媒質内の物体の計測方法
【課題】鉄筋の設置深度及び直径を電磁波レーダを使用した非破壊的手段で計測する。
【解決手段】電磁波レーダの物理的特性と媒質界面における反射及び屈折を含めた伝播特性に基づく予測受信信号波形を予め作成し、電磁波レーダを測定対象物の表面に沿って走査させて測定した実際の受信信号とのパターンマッチングによって媒質内の物体の位置及び物体の形状、及び媒質の比誘電率を計測するものである。電磁波レーダ2をコンクリート1の表面10にセットし、走査させて反射波を受信し、未知パラメータを設置深さ(d)、鉄筋径(a)、及び比誘電率(ε)として受信信号波形とモデル波形の最適パターンマッチングをおこない、鉄筋のかぶり及び直径を精度よく測定する。
【解決手段】電磁波レーダの物理的特性と媒質界面における反射及び屈折を含めた伝播特性に基づく予測受信信号波形を予め作成し、電磁波レーダを測定対象物の表面に沿って走査させて測定した実際の受信信号とのパターンマッチングによって媒質内の物体の位置及び物体の形状、及び媒質の比誘電率を計測するものである。電磁波レーダ2をコンクリート1の表面10にセットし、走査させて反射波を受信し、未知パラメータを設置深さ(d)、鉄筋径(a)、及び比誘電率(ε)として受信信号波形とモデル波形の最適パターンマッチングをおこない、鉄筋のかぶり及び直径を精度よく測定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋コンクリートの鉄筋のように表面からはその位置及び大きさを直接観測することができない物体の位置(深さ)及び大きさを非破壊的に計測する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリート中の配筋状態を確認するために電磁波レーダを使用して鉄筋からの反射波を画像化してその存在を確認することがおこなわれている。電磁波レーダから発せられた信号は一定のビーム幅で広がって伝搬するので鉄筋や空隙などの目標物の画像は実際の形状と異なって広がった画像として表示され、画像から目標物の有無を判断することは機器の操作技術者の経験に依存するところが多く、その大きさや形状を正確に検出することは困難であった。
【0003】
鉄筋コンクリートの場合には、コンクリート内に鉄筋が狭い間隔で配置されており、複数の鉄筋からの反射波の散乱及び干渉により各鉄筋からの反射波の前縁が区別しにくく、鉄筋位置の検出が困難であった。
【0004】
特許文献1(特許第3658643号公報)では、媒質中に存在する隠れた目標物を電磁波レーダで画像化してその形状を特定するため、媒質表面の直線上の複数の直線上の測点から電磁波を照射して反射波を受信し、媒質内の測定画像を求め、画像の信号中で強度の大きいグラディエントベクトルを利用して目標物の形状または位置を求めることが提案されている。
【特許文献1】特許第3658643号公報
【特許文献2】特開昭61−000773号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来法は、画像を目視によって判断するもので、コンクリート中の鉄筋の本数は確認できるが、鉄筋コンクリートの寿命及び強度に大きな影響を与える鉄筋の配筋深度(かぶり)及び直径を正確に計測することは極めて困難であった。
【0006】
更に、電磁波レーダの発射アンテナから媒質に電磁波が直接コンクリートに入射されず、アンテナとコンクリートの間は一般に10mm程度離れているため、放射された電磁波は空気を介し媒質(コンクリート)に入射している。電磁波の伝播速度は媒質の比誘電率の関数であり、空気とコンクリートとでは比誘電率が異なり、伝播速度が異なる。伝播速度が異なる媒質の境界においては屈折が生ずるため、電磁波の目標物への到達経路はアンテナから一直線とはいえず、直線と仮定した計測では電磁波の経路の距離が実際とは異なるため、求めた対象物までの距離に誤差が生ずる。
【0007】
本発明は、このような誤差を排除し、鉄筋の深度及び径を同時に計測すると共に、媒質の比誘電率の計測をも可能とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
電磁波レーダの物理的特性と電磁波の媒質界面における反射及び屈折を含めた伝播特性に基づく予測受信信号波形と電磁波レーダによって測定した実際の受信信号波形とのパターンマッチングによって、媒質内の物体の位置及び物体の形状、及び媒質の比誘電率を計測するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電磁波レーダの物理的特性及び信号の伝播特性に基づく予測受信信号波形と実際の受信信号波形とのパターンマッチングによりコンクリート中の鉄筋の位置及び径、更には、コンクリートの比誘電率を簡単に計測でき、特に、鉄筋コンクリート構造物が設計通りの配筋がなされているかの確認を簡単におこなうことができる。
【0010】
本発明は、物体が埋設されている媒質はコンクリートに限らず、土壌やアスファルト舗装等であっても適用が可能である。また、埋設物体は鉄筋に限らず上下水道、ガス等の埋設管体に対しても同様に適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施例を、コンクリート中の鉄筋の深さ及び直径の計測に適用した場合を例にして説明するが、本発明は、媒質中に存在する媒質とは異なる比誘電率の物体の位置及び大きさの測定に適用可能であり、鉄筋コンクリートのみに限定されるものでない。
