説明

妨害電磁波逓減装置、画像形成装置及び電子機器

【課題】 磁性体を用いずに導体と抵抗体とを用いて広帯域にわたる電磁波を吸収して低減させる。
【解決手段】 妨害電磁波逓減装置9は、抵抗体16と導電性板17とを備える。抵抗体16は、2箇所で導電性板17にのみ接続され、導電性板17よりも高い抵抗値を有する。導電性板17は、対数周期構造をもつ受信アンテナとして機能する。妨害電磁波逓減装置9は、広範囲の周波数の電磁波に対して導電性板17を共振させることにより抵抗体16に電圧を発生させ、抵抗体16に電流を流し、抵抗体16で電流のエネルギーをジュール熱に変換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子機器から発生する電磁波を逓減する妨害電磁波逓減装置及び、該妨害電磁波逓減装置を備えた画像形成装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器の高機能化、高クロック化に伴い、電子機器から発生する電磁波による障害が問題となってきている。特に複写機などの画像読取部においては高画質化のためにクロック数が高くなっており、漏洩する電磁波ノイズをいかに少なくするかが重要な問題となってきている。
【0003】
特許文献1には、磁束収束のための磁性体と、該強磁性体に密着して設けられた金属材料から成る導体薄板と、から構成されることを特徴とする電磁波吸収体が提案されている。特許文献1では、磁性体により磁束を収束し、導体薄板により磁束のエネルギーを熱に変換して消費しているため、磁性体の特性上、吸収できる電磁波の周波数が狭帯域に限定されるとともに、一般に低周波でしか電磁波を吸収しない強磁性体を用いると、数百MHz以上の高周波の電磁波を低減することはできない。また、磁性体を用いて広い周波数範囲で電磁波を低減するためには、広い周波数を全て吸収できるように、極めて多くの種類の磁性体を用意する必要が生じる。
【0004】
特許文献2には、外部に通じる隙間部分を有する筐体内部に設置される電子機器にて生じる電磁妨害波を低減させる電磁妨害波低減方法であって、前記電子機器から放射される周波数ごとに主要な磁界放射の指向性と磁界強度の情報を計測し、前記筐体の寸法により複数の共振周波数で集会する磁界分布のベクトルを演算し、前記磁界分布のベクトルに対して前記電子機器から放射される磁界放射の指向性が直交する位置に該電子機器を設置することを特徴とする電磁妨害波低減方法が提案されている。特許文献2では、本来の筐体シールド性能を乱さないようにスリットを配置するものであるため、スリットが電磁波を吸収することはできず、また、狭い範囲の電磁波しか低減することができない。
【0005】
【特許文献1】特開平11−261280号公報
【特許文献2】特開2003−115961号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、磁性体を用いずに導体と抵抗体とを用いて広帯域にわたって電磁波を吸収して低減する妨害電磁波低減装置及び妨害電磁波低減装置を用いた画像形成装置及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1の妨害電磁波低減装置は、対数周期構造のアンテナ形状をもつ導電性部材と、導電性部材に電気的に接続される2箇所の接続点を有し、導電性部材よりも高い抵抗値を有する抵抗体とを備える。
【0008】
この発明の第2の妨害電磁波低減装置は、第1の妨害電磁波低減装置において、導電性部材の接続点におけるインピーダンスがR+jXと表される場合に、抵抗体の接続点間のインピーダンスはR−jXと表される。この発明の第3の妨害電磁波低減装置は、第1または第2の妨害電磁波低減装置において、導電性板は、自己補対構造をもつ。この発明の第4の妨害電磁波低減装置は、第3の妨害電磁波低減装置において、抵抗体は、接続点間で188Ωのインピーダンスをもつ。
【0009】
この発明の第5の妨害電磁波低減装置は、第1から第4のいずれかの妨害電磁波低減装置において、導電性板は、逓減しようとする周波数範囲の最大波長の半波長より長い受信領域を有する。この発明の第6の妨害電磁波低減装置は、第1から第5のいずれかの妨害電磁波低減装置において、導電性板は、抵抗体付近で折り曲げられている。この発明の第7の妨害電磁波低減装置は、第1から第6のいずれかの妨害電磁波低減装置において、導電性板は金属板で形成されている。
【0010】
この発明の第8の妨害電磁波低減装置は、第1から第7のいずれかの妨害電磁波低減装置において、導電性板に重ねて設けた粘着層を備える。この発明の第9の妨害電磁波低減装置は、第1から第8のいずれかの妨害電磁波低減装置において、導電性板に近接配置された誘電体を備える。この発明の第10の妨害電磁波低減装置は、第9の妨害電磁波低減装置において、誘電体は、抵抗体から離れて導電性板の端部周辺に配置されている。
