説明

実行管理装置、実行管理方法及びそのプログラム

【課題】より確実に期間ごとの処理制限を行うことができる。
【解決手段】印刷サーバ30は、講師の認証入力に基づいて授業期間外であるか授業期間内であるかを設定し、授業期間外にユーザIDと処理対象とを受信するとユーザIDに対応する印刷枚数制限に基づいてこの印刷ジョブの印刷処理の可否を判定する一方、授業期間内にユーザIDと印刷ジョブとを受信するとユーザIDを含みユーザが認証用に用いることのない授業中IDをユーザIDに代えて設定し、授業中IDに対応付けられた授業期間内の印刷枚数制限(無制限)に基づいてこの印刷ジョブの印刷処理の可否を判定する。このように、授業期間外ではユーザが認証用に用いるユーザIDを用いて印刷枚数制限により印刷処理の可否を判定し、授業期間内では、ユーザが認証用に用いない授業中IDを設定しこれを用いて制限なく印刷処理可能と判定するのである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実行管理装置、実行管理方法及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、実行管理装置としては、プリンタでの印刷を制限する情報である印刷制限情報を記憶したものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載された装置は、ユーザがIDを入力して認証すると印刷制限情報をプリンタに送信し、この印刷制限情報を所定期間が経過するまでプリンタに記憶しておき、同じユーザが認証すると、プリンタに記憶された印刷制限情報を用いて印刷制限を行うことによりユーザからのアクセスを低減する。
【特許文献1】特開2002−103743号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、この特許文献1に記載された装置では、所定期間が経過するとプリンタに記憶された印刷制限情報が削除されることにより、所定期間の経過に伴い印刷制限情報が更新され、そのたびに印刷制限の内容が変わる場合が生じるが、複数の期間ごとに印刷制限を切り替える点については考慮されていなかった。このため、複数の期間に応じた印刷制限を実現しようとすると、ユーザに複数のIDを付与しユーザ側でIDを切り替えて認証することが考えられるが、ユーザがIDを切り替える煩雑さがあった。また、1つのIDで期間ごとに装置側で切り替えて制限を行うことも考えられるが、処理制限の確実性を向上することが必要であった。
【0004】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、より確実に期間ごとの処理制限を行うことができる実行管理装置、実行管理方法及びそのプログラムを提供することを目的の一つとする。また、処理制限を期間ごとに切り替えるに際してユーザの煩雑さを低減することができる実行管理装置、実行管理方法及びそのプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の目的の少なくとも一つを達成するために以下の手段を採った。
【0006】
本発明の実行管理装置は、
ユーザに対応付けられた識別情報を利用して情報処理装置での所定の処理の実行を管理する実行管理装置であって、
ユーザが認証用に用いる該ユーザに対応付けられた第1識別情報と前記所定の処理の実行に用いられる処理対象とを取得可能な情報取得手段と、
第1の期間であるか該第1の期間と異なる第2の期間であるかを設定する期間設定手段と、
前記設定された期間が第2の期間であるときに前記ユーザが認証用に用いることのない第2識別情報を前記第1識別情報に代えて設定する識別情報設定手段と、
前記設定された第1の期間中に前記情報取得手段が前記第1識別情報と前記処理対象とを取得したあと前記第1識別情報に対応付けられた第1の制限に基づいて該処理対象の処理実行の可否を判定する一方、前記設定された第2の期間中に前記情報取得手段が前記第1識別情報と前記処理対象とを取得したあと前記識別情報設定手段によって設定された前記第2識別情報に対応付けられた前記第1の制限とは異なる第2の制限に基づいて該処理対象の処理実行の可否を判定する実行判定手段と、
を備えたものである。
【0007】
この実行管理装置では、ユーザが認証用に用いるこのユーザに対応付けられた第1識別情報と所定の処理の実行に用いられる処理対象とを取得し、第1の期間であるかこの第1の期間と異なる第2の期間であるかを設定し、設定された期間が第2の期間であるときにユーザが認証用に用いることのない第2識別情報を第1識別情報に代えて設定し、設定された第1の期間中に第1識別情報と処理対象とを取得したあと第1識別情報に対応付けられた第1の制限に基づいてこの処理対象の処理実行の可否を判定する一方、設定された第2の期間中に第1識別情報と処理対象とを取得したあと、設定された第2識別情報に対応付けられた第1の制限とは異なる第2の制限に基づいてこの処理対象の処理実行の可否を判定する。このように、第1の期間ではユーザが認証用に用いる第1識別情報を用いて第1の制限により処理実行の可否を判定し、第2の期間では、ユーザが認証用に用いない第2識別情報を設定しこれを用いて第2の制限により処理実行の可否を判定するのである。したがって、第1の期間と第2の期間で識別情報を切り替えるため、より確実に期間ごとの処理制限を行うことができる。また、ユーザが認証用の識別情報を切り替える必要がないため、処理制限を期間ごとに切り替えるに際してユーザの煩雑さを低減することができる。
【0008】
本発明の実行管理装置は、情報を出力可能な情報出力手段と、前記設定された期間が第1の期間であり前記実行判定手段によって前記処理対象の処理実行が可能であると判定されたときには前記取得した第1識別情報及び処理対象を前記情報処理装置へ前記情報出力手段に出力させる一方、前記設定された期間が第2の期間であり前記実行判定手段によって前記処理対象の処理実行が可能であると判定されたときには前記設定した第2識別情報及び前記処理対象を前記情報処理装置へ前記情報出力手段に出力させる実行制御手段と、を備えたものとしてもよい。こうすれば、判定結果に応じて第1識別情報や第2識別情報を情報処理装置で利用することができる。ここで、「処理対象を情報処理装置へ出力する」には、取得した処理対象をそのまま情報処理装置へ出力するもののほか、取得した処理対象を情報処理装置で処理可能な態様に変換しこの変換したあとの処理対象を情報処理装置へ出力するものも含まれる。
【0009】
