説明

安全柵

【課題】設置しやすく、かつ、視認性及び安全性の高い安全柵の提供。
【解決手段】プラスチックで形成され、下端が閉塞され上端が開放された鉛直方向に延びる溝状の受容部4が対称な位置に一対設けられ、地面に対してアンカーボルト20で固定されて配設される複数の支持ポスト2と、プラスチックで形成され、受容部4の幅よりも薄く略同一の厚みに形成された板状を呈し、上下に端面同士を合わせる向きで積層され上面及び底面に形成された突部と凹部とが嵌合している第一パネル31、第二パネル32、及び第三パネル33で構成され、支持ポスト2の受容部4に側端部を挿入して配設され、支持ポスト2によって支持されて立設され、視線を遮蔽する複数の仕切りパネル3とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通行を規制し安全を守る安全柵に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、交通の交錯しがちな箇所での危険な車線変更や転回を規制し、交通を誘導するための車線分離標が使用されている。例えば、特許文献1に開示の技術のように、車線上など通行規制する箇所に設置され、自動車の通行を誘導する棒状の部材を備えたものが一般に利用されている。車線分離標は、車線分離の表示機能を果たす一方で、柔軟な素材で形成されており、車両が接触した場合にも重大な損傷を与える虞が小さいことも特徴とする。
【0003】
また、コンクリート成形品やフェンス等によって構成された防護柵も使用されている。防護柵は車線分離標と同様に設置された区間における通行規制を示すものであるが、車線分離標とは異なり自動車等の通過が不可能な物理的障壁をなす。
【0004】
【特許文献1】特許第3290310号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の車線分離標は、棒状の部材が路面に立設されていたため、車線分離標同士の間には空間が開いており、車線分離標による通行規制が見落とされやすかった。車線分離標には目立つ色彩や表示が施されて視認性が高められていたが、実際には運転者の見落しによって車両が車線分離標に接触する事故がしばしば発生している。車線分離標は、プラスチック等の柔軟な素材で形成されているので、接触した車両の破損を抑制することができるものの、折損した部材が車輪周辺に巻き込まれたときには操縦を不安定にする虞があった。これは特に二輪車にとっては危険が伴うものであった。また、車線分離標を見落として車線を越えてしまうと、予期せぬ重大な事故の原因となる虞があった。
【0006】
一方、中央分離帯等に設置される防護柵は、障壁としての効果は大きく視認性も高いが、車両が接触した場合には車両の損傷が大きくなりがちであり、合流箇所や分流箇所、交差点付近などにおいては事故時の危険性を高める虞があった。また、設置工事に比較的長い時間と多額の費用とを要するため、容易に設置できないという問題もあった。
【0007】
そこで、本発明は、上記の実状に鑑み、設置しやすく、かつ、安全性の高い安全柵の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の安全柵は、「プラスチックで形成され、略鉛直方向に延び上端側が開放された溝状を呈する受容部を側面に備え、前記受容部を対向させて地面に立設される一対の支持部材と、
プラスチックで形成された板状を呈し、左右の側端部が一対の前記受容部に夫々挿入され、前記一対の支持部材の間を遮蔽する仕切り部材と
を具備する」ことを特徴とするものである。
【0009】
ここで、「遮蔽」とは、全面的に視認性を喪失させる場合のみではなく、部分的に遮蔽する場合も含めて所定の範囲の視認性を大幅に低下させることを言う。例えば穿孔が設けられた板状の部材や、濃色の施された窓が備えられた部材等であれば透過して視認することは不可能ではないが、そこに部材が存在していることが認識されるものであり、ここで言う「遮蔽」に含まれる。
【0010】
