説明

宝石キーマットを有する機器およびそれを提供するための方法

要約:キー(400)は、サファイアから作成されるキー本体(401)と、シリコーンエラストマーから作成される支持体(402)とを含む。キー本体(401)は、物理蒸着(PVD)層(403)を介して支持体(402)に接合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、審美的に優れたキーを提供するための機器および方法に関し、具体的には、キー本体を支持体に接合するための機器および方法に関する。
【背景】
【0002】
携帯電話機、MP3プレーヤ、携帯情報端末(Personal Digital Assistant; PDA)等のますます多くの電子機器のファッションアクセサリ性や社会的表現性が高まってきている。そのため、それらの機器はより審美的に優れた外観を要求され、また、その審美的に優れた外観は、さらなる堅牢性および耐久性を有する必要がでてきた。
【0003】
機器の筺体の中には、半貴石、貴石、鉱物(例えば、サファイア)、または結晶石等の高価な材料が筺体に埋め込まれているものがある。これは、筺体が石を収容するのに十分な厚みをもつ必要があり、また、慎重に扱わないと宝石が外れ落ちる可能性があるという不利点を有する。携帯電話機等の携帯型機器は、通常、鞄やポケットに入れて持ち歩かれ、その中で鍵、クレジットカード、ライター等の他の物と接触することが多いため、慎重に扱われないことが多い。このような物と接触すると、宝石が外れる場合がある。また、組立工程において宝石を小さな穴にはめ込むことは困難を要する。
【0004】
したがって、審美的外観を有し、その外観が外側からの摩擦や擦過に対して耐久性および堅牢性を有しかつ組み立て易い機器が、現代の社会において有用である。
【概要】
【0005】
このような背景から、キー本体が物理蒸着層の使用によって支持体に接合されたキーを備えることで上述の欠点を克服するか、もしくは少なくとも軽減するような機器および方法を提供することは、有利である。
【0006】
開示する実施形態は、キー本体および支持体を備えるキーであって、前記キー本体および前記支持体は、物理蒸着層を介して接合される。
【0007】
物理蒸着を使用することで、通常では接合が難しくまた薄型キーを提供することが難しいとされる貴石または半貴石などの宝石を埋め込んだキーの、容易な製造方法を提供する。製造されるキーは摩擦や擦過に強く、従って審美性を損なうことなく摩擦や擦過に十分にさらされた後であっても判読可能である。
【0008】
一実施形態では、物理蒸着(PVD)層は、グラフィックパターンを備える。PVD層は薄いため、キーの機能性を標示するグラフィックパターンをキーに与えることができる。これにより費用が高くキーの強度を低下させうるキーへの彫刻は不要となる。
一実施形態では、物理蒸着層は、反射層または半反射層を備える。このような層は、キーの読み取りやすさを高め、キーの審美性を向上させる。
【0009】
一実施形態では、物理蒸着層は、様々な色をキー本体およびグラフィックスに提供するように作成可能である。このようなカラーリングは、キーの審美性を向上させる。
【0010】
一実施形態では、印刷インク層を物理蒸着層に形成することができる。印刷インク層は、グラフィックスに様々なカラーリングを施すように作成可能である。このようなカラーリングは、キーの審美性を向上させる。
【0011】
一実施形態では、物理蒸着層は、金などの金属でめっき可能である。これにより、はんだ付け等の方法によって、別の金属支持体にキーを接合することが可能になる。
【0012】
一実施形態では、物理蒸着層は、接着剤層を備える。これは、キー本体の支持体への接合を極めて薄く作成することが可能であり、また、薄型キーパッドを作成可能であるという利点を有する。
【0013】
一実施形態では、接着剤層は、支持体に接合されるようにされる接合面を備える。
【0014】
有利なことに、物理蒸着層は薄い接合面を形成するために用いられることができる。この時形成される薄い接合面は、支持面に容易に接合可能である金属で形成されることが好ましい。金属とシリコーンエラストマーを接合するための接着剤は多数存在しよく知られているが、一方で接着剤を使用してサファイア等の石をシリコ−ンエラストマーに接合することはより困難を要する。
【0015】
一実施形態では、キー本体は、鉱物、結晶、半貴石、または宝石、例えば、サファイア、透明セラミック、またはガラスから作成される。
【0016】
一実施形態では、支持体は、シリコーンエラストマーである。
【0017】
一実施形態では、支持体は、プラスチック、例えば、ポリカーボネートである。
【0018】
一実施形態では、支持体は、金属である。
【0019】
一実施形態では、接合面は、はんだ付けによって支持体に接合される。
【0020】
一実施形態では、接合層は、印刷インク層を備える。
【0021】
また、前記具現化例は、上記に記載のキーを複数備えるキーパッドを提供することも対象とする。
【0022】
一実施形態では、キーパッドは、前記複数のキーのうちの少なくとも2つのキーの間に配置されるマスクをさらに備える。
