説明

客室制御システム検証方法

【課題】航空機等の客室制御システムにおいて、システム初段機器の出力段でモニタするだけで、システム内部機器における動作内容のモニタ実施を実現でき、検証工数を大幅に削減する事が可能な客室制御システム検証方法を提供することを目的とする。
【解決手段】客室制御システム全体の基本制御を集中的に実施する機能を有する中央制御器100に機能機器の数および配置を含む物理的なシステム構成、およびハブとなるネットワーク制御器101、102、103毎のネットワーク構成のエリア分けに依存する動作制御パターンを含んだ複数のデータベースを有し、複数のデータベースおよび動作制御パターンを用いて、機能機器の動作をモニタ装置115、116、117、119によりモニタする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機などの客室システムにおいて、システムを構成する機能機器の動作の検証方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
航空機や船舶、列車等は、その機能を全く異にする複数のシステムから構成されている。例えば、航空機では、エンジン等の飛行そのものに関連する機体基幹システムから、一般乗客が直接操作することが可能なエンドユーザー向けのサービスシステムまで、多岐にわたるシステムが相互に深く関わりあって機体全体を構成している。
【0003】
その中で、エンドユーザーである一般乗客とのインターフェースを有するシステムには主として、次の2つのシステムを挙げることができる。
【0004】
一つ目は機内娯楽システムと呼ばれる一般乗客向けの娯楽システムである。これは、一般乗客が飛行中の機内において、映画や音楽等の配信情報を受信する受動的なサービスから、ゲームやショッピングなどの双方向通信を利用した乗客側からの情報発信による能動的なサービス等を利用するためのエンドシステムである。
【0005】
もうひとつは、客室制御システムである。このシステムは、主に、パイロット等の乗務員および客室乗務員が利用する客室内の制御を実施するシステムである。
【0006】
その実例としては、コックピット内のパイロットからの機内放送、客室乗務員からの機内放送(緊急事態発生時の通信手段としての機能も含む)、客室乗務員同士で実施される業務連絡のための通信手段、機内照明の調整、機内温度の調整、および、上記した機内娯楽システムの制御等が挙げられる。
【0007】
その他、乗務員や客室乗務員だけではなく、一般乗客が利用する機能として、乗務員呼び出し用のチャイムや座席における個別照明スイッチも含まれている。
【0008】
次に客室制御システムの構成の概要について説明する。
【0009】
客室制御システムを物理的に構成するハードウェアとして、6種類の基幹機器と4種類の補助機器を想定する。
【0010】
基幹機器としては、システム全体の基本制御を集中的に実施する機能を有する中央制御器、システムが構成するネットワークの基点となるネットワーク制御器、各種制御コマンド入力や各種内部データの出力表示を行なうためのヒューマンインターフェースとなるディスプレイ機能を有する表示制御器、機内放送における、スピーカ制御を含めた様々な音声出力の制御機能を有する音声制御器、座席照明や乗務員呼び出しチャイム等、客室乗務員と一般顧客とのインターフェース制御機能を司る乗客操作機能制御器、および、客室乗務員が機内アナウンスを実施する際の音声入力用マイク機能、あるいは、乗務員間での連絡実施を行なう際のインターホン機能を有する、機内通話制御器の6種類である。
【0011】
一方、補助機器としては、機内照明器、乗務員呼び出し用チャイムに呼応して点灯する乗務員呼出灯、窓からの採光を制御する自動制御する電子シャッター、および客室内の機材使用状況を表示する(トイレの占有状況、安全ベルトの着用指示、禁煙指示等)機材状況表示板を想定する。
【0012】
これらの基幹機器および補助機器が、システム構成に応じて、適宜、必要台数使用される。
【0013】
次に、上記10種類のハードウェア機器を使用するシステム構成について述べる。航空機の機体の大きさは、大型機、中型機、小型機と、大別するだけでも3種類存在する。しかも、それぞれのカテゴリーにおいて数種類の機体が存在することも珍しくない。
【0014】
