説明

実装装置、塗布装置、実装方法、塗布方法及びプログラム

【課題】電子部品を保持する保持部が塗布物に対して垂直に保たれていないような場合でも、電子部品の複数の電極に対して均一に塗布物を塗布することができる技術を提供すること。
【解決手段】本技術の一形態に係る実装装置は、保持部と、移動機構と、塗布部と、制御部とを具備する。前記保持部は、複数の電極を有する電子部品を保持及び解放可能である。前記移動機構は、前記保持部を移動させる。前記塗布部は、前記電極に塗布される塗布物が配置される。前記制御部は、前記電子部品を前記保持部に保持させ、前記移動機構により前記塗布部上に前記保持部を移動させ、前記塗布部上で前記電子部品を前記保持部から解放させて前記複数の電極に塗布物を塗布させ、解放された前記電子部品を前記保持部に再び保持させ、前記移動機構により前記保持部を基板又は別の電子部品上に移動させ、前記電子部品を前記基板又は前記別の電子部品上に実装させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、基板上に電子部品を実装したり、電子部品上にさらに電子部品を実装したりする実装装置等の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に電子部品を実装したり、電子部部品上にさらに電子部品を実装したりする技術として、FC(Flip Chip)、CSP(Chip Size Package)、PoP(Package on Package)等が知られている。このような技術では、電子部品の下面に側に設けられた複数の電極に対して半田ペーストや、フラックス等が塗布され、その後、その電子部品が基板上や別の電子部品上に実装される方法が用いられる場合がある(例えば、特許文献1、2参照)
【0003】
特許文献1に記載の実装装置では、まず、装着ヘッドの吸着ノズルによって、トレイ内に収容された電子部品が取り出される。そして、フラックス膜が形成された塗布ユニット上に装着ヘッドが移動され、吸着ノズルが下方に移動される。これにより、電子部品の下側に設けられた複数の半田ボールに対してフラックスが塗布される。半田ボールにフラックスが塗布されると、吸着ノズルが上方に移動され、その後、装着ヘッドが基板上に移動される。そして、吸着ノズルが下方に移動され、電子部品が基板上に実装される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−78456号公報
【特許文献2】特開平11−251729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、吸着ノズルや塗布ユニット等の個体差などによって、吸着ノズルが、半田ペーストやフラックス等の塗布物の膜に対して垂直に保たれていない場合がある。このように、吸着ノズルが塗布物の膜に対して垂直でない場合に、この吸着ノズルを下方に移動させて電子部品の複数の電極に塗布物を塗布したとする。この場合、電子部品が塗布物の膜に対して斜めになった状態で、複数の電極が塗布物の膜に接触してしまうので、複数の電極に対して均一に塗布物を塗布することができないといった問題がある。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本技術の目的は、電子部品を保持する保持部が塗布物に対して垂直に保たれていないような場合でも、電子部品の複数の電極に対して均一に塗布物を塗布することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術の一形態に係る実装装置は、保持部と、移動機構と、塗布部と、制御部とを具備する。
前記保持部は、複数の電極を有する電子部品を保持及び解放可能である。
前記移動機構は、前記保持部を移動させる。
前記塗布部は、前記電極に塗布される塗布物が配置される。
前記制御部は、前記電子部品を前記保持部に保持させ、前記移動機構により前記塗布部上に前記保持部を移動させ、前記塗布部上で前記電子部品を前記保持部から解放させて前記複数の電極に塗布物を塗布させ、解放された前記電子部品を前記保持部に再び保持させ、前記移動機構により前記保持部を基板又は別の電子部品上に移動させ、前記電子部品を前記基板又は前記別の電子部品上に実装させる。
【0008】
この実装装置では、保持部によって保持された電子部品が、塗布部上において保持部から、一端、解放される。これにより、保持部が塗布物に対して垂直に保たれていないような場合でも、電子部品の複数の電極に対して、均一に塗布物を塗布することができる。また、この実装装置では、複数の電極に対して均一に塗布物が塗布された電子部品を、基板上や別の電子部品上に実装することができるので、実装の信頼性を向上させることができる。
【0009】
