説明

安定な治療剤形

物理的安定性の亢進した生物活性薬剤の剤形組成物ならびにこれを調合及び送達するための方法であって、ここで酸素及び/又は水の存在による劣化が最小限に抑えられるか、及び/又は制御されることにより、安定な剤形がもたらされる。本発明の生物活性薬剤の組成物ならびにこれを調合及び送達するための方法はさらに、送達装置の1つ又は複数の角質層穿刺微小突起を被膜するために用いられ得る生体適合性被膜中にこれを組み込んで、生体適合性被膜の対象者の皮膚を通じた送達を促進し、ひいては生物活性薬剤を送達する効果的な手段を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2005年12月28日付けで出願された米国仮特許出願第60/754,948号明細書からの優先権を主張し、その内容は全体として参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は概して、生物活性薬剤組成物及び当該組成物を調合及び送達するための方法に関する。より詳細には、本発明は、当該生物活性薬剤組成物の酸素及び水への曝露を最小限に抑えることにより物理的に安定した生物活性薬剤組成物である組成物ならびにこれを調合及び送達するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
当該技術分野においては、多種多様な生物活性薬剤が、当該生物活性薬剤により有益な作用を受け得る病態の患者に適切に送達される場合に治療上の利点を有することが知られている。これらの生物活性薬剤は、限定はされないが、とりわけ、ペプチド又はタンパク質、例えばホルモン、タンパク質、抗原、リプレッサー/アクチベーター、酵素、及び免疫グロブリンを含むいくつかの幅広いクラスを含む。治療上の適用としては、いくつか例を挙げれば、癌、高カルシウム血症、パジェット病、骨粗鬆症、糖尿病、うっ血性心不全を含む心臓の病態、睡眠障害、慢性閉塞性肺疾患(COPD)及びタンパク同化性疾患の治療を含む。
【0004】
当該技術分野において、治療上有効且つ商業的に実現可能な方式での当該生物活性薬剤の剤形の調合は問題をはらんでおり、これは一つの原因として、多くの生物活性薬剤が酸素及び水の存在下で劣化する傾向を有することに起因する。特に酸化しやすいものとして、アミノ酸のメチオニン及びシステインを含む。水は数多くの生物学的薬剤の分解を引き起こす。水は特に、結果的にアミド結合を加水分解して、ペプチド及びタンパク質に影響する。
【0005】
製造及び保管中の生物活性薬剤に対する酸化及び加水分解の作用を考察する文献が刊行されている。例えば、ピカル・MJ(Pikal MJ)、デラーマン・K(Dellerman K)、ロイ・ML(Roy ML)、「Formulation and stability of freeze−dried proteins:effects of moisture and oxygen on the stability of freeze−dried formulations of human growth hormone」、Dev Biol Stand.1992年;74:21−38頁;ライ・メイ・C(Lai,Mei C.);ヘイグマン・マイケル・J(Hageman,Michael J.);ショウエン・リチャード・L(Schowen,Richard L.);ボルクハルト・ロナルド・T(Borchardt,Ronald T.);トップ・エリザベス・M(Topp,Elizabeth M.)、「Chemical Stability of Peptides in Polymers.1.Effect of Water on Peptide Deamidation in Poly(vinyl alcohol)and Poly(vinyl pyrrolidone)Matrixes」、Journal of Pharmaceutical Sciences(1999年)、88(10)、1073−1080頁は、生物活性薬剤が長期間にわたって空気又は水に曝露された場合、酸化又は加水分解によりいかに劣化を被るかについて取り扱っている。
【0006】
剤形中の生物活性薬剤の劣化は、生物活性薬剤が経皮送達により投与される場合に特に問題となる。用語「経皮的」は、本明細書で使用されるとき、メスによる切開又は皮下針による皮膚の穿刺といった実質的な皮膚の切開又は刺入を伴わない、活性薬剤(例えば、薬物、医薬品、ペプチド、ポリペプチド又はタンパク質などの治療剤)の皮膚を通じた局部組織又は全身循環系への送達を指す総称である。経皮薬剤送達としては、受動拡散を介した送達、ならびに外部エネルギー源、例えば電気(例えば、イオントフォレーシス)及び超音波(例えば、フォノフォレーシス)などに基づく送達を含む。
【0007】
微小な皮膚穿刺要素を用いて経皮薬剤送達を亢進する数々の経皮薬剤送達系及び器具が開発されている。当該系及び器具の例が、米国特許第5,879,326号明細書、同第3,814,097号明細書、同第5,250,023号明細書、同第3,964,482号明細書、再発行番号第25,637号、及びPCT国際公開第96/37155号パンフレット、同第96/37256号パンフレット、同第96/17648号パンフレット、同第97/03718号パンフレット、同第98/11937号パンフレット、同第98/00193号パンフレット、同第97/48440号パンフレット、同第97/48441号パンフレット、同第97/48442号パンフレット、同第98/00193号パンフレット、同第99/64580号パンフレット、同第98/28037号パンフレット、同第98/29298号パンフレット、同第98/29365号パンフレット及び米国特許出願公開第2004/0062813号明細書、同第2004/0265354号明細書、同第2005/0090009号明細書、同第2005/0106209号明細書、同第20050123507号明細書、同第2005/0226922号明細書、同第2005/0256045号明細書、及び同第2005/0266011号明細書に開示され、これらは全て全体として参照により本明細書に援用される。
【0008】
開示される系及び器具は、様々な形状及び大きさの穿刺要素を用いて皮膚の最外層(すなわち、角質層)を穿刺し、ひいては薬剤流量を亢進させる。穿刺要素は概して、パッド又はシートなどの薄く平坦な部材から垂直に伸張する。穿刺要素は典型的には極めて小さく、あるものは微小突起長がわずか約25〜400ミクロン、且つ微小突起厚がわずか約5〜50ミクロンである。これらの微小穿刺/切開要素は対応して小さいマイクロスリット/マイクロカットを角質層に作り、これを通じた経皮薬剤送達を亢進する。送達される活性薬剤は、通常は微小突起を剤形で被膜するか、又はマイクロスリットの形成後に角質層と連通するリザーバを使用することにより、微小突起の1つ又は複数と結び付けられる。
【0009】
しかしながら、現行の製造及び包装工程は、米国特許出願公開第2002/0128599号明細書に記載されるように、特に微小突起上の剤形を乾燥させることによって微小突起に剤形が被膜される場合に問題がある。剤形は通常、水性剤形である。乾燥工程中、水を含む全ての揮発性物質は除去されるが、最終固形被膜はなお、一般的に約3%の水を含む。水の存在は、加水分解を原因とする剤形中の生物活性薬剤の劣化につながり得る。
【0010】
現行の製造及び包装工程はまた、各段階において酸素が存在することも問題である。製造段階は比較的短期間であるが、包装及び保管段階は相当長期にわたり得る。経皮送達系が使用されるまでの保管時間は、長期にわたる可能性がある(すなわち、数ヶ月の長い有効期間も珍しくない)。従って、被膜中の生物活性薬剤は酸化及び劣化を被りやすい。本出願の目的上、用語「包装」又は「包装している」への参照には、「保管」又は「保管している」への参照も含まれるものと理解されたい。
【0011】
従って、物理的安定化、特に経過時間中の生物活性薬剤の剤形の酸化及び加水分解に対する曝露を最小限に抑えることは、特に治療剤の送達様式が、薬剤含有生体適合性被膜で被膜された複数の微小突起を有する経皮送達装置を介する場合には、治療剤の有効性を保証するうえで重要な工程である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、物理的安定性の亢進した生物活性薬剤の組成物ならびにこれを調合及び送達するための方法を提供することが望ましいであろう。
【0013】
さらに、酸素及び/又は水によるその劣化が最小限に抑えられるか、及び/又は制御されるような生物活性薬剤の組成物ならびにこれを調合及び送達するための方法を提供することが望ましいであろう。
【0014】
さらに、最長の、又は最適な有効期間を呈する生物活性薬剤の組成物ならびにそれを調合及び送達するための方法を提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、物理的安定性が亢進した生物活性薬剤を提供し、ここで生物活性薬剤は、この薬剤を対象者の皮膚を通じて送達するよう構成された複数の皮膚穿刺微小突起を有する経皮送達装置を被膜し、ならびに装置は乾燥した不活性雰囲気中及び/又は部分真空中で製造及び/又は包装される。
【0016】
本発明の物理的に安定な生物活性薬剤の剤形の組成物ならびにこれを調合及び送達するための方法に従えば、実質的に酸素及び水のない、乾燥した不活性雰囲気中及び/又は部分真空中での剤形の製造及び/又は包装が、望ましくない生物活性薬剤の劣化を実質的に低減又は除去することが見出されている。
【0017】
本発明は、有害な酸素及び/又は水による劣化が最小限に抑えられるか、及び/又は制御されるような生物活性薬剤の組成物ならびにこれを調合及び送達するための方法を提供する。
【0018】
本発明はまた、最長の、又は最適な有効期間を有する生物活性薬剤の組成物ならびにこれを調合及び送達するための方法も提供する。
【0019】
本発明はさらに、物理的安定性が亢進した生物活性薬剤を提供し、ここで生物活性薬剤は、この薬剤を対象者の皮膚を通じて送達するよう構成された複数の皮膚穿刺微小突起を有する経皮送達装置に塗着される生体適合性被膜中に含まれる。
【0020】
本発明はまた、剤形がその製造及び保管中に、実質的に酸素及び/又は水のない、乾燥した不活性雰囲気及び/又は部分真空の存在によって安定化されるような生物活性薬剤の剤形組成物ならびにこれを調合及び送達するための方法も提供する。
【0021】
加えて本発明は、製造及び/又は包装中に乾燥した不活性雰囲気及び/又は部分真空を使用して生物活性薬剤の剤形を安定化させるための方法も提供する。
