説明

子宮内膜増殖を抑制するための組成物および方法

本発明の対象は、ホルモン療法の分野に関係がある。さらに特定的には、本発明の対象は、エストロゲンおよび/または選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)療法を受けている女性におけるエストロゲン依存性症状、例えば子宮内膜過形成および子宮内膜癌の治療方法に関する。本発明は、子宮内膜増殖の抑制にも関連する。本発明は、子宮内膜症に関連した疼痛の治療にも関連する。プロゲステロン・アンタゴニストを含む当該方法を実行するための組成物も開示される。本発明の実施形態は、開示された処置方法を実行するための新規の選択的プロゲステロン受容体モジュレーターの同定方法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、子宮内膜増殖を抑制するための組成物および方法に関する。さらに特定的には、本発明は、子宮内膜増殖を抑制するための1つまたは複数のプロゲステロン・アンタゴニストを含む組成物に関する。
(関連出願の引照)
【0002】
本出願は、米国特許仮出願第60/862,632号(2006年10月24日提出)および米国特許仮出願第60/885,348号(2007年1月17日提出)(これらの記載内容は各々、参照により本明細書中で援用される)の利益を主張する。
【背景技術】
【0003】
エストロゲンは、子宮および乳房の発達、骨密度の維持、ならびに脂質プロフィールに及ぼすその陽性作用による心臓血管性防御を含めた種々の生理学的プロセスに不可欠なホルモンの一群である。エストロゲンの作用は、核中のエストロゲン受容体とのその結合により媒介される。古典的モデルによれば、核中の非占有エストロゲン受容体は、エストロゲンとの結合時に、エストロゲン応答遺伝子のプロモーター内のDNA配列と相互作用する能力を獲得する。DNA結合エストロゲン受容体は、肯定的にまたは否定的に、これらの遺伝子の転写を調整する。
【0004】
エストロゲンは、乳房および子宮組織に及ぼす過増殖作用を有することが既知である。例えば閉経期女性への非対立エストロゲンの投与は、子宮内膜過形成および子宮内膜癌の両方をもたらすことが実証されている。それに反して、プロゲステロンは、エストロゲン依存性子宮内膜増殖および癌発達を強力に相殺する。したがって非対立エストロゲンの作用を相殺するために、プロゲスチンは一般的にホルモン置換療法(HRT)の一部として処方される。しかしながらWomen’s Health Initiativeからの大規模臨床試験は、近年、結合型エストロゲンおよびメドロキシプロゲステロンアセテートの組合せが、心臓血管性疾患、卒中、肺動脈塞栓および乳癌の発症の危険を増大する、ということを確定した。付加的には、外科的に閉経期を作られたマカクザルにおける実験データは、エストロゲンおよびプロゲステロン併用レジメンが、エストロゲン単独より高レベルの乳房増殖および過形成をもたらした、ということを示している。プロゲスチンの同時投与は非生理期子宮出血とも関連しており、さらにエストロゲンの過増殖を阻止するための作用物質としてのその適性を限定する。
【0005】
エストロゲン受容体のエストロゲン依存性活性化に影響を及ぼす多数の化合物が既知である。種々の因子によって、これらの化合物は、それらがエストロゲンによく似ている点で完全にエストロゲン様であり得るし、それらがエストロゲンの作用を遮断する点で完全に抗エストロゲン様であり得るし、あるいはそれらは中間のどこかに入り得る。混合エストロゲンおよび抗エストロゲン特性を示す化合物は、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)と呼ばれる。SERMは、組織特異的やり方で、それらのエストロゲン性または抗エストロゲン性作用を発揮する。この組織特異性の基礎を成すメカニズムは明らかでないが、しかし、とりわけ、その相対的発現レベルが組織型ならびにエストロゲン受容体アイソフォームαおよびβの組織特異的発現の間で変わる抑制補助因子および活性化補助因子の動員を包含し得る。エストロゲン受容体αは活性化因子であり、一方、エストロゲン受容体βはそれとともにヘテロ二量体を形成することによりエストロゲン受容体α活性を抑制し得る。
【0006】
SERMの二重活性は、いくつかの潜在的利点を女性に提供する。SERMのエストロゲン特性は、エストロゲンの望ましくない作用のいくつかを最小限にしながら、エストロゲン欠損により引き起こされる疾患を治療するかまたは予防するために用いられ得る。逆に、SERMの抗エストロゲン特性は、乳癌のような疾患を予防するかまたは治療するために用いられ得るが、この場合、エストロゲン活性は望ましくない。それにもかかわらず、子宮内膜過形成はSERM療法と関連付けられており、したがってその有用性を限定する。
【0007】
例えばSERMタモキシフェンは乳房において抗エストロゲン性であることが示されており、この場合、それはエストロゲンの増殖性作用を遮断し、その結果としてある型の乳癌のための処置としての利益を見出している。他方で、タモキシフェンは、骨および子宮に及ぼすエストロゲン作用を示し、そして子宮内膜過形成および子宮内膜癌の発生率増大と関連づけられており、その抗エストロゲンとしてのその有用性を限定する。
【0008】
霊長類における予備試験は、抗プロゲスチンが子宮内膜に及ぼす抗増殖作用を保有する、ということを示すように思えた。しかしながら抗プロゲスチンによる長期処置は、非対立エストロゲンの作用のために子宮内膜過形成を生じ得るという問題が存在する。成人女性におけるいくつかの近年の研究は、おそらくは非対立エストロゲン活性の結果である高用量の抗プロゲスチンによる長期処置中の子宮内膜の肥厚化を明示しているが、これは低用量で起こるとは思われない。
【0009】
身体に及ぼすエストロゲンの有益な作用を保持しながら、エストロゲンの増殖作用を阻む長期投与に適した処置レジメンに対する必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、子宮内膜増殖の抑制方法であって、それを必要とする患者に、子宮内膜組織における増殖を抑制するのに有効な量のプロゲステロン・アンタゴニストを投与することを包含する方法を提供する。それを必要とする患者は、子宮内膜症を有する女性である。プロゲステロン・アンタゴニストは、純抗プロゲスチンまたは選択的プロゲステロン受容体モジュレーター(SPRM)であり得る。好ましい一実施形態では、プロゲステロン・アンタゴニストは、糖質コルチコイド受容体に関して低親和性を有する。別の好ましい実施形態では、女性へのプロゲステロン・アンタゴニストの投与は、女性における黄体期プロゲステロン・レベルを低減する。さらに別の好ましい実施形態では、女性へのプロゲステロン・アンタゴニストの投与は、女性におけるエストロゲン・レベルを実質的に下げない。
【0011】
さらに別の態様において、本発明は、エストロゲン依存性症状を防止するためのエストロゲンおよびSERM療法におけるプロゲステロン・アンタゴニストの使用方法を提供する。さらに特定的には、本発明は、エストロゲンまたはSERMの投与を包含する処置レジメンを受けている女性における子宮内膜増殖を抑制するのに十分な投与量でプロゲステロン・アンタゴニストを用いる。例えば患者は、ホルモン置換療法を受けている閉経期または閉経後女性であり得る。さらに別の態様では、本発明は、エストロゲンおよびSERM療法においてプロゲステロン・アンタゴニストを用いて子宮内膜過形成および/または子宮内膜癌の発症を防止するための方法を提供する。プロゲステロン・アンタゴニストが子宮内膜増殖を抑制するために有効な量で用いられる限り、プロゲステロン・アンタゴニストは、抗プロゲスチンまたは選択的プロゲステロン受容体モジュレーター(SPRM)であり得る。
【0012】
さらに別の態様では、本発明は、子宮内膜症に関連した疼痛の処置におけるプロゲステロン・アンタゴニストの使用方法を提供する。プロゲステロン・アンタゴニストは、子宮内膜症に関連した疼痛の長期処置のために用いられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】ラットにおける血清コルチゾールに及ぼす選択的プロゲステロン受容体モジュレーターの作用を示すグラフである。
【図2】ラットにおける血清コルチゾールに及ぼすCDB-4124の用量依存的作用を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(発明の詳細な説明)
「有効用量」という用語は、例えば子宮内膜増殖の抑制または子宮内膜症に関連した疼痛の処置であり得る所望の作用を達成するのに十分な組成物の活性構成成分の量を意味する。
【0015】
「選択的プロゲステロン受容体モジュレーター」という用語は、組織特異的やり方でプロゲステロン受容体の機能に影響を及ぼす化合物を意味する。化合物は、ある組織においては(例えば子宮においては)プロゲステロン受容体アンタゴニストとして作用し、そして他の組織においてはプロゲステロン受容体アゴニストとして作用する。
【0016】
「処置する」または「処置」という用語は、治療的処置および予防的または防止的方策の両方を指し、この場合、目的は望ましくない生理学的変化または障害を防止するかまたは遅らせる(少なくする)ことである。本発明の目的のために、有益なまたは望ましい臨床結果としては、検出可能であれ、非検出可能であれ、症候の緩和、疾患の程度の縮小、疾患の状態安定化(即ち悪化させない)、疾患進行の延期または遅延、疾患状態の改善または一時抑え、ならびに寛解(部分的であれ全体的であれ)が挙げられるが、これらに限定されない。「処置」は、処置を受けない場合の予測生存と比較した場合の生存延長も意味し得る。処置を必要とする者としては、症状または障害をすでに有するもの、ならびに症状または障害を有する傾向がある者、あるいは症状または障害が防止されるべきである者が挙げられる。
【0017】
「プロゲステロン・アゴニスト」という用語は、プロゲステロン受容体と結合し、そして天然ホルモンの作用を模倣する化合物を意味する。
【0018】
「プロゲステロン・アンタゴニスト」という用語は、プロゲステロン受容体と結合し、そしてプロゲステロンの作用を抑制する化合物を意味する。
【0019】
子宮内膜組織の増殖に言及するに際して本明細書中で用いられる「抑制する」または「抑制する(単数)」または「抑制すること」という用語は、子宮内膜組織の有糸分裂増殖が、同一条件下での非処置子宮内膜組織に比してプロゲステロン・アンタゴニストの投与時に抑制され、そして例えばアポトーシスによる細胞死と区別されるべきものである、ということを意味する。子宮内膜有糸分裂増殖の抑制におけるプロゲステロン・アンタゴニストの活性は、例えば子宮細胞株において、例えばプロゲステロン・アンタゴニストで処置された細胞におけるブロモでオキシウリジン(BrdU)の取込みを、対照(非処置)細胞と比較することにより、試験され得る。
