説明

安定な酵素溶液及び製造方法

本発明は、液体洗浄組成物中に含まれる酵素の保存の間の安定化に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、酵素、阻害剤及び阻害剤増強剤を含み、又は包摂する、液体組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
保存安定性の問題は、酵素含有液体洗浄剤等の酵素を含む液体においてよく知られている。これは、プロテアーゼを含む液体洗浄剤に特に当てはまる。先行技術では、例えばプロテアーゼ阻害剤の添加等による保存安定性の改善が広く行われている。
【0003】
ホウ酸及びボロン酸は、可逆的にタンパク質分解酵素を阻害することが知られている。ボロン酸によるセリンプロテアーゼの1つのサブシリシン(subtilisin)の阻害についての考察は、Molecular & Cellular Biochemistry 51 , 1983, pp. 5-32において提供される。
【0004】
ボロン酸は、サブチリシン阻害剤として非常に多様な性能を有する。メチル、ブチル、又は2-シクロヘキシルエチル等のアルキル基しか含まないボロン酸は低効率な阻害剤であり、中でもメチルボロン酸は最も低効率な阻害剤である。一方、フェニル、4-メトキシフェニル、又は3,5-ジクロロフェニル等の芳香族基を担持するボロン酸は良好な阻害剤であり、中でも3,5-ジクロロフェニルボロン酸は顕著に有効である(Keller et al, Biochem. Biophys. Res. Com. 176, 1991 , pp. 401-405を参照されたい)。
【0005】
また、ホウ素に対して3位が置換されたアリールボロン酸も、可逆的なプロテアーゼ阻害剤であることが知られている。WO 92/19707において、アセトアルミドフェニルボロン酸は、タンパク分解酵素の阻害剤として記載されている。
【0006】
更にEP 0 832 174は、フェニルボロン酸に近接する>C=Oでパラ位において置換されたフェニルボロン酸誘導体が液体内の酵素安定化剤として良好な性能を有することを記載する。
【0007】
輸送及び保存の過程で酵素活性を喪失しない洗浄剤組成物を提供するために、不安定な酵素を含む液体酵素組成物を製剤化し、製造し、そして包装することにおいては、改善の余地が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、酵素安定性が改善された液体酵素組成物を提供することである。本発明の更なる目的は、その液体酵素組成物を製造するための方法を提供することである。
【0009】
酵素及びフェニルボロン酸又はフェニルボロン酸誘導体等の阻害剤を含む液体酵素組成物に、可溶性の塩等の阻害剤増強剤を添加することにより、顕著にそれらの阻害剤の効果が改善し、それにより酵素活性に関する酵素の保存安定性が改善することが見出されている。
【0010】
本発明は、酵素成分、フェニルボロン酸成分又はその誘導体、及び水溶性の塩成分を含む、液体酵素組成物を提供する。
【0011】
本発明は、前記液体酵素組成物の製造及び使用に更に関する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、酵素成分、フェニルボロン酸成分又はその誘導体、及び溶解した塩成分を含む液体組成物を提供することにより達成されている。ある態様において、前記酵素成分は、セリンプロテアーゼ等のプロテアーゼである。前記塩成分は、Cu、 Ca、 Mg、 Zn、 Na、K、 NH4、及びそれらの組合せ等のカチオンを含み得る。ある態様において、前記塩成分は、Mg、 Zn、 NH4、及びそれらの組合せからなる群から選択されるカチオンを含み得る。幾つかの態様において、前記塩成分は、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、カルボン酸塩、蟻酸塩(formiate)、及びそれらの組合せを含むアニオンを含む。更に、前記塩成分は、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、及びそれらの組合せ等のアニオンを含み得る。
【0013】
特定の態様において、前記カチオンは、Cu、 Ca、 Mg、 Zn、 Na、 K、 NH4からなる群から選択され、そしてアニオンは、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、カルボン酸塩、及び蟻酸塩からなる群から選択される。
【0014】
幾つかの態様において、前記液体組成物のpHは7〜10.5であり、及び幾つかの態様においては、前記液体組成物のpHは8〜9.5である。
【0015】
幾つかの態様において、前記塩成分は、組成物全体の0.1〜20重量%を占める。
【0016】
また、本開示の目的は、洗濯用洗浄剤組成物又は食器洗浄用組成物等の洗浄剤組成物を提供することにより充足する。
【0017】
また、本発明の目的は:液体を提供し; a)の液体に水溶性の塩を添加し; a)に酵素及びフェニルボロン酸又はそれらの誘導体を、b)と同時に、又はb)の後に添加し;そしてその液体組成物を混合させる工程を含む、液体組成物の製造のためのプロセスを提供することによっても達成される。
【0018】
また、ある態様において、前記プロセスは、そのpHを7〜9.5に、又は8〜9に調整する工程も含む。
【0019】
また、本発明の目的は、本開示に係る組成物で対象を洗浄することによっても充足される。
【0020】
また、本発明の目的は、液体酵素組成物中のフェニルボロン酸又はその誘導体の阻害剤作用を促進又は高進するために、塩成分を使用することによっても充足される。
【0021】
定義
本明細書中で使用されるとき、「%RH」という用語は、空気の相対湿度を指す。100%RHは、一定温度において水分で飽和した空気であり、従って%RHは空気の水分飽和度パーセントを示す。
【0022】
化合物又は物質の「恒湿(constant humidity)」(本発明の文脈において、時折CHと略される)という用語は、全て所定の温度の閉鎖空間内に密閉された、化合物の固相と接触する化合物の飽和水溶液と平衡状態にある大気の%RHを指す。この定義は、"Handbook of chemistry and physics" CRC Press, Inc., Cleveland, USA, 58th edition, p E46, 1977-1978に従う。従って、ある化合物におけるCH20℃=50%は、湿度50%の空気が20℃における化合物の飽和水溶液と平衡状態にあり得ることを意味する。従って、恒湿という用語は、化合物の吸湿性能の指標である。
【0023】
本発明の文脈における化合物の「pH」という用語は、その化合物の10%w/wの水性溶液のpHとして理解されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
好ましい態様の詳細な説明
本開示は、1つ以上の酵素成分、1つ以上の阻害剤、及び1つ以上の阻害剤増強剤を含む液体酵素組成物に関する。阻害剤がボロン酸又はその誘導体であるとき、液体酵素組成物中で塩が阻害剤増強剤として機能することが見出されている。
【0025】
本開示のいかなる見解にも縛られること無く、フェニルボロン酸誘導体の阻害剤効果は、洗浄剤組成物のアルカリpHと高含水比(水活性)との組合せにより負の影響を受けると考えられている。アルカリpHにおいて、前記ボロン酸はその水溶性を増大させる抗塩基反応(antibase-reaction)を経て荷電する。更にこれは、阻害傾向を有する光分解部位への分子の親和性を低下させる。平衡(1):
【0026】
【化1】

【0027】
は、阻害されていないプロテアーゼ(右)にシフトする。
【0028】
EZはプロテアーゼ、Iはその阻害剤、及びEZ[I]は不活性化複合体である。
【0029】
