説明

安定化した濃縮可能なケミカルメカニカルポリッシング組成物および基板研磨方法

【課題】低減された砥粒濃度で、改善された除去速度を有して絶縁層をケミカルメカニカルポリッシングする組成物を提供する。
【解決手段】初期組成物として、水;砥粒;式(I)で示される、ジ第四級物質;特定式で示される、グアニジンの誘導体;および、場合により、第四級アンモニウム塩を含む、組成物。


[式中、各々のXは、NおよびPより独立に選択され;Rは、飽和または不飽和C−C15アルキル基等、R〜Rは、各々独立に、水素等より選択され;式(I)中のアニオンは、式(I)中のカチオンの+2価とバランスする任意のアニオンまたはアニオンの組み合わせであることができる]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケミカルメカニカルポリッシングの分野に全般的に関する。特に本発明は、
安定化した濃縮可能なケミカルメカニカルポリッシング組成物および半導体材料のケミカルメカニカルポリッシングのための方法および、より詳細にはたとえば層間絶縁(ILD)およびシャロートレンチアイソレーション(STI)法における、半導体構造からの絶縁層にケミカルメカニカルポリッシングを行うための方法を対象にする。
【背景技術】
【0002】
現代の集積回路は、半導体装置から構成される電気回路が小さな半導体構造上に一体化して形成される、精巧な方法で製造される。半導体構造上に形成される従来の半導体装置は、コンデンサー、抵抗、トランジスター、導体、ダイオードおよび同等物を含む。進んだ集積回路の製造においては、これらの大量の半導体装置は単一の半導体構造上に形成される。
【0003】
加えて、集積回路は半導体構造の共通のシリコン基板上の隣接するダイとして配列することができる。一般的に、表面の罫書き領域はダイの間に位置し、ダイは個別の集積回路を形成するために切り離される。ダイ中では、半導体構造の表面は、半導体装置の形成によって生じる隆起した領域として特徴付けられる。これらの隆起した領域は、アレイを形成し、かつ半導体構造のシリコン基板上のより低い低部領域によって分離される。
【0004】
活性な装置は、相互のクロストークおよび信号干渉を防止するために絶縁体により絶縁される必要がある。従来、2つの主要絶縁技術がある。ひとつは層間絶縁(ILD)である。もうひとつはシャロートレンチアイソレーション(STI)とよばれる。
【0005】
ILD構造は主として集積回路中の金属配線またはプラグを絶縁するために用いられる。誘電絶縁材料(たとえばシリカおよび窒化ケイ素)は一般的に、隙間の間および金属配線またはプラグの上に成長または析出して、これがアレイ上部で上方に張り出す垂直に隆起した高部突出外観および、低部の開放溝を特徴とする非平坦表面を形成する。その際、垂直な突出外観の高さを、理想的には平坦表面が形成されるような、一般的にはアレイ上端より予め定められた距離のある目標高さまで低減するために、CMP法が用いられる。
【0006】
STIは、集積回路中に形成される種々の活性構成要素を電気的に絶縁する絶縁構造を形成するために広く用いられる半導体製造方法である。STI技術においては、第1ステップは、通常異方性エッチングによって、基板中の予め定められた位置に複数のトレンチを形成することである。次にシリカが各々のトレンチ中に析出される。その後シリカは、STI構造を形成するように窒化ケイ素(停止層)までCMPによって研磨される。効率よい研磨を達成させるために、研磨スラリーは一般的に、窒化ケイ素に対してシリカの除去速度に関する高度の選択性を与える(「選択性」)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ILDおよびSTI法に用いられる従来のCMPスラリーは、その効率を高めるために高濃度の砥粒を含む。残念なことに、砥粒は高価でかつ砥粒の使用量を増やすと桁違いな費用がかかる。同様に、高濃度の砥粒スラリーは、時間が経つと粒子が凝集および沈殿するため、研磨の際の結果に許容できないばらつきを生じさせるという安定性の問題を示す傾向がある。
【0008】
酸化ケイ素を除去するための低減させた砥粒含有量を有するひとつの研磨組成物がLiuらへの米国特許番号第7,018,560号に開示されている。Liuらは、相互接続金属の除去を制限するための腐食防止剤;酸性pH;砥粒粒子;および下記式:
【化1】


[式中、R、R、RおよびRは基であり、Rは、炭素原子2〜15個の炭素鎖長さを有する非置換アリール、アルキル、アラルキル、またはアルカリール基である]で形成されるアンモニウム塩含有有機物(ここで、該アンモニウム塩含有有機物は、21.7kPa未満の少なくとも1つの研磨圧力で、二酸化ケイ素の除去を加速し、かつSiC、SiCN、SiおよびSiCOからなる群より選択される少なくとも1種の被覆の除去を低減させる濃度を有する)を含む、水性研磨組成物を開示する。
【0009】
それにもかかわらず、低減された砥粒濃度で、改善された除去速度を有して絶縁層をケミカルメカニカルポリッシングする、ケミカルメカニカルポリッシングの組成物および方法が依然として必要とされている。特に、必要とされているのは、低減された砥粒濃度で絶縁層の除去速度の改善を示すことに加えて、改善された保存安定性および運搬費を低減することを容易にする濃縮可能性を与える、ILDおよびSTI法において絶縁層を研磨する組成物および方法である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、初期成分として、水;砥粒;
式(I):
【化2】


で示される、ジ第四級(diquarternary)物質[式中、
各々のXは、NおよびPより独立に選択され;
は、飽和または不飽和C−C15アルキル基、C−C15アリール基およびC−C15アラルキル基より選択され;
、R、R、R、RおよびRは、各々独立に、水素、飽和または不飽和C−C15アルキル基、C−C15アリール基、C−C15アラルキル基およびC−C15アルカリール基より選択され;そして
式(I)中のアニオンは、式(I)中のカチオンの+2価とバランスする任意のアニオンまたはアニオンの組み合わせであることができる];
式(II):
【化3】


