説明

媒体処理装置及び媒体処理システム

【課題】たとえ本媒体処理装置を所有していても、そのホストとなり得る装置が正当なものでない限り、媒体に記憶されているデータを書換えられないようにする。
【解決手段】媒体から読取った可変情報の中から規則性をもって変化する数情報を抽出する。抽出された数情報を当該数情報が抽出された可変情報を記憶してなる媒体の識別情報と対応付けて記憶する。ホストから情報書換対象である媒体の識別情報とともにその媒体に書き込むべき可変情報を受け取ると、その可変情報の中から数情報を抽出する。ホストから受け取った媒体の識別情報と対応付けて記憶されている数情報を取得する。得られた数情報に対して抽出された数情報が規則性をもって変化しているか否かを判断する。数情報が規則性をもって変化していると判断されたことを条件に、ホストから受け取った可変情報を当該可変情報とともにホストから受け取った識別情報を記憶している媒体に書き込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホストからの指令により、固有の識別情報と可変情報とを記憶する媒体に記憶された前記可変情報の書換えを例えば非接触通信を利用して行う媒体処理装置及びこの媒体処理装置とホストとを備えた媒体処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ICチップとアンテナを内蔵し、専用のリーダ・ライタとアンテナを介して非接触で通信を行うことにより、ICチップのメモリに情報が書き込まれたり、同メモリに記憶されている情報が読取られたりする小型の媒体が開発されている。この媒体は、予め製造段階で固有の識別情報いわゆるIDが書換不能に記憶されており、リーダ・ライタは、このIDを基に媒体を個々に認識して情報の読取りや書込みを行う。そこで、この媒体を認識が必要な対象物に付すとともに、この対象物に関する情報をICチップで記憶することによって、リーダ・ライタに接続されたホストは、リーダ・ライタで読取られた媒体からの情報により当該媒体が付された対象物を特定することができる。このため一般に、この種の媒体は、RFID(Radio Frequency Identification)等と称され、物流情報管理や個人情報管理などの様々な情報管理システムでの利用が提案されている。
【0003】
その1つとして、流通小売業界で広く普及しているポイントサービスシステムのポイントカードにRFIDを設け、このRFIDで会員番号等の顧客情報とともにポイント数を保持することが考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−154777号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、RFID専用のリーダ・ライタとそのホストとなり得るパソコン等を所有してさえいれば、RFIDから読取ったデータをホストに保存しておき、その後、RFIDのデータが変更された後で、ホストに保存しておいたデータをRFIDに書き込むことによって、RFIDのデータを変更前の状態に戻すことが可能であった。このため、例えばポイントカードに設けられたRFIDでポイント数を保持するようにした場合には、RFIDに溜まったポイントを支払い等に使用した後で、使用前の状態に増やす不正が可能となり、解決が望まれていた。
【0005】
本発明はこのような事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、たとえ本媒体処理装置を所有していてもそのホストとなり得る装置が正当なものでない限り媒体に記憶されているデータを書換えられないようにすることで、媒体に記憶されているデータの不正な書換を確実に防止し、セキュリティ性を高めるところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、ホストからの指令により、固有の識別情報例えばIDと可変情報とを記憶する媒体例えばRFIDに記憶された可変情報の書換えを例えば非接触通信を利用して行う媒体処理装置において、媒体に記憶された識別情報と可変情報とを読取る情報読取手段及びこの媒体から読取った識別情報と可変情報とをホストに送信する情報送信手段の他、第1の数情報抽出手段,数情報記憶手段,第2の数情報抽出手段,数情報取得手段,数情報判断手段及び情報書込手段を備えた。
【0007】
第1の数情報抽出手段は、媒体から読取った可変情報の中から規則性をもって変化する数情報を抽出する。
数情報記憶手段は、抽出された数情報を当該数情報が抽出された可変情報を記憶してなる媒体の識別情報と対応付けて記憶する。
第2の数情報抽出手段は、ホストから情報書換対象である媒体の識別情報とともにその媒体に書き込むべき可変情報を受け取ると、その可変情報の中から数情報を抽出する。