洗浄剤マトリックス中の阻害剤の溶解度が低下することにより、前記平衡(I)は、阻害剤が溶液から沈殿する可能性を減少させる、阻害されたプロテアーゼ複合体(左)にシフトする。
【0030】
ベンゼン環は高い疎水性を有し、故に、洗浄剤組成物に1つ以上の塩成分を添加することは、ベンゼン環が溶液中に留まるのに不都合であり、そしてプロテアーゼの活性部位と相互作用する傾向が高まると考えられている。
【0031】
更に、前記促進効果は、活性部位の阻害剤に対する適合を促進する、プロテアーゼの僅かな構造変化を含み得ると考えられている。
【0032】
阻害剤成分
本開示に係る組成物中には、1つ以上の阻害剤が存在する。ある態様において、本発明に係る酵素阻害剤は、ボロン酸及び/又はその誘導体であり得る。
【0033】
本発明の特定の態様において、前記阻害剤はフェニルボロン酸及び/又はその誘導体である。
【0034】
本発明は、ボロン酸及びその誘導体を含む液体酵素組成物に及ぶ。特定の態様において、本発明は、フェニルボロン酸又はその誘導体を含む液体酵素組成物に及ぶ。
【0035】
本発明の特定の態様において、前記阻害剤はナフタレンボロン酸誘導体である。
【0036】
前記阻害剤成分は、有益な効果を提供するのに十分な量で存在する。ある態様において、前記阻害剤成分は、前記液体組成物全体の0.1〜20重量%(w/w)が添加され、ある態様において、前記組成物全体の0.5〜8重量%(w/w)が添加され、そしてある態様において、前記組成物全体の1〜5重量%(w/w)が添加される。
【0037】
本発明の特定の態様において、阻害剤の量は、前記液体組成物全体の1重量%(w/w)より多い。本発明のより具体的な態様において、阻害剤成分の量は、前記液体組成物全体の1.5重量%(w/w)より多い。本発明の最も具体的な態様において、阻害剤の量は、前記液体組成物全体の2重量%(w/w)より多い。
【0038】
本発明の特定の態様において、前記阻害剤は、組成物全体の少なくとも0.1重量%(w/w)に相当する量が前記液体組成物に添加される。本発明のより具体的な態様において、前記阻害剤は、組成物全体の少なくとも0.5重量%(w/w)に相当する量が前記液体組成物に添加される。なおもより具体的な態様において、前記阻害剤は、組成物全体の少なくとも1重量%(w/w)に相当する量が前記液体組成物に添加される。本発明の最も具体的な態様において、前記阻害剤成分は、組成物全体の少なくとも1.5重量%(w/w)に相当する量が前記液体組成物に添加される。
【0039】
本発明の特定の態様において、前記酵素液体組成物に添加される阻害剤の量は、組成物全体の20重量%(w/w)未満である。本発明のより具体的な態様において、前記酵素液体組成物に添加される阻害剤の量は、組成物全体の15重量%(w/w)未満である。本発明のなおもより具体的な態様において、前記酵素液体組成物に添加される阻害剤の量は、組成物全体の10重量%(w/w)未満である。本発明の最も具体的な態様において、前記酵素液体組成物に添加される阻害剤の量は、組成物全体の5重量%(w/w)未満である。
【0040】
本開示に係る使用のためのフェニルボロン酸誘導体の適切であるが限定的ではない例は、以下の式:
【0041】
【化2】

【0042】
[式中、
Rは水素、ヒドロキシ、C1〜C6アルキル、置換されたC1〜C6アルキル、C1〜C6アルケニル及び置換されたC1〜C6アルケニルからなる群から選択される]
で表される構造を有する。
【0043】
本開示の一の態様において、液体組成物は、酵素成分、及び上に開示した式で表され、RがC1〜C6アルキル、特にRがCH3、CH3CH2、若しくはCH3CH2CH2、又はRが水素であるフェニルボロン酸誘導体酵素阻害剤を含む。本開示の一の態様において、前記酵素の阻害剤は、2−ホルミル−フェニル−ボロン酸(4-FPBA)である。
【0044】
ある態様において、阻害剤の適切な限定されない例には:チオフェン−2ボロン酸、チオフェン−3ボロン酸、アセトアミドフェニルボロン酸、ベンゾフラン−2ボロン酸、ナフタレン−1ボロン酸、ナフタレン−2ボロン酸、2-FPBA、3-FPBA、4-FPBA、1−チアントレンボロン酸、4−ジベンゾフランボロン酸、5−メチルチオフェン−2ボロン酸、チオナフタレンボロン酸、フラン−2ボロン酸、フラン−3ボロン酸、4,4ビフェニル−ジボリン酸、6−ヒドロキシ−2−ナフタレン、4−(メチルチオ)フェニルボロン酸、4(トリメチル−シリル)フェニルボロン酸、3−ブロモチオフェンボロン酸、4−メチルチオフェンボロン酸、2−ナフチルボロン酸、5−ブロモチオフェンボロン酸、5−クロロチオフェンボロン酸、ジメチルチオフェンボロン酸、2−ブロモフェニルボロン酸、3−クロロフェニルボロン酸、3−メトキシ−2−チオフェン、p−メチル−フェニルエチルボロン酸、2−チアントレンボロン酸、ジ−ベンゾチオフェンボロン酸、4−カルボキシフェニルボロン酸、9−アントリルボロン酸、3,5ジクロロフェニルボロン酸、ジフェニルボロン酸無水物、o−クロロフェニルボロン酸、p−クロロフェニルボロン酸、m−ブロモフェニルボロン酸、p−ブロモフェニルボロン酸、p−フルオロフェニルボロン酸、p−トリルボロン酸、o−トリルボロン酸、オクチルボロン酸、1,3,5トリメチルフェニルボロン酸、3−クロロ−4−フルオロフェニルボロン酸、3−アミノフェニルボロン酸、3,5−ビス−(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸、2,4−ジクロロフェニルボロン酸、4−メトキシフェニルボロン酸、及びそれらの組合せからなる群から選択される化合物が含まれる。
【0045】
阻害剤として適切なボロン酸誘導体の更なる限定されない例は、US 4,963,655、 US 5,159,060、 WO 95/12655、 WO 95/29223、 WO 92/19707、 WO 94/04653、 WO 94/04654、 US 5442100、 US 5488157及び US 5472628において記載されている(それらは全て、参照により本明細書中に援用される)。
【0046】
一の態様において、前記組成物は、酵素、ボロン酸又はその誘導体である阻害剤成分、及び阻害剤増強剤成分を含む。
【0047】
阻害剤増強剤成分
1つ以上の阻害剤増強剤が、本開示に係る組成物中に存在する。阻害剤増強剤成分は、有益な効果を提供するのに十分な量で存在し得る。例えば、その阻害剤増強剤は、有効量で存在し得る。位置の態様において、前記阻害剤増強剤組成物は水溶性である。本開示の文脈中で、前記阻害剤増強剤は、少なくとも20℃の水100gに1gの溶解度を有し得て、あるいは少なくとも20℃の水100gに2gの溶解度を有し得る。本開示のある態様において、前記阻害剤増強剤は、溶解物形態であり得る。一の態様において、前記阻害剤増強剤は塩であり、その塩は溶解されていることによりイオン型となっている。ある態様において、前記塩の一部のみが溶解し、残りは固体形態である。
【0048】
前記阻害剤増強剤は、阻害剤成分の酵素成分に対する効果を増大又は高進することが可能である。ある態様において、前記阻害剤増強剤は、1つ以上の可溶性の塩であり得る。
【0049】