【0020】
「実質的に低減されない」という用語は、女性におけるホルモンレベルに言及して本明細書中で用いる場合、本発明の組成物の投与中はホルモンレベルが正常範囲内に保持される、ということを意味する。したがって、ホルモンレベルが正常範囲内に保持される限り、ホルモンレベルにおける多少の低減が起こり得る、と考えられる。
【0021】
「実質的に増大されない」という用語は、女性におけるホルモンレベルに言及して本明細書中で用いる場合、本発明の組成物の投与中はホルモンレベルが正常範囲内に保持される、ということを意味する。したがって、ホルモンレベルが正常範囲内に保持される限り、ホルモンレベルにおける多少の上昇が起こり得る、と考えられる。
【0022】
本発明は、子宮内膜増殖を抑制するのに有効な用量でのプロゲステロン・アンタゴニストの使用に関する。当該方法は、正常範囲内にエストロゲン・レベルを保持しながら、ある種のプロゲステロン・アンタゴニストが子宮内膜増殖に及ぼす逆用量依存的作用を示す、という予期せぬ知見から生じる。特定的には、高投与量の抗プロゲスチン/SPRM CDB-4124の慢性投与は子宮内膜増殖を抑制するが、一方、より低い用量は子宮内膜増殖を抑制できなかったし、そして高および低投与量で類似レベルのエストロゲンが観察されるにもかかわらず、子宮内膜増殖を促進する傾向さえあった、ということが判明した。これは、以下で実証される抗プロゲスチン/SPRM RU486が高投与量で子宮内膜増殖を抑制できないこと、ならびに高用量の抗プロゲスチンの慢性投与が、おそらくは非対立エストロゲンの作用のため、子宮内膜増殖を促進する、といういくつかの近年の報告を考慮して、特に意外である。本発明は、プロゲステロン・アンタゴニストが子宮内膜症に関連した疼痛を治療するに際して予期せず有用である、ということも実証する。
【0023】
以下に記載される6ヶ月に亘る有効量のプロゲステロン・アンタゴニストの毎日投与を含む処置レジメン中の子宮内膜増殖の抑制は、慢性/長期投与が望ましいこのようなプロゲステロン・アンタゴニストの有用性を実証する。この点では、本発明の方法は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31またはそれより多くの日数の投与期間の間に子宮内膜増殖を抑制するのに十分な量のプロゲステロン・アンタゴニストを含む組成物を投与することを包含し得る。組成物は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12またはそれより多くの月の投与期間の間も投与され得る。組成物は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれより長い年数の投与期間の間も投与され得る。投与期間中、組成物は、毎日、あるいは定期的に、例えば1日おき、1カ月おき等に投与され得る。組成物は、間欠的にも投与され得る。例えば組成物は、1、2、3、4、5またはそれより多くの月の投与期間の間投与され、その後、1回中断されて、その後、1、2、3、4、5またはそれより多くの月の投与期間投与され得るといった具合である。
【0024】
「間欠投与」とは、治療的有効用量のプロゲステロン・アンタゴニストの投与の期間と、その後の中断の期間、次にこの後の別の投与期間等を指して言う。
【0025】
「中断の期間」または「中断期間」とは、プロゲステロン・アンタゴニストの日毎、週毎、月毎またはその間の投与の中断を指して言う。中断の時間は投与期間より長いかまたは短いが、しかし常に、投与期間中の用量投与間隔より長い。例えば投与期間が毎日、毎週または毎月用量投与からなる場合、中断期間はそれぞれ少なくとも2日、少なくとも8日または少なくとも32日である。したがって中断期間は、少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32またはそれより多くの日数であり得る。
【0026】
一実施形態では、被験者が少なくとも1回の中断期間中に月経を経験するよう、組成物は間欠的に投与される。このアプローチは、例えばしみ、非生理期子宮出血、子宮内膜過増殖または子宮内膜癌のようなプロゲステロン・アンタゴニストによる処置延長を伴い得る肥厚またはうっ血性子宮内膜に関連した悪作用を回避すると予期される。少なくとも1回の、好ましくはすべての中断期間は、被験者が月経を経験するのに十分な長さのものである。さらに好ましくは、被験者は、すべての中断期間中、月経を経験する。特に好ましい一実施形態では、組成物は、4ヶ月の投与期間の間毎日投与され、その後、中断期間があって、その間、被験者は月経を経験し、その後、4ヶ月の別の投与期間等が存在する。
【0027】
任意に、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニストまたはアンタゴニストは、中断期間中に投与されて、子宮内膜の脱落および回復を早め得る。GnRHアゴニストの非限定例としては、ナファレリン、ブセレリン、ロイプロレリン、トリプトレリン、ゴセレリン、[DLys6]GnRH、[DAla6]GnRH等が挙げられる。GnRHアンタゴニストの非限定例としては、ヒストレリン、アバレリクスおよび米国特許第4,409,208号、第4,547,370号、第4,565,804号、第4,569,927号および第4,619,914号(これらの記載内容は参照により本明細書中で援用される)に見出されるものが挙げられる。
【0028】
任意に、患者における正常月経を得るために、プロゲスチンは中断期間中に投与され得る。プロゲスチンの投与は、好ましくは、月経中のプロゲステロン・レベルの自然上昇および低下を模倣するプロゲステロン・プロフィールを生じる。このような処置レジメンは、当該技術分野で周知である。中断期間中のプロゲスチンの投与は、プロゲステロン・アンタゴニストの投与により受け入れられるものの他にエストロゲンの作用と反対のものも提供し、したがって子宮内膜の肥厚といったようなエストロゲン依存性症状を治療するのに役立ち得る。プロゲスチンの非限定例としては、メドロゲストン、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、ノルエチンドロン、プロゲステロン、ヒドロキシプロゲステロン、アセトキシプレグネノロン、アリルエストレノール、シプロテロン、デソゲストレル、ジメチステロン、エチステロン、エチノジオールジアセテート、ゲスタデン、リネストレノール等が挙げられる。
【0029】
一実施形態では、子宮内膜症を有する女性患者は、子宮内膜増殖を抑制するのに有効な量でプロゲステロン・アンタゴニストを含む組成物を投与される。関連実施形態では、プロゲステロン・アンタゴニストを含む組成物は、子宮内膜症に関連した疼痛を治療するのに有効な量で子宮内膜症を有する女性に投与される。例えばプロゲステロン・アンタゴニストの投与は、子宮内膜病変に関連した疼痛を低減し得る。疼痛は子宮内膜症の最も一般的な且つ衰弱させる症候であり、当該疾患の内科的および外科的処置の両方に関する主要適応症である。疼痛は、月経疼痛、骨盤痛、背痛、腹痛、乳房痛、性交疼痛等として症状発現され得る。プロゲステロン・アンタゴニストの投与は、子宮内膜病変のサイズも低減し得る。子宮内膜症の処置のための一般的レジメンとしては、卵巣エストロゲン分泌を抑制することにより偽性閉経の状態を誘導し、したがって骨密度の損失、全身カルシウムの損失ならびにその他の骨粗鬆症様副作用のため長期投与に有用でないGnRHアゴニストが挙げられる。本発明の組成物は、エストロゲン・レベルの実質的低減を伴わずに、長期間投与され得る。
【0030】
別の実施形態では、本発明は、子宮内膜増殖を抑制するのに有効な量のプロゲステロン・アンタゴニストを同時投与することによるエストロゲンまたはSERMSのようなエストロゲン化合物を用いる一般的ホルモン療法と関連したエストロゲン依存性症状の治療方法を提供する。一般的エストロゲン/SERMホルモン療法に関連したエストロゲン依存性症状としては、子宮内膜過形成および子宮内膜癌が挙げられるが、これらに限定されない。この点では、プロゲステロン・アンタゴニストは、組合せホルモン療法レジメンの一部として、エストロゲンまたはSERMの前、最中または後に投与され得る。
【0031】
さらに別の実施形態では、本発明は、ホルモン置換方法であって、有効量のプロゲステロン・アンタゴニストおよびエストロゲン化合物を閉経期または閉経後女性に投与することを包含する方法を提供するが、この場合、プロゲステロン・アゴニストの量はエストロゲン依存性症状を抑制するのに有効である。エストロゲン化合物は、エストロゲンまたはSERMであり得る。エストロゲン化合物は、プロゲステロン・アンタゴニストの前に、後に投与されるか、あるいはそれと同時投与され得る。エストロゲン依存性症状は子宮内膜増殖、子宮内膜過増殖または子宮内膜癌であり得るが、これらに限定されない。
【0032】
本発明の各方法の好ましい一実施形態では、女性へのプロゲステロン・アンタゴニストの投与は、女性におけるエストロゲン・レベルを実質的に低減しない。したがって本発明は、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニスト、例えばルプロン(登録商標)(酢酸ロイプロリド)をしばしば用いる子宮内膜症の処置のための一般療法を上回る利点を提供する。
【0033】
本発明の各方法の別の好ましい実施形態では、女性へのプロゲステロン・アンタゴニストの投与は、女性におけるプロゲステロン・レベルを実質的に増大しない。さらに好ましくは、女性へのプロゲステロン・アンタゴニストの投与は、女性におけるプロゲステロン・レベル、特に黄体期プロゲステロン・レベルを低減する。
【0034】
本発明の各方法のさらに別の好ましい実施形態では、プロゲステロン・アンタゴニストは、糖質コルチコイド受容体に関する親和性低減を示す。さらに好ましくは、プロゲステロン受容体に関するプロゲステロン・アンタゴニストの結合親和性は、糖質コルチコイド受容体に関する前記プロゲステロン・アンタゴニストの結合親和性より少なくとも1.5倍大きい。
【0035】
上記の化合物の特質を有する任意の既知のプロゲステロン・アンタゴニストが、本発明を実行する当業者により用いられ得る。特に有用な化合物としては、米国特許第6,900,193号(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に開示されたもの、ならびに米国特許第6,861,415号(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に開示されたもの、即ち、以下の一般式を有する21-置換19-ノルプレグナンが挙げられる:
【0036】
【化1】