上記実装装置において、前記保持部は、圧力の切り替えにより前記電子部品を保持及び解放可能な保持部であってもよい。
【0010】
上記実装装置において、前記制御部は、前記保持部から前記電子部品を解放させてから、前記保持部に前記電子部品を再び保持させるまでの期間内において、前記期間内の全部又は一部の期間は、前記保持部を正圧としてよい。
【0011】
このように、保持部が正圧とされることで、保持部から電子部品に対して風が吹き付けられる。これにより、電子部品が塗布物に対して平行になり易くなり、複数の電極に対して、さらに均一に塗布物を塗布することができる。
【0012】
上記実装装置において、前記制御部は、前記塗布部上に前記保持部を移動させた後、前記移動機構により前記保持部を下降させて前記電子部品の電極が前記塗布物に接触する位置まで前記保持部を下降させ、前記保持部が前記位置まで下降したときに前記電子部品を前記保持部から解放させてもよい。
【0013】
本技術の一形態に係る塗布装置は、保持部と、移動機構と、塗布部と、制御部とを具備する。
前記保持部は、複数の電極を有する電子部品を保持及び解放可能である。
前記移動機構は、前記保持部を移動させる。
前記塗布部は、前記複数の電極に塗布される塗布物が配置される。
前記制御部は、前記電子部品を前記保持部に保持させ、前記移動機構により前記塗布部上に前記保持部を移動させ、前記塗布部上で前記電子部品を前記保持部から解放させて前記複数の電極に前記塗布物を塗布させる。
【0014】
この塗布装置では、保持部によって保持された電子部品が、塗布部上において保持部から解放される。これにより、保持部が塗布物に対して垂直に保たれていないような場合でも、電子部品の複数の電極に対して、均一に塗布物を塗布することができる。
【0015】
本技術の一形態に係る実装方法は、複数の電極を有する電子部品を保持部に保持させることを含む。
前記複数の電極に塗布される塗布物が配置された塗布部上に前記保持部が移動される。
前記塗布部上で前記電子部品を前記保持部から解放させて前記複数の電極に前記塗布物が塗布される。
解放された前記電子部品が前記保持部に再び保持される。
前記保持部が基板又は別の電子部品上に移動される。
前記電子部品が前記基板又は前記別の電子部品上に実装される。
【0016】
本技術の一形態に係る塗布方法は、複数の電極を有する電子部品を保持部に保持させる。
前記複数の電極に塗布される塗布物が配置された塗布部上に前記保持部を移動させる。
前記塗布部上で前記電子部品を前記保持部から解放させて前記複数の電極に前記塗布物を塗布させる。
【0017】
本技術の一形態にかかるプログラムは、実装装置に、複数の電極を有する電子部品を保持部に保持させるステップを実行させる。
前記複数の電極に塗布される塗布物が配置された塗布部上に前記保持部を移動させるステップを実行させる。
前記塗布部上で前記電子部品を前記保持部から解放させて前記複数の電極に前記塗布物を塗布させるステップを実行させる。
解放された前記電子部品を前記保持部に再び保持させるステップを実行させる。
前記保持部を基板又は別の電子部品上に移動させるステップを実行させる。
前記電子部品を前記基板又は前記別の電子部品上に実装させるステップを実行させる。
【0018】
本技術の他の形態に係るプログラムは、塗布装置に、複数の電極を有する電子部品を保持部に保持させるステップを実行させる。
前記複数の電極に塗布される塗布物が配置された塗布部上に前記保持部を移動させるステップを実行させる。
前記塗布部上で前記電子部品を前記保持部から解放させて前記複数の電極に前記塗布物を塗布させるステップを実行させる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本技術によれば、電子部品を保持する保持部が塗布物に対して垂直に保たれていないような場合でも、電子部品の複数の電極に対して均一に塗布物を塗布することができる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本技術の一実施形態に係る実装装置(塗布装置)を示す斜視図である。
【図2】実装装置によって実装される電子部品の一例を示す側面図である。
【図3】電子部品の下面図である。
【図4】吸着ノズルを示す側面図である。
【図5】半田塗布ユニットの塗布部を示す斜視図である。
【図6】塗布部の側方断面図である。
【図7】実装装置の制御部の処理を示すフローチャートである。
【図8】実装装置の動作を順に示す図である。
【図9】実装装置の動作を順に示す図である。
【図10】電子部品の電極に対して半田ペーストが塗布されるときの処理を示すフローチャートである。
【図11】電極に半田ペーストが塗布されるときの吸着ノズルの動作を示すタイミングチャートである。
【図12】電極に対して半田ペーストが塗布されるときの様子を示す側方拡大図である。