本発明の実行管理装置において、前記識別情報設定手段は、前記第1識別情報を含む第2識別情報を前記第1識別情報に代えて設定するものとしてもよい。こうすれば、第2識別情報に含まれる第1識別情報を用いることにより対応するユーザをあとで特定しやすい。このとき、本発明の実行管理装置は、前記処理実行の結果に関する情報を登録する管理情報を記憶する管理情報記憶手段と、前記情報取得手段が前記情報処理装置から前記第1識別情報及び前記処理対象の処理結果を取得したときには該第1識別情報に対応付けられたユーザと前記取得した処理結果と前記第1の期間とを対応付けて前記管理情報に登録する一方、前記情報取得手段が前記情報処理装置から前記第2識別情報及び前記処理対象の処理結果を取得したときには該第2識別情報に含まれる第1識別情報に基づいてユーザを特定し該特定したユーザと前記取得した処理結果と前記第2の期間とを対応付けて前記管理情報に登録する管理実行手段と、を備えたものとしてもよい。こうすれば、第1の期間と第2の期間とに応じた処理結果を管理可能であるため、これらの関係を把握しやすい。また、本発明の実行管理装置は、前記情報取得手段が前記第1識別情報及び前記処理対象の処理結果を取得したときには該取得した処理結果を該第1識別情報に対応付けられた前記第1の制限に反映させる一方、前記情報取得手段が前記情報処理装置から前記第2識別情報及び前記処理対象の処理結果を取得したときには該取得した処理結果を第2識別情報に含まれる第1識別情報に対応付けられた前記第2の制限に反映させる制限制御手段、を備えたものとしてもよい。こうすれば、処理対象の処理結果を反映した制限により処理対象の実行を行うことができる。このとき、前記処理対象は印刷ジョブであり、前記第1の制限及び前記第2の制限は印刷枚数であるものとしてもよい。こうすれば、第1の期間と第2の期間とで印刷制限を切り替えることができる。また、本発明の実行管理装置は、情報を出力可能な実行出力手段と、ユーザと第1識別情報とを対応付けた対応情報及び前記情報取得手段が取得した前記処理対象を記憶する取得情報記憶手段と、情報を出力するよう前記実行出力手段を制御する出力制御手段と、を備え、前記識別情報設定手段は、前記第2の期間中で且つ、前記取得情報記憶手段に記憶された処理対象を前記第1識別情報の認証により処理実行する認証実行指令と前記ユーザに対応付けられた前記第1識別情報とを前記情報取得手段が前記情報処理装置から取得するまえに前記記憶された処理対象に対応付けられた第1識別情報に代えて前記第2識別情報を設定して前記取得情報記憶手段に記憶し、前記出力制御手段は、前記認証実行指令と前記第1識別情報とを前記情報取得手段が前記情報処理装置から取得したときには前記対応情報を用いて前記取得した第1識別情報の認証を実行し、前記設定された第2識別情報に含まれる前記第1識別情報と前記取得した第1識別情報とに基づいて前記記憶された処理対象の中から前記ユーザに対応する処理対象を検索し、前記取得した第1識別情報が認証されたあと前記設定された第2識別情報と前記検索された処理対象とを前記情報処理装置へ前記実行出力手段に出力させるものとしてもよい。こうすれば、認証実行指令を受ける前に第2識別情報を設定するため、より確実に第2の識別情報による実行管理をすることができる。また、第2の期間内に第2識別情報をより確実に設定することができる。
【0010】
あるいは、本発明の実行管理装置は、情報を出力可能な実行出力手段と、ユーザと第1識別情報とを対応付けた対応情報及び前記情報取得手段が取得した前記処理対象を記憶する取得情報記憶手段と、情報を出力するよう前記実行出力手段を制御する出力制御手段と、を備え、前記識別情報設定手段は、前記取得情報記憶手段に記憶された処理対象を前記第1識別情報の認証により処理実行する認証実行指令と該処理対象に対応付けられた前記第1識別情報とを前記情報取得手段が前記第2の期間中に前記情報処理装置から取得したときには前記対応情報を用いて前記取得した第1識別情報の認証を実行し、該取得した第1識別情報が認証されたあとで前記第2識別情報を設定して前記取得情報記憶手段に記憶し、前記出力制御手段は、前記第2識別情報が設定される前に前記処理対象に対応付けられた第1識別情報と前記取得した第1識別情報とに基づいて前記記憶された処理対象の中から前記ユーザに対応する処理対象を検索し、前記第2識別情報が設定されたあと前記設定された第2識別情報と前記検索された処理対象とを前記情報処理装置へ前記実行出力手段に出力させるものとしてもよい。こうすれば、認証実行指令を受けてから第2識別情報に設定するため、記憶されている処理対象を第1識別情報のままで検索可能であり、より検索しやすい。
【0011】
本発明の実行管理装置は、前記情報処理装置で処理可能な態様に前記処理対象を変換する変換手段、を備え、前記期間設定手段は、前記第1の期間と前記第2の期間とを切り替える際に前記変換手段が前記処理対象の変換処理を実行中であるときには、前記変換処理の実行が終了したあとで前記第1の期間と前記第2の期間とを切り替えて設定するものとしてもよい。こうすれば、処理対象の変換処理を実行したあとで期間が切り替わり、処理対象の変換処理の実行を開始した時刻に基づいて第1の制限か第2の制限かを適用するので、比較的適正な制限を実行することができる。
【0012】
本発明の実行管理装置において、前記期間設定手段は、第1の期間として所定の就業外の期間を設定し前記第2の期間として所定の就業内の期間を設定し、前記実行判定手段は、前記設定された期間が所定の就業外の期間であるときには前記第1の制限としての該就業外の制限に基づいて該処理対象の実行の可否を判定し、前記設定された期間が所定の就業内の期間であるときには前記第2の制限として常に処理対象の処理を実行可能と判定するものとしてもよい。こうすれば、所定の就業内の期間では制限なく処理対象の処理が実行可能であるため、就業の効率がよい。
【0013】
本発明の実行管理装置において、前記情報処理装置は、前記処理対象としての印刷データに基づいて着色剤を印刷媒体へ印刷する印刷装置であり、前記第1の制限及び前記第2の制限は、印刷枚数の制限であるものとしてもよい。印刷処理の制限は、所定の期間により切り替えることが望まれるため、本発明を適用する意義が高い。
【0014】
本発明の実行管理方法は、
ユーザに対応付けられた識別情報を利用して情報処理装置での所定の処理の実行を管理する実行管理装置を利用した実行管理方法であって、
(a)ユーザが認証用に用いる該ユーザに対応付けられた第1識別情報と前記所定の処理の実行に用いられる処理対象とを取得するステップと、
(b)第1の期間であるか該第1の期間と異なる第2の期間であるかを設定するステップと、
(c)前記ステップ(b)で設定した期間が第2の期間であるときに前記ユーザが認証用に用いることのない第2識別情報を前記第1識別情報に代えて設定するステップと、
(d)前記ステップ(b)で設定した第1の期間中に前記第1識別情報と前記処理対象とを取得したあと前記第1識別情報に対応付けられた第1の制限に基づいて該処理対象の処理実行の可否を判定する一方、前記ステップ(b)で設定した第2の期間中に前記第1識別情報と前記処理対象とを取得したあと前記ステップ(c)で設定した前記第2識別情報に対応付けられた前記第1の制限とは異なる第2の制限に基づいて該処理対象の処理実行の可否を判定するステップと、
