説明

官能化ポリマー及びその製造方法

(i)配位触媒を用いてモノマーを重合して反応性ポリマーを形成する工程と、(ii)当該反応性ポリマーを、シリル化アミノ基を含んだカルボン酸エステル又はチオカルボン酸エステルと反応させる工程とを含む、官能化ポリマーの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2009年9月30日に出願された米国非仮出願第12570366号の優先権を主張し、米国非仮出願第12570366号を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
本発明の1以上の態様は、官能化ポリマー及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
タイヤ製造の技術分野においては、低減されたヒステリシスを示す、即ち、機械的エネルギーの熱への損失がより少ないゴム加硫物を用いることが望ましい。例えば、低減されたヒステリシスを示すゴム加硫物を、タイヤの構成部品、例えば、サイドウォール及びトレッド等に有利に用いて、望ましいことに、転がり抵抗が低いタイヤを生産する。ゴム加硫物のヒステリシスは、架橋ゴムの網目内の自由ポリマー鎖末端及び充填剤凝集物の解離が原因であることが多い。
【0004】
官能化ポリマーは、ゴム加硫物のヒステリシスを低減するために使用されてきた。官能化ポリマーの官能基は、充填剤粒子との相互作用によって自由ポリマー鎖末端の数を低減することができる。また、官能基は、充填剤の凝集を低減することができる。それにもかかわらず、ポリマーに付与された特定の官能基がヒステリシスを低減することができるかどうかは、予測できないことが多い。
【0005】
官能化ポリマーは、特定の官能化剤を用いた、反応性ポリマーのを重合後処理により調製することができる。しかしながら、反応性ポリマーを特定の官能化剤による処理で官能化できるかどうかは、予測できないことがある。例えば、あるタイプのポリマーに有効な官能化剤が別のタイプのポリマーに有効であるとは限らず、逆もまた同様である。
【0006】
ランタニド系の触媒系は、共役ジエンモノマーを重合して、シス−1,4結合の含量が高いポリジエンを形成するのに有用であることが知られている。得られるシス−1,4−ポリジエンは、重合完了時にいくつかのポリマー鎖が、特定の官能化剤と反応して官能化シス−1,4−ポリジエンを生成することができる反応性末端を有するという点で疑リビング特性を示すことがある。
【0007】
ランタニド系の触媒系を用いて製造したシス−1,4−ポリジエンは、典型的には直鎖状骨格を有するが、これはチタニウム系、コバルト系及びニッケル系の触媒系等の他の触媒系を用いて調製したシス−1,4−ポリジエンと比べ、より良好な引張特性、より高い耐摩耗性、より低いヒステリシス及びより良好な耐疲労性をもたらすと考えられている。従って、ランタニド系触媒を用いて作製したシス−1,4−ポリジエンは、タイヤ構成部品、例えば、サイドウォール及びトレッド等に用いるのに特に適している。しかしながら、ランタニド系触媒を用いて調製したシス−1,4−ポリジエンの1つの不利な点は、ポリマーが、その直鎖状骨格構造のために高いコールドフローを示すことである。高いコールドフローは、ポリマーの保管及び移送の間に問題を引き起こし、ゴム配合物の混合設備における自動供給装置の使用をも妨げる。
【0008】
官能化ポリマーは、特にタイヤの製造において有利であるため、ヒステリシスが低減され且つコールドフローが低減された新規な官能化ポリマーの開発の必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1以上の態様は、(i)配位触媒を用いてモノマーを重合して反応性ポリマーを形成する工程と、(ii)当該反応性ポリマーを、シリル化アミノ基を含んだカルボン酸エステル又はチオカルボン酸エステルと反応させる工程とを含む、官能化ポリマーの製造方法を提供する。
【0010】
本発明の他の態様は、(i)配位触媒を用いて共役ジエンモノマーを重合し、シス−1,4−結合の含有率が60%を超える反応性シス−1,4−ポリジエンを形成する工程と、(ii)当該反応性シス−1,4−ポリジエンを、シリル化アミノ基を含んだカルボン酸エステル又はチオカルボン酸エステルと反応させる工程とによって調製された官能化ポリマーを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】非官能化シス−1,4−ポリブタジエンと比較した、本発明の1以上の態様に従い調製した官能化シス−1,4−ポリブタジエンの、ムーニー粘度(100℃でのML 1+4)に対するコールドフローゲージ(8分でのmm)のプロット図である。
【図2】非官能基化シス−1,4−ポリブタジエンから調製した加硫物と比較した、本発明の1以上の態様に従い調製した官能化シス−1,4−ポリブタジエンから調製した加硫物の、ムーニー粘度(130℃でのML 1+4)に対するヒステリシスロス(tanδ)のプロット図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の1以上の態様に従うと、配位触媒を用いて共役ジエンモノマーを重合させることにより反応性ポリマーを調製し、次いで、この反応性ポリマーを、シリル化アミノ基を含んだカルボン酸エステル又はチオカルボン酸エステルとの反応によって官能化することができる。得られる官能化ポリマーは、タイヤの構成部品の製造に使用することができる。1以上の態様において、得られる官能化ポリマーは、シス−1,4−ポリジエンを含み、有利なコールドフロー耐性を示し、有利に低いヒステリシスを示すタイヤの構成部品を提供する。
【0013】
共役ジエンモノマーの例には、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン及び2,4−ヘキサジエンが含まれる。共重合には、2以上の共役ジエンの混合物が利用されてもよい。
【0014】
1以上の態様において、反応性ポリマーは配位重合により調製され、ここにおいてモノマーは、配位触媒系を使用して重合される。配位重合の主要な機構的特徴は、書籍(例えば、Kuran, W., Principles of Coordination Polymerization; John Wiley & Sons: New York, 2001)及び総説(例えば、Mulhaupt, R., Macromolecular Chemistry and Physics 2003, 第204巻, 第289−327頁)において議論されてきた。配位触媒は、成長性ポリマー鎖へのモノマーの挿入に先立ち、活性金属中心に対するモノマーの配位又は錯体形成に関与する機構によってモノマーの重合を開始すると考えられている。配位触媒の有利な特徴は、重合の立体化学的制御を提供し、それにより立体規則性重合体を生成する能力である。当該分野で知られているように、配位触媒を生成する数多くの方法があるが、全ての方法は、モノマーに配位し、活性金属中心と成長性ポリマー鎖との間の共有結合にモノマーを挿入することのできる活性な中間体を最終的に生成する。共役ジエンの配位重合は、中間体としてのπ−アリル錯体を介して進行すると考えられている。配位触媒は、1成分、2成分、3成分又は多成分系であってよい。1以上の態様において、配位触媒は、重金属化合物(例えば、遷移金属化合物又はランタニド含有化合物)と、アルキル化剤(例えば、有機アルミニウム化合物)と、任意に他の共触媒成分(例えば、ルイス酸又はルイス塩基)とを組み合わせることによって形成されてもよい。1以上の態様において、重金属化合物は、配位金属化合物と称されてもよい。
【0015】
配位触媒を調製するためには種々の手順が使用され得る。1以上の態様において、配位触媒は、段階的又は同時に、重合されるモノマーに対して触媒成分を別個に添加してその場で(in situ)形成してもよい。別の態様では、配位触媒を予め形成してもよい。即ち、触媒成分は、モノマーの非存在下又は少量のモノマーの存在下、重合系の外で予め混合される。得られた予形成触媒組成物を、必要に応じて熟成し、次いで、重合されるモノマーに添加する。
【0016】
有用な配位触媒系には、ランタニド系の触媒系が含まれる。これらの触媒系は、失活(quenching)の前に、反応性鎖末端を有し且つ擬リビングポリマーと呼ばれ得るシス−1,4−ポリジエンを有利に生成してもよい。他の配位触媒系が使用されてもよいが、ランタニド系触媒は特に有利であることが見出されており、従って、本発明の範囲を限定することなく、以下でより詳細に説明される。
【0017】
本発明の実施は、いずれかの特定のランタニド系触媒系の選択によっては必ずしも限定されない。1以上の態様において、使用される触媒系は、(a)ランタニド含有化合物、(b)アルキル化剤及び(c)ハロゲン供給源を含む。他の態様では、非配位アニオンを含んだ化合物又は非配位アニオン前駆体をハロゲン供給源の代わりに使用することができる。これら又は他の態様では、上記の含有物又は成分に加え、他の有機金属化合物、ルイス酸及び/又は触媒修飾剤が使用されてもよい。例えば、ある態様では、引用により本明細書に組み込まれる米国特許第6,699,813号で開示されるように、ニッケル含有化合物が分子量調節剤として使用されてもよい。
【0018】
上述の通り、本発明で使用される触媒系はランタニド含有化合物を含み得る。本発明において有用なランタニド含有化合物は、ランタン、ネオジム、セリウム、プラセオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム及びジジムのうちの少なくとも1つの原子を含んだ化合物である。ある態様では、これらの化合物は、ネオジウム、ランタン、サマリウム又はジジムを含んでいてもよい。本明細書で使用されるように、「ジジム」の語は、モナズ砂から得られる希土類元素の商業用混合物を示すものとする。さらに、本発明において有用なランタニド含有化合物は、元素ランタニドの形態であってもよい。
【0019】
ランタニド含有化合物におけるランタニド原子は、種々の酸化状態にあってよく、限定するものではないが、これには、0、+2、+3及び+4の酸化状態が含まれる。ある態様では、ランタニド原子が+3の酸化状態にある3価のランタニド含有化合物が使用されてもよい。適切なランタニド含有化合物には、ランタニドカルボキシレート、ランタニド有機ホスフェート、ランタニド有機ホスホネート、ランタニド有機ホスフィネート、ランタニドカルバメート、ランタニドジチオカルバメート、ランタニドキサンテート、ランタニドβ-ジケトナート、ランタニドアルコキシド又はアリールオキシド、ランタニドハライド、ランタニド擬ハライド、ランタニドオキシハライド及び有機ランタニド化合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0020】
1以上の態様において、ランタニド含有化合物は、炭化水素溶媒、例えば、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素又は脂環式炭化水素などに可溶であってよい。しかしながら、重合媒体に懸濁されて触媒活性種を形成することができるため、炭化水素に不溶なランタニド含有化合物が本発明において有用なこともある。
【0021】
説明を容易にするため、有用なランタニド含有化合物についての更なる説明はネオジム化合物に焦点を絞るが、当業者は他のランタニド金属に基づく同様の化合物を選択し得る。
【0022】
適当なネオジムカルボキシレートには、ネオジムホルメート、ネオジムアセテート、ネオジムアクリレート、ネオジムメタクリレート、ネオジムバレレート、ネオジムグルコナート、ネオジムシトレート、ネオジムフマレート、ネオジムラクテート、ネオジムマレエート、ネオジムオキサレート、ネオジム2−エチルヘキサノアート、ネオジムネオデカノアート(別名、ネオジムバーサテート(versatate))、ネオジムナフテネート、ネオジムステアレート、ネオジムオレアート、ネオジムベンゾエート及びネオジムピコリネートが含まれるが、これらに限定されない。
【0023】
適当なネオジム有機ホスフェートには、ネオジムジブチルホスフェート、ネオジムジペンチルホスフェート、ネオジムジヘキシルホスフェート、ネオジムジヘプチルホスフェート、ネオジムジオクチルホスフェート、ネオジムビス(1−メチルへプチル)ホスフェート、ネオジムビス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ネオジムジデシルホスフェート、ネオジムジドデシルホスフェート、ネオジムジオクタデシルホスフェート、ネオジムジオレイルホスフェート、ネオジムジフェニルホスフェート、ネオジムビス(p−ノニルフェニル)ホスフェート、ネオジムブチル(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ネオジム(1−メチルへプチル)(2−エチルヘキシル)ホスフェート及びネオジム(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)ホスフェートが含まれるが、これらに限定されない。
【0024】
適当なネオジム有機ホスホネートには、ネオジムブチルホスホネート、ネオジムペンチルホスホネート、ネオジムヘキシルホスホネート、ネオジムヘプチルホスホネート、ネオジムオクチルホスホネート、ネオジム(1−メチルへプチル)ホスホネート、ネオジム(2−エチルヘキシル)ホスホネート、ネオジムデシルホスホネート、ネオジムドデシルホスホネート、ネオジムオクタデシルホスホネート、ネオジムオレイルホスホネート、ネオジムフェニルホスホネート、ネオジム(p−ノニルフェニル)ホスホネート、ネオジムブチルブチルホスホネート、ネオジムペンチルペンチルホスホネート、ネオジムヘキシルヘキシルホスホネート、ネオジムヘプチルヘプチルホスホネート、ネオジムオクチルオクチルホスホネート、ネオジム(1−メチルヘプチル)(1−メチルヘプチル)ホスホネート、ネオジム(2−エチルヘキシル)(2−エチルヘキシル)ホスホネート、ネオジムデシルデシルホスホネート、ネオジムドデシルドデシルホスホネート、ネオジムオクタデシルオクタデシルホスホネート、ネオジムオレイルオレイルホスホネート、ネオジムフェニルフェニルホスホネート、ネオジム(p−ノニルフェニル)(p−ノニルフェニル)ホスホネート、ネオジムブチル(2−エチルヘキシル)ホスホネート、ネオジム(2−エチルヘキシル)ブチルホスホネート、ネオジム(1−メチルヘプチル)(2−エチルヘキシル)ホスホネート、ネオジム(2−エチルヘキシル)(1−メチルへプチル)ホスホネート、ネオジム(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)ホスホネート及びネオジム(p−ノニルフェニル)(2−エチルヘキシル)ホスホネートが含まれるが、これらに限定されない。
【0025】
適当なネオジム有機ホスフィネートには、ネオジムブチルホスフィネート、ネオジムペンチルホスフィネート、ネオジムヘキシルホスフィネート、ネオジムヘプチルホスフィネート、ネオジムオクチルホスフィネート、ネオジム(1−メチルヘプチル)ホスフィネート、ネオジム(2−エチルヘキシル)ホスフィネート、ネオジムデシルホスフィネート、ネオジムドデシルホスフィネート、ネオジムオクタデシルホスフィネート、ネオジムオレイルホスフィネート、ネオジムフェニルホスフィネート、ネオジム(p−ノニルフェニル)ホスフィネート、ネオジムジブチルホスフィネート、ネオジムジペンチルホスフィネート、ネオジムジヘキシルホスフィネート、ネオジムジヘプチルホスフィネート、ネオジムジオクチルホスフィネート、ネオジムビス(1−メチルヘプチル)ホスフィネート、ネオジムビス(2−エチルヘキシル)ホスフィネート、ネオジムジデシルホスフィネート、ネオジムジドデシルホスフィネート、ネオジムジオクタデシルホスフィネート、ネオジムジオレイルホスフィネート、ネオジムジフェニルホスフィネート、ネオジムビス(p−ノニルフェニル)ホスフィネート、ネオジムブチル(2−エチルヘキシル)ホスフィネート、ネオジム(1−メチルヘプチル)(2−エチルヘキシル)ホスフィネート及びネオジム(2−エチルヘキシル)(p−ノニルフェニル)ホスフィネートが含まれるが、これらに限定されない。
【0026】
適当なネオジムカルバメートには、ネオジムジメチルカルバメート、ネオジムジエチルカルバメート、ネオジムジイソプロピルカルバメート、ネオジムジブチルカルバメート及びネオジムジベンジルカルバメートが含まれるが、これらに限定されない。
【0027】
適当なネオジムジチオカルバメートには、ネオジムジメチルジチオカルバメート、ネオジムジエチルジチオカルバメート、ネオジムジイソプロピルジチオカルバメート、ネオジムジブチルジチオカルバメート及びネオジムジベンジルジチオカルバメートが含まれるが、これらに限定されない。
【0028】
適当なネオジムキサンテートには、ネオジムメチルキサンテート、ネオジムエチルキサンテート、ネオジムイソプロピルキサンテート、ネオジムブチルキサンテート及びネオジムベンジルキサンテートが含まれるが、これらに限定されない。
【0029】
適当なネオジムβ−ジケトナートには、ネオジムアセチルアセトナート、ネオジムトリフルオロアセチルアセトナート、ネオジムヘキサフルオロアセチルアセトナート、ネオジムベンゾイルアセトナート及びネオジム2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナートが含まれるが、これらに限定されない。
【0030】
適当なネオジムアルコキシド又はアリールオキシドには、ネオジムメトキシド、ネオジムエトキシド、ネオジムイソプロポキシド、ネオジム2−エチルヘキソキシド、ネオジムフェノキシド、ネオジムノニルフェノキシド及びネオジムナフトキシドが含まれるが、これらに限定されない。
【0031】
適当なネオジムハライドには、ネオジムフルオライド、ネオジムクロライド、ネオジムブロマイド及びネオジムアイオダイドが含まれるが、これらに限定されない。適当なネオジム擬ハライドには、ネオジムシアニド、ネオジムシアネート、ネオジムチオシアネート、ネオジムアジド及びネオジムフェロシアニドが含まれるが、これらに限定されない。適当なネオジムオキシハライドには、ネオジムオキシフルオライド、ネオジムオキシクロライド及びネオジムオキシブロマイドが含まれるが、これらに限定されない。この種類のネオジム化合物を不活性な有機溶媒中で溶解させるための補助として、ルイス塩基、例えば、テトラヒドロフラン(「THF」)などを用いてもよい。ランタニドハライド、ランタニドオキシハライド又はハロゲン原子を含んだ他のランタニド含有化合物が使用される場合、ランタニド含有化合物は、上記触媒系においてハロゲン供給源の全て又は一部としての役割を果たしてもよい。
【0032】
本明細書で使用される通り、有機ランタニド化合物の語は、少なくとも1つのランタニド−炭素結合を含んだ、任意のランタニド含有化合物を指す。これらの化合物は、排他的ではないが、主に、シクロペンタジエニル(「Cp」)、置換シクロペンタジエニル、アリル及び置換アリル配位子を含んだ化合物である。適当な有機ランタニド化合物には、CpLn、CpLnR、CpLnCl、CpLnCl、CpLn(シクロオクタテトラエン)、(CMeLnR、LnR、Ln(アリル)及びLn(アリル)Cl[式中、Lnはランタニド原子を表し、Rはヒドロカルビル基を表す]が含まれるが、これらに限定されない。1以上の態様において、本発明で有用なヒドロカルビル基は、ヘテロ原子、例えば、窒素原子、酸素原子、ホウ素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子などを含んでいてもよい。
【0033】
上記の通り、本発明で使用される触媒系は、アルキル化剤を含んでいてもよい。1以上の態様において、アルキル化剤は、ヒドロカルビル化剤と呼ばれてもよく、1以上のヒドロカルビル基を別の金属に移動させることのできる有機金属化合物を含む。典型的には、これらの化学物質は、例えば、1族、2族及び3族の金属(IA族、IIA族及びIIIA族の金属)などの陽性金属の有機金属化合物を含む。本発明で有用なアルキル化剤には、有機アルミニウム化合物及び有機マグネシウム化合物が含まれるが、これらに限定されない。本明細書で使用されるように、有機アルミニウム化合物の語は、少なくとも1つのアルミニウム−炭素結合を含んだ任意のアルミニウム化合物を指す。1以上の態様において、炭化水素溶媒に可溶な有機アルミニウム化合物を使用してもよい。本明細書で使用されるように、有機マグネシウム化合物の語は、少なくとも1つのマグネシウム−炭素結合を含んだ任意のマグネシウム化合物を指す。1以上の態様において、炭化水素に可溶な有機マグネシウム化合物を使用してもよい。以下でより詳細に記載される通り、数種類の適当なアルキル化剤は、ハロゲン化物の形態であってよい。アルキル化剤がハロゲン原子を含む場合、アルキル化剤は、上述の触媒系においてハロゲン供給源の全部又は一部として働いてもよい。
【0034】
1以上の態様において、使用され得る有機アルミニウム化合物には、一般式AlR3−n[式中、各々のRは、独立して、炭素原子を介してアルミニウム原子に結合している1価の有機基であってよく、各々のXは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、カルボン酸基、アルコキシド基又はアリールオキシド基であってよく、nは1〜3の範囲の整数である]で表されるものが含まれる。1以上の態様において、各々のRは、独立して、ヒドロカルビル基、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、アルカリール基、アリル基及びアルキニル基などであってよく、各々の基は、1又は基を形成するのに適当な最小数から、最大で約20までの範囲の炭素原子を含んでいる。これらのヒドロカルビル基はヘテロ原子を含んでいてもよく、限定するものではないが、これには、窒素原子、酸素原子、ホウ素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子が含まれる。
【0035】
一般式AlR3−nで表される有機アルミニウム化合物のタイプには、トリヒドロカルビルアルミニウム化合物、ジヒドロカルビルアルミニウムヒドリド化合物、ヒドロカルビルアルミニウムジヒドリド化合物、ジヒドロカルビルアルミニウムカルボキシレート化合物、ヒドロカルビルアルミニウムビス(カルボキシレート)化合物、ジヒドロカルビルアルミニウムアルコキシド化合物、ヒドロカルビルアルミニウムジアルコキシド化合物、ジヒドロカルビルアルミニウムハライド化合物、ヒドロカルビルアルミニウムジハライド化合物、ジヒドロカルビルアルミニウムアリールオキシド化合物及びヒドロカルビルアルミニウムジアリールオキシド化合物が含まれるが、これらに限定されない。ある態様では、アルキル化剤は、トリヒドロカルビルアルミニウム化合物、ジヒドロカルビルアルミニウムヒドリド化合物及び/又はヒドロカルビルアルミニウムジヒドリド化合物を含んでいてもよい。ある態様では、アルキル化剤が有機アルミニウムヒドリド化合物を含む場合、上記ハロゲン供給源は、その全体が引用により本明細書に組み込まれる米国特許第7,008,899号に開示されるように、ハロゲン化スズにより提供され得る。
【0036】
適当なトリヒドロカルビルアルミニウム化合物には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリ−t−ブチルアルミニウム、トリ−n−ペンチルアルミニウム、トリネオペンチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリス(2−エチルヘキシル)アルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、トリス(1−メチルシクロペンチル)アルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリ−p−トリルアルミニウム、トリス(2,6−ジメチルフェニル)アルミニウム、トリベンジルアルミニウム、ジエチルフェニルアルミニウム、ジエチル−p−トリルアルミニウム、ジエチルベンジルアルミニウム、エチルジフェニルアルミニウム、エチルジ−p−トリルアルミニウム及びエチルジベンジルアルミニウムが含まれるが、これらに限定されない。
【0037】
適当なジヒドロカルビルアルミニウムヒドリド化合物には、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジ−n−プロピルアルミニウムヒドリド、ジイソプロピルアルミニウムヒドリド、ジ−n−ブチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジ−n−オクチルアルミニウムヒドリド、ジフェニルアルミニウムヒドリド、ジ−p−トリルアルミニウムヒドリド、ジベンジルアルミニウムヒドリド、フェニルエチルアルミニウムヒドリド、フェニル−n−プロピルアルミニウムヒドリド、フェニルイソプロピルアルミニウムヒドリド、フェニル−n−ブチルアルミニウムヒドリド、フェニルイソブチルアルミニウムヒドリド、フェニル−n−オクチルアルミニウムヒドリド、p−トリルエチルアルミニウムヒドリド、p−トリル−n−プロピルアルミニウムヒドリド、p−トリルイソプロピルアルミニウムヒドリド、p−トリル−n−ブチルアルミニウムヒドリド、p−トリルイソブチルアルミニウムヒドリド、p−トリル−n−オクチルアルミニウムヒドリド、ベンジルエチルアルミニウムヒドリド、ベンジル−n−プロピルアルミニウムヒドリド、ベンジルイソプロピルアルミニウムヒドリド、ベンジル−n−ブチルアルミニウムヒドリド、ベンジルイソブチルアルミニウムヒドリド及びベンジル−n−オクチルアルミニウムヒドリドが含まれるが、これらに限定されない。
【0038】
適当なヒドロカルビルアルミニウムジヒドリドには、エチルアルミニウムジヒドリド、n−プロピルアルミニウムジヒドリド、イソプロピルアルミニウムジヒドリド、n−ブチルアルミニウムジヒドリド、イソブチルアルミニウムジヒドリド及びn−オクチルアルミニウムジヒドリドが含まれるが、これらに限定されない。
【0039】
適当なジヒドロカルビルアルミニウムハライド化合物には、ジエチルアルミニウムクロライド、ジ−n−プロピルアルミニウムクロライド、ジイソプロピルアルミニウムクロライド、ジ−n−ブチルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライド、ジ−n−オクチルアルミニウムクロライド、ジフェニルアルミニウムクロライド、ジ−p−トリルアルミニウムクロライド、ジベンジルアルミニウムクロライド、フェニルエチルアルミニウムクロライド、フェニル−n−プロピルアルミニウムクロライド、フェニルイソプロピルアルミニウムクロライド、フェニル−n−ブチルアルミニウムクロライド、フェニルイソブチルアルミニウムクロライド、フェニル−n−オクチルアルミニウムクロライド、p−トリルエチルアルミニウムクロライド、p−トリル−n−プロピルアルミニウムクロライド、p−トリルイソプロピルアルミニウムクロライド、p−トリル−n−ブチルアルミニウムクロライド、p−トリルイソブチルアルミニウムクロライド、p−トリル−n−オクチルアルミニウムクロライド、ベンジルエチルアルミニウムクロライド、ベンジル−n−プロピルアルミニウムクロライド、ベンジルイソプロピルアルミニウムクロライド、ベンジル−n−ブチルアルミニウムクロライド、ベンジルイソブチルアルミニウムクロライド及びベンジル−n−オクチルアルミニウムクロライドが含まれるが、これらに限定されない。
【0040】
適当なヒドロカルビルアルミニウムジハライド化合物には、エチルアルミニウムジクロライド、n−プロピルアルミニウムジクロライド、イソプロピルアルミニウムジクロライド、n−ブチルアルミニウムジクロライド、イソブチルアルミニウムジクロライド及びn−オクチルアルミニウムジクロライドが含まれるが、これらに限定されない。
【0041】
一般式AlR3−nで表すことができる、アルキル化剤として有用な他の有機アルミニウム化合物には、ジメチルアルミニウムヘキサノアート、ジエチルアルミニウムオクトエート、ジイソブチルアルミニウム2−エチルヘキサノアート、ジメチルアルミニウムネオデカノアート、ジエチルアルミニウムステアレート、ジイソブチルアルミニウムオレアート、メチルアルミニウムビス(ヘキサノアート)、エチルアルミニウムビス(オクトエート)、イソブチルアルミニウムビス(2−エチルヘキサノアート)、メチルアルミニウムビス(ネオデカノアート)、エチルアルミニウムビス(ステアレート)、イソブチルアルミニウムビス(オレアート)、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムメトキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムエトキシド、ジメチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジイソブチルアルミニウムフェノキシド、メチルアルミニウムジメトキシド、エチルアルミニウムジメトキシド、イソブチルアルミニウムジメトキシド、メチルアルミニウムジエトキシド、エチルアルミニウムジエトキシド、イソブチルアルミニウムジエトキシド、メチルアルミニウムジフェノキシド、エチルアルミニウムジフェノキシド及びイソブチルアルミニウムジフェノキシドが含まれるが、これらに限定されない。
【0042】
本発明においてアルキル化剤として使用するのに適当な別の種類の有機アルミニウム化合物は、アルミノキサン(aluminoxane)である。アルミノキサンは、一般式:
【化1】