【0022】
本発明の一実施形態において、向上した、又は最適な物理的安定性を呈する生物活性薬剤の組成物ならびにこれを調合及び送達するための方法が提供されるとともに、この向上した、又は最適な物理的安定性が、治療剤を含む剤形の有効期間を延長させる。本発明はまた、経皮送達装置の複数の角質層穿刺微小突起を被膜する生体適合性被膜中に組み込まれた生物活性薬剤の剤形の組成物及びこれを調合及び送達するための方法も提供し、この送達装置は向上した、又は最適な物理的安定性を呈する。
【0023】
本発明の一実施形態において、生物活性薬剤の剤形組成物ならびにこれを調合及び送達するための方法は、経口(ボーラス)、経口(時限放出又はパターン放出)、注入、注射、皮下植え込み、経肺、経粘膜(経口腔粘膜、経眼、経鼻、経直腸、経膣)、受動的、能動的及びバリスティック経皮送達を含む、様々な送達手段(例えば、全身又は局所送達)での使用に好適である。他の局所送達、例えば耳炎や、皮膚、頭皮、爪の真菌、細菌及びウイルス感染症の処置もまた、本発明の範囲内である。
【0024】
好ましい実施形態において、生物活性薬剤の組成物ならびにこれを調合及び送達するための方法は、微小突起送達装置を使用した経皮送達に特に好適であり、ここで生物活性薬剤は、微小突起送達装置の少なくとも1個の角質層穿刺微小突起、好ましくは複数の角質層穿刺微小突起を被膜する生体適合性被膜中に含まれる。
【0025】
一実施形態において、生物活性薬剤の組成物ならびにこれを調合及び送達するための方法は、微小突起送達装置を使用した経皮送達に特に好適であり、ここで生物活性薬剤は、乾燥した不活性雰囲気、好ましくは窒素又はアルゴン中で製造及び/又は包装される生体適合性被膜中に含まれる。
【0026】
一実施形態において、生物活性薬剤の組成物ならびにこれを調合及び送達するための方法は、微小突起送達装置を使用した経皮送達に特に好適であり、ここで生物活性薬剤は、微小突起送達装置の少なくとも1つの角質層穿刺微小突起、好ましくは複数の角質層穿刺微小突起を被膜するとともに、乾燥した不活性雰囲気、好ましくは窒素及びアルゴン中で製造及び/又は包装される生体適合性被膜中に含まれる。
【0027】
一実施形態において、生物活性薬剤の組成物ならびにこれを調合及び送達するための方法は、微小突起送達装置を使用した経皮送達に特に好適であり、ここで生物活性薬剤は、乾燥した不活性雰囲気、好ましくは窒素又はアルゴン中、且つ乾燥剤又は酸素吸収剤の存在下で製造及び/又は包装される生体適合性被膜中に含まれる。
【0028】
一実施形態において、生物活性薬剤の組成物ならびにこれを調合及び送達するための方法は、微小突起送達装置を使用した経皮送達に特に好適であり、ここで生物活性薬剤は、乾燥した不活性雰囲気、好ましくは窒素、及び乾燥剤又は酸素吸収剤を有するホイルで裏打ちされたチャンバ内に製造及び/又は包装される生体適合性被膜中に含まれる。
【0029】
一実施形態において、生物活性薬剤の組成物ならびにこれを調合及び送達するための方法は、微小突起送達装置を使用した経皮送達に特に好適であり、ここで生物活性薬剤は、部分真空中で製造及び/又は包装される生体適合性被膜中に含まれる。
【0030】
一実施形態において、生物活性薬剤の組成物ならびにこれを調合及び送達するための方法は、微小突起送達装置を使用した経皮送達に特に好適であり、ここで生物活性薬剤は、乾燥した不活性雰囲気、好ましくは窒素中、且つ部分真空中で製造及び/又は包装される生体適合性被膜中に含まれる。
【0031】
一実施形態において、生物活性薬剤の組成物ならびにこれを調合及び送達するための方法は、微小突起送達装置を使用した経皮送達に特に好適であり、ここで生物活性薬剤は、乾燥した不活性雰囲気、好ましくは窒素と、部分真空と、乾燥剤又は酸素吸収剤とを有するホイルで裏打ちされたチャンバ内に製造及び/又は包装される生体適合性被膜中に含まれる。
【0032】
好ましい実施形態において、生物活性薬剤はhPTHを含む。特に好ましい形態は、hPTH(1−34)及びその類似体である。
【0033】
別の好ましい実施形態において、結果として得られる安定な生物活性薬剤の剤形は、少なくとも1つの角質層穿刺微小突起、好ましくは複数の角質層穿刺微小突起、又はこれらのアレイ、又は送達装置を被膜するために使用される生体適合性被膜中に組み込まれる。一般的には被膜工程は、例えばその開示が参照により本明細書に援用される、トラウトマン(Trautman)らの米国特許出願公開第2002/0132054号明細書に開示されるように、一連の被膜工程において、各被膜工程間に乾燥工程を伴い行われる。被膜された微小突起は、乾燥した不活性雰囲気中及び/又は部分真空中で包装される。
【0034】
本発明のさらなる実施形態に従えば、安定な生物活性薬剤を経皮的に送達するための器具又は装置は、角質層を通じて下層の表皮層、又は表皮層及び真皮層まで穿刺するよう構成された複数の微小突起を備える微小突起部材を含み、生体適合性被膜が塗着された微小突起部材は安定な生物活性薬剤を含む剤形を含む。
【0035】
本発明の一実施形態に従えば、生物活性薬剤の剤形を製造するための方法は、(i)複数の微小突起を有する微小突起部材を提供する工程と、(ii)生物活性薬剤の剤形を提供する工程と、(iii)生物活性薬剤の剤形を含む生体適合性被膜剤形を形成する工程と、(iv)微小突起部材を生体適合性被膜剤形で被膜して生体適合性被膜を形成する工程と、及び(v)生体適合性被膜を乾燥した不活性雰囲気条件下及び/又は部分真空下で包装する工程とを含む。好ましい実施形態において、包装する工程には乾燥剤が含まれる。
【0036】
本発明の一実施形態に従えば、生物活性薬剤の剤形を送達するための方法は、(i)複数の微小突起を有する微小突起部材を提供する工程と、(ii)生物活性薬剤の剤形を提供する工程と、(iii)生物活性薬剤の剤形を含む生体適合性被膜剤形を形成する工程と、(iv)微小突起部材を生体適合性被膜剤形で被膜して生体適合性被膜を形成する工程と、(v)生体適合性被膜を乾燥した不活性雰囲気条件下及び/又は部分真空下で包装する工程と、及び(vi)被膜された微小突起部材を対象者の皮膚に施用する工程とを含む。好ましい実施形態において、包装する工程には乾燥剤が含まれる。
【0037】
さらなる特徴及び利点が、添付の図面に図示される、本発明の好ましい実施形態の以下のより詳細な説明から明らかとなるであろうとともに、図面において同様に参照される符号は概して、全図にわたり同じ部品又は要素を参照する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本発明を詳細に記載する前に、本発明は特に例示される材料、剤形、方法又は構造に限定されず、そのため当然ながら、変わり得ることは理解されたい。従って、本発明の実施においては、本明細書に記載されるものと類似した、又は等価な数多くの材料及び方法が使用可能であるものの、本明細書には好ましい材料及び方法が記載される。
【0039】
また、本明細書で使用される専門用語は本発明の特定の実施形態を記載することをあくまでも目的としており、限定を意図したものではないことも理解されたい。
【0040】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての科学技術用語は、本発明の関わる当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0041】
さらに、本明細書に引用される全ての刊行物、特許及び特許出願は、上記のものであろうと下記のものであろうと、全体として参照により本明細書に援用される。
【0042】
最後に、本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「a」、「an」及び「the」は、内容が特に明確に指示しない限り、複数への参照を含むものとする。従って、例えば、「治療剤」への参照は、2つ以上の当該薬剤を含み、「微小突起」への参照は、2つ以上の当該微小突起を含むことなどとする。
【0043】
定義
用語「分解」は、本明細書で使用される場合、生物学的薬剤の純度が開始時点から低下することを意味する。
【0044】
用語「乾燥剤」及び「酸素吸収剤」は本明細書では同義的に使用される。文脈から特に明確とならない限り、上記の用語は水を吸収する薬剤、通常は化学的薬剤を参照する。
【0045】
用語「経皮的」は、本明細書で使用されるとき、局所又は全身治療のための皮膚への、及び/又は皮膚を通じた薬剤の送達を意味する。
【0046】
用語「劣化する」は、本明細書で使用されるとき、生物活性薬剤の質、特性、又は価値が弱まるか、又は損なわれることを意味する。
【0047】
用語「最小限に抑える」もまた、本明細書で使用されるとき、低減することを意味する。
【0048】
用語「経皮流量」は、本明細書で使用されるとき、経皮送達速度を意味する。
【0049】
用語「安定な」は、薬剤の剤形を参照して本明細書で使用される場合、その薬剤の剤形が、分解、崩壊、又は不活化を含む過度の化学的又は物理的変化を被らないことを意味する。「安定な」は、被膜に参照して本明細書で使用されるときもまた、機械的に安定である、すなわち被膜が堆積される表面からの過度な移動又は喪失を被らないことを意味する。
【0050】
用語「治療剤」及び「薬剤」は、本明細書で使用される場合、治療有効量で投与されるとき薬学的に有効な、薬学的に活性な薬剤及び/又は活性薬剤を含む物質の組成物又は混合物を意味し、および含む。生物学的に活性な活性薬剤の具体例はhPTHである。2種以上の「薬剤」が本発明の治療剤の剤形に組み込まれ得るとともに、用語「薬剤」及び「治療剤」は2種以上の当該薬剤の使用を排除しないことは理解されたい。
【0051】
用語「治療上有効な」又は「治療有効量」は、本明細書で使用される場合、所望の有益な効果を刺激するか、又は開始させるために必要な生物活性薬剤の量を指す。本発明の被膜に用いられる生物活性薬剤の量は、所望の効果を実現するために必要な生物活性薬剤量の送達に必要とされる量であろう。実際には被膜に用いられる生物活性薬剤の量は、送達される特定の生物活性薬剤、送達部位、及び生物活性薬剤の皮膚組織への送達上の溶解及び放出動態によって幅広く変動するであろう。
【0052】
用語「被膜剤形」は、本明細書で使用される場合、自在に浮遊する組成物又は混合物を意味し、および含み、1つ又は複数の微小突起及び/又はアレイを含む送達表面を被膜するために用いられる。
【0053】