を含むものである。
【0015】
この実行管理方法では、ユーザが認証用に用いるこのユーザに対応付けられた第1識別情報と所定の処理の実行に用いられる処理対象とを取得し、第1の期間であるかこの第1の期間と異なる第2の期間であるかを設定し、設定された期間が第2の期間であるときにユーザが認証用に用いることのない第2識別情報を第1識別情報に代えて設定し、設定された第1の期間中に第1識別情報と処理対象とを取得したあと第1識別情報に対応付けられた第1の制限に基づいてこの処理対象の処理実行の可否を判定する一方、設定された第2の期間中に第1識別情報と処理対象とを取得したあと、設定された第2識別情報に対応付けられた第1の制限とは異なる第2の制限に基づいてこの処理対象の処理実行の可否を判定する。このように、第1の期間ではユーザが認証用に用いる第1識別情報を用いて第1の制限により処理実行の可否を判定し、第2の期間では、ユーザが認証用に用いない第2識別情報を設定しこれを用いて第2の制限により処理実行の可否を判定するのである。したがって、第1の期間と第2の期間で識別情報を切り替えるため、より確実に期間ごとの処理制限を行うことができる。また、ユーザが認証用の識別情報を切り替える必要がないため、処理制限を期間ごとに切り替えるに際してユーザの煩雑さを低減することができる。なお、この実行管理方法において、上述した実行管理装置の種々の態様を採用してもよいし、また、上述した実行管理装置の各機能を実現するようなステップを追加してもよい。
【0016】
本発明のプログラムは、上述した実行管理方法の各ステップを1又は複数のコンピュータに実現させるためのものである。このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(例えばハードディスク、ROM、FD、CD、DVDなど)に記録されていてもよいし、伝送媒体(インターネットやLANなどの通信網)を介してあるコンピュータから別のコンピュータへ配信されてもよいし、その他どのような形で授受されてもよい。このプログラムを一つのコンピュータに実行させるか又は複数のコンピュータに各ステップを分担して実行させれば、上述した実行管理方法の各ステップが実行されるため、実行管理方法と同様の作用効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、本発明の一実施形態である制限印刷システム10の構成の概略を示す構成図であり、図2は、印刷サーバ30が備えるHDD35に記憶された情報の説明図である。本実施例の制限印刷システム10は、ネットワークとしてのLAN12に接続されたユーザパソコン(以下ユーザPCとする)20,29と、LAN12を介して接続された印刷サーバ30と、LAN12を介して接続されたログ管理サーバ50と、LAN12を介して接続された複数のプリンタ60,68と、によって構成されている。本実施形態では、制限印刷システム10は、大学内の講義室に配設されている場合について説明する。この制限印刷システム10では、図示しないが、その他のユーザPC、プリンタを複数台備えているものとする。なお、プリンタ及びユーザPCは、それぞれ任意の数を備えているものとしてもかまわない。
【0018】
ユーザPC20は、ユーザが使用する処理要求装置として構成された周知の汎用パソコンであり、各種制御を実行するCPU22と、各種制御プログラムを記憶するROM23と、データを一時記憶するRAM24と、各種アプリケーションプログラムや各種データファイルを記憶する大容量メモリであるHDD25と、LAN12に接続された外部機器との間で情報の送受信が可能なネットワークインタフェース(I/F)26とを備えている。このユーザPC20は、インストールされたプログラムによりI/F26を介して印刷サーバ30に対して印刷処理を指令したりログ管理サーバ50に保存されている印刷ログ情報55aなどの情報を読み取りしたりする。このユーザPC20は、LAN12を介して印刷サーバ30などとデータを送受信する際には、RAM24の所定領域に設けられた受信バッファ及び送信バッファを利用して行う。このユーザPC20は、各種情報を画面表示するディスプレイ27や、ユーザが各種指令を入力するキーボード等の入力装置28などを備え、ディスプレイ27に表示されたカーソル等をユーザが入力装置28を介して入力操作するとその入力操作に応じた動作を実行する機能を有している。なお、ユーザPC29は、ユーザPC20と同様の構成であるため、その説明を省略する。
【0019】
印刷サーバ30は、ユーザから受信した印刷ジョブを管理すると共に、印刷ジョブを各プリンタで実行させる機能を有したサーバである。この印刷サーバ30は、各種制御を実行するCPU32と、各種制御プログラムを記憶するROM33と、データを一時記憶するRAM34と、各種アプリケーションプログラムや各種データファイルを記憶する大容量メモリであるHDD35と、LAN12に接続された外部機器との間で信号の送受信が可能なI/F36と、システム利用許可者であるか否かを確認する情報などを入力する認証デバイス37と、を備えている。このCPU32は、図示しないバスによって情報のやり取りが可能なようにHDD35やI/F36などと接続されている。この印刷サーバ30は、LAN12を介してユーザPC20やプリンタ60などとデータを送受信する際には、I/F36を介し、RAM34の所定領域に設けられた受信バッファ及び送信バッファを利用して行う。HDD35には、図1に示すように、授業期間を設定しユーザの印刷制限の実行及び印刷制限の管理を行う印刷制限管理プログラム40と、所定のプリンタ(例えばプリンタ60)で印刷可能な印刷データを生成するプリンタドライバ41、印刷データ42aを格納した管理リストとしてのジョブ管理情報42、各ユーザに対応する印刷制限の情報を含む印刷制限対応情報44などが記憶されている。ジョブ管理情報42には、図2に示すように、印刷ジョブ受信時に付与されるジョブIDや、印刷ジョブを受信した時刻である印刷受付時刻、印刷ジョブを送信したユーザに対応する識別情報であるユーザID、印刷ジョブから生成された印刷データなどの情報が格納されている。また、印刷制限対応情報44には、ユーザ名とユーザに対応して登録されたユーザIDと、授業期間外の時間帯で印刷可能な各ユーザに対応付けられた上限値及び既に印刷した枚数、授業期間内で印刷可能な各ユーザに対応付けられた上限値及び既に印刷した枚数などの情報が格納されている。ここでは、授業期間内には印刷可能枚数の上限値は設けられておらず、ユーザが自由に印刷できるように設定されている。認証デバイス37は、ユーザの識別情報としてのユーザIDやパスワードなどを記憶した記憶素子を備えた認証カードと接触又は非接触状態でユーザIDなどの情報を入力するカードリーダとして構成されている。