例えば、大型機としては、ボーイング社の機体を例に取ると、長距離輸送用として用いられる747型や777型、エアバス社の場合は、A380型やA340型となり、中型機では、ボーイング社を例にとると、主に大陸間移動用の目的として使用されることが多い、767型や757型、エアバス社の場合、A330型となり、小型機では、ボーイング社を例にとると、737型機となり、近距離輸送用として使用されることが、一方、エアバス社は、小型機の種類が多く、A319型、A320型、A321型となる。
【0015】
それぞれの型番においても、さらに、様々な派生型番が存在する。それに加えて、コンフィグレーションと呼ばれる、客室内の座席構成や機内照明や機材使用状況表示板等の使用数や物理的配置は、各航空会社のサービス形態にしたがって、カスタマイズされることが多く、上記機体型番それぞれの中で、さらに枝分かれが生じる。
【0016】
ここで、具体的なコンフィグレーションの例を挙げてみる。小型機といっても100以上の座席が存在し、大型機に至っては300から500の座席が存在する。
【0017】
客室制御システムは、これらの座席各々に対応して、個別制御が必要となるため、一般的なサービス形態として使用される、ファーストクラス、ビジネスクラス、エコノミークラスといった3種類の座席グループ分類以外に、通常、物理的な配置ごとに、さらなるエリア分けを行ない、分割したエリアごとに、中央制御器を除く、特定数の基幹機器および補助機器を配置し、エリアごとの制御を実施することで、きめ細かい動作を実現する。
【0018】
ただし、中央制御装置である中央制御器は、常にシステム構成上1台だけ使用し、システムすべての全体動作の制御を担当する。
【0019】
一方、表示制御器やネットワーク制御器は、通常、各3台から5台使用し、乗客操作機能制御器や音声制御器は、座席数に応じて使用台数を調整するが、通常20台から50台を使用する。中央制御器以外の各機器も様々な制御動作を実施するが、これら各機器間の動作調停は、システム全体動作の制御を行なう中央制御器が担当する。
【0020】
このように、客室制御システムは、仮に小型機のシステムを想定した場合においても、エリア区分や機器配置数などは、航空会社のサービス形態に応じて変更が加えられる。
【0021】
このように、負荷分散型の処理システムにおいては、単純な1種類のシステムを考えた場合においても、各エリアごとの制御および全体統合制御の調整は複雑多岐にわたり、開発設計はもちろんのこと、その検証工数は非常に大きい。
【0022】
加えて顧客要望内容に応じた様々な種類におよぶシステムのバリエーション展開は、開発設計の複雑さおよびその検証工数を激大化させ、複数種類の同時システム開発は実質的に不可能とさせる。
【0023】
航空機における機能を検証するシステムとしては、例えば特許文献1のようなものがある。これは、航空機の電子制御式フライトコントロールシステムにおいて、機能試験をデータベースの記述内容に従って自動的に行なわれるようにしたもので、安全性を向上できると共に工数を削減でき、しかも、その後の維持管理に特殊な技能を必要とせず、フライトコントロールシステムの入出力信号と簡便なデータフォーマットに関する知識のみで、試験手順の変更、追加、削除等が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】特開平8−249047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
このように、負荷分散型システムである客室制御システムにおいては、単純な1種類のシステム構成のみでなく、顧客要望に応じた様々なパターンのシステム構成の実現が求められる。
【0026】
大規模かつ多くのエリアや座席数を保有するシステムに至っては、その単一システムの動作保証を実施するための検証において、個別機器のテストはもちろんのこと、各エリアごとのテストでさえも、膨大な工数が必要となり、もはや通常の個別機器の動作テストを逐一実施することは不可能な状況にある。
【0027】
これら大規模システムかつ複数種類のシステムの動作保証を行なうための効率的な検証の実施が求められている。
【0028】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、システム初段機器の出力段でモニタするだけで、システム内部機器における動作内容のモニタ実施を実現でき、検証工数を大幅に削減する事が可能な客室制御システム検証方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
