説明

定流量弁及びイオン交換装置

【課題】排水の流量を略一定に制御する過程で発生する騒音を低減することができる定流量弁を提供すること。
【解決手段】排水ラインを流通する排水W5を一次側33Aから二次側33Bに向かって通過させることにより排水ラインL51を流通する排水W5の流量を略一定に制御する定流量弁33であって、内部に排水を通過させる筒状の定流量弁本体331と、定流量弁本体331の一次側33Aに設けられる複数の孔部334aを有するオリフィス332と、定流量弁本体331の二次側33Bに設けられる筒状の消音リング335とを備え、消音リング335は、消音リング335の一次側33Aに、定流量弁33の一次側33Aから二次側33Bに向かうにしたがって径が小さくなるように形成されると共に複数の孔部334aを通過した排水の少なくとも一部が衝突する入口側内周面部335aを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、定流量弁及びこれを備えたイオン交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、水道水や地下水などの原水に含まれる硬度成分(カルシウムイオン及びマグネシウムイオン)や硝酸性窒素(硝酸イオン及び亜硝酸イオン)等をイオン交換樹脂により吸着して除去するイオン交換装置が知られている。
【0003】
イオン交換装置は、除去能力が破過する前に、イオン交換樹脂床に再生液を供給する再生動作を行い、定期的に除去能力を回復させるように運転される。この再生動作は、再生液供給前の逆洗浄プロセスや、再生液供給後のリンス・プロセスを含むのが一般的である。逆洗浄プロセス及びリンス・プロセスは、イオン交換樹脂床に原水を規定流量で供給することにより行われるが、原水圧力が高い場合には、規定流量を超える無駄な排水が発生して、処理コストの上昇を招くことがある。そのため、イオン交換装置においては、原水圧力による排水の流量の増加を抑制するため、排水ラインに、定流量弁が設けられているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
定流量弁における排水の流量を略一定にする構成として、例えば、ディスク状の弾性体(合成ゴム等)に排水が通過する孔を設けて弁体を形成し、この弁体を流路内に配置したものがある。このように構成された定流量弁においては、排水が弁体の孔を通過する際の圧力差によって、孔の近傍部分に圧縮・曲げ変形を生じさせて口径を絞り、一次側の圧力変動によらずに、排水の流量を略一定に制御している。弁体の配置としては、例えば、流路断面の中央付近に1つの弁体を配置するものや、流路断面の周縁の近傍に複数の弁体を並べて配置するものがある。
【0005】
流路断面の中央付近に1つの弁体を配置して定流量弁を構成した場合には、大流量の排水を1つの孔に集中的に通過させることになる。そのため、孔の近傍部分に変形が生じる際に、弁体に大きな応力が働くことになり、弁体が破損する可能性がある。
【0006】
これに対し、流路断面の周縁の近傍に複数の弁体を配置して定流量弁を構成した場合には、大流量の排水を複数の孔に分散的に通過させることになる。そのため、個々の孔に働く応力を小さくできるので、弁体が破損する可能性は低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−160585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、流路断面の周縁の近傍に複数の弁体を配置して定流量弁を構成した場合には、排水の流量を略一定に制御する過程において、排水の水流が分割されながら弁体の二次側に高流速で噴出する。この結果、弁体の二次側の流路内でキャビテーション(空洞部が形成されて、水流が渦を起こす現象)が起こり、大きな騒音が発生する場合がある。
【0009】
本発明は、排水の流量を略一定に制御する過程で発生する騒音を低減することができる定流量弁を提供することを目的とする。
また、本発明は、前記定流量弁を備えたイオン交換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、排水が流通する排水ラインに設けられ、前記排水ラインを流通する排水を一次側から二次側に向かって通過させることにより前記排水ラインを流通する排水の流量を略一定に制御する定流量弁であって、内部に排水を通過させる筒状の定流量弁本体と、前記定流量弁本体の一次側に設けられる複数の孔部を有するオリフィスと、前記定流量弁本体の二次側に設けられる筒状の消音リングとを備え、前記消音リングは、該消音リングの一次側に、前記定流量弁の一次側から二次側に向かうにしたがって径が小さくなるように形成されると共に前記複数の孔部を通過した排水の少なくとも一部が衝突する入口側内周面部を有する定流量弁に関する。
【0011】
また、前記消音リングは、前記入口側内周面部の二次側に連続して形成されると共に径の大きさが略同一のストレート内周面部を更に有することが好ましい。
【0012】
また、前記消音リングは、前記ストレート内周面部の二次側に連続して形成されると共に前記定流量弁の一次側から二次側に向かうにしたがって径が大きくなるように形成される出口側内周面部を更に有することが好ましい。
【0013】
また、前記入口側内周面部の傾斜角度は、前記複数の孔部が延びる方向に対して、7.5°から20°であることが好ましい。
【0014】
また、前記複数の孔部は、前記オリフィスの周縁の近傍に沿って配置されることが好ましい。
【0015】
本発明は、イオン交換樹脂床が収容される圧力タンクと、前記圧力タンクに導入された洗浄液を排水として系外に排出する前記排水ラインと、前記定流量弁と、を備えるイオン交換装置に関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、排水の流量を略一定に制御する過程で発生する騒音を低減することができる定流量弁を提供することができる。
また、本発明は、前記定流量弁を備えたイオン交換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のイオン交換装置の一実施形態としての硬水軟化装置1の全体構成図である。
【図2】第1定流量弁33(第2定流量弁34)を示す斜視図である。
【図3】第1定流量弁33(第2定流量弁34)を示す断面図である。
【図4】第1定流量弁33(第2定流量弁34)を示す拡大断面図である。
【図5】ユニットバルブ3A,3B,3Cにより実行されるプロセスを示すフローチャートである。
【図6】各プロセスにおけるユニットバルブ3A,3B,3Cの開閉状態を示す図である。
【図7】(A)〜(E)は、各プロセスにおける流体の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明のイオン交換装置の一実施形態としての硬水軟化装置1について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明のイオン交換装置の一実施形態としての硬水軟化装置1の全体構成図である。図2は、第1定流量弁33(第2定流量弁34)を示す斜視図である。図3は、第1定流量弁33(第2定流量弁34)を示す断面図である。図4は、第1定流量弁33(第2定流量弁34)を示す拡大断面図である。図5は、ユニットバルブ3A,3B,3Cにより実行されるプロセスを示すフローチャートである。図6は、各プロセスにおけるユニットバルブ3A,3B,3Cの開閉状態を示す図である。図7は、(A)〜(E)は、各プロセスにおける流体の流れを示す図である。