【0020】
ログ管理サーバ50は、印刷した結果の情報である印刷ログを管理するサーバであり、各種制御を実行するCPU52と、各種制御プログラムを記憶するROM53と、データを一時記憶するRAM54と、各種アプリケーションプログラムや各種データファイルを記憶する大容量メモリであるHDD55と、LAN12に接続された外部機器との間で信号の送受信が可能なI/F56とを備えている。このCPU52は、図示しないバスによって情報のやり取りが可能なようにHDD55やI/F56などと接続されている。このログ管理サーバ50は、LAN12を介してユーザPC20やプリンタ60などとデータを送受信する際には、I/F56を介し、RAM54の所定領域に設けられた受信バッファ及び送信バッファを利用して行う。HDD55には、各ユーザ及び各プリンタで印刷した結果の情報である印刷ログ情報55aが記憶されている。この印刷ログ情報55aは、ユーザからのアクセスによって閲覧可能になっている。
【0021】
プリンタ60は、LAN12を介して得られた印刷データを記録紙Sに印刷する情報処理装置として構成され、装置全体の制御を司るCPU62と、各種処理プログラムを記憶した読み書き可能なフラッシュROM63と、一時的にデータを記憶するRAM64と、着色剤としてトナーを用いて記録紙Sに印刷を行う印刷機構65と、LAN12に接続された外部機器との間で信号の送受信が可能なI/F66と、システム利用許可者であるか否かを確認する情報などを入力する認証デバイス67と、を備えている。印刷機構65は、単一感光体方式と中間転写方式とを採用したフルカラーの電子写真方式の印刷機構として構成され、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色に色分解された各色ごとの画像の静電潜像を感光体上に形成し、その静電潜像を各色のトナーにより現像し、現像したトナー像を転写ベルトを介して記録紙Sに転写し、転写した記録紙Sを加熱・加圧して定着させる機構である。この印刷機構65は、プリントヘッド内に設けられた圧電素子又はヒータによりインクカートリッジ内のインクを加圧して記録紙Sに向かって吐出するインクジェット方式を採用してもよい。認証デバイス67は、ユーザの識別情報としてのユーザIDやパスワードなどを記憶した記憶素子を備えた認証カードと接触又は非接触状態でユーザIDなどの情報を入力するカードリーダとして構成されている。なお、プリンタ68は、プリンタ60と同様の構成であるため、その説明を省略する。
【0022】
次に、こうして構成された本実施形態の制限印刷システム10の動作について、まず、授業期間内であるか、授業期間外であるかを設定する動作について説明する。ここでは、印刷制限の一連の流れについて説明する具体例として、授業期間内にユーザAがユーザPC20から印刷指令を行いプリンタ60で認証印刷する場合を主として説明する。図3は、印刷サーバ30のCPU32により実行される期間設定処理ルーチンの一例を表すフローチャートである。このルーチンは、HDD35に記憶された印刷制限管理プログラム40の一部であり、印刷サーバ30が起動したあと繰り返し実行される。
【0023】
このルーチンを実行すると、CPU32は、まず、授業開始入力があるか否かを判定する(ステップS100)。この授業開始入力の判定は、認証デバイス37に認証カードが触れるなどして講師の認証に関する情報として認証カードに記憶されているユーザID及びパスワードが入力されたか否かに基づいて行うよう設定されている。授業開始入力がなされていないときには、CPU32は、そのまま待機し、授業開始入力がなされたときには、プリンタドライバ41が印刷ジョブを印刷データへ変換するスプール処理を実行中か否かを判定する(ステップS110)。スプール処理中であるときには、CPU32は、授業期間外に受け付けた印刷ジョブの処理が終了するのを待ち、スプール処理が終了するなどスプール処理中でないときには、RAM34の所定領域に記憶された授業中フラグFに値1をセットする(ステップS120)。この授業中フラグFは、授業期間中に値「1」にセットされるフラグであり、初期値は値「0」に設定されている。次に、CPU32は、授業終了入力があるか否かを判定する(ステップS130)。この授業終了入力の判定は、授業開始入力と同様の操作が再度なされたか否かに基づいて行うよう設定されている。授業終了入力がなされていないときにはそのまま待機し、授業終了入力がなされたときには、上記スプール処理を実行中か否かを判定する(ステップS140)。スプール処理中であるときには、CPU32は、そのまま待機し、スプール処理が終了するなどスプール中でないときには授業中フラグFに値「0」をセットし(ステップS150)、そのままこのルーチンを終了する。このように、講師の操作に基づいて授業期間内か授業期間外かを印刷サーバ30が設定するのである。
【0024】
次に、ユーザが印刷ジョブを送信しプリンタ60で認証印刷を実行する動作について説明する。図4は、印刷サーバ30のCPU32によって実行される印刷管理処理ルーチンの一例を表すフローチャートである。このルーチンは、HDD35に記憶され、印刷サーバ30が起動したあと繰り返し実行される。このルーチンを実行すると、CPU32は、まず、印刷ジョブをI/F36を介して受信したか否かを判定する(ステップS200)。ここで、ユーザAは、ユーザPC20の入力装置28を操作しディスプレイ27に表示されている所定のファイルをプリンタ60により認証印刷する指定を入力して印刷指令する。すると、ユーザPC20のCPU22は、ユーザPC20のログオン時にユーザAから入力されたユーザID(ここでは「ID−A」とする)を含む印刷ジョブを生成し、印刷サーバ30へI/F26を介して送信出力する。
【0025】
このユーザIDを含む印刷ジョブをI/F36を介して受信(取得)したときには、CPU32は、授業中フラグFが値「0」であるか否かを判定する(ステップS210)。授業中フラグFが値「0」であるときには、授業期間外であるものとしてユーザIDをそのまま印刷ジョブの内容と共にジョブ管理情報42へ登録し(ステップS220)、授業中フラグFが値「1」であるときには、授業期間内であるものとして印刷ジョブに含まれるユーザIDに所定の文字列を付加することにより、ユーザが認証用に用いることのない授業中用のID(以下授業中IDとも称する)を設定し、設定した授業中IDを印刷ジョブの内容と共にジョブ管理情報42へ登録する(ステップS230)。ここでは、授業中IDとして、ユーザIDに「_授業」という文字列を付加するように定められている。即ち、ユーザAの授業中IDは、「ID−A_授業」に設定される。また、授業期間内に授業中IDを設定する理由は、授業期間内と授業期間外とで印刷の枚数制限及び印刷枚数の管理を切り替えるためである。
【0026】
