説明

官能化された、高割合のビニル末端基を有するプロピレンベースオリゴマー

【課題】工業的な温度および工業的な速度でつくられることができる、広い範囲の分子量の調節が可能な、高い割合のアリル末端基を有するプロピレンベースのマクロモノマーの必要性が存在する。あるいは、構造的頑健性を有するプロピレン−エチレンオリゴマーの必要性が存在する。さらに、官能化されることができ、添加剤の用途に用いられることができる、ビニル末端基を有するプロピレンベースの反応性物質の必要性が存在する。
【解決手段】本発明は、300〜30,000g/モルのMnを有し、10〜90モル%のプロピレンおよび10〜90モル%のエチレンを含む官能化コオリゴマーであって、該オリゴマーが少なくともX%のアリル鎖末端基を有し、ここで、1)10〜60モル%のエチレンが該コオリゴマー中に存在するときはX=(−0.94(取り込まれたエチレンのモル%)+100)であり、2)60超〜70モル%未満のエチレンが該コオリゴマー中に存在するときはX=45であり、3)70〜90モル%のエチレンが該コオリゴマー中に存在するときはX=(1.83*(取り込まれたエチレンのモル%)−83)である、官能化コオリゴマーに関する。本発明は、プロピレンを含む官能化ホモオリゴマーであって、該オリゴマーが少なくとも93%のアリル鎖末端基、約500〜約20,000g/モルのMn、0.8:1〜1.2:1.0のイソブチル鎖末端基とアリル性ビニル基との比および100ppm未満のアルミニウムを有する、官能化ホモオリゴマーにも関する。本発明は、プロピレンを含む官能化ホモまたはコオリゴマーをつくる方法であって、生産性が4500g/Hf(またはZr)ミリモル/時より大きい方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2008年6月20日に出願された米国特許出願第12/143,663号の一部継続出願であり、その内容は参照によって本明細書に取り込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、ビニル末端オリゴマーを製造するためのオレフィンのオリゴマー化、特にプロピレン−エチレンのオリゴマー化に関する。
【0003】
アルファ−オレフィン、とりわけ約6〜約20の炭素原子を含むアルファ−オレフィンは、洗浄剤または他のタイプの商業製品の製造における中間体として用いられている。かかるアルファ−オレフィンはモノマーとして、とりわけ直鎖状低密度ポリエチレン中のモノマーとしても用いられている。商業的に製造されるアルファ−オレフィンは、典型的にはエチレンをオリゴマー化することによってつくられる。比較的長鎖のアルファ−オレフィン、たとえばビニル末端ポリエチレンも知られており、官能化されて構成ブロックとしてまたはマクロモノマーとして用いられることができる。
【0004】
エチレンまたはプロピレンのアリル末端低分子量固形物および液状物も製造されており、典型的には重合反応における分枝として用いられる。たとえば、非特許文献1および2を参照せよ。
【0005】
さらに、特許文献1は、トルエンまたはヘキサン中のビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロライド、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライドおよびビス(テトラメチルn−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロライドが、メチルアルモキサンとともに、水素ありまたはなしで、2〜10の低重合度を有するアリル性ビニル末端のプロピレンホモオリゴマーをつくることを開示している。これらのオリゴマーは高いMnを有しないで、少なくとも93%のアリル性ビニル不飽和基を有する。その上、これらのオリゴマーはコノモマーを有さず、かつ大過剰のアルモキサン(モル比600Al/M以上、ここでM=Zr、Hf)を用いて低い生産性で製造される。さらに、(溶媒+プロピレン基準で)60重量%以上の溶媒がすべての実施例において存在している。
【0006】
Teubenらは、[CpMMe(THT)]+[BPh](ここでM=ZrおよびHf)を用いて、プロピレンオリゴマーをつくっている(非特許文献3)。M=Zrの場合、C24(Mn 336)までのオリゴマーを有する広い生成物分布が室温で得られた。他方、M=Hfの場合、2量体4−メチル−1−ペンテンおよび3量体4,6−ジメチル−1−ヘプテンが形成された。支配的な停止機構は、重水素標識による検討によって証明されたように、成長鎖から金属中心へのベータメチル転移であるようであった。
【0007】
X.Yangらは、低温度でつくられた非晶質で低分子量のポリプロピレンを開示しており、その反応は低い活性およびH−NMRによって全不飽和基当たり90%のアリル性ビニル基を有する生成物を示した(非特許文献4)。その後Resconiらは、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムおよびビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウム中心を用いてプロピレンを重合し、「主としてアリル末端およびイソ−ブチル末端の」鎖を有するオリゴマーおよび低分子量ポリマーをもたらすベータ−メチル停止機構を得たことを開示している(非特許文献5)。特許文献1の場合のように、生成されたオリゴマーは、少なくとも93%のアリル鎖末端基、(H−NMRによって測定された)約500〜約20,000g/モルのMnを有さず、また触媒は低い生産性(1〜12,620g/メタロセンミリモル/時、生成物中3000重量ppm超のAl)を有している。
【0008】
同様に、SmallおよびBrookhartは、ピリジルビスアミド鉄触媒を低温度重合で用いて、外見上、支配的または排他的な2,1連鎖成長、ベータ−ヒドリド脱離による連鎖停止および高割合量のビニル末端基を有する低分子量非晶性プロピレン物質を生成したことを開示している(非特許文献6)。Dekmezianらは、トルエン中、約120℃でジメチルシリルビス(2−メチル,4−フェニル−インデニル)ハフニウムジクロライドをメチルアルモキサンとともに用いてつくられた約81パーセントまでのビニル末端基を有する物質を開示している(非特許文献7)。この物質は(H−NMRによって測定された)約12,300の数平均分子量および約143℃の融点を有する。
【0009】
Moscardiらは、プロピレンの回分重合においてrac−ジメチルシリルメチレンビス(3−t−ブチルインデニル)ジクロライドおよびメチルアルモキサンを用いて物質を製造し、この場合に「・・・アリル末端基は、他のいずれの末端基よりもいずれの[プロペン]においても常に優勢である。」ことを開示している(非特許文献8)。これらの反応ではモルフォロジーの制御は限定的であり、約60%の鎖末端基がアリル性である。
【0010】
Coatesらは、−20〜+20℃の間で4時間の回分重合実験において、修飾メチルアルモキサン(MMAO、Al/Tiモル比=200)で活性化されたビス(フェノキシイミン)チタンジクロライド((PHI)TiCl)を用いて約100%のアリル末端基を有する低分子量のシンジオタクチックポリプロピレン([rrrr]=0.46〜0.93)の調製を開示している(非特許文献9)。これらの重合の場合、プロピレンはトルエン中に溶解されて、1.65Mのトルエン溶液が生成された。触媒の生産性は非常に低かった(0.95〜1.14g/Tiミリモル/時)。
【0011】
特許文献2は、HSO処理モンモリロナイト、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウムのような物質を用いてビニル末端プロピレンポリマーを生成する方法を開示しており、この場合液状プロピレンがトルエン中の触媒スラリーの中に供給される。この製造方法は、有意の量の非晶性物質を有さない実質的にアイソタクチックなマクロモノマーを生成する。
【0012】
Roseらは、有意の量のイソブチル鎖末端基を有しないポリ(エチレン−コ−プロピレン)マクロモノマーを開示している(非特許文献10)。(0℃で30分間、30psiのプロピレンがトルエンに加えられ、それに続いて0℃で2.3〜4時間の重合時間にわたって32psiの超過圧力でエチレンガス流が加えられる)半回分重合において、修飾メチルアルモキサン(MMAO、Al/Tiモル比の範囲150〜292)で活性化されたビス(フェノキシイミン)チタンジクロライド((PHI)TiCl)を用いて、これらのマクロモノマーはつくられ、その結果、約4800〜23,300のMnを有するE−Pコポリマーが生成された。報告された4の共重合において、エチレン取り込み量が増加するにつれて、おおよそ以下の式に従ってアリル性鎖末端基は減少した。
(全不飽和基中の)アリル性鎖末端基%=−0.95(取り込まれたエチレンのモル%)+100
たとえば、(全不飽和基当たり)65%のアリル基が、エチレン29モル%を含むE−Pコポリマーについて報告された。これが達成された最も高いアリル基数である。取り込まれたエチレン64モル%の場合、不飽和基の42%のみがアリル基である。これらの重合の生産性は0.78×10g/Tiミリモル/時〜4.62×10g/Tiミリモル/時の範囲であった。
【0013】
この研究の前には、Zhuらが、B(CおよびMMAOで活性化された拘束幾何メタロセン触媒[CMe(SiMeN−tert−ブチル)TiMe]でつくられた低い(約38%)ビニル末端のエチレン−プロピレンコポリマーのみを報告している(非特許文献11および12)。
【0014】
JaniakおよびBlankはオレフィンのオリゴマー化に関する多様な研究をまとめている(非特許文献13)。
【0015】
Rodriguezらは、特許文献3の中で、特定の処理をされた担体上の触媒化合物による重合およびオリゴマー化を開示し、キャッピングされた担体上のジメチルシリルビス(2−メチル,4−フェニルインデニル)ジルコニウムジメチル触媒化合物による重合を実施例として示している。しかし、かかる触媒は、典型的には(不飽和である末端基のうち)約50%のビニル末端および約50%のビニリデン末端の不飽和基を生成する。
【0016】
特許文献4の実施例18は、50℃でジメチルシランジイルビス(オクタヒドロフルオレニル)ジルコニウムジクロライド化合物およびメチルアルモキサンを用いて、ホモ−プロピレンオリゴマーをつくることを開示し、これは95%のアリル末端基、45の「オリゴマー化度」(これは約1890のMnに等しいようである。)および90,000ppmの推定Al含有量を有することを報告している。活性も低いようである。
【0017】
これらのすべての先行技術において、プロピレンベースの重合、とりわけプロピレン−エチレン共重合について、高割合のアリル性鎖不飽和基を、高収率で、広い範囲の分子量で、かつ高い生産性をもって製造する触媒は示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許第4,814,540号明細書
【特許文献2】特開2005−336092号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0159299号明細書
【特許文献4】国際公開第95/27717号パンフレット
【非特許文献】
【0019】
【非特許文献1】Rulhoff、SaschaおよびKaminsky、「メタロセン/MAO触媒を用いるプロピレンと直鎖状エチレンオリゴマー(Cn=26〜28)との共重合による、様々なミクロ構造を有する特定の分枝状ポリ(プロピレン)の合成および特性解析」、Macromolecules、2006年、第16巻、p.1450−1460
【非特許文献2】カネヨシヒロムら、「退化的連鎖移動配位重合および原子移動ラジカル重合の組み合わせによる、直鎖状ポリエチレンセグメントを有するブロックおよびグラフトコポリマーの合成」、Macromolecules、2005年、第38巻、p.5425−5435
【非特許文献3】Teubenら、J.Mol.Catal.、1990年、第62巻、p.277−287
【非特許文献4】X.Yangら、Angew.Chem.Intl.Edn.Engl.、1992年、第31巻、p.1375
【非特許文献5】Resconiら、J.Am.Chem.Soc.、1992年、第114巻、p.1025−1032
【非特許文献6】SmallおよびBrookhart、Macromol.、1999年、第32巻、p.2322
【非特許文献7】Dekmezianら、Macromol.、2000年、第33巻、p.8541−8548
【非特許文献8】Moscardiら、Organomet.、2001年、第20巻、p.1918
【非特許文献9】Coatesら、Macromol.、2005年、第38巻、p.6259
【非特許文献10】Roseら、Macromol.、2008年、第41巻、p.559−567
【非特許文献11】Zhuら、Macromol.、2002年、第35巻、p.10062−10070
【非特許文献12】Zhuら、Macromol Rap. Commun.、2003年、第24巻、p.311−315
【非特許文献13】JaniakおよびBlank、Macromol.Symp.、2006年、第236巻、p.14−22
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
したがって、工業的な温度(たとえば、25℃以上)および工業的な速度(5,000g/ミリモル/時以上の生産性)でつくられることができる、広い範囲の分子量の調節が可能な、高い割合(90%以上)のアリル末端基を有するプロピレンベースのマクロモノマーの必要性が依然として存在する。あるいは、構造的頑健性を有するプロピレン−エチレンオリゴマーの必要性が存在する(そのようなオリゴマーでは、エチレンの添加が、(プロピレンの場合と比較して)ガラス転移温度を下げながら、粘度および溶解度パラメータを増加し、かつ潜在的に結晶化可能なエチレン連鎖をもたらす)。さらに、官能化(および/または誘導体化)されることができ、添加剤の用途に用いられることができる、ビニル末端基を有するプロピレンベースの反応性物質の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、1)ヘテロ原子含有基と、2)(H−NMRによって測定された)300〜30,000g/モルのMnを有し、10〜90モル%のプロピレンおよび10〜90モル%のエチレンを含むコオリゴマーと、の反応生成物を含む官能化コオリゴマーであって、該オリゴマーが官能化前に(全不飽和基当たり)少なくともX%のアリル鎖末端基を有し、ここで、1)10〜60モル%のエチレンが該コオリゴマー中に存在するときはX=(−0.94(取り込まれたエチレンのモル%)+100)であり、2)60超〜70モル%未満のエチレンが該コオリゴマー中に存在するときはX=45であり、3)70〜90モル%のエチレンが該コオリゴマー中に存在するときはX=(1.83*(取り込まれたエチレンのモル%)−83)であり、該ヘテロ原子含有基がP、O、S、N、Br、Cl、F、Iおよび/またはBからなる群から選択された1以上のヘテロ原子を含み、ならびに該官能化コオリゴマーが1鎖当たり0.75〜1.10の官能基を有する、官能化コオリゴマーに関する。
【0022】
本発明はさらに、1)ヘテロ原子含有基と、2)90モル%超のプロピレンおよび10モル%未満のエチレンを含むオリゴマーと、の反応生成物を含む官能化プロピレンオリゴマーであって、該オリゴマーが、少なくとも93%のアリル鎖末端基、約500〜約20,000g/モルの数平均分子量(Mn)、0.8:1〜1.35:1.0のイソブチル鎖末端基とアリル性ビニル基との比および100ppm未満のアルミニウムを有し、該ヘテロ原子含有基がP、O、S、N、Br、Cl、F、Iおよび/またはBからなる群から選択された1以上のヘテロ原子を含み、ならびに該官能化されたオリゴマーが1鎖当たり0.75〜1.10の官能基を有する、官能化プロピレンオリゴマーに関する。
【0023】
本発明はさらに、1)ヘテロ原子含有基と、2)少なくとも50モル%のプロピレンおよび10〜50モル%のエチレンを含むオリゴマーと、の反応生成物を含む官能化プロピレンオリゴマーであって、該オリゴマーが、少なくとも90%のアリル鎖末端基、約150〜約10,000g/モルのMn、0.8:1〜1.2:1.0のイソブチル鎖末端基とアリル性ビニル基との比を有し、4以上の炭素原子を有するモノマーが0〜3モル%で存在し、該ヘテロ原子含有基がP、O、S、N、Br、Cl、F、Iおよび/またはBからなる群から選択された1以上のヘテロ原子を含み、ならびに該官能化コオリゴマーが1鎖当たり0.75〜1.10の官能基を有する、官能化プロピレンオリゴマーに関する。
【0024】
本発明はさらに、1)官能基と、2)少なくとも50モル%のプロピレン、0.1〜45モル%のエチレンおよび0.1〜5モル%のC〜C12オレフィンを含むオリゴマーと、の反応生成物を含む官能化プロピレンオリゴマーであって、該オリゴマーが、少なくとも90%のアリル鎖末端基、約150〜約10,000g/モルのMnおよび0.8:1〜1.35:1.0のイソブチル鎖末端基とアリル性ビニル基との比を有し、該ヘテロ原子含有基がP、O、S、N、Br、Cl、F、Iおよび/またはBからなる群から選択された1以上のヘテロ原子を含み、ならびに該官能化コオリゴマーが1鎖当たり0.75〜1.10の官能基を有する、官能化プロピレンオリゴマーに関する。
【0025】
本発明はさらに、1)ヘテロ原子含有基と、2)少なくとも50モル%のプロピレン、0.1〜45重量%のエチレンおよび0.1〜5モル%のジエンを含むオリゴマーと、の反応生成物を含む官能化プロピレンオリゴマーであって、該オリゴマーが、少なくとも90%のアリル鎖末端基、約150〜約10,000g/モルのMnおよび0.7:1〜1.35:1.0のイソブチル鎖末端基とアリル性ビニル基との比を有し、該ヘテロ原子含有基がP、O、S、N、Br、Cl、F、Iおよび/またはBからなる群から選択された1以上のヘテロ原子を含み、ならびに該官能化コオリゴマーが1鎖当たり0.75〜1.10の官能基を有する、官能化プロピレンオリゴマーに関する。
【0026】
本発明はさらに、1)ヘテロ原子含有基と、2)プロピレンのホモオリゴマーと、の反応生成物を含む官能化ホモオリゴマーであって、該オリゴマーが、少なくとも93%のアリル鎖末端基、約500〜約20,000g/モルのMn、0.8:1〜1.2:1.0のイソブチル鎖末端基とアリル性ビニル基との比および1400ppm未満のアルミニウムを有し、該ヘテロ原子含有基がP、O、S、N、Br、Cl、F、Iおよび/またはBからなる群から選択された1以上のヘテロ原子を含み、ならびに該官能化されたホモオリゴマーが1鎖当たり0.75〜1.10の官能基を有する、官能化ホモオリゴマーに関する。
【0027】
本発明はさらに、かかるオリゴマーをつくり、その後それがヘテロ原子含有基と反応して、官能化されたおよび/または誘導体化されたオリゴマーを形成する均一プロセスに関する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施例35および52〜61についてのアリル鎖末端基パーセント対エチレンモル%のプロットを示すグラフである。(三角印は[非特許文献10]からのデータである。四角印は実施例52〜61を表し、丸印は実施例35を表す。)
【図2】E−Pコポリマーについてのイソブチル鎖末端基の化学シフトの帰属範囲を示す図である。
【図3】触媒Jを用いてつくられたアイソタクチックポリプロピレンについての(オレフィン全数100%当たりの)ビニル基%対重合温度(Tp)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、プロピレンおよび0.5重量%未満のコノモノマー、好ましくは0重量%のコモノマーを含むプロピレンホモオリゴマーであって、該オリゴマーが
i)少なくとも93%(好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%、好ましくは少なくとも98%)のアリル鎖末端基、
ii)H−NMRによって測定された約500〜約20,000g/モル(好ましくは500〜15,000、好ましくは700〜10,000、好ましくは800〜8,000g/モル、好ましくは900〜7,000、好ましくは1000〜6,000、好ましくは1000〜5,000)の数平均分子量(Mn)、
iii)0.8:1〜1.3:1.0のイソブチル鎖末端基とアリル性ビニル基との比、および
iv)1400ppm未満(好ましくは1200ppm未満、好ましくは1000ppm未満、好ましくは500ppm未満、好ましくは100ppm未満)のアルミニウム
を含むプロピレンホモオリゴマーに関する。
【0030】
本発明は、H−NMRによって測定された300〜30,000g/モル(好ましくは400〜20,000、好ましくは500〜15,000、好ましくは600〜12,000、好ましくは800〜10,000、好ましくは900〜8,000、好ましくは900〜7,000g/モル)のMnを有し、10〜90モル%(好ましくは15〜85モル%、好ましくは20〜80モル%、好ましくは30〜75モル%、好ましくは50〜90モル%)のプロピレンおよび10〜90モル%(好ましくは85〜15モル%、好ましくは20〜80モル%、好ましくは25〜70モル%、好ましくは10〜50モル%)の1以上のアルファ−オレフィンコモノマー(好ましくはエチレン、ブテン、ヘキセンまたはオクテン、好ましくはエチレン)を含むプロピレンコオリゴマーであって、該オリゴマーが(全不飽和基当たり)少なくともX%のアリル鎖末端基を有し、ここで、1)10〜60モル%のエチレンが該オリゴマー中に存在するときはX=(−0.94(取り込まれたエチレンのモル%)+100{あるいは1.20(−0.94(取り込まれたエチレンのモル%)+100)、あるいは1.50(−0.94(取り込まれたエチレンのモル%)+100)})、2)60超〜70モル%未満のエチレンが該オリゴマー中に存在するときはX=45、および3)70〜90モル%のエチレンが該オリゴマー中に存在するときはX=(1.83*(取り込まれたエチレンのモル%)−83{あるいは1.20[1.83*(取り込まれたエチレンのモル%)−83]、あるいは1.50[1.83*(取り込まれたエチレンのモル%)−83]})であるプロピレンコオリゴマーに関する。
【0031】
あるいは、Xは80%以上、好ましくは85%以上、好ましくは90%以上、好ましくは95%以上である。
【0032】
他の実施態様では、オリゴマーは(イソブチルおよびn−プロピル飽和鎖末端基の合計当たり)少なくとも85%のイソブチル鎖末端基、好ましくは少なくとも90%のイソブチル鎖末端基を有す。あるいは、オリゴマーは0.8:1〜1.35:1.0、好ましくは0.9:1〜1.20:1.0、好ましくは0.9:1.0〜1.1:1.0のイソブチル鎖末端基とアリル性ビニル基との比を有する。
【0033】
本発明は、90モル%超(好ましくは95〜99モル%、好ましくは98〜9モル%)のプロピレンおよび10モル%未満(好ましくは1〜4モル%、好ましくは1〜2モル%)のエチレンを含むプロピレンオリゴマーであって、該オリゴマーが
少なくとも93%(好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%、好ましくは少なくとも98%)のアリル鎖末端基、
H−NMRによって測定された約400〜約30,000g/モル(好ましくは500〜20,000、好ましくは600〜15,000、好ましくは700〜10,000g/モル、好ましくは800〜9,000、好ましくは900〜8,000、好ましくは1000〜6,000)の数平均分子量(Mn)、
0.8:1〜1.35:1.0のイソブチル鎖末端基とアリル性ビニル基との比、および
1400ppm未満(好ましくは1200ppm未満、好ましくは1000ppm未満、好ましくは500ppm未満、好ましくは100ppm未満)のアルミニウム
を有するプロピレンオリゴマーに関する。
【0034】
本発明は
少なくとも50(好ましくは60〜90、好ましくは70〜90)モル%のプロピレンおよび10〜50(好ましくは10〜40、好ましくは10〜30)モル%のエチレン
を含むプロピレンオリゴマーであって、該オリゴマーが
少なくとも90%(好ましくは少なくとも91%、好ましくは少なくとも93%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%)のアリル鎖末端基、
H−NMRによって測定された約150〜約20,000g/モル(好ましくは200〜15,000、好ましくは250〜15,000、好ましくは300〜10,000、好ましくは400〜9,500、好ましくは500〜9,000、好ましくは750〜9,000)のMn、および
0.8:1〜1.3:1.0のイソブチル鎖末端基とアリル性ビニル基との比を有し、4以上の炭素原子を有するモノマーが0〜3モル%(好ましくは1モル%未満、好ましくは0.5モル%未満、好ましくは0モル%)で存在するプロピレンオリゴマーに関する。
【0035】
本発明はさらに
少なくとも50(好ましくは少なくとも60、好ましくは70〜99.5、好ましくは80〜99、好ましくは90〜98.5)モル%のプロピレン、0.1〜45(好ましくは少なくとも35、好ましくは0.5〜30、好ましくは1〜20、好ましくは1.5〜10)モル%のエチレンおよび0.1〜5(好ましくは0.5〜3、好ましくは0.5〜1)モル%のC〜C12オレフィン(たとえば、ブテン、ヘキセンまたはオクテン、好ましくはブテン)を含むプロピレンオリゴマーであって、該オリゴマーが
少なくとも90%(好ましくは少なくとも91%、好ましくは少なくとも93%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%)のアリル鎖末端基、
H−NMRによって測定された約150〜約15,000(好ましくは200〜12,000、好ましくは250〜10,000、好ましくは300〜10,000、好ましくは400〜9,500、好ましくは500〜9,000、好ましくは750〜9,000)g/モルの数平均分子量(Mn)、および
0.8:1〜1.35:1.0のイソブチル鎖末端基とアリル性ビニル基との比を有するプロピレンオリゴマーに関する。
【0036】
本発明はさらに
少なくとも50(好ましくは少なくとも60、好ましくは70〜99.5、好ましくは80〜99、好ましくは90〜98.5)モル%のプロピレン、0.1〜45(好ましくは少なくとも35、好ましくは0.5〜30、好ましくは1〜20、好ましくは1.5〜10)モル%のエチレンおよび0.1〜5(好ましくは0.5〜3、好ましくは0.5〜1)モル%のジエン(たとえば、C4〜C12アルファ−オメガジエン(たとえば、ブタジエン、ヘキサジエン、オクタジエン)、ノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ノルボルナジエンおよびジシクロペンタジエン)を含むプロピレンオリゴマーであって、該オリゴマーが
少なくとも90%(好ましくは少なくとも91%、好ましくは少なくとも93%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%)のアリル鎖末端基、
H−NMRによって測定された約150〜約20,000(好ましくは200〜15,000、好ましくは250〜12,000、好ましくは300〜10,000、好ましくは400〜9,500、好ましくは500〜9,000、好ましくは750〜9,000)g/モルの数平均分子量(Mn)、および
0.7:1〜1.35:1.0のイソブチル鎖末端基とアリル性ビニル基との比を有するプロピレンオリゴマーに関する。
【0037】
本発明において調製されるいずれのオリゴマーも、好ましくは1400ppm未満のアルミニウム、好ましくは1000ppm未満のアルミニウム、好ましくは500ppm未満のアルミニウム、好ましくは100ppm未満のアルミニウム、好ましくは50ppm未満のアルミニウム、好ましくは20ppm未満のアルミニウム、好ましくは5ppm未満のアルミニウムを有する。
【0038】
本発明はまた、かかるオリゴマーをつくるための均一プロセス、好ましくはバルクプロセスにも関する。
【0039】
本明細書で用いられる「オリゴマー」の語は、H−NMRによって測定された100〜25,000g/モルのMnを有するものと定義される。オリゴマーがオレフィンを含むと言及されるときは、オリゴマー中に存在する該オレフィンは、オリゴマー化された形態の該オレフィンである。プロピレンオリゴマーは、少なくとも50モル%のプロピレンを有するオリゴマーである。コオリゴマーは、少なくとも2の異なったモノマー単位(たとえば、プロピレンおよびエチレン)を含むオリゴマーである。ホモオリゴマーは、同じモノマー単位(たとえば、プロピレン)を含むオリゴマーである。本明細書で用いられるMnは(たとえば表3Aにおけるように、特に指定のない限り、H−NMRによって測定された)数平均分子量であり、Mwは(ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定された)重量平均分子量であり、Mzは(ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定された)z平均分子量であり、wt%は重量パーセントであり、mol%はモルパーセントである。分子量分布(MWD)は、(ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定された)Mwを(H−NMRによって測定された)Mnで割ったものであると定義される。特に指定のない限り、すべての分子量の単位(たとえば、Mw、Mn、Mz)はg/モルである。
【0040】
「アリル鎖末端基」は、式I(CHCH−CH−オリゴマー)によって表される少なくとも1の末端基を有するオリゴマーであると定義され、
【式1】
【0041】