数情報取得手段は、ホストから受け取った媒体の識別情報と対応付けて記憶されている数情報を取得する。
数情報判断手段は、数情報取得手段により得られた数情報に対して第2の数情報抽出手段により抽出された数情報が規則性をもって変化しているか否かを判断する。
情報書込手段は、数情報が規則性をもって変化していると判断されたことを条件に、ホストから受け取った可変情報を当該可変情報とともにホストから受け取った識別情報を記憶している媒体に書き込む。
【0008】
また本発明は、上記各手段を有する媒体処理装置と、この媒体処理装置に接続されるホストとを備えた媒体処理システムであって、ホストは、数情報更新手段と、書込指令手段とを備えた。
数情報更新手段は、媒体処理装置から媒体の識別情報と可変情報を受信すると、その可変情報中の数情報を規則性をもって変化させる。
書込指令手段は、数情報更新手段により更新された数情報を含む可変情報を情報書換対象である媒体の識別情報とともに媒体処理装置に送信する。
【0009】
かかる手段を講じたことにより、媒体処理装置に接続されるホストが正当なものであった場合、つまりは媒体に書き込む可変情報を編集する際に当該媒体から読取った可変情報中の数情報を規則性をもって変化させるものであった場合には、媒体処理装置は、ホストで編集された可変情報を媒体に書き込むが、前記ホストが不当なものであった場合、つまりは当該媒体から読取った可変情報中の数情報を規則性をもっては変化させないものであった場合には、媒体処理装置は、ホストで編集された可変情報を媒体に書き込まない。
【発明の効果】
【0010】
したがって本発明によれば、たとえ本媒体処理装置を所有していてもそのホストとなり得る装置が正当なものでない限り媒体に記憶されているデータを書換えることができないので、媒体に記憶されているデータの不正な書換を確実に防止でき、セキュリティ性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を用いて説明する。
なお、この実施の形態は、流通小売業界で既に実施されているPOS(Point Of Sales)端末を利用したポイントサービスシステムのデータキャリー型ポイントカードにRFIDを設け、このRFIDのメモリ部で最新のポイント数を記憶保持するようにした場合である。すなわち本実施の形態において、固有の識別情報と可変情報とを記憶する媒体は、RFIDである。媒体処理装置は、RFIDのリーダ・ライタである。媒体処理システムは、上記リーダ・ライタとそのホストであるPOS端末とによって構成される。
【0012】
図1は本実施の形態における媒体処理システムの概略を示す模式図である。この媒体処理システムは、ポイントカード1に設けられたRFID2に対し、アンテナ3を介して行う非接触通信により情報の読取り及び書込みを行うリーダ・ライタ4と、このリーダ・ライタ4のホストとして機能するPOS端末5とで構成されている。リーダ・ライタ4とPOS端末5とは、専用の通信回線6で接続されている。なお、リーダ・ライタ4は、POS端末5の外部でなく内部に設けてもよい。
【0013】
RFID2は、図1,2に示すように、アンテナ21とICチップ22とで構成されている。ICチップ22には、アンテナ21で受信した変調波の整流と安定化を行うことによりICチップ22の各部に電源を供給する電源生成部23、上記変調波を復調して制御部25へ送出する復調部24、制御部25から送出されたデータを変調してアンテナ21に送出する変調部26、復調部24で復調されたデータをメモリ部27に書込んだり、メモリ部27からデータを読み出して変調部26へ送出したりする制御部25、及びEEPROM等の不揮発性の書換え可能なメモリ部27等で構成されている。メモリ部27には、当該RFID2の製造段階で製造業者により割当て設定された固有の識別情報であるIDが予め記憶されている。また、ユーザが任意のデータを書込むことができるユーザエリアが確保されている。そしてこのユーザエリアに、会員番号,ポイントデータP等のポイントカードに関連したデータと書込み回数Nとが可変自在に記憶されている。因みに、このようなRFID2が設けられたポイントカード1は、一般には、非接触ICカード(RFカード)と称されている。
【0014】