【0023】
また、前記具現化例は、上記に記載のキーを備えるか、または備えるように構成される機器を提供することも対象とする。
【0024】
一実施形態では、機器とは次の様なものの1つである:モバイル通信端末、ゲーム機、時計、携帯情報端末、カメラ、またはメディアプレーヤ。
【0025】
前記具現化例はまた、キーの製造方法を提供することも対象とする。提供される前記製造方法では、支持体およびキー本体に物理蒸着層を形成することで前記支持体と前記キー本体を接合することによって、キーが製造される。
【0026】
このような方法により製造されたキーは、 上記に説明した利点と同一の利点を共有する。
【0027】
一実施形態では、上記に記載の方法は、前記物理蒸着層に接合面を形成することをさらに含む。
【0028】
一実施形態では、上記に記載の方法は、前記物理蒸着層にグラフィックパターンを形成することをさらに含む。
【0029】
一実施形態では、上記に記載の方法は、前記物理蒸着層に反射層を形成することをさらに含む。
【0030】
また、開示する具現化例は、上記に記載の方法を組み込むおよび実装する装置を提供することも対象とする。
【0031】
具現化例開示する実地形態の様態はまた、キー本体および支持部材と、物理蒸着手段とを有するキーを提供することも対象とする。前記物理蒸着手段は、前記キー本体と前記支持部材本体とを接合するための手段である。
【0032】
本出願に従う機器、方法、およびコンピュータ可読媒体に関するさらなる目的、特徴、利点、および特性は、詳細な説明により明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本説明の以下の詳細部分では、図示する例示的実施形態を参照して、本出願の教示についてより詳細に説明する。
【図1】本出願に従う機器がある実施形態に従って使用される電気通信システムの概要である。
【図2】ある実施形態に従う機器の平面正面図である。
【図3】本出願に従う図2の機器の一般的なアーキテクチャを示したブロック図である。
【図4】図4Aおよび図4Bは、ある実施形態に従うキーの概略図である。
【図5】ある実施形態に従うキーパッドの略断面図である。
【図6】ある実施形態に従う方法を説明するフローチャートである。
【詳細な説明】
【0034】
以下の詳細な説明では、携帯電話機の態様における本出願の教示に従う機器および方法が、実施形態によって説明される。携帯電話のみについて説明されるが、本出願の教示を、ノート型パソコン、PDA、モバイル通信端末、電子書籍、およびノートパッド等の携帯型電子機器等ならびに高級な外観を有するように設計された他の電子機器等の任意の電子機器に使用してもよいことに留意されたい。
【0035】
図1は、本出願の教示が適用され得るセルラ電気通信システムの例である。図1の電気通信システムでは、セルラ音声通話、wwwまたはワイヤレスアプリケーションプロトコル(Wireless Application Protocol; WAP)ブラウジング、セルラ映像通話、データ通話、ファックス伝送、音楽伝送、静止画像伝送、動画像伝送、電子メッセージ伝送、および電子商取引等のあらゆる電気通信サービスが、本出願の教示に従うモバイル端末100と、別のモバイル端末106または固定電話機132等の他の機器との間で実行され得る。モバイル端末100の異なる実施形態について、および異なる状況において、上述の電気通信サービスのうちの異なる電気通信サービスが、利用可能または利用不可能であってもよいことに留意されたい。本出願の教示は、この点に関し、いかなる特定の組み合わせのサービスにも限定されない。
【0036】
モバイル端末100、106は、無線周波数(Radio Frequency; RF)リンク102、108を介して基地局104、109を通じてモバイル電気通信ネットワーク110に接続される。モバイル電気通信ネットワーク110は、グループスペシャルモバイル(Group Speciale Mobile; GSM)、ユニバーサルモバイルテレコミュニケーションシステム(Universal Mobile Telecommunication System; UMTS)、ディーエーエムピーエス(Digital Advanced Mobile Phone system; D-AMPS)、符号分割多元接続(code division multiple access ; CDMA)およびCDMA2000、フォーマ(freedom of mobile access; FOMA)、または時分割同期符号分割多元接続(Time Division-Synchronous Code Division Multiple Access; TD-SCDMA)等の、任意の商業的に利用可能な移動通信規格に準拠し得る。
【0037】
モバイル電気通信ネットワーク110は、インターネットまたはその一部であってもよい広域ネットワーク120に協働しうるように接続される。インターネットサーバ122は、データストレージ124を有し、インターネットクライアントコンピュータ126と同様に、広域ネットワーク120に接続される。サーバ122は、www/wapサーバのホストであってもよく、前記ホストはeee/wapコンテンツをモバイル端末100に提供可能である。