【図13】本実施形態に係る実装装置によって電極に対して塗布された半田ペーストの塗布状態を示す図である。
【図14】比較例に係る実装装置によって、電極に対して半田ペーストが塗布されるときの様子を示す図である。
【図15】比較例に係る実装装置によって電極に対して塗布された半田ペーストの塗布状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本技術の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本技術の一実施形態に係る実装装置100(塗布装置)を示す斜視図である。この実装装置100は、基板5上及び/又は基板5上に搭載された別の電子部品1上に、電子部品1を実装する装置である。この実装装置100は、例えば、FC(Flip Chip)技術、PoP(Package on Package)技術、CSP(Chip Size Package)技術等に用いられる。
【0022】
図2は、実装装置100によって実装される電子部品1の一例を示す側面図である。図3は、電子部品1の下面図である。これらの図に示すように、電子部品1は、電子部品1の下側の面に複数の電極2を有している。このような電子部品1としては、例えば、BGA(Ball grid array)タイプの電子部品1、LGA(Land grid array)タイプの電子部品1、PGA(Pin Grid Array) タイプの電子部品1等が挙げられる。これらのタイプの電子部品1としては、例えば、プロセッサIC(Integrated Circuit)、メモリIC等が挙げられる。
【0023】
図1を参照して、実装装置100は、基板5を搬送するコンベア10と、基板5上や別の電子部品1上等に電子部品1を実装する実装機構20とを備えている。また、実装装置100は、電極2に塗布される半田ペースト3の膜を形成する半田塗布ユニット30と、電子部品1が収納されるトレイ40及びパーツカセット50と、電子部品1を撮像する撮像部60とを備えている。
【0024】
なお、図示は、省略しているが、実装装置100は、実装装置100の各部を統括的に制御する制御部(例えば、CPU(Central Processing Unit))を備えている。また、実装装置100は、制御部の処理に必要な各種のプログラムや、各種のデータが固定的に記録された不揮発性のメモリや、制御部の作業領域として用いられる揮発性のメモリなどを有する記憶部を備えている。上記プログラムは、光ディスクや、半導体メモリなどの可搬性の記録媒体から読み取られてもよい。
【0025】
コンベア10は、X軸方向に沿って配設され、基板5を搭載して基板5をX軸方向に搬送する。コンベア10は、制御部の制御によって駆動され、基板5を所定の位置まで搬送する。
【0026】
実装機構20は、装着ヘッド21と、装着ヘッド21に装着される、電子部品1を保持及び解放(離脱)可能な吸着ノズル22(保持部)とを備えている。また、実装機構20は、装着ヘッド21を3軸(X軸、Y軸及びZ軸)方向に移動させるヘッド移動機構23を備えている。このヘッド移動機構23は、例えばボールネジ駆動、ベルト駆動、リニアモータ駆動等の駆動方式が用いられる。なお、本実施形態では、装着ヘッド21がZ軸方向に移動される形態とされているが、装着ヘッド21がZ方向に移動せずに、吸着ノズル22のみがZ軸方向に移動される形態であっても構わない。
【0027】
図4は、吸着ノズル22を示す側面図である。吸着ノズル22は、図示しないエアコンプレッサ等の圧力発生部に接続されている。吸着ノズル22は、この圧力発生部の負圧及び正圧(あるいは大気圧)の切り替えに応じて、電子部品1を吸着したり、吸着した電子部品1を解放(離脱)したりすることができる。
【0028】
図4に示すように、吸着ノズル22は、上方から順番に、装着ヘッド21に取り付けられる基部22aと、基部22aから下方へ伸びるノズル部22bと、先端部22cと有する。吸着ノズル22の先端部22cは、ノズル部22bよりも幅広に形成されている。ノズル部22b及び先端部22cは、基部22aに対して上下方向に移動可能とされており、バネなどの弾性体により基部22aに対して下側に向けて付勢されている。
【0029】
これにより、吸着ノズル22が下方に移動されてトレイ40から電子部品1が取り出されたり、電子部品1の電極2に半田ペースト3が塗布されたりするときに衝撃を吸収することができる。なお、以降では、吸着ノズル22が備える、衝撃を吸収させるための機構をダンパー機構と呼ぶ場合がある。
【0030】
再び、図1を参照して、半田塗布ユニット30は、実装装置100に対して着脱可能に設けられている。半田塗布ユニット30は、半田ペースト3の膜が形成される塗布部31を有している。
【0031】