リーダ・ライタ4は、図3に示すように、インターフェイス部41,変調部42,送信アンプ43,受信アンプ44,復調部45,制御部46及びメモリ部47等で構成されている。インターフェイス部41は、通信手段を介して接続されるホストとの間でデータ信号を授受する。変調部42は、RFID2への送信信号を所定周波数の電波に変調する。送信アンプ43は、変調部42で変調された電波を増幅してアンテナ3から放射させる。受信アンプ44は、アンテナ3で受信した電波を増幅する。復調部45は、受信アンプ44で増幅された受信電波を復調する。制御部46は、インターフェイス部41を介して与えられるホストからの指令に応じて、RFID2への送信信号を変調部42に発信する。また、復調部45で復調された受信信号から得た情報をインターフェイス部41を介してホストへ送信したり、必要に応じてメモリ部47に書き込んだりする。メモリ部47は、例えばSRAM(Static Random Access Memory)である。
【0015】
かかる構成のリーダ・ライタ4は、図4に示すように、RFID2に記憶されている固有のIDと可変情報中の書込み回数とを対応付けて記憶するRFID管理テーブル48を、メモリ部47に形成している。
【0016】
POS端末5は、図5に示すように、制御部本体としてCPU(Central Processing Unit)51が搭載されている。そしてこのCPU51に、アドレスバス,データバス等のバスライン52を介して、ROM(Read Only Memory)53,RAM(Random Access Memory)54,HDD(Hard Disk Drive)装置55,時計部56,通信コントローラ57,スキャナインターフェイス58,キーボード59,オペレータ用ディスプレイ60,客用ディスプレイ61,プリンタ62,ドロワ63及びリーダ・ライタインターフェイス64等が接続されている。リーダ・ライタインターフェイス64には、通信回線6を介してリーダ・ライタ4が接続されている。
【0017】
かかる構成のPOS端末5は、図6に示すように、段階的に設定された複数の書込み回数範囲にそれぞれ対応して、暗号化及び復号化のための鍵データを記憶してなる鍵テーブル65を、ROM53またはHDD装置55に保有している。なお、暗号化のための鍵と複合化のための鍵は同一でもよいし(秘密鍵暗号方式)、一対となった公開鍵と秘密鍵を用いてもよい(公開鍵暗号方式)。
【0018】
しかして、キーボード59またはスキャナインターフェイス58に接続されたスキャナの操作により客が買上げる商品の販売データが入力されると、CPU51は、この商品販売データを売上登録処理する。そして、この客が買上げる商品の登録を終了し、締めキーが操作されると、CPU51は、当該客が買上げた商品の代金等に基づいて今回商取引で付与される売上ポイントQを算出する。しかる後、図7の流れ図に示すポイント更新処理を実行する。
【0019】
また、キーボード59のキー操作により、例えば代金の支払としてポイント数Qの使用が宣言された場合も、CPU51は、上記ポイント更新処理を実行する。
【0020】
先ずCPU51は、ST(ステップ)1としてリーダ・ライタインターフェイス64を介してリーダ・ライタ4にポイントカードの読取コマンドを送信する。すると、リーダ・ライタ4では図8の流れ図に示すカード読取処理が実行される。
【0021】
すなわちリーダ・ライタ4の制御部46は、ST11としてホストからの読取コマンドを待機している。そして、POS端末5から読取コマンドを受信すると、ST12としてRFID2に対する問合せ信号を変調部42に発信する。これにより、この問合せ信号が変調部42で変調され、送信アンプ43で増幅された後、変調電波としてアンテナ3から放射される。このとき、アンテナ3の交信領域内にRFID2が存在すると、このRFID2が活性化され、応答電波がアンテナ3で受信される。
【0022】
そこで制御部46は、ST13としてRFID2からの応答有無を判断する。そして、応答電波を受信した場合には、応答有りなので、ST14としてその応答があったRFID2からID(識別情報)とユーザエリアのデータ(可変情報)を、非接触通信を利用して読取る(情報読取手段)。そして、ST15としてユーザエリアのデータから書込み回数Nを抽出する(第1の数情報抽出手段)。また、ST16として当該RFID2から読取ったIDと書込み回数Nとをメモリ部47のRFID管理テーブル48に対応付けて記憶する(数情報記憶手段)。しかる後、ST17として当該RFID2から読取ったIDとユーザエリアのデータとを、インターフェイス部41を介して接続されたホスト、まりはPOS端末5へ送信して(情報送信手段)、今回のカード読取処理を終了する。
【0023】
なお、ST13にて応答無しと判断した場合には、制御部46は、ST18として読取無応答のデータをホスト、つまりはPOS端末5へ送信して、今回のカード読取処理を終了するものとなっている。
【0024】
そこで、POS端末5のCPU51は、図7のST1にてリーダ・ライタ4にポイントカードの読取コマンドを送信後、ST2としてポイントカードのデータ読取有無を待機する。そして、リーダ・ライタ4から読取無応答のデータを受信した場合には、データ読取無しなので、CPU51は、今回のポイント更新処理を終了する。