本発明によれば、仕切り部材は板状を呈しており、一対の支持部材の受容部に支持されて立設されているので通行者に対する視認性が高い。仕切り部材は支持部材の間を遮蔽するため、見落とされにくく、通行規制の状況が従来の安全柵よりも明確に認識されることで不注意による接触などの事故の発生を抑制することができる。また、仕切り部材は支持部材の間を遮蔽するため、通過不能であると通行者に認識させて通行者の進行を誘導し、通行を円滑化する心理的な影響を及ぼすことができる。
【0011】
また、本発明によれば、安全柵は、支持部材と仕切り部材とが別々のプラスチック製部品によって構成され、現場組立が可能であり、従来のガードレール等を用いた防護柵よりも設置および撤去が容易である。また、受容部は鉛直方向に延びる溝状を呈し、受容部の上方が開放されているので、仕切り部材を上方から出し入れして迅速に仕切り部材を着脱することも可能であり、安全柵を容易に構成することができる。
【0012】
また、本発明によれば、プラスチックで形成されているため、車両等の衝突時には車両よりも安全柵の部材の方が破損しやすく、車両の損傷が甚大になる虞を抑制することができる。一方、低速での擦過や当接等の軽微な接触の場合には、安全柵もまた金属製の場合よりも破損しにくい。また、本発明の安全柵は、道路や工事現場等で利用されるものであり、粉砕した廃プラスチックを用いるマテリアルリサイクルによって得られたリサイクル原料であっても素材の質感等の要求水準を満たすことができるので、リサイクル原料の活用に適している。
【0013】
このように、本発明の安全柵は、中央分離帯や、道路工事等の仮設的な通行規制箇所での利用に好適な視認性と安全性とをもたらすことができる。
【0014】
また、本発明の安全柵は、「プラスチックで形成され、略鉛直方向に延び上端側が開放された溝状を呈する受容部を側面に複数備えており、地面に立設される複数の支持部材と、
プラスチックで形成され前記受容部よりも厚みの薄い板状を呈し第一突起部または第一凹部を底面に備えた上側板状部材、
及びプラスチックで形成され前記上側板状部材と略同一の厚みの板状を呈し前記第一凹部と嵌合する形状の第二突起部、または前記第一突起部と嵌合する形状の第二凹部、が上面に設けられ、前記上側板状部材の下側に配設される下側板状部材、
を含む複数の板状部材からなり、前記上側板状部材と前記下側板状部材とが端面合わせで上下に積層されて構成された仕切り部材と
を具備し、
所定の間隔を設けて前記受容部を対向させて順に配設された前記複数の支持部材の夫々の間に、前記支持部材の間を遮蔽する前記仕切り部材が、前記受容部に左右の側端部を夫々挿入され、底面と地面との間に隙間を設けて所定の高さで配設されている」構成とすることもできる。
【0015】
本構成によれば、支持部材は複数備えられており、夫々の受容部が対向する位置関係で順に配設されている。そして、支持部材の間に仕切り部材が夫々立設されているので、連続的に構成された長い区間にわたる安全柵を構成することができる。
【0016】
また、本構成によれば、受容部の幅は仕切り部材の厚みよりも大きいため、受容部の内面と仕切り部材の板面との間には隙間が生じる。これにより、仕切り部材と受容部との間に遊びができ、仕切り部材と受容部との相対的な配設方向の自由度を高めることができる。受容部に対する仕切り部材の向きを変えることができるため、道路の湾曲部にあたる箇所などにおいて、中央分離帯上や車線上に安全柵を少しずつ屈曲させて向きを変えながら連続的に設置することができる。
【0017】
さらに、本構成によれば、複数の板状部材が側端部を鉛直方向に延びる溝状の受容部に挿入した状態で上下に積層されて仕切り部材が構成されている。これにより、小さな板状部材を受容部に順に挿入して積層することで、夫々の板状部材よりも視認性の高い大きな板状を呈する仕切り部材を簡単に構成することができる。また、仕切り部材は、上側板状部材に設けられた第一突起部または第一凹部と、下側板状部材に設けられた第二突起部または第二凹部とが嵌合した状態で配設される。これにより、受容部の内面と仕切り部材の板面との間に隙間がある場合でも、組み立てた状態で板状部材の合わせ面がずれる虞を抑制することができる。