で表すことができるオリゴマー状の直鎖状アルミノキサンと、一般式:
【化2】

で表すことができるオリゴマー状の環状アルミノキサンとを含んでいてもよく、式中、xは、1〜約100又は約10〜約50の範囲内の整数であってよく、yは、2〜約100又は約3〜約20の範囲内の整数であってよく、各々のRは、独立して、炭素原子を介してアルミニウム原子に結合している1価の有機基であってよい。ある態様において、各々のRは、独立して、ヒドロカルビル基であってよく、限定するものではないが、これにはアルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、アルカリル基、アリル基及びアルキニル基が含まれ、各々の基は、1又は基を形成するのに適当な最小数から、最大で約20までの範囲の炭素原子を含んでいる。これらのヒドロカルビル基は、ヘテロ原子を含んでいてもよく、限定するものではないが、これには窒素原子、酸素原子、ホウ素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子が含まれる。本願で使用されるアルミノキサンのモル数は、オリゴマー状のアルミノキサン分子のモル数よりもむしろ、アルミニウム原子のモル数を指すことに留意すべきである。このような慣例は、アルミノキサンを利用する触媒系の分野で一般に使用される。
【0043】
アルミノキサンは、トリヒドロカルビルアルミニウム化合物を水と反応させることによって調製することができる。この反応は、既知の方法、例えば、(1)トリヒドロカルビルアルミニウム化合物を有機溶媒に溶解させ、次いで水と接触させる方法、(2)トリヒドロカルビルアルミニウム化合物を、例えば、金属塩などに含まれている結晶水又は無機若しくは有機化合物に吸着されている水と反応させる方法、或いは(3)重合されるモノマー又はモノマー溶液の存在下でトリヒドロカルビルアルミニウム化合物を水と反応させる方法などに従って行うことができる。
【0044】
適当なアルミノキサン化合物には、メチルアルミノキサン(「MAO」)、修飾メチルアルミノキサン(「MMAO」)、エチルアルミノキサン、n−プロピルアルミノキサン、イソプロピルアルミノキサン、ブチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、n−ペンチルアルミノキサン、ネオペンチルアルミノキサン、n−ヘキシルアルミノキサン、n−オクチルアルミノキサン、2−エチルヘキシルアルミノキサン、シクロヘキシルアルミノキサン、1−メチルシクロペンチルアルミノキサン、フェニルアルミノキサン及び2,6−ジメチルフェニルアルミノキサンが含まれるが、これらに限定されない。修飾されたメチルアルミノキサンは、当業者に既知の技術を用いて、メチルアルミノキサンのメチル基のうちの約20〜80%を、C〜C12ヒドロカルビル基、好ましくはイソブチル基で置換することで形成することができる。
【0045】
アルミノキサンは単独で又は他の有機アルミニウム化合物と組み合わせて使用することができる。ある態様では、メチルアルミノキサンと、少なくとも1つの他の有機アルミニウム化合物(例えば、AlR3−n)、例えば、ジイソブチルアルミニウムヒドリドなどとを組み合わせて使用することができる。その全体が引用により本明細書に組み込まれる米国特許公開第2008/0182954号は、アルミノキサンと有機アルミニウム化合物とを組み合わせて使用することができる他の例を提供する。
【0046】
上述の通り、本発明において有用なアルキル化剤は、有機マグネシウム化合物を含んでいてもよい。1以上の態様において、使用することができる有機マグネシウム化合物には、一般式MgR[式中、各々のRは、独立して、炭素原子を介してマグネシウム原子に結合している1価の有機基であってよい]により表されるものが含まれる。1以上の態様では、各々のRは、独立して、ヒドロカルビル基であり、限定するものではないが、これにはアルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、アリール基、アリル基、置換アリール基、アラルキル基、アルカリル基及びアルキニル基が含まれ、各々の基は、1又は基を形成するのに適当な最小数から、最大で約20までの範囲の炭素原子を含んでいる。これらのヒドロカルビル基は、ヘテロ原子を含んでいてもよく、限定するものではないが、これには窒素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子が含まれる。
【0047】
一般式MgRにより表すことのできる適当な有機マグネシウム化合物には、ジエチルマグネシウム、ジ−n−プロピルマグネシウム、ジイソプロピルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、ジフェニルマグネシウム及びジベンジルマグネシウムが含まれるが、これらに限定されない。
【0048】
アルキル化剤として使用することのできる、別の種類の有機マグネシウム化合物は、一般式RMgX[式中、Rは、炭素原子を介してマグネシウム原子に結合している1価の有機基であってよく、Xは、水素原子、ハロゲン原子、カルボン酸基、アルコキシド基又はアリールオキシド基であってよい]により表すことができる。アルキル化剤が、ハロゲン原子を含んだ有機マグネシウム化合物である場合、有機マグネシウム化合物は、触媒系において、アルキル化剤と、ハロゲン供給源の少なくとも一部との両方の機能を果たし得る。1以上の態様では、Rは、ヒドロカルビル基であってよく、限定するものではないが、これにはアルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、アリール基、アリル基、置換アリール基、アラルキル基、アルカリル基及びアルキニル基が含まれ、各々の基は、1又は基を形成するのに適当な最小数から、最大で約20までの範囲の炭素原子を含んでいる。これらのヒドロカルビル基は、ヘテロ原子を含んでいてもよく、限定するものではないが、これには窒素原子、酸素原子、ホウ素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子が含まれる。ある態様では、Xは、カルボン酸基、アルコキシド基又はアリールオキシド基であってよく、各々の基は、1〜約20の範囲の炭素原子を含んでいる。
【0049】
一般式RMgXで表すことのできる有機マグネシウム化合物のタイプには、ヒドロカルビルマグネシウムヒドリド、ヒドロカルビルマグネシウムハライド、ヒドロカルビルマグネシウムカルボキシレート、ヒドロカルビルマグネシウムアルコキシド及びヒドロカルビルマグネシウムアリールオキシドが含まれるが、これらに限定されない。
【0050】
一般式RMgXで表すことのできる適当な有機マグネシウム化合物には、メチルマグネシウムヒドリド、エチルマグネシウムヒドリド、ブチルマグネシウムヒドリド、ヘキシルマグネシウムヒドリド、フェニルマグネシウムヒドリド、ベンジルマグネシウムヒドリド、メチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムクロライド、ブチルマグネシウムクロライド、ヘキシルマグネシウムクロライド、フェニルマグネシウムクロライド、ベンジルマグネシウムクロライド、メチルマグネシウムブロマイド、エチルマグネシウムブロマイド、ブチルマグネシウムブロマイド、ヘキシルマグネシウムブロマイド、フェニルマグネシウムブロマイド、ベンジルマグネシウムブロマイド、メチルマグネシウムヘキサノアート、エチルマグネシウムヘキサノアート、ブチルマグネシウムヘキサノアート、ヘキシルマグネシウムヘキサノアート、フェニルマグネシウムヘキサノアート、ベンジルマグネシウムヘキサノアート、メチルマグネシウムエトキシド、エチルマグネシウムエトキシド、ブチルマグネシウムエトキシド、ヘキシルマグネシウムエトキシド、フェニルマグネシウムエトキシド、ベンジルマグネシウムエトキシド、メチルマグネシウムフェノキシド、エチルマグネシウムフェノキシド、ブチルマグネシウムフェノキシド、ヘキシルマグネシウムフェノキシド、フェニルマグネシウムフェノキシド及びベンジルマグネシウムフェノキシドが含まれるが、これらに限定されない。
【0051】
上述の通り、本発明で使用される触媒系は、ハロゲン供給源を含んでいてもよい。本明細書で使用されるように、ハロゲン供給源の語は、少なくとも1つのハロゲン原子を含んだ任意の物質を指す。1以上の態様において、上記ランタニド含有化合物及び/又は上記アルキル化剤が少なくとも1つのハロゲン原子を含む場合、ハロゲン供給源の少なくとも一部は、それらの化合物のうちのいずれかにより供給され得る。言い換えれば、ランタニド含有化合物は、ランタニド含有化合物と、ハロゲン供給源の少なくとも一部との両方の機能を果たし得る。同様に、アルキル化剤は、アルキル化剤と、ハロゲン供給源の少なくとも一部との両方の機能を果たし得る。
【0052】
別の態様では、ハロゲン供給源の少なくとも一部は、別々の且つ異なったハロゲン含有化合物の形態で触媒系中に存在し得る。1以上のハロゲン原子を含む種々の化合物又はそれらの混合物は、ハロゲン供給源として使用され得る。ハロゲン原子の例には、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素が含まれるが、これらに限定されない。2以上のハロゲン原子の組合せが使用されてもよい。炭化水素溶媒に可溶なハロゲン含有化合物は、本発明における使用に適している。しかしながら、炭化水素に不溶なハロゲン含有化合物を重合系中に懸濁して触媒活性種を形成することもでき、それ故、炭化水素に不溶なハロゲン含有化合物もまた有用である。
【0053】
使用され得る有用なタイプのハロゲン含有化合物には、元素状ハロゲン、混合ハロゲン、水素ハライド、有機ハライド、無機ハライド、金属ハライド及び有機金属ハライドが含まれるが、これらに限定されない。
【0054】
本発明における使用に適した元素状ハロゲンには、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素が含まれるが、これらに限定されない。適当な混合ハロゲンの具体例のいくつかには一塩化ヨウ素、一臭化ヨウ素、三塩化ヨウ素及び五フッ化ヨウ素が含まれる。
【0055】
水素ハライドには、フッ化水素、塩化水素、臭化水素及びヨウ化水素が含まれるが、これらに限られない。
【0056】
有機ハライドには、t−ブチルクロライド、t−ブチルブロマイド、アリルクロライド、アリルブロマイド、ベンジルクロライド、ベンジルブロマイド、クロロ−ジ−フェニルメタン、ブロモ−ジ−フェニルメタン、トリフェニルメチルクロライド、トリフェニルメチルブロマイド、ベンジリデンクロライド、ベンジリデンブロマイド、メチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ベンゾイルクロライド、ベンゾイルブロマイド、プロピオニルクロライド、プロピオニルブロマイド、メチルクロロホルメート及びメチルブロモホルメートが含まれるが、これらに限定されない。
【0057】
無機ハライドには、三塩化リン、三臭化リン、五塩化リン、オキシ塩化リン、オキシ臭化リン、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、四フッ化ケイ素、四塩化ケイ素、四臭化ケイ素、四ヨウ化ケイ素、三塩化ヒ素、三臭化ヒ素、三ヨウ化ヒ素、四塩化セレン、四臭化セレン、四塩化テルル、四臭化テルル及び四ヨウ化テルルが含まれるが、これらに限定されない。
【0058】
金属ハライドには、スズテトラクロライド、スズテトラブロマイド、アルミニウムトリクロライド、アルミニウムトリブロマイド、アンチモントリクロライド、アンチモンペンタクロライド、アンチモントリブロマイド、アルミニウムトリアイオダイド、アルミニウムトリフルオライド、ガリウムトリクロライド、ガリウムトリブロマイド、ガリウムトリアイオダイド、ガリウムトリフルオライド、インジウムトリクロライド、インジウムトリブロマイド、インジウムトリアイオダイド、インジウムトリフルオライド、チタンテトラクロライド、チタンテトラブロマイド、チタンテトラアイオダイド、亜鉛ジクロライド、亜鉛ジブロマイド、亜鉛ジアイオダイド及び亜鉛ジフルオライドが含まれるが、これらに限定されない。
【0059】
有機金属ハライドには、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジメチルアルミニウムブロマイド、ジエチルアルミニウムブロマイド、ジメチルアルミニウムフルオライド、ジエチルアルミニウムフルオライド、メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、メチルアルミニウムジブロマイド、エチルアルミニウムジブロマイド、メチルアルミニウムジフルオライド、エチルアルミニウムジフルオライド、メチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、イソブチルアルミニウムセスキクロライド、メチルマグネシウムクロライド、メチルマグネシウムブロマイド、メチルマグネシウムアイオダイド、エチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムブロマイド、ブチルマグネシウムクロライド、ブチルマグネシウムブロマイド、フェニルマグネシウムクロライド、フェニルマグネシウムブロマイド、ベンジルマグネシウムクロライド、トリメチルスズクロライド、トリメチルスズブロマイド、トリエチルスズクロライド、トリエチルスズブロマイド、ジ−t−ブチルスズジクロライド、ジ−t−ブチルスズジブロマイド、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズジブロマイド、トリブチルスズクロライド及びトリブチルスズブロマイドが含まれるが、これらに限定されない。
【0060】
1以上の態様において、上記触媒系は、非配位アニオンを含んだ化合物又は非配位アニオン前駆体を含んでいてもよい。1以上の態様において、非配位アニオンを含んだ化合物又は非配位アニオン前駆体が、上記ハロゲン供給源の代わりに使用されてもよい。非配位アニオンは、立体障害のため、例えば触媒系の活性中心と配位結合を形成しない、立体的に嵩高いアニオンである。本発明において有用な非配位アニオンには、テトラアリールボレートアニオン及びフッ素化テトラアリールボレートアニオンが含まれるが、これらに限定されない。非配位アニオンを含んだ化合物は、対カチオン、例えば、カルボニウムカチオン、アンモニウムカチオン又はホスホニウムカチオンなどを含んでいてもよい。典型的な対カチオンには、トリアリールカルボニウムカチオン及びN,N−ジアルキルアニリニウムカチオンが含まれるが、これらに限定されない。非配位アニオンと対カチオンとを含んだ化合物の例には、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルボニウムテトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート及びN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレートが含まれるが、これらに限定されない。
【0061】
この態様において、非配位アニオン前駆体が使用されてもよい。非配位アニオン前駆体は、反応条件下で非配位アニオンを形成することができる化合物である。有用な非配位アニオン前駆体には、トリアリールボロン化合物BR[式中、Rは、強力な電子吸引性のアリール基、例えば、ペンタフルオロフェニル又は3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基などである]が含まれるが、これらに限定されない。
【0062】
本発明で使用されるランタニド系触媒組成物は、上述の触媒含有物を組み合わせるか又は混合することによって形成されてもよい。1以上の活性触媒種は、ランタニド系触媒含有物の組合せから得られると考えられているが、種々の触媒含有物若しくは成分間での相互作用又は反応の程度について、確かなことはわかっていない。従って、「触媒組成物」の語は、含有物の単なる混合物、物理的若しくは化学的な引力によって生じる、種々の含有物の複合体、含有物の化学反応生成物又はこれらの組み合わせを包含して使用されている。
【0063】
前記ランタニド系触媒組成物は、広範囲の触媒濃度及び触媒成分比に亘り、共役ジエンを重合してシス−1,4−ポリジエンにすることについて高い触媒活性を有していてもよい。いくつかの要因が、触媒含有物のいずれか1つの最適な濃度に影響することがある。例えば、触媒含有物は、相互作用して活性種を形成することがあるため、いずれか1つの触媒含有物の最適濃度が、他の触媒含有物の濃度に左右されることもある。
【0064】
1以上の態様において、ランタニド含有化合物に対するアルキル化剤のモル比(アルキル化剤/Ln)は、約1:1〜約1,000:1まで、他の態様では、約2:1〜約500:1まで、別の態様では、約5:1〜約200:1まで変化してもよい。
【0065】
アルミノキサン及び少なくとも1つの他の有機アルミニウム物質の両方がアルキル化剤として使用される態様において、ランタニド含有化合物に対するアルミノキサンのモル比(アルミノキサン/Ln)は、5:1〜約1000:1まで、他の態様では、約10:1〜約700:1まで、別の態様では、約20:1〜約500:1まで変化し、また、ランタニド含有化合物に対する少なくとも1つの他の有機アルミニウム化合物のモル比(Al/Ln)は、約1:1〜約200:1まで、他の態様では、約2:1〜約150:1まで、別の態様では、約5:1〜約100:1まで変化してもよい。
【0066】