用語「生体適合性被膜」は、本明細書で使用される場合、十分な付着特性を有し、生物活性薬剤との有害な相互作用を一切(又は最小限しか)有しない「被膜剤形」から形成される被膜を意味し、および含む。
【0054】
用語「微小突起」は、本明細書で使用される場合、生体動物、特に哺乳動物、及びより詳細にはヒトの皮膚の角質層内まで、及び/又は角質層を通じて下層の表皮層、又は表皮及び真皮層内まで穿刺又は切開するように構成された穿刺要素を指す。
【0055】
用語「微小突起部材」は、本明細書で使用される場合、概して、角質層を穿刺するためのアレイ状に配列された複数の微小突起を含む微小突起アレイを示す。微小突起部材は、薄板から複数の微小突起をエッチングするか、又は打ち抜くとともに、板の平面から微小突起を畳み込むか、又は折り曲げて構造を形成することにより形成され得る。微小突起部材はまた、例えば、全体として参照により本明細書に援用される米国特許第6,050,988号明細書に開示されるように、他の周知の方式でも、各縁に沿って微小突起を有する1つ又は複数のストリップを形成することによっても形成され得る。
【0056】
本発明で用いられ得る微小突起部材としては、限定はされないが、全体として参照により本明細書に援用される、米国特許第6,083,196号明細書、同第6,050,988号明細書及び同第6,091,975号明細書、及び米国特許出願公開第2002/0016562号明細書に開示される部材を含む。当業者により理解され得るように、微小突起アレイが用いられる場合、送達される治療剤の用量もまた、微小突起アレイ(又はパッチ)のサイズ、密度等を変化させることにより変更又は操作され得る。
【0057】
上記の背景技術の節において考察されたように、微小突起の関わる送達装置向けの現行の製造及び包装工程は、特に米国特許出願公開第2002/0128599号明細書に記載されるように、微小突起の剤形による被膜が微小突起上で剤形を乾燥させることによる場合に問題となる。剤形は通常、水性剤形である。乾燥工程中、全ての揮発性物質は、水を含めほとんどが除去されるが、最終固形被膜はなお、一般的には約3%の水を含む。水の存在は、加水分解を原因とする剤形中の生物活性薬剤の劣化につながり得る。
【0058】
現行の製造及び包装工程はまた、各段階において酸素が存在することも問題となる。製造段階は比較的短時間であるものの、包装及び保管段階は相当長くなり得る。経皮送達装置が使用されるまでの保管時間は長期にわたる可能性がある(すなわち、数ヶ月の長い有効期間も珍しくない)。従って、被膜中の生物活性薬剤は酸化及び劣化を被りやすい。
【0059】
本出願の目的上、用語「包装」又は「包装する」への参照は、「保管」又は「保管する」への参照も含むよう理解されるものとする。従って、物理的安定化、特に生物活性薬剤の剤形の経過時間中の酸化及び加水分解に対する曝露を最小限に抑えることは、特に治療剤の送達様式が薬剤含有生体適合性被膜で被膜された複数の微小突起を有する経皮送達装置を介したものである場合には、治療剤の有効性を保証するうえで重要な工程である。
【0060】
しかしながら、上記の刊行物は、酸素感受性生物活性薬剤の剤形を物理的に安定化させ、特に、経皮送達装置を包装する間の酸素の存在、及び結果としてもたらされる生物活性薬剤の不要な酸化を軽減又は除去する剤形、又はそのための技術を開示していない。特に、上記の刊行物は、生物活性薬剤含有経皮送達装置を乾燥した不活性雰囲気中(本質的に非含水)で製造及び/又は包装することにより、経過時間中の酸化に起因する望ましくない変化に対する安定性を剤形に付与して生物活性薬剤を物理的に安定化させる剤形、又はそのための技術を開示していない。
【0061】
上記の刊行物はまた、水感受性生物活性薬剤の剤形を物理的に安定化させ、特に、経皮送達装置を包装する間の水の存在、及び結果としてもたらされる生物活性薬剤の不要な加水分解を軽減又は除去する剤形、又はそのための技術も開示していない。特に、上記の刊行物は、生物活性薬剤含有経皮送達装置を部分真空中で製造及び/又は包装することにより、経過時間中の加水分解に起因する望ましくない変化に対する安定性を剤形に付与して生物活性薬剤を物理的に安定化させる剤形、又はそのための技術を開示していない。
【0062】
生物活性薬剤の当該治療剤形の向上した物理的安定性は、治療剤それ自体の保管又は有効期間を延長するという利点を提供するのみならず、本発明のならびにこれを調合及び送達するための方法に従い安定化されると、この治療剤はより幅広い候補剤形中で、及びより多様な治療剤送達手段において有用となるという点で、その有効性も亢進される。
【0063】
上記に指摘されるように、本発明は、物理的安定性が亢進した生物活性薬剤の組成物ならびにこれを調合及び送達するための方法を含むとともに、ここで酸素及び/又は水の存在による劣化は最小限に抑えられるか、及び/又は制御される。生物活性薬剤の剤形の組成物ならびにこれを調合及び送達するための方法はさらに、不純物及び酸化副産物を最小限に抑えるか、及び/又は制御することにより均質且つ予測可能な組成物の生産を可能にする。本発明の生物活性薬剤の剤形組成物ならびにこれを調合及び送達するための方法はさらに、送達装置の1つ又は複数の角質層穿刺微小突起を被膜するために用いられ得る生体適合性被膜中に剤形を組み込むことで生体適合性被膜の対象者の皮膚を通じた送達を促進し、ひいては生物活性薬剤の効果的な送達手段が提供される。
【0064】
しかしながら、上記の刊行物も、いかなる他の既知の文献も、酸素感受性生物活性薬剤の剤形を物理的に安定化させ、特に、経皮送達装置を包装する間の酸素の存在、及び結果としてもたらされる生物活性薬剤の不要な酸化を軽減又は除去する剤形、又はそのための技術を開示していない。特に、上記の刊行物も、いかなる他の既知の文献も、生物活性薬剤含有経皮送達装置を乾燥した不活性雰囲気中(本質的に非含水)で製造及び/又は包装することにより、経過時間中の酸化に起因する望ましくない変化に対する安定性を剤形に付与して生物活性薬剤を物理的に安定化させる剤形、又はそのための技術を開示していない。
【0065】
また、上記の刊行物も、いかなる他の既知の文献も、水感受性生物活性薬剤の剤形を物理的に安定化させ、特に、経皮送達装置を包装する間の水の存在、及び結果としてもたらされる生物活性薬剤の不要な加水分解を軽減又は除去する剤形、又はそのための技術を開示していない。特に、上記の刊行物も、いかなる他の既知の文献も、生物活性薬剤含有経皮送達装置を部分真空中で製造及び/又は包装することにより、経過時間中の加水分解に起因する望ましくない変化に対する安定性を剤形に付与して生物活性薬剤を物理的に安定化させる剤形、又はそのための技術を開示していない。
【0066】
生物活性薬剤の当該治療剤形の向上した物理的安定性は、治療剤それ自体の保管又は有効期間を延長するという利益を提供するのみならず、本発明の組成物ならびにこれを調合及び送達するための方法に従い安定化されると、この治療剤はより幅広い候補剤形中で、及びより多様な治療剤送達手段において有用となるという点で、その有効性も亢進される。
【0067】
一実施形態に従えば、本発明は、乾燥した不活性雰囲気中で製造及び/又は包装することにより酸素及び/又は水による劣化が最小限に抑えられるか、及び/又は制御されるような生物活性薬剤の剤形を含む。好ましくは、生物活性薬剤は、乾燥した不活性雰囲気中、乾燥剤の存在下で封入される。より好ましくは、生物活性薬剤は乾燥した不活性雰囲気中、乾燥剤の存在下、ホイルで裏打ちされたチャンバ内に封入される。
【0068】
一実施形態に従えば、本発明は、部分真空中で製造及び/又は包装することにより酸素及び/又は水による劣化が最小限に抑えられるか、及び/又は制御されるような生物活性薬剤の剤形を含む。好ましくは、生物活性薬剤は、部分真空中、乾燥剤の存在下で封入される。より好ましくは、生物活性薬剤は、部分真空中、乾燥剤の存在下、ホイルで裏打ちされたチャンバ内に封入される。
【0069】
一実施形態に従えば、本発明は、乾燥した不活性雰囲気及び部分真空中で製造及び/又は包装することにより酸素及び/又は水による劣化が最小限に抑えられるか、及び/又は制御されるような生物活性薬剤の剤形を含む。好ましくは、生物活性薬剤は、乾燥した不活性雰囲気及び部分真空中、乾燥剤の存在下で封入される。より好ましくは、生物活性薬剤は、乾燥した不活性雰囲気及び部分真空中、乾燥剤の存在下、ホイルで裏打ちされたチャンバ内に封入される。
【0070】
概して、記載される本発明の実施形態において、乾燥した不活性雰囲気は窒素であるが、当業者に周知の任意の他の不活性雰囲気、例えばアルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、二酸化炭素などであってもよい。製品の安定性を向上させるため、不活性雰囲気は本質的に非含水でなければならない。例えば、本質的に非含水の窒素ガス(乾燥窒素ガス)は、液体窒素を電気的に制御して沸騰させることにより非常に単純に調製され得る。パージ系の使用によってもまた、水分又は酸素の含量を低減できる。
【0071】
部分真空下での包装は当業者に周知である。部分真空の好ましい範囲は、約0.01〜約0.3気圧である。
【0072】
上記に考察されるように、生物活性薬剤の剤形は一般に、米国特許出願公開第2002/0128599号明細書に記載されるように、微小突起上の剤形を乾燥させることにより固形被膜として調製される。剤形は通常、水性剤形である。乾燥工程中、全ての揮発性物質は、水を含めほとんど除去されるが、最終固形被膜はなお、一般的には約3%の水を含む。
【0073】
本発明は、剤形中に存在する酸素及び/又は水の含量を低減する。酸素及び/又は水の含量は、乾燥した不活性雰囲気及び/又は部分真空の使用により低減される。微小突起アレイ上の固形被膜中に、薬物は一般的には、単位用量当たり約1mg未満の量で存在する。賦形剤を添加しても、固形被膜の総質量は単位用量当たり3mg未満である。アレイは通常、粘着基材上に存在し、基材は使い捨てのポリマー製リテーナリングに装着される。このアセンブリがポーチ又はポリマー製ハウジング内に個々に包装される。アセンブリに加え、この包装は、少なくとも3mLの容積に相当する死容積(dead volume)を含む。この大きい容積(被膜の容積と比較したとき)が水の部分的シンクとして働く。例えば、摂氏20度であれば、3mLの大気中にその蒸気圧の結果として存在する水の量は飽和状態で約0.05mgとなり、これは一般的には、乾燥後の固形被膜中に存在する残留水の量である。従って、乾燥した不活性雰囲気中及び/又は部分真空中で保管すれば被膜の含水量はさらに低減され、結果として安定性が向上するであろう。