で示される、グアニジンの誘導体[式中、
は、水素、飽和または不飽和C−C15アルキル基、C−C15アリール基、C−C15アラルキル基およびC15アルカリール基より選択され;
、R10、R11、およびR12は、各々独立に、水素、飽和または不飽和C−C15アルキル基、C−C15アリール基、C−C15アラルキル基およびC−C15アルカリール基より選択される];
および、場合により、第四級アンモニウム塩を含む、ケミカルメカニカルポリッシング組成物を提供する。
【0011】
本発明は、ケミカルメカニカルポリッシング組成物であって、初期成分として、水;0.1〜40重量%の砥粒;0.001〜1重量%の式(I)で示されるジ第四級物質[式中、
各々のXは、NおよびPより独立に選択され;
は、飽和または不飽和C−C15アルキル基、C−C15アリール基およびC−C15アラルキル基より選択され;
、R、R、R、RおよびRは、各々独立に、水素、飽和または不飽和C−C15アルキル基、C−C15アリール基、C−C15アラルキル基およびC−C15アルカリール基より選択され;そして
式(I)中のアニオンは、式(I)中のカチオンの+2価とバランスする任意のアニオンまたはアニオンの組み合わせであることができる];
0.001〜1重量%の式(II)で示されるグアニジンの誘導体[式中、
は、水素、飽和または不飽和C−C15アルキル基、C−C15アリール基、C−C15アラルキル基およびC15アルカリール基より選択され;
、R10、R11、およびR12は、各々独立に、水素、飽和または不飽和C−C15アルキル基、C−C15アリール基、C−C15アラルキル基およびC−C15アルカリール基より選択される];
および0〜1重量%の第四級アンモニウム塩を含む、ケミカルメカニカルポリッシング組成物を提供する。
【0012】
本発明は、初期成分として、水;0.1〜40重量%の砥粒;0.001〜1重量%の式(I)で示されるジ第四級物質[式中、
各々のXは、Nであり;
は、−(CH−基であり;
、R、R、R、RおよびRは、各々−(CHCH基であり;そして
式(I)中のアニオンは、式(I)中のカチオンの+2価とバランスする任意のアニオンまたはアニオンの組み合わせであることができる];
0.001〜1重量%の式(II)で示されるグアニジンの誘導体[式中、
は、水素であり;
、R10、R11およびR12は各々、−CH基である];
および0.005〜0.05重量%の水酸化テトラエチルアンモニウムを含む、ケミカルメカニカルポリッシング組成物を提供する。
【0013】
本発明は、
二酸化ケイ素を含む基板を提供すること;
本発明によるケミカルメカニカルポリッシング組成物を提供すること;
ケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;
0.69〜34.5kPaのダウンフォースでケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板の間の界面に動的接触を作り出すこと;および
ケミカルメカニカルポリッシング組成物のpHが2〜6である、ケミカルメカニカルポリッシング組成物を、ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板の間の界面またはその近傍でケミカルメカニカルポリッシングパッド上に注入すること;
を含む、基板のケミカルメカニカルポリッシング方法を提供する。
【0014】
本発明は、
二酸化ケイ素を含む基板を提供すること;
本発明によるケミカルメカニカルポリッシング組成物を濃縮された形態で提供すること;
ケミカルメカニカルポリッシング組成物を水で希釈すること;
ケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;
0.69〜34.5kPaのダウンフォースでケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板の間の界面に動的接触を作り出すこと;および
pHが2〜6であるケミカルメカニカルポリッシング組成物を、ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板の間の界面またはその近傍でケミカルメカニカルポリッシングパッド上に注入すること;
を含む、基板のケミカルメカニカルポリッシング方法を提供する。
【0015】
本発明は、
二酸化ケイ素を含む基板を提供すること;
希釈後の初期組成物として、ケミカルメカニカルポリッシング組成物であって:水;0.1〜40重量%の砥粒;0.001〜1重量%の式(I)で示されるジ第四級物質;0.001〜1重量%の式(II)で示されるグアニジンの誘導体;および場合により、0〜1重量%の第四級アンモニウム塩を含む、pHが2〜6であるケミカルメカニカルポリッシング組成物を提供すること;
ケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;
0.69〜34.5kPaのダウンフォースでケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板の間の界面に動的接触を作り出すこと;ならびに
ケミカルメカニカルポリッシング組成物を、ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板の間の界面またはその近傍でケミカルメカニカルポリッシングパッド上に注入すること;
を含む、基板のケミカルメカニカルポリッシング方法を提供する。
【0016】
本発明は、
二酸化ケイ素を含む基板を提供すること;
希釈後の初期組成物として、ケミカルメカニカルポリッシング組成物であって:
水;0.1〜40重量%のコロイダルシリカ砥粒;0.001〜1重量%の式(I)で示されるジ第四級物質;0.001〜1重量%の式(II)で示されるグアニジンの誘導体;および場合により、0〜1重量%の第四級アンモニウム塩を含む、pHが2〜6である、ケミカルメカニカルポリッシング組成物を提供すること;
ケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;
0.69〜34.5kPaのダウンフォースでケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板の間の界面に動的接触を作り出すこと;ならびに
ケミカルメカニカルポリッシング組成物を、ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板の間の界面またはその近傍でケミカルメカニカルポリッシングパッド上に注入することを含み、
ここで、該ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、プラテン速度:93rpm(revolutions per minute)、キャリア速度:87rpm、ケミカルメカニカルポリッシング組成物の流速:200ml/分、および200mm研磨機上での公称ダウンフォース:20.7kPaのとき、少なくとも1,500Å/分の二酸化ケイ素除去速度を示し、ここで、該ケミカルメカニカルポリッシングパッドは、ポリマー中空コア微粒子およびポリウレタン含浸不織サブパッドを含むポリウレタン研磨層を含む、
基板のケミカルメカニカルポリッシング方法を提供する。
【0017】
本発明は、
基板が二酸化ケイ素を含む基板を提供すること;
希釈後の初期組成物として、ケミカルメカニカルポリッシング組成物であって:水;0.1〜40重量%の砥粒;0.001〜1重量%の式(I)で示されるジ第四級物質[式中、各々のXは、Nであり;Rは、−(CH−基であり;R、R、R、R、RおよびRは、各々−(CHCH基であり;そして式(I)中のアニオンは、式(I)中のカチオンの+2価とバランスする任意のアニオンまたはアニオンの組み合わせであることができる];0.001〜1重量%の式(II)で示されるグアニジンの誘導体[式中、Rは、水素であり;R、R10、R11およびR12は各々、−CH基である];および0.005〜0.05重量%の水酸化テトラエチルアンモニウムを含む、pHが2〜6である、ケミカルメカニカルポリッシング組成物を提供すること;
ケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;
0.69〜34.5kPaのダウンフォースでケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板の間の界面に動的接触を作り出すこと;ならびに
ケミカルメカニカルポリッシング組成物を、ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板の間の界面またはその近傍でケミカルメカニカルポリッシングパッド上に注入すること;
を含み、
ここで、該ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、プラテン速度:93rpm、キャリア速度:87rpm、ケミカルメカニカルポリッシング組成物の流速:200ml/分、および200mm研磨機上での公称ダウンフォース:20.7kPaのとき、少なくとも1,500Å/分の二酸化ケイ素除去速度を示し、ここで、該ケミカルメカニカルポリッシングパッドは、ポリマー中空コア微粒子およびポリウレタン含浸不織サブパッドを含むポリウレタン研磨層を含む、
基板のケミカルメカニカルポリッシング方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
詳細な説明
本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は濃縮可能である。本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物に関して、本明細書および添付の請求項にて用いられる用語「濃縮可能」とは、使用時のケミカルメカニカルポリッシング組成物に組み込まれるよりも少ない水を伴って、ケミカルメカニカルポリッシング組成物が製造され、保存され、かつ出荷されうることを意味する。
【0019】
ケミカルメカニカルポリッシング組成物に関して本明細書および添付の請求項にて用いられる用語「使用時」とは、それが基板を研磨することに使われる時点におけるケミカルメカニカルポリッシング組成物を指す。
【0020】
式(II)で示されるグアニジンの誘導体および場合により第四級アンモニウム塩(もしあれば)をケミカルメカニカルポリッシング組成物に添加する結果生じる、酸化ケイ素の除去速度(Å/分で測定される除去速度)の変化に関して、本明細書および添付の請求項にて用いられる用語「最小効果」とは、酸化ケイ素の除去速度の変化が10%以下であることを意味する。すなわち、式(II)で示されるグアニジンの誘導体および場合により第四級アンモニウム塩(もしあれば)のケミカルメカニカルポリッシング組成物への添加が酸化ケイ素の除去速度に関して最小効果を有する時に、下式:
((A−A)/Aの絶対値)×100≦10
[式中、
Aは、初期組成物として、式(II)で示されるグアニジンの誘導体および場合により第四級アンモニウム塩(もしあれば)を含む本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物の場合の、実施例に記載される研磨条件下で測定される、Å/分で表した酸化ケイ素の除去速度であり;そして
は、ケミカルメカニカルポリッシング組成物には式(II)で示される誘導体および場合により第四級アンモニウム塩(もしあれば)が存在しないこと以外は、同一条件下で得られる、Å/分で表した酸化ケイ素の除去速度である]を満たす。
【0021】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は濃縮可能であり、かつ濃縮された形態では安定した状態を保つ。たとえば、本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は3倍濃縮で提供することができる(例:実施例中表3を参照)。明瞭化のために、本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、本明細書中では使用時組成物に関して詳細に記載するものとする。それにもかかわらず、当業者は、濃縮されたケミカルメカニカルポリッシング組成物を提供するために、本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物の製剤が濃縮するといかに変化するかを認識するであろう。
【0022】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング方法において用いられるケミカルメカニカルポリッシング組成物の特定の製剤を選択することは、濃縮性および安定性の両方の組み合わせにおいて、目標とする二酸化ケイ素除去速度を与える鍵となる。
【0023】
ケミカルメカニカルポリッシングのための本発明のケミカルメカニカルポリッシング方法の適用に適した基板は、その表面に二酸化ケイ素を堆積させた半導体基板を含む。場合により、基板は、SiC、SiCN、Si、SiCOおよびポリケイ素(最も好ましくはSi)のうち少なくとも1種に堆積させた二酸化ケイ素を有する。
【0024】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物の適用に適した砥粒は、たとえば無機酸化物、無機水酸化物、無機水酸化酸化物(hydroxide oxides)、金属ホウ化物、金属炭化物、金属窒化物、ポリマー粒子および前記の少なくとも1種を含む混合物を含む。適切な無機酸化物は、たとえばシリカ(SiO)、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、セリア(CeO)、酸化マンガン(MnO)、酸化チタン(TiO)または前記酸化物の少なくとも1種を含む組み合わせを含む。これらの無機酸化物の変形態様、たとえば有機ポリマーで被覆された無機酸化物粒子および無機物で被覆された粒子などは必要であれば同様に使用可能である。適切な金属炭化物、ホウ化物、窒化物は、たとえば炭化ケイ素、窒化ケイ素、炭窒化ケイ素(SiCN)、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、ホウ化アルミニウム、炭化タンタル、炭化チタン、または前記金属炭化物、ホウ化物、および窒化物の少なくとも1種を含む組み合わせを含む。好ましくは、砥粒はコロイダルシリカ砥粒である。
【0025】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物における砥粒は、好ましくは平均粒子サイズ5〜150nm、より好ましくは20〜100nm、さらにより好ましくは20〜60nm、最も好ましくは20〜50nmである。
【0026】
使用時の本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、好ましくは0.1〜40重量%、より好ましくは0.1〜20重量%、さらにより好ましくは1〜20重量%、最も好ましくは1〜10重量%の砥粒を含む。
【0027】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、好ましくは平均粒子サイズ20〜60nmを有するコロイダルシリカ砥粒を含む。さらにより好ましくは、使用時の本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、平均粒子サイズ20〜60nmを有する1〜10重量%のコロイダルシリカ砥粒を含む。最も好ましくは、使用時の本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、平均粒子サイズ20〜50nmを有する1〜10重量%のコロイダルシリカ砥粒を含む。
【0028】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物中に含まれる水は、偶発的な不純物を制限するために、好ましくは、脱イオン化されかつ蒸留されたものの少なくとも1種である。
【0029】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、
式(I):
【化4】