【0012】
電磁波は、比誘電率の異なる媒質の境界面で一部が反射され、残りが境界面を透過していく性質を持っている。図1に示すように、コンクリート1の表面上に電磁波レーダ2を設置し、送信アンテナ21から発射された電磁波は、鉄筋コンクリート1の表面10で反射し、A−F−Eの経路で受信アンテナ22に受信される。コンクリート表面を透過した電磁波は、コンクリート1内部の鉄筋3に到達して反射し、A−B−C−D−Eの経路で受信アンテナに受信される。
【0013】
なお、コンクリート1の表面を透過した電磁波の一部は、コンクリート1の底面11に達して反射する。この底面からの反射波も受信アンテナ22で受信されるが、反射、透過回数が多く、また、伝播距離が長くなって減衰が大きいのでコンクリート表面及び鉄筋による反射波に比べて小さく、無視することができる。
【0014】
送信アンテナ21から発射された電磁波は、空気層を通ってコンクリート1の表面10に到達して入射する。このときの入射角、屈折角をそれぞれθ1、θ2、鉄筋3からの反射波のコンクリート1から空気層への入射角、屈折角をそれぞれθ3、θ4、コンクリートの比誘電率をεとすると、空気層とコンクリート層の境界面における入射角と屈折角の関係は、スネルの法則により次式が成り立つ。
【0015】
【数1】
【0016】
コンクリート1の表面10及び鉄筋3における反射については反射の法則が成り立つ。コンクリート1の表面10からの反射波波形Rc(t)及び鉄筋からの基本反射波波形Rs(t)は、既知の条件の鉄筋コンクリートについて予め計測して作成する。
【0017】
これら2つの反射波は、図1に示した経路を伝播し、伝播時間T0、T1後に受信されるので、受信アンテナ22で受信した受信信号r(t)は次のようになる。
r(t)=Rc(t−T0)+c1f(θ)Rs(t−T1) (3)
但し、c1 はc1=−(τ12×τ21×α)で定義される係数で、τ12、τ21は、それぞれ空気層からコンクリートへの透過係数及びコンクリートから空気層への透過係数であり、αはコンクリート中を電磁波が伝播するときの減衰定数である。なお、αは、モデル化誤差も含めた調節係数である。c1の符号が負となるのは、鉄筋における電磁波の反射係数が(−1)のためである。
【0018】
f(θ)は、電磁波レーダ2の指向特性を表す関数である。電磁波レーダ2の位置によっては、鉄筋3からの反射波の強度は鉄筋3の深度(d)だけでなく、電磁波レーダ2の指向性のため、電磁波レーダ2からみた鉄筋3の方位角によっても電磁波送信強度が変わるからである。
【0019】
電磁波レーダ2の指向性関数f(θ)について、従来技術においては、従来は、図2に示すように、電磁波レーダ2の送受信アンテナが同位置にあるものと仮定し、屈折を無視した伝播経路としていたため、指向性関数f(θ)を電磁波レーダ2からみた鉄筋3の方位角θに対し、f(θ)=(cosθ)3.4としていた。本発明では、屈折を考慮して伝播経路の解析をおこなうため以下の方法によって指向性関数を決定した。
【0020】
電磁波レーダの指向性関数を求めるために、径19.1mmの鉄筋を深度60mmに配設した鉄筋コンクリートについて、電磁波レーダを鉄筋の前後120mmの区間で鉄筋に対して直交方向に走査させ、5mm間隔の測定ポイントにおいて受信信号を得、この受信信号からコンクリート表面からの反射波を差し引いた鉄筋からの反射波について各測定ポイントにおける波形のパターンと振幅の変化が鉄筋からのモデル波形のものと一致するようにレーダの指向性関数を決めた。更に、この指向性関数を用いて直径19.1mmの鉄筋が深度80mmに設置してある鉄筋コンクリートについて振幅の変化の比較を行ったところ、ほぼ同様の結果が得られたので、レーダの指向性関数をf(θ)=(θ)p(p=2.9)とした。
【0021】
なお、この指向性関数f(θ)はレーダの本来の(全方位にわたる)指向性関数ではなく、伝播経路に関わりのある方向での(局部的方位にわたる)指向性関数を表す。但し、θはレーダ直下からの発射電磁波の方位角度(単位はdegree)を表す。
【0022】
この指向性関数を用いた場合における直径19.1mmの鉄筋を深度60mmに設置した鉄筋コンクリートの鉄筋からの反射波の受信信号波形とモデル波形の振幅の変化を図3に示す。
【0023】
反射波の伝播時間T0、T1は、図1に示す各伝播経路から以下にようになる。
なお、cは光速を示す。
【0024】
【数2】
【0025】
以上説明したように、コンクリート表面及び鉄筋からの基本反射波波形を予め求めておけば、伝播時間を変えたこれらの一次結合により受信信号のモデル波形を作成することができる。
【0026】
図1において、送信アンテナ21と受信アンテナ22との間隔h及びコンクリート1表面と送受信アンテナ21、22との間隔d1は電磁波レーダにおいて定まったものであるので既知であり、鉄筋の深度d、鉄筋の径a、コンクリートの比誘電率εが未知パラメータとなる。
【0027】