【0074】
加えて、乾燥剤及び酸素吸収剤が包装中に組み込まれることで、酸素及び水の含量がさらに低減され得る。乾燥剤又は酸素吸収剤は、当業者に周知の任意のものであり得る。いくつかの一般的な乾燥剤又は酸素吸収剤としては、限定はされないが、酸化カルシウム、クレイ乾燥剤、硫酸カルシウム、及びシリカゲルを含む。乾燥剤又は酸素吸収剤は好ましくは、生物活性薬剤含有剤形と共に不活性雰囲気の存在下、ホイルで裏打ちされたチャンバ内に置くことのできるものである。
【0075】
生物活性薬剤の剤形は好ましくは、生物活性薬剤の剤形調製後、及び好ましくは生物活性薬剤の剤形の微小突起アレイ送達装置への被膜後に、ホイルで裏打ちされたチャンバ内に包装される。一実施形態において、被膜された送達装置は、図6に図示されるとともに以下の実施例の節においてさらに詳細に考察されるように、ホイルで裏打ちされたチャンバ内に置かれる。この実施形態において、乾燥剤又は酸素吸収剤はホイル製の蓋に装着され、チャンバが乾燥窒素でパージされてからホイル製送達装置封入ホイル製チャンバがホイル製の蓋で密封される。
【0076】
治療剤
当該技術分野においては、多種多様な生物活性薬剤が、当該治療剤により有益な作用を受け得る病態の患者に適切に送達される場合に治療利益を有することが知られている。
【0077】
好適な生物活性薬剤としては、例えば抗生物質及び抗ウイルス剤などの抗感染薬;フェンタニル、スフェンタニル、レミフェンタニル、ブプレノルフィン及び鎮痛剤化合物を含む鎮痛剤;麻酔薬;摂食障害薬;抗関節炎薬;例えばテルブタリンなどの抗喘息薬;抗痙攣薬;抗うつ薬;抗糖尿病薬;止痢薬;抗ヒスタミン薬;抗炎症剤;抗片頭痛製剤;例えばスコポラミン及びオンダンセトロンなどの抗動揺病製剤;制嘔吐薬;抗新生物薬;抗パーキンソン薬;鎮痒薬;抗精神病薬;解熱薬;胃腸及び尿路用を含む鎮痙剤;抗コリン薬;交感神経作動薬(sympathomimetrics);キサンチン誘導体;ニフェジピンなどのカルシウムチャネル遮断薬を含む心血管系製剤;β遮断薬;例えばドブタミン及びリトドリンなどのβ作動薬;抗不整脈薬;例えばアテノロールなどの降圧薬;例えばラニチジンなどのACE阻害薬;利尿薬;全身、冠動脈、末梢、及び脳を含む血管拡張薬;中枢神経系刺激薬;感冒薬;鬱血除去薬;診断薬;例えば副甲状腺ホルモンなどのホルモン;催眠薬;免疫抑制薬;筋弛緩薬;副交感神経遮断薬;副交感神経作動薬;プロスタグランジン;タンパク質;ペプチド;精神刺激薬;鎮静薬;及びトランキライザーを含む、全ての主要な治療分野における治療剤を含むが、これらに限定されない。他の好適な薬剤としては、血管収縮薬、抗治癒薬及び経路開存性調節薬を含む。
【0078】
薬剤のさらなる具体例としては、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、成長ホルモン放出因子(GHRF)、インスリン、インスルトロピン、カルシトニン、オクトレオチド、エンドルフィン、TRN、NT−36(化学名:N−[[(s)−4−オキソ−2−アゼチジニル]カルボニル]−L−ヒスチジル−L−プロリンアミド)、リプレシン、下垂体ホルモン(例えば、HGH、HMG、酢酸デスモプレシン等)、卵胞ルテオイド、αANF、成長因子放出因子(GFRF)などの成長因子、βMSH、GH、ソマトスタチン、ブラジキニン、ソマトトロピン、血小板由来成長因子放出因子、アスパラギナーゼ、硫酸ブレオマイシン、キモパパイン、コレシストキニン、絨毛性ゴナドトロピン、エリスロポエチン、エポプロステノール(血小板凝集阻害剤)、グルカゴン、HCG、ヒルログ、ヒアルロニダーゼ、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、インターロイキン、インターロイキン−10(IL−10)、エリスロポエチン(EPO)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、グルカゴン、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、LHRH類似体(ゴセレリン、ロイプロリド、ブセレリン、トリプトレリン、ゴナドレリン、及びナファレリン(napfarelin)、メノトロピン(ウロフォリトロピン(FSH)及びLH)など)、オキシトシン、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノーゲンアクチベーター、ウロキナーゼ、バソプレッシン、デアミノ[Val4、D−Arg8]アルギニンバソプレッシン、デスモプレシン、コルチコトロピン(ACTH)、ACTH(1−24)などのACTH類似体、ANP、ANPクリアランス阻害剤、アンジオテンシンII拮抗薬、抗利尿ホルモン作動薬、ブラジキン(bradykinn)拮抗薬、セレダーゼ、CSI、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、エンケファリン、FAB断片、IgEペプチド抑制因子、IGF−1、神経栄養因子、コロニー刺激因子、副甲状腺ホルモン及び作動薬、副甲状腺ホルモン拮抗薬、副甲状腺ホルモン(PTH)、PTH(1−34)などのPTH類似体、プロスタグランジン拮抗薬、ペンチゲチド、プロテインC、プロテイン質S、レニン阻害剤、チモシンα−1、血栓溶解剤、TNF、バソプレッシン拮抗薬類似体、α1−アンチトリプシン(組換え)、及びTGF−βを含むが、これらに限定されない。
【0079】
生物活性薬剤はまた、ウイルス及び細菌、タンパク質ベースワクチン、多糖ベースワクチン、核酸ベースワクチン、及び他の抗原剤などのワクチンも含む。好適な抗原剤としては、タンパク質、多糖結合体、オリゴ糖、及びリポタンパク質の形態の抗原を含むが、これらに限定されない。これらのサブユニットワクチンは、百日咳菌(Bordetella pertussis)(組換えPTワクチン(accince)−無細胞)、破傷風菌(Clostridium tetani)(精製、組換え)、ジフテリア菌(Corynebacterium diptheriae)(精製、組換え)、サイトメガロウイルス(糖タンパク質サブユニット)、A群連鎖球菌(糖タンパク質サブユニット、破傷風トキソイドを伴う複合糖質A群多糖、毒性サブユニット担体と結合したMタンパク質/ペプチド、Mタンパク質、多価型特異的エピトープ、システインプロテアーゼ、C5aペプチダーゼ)、B型肝炎ウイルス(組換えPre S1、Pre−S2、S、組換えコアタンパク質)、C型肝炎ウイルス(組換え発現表面タンパク質及びエピトープ)、ヒトパピローマウイルス(カプシドタンパク質、TA−GN組換えタンパク質L2及びE7[HPV−6由来]、HPV−11由来のMEDI−501組換えVLP L1、四価組換えBLP L1[HPV−6由来]、HPV−11、HPV−16、及びHPV−18、LAMP−E7[HPV−16由来])、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)(精製細菌の表面タンパク質)、髄膜炎菌(Neisseria meningitides)(破傷風トキソイドを伴う複合糖質)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(合成ペプチド)、風疹ウイルス(合成ペプチド)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)(B群髄膜炎菌OMPと結合した複合糖質[1、4、5、6B、9N、14、18C、19V、23F]、CRM197と結合した複合糖質[4、6B、9V、14、18C、19F、23F]、CRM1970と結合した複合糖質[1、4、5、6B、9V、14、18C、19F、23F]、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)(表面リポタンパク質)、水痘帯状疱疹ウイルス(サブユニット、糖タンパク質)、及びコレラ菌(Vibrio cholerae)(複合リポ多糖)を含む。
【0080】
完全なウイルス又は細菌は、例えばサイトメガロウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒトパピローマウイルス、風疹ウイルス、及び水痘帯状疱疹の弱毒化又は死滅ウイルス、例えば百日咳菌、破傷風菌、ジフテリア菌(corynebacterium diptheriae)、A群連鎖球菌、レジオネラ・ニューモフィラ、髄膜炎菌(neisseria meningitdis)、緑膿菌、肺炎連鎖球菌、梅毒トレポネーマ、及びコレラ菌の弱毒化又は死滅細菌、及びこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
【0081】
抗原剤を含むさらなる市販のワクチンとしては、インフルエンザワクチン、ライム病ワクチン、狂犬病ワクチン、麻疹ワクチン、ムンプスワクチン、水痘ワクチン、天然痘ワクチン、肝炎(hepatitus)ワクチン、百日咳ワクチン、及びジフテリア(diptheria)ワクチンを含むが、これらに限定されない。
【0082】
核酸を含むワクチンとしては、例えばスーパーコイルプラスミドDNA、直鎖プラスミドDNA、コスミド、細菌人工染色体(BAC)、酵母人工染色体(YAC)、哺乳類人工染色体などの一本鎖及び二本鎖核酸、及び例えばmRNAなどのRNA分子を含むが、これらに限定されない。核酸のサイズは、数千キロベースに至ることもあり得る。加えて、本発明のある実施形態において、核酸はタンパク質性薬剤と共役し得るか、又は1つ又は複数の化学修飾、例えば、ホスホロチオエート部分などを含み得る。核酸のコード配列は抗原の配列を含み、これに対する免疫応答が所望される。加えて、DNAの場合、プロモーター及びポリアデニル化配列もまたワクチン構成物中に組み込まれる。コードされ得る抗原としては、感染症、病原体、ならびに癌抗原の全ての抗原成分を含む。従って核酸には、例えば、感染症、癌、アレルギー、自己免疫疾患、及び炎症性疾患の分野における適用が見出される。
【0083】