で示される、ジ第四級物質[式中、
各々のXは、NおよびPより独立に選択され、好ましくは、Xは、Nであり;
は、飽和または不飽和C−C15アルキル基、C−C15アリール基およびC−C15アラルキル基(好ましくはC−C10アルキル基、より好ましくはC−Cアルキル基、さらにより好ましくは−(CH−基および−(CH−基、最も好ましくは−(CH−基)より選択され;
、R、R、R、RおよびRは、各々独立に、水素、飽和または不飽和C−C15アルキル基、C−C15アリール基、C−C15アラルキル基およびC−C15アルカリール基(好ましくは水素およびC−Cアルキル基、より好ましくは水素およびブチル基、最も好ましくはブチル基)より選択され;そして
式(I)中のアニオンは、式(I)中のカチオンの+2価とバランスする任意のアニオンまたはアニオンの組み合わせであることができる(好ましくは式(I)中のアニオンは、ハロゲンアニオン、水酸化物アニオン、硝酸アニオン、硫酸アニオンおよびリン酸アニオン;より好ましくはハロゲンアニオンおよび水酸化物アニオン、最も好ましくは水酸化物アニオンから選択される)]を含む。
【0030】
好ましくは、使用時の本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、0.001〜1重量%(より好ましくは0.01〜1重量%、さらにより好ましくは0.01〜0.2重量%、最も好ましくは0.01〜0.05重量%)の式(I)で示されるジ第四級物質を含む。最も好ましくは、使用時の本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、0.01〜0.05重量%の式(I)で示されるジ第四級物質[式中、Xは、Nであり;Rは、−(CH−基であり;そしてR、R、R、R、RおよびRは各々、−(CHCH基である]を含む。式(I)で示される、ジ第四級物質を含有することは二酸化ケイ素の除去速度を加速する。
【0031】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、式(II):
【化5】