電磁波レーダ2をコンクリート表面10にセットし、走査させて反射波を受信し、受信信号波形とモデル波形の最適パターンマッチングをおこなうことにより、これらの未知パラメータd、a、及びεを求める。
【0028】
なお、前記の未知パラメータである鉄筋の深度d及び鉄筋の径aが既知の場合はその値を使用することによってコンクリートの比誘電率を容易に求めることができる。具体的には、建築物の設計図などにより、鉄筋の深度d、鉄筋の径aが判明している場合は、その値を使用してコンクリートの比誘電率を求める。
【0029】
また、コンクリートの比誘電率として標準的な値を採用することによって未知パラメータを少なくして残りの未知パラメータである鉄筋の深度d、鉄筋の径aを求めることを容易にすることができる。
【0030】
ここで、コンクリート表面からの反射波は、電磁波レーダの位置に関係なく一定とみなせるため、受信信号波形からコンクリート表面の反射波を差し引き、鉄筋からの反射波だけに着目したパターンマッチングをおこなう方が、効率よくパターンマッチングができ、信頼度も高いものとなる。
【0031】
図4に示すようにコンクリート表面にセットした電磁波レーダ2を鉄筋3の直交方向に走査させ、鉄筋3を中心に前後合わせてL個の測定ポイントについてL個ずつ鉄筋3からの受信信号rj=(rj1,rj2,・・・,rjN)T 、(j=1,2,・・・,L)を得た。ここで、rjは測定ポイントjにおいて時系列データとして得られた鉄筋3からの反射波を数ベクトルで表したもので、Nは各測定ポイントで得られる受信データのサンプル数を表す。これら測定ポイントごとの波形をまとめたベクトルに対し、(3)式に基づく測定ポイントごとの予測モデル波形Rj=(Rj1,Rj2,・・・,RjN )T、(j=1,2,・・・,L)を同様に求めたベクトルRとの最適パターンマッチングをおこなう。
【0032】
具体的には、下記の2つのベクトルr、Rのマッチング度を評価するマッチング角度を最小化する未知パラメータd、a、εを求めることであり、未知パラメータを求めることが、鉄筋の深度d、鉄筋の径a及びコンクリートの比誘電率εを計測することとなる。
【0033】
【数3】
【0034】
【数4】
ここに、(・,・)及び||・||はそれぞれ通常のユークリッドノルムを表す。
【0035】
[実施例1]
中心周波数800MHz、サンプリング周期0.04nsで、5mm進むごとに電磁波の送受信をおこなう電磁波レーダ(日本無線株式会社製)を使用して鉄筋コンクリートにおける鉄筋の深度、径及びコンクリートの比誘電率の計測をおこなった。
【0036】
図5に示すように、直径19.1mmの鉄筋を深度60mmに設置したケースA、直径19.1mmの鉄筋を深度80mmに設置したケースBの鉄筋コンクリートについて本発明を適用して計測した。
【0037】
なお、ケースA及びBの鉄筋コンクリートは、内部に空洞等の異常がないものであり、予測外の電磁波の反射が生じ得ないものである。
【0038】
電磁波レーダ2の送受信アンテナとコンクリート表面の距離(d1)は10mm、送受信アンテナの間隔(h)は80mmである。
【0039】
電磁波レーダ2を各々の鉄筋の前後120mm(図5の区間a−a’及び区間b−b’)の区間を鉄筋3の直交方向に走査させた。電磁波レーダ2が5mm進むごとに電磁波が送受信されるため、それぞれの区間において鉄筋3の真上を含め25個の信号を受信した。受信波形は、コンクリート表面からの反射波と鉄筋からの反射波が加わったものであるので、この波形から、事前に得ておいたコンクリート表面からの反射波を差し引いて、各測定ポイントにおける鉄筋3からの反射波を得た。
【0040】
鉄筋3からの基本反射波モデル波形Rs(t)の作成法であるが、まず、鉄筋Aの真上における受信信号からコンクリート表面からの反射波形を差し引いたRs0(t)は、鉄筋真上における鉄筋からの往復伝搬時間Tだけ遅れた波形Rs(t−T)であるので、鉄筋からの基本反射波波形Rs(t)は、Rs0(t)=Rs(t−T)を往復伝播時間Tだけ早めた波形となる。
【0041】
こうして求めた基本反射波波形Rs(t)を図6に示す。このようにして求めたRs(t)を用いて各測定ポイントで予測できる鉄筋からの予測受信信号と、実際に各測定ポイントにおいて得られる鉄筋からの受信信号rs(t)を電磁波レーダの走査区間で最適パターンマッチングすることにより、未知パラメータである鉄筋3の深度(d)と径(a)、及びコンクリートの比誘電率(ε)を求めた。
【0042】
(3)式に従って図5の鉄筋A、鉄筋Bそれぞれの場合について、鉄筋Aに対する計測結果を表1に、鉄筋Bに対する計測結果を表2に示す。更に、それぞれの場合において、実波形rs(t)と最適パラメータを得たときのモデル波形の比較を、鉄筋Aに関して図7に、鉄筋Bに関して図8に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
なお、表1、表2では、鉄筋の深度(d)の代わりに、この分野でよく使用されるかぶり(d−a/2)を示した。
【0046】
表1及び表2からわかるように、いずれの場合もかぶりは高精度に計測できたが、鉄筋の直径(a)については、1〜2規格程度の誤差が出た。コンクリート構造物用の鉄筋は、JISによって直径約3mm間隔で規格が定められており、かつ上記計測結果よりわかるように1〜2規格(つまり3〜6mm程度)大きい直径が計測されるので、直径についての測定精度が実施例1程度であっても、配筋された鉄筋の直径を特定することが可能である。