上記課題を解決するために、本発明の客室制御システム検証方法は、負荷分散型システムである客室制御システムにおいて、内部インターフェースを介し、キャビンサービスシステム全体の基本制御を集中的に実施する機能を有するとともに、キャビンサービスシステム外への外部インターフェースを有する中央制御器と、中央制御器の内部インターフェースに接続され、複数の機能機器で構成される接続ネットワークにおける基点となるネットワーク制御器と、中央制御器の外部インターフェースおよび内部インターフェースにそれぞれ接続され、ネットワーク通信のパケットを監視するためのモニタ装置とを備えた客室制御システム検証方法において中央制御器内に、各機能機器数およびその配置情報を含む物理的なシステム構成とネットワーク制御器単位で構成するネットワークの、エリア分けに依存する動作制御パターンといった複数のデータベースを有し、この複数のデータベースおよび動作制御パターンを用いて、客室制御システムを構成する機能機器の動作をモニタ装置によりモニタするようにしたものである。
【0030】
これにより、機器数や機器配置位置等を含む物理的なシステム構成のみならず、物理配置位置に関連するエリア分けに依存する動作制御パターンを含んだデータベースを複数準備することで、システムバリエーションを実現する。
【0031】
このようなデータベース定義を実施することで、システムの枠組み構成と、動作制御を含むシステムのバリエーション内容を定義するデータベースの定義内容を分離することで、システムトップレベルにおける、システム構成およびシステム検証の単純化を実施する。
【0032】
すなわち、本発明においては、物理配置および動作制御をパターン分類するための機能制御のパターン分類方法と、該機能制御のパターン分類方法と組み合わせることで効率的な活用を実現でき、外部入出力インターフェースおよび内部機器への出力インターフェースのモニタ手段の配置構成を提供することで、多数の内部機器の多岐にわたる動作パターンを、システム初段機器の出力段でモニタすることで、システム動作検証を可能にする。
【発明の効果】
【0033】
本発明は、主にシステム初段機器の出力段でモニタするだけで、システム内部機器における動作内容のモニタ実施を実現でき、検証工数を大幅に削減する事が可能である。
【0034】
特に、大規模システムの検証や複数種類にわたるシステムに関する検証工数および検証の煩雑性を大幅に軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の形態1に係る客室制御システム構成図
【図2】同機体側機器群インターフェースから内部機器へデータ送信される場合の中央制御器の制御フロー図
【図3】娯楽システムインターフェースから内部機器へデータ送信される場合の中央制御器の制御フロー図
【図4】表示制御器のユーザーインターフェースから機体システムへデータ送信される場合の中央制御器の制御フロー図
【図5】表示制御器のユーザーインターフェースから娯楽システムへデータ送信される場合の中央制御器の制御フロー図
【図6】機体側機器群インターフェースから内部機器へデータ送信される場合に、通常の論理表の定義以外の論理制御が必要となる場合の中央制御器の制御フロー図
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0037】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る客室制御システムの構成を示すブロック図である。まず、図1を用いて、本発明における客室制御システムの構成とその動作の概要について述べる。
【0038】
同図に示すように、本実施の形態における客室制御システムは、中央制御機能かつ外部インターフェース制御機能を有する基幹機器である中央制御器100と、システム内の様々な機器が構成する接続ネットワークにおける基点となるハブ機能を有する基幹機器であるネットワーク制御器101と、ネットワーク制御器101に直列に接続されるネットワーク制御器102と、ネットワーク制御器102に直列に接続されるネットワーク制御器103を備えている。
【0039】
ネットワーク制御器103は、最終的に中央制御器100に接続されて、これら4つの機器はひとつのループを形成する構造を有している。
【0040】