図5は、半田塗布ユニット30の塗布部31を示す斜視図である。図6は、塗布部31の側方断面図である。これらの図に示すように、塗布部31は、スキージ32と、半田ペースト3が供給されてスキージ32により半田ペースト3の膜が形成されるプレート33とを含む。また、塗布部31は、スキージ32を上下方向に移動させるスキージ移動機構と、プレート33をZ軸回りに回転させる回転機構とを含む。
【0032】
プレート33上には、図示しない半田ペースト供給装置から半田ペースト3が供給される。半田が供給されると、回転機構によりプレート33が回転される。これにより、半田ペースト3がスキージ32によりならされて、所定の膜厚の半田ペースト3がプレート33上に形成される。半田ペースト3の膜厚は、スキージ移動機構によるスキージ32の上下方向への移動により調整することができる。
【0033】
半田ペースト3の膜厚は、電極2の高さとの関係で設定される。典型的は、半田ペースト3の膜厚は、電子部品1が吸着ノズル22により下降されて、電極2に半田ペースト3が塗布されるときに、電子部品1の下面に半田ペースト3が塗布されないように、電極2の高さよりも小さく設定される。一方、半田ペースト3の膜厚をあまり薄くすると、電極2に対して半田ペースト3が十分に塗布されない。従って、典型的には、半田ペースト3の膜厚は、電極2よりも小さい範囲内であって、かつ、電極2に対して半田が十分に塗布される範囲内とされる。
【0034】
再び図1を参照して、半田塗布ユニット30の側方には、パーツカセット50が配置されている。このパーツカセット50は、実装装置100に対して着脱可能とされている。パーツカセット50は、複数の電子部品1が収納されるキャリアテープを保持し、キャリアテープ内の電子部品1をコマ送りで送り出して、実装機構20に供給する。
【0035】
コンベア10を挟んで、半田塗布ユニット30及びパーツカセット50の反対側には、トレイ40が設けられている。トレイ40には、電子部品1が縦横に配列されて収容される。トレイ40も実装装置100に対して着脱可能とされる。
【0036】
コンベア10と、半田塗布ユニット30との間には、吸着ノズル22により吸着された電子部品1の吸着位置等を確認するために、吸着ノズル22に保持された電子部品1を撮像する撮像部60が配置されている。図1に示す例では、撮像部60は、吸着ノズル22よりも下方に配置されている。しかし、撮像部60の位置はどこでもよく、吸着ノズル22と同じ程度の高さ、あるいはそれより高い位置に配置されてもよい。この場合、ミラー等の反射を利用して電子部品1を撮像することができる。
【0037】
撮像部60は、CCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)センサ等の撮像素子61(図8、図9参照)を有する。また、撮像部60は、電子部品1を照らす照明62(図8、図9参照)を有する。
【0038】
[動作説明]
次に、実装装置100の動作について説明する。
【0039】
図7は、実装装置100の制御部の処理を示すフローチャートである。図8及び図9は、実装装置100の動作を順に示す図である。
【0040】
なお、ここでの説明では、図8及び図9に示すように、基板5上には、既に電子部品1が実装されているとして、この電子部品1上にさらに電子部品1を実装するときの処理について説明する。なお、本明細書中では、基板5上において、一番下に実装された電子部品1を親部品と呼ぶ場合がある。また、この親部品に上に実装される電子部品1や、親部品上に実装された電子部品1上にさらに実装される電子部品1を子部品と呼ぶ場合がある。
【0041】
まず、制御部は、半田塗布ユニット30の塗布部31上に所定の膜厚の半田ペースト3を形成する(ステップ101)。このとき、まず、制御部は、実装される電子部品1の種類の情報を記憶部から取得する。そして、制御部は、電子部品1の種類に応じて、スキージ移動機構を制御し、スキージ32の高さ位置を調整する。電子部品1の種類と、スキージ32の高さ(膜厚)との関係は、あらかじめテーブル化されて記憶部に記憶されている。
【0042】
そして、制御部は、回転機構を制御して、プレート33を回転させる。これにより、半田ペースト3がスキージ32によりならされて、所定の膜厚の半田ペースト3がプレート33上に形成される。半田ペースト3の膜厚は、上記したように、電子部品1の電極2の高さとの関係で適宜設定される。
【0043】
塗布部31上に所定の膜厚の半田ペースト3が形成されると、次に、制御部は、トレイ40から電子部品1を取り出す(ステップ102)(図8(A)参照)。このとき、まず、制御部は、ヘッド移動機構23を制御して、装着ヘッド21(吸着ノズル22)を下方に移動させる。そして、制御部は、圧力発生部を制御して、吸着ノズル22の圧力を負圧とする。これにより、電子部品1が吸着ノズル22に吸着されて保持される。電子部品1が吸着ノズル22により保持されると、制御部は、ヘッド移動機構23を制御して、装着ヘッド21(吸着ノズル22)を上方に移動させる。