【0019】
硬水軟化装置1は、水道水、地下水、工業用水などの原水中に含まれる硬度成分をナトリウムイオンへ置換して軟水を生成する。硬水軟化装置1は、軟水を各種の用水として需要箇所へ供給する目的で使用される。硬水軟化装置1は、家屋やマンション等の居住建物、ホテルや大衆浴場等の集客施設、ボイラやクーリングタワー等の冷熱機器、食品加工装置や洗浄装置等の水使用機器などに接続される。
【0020】
図1に示すように、本実施形態の硬水軟化装置1は、主として、圧力タンク2と、ユニットバルブ3A,3B,3Cと、塩水タンク4と、ドレンポット6と、制御部5と、定流量弁としての第1定流量弁33及び第2定流量弁34と、各種のラインと、を備えて構成される。「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
【0021】
圧力タンク2は、処理材である陽イオン交換樹脂ビーズからなるイオン交換樹脂床211を収容する。
イオン交換樹脂床211は、特定の構成に制限されない。例えば、イオン交換樹脂床211は、濾過砂利や不活性樹脂からなる支持床上に積層されていてもよい。
圧力タンク2の詳細については後述する。
【0022】
塩水タンク4は、イオン交換樹脂床を再生する再生液としての塩水W4を貯留する。再生液は、陽イオン交換樹脂ビーズを用いる硬水軟化装置では、塩化ナトリウムや塩化カリウムなどの水溶液を利用できる。
【0023】
本実施形態の硬水軟化装置1は、ユニットバルブ3A,3B,3Cの内部に、弁等を備える。
本実施形態の硬水軟化装置1は、ラインとして、原水ラインL1と、軟水ラインL2と、希釈水ラインL3と、第1塩水ラインL41と、第2塩水ラインL42と、第3塩水ラインL43と、第4塩水ラインL44と、第5塩水ラインL45と、第6塩水ラインL46と、第1排水ラインL51と、第2排水ラインL52と、第3排水ラインL53と、バイパスラインL6とを備える。原水ラインL1における圧力タンク2側の一部は、第5塩水ラインL45又は第3排水ラインL53としても機能する。軟水ラインL2における圧力タンク2側の一部は、第6塩水ラインL46又は第1排水ラインL51としても機能する。
【0024】
また、詳細については後述するが、ユニットバルブ3A、3B,3Cは、採水及び再生に関して、原水W1を圧力タンク2の頂部スクリーン241へ配液しながら、底部スクリーン242で集液することにより原水W1の下降流を生成して、処理水である軟水W2を製造する水処理プロセスST1の水(原水W1、軟水W2)の流れ;
再生液である塩水W4を圧力タンク2の頂部スクリーン241へ配液しながら、底部スクリーン242で集液することにより塩水W4の下降流を生成して、イオン交換樹脂床211の全体を再生させる第1再生プロセスST5の塩水W4の流れ;及び、
塩水W4を圧力タンク2の底部スクリーン242へ配液しながら、中間部スクリーン243で集液することにより塩水W4の上昇流を生成して、イオン交換樹脂床211の下部を再生させる第2再生プロセスST7の塩水W4の流れを切り換え可能なバルブである。
【0025】
圧力タンク2内において、イオン交換樹脂床211の頂部には、樹脂ビーズの流出を防止する頂部スクリーン241が設けられている。頂部スクリーン241は、樹脂ビーズよりも小さな多数の開孔を有する(後述する底部スクリーン242及び中間部スクリーン243も同様。)。頂部スクリーン241は、原水ラインL1の端部と連通する。頂部スクリーン241による配水位置及び集水位置は、イオン交換樹脂床211の頂部付近に設定される。頂部スクリーン241は、イオン交換樹脂床211の頂部に設けられる頂部配液部、及びイオン交換樹脂床211の頂部に設けられる頂部集液部として機能する。
【0026】
イオン交換樹脂床211の底部には、樹脂ビーズの流出を防止する底部スクリーン242が設けられている。底部スクリーン242は、軟水ラインL2の端部と連通する。底部スクリーン242による配水位置及び集水位置は、イオン交換樹脂床211の底部付近に設定される。底部スクリーン242は、イオン交換樹脂床211の底部に設けられる底部配液部、及びイオン交換樹脂床211の底部に設けられる底部集液部として機能する。
【0027】
圧力タンク2の内部には、イオン交換樹脂床211の頂部からイオン交換樹脂床211の深さ方向の中間部付近へ延びる集水管231が接続されている。集水管231の下端部には、樹脂ビーズの流出を防止する中間部スクリーン243が設けられている。集水管231は、第2排水ラインL52の上流側の端部(接続端部)L52Aと連通する。中間部スクリーン243による集水位置は、イオン交換樹脂床211の深さ方向の中間部付近に設定される。つまり、中間部スクリーン243は、イオン交換樹脂床211の深さ方向の中間部に設けられる。中間部スクリーン243は、イオン交換樹脂床211の深さ方向の中間部に設けられる中間部集液部として機能する。中間部スクリーン243による集水位置は、中間部スクリーン243における開孔のうち、最も下側の開孔と定義する。
【0028】
制御部5は、CPU及びメモリを含んで構成される。制御部5は、原水W1の流れ(圧力)の有無を検出する原水フロースイッチ、第1塩水ラインL41を流通する塩水W4の流量を検出する塩水流量計(いずれも図示せず)等からの信号が入力されて、入力された信号などに基づいてユニットバルブ3A,3B,3Cを制御する。メモリには、本実施形態の硬水軟化装置1の運転を実施する制御プログラムが予め記憶されている。この制御プログラムは、例えば、硬水軟化装置1における水処理プロセスの流路と再生プロセスの流路とを切り換えるように、ユニットバルブ3A,3B,3Cを制御する。詳細には、制御部5は、水処理プロセスST1、第1再生プロセスST5及び第2再生プロセスST7を順に切り換えるように、ユニットバルブ3A,3B,3Cを制御する。
【0029】
本実施形態のユニットバルブは、第1ユニットバルブ3Aと、第2ユニットバルブ3Bと、第3ユニットバルブ3Cと、により構成される。
第1ユニットバルブ3Aは、弁として、原水通水弁311と、軟水通水弁312と、バイパス弁313と、第3排水弁314と、第1排水弁319とを備える。
第2ユニットバルブ3Bは、弁として、第2排水弁318を備える。
第3ユニットバルブ3Cは、弁として、塩水弁315と、第1エゼクタ弁316と、第2エゼクタ弁317とを備える。また、第3ユニットバルブ3Cは、エゼクタ321を備える。
【0030】
原水ラインL1には、原水W1の供給側から圧力タンク2の頂部スクリーン241へ向けて順に、接続部J11と、接続部J12と、原水通水弁311と、接続部J13と、接続部J14と、が設けられる。原水ラインL1における接続部J13と圧力タンク2との間の部分は、第3排水ラインL53としても機能する。原水ラインL1における接続部J14と圧力タンク2との間の部分は、第5塩水ラインL45又は第3排水ラインL53としても機能する。