適切な可溶性の塩の非限定的な例は、無機塩若しくは有機塩、又はそれらの組合せであり得る。適切なカチオンの非限定的な例は、アンモニウム、又はナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛若しくはアルミニウム等の、金属イオン及びアルカリ若しくはアルカリ土類金属イオン、あるいはそれらの組合せである。非限定的なアニオンの例には、塩化物、ヨウ化物、硫酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、チオ硫酸塩、ホスホン酸塩、リン酸塩、一塩基性リン酸塩、二塩基性リン酸塩、次亜リン酸塩、ピロリン酸塩二水素塩、硝酸塩、塩化物、カルボン酸塩、重炭酸塩、メタケイ酸塩、例えばクエン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、蟻酸塩、酢酸塩、酪酸塩、プロピオン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、アスコルビン酸塩、若しくはグルコン酸塩等の単純有機酸塩(炭素原子が10個未満(例えば6個以下))、及びそれらの組合せが含まれる。特に、硫酸塩、亜硫酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、硝酸塩、塩化物又はカルボン酸塩のアルカリ若しくはアルカリ土類金属塩、又はクエン酸塩、マロン酸塩又は酢酸塩等の単純有機酸の塩、及びそれらの組合せが使用され得る。具体的な非限定的な例には、NaH2PO4、Na2HPO4、Na3PO4、(NH4)H2PO4、K2HPO4、KH2PO4、Na2SO4、K2SO4、KHSO4、ZnSO4、MgSO4、CuSO4、Mg(NO3)2、(NH4)2SO4、ホウ酸ナトリウム、酢酸マグネシウム、クエン酸ナトリウム、及びそれらの組合せが含まれる。
【0050】
また、前記塩は、水和塩、即ちWO 99/32595に記載されるような、結合した水(単数又は複数)と共に結晶を構成する結晶性含水塩であり得る。水和塩の例には、硫酸マグネシウム7水和物(MgSO4(7H2O))、硫酸亜鉛7水和物(ZnSO4(7H2O))、リン酸水素二ナトリウム7水和物(Na2HPO4(7H2O))、硝酸マグネシウム6水和物(Mg(NO3)2(6H2O))、ボロン酸10水和物、クエン酸ナトリウム2水和物、及び酢酸マグネシウム4水和物が含まれる。
【0051】
本発明の特定の態様において、前記塩は、MgCl2、MgSO4、Mg(NO3)2、ZnCl2、ZnSO4、ZN(NO3)2、NH4Cl、NH4NO3、(NH4)2SO4、CaCl2、NaCl、KCl、Na2SO4、NaNO3、NaH2PO4、C2H3NaO2、NaHCO3及び蟻酸ナトリウムからなる群から選択される。本発明のもう一の特定の態様において、前記塩は、MgCl、MgSO4、Mg(NO3))2、ZnCl2、ZnSO4、ZN(NO3)2、NH4Cl、NH4NO3、(NH4)2SO4、CaCl2、KCl、Na2SO4、NaNO3、NaH2PO4、C2H3NaO2、NaHCO3 及び蟻酸ナトリウムからなる群から選択される。
【0052】
本発明の特定の態様において、前記塩は、MgCl、MgSO4、Mg(NO3))2、ZnCl2、ZnSO4、Zn(NO3)2、NH4Cl、NH4NO3、(NH4)2SO4、KCl、Na2SO4、NaNO3、NaH2PO4、C2H3NaO2、及び蟻酸ナトリウムからなる群から選択される。
【0053】
本発明のなおももう一の態様において、前記塩は、MgCl2、MgSO4、Mg(NO3))2、ZnCl2、ZnSO4、Zn(NO3)2、NH4Cl、NH4NO3、(NH4)2SO4、NaNO3 及びNaH2PO4からなる群から選択される。
【0054】
本発明のなおももう一の態様において、前記塩は、MgCl2、MgSO4、Mg(NO3))2、NH4Cl、NH4NO3、(NH4)2SO4、NaNO3 及びNaH2PO4からなる群から選択される。
【0055】
本発明のなおももう一の態様において、前記塩は、MgCl2、MgSO4、Mg(NO3))2、NH4Cl、NH4NO3、及び(NH4)2SO4からなる群から選択される。
【0056】
本発明の特定の態様において、前記カチオンは、Mg、 Zn、 Na、 K 又はNH4から選択される。本発明のより具体的な態様において、前記カチオンは、Mg又はNH4から選択される。
【0057】
本発明の特定の態様において、前記アニオンは、塩素、硫酸及び硝酸から選択される。
【0058】
前記阻害剤増強剤は、液体又は固体形態で前記液体洗浄剤に添加され得る。阻害剤増強剤が液体形態で添加されるとき、それは具体的には水溶液としてなされる。
【0059】
一の態様において、前記組成物は、リン酸二水素ナトリウム又は酢酸ナトリウム三水和物を含まない。
【0060】
ある態様において、本開示に係る使用のための組成物は、安定性の改善及び/又は保存期限の延長に有効な量の1つ以上の阻害剤増強剤を含む。本明細書中で使用されるとき、「有効な量」は、本発明に係る液体酵素組成物の安定性又は保存期限に具体的な正の利益をもたらすのに十分な、本発明に係る阻害剤増強剤の量を指す。前記正の利益は、本質的に審美的であるもの、活性に関連するもの、又はその2つの組合せであり得る。例えば、幾つかの態様において、負荷条件下の酵素の残存活性は、前記阻害剤増強剤を欠く類似の組成物と比較して、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍延長し得る。本明細書中で使用されるとき、負荷条件は、とりわけ、4週間にわたる40℃の高温での保存を含む。ある態様において、前記正の利益は、液体酵素組成物を阻害剤成分及び阻害剤増強剤成分と接触させることで、その液体酵素組成物の安定性及び/又は保存期限を改善することにより達成される。
【0061】
例えば、幾つかの態様において、前記負荷条件下の酵素の残存活性は、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%より大きく、その負荷条件は、4週間にわたる40℃の高温での保存を含む。
【0062】
一般に、具体的な阻害剤増強剤濃度は、その組成物が適用されるべき目的に依存する。例えば、前記濃度は、溶液において使用される酵素の種類及び安定性及び/又は保存の問題の重要性に依存して変化し得る。ある態様において、1つ以上の阻害剤増強剤は、その阻害剤増強剤の濃度が液体酵素組成物全体の0.1重量%〜20重量%となるように、その組成物に適用される。ある態様において、1つ以上の阻害剤増強剤が、組成物全体の0.5〜10重量%を占める。
【0063】
ある態様において、前記阻害剤増強剤は1つ以上の塩であり、前記洗浄剤に添加されるその塩の量は、特定の態様において、その洗浄剤組成物全体の0.1重量%〜20重量%である。前記洗浄剤に添加される塩の量は、更に具体的な態様において、重量の0.5〜10%である。前記洗浄剤に添加される塩の量は、もう一の特定の態様において、重量の0.8〜5%である。前記洗浄剤に添加される塩の量は、なおも更に具体的な態様において、重量の1〜3%である。
【0064】
前記洗浄剤中に存在するカチオン性イオン(cations ion)の量は、特定の態様において、重量の0.005〜10%である。前記洗浄剤中に存在するカチオン性イオンの量は、もう一の特定の態様において、重量の0.05〜4%である。前記洗浄剤中に存在するカチオン性イオンの量は、更に具体的な態様において、重量の0.1〜2%である。
【0065】
一の態様において、前記組成物は、酵素、阻害剤成分、及び阻害剤増強剤成分を含み、その阻害剤増強剤は、1つ以上の塩である。
【0066】
酵素
本発明に従って安定化され得る酵素は、本発明の文脈中において、「洗浄剤酵素(detersive enzyme)」と称され、この用語は、本明細書中で使用されるとき、例えば洗浄利用における洗濯、衣類の手入れ、抗再堆積、及び染み抜き等の洗浄サイクルの過程でそれらの効果を発揮し、そしてそれらの酵素がそのような目的で添加される任意の酵素を意味する。
【0067】
本発明によると、前記液体組成物は、少なくとも1つの酵素を含む。その酵素は、任意の市販の酵素であり得て、具体的には、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、リアーゼ、オキシドレダクターゼ及びそれらの任意の混合物からなる群から選択される酵素であり得る。同一のクラス(例えばプロテアーゼ)の酵素の混合物も含まれる。
【0068】