【0044】
次に、制御部は、ヘッド移動機構23を制御して、装着ヘッド21を撮像部60上に移動させる(ステップ103)(図8(B)参照)。次に、制御部は、撮像部60により、吸着ノズル22により保持された電子部品1を撮像する(ステップ104)。なお、このとき、照明62により電子部品1には、光が照らされている。電子部品1を撮像すると、制御部は、撮像された画像に基づいて、吸着ノズル22に対する電子部品1の位置のずれ量を算出する。
【0045】
次に、制御部は、ヘッド移動機構23を制御して、所定の膜圧の半田ペースト3が配置された塗布部31上に装着ヘッド21を移動させる(ステップ105)(図8(C)参照)。このとき、制御部は、例えば、塗布部31のプレート33上において、スキージ32とは反対側の位置に装着ヘッド21を移動させる。なお、このとき、制御部は、吸着ノズル22に対する電子部品1のずれ量を補正した位置に装着ヘッド21を移動させる。
【0046】
次に、制御部は、電子部品1の電極2に対して半田ペースト3を塗布する処理を実行する(ステップ106)。電子部品1の電極2に対して半田ペースト3が塗布されるときの処理について、詳細に説明する。
【0047】
図10は、電子部品1の電極2に対して半田ペースト3が塗布されるときの処理を示すフローチャートである。図11は、電極2に半田ペースト3が塗布されるときの吸着ノズル22の動作を示すタイミングチャートである。図12は、電極2に対して半田ペースト3が塗布されるときの様子を示す側方拡大図である。
【0048】
なお、ここでは、図12に示すように、吸着ノズル22や半田塗布ユニット30等の個体差などによって、吸着ノズル22が、半田ペースト3の膜(プレート33の上面)に対して垂直に保たれていない場合が想定されている。
【0049】
装着ヘッド21が塗布部31上に移動されると、まず、制御部は、ヘッド移動機構23を制御して、装着ヘッド21(吸着ノズル22)を下方に移動させる(ステップ201)。次に、制御部は、吸着ノズル22が押し込み位置まで移動したかを判定する(ステップ202)。押し込み位置とは、吸着ノズル22に保持された電子部品1の電極2が、プレート33の上面に接触する位置である。
【0050】
吸着ノズル22が押し込み位置まで移動すると(ステップ202のYES)、制御部は、装着ヘッド21の下方への移動を停止させる(ステップ203)(図12(B)参照)。
【0051】
次に、制御部は、圧力発生部を制御して、吸着ノズル22の圧力を負圧から正圧に切り替える(ステップ204)。これにより、図12(C)に示すように、吸着ノズル22から電子部品1が解放(離脱)される。
【0052】
このように、吸着ノズル22から電子部品1が解放されることによって、電子部品1が半田ペースト3の膜(プレート33の上面)に対して、平行になり易くなる。これにより、電子部品1の下側に設けられた複数の電極2に対して、均一に半田ペースト3を塗布することができる。
【0053】
吸着ノズル22の圧力が負圧から正圧に切り替えられると、次に、制御部は、圧力が正圧に切り替えられてから、所定時間(ブロー時間(図11参照))が経過したかを判定する(ステップ205)。上記所定時間(ブロー時間)が経過した場合(ステップ205のYES)、制御部は、圧力発生部を制御して、吸着ノズル22の圧力を正圧から大気圧に切り替える(ステップ206)。
【0054】
これにより、電子部品1が吸着ノズル22から解放されてから所定時間(ブロー時間)が経過するまでは、電子部品1の上面に対して、吸着ノズル22から風が吹き付けられる。これにより、電子部品1が半田ペースト3の膜(プレート33の上面)に対してさらに平行になり易くなる。これにより、複数の電極2に対して、さらに均一に半田ペースト3を塗布することができる。上記所定時間(ブロー時間)は、例えば、例えば、50ms程度の時間とされる。
【0055】
吸着ノズル22の圧力が大気圧に切り替えられると、次に、制御部は、圧力が大気圧に切り替えられてから所定時間(停留時間(図11参照))が経過したかを判定する(ステップ207)。所定時間(停留時間)が経過した場合(ステップ207のYES)、制御部は、吸着ノズル22の圧力を大気圧から負圧へ切り替える(ステップ208)。
【0056】
これにより、吸着ノズル22が大気圧に切り替えられてから所定時間(停留時間)が経過するまで、電極2が半田ペースト3に浸される。これにより、複数の電極2に対して半田ペースト3が十分に塗布される。上記所定期間(停留期間)は、例えば、150ms程度の時間とされる。
【0057】