式1で、「・・・・」はオリゴマー鎖を表す。好まれる実施態様では、アリル鎖末端基は式2によって表される。
【式2】
【0042】


アリル鎖末端基の量は、500MHzのH−NMR測定機上で溶媒として重水素化テトラクロロエタンを用いて120℃におけるH−NMRを用いて測定され、ある選択されたケースでは13C−NMRによって確認された。Resconiは、ビニル末端プロピレンオリゴマーについてのプロトンおよび炭素の帰属について、本明細書にとって役に立つ非特許文献5において報告している(純粋な完全重水素化テトラクロロエタンがプロトンスペクトルのために用いられ、他方、通常のおよび完全重水素化テトラクロロエタンの50:50混合物が炭素スペクトルのために用いられ、プロトンについて300MHzおよび炭素について75.43MHzで操作されるBruker AM 300分光計を用いて100℃においてすべてのスペクトルが記録された)。
【0043】
「イソブチル鎖末端基」は、式3によって表される少なくとも1の末端基を有するオリゴマーであると定義される。
【式3】
【0044】

式3で、Mはオリゴマー鎖を表す。好まれる実施態様では、イソブチル鎖末端基は以下の式4のうちの一つによって表される。
【式4】
【0045】

式4で、Mはオリゴマー鎖を表す。
【0046】
イソブチル末端基のパーセントは、100%プロピレンオリゴマーについて(実施例の部に記載されたように)13C−NMRおよび[非特文5]の化学シフトの帰属を用いて決定され、またE−Pオリゴマーについては図2に記載される。
【0047】
「イソブチル鎖末端基とアリル性ビニル基との比」は、イソブチル鎖末端基のパーセントとアリル性ビニル基のパーセントとの比であると定義される。
【0048】
好まれる実施態様では、官能化前のプロピレンオリゴマーは、ヒドロキシド、アリールおよび置換アリール、ハロゲン、アルコキシ、カルボキシレート、エステル、アクリレート、酸素、窒素ならびにカルボキシルから選択された官能基の、該オリゴマーの重量当たり3重量%未満、好ましくは2重量%未満、より好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%、より好ましくは0.1重量%未満、より好ましくは0重量%を含む。
【0049】
オリゴマーは、H−NMRによって測定された、好ましくは150〜25,000g/モル、200〜20,000g/モル、好ましくは250〜15,000g/モル、好ましくは300〜15,000g/モル、好ましくは400〜12,000g/モル、好ましくは750〜10,000g/モルのMnを有する。さらに、望ましい分子量の範囲は、上記の任意の上限分子量と任意の下限分子量との任意の組み合わせであることができる。Mnは以下の実施例の部に記載された方法に従って測定される。
【0050】
オリゴマーは、(下記の示差走査熱量計法によって測定された)好ましくは0℃未満、好ましくは−10℃未満、より好ましくは−20℃未満、より好ましくは−30℃未満、より好ましくは−50℃未満のガラス転移温度(Tg)を有する。
【0051】
オリゴマーは、該オリゴマーの重量当たり、好ましくは80重量%未満のCオレフィン(たとえば、イソブチレン、n−ブテン、2−ブテン、イソブチレンおよびブタジエン)を含み、該オリゴマーの重量当たり、好ましくは10重量%未満、好ましくは5重量%、好ましくは4重量%未満、好ましくは3重量%未満、好ましくは2重量%未満、好ましくは1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、好ましくは0.25重量%未満のCオレフィンを含む。
【0052】
あるいは、オリゴマーは、該オリゴマーの重量当たり、13C NMRによって測定された、好ましくは20重量%未満のC以上のオレフィン(たとえばC〜C30オレフィン、典型的にはたとえばC〜C12オレフィン、典型的にはたとえばC、C、C、C12オレフィン等)を含み、該オリゴマーの重量当たり、好ましくは10重量%未満、好ましくは5重量%、好ましくは4重量%未満、好ましくは3重量%未満、好ましくは2重量%未満、好ましくは1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、好ましくは0.25重量%未満のCオレフィンを含む。
【0053】
他の実施態様では、製造されたオリゴマー組成物は、1鎖当たり1の不飽和基を仮定して、H NMRによって測定された、該オリゴマー組成物の重量当たり、少なくとも50重量%(好ましくは少なくとも75重量%、好ましくは少なくとも90重量%)の、少なくとも36炭素原子(好ましく少なくとも51炭素原子、好ましく少なくとも102炭素原子)を有するオレフィンを含む。
【0054】
他の実施態様では、製造されたオリゴマー組成物は、GCによって測定された、該オリゴマー組成物の重量当たり、20重量%未満(好ましくは10重量%未満、好ましくは5重量%未満、好ましくは2重量%未満)の2量体および3量体を含む。
【0055】
他の実施態様では、本発明において製造されたオリゴマーは、製造されたポリマーの収量および用いられた触媒の質量当たり、25ppm未満のハフニウム、好ましくは10ppm未満のハフニウム、好ましくは5ppm未満のハフニウムを含む。
【0056】
他の実施態様では、本明細書に記載されたオリゴマーは60〜130℃、あるいは50〜100℃の(DSCの初回溶融物の)融点を有してもよい。他の実施態様では、本明細書に記載されたオリゴマーは、環境温度(23℃)において少なくとも48時間貯蔵後にDSCによって検出可能な融点を有しない。
【0057】
融解温度(Tm)およびガラス転移温度(Tg)は、TA Instruments 2920 DSCのような商業的に入手可能な装置を用いる示差走査熱量計法(DSC)によって測定される。典型的には、少なくとも48時間室温に貯蔵されていた6〜10mgのサンプルが、アルミニウムパン中に封入され、そして室温で該計器中に仕込まれる。このサンプルは25℃で平衡化され、次いで10℃/分の冷却速度で−80℃まで冷却される。サンプルは−80℃に5分間保持され、次に10℃/分の加熱速度で25℃まで加熱される。ガラス転移温度はこの加熱サイクルから測定される。あるいは、サンプルは25℃で平衡化され、次いで10℃/分の加熱速度で150℃まで加熱される。吸熱融解転移は、それが存在するならば、転移の開始およびピーク温度について分析される。報告される融解温度は、特に指定のない限り最初の加熱におけるピーク融解温度である。複数のピークを示すサンプルの場合、融点(または融解温度)は、DSC融解トレースにおけるピーク融解温度(すなわち、その温度の範囲において最大の吸熱応答に関連付けられる融解温度)であると定義される。
【0058】
他の実施態様では、本明細書に記載されたオリゴマーは25℃において液体である。
【0059】
他の実施態様では、本明細書に記載されたオリゴマーは、1,000〜約30,000g/モル、あるいは2000〜25,000g/モル、あるいは3,000〜20,000g/モルのMwおよび/または約1700〜約150,000g/モル、あるいは800〜100,000g/モルのMzを有する。
【0060】
MwおよびMzは、示差屈折率検出器(DRI)を備えた(Waters社か、あるいはPolymer Laboratories社からの)高温度サイズ排除クロマトグラフを用いることによって測定される。実験の詳細は、T.Sun、P.Brant、R.R.ChanceおよびW.W.Graessley、Macromolecules、2001年、第34巻、第19号、p.6812−6820およびその中の参考文献に記載されている。Polymer Laboratories社の3のPLゲル 10mm 混合ビーズカラム(Mixed−B column)が用いられる。名目流量は0.5cm/分であり、名目注入量は300μlである。様々な移送ライン、カラムおよび示差屈折率計(DRI検出器)が135℃に保たれたオーブン中に入れられる。SEC実験用溶媒は、6グラムのブチル化ヒドロキシトルエンを酸化防止剤として4リットルのAldrich社試薬級1,2,4トリクロロベンゼン(TCB)中に溶解することによって調製される。TCB混合物は、次に0.7μmのガラスプレフィルターを通して、そしてその後に0.1μmのテフロン(商標)フィルターを通してろ過される。TCBは次に、SECに入る前にオンライン脱ガス器によって脱ガスされる。乾燥ポリマーをガラス容器に入れ、所望量のTCBを添加し、それからこの混合物を約2時間連続撹拌しながら160℃に加熱することによって、ポリマー溶液が調製される。すべての量は重量で測定される。ポリマー濃度を質量/体積単位で表すために用いられるTCBの密度は、室温で1.463g/mlおよび135℃で1.324g/mlである。注入濃度は1.0〜2.0mg/mlであり、比較的高い分子量のサンプルには比較的低い濃度が用いられる。各サンプルの測定をする前に、DRI検出器および注入器がパージされる。装置内の流量が次に0.5ml/分まで増加され、DRIが8〜9時間放置安定化された後、最初のサンプルが注入される。クロマトグラム中の各点における濃度cが、ベースラインを差し引いたDRIシグナルIDRIから以下の式5を用いて計算され、
【式5】
【0061】