で示される、グアニジンの誘導体[式中、
は、水素、飽和または不飽和C−C15アルキル基、C−C15アリール基、C−C15アラルキル基およびC15アルカリール基(好ましくは水素およびC−Cアルキル基、より好ましくは水素およびメチル基、最も好ましくは水素)より選択され;
、R10、R11、およびR12は、各々独立に、水素、飽和または不飽和C−C15アルキル基、C−C15アリール基、C−C15アラルキル基およびC−C15アルカリール基(好ましくは水素およびC−Cアルキル基、より好ましくは水素およびメチル基、最も好ましくはメチル基)より選択される]を含む。
【0032】
好ましくは使用時の本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、0.001〜1重量%(より好ましくは0.001〜0.5重量%、さらにより好ましくは0.001〜0.2重量%、最も好ましくは0.005〜0.05重量%)の式(II)で示されるグアニジンの誘導体を含む。最も好ましくは、使用時の本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、0.005〜0.05重量%の式(II)で示されるグアニジンの誘導体[式中、Rは、水素であり;そしてR、R10、R11、およびR12は、各々−CH基である]を含む。
【0033】
場合により、使用時の本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、0〜1重量%(好ましくは0.005〜1重量%、より好ましくは0.005〜0.05重量%、最も好ましくは0.01〜0.02重量%)の第四級アンモニウム塩を含む。例えば、ハロゲン、水酸化物、硝酸、硫酸、リン酸の第四級アンモニウム塩。好ましくは、第四級アンモニウム塩は、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトライソプロピルアンモニウム、水酸化テトラシクロプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトライソブチルアンモニウム、水酸化テトラtert−ブチルアンモニウム、水酸化テトラsec−ブチルアンモニウム、水酸化テトラシクロブチルアンモニウム、水酸化テトラペンチルアンモニウム、水酸化テトラシクロペンチルアンモニウム、水酸化テトラヘキシルアンモニウム、水酸化テトラシクロヘキシルアンモニウム、およびこれらの混合物(最も好ましくは水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAH)、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、および水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAH)より選択される)から選択される。
【0034】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、場合によりさらに、分散剤、界面活性剤、緩衝剤、および殺生物剤から選択される追加的な添加物を含む。
【0035】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、場合により腐食防止剤を含まない。本明細書および添付の請求項にて用いられる用語「腐食防止剤を含まない」とは、ケミカルメカニカルポリッシング組成物が、ベンゾトリアゾール;1,2,3−ベンゾトリアゾール;5,6−ジメチル−1,2,3−ベンゾトリアゾール;1−(1,2−ジカルボキシエチル)ベンゾトリアゾール;1−[N,N−ビス(ヒドロキシルエチル)アミノメチル]ベンゾトリゾール;または1−(ヒドロキシルメチル)ベンゾトリアゾールを含まないことを意味する。
【0036】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、酸化剤を含まない。本明細書および添付の請求項にて用いられる用語「酸化剤を含まない」とは、ケミカルメカニカルポリッシング組成物が、たとえば過酸化水素、過硫酸塩(例:一過硫酸アンモニウムおよび二過硫酸カリウム)および過ヨウ素酸塩(例:過ヨウ素酸カリウム)のような酸化剤を含まないことを意味する。
【0037】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、pH2〜6で有効性を与える。好ましくは用いられる本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、pH2〜5で有効性を与える。最も好ましくは用いられる本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、pH2〜4で有効性を与える。ケミカルメカニカルポリッシング組成物のpHを調整するために適した酸は、たとえばリン酸、硝酸、硫酸および塩酸を含む。ケミカルメカニカルポリッシング組成物のpHを調整するために適した塩基は、たとえば水酸化アンモニウムおよび水酸化カリウムを含む。
【0038】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、好ましくは1,500Å/分以上、より好ましくは1,800Å/分以上、最も好ましくは2,000Å/分以上の二酸化ケイ素除去速度を示す。
【0039】
好ましくは使用時の本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、水;平均粒子サイズ5〜150nm(好ましくは20〜100nm、より好ましくは20〜60nm、最も好ましくは20〜50nm)を有する、0.1〜40重量%(好ましくは0.1〜20重量%、さらにより好ましくは1〜20重量%、最も好ましくは1〜10重量%)の砥粒;
0.001〜1重量%(好ましくは0.01〜1重量%、より好ましくは0.01〜0.2重量%、最も好ましくは0.01〜0.05重量%)の式(I)で示されるジ第四級物質[式中、
各々のXは、NおよびPより独立に選択され、好ましくは、Xは、Nであり;
は、飽和または不飽和C−C15アルキル基、C−C15アリール基およびC−C15アラルキル基(好ましくはC−C10アルキル基、より好ましくはC−Cアルキル基、さらにより好ましくは−(CH−基および−(CH−基、最も好ましくは−(CH−基)より選択され;
、R、R、R、RおよびRは、各々独立に、水素、飽和または不飽和C−C15アルキル基、C−C15アリール基、C−C15アラルキル基およびC−C15アルカリール基(好ましくは水素およびC−Cアルキル基、より好ましくは水素およびブチル基、最も好ましくはブチル基)より選択され;そして
式(I)中のアニオンは、式(I)中のカチオンの+2価とバランスする任意のアニオンまたはアニオンの組み合わせであることができる(好ましくは式(I)中のアニオンがハロゲンアニオン、水酸化物アニオン、硝酸アニオン、硫酸アニオンおよびリン酸アニオン;より好ましくはハロゲンアニオンおよび水酸化物アニオン、最も好ましくは水酸化物アニオンから選択される)];
0.001〜1重量%(好ましくは0.001〜0.5重量%、より好ましくは0.001〜0.2重量%、最も好ましくは0.005〜0.05重量%)の式(II)で示されるグアニジンの誘導体[式中、