本発明によると、プロテアーゼを含む液体組成物が好ましい。特定の態様において、第1の酵素がプロテアーゼであり、そして第2の酵素がアミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、リアーゼ及びオキシドレダクターゼからなる群から選択される、2つ以上の酵素を含む液体組成物が好ましい。より具体的な態様において、前記第2の酵素はリパーゼである。
【0069】
酵素変異体(例えば、組換え技術により生産される)は、用語「酵素」の意味に含まれることが理解されるべきである。そのような酵素変異体の例は、例えば、EP 251,446 (Genencor), WO 91/00345 (Novo Nordisk), EP 525,610 (Solvay)及びWO 94/02618 (Gist-Brocades NV)において開示される。
【0070】
酵素は、ハンドブックEnzyme Nomenclature from NC-IUBMB, 1992)に基づいて、また、インターネットのENZYMEサイト(http://www.expasy.ch/enzyme/)も参照されて分類され得る。ENZYMEは、酵素の命名に関する情報の保管庫である。分類は主にNomenclature Committee of the International Union of Biochemistry and Molecular Biology (IUB-MB), Academic Press, Inc., 1992の推奨を基礎とし、そしてそれはEC(Enzyme Commission)番号が与えられた個性化された酵素の各々の種類を記載する(Bairoch A. The ENZYME database, 2000, Nucleic Acids Res 28:304-305)。このIUB-MB酵素命名は、それらの基質特異性及び場合によってはそれらの分子機構を基礎とし:そのような分類はこれらの酵素の構造的特徴を反映しない。
【0071】
エンドグルカナーゼ、キシラナーゼ、ガラクタナーゼ、マンナーゼ、デキストラナーゼ及びアルファ−ガラクトシダーゼ等の特定のグリコシド加水分解酵素のアミノ酸配列の相同性を基礎とするファミリーにおけるもう1つの分類は、数年前に提案された。それらは現在、90の異なるファミリーに分類される:CAZy(ModO)インターネットサイトを参照されたい(URL:http://afmb.cnrs-mrs.fr/~cazy/CAZY/index.htmlにおけるCarbohydrate-Active Enzymes サーバーのCoutinho, P.M. & Henrissat, B. (1999) (対応する文献:Coutinho, P.M. & Henrissat, B. (1999) Carbohydrate-active enzymes: an integrated database approach. "Recent Advances in Carbohydrate Bioengineering"における HJ. Gilbert, G. Davies, B. Henrissat and B. Svensson eds., The Royal Society of Chemistry, Cambridge, pp. 3-12; Coutinho, P.M. & Henrissat, B. (1999) The modular structure of cellulases and other carbohydrate-active enzymes: an integrated database approach. "Genetics, Biochemistry and Ecology of Cellulose Degradation"における K. Ohmiya, K. Hayashi, K. Sakka, Y. Kobayashi, S. Karita and T. Kimura eds., Uni Publishers Co., Tokyo, pp. 15-23)。
【0072】
液体酵素添加物は、好ましくは、例えばセリンプロテアーゼ等の1つのプロテアーゼを含む。
【0073】
プロテアーゼ:適切なプロテアーゼには、動物、植物、又は微生物を起源とするものが含まれる。微生物起源のものが好ましい。化学的に又は遺伝学的に修飾された突然変異体が含まれる。前記プロテアーゼは、セリンプロテアーゼ、好ましくは微生物プロテアーゼ又はトリプシン様プロテアーゼであり得る。一例であるアルカリプロテアーゼはスブチリシン、特にバチルス(Bacillus)に由来するもの、例えばスブチリシン Carlsberg、 スブチリシン 309、 スブチリシン147 及びスブチリシン 168である(WO 89/06279に記載される)。トリプシン様プロテアーゼは、トリプシン(例えばブタ又はウシ起源)及びWO 89/06270に記載されるフザリウム(Fusarium)プロテアーゼである。本発明の特定の態様において、前記プロテアーゼはセリンプロテアーゼである。セリンプロテアーゼ又はセリンエンドペプチダーゼ(新名称)は、その酵素の活性中心中における1つのセリン残基の存在により特徴付けられるペプチダーゼのクラスである。
【0074】
セリンプロテアーゼ:セリンプロテアーゼは、ペプチド結合の加水分解を触媒し、そして活性部位に必須セリン残基を有する酵素である(White, Handler and Smith, 1973 "Principles of Biochemistry," Fifth Edition, McGraw-Hill Book Company, NY, pp. 271-272)。
【0075】
細菌セリンプロテアーゼは、20,000〜45,000ドルトンの範囲の分子量を有する。それらは、ジイソプロピルフルオロリン酸により阻害される。それらは単純な末端エステルを加水分解し、真核生物のキモトリプシン又はセリンプロテアーゼと活性において類似する。より狭義で表すと、1つのサブグループに及ぶアルカリプロテアーゼは、pH9.0〜11.0という高い最適pHを有する幾つかのセリンプロテアーゼを示す(評価のために、Priest (1977) Bacteriological Rev. 41 71 1-753を参照されたい)。
【0076】
スブチラーゼ:スブチラーゼと仮称されるセリンプロテアーゼのサブグループは、Siezen et al. (1991 ), Protein Eng., 4 719-737により提案されている。それらは、過去にスブチリシン様プロテアーゼと称されたセリンプロテアーゼの40以上のアミノ酸配列の相同性解析により定義される。スブチリシンは、過去にグラム陽性細菌又は真菌により生産されるセリンプロテアーゼとして定義され、そして現在は、Siezenらによると、スブチラーゼのサブグループである。広範なスブチラーゼが同定されており、そして多くのスブチラーゼのアミノ酸配列が判定されている。これらは、バチルス株由来の6個以上のスブチリシン、即ち、スブチリシン168、スブチリシンBPN'、スブチリシンCarlsberg、スブチリシンY、スブチリシンアミロサッカリチクス(amylosacchariticus)、及びメセンテリコペプチダーゼ(Kurihara et al. (1972) J. Biol. Chem. 247 5629-5631 ; Wells et al. (1983) Nucleic Acids Res. 11 7911-7925; Stahl and Ferrari (1984) J. Bacteriol. 159 81 1-819, Jacobs et al. (1985) Nucl. Acids Res. 13 8913-8926; Nedkov et al. (1985) Biol. Chem. Hoppe-Seyler 366 421-430, Svendsen et al. (1986) FEBS Lett. 196 228-232)、アクチノマイケタレス(actinomycetales)由来の1つのスブチリシン、テルモアクチノマイケス・ブルガリス(Thermoactinomyces vulgaris)由来のセラミターゼ(Meloun et al. (1985) FEBS Lett. 198 195-200)、並びに1つの真菌スブチリシンであるトリチラキウム・アルブム由来のプロテイナーゼK(Jany and Mayer (1985) Biol. Chem. Hoppe- Seyler 366 584-492)を含む。更なる参照のために、Siezenらによる表Iを下に再現している。