ネットワーク制御器101、102、103には、それぞれ、システムに対する各種制御コマンドの入力や、システム制御時の通信内容等、各種内部データの出力表示を行なうなど、データ入出力のためのヒューマンインターフェース機能を有する基幹機器である、表示制御器104と、機内放送における、スピーカ制御等の音声出力制御に関する機能を有する基幹機器である音声制御器105が複数台接続される。さらにこれら音声制御器には、各々4つのスピーカが接続される。
【0041】
またネットワーク制御器101、102、103には、それぞれ、座席照明、乗務員呼び出しチャイムなどの、客室乗務員と乗客間のコミュニケーション手段の制御機能を司る基幹機器である複数台の乗客操作機能制御器106が接続される。
【0042】
一部の乗客操作機能制御器106には、トイレの占有状況の表示、安全ベルトの着用あるいは非着用指示の表示、あるいは、禁煙表示のような、客室内の機材使用状況を表示する機能を有する補助機器である機材状況表示板107が接続される。
【0043】
ネットワーク制御器101、102、103には、さらに、客室乗務員あるいはパイロットが機内アナウンスを実施するための音声入力手段、および、乗務員同士間での連絡実施を行なう際の、インターホン機能を有する、音声通話用のヒューマンインターフェースとなる基幹機器である3台の機内通話制御器108を接続する。
【0044】
これら基幹機器に加えて、照明機能を有する補助機器である、複数台の機内照明器109と、乗客が乗務員を呼び出す際に使用するチャイムに呼応して、同時に点灯することで乗務員の注意を促すための乗務員呼出灯110が、それぞれネットワーク制御器101、102、103に対して並列に接続される。
【0045】
最後に、窓のシェードの自動開閉機能実現に相当する、窓からの遮光および採光を制御する機能を有する補助機器である複数台の電子シャッター111が接続されている。
【0046】
また、中央制御器100は、客室制御システムの外部システムとのインターフェースである、大別して3つのインターフェースを有する。
【0047】
第1は、コックピット機器等飛行システムを含む機体側機器システム200のネットワークである機体側機器システム群へのインターフェース112である。機体側システムの大半は、この機体側機器システム200に含まれる。
【0048】
第2に、機体側機器システム200に含まれない、乗務員用機器管理システム400と呼ばれる、主にメンテナンス機能を含む機器群のネットワークであるメンテナンスシステムへのインターフェース114である。
【0049】
そして、第3に、機体側機器群ではなく、客室内の機内娯楽システム300へのインターフェース113である。
【0050】
これら3つのインターフェースの動作をモニタするために、中央制御器100のEthernet(登録商標)の入力ポートに対して、パケット解析機能を有する機体側機器群インターフェース内部動作用モニタ115、メンテナンスシステムインターフェース内部動作用モニタ117、および娯楽システムインターフェース内部動作用モニタ116を、および中央制御器100のEthernet(登録商標)の出力ポート118に対して、中央制御器システム内部動作用モニタ119を接続する。
【0051】
次に、図1における、客室制御システムの動作例について述べる。
【0052】
客室制御システムの基本機能に関する動作について、順次、説明していく。
【0053】
客室制御システムの基本機能は、次に述べる7つに大別される。1)システムソフトウェアをダウンロードする、インストール機能、2)航空機客室内での一斉アナウンス機能である機内放送機能、3)コックピット内の乗務員および客室内の客室乗務員が実施する、任意の2者間あるいは任意の3者以上で実施する通話機能である機内インターホン機能、4)乗客から客室乗務員への呼び出し機能連動灯やチャイムの鳴動、読書灯などの座席照明の乗客操作によるスイッチ等の客室制御機能、5)航空機客室内の温度調整、上水量の出力調整など、データ入出力のためのヒューマンインターフェースである表示制御器104を用いて、操作を実施する客室環境監視制御機能、6)機内照明の入り切りといった単純なマニュアル制御や、適応的な自動制御により様々なシーンを作り出し、かつ、そのシーンの切り替えを実施する、機内照明制御機能、7)機内の様々な機器のメンテナンスを目的として、各機器の故障情報を的確に出力する機器メンテナンス機能に分類される。
【0054】