【0038】
公衆交換電話網(public switched telephone network; PSTN)130は、一般的な方式でモバイル電気通信ネットワーク110に接続される。固定電話機132を含む種々の電話端末はPSTN 130に接続される。
【0039】
また、モバイル端末100は、ローカルリンク101を介して1つ以上のローカルデバイス103にローカルに通信することも可能である。前記ローカルリンクは、Bluetooth、ユニバーサルシリアルバス(Universal Serial Bus; USB)リンク、無線ユニバーサルシリアルバス(Wireless Universal Serial Bus; WUSB)リンク、IEEE 802.11無線ローカルエリアネットワーク(wireless local area network link; WLAN)リンク、無線規格リンク、RS-232シリアルリンク等の、リンク範囲が制限されたいかなる種類のリンクであり得る。前記ローカルデバイス103は、例えば、前記ローカルリンク101を通じて測定値を前記モバイル端末100に通信できる種々のセンサーであってもよい。
【0040】
図2はモバイル端末 100のある実施形態200 についてより詳細に図示したものである。モバイル端末 200は、スピーカまたはイヤホン202、マイクロホン206、主要または第1ディスプレイ203、一般的なITU-T型(「0」〜「9」、「*」および「#」の文字を表すアルファベットおよび数値用キーパッド)キーパッド204aおよびソフトキー204b、204c等のいくつかのキーを含み得る複数のキーの集合体204と、ジョイスティック205、または他の種類の操作入力装置とを備える。
【0041】
図3はモバイル端末200の内部構成、ソフトウェア、およびプロトコル構造について説明したものである。モバイル端末は、コントローラ300を有し、このコントローラ300は、モバイル端末のオペレーション全体に関与し、いかなる市販の中央処理装置(Central Processing Unit; CPU)、デジタルシグナルプロセッサ(Digital Signal Processor; DSP)、または他の電子プログラム可能論理回路によって実装されてもよい。コントローラ300は、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory; RAM)、読み取り専用メモリ(Read Only memory; ROM)、電気的に消去可能なプログラム可能読取専用メモリ(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory ; EEPROM)、フラッシュメモリ、またはそれらの任意の組み合わせ等の、関連する電子メモリ302を有する。メモリ302は、あらゆる目的でコントローラ300により使用され、その目的のうちの1つとして、モバイル端末内のあらゆるソフトウェアにより使用されるデータおよびそのソフトウェアのためのプログラム命令の保存が挙げられる。ソフトウェアは、リアルタイムオペレーティングシステム320、マンマシンインターフェース(man-machine interface; MMI)334用ドライバ、アプリケーション処理部332、および様々なアプリケーションを含む。前記アプリケーションは、メッセージテキストエディタ350、ノートパッドアプリケーション360、または音声通話、テレビ電話、ショートメッセージサービス(Short Message Service; SMS)メッセージ、マルチメディアメッセージサービス(Multimedia Message Service; MMS)メッセージ、または電子メールの送受信、ウェブ閲覧用のアプリケーション、インスタントメッセージアプリケーション、電話帳アプリケーション、カレンダーアプリケーション、コントロールパネルアプリケーション、カメラアプリケーション、1つ以上の映像ゲーム、ノートパッドアプリケーション等の種々の他のアプリケーション370を含むことが可能である。上に挙げたアプリケーションのうちの2つ以上が、同一のアプリケーションとして実行され得ることに留意されたい。
【0042】
前記MMI334はまた、1つ以上のハードウェアコントローラをも含み、このハードウェアコントローラは、MMIドライバとともに、第1ディスプレイ336/203、およびキーパッド338/204、ならびにマイクロホン、スピーカ、バイブレータ、着信音発生器、LEDインジケータ等の種々の他の入力/出力装置と協働する。よく知られているとおり、ユーザは、上に述べたように形成されるマンマシンインターフェースを介してモバイル端末を操作してもよい。
【0043】