【0018】
また、仕切り部材は、地面から所定の高さの位置に配設されており、仕切り部材と地面との間に隙間があるので、地面に凹凸がある場合にも仕切り部材の底面が地面に当接しにくくなっている。これにより、安全柵を設置した場合に仕切り部材が傾いたりして設置に支障が生じる虞を低減させることができる。傾斜地に設置される場合にも地面の勾配が変化する箇所で仕切り部材が地面に当接しにくくすることができる。さらに、仕切り部材の下方に隙間があることにより、雨水を堰き止めることなく流下させることができる。
【0019】
また、本構成によれば、仕切り部材を複数の板状部材に分離可能であり、部分的に部材を交換することが可能である。部材の破損や損耗が生じた場合にも必要な部分だけを新しい部材と交換することで維持コストを抑制することができる。例えば、仕切り部材の上端部や下端部に偏って汚れや破損が生じる場合には、当該部分の板状部材のみを交換することによって修復可能である。同様に、支持部材が破損した場合にも、破損した支持部材のみを交換することができる。また、標識表示の付加された部材を用意すれば、通行規制等に対応した標識表示を行う場合にも必要な部材のみの交換によって簡単に対応することができる。また、交換作業を行う場合には、受容部の上方が開放されているので、支持部材はそのままに仕切り部材を上方から出し入れして部材の交換を行うことができる。
【0020】
また、本構成によれば、複数の板状部材を積層することによって仕切り部材を構成するので、板状部材の数を変えることで仕切り部材の高さが異なる安全柵を構成することができる。これにより、同じ部材を利用しつつ、設置状況に応じて適切な高さの安全柵を構成することが可能となる。また、仕切り部材をより小さな板状部材に分割できるので、収納時及び運搬時にかさばらないようにできる。
【発明の効果】
【0021】
このように、本発明によれば、プラスチック製の部材によって構成されており車両衝突時の安全性が高い。また、溝状の受容部に仕切り部材を挿入する構造のため、仕切り部材の設置や交換作業が容易である。さらに、仕切り部材の視認性が高いために見落としや誤認による事故発生の虞を軽減し、円滑に通行を誘導し、安全性の高い安全柵を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態である安全柵1について、図1乃至図4に基き説明する。図1は、本発明の一実施形態である安全柵1を示す斜視図であり、図2は、安全柵1の構成を示す分解斜視図であり、図3は、安全柵1のA−A断面を示す断面図であり、図4は安全柵1のB−B間における断面を示す断面図である。
【0023】
図1に示すように、安全柵1は、支持ポスト2及び仕切りパネル3を組み合わせて構成されている。1組の仕切りパネル3の側端部が一対の支持ポスト2で夫々支持され、仕切りパネル3が連続する柵状に立設されて安全柵1が構成されている。
【0024】
図2及び図4に示すように、支持ポスト2は、対向する1組の側面に仕切受容部4a,4bが設けられており、他の1組の側面にアンカー受容部50a,50bが設けられた四角錘台形、すなわち四角錘の頂部を水平に切除した台形、を呈するポスト部7がポスト基部6の上に一体的に形成された形状を呈しており、全高は約800mmである。仕切受容部4a,4bの下端面43は、いずれもポスト基部6の上端と同じ高さで、地面から約50mmの位置に形成されており、仕切受容部4a,4bの上端は開放されている。仕切受容部4aは、横断面が外側が開放された向きの略コの字形を呈し、下端面43に略垂直をなす3面によって構成されている。ポスト部7の側面は傾斜しているので、仕切受容部4aの奥行きは下から上へと次第に減少し、溝が浅くなる形状を呈する。仕切受容部4bは、ポスト部7の中心を挟んで仕切受容部4aと対称であり、仕切受容部4aと同一の形状を呈する。アンカー受容部50a,50bの下端面は、仕切受容部4a,4bと同様にポスト基部6の上端に一致して平面的に形成されており、アンカーボルト孔21が穿設されている。なお、支持ポスト2は、全体が一体的に再生プラスチックで形成されている。ここで、支持ポスト2が、本発明の支持部材に相当し、仕切りパネル3が、本発明の仕切り部材に相当し、仕切受容部4(4a,4b)が、本発明の受容部に相当する。