【0031】
軟水ラインL2には、圧力タンク2の底部スクリーン242から軟水W2の供給先へ向けて順に、接続部J21と、接続部J22と、接続部J23と、軟水通水弁312と、が設けられる。軟水ラインL2における圧力タンク2と接続部J22との間の部分は、第1排水ラインL51としても機能する。軟水ラインL2における圧力タンク2と接続部J21との間の部分は、第6塩水ラインL46又は第1排水ラインL51としても機能する。
【0032】
希釈水ラインL3は、その上流側の端部において、原水ラインL1の接続部J11に接続されると共に、その下流側の端部において、エゼクタ321の一次側(上流側)に接続される。希釈水ラインL3には、上流側(接続部J11側)から下流側(エゼクタ321側)に向けて順に、ストレーナ323と、減圧弁322と、が設けられる。
【0033】
ストレーナ323は、原水W1からなる希釈水に含まれる懸濁物質を除去し、減圧弁322及びエゼクタ321の詰まりを防止する。減圧弁322は、エゼクタ321へ供給する希釈水を所定範囲の圧力及び流量に調節する。
エゼクタ321には、ノズル部の吐出側において、第1塩水ラインL41の下流側の端部が接続されている。エゼクタ321は、希釈水(原水W1)が前記ノズル部から吐出されるときに発生する負圧を利用して、塩水タンク4から塩水W4(例えば、塩化ナトリウムの飽和水溶液)を吸引可能に構成されている。そして、エゼクタ321において、塩水タンク4からの塩水W4は、希釈水(原水W1)によって、所定濃度(例えば、8〜12重量%)にまで希釈されるようになっている。
【0034】
バイパスラインL6は、接続部J12と接続部J23とを接続する。つまり、バイパスラインL6は、原水ラインL1と軟水ラインL2とを接続する。
【0035】
再生液供給ラインは、圧力タンク2と塩水タンク(再生液タンク)4とを接続するラインである。本実施形態において、再生液供給ラインは、2本形成される。
1本目の再生液供給ラインは、第1塩水ラインL41と、第2塩水ラインL42と、第3塩水ラインL43と、第5塩水ラインL45(原水ラインL1の一部)とから構成される。2本目の再生液供給ラインは、第1塩水ラインL41と、第2塩水ラインL42と、第4塩水ラインL44と、第6塩水ラインL46(軟水ラインL2の一部)とから構成される。
【0036】
第1塩水ラインL41の一端部L41Aは、塩水タンク4の内部に配置される。第1塩水ラインL41の他端部は、エゼクタ321の前記ノズル部に接続される。第1塩水ラインL41の途中には、塩水弁315が設けられる。
【0037】
第3塩水ラインL43の上流側の端部と、第4塩水ラインL44の上流側の端部とは、接続部J41において接続される。第2塩水ラインL42は、エゼクタ321の二次側と接続部J41とを接続する。
【0038】
第3塩水ラインL43の下流側の端部は、接続部J14において第5塩水ラインL45(原水ラインL1)に接続される。第3塩水ラインL43の途中には、第1エゼクタ弁316が設けられる。
第4塩水ラインL44の下流側の端部は、接続部J21において第6塩水ラインL46(軟水ラインL2)に接続される。第4塩水ラインL44の途中には、第2エゼクタ弁317が設けられる。
【0039】
本実施形態の硬水軟化装置1は、排水ラインとしての第1排水ラインL51と、第2排水ラインL52と、排水ラインとしての第3排水ラインL53とを備える。
【0040】
第1排水ラインL51及び第3排水ラインL53の下流側の端部は、大気に開放された開放末端部L51B及びL53Bから構成される。開放末端部L51B及びL53Bは、第1排水ラインL51及び第3排水ラインL53における共通の開放末端部として機能する。一方、第2排水ラインL52の下流側の端部は、後述するドレンポット6内で水没された水封末端部L52Bとして構成される。
【0041】
第1排水ラインL51及び第3排水ラインL53それぞれの開放末端部L51B及びL53B、並びに第2排水ラインL52の水封末端部L52Bからは、各種の排水W5が排出される。
第1排水ラインL51の上流側の端部(接続端部)L51Aは、圧力タンク2の底部スクリーン242に接続されている。第1排水ラインL51の上流側は、軟水ラインL2における底部スクリーン242と接続部J22との間から構成される。第1排水ラインL51における接続部J22と開放末端部L51Bとの間には、上流側(接続部J22側)から下流側(開放末端部L51B側)に向けて順に、第1排水弁319と、第1定流量弁33と、接続部J51と、が設けられる。第1排水ラインL51における接続部J52から開放末端部L51B(L53B)との間の部分は、第3排水ラインL53としても機能する。
第1定流量弁33の詳細については後述する。
【0042】
第2排水ラインL52の上流側の端部(接続端部)L52Aは、圧力タンク2の頂部スクリーン241に接続されている。第2排水ラインL52には、第2排水弁318が設けられる。
【0043】
第3排水ラインL53の上流側の端部(接続端部)L53Aは、圧力タンク2の頂部スクリーン241に接続されている。第3排水ラインL53の上流側は、原水ラインL1における頂部スクリーン241と接続部J13との間から構成される。第3排水ラインL53における接続部J13と開放末端部L53Bとの間には、上流側(接続部J13側)から下流側(開放末端部L53B側)に向けて順に、第3排水弁314と、第2定流量弁34と、接続部J51と、が設けられる。
第2定流量弁34は、第1定流量弁33と同様の構成である。そのため、第2定流量弁34の詳細については、後述する第1定流量弁33の詳細な説明を援用して、説明を省略する。
【0044】
第1排水ラインL51は、再生プロセス(後述する第1再生プロセスST5)において塩水タンク4から圧力タンク2へ供給された塩水W4及びリンス・プロセスにおいて原水ラインL1から圧力タンク2へ供給(導入)された原水W1(洗浄液)を、開放末端部L51Bから排水W5としてドレンポット6の大気開放部へ向けて排出する。
第2排水ラインL52は、再生プロセス(後述する第2再生プロセスST7)において塩水タンク4から圧力タンク2へ供給された塩水W4を、水封末端部L52Bから排水W5としてドレンポット6の底部64へ向けて排出する。
第3排水ラインL53は、逆洗浄プロセスにおいて原水ラインL1から圧力タンク2へ供給(導入)された原水W1(洗浄液)を、開放末端部L53Bから排水W5としてドレンポット6の大気開放部へ向けて排出する。
【0045】
ユニットバルブ3A,3B,3Cにおいて、各種の弁311〜319は、種々の作動機構及び弁構造を採用することができる。具体的には、カム機構により作動されるリフト式又はダイアフラム式の流路開閉弁や、リンク機構により作動されるスライドピストン式の流路開閉弁などが好適である。
【0046】
