説明

安全装置、及びその安全装置を備えたフォークリフト、並びに荷物搬送方法

【課題】搬送前に搬送対象の荷物の高さが荷崩れをおこさずに搬送可能な高さか否かを容易、かつ確実に判別可能な安全装置を提供することを目的とする。
【解決手段】フォークリフト10に設けられる安全装置20であって、フォークリフト10のフォーク13の揚高を取得する近接センサ22と、近接センサ22により取得された揚高のフォーク13にて持ち上げられる搬送対象の荷物100の高さを取得する超音波センサ21と、超音波センサ21により取得された搬送対象の荷物100の高さが予め設定された所定上限値hより低いか否か判別する制御装置24と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークリフトに設けられる安全装置、及びその安全装置を備えたフォークリフト、並びにフォークリフトで荷物を搬送する荷物搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フォークリフトが走行する作業領域内に複数のエリアを設定するとともにエリア毎にフォークリフトのフォークを上げることが可能な上限の高さをそれぞれ規定し、フォークの高さが各エリアの上限の高さに達した場合にフォークを駆動する昇降手段を停止させるエリア別昇降制限装置が知られている(特許文献1参照)。また、運転者がフォークリフトの前方の様子を容易に知ることが可能なように、レーザポインタ又はカメラによってフォークリフトの前方の様子を運転者に知らせる装置が知られている(特許文献2及び3参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−89014号公報
【特許文献2】特開2001−139291号公報
【特許文献3】特開2003−267693号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1の装置では、フォーク又は荷物の高さが頭上物の高さに達する手前でフォークの昇降を停止させるが、フォークに積む前の荷物の高さが搬送途中で荷物が倒壊しないように、言い換えれば荷崩れをおこさずに搬送可能な荷物の高さ以上か否か判別していない。そのため、搬送途中で荷崩れが発生するおそれがある。特許文献2及び3の装置は、レーザポインタ又はカメラによってフォークリフトの前方の状態を運転者に知らせるものであり、フォークリフトの前方の状態がどのような状態か否か、例えば搬送対象の荷物の状態などはそれらの情報に基づいて運転者が判断する。そのため、運転者が誤った判断を行って荷崩れをおこす可能性のある高さの荷物を搬送し、搬送途中で荷崩れをおこすおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、搬送前に搬送対象の荷物の高さが荷崩れをおこさずに搬送可能な高さか否かを容易、かつ確実に判別可能な安全装置、及びその安全装置を備えたフォークリフト、並びに荷物搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の安全装置は、フォークリフト(10)に設けられる安全装置(20)であって、前記フォークリフトのフォーク(13)の揚高を取得する揚高取得手段(22)と、前記揚高取得手段により取得された揚高のフォークにて持ち上げられる搬送対象の荷物(100)の高さを取得する荷高取得手段(21)と、前記荷高取得手段により取得された搬送対象の荷物の高さが予め設定された所定上限値(h)より低いか否か判別する判別手段(24)と、を備えることにより、上述した課題を解決する。
【0007】
本発明の安全装置によれば、判別手段によって搬送対象の荷物の高さが所定上限値より低いか否か判別できるので、所定上限値を適切に設定することにより、搬送前に搬送対象の荷物の高さが荷崩れをおこさずに搬送可能な荷物の高さか否か容易、かつ確実に判別することができる。
【0008】
本発明の安全装置の一形態においては、前記フォークリフトの運転者に警告を発すべく前記運転者又は前記フォークリフトに対して所定の処理を行う警告手段(23)をさらに備え、前記判別手段は、前記荷高取得手段により取得された搬送対象の荷物の高さが前記所定上限値以上と判断した場合、前記所定の処理が行われるように前記警告手段の動作を制御してもよい。この形態では、搬送対象の荷物の高さが所定上限値以上の場合、警告手段から所定の処理が行われるので、所定上限値以上の高さの荷物を搬送しようとしていることを運転者に気付かせることができる。運転者に警告を発する方法としては、運転者の聴覚や視覚に訴える方法がある。