ランタニド含有化合物に対するハロゲン含有化合物のモル比は、ランタニド含有化合物中のランタニド原子のモル数に対するハロゲン供給源中のハロゲン原子のモル数の比(ハロゲン/Ln)の観点から、最も良く記載される。1以上の態様において、ハロゲン/Lnのモル比は、約0.5:1〜約20:1まで、他の態様では、約1:1〜約10:1まで、別の態様では、約2:1〜約6:1まで変化してもよい。
【0067】
さらに別の態様では、ランタニド含有化合物に対する非配位アニオン又は非配位アニオン前駆体のモル比(An/Ln)は、約0.5:1〜約20:1まで、他の態様では、約0.75:1〜約10:1まで、別の態様では、約1:1〜約6:1まで変化してもよい。
【0068】
ランタニド系触媒組成物は、種々の方法により形成することができる。
【0069】
ある態様では、ランタニド系触媒組成物は、モノマーと溶媒とを含んだ溶液若しくはバルク(bulk)モノマーに、触媒含有物を段階的又は同時に添加することにより、その場(in situ)で形成してもよい。ある態様では、まずアルキル化剤を添加し、その後、ランタニド含有化合物、続いてハロゲン供給源又は非配位アニオンを含んだ化合物若しくは非配位アニオン前駆体を添加してもよい。
【0070】
別の態様では、ランタニド系触媒組成物を予め形成してもよい。即ち、触媒含有物は、重合系の外で、モノマーの非存在下又は少量の少なくとも1つの共役ジエンモノマーの存在下において適当な温度で予備混合され、温度は約−20℃〜約80℃とすることができる。触媒を予め形成するために使用され得る共役ジエンモノマーの量は、ランタニド含有化合物1モル当たり、約1〜約500モル、他の態様では、約5〜約250モル、別の態様では、約10〜約100モルの範囲であってよい。必要であれば、重合されるモノマーに添加する前に、得られる触媒組成物を熟成してもよい。
【0071】
さらに別の態様では、ランタニド系触媒組成物を、2段階の手順を使用して形成してもよい。第1段階は、アルキル化剤を、モノマーの非存在下又は少量の少なくとも1つの共役ジエンモノマーの存在下において適当な温度でランタニド含有化合物と組み合わせることを含んでいてもよく、温度は約−20℃〜約80℃とすることができる。第1段階で使用されるモノマーの量は、上述した、触媒を予め形成するためのものと同様であってよい。第2段階では、第1段階で形成した混合物と、ハロゲン供給源、非配位アニオン又は非配位アニオン前駆体とを、重合されるモノマーに対し、段階的又は同時に添加してもよい。
【0072】
1以上の態様において、触媒を溶解又は懸濁して重合系への触媒の送達を容易にするため、溶媒を担体として使用してもよい。他の態様では、モノマーが担体として使用されてもよい。さらに他の態様では、触媒は、溶媒を使用せず、薄めない状態で使用されてもよい。
【0073】
1以上の態様において、適当な溶媒は、触媒の存在下でモノマーを重合する間に成長性ポリマー鎖への重合又は取り込みを受けないであろう有機化合物を含んでいる。1以上の態様において、これらの有機種は、周囲温度及び圧力において液体である。1以上の態様において、これらの有機溶媒は、触媒に対して不活性である。典型的な有機溶媒には、低沸点又は比較的低沸点の炭化水素、例えば、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素及び脂環式炭化水素などが含まれる。芳香族炭化水素の非限定的な例には、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン及びメシチレンが含まれる。脂肪族炭化水素の非限定的な例には、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、イソペンタン、イソヘキサン、イソペンタン、イソオクタン、2,2−ジメチルブタン、石油エーテル、ケロシン及び石油スピリットが含まれる。また、脂環式炭化水素の非限定的な例には、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン及びメチルシクロヘキサンが含まれる。上記炭化水素の混合物が使用されてもよい。当該分野で既知の通り、環境保護の理由から、脂肪族炭化水素及び脂環式炭化水素が望ましく使用され得る。低沸点の炭化水素溶媒は、典型的には、重合完了時にポリマーから分離される。
【0074】
有機溶媒の他の例には、高分子量の高沸点炭化水素が含まれ、これには、油展ポリマーに一般に使用される炭化水素油が含まれる。これらの油の例には、パラフィン油、芳香族油、ナフテン油、ヒマシ油以外の植物性油、並びにMES、TDAE、SRAE及び重質ナフテン油を含む低PCA油が含まれる。これらの炭化水素は不揮発性であるため、通常分離を要さず、ポリマーに組み込まれたままである。
【0075】
本発明に従う反応性ポリマーの製造は、共役ジエンモノマーを、触媒作用に効果的な量の配位触媒の存在下で重合させることにより達成し得る。触媒と、共役ジエンモノマーと、使用する場合にはいずれかの溶媒との導入によって、反応性ポリマーが形成される重合混合物を形成する。使用される触媒の量は、用いる触媒のタイプ、成分の純度、重合温度、所望の重合速度及び転化率、所望の分子量、並びに他の多くの要素等、様々な要因の相互作用によって決定され得る。従って、具体的な触媒の量については、触媒作用に効果的な量の触媒が使用され得るということ以外は、明確に示すことができない。
【0076】
1以上の態様において、使用される配位金属化合物(例えば、ランタニド含有化合物)の量は、モノマー100グラム当たり約0.001〜約2mmolまで、他の態様では、約0.005〜約1mmolまで、更に他の態様では、約0.01〜約0.2mmolまで変化してもよい。
【0077】
1以上の態様において、重合は、相当量の溶媒が含まれる重合系で行われてもよい。ある態様では、重合されるモノマー及び形成したポリマーの両方が溶媒に可溶である溶液重合系を使用してもよい。別の態様では、形成したポリマーが溶解しない溶媒を選択して沈殿重合系を使用してもよい。どちらの場合にも、通常、触媒の調製に用いられる量の溶媒に加えて、ある量の溶媒が重合系に添加される。追加の溶媒は、触媒の調製に用いた溶媒と同一でも異なっていてもよい。典型的な溶媒については上述した。1以上の態様において、重合混合物の溶媒の含有率は、重合混合物の総重量を基準として20重量%より多く、他の態様では50重量%より多く、さらに他の態様では80重量%より多い。
【0078】
他の態様では、使用される重合系が、実質的に溶媒を含まないか又は最小量の溶媒を含むバルク重合系であると概して考えられてもよい。当業者は、バルク重合プロセス(即ち、モノマーが溶媒として機能するプロセス)の利点を理解するため、重合系は、バルク重合を行うことにより得られる利点に悪影響を与えるよりも少ない量の溶媒を含む。1以上の態様において、重合混合物の溶媒含有率は、重合混合物の総重量に基づき、20重量%未満、他の態様では10重量%未満、更に他の態様では5重量%未満であってよい。別の態様では、重合混合物は、使用される原材料に内在するもの以外に溶媒を含まない。更に別の態様では、重合混合物には、実質的に溶媒がなく、そうでなければ重合プロセスに相当の影響を与える量の溶媒が存在しないことを意味する。実質的に溶媒がない重合系とは、実質的に溶媒を含まないことを意味してもよい。特定の態様では、重合混合物には溶媒がない。
【0079】
重合は、当該分野で既知のいずれかの従来の重合容器中で行われてもよい。1以上の態様において、溶液重合は、従来の攪拌槽型反応器中で行うことができる。他の態様では、特に、モノマー転化率が60%未満の場合、バルク重合は、従来の攪拌槽型反応器中で行うことができる。特に、バルク重合プロセスにおけるモノマー転化率が60%を超える更に他の態様では、典型的には高粘度のセメントをもたらすが、バルク重合は、重合下の粘性セメントをピストンにより又は実質的にピストンにより移動させる細長い反応器中で行うことができる。例えば、この目的には、セメントを自浄式単軸スクリュー又は2軸スクリュー撹拌機により押し出す押出機が適している。有用なバルク重合プロセスの例は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,351,776号に開示されている。
【0080】
1以上の態様において、重合に使用される全成分は、単一の容器(例えば、従来の攪拌槽型反応器)内で組み合わせてもよく、重合プロセスの全工程を、この容器内で行ってもよい。他の態様では、2以上の成分を1つの容器内で予め組み合わせ、次いで、モノマー(又は少なくともその主要部分)の重合が行われ得る別の容器に移動してもよい。
【0081】
重合は、バッチプロセス、連続プロセス又は半連続プロセスとして行うことができる。半連続プロセスでは、すでに重合したモノマーを置き換えるため、必要に応じて断続的にモノマーを添加する。1以上の態様において、重合が進む条件を制御し、重合混合物の温度を約−10℃〜約200℃、他の態様では、約0℃〜約150℃、別の態様では約20℃〜約100℃の範囲内に維持してもよい。1以上の態様において、重合熱は、熱的に制御された反応器ジャケットによる外部冷却、反応器に接続した還流冷却器を用いることによるモノマーの蒸発及び凝縮による内部冷却、又は2つの方法の組合せにより除去されてもよい。また、重合条件を制御し、約0.1気圧〜約50気圧、他の態様では、約0.5気圧〜約20気圧、別の態様では、約1気圧〜約10気圧の圧力下で重合を行ってもよい。1以上の態様において、重合を行うことができる圧力は、モノマーの大部分が液相にあることを確実にする圧力を含んでいる。これら又は他の態様では、重合混合物を嫌気条件下に維持してもよい。
【0082】
得られるポリマー鎖のいくつか又は全ては、重合混合物が失活される前には、反応性末端を有していてもよい。上述のように、配位触媒を用いて調製された反応性ポリマーは、擬リビングポリマーと称されてもよい。1以上の態様では、反応性ポリマーを含む重合混合物は、活性重合混合物と称されてもよい。反応性末端を有するポリマー鎖の割合は、触媒のタイプ、モノマーのタイプ、成分の純度、重合温度、モノマー転化率及び他の多くの要素等の様々な要因によって決まる。1以上の態様では、ポリマー鎖の少なくとも約20%が反応性末端を有し、他の態様では、ポリマー鎖の少なくとも約50%が反応性末端を有し、さらに他の態様では、ポリマー鎖の少なくとも約80%が反応性末端を有する。いずれの場合も、反応性ポリマーを、シリル化アミノ基を含んだカルボン酸エステル又はチオカルボン酸エステルと反応させ、本発明の官能化ポリマーを形成することができる。
【0083】
1以上の態様において、シリル化アミノ基を含んだカルボン酸エステル又はチオカルボン酸エステルは、1以上のカルボン酸エステル基又はチオカルボン酸エステル基と、1以上のシリル化されたアミノ基とを含んだ化合物を含む。本明細書の目的のため、及び説明を容易にするため、シリル化アミノ基を含んだカルボン酸エステル又はチオカルボン酸エステルを、単にエステルと称することがある。
【0084】
1以上の態様において、カルボン酸エステル基又はチオカルボン酸エステル基は、式:
【化3】

[式中、Rは1価の有機基であり、各々のαは、独立して、酸素原子又は硫黄原子である]により定義されてもよい。以下に記載される通り、1価の有機基Rは、ヒドロカルビル基又はシリル基であってもよい。当業者が理解する通り、両方のα原子が酸素原子の場合、エステル基はカルボン酸エステル基と称されてもよい。α原子のうちの1つ又は両方が硫黄原子の場合、エステル基はチオカルボン酸エステル基と称されてもよい。より詳細には、1つのα原子が硫黄原子(いずれかのα原子)であり、他方のα原子が酸素原子の場合、エステル基は、モノチオカルボン酸エステル基と称されてもよく、対応するエステルは、モノチオカルボン酸エステルと称されてよい。α原子の両方が硫黄原子の場合、エステル基はジチオカルボン酸エステル基と称されてもよく、対応するエステルは、ジチオカルボン酸エステルと称されてよい。本明細書の目的のため、チオカルボン酸エステル基への言及は、モノチオカルボン酸エステル基及びジチオカルボン酸エステル基の両方を包含してもよく、同様に、チオカルボン酸エステルへの言及は、モノチオカルボン酸エステル及びジチオカルボン酸エステルの両方を包含してもよい。
【0085】
1以上の態様において、シリル化アミノ基は、親アミノ基(即ち、−NH)の1つの酸性水素原子をシリル基で置き換え、且つ親アミノ基の他方の水素原子をヒドロカルビル基又はシリル基によって置き換えることによって形成されるか又は生成されるアミノ基を含む。シリル化アミノ基が、1つのシリル基及びヒドロカルビル基を含む場合、当該基は、モノシリル化アミノ基と称されてもよい。シリル化アミノ基が2つのシリル基を含む場合、当該基は、ジシリル化アミノ基と称されてもよい。
【0086】
シリル化アミノ基の典型的なタイプには、ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ基、ビス(ジヒドロカルビルヒドロシリル)アミノ基、1−アザ−ジシラ−1−シクロヒドロカルビル基、(トリヒドロカルビルシリル)(ヒドロカルビル)アミノ基、(ジヒドロカルビルヒドロシリル)(ヒドロカルビル)アミノ基及び1−アザ−2−シラ−1−シクロヒドロカルビル基が含まれるが、これらに限定されない。
【0087】
ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ基の具体例には、ビス(トリメチルシリル)アミノ基、ビス(トリエチルシリル)アミノ基、ビス(トリイソプロピルシリル)アミノ基、ビス(トリ−n−プロピルシリル)アミノ基、ビス(トリイソブチルシリル)アミノ基、ビス(トリ−t−ブチルシリル)アミノ基及びビス(トリフェニルシリル)アミノ基が含まれるが、これらに限定されない。
【0088】
ビス(ジヒドロカルビルヒドロシリル)アミノ基の具体例には、ビス(ジメチルヒドロシリル)アミノ基、ビス(ジエチルヒドロシリル)アミノ基、ビス(ジイソプロピルヒドロシリル)アミノ基、ビス(ジ−n−プロピルヒドロシリル)アミノ基、ビス(ジイソブチルヒドロシリル)アミノ基、ビス(ジ−t−ブチルヒドロシリル)アミノ基及びビス(ジフェニルヒドロシリル)アミノ基が含まれるが、これらに限定されない。
【0089】
1−アザ−ジシラ−1−シクロヒドロカルビル基の具体例には、2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル基、2,2,5,5−テトラエチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル基、2,2,5,5−テトラフェニル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル基、2,2,6,6−テトラメチル−1−アザ−2,6−ジシラ−1−シクロヘキシル基、2,2,6,6−テトラエチル−1−アザ−2,6−ジシラ−1−シクロヘキシル基及び2,2,6,6−テトラフェニル−1−アザ−2,6−ジシラ−1−シクロヘキシル基が含まれるが、これらに限定されない。
【0090】
(トリヒドロカルビルシリル)(ヒドロカルビル)アミノ基の具体例には、(トリメチルシリル)(メチル)アミノ基、(トリエチルシリル)(メチル)アミノ基、(トリフェニルシリル)(メチル)アミノ基、(トリメチルシリル)(エチル)アミノ基、(トリエチルシリル)(フェニル)アミノ基及び(トリイソプロピルシリル)(メチル)アミノ基が含まれるが、これらに限定されない。
【0091】
(ジヒドロカルビルヒドロシリル)(ヒドロカルビル)アミノ基の具体例には、(ジメチルヒドロシリル)(メチル)アミノ基、(ジエチルヒドロシリル)(メチル)アミノ基、(ジイソプロピルヒドロシリル)(メチル)アミノ基、(ジ−n−プロピルヒドロシリル)(エチル)アミノ基、(ジイソブチルヒドロシリル)(フェニル)アミノ基、(ジ−t−ブチルヒドロシリル)(フェニル)アミノ基及び(ジフェニルヒドロシリル)(フェニル)アミノ基が含まれるが、これらに限定されない。
【0092】
1−アザ−2−シラ−1−シクロヒドロカルビル基の具体例には、2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル基、2,2−ジエチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル基、2,2−ジフェニル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル基、2,2−ジイソプロピル−1−アザ−2−シラ−1−シクロヘキシル基、2,2−ジブチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロヘキシル基及び2,2−ジフェニル−1−アザ−2−シラ−1−シクロヘキシル基が含まれるが、これらに限定されない。
【0093】
1以上の態様において、モノシリル化アミノ基を含んだカルボン酸エステル又はチオカルボン酸エステルは、式I:
【化4】

[式中、Rは1価の有機基であり、Rは2価の有機基であり、Rはヒドロカルビル基であり、各々のRは、独立して、水素原子又は1価の有機基であり、或いは、Rは、1つのRと共にヒドロカルビレン基を形成し、各々のαは、独立して、酸素原子又は硫黄原子である]で定義することができる。1以上の態様において、Rと、1つのRとが共にヒドロカルビレン基を形成する場合、モノシリル化アミノ基を含んだカルボン酸エステル又はチオカルボン酸エステルは、式II:
【化5】


[式中、Rは1価の有機基であり、Rは2価の有機基であり、Rはヒドロカルビレン基であり、各々のRは、独立して、水素原子又は1価の有機基であり、各々のαは、独立して、酸素原子又は硫黄原子である]で表すことができる。
【0094】
1以上の態様において、ジシリル化アミノ基を含んだカルボン酸エステル又はチオカルボン酸エステルは、式III:
【化6】