ドレンポット6は、大気に開放され、第1排水ラインL51、第2排水ラインL52及び第3排水ラインL53からの排水W5が貯留される。ドレンポット6は、上部が開口した有底の形状を有するポット本体61と、排出口62と、オーバーフロー管63とを備える。ポット本体61は、排水W5を貯留する。排出口62は、ポット本体61の底部64よりも高い位置に設けられ、ドレンポット6に貯留される排水W5を排出する。オーバーフロー管63は、排出口62と系外とを連通している。排出口62よりも高い位置に達した排水W5は、排出口62及びオーバーフロー管63を介して、系外へ排出される。つまり、排出口62及びオーバーフロー管63は、ポット本体61に貯留される排水W5の高さ(液面)の上限を規定する。
【0047】
塩水タンク4における塩水W4の液面W4A、ドレンポット6における排出口62、及び第2排水ラインL52における水封末端部L52Bの高さの関係は、塩水W4の液面W4A(Ha) > 排出口62(Hb) > 水封末端部L52B(Hc)の関係になるように設定されている。つまり、第2排水ラインL52における水封末端部L52Bは、ドレンポット6に貯留される排水W5中に水没するように配置される。
【0048】
本実施形態の硬水軟化装置1は、後述する第2再生プロセスST7においては、エゼクタ321のノズル部で発生する負圧に加えて、塩水タンク4における塩水W4の液面W4A(Ha)とドレンポット6における排出口62(Hb)との間の水頭圧差により、塩水タンク4から圧力タンク2へ塩水W4を供給すると共に、塩水W4を圧力タンク2から第2排水ラインL52へ排出するように構成される。
塩水タンク4における塩水タンク4の液面W4Aの高さHaは、後述する補水プロセスST11により所定の高さに維持される。
【0049】
次に、第1定流量弁33について、図1から図4を参照しながら詳細に説明する。図3に示す矢印は、第1定流量弁33を流通する排水W5が流れる方向を示す。なお、第1定流量弁33の構成は、第2定流量弁34と同様の構成である。そのため、第1定流量弁33の説明は、第2定流量弁34の説明に援用される。
【0050】
図1から図3に示すように、第1定流量弁33は、前述の通り、排水W5が流通する第1排水ラインL51の途中に設けられる。第1定流量弁33は、第1排水ラインL51を流通する排水W5を一次側(上流側)33Aから二次側(下流側)33Bに向かって通過させることにより、第1排水ラインL51を流通する排水W5の流量を略一定に制御する弁である。
【0051】
第1定流量弁33は、図2及び図3に示すように、定流量弁本体331と、オリフィス332と、消音リング335と、を備える。
定流量弁本体331は、中径部と大径部と小径部とを有する段付の円筒状に形成される。定流量弁本体331は、内部に排水W5を通過させる。定流量弁本体331は、例えば、ガラス繊維強化ABS樹脂等のプラスチック材料により形成される。
【0052】
定流量弁本体331は、内周側筒状部331aと、フランジ部331bと、外周側筒状部331cと、複数の上流側保持部331dとを有する。
内周側筒状部331aは、一次側(上流側)33Aから二次側(下流側)33Bに向かって延びる中径の円筒状に形成される。内周側筒状部331aの二次側33Bの部分は、第1定流量弁33の下流側の配管接続部を構成する。内周側筒状部331aの二次側33Bの外周面は、第1定流量弁33の下流側の第1排水ラインL51に対して、その内周面に嵌合して取り付けられる。
【0053】
フランジ部331bは、内周側筒状部331aの一次側33Aの外周面から外側に向けて突出するような円盤状に形成される。
外周側筒状部331cは、フランジ部331bにおける内周側筒状部331aよりも外側の位置から上流側に向けて延びる大径の円筒状に形成される。外周側筒状部331cは、第1定流量弁33の上流側の配管接続部を構成する。外周側筒状部331cの外周面は、第1定流量弁33の上流側の第1排水ラインL51に対して、その内周面に嵌合して取り付けられる。
【0054】
複数の上流側保持部331dは、定流量弁本体331の一次側において、内周側筒状部331aの上流側の端部に連続して形成される。複数の上流側保持部331dは、排水W5が流れる方向に貫通する小径の円筒状に形成される。複数の上流側保持部331dそれぞれは、後述するオリフィス332の弁体334を収容して保持する。
【0055】
複数の上流側保持部331dは、内周側筒状部331aの一次側33Aの端部において、内周側筒状部331aの開口部の内側周縁の近傍に沿って周方向に並んで形成されている。複数の上流側保持部331dそれぞれは、後述するオリフィス332の弁体334が下流側において当接する規制部331eを有する。
【0056】
図3に示すように、オリフィス332は、定流量弁本体331の一次側33Aに設けられる。オリフィス332は、円板333と、複数の弁体334とを有する。
弁体334は、穿孔されたディスク状に形成される。弁体334は、その下流側の端部において、上流側保持部331dの規制部331eに当接した状態で、上流側保持部331dに収容される。弁体334の孔部334aは、排水W5が流れる方向に貫通している。複数の弁体334を上流側保持部331dに収容した状態において、各弁体334の孔部334aは、オリフィス332の周縁の近傍に位置するように配置される。弁体334は、例えば、合成ゴム等の弾性材料により形成され、排水W5が通過する際の圧力差により圧縮変形が生じると、孔部334aの口径を絞るように機能する。
【0057】
円板333は、上流側保持部331dに収容された複数の弁体334を規制部331eとの間に挟み込むようにして、定流量弁本体331の一次側33Aから上流側保持部331dの上流側の端部に当接する。円板333は、図2に示すように、複数のねじ部材338により定流量弁本体331に取り付けられる。
【0058】
円板333には、図2及び図3に示すように、複数の円板孔部333aが形成される。円板孔部333aの数は、上流側保持部331dに収容可能な弁体334の数と同じに設定されており、円板孔部333aのそれぞれは、円板333の周縁の内側近傍に沿って配置される。各円板孔部333aは、排水W5が流れる方向に貫通しており、複数の弁体334の孔部334aに連通している。
【0059】
消音リング335は、全体として円筒状に形成される。消音リング335は、定流量弁本体331の二次側33Bに設けられる。消音リング335は、例えば、ポリ塩化ビニル等のプラスチック材料により形成される。
【0060】
消音リング335は、その内周部に、入口側内周面部335aと、ストレート内周面部335bと、出口側内周面部335cと、を有する。また、消音リング335は、その外周部に、先端位置決め部335dを有する。
【0061】
入口側内周面部335aは、消音リング335の一次側に設けられる。入口側内周面部335aは、第1定流量弁33の一次側から二次側に向かうにしたがって径が小さくなるように形成される。入口側内周面部335aは、オリフィス332から噴出した排水W5の少なくとも一部、望ましくは全部を緩やかに衝突させることにより、排水W5の流速を徐々に低下させ、キャビテーションの発生を抑制する機能を持つ。そのため、入口側内周面部335aの傾斜角度αは、オリフィス332により分流した排水W5の水流を滑らかに集合させる角度に設定される。
【0062】