(式中、Xは、例えばアルキル、アルケニル、アルキニル、水素、ハロ、モノアルキルアミノまたはジアルキルアミノ、例えばN,N-ジメチルアミノであり得るし;
1は、例えばO、NOHまたはNO-メチルであり得るし;
2は、例えば水素またはアセチルであり得るし;そして
3は、例えばメチルオキシ、ホルミルオキシ、アセトキシ、アシルオキシ、S-アルコキシ、アセチルテオニル、グリシメート、ビニルエーテル、アセチルオキシメチル、メチルカルボネート、ハロゲン、メチル、ヒドロキシおよびエチルオキシであり得る)。
【0037】
21-置換19-ノルプレグナンの例としては、以下に開示される24の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
1. 以下の構造式を有するCDB-4247(21-プロピオ[[1]]ニルオキシ-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0039】
【化2】

【0040】
2. 以下の構造式を有するCDB-4361(21-ビニルエーテル-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0041】
【化3】

【0042】
3. 以下の構造式を有するCDB-4059(21-アセトキシ-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0043】
【化4】

【0044】
4. 以下の構造式を有するCDB-4124(21-メトキシ-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0045】
【化5】

【0046】
5. 以下の構造式を有するCDB-4031(21-臭素-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0047】
【化6】

【0048】
6. 以下の構造式を有するCDB-3876(21-塩素-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0049】
【化7】

【0050】
7. 以下の構造式を有するCDB-4058(21-フッ素-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0051】
【化8】

【0052】
8. 以下の構造式を有するCDB-4030(21-メチル-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0053】
【化9】

【0054】
9. 以下の構造式を有するCDB-4152(21-ヒドロキシ-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0055】
【化10】

【0056】
10. 以下の構造式を有するCDB-4167(21-エチルオキシ-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0057】
【化11】

【0058】
11. 以下の構造式を有するCDB-4101(21-メトキシチオ-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0059】
【化12】

【0060】
12. 以下の構造式を有するCDB-4110(21-アセトニド-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0061】
【化13】

【0062】
13. 以下の構造式を有するCDB-4111(21-BMD-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0063】
【化14】

【0064】
14. 以下の構造式を有するCDB-4125(21-(Cyp*-ヒドロキシ)-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0065】
【化15】

【0066】
15. 以下の構造式を有するCDB-4205(3-ヒドロキシアミノ-21-メトキシ-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0067】
【化16】

【0068】
16. 以下の構造式を有するCDB-4206(3-ヒドロキシアミノ-21-アセトキシ-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0069】
【化17】

【0070】
17. 以下の構造式を有するCDB-4226(3-ヒドロキシアミノ-21-エチルオキシ-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0071】
【化18】

【0072】
18. 以下の構造式を有するCDB-4262(3-メトキシアミノ-21-エチルオキシ-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0073】
【化19】

【0074】
19. 以下の構造式を有するCDB-4223(21-メチルチオ-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0075】
【化20】

【0076】
20. 以下の構造式を有するCDB-4119(4-ベンゾイン-21-アセチルチオ-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0077】
【化21】

【0078】
21. 以下の構造式を有するCDB-4239(4-ベンゾイン-21-メトキシ-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0079】
【化22】

【0080】
22. 以下の構造式を有するCDB-4306(21-グリシネート-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0081】
【化23】

【0082】
23. 以下の構造式を有するCDB-4352(21-シアノチオ-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0083】
【化24】

【0084】
24. 以下の構造式を有するCDB-4362(21-メトキシアセチル-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン):
【0085】
【化25】