【0025】
これに対し、リーダ・ライタ4からRFID2のIDとそのユーザエリアのデータつまりはポイントカードに関連したデータと書込み回数Nを受信したならば、データ読取有りなので、CPU51は、ST3としてその受信データから書込み回数Nを取得する。
【0026】
次にCPU51は、ST4として鍵テーブル65を検索して、上記書込み回数Nに対応して設定されている復号化のための鍵データを取得する。そして、この鍵データでポイントカードに関連したデータ中のポイントデータPを復号化する。
【0027】
次にCPU51は、ST5として復号化により得られたポイントデータPに、今回ポイントQを加算して、最新のポイントデータP′を算出する。なお、今回ポイントQは、商品の売上処理に対して付与される場合は正の値であり、代金の支払に使用される場合は負の値である。
【0028】
次にCPU51は、ST6として上記書込み回数Nに“1”を加算して、最新の書込み回数N′を算出する(数情報更新手段)。しかる後、CPU51は、鍵テーブル65を検索して、上記書込み回数N′に対応して設定されている暗号化のための鍵データを取得する(暗号化鍵取得手段)。そして、この鍵データでポイントデータP′を暗号化する(情報暗号化手段)。
【0029】
次にCPU51は、ST8として書込み回数N′と暗号化されたポイントデータP′とを含むRFID2への書込データを作成する。そして、この書込データと書込み先RFIDのIDとを含む書込みコマンドを、リーダ・ライタインターフェイス64を介してリーダ・ライタ4に送信する(書込指令手段)。すると、リーダ・ライタ4では図9の流れ図に示すカード書込処理が実行される。
【0030】
すなわちリーダ・ライタ4の制御部46は、ST21としてホストからの書込コマンドを待機している。そして、POS端末5から書込コマンドを受信すると、ST22としてRFID2に対する問合せ信号を変調部42に発信する。これにより、この問合せ信号が変調部42で変調され、送信アンプ43で増幅された後、変調電波としてアンテナ3から放射される。このとき、アンテナ3の交信領域内にRFID2が存在すると、このRFID2が活性化され、応答電波がアンテナ3で受信される。
【0031】
そこで制御部46は、ST23としてRFID2からの応答有無を判断する。そして、応答電波を受信した場合には、応答有りなので、ST24としてその応答があったRFID2からID(識別情報)を、非接触通信を利用して読取る。
【0032】
次に制御部46は、ST25としてRFID2から読取ったIDが書込みコマンド中のIDと一致するか否かを判断する。そして一致する場合には、応答のあったRFID2は書込み対象なので、ST26としてそのRFID2から読取ったIDでRFID管理テーブル48を検索し、当該IDに対応して記憶されている書込み回数Nを取得する(数情報取得手段)。また、ST27としてホストから受信した書込データの中から書込回数N′を抽出する(第2の数情報抽出手段)。そして、ST28としてこの書込み回数N′が前記書込み回数Nに“1”を加算した値と一致するか否かを判断する(数情報判断手段)。その結果、一致すると判断された場合には、制御部46は、ST29として書込み対象のRFID2に対して書込データを非接触通信により送信して、当該RFID2が有するメモリ部27のユーザエリアに書き込ませる(情報書込手段)。その後、ST30として書込み完了の応答信号をホスト、つまりはPOS端末5に送信したならば、今回のカード書込み処理を終了する。
【0033】
なお、ST23にて応答無しと判断した場合、あるいはST25にてIDの不一致を確認した場合、若しくはST28にて書込み回数N′が書込み回数Nに“1”を加算した値と一致しないと判断された場合には、制御部46は、ST31として書込みエラーの応答信号をホスト、つまりはPOS端末5に送信し、今回のカード書込み処理を終了するものとなっている。
【0034】
そこで、POS端末5のCPU51は、図7のST8にてリーダ・ライタ4にポイントカードへの書込コマンドを送信後、ST9としてリーダ・ライタ4からの応答信号を待機する。そして、書込み完了の応答信号を受信した場合には、CPU51は、今回のポイント更新処理を終了する。また、書込みエラーの応答信号を受信した場合には、CPU51は、ST10として書込みエラーのメッセージをオペレータ用ディスプレイ60に表示させる等のエラー報知処理を行った後、今回のポイント更新処理を終了する。
【0035】
このように本実施の形態においては、ポイントカードに設けられたRFID2のメモリ部27にて、ポイントデータPとともに書換回数Nを可変情報として記憶するようにしている。