【0011】
この発明の電子機器は、上記いずれかの妨害電磁波逓減装置を備える。この発明の第1の画像形成装置は、上記いずれかの妨害電磁波逓減装置を備える。この発明の第2の画像形成装置は、第1の画像形成装置において、導電性板が筐体構造物の一部で形成されている。この発明の第3の画像形成装置は、第1または第2の画像形成装置において、複数の電磁波発生源を備え、妨害電磁波低減装置は、複数の電磁波発生源の仕切板に設けられている。この発明の第4の画像形成装置は、第1または第2の画像形成装置において、妨害電磁波低減装置の空隙部分は、筐体内部と筐体外部との間に気流を通過させるルーバーの一部として構成されている。
【発明の効果】
【0012】
この発明の妨害電磁波低減装置によれば、磁性体を用いずに導体と抵抗体とを用いて広帯域にわたって電磁波を吸収して低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
第1の実施形態の画像形成装置1は、図1の構成図に示すように、画像読取部2と制御部3と給紙部4と転写装置5と定着装置6と排紙部7と反転部8と妨害電磁波逓減装置9とを備える。なお、画像形成装置は他の複写装置、ファクシミリ送受信装置、印刷装置、記録装置、複写装置複合型の画像形成装置等であってもよい。
【0014】
画像読取部2は、原稿サイズ検知装置により原稿台に置かれた原稿のサイズを検知し、原稿を原稿自動送り装置で送りながら光を走査し、反射光を受光して各原稿の画像を読み取り制御部3に出力する。制御部3は、読み取られた画像を画像処理部において補正など各種画像処理を行い、読取順序とともにメモリに記憶し、画像をメモリから順次読み出してトナー像作成のための書込信号を作成する。給紙部4は種々の紙質や大きさの記録媒体を収納し、適宜、転写装置5に送る。転写装置5は、制御部3で作成された書込信号の入力を受けて、トナー色ごとに設けられた感光体を帯電、露光及び現像して表面にトナー像を形成し、感光体に連動して回転する中間転写ベルトに各トナー色のトナー像を重ねて一次転写し、給紙部4から送られる記録媒体に一括して二次転写する。定着装置6は二次転写された記録媒体を加熱ローラと加圧ローラとで構成される定着ローラにはさんで加熱しながら加圧してトナー像を記録媒体に定着させる。定着装置6で定着された記録媒体は、裏面に画像形成する際には、反転部8で反転されて再び転写装置5に送られて裏面に画像形成され、画像形成が終了すれば排紙部7に送られて排紙トレー等に排紙される。
【0015】
制御部3は、図2の斜視透視図に示すように、2枚のプリント回路基板10と筐体11と仕切板12とルーバー13と空冷ファン14とを有する。プリント回路基板10は、画像処理回路などの画像形成動作を制御する各種電子回路が形成されており、動作に伴い様々な周波数の電磁波ノイズを発生する。筐体11は、プリント回路基板10を覆うように形成されている。仕切板12は、2枚のプリント回路基板10の間を間仕切りしている。ルーバー13は、筐体11の一部に設けられた開口であって、画像形成装置1の外部と通気を行う。空冷ファン14は、ルーバー13を通じて筐体11内部の熱を画像形成装置1の外部に放出させる。
【0016】
妨害電磁波逓減装置9は、図3の正面図に示すように、抵抗体16と導電性板17とを備え、制御部3の仕切板12の一部に設けた開口15にはめ込まれて配置されている。抵抗体16は、2箇所で導電性板17にのみ接続され、導電性板17よりも高い抵抗値を有する。導電性板17は、対数周期構造をもつ受信アンテナとして機能する。導電性板17は、安価に電磁波逓減効果を得るために金属板で形成することが好ましい。導電性板17が対数周期構造をもつことにより、アンテナを形成する金属部分のインピーダンスは周波数のτ倍ごとに同じとなるため広範囲で一定となる。
【0017】
具体的には、導電性板17は、抵抗体16の2箇所に接続されて、抵抗体16から遠ざかるx方向に徐々に広がる板状の支持部分と、支持部分から所定間隔を置いてy方向両側に互い違いに突き出すように形成された小型のほぼ矩形の板状の突起とを有する。突起の長さは、抵抗体16から離れるに従って大きくなっており、支持部分の両側にある第n番目の突起と第n番目の空隙とを合わせた長さdnと、第n+1番目の突起と第n+1番目の空隙とを合わせた長さdn+1との比は一定値k=dn+1/dnをもつ。抵抗体16から第n番目の突起及び第n番目の空隙までの距離dnと、抵抗体16から第n+1番目の突起及び第n+1番目の空隙までの距離dn+1との比は一定値k=dn+1/dnをもつ。
【0018】