具体的には、入口側内周面部335aの傾斜角度αは、図4に示すように、例えば、複数の孔部334aが延びる方向D1に対して、7.5°から20°である。入口側内周面部335aの傾斜角度αが7.5°未満の場合は、入口側内周面部335aにおける排水W5の流通距離が長くなり、騒音防止効果が少ない。すなわち、入口側内周面部335aがストレート管に近くなるため、従来の定流量弁と同様に、オリフィス332の二次側でキャビテーションが起こり、騒音の原因となる。また、入口側内周面部335aの傾斜角度αが20°よりも大きい場合は、オリフィス332から噴出された排水W5の流れ方向に急激な変化が生じることで、騒音防止効果が少ない。すなわち、噴出された排水W5が入口側内周面部335aの壁面に激しく衝突するようになり、騒音の原因となる。
【0063】
ストレート内周面部335bは、入口側内周面部335aの二次側に連続して形成される。ストレート内周面部335bは、上流側から下流側にわたって径Kの大きさが略同一である。なお、「径Kの大きさが略同一」とは、上流側から下流側までの間において、径Kの大きさがごく僅かに同一でない部分があっても、「同一」に含まれるという意味である。
【0064】
ストレート内周面部335bの径Kは、ストレート内周面部335bの断面積に基づいて設定される。ストレート内周面部335bの径Kは、例えば、オリフィス332の開孔面積(すなわち、複数の孔部334aの開孔面積の合計)に対し、1.1倍よりも大きく且つ1.8倍よりも小さく形成される。ストレート内周面部335bの断面積がオリフィス332の開孔面積に対して1.1倍以下の場合には、排水W5の通水抵抗が大きくなり、オリフィス332の一次側と二次側の間に十分な圧力差を生じさせることができなくなる。すなわち、排水W5を規定流量に維持することが困難になる。また、ストレート内周面部335bの断面積がオリフィス332の開孔面積に対して1.8倍以上の場合には、入口側内周面部335aの傾斜角度αが小さくなり、騒音防止効果が少ない。すなわち、入口側内周面部335aがストレート管に近くなるため、従来の定流量弁と同様に、オリフィス332の二次側でキャビテーションが起こり、騒音の原因となる。
ストレート内周面部335bの複数の孔部334aが延びる方向D1の長さLは、例えば、ストレート内周面部335bの径Kの大きさに対して0.2倍以上である。
【0065】
出口側内周面部335cは、ストレート内周面部335bの二次側に連続して形成される。出口側内周面部335cは、第1定流量弁33の一次側から二次側に向かうにしたがって径が大きくなるように形成される。出口側内周面部335cの傾斜角度βは、排水W5の流路が急激に拡大しないように緩やかに拡大する角度が好ましい。具体的には、出口側内周面部335cの傾斜角度βは、例えば、複数の孔部334aが延びる方向D1に対して、7.5°から20°である。
【0066】
先端位置決め部335dは、消音リング335における下流側の外周面から外側に突出して形成される。先端位置決め部335dは、定流量弁本体331の内周側筒状部331aの下流側の端面に当接して、排水W5が流れる方向において、定流量弁本体331に対して消音リング335を位置決めする。
【0067】
ユニットバルブ3A,3B,3Cは、図5及び図6に示すプロセスを切り換える。ユニットバルブ3A,3B,3Cは、流路を切り換えながら、以下のプロセスST1〜ST11を順次実施する。
(ST1)原水W1をイオン交換樹脂床211の全体に対して上から下へ通過させる水処理プロセス(水軟化プロセス)
(ST2)原水W1をユニットバルブ3Cに流入させて内部のエアを抜く第1エア抜きプロセス
(ST3)洗浄水としての原水W1をイオン交換樹脂床211の全体に対して下から上へ通過させる逆洗浄プロセス
(ST4)原水W1を集水管231に対して下から上に通過させて管内のエアを抜く第2エア抜きプロセス
(ST5)再生液としての塩水W4をイオン交換樹脂床211の全体に対して上から下へ通過させる第1再生プロセス
(ST6)押出水としての原水W1をイオン交換樹脂床211の全体に対して上から下へ通過させる第1押出プロセス
(ST7)再生液としての塩水W4をイオン交換樹脂床211の下部に対して下から上へ通過させる第2再生プロセス
(ST8)押出水としての原水W1をイオン交換樹脂床211の下部に対して下から上へ通過させる第2押出プロセス
(ST9)原水W1を集水管231に対して下から上に通過させて管内を水洗する集水管水洗プロセス
(ST10)濯ぎ水としての原水W1をイオン交換樹脂床211の全体に対して上から下へ通過させるリンス・プロセス
(ST11)原水W1を塩水タンク4へ供給する補水プロセス
【0068】
ユニットバルブ3A,3B,3Cにおける各弁311〜319の開閉は、図6に示すように、プロセスST1〜ST11毎に、制御部5により制御される。その結果、図7に示すように、圧力タンク2内において、プロセスST1〜ST11毎に、流体の流れが生成されるか、あるいは、流体の流れが生成されない。なお、第2エア抜きプロセスST4と第1再生プロセスST5との間には、塩水W4の供給を待機する再生待機プロセスが設けられている。また、補水プロセスST11の後には、原水W1の供給を待機する水処理待機プロセスが設けられている。因みに、再生待機プロセス及び水処理待機プロセスでは、各弁311〜319は、全て閉弁状態に設定される。
【0069】
図7に示す流体の流れが生成される結果、頂部スクリーン241は、配液部又は集液部として機能する。すなわち、水処理プロセスST1、第1再生プロセスST5、第1押出プロセスST6及びリンス・プロセスST10では、頂部スクリーン241は、配液部(頂部配液部)として機能する。また、逆洗浄プロセスST3では、頂部スクリーン241は、集液部として機能する。
【0070】
底部スクリーン242は、配液部又は集液部として機能する。すなわち、逆洗浄プロセスST3、第2エア抜きプロセスST4、第2再生プロセスST7及び第2押出プロセスST8では、底部スクリーン242は、配液部(底部配液部)として機能する。また、水処理プロセスST1、第1再生プロセスST5、第1押出プロセスST6及びリンス・プロセスST10では、底部スクリーン242は、集液部(底部集液部)として機能する。
【0071】
中間部スクリーン243は、集液部としてのみ機能する。すなわち、第2エア抜きプロセスST4、第2再生プロセスST7、第2押出プロセスST8及び集水管水洗プロセスST9において、中間部スクリーン243は、集液部(中間部集液部)として機能する。
【0072】
制御部5のメモリに記憶された制御プログラムは、第1再生プロセスST5、第1押出プロセスST6、第2再生プロセスST7及び第2押出プロセスST8からなる二段再生を実施するように、ユニットバルブ3A,3B,3Cを制御する。図7に示すように、第1再生プロセスST5では、再生液としての塩水W4を、頂部スクリーン241を介してイオン交換樹脂床211の頂部へ配液しながら、底部スクリーン242を介してイオン交換樹脂床211の底部で集液することにより塩水W4の下降流を生成し、イオン交換樹脂床211の全体を再生させる。
【0073】
第2再生プロセスST7では、再生液としての塩水W4を、底部スクリーン242を介してイオン交換樹脂床211の底部へ配液しながら、中間部スクリーン243を介してイオン交換樹脂床211の中間部で集液することにより塩水W4の上昇流を生成し、イオン交換樹脂床211の下部を再生させる。