【0036】
一方、このRFID2に対してデータの書込み及び読取りを行うリーダ・ライタ4においては、RFID2から識別情報であるIDと可変情報とを読取ると、この読取った情報がホストであるPOS端末5に送信されるとともに、可変情報の中から書込み回数Nが抽出され、この書込み回数NとIDが対応付けられてRFID管理テーブル48にて記憶される。
【0037】
また、POS端末5から当該RFID2に対する書込みデータが送られてくると、リーダ・ライタ4においては、RFID管理テーブル48が検索されて当該RFID2のIDに対応して記憶されている書込み回数Nが取得されるとともに、その書込データの中から書込み回数N′が抽出され、書込み回数N′が書込み回数Nに“1”を加算した値と一致するか否かが判断される。そして、一致する場合に限り、当該RFID2に対して書込データの書込みが行われる。換言すれば、書込み回数N′が書込み回数Nに“1”を加算した値と一致しない場合には、当該RFID2に対する書込データの書込みは行われない。
【0038】
したがって、ホストが本実施の形態のPOS端末5のようにRFID2から読取った可変情報中の書換回数Nを規則性をもって変化させる、つまりは1だけ増加させる正当なものであった場合には、ホストで編集された可変情報(本実施の形態ではポイントデータP等)をリーダ・ライタ4でRFID2に書き込むことができるが、正当なものでなかった場合には書き込むことができない。このため、たとえリーダ・ライタ4を所有していてもそのホストとなり得る装置が正当なものでない限りRFID2に記憶されているデータを書換えることはできないので、RFID2に記憶されているデータの不正な書換を確実に防止でき、セキュリティ性を高めることができる。
【0039】
また、本実施の形態では、RFID2に記憶されるポイントデータPを暗号化している。しかもその暗号化のパターンを、書込み回数Nに応じて変化させるようにしている。したがって、より強固なセキュリティ性を確保することができるので、ポイントサービスシステムのポイントカードにRFID2を設け、このRFID2で会員番号等の顧客情報とともにポイント数を保持することが可能となる。
【0040】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
【0041】
例えば前記実施の形態では、非接触通信によりデータの書換を行うRFID2を媒体としたが、媒体はRFID2に限定されるものではなく、例えば接触通信によりデータの書換を行うICカードを媒体とし、このICカードに対してデータの書込及び読取りを行うカードリーダライタに本発明を適用することによってセキュリティ性を高めることも可能である。また、磁気カード等の他の媒体に対するリーダ・ライタにも本発明を適用することは可能である。
【0042】
また、前記実施の形態ではRFID2に可変情報としてポイントデータを記憶する場合を示したが、例えば電子マネーカードのように価値情報をRFID2に記憶する場合にも、本発明を適用することで高いセキュリティ性を確保できるので、実用性を高めることができる。
【0043】
ところで前記実施の形態では、可変情報に含まれる数情報を書込み回数とし、書込む毎にホストで1ずつ増加させる場合を示したが、数情報を変化させる規則はこれに限定されるものではなく、例えば2ずつ増加させてもよいし、2倍ずつ増加させてもよい。要は、規則性さえあればよい。
【0044】
この他、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を組合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施の形態である媒体処理システムの概略を示す模式図。
【図2】RFIDの要部構成を示すブロック図。
【図3】リーダ・ライタの要部構成を示すブロック図。
【図4】リーダ・ライタが有するRFID管理テーブルのデータ構造を示す模式図。
【図5】POS端末の要部構成を示すブロック図。
【図6】POS端末が有する鍵テーブルのデータ構造を示す模式図。
【図7】POS端末のCPUが実行するポイント更新処理の要部処理手順を示す流れ図。
【図8】リーダ・ライタの制御部が実行するカード読取処理の要部処理手順を示す流れ図。
【図9】リーダ・ライタの制御部が実行するカード書込処理の要部処理手順を示す流れ図。
【符号の説明】
【0046】
1…ポイントカード、2…RFID、3…アンテナ、4…リーダ・ライタ、5…POS端末、48…RFID管理テーブル、65…鍵テーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホストからの指令により、固有の識別情報と可変情報とを記憶する媒体に記憶された前記可変情報の書換えを行う媒体処理装置において、