ステップS220,S230のあと、CPU32は、印刷ジョブの送信元のユーザが印刷制限されているか否かを判定する(ステップS240)。印刷制限されているか否かの判定は、ユーザIDに所定の文字列が付加されていないときにはユーザの授業期間外の現在の印刷済枚数が上限枚数に至っているか否かに基づいて行い、ユーザIDに所定の文字列が付加されているときにはユーザの授業期間内の現在の印刷済枚数が上限枚数に至っているか否かに基づいて行う。ここでは、ユーザIDに所定の文字列が付加されているときは上限なく印刷可能である。ユーザが印刷制限されているとき、即ち授業期間外で印刷済枚数が上限に至っているときには、CPU32は、その旨のメッセージをI/F36を介してユーザPC20へ送信すると共に受信した印刷ジョブをHDD35から削除する(ステップS250)。一方、ユーザが印刷制限されていないとき、即ち授業期間外で印刷済枚数が上限に至っていないとき及び授業期間内であるときには、CPU32は、受信した印刷ジョブのスプール処理を印刷ジョブに指定されているプリンタ用のプリンタドライバ41を用いて行い、スプールした印刷データをジョブ管理情報42へ記憶させる(ステップS260)。このように、ユーザが印刷可能であるときには、認証印刷に備えて指定プリンタにより印刷処理可能な状態でHDD35に保存しておくのである。
【0027】
ステップS250,S260のあと、または、ステップS200で印刷ジョブを受信しなかったときには、CPU32は、認証要求があったか否かを判定する(ステップS270)。認証要求の判定は、プリンタ60などからユーザID及び認証要求を受信したか否かにより行う。ここで、ユーザAは、プリンタ60の認証デバイス67に認証カードを接触するなどして認証に関する情報として認証カードに記憶されているユーザIDを入力する。すると、プリンタ60のCPU62は、入力されたユーザIDと認証印刷を実行する旨の要求である認証要求とをI/F66を介して印刷サーバ30へ送信出力する。そして、認証要求があったと判定されたときには、CPU32は、認証入力されたユーザIDが印刷制限対応情報44に登録されているか否かに基づいて認証されたか否かを判定し(ステップS280)、認証入力されたユーザIDが認証されなかったときには、その旨のメッセージを送信元であるプリンタ60へ送信出力する(ステップS290)。一方、認証入力されたユーザIDが認証されたときには、CPU32は、ジョブ管理情報42において付加文字列を除いたユーザIDに対応する印刷データを検索し(ステップS300)、検索した印刷ジョブ名をプリンタ60へ送信出力する(ステップS310)。これを受けたプリンタ60のCPU62は、図示しない表示パネルに表示させ、ユーザが図示しない操作部を操作して印刷を行う印刷ジョブを選択すると、選択した印刷ジョブ名を印刷サーバ30へ送信出力する。一方、CPU32は、印刷ジョブが選択されたか否かを判定し(ステップS320)、印刷ジョブが選択されていないときにはそのまま待機し、印刷ジョブが選択されたときには、選択された印刷ジョブをプリンタ60へ送信出力する(ステップS330)。これを受けたプリンタ60は、印刷処理を実行する。
【0028】
ここで、プリンタ60での処理について説明する。印刷ジョブを受信すると、CPU62は、印刷データに基づいて、各色ごとの画像の静電潜像を感光体上に形成し、その静電潜像を各色のトナーにより現像し、現像したトナー像を転写ベルトを介して記録紙Sに転写し、転写した記録紙Sを加熱・加圧して定着させる。すべての印刷が終了すると、プリンタ60は、その印刷結果として印刷枚数やジョブID,印刷データ名、印刷データに対応付けられたユーザID又は授業中IDなどの情報を印刷サーバ30及びログ管理サーバ50へ送信出力する。なお、これを受けたログ管理サーバ50は、受信した情報に基づいて印刷ログ情報55aを更新する。
【0029】
さて、印刷サーバ30では、ステップS330のあと、またはステップS290でメッセージを出力したあと、または、ステップS270で認証要求がないときには、CPU32は、印刷結果をプリンタ60から受信したか否かを判定する(ステップS340)。印刷結果を受信していないときには、そのままこのルーチンを終了し、印刷結果を受信したときには、受信した印刷結果に含まれるユーザIDに付加文字列があるか否か、即ち授業中IDであるか否かを判定する(ステップS350)。付加文字列のないユーザIDであるときには、印刷結果は授業期間外に印刷指示した結果であるものとして、ユーザIDに対応するユーザの授業期間外の印刷済枚数に今回の印刷枚数を加算して印刷制限対応情報44を更新し(ステップS360)、このルーチンを終了する。一方、付加文字列のある授業中IDであるときには、授業中IDに含まれるユーザIDを用いてユーザを特定し、授業中IDに対応するユーザの授業期間内の印刷済枚数に今回の印刷枚数を加算して印刷制限対応情報44を更新し(ステップS370)、このルーチンを終了する。
【0030】
そして、ユーザがユーザPC20の入力装置28を操作してログ管理サーバ50にアクセスし、印刷ログ情報55aの閲覧を実行すると、これを受けたログ管理サーバ50のCPU52は、印刷サーバ30から印刷制限対応情報44を取得し、閲覧要求を行ったユーザに対応する印刷ログ情報55aの情報と印刷制限対応情報44の情報とをユーザPC20へI/F56を介して送信出力する。これを受けたユーザPC20のCPU22は、受信した情報に基づいてディスプレイ27に印刷ログ情報表示画面80を表示させる。図5は、印刷ログ情報表示画面80の説明図である。印刷ログ情報表示画面80には、ユーザの印刷済枚数の情報などが表示される印刷制限情報表示部82と個別の印刷結果が表示される印刷ログ表示部83を含んでいる。このように、ユーザや管理者は、授業期間内又は授業期間外の印刷結果に関する情報を期間ごとにあとで確認することができる。また、この印刷ログ情報55aや印刷制限対応情報44の印刷済枚数などの情報を利用して各ユーザの印刷済枚数に対して課金することができる。
【0031】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の印刷サーバ30が本発明の実行管理装置に相当し、このうち、I/F36が情報取得手段、情報出力手段及び実行出力手段に相当し、CPU32が期間設定手段、識別情報設定手段、実行判定手段、実行制御手段、管理実行手段、制限制御手段、出力制御手段及び変換手段に相当し、HDD35が管理情報記憶手段及び取得情報記憶手段に相当する。また、ユーザIDが第1識別情報に相当し、授業中IDが第2識別情報に相当し、授業期間外が第1の期間に相当し、授業期間内が第2の期間に相当し、授業期間外の印刷枚数制限が第1の制限に相当し、授業期間内の印刷枚数制限が第2の制限に相当し、印刷制限対応情報44が管理情報及び対応情報に相当し、トナー及びインクが着色剤に相当し、記録紙Sが印刷媒体に相当し、印刷ジョブが処理対象に相当し、プリンタ60,68が情報処理装置及び印刷装置に相当する。なお、本実施形態では、制限印刷システム10の動作を説明することにより本発明の実行管理方法の一例も明らかにしている。