【0025】
仕切りパネル3は、端面同士を突き合わせて上下に積層された3枚の板状部材から構成されている。3枚の板状部材は、下から順に第一パネル31、第二パネル32、第三パネル33であり、図2に示すようにいずれも同じ厚み及び同じ幅の略長方形の板状を呈し、多数の穿孔15が設けられている。第一パネル31、第二パネル32、及び第三パネル33の厚みは、仕切受容部4の幅よりも小さく、各パネルの端部を仕切受容部4に挿入することができる。このとき、各パネルの厚みが仕切受容部4の幅よりも小さいため、各パネルの板面と仕切受容部4の内面との間には余裕があり、各パネルの向きと仕切受容部4の向きとの相対的な関係は多少自由度がある。第一パネル31は、図3の断面図に示すように、底面35は平坦で、上面には突条を呈する突起36が設けられている。第二パネル32は、底面に溝状の凹部37、上面に突条を呈する突起38が設けられており、第一パネル31の上方に配設され、凹部37が第一パネル31の突起36と嵌合する。第三パネル33は、底面に溝状の凹部39が設けられており、上面40は平坦に形成されており、第二パネル32の上方に配設され、凹部39が第二パネル32の突起38と嵌合する。なお、第一パネル31、第二パネル32、及び第三パネル33は、いずれも再生プラスチックで形成されている。本例においては、第一パネル31、第二パネル32、及び第三パネル33は、いずれも全幅960mmで、3枚を積層した状態での全高は約750mmである。ここで、第一パネル31が、本発明の下側板状部材に相当し、第二パネル32が、本発明の上側板状部材に相当し、突起36が、本発明の第二突起部に相当し、凹部37が、本発明の第一凹部に相当する。
【0026】
第一パネル31、第二パネル32、及び第三パネル33は、最下方に位置する第一パネル31から順に仕切受容部4に挿入されて第二パネル32、第三パネル33と、上に積層され、突起と凹部とが嵌合して安定する。仕切受容部4の下端面43は、ポスト基部6の上端と同じ高さに平面的に設けられており、第一パネル31の底面35と地面との間には隙間ができる。
【0027】
図3に示すように、支持ポスト2に穿設されたボルト穴45及び第三パネル33の穿孔15のひとつをボルト46が貫通し、第三パネル33は支持ポスト2に対してボルト46及びナット47によって固定されている。また、支持ポスト2は、支持ポスト2に凹設されたアンカー受容部50の底部に穿設されたアンカーボルト孔21を貫通したアンカーボルト20によって地面に固定される。
【0028】
図1に示すように、支持ポスト2の仕切受容部4に仕切りパネル3の一端部を固定し、他の支持ポスト2の仕切受容部4に仕切りパネル3の他端部を固定すると、1組の仕切りパネル3を一対の支持ポスト2によって立設することができる。また、支持ポスト2にはいずれも2箇所の仕切受容部4が設けられており、夫々の支持ポスト2の間に仕切りパネル3を配設して帯状の安全柵1を構成することができる。
【0029】
安全柵1を道路に沿って連続的に設置する場合には、道路のカーブに沿って設置する必要があるが、仕切受容部4は、先述のように仕切りパネル3の厚みよりも幅広に形成されているので、図4に示すように仕切りパネル3と仕切受容部4との相対的な方向関係を変化させ、仕切りパネル3の向きをカーブに合わせて設置することが可能である。
【0030】
また、図1及び図2に示すように、支持ポスト2の頂部には、螺子孔28に反射鏡16が螺着されている。これにより、視認性をさらに高めて注意喚起を行うことができる。
【0031】