吸着ノズル22の圧力が大気圧から負圧に切り替えられると、図12(D)に示すように、電子部品1が吸着ノズル22に吸着されて、再び吸着ノズル22に保持される。吸着ノズル22の圧力が大気圧から負圧に切り替えられると、制御部は、吸着ノズル22の圧力が負圧に切り替えられてから所定時間(吸着待ち時間(図11参照))が経過したかを判定する(ステップ209)。この所定時間(吸着待ち時間)は、例えば、50ms程度の時間とされる。
【0058】
吸着ノズル22の圧力が負圧に切り替えられてから所定時間(吸着待ち時間)が経過した場合(ステップ209のYES)、制御部は、ヘッド移動機構23を制御して、装着ヘッド21を上方に移動させる(ステップ210)。
【0059】
図13は、本実施形態に係る実装装置100によって電極2に対して塗布された半田ペースト3の塗布状態を示す図である。図13から、複数の電極2に対して均一に半田ペースト3が塗布されていることが分かる。
【0060】
ここで、比較例に係る実装装置によって、電極2に対して半田ペースト3が塗布される場合について説明する。
【0061】
図14は、比較例に係る実装装置によって、電極2に対して半田ペースト3が塗布されるときの様子を示す図である。図15は、比較例に係る実装装置によって電極2に対して塗布された半田ペースト3の塗布状態を示す図である。
【0062】
比較例に係る実装装置では、吸着ノズル22から、一端、電子部品1を解放する処理が実行されない。図14に示すように、吸着ノズル22を下方に移動させて電子部品1の複数の電極2に半田ペースト3を塗布したとする。
【0063】
この場合、図14に示すように、電子部品1が半田ペースト3の膜に対して斜めになった状態で、複数の電極2が半田ペースト3の膜に接触してしまう。これにより、図15に示すように、複数の電極2に対して均一に半田ペースト3を塗布することができない。
【0064】
一方、上記したように、本実施形態では、吸着ノズル22から電子部品1が、一端、解放されるので、電子部品1が半田ペースト3の膜(プレート33の上面)に対して、平行になり易くなる。これにより、複数の電極2に対して、均一に半田ペースト3を塗布することができる。
【0065】
図14を参照して、吸着ノズル22を電子部品1の上方から強く押し付けることで、電子部品1を吸着ノズル22から積極的に解放せずとも、吸着ノズル22から電子部品1が離れるようにも思われる。しかしながら、吸着ノズル22が衝撃を吸収するためのダンパー機構を有している場合には、電極2がプレート33の上面に接触したときに、衝撃を吸収するために吸着ノズル22が上方に移動してしまう。この場合、吸着ノズル22を電子部品1の上方から強く押し付けることができないので、電子部品1は吸着ノズル22から離れない。
【0066】
また、仮に、電子部品1を強く押し付けることができたとしても、電子部品1が上方から強く押し付けられると、電子部品1が損傷してしまう恐れがある。一方、本技術によれば、電子部品1が損傷してしまう恐れはない。
【0067】
再び、図7〜図10を参照して、電子部品1の電極2に対して半田ペースト3が塗布されると、次に、制御部は、ヘッド移動機構23を制御して、装着ヘッド21を撮像部60上に移動させる(ステップ107)(図9(D)参照)。次に、制御部は、撮像部60により、吸着ノズル22により保持された電子部品1を撮像する(ステップ108)。電子部品1を撮像すると、制御部は、撮像された画像に基づいて、吸着ノズル22に対する電子部品1の位置のずれ量を算出する。
【0068】
次に、制御部は、ヘッド移動機構23を制御して、装着ヘッド21を基板5上に移動させる(ステップ109)(図9(E)参照)。このとき、制御部は、基板5上に実装されている電子部品1(親部品)上に装着ヘッド21を移動させる。なお、制御部は、吸着ノズル22に対する電子部品1のずれ量を補正した位置に装着ヘッド21を移動させる。
【0069】
装着ヘッド21が基板5上の電子部品1(親部品)上に移動されると、制御部は、基板5上の電子部品1(親部品)上に、電子部品1(子部品)を実装する(ステップ110)(図9(F)参照)。このとき、上記したように、電子部品1の複数の電極2には、均一に半田ペースト3が塗布されているので、実装の信頼性を向上させることができる。
【0070】
[各種変形例]
上記した例では、実装の対象となる電子部品1の一例として、下側に電極2が形成されたBGA、LGA、PGAタイプ等の電子部品1を例に挙げて説明した。しかし、実装の対象となる電子部品1は、これに限られない。例えば、電子部品1は、例えば、抵抗、コンデンサ、コイル等であっても構わない。
【0071】
上記した例では、電子部品1がトレイ40から取り出される場合について説明した。一方、電子部品1は、パーツカセット50から取り出されてもよい。
【0072】