【0032】
以上詳述した本実施形態の制限印刷システム10によれば、印刷サーバ30が、ユーザの認証用に用いるユーザIDと印刷ジョブとを取得し、講師の認証入力に基づいて授業期間外であるか授業期間内であるかを設定し、授業期間外にユーザIDと処理対象とを受信するとユーザIDに対応付けられた印刷枚数制限に基づいてこの印刷ジョブの印刷処理の可否を判定する一方、授業期間内にユーザIDと印刷ジョブとを受信するとユーザIDの文字列をそのまますべて含みユーザが認証用に用いることのない授業中IDをユーザIDに代えて設定し、授業中IDに対応付けられた授業期間内の印刷枚数制限(無制限)に基づいてこの印刷ジョブの印刷処理の可否を判定する。このように、授業期間外ではユーザが認証用に用いるユーザIDを用いて印刷枚数制限により印刷処理の可否を判定し、授業期間内では、ユーザが認証用に用いない授業中IDを設定しこれを用いて制限なく印刷処理可能と判定するのである。したがって、授業期間外と授業期間内とでIDを切り替えるため、より確実に期間ごとの印刷枚数制限を行うことができる。また、ユーザが複数のIDを管理し期間ごとに切り替えて使う必要がないため、印刷枚数制限を期間ごとに切り替えるに際してユーザの煩雑さを低減することができる。また、ユーザIDを含む授業中IDを設定するため、授業中IDに含まれるユーザIDを用いることにより対応するユーザをあとで特定しやすい。更に、授業期間外では所定の印刷枚数制限を行い、授業期間内では常に印刷可能とするため授業の効率がよい。
【0033】
また、授業期間外に印刷ジョブの印刷処理が可能と判定されたときにはユーザID及び印刷ジョブをプリンタ60へ送信出力する一方、授業期間内に印刷ジョブの印刷処理が可能であると判定されたときには授業中ID及び印刷ジョブをプリンタ60へ送信出力するため、判定結果に応じてユーザIDや授業中IDをプリンタ60で利用することができる。更に、プリンタ60からユーザID及び印刷結果を受信したときにはユーザIDに対応付けられたユーザと印刷結果と授業期間外とを対応付け印刷制限枚数に反映させて印刷制限対応情報44に登録する一方、プリンタ60から授業中ID及び印刷結果を受信したときにはこの授業中IDに含まれるユーザIDに基づいてユーザを特定しこの特定したユーザと印刷結果と授業期間内とを対応付けて印刷制限対応情報44に登録するため、授業期間外と授業期間内とに応じた処理結果を管理可能でありこれらの関係を把握しやすいし、印刷結果を反映した制限により印刷ジョブの実行を行うことができる。更にまた、授業期間内で且つ、認証実行指令とユーザIDとをプリンタ60から受信するまえに、印刷ジョブに対応付けられたユーザIDに代えて授業中IDを設定してジョブ管理情報42に登録し、認証実行指令とユーザIDとをプリンタ60から取得したときには印刷制限対応情報44を用いてユーザIDの認証を実行し、印刷制限対応情報44のユーザID及び授業中IDに含まれるユーザIDと、受信したユーザIDと、に基づいて印刷制限対応情報44の印刷ジョブの中からユーザに対応する印刷ジョブを検索し、受信したユーザIDが認証されたあと、授業中IDと検索された印刷ジョブとをプリンタ60へ送信出力するため、認証実行指令を受ける前に授業中IDを設定することにより、より確実に授業中IDによる印刷管理をすることができるし、授業期間内に授業中IDをより確実に設定することができる。そして、授業期間外と授業期間内とを切り替える際にスプール処理を実行中であるときには、スプール処理が終了したあとで授業期間外と授業期間内とを切り替えて設定するため、印刷ジョブのスプール処理の実行を開始した時刻に基づいて印刷枚数制限を適用するので、比較的適正な制限を実行することができる。そしてまた、印刷枚数制限は、所定の期間ごとに切り替えることが望まれるため、本発明を適用する意義が高い。そして更に、授業期間内では無制限に印刷可能としたが印刷済枚数自体は印刷制限対応情報44で管理するため、各ユーザでの印刷枚数の抑制を行うことができる。また、ユーザが認証用に用いることのないIDを印刷サーバ30で設定し、この設定したIDで印刷制限及び認証印刷を実行可能であるため、期間に応じて印刷制限を切り替えることのできない既存のシステムに適用しやすい。
【0034】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0035】
例えば、上述した実施形態では、印刷指令した印刷ジョブを印刷サーバ30に保存しプリンタ60で認証入力を行ったのちにプリンタ60で印刷処理を行う認証印刷を行うものとしたが、印刷制限を確認したのち認証印刷を行わずに印刷ジョブをそのまま印刷する、即ちステップS270〜S320を省略しステップS330でプリンタへ印刷ジョブ及びユーザID又は授業中IDを送信出力するものとしてもよい。こうしても、授業期間内と期間外でIDを切り替えるため、より確実に期間ごとの印刷枚数制限を行うことができるし、ユーザが複数のIDを管理し期間ごとに切り替えて印刷する必要がないため、ユーザの煩雑さを低減することができる。
【0036】
上述した実施形態では、ユーザIDを含む授業用IDを設定するものとしたが、ユーザIDを含まない授業用ID、例えば上述した「ID−A_授業」に代えて「授業」などを設定するものとしてもよい。こうすると、授業期間内にどのユーザが何枚印刷を実行したかを把握しにくくなるが、授業期間内と期間外とでIDを切り替えるため、より確実に期間ごとの印刷枚数制限を行うことはできるし、ユーザが複数のIDを管理し期間ごとに切り替えて印刷する必要がないため、ユーザの煩雑さを低減することもできる。このとき、ユーザの各々の授業期間内での印刷済枚数の管理を省略しユーザ全体での授業期間内での印刷済枚数の管理を行うものとしてもよいし、授業期間内での印刷済枚数の管理自体を省略してもよい。
【0037】
上述した実施形態では、プリンタ60の認証デバイス67からユーザが認証を行うものとしたが、印刷サーバ30の認証デバイス37から認証を行ってもよいし、印刷サーバ30やプリンタ60、ログ管理サーバ50などの図示しない入力装置を操作してユーザIDを入力してもよい。
【0038】
上述した実施形態では、授業期間として説明したが、授業の種別ごとに付加文字列を定め(例えば「_授業1」など)、個別の授業ごとに授業中IDを設定して印刷制限を行うものとしてもよい。なお、付加文字列は、任意の文字列を採用してもよい。また、授業期間内と授業期間外として説明したが、第1の期間とこの第1の期間と異なる第2の期間とで制限を切り替えるものであればよく、例えば就業内の期間と就業外の期間などとしてもよい。
【0039】