式5で、KDRIはDRIを較正することによって決定される定数であり、(dn/dc)はその系の屈折率増分である。135℃におけるTCBについて、屈折率n=1.500およびλ=690nmである。本発明およびその特許請求の目的のためには、プロピレンについて(dn/dc)=0.104およびその他について0.1である。SEC法のこの記載全体を通してパラメータの単位は、たとえば、濃度はg/cmで表され、分子量はg/モルで表され、固有粘度はdL/gで表される。
【0062】
分子量分布(Mw/Mn、GPC−DRIによる)は上記の方法によって測定される。ある実施態様では、本発明のオリゴマーは1.5〜20、あるいは1.7〜10の(GPC−DRIによる)Mw/Mnを有する。
オリゴマー化プロセス
【0063】
本発明は、本明細書に記載されたオリゴマーをつくるための均一プロセス、好ましくはバルクプロセスにも関する。好まれる実施態様では、プロピレンおよび任意的なコモノマー(たとえば、エチレン)は、触媒系(1または複数のメタロセン化合物および1以上の活性化剤)をオレフィンと反応させることによってオリゴマー化されることができる。他の添加剤、たとえば捕捉剤および/または水素が所望により用いられてもよい。任意の慣用の懸濁、均一バルク、溶液、スラリーまたは高圧のオリゴマー化プロセスが用いられることができる。かかるプロセスは回分、半回分または連続の様式で実施されることができる。かかるプロセスおよび様式は従来技術で周知である。均一重合プロセスが好まれる(均一重合プロセスとは、少なくとも90重量%の生成物が反応媒体中に溶解しているプロセスであると定義される)。バルク均一プロセスが特に好まれる(バルクプロセスとは、反応器へのすべての供給原料中のモノマー濃度が70体積%以上であるプロセスであると定義される)。あるいは、反応媒体中に溶媒または希釈剤が、(触媒系もしくは他の添加剤のための搬送液として用いられる少量、またはモノマーに一般的に随伴する量、たとえばプロピレン中のプロパンを除いて)存在しないまたは添加されていないプロセスである。
【0064】
オリゴマー化に適した溶媒/希釈剤は、非配位性で不活性な液体を含む。その例は、直鎖状および分枝鎖状の炭化水素、たとえばイソブタン、ブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカンおよびこれらの混合物;環式または非環式の炭化水素、たとえばシクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘプタンおよびこれらの混合物、たとえば商業的に見つけられるもの(Isopar);パーハロゲン化炭化水素、たとえばパーフッ素化C4〜10アルカン、クロロベンゼン、ならびに芳香族およびアルキル置換芳香族化合物、たとえばベンゼン、トルエン、メシチレンおよびキシレンを含む。好適な溶媒は、モノマーまたはコモノマーの役割をすることができる液状オレフィン、たとえばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンおよび1−デセンも含む。上記のものの混合物も適している。
【0065】
好まれる実施態様では、オリゴマー化のための供給原料濃度は溶媒の60体積%以下、好ましくは40体積%以下、好ましくは20体積%以下である。好ましくは、オリゴマー化はバルクプロセスで実施される。
【0066】
オリゴマー化プロセスに適した添加剤は、1以上の捕捉剤、促進剤、変性剤、還元剤、酸化剤、水素、アルミニウムアルキルまたはシランを含むことができる。
【0067】
好まれる実施態様では、水素はオリゴマー化反応器中に0.001〜50psig、好ましくは0.01〜25psig、より好ましくは0.1〜10psigの分圧で存在する。本発明の系では、水素が、アリル鎖末端基を生成する触媒の能力を有意に損なうことなく、活性の増加をもたらすために用いられることができることが発見された。好ましくは、(g/触媒ミリモル/時として計算
される)触媒活性は、水素の存在しない同じ反応よりも少なくとも20%高く、好ましくは少なくとも50%高く、好ましくは少なくとも100%高い。
【0068】
他の実施態様では、生産性は少なくとも4500g/ミリモル/時、好ましくは5000g/ミリモル/時以上、好ましくは10,000g/ミリモル/時以上、好ましくは50,000g/ミリモル/時以上である。
【0069】
他の実施態様では、生産性は少なくとも80,000g/ミリモル/時、好ましくは少なくとも150,000g/ミリモル/時、好ましくは少なくとも200,000g/ミリモル/時、好ましくは少なくとも250,000g/ミリモル/時、好ましくは少なくとも300,000g/ミリモル/時である。
【0070】
好まれるオリゴマー化は、典型的な温度および/または圧力で、たとえば25〜150℃、好ましくは40〜120℃、好ましくは45〜80℃、および好ましくは0.35〜10MPa、好ましくは0.45〜6MPa、好ましくは0.5〜4MPaで実施されることができる。
【0071】
典型的なオリゴマー化では、反応の滞留時間は60分間まで、好ましくは5〜50分間、好ましくは10〜40分間である。
触媒化合物
【0072】
本発明に有用な触媒化合物は、式6によって表される1以上のメタロセン化合物を含む。
【式6】
【0073】