【0077】
スブチリシンは、生理学的に、及び化学的によく特徴付けられている。これらの酵素の一次構造(アミノ酸配列)の知見に加えて、基質の結合、転移状態、生産物、少なくとも3つのプロテアーゼ阻害剤を描画し、そして天然の変異における構造的因果関係を定義する、50以上のスブチリシンの高解像度X線構造が決定されている(Kraut (1977) Ann. Rev. Biochem. 46 331-358)。
【0078】
スブチラーゼの1つのサブグループであるI-S1は、スブチリシン168、スブチリシンBPN'、スブチリシンCarlsberg (ALCALASE(登録商標), Novozymes A/S)、及びスブチリシンDY等の、「古典的」スブチリシンを含む。更なるサブグループであるスブチラーゼI-S2は、Siezenら(上記)により認識される。サブグループI-S2プロテアーゼは、強力なアルカリスブチリシンとして記載され、そしてスブチリシンPB92 (MAXACAL(登録商標), Gist-Brocades NV)、スブチリシン309 (SAVI NASE(登録商標), Novozymes A/S)、スブチリシン147 (ESPERASE(登録商標), Novozymes A/S)、及びアルカリエラスターゼYaB等の酵素を含む。
【0079】
スブチラーゼの無作為及び部位特異的突然変異はいずれも、その酵素の生理学的及び化学的特性の知見から導き出され、そしてスブチラーゼの触媒活性、基質特異性、三次構造等の情報が寄与している(Wells et al. (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 84; 1219-1223; Wells et al. (1986) Phil. Trans. R. Soc. Lond.A. 317 415-423; Hwang and Warshel (1987) Biochem. 26 2669-2673; Rao et al., (1987) Nature 328 551-554)。
【0080】
この分野に及ぶより最近の刊行物は、基質の標的配列(24及び64部位)を開裂する変異体の設計に関する、Carter et al. (1989) Proteins 6 240-248;過去に出版された多くの結果を考察する、Graycar et al. (1992) Annals of the New York Academy of Sciences 672 71-79;及び、同じく従来の結果を再検討する、Takagi (1993) Int. J. Biochem. 25 307-312が挙げられる。
【0081】
市販のプロテアーゼ(ペプチダーゼ)には、Kannase(商標)、Everlase(商標)、Esperase(商標)、Alcalase(商標)、Neutrase(商標)、Durazym(商標)、Savinase(商標)、Ovozyme(商標)、Pyrase(商標)、Pancreatic Trypsin NOVO(PTN)、Bio-Feed(商標)、Pro及びClear-Lens(商標)Pro(全てNovozymes A/S, Bagsvaerd, Denmarkから入手可能)が含まれる。他の好ましいプロテアーゼは、WO 01/58275及びWO 01/58276に記載されているものが含まれる。
【0082】
他の市販のプロテアーゼには、Ronozyme(商標)Pro、Maxatase(商標)、Maxacal(商標)、Maxapem(商標)、Opticlean(商標)、.Propease(商標)、Purafect(商標)及びPurafect Ox(商標)( Genencor International Inc., Gist-Brocades, BASF、又はDSM Nutritional Productsから入手可能)が含まれる。
【0083】
リパーゼ:適切なリパーゼは、細菌又は真菌起源のものを含む。化学的に、又は遺伝学的に修飾された突然変異対が含まれる。
【0084】
有用なリパーゼの例は、例えばEP 258 068及びEP 305 216に記載されるフミコラ・ラヌギ−ノサ(Humicola lanugi-nosa)リパーゼ、例えばEP 238 023に記載されるリゾムコール・ミーヘイ(Rhizomucor miehei)リパーゼ、例えばEP 214 761に記載されるC. アンタルクチカ(C. antarctica)リパーゼA又はB等のC. アンタルクチカリパーゼ等のカンジダ(Candida)リパーゼ、例えばEP 218 272に記載されるP. シュードアルカリゲネス(P. pseudoalcaligenes)及びP. アルカリ−ゲネス(P. alcali-genes)リパーゼ等のシュー−ドモナス(Pseu-domonas)リパーゼ、例えばEP 331 376に記載されるP. ケパキア(P. cepacia)リパーゼ、例えばBP 1,372,034に開示されるP. ツゼリ(P. stutzeri)リパーゼ、P. フルオレセンス(P. fluorescens)リパーゼ、例えばB. スブチリス(B. subtilis)リパーゼ(Dar-tois et al., (1993)等のバチルス(Bacillus)リパーゼ、B. ステアロテルモピルス(B. stearothermophilus)リパーゼ(JP 64/744992)、及びB. プミルス(B. pumilus)リパーゼ(WO 91/16422)を含む。
【0085】
更に、Ya-maguchi et al., (1991 ), Gene 103, 61-67)に記載されるペニシリウム・カメンベルチイ(Penicillium camenbertii)リパーゼ、ゲオトリクム・カンジジウム(Geotricum can-didum)リパーゼ(Schimada, Y. et al., (1989), J. Biochem. 106, 383-388)並びにR. デレマル(R. delemar)リパーゼ(Hass, MJ et al., (1991 ), Gene 109, 1 17-1 13)、R. ニベウス(R. niveus)リパーゼ(Kugimiya et al., (1992), Biosci. Biotech. Bio-chem. 56, 716-719)及びR. オリザエ(R. oryzae)リパーゼ等の多くのリゾプス(Rhizopus)リパーゼ等、多くのクローン化リパーゼが有用であり得る。
【0086】
例えばWO 88/09367に記載されるシュードモナス・メンドキナ(Pseudomonas mendocina)由来のクチナーゼ、又はフサリウム・ソラニ・ピシ(Fusarium solani pisi)由来のクチナーゼ(例えば、WO 90/09446に記載される)等の、他種の脂質分解酵素も有用であり得る。
【0087】
市販のリパーゼの例は、Lipex(商標).Lipoprime(商標)、Lipopan(商標)、Lipolase(商標)、Lipolase(商標)Ultra、Lipozyme(商標)、Palatase(商標)、Resinase(商標)、Novozym(商標)435及びLecitase(商標)(全てNovozymes A/Sから入手可能)を含む。
【0088】
他の市販のリパーゼには、Lumafast(商標)( Genencor International Inc.のシュードモナス・メンドキナ(Pseudomonas mendocina)リパーゼ);Lipomax(商標)(Gist- Brocades/Genencor Int. Inc.のPs. シュードアルカリゲネス(Ps. pseudoalcaligenes)リパーゼ;及びSolvay enzymesのバチルス sp. (Bacillus sp.)リパーゼが含まれる。更なるリパーゼは、Lipase P "Amano" (Amano Pharmaceutical Co. Ltd.)等の他の供給者から入手可能である。