ワクチン抗原と共にワクチンを含み得る好適な免疫応答増強アジュバントとしては、リン酸アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム、藻類グルカン(β−グルカン)、コレラ毒素Bサブユニット、CRL1005(平均値がx=8及びy=205のABAブロックポリマー)、γイヌリン(直鎖(非分枝)β−D(2−>1)ポリフルクトフラノキシル−α−D−グルコース)、ゲルブアジュバント(N−アセチルグルコサミン−(β1−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−グルタミン(GMDP))、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロリド(DDA)、亜鉛L−プロリン塩複合体(Zn−Pro−8)、イミキモド(1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン、ImmTher(登録商標:N−アセチルグルコサミニル(acetylglucoaminyl)−N−アセチルムラミル−L−Ala−D−イソGlu−L−Ala−グリセロールジパルミテート)、MTP−PEリポソーム(C5910819PNa−3HO(MTP))、ムラメチド(Nac−Mur−L−Ala−D−Gln−OCH)、プルラン(β−グルカン)、QS−21、S−28463(4−アミノ−a,a−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−エタノール)、スクラボペプチド(VQGEESNDK・HCl(IL−1β 163−171ペプチド))、及びスレオニル−MDP(Termurtide(登録商標):N−アセチルムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン)、及びインターロイキン18、IL−2、IL−12、IL−15を含み、アジュバントとしてはまた、例えばCpG含有オリゴヌクレオチドなどのDNAオリゴヌクレオチドも含む。加えて、IL−18、IL−2、IL−12、IL−15、IL−4、IL10、γインターフェロン、及びNFκB調節シグナル伝達タンパク質などの免疫調節性リンホカインをコードする核酸配列が使用されてもよい。
【0084】
別の実施形態においては、好適な対イオンが剤形に添加され、剤形の安定性をさらに向上させる。正味正に帯電した生物活性薬剤を伴う剤形に好適な対イオンの例としては、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、ペンタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヘプタン酸塩、レブリン酸塩、塩化物、臭化物、クエン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、グリコール酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、3−ヒドロキシイソ酪酸塩、2−ヒドロキシイソ酪酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、ピルビン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、タルトロン酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、硫酸塩、及びスルホン酸塩を含むが、これらに限定されない。好ましくは、対イオン混合物は生物活性薬剤の剤形に対し、生物活性薬剤の正味電荷を中和するのに十分な量で添加される。しかしながら、過剰な対イオン混合物(酸又は共役酸塩基のいずれかとして)が生物活性薬剤に添加されてもよい。
【0085】
本発明の別の実施形態において、生物活性薬剤が正味の負電荷を保有し、対イオン混合物が好ましくは、溶液pHにおいて正味の正電荷を保有する。負に帯電した生物活性薬剤の例としては、pH範囲が6〜14のインスリン、pH範囲が6〜14のVEGF、及びpH範囲が6〜14のインスリノトロピンを含む。
【0086】
上記の実施形態において、正味負に帯電した生物活性薬剤を伴う剤形に好適な対イオンの例としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、リジン、ヒスチジン、アルギニン、モルホリン、メチルグルカミン、及びグルコサミンを含むが、これらに限定されない。対イオン又は対イオン混合物は好ましくは生物活性薬剤の剤形に対し、生物活性薬剤の正味電荷を中和するのに十分な量で添加される。しかしながら、過剰な対イオン又は対イオン混合物(塩基又は共役酸塩基のいずれかとして)が生物活性薬剤に添加されてもよい。
【0087】
本発明の特に好ましい実施形態において、生物活性薬剤はhPTHを含む。hPTH剤形は不活性雰囲気、好ましくは窒素中で安定化させることが特に好ましい。
【0088】
好ましい実施形態において、生物活性薬剤及び対イオン(又は対イオン混合物)は溶液又は懸濁液として然るべき溶媒中に調合される。好適な溶媒としては、水、DMSO、エタノール、イソプロパノール、DMF、アセトニトリル、N−メチル−2−ピロリドン、及びこれらの混合物を含む。加えて、生物活性薬剤は、EVA又はPLGAなどの高分子媒体における溶液又は懸濁液中にあってもよい。当該技術分野において周知のように、剤形中にはスクロース及びトレハロースなどの追加的な安定化添加剤が存在し得る。
【0089】
本発明の生物活性薬剤の送達、安定性又は有効性を補助する様々な他の添加剤もまた、本発明の剤形に添加され得る。従って、本発明の組成物及び剤形は、好適なアジュバント、賦形剤、溶媒、塩、界面活性剤、緩衝剤及び他の構成成分を含み得る。当該添加剤の例が、米国特許出願第10/880,702号明細書及び同第10/970,890号明細書に見出され、参照により本明細書に援用される。
【0090】
本発明のさらなる実施形態において、薬剤の溶液又は懸濁液としての調合後の酸素に対する曝露を最小限に抑えるか、又はなくすことにより安定化させた生物活性薬剤は、次に、乾燥させるか、フリーズドライ(又は凍結乾燥)させるか、噴霧乾燥させるか、又は噴霧凍結乾燥させるかして、保管に向け安定化させ得る。
【0091】
本発明の別の好ましい実施形態において、酸素及び水に対する曝露を最小限に抑えるか、又はなくすことにより安定化させた生物活性薬剤の剤形が、1つ又は複数の角質層穿刺微小突起、又はこれらのアレイ、又は送達装置を被膜するために使用される生体適合性被膜剤形中に含まれることで、生物活性薬剤が患者の皮膚を通じて送達される。生体適合性被膜の組成物ならびにこれを調合するための方法が、コルミエ(Cormier)らの米国特許出願公開第2002/0177839号明細書、コルミエ(Cormier)らの米国特許出願公開第2004/0062813号明細書及びトラウトマン(Trautman)らの米国特許出願公開第2002/0132054号明細書に記載され、参照により本明細書に援用される。
【0092】
生物活性薬剤の剤形、特に比較的高分子量のポリペプチド又はタンパク質を含む治療剤については、治療剤を含む生体適合性被膜を調合して、水溶性の生体適合性ポリマーをポリペプチド又はタンパク質と結合又は会合させることが好ましい。特に好ましい方法は、ポリマーのポリペプチド又はタンパク質との結合体を形成することである。ポリマー、例えばPEGのタンパク質及びポリペプチドとの結合は、一般的に溶解度の向上、物理的及び化学的安定性の向上、低凝集性及び流動特性の亢進を結果としてもたらす。タンパク質及びポリ生物活性薬剤のポリマー結合体を有する生体適合性被膜の組成物ならびにこれを調合するための方法が、米国特許出願第10/972,231号明細書に開示され、参照により本明細書に援用される。
【0093】
他のタンパク質ベース治療剤剤形の組成物ならびにこれを調合及び送達するための方法が、2004年7月1日付けで出願された米国仮特許出願第60/585,276号明細書に開示され、その開示は参照により本明細書に援用される。上記の出願は、所望の薬物動態学的送達プロファイルを有するホルモン治療剤ならびにと同様に、生体適合性被膜の剤形の組成物ならびにこれを調合するための方法を開示する。
【0094】
本発明の一実施形態に従えば、安定な生物活性薬剤の剤形を送達するための方法は、(i)複数の微小突起を有する微小突起部材を提供する工程と、(ii)生物活性薬剤の安定化剤形を提供する工程と、(iii)安定化生物活性薬剤の剤形を含む生体適合性被膜剤形を形成する工程と、(iv)微小突起部材を生体適合性被膜剤形で被膜して生体適合性被膜を形成する工程と、(v)生体適合性被膜を乾燥させて安定化させる工程と、及び(vi)被膜された微小突起部材を対象者の皮膚に施用する工程と、を含む。
【0095】
図1は、本発明の組成物ならびにこれを調合及び送達するための方法で使用される角質層穿刺微小突起アレイの実施形態を示す。図1に示されるように、微小突起アレイ5は複数の微小突起10を備える。微小突起10は、開口14を有するシート12から実質的に90度の角度で伸張する。図5に示されるように、シート12は、シート12用基材15を備える送達パッチに組み込まれ得る。基材15はさらに、基材15及び微小突起アレイ5を患者の皮膚に接着するための粘着材16を備え得る。本実施形態において、微小突起10は、シート12の平面から複数の微小突起10をエッチングするか、又は打ち抜くことにより形成される。
【0096】
微小突起アレイ5は、金属、例えばステンレス鋼、チタン、ニッケルチタン合金、又は同様の生体適合性材料、例えばプラスチックから製造され得る。好ましい実施形態において、微小突起アレイはチタンから作製される。金属製微小突起部材が、トラウトマン(Trautman)らの米国特許第6,038,196号明細書、ザック(Zuck)の米国特許第6,050,988号明細書、及びダッドナ(Daddona)らの米国特許第6,091,975号明細書に開示され、参照により本明細書に援用される。
【0097】
本発明で使用され得る他の微小突起部材は、シリコンをエッチングするか、チップエッチング技術を利用するか、又はエッチングされた微細金型を使用してプラスチックを成形することにより形成される。シリコン及びプラスチック製微小突起部材が、ゴッドシャル(Godshall)らの米国特許第5,879,326号明細書に開示され、参照により本明細書に援用される。
【0098】
当該微小突起装置では、生物活性薬剤を有する生体適合性被膜が微小突起に対し一様且つ均等に、好ましくは微小突起だけに限定的に塗布されることが重要である。これにより装置が皮膚に施用され、角質層が穿刺されると、生物活性薬剤が間質液中に溶解可能となる。加えて、一様な被膜により、保管中及び皮膚への刺入中の双方においてより高い機械的安定性が提供される。不十分な、及び/又は不均一な被膜であると、製造及び保管中に剥がれ落ちたり、施用中に皮膚から拭い取られたりする可能性が高くなる。