また、ソフトウェアは、あらゆるモジュール、プロトコルスタック、ドライバ等も含み、これらは、一般的に330と示されているが、通信サービス(トランスポート、ネットワーク、およびコネクティビティ等)をRFインターフェース306に提供する。また、オプションで、ローカルコネクティビティ用にブルートゥースインターフェース308および/またはIrDAインターフェース310を提供してもよい。RFインターフェース306は、内部または外部アンテナ、ならび基地局(例えば、図1のリンク102および基地局104)への無線リンクを確立および維持するために適切な無線回路を備える。当業者によく知られているように、無線回路は、一連のアナログおよびデジタル電子部品を備え、それらをまとめて無線受信機および送信機を形成する。このような電子部品には、バンドパスフィルタ、増幅器、混合器、局所発振器、ローパスフィルタ、アナログ/デジタルおよびデジタル/アナログ(AD/DA)変換器等が含まれる。
【0044】
また、モバイル端末は、加入者識別モジュール(Subscriber Identity Module; SIM)カード304および関連する読取機も有する。よく知られているように、SIMカード304は、プロセッサならびにローカルワークメモリおよびデータメモリを備える。
【0045】
図4は、ある実施形態に従うキー400の概略図を示す。図4Aに示すキーは、完全にサファイアから作成されるキー本体401を備え、キー本体401は、物理蒸着(Physical Vapor Deposition, PVD)接合層403を介して、支持体402、本実施形態では、シリコーンエラストマー本体に接合される。後述するように、この接合層403は、接合面を備え、色およびグラフィックスを組み込む。
【0046】
シリコーンエラストマーは可撓性であり、キードーム(図示せず)と相互作用するように構成される突出404を有し、キーを押圧する際に、シリコーンエラストマーが変形して、機器上のキー押圧を作動するキードームへの押圧力を伝達するようにする。
【0047】
PVD接合層403は、極めて薄い層であり、サファイアキー本体 401をシリコーンエラストマー402に接合するように、また、同時にキー400にカラーリングおよび/またはグラフィックパターンを提供するように役割を果たす際に、本実施形態において有益に使用される。グラフィックパターンは、例えば、一般的に知られているように、レーザーを使用してPVD層をマスキングまたは削ることによって達成される。
【0048】
図4Bは、PVD層403の詳細図を示し、本図面においてPVD層403が3つの別々の層として示されるが、1つ、2つ、または3つの層として実装可能であることに留意されたい。キー本体401に最も近接するのは、グラフィック層403aであり、これは、キー400にグラフィックパターンを生成するためにマスキングされている。本実施形態では、これは層403aの中央の白い部分405によって図示される。本実施形態では、グラフィック層403aはある特定部分がマスキングされ(その他の部分が)エッチング除去された不透明層である。文字または記号等の任意のグラフィックパターンをこのように生成することが可能であることに留意されたい。グラフィックパターンを生成する他の方法は、エッチングまたはレーザー加工であることが可能である。
【0049】
グラフィック層403a の下に、半反射層403bが配置され、キー本体401およびグラフィックパターン層403aを通過する光がユーザの目に反射する際に、キーの可読性がさらに増加する。また、半反射層403bは下部構造を目立たなくするので、キー400の外部から確認できないように見えなくすることができる。本実施形態では、この光源は、発光ダイオード(light emitting diode; LED)であるが、光ガイドの使用によっても実装可能である。
【0050】
本実施形態では、半反射層は、30%反射性および70%透過性である。他の実施形態は、他の反射/透過の関係を使用することが可能であり、本出願の教示は、30%反射性および70%透過性に限定されるように理解されない。
【0051】
一実施形態では、グラフィックパターンは、反射層上に直接グラフィックパターンをスクリーン印刷することによって、反射または半反射層に直接形成される。
【0052】
シリコーンエラストマー402に最も近接して接着剤層403cが存在する。これは、キー本体401とシリコーンエラストマー本体402とを実際に接合している。
【0053】
一実施形態では、接着剤層は、接着剤等の接合面および接合剤によって構成される。
【0054】
一実施形態では、接着剤層403cは、シリコーンエラストマー402に接合するために接着剤等の接合剤を塗布することのできる接合面を提供する。
【0055】
前記接合面は、接着剤の使用によりシリコーンエラストマーとの接合に良好な表面を提供する金属により形成されてもよい。
【0056】
一実施形態では、接合面は、半反射層403bの裏面である。金属には反射性があり、接合面は好ましくは金属から形成される。大部分の金属が反射性であることから、金属反射面の裏面として接合面を提供することは費用対効果が高い。このようなある実施形態では、接着剤層403cは、PVD層ではなく単に接着剤から形成される層である。
【0057】