は、水素、飽和または不飽和C−C15アルキル基、C−C15アリール基、C−C15アラルキル基およびC−C15アルカリール基(好ましくは水素およびC−Cアルキル基、より好ましくは水素およびメチル基、最も好ましくは水素)より選択され;
、R10、R11、およびR12は、各々独立に、水素、飽和または不飽和C−C15アルキル基、C−C15アリール基、C−C15アラルキル基およびC−C15アルカリール基(好ましくは水素およびC−Cアルキル基、より好ましくは水素およびメチル基、最も好ましくはメチル基)より選択される];および
0〜1重量%(好ましくは0.005〜1重量%、より好ましくは0.005〜0.05重量%、最も好ましくは0.01〜0.02重量%)の第四級アルキルアンモニウム化合物を含み;
ここで、該ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、1,500Å/分以上、好ましくは1,800Å/分以上、より好ましくは2,000Å/分以上の二酸化ケイ素の除去速度を示す。
【0040】
本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は、好ましくは保存安定性を有する。
本明細書および添付の請求項にて用いられる用語「保存安定性」とは、粘性を100rpmでBrookfield #S00スピンドルセットを使用して、20℃でBrookfield DV-I+ Viscometerを用いて測定して、対象のケミカルメカニカルポリッシング組成物の粘性の増加が、55℃での1週間の保存の後5%未満であることを意味する。より好ましくは、本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物は拡張保存安定性を有する。本明細書および添付の請求項にて用いられる用語「拡張保存安定性」とは、粘性を100rpmでBrookfield #S00スピンドルセットを使用して、20℃でBrookfield DV-I+ Viscometerを用いて測定して、対象のケミカルメカニカルポリッシング組成物の粘性の増加が、55℃での4週間の保存の後15%未満であることを意味する。
【0041】
本発明のケミカルメカニカルポリッシングの方法は、
二酸化ケイ素(場合により二酸化ケイ素ならびにSiC、SiCN、Si、SiCOおよびポリケイ素のなかの少なくとも1種;好ましくは窒化ケイ素上に析出させた二酸化ケイ素)を含む基板を提供すること;
本発明のケミカルメカニカルポリッシング組成物{該ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、初期成分として、水;平均粒子サイズ5〜150nm(好ましくは20〜60nm、最も好ましくは20〜50nm)を有する、0.1〜40重量%(好ましくは0.1〜20重量%、最も好ましくは1〜10重量%)の砥粒;
0.001〜1重量%(好ましくは0.01〜1重量%、より好ましくは0.01〜0.2重量%、最も好ましくは0.01〜0.05重量%)の式(I)で示されるジ第四級物質[式中、
各々のXは、NおよびPより独立に選択され、好ましくは、Xは、Nであり;
は、飽和または不飽和C−C15アルキル基、C−C15アリール基およびC−C15アラルキル基(好ましくはC−C10アルキル基、より好ましくはC−Cアルキル基、さらにより好ましくは−(CH−基および−(CH−基、最も好ましくは−(CH−基)より選択され;
、R、R、R、RおよびRは、各々独立に、水素、飽和または不飽和C−C15アルキル基、C−C15アリール基、C−C15アラルキル基およびC−C15アルカリール基(好ましくは水素およびC−Cアルキル基、より好ましくは水素およびブチル基、最も好ましくはブチル基)より選択され;そして
式(I)中のアニオンは、式(I)中のカチオンの+2価とバランスする任意のアニオンまたはアニオンの組み合わせであることができる(好ましくは式(I)中のアニオンは、ハロゲンアニオン、水酸化物アニオン、硝酸アニオン、硫酸アニオン、およびリン酸アニオン;より好ましくはハロゲンアニオンおよび水酸化物アニオン、最も好ましくは水酸化物アニオンから選択される)];
0.001〜1重量%(好ましくは0.001〜0.5重量%、より好ましくは0.001〜0.2重量%、最も好ましくは0.005〜0.05重量%)の式(II)で示されるグアニジンの誘導体[式中、
は、水素、飽和または不飽和C−C15アルキル基、C−C15アリール基、C−C15アラルキル基およびC−C15アルカリール基(好ましくは水素およびC−Cアルキル基、より好ましくは水素およびメチル基、最も好ましくは水素)より選択され;
、R10、R11、およびR12は、各々独立に、水素、飽和または不飽和C−C15アルキル基、C−C15アリール基、C−C15アラルキル基およびC−C15アルカリール基(好ましくは水素およびC−Cアルキル基、より好ましくは水素およびメチル基、最も好ましくはメチル基)より選択される];および
0〜1重量%(好ましくは0.005〜1重量%、より好ましくは0.005〜0.05重量%、最も好ましくは0.01〜0.02重量%)の第四級アンモニウム塩
を含む}を提供すること;
ケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;
0.69〜34.5kPa(0.1〜5psi)のダウンフォース、好ましくは0.69〜20.7kPa(0.1〜3psi)でケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板の間の界面に動的接触を作り出すこと;ならびに
ケミカルメカニカルポリッシング組成物を、ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板の間の界面またはその近傍でケミカルメカニカルポリッシングパッド上に注入することを含み、
ここで、該ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、pH2〜6、好ましくは2〜5、最も好ましくは2〜4を有し;二酸化ケイ素および窒化ケイ素は、該ケミカルメカニカルポリッシング組成物に触れており;該ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、1,500Å/分以上、好ましくは1,800Å/分以上、より好ましくは2,000Å/分以上の二酸化ケイ素除去速度を示す。
【0042】
好ましくは、ケミカルメカニカルポリッシング組成物にて使用される砥粒はコロイダルシリカであり、かつ使用されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、プラテン速度:93rpm、キャリア速度:87rpm、ケミカルメカニカルポリッシング組成物の流速:200ml/分、および200mm研磨機(例:Applied Materials Mirra(登録商標)研磨機)上での公称ダウンフォース:20.7kPa(3psi)のとき、少なくとも1,500Å/分、より好ましくは少なくとも1,800Å/分、最も好ましくは少なくとも2,000Å/分の二酸化ケイ素除去速度を示し、ここで、ケミカルメカニカルポリッシングパッドは、ポリマー中空コア微粒子およびポリウレタン含浸不織サブパッド(例:Rohm and Haas Electronic Materials CMP Inc.より入手可能なポリッシングパッドIC1010)を含むポリウレタン研磨層を含む。
【0043】