【0099】
加えて、固形且つ実質的に乾燥した生体適合性被膜により、薬剤の最適な安定性及び有効期間が達成される。しかしながら、被膜溶解及び薬剤放出の動態は数多くの要因に応じて相当に変動し得る。保管安定性を有することに加え、生体適合性被膜は治療剤の所望の放出が可能でなければならないことは容易に理解されるであろう。
【0100】
放出動態プロファイルによっては、長時間(例えば、最長約8時間)、被膜された微小突起を皮膚に穿刺した状態に維持する必要があり得る。これは、粘着材を使用して微小突起部材を皮膚に固定することにより、又は固定式微小突起、例えばその開示が全体として参照により本明細書に援用される、コルミエ(Cormier)らの米国特許第6,230,051号明細書に記載されるものを使用することにより達成され得る。
【0101】
生体適合性被膜の組成物ならびにこれを調合するための方法が、例えば、米国特許出願公開第2002/0128599号明細書、同第2002/0177839号明細書及び同第2004/0115167号明細書に記載され、これらの開示は参照により本明細書に援用される。
【0102】
本発明の一実施形態において、微小突起は浸漬被膜工程を用いて被膜され、これは微小突起を安定な生物活性薬剤の剤形を含む生体適合性被膜溶液中に部分的又は完全に浸漬することによる。あるいは、装置全体が生体適合性被膜溶液中に浸漬されてもよい。
【0103】
多くの場合、被膜中で安定な治療剤は非常に高価であり得る。従って、微小突起の先端のみを被膜することが好ましい。微小突起の先端を被膜する器具及び方法が、トラウトマン(Trautman)らの米国特許出願公開第2002/0132054号明細書に開示される。上記の文献は、被膜を微小突起の先端に限定するローラ被膜機構を開示する。
【0104】
トラウトマンらの文献に記載されるように、この被膜装置は被膜を微小突起のみに塗布し、微小突起が伸張する基板/シート上には塗布しない。これは、活性(又は有効)薬剤が比較的高価で、従って有効薬剤を含む被膜が、微小突起アレイの患者の角質層下に穿刺する部分のみに塗着されるべきである場合に望ましくあり得る。
【0105】
上記の被膜技術は、皮膚穿刺中の微小突起から容易に取り除かれることのない滑らかな被膜を自然に形成するという追加的な利点を有する。微小突起先端の被膜の滑らかな断面が、図2Aにより明確に示される。
【0106】
他の被膜技術、例えばマイクロ流体噴霧又はプリント技術もまた、図2に示されるとように、被膜18を微小突起10の先端に正確に堆積させるために使用できる。
【0107】
本発明の実施に用いられ得る他の被膜方法としては、被膜溶液の微小突起への噴霧を含む。噴霧には、被膜組成物のエアロゾル懸濁液の形成が含まれ得る。一実施形態において、粒度が約10〜約200ピコリットルの液滴を形成するエアロゾル懸濁液が微小突起に噴霧され、続いて乾燥される。
【0108】
微小突起10はさらに、被膜18の容積を収容する、及び/又は増加させるよう構成される手段、例えば、開口(図示せず)、溝(図示せず)、表面の凹凸(図示せず)、又は同様の加工などを含むことができ、この手段は表面積の増加を提供して、その上により多量の被膜を堆積させ得る。
【0109】
ここで図3及び4を参照すると、微小突起アレイ5の代替的実施形態が示される。図3に示されるように、微小突起アレイ5は60〜63で示される部分に分割されてもよく、ここでは各部分に異なる被膜が塗布されるため、単一の微小突起アレイを使用において2種以上の有効薬剤の送達に利用することが可能となる。
【0110】
ここで図4を参照すると、微小突起アレイ5の断面図が示され、ここでは微小突起アレイ5に対し「パターン被膜」が適用されている。図示されるように、微小突起10の各々は、参照符号61〜64で示される、異なる生体適合性被膜及び/又は異なる治療剤で被膜され得る。すなわち、個々の微小突起10に別個の被膜が塗布される。パターン被膜は、微小突起アレイの表面に堆積させる液体を位置決めするための分注系を使用して適用され得る。
【0111】
堆積させる液体の量は好ましくは、0.1〜20ナノリットル/微小突起の範囲である。好適な精密計量液体ディスペンサの例が、米国特許第5,916,524号明細書、同第5,743,960号明細書、同第5,741,554号明細書及び同第5,738,728号明細書に開示され、参照により本明細書に援用される。
【0112】
微小突起被膜溶液はまた、一般に電界の使用により制御される公知の電子弁ディスペンサ、任意の流体駆動手段及び位置決め手段を使用するインクジェット技術の使用によっても塗布され得る。印刷工業からの他の液体分注技術又は当該技術分野において周知の同様の液体分注技術の使用によっても、本発明のパターン被膜は適用され得る。
【0113】
さらに別の好ましい実施形態において、本発明の生物活性薬剤を含む生体適合性被膜を、微小突起部材の少なくとも1つの角質層穿刺微小突起、より好ましくは複数の当該角質層穿刺微小突起に対し塗布する工程は、生体適合性被膜を乾燥させることによりさらに安定化させる工程を含む。乾燥工程は、周囲(室内)温度及び条件で行われ得るか、又は4〜50℃の範囲の温度が用いられ得る。
【0114】
好適な乾燥方法及び器具が、2004年5月19日付けで出願された米国仮特許出願第60/572,861号明細書に開示され、その開示は参照により本明細書に援用される。
【0115】
本発明により、多くの生物学的に活性な活性薬剤が本発明の調合工程及び方法に供されることで、高度に安定した生物活性剤形を提供し得る。本発明の好ましい実施形態において、治療剤はhPTH又はその類似体を含む。
【実施例】
【0116】
以下の研究及び実施例は、本発明の剤形、方法及び工程を示す。実施例は例示目的に過ぎず、いかなる方法によっても本発明の範囲を限定することを意味しない。
【0117】
実施例1
本研究では、乾燥不活性環境によっていかにhPTH(1−34)の安定性が維持可能かについて実証する。hPTH(1−34)の剤形で被膜された角質層穿刺微小突起を有する送達装置が調製された。本系における総投与量の一次包装は、窒素ガスでパージされたヒートシールホイルポーチであった。
【0118】
ヘッドスペースガス試料を採取し、4つに分けて質量分析に供することで、水分、酸素、窒素、及びアルゴンを含む低分子量の揮発性化合物を同定及び定量化するヘッドスペースガス分析を実施することにより、密封ホイルポーチ内の保管環境が評価された。
【0119】
加えて、完全に組立て済みの系(乾燥剤なし)を伴い包装された3つのホイルポーチが、同じ方法で評価された。結果の示すところによれば、ポーチ内部の水分レベルは、それぞれ3.5%及び7%の含水量に相当する26%〜45%RH(表1の22℃において)と、ポーチごとにかなり異なる。特に、5℃で保管された場合には、全ての試料が100%RHに達した。当該湿度は高いと考えられ、hPTH安定性にとって有害であり得る。従って、ヘッドスペース湿度を低減することが必要である。
【0120】
一工程において、リテーナリングを事前に乾燥させるか(組立て前に真空中60℃で少なくとも48時間乾燥させたリング)、又はリテーナリング若しくは粘着材なしに包装した(表2)。水分及び酸素レベルは、事前乾燥させたリテーナリングを伴い包装された試料中では2.2%RHと、大幅に低減した。粘着材又はリングのない系においてもまた、水分レベルは9%RHまで低減した。従って、結果の示すところによれば、リテーナリングは水分源及び酸素源であり、リングが含む相当量の吸着水及び酸素は、ポーチがパージされて密封されるとヘッドスペースガス中に脱着する。これは、リングを事前に乾燥させると、脱着酸素及び水分がポーチ封入前のリングから効果的に除去されることを説明する。
【0121】
別の工程において、乾燥剤がポーチに直接添加され、ここでは、1)タイベック(Tyvek)製小袋で包装された3.5gのミニパックス(Minipax)分子篩、及び2)ホイルポーチの内壁に固定された125mgのデシマックス(Desimax)粘着ラベルの2つの異なるサイズ及び構成の4Å分子篩乾燥剤が使用された。ヘッドスペースの結果(表3)が示すところによれば、3.5gの4Å分子篩がポーチの湿度を低減するうえで効果的である一方、より少ない乾燥剤ラベル(0.25g)の効果は薄い。乾燥剤は周囲空気のなか手動で投入及び処理されてからポーチ封入されたが、少量の乾燥剤ラベルは包装前にすでに水分飽和近くに達していた可能性もある。
【0122】
リテーナリングは水分源であり、十分な量の乾燥剤が必要とされるため、12Macroflux(登録商標)系の内部蒸気レベルが、今回の包装条件、すなわち、被膜アレイ、タイベック製ポーチ、3Å、3.5gの乾燥剤小袋、ホイルポーチ及びNパージという条件下で評価された。表4に要約されるように、%RHは12個全ての試料において1%未満と極めて低く、リテーナリングが保管中に様々な量の水分を放出し得るにもかかわらず、乾燥剤が一貫して内部ヘッドスペースを極めて乾燥した状態に維持するよう機能することを示している。
【0123】
Macroflux(登録商標)PTH系が、1)被膜アレイのみ、Nパージあり、2)完全に組立て済みの系(被膜アレイ+粘着材+リテーナリング)、Nパージあり、3)完全に組立て済みの系+3.5gの乾燥剤小袋、Nパージあり、の3つの包装構成のうちのいずれかでホイルポーチ内に密封された。全ての系が25℃で12ヶ月保管された。試料は、3、6、9、及び12ヶ月で取り出され、逆相RHPLC分析にかけられた。
【0124】
図7は、時間に伴う%PTH純度の変化を要約する。乾燥剤を封入した完全包装系の効果が最良であった。被膜アレイのみを封入する系の効果は十分なものであり、乾燥剤を封入する完全包装系にかなり匹敵するものであった。上述されたヘッドスペース分析によれば、乾燥剤を伴う系における環境%RHが1%未満である一方、乾燥剤を伴わない系においては50%もの高さであり得る。被膜アレイのみの系もまた、10%RH未満(表2)の乾燥環境を提供するが、これは主な水分源であるリテーナリングがないことによる。
【0125】
水(又は水分)は、固形剤形におけるペプチド/タンパク質の安定性に悪影響を及ぼし得ることが知られている。湿った環境は吸湿性のアモルファス被膜による水分吸着を亢進するとともにアモルファスマトリクスを加水分解及び/又は可塑化可能な残留水蒸気の量を増加させ得るため、ガラス転移温度が低下し、且つ分子運動性ならびに固形中の全ての化学反応速度が上昇する。前述の例が示すように、本発明の様々な実施形態が乾燥環境を提供するうえで効果的な手段を提供する。
【0126】
【表1】