上述した実施形態では、講師の入力によって授業期間内、授業期間外を設定するものとしたが、所定の時刻に至ると授業期間内と授業期間外とを切り替えるものとしてもよい。こうしても、上述した実施形態と同様の効果が得られる。なお、上述した実施形態では、プリンタドライバによりスプール処理を実行中にはスプール処理の実行終了を待って期間を切り替えて設定するものとしたが、スプール処理の実行終了を待たずに期間を切り替えるものとしてもよい。
【0040】
上述した実施形態では、指定されたプリンタで印刷可能な印刷データへの変換を印刷サーバ30がプリンタドライバ41を用いて行うものとしたが、印刷データへの変換をユーザPC20がプリンタドライバを用いて行うものとしてもよい。
【0041】
上述した実施形態では、印刷サーバ30が授業期間内に印刷ジョブ及びユーザIDを受信した直後に授業用IDを設定するものとしたが、印刷ジョブ及びユーザIDをユーザPC20から受信するとそのままジョブ管理情報42へ登録し、プリンタ60などから認証実行指令とユーザIDとを受信すると、ユーザIDに対応づけられた印刷ジョブをジョブ管理情報42内から検索し、検索した印刷ジョブ名を送信元のプリンタ60へ送信し、プリンタ60から印刷ジョブが選択されたときには、選択された印刷ジョブが授業期間内に印刷指示されたものであるときには、ユーザIDに代えて授業用IDを設定し、設定した授業用IDと印刷ジョブとをプリンタ60へ送信出力するものとしてもよい。こうすれば、認証実行指令を受けてから授業中IDを設定するため、記憶されている印刷ジョブをユーザIDのままで検索可能であり、より検索しやすい。なお、上述した実施形態も同様であるが、認証処理と検索処理はいずれを先に行ってもよい。また、検索した印刷ジョブ名をプリンタ60へ送信しユーザが選択したのちに選択された印刷ジョブをプリンタ60へ送信するものとしたが、印刷ジョブ名の送信を省略し検索した印刷ジョブ自体を送信してもよい。
【0042】
上述した実施形態では、授業期間では、印刷枚数の制限を無制限としたが、授業期間外の印刷枚数制限とは異なる授業期間に合わせた印刷枚数制限を行うものとしてもよい。このとき、授業期間内の印刷結果である印刷枚数を授業期間内に対応する印刷済枚数に加える、即ち印刷結果を授業期間内の印刷枚数制限に反映させてもよい。
【0043】
上述した実施形態では、プリンタ60が印刷サーバ30へ印刷結果を直接送信出力するものとしたが、プリンタ60が印刷結果をログ管理サーバ50へ送信し、印刷ログ情報55aに登録したあとログ管理サーバ50を介して印刷サーバ30へ印刷結果を送信するものとしてもよい。また、印刷制限対応情報44をログ管理サーバ50が管理するものとしてもよいし、印刷制限対応情報44を印刷サーバ30とログ管理サーバ50とに記憶して双方が管理するものとしても構わない。
【0044】
上述した実施形態では、複数の期間に応じて複数のIDを利用して複数の印刷枚数制限を行うものとしたが、複数の期間に応じて複数のIDを利用して複数の処理制限を行うものであれば、特に限定されずに用いることができる。また、プリンタ60としたが、プリンタ機能を有するFAX機としてもよいし、コピー機としてもよい。なお、上述した実施形態では、本発明の実行管理装置としての印刷サーバ30として説明したが、実行管理方法の形態としてもよいし、実行管理方法を実行するプログラムの形態としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】制限印刷システム10の構成の概略を示す構成図である。
【図2】印刷サーバ30が備えるHDD35に記憶された情報の説明図である。
【図3】期間設定処理ルーチンの一例を表すフローチャートである。
【図4】印刷管理処理ルーチンの一例を表すフローチャートである。
【図5】印刷ログ情報表示画面80の説明図である。
【符号の説明】
【0046】
10 制限印刷システム、12 LAN、20,29 ユーザPC、22 CPU、23 ROM、24 RAM、25 HDD、26 ネットワークインタフェース(I/F)、27 ディスプレイ、28 入力装置、30 印刷サーバ、32 CPU、33 ROM、34 RAM、35 HDD、36 ネットワークインタフェース(I/F)、37 認証デバイス、40 印刷制限管理プログラム、41 プリンタドライバ、42 ジョブ管理情報、42a 印刷データ、44 印刷制限対応情報、50 ログ管理サーバ、52 CPU、53 ROM、54 RAM、55 HDD、55a 印刷ログ情報、56 ネットワークインタフェース(I/F)、60,68 プリンタ、62 CPU、63 フラッシュROM、64 RAM、65 印刷機構、66 ネットワークインタフェース(I/F)、67 認証デバイス、80 印刷ログ情報表示画面、82 印刷制限情報表示部、83 印刷ログ表示部、S 記録紙。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに対応付けられた識別情報を利用して情報処理装置での所定の処理の実行を管理する実行管理装置であって、
ユーザが認証用に用いる該ユーザに対応付けられた第1識別情報と前記所定の処理の実行に用いられる処理対象とを取得可能な情報取得手段と、
第1の期間であるか該第1の期間と異なる第2の期間であるかを設定する期間設定手段と、
前記設定された期間が第2の期間であるときに前記ユーザが認証用に用いることのない第2識別情報を前記第1識別情報に代えて設定する識別情報設定手段と、
前記設定された第1の期間中に前記情報取得手段が前記第1識別情報と前記処理対象とを取得したあと前記第1識別情報に対応付けられた第1の制限に基づいて該処理対象の処理実行の可否を判定する一方、前記設定された第2の期間中に前記情報取得手段が前記第1識別情報と前記処理対象とを取得したあと前記識別情報設定手段によって設定された前記第2識別情報に対応付けられた前記第1の制限とは異なる第2の制限に基づいて該処理対象の処理実行の可否を判定する実行判定手段と、
を備えた実行管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の実行管理装置であって、
情報を出力可能な情報出力手段と、
前記設定された期間が第1の期間であり前記実行判定手段によって前記処理対象の処理実行が可能であると判定されたときには前記取得した第1識別情報及び処理対象を前記情報処理装置へ前記情報出力手段に出力させる一方、前記設定された期間が第2の期間であり前記実行判定手段によって前記処理対象の処理実行が可能であると判定されたときには前記設定した第2識別情報及び前記処理対象を前記情報処理装置へ前記情報出力手段に出力させる実行制御手段と、
を備えた実行管理装置。
【請求項3】
前記識別情報設定手段は、前記第1識別情報を含む第2識別情報を前記第1識別情報に代えて設定する、請求項1又は2に記載の実行管理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の実行管理装置であって、