[式中、Rは1価の有機基であり、Rは2価の有機基であり、各々のRは、独立して、水素原子又は1価の有機基であり、或いは、少なくとも2つのRは、共に2価の有機基を形成し、各々のαは、独立して、酸素原子又は硫黄原子である]で表すことができる。1以上の態様において、2つのRが共に2価の有機基を形成する場合、ジシリル化アミノ基を含んだカルボン酸エステル又はチオカルボン酸エステルは、式IV:
【化7】

[式中、Rは1価の有機基であり、R及びRは、各々独立して、2価の有機基であり、各々のRは、独立して、水素原子又は1価の有機基であり、各々のαは、独立して、酸素原子又は硫黄原子である]で表すことができる。
【0095】
1以上の態様において、エステルの1価の有機基は、ヒドロカルビル基又は置換ヒドロカルビル基であってよく、限定するものではないが、これは、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基、アリル基、アラルキル基、アルカリル基又はアルキニル基などである。置換ヒドロカルビル基には、1以上の水素原子が、置換基、例えば、ヒドロカルビル基、ヒドロカルビルオキシ基、シリル基又はシロキシ基などによって置き換えられたヒドロカルビル基が含まれる。1以上の態様において、これらの基は、1又は基を形成するのに適当な最小数から、約20までの炭素原子を含んでいてもよい。これらの基は、ヘテロ原子を含んでいてもよく、限定するものではないが、これは、例えば、窒素原子、ホウ素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子、スズ原子及びリン原子などである。
【0096】
1以上の態様において、エステルの1価の有機基は、シリル基又は置換シリル基であってよく、限定するものではないが、これは、例えば、トリヒドロカルビルシリル基、トリシリルオキシシリル基、トリヒドロカルビルオキシシリル基、トリシリルシリル基、ジヒドロカルビルヒドロシリル基、ジヒドロカルビル(シリルオキシ)シリル基、ジヒドロカルビル(シリル)シリル基、ジヒドロカルビル(ヒドロカルビルオキシ)シリル基、ヒドロカルビルジヒドロシリル基、ヒドロカルビル(ジシリルオキシ)シリル基、ヒドロカルビル(ジシリル)シリル基及びヒドロカルビル(ジヒドロカルビルオキシ)シリル基などである。例えば、シリル基のタイプには、トリアルキルシリル基、ジアルキルヒドロシリル基、ジアルキル(シリルオキシ)シリル基、ジアルキル(シリル)シリル基、トリシクロアルキルシリル基、ジシクロアルキルヒドロシリル基、ジシクロアルキル(シリルオキシ)シリル基、ジシクロアルキル(シリル)シリル基、トリアルケニルシリル基、ジアルケニルヒドロシリル基、ジアルケニル(シリルオキシ)シリル基、ジアルケニル(シリル)シリル基、トリシクロアルケニルシリル基、ジシロクロアルケニルヒドロシリル基、ジシクロアルケニル(シリルオキシ)シリル基、ジシクロアルケニル(シリル)シリル基、トリアリールシリル基、ジアリールヒドロシリル基、ジアリール(シリルオキシ)シリル基、ジアリール(シリル)シリル基、トリアリルシリル基、ジアリルヒドロシリル基、ジアリル(シリルオキシ)シリル基、ジアリル(シリル)シリル基、トリアラルキルシリル基、ジアラルキルヒドロシリル基、ジアラルキル(シリルオキシ)シリル基、ジアラルキル(シリル)シリル基、トリアルカリルシリル基、ジアルカリルヒドロシリル基、ジアルカリル(シリルオキシ)シリル基、ジアルカリル(シリル)シリル基、トリアルキニルシリル基、ジアルキニルヒドロシリル基、ジアルキニル(シリルオキシ)シリル基、ジアルキニル(シリル)シリル基、トリス(トリアルキルシリルオキシ)シリル基、トリス(トリアリールシリルオキシ)シリル基、トリス(トリシクロアルキルシリルオキシ)シリル基、トリス(トリアルコキシシリルオキシ)シリル基、トリス(トリアリールオキシシリルオキシ)シリル基又はトリス(トリシクロアルキルオキシシリルオキシ)シリル基などが含まれてもよい。置換シリル基には、1以上の水素原子が置換基、例えば、ヒドロカルビル基、ヒドロカルビルオキシ基、シリル基又はシリルオキシ基などによって置き換えられたシリル基が含まれる。1以上の態様において、これらの基は、1又は基を形成するのに適当な最小数から、約20までの炭素原子を含んでいてもよい。これらの基は、ヘテロ原子を含んでいてもよく、限定するものではないが、これは、例えば、窒素原子、ホウ素原子、酸素原子、ケイ素原子、硫黄原子、スズ原子及びリン原子などである。
【0097】
1以上の態様において、エステルの2価の有機基は、ヒドロカルビレン基又は置換ヒドロカルビレン基を含んでいてもよく、限定するものではないが、これは、例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基、シクロアルケニレン基、アルキニレン基、シクロアルキニレン基又はアリーレン基などである。置換ヒドロカルビレン基には、1以上の水素原子が、アルキル基などの置換基によって置き換えられたヒドロカルビレン基が含まれる。1以上の態様において、これらの基は、1又は基を形成するのに適当な最小数から、約20までの炭素原子を含んでいてもよい。これらの基は、1以上のヘテロ原子を含んでいてもよく、限定するものではないが、これは、例えば、窒素原子、酸素原子、ホウ素原子、ケイ素原子、硫黄原子、スズ原子及びリン原子などである。
【0098】
1以上の態様において、エステルの2価の有機基Rは、非複素環基である。他の態様では、2価の有機基Rは複素環基である。1以上の態様において、2価の有機基Rは、1以上のヘテロ原子を含んでいても含んでいなくてもよい、直鎖又は分岐の非環式の2価の有機基である。他の態様では、2価の有機基Rは、ヘテロ原子を持たない環式の2価の有機基である。1以上の態様において、2価の有機基Rは、1以上の追加のシリル化アミノ基及び/又は1以上の追加のカルボン酸エステル基若しくはチカルボン酸エステル基を含んでいてもよい。
【0099】
シリル化アミノ基を含んだカルボン酸エステルの典型的なタイプには、カルボン酸エステル、例えば、アレーンカルボン酸エステル、アルカンカルボン酸エステル、アルケンカルボン酸エステル、アルキンカルボン酸エステル、シクロアルカンカルボン酸エステル、シクロアルケンカルボン酸エステル、シクロアルキンカルボン酸エステル及び複素環式カルボン酸エステルなどから得られるものが含まれる。シリル化アミノ基を含んだチオカルボン酸エステルの典型的なタイプには、チオカルボン酸エステル、例えば、アレーンチオカルボン酸エステル、アルカンチオカルボン酸エステル、アルケンチオカルボン酸エステル、アルキンチオカルボン酸エステル、シクロアルカンチオカルボン酸エステル、シクロアルケンチオカルボン酸エステル、シクロアルキンチオカルボン酸エステル及び複素環式チオカルボン酸エステルなどから得られるものが含まれる。
【0100】
シリル化アミノ基を含んだ典型的なアレーンカルボン酸エステルには、カルボン酸エステル、例えば、ヒドロカルビルベンゾエート、シリルベンゾエート、ヒドロカルビル4−フェニルベンゾエート、シリル4−フェニルベンゾエート、ヒドロカルビル4−メチルベンゾエート、シリル4−メチルベンゾエート、ヒドロカルビル5−インデンカルボキシレート、シリル5−インデンカルボキシレート、ヒドロカルビル2−ナフタレンカルボキシレート、シリル2−ナフタレンカルボキシレート、ヒドロカルビル9−フェナントレンカルボキシレート、シリル9−フェナントレンカルボキシレート、ヒドロカルビル9−アントラセンカルボキシレート、シリル9−アントラセンカルボキシレート、ヒドロカルビル1−アズレンカルボキシレート及びシリル1−アズレンカルボキシレートなどから得られるものが含まれる。
【0101】
シリル化アミノ基を含んだ典型的なアルカンカルボン酸エステルには、カルボン酸エステル、例えば、ヒドロカルビルアセテート、シリルアセテート、ヒドロカルビルプロピオナート、シリルプロピオナート、ヒドロカルビルブチラート、シリルブチラート、ヒドロカルビルイソブチラート、シリルイソブチラート、ヒドロカルビルバレレート、シリルバレレート、ヒドロカルビルイソバレレート、シリルイソバレレート、ヒドロカルビルピバレート、シリルピバレート、ヒドロカルビルヘキサノアート、シリルヘキサノアート、ヒドロカルビルヘプタノアート、シリルヘプタノアート、ジヒドロカルビルマロナート、ジシリルマロナート、ジヒドロカルビルスクシナート、ジシリルスクシナート、ジヒドロカルビルグルタラート及びジシリルグルタラートなどから得られるものが含まれる。
【0102】
シリル化アミノ基を含んだ典型的なアルケンカルボン酸エステルには、カルボン酸エステル、例えば、ヒドロカルビルアクリレート、シリルアクリレート、ヒドロカルビルメタクリレート、シリルメタクリレート、ヒドロカルビルクロトナート、シリルクロトナート、ヒドロカルビル3−ブテノアート、シリル3−ブテノアート、ヒドロカルビル2−メチル−2−ブテノアート、シリル2−メチル−2−ブテノアート、ヒドロカルビル2−ペンテノアート、シリル2−ペンテノアート、ヒドロカルビル3−ペンテノアート、シリル3−ペンテノアート、ヒドロカルビル4−ペンテノアート、シリル4−ペンテノアート、ヒドロカルビル5−ヘキセノアート、シリル5−ヘキセノアート、ヒドロカルビル6−ヘプテノアート、シリル6−ヘプテノアート、ジヒドロカルビルフマレート、ジシリルフマレート、ジヒドロカルビルマレエート、ジシリルマレエート、ジヒドロカルビルメチレンマロナート、ジシリルメチレンマロナート、ジヒドロカルビルベンジリデンマロナート、ジシリルベンジリデンマロナート、ジヒドロカルビル2−メチレングルタラート及びジシリル2−メチレングルタラートなどから得られるものが含まれる。
【0103】
シリル化アミノ基を含んだ典型的なアルキンカルボン酸エステルには、カルボン酸エステル、例えば、ヒドロカルビル3−ブチノアート、シリル3−ブチノアート、ヒドロカルビル2−ペンチノアート、シリル2−ペンチノアート、ヒドロカルビル3−ペンチノアート、シリル3−ペンチノアート、ヒドロカルビル4−ペンチノアート、シリル4−ペンチノアート、ヒドロカルビル5−ヘキシノアート及びシリル5−ヘキシノアートなどから得られるものが含まれる。
【0104】
シリル化アミノ基を含んだ典型的なシクロアルカンカルボン酸エステルには、カルボン酸エステル、例えば、ヒドロカルビルシクロプロパンカルボキシレート、シリルシクロプロパンカルボキシレート、ヒドロカルビルシクロブタンカルボキシレート、シリルシクロブタンカルボキシレート、ヒドロカルビルシクロペンタンカルボキシレート、シリルシクロペンタンカルボキシレート、ヒドロカルビルシクロヘキサンカルボキシレート、シリルシクロヘキサンカルボキシレート、ヒドロカルビルシクロヘプタンカルボキシレート及びシリルシクロヘプタンカルボキシレートなどから得られるものが含まれる。
【0105】
シリル化アミノ基を含んだ典型的なシクロアルケンカルボン酸エステルには、カルボン酸エステル、例えば、ヒドロカルビル1−シクロプロペンカルボキシレート、シリル1−シクロプロペンカルボキシレート、ヒドロカルビル1−シクロブテンカルボキシレート、シリル1−シクロブテンカルボキシレート、ヒドロカルビル1−シクロペンテンカルボキシレート、シリル1−シクロペンテンカルボキシレート、ヒドロカルビル1−シクロヘキセンカルボキシレート、シリル1−シクロヘキセンカルボキシレート、ヒドロカルビル1−シクロヘプテンカルボキシレート及びシリル1−シクロヘプテンカルボキシレートなどから得られるものが含まれる。
【0106】
シリル化アミノ基を含んだ典型的な複素環式カルボン酸エステルには、カルボン酸エステル、例えば、ヒドロカルビル2−ピリジンカルボキシレート、シリル2−ピリジンカルボキシレート、ヒドロカルビル3−ピリジンカルボキシレート、シリル3−ピリジンカルボキシレート、ヒドロカルビル4−ピリジンカルボキシレート、シリル4−ピリジンカルボキシレート、ヒドロカルビル2−ピリミジンカルボキシレート、シリル2−ピリミジンカルボキシレート、ヒドロカルビル4−ピリミジンカルボキシレート、シリル4−ピリミジンカルボキシレート、ヒドロカルビル5−ピリミジンカルボキシレート、シリル5−ピリミジンカルボキシレート、ヒドロカルビルピラジンカルボキシレート、シリルピラジンカルボキシレート、ヒドロカルビル3−ピリダジンカルボキシレート、シリル3−ピリダジンカルボキシレート、ヒドロカルビル4−ピリダジンカルボキシレート及びシリル4−ピリダジンカルボキシレートなどから得られるものが含まれる。
【0107】
シリル化アミノ基を含んだ典型的なアレーンチオカルボン酸エステルには、チオカルボン酸エステル、例えば、ヒドロカルビルチオベンゾエート、シリルチオベゾエート、ヒドロカルビル4−フェニルチオベンゾエート、シリル4−フェニルチオベンゾエート、ヒドロカルビル4−メチルチオベンゾエート、シリル4−メチルチオベンゾエート、ヒドロカルビル5−インデンチオカルボキシレート、シリル5−インデンチオカルボキシレート、ヒドロカルビル2−ナフタレンチオカルボキシレート、シリル2−ナフタレンチオカルボキシレート、ヒドロカルビル9−フェナントレンチオカルボキシレート、シリル9−フェナントレンチオカルボキシレート、ヒドロカルビル9−アントラセンチオカルボキシレート、シリル9−アントラセンチオカルボキシレート、ヒドロカルビル1−アズレンチオカルボキシレート及びシリル1−アズレンチオカルボキシレートなどから得られるものが含まれる。
【0108】
シリル化アミノ基を含んだ典型的なアルカンチオカルボン酸エステルには、チオカルボン酸エステル、例えば、ヒドロカルビルチオアセテート、シリルチオアセテート、ヒドロカルビルチオプロピオナート、シリルチオプロピオナート、ヒドロカルビルチオブチラート、シリルチオブチラート、ヒドロカルビルチオイソブチラート、シリルチオイソブチラート、ヒドロカルビルチオバレレート、シリルチオバレレート、ヒドロカルビルチオイソバレレート、シリルチオイソバレレート、ヒドロカルビルチオピバレート、シリルチオピバレート、ヒドロカルビルチオヘキサノアート、シリルチオヘキサノアート、ヒドロカルビルチオヘプタノアート、シリルチオヘプタノアート、ジヒドロカルビルチオマロナート、ジシリルチオマロナート、ジヒドロカルビルチオスクシナート、ジシリルチオスクシナート、ジヒドロカルビルチオグルタラート及びジシリルチオグルタラートなどから得られるものが含まれる。
【0109】
シリル化アミノ基を含んだ典型的なアルケンチオカルボン酸エステルには、チオカルボン酸エステル、例えば、ヒドロカルビルチオアクリレート、シリルチオアクリレート、ヒドロカルビルチオメタクリレート、シリルチオメタクリレート、ヒドロカルビルチオクロトナート、シリルチオクロトナート、ヒドロカルビル3−チオブテノアート、シリル3−チオブテノアート、ヒドロカルビル2−メチル−2−チオブテノアート、シリル2−メチル−2−チオブテノアート、ヒドロカルビル2−チオペンテノアート、シリル2−チオペンテノアート、ヒドロカルビル3−チオペンテノアート、シリル3−チオペンテノアート、ヒドロカルビル4−チオペンテノアート、シリル4−チオペンテノアート、ヒドロカルビル5−チオヘキセノアート、シリル5−チオヘキセノアート、ヒドロカルビル6−チオヘプテノアート、シリル6−チオヘプテノアート、ジヒドロカルビルチオフマレート、ジシリルチオフマレート、ジヒドロカルビルチオマレエート、ジシリルチオマレエート、ジヒドロカルビルメチレンチオマロナート、ジシリルメチレンチオマロナート、ジヒドロカルビルベンジリデンチオマロナート、ジシリルベンジリデンチオマロナート、ジヒドロカルビル2−メチレンチオグルタラート及びジシリル2−メチレンチオグルタラートなどから得られるものが含まれる。
【0110】
シリル化アミノ基を含んだ典型的なアルキンチオカルボン酸エステルには、チオカルボン酸エステル、例えば、ヒドロカルビル3−チオブチノアート、シリル3−チオブチノアート、ヒドロカルビル2−チオペンチノアート、シリル2−チオペンチノアート、ヒドロカルビル3−チオペンチノアート、シリル3−チオペンチノアート、ヒドロカルビル4−チオペンチノアート、シリル4−チオペンチノアート、ヒドロカルビル5−チオヘキシノアート及びシリル5−チオヘキシノアートなどから得られるものが含まれる。
【0111】
シリル化アミノ基を含んだ典型的なシクロアルカンチオカルボン酸エステルには、チオカルボン酸エステル、例えば、ヒドロカルビルシクロプロパンチオカルボキシレート、シリルシクロプロパンチオカルボキシレート、ヒドロカルビルシクロブタンチオカルボキシレート、シリルシクロブタンチオカルボキシレート、ヒドロカルビルシクロペンタンチオカルボキシレート、シリルシクロペンタンチオカルボキシレート、ヒドロカルビルシクロヘキサンチオカルボキシレート、シリルシクロヘキサンチオカルボキシレート、ヒドロカルビルシクロヘプタンチオカルボキシレート及びシリルシクロヘプタンチオカルボキシレートなどから得られるものが含まれる。
【0112】
シリル化アミノ基を含んだ典型的なシクロアルケンチオカルボン酸エステルには、チオカルボン酸エステル、例えば、ヒドロカルビル1−シクロプロペンチオカルボキシレート、シリル1−シクロプロペンチオカルボキシレート、ヒドロカルビル1−シクロブテンチオカルボキシレート、シリル1−シクロブテンチオカルボキシレート、ヒドロカルビル1−シクロペンテンチオカルボキシレート、シリル1−シクロペンテンチオカルボキシレート、ヒドロカルビル1−シクロヘキセンチオカルボキシレート、シリル1−シクロヘキセンチオカルボキシレート、ヒドロカルビル1−シクロヘプテンチオカルボキシレート及びシリル1−シクロヘプテンチオカルボキシレートなどから得られるものが含まれる。
【0113】
シリル化アミノ基を含んだ典型的な複素環式チオカルボン酸エステルには、チオカルボン酸エステル、例えば、ヒドロカルビル2−ピリジンチオカルボキシレート、シリル2−ピリジンチオカルボキシレート、ヒドロカルビル3−ピリジンチオカルボキシレート、シリル3−ピリジンチオカルボキシレート、ヒドロカルビル4−ピリジンチオカルボキシレート、シリル4−ピリジンチオカルボキシレート、ヒドロカルビル2−ピリミジンチオカルボキシレート、シリル2−ピリミジンチオカルボキシレート、ヒドロカルビル4−ピリミジンチオカルボキシレート、シリル4−ピリミジンチオカルボキシレート、ヒドロカルビル5−ピリミジンチオカルボキシレート、シリル5−ピリミジンチオカルボキシレート、ヒドロカルビルピラジンチオカルボキシレート、シリルピラジンチオカルボキシレート、ヒドロカルビル3−ピリダジンチオカルボキシレート、シリル3−ピリダジンチオカルボキシレート、ヒドロカルビル4−ピリダジンチオカルボキシレート及びシリル4−ピリダジンチオカルボキシレートなどから得られるものが含まれる。
【0114】
シリル化アミノ基を含んだアレーンカルボン酸エステルの典型的なタイプには、[ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ]アレーンカルボン酸エステル、[ビス(ジヒドロカルビルヒドロシリル)アミノ]アレーンカルボン酸エステル、(1−アザ−ジシラ−1−シクロヒドロカルビル)アレーンカルボン酸エステル、[(トリヒドロカルビルシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]アレーンカルボン酸エステル、[(ジヒドロカルビルヒドロシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]アレーンカルボン酸エステル及び(1−アザ−2−シラ−1−シクロヒドロカルビル)アレーンカルボン酸エステルが含まれる。
【0115】
シリル化アミノ基を含んだアルカンカルボン酸エステルの典型的なタイプには、[ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ]アルカンカルボン酸エステル、[ビス(ジヒドロカルビルヒドロシリル)アミノ]アルカンカルボン酸エステル、(1−アザ−ジシラ−1−シクロヒドロカルビル)アルカンカルボン酸エステル、[(トリヒドロカルビルシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]アルカンカルボン酸エステル、[(ジヒドロカルビルヒドロシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]アルカンカルボン酸エステル及び(1−アザ−2−シラ−1−シクロヒドロカルビル)アルカンカルボン酸エステルが含まれる。
【0116】
シリル化アミノ基を含んだアルケンカルボン酸エステルの典型的なタイプには、[ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ]アルケンカルボン酸エステル、[ビス(ジヒドロカルビルヒドロシリル)アミノ]アルケンカルボン酸エステル、(1−アザ−ジシラ−1−シクロヒドロカルビル)アルケンカルボン酸エステル、[(トリヒドロカルビルシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]アルケンカルボン酸エステル、[(ジヒドロカルビルヒドロシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]アルケンカルボン酸エステル及び(1−アザ−2−シラ−1−シクロヒドロカルビル)アルケンカルボン酸エステルが含まれる。
【0117】
シリル化アミノ基を含んだアルキンカルボン酸エステルの典型的なタイプには、[ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ]アルキンカルボン酸エステル、[ビス(ジヒドロカルビルヒドロシリル)アミノ]アルキンカルボン酸エステル、(1−アザ−ジシラ−1−シクロヒドロカルビル)アルキンカルボン酸エステル、[(トリヒドロカルビルシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]アルキンカルボン酸エステル、[(ジヒドロカルビルヒドロシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]アルキンカルボン酸エステル及び(1−アザ−2−シラ−1−シクロヒドロカルビル)アルキンカルボン酸エステルが含まれる。
【0118】
シリル化アミノ基を含んだシクロアルカンカルボン酸エステルの典型的なタイプには、[ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ]シクロアルカンカルボン酸エステル、[ビス(ジヒドロカルビルヒドロシリル)アミノ]シクロアルカンカルボン酸エステル、(1−アザ−ジシラ−1−シクロヒドロカルビル)シクロアルカンカルボン酸エステル、[(トリヒドロカルビルシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]シクロアルカンカルボン酸エステル、[(ジヒドロカルビルヒドロシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]シクロアルカンカルボン酸エステル及び(1−アザ−2−シラ−1−シクロヒドロカルビル)シクロアルカンカルボン酸エステルが含まれる。
【0119】
シリル化アミノ基を含んだシクロアルケンカルボン酸エステルの典型的なタイプには、[ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ]シクロアルケンカルボン酸エステル、[ビス(ジヒドロカルビルヒドロシリル)アミノ]シクロアルケンカルボン酸エステル、(1−アザ−ジシラ−1−シクロヒドロカルビル)シクロアルケンカルボン酸エステル、[(トリヒドロカルビルシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]シクロアルケンカルボン酸エステル、[(ジヒドロカルビルヒドロシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]シクロアルケンカルボン酸エステル及び(1−アザ−2−シラ−1−シクロヒドロカルビル)シクロアルケンカルボン酸エステルが含まれる。
【0120】
シリル化アミノ基を含んだ典型的なシクロアルキンカルボン酸エステルの典型的なタイプには、[ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ]シクロアルキンカルボン酸エステル、[ビス(ジヒドロカルビルヒドロシリル)アミノ]シクロアルキンカルボン酸エステル、(1−アザ−ジシラ−1−シクロヒドロカルビル)シクロアルキンカルボン酸エステル、[(トリヒドロカルビルシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]シクロアルキンカルボン酸エステル、[(ジヒドロカルビルヒドロシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]シクロアルキンカルボン酸エステル及び(1−アザ−2−シラ−1−シクロヒドロカルビル)シクロアルキンカルボン酸エステルが含まれる。
【0121】
シリル化アミノ基を含んだ複素環式カルボン酸エステルの典型的なタイプには、[ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ]複素環式カルボン酸エステル、[ビス(ジヒドロカルビルヒドロシリル)アミノ]複素環式カルボン酸エステル、(1−アザ−ジシラ−1−シクロヒドロカルビル)複素環式カルボン酸エステル、[(トリヒドロカルビルシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]複素環式カルボン酸エステル、[(ジヒドロカルビルヒドロシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]複素環式カルボン酸エステル及び(1−アザ−2−シラ−1−シクロヒドロカルビル)複素環式カルボン酸エステルが含まれる。
【0122】
シリル化アミノ基を含んだアレーンチオカルボン酸エステルの典型的なタイプには、[ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ]アレーンチオカルボン酸エステル、[ビス(ジヒドロカルビルヒドロシリル)アミノ]アレーンチオカルボン酸エステル、(1−アザ−ジシラ−1−シクロヒドロカルビル)アレーンチオカルボン酸エステル、[(トリヒドロカルビルシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]アレーンチオカルボン酸エステル、[(ジヒドロカルビルヒドロシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]アレーンチオカルボン酸エステル及び(1−アザ−2−シラ−1−シクロヒドロカルビル)アレーンチオカルボン酸エステルが含まれる。
【0123】
シリル化アミノ基を含んだアルカンチオカルボン酸エステルの典型的なタイプには、[ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ]アルカンチオカルボン酸エステル、[ビス(ジヒドロカルビルヒドロシリル)アミノ]アルカンチオカルボン酸エステル、(1−アザ−ジシラ−1−シクロヒドロカルビル)アルカンチオカルボン酸エステル、[(トリヒドロカルビルシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]アルカンチオカルボン酸エステル、[(ジヒドロカルビルヒドロシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]アルカンチオカルボン酸エステル及び(1−アザ−2−シラ−1−シクロヒドロカルビル)アルカンチオカルボン酸エステルが含まれる。
【0124】
シリル化アミノ基を含んだアルケンチオカルボン酸エステルの典型的なタイプには、[ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ]アルケンチオカルボン酸エステル、[ビス(ジヒドロカルビルヒドロシリル)アミノ]アルケンチオカルボン酸エステル、(1−アザ−ジシラ−1−シクロヒドロカルビル)アルケンチオカルボン酸エステル、[(トリヒドロカルビルシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]アルケンチオカルボン酸エステル、[(ジヒドロカルビルヒドロシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]アルケンチオカルボン酸エステル及び(1−アザ−2−シラ−1−シクロヒドロカルビル)アルケンチオカルボン酸エステルが含まれる。
【0125】
シリル化アミノ基を含んだアルキンチオカルボン酸エステルの典型的なタイプには、[ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ]アルキンチオカルボン酸エステル、[ビス(ジヒドロカルビルヒドロシリル)アミノ]アルキンチオカルボン酸エステル、(1−アザ−ジシラ−1−シクロヒドロカルビル)アルキンチオカルボン酸エステル、[(トリヒドロカルビルシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]アルキンチオカルボン酸エステル、[(ジヒドロカルビルヒドロシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]アルキンチオカルボン酸エステル及び(1−アザ−2−シラ−1−シクロヒドロカルビル)アルキンチオカルボン酸エステルが含まれる。
【0126】
シリル化アミノ基を含んだシクロアルカンチオカルボン酸エステルの典型的なタイプには、[ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ]シクロアルカンチオカルボン酸エステル、[ビス(ジヒドロカルビルヒドロシリル)アミノ]シクロアルカンチオカルボン酸エステル、(1−アザ−ジシラ−1−シクロヒドロカルビル)シクロアルカンチオカルボン酸エステル、[(トリヒドロカルビルシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]シクロアルカンチオカルボン酸エステル、[(ジヒドロカルビルヒドロシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]シクロアルカンチオカルボン酸エステル及び(1−アザ−2−シラ−1−シクロヒドロカルビル)シクロアルカンチオカルボン酸エステルが含まれる。
【0127】
シリル化アミノ基を含んだシクロアルケンチオカルボン酸エステルの典型的なタイプには、[ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ]シクロアルケンチオカルボン酸エステル、[ビス(ジヒドロカルビルヒドロシリル)アミノ]シクロアルケンチオカルボン酸エステル、(1−アザ−ジシラ−1−シクロヒドロカルビル)シクロアルケンチオカルボン酸エステル、[(トリヒドロカルビルシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]シクロアルケンチオカルボン酸エステル、[(ジヒドロカルビルヒドロシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]シクロアルケンチオカルボン酸エステル及び(1−アザ−2−シラ−1−シクロヒドロカルビル)シクロアルケンチオカルボン酸エステルが含まれる。
【0128】
シリル化アミノ基を含んだシクロアルキンチオカルボン酸エステルの典型的なタイプには、[ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ]シクロアルキンチオカルボン酸エステル、[ビス(ジヒドロカルビルヒドロシリル)アミノ]シクロアルキンチオカルボン酸エステル、(1−アザ−ジシラ−1−シクロヒドロカルビル)シクロアルキンチオカルボン酸エステル、[(トリヒドロカルビルシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]シクロアルキンチオカルボン酸エステル、[(ジヒドロカルビルヒドロシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]シクロアルキンチオカルボン酸エステル及び(1−アザ−2−シラ−1−シクロヒドロカルビル)シクロアルキンチオカルボン酸エステルが含まれる。
【0129】
シリル化アミノ基を含んだ複素環式チオカルボン酸エステルの典型的なタイプには、[ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ]複素環式チオカルボン酸エステル、[ビス(ジヒドロカルビルヒドロシリル)アミノ]複素環式チオカルボン酸エステル、(1−アザ−ジシラ−1−シクロヒドロカルビル)複素環式チオカルボン酸エステル、[(トリヒドロカルビルシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]複素環式チオカルボン酸エステル、[(ジヒドロカルビルヒドロシリル)(ヒドロカルビル)アミノ]複素環式チオカルボン酸エステル及び(1−アザ−2−シラ−1−シクロヒドロカルビル)複素環式チオカルボン酸エステルが含まれる。
【0130】