【0086】
上記の24の化合物のうちの11β-モノデメチル化誘導体(即ち、XがN-メチルアミノであるもの)も、本発明を実施するに際して特に有用である。この点では、CDB-4453(21-メトキシ-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン)(CDB-4124のモノデメチル化誘導体)は、その親化合物よりなお低い抗糖質コルチコイド活性を保有することが実証されている(Attardi et al., 2002, Mol. Cell. Endocrin. 188: 111-123)(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)。
【0087】
上記一般式の化合物およびそれらのモノデメチル化誘導体が好ましいが、しかしプロゲステロン受容体に及ぼすそのアンタゴニスト作用に関して任意のプロゲステロン・アンタゴニストが本発明の実行に用いられ得る。好ましくはプロゲステロン・アンタゴニストは、以下の特質:低抗糖質コルチコイド活性、最小エストロゲンおよび抗エストロゲン活性のうちの1つまたは複数を有し、そしてプロゲステロン・レベルを実質的に増大しない。
【0088】
本発明に有用であり得る抗プロゲスチンとしては、アソプリスニル(ベンズアルデヒド、4-[(11β,17β)-17-メトキシ-17-(メトキシメチル)-3-オキソエストラ-4,9-ジエン-11-イル]-1-(E)-オキシム;J867)、その代謝産物J912(4-[17β-ヒドロキシ-17α-(メトキシメチル)-3-オキソエストラ-4,9-ジエン-11β-イル]ベンズアルデヒド-(1E)-オキシム)、ならびにDE 43 32 283およびDE 43 32 284に記載された他の化合物;CDB-2914(17α-アセトキシ-11β-(4-N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン)、ならびにStratton et al., 2000, Hu. Reprod. 15: 1092-1099に記載されたその他の化合物;JNJ-1250132、ならびにAllan et al., 2006, Steroids 71: 949-954に記載されたその他の化合物;Zhi et al., 1998, J. Med. Chem. 41: 291-302に記載された5-アリール-1,2-ジヒドロクロメノ[3,4-f]キノリン;米国特許第6,509,334号、第6,566,358号および第6,713,478号(Zhang等)に記載された1,4-ジヒドロ-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-2-オン;米国特許第6,391,907号(Fensome等)に記載された1,3-ジヒドロ-インドール-2-オン;米国特許第6,417,214号(Ulrich等)に記載された2,3-ジヒドロ-1H-インドール;米国特許第6,380,235号(Zhang等)に記載されたベンズイミダゾロンおよびその類似体;米国特許第6,339,098号(Collins等)に記載された2,1-ベンズイソチアゾリン2,2-ジオキシド;米国特許第6,306,851号および第6,441,019号(Santilli等)に記載されたシクロカルバメートおよびシクロ-アミド;米国特許第6,369,056号(Zhang等)に記載された環状尿素および環状アミド誘導体;ならびに米国特許第6,358,948号(Zhang等)に記載されたキナゾリノンおよびベンゾキサジン誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0089】
本発明において有用であり得るその他の抗プロゲスチンとしては、(6α,11β、17β)-11-(4-ジメチルアミノフェニル)-6-メチル-4’,5’-ジヒドロスピロ[エストラ-4,9-ジエン-17,2’(3’H)-フラン]-3-オン(ORG-31710)および米国特許第4,871,724号に記載されたその他の化合物;(11β、17α)-11-(4-アセチルフェニル)-17,23-エポキシ-19,24-ジノルコラ-4,9,20-トリエン-3-オン(ORG-33628);(7β,11β、17β)-11-(4-ジメチルアミノフェニル-7-メチル)-4’,5’-ジヒドロスピロ[エストラ-4,9-ジエン-17,2’(3’H)-フラン]-3-オン(ORG-31806)および米国特許第4,921,845号に記載されたその他の化合物;ZK-112993およびMichna et al., 1992, J. Steroid Biochem. Molec. Biol. 41: 339-348に記載されたその他の化合物;ORG-311167;ORG-31343;RU-2992;RU-1479;RU-25056;RU-49295;RU-46556;RU-26819;LG1127;LG120753;LG120830;LG1447;LG121046;CGP-19984A;RTI-3021-012;RTI-3021-022;RTI-3021-020;RWJ-25333;ZK-136796;ZK-114043;ZK-230211;ZK-136798;ZK-98229;ZK-98734およびZK-137316が挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
本発明において有用であり得るさらに他の抗プロゲスチンとしては、ミフェプリストン(11β-[p-(ジメチルアミノ)フェニル]-17β-ヒドロキシ-17-(1-プロピニル)エストラ-4,9-ジエン-3-オン;RU486)、ならびに米国特許第4,386,085号、第4,447,424号、第4,519,946号および第4,634,695号に記載されたその他の化合物;Jiang et al., 2006, Steroids 71: 949-954に記載されたリン含有17β-側鎖ミフェプリストン類似体;オナプリストン(11β-[p-(ジメチルアミノ)フェニル]-17α-ヒドロキシ-17-(3-ヒドロキシプロピル)-13α-エストラ-4,9-ジエン-3-オン)、ならびに米国特許第4,780,461号に記載されたその他の化合物;リロプリストン(((Z)-11β-[(4-ジメチルアミノ)フェニル]-17-β-ヒドロキシ-17α-(3-ヒドロキシ-1-プロペニル)エストラ-4,9-ジエン-3-オン)、ならびに米国特許第4,609,651号に記載されたその他の化合物;11β-置換19-ノルステロイド、例えばBclagner et al., 1981, Steroids 37: 361-382に記載された11β-(4-メトキシフェニル)-17β-ヒドロキシ-17α-エチニル-4,9-エストラジエン-3-オン;11β-アリール-4-エストレン、例えば米国特許第5,728,689号に記載された(Z)-11β-[(4-ジメチルアミノ)フェニル]-17β-ヒドロキシ-17α-(3-ヒドロキシ-1-プロペニル)エストル-4エン-3-オン;米国特許第5,843,933号および第5,843,931号に記載された11β-アリール-エストレン誘導体;11-ベンズアルドオキシム-エストラ-ジエン誘導体、例えば米国特許第5,693,628号に記載された4-[17β-メトキシ-17α-(メトキシメチル)-3-オキソエストラ-4,9-ジエン-11β-イル]ベンズアルデヒド-1-(E)-オキシム;11-ベンズアルドオキシム-17β-メトキシ-17α-メトキシメチル-エストラジエン誘導体、例えば米国特許第5,576,310号に記載された4-[17β-メトキシ-17α-(メトキシメチル)-3-オキソエストラ-4,9-ジエン-11β-イル]ベンズアルデヒド-1-(E)-[O-(エチルアミノ)カルボニル]オキシム;S-置換11β-ベンズアドオキシム-エストラ-4,9-ジエン-カルボン酸チオールエステル、例えばWO 99/45023に記載された4-[17β-メトキシ-17α-(メトキシメチル)-3-オキソエストラ-4,9-ジエン-11β-イル]ベンズアルデヒド-1-(E)-[O-(エチルチオ)カルボニル]オキシム;ステロイド・エステル、例えばDE 19652408、DE 4434488、DE 4216003、DE4216004およびWO 98/24803に記載された(Z)-6’-(4-シアノフェニル)-9,11α-ジヒドロ-17β-ヒドロキシ-17α-[4-(1-オキソ-3-メチルブトキシ)-1-ブテニル]4’H-ナフト[3’,2’,1’;10,9,11]エストル-4-エン-3-オン;フッ化17α-アルキル鎖ステロイド、例えばWO 98/34947に記載された11β-(4-アセチルフェニル)-17β-ヒドロキシ-17α-(1,1,2,2,2-ペンタフルオロエチル)エストラ-4,9-ジエン-3-オン;17-スピロフラン-3’-イリデン・ステロイド、例えば米国特許第5,292,878号に記載された11β-(4-アセチルフェニル)-19,24-ジノル-17,23-エポキシ-17α-コラ-4,9,20-トリエン-3-オン;(Z)-11β,19-[4-(3-ピリジニル)-o-フェニレン]-17-β-ヒドロキシ-17α-(3-ヒドロキシ-1-プロペニル)-4-アンドロステン-3-オン)、ならびに米国特許第5,439,913号に記載されたその他の化合物;13-アルキル-11-β-フェニルゴナン、例えば米国特許第5,446,036号に記載された11β-[4-(1-メチルエテニル)フェニル]-17α-ヒドロキシ-17β-(3-ヒドロキシプロピル)-13α-エストラ-4,9-ジエン-3-オン;11-アリールステロイド、例えば米国特許第4,921,845号に記載された4’,5’-ジヒドロ-11β-[4-(ジメチルアミノ)フェニル]-6β-メチルスピロ[エストラ-4,9-ジエン-17β,2’(3’H)-フラン]-3-オン;米国特許第4,829,060号、第4,814,327号および第5,089,488号に記載された11-β-アリール-エストラジエン;米国特許第5,739,125号、第5,407,928号および第5,273,971号に記載された11-β-アリール-4,9ゴナジエンおよび11-β-アリール-13-アルキル-4,9-ゴナジエン;EP 289073に記載された11-β-アリール-6-アルキル(またはアルケニルまたはアルキニル)ステロイド;米国特許第5,093,507号に記載された10-β,11-β-架橋ステロイド;米国特許第5,244,886号に記載された11-β-アリール-14-β-ステロイド;米国特許第5,095,129号、第5,446,178号、第5,478,956号および第5,232,915号に記載された19,11-β-架橋ステロイド;米国特許第5,684,151号に記載された1-アリールスルホニル、アリールカルボニルおよび1-アリールホスホニル-3-フェニル-1,4,5,6-テトラヒドロピリダジン;米国特許第5,753,655号に記載された1-アリールスルホニル、アリールカルボニルおよびアリールチオカルボニルピリダジノ誘導体;米国特許第5,688,808号、第5,693,646号、第5,693,647号、第5,696,127号、第5,696,130号および第5,696,133号に記載された1,2-ジヒドロ-[1,2-g]キノリン誘導体および1,2-ジヒドロ-クロメノ-[3,4-f]キノリン誘導体;Kang et al., 2007, Bioorg. Med. Chem. Lett. 15: 907-910に記載された(8S,13S,14R)-7-オキサ-エストラ-4,9-ジエン-3,17-ジオン 1から得られるオキサ-ステロイド6;ならびにKang et al., 2007, Bioorg. Med. Chem. Lett. 17: 2531-2534に記載された7-オキサ-ステロイド4が挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
好ましい実施形態では、プロゲステロン・アンタゴニストは、抗プロゲスチン/SPRM CDB-4124(21-メトキシ-17α-アセトキシ-11β-(4N,N-ジメチルアミノフェニル)-19-ノルプレグナ-4,9-ジエン-3,20-ジオン)である。実施例10は、高容量(50 mg/日)でのCDB-4124の投与が成人女性における子宮内膜増殖を抑制するが、しかしより低い投与量(25 mg/日および12.5 mg/日)では子宮内膜増殖を抑制しない、ということを実証する。
【0092】
本発明のプロゲステロン・アンタゴニスト組成物は、子宮内膜過形成または子宮内膜癌の危険性または発生率の増大に関連したホルモン療法を受けている患者に投与され得る。これらの処置としては、エストロゲンの投与またはSERMの投与が挙げられるが、これらに限定されない。本発明のプロゲステロン・アンタゴニスト組成物は、プロゲステロン・アンタゴニスト化合物が子宮の子宮内膜組織中で発揮する抗増殖作用から利益を受け得るため、抗エストロゲン処置を受けている患者にも投与され得る。
【0093】
SERMは、種々の障害、例えば乳癌、骨粗鬆症、結腸癌、神経変性疾患、例えばパーキンソン病、アルツハイマー病、心臓血管性疾患、膣萎縮症および肥満症を処置するために一般に投与される。しかしながらSERM療法は、子宮内膜過形成および子宮内膜癌と関連する。例えば乳癌のタモキシフェン処置は、無傷子宮を有する女性において非定型性を有する過形成の約20%の発生率を生じる。非定型性を示す子宮内膜検体を有する患者は、癌腫に進行する25%の見込みを有する。本発明の化合物は、SERMによる処置を伴う過形成を阻むのに十分な用量で投与される。本発明の化合物は、前記障害のいずれかの処置のためにSERMと組合せて投与され得る。
【0094】
エストロゲンは、ホルモン置換療法(HRT)の一部として、エストロゲンをもはや産生しない閉経後女性に投与される。しかしながらエストロゲン単独療法は、子宮内膜過形成を伴うため、無傷子宮を有する閉経期女性のためには安全でないと考えられる。プロゲスチンの同時投与はしばしば、エストロゲンの過増殖を阻むために禁止される;しかしながら、プロゲスチンの付加はWHI試験において乳癌と関連づけられており、そして非生理期子宮出血を生じ得る。本発明の化合物は、ホルモン置換レジメンの一部として、エストロゲンと組合せて投与され得る。
【0095】
本発明に開示された化合物は、子宮中でプロゲステロン・アンタゴニストとして作用し得る。本発明の化合物は、他の適応症に関する場合と同様に、ホルモン置換療法を受けている閉経期患者において必要とされる長期用法に適している。このような用法が考えられる場合、化合物は好ましくは低糖質コルチコイド受容体結合活性のみを有し、したがって化合物は糖質コルチコイド受容体の機能を実質的に妨害しない。したがって化合物の適用は、糖質コルチコイド受容体に関する高親和性を有する抗プロゲスチンが用いられる場合に典型的に見出される副作用、例えば気分変動、疲労および体重減少を低減し得た。
【0096】
別の実施形態では、本発明は、選択的プロゲステロン受容体結合活性を保有する化合物を同定するために用いられ得る方法を教示する。これらの方法としては、受容体結合およびin vivoバイオアッセイ、例えば抗McGinty、抗Clauberg、糖質コルチコイド、エストロゲン、アンドロゲン、抗糖質コルチコイド(AG)、抗エストロゲンおよび抗アンドロゲン活性、ならびに性交後および抗排卵活性(本発明の主要化合物において、一参照として用いられる)が挙げられる。
【0097】
別の実施形態では、本発明は、潜在的SPRMがさらにまたヒト細胞における転写活性に及ぼすそれらの作用に関して分析され得る、ということを教示する。本発明に開示されるSPRMが一参照として用いられる場合、この分析は、(1)受容体とのSPRMの相互作用、(2)活性化受容体と他の転写因子との相互作用、(3)プロゲステロン応答素子(PRE)での転写複合体の活性化;そして最後に遺伝子発現に及ぼすその作用についての情報を提供し得る。これらの実験では、hPR-Bを発現するプラスミドは、HeLa、HePG2またはT47D細胞中に、PRE依存性プロモーター下で関連当業者に既知の任意のレポーターと同時トランスフェクトされ得る。レポーターとしては、ルシフェラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、緑色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質または黄色蛍光タンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。トランスフェクション後、細胞は、試験化合物で、あるいは一陽性対照として役立つ本出願中に開示されるSPRMのうちの1つで処置される。処置後、細胞はレポーター発現に関して検定される。