導電性板17の大きさは有限であるため、電磁波を逓減することができる周波数範囲は、突起の長さの最小値と最大値とにより制限される。導電性板10の微小突起の最大部の寸法aは、逓減しようとする電磁波の最低周波数の半波長より大きく形成している。電磁波逓減効果が減少する周波数は、寸法aの半波長に相当する周波数であるため、寸法aを逓減する最低周波数の半波長より大きくすることにより、所望の周波数範囲の電磁波を確実に逓減することができる。
【0019】
妨害電磁波逓減装置9は、プリント回路基板10から発生する電磁波に対して広範囲の周波数に対して導電性板17を共振させることにより抵抗体16に電圧を発生させ、抵抗体16に電流を流し、抵抗体16で電流のエネルギーをジュール熱に変換することにより、プリント回路基板10から発生する電磁波を広い範囲の周波数で逓減させる。広範囲な周波数に対してインピーダンスが一定であることにより、広範囲で安定して電磁波を逓減させることができる。
【0020】
最大電力供給の定理によれば、導電性板17の抵抗体16を接続する部分におけるインピーダンスZ1を、Z1=R+jX(Rは抵抗、Xはリアクタンス、jは複素数を示す)と表した場合に、抵抗体16のインピーダンスZ2をZ2=R-jXと設定することが望ましく、この設定により、抵抗体16で消費される電力を最大として、最も効果的に電磁波ノイズを逓減することができる。導電性板17及び抵抗体16のインピーダンスは、インピーダンスアナライザや数値計算により求める。
【0021】
妨害電磁波逓減装置9による電磁波の逓減の効果について説明する。放射電界の評価は、解析空間を格子状に分割してMaxwell方程式を差分して時間領域で解くFDTD法(有限差分時間領域法)といわれる計算解析手法を用い、シミュレーションによって行う。
【0022】
図4(a)に示すように、x方向に導電性板17の支持部分を向け、y方向に突起を向け、導電性板17のx方向及びy方向の最大幅がともに500mmであり、抵抗体の抵抗値が50Ωである妨害電磁波逓減装置9から、図4(b)に示すように距離d=100mm離して電磁波の発生源である電子機器を模して中心部の給電部19から電力を供給されるy方向の長さc=500mmの図4(c)に示すようなダイポールアンテナ18を配置する。入力点であるダイポールアンテナ18の入力端に、給電部19から広い範囲の周波数成分を含んだガウシアンパルスを入力し、抵抗体16からx方向に125mm、y方向に0mm、z方向に20mm離れた観測位置20において、時間領域での電界情報を取り込み、電界情報を周波数変換することにより周波数領域での電界情報を得る。
【0023】
妨害電磁波逓減装置9を配置して観測したCASE1の場合と、妨害電磁波逓減装置9を配置しないで観測したCASE2の場合とにおいて、観測位置2で受信される電磁波の周波数と放射電界強度との関係を比較すると、図5のグラフに示すように妨害電磁波逓減装置9を配置したCASE1の場合の方が幅広い周波数において周波数が逓減されることが明らかである。例えば、周波数325MHzの電磁波についてみると、妨害電磁波逓減装置9を配置しないCASE2の場合に観測される放射電界強度は9.27mV/mであるのに対し、妨害電磁波逓減装置9を配置したCASE1の場合に観測される放射電界強度は0.694mV/mであり、従って、妨害電磁波逓減装置9を配置することにより電磁波を14倍程度逓減することができる。なお、周波数65MHz以上では逓減効果が見られる。
【0024】
第1の実施形態の画像形成装置1によれば、電磁波を発生する電子部品に近接して妨害電磁波逓減装置9を配置することにより、狭い範囲でしか電磁波を低減できない磁性体を用いずに導体と抵抗体との簡単な構成で広範囲の周波数の電磁波ノイズを逓減することができる。なお、電子機器の一種として画像形成装置について説明したが、妨害電磁波低減装置は他の電子機器に組み込まれて電磁波を低減するものであってもよい。
【0025】
なお、妨害電波逓減装置9は、図6の制御部3の斜視透視図に示すように、突起の間の空間部分をルーバー13と一体に形成したものであってもよい。妨害電波逓減装置9をルーバー13に一体に形成し、空冷ファン14で排風や換気を行うことにより、電磁波逓減効果に加え、放熱効果を得ることができる。電磁波の発生源であるプリント回路基板10を筐体で囲うことにより、電磁波の漏洩する部分を妨害電波逓減装置9の対数周期構造の間隙だけとすることにより、間隙で広帯域の電磁波を共振させて、電磁波ノイズをより逓減することができる。
【0026】
また、妨害電波逓減装置9は、図7(a)の正面図及び図7(b)の側面図に示すように、導電性板17を一体に形成した薄膜金属21の一部に粘着層22を設けたものであってもよい。例えば、電磁波の発生源である電子機器を内蔵したプラスチック筐体に、粘着層22を設けた電磁波逓減装置9を貼ることにより、導電性でないプラスチック筐体を用いる場合でも、安価かつ容易に電磁波を逓減することができる。