シリル化アミノ基を含んだアレーンカルボン酸エステルの具体例には、エチル2−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]ベンゾエート、エチル3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]ベンゾエート、エチル4−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]ベンゾエート、フェニル3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]ベンゾエート、トリメチルシリル4−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]ベンゾエート、エチル2−[ビス(トリメチルシリル)アミノメチル]ベンゾエート、エチル3−[ビス(トリメチルシリル)アミノメチル]ベンゾエート、エチル4−[ビス(トリメチルシリル)アミノメチル]ベンゾエート、フェニル3−[ビス(トリメチルシリル)アミノメチル]ベンゾエート、トリメチルシリル4−[ビス(トリメチルシリル)アミノメチル]ベンゾエート、エチル2−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)ベンゾエート、フェニル3−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)ベンゾエート、トリメチルシリル4−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)ベンゾエート、エチル2−[(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)メチル]ベンゾエート、フェニル3−[(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)メチル]ベンゾエート、トリメチルシリル4−[(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)メチル]ベンゾエート、エチル2−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]ベンゾエート、フェニル3−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]ベンゾエート、トリメチルシリル4−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]ベンゾエート、エチル2−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノメチル]ベンゾエート、フェニル3−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノメチル]ベンゾエート、トリメチルシリル4−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノメチル]ベンゾエート、エチル2−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)ベンゾエート、フェニル3−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)ベンゾエート、トリメチルシリル4−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)ベンゾエート、エチル2−[(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)メチル]ベンゾエート、フェニル3−[(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)メチル]ベンゾエート及びトリメチルシリル4−[(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)メチル]ベンゾエートが含まれる。
【0131】
シリル化アミノ基を含んだアルカンカルボン酸エステルの具体例には、エチル[ビス(トリメチルシリル)アミノ]アセテート、エチル3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]プロピオナート、トリエチル−[3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]プロピル]メタントリカルボキシレート、フェニル3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]プロピオナート、トリメチルシリル4−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]ブチラート、エチル5−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]バレレート、フェニル(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)アセテート、トリエチル[3−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)プロピル]メタントリカルボキシレート、トリメチルシリル3−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)プロピオナート、エチル4−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)ブチラート、フェニル5−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)バレレート、トリメチルシリル[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]アセテート、エチル[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]アセテート、フェニル3−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]プロピオナート、トリメチルシリル3−[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]プロピオナート、エチル4−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]ブチラート、フェニル4−[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]ブチラート、トリメチルシリル5−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]バレレート、エチル5−[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]バレレート、エチル(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)アセテート、フェニル3−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)プロピオナート、トリメチルシリル4−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)ブチラート及びエチル5−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)バレレートが含まれる。
【0132】
シリル化アミノ基を含んだアルケンカルボン酸エステルの具体例には、エチル3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]クロトナート、フェニル3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]4−ペンテノアート、トリメチルシリル3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]−5−ヘキセノアート、エチル3−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)クロトナート、フェニル3−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)−4−ペンテノアート、トリメチルシリル3−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)−5−ヘキセノアート、エチル3−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]クロトナート、フェニル3−[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]クロトナート、トリメチルシリル3−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]−4−ペンテノアート、エチル3−[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]−4−ペンテノアート、フェニル3−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]−5−ヘキセノアート、トリメチルシリル3−[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]−5−ヘキセノアート、エチル3−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)クロトナート、フェニル3−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)−4−ペンテノアート及びトリメチルシリル3−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)−5−ヘキセノアートが含まれる。
【0133】
シリル化アミノ基を含んだアルキンカルボン酸エステルの具体例には、エチル3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]−4−ペンチノアート、フェニル3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]−5−ヘキシノアート、トリメチルシリル3−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)−4−ペンチノアート、エチル3−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)−5−ヘキシノアート、フェニル3−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]−4−ペンチノアート、トリメチルシリル3−[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]−4−ペンチノアート、エチル3−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]−5−ヘキシノアート、フェニル3−[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]−5−ヘキシノアート、トリメチルシリル3−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)−4−ペンチノアート及びエチル3−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)−5−ヘキシノアートが含まれる。
【0134】
シリル化アミノ基を含んだシクロアルカンカルボン酸エステルの具体例には、エチル2−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]シクロペンタンカルボキシレート、エチル3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]シクロペンタンカルボキシレート、エチル2−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]シクロヘキサンカルボキシレート、エチル3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]シクロヘキサンカルボキシレート、エチル4−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]シクロヘキサンカルボキシレート、フェニル4−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]シクロヘキサンカルボキシレート、トリメチルシリル3−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)シクロペンタンカルボキシレート、エチル4−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)シクロヘキサンカルボキシレート、フェニル3−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]シクロペンタンカルボキシレート、トリメチルシリル3−[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]シクロペンタンカルボキシレート、エチル4−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]シクロヘキサンカルボキシレート、フェニル4−[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]シクロヘキサンカルボキシレート、トリメチルシリル3−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)シクロペンタンカルボキシレート及びエチル4−[(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)シクロヘキサンカルボキシレートが含まれる。
【0135】
シリル化アミノ基を含んだシクロアルケンカルボン酸エステルの具体例には、エチル4−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]シクロペンテン−1−カルボキシレート、フェニル4−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]シクロヘキセン−1−カルボキシレート、トリメチルシリル4−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)シクロペンテン−1−カルボキシレート、エチル4−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)シクロヘキセン−1−カルボキシレート、フェニル4−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]シクロペンテン−1−カルボキシレート、トリメチルシリル4−[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]シクロペンテン−1−カルボキシレート、エチル4−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]シクロヘキセン−1−カルボキシレート、フェニル4−[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]シクロヘキセン−1−カルボキシレート、トリメチルシリル4−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)シクロペンテン−1−カルボキシレート及びエチル4−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)シクロヘキセン−1−カルボキシレートが含まれる。
【0136】
シリル化アミノ基を含んだ複素環式カルボン酸エステルの具体例には、エチル5−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]−2−ピリジンカルボキシレート、フェニル5−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]−2−ピリミジンカルボキシレート、トリメチルシリル5−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)−2−ピリジンカルボキシレート、エチル5−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)−2−ピリミジンカルボキシレート、フェニル5−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]−2−ピリジンカルボキシレート、トリメチルシリル5−[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]−2−ピリジンカルボキシレート、エチル5−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]−2−ピリミジンカルボキシレート、フェニル5−[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]−2−ピリミジンカルボキシレート、トリメチルシリル5−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)−2−ピリジンカルボキシレート及びエチル5−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)−2−ピリミジンカルボキシレートが含まれる。
【0137】
シリル化アミノ基を含んだアレーンチオカルボン酸エステルの具体例には、エチル2−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]チオベンゾエート、エチル3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]チオベンゾエート、エチル4−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]チオベンゾエート、フェニル3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]チオベンゾエート、トリメチルシリル4−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]チオベンゾエート、エチル2−[ビス(トリメチルシリル)アミノメチル]チオベンゾエート、エチル3−[ビス(トリメチルシリル)アミノメチル]チオベンゾエート、エチル4−[ビス(トリメチルシリル)アミノメチル]チオベンゾエート、フェニル3−[ビス(トリメチルシリル)アミノメチル]チオベンゾエート、トリメチルシリル4−[ビス(トリメチルシリル)アミノメチル]チオベンゾエート、エチル2−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)チオベンゾエート、フェニル3−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)チオベンゾエート、トリメチルシリル4−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)チオベンゾエート、エチル2−[(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)メチル]チオベンゾエート、フェニル3−[(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)メチル]チオベンゾエート、トリメチルシリル4−[(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)メチル]チオベンゾエート、エチル2−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]チオベンゾエート、フェニル3−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]チオベンゾエート、トリメチルシリル4−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]チオベンゾエート、エチル2−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノメチル]チオベンゾエート、フェニル3−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノメチル]チオベンゾエート、トリメチルシリル4−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノメチル]チオベンゾエート、エチル2−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)チオベンゾエート、フェニル3−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)チオベンゾエート、トリメチルシリル4−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)チオベンゾエート、エチル2−[(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)メチル]チオベンゾエート、フェニル3−[(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)メチル]チオベンゾエート及びトリメチルシリル4−[(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)メチル]チオベンゾエートが含まれる。
【0138】
シリル化アミノ基を含んだアルカンチオカルボン酸エステルの具体例には、エチル[ビス(トリメチルシリル)アミノ]チオアセテート、エチル3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]チオプロピオナート、フェニル3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]チオプロピオナート、トリメチルシリル4−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]チオブチラート、エチル5−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]チオバレレート、フェニル(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)チオアセテート、トリメチルシリル3−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)チオプロピオナート、エチル4−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)チオブチラート、フェニル5−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)チオバレレート、トリメチルシリル[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]チオアセテート、エチル[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]チオアセテート、フェニル3−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]チオプロピオナート、トリメチルシリル3−[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]チオプロピオナート、エチル4−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]チオブチラート、フェニル4−[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]チオブチラート、トリメチルシリル5−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]チオバレレート、エチル5−[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]チオバレレート、エチル(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)チオアセテート、フェニル3−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)チオプロピオナート、トリメチルシリル4−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)チオブチラート及びエチル5−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)チオバレレートが含まれる。
【0139】
シリル化アミノ基を含んだアルケンチオカルボン酸エステルの具体例には、エチル3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]チオクロトナート、フェニル3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]−4−チオペンテノアート、トリメチルシリル3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]−5−チオヘキセノアート、エチル3−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)チオクロトナート、フェニル3−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)−4−チオペンテノアート、トリメチルシリル3−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)−5−チオヘキセノアート、エチル3−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]チオクロトナート、フェニル3−[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]チオクロトナート、トリメチルシリル3−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]−4−チオペンテノアート、エチル3−[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]−4−チオペンテノアート、フェニル3−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]−5−チオヘキセノアート、トリメチルシリル3−[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]−5−チオヘキセノアート、エチル3−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)チオクロトナート、フェニル3−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)−4−チオペンテノアート及びトリメチルシリル3−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)−5−チオヘキセノアートが含まれる。
【0140】
シリル化アミノ基を含んだアルキンチオカルボン酸エステルの具体例には、エチル3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]−4−チオペンチノアート、フェニル3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]−5−チオヘキシノアート、トリメチルシリル3−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)−4−チオペンチノアート、エチル3−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)−5−チオヘキシノアート、フェニル3−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]−4−チオペンチノアート、トリメチルシリル3−[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]−4−チオペンチノアート、エチル3−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]−5−チオヘキシノアート、フェニル3−[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]−5−チオヘキシノアート、トリメチルシリル3−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)−4−チオペンチノアート及びエチル3−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)−5−チオヘキシノアートが含まれる。
【0141】
シリル化アミノ基を含んだシクロアルカンチオカルボン酸エステルの具体例には、エチル2−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]シクロペンタンチオカルボキシレート、エチル3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]シクロペンタンチオカルボキシレート、エチル2−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]シクロヘキサンチオカルボキシレート、エチル3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]シクロヘキサンチオカルボキシレート、エチル4−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]シクロヘキサンチオカルボキシレート、フェニル4−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]シクロヘキサンチオカルボキシレート、トリメチルシリル3−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)シクロペンタンチオカルボキシレート、エチル4−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)シクロヘキサンチオカルボキシレート、フェニル3−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]シクロペンタンチオカルボキシレート、トリメチルシリル3−[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]シクロペンタンチオカルボキシレート、エチル4−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]シクロヘキサンチオカルボキシレート、フェニル4−[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]シクロヘキサンチオカルボキシレート、トリメチルシリル3−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)シクロペンタンチオカルボキシレート及びエチル4−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)シクロヘキサンチオカルボキシレートが含まれる。
【0142】
シリル化アミノ基を含んだシクロアルケンチオカルボン酸エステルの具体例には、エチル4−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]シクロペンテン−1−チオカルボキシレート、フェニル4−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]シクロヘキセン−1−チオカルボキシレート、トリメチルシリル4−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)シクロペンテン−1−チオカルボキシレート、エチル4−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)シクロヘキセン−1−チオカルボキシレート、フェニル4−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]シクロペンテン−1−チオカルボキシレート、トリメチルシリル4−[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]シクロペンテン−1−チオカルボキシレート、エチル4−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]シクロヘキセン−1−チオカルボキシレート、フェニル4−[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]シクロヘキセン−1−チオカルボキシレート、トリメチルシリル4−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)シクロペンテン−1−チオカルボキシレート及びエチル4−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)シクロヘキセン−1−チオカルボキシレートが含まれる。