安全柵1は、反射鏡16を除いた全高が800mmである。安全柵1の高さは、自動車の運転者から見やすい高さであり、仕切りの存在を明瞭に視認させることができる。また、視界を完全に遮ることなく運転者に過度の圧迫感を与えることのない高さとなっている。第一パネル31、第二パネル32、及び第三パネル33は、いずれも全幅960mmであり、安全柵1を構成した場合に支持ポスト2の中心間の距離は約1000mmである。これは、長く連続的に安全柵1を構成する場合にも、比較的短い安全柵1を構成する場合にも対応しやすい大きさであり、かつ、メートルモジュールに合わせて構成できるので様々な状況において寸法の収まりがよく設置しやすいものとなっている。なお、寸法及び形状はこれに限定されるものではなく、種々に変化させることが可能である。
【0032】
このように、本実施形態によれば、設置が容易であり、接触時の車両破損の虞が小さく、壁状を呈し視認性が高いので見落としや誤認による衝突を防ぎ、通行を円滑かつ安全に誘導できる安全柵1を提供することができる。
【0033】
また、支持ポスト2及び仕切りパネル3は、いずれもプラスチック製の部材であり、軽量かつ衝撃吸収性を有するので、車両が衝突した場合にも車両に大きな破損が生じる虞を抑制することができる。
【0034】
さらに、各部材ごとに交換することができるので、破損や汚れのある部材を新しい部材と交換して保守することが可能である。例えば、仕切りパネル3の最上部のみが破損した場合には第三パネル33のみを交換すればよい。これにより、事故等によって破損した場合にも逸早く復旧することが可能となる。さらに、汚れて視認性が悪化した部材の清掃を行うときには、既設部材を予備部材と交換することによってすぐに視認性を改善することができ、安全性の低下を抑制することができる。また、第一パネル31の突起36と第二パネル32の凹部37とが嵌合し、第二パネル32の突起38と第三パネル33の凹部39とが嵌合し、第一パネル31、第二パネル32、及び第三パネル33が端面合わせで上下に積層されて仕切りパネル3を構成している。こうして構成された仕切りパネル3は、互いに嵌合して1枚の板状になって、溝状の仕切受容部4に両側端部が挿入されて支持される。一対の支持ポスト2の間に配設された仕切りパネル3は、仕切受容部4によって前後左右及び下方への移動が拘束され、仕切受容部4の上側からのみ取り外すことが可能となる。このため、仕切りパネル3を構成する部材のうち、最上部に位置する第三パネル33をボルト46及びナット47によって支持ポスト2に固定することで仕切りパネル3全体を支持ポスト2に対して固定することができる。また、仕切りパネル3を支持ポスト2に固定する箇所が少ないことにより、各部材が夫々に支持ポスト2に対して固定されている場合よりも部材を着脱する作業の手間を小さくすることができる。
【0035】
支持ポスト2を地面に固定した状態で仕切りパネル3のみを交換することもできるので、工事等の注意喚起の表示が付された仕切りパネル3を、工事期間のみ設置するといった利用方法も可能である。
【0036】
また、仕切りパネル3と地面との間には約50mmの隙間があり、路面の継ぎ目や局所的な勾配の変化などがあっても仕切りパネル3が地面に当接する虞が抑制されるので、安全柵1の設置が容易である。さらに、仕切りパネル3の下方に隙間があることにより、雨水を堰き止めることなく流下させることができる。
【0037】
さらに、仕切りパネル3の厚みよりも仕切受容部4の開口幅の方が大きく、仕切りパネル3の板面と仕切受容部4の内面との間には隙間ができるので、仕切りパネル3の向きを変えて設置することができる。これにより、道路のカーブに沿って仕切りパネル3の向きを合わせ、カーブ周辺でも安全柵1を連続的に設置することができる。このとき、仕切りパネル3を構成する第一パネル31、第二パネル32、及び第三パネル33は、互いに端部同士で嵌合しているので、部材間にずれが生じる虞を抑制することができる。
【0038】
また、仕切りパネル3には穿孔15が多数設けられており、横風を受けたときに仕切りパネル3に大きな力が加わる虞を低減することができる。また、穿孔15を多数設けることによってさらなる軽量化を図ることができる。
【0039】