【0098】
別の実施形態では、本発明は、ヒトリンパ球細胞株CEM-7におけるデキサメタソン誘導性細胞死を阻むそれらの能力に関して、見込みのあるSPRMが試験され、そして本明細書中に開示されるSPRMの作用と比較され得る、ということを教示する。これらの実験において、デキサメタソンは、細胞死を生じる濃度で付加され得る。次に細胞は、10-6〜10-8 Mの濃度で、本発明のSPRMの1つであるRU486で、または試験化合物で処置される。
【0099】
本発明にしたがって用いられ得るプロゲステロン・アンタゴニスト化合物は、当該技術分野で既知の合成化学技法、例えば米国特許第6,861,415号に記載された技法を用いて合成され得る。ある種の官能基は反応条件下で他の反応体または試薬を妨害し、したがって一時的保護を必要とし得る、と理解されるべきである。保護基の使用は、’Protective Groups in Organic Synthesis’, 2nd edition, T.W. Greene & P.G.M. Wutz, Wiley-Interscience (1991)に記載されている。
【0100】
一実施形態では、本発明の組成物は、1つまたは複数のプロゲステロン・アンタゴニストまたはその製薬上許容可能な塩を含む。プロセス条件によって、得られる塩化合物は、中性または塩形態であり得る。塩形態としては、水和物およびその他の溶媒和物が、そして結晶多形体も挙げられる。遊離塩基およびこれらの最終生成物の塩はともに、本発明に従って用いられ得る。
【0101】
酸付加塩は、それ自体既知のやり方で、塩基性作用物質、例えばアルカリを用いて、またはイオン交換により、遊離塩基に転換され得る。得られた遊離塩基も、有機または無機酸と塩を形成し得る。
【0102】
酸付加塩の調製において、好ましくは製薬上許容可能な塩を適切に形成するこのような酸が用いられる。このような酸の例は、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、脂肪酸、脂環式カルボン酸またはスルホン酸、例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、フマル酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、p-ヒドロキシ安息香酸、エンボン酸、エタンスルホン酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、フェニル酢酸、マンデル酸、ハロゲンベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ガラクタル酸、ガラクツロン酸またはナフタレンスルホン酸である。結晶形態多形体はすべて、本発明に従って用いられ得る。
【0103】
塩基付加塩も本発明に従って用いられ、そして慣用的やり方で、遊離酸形態を、塩を生じるのに十分な量の所望の塩基と接触することにより調製され得る。遊離酸形態は、慣用的やり方で、塩形態を酸と接触し、そして遊離酸を単離することにより再生され得る。製薬上許容可能な塩基付加塩は、金属または得民、例えばアルカリおよびアルカリ土類金属、または有機アミンを用いて形成される。陽イオンとして用いられる金属の例は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等である。適切なアミンの例は、アミノ酸、例えばリシン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N-メチルグルカミン等である。
【0104】
上記目的のために、本発明の化合物は、プロゲステロン・アンタゴニストが活性である任意の慣用的経路を介して投与され得る。例えば本発明のプロゲステロン・アンタゴニストは、経口的に、非経口的に、舌下に、経皮的に、直腸に、経粘膜的に、局所的に、吸入により、頬投与により、またはその組合せにより投与され得る。非経口投与としては、静脈内、動脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、くも膜下腔内、関節内、槽内および脳室内が挙げられるが、これらに限定されない。投与形態は、錠剤、カプセル、ピル、鼻ミスト、エーロゾル、ペレット、植込錠(またはその他のデポー剤)等であり得る。
【0105】
療法に用いるために必要とされる組成物の治療的有効量は、特に、用いられる特定の化合物、投与方式、処置されている症状の重症度、活性が所望される時間の長さによって変わり得るし、そして最後には、担当医により確定される。すべての場合において、特定化合物の有効投与量は、子宮内膜増殖を抑制するのに十分な量である。しかしながら、概して、ヒト処置のために用いられる用量は、典型的には、約0.001 mg/kg〜約500 mg/kg/日、例えば約1 μg/kg〜約1 mg/kg/日、または約1 μg/kg〜約100 μg/kg/日の範囲である。ほとんどの大型哺乳類に関しては、総1日投与量は、約1〜100 mg、好ましくは約2〜80 mgである。投与量レジメンは、最適療法応答を提供するよう調整され得る。所望用量は、1回用量で、あるいは適切な間隔で、例えば2、3、4またはそれ以上の亜用量/日で投与される多数回用量で投与されるのが好都合である。
【0106】
例証的には、本発明の組成物は、約1 μg/kg〜約1 mg/体重1 kg、例えば約1 μg/kg、約25 μg/kg、約50 μg/kg、約75 μg/kg、約100 μg/kg、約125 μg/kg、約150 μg/kg、約175 μg/kg、約200 μg/kg、約225 μg/kg、約250 μg/kg、約275 μg/kg、約300 μg/kg、約325 μg/kg、約350 μg/kg、約375 μg/kg、約400 μg/kg、約425 μg/kg、約450 μg/kg、約475 μg/kg、約500 μg/kg、約525 μg/kg、約550 μg/kg、約575 μg/kg、約600 μg/kg、約625 μg/kg、約650 μg/kg、約675 μg/kg、約700 μg/kg、約725 μg/kg、約750 μg/kg、約775 μg/kg、約800 μg/kg、約825 μg/kg、約850 μg/kg、約875 μg/kg、約900 μg/kg、約925 μg/kg、約950 μg/kg、約975 μg/kgまたは約1 mg/体重 1kgの量で、プロゲステロン・アンタゴニストを被験者に提供するために被験者に投与され得る。
【0107】
本発明の組成物は、約25〜約90重量%の、さらに通常では約5重量%〜60重量%の活性成分を、担体と組合せて含有し得る。
【0108】
活性成分の性質ならびに所望の特定投与形態に適切である場合、固体担体としては、デンプン、ラクトース、リン酸二カルシウム、微晶質セルロース、スクロースおよびカオリンが挙げられ、一方、液体担体としては、滅菌水、ポリエチレングリコール、非イオン性界面活性剤および食用油、例えばコーン油、落花生油およびゴマ油が挙げられ得る。風味剤、着色剤、防腐剤、ならびに酸化防止剤、例えばビタミンEおよびアスコルビン酸が、同様に調製物中に含まれ得る。貯蔵および使用の通常条件下では、調製物は、微生物の増殖を防止するために防腐剤を含有し得る。
【0109】
本発明の組成物は、関連当業者に周知の技法を用いることにより、錠剤成形機で錠剤に処方され得る。任意に、本発明による活性成分はさらにまた、別々に、二層錠剤に圧縮され得る。本発明によれば、錠剤は、活性成分の1つとして、抗エストロゲン、エストロゲンまたはSERMを含み得る。本発明の組成物は、油性溶液としても処方され得る。
【0110】
本発明の組成物を用いた処置を受けている患者は、かれらの血清エストロゲンおよび糖質コルチコイドレベルに関してルーチンにモニタリングされるべきである。
【0111】
以下の非限定的実施例は、本発明の教示を理解するのを手助けするために提供される。
【0112】
本明細書中で参照される特許、特許出願および出版物はすべて、法律下で許される最大程度に、参照により本明細書中で援用される。
【実施例】
【0113】
実施例1:本発明の処方物は錠剤として調製され得る
本発明を実行するための錠剤を生成するために、以下の成分を錠剤成形機で一緒に圧縮し得る:
50.0 mgのCDB-4124
140.5 mgのラクトース
69.5 mgのコーンスターチ
2.5 mgのポリ-N-ビニルピロリドン
2.0 mgのアエロジル
0.5 mgのステアリン酸マグネシウム
【0114】
本発明を実行するための二層錠剤を生成するために、以下の成分を錠剤成形機で一緒に圧縮し得る:
20.0 mgのタモキシフェン
50.0 mgのCDB-4124
105.0 mgのラクトース
40.0 mgのコーンスターチ
2.5 mgのポリ-N-ビニルピロリドン25
2.0 mgのアエロジル
0.5 mgのステアリン酸マグネシウム
【0115】
本発明を実行するための抗エストロゲンを含有する錠剤を生成するために、例えば以下の成分を錠剤成形機で一緒に圧縮し得る:
10.0 mgのラロキシフェン
50.0 mgのCDB-4124
125.0 mgのラクトース
50.0 mgのコーンスターチ
2.5 mgのポリ-N-ビニルピロリドン25
2.0 mgのアエロジル
0.5 mgのステアリン酸マグネシウム
【0116】
本発明を実行するための油性調製物を生成するために、例えば以下の成分を一緒に混合して、アンプル中に詰め得る:
100.0 mgのCDB-4124
343.4 mgのヒマシ油
698.6 mgの安息香酸ベンジル
【0117】
実施例2:本発明の化合物は弱い抗糖質コルチコイド受容体結合活性のみを有し得る
ある種の抗プロゲスチンを、ウサギプロゲステロン受容体(rbPR)および糖質コルチコイド受容体(rbGR)を結合するそれらの能力に関して、受容体結合検定で試験した。要するに、エストラジオール感作未成熟ウサギの、それぞれ子宮または胸腺から、PRまたはGRを含有するサイトゾルを、TEGMD緩衝液(10 mMトリス、pH7.2、1.5 mMEDTA、0.2 mMモリブデン酸ナトリウム、10%グリセロール、1 mMDTT)中に調製した。PR結合に関しては、サイトゾルを、6 nMの1,2-[3H]プロゲステロン(50.0 Ci/mmol)とともにインキュベートして、競合物質を2〜100 nMの濃度で付加した。GRとの結合に関しては、サイトゾルを6 nMの6,7-[3H]-デキサメタソン(40 Ci/mmol)とともにインキュベートして、試験化合物を20〜100 nMの濃度で付加した。4℃で一晩インキュベーション後、デキストラン被覆活性炭の付加ならびに4℃で15分間の2100×gでの遠心分離により、結合および非結合[3H]ステロイドを分離した。[3H]-ステロイド受容体複合体を含有する上清を、4 mlのOptifluor(Packard Instrument Co.)を含有するバイアル中にデカントし、掻き回して、液体シンチレーション計数器中で30分間平衡させて、次に2分間計数した。計数データを4つのパラメーターS字形コンピュータープログラム(RiaSmart(登録商標) Immunoassay Data Reduction Program, Packard Instrument Co., Meriden, Conn.)に入れることにより、各標準曲線および各化合物曲線に関するEC50(有効濃度)を確定した。以下の方程式を用いて、各化合物に関する相対結合親和性(RBA)を算定した:標準のEC50/試験化合物のEC50×100。PRおよびGR検定に関する標準は、それぞれ非標識化プロゲステロンおよびデキサメタソンであった。これらの実験の結果を、rbPRおよびrbGR受容体に関する各化合物の相対結合親和性の比(rbPR/rbGR)として、表1に要約する。この示差は、2つの受容体ならびに必要な転写補因子を保有する細胞または組織中の化合物の相対活性を反映する。
【0118】
抗McGintyおよび抗Clauberg検定によるウサギ子宮における同一化合物の相対的生物学的活性も、表1に示す。化合物CDB-2914(表の末尾に記載)をこれらの実験のための対照または参照化合物(ウサギ生物学的活性=1.00)として用いたが、これは、CDB-2914を用いる実験の結果が以前に発表されている(Hild-Petito et al., 1996;Passaro et al., 1997;Reel et al., 1998;Larner et al., 2000)ためであった。抗McGinty試験に関しては、未成熟ウサギに、6連続日の間毎日、10%エタノール/ゴマ油中のエストラジオール5 μgを皮下注射により投与した。7日目に、動物に滅菌腹部手術を施して、両方の子宮角の3〜4 cmセグメントを結紮した。適切な溶媒中の試験化合物を一方の子宮角の結紮セグメント中に、そしてビヒクル単独を他方に、腔内注入した。刺激用量のプロゲステロン(267 μg/日)を、次の3日間毎日各ウサギに皮下投与して、子宮内膜増殖を誘導した。子宮の除去のために10日目に全動物を屠殺したが、この場合、結紮に重要なセグメントを除去し、10%中性緩衝ホルマリン中に固定し、組織学的処理に付した。ヘマトキシリンおよびエオシンで染色した5μ切片を、子宮内膜腺増殖の程度に関して顕微鏡的に評価した。各ウサギに関する子宮内膜増殖の阻害%を算定し、5羽の動物の群の平均を記録した。抗Clauberg試験に関しては、未成熟ウサギに、6連続日の間毎日、10%エタノール/ゴマ油中のエストラジオール5 μgを皮下注射により投与した。7日目に、皮下注射によるプロゲステロン(160 μg/日)を、ならびに適切なビヒクル中の実験化合物を経口的または皮下的に、5連続日の間投与した。ウサギのうちの一群には、プロゲステロンのみを投与した。最終用量投与の24時間後、全動物を屠殺して子宮を取り出し、これから脂肪および結合組織をすべて除いて清浄にして、計量するとほぼ0.2 mgであって、これをその後の組織学的処理のために10%中性緩衝ホルマリン中に入れた。ヘマトキシリンおよびエオシンで染色した5μ切片を、子宮内膜腺増殖の程度に関して顕微鏡的に評価した。試験化合物の各用量レベルでの子宮内膜増殖の阻害%を、プロゲステロン刺激動物単独と比較することにより得た。表1に示したデータ(ウサギ生物学的活性)は、CDB-2914と比較した場合の抗McGintyおよび抗Clauberg検定による各化合物に関して得られた結果の平均を反映する。
【0119】
表1に列挙したように、ウサギGRを上回るウサギPRに関する各化合物の選択性に基づいて、試験した抗プロゲスチンを等級付けした。抗プロゲスチンはさらにまた、ウサギ子宮における生物学的活性に基づいて等級付けした。表1に提示したデータは、プロゲステロン受容体に関する主要化合物の親和性が糖質コルチコイド受容体に関するそれらの親和性より少なくとも1.5倍大きかった、ということを示す。
【0120】
これらの試験の結果は、2つの主要化合物CDB-4124およびCDB-4059は、RU486およびCDB-2914との比較に際して、ウサギ子宮における強い抗プロゲスチン活性を有する、ということも示す。両化合物は、エストロゲン、アンドロゲン、抗エストロゲンおよび抗アンドロゲン活性を欠く。両化合物は、糖質コルチコイド受容体結合において中等度に活性であるRU486およびCDB-2914からそれらを区別する特徴である最小抗糖質コルチコイド受容体活性を保有する。これらの検定では、CDB-4124は、CDB-4059よりわずかに良好に成し遂げる。
【0121】
【表1】