式6で、
Hfはハフニウムであり;
各Xは、独立に、1〜20の炭素原子を有するヒドロカルビル基、ヒドリド、アミド、アルコキシド、スルフィド、ホスフィド、ハロゲン、ジエン、アミン、ホスフィン、エーテルまたはこれらの組み合わせ、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ベンジル、クロライド、ブロマイド、イオダイドからなる群から選択され(あるいは、2のXは縮合環または環系の一部を形成してもよく);
各Qは、独立に、炭素またはヘテロ原子、好ましくはC、N、P、Sであり(好ましくは少なくとも1のQはヘテロ原子であり、あるいは少なくとも2のQは同じまたは異なるヘテロ原子であり、あるいは少なくとも3のQは同じまたは異なるヘテロ原子であり、あるいは少なくとも4のQは同じまたは異なるヘテロ原子であり);
各Rは、独立に、水素またはC〜Cアルキル基、好ましくはC〜C直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルまたはオクチルであり、RはRと同じまたは異なってもよく;
各Rは、独立に、水素またはC〜Cアルキル基、好ましくはC〜C直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルまたはオクチルであり、ただしRおよびRのうちの少なくとも1は水素でなく、好ましくはRおよびRの双方とも水素でなく、好ましくはRおよび/またはRは分枝状でなく;
各Rは、独立に、水素、または1〜8の炭素原子、好ましくは1〜6の炭素原子を有する置換もしくは非置換のヒドロカルビル基、好ましくは置換もしくは非置換のC〜C直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルであり、しかしながらただし、少なくとも3のR基は水素でなく(あるいは4のR基は水素でなく、あるいは5のR基は水素でなく);
{あるいは、触媒化合物がホモオリゴマーをつくるために用いられるときは、各Rは、独立に、水素、または1〜8の炭素原子、好ましくは1〜6の炭素原子を有する置換もしくは非置換のヒドロカルビル基、好ましくは置換もしくは非置換のC〜C直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルであり、しかしながらただし、1)すべての5のR基はメチルであり、または2)4のR基は水素でなく、かつ少なくとも1のR基はC〜Cの置換もしくは非置換のヒドロカルビルであり(好ましくは少なくとも2、3、4もしくは5のR基はC〜Cの置換もしくは非置換のヒドロカルビルであり)};
各Rは、独立に、水素、または置換もしくは非置換のヒドロカルビル基、ヘテロ原子もしくはヘテロ原子含有基、好ましくは1〜20の炭素原子、好ましくは1〜8の炭素原子を有する置換もしくは非置換のヒドロカルビル基、好ましくは置換もしくは非置換のC〜C直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、置換フェニル(たとえば、プロピルフェニル)、フェニル、シリル、置換シリル(たとえば、CHSiR'、この式でR'はC〜C12ヒドロカルビル、たとえばメチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル)であり、
は、水素、またはC〜Cアルキル基、好ましくはC〜C直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルもしくはオクチルであり;
は、水素、またはC〜Cアルキル基、好ましくはC〜C直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルもしくはオクチルであり;
各Rは、独立に、水素、またはC〜Cアルキル基、好ましくはC〜C直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルもしくはオクチルであり、しかしながらただし、少なくとも7のR基は水素でなく、あるいは少なくとも8のR基は水素でなく、あるいはすべてのR基は水素でなく(好ましくは、式IVの各Cp環上の3および4の位置にあるR基は水素でなく);
Nは窒素であり;
Tは架橋であり、好ましくはSiまたはGe、好ましくはSiであり;
各Rは、独立に、水素、ハロゲンまたはC1〜C20ヒドロカルビル、たとえばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、フェニル、ベンジル、置換フェニルであり、かつ2のRは環式構造を形成することができ、たとえば芳香族、部分的飽和もしくは飽和の環式または縮合の環系であり;
さらに、任意の2の隣接するR基は、環が芳香族、部分的飽和もしくは飽和であってもよい縮合環または多中心縮合環系を形成することができることが条件とされる。
【0074】
「置換」の語は、水素基がヒドロカルビル基、ヘテロ原子またはヘテロ原子含有基で置換されていることを意味する。たとえば、メチルシクロペンタジエン(Cp)はメチル基で置換されたCp基であり、エチルアルコールは−OH基で置換されたエチル基である。
【0075】
他の実施態様では、少なくとも1のR基は水素でなく、あるいは少なくとも2のR基は水素でなく、あるいは少なくとも3のR基は水素でなく、あるいは少なくとも4のR基は水素でなく、あるいは少なくともすべてのR基は水素でない。
【0076】
本発明において特に有用である触媒化合物は、以下のうちの1以上を含む。すなわち
(1,3−ジメチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1,3,4,7−テトラメチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1,3−ジメチルインデニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1,3−ジエチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1,3−ジプロピルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1−メチル,3−プロピルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1,3−ジメチルインデニル)(テトラメチルプロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1,2,3−トリメチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1,3−ジメチルベンズインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(2,7−ビスt−ブチルフルオレニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(9−メチルフルオレニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(2,7,9−トリメチルフルオレニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
μ−ジヒドロシリル−ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
μ−ジメチルシリル(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−プロピルトリメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、および
μ−ジシクロプロピルシリル(ビステトラメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル。
【0077】
他の実施態様では、上記の触媒化合物のリストにおける遷移金属の後の「ジメチル」は、特にアルモキサン活性化剤とともに用いられるときは、ジハライド(たとえば、ジクロライドまたはジフルオライド)またはビスフェノキシドで置き換えられる。
触媒化合物のための活性化剤および活性化方法
【0078】
「助触媒」および「活性化剤」の語は、本明細書では互換的に用いられ、上記の触媒化合物のうちの任意の一つを、中性の触媒化合物を触媒活性な触媒化合物カチオンに転化することによって活性化することができる任意の化合物であると定義される。非限定的な活性化剤は、たとえばアルモキサン、アルミニウムアルキル、イオン化活性化剤を含み、これらは中性でもイオン性でもよく、また従来型の助触媒を含む。好まれる活性化剤は、典型的にはアルモキサン化合物、修飾アルモキサン化合物およびイオン化アニオン前駆体化合物を含み、これらは1の反応性のσ−結合された金属配位子を引き抜いてその金属錯体をカチオン性にし、そして電荷をバランスさせる非配位性または弱配位性のアニオンをもたらす。
【0079】
1の実施態様では、アルモキサン活性化剤が触媒組成物中の活性化剤として用いられる。アルモキサンは一般に−Al(R)−O−の下位単位を含むオリゴマー性化合物であり、ここでRはアルキル基である。アルモキサンの例は、メチルアルモキサン(MAO)、修飾メチルアルモキサン(MMAO)、エチルアルモキサンおよびイソブチルアルモキサンを含む。アルキルアルモキサンおよび修飾アルキルアルモキサンが、特に引き抜かれる配位子がアルキル、ハライド、アルコキシドまたはアミドであるときに、触媒活性化剤として適している。様々なアルモキサンおよび修飾アルモキサンの混合物が用いられてもよい。目視で清澄なメチルアルモキサンを用いることが好ましいことがある。濁ったもしくはゲル化したアルモキサンはろ過されて、清澄な溶液を生成することができ、または清澄なアルモキサンが濁った溶液からデカンテーションにより得られることができる。他のアルモキサンは、修飾メチルアルモキサン(MMAO)助触媒タイプ3Aである(Akzo Chemicals社から修飾メチルアルモキサンタイプ3Aの商品名下に商業的に入手可能であり、米国特許第5,041,584号で扱われている)。
【0080】
活性化剤が(修飾または未修飾の)アルモキサンであるときは、ある実施態様は、触媒前駆体に対して(1金属触媒サイト当たり)5000倍のモル過剰のAl/M比にある最大量の活性化剤を選択する。活性化剤と触媒前駆体との最小比は1:1のモル比である。他の好まれる範囲は、500:1まで、あるいは200:1まで、あるいは100:1まで、あるいは1:1〜50:1を含む。
【0081】
共活性化剤(または捕捉剤)として用いられることができるアルミニウムアルキルまたは有機アルミニウム化合物は、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリn−ヘキシルアルミニウム、トリn−オクチルアルミニウム等を含む。
イオン化活性化剤
【0082】
中性もしくはイオン性の、イオン化または化学量論的活性化剤、たとえばトリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリスパーフルオロフェニルホウ素メタロイド前駆体もしくはトリスパーフルオロナフチルホウ素メタロイド前駆体、ポリハロゲン化ヘテロボランアニオン(国際公開第98/43983号)、ホウ酸(米国特許第5,942,459号)またはこれらの組み合わせを用いることは本発明の範囲内である。中性もしくはイオン性の活性化剤を単独でまたはアルモキサンもしくは修飾アルモキサン活性化剤と組み合わせて用いることも本発明の範囲内である。非常に好まれる活性化剤はイオン性のものであり、中性のボランではない。
【0083】
中性の化学量論的活性化剤の例は、3置換のホウ素、テルリウム、アルミニウム、ガリウムおよびインジウムまたはこれらの混合物を含む。3の置換基はそれぞれ独立にアルキル、アルケニル、ハロゲン、置換アルキル、アリール、アリールハライド、アルコキシおよびハライドから選択される。好ましくは、3の基は独立にハロゲン、(ハロ置換を含む)単環式もしくは多環式のアリール、アルキルおよびアルケニル化合物ならびにこれらの混合物から選択され、好まれるのは1〜20の炭素原子を有するアルケニル基、1〜20の炭素原子を有するアルキル基、1〜20の炭素原子を有するアルコキシ基および3〜20の炭素原子を有するアリール基(置換アリールを含む。)である。より好ましくは、3の基は1〜4の炭素原子を有するアルキル基、フェニル、ナフチルまたはこれらの混合物である。さらにより好ましくは、3の基はハロゲン化、好ましくはフッ素化のアリール基である。もっとも好ましくは、中性の化学量論的活性化剤はトリスパーフルオロフェニルホウ素またはトリスパーフルオロナフチルホウ素である。
【0084】
イオン性化学量論的活性化剤化合物は、活性プロトン、またはイオン化化合物の残留イオンに配位してはいないがそれと係わり合いを持った、もしくはわずかに緩やかに配位した何らかの他のカチオンを含んでいてもよい。かかる化合物等は、欧州特許出願公開第0570982号、同第0520732号、同第0495375号、欧州特許第0500944号、欧州特許出願公開第0277003号および同第0277004号、ならびに米国特許第5,153,157号、同第5,198,401号、同第5,066,741号、同第5,206,197号、同第5,241,025号、同第5,384,299号、同第5,502,124号および1994年8月3日に出願された米国特許出願第08/285,380号に記載されており、これらのすべては参照によって本明細書に完全に取り込まれる。
【0085】
イオン性触媒は準備された様式で、遷移金属化合物を何らかの中性のルイス酸、たとえばB(Cと反応させることができ、このB(Cは遷移金属化合物の加水分解性配位子(X)と反応した後、アニオン、たとえば([B(C(X)])を形成し、これはこの反応によって生成されたカチオン性遷移金属種を安定化する。該触媒は、イオン性の化合物または組成物である活性化剤成分によって調製されることができ、好ましくはそのように調製される。
【0086】
本発明のプロセスに用いられるイオン性触媒系の調製において活性化剤成分として有用な化合物は、カチオンおよび耐性(compatible)の非配位性アニオンを含み、該カチオンは好ましくはプロトンを供与する能力のあるブレンステッド酸であり、該アニオンは比較的大きく(バルキーであり)、活性触媒種(第4族カチオン)を安定化する能力があり、該活性触媒種はこれらの2の化合物が一緒にされ、かつ当該アニオンがオレフィン性、ジオレフィン性およびアセチレン性の不飽和の反応基体または他の中性ルイス塩基、たとえばエーテル、アミン等によって置き換えられる反応活性度が十分に高いときに形成される。2種類の耐性非配位性アニオンが1988年に公開された欧州特許出願公開第0277,003号および同第0277,004号に開示されている、すなわち、1)電荷を持つ中心の金属または半金属の核に共有結合的に配位しかつそれを遮蔽する複数の親油性基を含むアニオン性配位錯体、ならびに2)複数のホウ素原子を含むアニオン、たとえばカルボラン、メタラカルボランおよびボランである。
【0087】
好まれる実施態様では、化学量論的活性化剤化合物は、カチオンおよびアニオン成分を含み、以下の式(14)によって表されることができ、
(L−H)(Ad−) (14)
式(14)で、Lは中性ルイス塩基であり、Hは水素であり、(L−H)はブレンステッド酸であり、Ad−は電荷d−を有する非配位性アニオンであり、dは1〜3の整数である。
【0088】
カチオン成分(L−H)は、プロトン付与されたルイス塩基のようなブレンステッド酸を含むことができ、これはバルキーな配位子のメタロセン含有遷移金属触媒前駆体のアルキルまたはアリールのような部分をプロトン化する能力があり、その結果、カチオン性遷移金属種をもたらす。
【0089】
活性化するカチオン(L−H)は、ブレンステッド酸であることができ、遷移金属触媒前駆体にプロトンを付与する能力があり、その結果、遷移金属カチオンをもたらす。これは、たとえばアンモニウム、オキソニウム、ホスホニウム、シリリウム、およびこれらの混合物、好ましくはメチルアミン、アニリン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルアニリン、ジフェニルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、メチルジフェニルアミン、ピリジン、p−ブロモN,N−ジメチルアニリン、p−ニトロN,N−ジメチルアニリンのアンモニウム;トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィンおよびジフェニルホスフィンからのホスホニウム;エーテル、たとえばジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランおよびオキソランからのオキソニウム;チオエーテル、たとえばジエチルチオエーテルおよびテトラヒドロチオフェンからのスルホニウム;ならびにこれらの混合物である。
【0090】
アニオン成分Ad−は、式[Mk+d−を有するものを含み、ここでkは1〜3の整数であり、nは2〜6の整数であり、n−k=dであり、Mは元素の周期表の第13族から選択された元素、好ましくはホウ素またはアルミニウムであり、Qは、独立に、ヒドリド、架橋もしくは非架橋のジアルキルアミド、ハライド、アルコキシド、アリールオキシド、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビルおよびハロ置換ヒドロカルビル基であり、当該Qは20までの炭素原子を有し、ただし1を超えない出現率でQはハライドである。好ましくは、各Qは1〜20の炭素原子を有するフッ素化ヒドロカルビル基であり、より好ましくは各Qはフッ素化アリール基であり、もっとも好ましくは各Qはペンタフルオリルアリール基である。好適なAd−の例は、米国特許第5,447,895号に開示された二ホウ素化合物も含み、該特許の内容は参照によって本明細書に完全に取り込まれる。
【0091】
本発明の改善された触媒の調製において活性化助触媒として用いられることができるホウ素化合物の例示的であるが非限定的な例は、3置換アンモニウム塩、たとえば
トリメチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラフェニルボレート、トリ(t−ブチル)アンモニウムテトラフェニルボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N−ジメチル−(2,4,6−トリメチルアニリニウム)テトラフェニルボレート、トロピリウムテトラフェニルボレート、トリフェニルカルベニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリエチルシリリウムテトラフェニルボレート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(sec−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチル−(2,4,6−トリメチルアニリニウム)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トロピリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリエチルシリリウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、ジメチル(t−ブチル)アンモニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチル−(2,4,6−トリメチルアニリニウム)テトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、トロピリウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、トリエチルシリリウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トリ(t−ブチル)アンモニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、N,N−ジメチル−(2,4,6−トリメチルアニリニウム)テトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トロピリウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トリエチルシリリウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、トリ(t−ブチル)アンモニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、N,N−ジメチル−(2,4,6−トリメチルアニリニウム)テトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、トロピリウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、トリエチルシリリウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、トリ(t−ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、N,N−ジメチル−(2,4,6−トリメチルアニリニウム)テトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、トロピリウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、トリエチルシリリウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、ベンゼン(ジアゾニウム)テトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレートおよびジアルキルアンモニウム塩、たとえばジ−(i−プロピル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートおよびジシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ならびに追加的な3置換ホスホニウム塩、たとえばトリ(o−トリル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートおよびトリス(2,6−ジメチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
【0092】
もっとも好ましくは、イオン性化学量論的活性化剤(L−H)(Ad−)は、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレートまたはトリフェニルカルベニウムテトラキス(パーフルオロフェニル)ボレートである。
【0093】
1の実施態様では、活性プロトンを含まないが、バルキー配位子メタロセン触媒カチオンおよびその非配位性アニオンを生成する能力のあるイオン化させるイオン性化合物を用いる活性化方法も検討され、欧州特許出願公開第0426637号、同第0573403号および米国特許第5,387,568号に記載されており、これらの内容は参照によって本明細書にすべて取り込まれる。
【0094】
「非配位性アニオン」(NCA)の語は、当該カチオンに配位しないか、あるいは当該カチオンにわずかに弱く配位し、その結果、中性ルイス塩基によって置き換えられる反応活性度が十分に高く保たれるアニオンを意味する。「耐性の」非配位性アニオンとは、最初に形成された錯体が分解するときに中性にまで劣化しないものをいう。さらに、該アニオンはアニオン性置換基または断片をカチオンに移動させず、その結果、中性の四配位メタロセン化合物および該アニオンから中性の副生成物の形成が引き起こされることはない。本発明に従って用いられる非配位性アニオンは、耐性があり、メタロセンカチオンのイオン電荷を+1の平衡に保つという意味でメタロセンカチオンを安定化し、それでいて重合の間エチレン性またはアセチレン性不飽和モノマーによる置き換えを許す十分な反応活性度を保持するものである。これらの活性化剤化合物または助触媒に加えて、トリ−イソブチルアルミニウムまたはトリ−オクチルアルミニウムのような捕捉剤が用いられる。
【0095】
本発明のプロセスは、助触媒化合物または活性化剤化合物も用いることができ、これらは最初は中性ルイス酸であるが、本発明の化合物と反応するとカチオン性金属錯体および非配位性アニオンまたは両性イオン錯体を形成する。たとえば、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素またはアルミニウムは、ヒドロカルビルまたヒドリド配位子を引き抜いて本発明のカチオン性金属錯体および安定化させる非配位性アニオンをもたらすように作用する。類似する第4族メタロセン化合物の例示として、欧州特許出願公開第0427697号および同第0520732号を参照せよ。また、欧州特許出願公開第0495375号の方法および化合物を参照せよ。類似する第4族化合物を用いる両性イオン錯体の形成については、米国特許第5,624,878号、同第5,486,632号および同第5,527,929号を参照せよ。
【0096】
他の好適なイオン形成性の活性化助触媒は、式(16)によって表される、カチオン性酸化剤と非配位性で耐性のアニオンとの塩を含み、
(OXe+)(Ad− (16)
式(16)で、OXe+はe+の電荷を有するカチオン性酸化剤であり、eは1〜3の整数であり、Aおよびdはすでに定義された通りである。カチオン性酸化剤の例は、フェロセニウム、ヒドロカルビル置換フェロセニウム、AgまたはPb+2を含む。Ad−の好まれる実施態様は、ブレンステッド酸含有活性化剤に関連してすでに定義されたようなアニオン、とりわけテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートである。
【0097】
NCA活性化剤と触媒前駆体との典型的な比は1:1モル比である。他の好まれる範囲は0.1:1〜100:1、あるいは0.5:1〜200:1、あるいは1:1〜500:1、あるいは1:1〜1000:1を含む。特に有用な範囲は0.5:1〜10:1、好ましくは1:1〜5:1である。
活性化剤の組み合わせ
【0098】
触媒化合物が1以上の活性化剤と一緒にされることができること、または上記の活性化方法は本発明の範囲内である。たとえば、活性化剤の組み合わせは、米国特許第5,153,157号および同第5,453,410号、欧州特許第0573120号ならびに国際公開第94/07928号および同第95/14044号に記載されている。これらの文献はすべて、イオン化活性化剤と組み合わせたアルモキサンの使用について検討している。
オリゴマーの用途
【0099】
本発明で調製されたオリゴマーは、ヘテロ原子含有基を該オリゴマーと、触媒を用いてまたは用いないで反応させることによって官能化されることができる。官能化の例は、接触ヒドロシリル化、オゾン分解、ヒドロホルミル化もしくはヒドロアミノ化、スルホン化、ハロゲン化、ヒドロハロゲン化、ヒドロホウ素化、エポキシ化、または極性ジエンとのディールス・アルダー反応、極性芳香族化合物とのフリーデル・クラフツ反応、フリーラジカル発生剤(たとえば、過酸化物)のような活性化剤によるマレイン酸化を含む。官能化オリゴマーは、オイル添加剤に、防曇剤または湿潤剤、接着促進剤としておよび多くの他の用途に用いられることができる。好まれる用途は潤滑油および燃料用の添加剤を含む。好まれるヘテロ原子含有基は、アミン、アルデヒド、アルコール、酸、酸無水物、スルホネート、特にコハク酸、マレイン酸およびマレイン酸無水物を含む。
【0100】
官能化オリゴマーの他の用途は、可塑剤、石けん用の界面活性剤、洗浄剤、衣服柔軟剤、帯電防止剤等のようなものを含む。好まれるヘテロ原子含有基は、アミン、アルデヒド、アルコール、酸、酸無水物、ならびにスルホネート、特にコハク酸、マレイン酸およびマレイン酸無水物を含む。
【0101】
ある実施態様では、本発明で製造されるオリゴマーは、米国特許第6,022,929号;A.トヨタ、T.ツツイおよびN.カシワ、Polymer Bulletin、2002年、第48巻、p.213−219;ならびにJ.Am.Chem.Soc.、1990年、第112巻、p.7433−7434に記載されたように官能化される。
【0102】
好まれる実施態様では、本発明のオリゴマーは官能化される、たとえば1以上の官能基(ヘテロ原子含有基とも呼ばれる。)、典型的にはヘテロ原子、たとえばP、O、S、N、Br、Cl、F、Iおよび/またはBr(好ましくはN、O、Clおよび/またはBr、好ましくはNおよび/またはO)を含有する官能基によって化学変性されることができる。好まれる官能基は、酸、エステル、酸無水物、酸−エステル、オキシカルボニル、カルボニル、ホルミル、ホルミルカルボニル、ヒドロキシルおよびアセチルハライドからなる群から選択される。特に好まれる官能基は、式:−C(O)−Xによって表されるものを含み、この式で、OはCに二重結合し、Xはハロゲン、窒素、ヒドロキシ、オキシヒドロカルビル(たとえば、エステル)、酸素、塩の部分−OM(ここで、Mは金属、たとえばアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、銅、亜鉛等である。)、オキシヘテロ、たとえば−O−Z(ここで、Zはヘテロ原子、たとえばリン、ホウ素、イオウを表し、このヘテロ原子はヒドロカルビルまたはオキシヒドロカルビル基で置換されていてもよい。)であり、または2のアシル基が(X)を通して加わっていてもよい。
【0103】
好まれるヘテロ原子含有基は、モノ不飽和のモノ−またはジカルボン酸およびその誘導体から誘導されたアシル基を含み、たとえばエステルおよび塩である。
【0104】
より詳しくは、モノ−またはジカルボン酸物質、すなわち、酸、酸無水物、塩または酸エステルで官能化されたオリゴマーが好まれ、これは、(i)モノ不飽和C〜C10ジカルボン酸(好ましくは、この場合、(a)そのカルボキシル基がビシニル(すなわち、隣接炭素原子上に位置するもの)であり、かつ(b)少なくとも1の、好ましくは双方の当該隣接炭素原子が当該モノ不飽和基の一部であるもの)、(ii)(i)の誘導体、たとえば酸無水物またはC〜Cアルコールから誘導された(i)のモノ−またはジエステル、(iii)モノ不飽和C〜C10モノカルボン酸であって、その炭素−炭素二重結合がカルボキシル基と共役している、すなわち構造−C=C−C(O)−(ここで、OはCに二重結合している。)を有するもの、および(iv)(iii)の誘導体、たとえばC〜Cアルコールから誘導された(iii)のモノエステル、からなる群から選択された少なくとも1の構成員を含むモノ不飽和カルボキシル反応物質とオリゴマーとの反応生成物を含む。オリゴマーと反応すると、モノ不飽和カルボキシル反応物質の二重結合は飽和される。したがって、たとえばオリゴマーと反応したマレイン酸無水物はコハク酸無水物となり、またアクリル酸はプロピオン酸になる。
【0105】
その一部が有用な官能性化合物である好適な不飽和酸物質は、アクリル酸、クロトン酸、メタクリル酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、フマル酸、イタコン酸、イタコン酸無水物、シトラコン酸、シトラコン酸無水物、メサコン酸、グルタコン酸、クロロマレイン酸、アコニチン酸、クロトン酸、メチルクロトン酸、ソルビン酸、3−ヘキセン酸、10−デセン酸、2−ペンテン−1,3,5−トリカルボン酸、桂皮酸および上述のものの低級アルキル(たとえば、C〜Cアルキル)酸エステル、たとえばマレイン酸メチル、フマル酸エチル、フマル酸メチル等を含む。特に好まれるのは、不飽和ジカルボン酸およびその誘導体、とりわけマレイン酸、フマル酸およびマレイン酸無水物である。
【0106】
典型的には、反応器に投入されるオリゴマー1モル当たり約0.7〜約4.0(たとえば、0.8〜2.6)、好ましくは約1.0〜約2.0、もっとも好ましくは約1.1〜約1.7モルの当該モノ不飽和カルボキシル反応物質が、反応器に投入される。
【0107】
任意の好適な方法によって、官能化は達成されることができる。有用な方法は、オリゴマーのオレフィン性結合を不飽和の、好ましくはモノ不飽和のカルボキシル反応物質と反応させることを含む。あるいは、オリゴマーは、塩素または臭素含有化合物を用いてハロゲン化されることができる。ハロゲン化されたオリゴマーは、次にモノ不飽和カルボン酸と反応されることができる。オリゴマーとモノ不飽和カルボキシル反応物質とは、高められた温度で接触され、熱的「エン」反応を生じさせることもできる。あるいは、モノ不飽和カルボン酸は、フリーラジカル誘起グラフト反応によってオリゴマーと反応されることができる。本発明のオリゴマーは、触媒的に有効な量の少なくとも1の酸性アルキル化触媒の存在下にヒドロキシ芳香族化合物との接触によって官能化されることができる。アルキル化されたヒドロキシ芳香族化合物は、次にさらにアルデヒドおよびアミン試薬とのマンニッヒ塩基縮合反応によって誘導体を形成して、マンニッヒ塩基縮合物をもたらすことができる。オリゴマーを官能化するさらに他の手段では、オリゴマーは、酸触媒の存在下においてコッホ反応条件下に一酸化炭素と接触されて、カルボン酸基で置換されたオリゴマーを生成することができる。上記の方法の官能化に加えて、本発明のオリゴマーは、空気酸化、オゾン分解、ヒドロホルミル化、エポキシ化およびクロロアミノ化の方法によって官能化されることができる(もっと多くの情報については、米国特許第6,022,929号21欄16行〜33欄27行を参照されたい)。
【0108】
官能化オリゴマーは、次なる順番として誘導体化させる化合物によって誘導体化されることができる(本発明およびその特許請求の目的のためには、官能化されたオリゴマーの語は誘導体化されたオリゴマーを包含する)。誘導体化させる化合物は、たとえば求核置換反応、マンニッヒ塩基縮合反応等のような手段によって官能化されたオリゴマーの官能基と反応することができる。誘導体化させる化合物は、極性であることおよび/または反応性誘導体化基を有することができる。好まれる誘導体化させる化合物は、ヒドロキシ含有化合物、アミン、金属塩、酸無水物含有化合物およびアセチルハライド含有化合物から選択される。これらの誘導体化させる化合物は、少なくとも1の求核基、好ましくは少なくとも2の求核基を含むことができる。典型的な誘導体化されたオリゴマーは、官能化オリゴマー、すなわちカルボン酸/酸無水物またはエステルで置換されたオリゴマーを求核試薬、たとえばアミン、ポリオールを包含するアルコール、アミノアルコール、反応性金属化合物等と接触させることによってつくられる(もっと多くの情報については、米国特許第6,022,929号33欄27行〜74欄63行を参照されたい)。あるいは、誘導体化オリゴマーは、カルボン酸/酸無水物またはエステルで置換された官能化オリゴマーを求核試薬、たとえばアミンと接触させることによってつくられて、4級アンモニウム化合物またはアミンオキシドとなることができる。
【0109】
官能化オリゴマーおよび/または誘導体化オリゴマーは、分散剤、粘度指数向上剤または多機能粘度指数向上剤の作用をすることができる潤滑油添加剤としての用途を有する。さらに、これらの官能化オリゴマーおよび/または誘導体化オリゴマーは、殺菌剤(官能化アミン)および/または湿潤剤として用いられることができる。
【0110】
分散剤としての用途を有する官能化オリゴマーおよび/または誘導体化オリゴマーは、典型的には20,000未満、好ましくは10,000未満、もっとも好ましくは8,000未満のMn(g/モル)を有し、典型的には500〜10,000(たとえば、500〜5,000)、好ましくは1,000〜8,000(たとえば、1,000〜5,000)、もっとも好ましくは1,500〜6,000(たとえば、1,500〜3,000)の範囲であることができる。
【0111】
10,000超、好ましくは10,000超〜30,000(好ましくは20,000〜30,000)のMn(g/モル)を有する本明細書に記載された官能化オリゴマーおよび/または誘導体化オリゴマーは、潤滑油組成物用の粘度指数向上剤、接着剤添加物、防曇剤および湿潤剤、インクおよび塗料接着促進剤、コーティング剤、粘着付与剤ならびに封止剤等として有用である。さらに、かかるオリゴマーは官能化され誘導体化されて、分散特性も有する多機能粘度指数向上剤となることができる(もっと多くの情報については、米国特許第6,022,929号を参照されたい)。
【0112】
本明細書に記載された官能化オリゴマーおよび/または誘導体化オリゴマーは、他の添加剤(たとえば、粘度指数向上剤、腐食防止剤、酸化防止剤、分散剤、潤滑油流動性向上剤、洗浄剤、乳化防止剤、防錆剤、流動点降下剤、消泡剤、磨耗防止剤、シール膨張剤、摩擦調整剤等であって、たとえば米国特許第6,022,929号60欄42行〜78欄54行およびそこに引用された参考文献に記載されたもの)と一緒にされて、多くの用途、たとえば以下のものに限定されないが潤滑油添加剤パッケージ、潤滑油等のための組成物を形成することができる。
これらの添加剤を含有する組成物は、典型的にはその通常の付帯機能を提供するのに有効な量で基油中にブレンドされる。かかる添加剤の代表的な有効量が以下のように示される。