【0143】
シリル化アミノ基を含んだ複素環式チオカルボン酸エステルの具体例には、エチル5−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]−2−ピリジンチオカルボキシレート、フェニル5−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]−2−ピリミジンチオカルボキシレート、トリメチルシリル5−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)−2−ピリジンチオカルボキシレート、エチル5−(2,2,5,5−テトラメチル−1−アザ−2,5−ジシラ−1−シクロペンチル)−2−ピリミジンチオカルボキシレート、フェニル5−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]−2−ピリジンチオカルボキシレート、トリメチルシリル5−[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]−2−ピリジンチオカルボキシレート、エチル5−[(トリメチルシリル)(メチル)アミノ]−2−ピリミジンチオカルボキシレート、フェニル5−[(トリメチルシリル)(エチル)アミノ]−2−ピリミジンチオカルボキシレート、トリメチルシリル5−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)−2−ピリジンチオカルボキシレート及びエチル5−(2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラ−1−シクロペンチル)−2−ピリミジンチオカルボキシレートが含まれる。
【0144】
1以上の態様において、シリル化アミノ基を含んだカルボン酸エステル又はチオカルボン酸エステルは、第1級アミノ基(即ち、−NH)又は式:−NH(R)[式中、Rは、例えば、ヒドロカルビル基又はシリル基などの1価の有機基である]で表される第2級アミノ基を含んだカルボン酸エステル又はチオカルボン酸エステルをシリル化することによって合成することができる。典型的なシリル化剤には、トリアルキルシリルハライド、1,2−ビス(クロロジメチルシリル)エタン及びトリアルキルシリルトリフルオロメタンスルホナートが含まれる。塩基、例えば、トリエチルアミンなどがシリル化反応の間に形成される酸を中和するために使用されてもよい。
【0145】
本発明の官能化ポリマーを生成するために重合混合物に添加することができる、シリル化アミノ基を含んだカルボン酸エステル又はチオカルボン酸エステルの量は、反応性ポリマーを合成するのに使用される触媒のタイプ及び量並びに望まれる官能化の程度を含む種々の要因によって決定されてよい。反応性ポリマーがランタニド系触媒を使用して調製される1以上の態様では、使用されるエステルの量は、ランタニド含有化合物のランタニド金属に関連して記載され得る。例えば、ランタニド金属に対するエステルのモル比は、約1:1〜約200:1、他の態様では、約5:1〜約150:1、別の態様では、約10:1〜約100:1である。
【0146】
1以上の態様において、シリル化アミノ基を含んだカルボン酸エステル又はチオカルボン酸エステルに加え、共官能化剤を重合混合物に添加して、適合した性質を有する官能化ポリマーを生成してもよい。2以上の共官能化剤の混合物を使用してもよい。エステルの導入の前、それと同時又はその後に、共官能化剤を重合混合物に添加してもよい。1以上の態様において、エステルの導入の少なくとも5分後、他の態様では、少なくとも10分後、別の態様では、少なくとも30分後に共官能化剤を重合混合物に添加する。
【0147】
1以上の態様において、共官能化剤は、化合物又は試薬を含み、これは、本発明により製造される反応性ポリマーと反応することによって、共官能化剤と反応していない成長性の鎖とは異なる官能基をポリマーに提供することができる。官能基は、他のポリマー鎖(成長性及び/又は非成長性の)或いは他の構成成分、例えば、ポリマーと組み合わされ得る補強性充填剤(例えば、カーボンブラック)などに対して反応性であるか又は相互作用的なものであってよい。1以上の態様において、共官能化剤と反応性ポリマーとの間の反応は、付加反応又は置換反応によって進行する。
【0148】
有用な共官能化剤には、2以上のポリマー鎖を結合することなくポリマー鎖の末端に官能基を提供するに過ぎない化合物、及び官能性の結合を介して2以上のポリマー鎖を連結又は結合させて1つの高分子を形成することができる化合物が含まれてもよい。後者のタイプの共官能化剤は、カップリング剤と称されてもよい。
【0149】
1以上の態様において、共官能化剤には、ポリマー鎖にヘテロ原子を付加又は付与する化合物が含まれる。特定の態様では、共官能化剤には、ポリマー鎖に官能基を付与し、官能化ポリマーを形成するであろう化合物が含まれ、この官能化ポリマーは、非官能化ポリマーから調製した同様のカーボンブラック充填加硫物と比較して、官能化ポリマーから調製したカーボンブラック充填加硫物の50℃のヒステリシスロスを低減する。1以上の態様では、このヒステリシスロスの低減は、少なくとも5%、他の態様では、少なくとも10%、別の態様では、少なくとも15%である。
【0150】
1以上の態様において、適切な共官能化剤には、本発明に従い製造された反応性ポリマーと反応することのできる基を含んだ化合物が含まれる。典型的な共官能化剤には、ケトン、キノン、アルデヒド、アミド、エステル、イソシアネート、イソチオシアネート、エポキシド、イミン、アミノケトン、アミノチオケトン及び酸無水物が含まれる。これらの化合物の例は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,906,706号、第4,990,573号、第5,064,910号、第5,567,784号、第5,844,050号、第6,838,526号、第6,977,281号及び第6,992,147号、米国特許公開第2006/0004131 A1号、第2006/0025539 A1号、第2006/0030677 A1号及び第2004/0147694 A1号、特開平05−051406 A号公報、特開平05−059103 A号公報、特開平10−306113 A号公報及び特開平11−035633 A号公報に開示されている。共官能化剤の他の例には、米国出願第11/640,711号に記載のアジン化合物、米国出願第11/710,713号に開示されるヒドロベンズアミド化合物、米国出願第11/710,845号に開示されるニトロ化合物及び米国出願第60/875,484号に開示される保護されたオキシム化合物が挙げられ、これらは全て参照により本明細書に組み込まれる。
【0151】
特定の態様では、使用される共官能化剤は、金属ハライド、半金属ハライド、アルコキシシラン、金属カルボキシレート、ヒドロカルビル金属カルボキシレート、ヒドロカルビル金属エステル−カルボキシレート及び金属アルコキシドであってよい。
【0152】
典型的な金属ハライド化合物には、スズテトラクロライド、スズテトラブロマイド、スズテトラアイオダイド、n−ブチルスズトリクロライド、フェニルスズトリクロライド、ジ−n−ブチルスズジクロライド、ジフェニルスズジクロライド、トリ−n−ブチルスズクロライド、トリフェニルスズクロライド、ゲルマニウムテトラクロライド、ゲルマニウムテトラブロマイド、ゲルマニウムテトラアイオダイド、n−ブチルゲルマニウムトリクロライド、ジ−n−ブチルゲルマニウムジクロライド及びトリ−n−ブチルゲルマニウムクロライドが含まれる。
【0153】
典型的な半金属ハライド化合物には、四塩化ケイ素、四臭化ケイ素、四ヨウ化ケイ素、メチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、三ヨウ化ホウ素、三塩化リン、三臭化リン及び三ヨウ化リンが含まれる。
【0154】
1以上の態様において、アルコキシシランは、エポキシ基及びイソシアネート基からなる群より選択される少なくとも1つの基を含んでいてもよい。
【0155】
エポキシ基を含んだ典型的なアルコキシシラン化合物には、(3−グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)トリエトキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)トリフェノキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)メチルジエトキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)メチルジフェノキシシラン、[2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル]トリメトキシシラン及び[2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル]トリエトキシシランが含まれる。
【0156】
イソシアネート基を含んだ典型的なアルコキシシラン化合物には、(3−イソシアネートプロピル)トリメトキシシラン、(3−イソシアネートプロピル)トリエトキシシラン、(3−イソシアネートプロピル)トリフェノキシシラン、(3−イソシアネートプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−イソシアネートプロピル)メチルジエトキシシラン、(3−イソシアネートプロピル)メチルジフェノキシシラン及び(イソシアネートメチル)メチルジメトキシシランが含まれる。
【0157】
典型的な金属カルボキシレート化合物には、スズテトラアセテート、スズビス(2−エチルヘキサノアート)及びスズビス(ネオデカノアート)が含まれる。
【0158】
典型的なヒドロカルビル金属カルボキシレート化合物には、トリフェニルスズ2−エチルヘキサノアート、トリ−n−ブチルスズ2−エチルヘキサノアート、トリ−n−ブチルスズネオデカノアート、トリイソブチルスズ2−エチルヘキサノアート、ジフェニルスズビス(2−エチルヘキサノアート)、ジ−n−ブチルスズビス(2−エチルヘキサノアート)、ジ−n−ブチルスズビス(ネオデカノアート)、フェニルスズトリス(2−エチルヘキサノアート)及びn−ブチルスズトリス(2−エチルヘキサノアート)が含まれる。
【0159】
典型的なヒドロカルビル金属エステル−カルボキシレート化合物には、ジ−n−ブチルスズビス(n−オクチルマレエート)、ジ−n−オクチルスズビス(n−オクチルマレエート)、ジフェニルスズビス(n−オクチルマレエート)、ジ−n−ブチルスズビス(2−エチルヘキシルマレエート)、ジ−n−オクチルスズビス(2−エチルヘキシルマレエート)及びジフェニルスズビス(2−エチルヘキシルマレエート)が含まれる。
【0160】
典型的な金属アルコキシド化合物には、ジメトキシスズ、ジエトキシスズ、テトラエトキシスズ、テトラ−n−プロポキシスズ、テトライソプロポキシスズ、テトラ−n−ブトキシスズ、テトライソブトキシスズ、テトラ−t−ブトキシスズ及びテトラフェノキシスズが含まれる。
【0161】
重合混合物に添加することのできる共官能化剤の量は、反応性ポリマーを合成するために使用される触媒のタイプ及び量並びに望まれる官能化の程度を含む種々の要因によって決定されてもよい。反応性ポリマーがランタニド系触媒を使用して調製される1以上の態様において、使用される共官能化剤の量は、ランタニド含有化合物のランタニド金属に関連して記載され得る。例えば、ランタニド金属に対する共官能化剤のモル比は、約1:1〜約200:1、他の態様では、約5:1〜約150:1、別の態様では、約10:1〜約100:1であってもよい。
【0162】
使用される共官能化剤の量は、シリル化アミノ基を含んだカルボン酸エステル又はチオカルボン酸エステルに関連して記載することもできる。1以上の態様において、当該エステルに対する共官能化剤のモル比は、約0.05:1〜約1:1、他の態様では、約0.1:1〜約0.8:1、別の態様では、約0.2:1〜約0.6:1であってもよい。
【0163】
1以上の態様において、シリル化アミノ基を含んだカルボン酸エステル又はチオカルボン酸エステル(及び任意に共官能化剤)は、重合が行われた場所(例えば、容器内)で重合混合物に導入されてもよい。他の態様では、前記エステルは、重合が起こったのとは別の場所で重合混合物に導入されてもよい。例えば、前記エステルは、下流の反応器若しくはタンクを含んだ下流の容器、インライン反応器若しくはミキサ、押出機又は液化機(devolatilizer)中の重合混合物に導入されてもよい。
【0164】
1以上の態様において、シリル化アミノ基を含んだカルボン酸エステル又はチオカルボン酸エステル(及び任意に共官能化剤)は、所望のモノマー転化率が達成された後且つ重合混合物が失活剤(quenching agent)によって失活される前に、反応性ポリマーと反応し得る。1以上の態様において、エステルと反応性ポリマーとの間の反応は、ピーク重合温度に達した後30分以内、他の態様では5分以内、別の態様では1分以内に起こってよい。1以上の態様において、エステルと反応性ポリマーとの間の反応は、ピーク重合温度に達するとすぐに起こってもよい。他の態様では、エステルと反応性ポリマーとの間の反応は、反応性ポリマーを保存した後に起こってもよい。1以上の態様において、反応性ポリマーの保存は、不活性雰囲気下、室温以下の温度で行う。1以上の態様において、エステルと反応性ポリマーとの間の反応は、約10℃〜約150℃の温度で、別の態様では、約20℃〜約100℃で起こってもよい。エステルと反応性ポリマーとの間の反応を完了させるために必要な時間は、例えば、反応性ポリマーを調製するために使用される触媒のタイプ及び量、エステルのタイプ及び量、並びに官能化反応が行われる温度等、種々の要因によって決まる。1以上の態様において、エステルと反応性ポリマーとの反応は、約10〜60分間行われ得る。
【0165】
1以上の態様において、反応性ポリマーと、シリル化アミノ基を含んだカルボン酸エステル又はチオカルボン酸エステルと(任意に共官能化剤と)の間の反応を達成又は完了した後、反応性ポリマーとエステルとの反応生成物をプロトン化し、いずれかの残存する反応性ポリマー鎖を不活性化し及び/又は触媒若しくは触媒成分を不活性化するために、失活剤を重合混合物に添加してもよい。失活剤はプロトン性化合物を含んでいてもよく、限定するものではないが、これにはアルコール、カルボン酸、無機酸、水又はそれらの混合物が含まれる。失活剤の添加と共に、その前に又はその後に、抗酸化剤、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールなどを添加してもよい。使用される抗酸化剤の量は、ポリマー生成物の0.2〜1重量%の範囲であってよい。更には、ポリマー生成物は、油をポリマーに添加して油展することができ、これは、ポリマーセメント又はモノマーに溶解若しくは懸濁したポリマーの形態であってもよい。本発明の実施は、添加され得る油の量を制限せず、従って、従来の量(例えば、5〜50phr)が添加されてもよい。使用され得る有用な油又はエクステンダー(extender)には、芳香族油、パラフィン油、ナフテン油、ヒマシ油以外の植物油、MES、TDAE及びSRAEを含む低PCA油、並びに重質ナフテン油が含まれるが、これらに限られない。
【0166】
重合混合物が失活すると、重合混合物の種々の構成物質が回収されてもよい。1以上の態様において、未反応のモノマーを重合混合物から回収することができる。例えば、当該分野で既知の方法を使用して、重合混合物からモノマーを蒸留することができる。1以上の態様において、液化機を使用して重合混合物からモノマーを除去してもよい。重合混合物からモノマーが除去されると、当該モノマーは精製され、保存され及び/又は重合プロセスに戻されて再利用される。
【0167】
当該分野で既知の方法を使用して重合混合物からポリマー生成物を回収してもよい。1以上の態様において、脱溶媒及び乾燥技術を使用してもよい。例えば、ポリマーは、重合混合物を熱スクリュー装置、例えば、脱溶媒押出機などに通すことにより回収することができ、ここにおいて揮発性物質は、適切な温度(例えば、約100℃〜約170℃)且つ大気圧以下で蒸発により除去される。この処理は、未反応のモノマー及び任意の低沸点溶媒を除去する働きをする。あるいは、ポリマーは、重合混合物を蒸気脱溶媒(steam desolventization)に供し、その後、得られるポリマー断片(polymer crumb)を熱風トンネル内で乾燥することによっても回収することができる。ポリマーは、重合混合物をドラム乾燥機で直接乾燥することによっても回収することができる。
【0168】
反応性ポリマーと、シリル化アミノ基を含んだカルボン酸エステル又はチオカルボン酸エステルと(任意に共官能化剤と)が反応して、プロトン化又は更に修飾され得る新規な官能化ポリマーを生成すると考えられているが、特に、官能化ポリマーの化学構造は、エステル及び任意に共官能化剤によりポリマー鎖末端に付与された残基に関連するため、全ての態様で製造される官能化ポリマーの正確な化学構造について確実にはわかっていない。実際には、官能化ポリマーの構造は、反応性ポリマーを調製するために使用される条件(例えば、触媒のタイプ及び量)並びにエステル(及び任意に共官能化剤)を反応性ポリマーと反応させるために使用される条件(例えば、エステル及び共官能化剤のタイプ及び量)など種々の要因によって決定することができると考えられている。
【0169】
1以上の態様において、本発明に従って調製された官能化ポリマーは、不飽和を含んでいてもよい。これら又は他の態様では、官能化ポリマーは加硫可能である。1以上の態様において、官能化ポリマーは、ガラス転移温度(Tg)が0℃未満、他の態様では−20℃未満、別の態様では−30℃未満であってよい。ある態様では、これらのポリマーは、単一のガラス転移温度を示してもよい。特定の態様では、ポリマーは、水素化されるか又は部分的に水素化されてもよい。
【0170】
1以上の態様において、本発明の官能化ポリマーは、シス−1,4−結合の含有率が60%を超え、他の態様では75%を超え、別の態様では90%を超え、更に他の態様では95%を超えるシス−1,4−ポリジエンであってもよく、ここで割合は、ジエンマー(mer)単位の総数に対するシス−1,4結合を導入したジエンマー単位の数に基づいている。また、これらのポリマーは、1,2−結合含有率が7%未満、他の態様では5%未満、別の態様では2%未満、更に他の態様では1%未満であってよく、ここで割合は、ジエンマー(mer)単位の総数に対する1,2−結合を導入したジエンマー単位の数に基づいている。残りのジエンマー単位は、トランス−1,4−結合を導入していてもよい。シス−1,4−結合、1,2−結合及びトランス−1,4結合の含有率は、赤外分光法によって決定することができる。これらのポリマーの数平均分子量(M)は、約1,000〜約1,000,000、他の態様では、約5,000〜約200,000、別の態様では、約25,000〜約150,000、更に他の態様では、約50,000〜約120,000であってよく、ポリスチレン標準によって較正されたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)及び対象とするポリマーのMark−Houwink定数を使用して決定される。これらのポリマーの分子量分布又は多分散性(M/M)は、約1.5〜約5.0、他の態様では、約2.0〜約4.0であってよい。
【0171】
有利には、本発明の官能化ポリマーは、改善したコールドフロー耐性を示し、低減したヒステリシスを示すゴム組成物を提供してもよい。官能化ポリマーは、特には、タイヤ構成部品を製造するために使用され得るゴム組成物の調製に有用である。ここで使用されるゴム配合技術及び添加剤は、一般的には、The Compounding and Vulcanization of Rubber, in Rubber Technology(第2版、1973)に開示されている。
【0172】
ゴム組成物は、官能化ポリマーを単独で又は他のエラストマー(即ち、加硫して、ゴム又はエラストマーの性質を有する組成物を形成し得るポリマー)と共に使用して調製することができる。使用され得る他のエラストマーには、天然ゴム及び合成ゴムが含まれる。合成ゴムは、典型的には、共役ジエンモノマーの重合、共役ジエンモノマーと他のモノマー、例えば、ビニル置換芳香族モノマーなどとの共重合、又はエチレンと、1以上のα−オレフィンと、任意に1以上のジエンモノマーとの共重合から得られる。
【0173】
典型的なエラストマーには、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン−co−イソプレン、ネオプレン、ポリ(エチレン−co−プロピレン)、ポリ(スチレン−co−ブタジエン)、ポリ(スチレン−co−イソプレン)、ポリ(スチレン−co−イソプレン−co−ブタジエン)、ポリ(イソプレン−co−ブタジエン)、ポリ(エチレン−co−プロピレン−co−ジエン)、ポリスルフィドゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコンゴム、エピクロロヒドリンゴム及びこれらの混合物が含まれる。これらのエラストマーは、直鎖状、分岐及び星状構造を含む無数の高分子構造を有し得る。
【0174】
ゴム組成物は、充填剤、例えば、無機及び有機充填剤などを含んでいてもよい。有機充填剤の例には、カーボンブラック及びスターチが含まれる。無機充填剤の例には、シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、マイカ、タルク(含水{がんすい}ケイ酸マグネシウム)及びクレイ(含水{がんすい}ケイ酸アルミニウム)が含まれる。カーボンブラック及びシリカは、タイヤの製造に使用される最も一般的な充填剤である。ある態様では、異なる充填剤の混合物が有利に使用されてもよい。
【0175】
1以上の態様において、カーボンブラックには、ファーネスブラック、チャンネルブラック及びランプブラックが含まれる。カーボンブラックのより具体的な例には、超耐摩耗性ファーネスブラック(super abrasion furnace black)、準超耐摩耗性ファーネスブラック(intermediate super abrasion furnace black)、高耐摩耗性ファーネスブラック(high abrasion furnace black)、高速押出ファーネスブラック(fast extrusion furnace black)、微細ファーネスブラック(fine furnace black)、半補強性ファーネスブラック(semi-reinforcing furnace black)、中級加工チャンネルブラック(medium processing channel black)、ハード加工チャンネルブラック(hard processing channel black)、導電性チャンネルブラック(conducting channel black)及びアセチレンブラックが含まれる。
【0176】
特定の態様では、カーボンブラックは、表面積(EMSA)が少なくとも20m2/g、他の態様では、少なくとも35m2/gであり、表面積値は臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)技術を用いるASTM D−1765により決定することができる。カーボンブラックはペレット化した形態又はペレット化されていない凝集形態であってもよい。カーボンブラックの好ましい形態は、ゴム化合物を混合するために使用される混合機のタイプによって決定されてよい。
【0177】
ゴム組成物に使用されるカーボンブラックの量は、ゴム100重量部当たり約50重量部(phr)までであり、典型的には約5〜約40phrである。
【0178】
使用され得る市販のシリカのいくつかには、Hi−Sil(登録商標)215、Hi−Sil(登録商標)233及びHi−Sil(登録商標)190(PPG Industries,Inc.;Pittsburgh,Pa.)が含まれる。市販のシリカの他の供給業者には、Grace Davison(Baltimore,Md.)、Degussa Corp.(Parsippany,N.J.)、Rhodia Silica Systems (Cranbury,N.J.)及びJ.M.Huber Corp.(Edison,N.J.)が含まれる。
【0179】
1以上の態様において、シリカはその表面積によって特徴付けられ、これはその強化特性の尺度を提供する。ブルナウアー(Brunauer)・エメット(Emmett)・テラー(Teller)(“BET”)法(J.Am.Chem.Soc,第60巻,第309頁以降に記載される)は、表面積を決定するための既知の方法である。シリカのBET表面積は、一般に450m2/g未満である。有用な表面積の範囲には、約32〜約400m2/g、約100〜約250m2/g及び約150〜約220m2/gが含まれる。
【0180】
シリカのpHは、一般的には約5〜約7であるか又は7をわずかに超え、他の態様では、約5.5〜約6.8である。
【0181】
シリカが充填剤として(単独で又は他の充填剤と組み合わせて)使用される1以上の態様において、シリカとエラストマーとの相互作用を強化するため、混合の間にカップリング剤及び/又は遮蔽剤をゴム組成物に添加してもよい。有用なカップリング剤及び遮蔽剤は、米国特許第3,842,111号、第3,873,489号、第3,978,103号、第3,997,581号、第4,002,594号、第5,580,919号、第5,583,245号、第5,663,396号、第5,674,932号、第5,684,171号、第5,684,172号、第5,696,197号、第6,608,145号、第6,667,362号、第6,579,949号、第6,590,017号、第6,525,118号、第6,342,552号及び第6,683,135号に開示され、これらは引用によって本明細書に組み込まれる。
【0182】
ゴム組成物において使用されるシリカの量は、約1〜約100phr、他の態様では、約5〜約80phrであってよい。有用な上限の範囲は、シリカにより付与される高い粘度によって制限される。シリカをカーボンブラックとともに使用する場合、シリカの量を約1phrまで減らすことができ、シリカの量が低下するにつれ、より少ない量のカップリング剤及び遮蔽剤を使用することができる。一般に、カップリング剤及び遮蔽剤の量は、使用されるシリカの重量に基づき、約4%〜約20%である。
【0183】
多数のゴム硬化剤(加硫剤とも称する)が使用されてよく、これには硫黄又は過酸化物系の硬化系が含まれる。硬化剤については、Kirk−Othmer,ENCYCLOPEDIA OF CHEMICAL TECHNOLOGY,第20巻,第365−468頁,(第3版、1982)、特には、Vulcanization Agents and Auxiliary Materials,第390−402頁、及びA.Y.Coran,Vulcanization,ENCYCLOPEDIA OF POLYMER SCIENCE AND ENGINEERING,(第2版、1989)に記載され、これらは引用により本明細書に組み込まれる。加硫剤は、単独で又は組み合わせて使用してもよい。
【0184】
ゴム配合に典型的に使用される他の成分を、ゴム組成物に添加してもよい。これらには、促進剤、促進活性剤、油、可塑剤、ワックス、スコーチ防止剤、加工助剤、酸化亜鉛、粘着付与樹脂、強化用樹脂、例えば、ステアリン酸などの脂肪酸、解膠剤、並びに、例えば、酸化防止剤及びオゾン劣化防止剤などの劣化防止剤が含まれる。特定の態様では、使用される油には、上述のエクステンダー油として従来使用されているものが含まれる。
【0185】
ゴム組成物の全成分は、標準的な混合装置、例えば、バンバリー型(Banbury)又はブラベンダー型(Brabender)混合機、押出機、ニーダー及び2ロールミルによって混合することができる。1以上の態様において、成分は2段階以上で混合される。第1段階(マスターバッチ混合段階と称されることが多い)では、典型的にはゴム成分と充填剤とを含んだ所謂マスターバッチが調製される。時期尚早な加硫(スコーチとしても知られる)を防ぐため、マスターバッチは加硫剤を除外してもよい。マスターバッチは、開始温度約25℃〜約125℃{あっしゅくき としゅつ おんど}で混合され、排出温度が約135℃〜約180℃であってもよい。マスターバッチが調製されると、最終混合段階において加硫剤が導入され、マスターバッチに混合されてもよく、これは典型的には、時期尚早な加硫の可能性を低減するために比較的低温で行われる。リミル(remill)と呼ばれることもある追加の混合段階を、マスターバッチ混合段階と最終混合段階との間に任意に採用してもよい。ゴム組成物が、シリカを充填剤として含んでいる場合、1以上のリミル段階を使用することが多い。本発明の官能化ポリマーを含んだ種々の成分を、これらのリミルの間に添加してもよい。
【0186】
特にシリカを充填したタイヤ配合物に適用される混合の手順及び条件は、米国特許第5,227,425号、第5,719,207号及び第5,717,022号並びに欧州特許第890,606号に記載され、これらは全て引用により本明細書に組み込まれる。ある態様では、初期のマスターバッチは、実質的にカップリング剤及び遮蔽剤の非存在下で、本発明の官能化ポリマーと、シリカとを含ませることにより調製される。
【0187】
本発明の官能化ポリマーから調製されたゴム組成物は、タイヤの構成部品、例えば、トレッド、サブトレッド、サイドウォール、ボディプライスキム(body ply skim)及びビードフィラーなどの形成に特に有用である。好ましくは、本発明の官能化ポリマーは、トレッド及びサイドウォールの配合物に使用される。1以上の態様において、これらのトレッド又はサイドウォールの配合物は、配合物内のゴムの総重量に基づき、約10重量%〜約100重量%、他の態様では約35重量%〜約90重量%、別の態様では約50重量%〜約80重量%の官能化ポリマーを含んでいてもよい。
【0188】
ゴム組成物がタイヤの製造に使用される場合、これらの組成物は、標準的なゴム成形(shaping)、成型(molding)及び硬化技術を含む通常のタイヤ製造技術に従ってタイヤの構成部品に加工することができる。典型的には、加硫は、加硫可能な組成物を金型中で加熱することによって達成され、例えば、加硫可能な組成物は約140℃〜約180℃に加熱されてもよい。硬化された又は架橋されたゴム組成物は、加硫物と称されてもよく、これは一般的には、熱硬化性の3次元高分子網目を含んでいる。他の成分、例えば、充填剤及び加工助剤などは、架橋された網目全体に亘って均一に分散していてもよい。空気入りタイヤは、引用によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,866,171号、第5,876,527号、第5,931,211号及び第5,971,046号で説明される通り製造することができる。
【0189】
本発明の実施について実証するため、以下の例を調製し、試験した。しかしながら、当該例は、本発明の範囲を限定するものと解されるべきではない。特許請求の範囲は、発明を規定する役割を果たすであろう。
【実施例】
【0190】
例1.エチルN,N−ビス(トリメチルシリル)グリシナート(BTMSEG)の合成
エチルグリシナートヒドロクロライド約6.02g、トリエチルアミン14.39g、及びトルエン10mlを、氷浴中で冷却した丸底型反応フラスコ中で混合した。この混合物に、トルエン溶液50ml中にトリメチルシリルトリフルオロメタンスルホナートが21.1gの溶液を滴下した。得られた混合物を室温で19時間攪拌し、二相混合物を得た。上層を別のフラスコに移動し、下層をトルエン40mlで抽出した。組み合わせたトルエン溶液を真空下蒸発させた。残渣をヘキサン100mlで抽出し、ヘキサンの層を真空下蒸発させ、エチルN,N−ビス(トリメチルシリル)グリシナート(BTMSEG)としても知られるエチル[ビス(トリメチルシリル)アミノ]アセテートを無色の液体として得た(9.23g、収率87%)。生成物のH NMRデータ(C、25℃、テトラメチルシランを参照とした)を以下に記載する:δ 3.89(4重線,2 H, OCH プロトン),3.51(1重線,2 H, NCH プロトン),0.90(3重線, 3 H, CH プロトン),0.14(1重線, 18 H, Si−CH プロトン)。H NMRデータから、生成物の構造を以下のように決定した:
【化8】