【0122】
実施例3:コルチゾール測定
いくつかの異なる実験系は、RU-486が、ヒトおよび霊長類において強い抗糖質コルチコイド特性を有するため、コルチゾールを増大する、という結論を支持する。
【0123】
しかしながら、図1に示すように、10 mg/kgでのRU486で処置したラットは、コルチゾールレベルにおける有意差を示さなかった。逆に、同一用量レベルでのCDB-4124またはCDB-4059で処置したラットは、対照群からのラットよりも有意に高いレベルの血清コルチゾールを有した。
【0124】
これらの高いレベルは、3〜4 ug/dl(30〜40 ng/ml)の範囲であった。作用は用量依存性であって、この場合、CDB-4124の用量増大はコルチゾールを増大させた(図2)。
【0125】
コルチゾールレベルに及ぼすRU486対CDB-4124またはCDB-4059の作用におけるこの差は、慢性用量投与の21日後に、ラット肝臓が、2つのCDB化合物の場合より良好にRU486を代謝し得たと推定することにより、説明され得る。
【0126】
実施例4:コルチコステロン測定
コルチコステロンは、ラットにおける最も豊富な糖質コルチコイドである。図1および2に示したコルチゾールに及ぼすSPRMの作用は、コルチコステロンに及ぼす強い作用に派生し得る。この減少をより良好に探求するために、コルチコステロンのレベルを群で測定し、これは、20 mg/kgまたは10 mg/kgでのCDB-4124で処置した群のように、コルチゾールレベルの最強変化を示した。比較のために、以下の群も検定した:20 mg/kgのCDB-4124+10 mg/kgのプロゲステロンを摂取した群、10 mg/kgのCDB-4124+10 mg/kgのプロゲステロンを摂取した群、10 mg/kgのRU486を摂取した群、10 mg/kgのプロゲステロン単独を摂取した群、対照群。コルチコステロンのレベルは、コルチゾールのレベルより10〜40倍高かった。しかしながら平均コルチコステロンレベルに関する群間の差異はほとんど全く観察されなかった。処置前(p=0.43、Kruskal-Wallis検定)、処置の21日後(p=0.57、Kruskal-Wallis検定)、または処置の28日後および屠殺時(p=0.061、Kruskal-Wallis検定)の群の間の差異は、認められなかった。
【0127】
血清コルチコステロンに及ぼす外因性プロゲステロンの作用を測定するために、それらが外因性プロゲステロンを摂取したか否かにおいて異なる3つの対群で、コルチコステロンのレベルを比較した(例えば対照対プロゲステロン、または20 mg/kgでのCDB-4124対20 mg/kgのCDB-4124+プロゲステロン、または10 mg/kgでのCDB-4124対10 mg/kgのCDB-4124+プロゲステロンの比較)。検出された差異は統計学的に有意であった:コルチコステロンのレベルは、処置の21日後にプロゲステロンで処置した動物で下げられた(p=0.029、Mann-Whitney Wilcoxon検定、両側検定)。この作用は、屠殺時に採取された血清においては実証されなかった。血清コルチコステロンにおける差は、プロゲステロンおよびCDB-4124群間、プロゲステロンおよびRU-486群間、またはRU-486群およびCDB-4124群間には見出されなかった。
【0128】
各群における血清コルチゾールおよび血清コルチコステロン間の関係も、検査した。20 mg/kgでのCDB-4124(r2= 0.78)に関して、10 mg/kgでのCDB-4124(r2= 0.82)に関して、そしてRU486(r2= 0.85)に関して、2つの間に強い正の線状相関が認められた。最初の2つのCDB-4124群へのプロゲステロンの付加は、その関係をはるかに低強度にした(それぞれ群10に関してはr2= 0.34および群11に関してはr2= 0.37)。プロゲステロンそれ自体は、このような正の感系を示さなかった(r2= -1.0)。対照群は、2つの糖質コルチコイド間の関係を実証しなかった(r2= 0.064)。したがってCDB-4124を摂取している群におけるコルチゾールのレベル増大は、おそらくはともかくも増強されるコルチコステロンから転化のため、コルチコステロンのレベルと相関する。これは、上記で観察されたCDB-4124の作用と一致する:プロゲステロンおよびコルチゾールのレベルの原因である代謝酵素に及ぼす作用。
【0129】
ラットの主要糖質コルチコイドに及ぼすCDB-4124の強い作用は見出されなかったが、それにもかかわらず、安全性の理由のために、第I相臨床試験においてCDB-4124またはCDB-4059を投与された患者は、考え得る抗糖質コルチコイド作用、例えば血清コルチゾール、コルチコステロンまたはACTHにおいて考え得る増大に関してモニタリングされるべきである。
【0130】
実施例5:子宮細胞におけるSPRMの抗増殖作用の試験
任意の子宮細胞株が用いられ得る。96ウエル微小滴定プレート中で、増殖を測定する。5×103細胞を、各ウエルに付加する。培地および薬剤溶液を、Perkin Elmer Cetus PRO/PETTEを有するウエルに付加する。培地は、5%ウシ胎仔血清を補足したIMEMである。0.078 uM〜10 uMの8つの薬剤濃度を、二重反復実験で試験する。試料はタモキシフェン単独、ならびにタモキシフェンと組合せた本明細書中に開示される化合物の各々を包含する。
【0131】
4日インキュベーション後、培地を、薬剤を含有する新たな培地と取り替えて、そして合計7日後、細胞単一層をトリクロル酢酸で固定し、スルホローダミン染料で染色する。抽出染料溶液の吸光度(492 nm)を、Titertek Multiscanプレート読取器で測定する。50%増殖を抑制した薬剤濃度(マイクロモル)として定義されるIC50値を概算するために、用量応答曲線(対照吸光度の%対薬剤濃度)を構築する。IC50値は細胞増殖を抑制するに際して試験薬剤の効能と相関し、したがって、子宮細胞の過増殖を防止するのに適した化合物を同定するために必要とされる情報を提供する。
【0132】
実施例6:CDB-4124はカニクイザルにおける黄体期プロゲステロンを低下する
カニクイザル(Macaca fascicularis)(n = 14)を、1.0 mg/kg/日でのCDB-4124またはRU-486で、またはプラセボ(対照)で、36週間経口処置した。別の群(n = 14)は、ルプロン(登録商標)IMを月1回摂取した。試験の中期の間の1ヶ月間(第14〜17週)、そして試験の最終月の間(第33〜36週)、各動物に関して、尿中プロゲステロン・レベルを測定した。結果を以下に示す:
【0133】
【表2】