重量%は、その添加剤の活性成分含有量、および/もしくは任意の添加剤パッケージの全重量、または各添加剤の活性成分重量プラス全オイルもしくは希釈剤の重量の合計である配合物を基準とする。
【0113】
他の添加剤が用いられるときは、本発明の主題である添加剤の濃縮された溶液または分散物を(本明細書に上記された濃縮物量で)、1以上の当該他の添加剤と一緒に含む添加剤濃縮物(当該濃縮物が添加剤混合物を構成するときは、本明細書では添加剤パッケージと呼ばれる。)を調製することが必要ではないけれども望ましいことと言え、それによって数種類の添加剤が同時に基油に添加されて、潤滑油組成物を形成することができる。潤滑油中への添加剤濃縮物の溶解は、溶媒によっておよび穏やかな加熱を伴う混合によって促進されることができるが、これは必須ではない。本発明の主題である官能化または誘導体化オリゴマーは、少量の基油または他の相容性の溶媒に、他の望ましい添加剤とともに添加されて、典型的には約2.5〜約90重量%、好ましくは約15〜約75重量%、もっとも好ましくは約25〜約60重量%の合計量の活性成分、適当な割合の添加剤を含有し、残余が基油である添加剤パッケージを形成することができる。
【0114】
最終配合物は、典型的には約10重量%で、その残余が基油である添加剤パッケージを用いることができる。
【0115】
他の実施態様では、本明細書に記載された、官能化された(および任意的に誘導体化された)プロピレンオリゴマーおよびプロピレン−エチレンコオリゴマー(「官能化された(コ)オリゴマー」)は、(H−NMRによって測定された全不飽和基当たり)10重量%未満、好ましくは8重量%未満、好ましくは6重量%未満、好ましくは5重量%未満、好ましくは4重量%未満、好ましくは3重量%未満、好ましくは2重量%未満、好ましくは1重量%未満のアリル鎖末端基を有する。
【0116】
他の実施態様では、本明細書に記載された官能化(コ)オリゴマーは、(H−NMRによって測定された全不飽和基当たり)10%未満、好ましくは5%未満、好ましくは1%未満のアリル鎖末端基;および(H−NMRによって測定された全不飽和基当たり)10重量%未満、好ましくは5重量%未満、好ましくは1重量%未満のビニリデン不飽和基;ならびに/または(H−NMRによって測定された全不飽和基当たり)10%未満、好ましくは5%未満、好ましくは1%未満のビニレン不飽和基を有する。官能化、誘導体化または不飽和基の測定のための(未反応モノマーの)ストリッピングの間、水素もしくは連鎖移動剤/停止剤は使用されてはならない。
【0117】
他の実施態様では、官能化(コ)オリゴマーは、プロピレン、官能基および任意的なエチレンから本質的になる。あるいはC4オレフィン(たとえば、イソブチレン、ブタジエン、n−ブテン)は、官能化(コ)オリゴマー中に実質的に存在しない。あるいはC〜C20オレフィンは、官能化(コ)オリゴマー中に実質的に存在しない。あるいはイソブチレンは、官能化(コ)オリゴマー中に実質的に存在しない。「実質的に存在しない」とは、モノマーがオリゴマー/コオリゴマー中に1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、好ましくは0重量%で存在することを意味する。
【0118】
他の実施態様では、(好ましくは、官能化および任意的な誘導体化の前のオリゴマーまたはコオリゴマーのMnに比較して、Mnが15%を超えては変化していないと仮定して)官能基の数は、1鎖当たり0.60〜1.2、あるいは0.75〜1.1の官能基で存在する。H−NMRによって測定される1鎖当たりの官能基の数=F/Mnは、以下の通りである、すなわち、用いられる測定器は、120℃で操作される温度可変プロトン検出プローブを備えた400 MHzのVarianパルス・フーリエ変換NMR分光光度計である。ポリマーサンプルが1,1,2,2−テトラクロロエタン−d(TCE−d)中に溶解され、5mmのガラス製NMR管中に移される(該溶媒は10,000ppm未満の水を有し、NMRスペクトルの化学シフトを変化させ得る他の汚染物質を含まない)。データ収集パラメータは、パルス幅=45°、捕捉遅延時間=8秒間およびスキャン数=120である。化学シフトは、5.98ppmに設定されたTCE−dシグナル基準で測定される。VRAは約4.9〜5.1ppmのシフトを有するビニルについての正規化され積算されたシグナル強度である。VRDAは約4.65〜4.85ppmのビニリデン共鳴および約5.15〜5.6ppmのビニレン共鳴についての正規化され積算されたシグナル強度である。IAは約0〜2.1ppm(IA)の関心の対象である脂肪族領域についての正規化され積算されたシグナル強度である。ビニル基の数/1000炭素原子(VI)は、式:(VRA*1000)/(IA+VRA+VDRA))から決定される。同様に、ビニリデン&ビニレン基の数/1000炭素原子(VE)は、式:(VDRA*1000)/(IA+VRA+VDRA))から決定される。VRA、VDRAおよびIAは、上で定義された化学シフト領域における正規化され積算されたシグナル強度である。Mnは、1オリゴマー鎖当たり1不飽和末端基を仮定して計算される。Mn=(14,000g/モル)/(VI+VE)である。
【0119】
問題のオリゴマーが官能化された後、官能化%を測定するために官能基の共鳴/化学シフト領域を決定する必要がある。そうするために、官能化オリゴマーの汚れていないサンプル(たとえば、洗浄されて未反応物質、汚染物質等が除かれたサンプル)について上記のH−NMRの手順を繰り返す。Sadtler Research Laboratories社によって出版された「The Sadtler Guide to NMR Spectra」、William Walter Simons編、1972年刊を、特定の官能基の化学シフト領域を決定する際の補助として参照せよ。官能基の数/1000C(F)=(FA*1000)(FA+IA+VRA+VDRA)であり、この式で、FA=官能基の化学シフト領域の正規化され積算されたシグナル強度であり、およびIA、VRA、VDRAは上で定義された通りである。
【0120】
オリゴマーの官能化パーセント=(F*1000)(F+VI+VE)である。官能化オリゴマーについてのビニル基の数/1000炭素(VI)およびビニリデン基の数/1000炭素(VE)は、未官能化オリゴマーについてのVIおよびVEと同じように、該官能化オリゴマーのH−NMRから測定される。好ましくは、オリゴマーの官能化パーセントは75%以上、好ましくは80%以上、好ましくは90%以上、好ましくは95%以上である。
【0121】
好まれる実施態様では、F+VI+VE≧(0.50(VI+VE))、好ましくはF+VI+VE≧(0.60(VI+VE))、好ましくはF+VI+VE≧(0.70(VI+VE))、好ましくはF+VI+VE≧(0.75(VI+VE))、好ましくはF+VI+VE≧(0.80(VI+VE))、好ましくはF+VI+VE≧(0.85(VI+VE))、好ましくはF+VI+VE≧(0.90(VI+VE))、好ましくはF+VI+VE≧(0.95(VI+VE))、好ましくはF+VI+VE≧(0.98(VI+VE))、好ましくはF+VI+VE≧(0.60(VI+VE))、好ましくはF+VI+VE≧(0.99(VI+VE))である。
【0122】
他の実施態様では、官能化(コ)オリゴマーは式7によって表され、
【式7】
【0123】

式7で、〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜はオリゴマーまたはコオリゴマーを表し、XはHまたは官能基であり、ただし少なくとも1のXは官能基である。有用な官能基は上記の官能基のいずれかを含む。好まれる官能基はヘテロ原子含有基を含み、該ヘテロ原子はP、O、S、N、Br、Cl、F、Iおよび/またはB(好ましくはN、O、Clおよび/またはBr、好ましくはNおよび/またはO)を含む。特に好まれる官能基は、酸、エステル、酸無水物、酸−エステル、オキシカルボニル、カルボニル、ホルミル、ホルミルカルボニル、ヒドロキシルおよびアセチルハライドからなる群から選択される。特に好まれる官能基は、式:−C(O)−Xによって表されるものを含み、この式で、OはCに二重結合し、Xは水素、窒素、ヒドロキシ、オキシヒドロカルビル(たとえば、エステル)、酸素、塩の部分−OM(ここで、Mは金属であり、たとえばアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、銅、亜鉛等である。)、オキシヘテロ、たとえば−O−Z(ここで、Zはヘテロ原子、たとえばリン、ホウ素、イオウを表し、このヘテロ原子はヒドロカルビルまたはオキシヒドロカルビル基で置換されていてもよい。)であり、または2のアシル基が(X)を通して加わっていてもよい。
【0124】
好まれる官能基は、モノ不飽和のモノ−またはジカルボン酸およびその誘導体から誘導されたアシル基を含み、たとえばエステルおよび塩である。
【0125】
より詳しくは、モノ−またはジカルボン酸物質、すなわち、酸、酸無水物、塩または酸エステルで官能化されたオリゴマーが好まれ、これは、(i)モノ不飽和C〜C10ジカルボン酸(好ましくは、この場合、(a)そのカルボキシル基がビシニル(すなわち、隣接炭素原子上に位置するもの)であり、かつ(b)少なくとも1の、好ましくは双方の当該隣接炭素原子が当該モノ不飽和基の一部であるもの)、(ii)(i)の誘導体、たとえば酸無水物またはC〜Cアルコールから誘導された(i)のモノ−またはジエステル、(iii)モノ不飽和C〜C10モノカルボン酸であって、その炭素−炭素二重結合がカルボキシル基と共役している、すなわち構造:−C=C−C(O)−(ここで、OはCに二重結合している。)を有するもの、および(iv)(iii)の誘導体、たとえばC〜Cアルコールから誘導された(iii)のモノエステルからなる群から選択された少なくとも1の構成員を含むモノ不飽和カルボキシル反応物質とオリゴマーとの反応生成物を含む。
【0126】
その一部が有用な官能基である好適な不飽和酸物質は、アクリル酸、クロトン酸、メタクリル酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、フマル酸、イタコン酸、イタコン酸無水物、シトラコン酸、シトラコン酸無水物、メサコン酸、グルタコン酸、クロロマレイン酸、アコニチン酸、クロトン酸、メチルクロトン酸、ソルビン酸、3−ヘキセン酸、10−デセン酸、2−ペンテン−1,3,5−トリカルボン酸、桂皮酸および上述のものの低級アルキル(たとえば、C〜Cアルキル)酸エステル、たとえばマレイン酸メチル、フマル酸エチル、フマル酸メチル等を含む。特に好まれるのは、不飽和ジカルボン酸およびその誘導体、とりわけマレイン酸、フマル酸およびマレイン酸無水物である。
【0127】
官能化もしくは誘導体化プロピレンオリゴマーまたはプロピレン−エチレンコオリゴマーの重量当たり、該官能化もしくは誘導体化プロピレンオリゴマーまたはプロピレン−エチレンコオリゴマーの好ましくは少なくとも90重量%、あるいは少なくとも95重量%、あるいは少なくとも98重量%は、上記の式の一つまたは双方によって表される。
【0128】
他の実施態様では、官能化(コ)オリゴマーは、以下に記載されるDSCによって測定された20℃以下、あるいは0℃以下、あるいは−10℃以下の融点を有する。
【0129】
他の実施態様では、官能化(コ)オリゴマーは、以下に記載されるDSCによって測定された15J/g以下、あるいは10J/g以下、あるいは510J/g以下の融解熱を有する。
【0130】
他の実施態様では、「イソブチル鎖末端基と官能基との比」は、オリゴマーの官能基パーセントとアリル性ビニル基のパーセントとの比であると定義される。好まれる実施態様では、イソブチル鎖末端基と官能基との比は、本明細書に記載されたイソブチル鎖末端基とアリル性ビニル基との比のいずれとも同じである。
【0131】
他の実施態様では、本明細書に記載された官能化(コ)オリゴマーは、出発(コ)オリゴマーと同じ、または出発(コ)オリゴマーよりも15%まで大きい(好ましくは、10%まで大きい)Mnおよび/またはMwおよび/またはMzを有し、「同じ」とは5%以内を意味すると定義される。
【0132】
他の実施態様では、本発明は以下のものに関する。すなわち
1. 1)ヘテロ原子含有基と、2)(H−NMRによって測定された)300〜30,000g/モルのMnを有し、10〜90モル%のプロピレンおよび10〜90モル%のエチレンを含むコオリゴマーと、の反応生成物を好ましくは含む官能化コオリゴマーであって、該オリゴマーが官能化前に(全不飽和基当たり)少なくともX%のアリル鎖末端基を有し、ここで、1)10〜60モル%のエチレンが該コオリゴマー中に存在するときはX=(−0.94(取り込まれたエチレンのモル%)+100)であり、2)60超〜70モル%未満のエチレンが該コオリゴマー中に存在するときはX=45であり、3)70〜90モル%のエチレンが該コオリゴマー中に存在するときはX=(1.83*(取り込まれたエチレンのモル%)−83)であり、該ヘテロ原子含有基がP、O、S、N、Br、Cl、F、Iおよび/またはBからなる群から選択された1以上のヘテロ原子を含み、ならびに該官能化コオリゴマーが1鎖当たり0.75〜1.10の官能基を有する、官能化コオリゴマー。
2. コオリゴマーが官能化前に(全不飽和基当たり)90%超のアリル鎖末端基を有する、段落1のコオリゴマー。
3. コオリゴマーが、15〜95重量%のエチレンを含み、かつ官能化前に(全不飽和基当たり)80%超のアリル鎖末端基を有する、段落1のコオリゴマー。
4. コオリゴマーが、30〜95重量%のエチレンを含み、かつ官能化前に(全不飽和基当たり)70%超のアリル鎖末端基、好ましくは90%超のアリル鎖末端基を有する、段落1のコオリゴマー。
5. 90モル%超のプロピレンおよび10モル%未満のエチレンを含む官能化プロピレンオリゴマーであって、該オリゴマーが、少なくとも93%のアリル鎖末端基、約500〜約20,000g/モルの数平均分子量(Mn)、0.8:1〜1.35:1.0のイソブチル鎖末端基とアリル性ビニル基との比および100ppm未満のアルミニウムを有する、官能化プロピレンオリゴマー。
6. 1)ヘテロ原子含有基と、2)90モル%超のプロピレンおよび10モル%未満のエチレンを含むオリゴマーと、の反応生成物を含む官能化プロピレンオリゴマーであって、該オリゴマーが、少なくとも93%のアリル鎖末端基、約500〜約20,000g/モルの数平均分子量(Mn)、0.8:1〜1.35:1.0のイソブチル鎖末端基とアリル性ビニル基との比および100ppm未満のアルミニウムを有し、該ヘテロ原子含有基がP、O、S、N、Br、Cl、F、Iおよび/またはBからなる群から選択された1以上のヘテロ原子を含み、該官能化されたオリゴマーが1鎖当たり0.75〜1.10の官能基を有する、官能化プロピレンオリゴマー。
7. 1)ヘテロ原子含有基と、2)少なくとも50モル%のプロピレンおよび10〜50モル%のエチレンを含むオリゴマーと、の反応生成物を含む官能化プロピレンオリゴマーであって、該オリゴマーが、少なくとも90%のアリル鎖末端基、約150〜約10,000g/モルのMn、0.8:1〜1.2:1.0のイソブチル鎖末端基とアリル性ビニル基との比を有し、4以上の炭素原子を有するモノマーが0〜3モル%で存在し、該ヘテロ原子含有基がP、O、S、N、Br、Cl、F、Iおよび/またはBからなる群から選択された1以上のヘテロ原子を含み、該官能化コオリゴマーが1鎖当たり0.75〜1.10の官能基を有する、官能化プロピレンオリゴマー。
8. 1)官能基と、2)少なくとも50モル%のプロピレン、0.1〜45モル%のエチレンおよび0.1〜5モル%のC〜C12オレフィンを含むオリゴマーと、の反応生成物を含む官能化プロピレンオリゴマーであって、該オリゴマーが、少なくとも90%のアリル鎖末端基、約150〜約10,000g/モルのMnおよび0.8:1〜1.35:1.0のイソブチル鎖末端基とアリル性ビニル基との比を有し、該ヘテロ原子含有基がP、O、S、N、Br、Cl、F、Iおよび/またはBからなる群から選択された1以上のヘテロ原子を含み、該官能化コオリゴマーが1鎖当たり0.75〜1.10の官能基を有する、官能化プロピレンオリゴマー。
9. 1)ヘテロ原子含有基と、2)少なくとも50モル%のプロピレン、0.1〜45モル%のエチレンおよび0.1〜5モル%のジエンを含むオリゴマーと、の反応生成物を含む官能化プロピレンオリゴマーであって、該オリゴマーが、少なくとも90%のアリル鎖末端基、約150〜約10,000g/モルのMnおよび0.7:1〜1.35:1.0のイソブチル鎖末端基とアリル性ビニル基との比を有し、該ヘテロ原子含有基がP、O、S、N、Br、Cl、F、Iおよび/またはBからなる群から選択された1以上のヘテロ原子を含み、該官能化コオリゴマーが1鎖当たり0.75〜1.10の官能基を有する、官能化プロピレンオリゴマー。
10. オリゴマーが25℃において液体である、段落1〜9のいずれか1段落に記載のオリゴマー。
11. Mnが約500〜約7,500g/モルであり、Mwが1,000〜約20,000g/モルであり、およびMzが約1400(あるいは1700)〜約150,000g/モルである、段落1〜10のいずれか1段落に記載のオリゴマー。
12. F+VI+VE≧(0.60(VI+VE))であり、この式でVIは未官能化オリゴマーについてのビニル基の数/1000炭素であり、VEは未官能化オリゴマーについてのビニリデン基の数/1000炭素であり、VIは官能化オリゴマーについてのビニル基の数/1000炭素であり、VEは官能化オリゴマーについてのビニリデン基の数/1000炭素であり、およびFは1000炭素当たりの官能基の数である、段落1〜11のいずれか1段落に記載の官能化(コ)オリゴマー。
13. オリゴマーが約60℃〜約130℃の融解ピークを有する、段落1〜12のいずれか1段落に記載のオリゴマー。
15. ヘテロ原子含有基がスルホネート、アミン、アルデヒド、アルコールまたは酸を含み、好ましくはヘテロ原子含有基がエポキシド、コハク酸、マレイン酸またはマレイン酸無水物を含み、あるいはヘテロ原子含有基が酸、エステル、酸無水物、酸−エステル、オキシカルボニル、カルボニル、ホルミル、ホルミルカルボニル、ヒドロキシルおよびアセチルハライドのうちの1以上を含む、段落1〜14のいずれか1段落に記載の官能化オリゴマー。
16. 官能化オリゴマーが、出発(コ)オリゴマーのMnよりも15%まで大きい、好ましくは5%まで大きいMnを有する、段落1〜15のいずれか1段落に記載の官能化オリゴマー。
17. 上記の段落1〜16のいずれか1段落に記載の官能化プロピレンコオリゴマーをつくる均一プロセスにおいて、該プロセスが、
1)プロピレンコオリゴマーをつくる第一の工程である均一プロセスであって、当該第一のプロセスが少なくとも4500g/ミリモル/時の生産性を有し、該第一のプロセスが、35℃〜150℃の温度で、プロピレン、0.1〜70モル%のエチレンおよび0〜約5重量%の水素を、活性化剤および式8によって表される少なくとも1のメタロセン化合物を含む触媒系の存在下に接触させる工程を含み、
【式8】
【0133】