【0047】
また、コンクリートの一般的な比誘電率は、8〜9と言われており、本発明による比誘電率の計測値は妥当なものといえる。
【0048】
図7及び図8より、鉄筋の深度(d)が大きくなると、振幅が小さくなり、かつ伝播時間が長くなっていることがわかる。
【0049】
[実施例2]
実施例1において、鉄筋の深度及びコンクリートの比誘電率については、高精度な計測結果が得られたが、鉄筋の直径については、誤差が生じている。図5における鉄筋Aに対する理論的電磁波伝播経路を図9に、また、このときの鉄筋表面での電磁波反射点分布を図10の太線に示すように、誤差の原因は、鉄筋表面での反射点が鉄筋の頭部に集中しており、鉄筋の直径に関する情報量が極端に少ないからであると考えられる。よって、鉄筋表面での反射点を広範囲とすることによって、直径の計測精度を向上させることができる。
【0050】
そこで、図12,14,16に示すように、電磁波レーダの送受信アンテナとコンクリート表面の間に存在する空気層を特定の比誘電率の媒質で置換すると、鉄筋頭部における反射点を広範囲に拡げることが可能となる。
【0051】
比誘電率がそれぞれ4、8、10の媒質を送受信アンテナとコンクリートの間に置き、空気層をなくすると、電磁波伝播経路と鉄筋表面での反射点分布は、図11〜図16に示すようになる。反射点分布を示す図10、図12及び図14を比較すると、空気層を比誘電率8の媒質で置換したとき、すなわち、コンクリートの比誘電率にほぼ等しい媒質の場合が最も鉄筋の反射点分布が広範囲となっている。
【0052】
一方、比誘電率が8と10の場合の図14と図16を比較すると、鉄筋の反射点の分布は変わりがないといえるので、空気層を比誘電率が8程度の媒質で置換することが直径の計測の精度向上に好ましいことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
電磁波レーダの伝播経路を解析すると共にこの伝播経路に対するレーダの指向性関数を考えた上で受信信号波形のモデル化をおこない、このモデル波形を用いることにより、完成した鉄筋コンクリート建築物の鉄筋の深度(かぶり)、及び直径をコンクリートの比誘電率と共に計測することができるので、構造物の強度の確認を非破壊的におこなうことができる。
【0054】
また、電磁波レーダの送受信アンテナとコンクリート表面に存在する空気層を比誘電率が8前後の媒質を介在させることによって鉄筋の直径を精度よく測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】電磁波レーダを使用した計測の概念図。
【図2】従来の電磁波レーダの指向性関数の概念図。
【図3】モデル波形と実波形の振幅変化図。
【図4】測定ポイントの説明図。
【図5】実施例の供試体の説明図。
【図6】実施例1における鉄筋からの基本反射波波形を示す図。
【図7】鉄筋Aの実波形とモデル波形の比較図。
【図8】鉄筋Bの実波形とモデル波形の比較図。
【図9】実施例1理論的電磁波伝播経路の説明図。
【図10】実施例1の鉄筋における電磁波反射点の分布図。
【図11】実施例2(ε=4)の理論的電磁波伝播経路図。
【図12】実施例2(ε=4)の鉄筋における電磁波反射点分布図。
【図13】実施例2(ε=8)の理論的電磁波伝播経路図。
【図14】実施例2(ε=8)の鉄筋における電磁波反射点の分布図。
【図15】実施例2(ε=10)の理論的電磁波伝播経路図。
【図16】実施例2(ε=10)の鉄筋における電磁波反射点の分布図。
【符号の説明】
【0056】
1 コンクリート
2 電磁波レーダ
3 鉄筋
10 コンクリート表面
21 送信アンテナ
22 受信アンテナ
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋コンクリートの鉄筋のように表面からはその位置及び大きさを直接観測することができない物体の位置(深さ)及び大きさを非破壊的に計測する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリート中の配筋状態を確認するために電磁波レーダを使用して鉄筋からの反射波を画像化してその存在を確認することがおこなわれている。電磁波レーダから発せられた信号は一定のビーム幅で広がって伝搬するので鉄筋や空隙などの目標物の画像は実際の形状と異なって広がった画像として表示され、画像から目標物の有無を判断することは機器の操作技術者の経験に依存するところが多く、その大きさや形状を正確に検出することは困難であった。
【0003】
鉄筋コンクリートの場合には、コンクリート内に鉄筋が狭い間隔で配置されており、複数の鉄筋からの反射波の散乱及び干渉により各鉄筋からの反射波の前縁が区別しにくく、鉄筋位置の検出が困難であった。
【0004】
特許文献1(特許第3658643号公報)では、媒質中に存在する隠れた目標物を電磁波レーダで画像化してその形状を特定するため、媒質表面の直線上の複数の直線上の測点から電磁波を照射して反射波を受信し、媒質内の測定画像を求め、画像の信号中で強度の大きいグラディエントベクトルを利用して目標物の形状または位置を求めることが提案されている。