【0089】
アミラーゼ:適切なアミラーゼ(α及び/又はβ)には、細菌又は真菌起源のものが含まれる。化学的に又は遺伝学的に修飾された突然変異体が含まれる。アミラーゼは、例えば、B. リケニフォルミス(B. licheniformis)の特別な株から収得されたa-アミラーゼを含み、英国特許明細書第1 ,296,839号により詳しく記載される。市販のアミラーゼは、Duramyl(商標)、Termamyl(商標)、Fungamyl(商標)及びBAN(商標)(Novozymes A/Sより入手可能)並びにRapidase(商標)及びMaxamyl P(商標)(Gist-Brocadesより入手可能)である。
【0090】
セルラーゼ:適切なセルラーゼには、細菌又は真菌起源のものが含まれる。化学的に又は遺伝学的に修飾された突然変異体が含まれる。適切なセルラーゼは、US 4,435,307において開示され、それはフミコラ・インソレンス(Humicola insolens)から生産された真菌セルラーゼを開示する。特に適切なセルラーゼは、色彩維持の利益(color care benefit)を有するセルラーゼである。そのようなセルラーゼの例は、英国特許出願第0 495 257号において記載されるセルラーゼである。
【0091】
オキシドレダクターゼ:例えばペルオキシダーゼ、又はラッカーゼ等のオキシダーゼ等の、液体組成物における使用に適した任意のオキシドレダクターゼが、本明細書中で使用され得る。本明細書中の適切なペルオキシダーゼには、植物、細菌又は真菌起源のものが含まれる。化学的に又は遺伝学的に修飾された突然変異体が含まれる。適切なペルオキシダーゼの例は、例えばC. キネリウス(C. cinerius)若しくはC. マクロリズス(C. macrorhizus)等のコプリヌス(Coprinus)の株、又は例えばB. プミルス等(B. pumilus)のバチルス(Bacillus)の株に由来するものであり、特にWO 91/05858に係るペルオキシダーゼである。本明細書中の適切なラッカーゼには、細菌又は真菌起源のものが含まれる。適切なラッカーゼの例は、例えばT. ビロサ(T. villosa)若しくはT. ベルシコロル(T. versicolor)等のトラメテス(Trametes9の株、又は例えばC. キネレウス(C. cinereus)等のコプリヌス(Coprinus)の株、又は例えばM. テルモピラ(M. thermophila)等のマイケリオプトラ(Myceliophthora)の株から収得可能なものである。
【0092】
本発明に係る液体中に存在し得る酵素の種類は、オキシドレダクターゼ(EC 1.-.-.-)、トランスフェラーゼ(EC 2.-.-.-)、加水分解酵素(EC 3.-.-.-)、リアーゼ(EC 4 - .-.-)、イソメラーゼ(EC 5.-.-.-)及びリガーゼ(EC 6.-.-.-)を含む。
【0093】
本発明の文脈中で好ましいオキシドレダクターゼは、ペルオキシダーゼ(EC 1.11.1 )、ラッカーゼ、(EC 1.10.3.2)及びグルコースオキシダーゼ(EC 1.1.3.4)]である。市販のオキシドレダクターゼ(EC 1.-.-.-)の例は、Gluzyme (Novozymes A/Sより入手可能な酵素)である。
【0094】
更なるオキシドレダクターゼは、他の供給者から入手可能である。好ましいトランスフェラーゼは、以下のサブクラス:
a 一炭素基を転移するトランスフェラーゼ(EC 2.1 );
b アルデヒド又はケトン残基を転移するトランスフェラーゼ(EC 2.2);アシルトランスフェラーゼ(EC 2.3);
c グリコシルトランスフェラーゼ(EC 2.4);
d メチル基を除いてアルキル又はアリール基を転移するトランスフェラーゼ(EC 2.5);及び
e 窒素含有基を転移するトランスフェラーゼ(EC 2.6)
のいずれかにおけるトランスフェラーゼである。
【0095】
本発明の文脈における最も好ましいトランスフェラーゼの種類は、トランスグルタミナーゼ(タンパク質−グルタミン−グルタミルトランスフェラーゼ;EC 2.3.2.13)である。
【0096】
適切なトランスグルタミナーゼの更なる例は、WO 96/06931 (Novo Nordisk A/S)において記載される。
【0097】
本発明の文脈における好ましい加水分解酵素は:リパーゼ(EC 3.1.1.3)等のカルボン酸エステル加水分解酵素(EC 3.1.1.-);例えば3-フィターゼ(EC 3.1.3.8)及び6-フィターゼ(EC 3.1.3.26)等のフィターゼ(EC 3.1.3.-);-アミラーゼ(EC 3.2.1.1 )等のグリコシダーゼ(EC 3.2、本明細書中で「カルボヒドラーゼ」と表示される群に当てはまる);ペプチダーゼ(EC 3.4、プロテアーゼとしても知られる);及び他のカルボニルハイドロラーゼ(carbonyl hydrolase)である。市販のフィターゼの例には、Bio-Feed(商標)Phytase(Novozymes)、Ronozyme(商標)P(DSM Nutritional Products)、Natuphos(商標)(BASF)、Finase(商標)(AB Enzymes)、及びPhyzyme(商標)生産物シリーズ(Danisco)が含まれる。他の好ましいフィターゼには、WO 98/28408,、WO 00/43503、及びWO 03/066847において記載されるものが含まれる。
【0098】
本文脈中において、「カルボヒドラーゼ」という用語は、糖鎖(例えば澱粉又はセルロース)を分解することが可能な酵素のみならず、例えばD-グルコース等の六員環構造やD-フルクトース等の五員環構造等の糖を異性化することが可能な酵素も含む。
【0099】
妥当なカルボヒドラーゼには、以下(括弧内はEC番号):α-アミラーゼ(EC 3.2.1.1 )、β-アミラーゼ(EC 3.2.1.2)、グルカン1,4-α-グルコシダーゼ(EC 3.2.1.3)、エンド-1 ,4-ベータ-グルカナーゼ(セルラーゼ、EC 3.2.1.4)、エンド-1,3(4)-β-グルカナーゼ(EC 3.2.1.6)、エンド-1,4-β-キシラナーゼ(EC 3.2.1.8)、デキストラナーゼ(EC 3.2.1.1 1 )、キチナーゼ(EC 3.2.1.14)、ポリガラクツロナーゼ(EC 3.2.1.15)、リゾチーム(EC 3.2.1.17)、β-グルコシダーゼ(EC 3.2.1.21 )、α-ガラクトシダーゼ(EC 3.2.1.22)、β-ガラクトシダーゼ(EC 3.2.1.23)、アミロ-1,6-グルコシダーゼ (EC 3.2.1.33)、キシラン1,4-β-キシロシダーゼ(EC 3.2.1.37)、グルカンエンド-1,3-β-D-グルコシダーゼ(EC 3.2.1.39)、α-デキストリンエンド-1,6-α-グルコシダーゼ(EC3.2.1.41)、スクロースα-グルコシダーゼ(EC 3.2.1.48)、グルカンエンド-1,3-α-グルコシダーゼ(EC 3.2.1.59)、グルカン1,4-β-グルコシダーゼ (EC 3.2.1.74)、グルカンエンド-1,6-β-グルコシダーゼ(EC 3.2.1.75)、ガラクタナーゼ(EC 3.2.1.89)、アラビナンエンド-1,5-α-L-アラビノシダーゼ(EC 3.2.1.99)、ラクターゼ(EC 3.2.1.108)、キトサナーゼ(EC 3.2.1.132)及びキシレンイソメラーゼ(EC 5.3.1.5)が含まれる。
【0100】