式8で、
Hfはハフニウムであり、
各Xは、独立に、1〜20の炭素原子を有するヒドロカルビル基、ヒドリド、アミド、アルコキシド、スルフィド、ホスフィド、ハロゲン、ジエン、アミン、ホスフィン、エーテルまたはこれらの組み合わせ、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ベンジル、クロライド、ブロマイド、イオダイドからなる群から選択され(あるいは、2のXは縮合環または環系の一部を形成してもよく);
各Qは、独立に、炭素またはヘテロ原子、好ましくはC、N、P、Sであり(好ましくは少なくとも1のQはヘテロ原子であり、あるいは少なくとも2のQは同じまたは異なるヘテロ原子であり、あるいは少なくとも3のQは同じまたは異なるヘテロ原子であり、あるいは少なくとも4のQは同じまたは異なるヘテロ原子であり);
各Rは、独立に、C〜Cアルキル基、好ましくはC〜C直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルまたはオクチルであり、RはRと同じまたは異なってもよく;
各Rは、独立に、C〜Cアルキル基、好ましくはC〜C直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルまたはオクチルであり、ただしRおよびRのうちの少なくとも1は水素でなく、好ましくはRおよびRの双方とも水素でなく、好ましくはRおよび/またはRは分枝状でなく;
各Rは、独立に、水素、または1〜8の炭素原子、好ましくは1〜6の炭素原子を有する置換もしくは非置換のヒドロカルビル基、好ましくは置換もしくは非置換のC〜C直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルであり、しかしながらただし、少なくとも3のR基は水素でなく(あるいは4のR基は水素でなく、あるいは5のR基は水素でなく);
各Rは、独立に、水素、または置換もしくは非置換のヒドロカルビル基、ヘテロ原子もしくはヘテロ原子含有基、好ましくは1〜20の炭素原子、好ましくは1〜8の炭素原子を有する置換もしくは非置換のヒドロカルビル基、好ましくは置換もしくは非置換のC〜C直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、置換フェニル(たとえば、プロピルフェニル)、フェニル、シリル、置換シリル(たとえば、CHSiR'、この式でR'はC〜C12ヒドロカルビル、たとえばメチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル)であり、
は、水素、またはC〜Cアルキル基、好ましくはC〜C直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルもしくはオクチルであり;
は、水素、またはC〜Cアルキル基、好ましくはC〜C直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルもしくはオクチルであり;
各Rは、独立に、水素、またはC〜Cアルキル基、好ましくはC〜C直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルもしくはオクチルであり、しかしながらただし、少なくとも7のR基は水素でなく、あるいは少なくとも8のR基は水素でなく、あるいはすべてのR基は水素でなく(好ましくは、式IVの各Cp環上の3および4の位置にあるR基は水素でなく);
Nは窒素であり;
Tは架橋であり、好ましくはSiまたはGe、好ましくはSiであり;
各Rは、独立に、水素、ハロゲンまたはC1〜C20ヒドロカルビル、たとえばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、フェニル、ベンジル、置換フェニルであり、かつ2のRは環式構造を形成することができ、たとえば芳香族、部分的飽和もしくは飽和の環式または縮合の環系であり;
さらに、任意の2の隣接するR基は、環が芳香族、部分的飽和もしくは飽和であってもよい縮合環または多中心縮合環系を形成することができることが条件とされる、第一の工程である均一プロセス、ならびに
2)該第一の工程で製造されたコオリゴマーをヘテロ原子含有基と接触させる工程を含む第二の工程である官能化プロセス
を含む、上記の均一プロセス。
18.上記の段落1〜16のいずれか1段落に記載の官能化プロピレンホモオリゴマーをつくる均一プロセスにおいて、該プロセスが、
1)プロピレンホモオリゴマーをつくる第一の均一プロセスであって、当該第一のプロセスが少なくとも4500g/ミリモル/時の生産性を有し、該第一のプロセスが、
30℃〜120℃の温度で、プロピレン、0モル%のコノマーおよび0〜約5重量%の水素を、活性化剤および式9によって表される少なくとも1のメタロセン化合物を含む触媒系の存在下に接触させる工程を含み、
【式9】
【0134】

式9で、
Hfはハフニウムであり、
各Xは、独立に、1〜20の炭素原子を有するヒドロカルビル基、ヒドリド、アミド、アルコキシド、スルフィド、ホスフィド、ハロゲン、ジエン、アミン、ホスフィン、エーテルまたはこれらの組み合わせ、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、ベンジル、クロライド、ブロマイド、イオダイドからなる群から選択され(あるいは、2のXは縮合環または環系の一部を形成してもよく);
各Qは、独立に、炭素またはヘテロ原子、好ましくはC、N、P、Sであり(好ましくは少なくとも1のQはヘテロ原子であり、あるいは少なくとも2のQは同じまたは異なるヘテロ原子であり、あるいは少なくとも3のQは同じまたは異なるヘテロ原子であり、あるいは少なくとも4のQは同じまたは異なるヘテロ原子であり);
各Rは、独立に、C〜Cアルキル基、好ましくはC〜C直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルまたはオクチルであり、RはRと同じまたは異なってもよく;
各Rは、独立に、C〜Cアルキル基、好ましくはC〜C直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルまたはオクチルであり、ただしRおよびRのうちの少なくとも1は水素でなく、好ましくはRおよびRの双方とも水素でなく、好ましくはRおよび/またはRは分枝状でなく;
各Rは、独立に、水素、または1〜8の炭素原子、好ましくは1〜6の炭素原子を有する置換もしくは非置換のヒドロカルビル基、好ましくは置換もしくは非置換のC〜C直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルであり、しかしながらただし、少なくとも3のR基は水素でなく(あるいは4のR基は水素でなく、あるいは5のR基は水素でなく);
各Rは、独立に、水素、または置換もしくは非置換のヒドロカルビル基、ヘテロ原子もしくはヘテロ原子含有基、好ましくは1〜20の炭素原子、好ましくは1〜8の炭素原子を有する置換もしくは非置換のヒドロカルビル基、好ましくは置換もしくは非置換のC〜C直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、置換フェニル(たとえば、プロピルフェニル)、フェニル、シリル、置換シリル(たとえば、CHSiR'、この式でR'はC〜C12ヒドロカルビル、たとえばメチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル)であり、
は、水素、またはC〜Cアルキル基、好ましくはC〜C直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルもしくはオクチルであり;
は、水素、またはC〜Cアルキル基、好ましくはC〜C直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルもしくはオクチルであり;
各Rは、独立に、水素、またはC〜Cアルキル基、好ましくはC〜C直鎖アルキル基、好ましくはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチルもしくはオクチルであり、しかしながらただし、少なくとも7のR基は水素でなく、あるいは少なくとも8のR基は水素でなく、あるいはすべてのR基は水素でなく(好ましくは、式IVの各Cp環上の3および4の位置にあるR基は水素でなく);
Nは窒素であり;
Tは架橋であり、好ましくはSiまたはGe、好ましくはSiであり;
各Rは、独立に、水素、ハロゲンまたはC1〜C20ヒドロカルビル、たとえばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、フェニル、ベンジル、置換フェニルであり、かつ2のRは環式構造を形成することができ、たとえば芳香族、部分的飽和もしくは飽和の環式または縮合の環系であり;
さらに、任意の2の隣接するR基は、環が芳香族、部分的飽和もしくは飽和であってもよい縮合環または多中心縮合環系を形成することができることが条件とされる、第一の工程である均一プロセス、ならびに
2)該第一の工程で製造されたホモオリゴマーをヘテロ原子含有基と接触させる工程を含む第二の工程である官能化プロセス
を含む、上記の均一プロセス。
19.活性化剤が1以上の非配位性アニオンを含む、段落17または18に記載のプロセス。
20.触媒系が、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(1,3−ジメチルインデニル)ハフニウムジメチルおよび(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(1,3−ジメチルインデニル)ハフニウムジクロライドのうちの1以上を含む、段落17、18および19のいずれか1段落に記載のプロセス。
21.触媒系が、
(1,3−ジメチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1,3,4,7−テトラメチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1,3−ジメチルインデニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1,3−ジエチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1,3−ジプロピルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1−メチル,3−プロピルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1,3−ジメチルインデニル)(テトラメチルプロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1,2,3−トリメチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1,3−ジメチルベンズインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(2,7−ビスt−ブチルフルオレニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(9−メチルフルオレニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(2,7,9−トリメチルフルオレニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
μ−ジヒドロシリルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
μ−ジメチルシリル(テトラメチルシクペンタジエニル)(3−プロピルトリメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
μ−ジシクロプロピルシリル(ビステトラメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1,3−ジメチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジハライド、
(1,3,4,7−テトラメチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジハライド、
(1,3−ジメチルインデニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジハライド、
(1,3−ジエチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジハライド、
(1,3−ジプロピルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジハライド、
(1−メチル,3−プロピルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジハライド、
(1,3−ジメチルインデニル)(テトラメチルプロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムジハライド、
(1,2,3−トリメチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジハライド、
(1,3−ジメチルベンズインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジハライド、
(2,7−ビスt−ブチルフルオレニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジハライド、
(9−メチルフルオレニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジハライド、
(2,7,9−トリメチルフルオレニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジハライド、
μ−ジヒドロシリル−ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジハライド、
μ−ジヒドロシリル(ビステトラメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
μ−ジジハライドシリル(テトラメチルシクペンタジエニル)(3−プロピルトリメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジハライド、および
μ−ジシクロプロピルシリル(ビステトラメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジハライド
のうちの1以上を含む、段落17または19に記載のプロセス。
22.触媒系が、
(1,3−ジメチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1,3,4,7−テトラメチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1,3−ジエチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1,3−ジプロピルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1−メチル,3−プロピルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1,2,3−トリメチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1,3−ジメチルベンズインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(2,7−ビスt−ブチルフルオレニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(9−メチルフルオレニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(2,7,9−トリメチルフルオレニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1,3−ジメチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジハライド、
(1,3,4,7−テトラメチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジハライド、
(1,3−ジエチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジハライド、
(1,3−ジプロピルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジハライド、
(1−メチル,3−プロピルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジハライド、
(1,2,3−トリメチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジハライド、
(1,3−ジメチルベンズインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジハライド、
(2,7−ビスt−ブチルフルオレニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジハライド、
(9−メチルフルオレニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジハライド、および
(2,7,9−トリメチルフルオレニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジハライド
のうちの1以上を含む、段落18または19に記載のプロセス。
23.プロセスが、アリル鎖末端基から官能基への少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の転化率を有する、段落17〜22のいずれか1段落に記載のプロセス。
24.プロセスが溶液プロセスである、段落17〜23のいずれか1項に記載のプロセス。
25.ヘテロ原子含有基が、P、O、S、N、Br、Cl、F、Iおよび/またはBからなる群から選択された1以上のヘテロ原子を含む、段落17〜24のいずれか1段落に記載のプロセス。
26.F+VI+VE≧(0.80(VI+VE))であり、この式でVIは未官能化オリゴマーについてのビニル基の数/1000炭素であり、VEは未官能化オリゴマーについてのビニリデン基の数/1000炭素であり、VIは官能化オリゴマーについてのビニル基の数/1000炭素であり、VEは官能化オリゴマーについてのビニリデン基の数/1000炭素であり、およびFは1000炭素当たりの官能基の数である、段落17〜25のいずれか1段落に記載のプロセス。
【0135】
好まれる実施態様では、本明細書(特に、段落1〜26)に記載されたホモオリゴマーは、1500〜11,000g/モルのMn、および45〜98%、あるいは50〜95%、あるいは60〜90%の範囲にあるメソダイアッド含有量を有する1以上のプロピレンホモオリゴマーであり、好ましくは該ホモオリゴマーは145℃まで、あるいは50〜145℃、あるいは80〜140℃のTmを有する。他の実施態様では、本明細書(特に、上記の段落1〜26)に記載されたホモオリゴマーは、1500〜11,000g/モルのMn、および1:1以下のメソダイアッドとラセミダイアッドとの比を有する1以上のプロピレンホモオリゴマーである。
【0136】
メソおよびラセミダイアッド含有量(および他のプロピレンミクロ構造物)は、米国特許出願公開第2008/0045638号の38ページ、段落[0613]〜[0615]に記載された手順に従って13C NMRによって測定される。
【0137】
他の実施態様では、本明細書(特に、上記の段落1〜26)に記載されたオリゴマーは、1)50%以上のメソダイアッド含有量および約2500g/モルのMnを有するプロピレンホモオリゴマー、2)約5000g/モルのMnおよび50%のメソダイアッド含有量を有するプロピレンホモオリゴマー、3)約10,000g/モルのMnおよび50%のメソダイアッド含有量のアイソタクチシティーを有するプロピレンホモオリゴマー、4)約1000g/モルのMnおよび1.2:1〜0.8:1.0のメソダイアッドとラセミダイアッドとの比を有するプロピレンホモオリゴマー、ならびに5)約2000g/モルのMnおよび1.2:1〜0.8:1.0のメソダイアッドとラセミダイアッドとの比を有するプロピレンホモオリゴマーのうちの1以上のものである。
【0138】
好まれる実施態様では、本明細書(特に、上記の段落1〜26)に記載されたコオリゴマーは、1500〜11,000g/モルのMn、および45〜98%、あるいは50〜95%、あるいは60〜90%の範囲にあるメソダイアッド含有量を有する1以上のプロピレンコオリゴマーであり、好ましくは該コオリゴマーは145℃まで、あるいは50〜145℃、あるいは80〜140℃のTmを有する。
実施例
【0139】
上述の検討が、以下の非限定的な実施例を参照してさらに説明されることができる。
生成物の特性解析
【0140】
生成物がH−NMRおよび13C−NMRによって以下のように特性解析された。
13C NMR
【0141】
13C NMRデータは、少なくとも400MHzの水素周波数を用いるVarian分光光度計を使用して10mmの測定管中で120℃で収集された。90度パルス、0.1〜0.12Hzのデジタル分解能を与えるように調整されたデータ収集時間、ゲーティングをしない掃引矩形波変調を用いる連続広帯域プロトンデカップリングによる少なくとも10秒間のパルス収集遅延時間が、全収集時間の間使用された。関心の対象であるシグナルを測定するのに適当なシグナル/ノイズ比を与える時間平均を用いて、スペクトルは取得された。サンプルはテトラクロロエタン−d中に10〜15重量%の濃度で溶解され、それから分光光度計磁石中に挿入された。
【0142】
データ解析の前に、nが6超〜29.9ppmである(−CH−)の化学シフトを設定することによって、それを参照としてスペクトルは解析された。
【0143】
定量する鎖末端基は、以下の表に示されたシグナルを用いて同定された。n−ブチルおよびn−プロピルは、以下の表に示された鎖末端基と比較してその低い存在度(5%未満)の故に報告されなかった。

H NMR
【0144】
H NMRデータは、少なくとも500MHzの水素周波数を用いるVarian分光計を使用して5mmの測定管中で室温か、あるいは120℃で(特許請求の目的のためには120℃が用いられなければならない。)収集された。45°の最大パルス幅、パルス間隔8秒間およびシグナル平均化120トランジエントを用いて、データが記録された。スペクトルシグナルが積算され、1000炭素当たりの各不飽和基タイプの数量が、各異なる基に1000を掛けその結果を炭素の全数で割ることによって計算された。
【0145】
各オレフィンタイプについての化学シフト領域は、以下のスペクトル領域であると定義される。