PVD層403は非常に薄いため、キー400の下から発する光源406は、本実施形態において、薄いPVD層403を光が容易に貫通する際にキー400を照らすように使用される。
【0058】
本実施形態では、保護層407が、シリコーンエラストマー本体402の上に設けられることで、キーにさらなる強度およびを提供し、また、下部構造に対し粉塵および湿気からの保護も提供する。また、保護層407は、このようなキーを組み込むキーパッドまたは機器の内部構造を隠す役割も果たす。本実施形態では、マスクフィルムで実装される。これは、特に、キー本体401がPVD層403よりも幅が広い場合に有用でる。この場合、PVD層間の範囲はユーザに可視的であり、これは、このような機器の審美性を低下させ得る。本実施形態では、保護層407 は、キーの審美性を助長するように金めっきである。
【0059】
一実施形態(図示せず)では、キーの審美性を向上する追加の層がグラフィック層403aの下に存在する。一実施形態では、この追加の層は金めっきが施されており、キーそのものやこのようなキーを組み込む機器の高級感を増す。このようなある実施形態では、サファイアキー本体401は、金属キーマット上にはんだ付け可能である。
【0060】
一実施形態では、支持体は金属である。
【0061】
一実施形態では、接合面ははんだ付けにより支持体に接合される。はんだ付けは支持面が金属製である場合に特に有益であるが、既知のように、プラスチック同士を接合するためにも使用可能である。
【0062】
一実施形態では、接合層は、印刷インク層を備える。
【0063】
図5は、ある実施形態に従うキーパッド510の断面図を示す。サファイアから作成されるキー本体501の列は、シリコーンエラストマー本体502の上に並べられる。各キー本体501の下に配置されるのは、キードーム(図示せず)と協働するように構成される突出部504である。図示するように、キー本体501は、PVD層503よりも幅が広く、キー本体501とキー本体501の間には、保護層またはマスクフィルム507が配置される。キーパッドの剛性を高めるために、補強構造508が使用される。本実施形態では、金属リングが各突出の周囲に延出するため、キーの近傍において、シリコーンエラストマー502の各キー本体の下部が事実上剛性の高い作りになる。本実施形態では、シリコーンエラストマー本体502は、キーパッド510における全てのキー501の間で共有される。
【0064】
キー本体501をサファイアから作成することによって、機器の美的特性を魅力的なものとするとともに、摩耗や擦過を強く受けても判読可能である耐傷性の高いキーを提供することを実現する。
【0065】
このようなキーまたはキーパッドの製造は、PVD技法を用いて接合層とグラフィックパターン層とを合成した層を形成することによって実装可能である。これにより迅速かつ容易な製造方式が提供さる。またこの製造方式は様々なキーの形式、パターン、および色彩に対応する設計基準に従って容易に変更できる。
【0066】
図6は、上述のキーを製造する方法を示す。各工程の順番を入れ替えることが可能であり、例えば、工程610から630の順番を反対にして使用してもよいことに留意されたい。
【0067】
第1工程(610):グラフィック層がサファイアキー本体上に形成もしくは塗布される。この層は物理蒸着法で形成され、グラフィックスは一般に知られているマスキング処理もしくはエッチング処理によって形成される。PVD層と印刷との多くの異なる組み合わせを使用して層構造を形成しうることに留意されたい。半透明や不透明のPVD層を組み合わせることにより、グラフィックスや色彩を備えた優れた接合面がもたらされ得る。
【0068】
第2工程(620):グラフィックパターン上に半反射層が形成される。
【0069】
第3工程(630):接着剤層がキー本体に形成される。
【0070】
最終工程(640):形成されたPVD層を介してキー本体がシリコーンエラストマーに接合される。
【0071】
上述するものに関するあらゆる側面は、単独もしくは様々な組み合わせで使用可能である。本出願の教示が、携帯電話機等のモバイル通信端末への適用に限定されず、携帯情報端末(Personal digital Assistant; PDA)、ゲーム機、MP3プレーヤ、電子システム手帳または長時間使用するために設計されるとともに、分かりやすいユーザインターフェースおよび審美的魅力備えた他の任意の機器に十分同等に適用可能であることに留意されたい。
【0072】
本出願の教示は多数の利点を有する。異なる実施形態または実装により、以下の利点のうちの1つ以上がもたらされ得る。教示されている利点が全てではなく、本明細書に説明されない他の利点が存在してもよいことに留意されたい。例えば、本出願の教示の1つの利点は、その厚さを増加させずに、機器における宝石等の高価な材料を組み込むことが可能であることにある。
【0073】
本出願の教示の別の例示的利点は、このような機器の審美性が向上することにある。
【0074】
本出願の教示の別の例示的利点は、このようなキーが、大幅な摩擦や擦過の後であっても、更に長持ちし、かつ判読可能であることにある。