【特許文献1】特許第3658643号公報
【特許文献2】特開昭61−000773号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来法は、画像を目視によって判断するもので、コンクリート中の鉄筋の本数は確認できるが、鉄筋コンクリートの寿命及び強度に大きな影響を与える鉄筋の配筋深度(かぶり)及び直径を正確に計測することは極めて困難であった。
【0006】
更に、電磁波レーダの発射アンテナから媒質に電磁波が直接コンクリートに入射されず、アンテナとコンクリートの間は一般に10mm程度離れているため、放射された電磁波は空気を介し媒質(コンクリート)に入射している。電磁波の伝播速度は媒質の比誘電率の関数であり、空気とコンクリートとでは比誘電率が異なり、伝播速度が異なる。伝播速度が異なる媒質の境界においては屈折が生ずるため、電磁波の目標物への到達経路はアンテナから一直線とはいえず、直線と仮定した計測では電磁波の経路の距離が実際とは異なるため、求めた対象物までの距離に誤差が生ずる。
【0007】
本発明は、このような誤差を排除し、鉄筋の深度及び径を同時に計測すると共に、媒質の比誘電率の計測をも可能とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
電磁波レーダの物理的特性と電磁波の媒質界面における反射及び屈折を含めた伝播特性に基づく予測受信信号波形と電磁波レーダによって測定した実際の受信信号波形とのパターンマッチングによって、媒質内の物体の位置及び物体の形状、及び媒質の比誘電率を計測するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電磁波レーダの物理的特性及び信号の伝播特性に基づく予測受信信号波形と実際の受信信号波形とのパターンマッチングによりコンクリート中の鉄筋の位置及び径、更には、コンクリートの比誘電率を簡単に計測でき、特に、鉄筋コンクリート構造物が設計通りの配筋がなされているかの確認を簡単におこなうことができる。
【0010】
本発明は、物体が埋設されている媒質はコンクリートに限らず、土壌やアスファルト舗装等であっても適用が可能である。また、埋設物体は鉄筋に限らず上下水道、ガス等の埋設管体に対しても同様に適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施例を、コンクリート中の鉄筋の深さ及び直径の計測に適用した場合を例にして説明するが、本発明は、媒質中に存在する媒質とは異なる比誘電率の物体の位置及び大きさの測定に適用可能であり、鉄筋コンクリートのみに限定されるものでない。
【0012】
電磁波は、比誘電率の異なる媒質の境界面で一部が反射され、残りが境界面を透過していく性質を持っている。図1に示すように、コンクリート1の表面上に電磁波レーダ2を設置し、送信アンテナ21から発射された電磁波は、鉄筋コンクリート1の表面10で反射し、A−F−Eの経路で受信アンテナ22に受信される。コンクリート表面を透過した電磁波は、コンクリート1内部の鉄筋3に到達して反射し、A−B−C−D−Eの経路で受信アンテナに受信される。
【0013】
なお、コンクリート1の表面を透過した電磁波の一部は、コンクリート1の底面11に達して反射する。この底面からの反射波も受信アンテナ22で受信されるが、反射、透過回数が多く、また、伝播距離が長くなって減衰が大きいのでコンクリート表面及び鉄筋による反射波に比べて小さく、無視することができる。
【0014】
送信アンテナ21から発射された電磁波は、空気層を通ってコンクリート1の表面10に到達して入射する。このときの入射角、屈折角をそれぞれθ1、θ2、鉄筋3からの反射波のコンクリート1から空気層への入射角、屈折角をそれぞれθ3、θ4、コンクリートの比誘電率をεとすると、空気層とコンクリート層の境界面における入射角と屈折角の関係は、スネルの法則により次式が成り立つ。
【0015】
【数1】
【0016】
コンクリート1の表面10及び鉄筋3における反射については反射の法則が成り立つ。コンクリート1の表面10からの反射波波形Rc(t)及び鉄筋からの基本反射波波形Rs(t)は、既知の条件の鉄筋コンクリートについて予め計測して作成する。
【0017】
これら2つの反射波は、図1に示した経路を伝播し、伝播時間T0、T1後に受信されるので、受信アンテナ22で受信した受信信号r(t)は次のようになる。
r(t)=Rc(t−T0)+c1f(θ)Rs(t−T1) (3)
但し、c1 はc1=−(τ12×τ21×α)で定義される係数で、τ12、τ21は、それぞれ空気層からコンクリートへの透過係数及びコンクリートから空気層への透過係数であり、αはコンクリート中を電磁波が伝播するときの減衰定数である。なお、αは、モデル化誤差も含めた調節係数である。c1の符号が負となるのは、鉄筋における電磁波の反射係数が(−1)のためである。
【0018】
f(θ)は、電磁波レーダ2の指向特性を表す関数である。電磁波レーダ2の位置によっては、鉄筋3からの反射波の強度は鉄筋3の深度(d)だけでなく、電磁波レーダ2の指向性のため、電磁波レーダ2からみた鉄筋3の方位角によっても電磁波送信強度が変わるからである。