【0027】
また、妨害電波逓減装置9は、図8(a)の正面図に示すように、抵抗体16の近傍に誘電体板23を備えるものであってもよい。誘電体板23の近傍の導電性板17の線路で波長短縮が起ることにより、波長短縮分だけ低い周波数の電磁波ノイズを逓減することができる、導電性板17の寸法を小さくても低い周波数側に幅広い電磁波を逓減することができる。
【0028】
また、誘電体板23は、図8(b)の正面図に示すように抵抗体16から離して導電性板17の端部付近を囲むように配置したものであってもよい。導電性板17において、高い周波数の電磁波は抵抗体16近傍で共振し、低い周波数の電磁波は抵抗体16から離れた位置で共振するため、誘電体板23を抵抗体16から離れた位置に置くことにより、より低い周波数の電磁波を効果的に共振させて逓減することができ、導電性板17の寸法が小さくても低い周波数側に幅広い電磁波を逓減することができる。
【0029】
なお、妨害電波逓減装置9は、図9の正面図に示すように、導電性板17は、抵抗体16との接続部分を中心として折り曲げられた構成をもつものであってもよい。導電性板17が折り曲げられていることにより、低い周波数まで電磁波を逓減できる効果を得る場合でも、妨害電波逓減装置9の占有する領域を小さくすることができ、電子機器の外形寸法を小さくすることができる。
【0030】
第2の実施形態の画像形成装置は、第1の実施形態の画像形成装置1が備える妨害電磁波逓減装置9に変えて妨害電磁波逓減装置24を備える。
【0031】
妨害電磁波逓減装置24は、図10の正面図に示すように、抵抗体25と導電性板26とを備えている。抵抗体25は、2箇所で導電性板26にのみ接続され、導電性板26よりも高い抵抗値を有する。導電性板26は、導電性板26の部分と空間部分とを線対称または点対称に形成した自己補対構造をもつ受信アンテナとして機能するとともに、対数周期構造をもつ受信アンテナとして機能する。導電性板26は、安価に電磁波逓減効果を得るために金属板で形成することが好ましい。
【0032】
具体的には、導電性板26は、抵抗体25を中心として円周方向に、順に角度β1の領域と角度β2の領域と角度β3の領域と角度β4の領域とを2回繰り返す構造をもつ。角度β2の領域は、抵抗体25を中心として半径方向に徐々に広がるように導電性板26で埋められている。角度β1の領域は、半径方向一定幅で円周方向につながる導電性板26の部分と空間領域とを交互に配置した構成をもつ。角度β1の領域において、中心からn+1番目の導電性板26の部分までの距離rn+1と、中心からn番目の導電性板26の部分までの距離との比rn+1/rnは一定値k1をもち、中心からn+1番目の空間までの距離Rn+1と、中心からn番目の空間部分とn番目の空間部分までの距離Rnとの比Rn+1/Rnは一定値k2をもつ。角度β3の領域と角度β4の領域とは、それぞれ、角度β1の領域と角度β2の領域とにおいて、導電性板26の部分と空間部分とを置き換えた構成をもつ。なお、自己補対構造は線対称や点対称に形成された他の構成をもつものであってもよい。
【0033】
導電性板26が無限に大きくかつ自己補対構造をもつならば、アンテナのインピーダンスはインダクタンス成分をもたず、60πΩ(=188Ω)(πは円周率)の純抵抗値になるため、周波数及び導電性板26の形状に依存しない。実際には、導電性板26の寸法は有限であるため、導電性板26は低い周波数では一定でなく高い周波数で一定なインピーダンスをもつ。
【0034】
妨害電磁波逓減装置24は、プリント回路基板10から発生する電磁波に対して広範囲の周波数に対して導電性板26を共振させることにより抵抗体25に電圧を発生させ、抵抗体25に電流を流し、抵抗体25で電流のエネルギーをジュール熱に変換することにより、プリント回路基板10から発生する電磁波を広い範囲の周波数で逓減させる。広範囲な周波数に対してインピーダンスが一定であることにより、第1の実施形態の妨害電波逓減装置9よりも広範囲で安定して電磁波を提言させることができる。
【0035】
さらに、導電性板26の抵抗体25を接続する部分におけるインピーダンスは60πで一定なことから、抵抗体25のインピーダンスも60πで一定に設定して最大電力供給の定理により、最大の電力を抵抗体25で消費するようにすることが望ましい。導電性板26が自己補対構造を形成することによりインピーダンスのリアクタンス成分がなくなり、抵抗体25のリアクタンス成分を必要としないことから、より安価かつ簡便に広範囲に電磁波を逓減することができる。
【0036】