【0009】
本発明の他の安全装置は、フォークリフト(10)に設けられる安全装置(20)であって、前記フォークリフトによって搬送される搬送対象の荷物(100)の高さが予め設定された所定上限値(h)より低いか否か検出する荷高検出手段(21)と、前記フォークリフトの運転者に対して所定の警告を発する警告手段(23)と、前記荷高検出手段により前記搬送対象の荷物の高さが前記所定上限値以上と検出された場合に前記所定の警告が発せられるように前記警告手段の動作を制御する制御手段(24)と、を備えることにより、上述した課題を解決する。
【0010】
本発明の他の安全装置によれば、所定上限値を適切に設定することにより、荷高検出手段の検出結果に基づいて搬送対象の荷物の高さが荷崩れをおこさずに搬送可能な高さか否かを容易、かつ確実に判別することができる。また、搬送対象の荷物の高さが所定上限値以上の場合に所定の警告が発せられるので、所定上限値以上の高さの荷物を搬送しようとしていることを運転者に気付かせることができる。
【0011】
本発明の他の安全装置の一形態においては、前記フォークリフトのフォークの揚高が前記搬送対象の荷物の下に入れることが可能な所定揚高範囲内か否か検出する揚高検出手段(22)をさらに備え、前記制御手段は、前記荷高検出手段により前記搬送対象の荷物の高さが前記所定上限値以上と検出され、かつ前記揚高検出手段により前記フォークの揚高が前記所定揚高範囲内と検出された場合に前記所定の警告が発せられるように前記警告手段の動作を制御してもよい。この場合、運転者への不要な警告を防止できる。そのため、警告に対する運転者の慣れを防止でき、警告発生時に確実に運転者に気付かせることができる。
【0012】
これら本発明の安全装置においては、前記所定上限値として、前記フォークリフトによって前記搬送対象の荷物を搬送しているときに前記荷物の荷崩れを防止可能な荷物の高さが設定されていてもよい。所定上限値をこのように設定することにより、搬送途中における荷崩れを防止することができる。
【0013】
本発明のフォークリフト(10)は、上述した安全装置(20)を備えたことにより、上述した課題を解決する。
【0014】
本発明のフォークリフトによれば、安全装置によって搬送対象の荷物の高さが所定上限値より低いか否か判別できるので、上述した本発明の安全装置と同様に所定上限値を適切に設定することにより、搬送前に搬送対象の荷物の高さが荷崩れをおこさずに搬送可能な荷物の高さか否か容易、かつ確実に判別することができる。
【0015】
本発明の荷物搬送方法は、フォークリフト(10)によって荷物を搬送する荷物搬送方法であって、前記フォークリフトのフォーク(13)の揚高を取得する揚高取得工程と、前記揚高取得工程にて取得された揚高のフォークによって持ち上げられる搬送対象の荷物(100)の高さを取得する荷高取得工程と、前記荷高取得工程にて取得された搬送対象の荷物の高さが予め設定された所定上限値(h)より低いか否か判別する判別工程と、を備えていることにより、上述した課題を解決する。
【0016】
本発明の荷物搬送方法によれば、判別工程にて搬送対象の荷物の高さが所定上限値より低いか否か判別できるので、所定上限値を適切に設定することにより、上述した安全装置と同様に搬送前に搬送対象の荷物の高さが荷崩れをおこさずに搬送可能な荷物の高さか否か容易、かつ確実に判別することができる。
【0017】
本発明の荷物搬送方法の一形態においては、前記判別工程において前記荷高取得工程にて取得された荷物の高さが前記所定上限値以上と判断された場合、前記フォークリフトの運転者に警告を発するべく前記運転者又は前記フォークリフトに対して所定の処理を行う警告工程をさらに備えていてもよい。この場合、所定の処理を行うことにより、所定上限値以上の高さの荷物を搬送しようとしていることを運転者に気付かせることができる。
【0018】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0019】
