とベース材10との間に鋸やナイフ等の刃物を挿入し、接着層を切断する作業を加えることになる。
【0052】
図9に本発明に用いられる挟持部材40の斜視図を示す。本発明において、かかる挟持部材40の下水平部40bは、図9(a)に示すように、端部が上水平部40aや垂直部40cと同様に垂直に切り落とした構成でもかまわないが、図9(b)に示すように、両端部に外方へ向けて下り傾斜した案内テーパ部60を形成しておくことにより、下水平部21bとベース材10との間に当該下水平部40cを挿入し易くなり、挟持部材40の装着が容易になる。さらに、図9(c)に示すように、下水平部40bの両端部に、左右方向外方に突き出して外方へ向けて下り傾斜した案内テーパ部60を延設することにより、挟持部材40の隙間Sへの挿入がより容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の太陽電池モジュール一体型屋根材の一実施形態を示す側断面図である。
【図2】図1の太陽電池モジュール一体型屋根材の斜視図である。
【図3】図1の太陽電池モジュール一体型屋根材を屋根面に施工した状態の斜視図である。
【図4】図1の太陽電池モジュール一体型屋根材を屋根面に施工した状態の側断面図である。
【図5】図1の太陽電池モジュール一体型屋根材の部分断面図である。
【図6】図1の太陽電池モジュール一体型屋根材に用いた固定部材と太陽電池モジュール交換用の挟持部材を示す模式図である。
【図7】図1の太陽電池モジュール一体型屋根材における太陽電池モジュールの交換工程を示す部分断面図である。
【図8】本発明の支持部材の一実施形態を示す模式図である。
【図9】本発明に用いられる太陽電池モジュールの交換用挟持部材の構成例を示す斜視図である。
【図10】従来の太陽電池モジュール一体型屋根材における要部を示す側断面図である。
【符号の説明】
【0054】
1 太陽電池モジュール一体型屋根材
2,2’ 太陽電池モジュール
3 野地板
10 ベース材
11 モジュール搭載部分
12 着座部
13 脚部
14 縦方向ラップ部
15 横方向ラップ部
16 下部空間
17 止着孔
18 貫通孔
20 固定部材
21 保持部
21a 上水平部
21b 下水平部
21c 垂直部
22 設置片
23a ボルト
23b ナット
24 連結部
30,30’ 緩衝材
40 挟持部材
40a 上水平部
40b 下水平部
40c 垂直部
50 支持部材
60 案内テーパ部
101 太陽電池モジュール
102 固定部材
102a 設置片
103 ボルト
104 屋根材
105 緩衝材
106 貫通孔
107 ナット
S 隙間
t 板厚
D 挟持部材の間隔(垂直部の高さ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池モジュールをベース材に固定して太陽電池モジュール一体型屋根材を構成するための固定部材であって、
太陽電池モジュールの端部を挟持する側断面が略コ字形で上水平部、垂直部、下水平部からなる保持部と、ベース材に固定される設置片と、該設置片に付設されたボルト及び該ボルトに締結されるナットと、該設置片をベース材に固定した際に下水平部とベース材との間に所定の隙間が形成されるように上記下水平部と設置片とを連結する連結部と、を備えたことを特徴とする固定部材。
【請求項2】
太陽電池モジュールを固定部材を介してベース材に固定してなる太陽電池モジュール一体型屋根材であって、
請求項1に記載の固定部材を用い、
上記固定部材の保持部により太陽電池モジュールの端部を挟持し、且つ、ボルト及びナットにより上記固定部材の設置片をベース材に固定することにより、太陽電池モジュールをベース材に固定してなることを特徴とする太陽電池モジュール一体型屋根材。
【請求項3】
請求項2に記載の太陽電池モジュール一体型屋根材における太陽電池モジュールの交換方法であって、
固定部材の保持部の上水平部を切除して太陽電池モジュールを取り外した後、固定部材の保持部の垂直部を切除し、新たな太陽電池モジュールを配置し、側断面が略コ字形で上水平部、垂直部、下水平部からなる挟持部材で、固定部材の保持部に残された下水平部と新たな太陽電池モジュールの端部とを挟持することにより、新たな太陽電池モジュールをベース材に固定することを特徴とする太陽電池モジュール一体型屋根材における太陽電池モジュールの交換方法。
【請求項4】
太陽電池モジュールをベース材に固定して太陽電池モジュール一体型屋根材を構成する際に太陽電池モジュールをベース材上に支持する支持部材であって、
太陽電池モジュールの端部を裏面から支持する下水平部と、ベース材に固定される設置片と、該設置片に付設されたボルト及び該ボルトに締結されるナットと、該設置片をベース材に固定した際に下水平部とベース材との間に所定の隙間が形成されるように上記下水平部と設置片とを連結する連結部と、を備えたことを特徴とする支持部材。
【請求項5】
太陽電池モジュールをベース材に固定してなる太陽電池モジュール一体型屋根材であって、
請求項4に記載の支持部材と、側断面が略コ字形で上水平部、垂直部、下水平部からなる挟持部材とを用い、
上記支持部材の下水平部上に太陽電池モジュールの端部を配置し、該太陽電池モジュールの端部と支持部材の下水平部とを上記挟持部材で挟持し、且つ、支持部材のボルト及びナットにより該支持部材の設置片をベース材に固定することにより、太陽電池モジュールをベース材に固定してなることを特徴とする太陽電池モジュール一体型屋根材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−186904(P2007−186904A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−5779(P2006−5779)
【出願日】平成18年1月13日(2006.1.13)
【出願人】(390018717)旭化成建材株式会社 (249)
【Fターム(参考)】