第2の実施形態の画像形成装置によれば、電磁波を発生する電子部品に近接して妨害電磁波逓減装置24を配置することにより、簡単な構成で広範囲の周波数の電磁波ノイズを逓減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】第1の実施形態の画像形成装置の構成図である。
【図2】第1の実施形態の制御部の斜視透視図である。
【図3】第1の実施形態の妨害電磁波逓減装置の正面図である。
【図4】妨害電磁波逓減装置の効果を確認する実験装置の構成図である。
【図5】実験で観測された電磁波の周波数と電界強度との関係を示す図である。
【図6】第1の実施形態の他の構成の制御部の斜視透視図である。
【図7】第1の実施形態の他の妨害電磁波逓減装置の正面図である。
【図8】第1の実施形態の他の妨害電磁波逓減装置の正面図である。
【図9】第1の実施形態の他の妨害電磁波逓減装置の正面図である。
【図10】第2の実施形態の妨害電磁波逓減装置の正面図である。
【符号の説明】
【0038】
1;画像形成装置、2;画像読取部、3;制御部、4;給紙部、5;転写装置、
6;定着装置、7;排紙部、8;反転部、9;妨害電磁波低減装置、
10;プリント回路基板、11;筐体、12;仕切板、13;ルーバー、
14;空冷ファン、15;開口、16;抵抗体、17;導電性板、
18;ダイポールアンテナ、19;給電部、20;観測位置、21;薄膜金属、
22;粘着層、23;誘電体板、24;妨害電磁波逓減装置、25;抵抗体、
26;導電性板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対数周期構造のアンテナ形状をもつ導電性部材と、
前記導電性部材に電気的に接続される2箇所の接続点を有し、前記導電性部材よりも高い抵抗値を有する抵抗体とを備えることを特徴とする妨害電磁波低減装置。
【請求項2】
前記導電性部材の接続点におけるインピーダンスがR+jXと表される場合に、前記抵抗体の接続点間のインピーダンスはR−jXと表される請求項1に記載の妨害電磁波逓減装置。
【請求項3】
前記導電性板は、自己補対構造をもつ請求項1または請求項2に記載の妨害電磁波逓減装置。
【請求項4】
前記抵抗体は、接続点間で188Ωのインピーダンスをもつ請求項3に記載の妨害電磁波逓減装置。
【請求項5】
前記導電性板は、逓減しようとする周波数範囲の最大波長の半波長より長い受信領域を有する請求項1から請求項4のいずれかに記載の妨害電磁波逓減装置。
【請求項6】
前記導電性板は、抵抗体付近で折り曲げられている請求項1から請求項5のいずれかに記載の妨害電磁波逓減装置。
【請求項7】
前記導電性板は金属板で形成されている請求項1から請求項6のいずれかに記載の妨害電磁波逓減装置。
【請求項8】
前記導電性板に重ねて設けた粘着層を備える請求項1から請求項7のいずれかに記載の妨害電磁波逓減装置。
【請求項9】
前記導電性板に近接配置された誘電体を備える請求項1から請求項8のいずれかに記載の妨害電磁波逓減装置。
【請求項10】
前記誘電体は、前記抵抗体から離れて前記導電性板の端部周辺に配置されている請求項9に記載の妨害電磁波逓減装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれかに記載の前記妨害電磁波逓減装置を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項12】
請求項1から請求項10のいずれかに記載の前記妨害電磁波逓減装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
前記導電性板が筐体構造物の一部で形成されている請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
複数の電磁波発生源を備え、
前記妨害電磁波低減装置は、複数の前記電磁波発生源の仕切板に設けられている請求項12または請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記妨害電磁波低減装置の空隙部分は、筐体内部と筐体外部との間で気流を通過させるルーバーとして構成されている請求項12または請求項13に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−217144(P2006−217144A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−26358(P2005−26358)
【出願日】平成17年2月2日(2005.2.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】