【0019】
電磁波レーダ2の指向性関数f(θ)について、従来技術においては、従来は、図2に示すように、電磁波レーダ2の送受信アンテナが同位置にあるものと仮定し、屈折を無視した伝播経路としていたため、指向性関数f(θ)を電磁波レーダ2からみた鉄筋3の方位角θに対し、f(θ)=(cosθ)3.4としていた。本発明では、屈折を考慮して伝播経路の解析をおこなうため以下の方法によって指向性関数を決定した。
【0020】
電磁波レーダの指向性関数を求めるために、径19.1mmの鉄筋を深度60mmに配設した鉄筋コンクリートについて、電磁波レーダを鉄筋の前後120mmの区間で鉄筋に対して直交方向に走査させ、5mm間隔の測定ポイントにおいて受信信号を得、この受信信号からコンクリート表面からの反射波を差し引いた鉄筋からの反射波について各測定ポイントにおける波形のパターンと振幅の変化が鉄筋からのモデル波形のものと一致するようにレーダの指向性関数を決めた。更に、この指向性関数を用いて直径19.1mmの鉄筋が深度80mmに設置してある鉄筋コンクリートについて振幅の変化の比較を行ったところ、ほぼ同様の結果が得られたので、レーダの指向性関数をf(θ)=(θ)p(p=2.9)とした。
【0021】
なお、この指向性関数f(θ)はレーダの本来の(全方位にわたる)指向性関数ではなく、伝播経路に関わりのある方向での(局部的方位にわたる)指向性関数を表す。但し、θはレーダ直下からの発射電磁波の方位角度(単位はdegree)を表す。
【0022】
この指向性関数を用いた場合における直径19.1mmの鉄筋を深度60mmに設置した鉄筋コンクリートの鉄筋からの反射波の受信信号波形とモデル波形の振幅の変化を図3に示す。
【0023】
反射波の伝播時間T0、T1は、図1に示す各伝播経路から以下にようになる。
なお、cは光速を示す。
【0024】
【数2】
【0025】
以上説明したように、コンクリート表面及び鉄筋からの基本反射波波形を予め求めておけば、伝播時間を変えたこれらの一次結合により受信信号のモデル波形を作成することができる。
【0026】
図1において、送信アンテナ21と受信アンテナ22との間隔h及びコンクリート1表面と送受信アンテナ21、22との間隔d1は電磁波レーダにおいて定まったものであるので既知であり、鉄筋の深度d、鉄筋の径a、コンクリートの比誘電率εが未知パラメータとなる。
【0027】
電磁波レーダ2をコンクリート表面10にセットし、走査させて反射波を受信し、受信信号波形とモデル波形の最適パターンマッチングをおこなうことにより、これらの未知パラメータd、a、及びεを求める。
【0028】
なお、前記の未知パラメータである鉄筋の深度d及び鉄筋の径aが既知の場合はその値を使用することによってコンクリートの比誘電率を容易に求めることができる。具体的には、建築物の設計図などにより、鉄筋の深度d、鉄筋の径aが判明している場合は、その値を使用してコンクリートの比誘電率を求める。
【0029】
また、コンクリートの比誘電率として標準的な値を採用することによって未知パラメータを少なくして残りの未知パラメータである鉄筋の深度d、鉄筋の径aを求めることを容易にすることができる。
【0030】
ここで、コンクリート表面からの反射波は、電磁波レーダの位置に関係なく一定とみなせるため、受信信号波形からコンクリート表面の反射波を差し引き、鉄筋からの反射波だけに着目したパターンマッチングをおこなう方が、効率よくパターンマッチングができ、信頼度も高いものとなる。
【0031】
図4に示すようにコンクリート表面にセットした電磁波レーダ2を鉄筋3の直交方向に走査させ、鉄筋3を中心に前後合わせてL個の測定ポイントについてL個ずつ鉄筋3からの受信信号rj=(rj1,rj2,・・・,rjN)T 、(j=1,2,・・・,L)を得た。ここで、rjは測定ポイントjにおいて時系列データとして得られた鉄筋3からの反射波を数ベクトルで表したもので、Nは各測定ポイントで得られる受信データのサンプル数を表す。これら測定ポイントごとの波形をまとめたベクトルに対し、(3)式に基づく測定ポイントごとの予測モデル波形Rj=(Rj1,Rj2,・・・,RjN )T、(j=1,2,・・・,L)を同様に求めたベクトルRとの最適パターンマッチングをおこなう。
【0032】
具体的には、下記の2つのベクトルr、Rのマッチング度を評価するマッチング角度を最小化する未知パラメータd、a、εを求めることであり、未知パラメータを求めることが、鉄筋の深度d、鉄筋の径a及びコンクリートの比誘電率εを計測することとなる。
【0033】
【数3】
【0034】
【数4】
ここに、(・,・)及び||・||はそれぞれ通常のユークリッドノルムを表す。
【0035】
[実施例1]
中心周波数800MHz、サンプリング周期0.04nsで、5mm進むごとに電磁波の送受信をおこなう電磁波レーダ(日本無線株式会社製)を使用して鉄筋コンクリートにおける鉄筋の深度、径及びコンクリートの比誘電率の計測をおこなった。
【0036】
図5に示すように、直径19.1mmの鉄筋を深度60mmに設置したケースA、直径19.1mmの鉄筋を深度80mmに設置したケースBの鉄筋コンクリートについて本発明を適用して計測した。