市販のカルボヒドラーゼの例には、Alpha-Gal(商標)、Bio-Feed(商標)Alpha、Bio-Feed(商標)Beta、Bio-Feed(商標)Plus、Bio-Feed(商標)Wheat、Bio-Feed(商標)Z Novozyme(商標)188、Carezyme(商標). Celluclast(商標)、Cellusoft(商標)、Celluzyme(商標). Ceremyl(商標)、Citrozym(商標)、Denimax(商標)、Dezyme(商標)、Dextrozyme(商標)、Duramyl(商標). Energex(商標)、Finizym(商標)、Fungamyl(商標)、Gamanase(商標)、Glucanex(商標)、Lactozym(商標)、Liquezyme(商標). Maltogenase(商標)、Natalase(商標) Pentopan(商標)、Pectinex(商標)、Promozyme(商標)、Pulpzyme(商標)、Novamyl(商標)、Termamyl(商標)、AMG(商標)(アミログルコシダーゼ Novo)、Maltogenase(商標)、Sweetzyme(商標)及びAquazym(商標)(全て、Novozymes A/Sより入手可能)が含まれる。 他の供給者から、Roxazyme(商標)及びRonozyme(商標)生産物シリーズ(DSM Nutritional Products)、Avizyme(商標)、Porzyme(商標)及びGrindazyme(商標)生産物シリーズ(Danisco、Finnfeeds)、並びにNatugrain(商標)(BASF)、Purastar(商標)及びPurastar(商標)OxAm(Genencor)等の更なるカルボヒドラーゼが入手可能である。
【0101】
他の市販の酵素には、Mannaway(商標)、Pectaway(商標)、Stainzyme(商標)及びRenozyme(商標)が含まれる。
【0102】
液体洗浄剤
本発明によると、液体洗浄剤組成物は、酵素(単数又は複数)、阻害剤、及び阻害剤増強剤と共に、1つ以上の界面活性剤を含む。その洗浄剤組成物は、例えば、洗濯用洗浄剤組成物又は食器洗浄用洗浄剤組成物等であり得る。
【0103】
前記洗浄剤は、通常0〜50%の直鎖状アルキルベンゼンスルホン酸(LAS)、アルファ−オレフィンスルホン酸(AOS)、アルキル硫酸(脂肪アルコール硫酸)(AS)、アルコールエトキシ硫酸(AEOS又はAES)、第二アルカンスルホン酸(SAS)、アルファ−スルホ脂肪酸メチルエステル、アルキル−又はアルケニルコハク酸、又は石鹸等の、アニオン性界面活性剤を含む。また、それは0〜40%のアルコールエトキシレート(AEO又はAE)、アルコールプロポキシレート、カルボキシル化アルコールエトキシレート、ノニルフェノールエトキシレート、アルキルポリグリコシド、アルキルジメチルアミンオキシド、エトキシ化脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸モノエタノールアミド、又はポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミド(例えば、WO 92/06154において記載される)等の非イオン性界面活性剤を含み得る。
【0104】
通常は、前記界面活性剤は1〜65%の界面活性剤構築剤(detergent builder)を含むが、幾つかの食器洗浄用洗浄剤には90%もの界面活性剤構築剤が含まれ得て、又はそれがゼオライト、二リン酸塩、三リン酸塩、ホスホン酸塩、クエン酸塩、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTMPA)、アルキル−若しくはアルケニルコハク酸、可溶性ケイ酸塩、又は膜状ケイ酸塩(例えばHoechstのSKS-6)等の薬剤と混合されて含まれ得る。
【0105】
前記界面活性剤構築剤は、リンを含有する種類とリンを含有しない種類に更に細分され得る。リンを含有する無機アルカリ界面活性剤構築剤の例には、特にピロリン酸アルカリ金属、オルトリン酸塩、ポリリン酸塩及びホスホン酸塩等の可溶性の塩が含まれる。リンを含有しない無機構築剤の例には、水溶性カルボン酸アルカリ金属、ボロン酸塩及びケイ酸塩、又は層状化二ケイ酸塩、並びに多くの種類の不溶性結晶若しくはアモルファスアルミノケイ酸塩が含まれ、ゼオライトはそれらの最も知られた代表例である。
【0106】
適切な有機構築剤の非限定的な例には、コハク酸塩、マロン酸塩、脂肪酸マロン酸塩、脂肪酸スルホン酸塩、カルボキシメトキシコハク酸塩、ポリ酢酸塩、カルボン酸塩、ポリカルボン酸塩、アミノポリカルボン酸塩、及びポリアセチルカルボン酸塩の、アルカリ金属、アンモニウム、又は置換アンモニウム塩が含まれる。また、前記洗浄剤は非構築(unbuilt)、即ち基本的に洗浄剤構築剤を含まないものでもあり得る。
【0107】
前記洗浄剤は、1つ以上のポリマーを含み、又は包摂する。非限定的な例は、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリアクリル酸塩、ポリマレイン酸塩等のポリカルボン酸塩、マレイン/アクリル酸コポリマー、及びメタクリル酸ラウリル/アクリル酸コポリマーである。
【0108】
前記洗浄剤組成物は、塩素/臭素系又は酸素系の漂白剤を含み得る。その漂白剤は、コーティングされ、又はカプセルに詰められ得る。無機塩素/臭素系漂白剤の例は、次亜塩素酸若しくは次亜臭素酸リチウム、ナトリウム又はカルシウム、又は塩素化リン酸三ナトリウムである。また、漂白系は、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)又はノナノイルオキシベンゼンスルホン酸塩(NOBS)等の過酸形成漂白活性化剤と組み合され得る過ホウ酸塩又は過炭酸塩等のH2O2供給源を含み得る。
【0109】
有機塩素/臭素系漂白剤の例は、トリクロロイソシアヌル、トリブロモイソシアヌル、ジブロモイソシアヌル、及びジクロロイソシアヌル酸等のヘテロ環式N-ブロモ及びN-クロロイミド、並びにそれらとカリウム及びナトリウム等の水溶性カチオンとの塩である。また、ヒダントイン組成物も適している。また、前記漂白系には、例えばアミド、イミド、スルホン系等のペルオキシ酸も含まれ得る。
【0110】
食器洗浄用洗浄剤においては、好ましくは漂白前駆体と共に、又はペルオキシ酸化合物として、例えば無機過酸基塩(persalt)の形態である酸素漂白が好ましい。適切なペルオキシ漂白化合物の典型的な例は、四水和物及び一水和物のいずれでもよい過ボロン酸アルカリ金属、過炭酸アルカリ金属、過ケイ酸塩並びに過リン酸塩である。好ましい活性化剤構築剤は、TAED又はNOBSである。
【0111】
本発明の洗浄剤組成物の酵素(単数又は複数)は、例えばプロピレングリコール若しくはグリセロール等のポリオール、糖若しくは糖アルコール、又は乳酸等の確立された安定化剤を用いて追加的に安定化され得る。
【0112】
また、前記洗浄剤は、例えば、粘土、解膠剤材料、泡増強剤(foam booster)/泡抑制剤(foam depressor)(食器洗浄用洗浄剤は泡抑制剤を含む)、発泡抑制剤(suds suppressor)、抗腐食剤、泥懸濁剤、抗泥再沈着剤、色素、脱水剤、殺細菌剤、光学的光沢剤、又は香料等を含む衣料仕上げ剤等の、他の確立された洗浄剤含有物を含み得る。
【0113】
通常、pH(使用濃度の水性溶液において測定される)は中性又はアルカリ性で、例えば7〜11の範囲となる。本発明の特定の態様において、pHは7〜9.5である。本発明のより具体的な態様において、pHは8〜9である。特定の洗浄剤において、その洗浄剤のpHが8〜9であるときに、本発明が顕著に良好に作用することが見出されている。
【0114】
以下の非制限的な実施例は、本発明に係る組成物、方法、及び処理を更に例示する。本開示は、本実施例において具体化される特定の詳細に限定されないことを注意するべきである。
【実施例1】
【0115】
実施例1
保存安定性試験
洗浄剤基材(detergent base):
55g アニオンテンサイド(tenside) Na-LAS