好ましくは、本発明のケミカルメカニカルポリッシングの方法は、
基板が二酸化ケイ素を含む基板を提供すること;
ケミカルメカニカルポリッシング組成物{初期成分として、水;平均粒子サイズ20〜60nmを有する、1〜10重量%のコロイダルシリカ砥粒;
0.01〜0.05重量%の式(I)で示されるジ第四級物質[式中、
Xは、Nであり;
は、C−C10アルキル基より選択され;
、R、R、R、RおよびRは、独立に、C−Cアルキル基より選択され;そして
式(I)中のアニオンは、式(I)中のカチオンの+2価とバランスする任意のアニオンまたはアニオンの組み合わせであることができる(好ましくは式(I)中のアニオンは、ハロゲンアニオン、水酸化物アニオン、硝酸アニオン、硫酸アニオンおよびリン酸アニオン;より好ましくはハロゲンアニオンおよび水酸化物アニオン、最も好ましくは水酸化物アニオンから選択される)];
0.005〜0.05重量%の式(II)で示されるグアニジンの誘導体[式中、
は、水素、飽和または不飽和C−C15アルキル基、C−C15アリール基、C−C15アラルキル基およびC−C15アルカリール基(好ましくは水素およびC−Cアルキル基、より好ましくは水素およびメチル基、最も好ましくは水素)より選択され;
、R10、R11、およびR12は、各々独立に、水素、飽和または不飽和C−C15アルキル基、C−C15アリール基、C−C15アラルキル基およびC−C15アルカリール基(好ましくは水素およびC−Cアルキル基、より好ましくは水素およびメチル基、最も好ましくはメチル基)より選択される];および
0〜1重量%、(好ましくは0.005〜1重量%、より好ましくは0.005〜0.05重量%、最も好ましくは0.01〜0.02重量%)の第四級アンモニウム塩
を含む}を提供すること;
ケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;
0.69〜34.5kPa(0.1〜5psi)のダウンフォース、好ましくは0.69〜20.7kPa(0.1〜3psi)でケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板の間の界面に動的接触を作り出すこと;ならびに
ケミカルメカニカルポリッシング組成物を、ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板の間の界面またはその近傍でケミカルメカニカルポリッシングパッド上に注入することを含み、
ここで、該ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、pH2〜6、好ましくは2〜5、最も好ましくは2〜4を有し;二酸化ケイ素は、ケミカルメカニカルポリッシング組成物に触れており;そしてケミカルメカニカルポリッシング組成物は、保存安定性(好ましくは拡張保存安定性)を示す。
【0044】
好ましくは、本発明のケミカルメカニカルポリッシングの方法に用いられるケミカルメカニカルポリッシング組成物にて使用される砥粒はコロイダルシリカであり、かつ使用されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、下記[プラテン速度:93rpm、キャリア速度:87rpm、ケミカルメカニカルポリッシング組成物の流速:200ml/分、および200mm研磨機(例:Applied Materials Mirra(登録商標)研磨機)上での公称ダウンフォース:20.7kPa(3psi)]のとき、少なくとも1,500Å/分、より好ましくは少なくとも1,800Å/分、最も好ましくは少なくとも2,000Å/分の二酸化ケイ素除去速度を示し、ここで、ケミカルメカニカルポリッシングパッドは、ポリマー中空コア微粒子およびポリウレタン含浸不織サブパッド(例:Rohm and Haas Electronic Materials CMP Inc.より入手可能なポリッシングパッドIC1010)を含むポリウレタン研磨層を含む。
【0045】
好ましくは、本発明のケミカルメカニカルポリッシングの方法は、
二酸化ケイ素を含む基板を提供すること;
ケミカルメカニカルポリッシング組成物{初期成分として、水;平均粒子サイズ20〜60nmを有する、1〜10重量%のコロイダルシリカ砥粒;
0.01〜0.05重量%の式(I)で示されるジ第四級物質[式中、
各々のXは、Nであり;
は、(CH基であり;
、R、R、R、RおよびRは各々、−(CHCH−基であり;そして
式(I)中のアニオンは2つの水酸化物アニオンである];
0.005〜0.05重量%の式(II)で示されるグアニジンの誘導体[式中、グアニジンの誘導体はテトラメチルグアニジンである];および
0.005〜0.05重量%(最も好ましくは0.01〜0.02重量%)の水酸化テトラエチルアンモニウムおよび水酸化テトラブチルアンモニウムから選択される第四級アンモニウム塩を含む}を提供すること;
ケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;
0.69〜20.7kPa(0.1〜3psi)のダウンフォースでケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板の間の界面に動的接触を作り出すこと;ならびに
ケミカルメカニカルポリッシング組成物を、ケミカルメカニカルポリッシングパッドと基板の間の界面またはその近傍でケミカルメカニカルポリッシングパッド上に注入することを含み、
ここで、該ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、pH2〜4を有し;二酸化ケイ素および窒化ケイ素は、該ケミカルメカニカルポリッシング組成物に触れており、該ケミカルメカニカルポリッシング組成物は、保存安定性(好ましくは拡張保存安定性)を示す。
【0046】
好ましくは、本発明のケミカルメカニカルポリッシングの方法に用いられるケミカルメカニカルポリッシング組成物にて使用される砥粒はコロイダルシリカであり、かつ使用されるケミカルメカニカルポリッシング組成物は、下記[プラテン速度:93rpm、キャリア速度:87rpm、ケミカルメカニカルポリッシング組成物の流速:200ml/分、および200mm研磨機(例:Applied Materials Mirra(登録商標)研磨機)上での公称ダウンフォース:20.7kPa(3psi)]のとき、少なくとも1,500Å/分、より好ましくは少なくとも1,800Å/分、最も好ましくは少なくとも2,000Å/分の二酸化ケイ素除去速度を示し、ここで、ケミカルメカニカルポリッシングパッドは、ポリマー中空コア微粒子およびポリウレタン含浸不織サブパッド(例:Rohm and Haas Electronic Materials CMP Inc.より入手可能なポリッシングパッドIC1010)を含むポリウレタン研磨層を含む。
【実施例】
【0047】
本発明のいくつかの実施態様を下記実施例にて詳細に記載する。
【0048】
[比較実施例C1および実施例A1〜A2]
ケミカルメカニカルポリッシング組成物の調製
比較研磨実施例PC1および研磨実施例PA1〜PA2(すなわち、各々ケミカルメカニカルポリッシング組成物C1およびA1〜A2)において用いられたケミカルメカニカルポリッシング組成物は、表1記載の量の構成物と残余の脱イオン水と組み合わせることによって調製され、そして組成物のpHは、表1記載の最終pHに硝酸で調整された。
【0049】
【表1】