【0075】
本出願の教示について例証目的のために詳述したが、このような詳述が単に例証目的のためのものであること、ならびに本出願の教示の範囲から逸脱することなく、当業者がその詳細に変更を加えてもよいことを理解されたい。
【0076】
例えば、本出願の教示について、携帯電話機の観点から説明したが、本出願の教示を他の種類の電子機器、例えば音楽プレーヤ、パームトップパソコン等にも適用してもよいことを理解されたい。また、本出願の教示の方法および装置を実装する多くの代替方法が存在することにも留意されたい。
【0077】
前述の説明において説明する特徴を、明示的に説明する組み合わせ以外の組み合わせで使用してもよい。
【0078】
前述の明細書において、特別に重要であると考えられる本発明の特徴に留意するよう試みたが、本明細書において参照および/または図示されたいかなる特許可能な特徴または特徴の組み合わせに関しても、それに関して特に強調されたか否かに関わらず、本出願人は保護を主張することを理解されたい。
【0079】
用語の「備える」は、請求項において使用する際、他の要素または工程の存在を除外しない。単数形の用語は、請求項において使用する際、複数形を除外しない。ある要素または手段は、請求項に列挙されるいくつかの要素または手段を含んでもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キー本体および支持体を備えるキーであって、前記キー本体および前記支持体は物理蒸着層を介して接合される、キー。
【請求項2】
前記物理蒸着層はグラフィックパターンを有する、請求項1に記載のキー。
【請求項3】
前記物理蒸着層は反射層または半反射層を有する、請求項1に記載のキー。
【請求項4】
前記物理蒸着層は接着剤層を有する、請求項1に記載のキー。
【請求項5】
前記接着剤層は、支持体に接合されるように構成される接合面を有する、請求項1に記載のキー。
【請求項6】
前記キー本体は、鉱物、結晶、半貴石、または宝石から作成される、請求項1に記載のキー。
【請求項7】
前記キー本体は、サファイア、透明セラミック、またはガラスから作成される、請求項6に記載のキー。
【請求項8】
前記支持体は、シリコーンエラストマーまたはプラスチックである、請求項1に記載のキー。
【請求項9】
請求項1に記載の複数のキーを備えるキーパッド。
【請求項10】
前記複数のキーのうちの少なくとも2つの間に配置されるマスクを有する、請求項9に記載のキーパッド。
【請求項11】
請求項1に記載のキーを備えるか、または備えるように配置される機器。
【請求項12】
請求項9に記載のキーパッドを備えるか、または備えるように配置される機器。
【請求項13】
支持体とキー本体に物理蒸着層を形成することを通じて 前記支持体と前記キー本体とを接合することを含む、キーを製造するための方法。
【請求項14】
接合面を前記物理蒸着層に形成することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
グラフィックパターンを前記物理蒸着層に形成することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
反射層を前記物理蒸着層に形成することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記キー本体は、鉱物、結晶、半貴石、または宝石から作成される、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記キー本体は、サファイア、透明セラミック、またはガラスから作成される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
請求項13に記載の方法を組み込む及び実装する装置。
【請求項20】
キー本体および支持部材と、前記支持部材に接合される接合面を提供することによって、前記キー本体を前記支持部材本体に接合する物理蒸着手段とを備えるキー。
【請求項21】
前記キーは、鉱物、結晶、半貴石、または宝石から作成される、
請求項19に記載のキー。
【請求項22】
前記キー本体は、サファイア、透明セラミック、またはガラスから作成される、請求項21に記載のキー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−524066(P2011−524066A)
【公表日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−510014(P2011−510014)
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【国際出願番号】PCT/FI2009/050308
【国際公開番号】WO2009/144361
【国際公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
2.Bluetooth
【出願人】(398012616)ノキア コーポレイション (1,359)
【Fターム(参考)】