【0074】
次に、本実施形態に係る硬水軟化装置1の運転方法(動作)について詳細に説明する。以下では、水処理プロセスST1、第1エア抜きプロセスST2、逆洗浄プロセスST3、第2エア抜きプロセスST4、第1再生プロセスST5、第2再生プロセスST7及び集水管水洗プロセスST9の動作を中心に説明する。
【0075】
〔水処理プロセスST1〕
制御部5からの指令信号により、ユニットバルブ3A,3B,3Cの各弁311〜319は、図6のST1に示す開閉状態に設定される。その結果、原水ラインL1を流れる水道水、地下水、工業用水などの原水W1は、原水ラインL1を介して、圧力タンク2の内部に供給され、頂部スクリーン241から配水される。頂部スクリーン241から配水された原水W1は、イオン交換樹脂床211を下降流で通過し、その過程で原水W1の硬度成分はナトリウムイオンへ置換され、原水W1は軟水化される。
【0076】
イオン交換樹脂床211を通過した処理水(軟水W2)は、圧力タンク2の底部で底部スクリーン242へ集水される。その後、軟水W2は、軟水ラインL2を介して、所定の軟水W2の需要箇所へ供給される。そして、所定量の軟水W2を採取することにより、イオン交換樹脂床211が硬度成分を置換できなくなると、第1エア抜きプロセスST2を実行後、再生プロセスを実施する。
【0077】
〔第1エア抜きプロセスST2〕
制御部5からの指令信号により、ユニットバルブ3A,3B,3Cの各弁311〜319は、図6のST2に示す開閉状態に設定される。その結果、原水ラインL1における接続部J11よりも上流側を流れる原水W1は、希釈水ラインL3を介して、ストレーナ323及び減圧弁322を通過して、エゼクタ321の一次側へ供給される。エゼクタ321を通過した原水W1は、第2塩水ラインL42、第3塩水ラインL43及び第3排水ラインL53を介して、排水W5としてドレンポット6の大気開放部へ向けて排出される。ドレンポット6へ排出された排水W5は、排出口62及びオーバーフロー管63を介して、系外へ排出される(以下同様)。
【0078】
第1エア抜きプロセスST2においては、原水W1がエゼクタ321を通過する過程で、原水W1が塩水弁315及び第2エゼクタ弁317の二次側(上流側)に流入して、弁内のエア抜きを実行する。同時に、原水W1が第1エゼクタ弁316を通過して、弁内のエア抜きを実行する。そのため、再生プロセスが実行される前に、ユニットバルブ3Cの内部のエア抜きを実行することができる。これにより、再生プロセスにおけるエゼクタ321による塩水の吸込流量の安定性を向上することができる。従って、再生プロセスが確実に実行されて、イオン交換樹脂床211の硬度成分の除去能力(イオン交換容量)を回復させる性能の安定化を図ることができる。第1エア抜きプロセスST2は、例えば、9秒間実行される。
【0079】
また、第3排水ラインL53の途中には、第2定流量弁34が設けられる。第2定流量弁34は、複数の弁体334を有するオリフィス332を備える。上述したように、弁体334は、排水W5が通過する際の圧力差により圧縮変形が生じると、孔部334aの口径を絞るように機能する。これにより、第2定流量弁34は、排水W5の流量を略一定に制御することができる。
また、第2定流量弁34は、消音リング335を備える。そのため、オリフィス332から噴出された排水W5の一部又は全部は、消音リング335の入口側内周面部335aに緩やかに衝突する。これにより、オリフィス332の下流側において、排水W5の流速を低下させることができる。従って、第2定流量弁34は、排水W5の流量を略一定に制御する過程で発生する騒音を低減することができる。
【0080】
〔再生プロセス〕
再生プロセスは、イオン交換樹脂床211の硬度成分の除去能力(イオン交換容量)を回復させるために、逆洗浄プロセスST3〜補水プロセスST11を順次実施する(図5参照)。これらのプロセスのうち、リンス・プロセスST10及び補水プロセスST11は、特許文献等に開示されるように周知であるので、その説明を省略する。
【0081】
〔逆洗浄プロセスST3〕
制御部5からの指令信号により、ユニットバルブ3A,3B,3Cの各弁311〜319は、図6のST3に示す開閉状態に設定される。その結果、原水ラインL1を流れる原水W1は、原水ラインL1、バイパスラインL6及び軟水ラインL2を介して、圧力タンク2の内部に供給され、底部スクリーン242から配水される。底部スクリーン242から配水された原水W1は、イオン交換樹脂床211を上昇流で通過し、その過程でイオン交換樹脂床211の逆洗浄が行われる。
【0082】
イオン交換樹脂床211を通過した原水W1は、圧力タンク2の頂部で頂部スクリーン241へ集水される。この原水W1は、第3排水ラインL53、(原水ラインL1の一部)を介して、排水W5としてドレンポット6の大気開放部へ向けて排出される。
【0083】
また、第3排水ラインL53の途中には、第2定流量弁34が設けられる。そのため、前述の第1エア抜きプロセスST2の場合と同様に、第2定流量弁34は、排水W5の流量を略一定に制御することができると共に、排水W5の流量を略一定に制御する過程で発生する騒音を低減することができる。
【0084】
〔第2エア抜きプロセスST4〕
制御部5からの指令信号により、ユニットバルブ3A,3B,3Cの各弁311〜319は、図6のST4に示す開閉状態に設定される。その結果、原水ラインL1を流れる原水W1は、原水ラインL1、バイパスラインL6及び軟水ラインL2を介して、圧力タンク2の内部に供給され、底部スクリーン242から配水される。
【0085】
底部スクリーン242から配水された原水W1は、イオン交換樹脂床211の下部を介して、圧力タンク2の深さ方向の中間部で中間部スクリーン243へ集水される。集水管231の内部を通過した原水W1は、第2排水ラインL52を介して、ドレンポット6の底部64へ向けて排出される。
【0086】
第2エア抜きプロセスST4においては、中間部スクリーン243へ集水された原水W1は、集水管231に対して下から上に通過し、その過程で管内のエア抜きを実行する。そのため、再生プロセスが実行される前に、集水管231の内部のエア抜きを実行することができる。これにより、再生プロセスにおけるエゼクタ321による塩水の吸込流量の安定性を向上することができる。従って、再生プロセスが確実に実行されて、イオン交換樹脂床211の硬度成分の除去能力(イオン交換容量)を回復させる性能の安定化を図ることができる。第2エア抜きプロセスST4は、例えば、9秒間実行される。
【0087】
〔再生プロセス:第1再生プロセスST5〕
制御部5からの指令信号により、ユニットバルブ3A,3B,3Cの各弁311〜319は、図6のST5に示す開閉状態に設定される。その結果、原水ラインL1における接続部J11よりも上流側を流れる原水W1は、塩水W4の希釈水として、希釈水ラインL3を介して、ストレーナ323及び減圧弁322を通過して、エゼクタ321の一次側へ供給される。
【0088】