【0134】
実施例7:CDB-4124はカニクイザルにおける濾胞期エストロゲンを低下しない
試験の中期の間の1ヶ月間(第14〜17週)、そして試験の最終月の間(第33〜36週)、実施例6の各動物に関して、尿中エストロゲン・レベルを測定した。濾胞期結果は、35ベースライン排卵周期を基礎とする。結果を以下に示す:
【0135】
【表3】

【0136】
実施例8:CDB-4124およびルプロン(登録商標)はカニクイザル子宮内膜上皮における増殖を抑制するが、RU486は抑制しない
36週目に、増殖中細胞およびそれらの子孫のマーカーであるチミジン類似体ブロモでオキシウリジン(BrdU)を用いて、実施例6の各群からの3羽の動物に屠殺の24時間以内に注射して、組織増殖を査定した。全厚子宮切片を染色し、BrdUの取込みに関して陽性の細胞%に換算して増殖の証拠のために顕微鏡的に検査した。
【0137】
【表4】

【0138】
実施例9:CDB-4124およびRU486はカニクイザル子宮内膜上皮におけるアポトーシスを増強するが、ルプロン(登録商標)は抑制しない
末端デオキシヌクレオチジル・トランスフェラーゼ媒介性dUTP-ビオチン・ニック末端標識(TUNEL)技法により、スライド上の同一動物からの組織で、アポトーシスを査定した。アポトーシス細胞%を以下に示す:
【0139】
【表5】

【0140】
実施例10:CDB-4124は用量依存的やり方でヒト子宮内膜上皮における増殖を抑制する
子宮内膜症と診断された37名の閉経前成人女性は、子宮内膜症の処置におけるプロエレクスProellexTM(CDB-4124)の6ヶ月試験の被験者であった。試験は、3つの用量レベルのCDB-4124、ならびに陽性対照アームを包含した。陽性対照は、子宮内膜症の処置のために一般に用いられるGnRHアゴニストであるルクリン(登録商標)(ルプロン(登録商標)としても既知である)であった。12.5 mg/日(n=2)、25 mg/日(n=3)および50 mg/日(n=3)の投与量で、1日経口カプセルとして、二重盲検様式でCDB-4124を投与した。別の群(n=4)には、陽性対照として、月1回、ルクリン(登録商標)の緩徐放出処方物を注射した。
【0141】
CDB-4124の全用量、ならびにルクリン(登録商標)用量は、薬剤への6ヶ月曝露の経過中に疼痛に関連した窮迫を平均して低減し、50 mgのCDB-4124用量は12.5 mgまたは25 mg用量より有効に疼痛の持続期間および強度をともに低減し、そして試験経過中の疼痛の日数の低減に際してルクリン(登録商標)より有意に良好(p=0.0012)である。疼痛低減はさらにまた、活性対照ルクリンを用いた場合より迅速に起きた。この試験における処置に対する疼痛の応答を、2つの方法で分析した。試験における患者は毎日疼痛日誌を継続して、疼痛の重症度および頻度を記録した。さらに、各来診時に、0〜10のスケール(10が最大強度である)で、良くない日における疼痛の強さを評価するアンケートを含めた子宮内膜症症候調査を患者は書き入れた。1日疼痛日誌は、平均で、ルクリン(登録商標)投与女性は、最初の3ヶ月の間、19.4日の疼痛を経験したことを示した。50 mgのCDB-4124投与女性は、同一期間の間、1日未満の疼痛を示した。25 mgおよび12.5 mgのCDB-4124投与女性は、最高用量のCDB-4124またはルクリン(登録商標)を摂取している女性によって記録されたものより多い日数の疼痛を示した。疼痛低減に及ぼす用量依存性作用が存在すると思われる。180日の処置期間に亘って、疼痛日誌は、50 mgのCDB-4124投与女性が170または96%無疼痛日(標準偏差=8.86日)を有することを示した。疼痛持続期間におけるこの低減は、ルクリン(登録商標)により達成された117.8(74%:標準偏差51.4日)無疼痛日より統計学的に良好であった(p=0.0012)。50 mg用量のCDB-4124はさらにまた、無疼痛日に関して25 mgおよび12.5 mg用量の両方よりも統計学的に優れていた。12.5 mgおよび25 mg用量のCDB-4124投与患者は、それぞれ115.9(66%;標準偏差69.2日)および133.6(75%;標準偏差27.4日)無疼痛日を有した。これらの結果は、CDB-4124に関する用量応答を明らかに支持する。25 mgおよび12.5 mg用量のCDB-4124は、ルクリン(登録商標)とは統計学的に異ならなかった。療法の最初の月の終わりに、ベースラインと比較して50 mgプロエレクス群における疼痛日数に統計学的有意の低減が認められた(p=0.031)が、しかし3つの他の処置群においては認められなかった。「1〜10のスケールで、0は無疼痛であり、そして10は極度の疼痛ですが、具合の良くない日のあなたの疼痛はどの強さですか」という質問によって、疼痛の強度を査定した。ベースラインでの疼痛の強さに関する平均スコアは、CDB-4124群に関しては6.3、ルクリン(登録商標)群に関しては6.1であった。疼痛からの統計学的に有意の軽減は、25 mgおよび50 mgプロエレクス群における最初の月により明白であった。3ヶ月目に、4つの活性処置群すべてが、ベースラインと比較して疼痛における統計学的に有意の減少を有し、以下のスコアを示した:12.5 mgのCDB-4124に関しては3.7(p=0.03)、25 mgのCDB-4124に関しては3.2(p=0.03)、50 mgのCDB-4124に関しては1.6(p=0.015)、およびルクリン(登録商標)に関しては1.5(p=0.016)。これらの用量関連減少は、疼痛強度に関する値がそれぞれ2.0(p=0.008)、2.8(p=0.023)、0.6(p=0.004)および0.7(p=0.0016)であった4ヶ月目まで継続した。処置を中止して2ヵ月後に、疼痛は戻り、そして4つの処置群すべてにおいて同様の強度を有した。
【0142】
当該試験においてルクリン(登録商標)を摂取中の女性は、3ヶ月目までに閉経後レベル(<20 pg/ml)へのエストロゲンの減少を経験し、そしてこれは処置6ヶ月目を通して維持された。この結果は、3ヶ月目のベースライン値と比較した場合の骨吸収の生体マーカーにおける統計学的に有意の増大(p=0.023)と、したがって骨損失の危険性増大と関連した。6ヶ月目ならびに1ヶ月追跡調査来診時に、骨吸収のマーカーのこの増大は、ルクリン(登録商標)で処置された女性においては依然として存在した。全用量のCDB-4124がルクリン(登録商標)で観察されたものを有意に上回るエストロゲン濃度を維持し、そして低正常範囲(平均>40 pg/ml)のままであった。処置の3および6ヶ月でのCDB-4124の用量アームの何れにおいても骨吸収の生体マーカーの有意の変化は認められなかった、ということは重要である。閉経後レベルのエストロゲンを有する女性は、骨損失およびその他の医学的症状に関してより大きな危険に直面することが示されている。したがってルクリン(登録商標)は、6ヶ月より長く継続する処置に関しては指示されない。
【0143】
CDB-4124の副作用は一般的に軽度であって、個々の器官系は全身的に関連されなかった。これは小さな試験で、安全性データからは明確な結論は出され得ないが、しかし観察された安全性のシグナルは唯一つも認められなかった。
【0144】
試験における女性を、子宮内膜の構造の変化に関して綿密にモニタリングした。これらの検査からのデータは、3ヶ月期間での子宮内膜厚に及ぼすCDB-4124の逆用量依存性作用を示唆する。子宮内膜厚の超音波測定値に関して、ベースラインおよび来診時をともに比較した。処置での3ヵ月後、50 mg用量のCDB-4124(n=3)を摂取中の女性で、子宮内膜肥厚を示し、そしてベースラインと比較して子宮内膜厚の低減傾向を実際に示した者はいなかった。25 mg用量のCDB-4124を摂取中の女性(n=4)のうち1名ならびに12.5 mg用量のCDB-4124を摂取中の女性(n=4)のうち2名は、子宮内膜肥厚を示した。ルクリン(登録商標)を摂取した女性5名は、低エストロゲン状態のため、子宮内膜の肥厚化を有さなかった。結果を以下に示す:
【0145】
【表6】