105g アニオンテンサイドSurfac LC70
25g 非イオン性テンサイドNeodol 25-3
30g 非イオン性テンサイドNeodol 25-7
40g NaCO3
33g SXS(キシレンスルホン酸ナトリウム 40%WT水溶液)
17g クエン酸−一水和物
1Og STS(トルエンスルホン酸ナトリウム)
10g エタノール
pH pH9に調整(NaOH)
水 100Og添加
pH 9
【0116】
前記洗浄剤基材は、水で1:1.5に希釈された。
【0117】
添加された塩は、希釈された洗浄剤基材の重量の3%の塩であった。
【0118】
0.173KNPU-S/gの量で、比活性度が395u/gのプロテアーゼが添加された。
【0119】
1gの希釈された洗浄剤基材+塩に対し0.17mgの量の4−FPBAが添加された。
【0120】
保存条件は、40℃で4週間が選択された。
【0121】
【表1】

【0122】
殆どの塩が、フェニルボロン酸誘導体を含む洗浄剤基材の安定性に対して正の影響を有すると結論付けられる。最も期待できるカチオンは、マグネシウム及びアンモニウムであると思われる。
【0123】
実施例2
保存安定性試験
洗浄剤基材:
55g アニオンテンサイドNa-LAS
105g アニオンテンサイドSurfac LC70
25g 非イオン性テンサイドNeodol 25-3
30g 非イオン性テンサイドNeodol 25-7
4Og NaCO3
33g SXS(キシレンスルホン酸ナトリウム 40%WT水溶液)
17g クエン酸−一水和物
1Og STS(トルエンスルホン酸ナトリウム)
10g エタノール
pH pH9に調製(NaOH)
Water 100Og添加
【0124】
前記洗浄剤基材は、水で1:1.5に希釈された。
【0125】
添加された塩の量は、洗浄剤の重量の3%の塩であった。
【0126】
0.173KNPU-S/gの量で、比活性度が395u/gのプロテアーゼが添加された。
【0127】
1gの希釈された洗浄剤+塩に対し0.17mgの量の4−FPBAが添加された。
【0128】
保存条件は、40℃で2週間が選択された。
【0129】
【表2】

【0130】
いずれの亜鉛塩も、安定性の顕著な改善を示す。
【0131】
本明細書中に開示される態様に関して、様々な変更がなされ得ることを理解されたい。故に、上記記載は、限定的にではなく、単なる態様の例証として解釈されるべきである。当業者は、本明細書に添付された特許請求の範囲の範囲及び精神の枠内で、他の変更を想定し得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酵素成分、フェニルボロン酸成分又はその誘導体、及び溶解した塩成分を含む液体組成物。
【請求項2】
前記酵素成分がプロテアーゼである、請求項1に記載の液体組成物。
【請求項3】
前記プロテアーゼがセリンプロテアーゼである、請求項2に記載の液体組成物。
【請求項4】
前記フェニルボロン酸又はその誘導体が、
【化1】

[式中、
Rは水素、ヒドロキシ、C1〜C6アルキル、置換されたC1〜C6アルキル、C1〜C6アルケニル及び置換されたC1〜C6アルケニルからなる群から選択される]
で表される、請求項1又は2に記載の液体組成物。
【請求項5】
前記塩成分が1つ以上のカチオンを含み、その1つ以上のカチオンが、Ca、Mg、Zn、Na、K又はNH4、及びそれらの組合せを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項6】
前記塩成分が、Ca、Mg、Zn、Na、K又はNH4、及びそれらの組合せからなる群から選択される1つ以上のカチオンを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項7】
前記塩成分が、Zn、Mg、NH4、及びそれらの組合せからなる群から選択される1つ以上のカチオンを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項8】
前記塩成分が、1つ以上のアニオンを含み、その1つ以上のアニオンが、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、カルボン酸塩又は蟻酸塩(formiate)、及びそれらの組合せを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項9】
前記塩成分が、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、カルボン酸塩、蟻酸塩(formiate)、及びそれらの組合せからなる群から選択される1つ以上のアニオンを含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項10】
前記塩成分が1つ以上のアニオンを含み、その1つ以上のアニオンが、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項11】
前記液体組成物のpHが7〜10.5である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項12】
前記液体組成物のpHが8〜9.5である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項13】
前記塩成分が組成物全体の0.1〜20重量%を占める、請求項1〜12のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項14】
前記液体組成物が洗浄組成物である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項15】
前記液体組成物が洗濯用腺剤組成物である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項16】
前記液体組成物が食器洗浄用組成物である、請求項1〜15のいずれか1項に記載の液体組成物。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1項に記載の液体組成物を製造するプロセスであり:
a) 液体を提供し;
b) a)の液体に水溶性の塩を添加し;
c) a)に酵素及びフェニルボロン酸又はそれらの誘導体を、b)と同時に、又はb)の後に添加し;そして
d) その組成物を混合させる工程を含む前記プロセス。
【請求項18】
そのpHを7〜9.5に調整する工程を更に含む、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
そのpHを8〜9に調整する工程を更に含む、請求項17に記載のプロセス。
【請求項20】
対象を洗浄するための、請求項1〜16のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項21】
液体組成物におけるフェニルボロン酸又はその誘導体の阻害剤作用を促進させるための塩の使用。
【請求項22】
酵素成分、阻害剤成分又はその誘導体、及び有効な量の阻害剤促進成分を含む、安定な液体酵素組成物。
【請求項23】
前記有効な量の阻害剤増強剤が、組成物全体の0.5〜20重量%を占める、安定な液体酵素組成物。

【公表番号】特表2010−522791(P2010−522791A)
【公表日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500277(P2010−500277)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際出願番号】PCT/EP2008/053660
【国際公開番号】WO2008/116915
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(500586299)ノボザイムス アクティーゼルスカブ (164)
【Fターム(参考)】