前記媒体に記憶された識別情報と可変情報とを読取る情報読取手段と、
この情報読取手段により前記媒体から読取った識別情報と可変情報とを前記ホストに送信する情報送信手段と、
前記情報読取手段により前記媒体から読取った可変情報の中から規則性をもって変化する数情報を抽出する第1の数情報抽出手段と、
この数情報抽出手段により抽出した数情報を当該数情報が抽出された可変情報を記憶してなる前記媒体の識別情報と対応付けて記憶する数情報記憶手段と、
前記ホストから情報書換対象である前記媒体の識別情報とともにその媒体に書き込むべき可変情報を受け取ると、その可変情報の中から前記数情報を抽出する第2の数情報抽出手段と、
前記ホストから情報書換対象である前記媒体の識別情報とともにその媒体に書き込むべき可変情報を受け取ると、前記数情報記憶手段により当該媒体の識別情報と対応付けて記憶されている前記数情報を取得する数情報取得手段と、
この数情報取得手段により得られた前記数情報に対して前記第2の数情報抽出手段により抽出された数情報が前記規則性をもって変化しているか否かを判断する数情報判断手段と、
この数情報判断手段により前記数情報が規則性をもって変化していると判断されたことを条件に、前記ホストから受け取った可変情報を当該可変情報とともに前記ホストから受け取った識別情報を記憶している前記媒体に書き込む情報書込手段と、
を具備したことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項2】
ホストからの指令により、固有の識別情報と可変情報とを記憶する媒体に対して非接触通信を利用して前記可変情報の書換えを行う媒体処理装置において、
前記媒体に記憶された識別情報と可変情報とを非接触通信を利用して読取る情報読取手段と、
この情報読取手段により前記媒体から読取った識別情報と可変情報とを前記ホストに送信する情報送信手段と、
前記情報読取手段により前記媒体から読取った可変情報の中から規則性をもって変化する数情報を抽出する第1の数情報抽出手段と、
この数情報抽出手段により抽出した数情報を当該数情報が抽出された可変情報を記憶してなる前記媒体の識別情報と対応付けて記憶する数情報記憶手段と、
前記ホストから情報書換対象である前記媒体の識別情報とともにその媒体に書き込むべき可変情報を受け取ると、その可変情報の中から前記数情報を抽出する第2の数情報抽出手段と、
前記ホストから情報書換対象である前記媒体の識別情報とともにその媒体に書き込むべき可変情報を受け取ると、前記数情報記憶手段により当該媒体の識別情報と対応付けて記憶されている前記数情報を取得する数情報取得手段と、
この数情報取得手段により得られた前記数情報に対して前記第2の数情報抽出手段により抽出された数情報が前記規則性をもって変化しているか否かを判断する数情報判断手段と、
この数情報判断手段により前記数情報が規則性をもって変化していると判断されたことを条件に、前記ホストから受け取った可変情報を当該可変情報とともに前記ホストから受け取った識別情報を記憶している前記媒体に非接触通信を利用して書き込む情報書込手段と、
を具備したことを特徴とする媒体処理装置。
【請求項3】
前記媒体から読取った可変情報の中から抽出される数情報は、当該媒体に対する可変情報の書換回数であることを特徴とする請求項1または2に記載の媒体処理装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載された媒体処理装置と、この媒体処理装置に接続されるホストとを備えた媒体処理システムであって、
前記ホストは、前記媒体処理装置から前記媒体の識別情報と可変情報を受信すると、その可変情報中の数情報を前記規則性をもって変化させる数情報更新手段と、この数情報更新手段により更新された数情報を含む可変情報を情報書換対象である媒体の識別情報とともに前記媒体処理装置に送信する書込指令手段とを具備したことを特徴とする媒体処理システム。
【請求項5】
前記ホストは、前記数情報更新手段により更新された数情報に応じて暗号化鍵を取得する暗号化鍵取得手段と、この暗号化鍵取得手段により得られた暗号化鍵で前記媒体に書き込まれる可変情報を暗号化する情報暗号化手段と、をさらに具備したことを特徴とする請求項4記載の媒体処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−350807(P2006−350807A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−177956(P2005−177956)
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】