【0146】
12.5 mgおよび25 mgのCDB-4124群における過剰子宮内膜肥厚化を有する患者で非月経性しみおよび出血が観察された2症例において、出血を止めるために頚管拡張子宮内膜掻爬(D&C)手法を実施した。処置期中、50 mg用量で同様の事象は観察されなかった。処置中止後の50 mgCDB-4124群の患者2名で正常より大きな出血が生じたので、1名においてD&Cを実施したが、他の1名は首尾よく保存的に対応できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
子宮内膜増殖の抑制方法であって、それを必要とする女性に、プロゲステロン・アンタゴニストを含む有効量の組成物を投与することを包含する方法。
【請求項2】
それを必要とする女性が子宮内膜症を有する女性である請求項1記載の方法。
【請求項3】
ホルモン置換レジメンの一部としてエストロゲンまたは選択的エストロゲン受容体モジュレーターと同時に、別々にまたは逐次的に組成物が投与される請求項1記載の方法。
【請求項4】
プロゲステロン受容体に関する前記プロゲステロン・アンタゴニストの結合親和性が糖質コルチコイド受容体に関する前記プロゲステロン・アンタゴニストの結合親和性より少なくとも1.5倍大きい請求項1記載の方法。
【請求項5】
女性におけるプロゲステロン・レベルが前記組成物の投与時に実質的に増大されない請求項1記載の方法。
【請求項6】
女性におけるエストロゲン・レベルが前記組成物の投与時に実質的に低減されない請求項1記載の方法。
【請求項7】
プロゲステロン・アンタゴニストが、式(I):
【化1】

(式中、Xは、アルキル、アルケニル、アルキニル、水素、ハロ、モノアルキルアミノまたはジアルキルアミノを表し;
1は、O、NOHまたはNO-メチルを表し;
2は、水素またはアセチルを表し;そして
3は、メチルオキシ、ホルミルオキシ、アセトキシ、アシルオキシ、S-アルコキシ、アセチルテオニル、グリシメート、ビニルエーテル、アセチルオキシメチル、メチルカルボネート、ハロゲン、メチル、ヒドロキシまたはエチルオキシを表す)
の化合物、あるいはその製薬上許容可能な塩、水和物または溶媒和物である請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記化合物がCDB-4124である請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記化合物が0.5 mg/kg〜500 mg/kgの投与量で投与される請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記化合物が50 mg/日の投与量で投与される請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記化合物が少なくとも約1〜約6ヶ月間投与される請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記化合物が約4ヶ月間投与される請求項11記載の方法。
【請求項13】
子宮内膜症に関連した疼痛の処置方法であって、それを必要とする女性に、プロゲステロン・アンタゴニストを含む有効量の組成物を投与することを包含する方法。
【請求項14】
プロゲステロン・アンタゴニストが、式(I):
【化2】

(式中、Xは、アルキル、アルケニル、アルキニル、水素、ハロ、モノアルキルアミノまたはジアルキルアミノを表し;
1は、O、NOHまたはNO-メチルを表し;
2は、水素またはアセチルを表し;そして
3は、メチルオキシ、ホルミルオキシ、アセトキシ、アシルオキシ、S-アルコキシ、アセチルテオニル、グリシメート、ビニルエーテル、アセチルオキシメチル、メチルカルボネート、ハロゲン、メチル、ヒドロキシまたはエチルオキシを表す)
の化合物、あるいはその製薬上許容可能な塩、水和物または溶媒和物である請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記化合物がCDB-4124である請求項14記載の方法。
【請求項16】
女性における子宮内膜病変のサイズが低減される請求項13記載の方法。
【請求項17】
女性におけるプロゲステロン・レベルが前記組成物の投与時に実質的に増大されない請求項13記載の方法。
【請求項18】
女性におけるエストロゲン・レベルが前記組成物の投与時に実質的に低減されない請求項13記載の方法。
【請求項19】
プロゲステロン受容体に関する前記プロゲステロン・アンタゴニストの結合親和性が糖質コルチコイド受容体に関する前記プロゲステロン・アンタゴニストの結合親和性より少なくとも1.5倍大きい請求項13記載の方法。
【請求項20】
前記化合物が0.5 mg/kg〜500 mg/kgの投与量で投与される請求項13記載の方法。
【請求項21】
前記化合物が50 mg/日の投与量で投与される請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記化合物が少なくとも約1〜約6ヶ月間投与される請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記化合物が約4ヶ月間投与される請求項22記載の方法。
【請求項24】
ホルモン療法を受けている女性におけるエストロゲン依存性症状の処置方法であって、それを必要とする女性にプロゲステロン・アンタゴニストを投与することを包含する方法。
【請求項25】
症状が子宮内膜過形成または子宮内膜癌である請求項24記載の方法。
【請求項26】
プロゲステロン・アンタゴニストが、式(I):
【化3】

(式中、Xは、アルキル、アルケニル、アルキニル、水素、ハロ、モノアルキルアミノまたはジアルキルアミノを表し;
1は、O、NOHまたはNO-メチルを表し;
2は、水素またはアセチルを表し;そして
3は、メチルオキシ、ホルミルオキシ、アセトキシ、アシルオキシ、S-アルコキシ、アセチルテオニル、グリシメート、ビニルエーテル、アセチルオキシメチル、メチルカルボネート、ハロゲン、メチル、ヒドロキシまたはエチルオキシを表す)
の化合物、あるいはその製薬上許容可能な塩、水和物または溶媒和物である請求項24記載の方法。
【請求項27】
前記化合物がCDB-4124である請求項26記載の方法。
【請求項28】
ホルモン療法がエストロゲンの投与からなるホルモン置換療法である請求項26記載の方法。
【請求項29】
ホルモン療法が選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)の投与を包含する請求項26記載の方法。
【請求項30】
以下の:乳癌、骨粗鬆症、結腸癌、神経変性疾患、例えばパーキンソン病およびアルツハイマー病、心臓血管性疾患、膣萎縮症および肥満症から成る群から選択される疾患を治療するためにSERMが投与される請求項29記載の方法。
【請求項31】
プロゲステロン受容体に関する前記化合物の結合親和性が糖質コルチコイド受容体に関する前記選択的プロゲステロン受容体モジュレーターの結合親和性より少なくとも1.5倍大きい請求項26記載の方法。
【請求項32】
女性におけるプロゲステロン・レベルが前記組成物の投与時に実質的に増大されない請求項26記載の方法。
【請求項33】
前記化合物が0.5 mg/kg〜500 mg/kgの投与量で投与される請求項26記載の方法。
【請求項34】
前記化合物が50 mg/日の投与量で投与される請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記化合物が少なくとも1ヶ月間投与される請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記化合物が少なくとも6ヶ月間投与される請求項34記載の方法。
【請求項37】
前記化合物が少なくとも1年間投与される請求項34記載の方法。
【請求項38】
前記組成物が間欠的に前記女性に投与され、そして前記女性が少なくとも1回の中断期間の間に月経を経験する請求項1、13または24のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
投与期間が約4ヶ月である請求項38記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2010−507685(P2010−507685A)
【公表日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−534845(P2009−534845)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【国際出願番号】PCT/US2007/082432
【国際公開番号】WO2008/067086
【国際公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(509115199)レプロス セラピューティクス インコーポレイティド (6)
【Fターム(参考)】