【0191】
例2.エチル3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]プロピオナート(3−BTMSAEP)の合成
エチル3−アミノプロピオナートヒドロクロライド約7.23g、トリエチルアミン15.71g及びトルエン10mlを、氷浴中で冷却した丸底型反応フラスコ中で混合した。この混合物に、トルエン50ml中にトリメチルシリルトリフルオロメタンスルホナートが23.00gの溶液を滴下した。得られた混合物を室温で39時間攪拌し、二相混合物を得た。上層を別のフラスコに移動し、下層をトルエン40mlで抽出した。組み合わせたトルエン溶液を真空下蒸発させた。残渣をヘキサン100mlで抽出し、ヘキサン層を真空下蒸発させ、エチル3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]プロピオナート(3−BTMSAEP)を無色のオイルとして得た(11.03g、収率90%)。生成物のH NMRデータ(C、25℃、テトラメチルシランを参照とした)を以下に記載する:δ 3.91(4重線, 2 H, OCH プロトン),3.21(多重線, 2 H, NCHCH プロトン),2.36(多重線, 2 H, NCHCH プロトン),0.91(3重線, 3 H, CH プロトン),0.07(1重線,18 H,Si−CH プロトン)。H NMRデータから、生成物の構造を以下のように決定した:
【化9】

【0192】
例3.エチル3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]ベンゾエート(3−BTMSAEBz)の合成
エチル3−アミノベンゾエート約8.37g、トリエチルアミン11.80g及びトルエン10mlを、氷浴中で冷却した丸底型反応フラスコ中で混合した。この混合物に、トルエン50ml中にトリメチルシリルトリフルオロメタンスルホナートが25.91gの溶液を滴下した。得られた混合物を加熱して、30分間還流し、二相混合物を得た。上層を別のフラスコに移動し、下層をトルエン40mlで抽出した。組み合わせたトルエン溶液を真空下蒸発させた。残渣をヘキサン100mlで抽出し、ヘキサン層を真空下蒸発させ、エチル3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]ベンゾエート(3−BTMSAEBz)を黄色のオイルとして得た(14.50g、収率92%)。生成物のH NMRデータ(C、25℃、テトラメチルシランを参照とした)を以下に記載する:δ 7.95(多重線, 1 H, 芳香族プロトン),7.91(多重線, 1 H, 芳香族プロトン),6.98(多重線, 1 H, 芳香族プロトン), 6.91(多重線, 1 H, 芳香族プロトン),4.07(4重線, 2 H, CH プロトン),0.95(3重線,3 H,CH プロトン),0.04(1重線, 18 H, Si−CHプロトン)。H NMRデータから、生成物の構造を以下のように決定した:
【化10】

【0193】
例4.エチル4−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]ベンゾエート(4−BTMSAEBz)の合成
エチル4−アミノベンゾエート約9.24g、トリエチルアミン14.88g及びトルエン10mlを、氷浴で冷却した丸底型反応フラスコ中で混合した。この混合物に、トルエン50ml中にトリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネートが32.68gの溶液を滴下した。得られた混合物を加熱して8時間還流し、二相混合物を得た。上層を別のフラスコに移動し、下層をトルエン40mlで抽出した。組み合わせたトルエン溶液を真空下蒸発させた。残渣をヘキサン100mlで抽出し、ヘキサン層を真空下蒸発させ、黄色のオイルとしてエチル4−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]ベンゾエート(4−BTMSAEBz)を得た(16.04g、収率93%)。生成物のH NMRデータ(C、25℃、テトラメチルシランを参照とした)を以下に記載する:δ 8.07(2重線, 2 H, 芳香族プロトン),6.76(2重線, 2 H, 芳香族プロトン),4.12(4重線, 2 H, CHプロトン),1.00(3重線, 3 H, CHプロトン),0.02(1重線, 18 H, Si−CH プロトン)。H NMRデータから、生成物の構造を以下のように決定した:
【化11】

【0194】
例5.未修飾シス−1,4−ポリブタジエンの合成
窒素パージした2ガロンのステンレス製反応器に、ヘキサン1383g及び20.6重量%の1,3−ブタジエンのヘキサン溶液3083gを添加した。予め形成した触媒は、4.32Mのメチルアルミノキサンのトルエン溶液7.35ml、20.6重量%の1,3−ブタジエンのヘキサン溶液1.83g、0.537Mのネオジムバーサテートのシクロヘキサン溶液0.59ml、1.0Mのジイソブチルアルミニウムヒドリドのヘキサン溶液6.67ml及び1.0Mのジエチルアルミニウムクロライドのヘキサン溶液1.27mlを混合することにより調製した。触媒を15分間熟成し、反応器に装填した。次に、反応器のジャケット温度を65℃に設定した。触媒添加の約60分後、重合混合物を室温に冷却して、12重量%の2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール液のイソプロパノール溶液30mlを用いて失活させた。得られたポリマーセメントを、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールを5g含んだイソプロパノール12リットルを用いて凝固させ、次いで、ドラム乾燥した。得られたポリマーのムーニー粘度(ML1+4)は、1分間のウォームアップ時間及び4分間の運転時間で、Alpha Technologiesの、大ロータ(larger rotor)を備えたムーニー粘度計を使用して、100℃で26.5と決定された。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される通り、当該ポリマーは、数平均分子量(M)が109,400、重量平均分子量(M)が221,900、分子量分布(M/M)が2.03であった。当該ポリマーの赤外分光分析は、シス−1,4−結合含有率が94.4%、トランス−1,4−結合含有率が5.1%、1,2−結合含有率が0.5%であることを示した。
【0195】
前記ポリマーのコールドフロー耐性を、Scott可塑性試験機を使用して測定した。ポリマー約2.6gを、100℃で20分間成型し、直径15mm、高さ12mmの円筒形ボタンとした。室温に冷却した後、ボタンを金型から除去し、室温でScott可塑性試験機に設置した。試料に5kgの荷重を負荷した。8分後、残存ゲージ(即ち、試料の厚さ)を測定し、ポリマーのコールドフロー耐性の指標とした。一般的に、残存ゲージの値がより高いことは、コールドフロー耐性がより良好であることを示す。
【0196】
未修飾シス−1,4−ポリブタジエンの性質を表1にまとめる。
【表1】