【0127】
【表2】

【0128】
【表3】

【0129】
【表4】

【0130】
実施例2
この実施例は、hBNP(1−32)(ヒトB型ナトリウム利尿ペプチド)の剤形で被膜された角質層穿刺微小突起を有する送達装置を適用する。表5は、この実施例に関する安定性の実験研究計画を概括する。乾燥剤、酸素吸収剤の添加、又は系部品の最終包装前の事前乾燥による水分及び酸素の低減効果が、密封ポーチ内で評価された。追加的な強制分解パラメータは最終滅菌であり、増進した安定性データを生成するためにこれが評価された。系は表6に概括される5つの包装構成のうちいずれかで包装され、15又は21kGyの用量及び周囲温度で電子ビーム処理に供された。A群及びB群の長期安定性に関する試料が、2〜8℃又は25℃及び周囲湿度において、最長12ヶ月間に及ぶ5時点まで保管された。他の全ての群は、25℃及び周囲湿度で1ヶ月間保管された。各群から1つの試料が供出され、ヘッドスペース分析にかけられた。他の全ての試料はRP−HPLCにより化学的安定性についてRP−HPLCにより分析され、同様に包装された非照射出荷対照と比較された。
【0131】
ヘッドスペースデータが、包装及び処理条件の詳細と共に表7に要約される。水蒸気濃度は、760トールの全ポーチ圧力及び5又は25℃の仮定下に、%RHに変換された。非照射出荷対照(試料#1)は3通り計測され、計測系の再現性の推定が判定された。500ppm超で検出された全ての気体について再現性は約1%であり、500ppm未満のレベルで検出された気体については再現性は約10%であった。
【0132】
乾燥剤を含む全ての試料について水分レベルは、タイベックなしで同様に包装された系からの前のヘッドスペース分析(約100ppm)に並び、タイベック製ポーチを追加するとポーチヘッドスペース内に少量の水分しか導入されないことが示される。しかしながら、酸素レベルは、同等の系について先に観察された0.2〜0.3%に対し、照射処理前の本研究については0.5%と僅かに高い。照射後の対照系(包装構成A)は、水分レベルは変化しないように見える一方、酸素が10倍低下し、且つ水素が25倍に上昇した。電子ビーム照射とポーチにおけるポリマー種(タイベック及び/又はポリカーボネートリング)との相互作用により遊離基及び水素が副産物として生成され、酸素レベルが低減し得る。生成される遊離基は次にヘッドスペース内で酸素と反応して反応性ペルオキシラジカルを形成し、結果としてペプチドの酸化分解をもたらし得る。
【0133】
真空下で包装された2つの試料(試料#2及び#3)は、ポーチからの酸素、又は程度は小さいものの水分のパージにおいて、それほど効果がなかった。これらの試料は照射後のヘッドスペースにおける酸素がおよそ30倍高かったが、これは照射前にも高かった可能性がある。試料5、6及び7には検出可能なレベルの酸素はなかったが、これは乾燥剤の真空前処理と、試料5についてはこれに続く窒素再充填により、及び試料6及び7については大きな酸素源であることが知られるリテーナリングがないことによる可能性が高い。試料6において検出されたいくらか高い水分レベル(11%RHはなお非常に乾燥していると考えられる)は、乾燥剤がないことに起因する。試料#7(非処理乾燥剤及びリテーナリングなし)には検出可能なレベルの酸素はなかった。試料#7においては、リテーナリングがないにもかかわらず、乾燥剤により放出される酸素が電子ビーム処理後の遊離基により消費され得る。
【0134】
各包装条件から3つの試料が、電子ビーム処理直後のT=0におけるRP−HPLC純度分析に供出された。試料はまとめて平均されたうえ以下で図8に要約され、及び結果が表8のヘッドスペース水分及び酸素と比較される。各条件についての分解プロファイルは図9に要約される。
【0135】
純度は15又は21kGyでの電子ビーム処理後に2〜3%低下し、この低下は、ポーチ内の水分レベルの上昇、及び程度は小さいものの高いレベルの酸素によりさらに悪化する。主要な分解種としての酸化に加え、HPLCでの長い保持時間で観察された酢酸/クエン酸修飾もまた同様に本研究によく見られた。修飾はいくつかのより小さなピークの集合であり、これらを合わせると報告値が求まる。これらの酢酸修飾レベルは先の同様の電子ビーム処理条件(図10)下では観察されなかった。本研究における試料間の1つの違いは、タイベック製インナーポーチ(試料#7を除く)であり、一方、先行研究における試料はタイベックを伴わず包装された。しかしながら、タイベックを伴わず包装された試料#7が、この領域においてタイベックを伴い包装された他の試料(平均=2.2%)とほぼ同じレベルの分解(2.0%)を含んでいることから、タイベックのみが任意のさらなる酢酸/クエン酸修飾を生じさせる可能性は低い。
【0136】
各ポーチ封入/照射条件の試料が4週間、2〜8又は25℃で保管された。各条件についてn=3の試料がRP−HPLCにより分析されたうえ、平均ピーク面積パーセンテージが以下の図に提示される。図11は、T=0の合計ピーク面積hBNP純度値を、窒素パージ又は真空下で包装された1ヶ月安定性データと比較する。
【0137】
非照射対照もまた比較のため40℃の加速温度条件下で保存された。データの示すところによれば、照射工程中T=0でペプチドが損傷されることに加え、電子ビーム処理により分解率もまた上昇し、非照射対照についての40℃の加速保管温度を十分に上回るまでに至る(図11における水色の棒)。1ヶ月試料についての分解プロファイルが図12に提示されるとともに、各条件についてのT=0データと比較される。
【0138】
各条件についての主要な分解種は酸化及び酢酸修飾である。hBNP(3−32)断片が全ての条件に存在したが、これは合計分解ピーク面積の約0.5〜1.0%を占める。真空下で窒素パージを伴わず密封される包装はより一層酸化しやすいように思われる一方、窒素下で密封されるポーチはそれほど酸化を示さない。酢酸修飾は包装条件によって大きく影響されるようには思われない。表9は、試験された全ての包装構成についての25℃での1ヶ月安定性データを要約する。
【0139】
対照試料(試料#1)と比較して、15kGy電子ビームを照射された乾燥剤及び窒素パージを伴うタイベック製インナーポーチ中の包装hBNP被膜系は、結果としてhBNP分解が3%未満となった(試料#2)。窒素パージを伴わず真空下で包装された試料#3及び4においては、より一層の分解が観察された。21kGyにおいて、%純度は既に90%の規格未満である。このデータは、高酸素含量が照射時にペプチド安定性に影響することを示す。試料#5〜7はT=0でより高い安定性を示し、特に試料5及び7については、双方とも極めて低いレベルの水分及び酸素を示している。
【0140】
2〜8℃での1ヶ月の保管後、15kGyで照射された包装構成#2の系は、同じ条件下で保管される非照射対照(試料#1)を0.8%しか上回らない1.4%での穏やかな完全酸化を伴い、93.1%の合計純度を保持した。しかしながら、酢酸/クエン酸修飾は電子ビーム処理の結果として2.2%まで増加した。窒素パージ(試料#3及び4)ではなく真空下で包装された系については、酸化及び酢酸/クエン酸修飾の双方とも上昇して非照射対照値を上回った。真空下で包装されるとともに15又は21kGyで照射された系は、2〜8℃での1ヶ月の保管後、高い酸素ヘッドスペース含量の結果としてのBNP酸化により、90%の合計純度閾値未満に低下した。
【0141】
25℃で保管された系は、2〜8℃で同様に包装/照射された系と比較したとき、より高い保管条件により酸化及び酢酸/クエン酸修飾の双方ともいくらかの上昇を呈した。乾燥剤の真空処理、組立て品を伴わない保管及びタイベック製ポーチを伴わない保管といった追加の包装手段は、酸化分解プロセスを軽減したが、極めて低い湿度及び低いヘッドスペース酸素環境の系(試料#7)に対してさえも、25℃での保管中に形成される酢酸/クエン酸修飾の量にそれほど影響しなかった。
【0142】
酸素吸収剤添加の効果
さらなるhBNP(1−32)被膜送達系が、密封ホイルポーチのヘッドスペースから酸素を除去するよう特別に設計された酸素吸収剤の添加を伴い、及び伴わず、様々なポーチ構成で電子ビーム処理に供された。表11はこの評価について種々の包装構成を概括する。
【0143】
各条件からの系が電子ビーム処理後のRP−HPLC純度分析及びヘッドスペース法のために供出された(表12)。酸素吸収剤(Oスクラバ)を封入する系の湿度は全て、非常に高かった。Oスクラバは鉄ベースであるとともに、ヘッドスペースのOの除去を触媒するうえでより高い湿度を必要とし得る。このため、多くのOスクラバ製品は、O吸収剤と共に水分を放出する塩を含み、比較的高い湿度を維持して意図されたとおりに鉄触媒を機能させるとともにヘッドスペースOを除去する。スクラバを封入する全ての装置が対照装置と比較してより低いレベルの酸素を達成した。
【0144】
電子ビーム処理後、各群からの試料がRP−HPLC純度アッセイにより分析された。合計hBNP純度についての結果が図13に提示されるとともに、主要分解産物についての分解プロファイルが図14に提示される。ヘッドスペース分析が表13において分解プロファイルに対し比較される。非常に少ないヘッドスペース水分(実行#6)又は非常に少ないヘッドスペース酸素(実行#5)は、電子ビーム処理中の酸化又は酢酸修飾による分解を防止する。加えて、ヘッドスペース内に十分なレベルの水分もまたあることで分解機序が促進されない限り、高いレベルのヘッドスペース酸素が必ずしもペプチドを損傷するとは限らない。実行#7は非常に高いレベルのヘッドスペース酸素だが、極めて乾燥した環境(4%RH)によって電子ビーム処理中のペプチドの酸化及び/又は酢酸修飾が防止されている。しかしながら、高レベルのヘッドスペース酸素と中レベルの水分(41%RH)とを伴う実行#1は、酢酸修飾レベルが低度に留まりながらも、合計酸化の劇的な上昇(17%まで)を示す。
【0145】
実行#4及び実行#9の試料が乾燥剤又はOスクラバなしで密封され、実行#4は最初に窒素パージ、次に真空を伴い、及び実行#9は最初に真空、次に窒素を伴った。双方の条件とも電子ビーム処理後に約89%の合計純度と、同等の効果であった。実行#8及び実行#10について、試料が4A分子篩乾燥剤及びOスクラバの双方と共に密封された。実行#8においては、ポーチは最初に窒素でパージされた後、真空であったが、実行#10におけるポーチは最初に真空に供された後、窒素でパージされた。やはり双方の試料セットとも窒素パージ又は真空の順序に関わらず同等の効果で、約92%の合計純度であった。
【0146】
最終滅菌研究#7及び研究#8からのT=0データを線形最小二乗モデルに適合させたところ、hBNP酸化はポーチ内の酸素レベル(P=0.0047)に敏感であったが、水分レベルによっては大きな影響は受けなかった(P=0.9963)ことが示された。対照的に、酢酸修飾経路によるhBNP分解は、ヘッドスペース酸素ではなく(P=0.7260)、水分による影響がより強かった(P=0.0002)。全体として、合計BNP純度は水分により大きく影響され(P=0.0004)、酸素による影響はそれほどではなかった(P=0.0623)。
【0147】
25℃で1ヶ月の保管後、試料がHPLCにより分析された。全ての報告結果は、同様の条件下で包装されたn=3の系についての平均である。図15は、RP−HPLCによる測定時の合計hBNP純度の比較を含む。実行#6及び#7のデータはそれぞれ、最終滅菌研究#7についての試料#2及び#4として求められた。T=0の安定性データから予測されたとおり、実行#1〜#3の効果は薄いままで、最も高い可能性としてはポーチ内部の比較的高い湿度に起因する酢酸修飾(図16)の形成により、分解が最も高かった。表14はヘッドスペース分析及びT=1ヶ月、25℃の安定性データを要約する。ヘッドスペース酸素レベルを低減しなかった包装条件(実行#1、6及び7)についてはBNP酸化が上昇し続け、T=0で検出されるレベルを上回り、25℃での1ヶ月保管後のこれらの3つの条件については倍増した。低いレベルのヘッドスペース酸素(200ppm未満)に維持された他の全ての包装条件(実行#2〜5及び8〜10)は、25℃で1ヵ月後のBNP酸化について、結果として検出可能な上昇はほとんどなかった。従ってT=0では明らかでないものの(例えば実行#6及び7)、高いレベルのヘッドスペース酸素は保管中のBNP酸化率の上昇につながり得る。従って、ポーチ内を低いレベルの酸素に維持することが有益である。
【0148】
実行#1を例外として、高いレベルのヘッドスペース水分を含んだ包装構成は高いレベルの酢酸修飾を含んだ。陰性対照条件下で包装された試料は25℃で1ヶ月の保管後、合計純度がわずか42%と、激しく分解した。他の分解種への酢酸修飾が、分解の進行/さらなる分解の結果として生じ得る。
【0149】
上記のデータは、水分及び酸素に関するポーチ環境の条件が、電子ビーム処理後のBNP分解の重要な寄与因子であることを支持している。図表I及びIIは、本実験により説明される因果関係を要約しようと試みたものである。ポーチ内部の酸素及び水分レベルが高い場合(60%RH超及び1000ppmのO)、電子ビーム処理中にBNPは容易に分解して酸化BNP及び酢酸修飾を形成する。ポーチ内の水分及び酸素の双方を最低限に抑えると、双方の機序によりBNP分解が低減する。しかしながら、双方の機序とも水分レベルに対しより敏感であり、ペプチドの安定性を保つため水分レベルは厳密に低レベルで維持されなければならない。
【0150】
【表5】