【0037】
なお、ケースA及びBの鉄筋コンクリートは、内部に空洞等の異常がないものであり、予測外の電磁波の反射が生じ得ないものである。
【0038】
電磁波レーダ2の送受信アンテナとコンクリート表面の距離(d1)は10mm、送受信アンテナの間隔(h)は80mmである。
【0039】
電磁波レーダ2を各々の鉄筋の前後120mm(図5の区間a−a’及び区間b−b’)の区間を鉄筋3の直交方向に走査させた。電磁波レーダ2が5mm進むごとに電磁波が送受信されるため、それぞれの区間において鉄筋3の真上を含め25個の信号を受信した。受信波形は、コンクリート表面からの反射波と鉄筋からの反射波が加わったものであるので、この波形から、事前に得ておいたコンクリート表面からの反射波を差し引いて、各測定ポイントにおける鉄筋3からの反射波を得た。
【0040】
鉄筋3からの基本反射波モデル波形Rs(t)の作成法であるが、まず、鉄筋Aの真上における受信信号からコンクリート表面からの反射波形を差し引いたRs0(t)は、鉄筋真上における鉄筋からの往復伝搬時間Tだけ遅れた波形Rs(t−T)であるので、鉄筋からの基本反射波波形Rs(t)は、Rs0(t)=Rs(t−T)を往復伝播時間Tだけ早めた波形となる。
【0041】
こうして求めた基本反射波波形Rs(t)を図6に示す。このようにして求めたRs(t)を用いて各測定ポイントで予測できる鉄筋からの予測受信信号と、実際に各測定ポイントにおいて得られる鉄筋からの受信信号rs(t)を電磁波レーダの走査区間で最適パターンマッチングすることにより、未知パラメータである鉄筋3の深度(d)と径(a)、及びコンクリートの比誘電率(ε)を求めた。
【0042】
(3)式に従って図5の鉄筋A、鉄筋Bそれぞれの場合について、鉄筋Aに対する計測結果を表1に、鉄筋Bに対する計測結果を表2に示す。更に、それぞれの場合において、実波形rs(t)と最適パラメータを得たときのモデル波形の比較を、鉄筋Aに関して図7に、鉄筋Bに関して図8に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
なお、表1、表2では、鉄筋の深度(d)の代わりに、この分野でよく使用されるかぶり(d−a/2)を示した。
【0046】
表1及び表2からわかるように、いずれの場合もかぶりは高精度に計測できたが、鉄筋の直径(a)については、1〜2規格程度の誤差が出た。コンクリート構造物用の鉄筋は、JISによって直径約3mm間隔で規格が定められており、かつ上記計測結果よりわかるように1〜2規格(つまり3〜6mm程度)大きい直径が計測されるので、直径についての測定精度が実施例1程度であっても、配筋された鉄筋の直径を特定することが可能である。
【0047】
また、コンクリートの一般的な比誘電率は、8〜9と言われており、本発明による比誘電率の計測値は妥当なものといえる。
【0048】
図7及び図8より、鉄筋の深度(d)が大きくなると、振幅が小さくなり、かつ伝播時間が長くなっていることがわかる。
【0049】
[実施例2]
実施例1において、鉄筋の深度及びコンクリートの比誘電率については、高精度な計測結果が得られたが、鉄筋の直径については、誤差が生じている。図5における鉄筋Aに対する理論的電磁波伝播経路を図9に、また、このときの鉄筋表面での電磁波反射点分布を図10の太線に示すように、誤差の原因は、鉄筋表面での反射点が鉄筋の頭部に集中しており、鉄筋の直径に関する情報量が極端に少ないからであると考えられる。よって、鉄筋表面での反射点を広範囲とすることによって、直径の計測精度を向上させることができる。
【0050】
そこで、図12,14,16に示すように、電磁波レーダの送受信アンテナとコンクリート表面の間に存在する空気層を特定の比誘電率の媒質で置換すると、鉄筋頭部における反射点を広範囲に拡げることが可能となる。
【0051】
比誘電率がそれぞれ4、8、10の媒質を送受信アンテナとコンクリートの間に置き、空気層をなくすると、電磁波伝播経路と鉄筋表面での反射点分布は、図11〜図16に示すようになる。反射点分布を示す図10、図12及び図14を比較すると、空気層を比誘電率8の媒質で置換したとき、すなわち、コンクリートの比誘電率にほぼ等しい媒質の場合が最も鉄筋の反射点分布が広範囲となっている。
【0052】
一方、比誘電率が8と10の場合の図14と図16を比較すると、鉄筋の反射点の分布は変わりがないといえるので、空気層を比誘電率が8程度の媒質で置換することが直径の計測の精度向上に好ましいことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
電磁波レーダの伝播経路を解析すると共にこの伝播経路に対するレーダの指向性関数を考えた上で受信信号波形のモデル化をおこない、このモデル波形を用いることにより、完成した鉄筋コンクリート建築物の鉄筋の深度(かぶり)、及び直径をコンクリートの比誘電率と共に計測することができるので、構造物の強度の確認を非破壊的におこなうことができる。
【0054】
また、電磁波レーダの送受信アンテナとコンクリート表面に存在する空気層を比誘電率が8前後の媒質を介在させることによって鉄筋の直径を精度よく測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】電磁波レーダを使用した計測の概念図。