上記した例では、基板5上に既に実装された電子部品1であって、一番下の電子部品1(親部品)上に、電子部品1(子部品)を実装する場合について説明した。しかし、これに限られず、本技術は、基板5上に電子部品1を実装したり、基板5上に実装された電子部品1(親部品)上に実装された電子部品1(子部品)上にさらに、電子部品1(子部品)を実装したりする場合にも適用することができる。
【0073】
上記した例では、電極2に塗布されると塗布物の一例として、半田ペースト3を例に挙げて説明した。しかし、塗布物は、フラックスや、接着剤などであっても構わない。
【0074】
上記した例では、吸着ノズル22から電子部品1を解放させてから、吸着ノズル22に電子部品1を再び保持させるまでの期間内において、この期間の一部の期間で吸着ノズル22の圧力が正圧とされる場合について説明した。しかし、これに限られず、上記期間内の全ての期間で吸着ノズル22の圧力が正圧とされて、吸着ノズル22から電子部品1に対して風が吹き付けられてもよい。
【0075】
なお、吸着ノズル22の圧力は、必ずしも正圧とされなくてもよい。例えば、吸着ノズル22から電子部品1を解放させてから、吸着ノズル22に電子部品1を再び保持させるまでの期間内は、吸着ノズル22の圧力を大気圧としてもよい。このような場合にも、電子部品1の複数の電極2に対して均一に塗布物を塗布することができる。
【0076】
上記した例では、電子部品1を保持及び解放(離脱)する保持部の一例として、吸着ノズル22を例に挙げて説明した。しかし、保持部は、吸着ノズル22に限られない。例えば、保持部の他の例としては、電子部品を電磁力などによって保持する保持部や、電子部品を側方から挟み込んで保持する保持部等が挙げられる。
【0077】
本技術は、以下の構成をとることもできる。
(1)複数の電極を有する電子部品を保持及び解放可能な保持部と、
前記保持部を移動させる移動機構と、
前記複数の電極に塗布される塗布物が配置される塗布部と、
前記電子部品を前記保持部に保持させ、前記移動機構により前記塗布部上に前記保持部を移動させ、前記塗布部上で前記電子部品を前記保持部から解放させて前記複数の電極に塗布物を塗布させ、解放された前記電子部品を前記保持部に再び保持させ、前記移動機構により前記保持部を基板又は別の電子部品上に移動させ、前記電子部品を前記基板又は前記別の電子部品上に実装させる制御部と
を具備する実装装置。
(2)上記(1)に記載の実装装置であって、
前記保持部は、圧力の切り替えにより前記電子部品を保持及び解放可能な保持部である
実装装置。
(3)上記(2)に記載の実装装置であって、
前記制御部は、前記保持部から前記電子部品を解放させてから、前記保持部に前記電子部品を再び保持させるまでの期間内において、前記期間内の全部又は一部の期間は、前記保持部を正圧とする
実装装置。
(4)上記(1)乃至(3)のうち何れかに記載の実装装置であって、
前記制御部は、前記塗布部上に前記保持部を移動させた後、前記移動機構により前記保持部を下降させて前記電子部品の電極が前記塗布物に接触する位置まで前記保持部を下降させ、前記保持部が前記位置まで下降したときに前記電子部品を前記保持部から解放させる
実装装置。
(5)複数の電極を有する電子部品を保持及び解放可能な保持部と、
前記保持部を移動させる移動機構と、
前記複数の電極に塗布される塗布物が配置される塗布部と、
前記電子部品を前記保持部に保持させ、前記移動機構により前記塗布部上に前記保持部を移動させ、前記塗布部上で前記電子部品を前記保持部から解放させて前記複数の電極に前記塗布物を塗布させる制御部と
を具備する塗布装置。
(6)複数の電極を有する電子部品を保持部に保持させ、
前記複数の電極に塗布される塗布物が配置された塗布部上に前記保持部を移動させ、
前記塗布部上で前記電子部品を前記保持部から解放させて前記複数の電極に前記塗布物を塗布させ、
解放された前記電子部品を前記保持部に再び保持させ、
前記保持部を基板又は別の電子部品上に移動させ、
前記電子部品を前記基板又は前記別の電子部品上に実装させる
実装方法。
(7)複数の電極を有する電子部品を保持部に保持させ、
前記複数の電極に塗布される塗布物が配置された塗布部上に前記保持部を移動させ、
前記塗布部上で前記電子部品を前記保持部から解放させて前記複数の電極に前記塗布物を塗布させる
塗布方法。
(8)実装装置に、
複数の電極を有する電子部品を保持部に保持させるステップと、
前記複数の電極に塗布される塗布物が配置された塗布部上に前記保持部を移動させるステップと、
前記塗布部上で前記電子部品を前記保持部から解放させて前記複数の電極に前記塗布物を塗布させるステップと、
解放された前記電子部品を前記保持部に再び保持させるステップと、
前記保持部を基板又は別の電子部品上に移動させるステップと、
前記電子部品を前記基板又は前記別の電子部品上に実装させるステップと
を実行させるプログラム。