さらに、複数の板状部材を積層して仕切りパネル3を構成しているので、板状部材の数を増減させることで高さの異なる安全柵を構成することが可能となる。すなわち、安全柵1においては第一パネル31、第二パネル32、及び第三パネル33の3点の部材で仕切りパネル3が構成されていたが、例えば第一パネル31及び第三パネル33の2点のみを組み合わせて仕切りパネルを構成すれば、仕切りパネル3の部分が安全柵1の約3分の2の高さの安全柵を構成することが可能である。
【0040】
さらに、支持ポスト2は、四角錘台形を呈しており、下方に向かって裾広がりとなっているので安定性が高い。
【0041】
また、本実施形態の安全柵1によれば、安全柵1の主要な部材である仕切りパネル3を構成する第一パネル31、第二パネル32、及び第三パネル33と、支持ポスト2とは、いずれもプラスチックで形成された部材である。これらの部材は、粉砕した廃プラスチックのマテリアルリサイクルによって得られたリサイクル原料の利用に適しており、比較的容易にリサイクル原料によって製造することが可能である。これにより、社会的ニーズである省資源及びごみ減量に貢献することができる。
【0042】
本実施形態の安全柵1は、視認性及び衝突時の安全性に優れており、中央分離帯など、自動車が接触する虞の強い箇所に設置しても安全性の高い安全柵として利用できる。また、設置及び撤去が容易であるので、工事現場における仮設安全柵としても適している。
【0043】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0044】
上記の実施形態においては、仕切りパネル3は、第一パネル31、第二パネル32、及び第三パネル33を積層して構成されており、3枚のパネルは夫々形状が異なっていたが、3枚とも第二パネル32と同一の形状としてもよい。これにより部材の種類を減少させることができる。
【0045】
また、支持ポスト2は、四角錘に似た形状のものを示したが、これに限定されるものではない。例えば、円柱状、角柱状等であってもよいし、円錐状であってもよい。製造時の効率や製品の意匠性に対する配慮に基づいて種々のものとすることができる。
【0046】
また、上記の実施形態においては、仕切りパネル3を構成する第一パネル31、第二パネル32、及び第三パネル33にはいずれも穿孔15が多数穿設されているものを示したが、これに限定されるものではない。例えば、穿孔15が全く設けられていないものであってもよいし、穿孔15がボルト48に対応する位置にのみ開けられているものであってもよい。穿孔15が設けられていない場合には、ボルト48の先端が仕切りパネル3に押圧されることによって仕切りパネル3と支持ポスト2とを締結するなど、異なる締結方式となる。穿孔15が設けられていないことにより、仕切りパネル3に標語や誘導表示等の各種の表示を行ったときに視認性を高めることが可能である。
【0047】
また、上記の実施形態においては、3枚の板状部材が上下に積層されて仕切りパネル3が構成されているものを示したが、これに限定されるものではなく、2枚の板状部材の積層によって仕切りパネル3が構成されているものであってもよいし、4枚以上の板状部材の組み合わせによって構成されているものであってもよい。また、仕切りパネル3が一体的に構成されているものであってもよい。複数の部材で構成されている場合には、仕切りパネル3を構成する板状部材の組み合わせを変えることによって安全柵1の高さを複数通りに変えることができる利点がある。
【0048】
さらに、上記の実施形態においては、支持ポスト2の中心を挟んで対称となる位置関係で、夫々の仕切受容部4がポスト基部6の側面に対して垂直方向に形成されているものを示したが、これに限定されるものではない。例えば、ポスト基部6の側面に対して60度の角度をなす向きで仕切受容部4が形成されていてもよいし、仕切受容部4a及び仕切受容部4bが夫々異なる向きで形成されていてもよい。また、仕切受容部4a及び仕切受容部4bが対向する面に形成されているものに限定されず、角を挟んだ一対の面に形成されていてもよいし、3方向以上の側面に仕切受容部4が形成されているものであってもよい。仕切受容部4が角を挟んだ一対の面に形成されていると、2枚の仕切りパネル3を、L字状に約90度の角をなして配設して安全柵を構成することができるので、道路の曲がり角などに設置する場合に好適である。3方向以上の側面に仕切受容部4が形成されていると、T字状や十字状に仕切りパネル3を配設することが可能であり、安全柵1の構成パターンをさらに多様化することができる。