【図2】従来の電磁波レーダの指向性関数の概念図。
【図3】モデル波形と実波形の振幅変化図。
【図4】測定ポイントの説明図。
【図5】実施例の供試体の説明図。
【図6】実施例1における鉄筋からの基本反射波波形を示す図。
【図7】鉄筋Aの実波形とモデル波形の比較図。
【図8】鉄筋Bの実波形とモデル波形の比較図。
【図9】実施例1理論的電磁波伝播経路の説明図。
【図10】実施例1の鉄筋における電磁波反射点の分布図。
【図11】実施例2(ε=4)の理論的電磁波伝播経路図。
【図12】実施例2(ε=4)の鉄筋における電磁波反射点分布図。
【図13】実施例2(ε=8)の理論的電磁波伝播経路図。
【図14】実施例2(ε=8)の鉄筋における電磁波反射点の分布図。
【図15】実施例2(ε=10)の理論的電磁波伝播経路図。
【図16】実施例2(ε=10)の鉄筋における電磁波反射点の分布図。
【符号の説明】
【0056】
1 コンクリート
2 電磁波レーダ
3 鉄筋
10 コンクリート表面
21 送信アンテナ
22 受信アンテナ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波レーダの物理的特性と電磁波の媒質界面における反射及び屈折を含めた伝播特性に基づく予測受信信号波形と電磁波レーダによって測定した実際の受信信号とのパターンマッチングによって、未知パラメータの媒質内の物体の位置及び物体の形状、及び媒質の比誘電率を求める計測方法。
【請求項2】
請求項1において、電磁波レーダの物理的特性がレーダの指向特性、送受信アンテナ間の距離、及び送受信アンテナから媒質までの距離である計測方法。
【請求項3】
請求項1または2において、一部の未知パラメータが既知の場合、または標準値がある場合は、その値を使用して残りの未知パラメータを求める計測方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、パターンマッチングをマッチング角度の評価でおこなう計測方法。
【請求項5】
請求項4において、媒質がコンクリートであって物体が鉄筋であり、鉄筋のコンクリート表面からの深さ及び鉄筋の直径を求める計測方法。
【請求項6】
請求項4において、物体が管体であり、管体の媒質表面からの深さ及び管体の直径を求める計測方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかにおいて、電磁波レーダの送受信アンテナと媒質の間の空間を、測定対象媒質の比誘電率にほぼ等しい比誘電率の物質で充填または物質を設置する計測方法。
【請求項1】
電磁波レーダの物理的特性と電磁波の媒質界面における反射及び屈折を含めた伝播特性に基づく予測受信信号波形と電磁波レーダによって測定した実際の受信信号とのパターンマッチングによって、未知パラメータの媒質内の物体の位置及び物体の形状、及び媒質の比誘電率を求める計測方法。
【請求項2】
請求項1において、電磁波レーダの物理的特性がレーダの指向特性、送受信アンテナ間の距離、及び送受信アンテナから媒質までの距離である計測方法。
【請求項3】
請求項1または2において、一部の未知パラメータが既知の場合、または標準値がある場合は、その値を使用して残りの未知パラメータを求める計測方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、パターンマッチングをマッチング角度の評価でおこなう計測方法。
【請求項5】
請求項4において、媒質がコンクリートであって物体が鉄筋であり、鉄筋のコンクリート表面からの深さ及び鉄筋の直径を求める計測方法。
【請求項6】
請求項4において、物体が管体であり、管体の媒質表面からの深さ及び管体の直径を求める計測方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかにおいて、電磁波レーダの送受信アンテナと媒質の間の空間を、測定対象媒質の比誘電率にほぼ等しい比誘電率の物質で充填または物質を設置する計測方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−327935(P2007−327935A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−45270(P2007−45270)
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成17年11月19日 計測自動制御学会中国支部主催の「第14回計測自動制御学会中国支部学術講演会」において文書をもって発表
【出願人】(304020177)国立大学法人山口大学 (579)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成17年11月19日 計測自動制御学会中国支部主催の「第14回計測自動制御学会中国支部学術講演会」において文書をもって発表
【出願人】(304020177)国立大学法人山口大学 (579)
【Fターム(参考)】
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