以上に説明したように、本発明によれば、搬送前に搬送対象の荷物の高さが所定上限値より低いか否か判別できるので、所定上限値を適切に設定することにより、搬送前に搬送対象の荷物の高さが荷崩れをおこさずに搬送可能な荷物の高さか否か容易、かつ確実に判別することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、本発明の一形態に係る安全装置が組み込まれたフォークリフトを示している。図1に示したフォークリフト10は、車体11に前後方向への傾斜及び上下方向への伸縮がそれぞれ可能に設けられるマスト12と、マスト12に上下方向に移動可能に設けられる一対のフォーク13とを備え、車体11に設けられた運転席14に運転者が乗車可能であり、内燃機関又は電動モータなどの走行用動力源にて走行可能な周知のフォークリフトである。
【0021】
図2は、フォークリフト10にて搬送される物品101の一例を示している。図2に示したように物品101は、複数の空の容器102を仕切り板103を介して多段に積み重ね、それらの容器102をフィルム104で覆うとともにバンド105で結束して梱包したものである。容器102は、例えば中身が充填される前の缶ビールの缶である。物品101はパレットPL上に載置され、このパレットPLとともに搬送される。また、物品101は図3及び図4に示したように多段(図3では4段、図4では2段)に積み重ねられた状態で倉庫などに保管され、フォークリフト10ではこの積み重ねられた状態の複数の物品101を一つの荷物100として搬送する。
【0022】
図1に示したようにフォークリフト10には安全装置20が設けられている。安全装置20は、車体11の天面11aに設けられる荷高検出手段としての超音波センサ21と、マスト12に設けられる揚高検出手段としての近接センサ22と、運転者に警告音を発することが可能な警告手段としての警告装置23と、警告装置23の動作を制御する制御手段としての制御装置24とを備えている。図5に示したように制御装置24には超音波センサ21及び近接センサ22の出力信号が入力されており、制御装置24はそれらの信号に基づいて警告装置23の動作を制御する。制御装置24は、ハードウェア制御回路によって実現されてもよいし、ソフトウェアによる制御が可能なコンピュータユニットによって実現されてもよい。図1に示したように警告装置23は運転席14の後ろに、制御装置24は運転席14上方の天面11aの下にそれぞれ設けられている。超音波センサ21は、所定の方向に超音波を発信するとともに検出対象物から反射してくる超音波を受信し、超音波の発信から受信までの時間に基づいて検出対象物の有無を検出する周知のセンサである。また、近接センサ22は、フォーク13と共に移動する検出対象22aと近接センサ22との距離が所定距離内の場合に信号を出力する周知のセンサである。そのため、これらのセンサに関する詳細な説明は省略する。なお、超音波センサ21は、検出対象物が有った場合にオンの信号を、検出対象物が無かった場合にオフの信号を制御装置24に出力する。近接センサ22も同様に検出対象22aとの距離が所定範囲内の場合にオンの信号を、検出対象22aとの距離が所定範囲外の場合にオフの信号を制御装置24に出力する。
【0023】
図3に示したようにフォークリフト10によって荷物100を搬送する場合、その荷物100の高さが高すぎると搬送中に荷物100のバランスが崩れて荷物100が倒壊、いわゆる荷崩れをおこす可能性がある。物品101の高さが低ければ図3に示したような4段程度に積み重ねても荷物100の全体高さが低いため、図3のように一番下の段のパレットPLにフォーク13を差し込んだ状態であっても運転席14から運転者が荷物100の全体高さを目視確認できる。一方、図2に示した物品101のようにその高さが高い、例えばフォークリフト10の高さ以上の場合、その物品101を積み重ねた荷物100に図3の位置までフォークリフト10を近付けると天面11aが邪魔になって運転席14から運転者が荷物100の全体高さを目視確認することが困難となる。このように目視確認が困難の場合、荷崩れをおこす可能性のある高さ以上に積み重ねられた物品101を誤って搬送しようとしていることを運転者が気付かないことがある。
【0024】