【0146】
H NMRによって生成物中に認められたオレフィン不飽和基の数が表3にまとめられている。この表には、1鎖当たり1不飽和基、および重合度、すなわち1鎖当たりのプロピレン単位の平均数を仮定して計算された数平均分子量とともに全不飽和基に占めるパーセントとしてのビニル基数も示されている。プロピレンオリゴマー生成物の場合、ビニル基%は約0(比較例AおよびBの触媒)から約98%(F)という高い値までの範囲にある。活性化剤にかかわらず、より低度に立体障害されたA、B触媒(比較例)は有意のビニル基数を生成せず、メタロセンD、GおよびHも低いアリル性ビニル含有量(10〜42%)を持つ生成物を生成する。Eの場合、活性化剤は連鎖停止経路に影響を与えるようである。Fの実験の場合、活性化剤1および4を用いて双方で高いアリル性ビニル基数が得られた。もっとも、アリル性ビニル基数は重合温度の上昇とともにやや減少した。温度は、Eについてのビニル基%にある役割を果たしたが、Fについてはそれよりも小さかった。影響が観察される場合、それは架橋されたキラルなメタロセンを用いることとは逆の方向であった。
【0147】
ガラス転移温度(Tg)は上記のようにGPCによって測定された。粘度はBrookfield粘度計を用いて35℃で測定された。屈折率は589nmのNa線を用いて25℃で測定された。
物質
【0148】
以下のメタロセンが用いられた。
A=ビス(1−メチル,3−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、
B=ジメチルシリルビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジメチル、
C=ジメチルシリルビス(インデニル)ハフニウムジメチル、
D=(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1,3−ジメチルインデニル)ジルコニウムジメチル、
E=(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1,3−ジメチルインデニル)ハフニウムジメチル、
F=(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(1,3−ジメチルインデニル)ハフニウムジメチル、
G=(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1−イソプロピルインデニル)ハフニウムジメチル、
H=(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1−イソプロピル,3−n−プロピルインデニル)ハフニウムジメチル、および
J=ジメチルシリルビス(2−メチル,4−フェニルインデニル)ジルコニウムジメチル。
【0149】
いくつかのイオン性活性化剤および1の担持されたイオン性活性化剤が、メタロセンを活性化するために用いられた。用いられた活性化剤は、
1=ジメチルアニリニウムパーフルオロテトラフェニルボレート、
2=4−t−ブチルアニリニウムビス(ペンタフルオロフェニル)ビス(パーフルオロ−2−ナフチル)ボレート、
3=4−t−ブチルアニリニウム(ペンタフルオロフェニル)トリス(パーフルオロ−2−ナフチル)ボレート、
4=ジメチルアニリニウムテトラキス(パーフルオロ−2−ナフチル)ボレート、
5=ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5(ペンタフルオロフェニル)パーフルオロフェニルボレート)、および
6=トリス−パーフルオロフェニルホウ素
であった。
【0150】
触媒化合物の合成:空気に敏感な化合物の合成のための典型的なドライボックス手順が追行された。溶媒はAldrich社から購入され、シーブ2A上で乾燥された。インデンはAldrich社から購入され、ペンタメチルシクロペンタジエンはNorquay社から購入された。メタロセンA、BおよびCはBoulder Scientific社またはAlbemarle社から購入された。活性化剤はAlbemarle社またはGrace Davisonから購入された。
触媒F:(CpMe)(1,3−Me)HFMe
【0151】
29gのインデン(0.25モル)に1等量のn−BuLi(10M、ヘキサン)をゆっくりと添加する反応によって、LiCがEtO(−35℃)中で生成された。LiCは、そのエーテル溶液を濃縮し、ヘキサンを加え、そして中孔径焼結ガラスフィルター上でろ過することによって単離された。生成物は追加のヘキサン(2×40mL)で洗われた。LiCはEtO中に溶解され、−35℃まで冷却され、そして過剰のMeI(0.375モル、47.6g)と反応された。2時間後、反応混合物は環境温度まで暖められた。1−MeCが、水系後処理およびエーテル抽出によって無色の液体として単離された。同様に、1,3−Meが、MeCのリチオ化、MeIによるメチル化および水系後処理によって合成された。[Li][1,3−Me]が、ヘキサン中の1,3−Meを過剰のnBuLi(1.1等量)と12時間反応することによって合成された。得られた白色固体がろ過され、追加のヘキサンで洗われ、そして真空乾燥されて、純粋な[Li][1,3−Me]、(14.5g)が得られた。H NMR(THF−d、300MHz)δppm;7.25〜7.10(m、C、2H)、6.45〜6.30(C、2H)、6.10(s、2−インデニルプロトン、1H)、2.35(s、1,3Me、6H)。
【0152】
CpMeHFCl(Crowther,D.、Baenziger,N.、Jordan,R.、J.Journal of the American Chemical Society、1991年、第113巻、第4号、p.1455〜1457)(10.4g)が、[Li][1,3−Me](3.7g、24.8ミリモル)とEtO(100ml)中で12時間反応された。黄色生成物が、焼結ガラスフィルター上でろ過することによって収集され、乾燥されて、LiClとの混合物として粗製(CpMe)(1,3−Me)HFCl(8.6g)が得られた。
【0153】
H NMR(CDCl、300MHz)δppm;7.58〜7.11(m、C)、6.17(s、2−インデニルプロトン)、2.32(s、1,3Me)、2.09(s、CpMe)。
【0154】
粗製(CpMe)(1,3−Me)HFCl(2.5g)がトルエン(100ml)中にスラリー化され、MeMgCl(4.2g、2.1等量、EtO中3.0M)と反応された。反応混合物は80℃まで3時間加熱された。冷却後、揮発分が真空除去されて固体が得られ、これはヘキサン(4×40mL)で抽出された。合体された抽出物からヘキサンが除かれて、純黄色の(CpMe)(1,3−Me)HFMe(1.6g)が得られた。 H NMR(C、300MHz)δppm;7.55〜7.48(m、C、2H)、7.20〜7.16(m、C、3H)、2.00(s、1,3Me、6H)、1.76(s、CpMe、15H)、−0.95(s、Hf−Me、6H)。
触媒D:(CpMe)(1,3−Me)ZrMe
【0155】
ZrCl(36g)がCHCl(200mL)中にスラリー化され、次にMeS(19.2g)と1時間反応された。この反応混合物にCpMeHSiMe(34g)がゆっくりと添加された。黄色固形が数時間後に沈降し始め、そしてろ過されて、薄黄色固形生成物(CpMeH)ZrCl(SMeの第一の収分21.3gが得られた。H NMR(CDCl、300MHz)δppm;6.05(s、CpMeH)、2.6(br s、MeS)、2.27(s、CpMe)、2.20(s、CpMe)。
【0156】
(CpMeH)ZrCl(15.0g)がEtO(250mL)中にスラリー化され、[Li][1,3−Me](7.5g)と16時間反応された。反応生成物が焼結ガラスフィルター上でろ過され、CHClで洗われ、そして真空乾燥された。すべての固形生成物(約22g)がEtO(200mL)中にスラリー化され、MeMgI(38g、EtO中3M)と反応された。4時間後にジメトキシエタン(6.8g)が添加され、そして反応混合物がろ過された。追加のEtOが固形残留物を抽出するために用いられた。ろ液が濃縮され、−35℃まで冷却された。灰色がかった白色の固形生成物がろ過され、そして真空乾燥された(14.8g)。(CpMe)(1,3−Me)ZrMe
【0157】
H NMR(CDCl、500MHz)δppm;7.35、7.05(m、C)、5.51(s、C)、4.83(s、CpMeH)、2.17(s、Me)、1.79、1.70(s、CpMeH)、−1.31(ZrMe)。
触媒E:(CpMe)(1,3−Me)HfMe
【0158】
HfCl(31g)がCHCl(200mL)中にスラリー化され、CpMeHSiMeと数時間ゆっくりと反応された。反応混合物がろ過され、濃縮により減量され、そしてヘキサン(80mL)が加えられた。ろ液が−35℃まで冷却された。灰色がかった白色の生成物が収集され、真空乾燥された。(CpMeH)HfCl(8.0g)がEtO(150mL)中に溶解され、[Li][1,3−Me](2.8g)と反応された。1時間後に揮発分が除かれ、粗製反応生成物がCHCl(2×60mL)で抽出された。ろ液が真空中で濃縮されて薄黄色の固形生成物(7.2g)となった。すべての(CpMe)(1,3−Me)HfCl(7.2g)がトルエン(200mL)中にスラリー化され、2等量のMeMgBr(EtO中3M)と反応された。反応混合物が90℃まで6時間加熱された。この混合物は室温まで冷却され、ジメトキシエタン(3ml)が加えられた。揮発分が除かれ、残留物がCHClで抽出され、そしてろ液が真空中で濃縮された。生成物が−35℃まで冷却された後収集された(2.85g)。(CpMe)(1,3−Me)HfMeH NMR(CDCl、500MHz)δppm;7.35、7.06(m、C)、5.50(s、C)、4.89(s、CpMeH)、2.18(s、Me)、1.79、1.76(s、CpMeH)、−1.49(HfMe)。
触媒H:(テトラメチルシクロペンタジエニル)(1−イソプロピル,3−プロピル−C)HfMe
【0159】
1−イソプロピル,3−プロピル−Cが、1−イソプロピルインデニルリチウムをEtO中で臭化プロピルと反応させることによって合成された。リチウム塩がEtO中BuLiから合成される。[Li][1−イソプロピル,3−プロピル−C](2.1g)がEtO(60mL)中に溶解され、(CpMeH)HfCl(4.0g)と反応された。MeMgI(2等量)が反応混合物に添加され、60mlのトルエンが添加され、そして反応系が90℃まで加熱された。2時間後に反応系が冷却され、揮発分が除かれ、そしてジメチル生成物がヘキサンで抽出された。生成物が琥珀色の油として得られた(3.8g)。H NMR(CDCl、300MHz)δppm;7.48(d)、他のダブレットは溶媒下に部分的に不明瞭であった。7.02(m)、5.53(s)、4.72(s)、3.25(p)、2.72(m)、2.31(m)、2.83、2.77、2.74、2.73(s)、1.22(d)、1.07(d)、−0.73(s、Hf−Me)、−1.29(s、Hf−Me)。
触媒G:(CpMe)(1−iC−C)HfMe
【0160】
1−イソプロピルインデニルリチウム(Bradleyら、OM、2004年、第23巻、p.5332)(2.0g)がEtO(100mL)中にスラリー化され、(CpMeH)HfCl(5.0g)と12時間反応された。固形生成物がろ過され、ヘキサン(3.7g)で洗われた。(CpMe)(1−iC−C)HfClH NMR(C、300MHz)δppm;7.55、7.41(d)、6.95(p)、6.22(d)、5.51(d)、4.95(s)、3.72(p)、1.93、1.92、1.83、1.64(s)、1.34、1.11(d)。
【0161】
ジクロライドはトルエン(50mL)中にスラリー化され、2等量のMeMgI(EtO中3M)と反応された。反応系が90℃まで2時間加熱され、それから冷却された。揮発分が除かれた。粗混合物がヘキサン(2×40mL)で抽出され、ろ過され、そしてろ液が真空中で濃縮されて固形生成物とされた(3.1g)。H NMR(C、300MHz)δppm;−0.52、−1.46(Hf−Me)。
【0162】
TEAL−SiO:600℃で焼成されたSiO、Davison 948 がヘキサン(30mL)中にスラリー化され、トリエチルアルミニウム(10mL、トルエン中1.9M)と12時間反応された。固体がろ過され、ヘキサン(2×20mL)で洗われた。真空乾燥された後の収率は10.75gのTEAL−SiOであった。
触媒I:
【0163】
TEAL−SiO(2.0g)がトルエン(30mL)中にスラリー化され、トリフェニルカルボニウムテトタキスパーフルオロフェニルボレート(142mg、Grace Davison社)と10分間反応された。メタロセンEが(56mg)がトルエン中の溶液(5mL)として該スラリーに添加され、12時間放置反応された。担持された触媒がろ過され、ヘキサンで洗われ、そして真空乾燥された。
触媒K:
【0164】
触媒Iと同様に、3.8gのTEAL−SiO、215mgのイオン性活性化剤および114gのメタロセンEが用いられたことを除いて、メタロセンEが上記のように担持された。
重合
【0165】
プロピレンオリゴマーの回分または連続重合が、2Lの攪拌オートクレーブ反応器を用いて本発明の検討のために表1に記載されたように実施された。乾燥窒素でパージされたVacuum Atmospheres社製ドライボックス中で、ほぼ等モル(典型的には1.00:1.05)の量のメタロセンおよび活性化剤を10mLのガラスバイアル中の4mLの乾燥トルエンに加えることによって、触媒溶液は調製された。混合物は数分間攪拌され、それから汚れていない、オーブンで乾燥された触媒管に移された。基本的な重合手順の例は以下の通りである。すなわち、ヘキサン中25重量%の捕捉剤としてのトリ−n−オクチル−アルミニウム(0.037gのAl)2mLおよび100mLのプロピレンが、反応器に加えられた。次に反応器が、選択された重合温度まで加熱され、触媒/活性化剤が触媒管から100mLのプロピレンとともに反応器中に流し込まれた。追加のプロピレンが任意的に1000mLまでの合計量で加えられた。ある場合には、水素もバラストタンクから加えられた(表2Aを参照せよ)。水素分圧は、反応の開始時に50psigという高さであった。重合は10〜60分間実施され、それから反応器は冷却され、降圧され、そして開放された。この時点で、収集された生成物は典型的にはいくらかの残留モノマーを含んでいた。生成物中の残留モノマー濃度は、最初に「風化(weathering)」によって低減された。多くの場合に、サンプルはオーブン中で窒素パージ下に、または短時間真空をかけられて加熱された。最も低い分子量のオリゴマー生成物の一部は、残留モノマーとともに失われることがある。ある場合には、残留モノマーは、30℃で記録されるH NMRスペクトルでは生成物中に依然として検出される(が、スペクトルが120℃で記録されると検出されない)。以下の表において、Pオリゴはプロピレンオリゴマーを意味し、EPはプロピレン−エチレンオリゴマーを意味し、Tpは重合温度を意味し、P時間は重合時間を意味し、Catは触媒を意味し、Actは活性化剤を意味し、DPは重合度を意味する。
【表1】



【0166】
2Lの攪拌オートクレーブ反応器を用いて本発明の検討のために実施されたプロピレン−エチレンコオリゴマー化は、表2に記載されている。乾燥窒素でパージされたVacuum Atmospheres社製ドライボックス中で、ほぼ等モル(典型的には1.00:1.05)の量のメタロセンおよび活性化剤を10mLのガラスバイアル中の4mLの乾燥トルエンに加えることによって、触媒溶液は調製された。混合物は数分間攪拌され、それから汚れていない、オーブンで乾燥された触媒管に移された。基本的な重合手順の例は以下の通りである。すなわち、ヘキサン中25重量%の捕捉剤としてのトリ−n−オクチル−アルミニウム2mLおよび300mLのプロピレンが、反応器に加えられた。次に反応器が適当な重合温度まで加熱され、触媒/活性化剤が触媒管から追加の300mLのプロピレンとともに反応器中に流し込まれた。エチレンが次に5psi未満から220psiまでの分圧で反応全体を通して連続的に加えられた。所定の反応時間後に、反応器は冷却され、降圧され、そして開放された。この時点で、収集された生成物は典型的にはいくらかの残留モノマーを含んでいた。生成物中の残留モノマー濃度は、最初に「風化」によって低減された。多くの場合に、サンプルはオーブン中で窒素パージ下に、または短時間真空をかけられて加熱された。最も低い分子量のオリゴマー生成物の一部は、残留モノマーとともに失われることがある。触媒の生産性は、[非特文10]によって報告された生産性よりも28〜678倍高いことに注目せよ。
【表2】

【表2A】

【表3】



【表3A】

【表4】

【0167】
実施例35および52〜61は、上記のように13C−NMRによって特性解析され、次に[非特文10]におけるデータと比較された。
【表5】

【表6】

【0168】
飽和鎖末端のミクロ構造の解析は、52モル%までのエチレンを含むポリマーにおいてさえ、成長鎖および/または入ってくるモノマーが関与するβ−メチル脱離または移動に続いてプロピレンがほとんど常に最初に挿入されるモノマーであるという驚くべき結果を示す。
比較例
【0169】
活性化剤7はトリフェニルカルボニウムパーフルオロテトラフェニルボレートであり、活性化剤8はジメチルアニリニウムパーフルオロテトラナフチルボレートである。
【0170】
触媒Jならびに活性化剤1、7および8を用いる重合が、以下に記載される反応器中で70〜130℃の範囲にある温度で実施される。入口プロピレンフィード濃度は3.5〜4Mである。滞留時間はすべての実験について5分間である。トリ(n−オクチル)アルミニウム(TNOAL)が、捕捉剤として全体を通して使用される。TNOALとメタロセンとのモル比は約20である。重合は、液密の単一段階連続反応器中で混合メタロセン触媒系を用いて実施される。反応器は、0.5リットルのステンレス鋼製オートクレーブ反応器であり、攪拌機、温度調節器付き水冷却/スチーム加熱要素および圧力調節器を備えている。溶媒、プロピレンおよび存在するならばコモノマー(たとえば、ブテンおよびヘキセン)が、最初に3カラム精製装置を通すことによって精製される。精製装置はOxiclearカラム(Labclear社からのモデル#RGP−R1−500)ならびにそれに続くモレキュラーシーブ5Aおよび3Aカラムからなる。より低活性の重合の兆候があるときはいつでも、精製カラムが一定期間ごとに再生された。モレキュラーシーブ3Aおよび5Aカラムの双方が、自社内で窒素下にそれぞれ260℃および315℃の設定温度で再生された。モレキュラーシーブ物質はAldrich社から購入された。Oxiclearカラムは、原製造所において再生された。自社供給される精製エチレンは、マニホールド中に供給され、それからBrookfield質量流量調節器を通して反応器に供給される。エチレンは、冷却された溶媒/モノマー混合物中に溶解されたガスとして供給される。精製された溶媒およびモノマーは次に、冷却器を通すことによって約−15℃まで冷却され、それからマニホールドを通して反応器中に供給される。溶媒およびモノマーはマニホールド中で混合され、そして単一管を通して反応器中に供給される。すべての液体流量は、Brookfield質量流量計またはMicro−Motion社コリオリ式流量形を用いて測定される。重合条件、供給原料の転化率%、触媒の生産性および特性解析データが、以下の表7および図3に示される。
【表7】