【0049】
また、上記の実施形態においては、第一パネル31及び第二パネル32の上面に突起36,38が形成されており、第二パネル32及び第三パネル33の底面に凹部37,39が形成されているものを示したが、これに限定されるものではなく、上下に積層したときに嵌合する形状であれば異なる形状であってもよい。例えば、第一パネル31及び第二パネル32の上面に凹部が設けられており、第二パネル32及び第三パネル33の底面に突部が設けられていてもよい。ここで、第一パネル31及び第二パネル32の上面に設けられた凹部が、本発明の第二凹部に相当し、第二パネル32及び第三パネル33の底面に設けられた突部が、本発明の第一突起部に相当する。
【0050】
さらに、安全柵1の左右の端部に異形部材を設置してもよい。例えば、仕切りパネル3と同じ厚みの直角三角形を呈する板状の部材を、底辺を地面と略平行に、垂線を鉛直方向に向けて端部に位置する支持ポスト2の仕切受容部4に装着することで、安全柵1の端部を、端に向かって徐々に低くなっていく形状とし、安全柵1の端部に視覚的に滑らかな印象を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の安全柵を示す斜視図である。
【図2】安全柵の分解斜視図である。
【図3】安全柵のA−A断面を示す断面図である。
【図4】安全柵のB−B断面を示す断面図である。
【符号の説明】
【0052】
1 安全柵
2 支持ポスト(支持部材)
3 仕切りパネル(仕切り部材)
4 仕切受容部(受容部)
31 第一パネル(下側板状部材)
32 第二パネル(上側板状部材)
36 突起(第二突起部)
37 凹部(第一凹部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックで形成され、略鉛直方向に延び上端側が開放された溝状を呈する受容部を側面に備え、前記受容部を対向させて地面に立設される一対の支持部材と、
プラスチックで形成された板状を呈し、左右の側端部が一対の前記受容部に夫々挿入され、前記一対の支持部材の間を遮蔽する仕切り部材と
を具備することを特徴とする安全柵。
【請求項2】
プラスチックで形成され、略鉛直方向に延び上端側が開放された溝状を呈する受容部を側面に複数備えており、地面に立設される複数の支持部材と、
プラスチックで形成され前記受容部よりも厚みの薄い板状を呈し第一突起部または第一凹部を底面に備えた上側板状部材、
及びプラスチックで形成され前記上側板状部材と略同一の厚みの板状を呈し前記第一凹部と嵌合する形状の第二突起部、または前記第一突起部と嵌合する形状の第二凹部、が上面に設けられ、前記上側板状部材の下側に配設される下側板状部材、
を含む複数の板状部材からなり、前記上側板状部材と前記下側板状部材とが端面合わせで上下に積層されて構成された仕切り部材と
を具備し、
所定の間隔を設けて前記受容部を対向させて順に配設された前記複数の支持部材の夫々の間に、前記支持部材の間を遮蔽する前記仕切り部材が、前記受容部に左右の側端部を夫々挿入され、底面と地面との間に隙間を設けて所定の高さで配設されている
ことを特徴とする安全柵。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−174177(P2009−174177A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−13366(P2008−13366)
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(308001156)
【Fターム(参考)】