重量が重く、例えば3段以上に積み重ねるとフォークリフト10の積載可能重量の上限を超える物品101であれば、運転席14から荷物100の全体高さを確認できなくてもフォークリフト10の積載可能重量オーバーの警報が作動する、もしくは積載可能重量オーバーによりフォークリフト10が前方に傾いてしまうので、運転者が気付くことができる。一方、上述したように図2に示した物品101は、複数の空の容器102を梱包したものであるため、それらを積み重ねた荷物100の高さがフォークリフト10を荷物100に近付けた際に運転席14からその荷物100の全体高さを目視確認できない高さであってもフォークリフト10の積載可能重量オーバーの警報が作動しない、もしくは積載可能重量オーバーではなくフォークリフト10が前方に傾かないので、運転者が気付かないまま3段以上に積み重ねられた物品101をフォーク13にて持ち上げてしまい、その結果荷崩れをおこしてしまうおそれがある。
【0025】
そこで、この荷崩れを防止するべくフォークリフト10で一度に搬送してもよい荷物100の高さを搬送中に荷崩れが発生しないように予め設定した所定上限値より低く制限する。安全装置20は、所定上限値以上の高さの荷物100をフォークリフト10で持ち上げようとしていることを運転者に気付かせるべく設けられている。荷崩れが発生しないように設定される所定上限値としては、例えば図3に示した荷物100のうち下から2段目の物品101までの高さhが設定される。なお、荷崩れの発生を防止可能な荷物100の高さはフォークリフト10の積載能力によって変化するため、所定上限値はフォークリフト10の積載能力を考慮して設定してもよい。また、積み重ねられる物品101の荷崩れのおこし易さに応じて所定上限値を変更してもよい。
【0026】
所定上限値として高さhが設定されている場合、安全装置20は、物品101が3段以上積み重ねられているときに運転者に対して警告を発することができればよい。そこで、超音波センサ21は、図3に示したようにフォークリフト10のフォーク13が一番下の段に敷かれているパレットPLに差し込まれた状態で下から3段目の物品101に向けて超音波が発信されるように天面11aに取り付けられる。この超音波センサ21によれば、物品101が3段以上積み重ねられているか否か、すなわち荷物100の高さが所定上限値h以上か否か検出することができる。このように荷物100の高さを取得することにより、超音波センサ21が本発明の荷高取得手段として機能する。
【0027】
このように超音波センサ21にて荷物100の高さを検出する場合、フォーク13が一番下の段に敷かれているパレットPLに差し込まれている必要がある。そこで、近接センサ22によって、フォーク13の揚高が一番下の段に敷かれているパレットPLに差し込むことが可能な所定揚高範囲内か否か検出する。このようにフォーク13の揚高を検出するため、近接センサ22はフォーク13の揚高が所定揚高範囲内のときにフォーク13と共に移動する検出対象22aを検出できるようにマスト12に取り付けられている。制御装置24は、超音波センサ21によって下から3段目以上の物品101が検出され、かつ近接センサ22によってフォーク13が所定揚高範囲内に検出された場合に警告装置23を動作させてフォークリフト10の運転者に警告を発する。このように超音波センサ21の出力信号に基づいて搬送対象の荷物100の高さが所定上限値hより低いか否か判別することにより、制御装置24が本発明の判別手段として機能する。
【0028】
本発明の安全装置20によれば、図3に示したように搬送対象の荷物100として3段以上(図3の例では4段)に積まれた物品101をフォークリフト10によって一度に搬送しようとすると、近接センサ22によってフォーク13が所定揚高範囲内に検出され、かつ超音波センサ21によって下から3段目の物品101が検出されるので、警告装置23から警告が発せられる。一方、図4に示したように搬送対象の荷物100として2段に積まれた物品101をフォークリフト10によって搬送する場合は、近接センサ22によってフォーク13が所定揚高範囲内に検出されるが、超音波センサ21によって下から3段目の物品101が検出されないため、警告装置23から警告が発せられることがない。なお、4段に積まれた物品101のうち、上の2段の物品101を下ろし、搬送対象の荷物100として2段の物品101を2つ作る場合は、フォーク13が下から3段目の物品101の下に敷いてあるパレットPLに差し込むことができる揚高に調整されるので、近接センサ22からオフの信号が出力される。そのため、警告装置23から警告が発せられることがない。また、3段に積まれた物品101のうち、上の1段の物品101を下ろし、搬送対象の荷物100として1段の物品101と2段の物品101を作る場合も同様の理由により、警告装置23から警告が発せられることがない。