エゼクタ321において、原水W1の通過によってノズル部(符号省略)の吐出側で負圧が発生し、第1塩水ラインL41内も負圧となる。その結果、塩水タンク4内の飽和塩水W4は、エゼクタ321へ吸引される。そして、エゼクタ321内では、飽和塩水W4が原水W1を希釈水として所定濃度まで希釈され、再生液としての塩水W4が調製される。
調製された塩水W4は、第2塩水ラインL42、第3塩水ラインL43及び第5塩水ラインL45(原水ラインL1の一部)を介して、圧力タンク2の内部に供給され、頂部スクリーン241から配水される。
【0089】
頂部スクリーン241から配水された塩水W4は、イオン交換樹脂床211を下降流で通過し、その過程でイオン交換樹脂床211の全体を再生させる。イオン交換樹脂床211を通過した再生液(塩水W4)は、圧力タンク2の底部で底部スクリーン242へ集水される。使用済みの塩水W4は、第1排水ラインL51(軟水ラインL2の一部を含む)を介して、排水W5としてドレンポット6の大気開放部へ向けて排出される。
【0090】
また、第1排水ラインL51の途中には、第1定流量弁33が設けられる。第1定流量弁33は、複数の弁体334を有するオリフィス332を備える。上述したように、弁体334は、排水W5が通過する際の圧力差により圧縮変形が生じると、孔部334aの口径を絞るように機能する。これにより、第1定流量弁33は、排水W5の流量を略一定に制御することができる。
また、第1定流量弁33は、消音リング335を備える。そのため、オリフィス332から噴出された排水W5の一部又は全部は、消音リング335の入口側内周面部335aに緩やかに衝突する。これにより、オリフィス332の下流側において、排水W5の流速を低下させることができる。従って、第1定流量弁33は、排水W5の流量を略一定に制御する過程で発生する騒音を低減することができる。
【0091】
第1再生プロセスST5は、いわゆる並流再生である。この並流再生では、再生液である塩水W4の供給容量が設定された再生剤量(=再生レベル×イオン交換樹脂床容量)に達すると、処理は終了し、第1押出プロセスST6へ移行する。
なお、再生剤量、再生液の濃度、再生液の比重、及び再生液の供給容量は、以下の関係を有する。
再生剤量=再生液の濃度×再生液の比重×再生液の供給容量 ・・・ (1)
【0092】
〔再生プロセス:第1押出プロセスST6〕
制御部5からの指令信号により、ユニットバルブ3A,3B,3Cの各弁311〜319は、図6のST6に示す開閉状態に設定される。その結果、原水ラインL1における接続部J11よりも上流側を流れる原水W1は、押出水として、希釈水ラインL3を介して、ストレーナ323及び減圧弁322を通過して、エゼクタ321の一次側へ供給される。エゼクタ321を通過した原水W1は、第2塩水ラインL42、第3塩水ラインL43及び第5塩水ラインL45(原水ラインL1の一部)を介して、圧力タンク2の内部に供給され、頂部スクリーン241から配水される。
【0093】
頂部スクリーン241から配水された押出水としての原水W1は、圧力タンク2に先に供給された再生液としての塩水W4を押し出しながら、イオン交換樹脂床211を下降流で通過し、引き続き、イオン交換樹脂床211を再生させる。イオン交換樹脂床211を通過した再生液(塩水W4)及び押出水(原水W1)は、圧力タンク2の底部で底部スクリーン242へ集水される。使用済みの塩水W4及び原水W1は、第1排水ラインL51(軟水ラインL2の一部を含む)を介して、第1排水弁319及び第1定流量弁33を通過して、ドレンポット6の大気開放部へ向けて排出される。
【0094】
また、第1排水ラインL51の途中には、第1定流量弁33が設けられる。そのため、前述の第1再生プロセスST5の場合と同様に、第1定流量弁33は、排水W5の流量を略一定に制御することができると共に、排水W5の流量を略一定に制御する過程で発生する騒音を低減することができる。
【0095】
〔再生プロセス:第2再生プロセスST7〕
制御部5からの指令信号により、ユニットバルブ3A,3B,3Cの各弁311〜319は、図6のST7に示す開閉状態に設定される。その結果、原水ラインL1における接続部J11よりも上流側を流れる原水W1は、塩水W4の希釈水として、希釈水ラインL3を介して、ストレーナ323及び減圧弁322を通過して、エゼクタ321の一次側へ供給される。
【0096】
エゼクタ321において、原水W1の通過によってノズル部(符号省略)の吐出側で負圧が発生し、第1塩水ラインL41内も負圧となる。その結果、塩水タンク4内の飽和塩水W4は、エゼクタ321へ吸引される。また、塩水W4には、エゼクタ321による駆動力(吸引力)が付与されると共に、塩水タンク4における塩水W4の液面W4A(Ha)とドレンポット6における排出口62(Hb)との間の水頭圧差による駆動力が付与される。
【0097】
エゼクタ321において調製された塩水W4は、第2塩水ラインL42、第4塩水ラインL44及び第6塩水ラインL46(軟水ラインL2の一部)を介して、圧力タンク2の内部に供給され、底部スクリーン242から配水される。
【0098】
底部スクリーン242から配水された塩水W4は、イオン交換樹脂床211の下部を上昇流で通過し、その過程でイオン交換樹脂床211の下部を再生させる。イオン交換樹脂床211の下部を通過した再生液(塩水W4)は、圧力タンク2の深さ方向の中間部で中間部スクリーン243へ集水される。使用済みの塩水W4は、集水管231及び第2排水ラインL52を介して、ドレンポット6の底部64へ向けて排出される。
【0099】
第2再生プロセスST7は、部分向流再生である。部分向流再生では、第1再生プロセスST5では再生されにくいイオン交換樹脂床211の下部が、効率的に再生される。
再生液である塩水W4の供給容量が設定された再生剤量に達すると、処理は終了し、第2押出プロセスST8へ移行する。
なお、再生剤量、再生液の濃度、再生液の比重、及び再生液の供給容量の関係は、上述の(1)式で示した通りである。
【0100】
〔再生プロセス:第2押出プロセスST8〕
制御部5からの指令信号により、ユニットバルブ3A,3B,3Cの各弁311〜319は、図6のST8に示す開閉状態に設定される。その結果、原水ラインL1における接続部J11よりも上流側を流れる原水W1は、押出水として、希釈水ラインL3を介して、ストレーナ323及び減圧弁322を通過して、エゼクタ321の一次側へ供給される。
【0101】
エゼクタ321を通過した原水W1は、第2塩水ラインL42、第4塩水ラインL44及び第6塩水ラインL46(軟水ラインL2の一部)を介して、圧力タンク2の内部に供給され、底部スクリーン242から配水される。
【0102】
底部スクリーン242から配水された押出水としての原水W1は、圧力タンク2に先に供給された再生液としての塩水W4を押し出しながら、イオン交換樹脂床211の下部を上昇流で通過し、引き続き、イオン交換樹脂床211の下部を再生させる。イオン交換樹脂床211の下部を通過した再生液(塩水W4)及び押出水(原水W1)は、圧力タンク2の深さ方向の中間部で中間部スクリーン243へ集水される。使用済みの塩水W4及び原水W1は、集水管231及び第2排水ラインL52を介して、ドレンポット6の底部64へ向けて排出される。
【0103】