官能化
実施例A
【0171】
別々の実験において、上記の実施例において調製された(コ)オリゴマーのそれぞれおよび粉砕された無水マレイン酸が、1.6モルの無水マレイン酸と1モルの(コ)ポリマーとの比で乾燥窒素下および大気圧で、攪拌機および熱電対を備え電熱マントルによって加熱された100mlの耐圧反応器に投入される。反応混合物は70℃まで加熱され、その後反応器は、液状反応混合物中に乾燥窒素を15分間バブリングすることによって穏やかにパージされる。パージがそれから停止され、反応器はシールされる。反応器温度はそれから220℃の温度まで上げられ、攪拌しながらその温度に6時間保たれる。それから反応混合物を約60℃まで冷却することによって、反応は停止され、その後液状混合物がガラスビーカーに移される。未反応無水マレイン酸は、該液体中に乾燥窒素ガスを140℃で通すことによってストリッピング除去される。各実験においてこのように調製された液状生成物は、コハク酸で官能化された(コ)ポリマーを含むと予想される。
実施例B
【0172】
別の実験において、実施例Aで調製された液状生成物を用いて、分散剤基材が調製される。無水コハク酸で置換されたポリマーが等重量のミネラルオイル(S150NL)中に溶解される。このポリマー溶液にテトラエチレンペンタミン(TEPA)が添加され、混合物が窒素下に攪拌しながら140℃まで約2〜4時間加熱される。投入されたTEPAに対するコハク酸の等量を単位とする、全ポリマーとポリアミンとのモル比は2:1である。
実施例C:マンニッヒ塩基分散剤添加剤の調製
フェノールのアルキル化
【0173】
別の実験において、上記の実施例で調製された(コ)ポリマーのそれぞれの約50グラムが、100mlのクロロベンゼン中に溶解され、300mlのクロロベンゼン中約10グラムのフェノールを含有する溶液に添加される。窒素下に室温で攪拌しながら、0.5gのBFガスがこの仕込まれた溶液中にバブリングされ、温度が約1時間50℃まで上げられながら、この反応混合物が攪拌される。反応混合物はそれからガス状アンモニアで中性のpHが得られるまで中和される。この溶液はろ過され、ろ液が150℃まで加熱されて、溶媒および過剰のフェノールが留去される。
マンニッヒ塩基縮合反応
【0174】
500mlの丸底反応フラスコに25グラムのミネラルオイルS150NLが投入され、その中に調製されたばかりの、(コ)ポリマーで置換されたフェノール25グラムが溶解される。次に0.61gの1,6−ヘキサンジアミンおよび0.35gのホルムアルデヒドが窒素下30℃でフラスコに加えられる。混合物が115℃まで加熱され、その温度に1時間保たれ、その後反応混合物の温度が130℃まで上げられ、その温度に45分間保たれ、この間ずっと反応フラスコに乾燥窒素ガスが流される。ストリッピングされた反応混合物は次に室温まで冷却され、100mlのヘプタンで希釈され、そしてろ過される。ろ液が次に130℃において乾燥窒素ガスでストリッピングされて、ヘプタンが除かれる。
[実施例9]
実施例C:酸化された(コ)ポリマー
【0175】
別の実験において、ガス入口および出口管、温度計ならびに撹拌機を備えた1500mlのガラス反応器に上記の実施例で調製された800グラムの(コ)ポリマーが投入される。(コ)ポリマーを撹拌しながら、温度が200℃まで上げられる。入口管を介して乾燥空気が、(コ)ポリマー中に6時間バブリングされ、その間ずっと温度が200℃に保たれる。6時間が終わったところで空気流が停止され、反応器を室温まで冷却しながら窒素が(コ)ポリマー中にバブリングされる。
酸化されたEBコポリマーからの窒素含有分散剤の調製
【0176】
上記で調製された酸化された(コ)ポリマー生成物を用いて窒素含有分散剤基材が調製される。酸化された(コ)ポリマーは、等重量のミネラルオイルS150NL中に溶解される。このポリマー溶液にテトラエチレンペンタミン(TEPA)が添加され、窒素下に2〜4時間撹拌しながら混合物が140℃まで加熱される。投入されたTEPAに対する酸化されたEBコポリマー中のカルボキシル基の等量を単位とする、全ポリマーとポリアミンとのモル比は2:1である。
【0177】
本明細書に記載されたすべての文献は、いかなる優先権書類もおよび/または試験手順書も含めて、本明細書の本文と矛盾しない程度において、参照によって本明細書に取り込まれる。上述の一般的記載および特定の実施態様から明らかなように、本発明の形態が図解され記載されてきたけれども、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、様々な変形がなされることができる。したがって、本発明がそれらによって限定されることは意図されていない。同様に、豪州国法の目的のためには「含む(comprising)」の語は「包含する(including)」の語と同義であるとみなされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)ヘテロ原子含有基と、2)(H−NMRによって測定された)300〜30,000g/モルのMnを有し、10〜90モル%のプロピレンおよび10〜90モル%のエチレンを含むコオリゴマーと、の反応生成物を含む官能化コオリゴマーであって、該オリゴマーが官能化前に(全不飽和基当たり)少なくともX%のアリル鎖末端基を有し、ここで、1)10〜60モル%のエチレンが該コオリゴマー中に存在するときはX=(−0.94(取り込まれたエチレンのモル%)+100)であり、2)60超〜70モル%未満のエチレンが該コオリゴマー中に存在するときはX=45であり、3)70〜90モル%のエチレンが該コオリゴマー中に存在するときはX=(1.83*(取り込まれたエチレンのモル%)−83)であり、該ヘテロ原子含有基がP、O、S、N、Br、Cl、F、Iおよび/またはBからなる群から選択された1以上のヘテロ原子を含み、ならびに該官能化コオリゴマーが1鎖当たり0.75〜1.10の官能基を有する、官能化コオリゴマー。
【請求項2】
コオリゴマーが官能化前に(全不飽和基当たり)90%超のアリル鎖末端基を有する、請求項1の官能化コオリゴマー。
【請求項3】
コオリゴマーが、15〜95重量%のエチレンを含み、かつ官能化前に(全不飽和基当たり)80%超のアリル鎖末端基を有する、請求項1の官能化コオリゴマー。
【請求項4】
コオリゴマーが、30〜95重量%のエチレンを含み、かつ官能化前に(全不飽和基当たり)70%超のアリル鎖末端基を有する、請求項1の官能化コオリゴマー。
【請求項5】
コオリゴマーが、30〜95重量%のエチレンを含み、かつ官能化前に(全不飽和基当たり)90%超のアリル鎖末端基を有する、請求項1の官能化コオリゴマー。
【請求項6】
F+VI+VE≧(0.50(VI+VE))であり、この式でVIは未官能化オリゴマーについてのビニル基の数/1000炭素であり、VEは未官能化オリゴマーについてのビニリデン基の数/1000炭素であり、VIは官能化オリゴマーについてのビニル基の数/1000炭素であり、VEは官能化オリゴマーについてのビニリデン基の数/1000炭素であり、およびFは1000炭素当たりの官能基の数である、請求項1に記載の官能化コオリゴマー。
【請求項7】
官能化コオリゴマーが、約500〜約7,500g/モルのMn、1,000〜約20,000g/モルのMw、および約1400〜約150,000g/モルのMzを有する、請求項1に記載の官能化コオリゴマー。
【請求項8】
1)ヘテロ原子含有基と、2)90モル%超のプロピレンおよび10モル%未満のエチレンを含むオリゴマーと、の反応生成物を含む官能化プロピレンオリゴマーであって、該オリゴマーが、少なくとも93%のアリル鎖末端基、約500〜約20,000g/モルの数平均分子量(Mn)、0.8:1〜1.35:1.0のイソブチル鎖末端基とアリル性ビニル基との比および100ppm未満のアルミニウムを有し、該ヘテロ原子含有基がP、O、S、N、Br、Cl、F、Iおよび/またはBからなる群から選択された1以上のヘテロ原子を含み、ならびに該官能化されたオリゴマーが1鎖当たり0.75〜1.10の官能基を有する、官能化プロピレンオリゴマー。
【請求項9】
1)ヘテロ原子含有基と、2)少なくとも50モル%のプロピレンおよび10〜50モル%のエチレンを含むオリゴマーと、の反応生成物を含む官能化プロピレンオリゴマーであって、該オリゴマーが、少なくとも90%のアリル鎖末端基、約150〜約10,000g/モルのMn、0.8:1〜1.2:1.0のイソブチル鎖末端基とアリル性ビニル基との比を有し、4以上の炭素原子を有するモノマーが0〜3モル%で存在し、該ヘテロ原子含有基がP、O、S、N、Br、Cl、F、Iおよび/またはBからなる群から選択された1以上のヘテロ原子を含み、ならびに該官能化コオリゴマーが1鎖当たり0.75〜1.10の官能基を有する、官能化プロピレンオリゴマー。
【請求項10】
1)官能基と、2)少なくとも50モル%のプロピレン、0.1〜45モル%のエチレンおよび0.1〜5モル%のC〜C12オレフィンを含むオリゴマーと、の反応生成物を含む官能化プロピレンオリゴマーであって、該オリゴマーが、少なくとも90%のアリル鎖末端基、約150〜約10,000g/モルのMnおよび0.8:1〜1.35:1.0のイソブチル鎖末端基とアリル性ビニル基との比を有し、該ヘテロ原子含有基がP、O、S、N、Br、Cl、F、Iおよび/またはBからなる群から選択された1以上のヘテロ原子を含み、ならびに該官能化コオリゴマーが1鎖当たり0.75〜1.10の官能基を有する、官能化プロピレンオリゴマー。
【請求項11】
1)ヘテロ原子含有基と、2)少なくとも50モル%のプロピレン、0.1〜45重量%のエチレンおよび0.1〜5モル%のジエンを含むオリゴマーと、の反応生成物を含む官能化プロピレンオリゴマーであって、該オリゴマーが、少なくとも90%のアリル鎖末端基、約150〜約10,000g/モルのMnおよび0.7:1〜1.35:1.0のイソブチル鎖末端基とアリル性ビニル基との比を有し、該ヘテロ原子含有基がP、O、S、N、Br、Cl、F、Iおよび/またはBからなる群から選択された1以上のヘテロ原子を含み、ならびに該官能化コオリゴマーが1鎖当たり0.75〜1.10の官能基を有する、官能化プロピレンオリゴマー。
【請求項12】
1)ヘテロ原子含有基と、2)プロピレンのホモリゴマーと、の反応生成物を含む官能化ホモオリゴマーであって、該オリゴマーが、少なくとも93%のアリル鎖末端基、約500〜約20,000g/モルのMnおよび0.8:1〜1.2:1.0のイソブチル鎖末端基とアリル性ビニル基との比および1400ppm未満のアルミニウムを有し、該ヘテロ原子含有基がP、O、S、N、Br、Cl、F、Iおよび/またはBからなる群から選択された1以上のヘテロ原子を含み、ならびに該官能化ホモオリゴマーが1鎖当たり0.75〜1.10の官能基を有する、官能化ホモオリゴマー。
【請求項13】
F+VI+VE≧(0.80(VI+VE))であり、この式でVIは未官能化オリゴマーについてのビニル基の数/1000炭素であり、VEは未官能化オリゴマーについてのビニリデン基の数/1000炭素であり、VIは官能化オリゴマーについてのビニル基の数/1000炭素であり、VEは官能化オリゴマーについてのビニリデン基の数/1000炭素であり、およびFは1000炭素当たりの官能基の数である、請求項1に記載の官能化コオリゴマー。
【請求項14】
オリゴマーが25℃において液体である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の官能化オリゴマー。
【請求項15】
ヘテロ原子含有基が、スルホネート、アミン、アルデヒド、アルコールまたは酸を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の官能化オリゴマー。
【請求項16】
ヘテロ原子含有基が、エポキシド、コハク酸、マレイン酸またはマレイン酸無水物を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の官能化オリゴマー。
【請求項17】
ヘテロ原子含有基が、酸、エステル、酸無水物、酸−エステル、オキシカルボニル、カルボニル、ホルミル、ホルミルカルボニル、ヒドロキシルおよびアセチルハライドを含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の官能化オリゴマー。
【請求項18】
官能化オリゴマーが、出発(コ)オリゴマーのMnよりも15%まで大きい、請求項1〜17のいずれか1項に記載の官能化オリゴマー。
【請求項19】
F+VI+VE≧(0.85(VI+VE))であり、この式でVIは未官能化オリゴマーについてのビニル基の数/1000炭素であり、VEは未官能化オリゴマーについてのビニリデン基の数/1000炭素であり、VIは官能化オリゴマーについてのビニル基の数/1000炭素であり、VEは官能化オリゴマーについてのビニリデン基の数/1000炭素であり、およびFは1000炭素当たりの官能基の数である、請求項1〜17のいずれか1項に記載の官能化オリゴマー。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の官能化コオリゴマーをつくる均一方法において、該方法が、
1)プロピレンコオリゴマーをつくる第一の工程である均一方法であって、当該第一の方法が少なくとも4500g/ミリモル/時の生産性を有し、該第一の方法が、35℃〜150℃の温度で、プロピレン、0.1〜70モル%のエチレンおよび0〜約5重量%の水素を、活性化剤および式10の少なくとも1によって表される少なくとも1のメタロセン化合物を含む触媒系の存在下に接触させる工程を含み、
[式10]

式10で、
Hfはハフニウムであり、
各Xは、独立に、1〜20の炭素原子を有するヒドロカルビル基、ヒドリド、アミド、アルコキシド、スルフィド、ホスフィド、ハロゲン、ジエン、アミン、ホスフィン、エーテルおよびこれらの組み合わせからなる群から選択され(2のXは縮合環または環系の一部を形成してもよく);
各Qは、独立に炭素またはヘテロ原子であり;
各Rは、独立に、C〜Cアルキル基であり、RはRと同じまたは異なってもよく;
各Rは、独立に、C〜Cアルキル基であり;
各Rは、独立に、水素、または1〜8の炭素原子を有する置換もしくは非置換のヒドロカルビル基であり、しかしながらただし、少なくとも3のR基は水素でなく;
各Rは、独立に、水素、または置換もしくは非置換のヒドロカルビル基、ヘテロ原子もしくはヘテロ原子含有基であり、
は、水素、またはC〜Cアルキル基であり;
は、水素、またはC〜Cアルキル基であり;
各Rは、独立に、水素、またはC〜Cアルキル基であり、しかしながらただし、少なくとも7のR基は水素でなく;
Nは窒素であり;
Tは架橋であり;
各Rは、独立に、水素、ハロゲンまたはC1〜C20ヒドロカルビルであり、かつ2のRは環式構造を形成することができ、たとえば芳香族、部分的飽和もしくは飽和の環式または縮合の環系であり;
さらに、任意の2の隣接するR基は、環が芳香族、部分的飽和もしくは飽和であってもよい縮合環または多中心縮合環系を形成することができることが条件とされる、第一の工程である均一方法、ならびに
2)第一の工程で製造されたコオリゴマーをヘテロ原子含有基と接触させる工程を含む第二の工程である官能化方法
を含む、上記の均一方法。
【請求項21】
官能化ホモオリゴマーをつくる均一方法において、該方法が、
1)プロピレンホモオリゴマーをつくる第一の均一方法であって、当該第一の方法が少なくとも4500g/ミリモル/時の生産性を有し、該第一の方法が、
30℃〜120℃の温度で、プロピレン、0モル%のコノマーおよび0〜約5重量%の水素を、活性化剤および式11によって表される少なくとも1のメタロセン化合物を含む触媒系の存在下に接触させる工程を含み、
[式11]

式11で、
Hfはハフニウムであり、
各Xは、独立に、1〜20の炭素原子を有するヒドロカルビル基、ヒドリド、アミド、アルコキシド、スルフィド、ホスフィド、ハロゲン、ジエン、アミン、ホスフィン、エーテルおよびこれらの組み合わせからなる群から選択され(2のXは縮合環または環系の一部を形成してもよく);
各Qは、独立に炭素またはヘテロ原子であり;
各Rは、独立に、C〜Cアルキル基であり、RはRと同じまたは異なってもよく;
各Rは、独立に、C〜Cアルキル基であり、;
各Rは、独立に、水素、または1〜8の炭素原子を有する置換もしくは非置換のヒドロカルビル基であり、しかしながらただし、1)すべての5のR基はメチルであり、または2)4のR基は水素でなくかつ少なくとも1のR基はC〜Cの置換もしくは非置換のヒドロカルビル基であり;
各Rは、独立に、水素、または置換もしくは非置換のヒドロカルビル基、ヘテロ原子もしくはヘテロ原子含有基であり、
は、水素、またはC〜Cアルキル基であり;
は、水素、またはC〜Cアルキル基であり;
各Rは、独立に、水素、またはC〜Cアルキル基であり、しかしながらただし、少なくとも7のR基は水素でなく;
Nは窒素であり;
Tは架橋であり;
各Rは、独立に、水素、ハロゲンまたはC1〜C20ヒドロカルビルであり、かつ2のRは環式構造を形成することができ、たとえば芳香族、部分的飽和もしくは飽和の環式または縮合の環系であり;
さらに、任意の2の隣接するR基は、環が芳香族、部分的飽和もしくは飽和であってもよい縮合環または多中心縮合環系を形成することができることが条件とされる、第一の工程である均一方法、ならびに
2)第一の工程で製造されたホモオリゴマーをヘテロ原子含有基と接触させる工程を含む第二の工程である官能化方法
を含む、上記の均一方法。
【請求項22】
ヘテロ原子含有基がP、O、S、N、Br、Cl、F、Iおよび/またはBからなる群から選択された1以上のヘテロ原子を含む、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
活性化剤が1以上の非配位性アニオンを含む、請求項20〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
触媒系が、
(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(1,3−ジメチルインデニル)ハフニウムジメチル、
(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(1,3−ジメチルインデニル)ハフニウムジクロライド
(1,3−ジメチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1,3,4,7−テトラメチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1,3−ジメチルインデニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1,3−ジエチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1,3−ジプロピルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1−メチル,3−プロピルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1,3−ジメチルインデニル)(テトラメチルプロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1,2,3−トリメチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1,3−ジメチルベンズインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(2,7−ビスt−ブチルフルオレニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(9−メチルフルオレニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(2,7,9−トリメチルフルオレニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
μ−ジヒドロシリルビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
μ−ジメチルシリル(テトラメチルシクペンタジエニル)(3−プロピルトリメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
μ−ジシクロプロピルシリル(ビステトラメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
(1,3−ジメチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジハライド、
(1,3,4,7−テトラメチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジハライド、
(1,3−ジメチルインデニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジハライド、
(1,3−ジエチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジハライド、
(1,3−ジプロピルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジハライド、
(1−メチル,3−プロピルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジハライド、
(1,3−ジメチルインデニル)(テトラメチルプロピルシクロペンタジエニル)ハフニウムジハライド、
(1,2,3−トリメチルインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジハライド、
(1,3−ジメチルベンズインデニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジハライド、
(2,7−ビスt−ブチルフルオレニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジハライド、
(9−メチルフルオレニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジハライド、
(2,7,9−トリメチルフルオレニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジハライド、
μ−ジヒドロシリル−ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
μ−ジヒドロシリル(ビステトラメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、
μ−ジメチルシリル(テトラメチルシクペンタジエニル)(3−プロピルトリメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジハライド、および
μ−ジシクロプロピルシリル(ビステトラメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジハライド
のうちの1以上を含む、請求項20〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
F+VI+VE≧(0.80(VI+VE))であり、この式でVIは未官能化オリゴマーについてのビニル基の数/1000炭素であり、VEは未官能化オリゴマーについてのビニリデン基の数/1000炭素であり、VIは官能化オリゴマーについてのビニル基の数/1000炭素であり、VEは官能化オリゴマーについてのビニリデン基の数/1000炭素であり、およびFは1000炭素当たりの官能基の数である、請求項20〜24のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−524461(P2011−524461A)
【公表日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514823(P2011−514823)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【国際出願番号】PCT/US2009/047882
【国際公開番号】WO2009/155472
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】