【0197】
例6.未修飾シス−1,4−ポリブタジエンの合成
窒素パージした2ガロンのステンレス製反応器に、ヘキサン1631g及び22.4重量%の1,3−ブタジエンのヘキサン溶液2835gを添加した。予め形成した触媒は、4.32Mのメチルアルミノキサンのトルエン溶液6.10ml、22.4重量%の1,3−ブタジエンのヘキサン溶液1.27g、0.537Mのネオジムバーサテートのシクロヘキサン溶液0.49ml、1.0Mのジイソブチルアルミニウムヒドリドのヘキサン溶液5.53ml及び1.0Mジエチルアルミニウムクロライドのヘキサン溶液1.05mlを混合して調製した。触媒を15分間熟成し、反応器に装填した。次に、反応器のジャケット温度を65℃に設定した。触媒添加から約72分後、重合混合物を室温まで冷却し、12重量%の2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール液のイソプロパノール溶液30mlを用いて失活させた。得られたポリマーセメントを、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール5gを含んだイソプロパノール12リットルを用いて凝固させ、次いでドラム乾燥した。得られたポリマーの性質を表1にまとめる。
【0198】
例7.エチルN,N−ビス(トリメチルシリル)グリシナート(BTMSEG)で修飾したシス−1,4−ポリブタジエンの合成
窒素パージした2ガロンのステンレス製の反応器に、ヘキサン1566g及び21.9重量%の1,3−ブタジエンのヘキサン溶液2899gを添加した。予め形成した触媒は、4.32Mのメチルアルミノキサンのトルエン溶液7.35ml、21.9重量%の1,3−ブタジエンのヘキサン溶液1.56g、0.537Mのネオジムバーサテートのシクロヘキサン溶液0.59ml、1.0Mのジイソブチルアルミニウムヒドリドのヘキサン溶液6.67ml及び1.0Mのジエチルアルミニウムクロライドのヘキサン溶液1.27mlを混合することによって調製した。触媒を15分間熟成し、反応器に装填した。次いで、反応器のジャケット温度を65℃に設定した。触媒添加から約60分後、重合混合物を室温まで冷却した。
【0199】
得られた未修飾ポリマーセメント約435g(即ち、擬リビングポリマーセメント)を、反応器から窒素パージしたボトルに移動し、その後、0.450MのエチルN,N−ビス(トリメチルシリル)グリシナート(BTMSEG)のヘキサン溶液5.42mlを添加した。当該ボトルを、65℃に維持した水浴中で45分間混転した。得られたポリマーセメントを、12重量%の2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール液のイソプロパノール溶液3mlを用いて失活させ、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.5gを含んだイソプロパノール2リットルを用いて凝固させ、次いで、ドラム乾燥した。得られたBTMSEG修飾ポリマーの性質を表1にまとめる。
【0200】
例8.エチル3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]プロピオナート(3−BTMSAEP)で修飾したシス−1,4−ポリブタジエンの合成
例7で合成した擬リビングポリマーセメント約428gを、反応器から窒素パージしたボトルに移動し、その後、0.450Mのエチル3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]プロピオナート(3−BTMSAEP)のヘキサン溶液5.33mlを添加した。当該ボトルを、65℃に維持した水浴中で45分間混転した。得られたポリマーセメントを、12重量%の2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール液のイソプロパノール溶液3mlを用いて失活させ、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.5gを含んだイソプロパノール2リットルを用いて凝固させ、次いで、ドラム乾燥した。得られた3−BTMSAEP修飾ポリマーの性質を表1にまとめる。
【0201】
例9.エチル3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]ベンゾエート(3−BTMSAEBz)で修飾したシス−1,4−ポリブタジエンの合成
例7で合成した擬リビングポリマーセメント約422gを、反応器から窒素パージしたボトルに移動し、その後、0.450Mのエチル3−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]ベンゾエート(3−BTMSAEBz)のヘキサン溶液5.26mlを添加した。当該ボトルを、65℃に維持した水浴中で45分間混転した。得られたポリマーセメントを、12重量%の2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール液のイソプロパノール溶液3mlを用いて失活させ、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.5gを含んだイソプロパノール2リットルを用いて凝固させ、次いで、ドラム乾燥した。得られた3−BTMSAEBz修飾ポリマーの性質を表1にまとめる。
【0202】
例10.エチル4−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]ベンゾエート(4−BTMSAEBz)で修飾したシス−1,4−ポリブタジエンの合成
例7で合成した擬リビングポリマーセメント約442gを、反応器から窒素パージしたボトルに移動し、その後、0.450Mのエチル4−[ビス(トリメチルシリル)アミノ]ベンゾエート(4−BTMSAEBz)のヘキサン溶液5.50mlを添加した。当該ボトルを、65℃に維持した水浴中で45分間混転した。得られたポリマーセメントを、12重量%の2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール液のイソプロパノール溶液3mlを用いて失活させ、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール0.5gを含んだイソプロパノール2リットルを用いて凝固させ、次いで、ドラム乾燥した。得られた4−BTMSAEBz修飾ポリマーの性質を表1にまとめる。
【0203】
図1では、例5〜10で合成したシス−1,4−ポリブタジエン試料のコールドフロー耐性を、ポリマーのムーニー粘度に対してプロットした。データは、同じポリマームーニー粘度において、BTMSEG−、3−BTMSAEP−、3−BTMSAEBz−及び4−BTMSAEBz−修飾シス−1,4−ポリブタジエン試料は、未修飾ポリマーよりも高い残留コールドフローゲージ値を示し、従って、より良好なコールドフロー耐性を示す。
【0204】
例11〜16.未修飾シス−1,4−ポリブタジエンに対する、BTMSEG−、3−BTMSAEP−、3−BTMSAEBz−及び4−BTMSAEBz−修飾シス−1,4−ポリブタジエンの配合評価
例5〜10で製造したシス−1,4−ポリブタジエン試料について、カーボンブラックで充填したゴム組成物の状態で評価した。加硫物の組成を表2に示し、表中、数値は、全ゴムの100重量部当たりの重量部(phr)として表されている。
【表2】

【0205】
未硬化のゴム化合物のムーニー粘度(ML1+4)は、1分間のウォームアップ時間及び4分間の運転時間で、Alpha Technologiesの、大ロータを備えたムーニー粘度計を使用して、130℃で決定した。加硫物のヒステリシスデータ(tanδ)及びペイン効果のデータ(ΔG’)は、動的歪み掃引試験(dynamic strain-sweep experiment)から得られ、これは、50℃、15Hz、歪み掃引0.1%〜20%でで行われた。ΔG’は、0.1%の歪みでのG’と、20%の歪みでのG’との間の差である。加硫物の物理的性質を表3にまとめる。図1において、tanδのデータは、化合物のムーニー粘度に対してプロットされている。
【表3】

【0206】
表3及び図2に示されるように、BTMSEG−、3−BTMSAEP−、3−BTMSAEBz−及び4−BTMSAEBz−修飾シス−1,4−ポリブタジエン試料は、未修飾ポリマーよりも低いtanδを示し、これは、BTMSEG、3−BTMSAEP、3−BTMSAEBz及び4−BTMSAEBzによるシス−1,4−ポリブタジエンの修飾がヒステリシスを低減することを示す。修飾されたシス−1,4−ポリブタジエン試料はまた、未修飾ポリマーよりも低いΔG’を示し、これは、修飾ポリマーとカーボンブラックとの間のより強い相互作用によりペイン効果が低減したことを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)配位触媒を用いてモノマーを重合して反応性ポリマーを形成する工程と、
(ii)前記反応性ポリマーを、シリル化アミノ基を含んだカルボン酸エステル又はチオカルボン酸エステルと反応させる工程と
を含む、官能化ポリマーの製造方法。
【請求項2】
前記シリル化アミノ基が、ビス(トリヒドロカルビルシリル)アミノ基、ビス(ジヒドロカルビルヒドロシリル)アミノ基、1−アザ−ジシラ−1−シクロヒドロカルビル基、(トリヒドロカルビルシリル)(ヒドロカルビル)アミノ基、(ジヒドロカルビルヒドロシリル)(ヒドロカルビル)アミノ基及び1−アザ−2−シラ−1−シクロヒドロカルビル基からなる群より選択され、
前記チオカルボン酸エステルが、モノチオカルボン酸エステル又はジチオカルボン酸エステルである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記シリル化アミノ基を含んだカルボン酸エステル又はチオカルボン酸エステルが、式I:
【化1】

[式中、Rは1価の有機基であり、Rは2価の有機基であり、Rはヒドロカルビル基であり、各々のRは、独立して、水素原子又は1価の有機基であり、或いはRは、1つのRと共にヒドロカルビレン基を形成し、各々のαは、独立して、酸素原子又は硫黄原子である]により定義されるか、或いは、
前記シリル化アミノ基を含んだカルボン酸エステル又はチオカルボン酸エステルが、式III:
【化2】

[式中、Rは1価の有機基であり、Rは2価の有機基であり、各々のRは、独立して、水素原子又は1価の有機基であり、或いは少なくとも2つのRは、共に2価の有機基を形成し、各々のαは、独立して、酸素原子又は硫黄原子である]により定義される、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記シリル化アミノ基を含んだカルボン酸エステル又はチオカルボン酸エステルが、式II:
【化3】

[式中、Rは1価の有機基であり、Rは2価の有機基であり、Rはヒドロカルビレン基であり、各々のRは、独立して、水素原子又は1価の有機基であり、各々のαは、独立して、酸素原子又は硫黄原子である]により定義されるか、或いは、
前記シリル化アミノ基を含んだカルボン酸エステル又はチオカルボン酸エステルが、式IV:
【化4】

[式中、Rは1価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立して、2価の有機基であり、各々のRは、独立して、水素原子又は1価の有機基であり、各々のαは、独立して、酸素原子又は硫黄原子である]により定義される、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記シリル化アミノ基を含んだカルボン酸エステルが、アレーンカルボン酸エステル、アルカンカルボン酸エステル、アルケンカルボン酸エステル、アルキンカルボン酸エステル、シクロアルカンカルボン酸エステル、シクロアルケンカルボン酸エステル、シクロアルキンカルボン酸エステル及び複素環式カルボン酸エステルからなる群より選択されるカルボン酸エステルから得られ、
前記シリル化アミノ基を含んだチオカルボン酸エステルが、アレーンチオカルボン酸エステル、アルカンチオカルボン酸エステル、アルケンチオカルボン酸エステル、アルキンチオカルボン酸エステル、シクロアルカンチオカルボン酸エステル、シクロアルケンチオカルボン酸エステル、シクロアルキンチオカルボン酸エステル及び複素環式チオカルボン酸エステルからなる群より選択されるチオカルボン酸エステルから得られる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記アレーンカルボン酸エステルが、ヒドロカルビルベンゾエート、シリルベンゾエート、ヒドロカルビル4−フェニルベンゾエート、シリル4−フェニルベンゾエート、ヒドロカルビル4−メチルベンゾエート、シリル4−メチルベンゾエート、ヒドロカルビル5−インデンカルボキシレート、シリル5−インデンカルボキシレート、ヒドロカルビル2−ナフタレンカルボキシレート、シリル2−ナフタレンカルボキシレート、ヒドロカルビル9−フェナントレンカルボキシレート、シリル9−フェナントレンカルボキシレート、ヒドロカルビル9−アントラセンカルボキシレート、シリル9−アントラセンカルボキシレート、ヒドロカルビル1−アズレンカルボキシレート及びシリル1−アズレンカルボキシレートからなる群より選択され、
前記アレーンチオカルボン酸エステルが、ヒドロカルビルチオベンゾエート、シリルチオベンゾエート、ヒドロカルビル4−フェニルチオベンゾエート、シリル4−フェニルチオベンゾエート、ヒドロカルビル4−メチルチオベンゾエート、シリル4−メチルチオベンゾエート、ヒドロカルビル5−インデンチオカルボキシレート、シリル5−インデンチオカルボキシレート、ヒドロカルビル2−ナフタレンチオカルボキシレート、シリル2−ナフタレンチオカルボキシレート、ヒドロカルビル9−フェナントレンチオカルボキシレート、シリル9−フェナントレンチオカルボキシレート、ヒドロカルビル9−アントラセンチオカルボキシレート、シリル9−アントラセンチオカルボキシレート、ヒドロカルビル1−アズレンチオカルボキシレート及びシリル1−アズレンチオカルボキシレートからなる群より選択される、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記アルカンカルボン酸エステルが、ヒドロカルビルアセテート、シリルアセテート、ヒドロカルビルプロピオナート、シリルプロピオナート、ヒドロカルビルブチラート、シリルブチラート、ヒドロカルビルイソブチラート、シリルイソブチラート、ヒドロカルビルバレレート、シリルバレレート、ヒドロカルビルイソバレレート、シリルイソバレレート、ヒドロカルビルピバレート、シリルピバレート、ヒドロカルビルヘキサノアート、シリルヘキサノアート、ヒドロカルビルヘプタノアート、シリルヘプタノアート、ジヒドロカルビルマロナート、ジシリルマロナート、ジヒドロカルビルスクシナート、ジシリルスクシナート、ジヒドロカルビルグルタラート及びジシリルグルタラートからなる群より選択され、
前記アルカンチオカルボン酸エステルが、ヒドロカルビルチオアセテート、シリルチオアセテート、ヒドロカルビルチオプロピオナート、シリルチオプロピオナート、ヒドロカルビルチオブチラート、シリルチオブチラート、ヒドロカルビルチオイソブチラート、シリルチオイソブチラート、ヒドロカルビルチオバレレート、シリルチオバレレート、ヒドロカルビルチオイソバレレート、シリルチオイソバレレート、ヒドロカルビルチオピバレート、シリルチオピバレート、ヒドロカルビルチオヘキサノアート、シリルチオヘキサノアート、ヒドロカルビルチオヘプタノアート、シリルチオヘプタノアート、ジヒドロカルビルチオマロナート、ジシリルチオマロナート、ジヒドロカルビルチオスクシナート、ジシリルチオスクシナート、ジヒドロカルビルチオグルタラート及びジシリルチオグルタラートからなる群より選択される、請求項5に記載の製造方法。
【請求項8】
前記アルケンカルボン酸エステルが、ヒドロカルビルアクリレート、シリルアクリレート、ヒドロカルビルメタクリレート、シリルメタクリレート、ヒドロカルビルクロトナート、シリルクロトナート、ヒドロカルビル3−ブテノアート、シリル3−ブテノアート、ヒドロカルビル2−メチル−2−ブテノアート、シリル2−メチル−2−ブテノアート、ヒドロカルビル2−ペンテノアート、シリル2−ペンテノアート、ヒドロカルビル3−ペンテノアート、シリル3−ペンテノアート、ヒドロカルビル4−ペンテノアート、シリル4−ペンテノアート、ヒドロカルビル5−ヘキセノアート、シリル5−ヘキセノアート、ヒドロカルビル6−ヘプテノアート、シリル6−ヘプテノアート、ジヒドロカルビルフマレート、ジシリルフマレート、ジヒドロカルビルマレエート、ジシリルマレエート、ジヒドロカルビルメチレンマロナート、ジシリルメチレンマロナート、ジヒドロカルビルベンジリデンマロナート、ジシリルベンジリデンマロナート、ジヒドロカルビル2−メチレングルタラート及びジシリル2−メチレングルタラートからなる群より選択され、
前記アルケンチオカルボン酸エステルが、ヒドロカルビルチオアクリレート、シリルチオアクリレート、ヒドロカルビルチオメタクリレート、シリルチオメタクリレート、ヒドロカルビルチオクロトナート、シリルチオクロトナート、ヒドロカルビル3−チオブテノアート、シリル3−チオブテノアート、ヒドロカルビル2−メチル−2−チオブテノアート、シリル2−メチル−2−チオブテノアート、ヒドロカルビル2−チオペンテノアート、シリル2−チオペンテノアート、ヒドロカルビル3−チオペンテノアート、シリル3−チオペンテノアート、ヒドロカルビル4−チオペンテノアート、シリル4−チオペンテノアート、ヒドロカルビル5−チオヘキセノアート、シリル5−チオヘキセノアート、ヒドロカルビル6−チオヘプテノアート、シリル6−チオヘプテノアート、ジヒドロカルビルチオフマレート、ジシリルチオフマレート、ジヒドロカルビルチオマレエート、ジシリルチオマレエート、ジヒドロカルビルメチレンチオマロナート、ジシリルメチレンチオマロナート、ジヒドロカルビルベンジリデンチオマロナート、ジシリルベンジリデンチオマロナート、ジヒドロカルビル2−メチレンチオグルタラート及びジシリル2−メチレンチオグルタラートからなる群より選択される、請求項5に記載の製造方法。
【請求項9】
前記アルキンカルボン酸エステルが、ヒドロカルビル3−ブチノアート、シリル3−ブチノアート、ヒドロカルビル2−ペンチノアート、シリル2−ペンチノアート、ヒドロカルビル3−ペンチノアート、シリル3−ペンチノアート、ヒドロカルビル4−ペンチノアート、シリル4−ペンチノアート、ヒドロカルビル5−ヘキシノアート及びシリル5−ヘキシノアートからなる群より選択され、
前記アルキンチオカルボン酸エステルが、ヒドロカルビル3−チオブチノアート、シリル3−チオブチノアート、ヒドロカルビル2−チオペンチノアート、シリル2−チオペンチノアート、ヒドロカルビル3−チオペンチノアート、シリル3−チオペンチノアート、ヒドロカルビル4−チオペンチノアート、シリル4−チオペンチノアート、ヒドロカルビル5−チオヘキシノアート及びシリル5−チオヘキシノアートからなる群より選択される、請求項5に記載の製造方法。
【請求項10】
前記シクロアルカンカルボン酸エステルが、ヒドロカルビルシクロプロパンカルボキシレート、シリルシクロプロパンカルボキシレート、ヒドロカルビルシクロブタンカルボキシレート、シリルシクロブタンカルボキシレート、ヒドロカルビルシクロペンタンカルボキシレート、シリルシクロペンタンカルボキシレート、ヒドロカルビルシクロヘキサンカルボキシレート、シリルシクロヘキサンカルボキシレート、ヒドロカルビルシクロヘプタンカルボキシレート及びシリルシクロヘプタンカルボキシレートからなる群より選択され、
前記シクロアルカンチオカルボン酸エステルが、ヒドロカルビルシクロプロパンチオカルボキシレート、シリルシクロプロパンチオカルボキシレート、ヒドロカルビルシクロブタンチオカルボキシレート、シリルシクロブタンチオカルボキシレート、ヒドロカルビルシクロペンタンチオカルボキシレート、シリルシクロペンタンチオカルボキシレート、ヒドロカルビルシクロヘキサンチオカルボキシレート、シリルシクロヘキサンチオカルボキシレート、ヒドロカルビルシクロヘプタンチオカルボキシレート及びシリルシクロヘプタンチオカルボキシレートからなる群より選択される、請求項5に記載の製造方法。
【請求項11】
前記シクロアルケンカルボン酸エステルが、ヒドロカルビル1−シクロプロペンカルボキシレート、シリル1−シクロプロペンカルボキシレート、ヒドロカルビル1−シクロブテンカルボキシレート、シリル1−シクロブテンカルボキシレート、ヒドロカルビル1−シクロペンテンカルボキシレート、シリル1−シクロペンテンカルボキシレート、ヒドロカルビル1−シクロヘキセンカルボキシレート、シリル1−シクロヘキセンカルボキシレート、ヒドロカルビル1−シクロヘプテンカルボキシレート及びシリル1−シクロヘプテンカルボキシレートからなる群より選択され、
前記シクロアルケンチオカルボン酸エステルが、ヒドロカルビル1−シクロプロペンチオカルボキシレート、シリル1−シクロプロペンチオカルボキシレート、ヒドロカルビル1−シクロブテンチオカルボキシレート、シリル1−シクロブテンチオカルボキシレート、ヒドロカルビル1−シクロペンテンチオカルボキシレート、シリル1−シクロペンテンチオカルボキシレート、ヒドロカルビル1−シクロヘキセンチオカルボキシレート、シリル1−シクロヘキセンチオカルボキシレート、ヒドロカルビル1−シクロヘプテンチオカルボキシレート及びシリル1−シクロヘプテンチオカルボキシレートからなる群より選択される、請求項5に記載の製造方法。
【請求項12】
前記複素環式カルボン酸エステルが、ヒドロカルビルシクロプロパンチオカルボキシレート、シリルシクロプロパンチオカルボキシレート、ヒドロカルビルシクロブタンチオカルボキシレート、シリルシクロブタンチオカルボキシレート、ヒドロカルビルシクロペンタンチオカルボキシレート、シリルシクロペンタンチオカルボキシレート、ヒドロカルビルシクロヘキサンチオカルボキシレート、シリルシクロヘキサンチオカルボキシレート、ヒドロカルビルシクロヘプタンチオカルボキシレート及びシリルシクロヘプタンチオカルボキシレートからなる群より選択され、
前記複素環式チオカルボン酸エステルが、ヒドロカルビル2−ピリジンチオカルボキシレート、シリル2−ピリジンチオカルボキシレート、ヒドロカルビル3−ピリジンチオカルボキシレート、シリル3−ピリジンチオカルボキシレート、ヒドロカルビル4−ピリジンチオカルボキシレート、シリル4−ピリジンチオカルボキシレート、ヒドロカルビル2−ピリミジンチオカルボキシレート、シリル2−ピリミジンチオカルボキシレート、ヒドロカルビル4−ピリミジンチオカルボキシレート、シリル4−ピリミジンチオカルボキシレート、ヒドロカルビル5−ピリミジンチオカルボキシレート、シリル5−ピリミジンチオカルボキシレート、ヒドロカルビルピラジンチオカルボキシレート、シリルピラジンチオカルボキシレート、ヒドロカルビル3−ピリダジンチオカルボキシレート、シリル3−ピリダジンチオカルボキシレート、ヒドロカルビル4−ピリダジンチオカルボキシレート及びシリル4−ピリダジンチオカルボキシレートからなる群より選択される、請求項5に記載の製造方法。
【請求項13】
前記モノマーが、共役ジエンモノマーであり、前記配位触媒が、(a)ランタニド含有化合物、(b)アルキル化剤及び(c)ハロゲン供給源を含んだランタニド系触媒である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項14】
前記モノマーを重合する工程が、20重量%未満の有機溶媒を含んだ重合混合物内で行われる、請求項1〜13のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項15】
先行する請求項のうちのいずれか1項に記載の官能化ポリマーを含んだ加硫可能な組成物から製造したタイヤ。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−506740(P2013−506740A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532313(P2012−532313)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際出願番号】PCT/US2010/050892
【国際公開番号】WO2011/041534
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】