【0029】
このように本発明の安全装置20を備えたフォークリフト10によれば、運転者が搬送対象の荷物100として3段以上に積まれた物品101を一度に搬送しようとすると警告装置23から警告が発せられるので、そのまま荷物を搬送すると荷崩れをおこす可能性があることを運転者に気付かせることができる。そのため、搬送中における荷崩れを防止することができる。また、警告は、超音波センサ21及び近接センサ22の両方のセンサの出力信号がそれぞれオンの状態である場合にのみ発せられるので、4段に積まれた物品101を2段の物品101に分ける場合などに運転者に対して不要な警告を発することを防止できる。これにより、警告に対する運転者の慣れを防止でき、警告発生時に確実に運転者に気付かせることができる。
【0030】
本発明は、上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施してよい。例えば、荷物の高さを検出するセンサは超音波センサに限定されない。検出対象の有無をレーザによって検出するセンサを使用してもよい。また、超音波又はレーザなどを利用して非接触で検出する非接触式のセンサの他に、検出対象にセンサの検出部を接触させることにより検出対象の有無を検出する接触式センサを使用してもよい。さらに荷物の高さを検出するセンサは、フォークリフトに設けられていなくてもよい。例えば、荷物が保管される倉庫にセンサを設け、その検出結果をセンサから無線などでフォークリフトの制御装置に送信してもよい。
【0031】
マストに設ける近接センサの個数は1つに限定されない。例えば、複数の近接センサを高さを変えてマストに設けてもよい。この場合、各近接センサからの出力を参照することにより、フォークの揚高をより細かく検出できる。また、フォークの揚高を検出するセンサは近接センサに限定されない。例えば、超音波又はレーザを利用して距離を計測可能な測距センサをフォークに取り付け、地面とフォークとの距離を計測することによりフォークの揚高を検出してもよい。
【0032】
上述した形態では、フォークが一番下の段に敷かれたパレットに差し込まれた状態で、かつそのパレット上の荷物の高さが所定上限値以上の場合に警告が発せられたが、警告が発せられる条件はこの条件に限定されない。例えば、上述した形態と同様にフォークリフトによって搬送してもよい荷物の高さを物品の高さで2段に制限する場合、4段に積み重ねられている物品の下から2段目以上、すなわち下から2〜4段目の物品を一度に搬送しようとすると制限以上の高さに積み上げられている物品を一度に搬送することになる。そこで、フォークの揚高を検出するとともに積み上げられている荷物の高さを検出し、荷物の高さからフォークの揚高を引いた値、すなわちその揚高のフォークによって持ち上げられる搬送対象の荷物の高さが所定上限値以上の場合に運転者に対して警告を発してもよい。この場合、フォークリフトによる所定上限値以上の高さの荷物の扱いを確実に防止できる。
【0033】
運転者に対する警告は、警告音に限定されない。例えば、フォークリフトに回転灯を設け、この回転灯を点灯又は点滅させることにより運転者に警告を発してもよい。また、フォークリフトに表示ランプあるいは表示器を設け、この表示ランプを点灯又は点滅させる、あるいは表示器に警告内容を表示することにより運転者に警告を発してもよい。さらに、搬送しようとしている荷物の高さが所定上限値以上の場合、制御装置がフォークリフトに設けられているフォークの昇降機構を制御し、フォークの昇降を禁止させてフォークの揚高をその位置に固定することによって運転者に対して警告を発してもよい。この場合、フォークリフトによって荷物を持ち上げることを禁止できるので、より確実に荷崩れを防止できる。この他、制御装置がフォークリフトの走行機構を制御し、フォークリフトの走行を禁止させることによって運転者に対して警告を発してもよい。制御装置がフォークの昇降機構及びフォークリフトの走行機構の両方を制御し、フォークの昇降を禁止させるとともにフォークリフトの走行を禁止させることによって運転者に対して警告を発してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一形態に係る安全装置が組み込まれたフォークリフトを示す図。
【図2】フォークリフトにて搬送される物品の一例を示す図。
【図3】フォークリフトにより荷物を持ち上げる際の状態の一例を示す図。