前記処理実行の結果に関する情報を登録する管理情報を記憶する管理情報記憶手段と、
前記情報取得手段が前記情報処理装置から前記第1識別情報及び前記処理対象の処理結果を取得したときには該第1識別情報に対応付けられたユーザと前記取得した処理結果と前記第1の期間とを対応付けて前記管理情報に登録する一方、前記情報取得手段が前記情報処理装置から前記第2識別情報及び前記処理対象の処理結果を取得したときには該第2識別情報に含まれる第1識別情報に基づいてユーザを特定し該特定したユーザと前記取得した処理結果と前記第2の期間とを対応付けて前記管理情報に登録する管理実行手段と、
を備えた実行管理装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の実行管理装置であって、
前記情報取得手段が前記第1識別情報及び前記処理対象の処理結果を取得したときには該取得した処理結果を該第1識別情報に対応付けられた前記第1の制限に反映させる一方、前記情報取得手段が前記情報処理装置から前記第2識別情報及び前記処理対象の処理結果を取得したときには該取得した処理結果を第2識別情報に含まれる第1識別情報に対応付けられた前記第2の制限に反映させる制限制御手段、を備えた実行管理装置。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれかに記載の実行管理装置であって、
情報を出力可能な実行出力手段と、
ユーザと第1識別情報とを対応付けた対応情報及び前記情報取得手段が取得した前記処理対象を記憶する取得情報記憶手段と、
情報を出力するよう前記実行出力手段を制御する出力制御手段と、を備え、
前記識別情報設定手段は、前記第2の期間中で且つ、前記取得情報記憶手段に記憶された処理対象を前記第1識別情報の認証により処理実行する認証実行指令と前記ユーザに対応付けられた前記第1識別情報とを前記情報取得手段が前記情報処理装置から取得するまえに前記記憶された処理対象に対応付けられた第1識別情報に代えて前記第2識別情報を設定して前記取得情報記憶手段に記憶し、
前記出力制御手段は、前記認証実行指令と前記第1識別情報とを前記情報取得手段が前記情報処理装置から取得したときには前記対応情報を用いて前記取得した第1識別情報の認証を実行し、前記設定された第2識別情報に含まれる前記第1識別情報と前記取得した第1識別情報とに基づいて前記記憶された処理対象の中から前記ユーザに対応する処理対象を検索し、前記取得した第1識別情報が認証されたあと前記設定された第2識別情報と前記検索された処理対象とを前記情報処理装置へ前記実行出力手段に出力させる、実行管理装置。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載の実行管理装置であって、
情報を出力可能な実行出力手段と、
ユーザと第1識別情報とを対応付けた対応情報及び前記情報取得手段が取得した前記処理対象を記憶する取得情報記憶手段と、
情報を出力するよう前記実行出力手段を制御する出力制御手段と、を備え、
前記識別情報設定手段は、前記取得情報記憶手段に記憶された処理対象を前記第1識別情報の認証により処理実行する認証実行指令と該処理対象に対応付けられた前記第1識別情報とを前記情報取得手段が前記第2の期間中に前記情報処理装置から取得したときには前記対応情報を用いて前記取得した第1識別情報の認証を実行し、該取得した第1識別情報が認証されたあとで前記第2識別情報を設定して前記取得情報記憶手段に記憶し、
前記出力制御手段は、前記第2識別情報が設定される前に前記処理対象に対応付けられた第1識別情報と前記取得した第1識別情報とに基づいて前記記憶された処理対象の中から前記ユーザに対応する処理対象を検索し、前記第2識別情報が設定されたあと前記設定された第2識別情報と前記検索された処理対象とを前記情報処理装置へ前記実行出力手段に出力させる、実行管理装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の実行管理装置であって、
前記情報処理装置で処理可能な態様に前記処理対象を変換する変換手段、を備え、
前記期間設定手段は、前記第1の期間と前記第2の期間とを切り替える際に前記変換手段が前記処理対象の変換処理を実行中であるときには、前記変換処理の実行が終了したあとで前記第1の期間と前記第2の期間とを切り替えて設定する、実行管理装置。
【請求項9】
前記期間設定手段は、第1の期間として所定の就業外の期間を設定し前記第2の期間として所定の就業内の期間を設定し、
前記実行判定手段は、前記設定された期間が所定の就業外の期間であるときには前記第1の制限としての該就業外の制限に基づいて該処理対象の実行の可否を判定し、前記設定された期間が所定の就業内の期間であるときには前記第2の制限として常に処理対象の処理を実行可能と判定する、請求項1〜8のいずれかに記載の実行管理装置。
【請求項10】
前記情報処理装置は、前記処理対象としての印刷データに基づいて着色剤を印刷媒体へ印刷する印刷装置であり、
前記第1の制限及び前記第2の制限は、印刷枚数の制限である、請求項1〜9のいずれかに記載の実行管理装置。
【請求項11】
ユーザに対応付けられた識別情報を利用して情報処理装置での所定の処理の実行を管理する実行管理装置を利用した実行管理方法であって、
(a)ユーザが認証用に用いる該ユーザに対応付けられた第1識別情報と前記所定の処理の実行に用いられる処理対象とを取得するステップと、
(b)第1の期間であるか該第1の期間と異なる第2の期間であるかを設定するステップと、
(c)前記ステップ(b)で設定した期間が第2の期間であるときに前記ユーザが認証用に用いることのない第2識別情報を前記第1識別情報に代えて設定するステップと、
(d)前記ステップ(b)で設定した第1の期間中に前記第1識別情報と前記処理対象とを取得したあと前記第1識別情報に対応付けられた第1の制限に基づいて該処理対象の処理実行の可否を判定する一方、前記ステップ(b)で設定した第2の期間中に前記第1識別情報と前記処理対象とを取得したあと前記ステップ(c)で設定した前記第2識別情報に対応付けられた前記第1の制限とは異なる第2の制限に基づいて該処理対象の処理実行の可否を判定するステップと、
を含む実行管理方法。
【請求項12】
請求項11に記載の情報管理方法の各ステップを1又は複数のコンピュータに実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−242789(P2008−242789A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−82056(P2007−82056)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】