(9)塗布装置に、
複数の電極を有する電子部品を保持部に保持させるステップと、
前記複数の電極に塗布される塗布物が配置された塗布部上に前記保持部を移動させるステップと、
前記塗布部上で前記電子部品を前記保持部から解放させて前記複数の電極に前記塗布物を塗布させるステップと
を実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0078】
1…電子部品
2…電極
3…半田ペースト
5…基板
20…実装機構
21…装着ヘッド
22…吸着ノズル
23…ヘッド移動機構
30…半田塗布ユニット
31…塗布部
32…スキージ
33…プレート
100…実装装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極を有する電子部品を保持及び解放可能な保持部と、
前記保持部を移動させる移動機構と、
前記複数の電極に塗布される塗布物が配置される塗布部と、
前記電子部品を前記保持部に保持させ、前記移動機構により前記塗布部上に前記保持部を移動させ、前記塗布部上で前記電子部品を前記保持部から解放させて前記複数の電極に塗布物を塗布させ、解放された前記電子部品を前記保持部に再び保持させ、前記移動機構により前記保持部を基板又は別の電子部品上に移動させ、前記電子部品を前記基板又は前記別の電子部品上に実装させる制御部と
を具備する実装装置。
【請求項2】
請求項1に記載の実装装置であって、
前記保持部は、圧力の切り替えにより前記電子部品を保持及び解放可能な保持部である
実装装置。
【請求項3】
請求項2に記載の実装装置であって、
前記制御部は、前記保持部から前記電子部品を解放させてから、前記保持部に前記電子部品を再び保持させるまでの期間内において、前記期間内の全部又は一部の期間は、前記保持部を正圧とする
実装装置。
【請求項4】
請求項1に記載の実装装置であって、
前記制御部は、前記塗布部上に前記保持部を移動させた後、前記移動機構により前記保持部を下降させて前記電子部品の電極が前記塗布物に接触する位置まで前記保持部を下降させ、前記保持部が前記位置まで下降したときに前記電子部品を前記保持部から解放させる
実装装置。
【請求項5】
複数の電極を有する電子部品を保持及び解放可能な保持部と、
前記保持部を移動させる移動機構と、
前記複数の電極に塗布される塗布物が配置される塗布部と、
前記電子部品を前記保持部に保持させ、前記移動機構により前記塗布部上に前記保持部を移動させ、前記塗布部上で前記電子部品を前記保持部から解放させて前記複数の電極に前記塗布物を塗布させる制御部と
を具備する塗布装置。
【請求項6】
複数の電極を有する電子部品を保持部に保持させ、
前記複数の電極に塗布される塗布物が配置された塗布部上に前記保持部を移動させ、
前記塗布部上で前記電子部品を前記保持部から解放させて前記複数の電極に前記塗布物を塗布させ、
解放された前記電子部品を前記保持部に再び保持させ、
前記保持部を基板又は別の電子部品上に移動させ、
前記電子部品を前記基板又は前記別の電子部品上に実装させる
実装方法。
【請求項7】
複数の電極を有する電子部品を保持部に保持させ、
前記複数の電極に塗布される塗布物が配置された塗布部上に前記保持部を移動させ、
前記塗布部上で前記電子部品を前記保持部から解放させて前記複数の電極に前記塗布物を塗布させる
塗布方法。
【請求項8】
実装装置に、
複数の電極を有する電子部品を保持部に保持させるステップと、
前記複数の電極に塗布される塗布物が配置された塗布部上に前記保持部を移動させるステップと、
前記塗布部上で前記電子部品を前記保持部から解放させて前記複数の電極に前記塗布物を塗布させるステップと、
解放された前記電子部品を前記保持部に再び保持させるステップと、
前記保持部を基板又は別の電子部品上に移動させるステップと、
前記電子部品を前記基板又は前記別の電子部品上に実装させるステップと
を実行させるプログラム。
【請求項9】
塗布装置に、
複数の電極を有する電子部品を保持部に保持させるステップと、
前記複数の電極に塗布される塗布物が配置された塗布部上に前記保持部を移動させるステップと、
前記塗布部上で前記電子部品を前記保持部から解放させて前記複数の電極に前記塗布物を塗布させるステップと
を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図13】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−26261(P2013−26261A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156438(P2011−156438)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】