【図4】フォークリフトにより他の荷物を持ち上げる際の状態の一例を示す図。
【図5】安全装置における信号の入出力を説明するための図。
【符号の説明】
【0035】
10 フォークリフト
13 フォーク
20 安全装置
21 超音波センサ(荷高取得手段、荷高検出手段)
22 近接センサ(揚高取得手段、揚高検出手段)
23 警告装置(警告手段)
24 制御装置(判別手段、制御手段)
100 荷物
h 所定上限値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォークリフトに設けられる安全装置であって、
前記フォークリフトのフォークの揚高を取得する揚高取得手段と、前記揚高取得手段により取得された揚高のフォークにて持ち上げられる搬送対象の荷物の高さを取得する荷高取得手段と、前記荷高取得手段により取得された搬送対象の荷物の高さが予め設定された所定上限値より低いか否か判別する判別手段と、を備えることを特徴とするフォークリフトの安全装置。
【請求項2】
前記フォークリフトの運転者に警告を発すべく前記運転者又は前記フォークリフトに対して所定の処理を行う警告手段をさらに備え、
前記判別手段は、前記荷高取得手段により取得された搬送対象の荷物の高さが前記所定上限値以上と判断した場合、前記所定の処理が行われるように前記警告手段の動作を制御することを特徴とする請求項1に記載のフォークリフトの安全装置。
【請求項3】
フォークリフトに設けられる安全装置であって、
前記フォークリフトによって搬送される搬送対象の荷物の高さが予め設定された所定上限値より低いか否か検出する荷高検出手段と、前記フォークリフトの運転者に対して所定の警告を発する警告手段と、前記荷高検出手段により前記搬送対象の荷物の高さが前記所定上限値以上と検出された場合に前記所定の警告が発せられるように前記警告手段の動作を制御する制御手段と、を備えることを特徴とするフォークリフトの安全装置。
【請求項4】
前記フォークリフトのフォークの揚高が前記搬送対象の荷物の下に入れることが可能な所定揚高範囲内か否か検出する揚高検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記荷高検出手段により前記搬送対象の荷物の高さが前記所定上限値以上と検出され、かつ前記揚高検出手段により前記フォークの揚高が前記所定揚高範囲内と検出された場合に前記所定の警告が発せられるように前記警告手段の動作を制御することを特徴とする請求項3に記載のフォークリフトの安全装置。
【請求項5】
前記所定上限値として、前記フォークリフトによって前記搬送対象の荷物を搬送しているときに前記荷物の荷崩れを防止可能な荷物の高さが設定されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のフォークリフトの安全装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の安全装置を備えたことを特徴とするフォークリフト。
【請求項7】
フォークリフトによって荷物を搬送する荷物搬送方法であって、
前記フォークリフトのフォークの揚高を取得する揚高取得工程と、前記揚高取得工程にて取得された揚高のフォークによって持ち上げられる搬送対象の荷物の高さを取得する荷高取得工程と、前記荷高取得工程にて取得された搬送対象の荷物の高さが予め設定された所定上限値より低いか否か判別する判別工程と、を備えていることを特徴とする荷物搬送方法。
【請求項8】
前記判別工程において前記荷高取得工程にて取得された荷物の高さが前記所定上限値以上と判断された場合、前記フォークリフトの運転者に警告を発するべく前記運転者又は前記フォークリフトに対して所定の処理を行う警告工程をさらに備えていることを特徴とする請求項7に記載の荷物搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−156093(P2008−156093A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−349395(P2006−349395)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(307027577)麒麟麦酒株式会社 (350)
【出願人】(506429341)株式会社隣友 (1)
【Fターム(参考)】