〔集水管水洗プロセスST9〕
制御部5からの指令信号により、ユニットバルブ3A,3B,3Cの各弁311〜319は、図6のST9に示す開閉状態に設定される。その結果、原水ラインL1を流れる原水W1は、原水ラインL1を介して、圧力タンク2の内部に供給され、頂部スクリーン241から配水される。頂部スクリーン241から配水された原水W1は、イオン交換樹脂床211を下降流で通過し、圧力タンク2の深さ方向の中間部で中間部スクリーン243へ集水される。中間部スクリーン243に流入した原水W1は、集水管231を下から上に通過して、集水管231の内部に残留する塩水W4を水洗する。集水管231の内部を水洗した使用済みの原水W1は、第2排水ラインL52を介して、ドレンポット6の底部64へ向けて排出される。集水管水洗プロセスST9は、例えば、9秒間実行される。
【0104】
なお、リンス・プロセスST10については、詳細な説明を省略するが、排水W5の流量は、第1排水ラインL51に設けた第1定流量弁33により、略一定に制御される。
【0105】
本実施形態の硬水軟化装置1によれば、例えば、以下に示す効果が奏される。
本実施形態の硬水軟化装置1は、第1排水ラインL51(第3排水ラインL53)を流通する排水W5を一次側33Aから二次側33Bに向かって通過させることにより第1排水ラインL51(第3排水ラインL53)を流通する排水W5の流量を略一定に制御する第1定流量弁33(第2定流量弁34)であって、内部に排水W5を通過させる筒状の定流量弁本体331と、定流量弁本体331の一次側33Aに設けられる複数の孔部334aを有するオリフィス332と、定流量弁本体331の二次側33Bに設けられる筒状の消音リング335とを備え、消音リング335は、消音リング335の一次側に、第1定流量弁33(第2定流量弁34)の一次側33Aから二次側33Bに向かうにしたがって径が小さくなるように形成されると共に複数の孔部334aを通過した排水W5の少なくとも一部が衝突する入口側内周面部335aを有する。
【0106】
そのため、第1定流量弁33(第2定流量弁34)は、排水W5がオリフィス332の複数の孔部334aを通過することで、排水W5の流量を絞ることができる。これにより、第1定流量弁33(第2定流量弁34)は、排水W5の流量を略一定に制御することができる。
また、オリフィス332から噴出された排水W5は、消音リング335の入口側内周面部335aに緩やかに衝突する。これにより、オリフィス332の下流側において、排水W5の流速を低下させることができる。従って、第1定流量弁33(第2定流量弁34)は、排水W5の流量を略一定に制御する過程で発生する騒音を低減することができる。
【0107】
また、本実施形態においては、消音リング335は、入口側内周面部335aの二次側に連続して形成されると共に径の大きさが略同一のストレート内周面部335bを更に有する。そのため、入口側内周面部335aに衝突して進行方向が消音リング335の径の中央方向に集まるように変更された排水W5の流れの方向を、ストレート内周面部335bにおいて、ストレート内周面部335bの径に平行な方向へ沿うように変更することができる。これにより、消音リング335は、排水W5を整流して、排水W5の流量を略一定に制御する過程で発生する騒音を一層低減することができる。
【0108】
また、本実施形態においては、消音リング335は、ストレート内周面部335bの二次側に連続して形成されると共に第1定流量弁33(第2定流量弁34)の一次側から二次側に向かうにしたがって径が大きくなるように形成される出口側内周面部335cを更に有する。そのため、消音リング335は、ストレート内周面部335bにより整流された排水W5の流れの方向を消音リング335の径の外側方向に緩やかに拡大するように変更することができる。これにより、消音リング335は、排水W5の流量を略一定に制御する過程で発生する騒音を一層低減することができる。
【0109】
また、本実施形態においては、入口側内周面部335aの傾斜角度は、複数の孔部334aが延びる方向D1に対して、7.5°から20°である。これにより、消音リング335は、排水W5を消音リング335の内部側に滑らかに集合させて、排水W5の流量を略一定に制御する過程で発生する騒音を一層低減することができる。
【0110】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0111】
1 硬水軟化装置(イオン交換装置)
2 圧力タンク
33 第1定流量弁(定流量弁)
33A 一次側
33B 二次側
34 第2定流量弁(定流量弁)
211 イオン交換樹脂床
331 定流量弁本体
332 オリフィス
334a 孔部
335 消音リング
335a 入口側内周面部
335b ストレート内周面部
335c 出口側内周面部
D1 孔部が延びる方向
L51 第1排水ライン(排水ライン)
L53 第3排水ライン(排水ライン)
W5 排水(洗浄液)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水が流通する排水ラインに設けられ、前記排水ラインを流通する排水を一次側から二次側に向かって通過させることにより前記排水ラインを流通する排水の流量を略一定に制御する定流量弁であって、
内部に排水を通過させる筒状の定流量弁本体と、
前記定流量弁本体の一次側に設けられる複数の孔部を有するオリフィスと、
前記定流量弁本体の二次側に設けられる筒状の消音リングとを備え、
前記消音リングは、該消音リングの一次側に、前記定流量弁の一次側から二次側に向かうにしたがって径が小さくなるように形成されると共に前記複数の孔部を通過した排水の少なくとも一部が衝突する入口側内周面部を有する
定流量弁。
【請求項2】
前記消音リングは、前記入口側内周面部の二次側に連続して形成されると共に径の大きさが略同一のストレート内周面部を更に有する
請求項1に記載の定流量弁。
【請求項3】
前記消音リングは、前記ストレート内周面部の二次側に連続して形成されると共に前記定流量弁の一次側から二次側に向かうにしたがって径が大きくなるように形成される出口側内周面部を更に有する
請求項2に記載の定流量弁。
【請求項4】
前記入口側内周面部の傾斜角度は、前記複数の孔部が延びる方向に対して、7.5°から20°である
請求項1から3のいずれかに記載の定流量弁。
【請求項5】
前記複数の孔部は、前記オリフィスの周縁の近傍に沿って配置される
請求項1から4のいずれかに記載の定流量弁。
【請求項6】
イオン交換樹脂床が収容される圧力タンクと、
前記圧力タンクに導入された洗浄液を排水として系外に排出する前記排水ラインと、
請求項1から5のいずれかに記載の定流量弁と、
を備えるイオン交換装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−251596(P2012−251596A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−124131(P2011−124131)
【出願日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【Fターム(参考)】