【化6】


【化7】

【0050】
[比較実施例PC1および実施例PA1〜PA2]
ケミカルメカニカルポリッシング実験
比較実施例C1および実施例A1〜A2に従って調製したケミカルメカニカルポリッシング組成物を用いて、二酸化ケイ素除去速度研磨試験が実施された。具体的には、ケミカルメカニカルポリッシング組成物C1とA1〜A2の各々についての二酸化ケイ素除去速度が表1に特定された。これらの二酸化ケイ素除去速度実験は、Applied Materials Mirra(登録商標)研磨機およびポリウレタンポリッシングパッドIC1010(商標)(Rohm and Haas Electronic Materials CMP Incにて市販)を用いてダウンフォース20.7kPa(3psi)、ケミカルメカニカルポリッシング組成物流速:200ml/分、テーブル回転速度:93rpm、キャリア回転速度:87rpmで、8インチのケイ素基板上の二酸化ケイ素皮膜を有するブランケットウエーハ上で実施された。二酸化ケイ素除去速度を、KLA-Tencor FX200計測器を用いて研磨前後の皮膜厚みを測定することにより決定した。二酸化ケイ素除去速度実験結果を表2に示す。
【0051】
【表2】

【0052】
[加速安定性試験]
比較実施例C1および実施例A1−A2に従って調製したケミカルメカニカルポリッシング組成物は、使用時製剤と考えられる。実際にはケミカルメカニカルポリッシング組成物を濃縮した形態で製造しておいて、使用時に顧客に希釈させるほうがより経済的であり、よって出荷コストが削減できる。表3は、3倍濃縮(3×)製剤:3C1、3A1〜3A2を一覧したもので、各々、比較実施例C1および実施例A1〜A2に明記した使用時製剤に対応しており、硝酸の滴定によって表中のpHに調整してある。3×濃縮製剤は、安定性を試験するために、その後加速経時劣化実験に供された。具体的には、濃縮された組成物3C1、3A1および3A2は、オーブン中に置かれ、4週間の期間55℃に保たれた。最初に組成物3C1、3A1および3A2の粘性が実験の開始時に測定され、4週間の期間にわたり週毎に測定された。粘性の測定は、100rpmでBrookfield #S00スピンドルセットを使用して、20℃でBrookfield DV-I+ Viscometerを用いて実施された。結果を表4に示す。データは、本発明の濃縮製剤が著しく強化された安定性を示すことを実証する。
【0053】
【表3】

【0054】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケミカルメカニカルポリッシング組成物であって、初期成分として、
水;
砥粒;
式(I):
【化8】


で示される、ジ第四級物質[式中、
各々のXは、NおよびPより独立に選択され;
は、飽和または不飽和C−C15アルキル基、C−C15アリール基およびC−C15アラルキル基より選択され;
、R、R、R、RおよびRは、各々独立に、水素、飽和または不飽和C−C15アルキル基、C−C15アリール基、C−C15アラルキル基およびC−C15アルカリール基より選択され;そして
式(I)中の前記アニオンは、式(I)中の前記カチオンの+2価とバランスする任意のアニオンまたはアニオンの組み合わせであることができる];
式(II):
【化9】


で示される、グアニジンの誘導体[式中、
は、水素、飽和または不飽和C−C15アルキル基、C−C15アリール基、C−C15アラルキル基およびC15アルカリール基より選択され;
、R10、R11、およびR12は、各々独立に、水素、飽和または不飽和C−C15アルキル基、C−C15アリール基、C−C15アラルキル基およびC−C15アルカリール基より選択される];
および、場合により、第四級アンモニウム塩
を含む、ケミカルメカニカルポリッシング組成物。
【請求項2】
前記ケミカルメカニカルポリッシング組成物が、初期成分として
水;
0.1〜40重量%の前記砥粒;
0.001〜1重量%の式(I)で示される前記ジ第四級物質;
0.001〜1重量%の式(II)で示される前記グアニジンの誘導体;および
0〜1重量%の任意の前記第四級アンモニウム塩
を含む、請求項1記載のケミカルメカニカルポリッシング組成物。
【請求項3】
各々のXが、Nであり;Rが、−(CH−基であり;そして、R、R、R、R、RおよびRが各々、−(CHCH基である、請求項1記載のケミカルメカニカルポリッシング組成物。
【請求項4】
が、水素であり;そして、R、R10、R11、およびR12が各々、−CH基である、請求項3記載のケミカルメカニカルポリッシング組成物。
【請求項5】
水;
0.1〜40重量%の前記砥粒;
0.001〜1重量%の式(I)で示される前記ジ第四級物質;
0.001〜1重量%の式(II)で示される前記グアニジンの誘導体;および
0.005〜1重量%の任意の前記第四級アンモニウム塩
である、請求項4記載のケミカルメカニカルポリッシング組成物。
【請求項6】
基材のケミカルメカニカルポリッシング方法であって、
二酸化ケイ素を含む基板を提供すること;
請求項1記載のケミカルメカニカルポリッシング組成物を提供すること;
ケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;
0.69〜34.5kPaのダウンフォースで前記ケミカルメカニカルポリッシングパッドと前記基板の間の界面に動的接触を作り出すこと;および
前記ケミカルメカニカルポリッシング組成物を、前記ケミカルメカニカルポリッシングパッドと前記基板の間の界面またはその近傍で前記ケミカルメカニカルポリッシングパッド上に注入することを含み、
前記ケミカルメカニカルポリッシング組成物のpHが2〜6である、基板のケミカルメカニカルポリッシング方法。
【請求項7】
提供される前記ケミカルメカニカルポリッシング組成物が濃縮形態であり、かつ前記方法がさらに前記ケミカルメカニカルポリッシング組成物を水で希釈することを含む、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記ケミカルメカニカルポリッシング組成物が、希釈後の初期組成物として、
水;
0.1〜40重量%の前記砥粒;
0.001〜1重量%の式(I)で示される前記ジ第四級物質;
0.001〜1重量%の式(II)で示される前記グアニジンの誘導体;および
0〜1重量%の前記任意の前記第四級アンモニウム塩
を含有し、
前記ケミカルメカニカルポリッシング組成物のpHが2〜6である、
請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記砥粒が、コロイダルシリカであり;かつ前記ケミカルメカニカルポリッシング組成物が、プラテン速度:93rpm、キャリア速度:87rpm、ケミカルメカニカルポリッシング組成物の流速:200ml/分、および200mm研磨機上での公称ダウンフォース:20.7kPaのとき、少なくとも1,500Å/分の二酸化ケイ素除去速度を示し、前記ケミカルメカニカルポリッシングパッドが、ポリマー中空コア微粒子並びにポリウレタン含浸不織サブパッドを含むポリウレタン研磨層を含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記基板が、さらにSiC、SiCN、Si、SiCOおよびポリケイ素のうち少なくとも1種を含む、請求項6記載の方法。

【公開番号】特開2012−109534(P2012−109534A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−204227(P2011−204227)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(504089426)ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ シーエムピー ホウルディングス インコーポレイテッド (125)
【Fターム(参考)】