【0151】
【表6】

【0152】
【表7】

【0153】
【表8】

【0154】
【表9】

【0155】
【表10】

【0156】
【表11】

【0157】
【表12】

【0158】
【表13】

【0159】
【表14】

【0160】
【表15】

【0161】
【表16】

【0162】
上記は本発明の例示であり、その限定として解釈されるべきではない。本発明は以下の特許請求の範囲により定義され、特許請求の範囲の等価物はこれに含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0163】
【図1】生物活性薬剤の剤形を有する生体適合性被膜を堆積し得る微小突起アレイの一例の一部分の斜視図である。
【図2】図1に示される微小突起アレイの斜視図であり、微小突起上に生体適合性被膜が堆積されている。 図2Aは、図1の線2A−2Aに沿った単一の微小突起の断面図である。
【図3】微小突起アレイの皮膚近位側の概略図であり、本発明に従う微小突起アレイの様々な部分への分割を示す。
【図4】微小突起アレイの皮膚近位側の側平面図であり、本発明に従う微小突起アレイの様々な部分への分割を示す。
【図5】本発明の代替的実施形態を示す微小突起アレイの側断面図であり、ここでは異なる生体適合性被膜が異なる微小突起に塗布され得る。
【図6】乾燥剤を封入したホイル包装の微小突起アレイの斜視図である。
【図7】異なる包装条件におけるMacroflux(登録商標)PTHの長期安定性を示す。
【図8】電子ビーム処理後(T=0)のHPLCによる%BNP純度を示す。
【図9】T=0におけるHPLCによるBNP分解プロファイルを示す。
【図10】先行研究及び本研究からの電子ビーム処理分解プロファイルの比較を示す。
【図11】電子ビーム処理後1ヶ月の安定性データを示す。
【図12】電子ビーム処理後の分解プロファイルを示す。
【図13】合計hBNP%ピーク面積純度(T=0)を示す。
【図14】HPLC分解プロファイル(T=0)を示す。
【図15】合計hBNP%ピーク面積純度(T=1ヶ月、25℃)を示す。
【図16】HPLC分解プロファイル(T=1ヶ月、25℃)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経皮送達装置を製造するための方法であって、
(i)複数の微小突起を有する微小突起部材を提供する工程と、
(ii)生物活性薬剤を含む生体適合性被膜剤形を提供する工程と、
(iii)前記微小突起部材を前記生体適合性被膜剤形で被膜して前記経皮送達装置を形成する工程と、
(iv)前記経皮送達装置を乾燥した不活性雰囲気条件下及び/又は部分真空下で包装する工程と、
を含む方法。
【請求項2】
前記経皮送達装置を包装する工程が乾燥剤を提供する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記乾燥剤が、酸化カルシウム、クレイ乾燥剤、硫酸カルシウム、シリカゲル又はこれらの混合物を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記乾燥した不活性雰囲気が窒素を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記乾燥した不活性雰囲気が、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、二酸化炭素、又はこれらの混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記乾燥した不活性雰囲気が本質的に非含水である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
パージ装置を提供して包装中の水分又は酸素含量を低減する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記経皮送達装置を包装する工程が部分真空下で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
部分真空が約0.01〜約0.3気圧である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
包装する工程がホイルで裏打ちされたチャンバを提供する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記経皮送達装置が前記ホイルで裏打ちされたチャンバ内に封入される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記チャンバがホイル製の蓋を含み、および乾燥剤及び/又は酸素吸収剤が前記ホイル製の蓋に取り付けられ、前記チャンバが前記ホイル製の蓋により密封される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記チャンバが前記チャンバの密封前に乾燥窒素でパージされる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記生物活性薬剤がhPTHを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記生物活性薬剤がhPTH(1−34)及びその類似体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
包装する工程が、前記経皮送達装置を窒素ガスでパージされたホイルポーチにヒートシールする工程を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記経皮送達装置がリングを含み、及び前記方法が、前記リングを事前乾燥させてポーチ封入前に前記リングから脱着酸素及び/又は水分を効果的に除去する工程を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記包装する工程が、前記ポーチに乾燥剤を添加する工程を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記乾燥剤が4Å分子篩乾燥剤を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ポーチがホイルポーチであり、前記乾燥剤がタイベック(Tyvek)製小袋に包装された3.5gのミニパックス(Minipax)分子篩及び前記ホイルポーチの内壁に固定される125mgのデシマックス(Desimax)粘着ラベルを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記生物活性薬剤がhBNP(ヒトB型ナトリウム利尿ペプチド)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記生物活性薬剤がhBNP(1−32)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
包装する工程が、前記経皮送達装置を窒素ガスでパージされたホイルポーチにヒートシールする工程を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記経皮送達装置がリングを含み、及び前記方法が、前記リングを事前乾燥させてポーチ封入前に前記リングから脱着酸素及び/又は水分を効果的に除去する工程を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記包装する工程が、前記ポーチに乾燥剤を添加する工程を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記乾燥剤が4Å分子篩乾燥剤を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記ポーチがホイルポーチであり、前記乾燥剤がタイベック(Tyvek)製小袋に包装された3.5gのミニパックス(Minipax)分子篩及び前記ホイルポーチの内壁に固定される125mgのデシマックス(Desimax)粘着ラベルを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記包装する工程が、前記経皮送達装置を滅菌する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
前記滅菌する工程が、前記経皮送達装置を電子ビーム処理に供する工程を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記生物活性薬剤が、抗感染薬、鎮痛薬、鎮痛化合物、麻酔薬、摂食障害剤、抗関節炎薬、抗喘息薬、抗痙攣薬、抗うつ薬、抗糖尿病薬、止痢薬、抗ヒスタミン薬、抗炎症薬、抗片頭痛剤形、抗動揺病剤形、制嘔吐薬、抗新生物薬、抗パーキンソン薬、鎮痒薬、抗精神病薬、解熱薬、鎮痙薬、抗コリン薬、交感神経作動薬(sympathomimetrics)、キサンチン誘導体、心血管系剤形、β遮断薬、β作動薬、抗不整脈薬(antiarrythmics)、降圧剤、ACE阻害薬、利尿薬、血管拡張薬、中枢神経系刺激薬(central nervous device stimulants)、感冒薬、鬱血除去薬、診断薬、ホルモン、催眠薬、免疫抑制薬、筋弛緩薬、副交感神経遮断薬、副交感神経作動薬(parasympathomimetrics)、プロスタグランジン、タンパク質、ペプチド、精神刺激薬、鎮静薬、トランキライザー、血管収縮薬、抗治癒薬及び経路開存性調節薬から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
前記生物活性薬剤が、抗生物質、抗ウイルス薬、フェンタニル、スフェンタニル、レミフェンタニル、ブプレノルフィン、テルブタリン、スコポラミン、オンダンセトロン、ニフェジピン、ドブタミン、リトドリン、アテノロール、ラニチジン、及び副甲状腺ホルモン、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、成長ホルモン放出因子(GHRF)、インスリン、インスルトロピン、カルシトニン、オクトレオチド、エンドルフィン、TRN、NT−36(化学名:N−[[(s)−4−オキソ−2−アゼチジニル]カルボニル]−L−ヒスチジル−L−プロリンアミド)、リプレシン、下垂体ホルモン(例えば、HGH、HMG、酢酸デスモプレシン等)、卵胞ルテオイド、αANF、成長因子放出因子(GFRF)などの成長因子、βMSH、GH、ソマトスタチン、ブラジキニン、ソマトトロピン、血小板由来成長因子放出因子、アスパラギナーゼ、硫酸ブレオマイシン、キモパパイン、コレシストキニン、絨毛性ゴナドトロピン、エリスロポエチン、エポプロステノール(血小板凝集阻害剤)、グルカゴン、HCG、ヒルログ、ヒアルロニダーゼ、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、インターロイキン、インターロイキン−10(IL−10)、エリスロポエチン(EPO)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、グルカゴン、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、LHRH類似体、ゴセレリン、ロイプロリド、ブセレリン、トリプトレリン、ゴナドレリン、ナファレリン(napfarelin)、メノトロピン(ウロフォリトロピン(FSH)及びLH))、オキシトシン、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノーゲンアクチベーター、ウロキナーゼ、バソプレッシン、デアミノ[Val4、D−Arg8]アルギニンバソプレッシン、デスモプレシン、コルチコトロピン(ACTH)、ACTH(1−24)などのACTH類似体、ANP、ANPクリアランス阻害剤、アンジオテンシンII拮抗薬、抗利尿ホルモン作動薬、ブラジキニン(bradykinn)拮抗薬、セレダーゼ、CSI、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、エンケファリン、FAB断片、IgEペプチド抑制因子、IGF−1、神経栄養因子、コロニー刺激因子、副甲状腺ホルモン及び作動薬、副甲状腺ホルモン拮抗薬、副甲状腺ホルモン(PTH)、PTH(1−34)などのPTH類似体、プロスタグランジン拮抗薬、ペンチゲチド、プロテインC、プロテインS、レニン阻害剤、チモシンα−1、血栓溶解薬、TNF、バソプレッシン拮抗薬類似体、α1−アンチトリプシン(組換え)、およびTGF−βから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記生物活性薬剤がワクチン又は抗原を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項33】
前記生物活性薬剤が、細菌、タンパク質ベースワクチン、多糖ベースワクチン、核酸ベースワクチン、抗原であって、タンパク質、多糖結合体、オリゴ糖、及びリポタンパク質の形態の抗原から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記生物活性薬剤が、百日咳菌(Bordetella pertussis)(組換えPTワクチン(accince)−無細胞)、破傷風菌(Clostridium tetani)(精製、組換え)、ジフテリア菌(Corynebacterium diptheriae)(精製、組換え)、サイトメガロウイルス(糖タンパク質サブユニット)、A群連鎖球菌(糖タンパク質サブユニット、破傷風トキソイドを伴う複合糖質A群多糖、毒性サブユニット担体と結合したMタンパク質/ペプチド、Mタンパク質、多価型特異的エピトープ、システインプロテアーゼ、C5aペプチダーゼ)、B型肝炎ウイルス(組換えPre S1、Pre−S2、S、組換えコアタンパク質)、C型肝炎ウイルス(組換え発現表面タンパク質及びエピトープ)、ヒトパピローマウイルス(カプシドタンパク質、TA−GN組換えタンパク質L2及びE7[HPV−6由来]、HPV−11由来のMEDI−501組換えVLP L1、四価組換えBLP L1[HPV−6由来]、HPV−11、HPV−16、及びHPV−18、LAMP−E7[HPV−16由来])、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)(精製細菌の表面(survace)タンパク質)、髄膜炎菌(Neisseria meningitides)(破傷風トキソイドを伴う複合糖質)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(合成ペプチド)、風疹ウイルス(合成ペプチド)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)(B群髄膜炎菌OMPと結合した複合糖質(glyconconjugate)[1、4、5、6B、9N、14、18C、19V、23F]、CRM197と結合した複合糖質[4、6B、9V、14、18C、19F、23F]、CRM1970と結合した複合糖質[1、4、5、6B、9V、14、18C、19F、23F]、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)(表面リポタンパク質)、水痘帯状疱疹ウイルス(サブユニット、糖タンパク質)、及びコレラ菌(Vibrio cholerae)(複合リポ多糖)から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
前記生物活性薬剤が、弱毒化又は死滅ウイルス、および核酸を含むワクチンであって、一本鎖核酸、二本鎖核酸、スーパーコイルプラスミドDNA、直鎖プラスミドDNA、コスミド、細菌人工染色体(BAC)、酵母人工染色体(YAC)、哺乳類人工染色体、RNA分子及びmRNAを含むワクチンから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
前記生物活性薬剤が前記ワクチン又は抗原と共に1つ又は複数の増強アジュバントをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記1つ又は複数の増強アジュバントが、リン酸アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム、藻類グルカン(β−グルカン)、コレラ毒素Bサブユニット、CRL1005(平均値がx=8及びy=205のABAブロックポリマー)、γイヌリン(直鎖(非分枝)β−D(2−>l)ポリフルクトフラノキシル−α−D−グルコース)、ゲルブアジュバント(N−アセチルグルコサミン−(β 1−4)−N−アセチルムラミル−L−アラニル−D−グルタミン(GMDP))、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロリド(DDA)、亜鉛L−プロリン塩複合体(Zn−Pro−8)、イミキモド(1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン、ImmTher(登録商標:N−アセチルグルコサミニル(acetylglucoaminyl)−N−アセチルムラミル−L−Ala−D−イソGlu−L−Ala−グリセロールジパルミテート)、MTP−PEリポソーム(C5910819PNa−3HO(MTP))、ムラメチド(Nac−Mur−L−Ala−D−Gln−OCH)、プルラン(β−グルカン)、QS−21、S−28463(4−アミノ−a,a−ジメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−エタノール)、スクラボペプチド(VQGEESNDK・HCl(IL−1β 163−171ペプチド))、スレオニル−MDP(Termurtide:登録商標)、N−アセチルムラミル−L−スレオニル−D−イソグルタミン、及びインターロイキン18、IL−2 IL−12、IL−15から選択され、アジュバントはまた、DNAオリゴヌクレオチド、例えば、CpG含有オリゴヌクレオチド、及びIL−18、IL−2 IL−12、IL−15、IL−4、IL10、γインターフェロン、及びNFκB調節シグナル伝達タンパク質などの免疫調節性リンホカインをコードする核酸配列なども含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記生物活性薬剤が1つ又は複数の対イオンをさらに含むことで前記剤形の安定性がさらに向上する、請求項1に記載の方法。
【請求項39】
前記1つ又は複数の対イオンが、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸、ペンタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヘプタン酸塩、レブリン酸塩、塩化物、臭化物、クエン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、グリコール酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、3−ヒドロキシイソ酪酸塩、2−ヒドロキシイソ酪酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、ピルビン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、タルトロン酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、リジン、ヒスチジン、アルギニン、モルホリン、メチルグルカミン、及びグルコサミンから選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
安定な生物活性薬剤の剤形を送達するための方法であって、請求項1に記載の経皮送達装置を調製する工程と、及び前記経皮的装置を前記対象者の皮膚に施用する工程と、を含む方法。
【請求項41】
請求項1に記載の方法により調製される経皮送達装置(deviced)。
【請求項42】
生物活性薬剤の剤形を送達するための方法であって、
(i)複数の微小突起を有する微小突起部材を提供する工程と、
(ii)生物活性薬剤の剤形を提供する工程と、
(iii)前記生物活性薬剤の剤形を含む生体適合性被膜剤形を形成する工程と、
(iv)前記微小突起部材を前記生体適合性被膜剤形で被膜して生体適合性被膜を形成する工程と、
(v)前記生体適合性被膜を乾燥した不活性雰囲気条件及び/又は部分真空下で包装する工程と、
(vi)前記被膜された微小突起部材を前記対象者の皮膚に施用する工程と、
を含む方法。
【請求項43】
薬物送達装置を製造するための方法であって、
(i)基材を提供する工程と、
(ii)生物活性薬剤を含む生体適合性被膜剤形を提供する工程と、
(iii)前記基材を前記生体適合性被膜剤形で被膜して前記薬物送達装置を形成する工程と、
(iv)前記薬物送達装置を乾燥した不活性雰囲気条件及び/又は部分真空下で包装する工程と、
を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図2A】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2009−522288(P2009−522288A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548743(P2008−548743)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際出願番号】PCT/US2006/049488
【国際公開番号】WO2007/084247
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(506353677)アルザ コーポレイション (23)
【Fターム(参考)】