最初に、客室制御システムの初期立ち上げ時に実施するソフトウェアのインストール機能について説明する。
【0055】
客室制御システムの初期立ち上げを行なう際は、乗務員用機器管理システム400からメンテナンスシステムインターフェース114を通じて中央制御器100に対して、システムソフトウェアがダウンロードされる。その後、中央制御器100のダウンロード制御命令をトリガとして、客室制御システム内で、各機器が、順次、階層的にダウンロードを実施する。
【0056】
例えば、まず、中央制御器100が、客室制御システム内のネットワークにおいて、自らの直接の配下の機器である、ネットワーク制御器101、ネットワーク制御器102、ネットワーク制御器103に対して、ダウンロードを行なう。乗客操作機能制御器106、音声制御器105および機内通話制御器108も、物理的には、ネットワーク制御器101、102、103の配下として接続されているが、実際の制御は、すべて中央制御器100が行なう。
【0057】
この場合、ネットワーク制御器101、102、103は、単なるハブとしての機能を果たすのみで、すべての基幹機器は、中央制御器100がインストールを司る。その後、ネットワーク制御器101、102、103は、自らの配下に接続されている、補助機器である、機内照明器109、乗務員呼出灯110、電子シャッター111に対して、ダウンロード制御を行ない、各補助機器へのデータのダウンロードを実施する。同様に乗客操作機能制御器106は、自らの配下に接続されている機材状況表示板107に対して、同様にデータのダウンロードを実施する。
【0058】
このように、客室制御システム内に多数の機器が存在するが、乗務員用機器管理システム400からメンテナンスシステムインターフェース114経由で一旦中央制御器100にデータ送付された後は、中央制御器100がそのほとんどの制御を司ることで、基幹機器へのダウンロード機能を行ない、一部、補助機器については、物理的には、ネットワーク制御器101、102、103や乗客操作機能制御器106からダウンロードを実施するが、基本となるその制御自体も、実際には、中央制御器100が実施する。
【0059】
よってインストール機能に関する各種動作を検証する際、メンテナンスシステムインターフェース114から入力されるデータ通信と、中央制御器100から出力されるデータ通信をモニタすることで、客室制御システム全体を構成する各機器に関するその動作内容を把握することが可能となる。
【0060】
次に、航空機客室内での一斉アナウンス機能である機内放送機能の動作について述べる。
【0061】
客室内一斉アナウンスは、コックピット内の乗務員が客室に対して実施する場合や、客室内の客室乗務員が客室内あるいはコックピットに対して実施する場合や、機内娯楽システム機器にあらかじめ録音あるいは録画された、緊急脱出時の対処方法に関する音声説明やビデオ放映を実施する場合がある。
【0062】
コックピット内の機器からの機内放送においては、機体側機器システム200から機体側機器群インターフェース112経由で中央制御器100に制御データおよび音声データが送信される。この際、中央制御器100は、ネットワーク制御器101、102、103経由で、音声制御器105に音声データを送信し、音声制御器105に接続されているスピーカから音声を出力する。この際、出力する音声制御器105やそのスピーカの指定は、すべて中央制御器100がデータベースを用いて制御する。
【0063】
客室内の客室乗務員が機内放送を実施する場合は、ネットワーク制御器101、102、103に接続されている、いずれかの機内通話制御器108から音声を入力するが、この際、出力するアナウンス音声をどのスピーカに設定するか等の基本情報も同時に機内通話制御器108から入力する。
【0064】
この音声データと制御情報を元に、動作制御は中央制御器100が実施し、これら音声データおよび制御データは、中央制御器100を経由して、適切な音声制御器105およびスピーカに送られて出力される。
【0065】
あらかじめ録音あるいは録画された緊急脱出時の対処方法に関する機内放送については、機内娯楽システム300から娯楽システムインターフェース113経由で中央制御器100に入力される。この際、中央制御器100は、機体側機器群インターフェース112経由の場合と同様に、音声データをネットワーク制御器101、102、103経由で音声制御器105に送信し、最終的に指定されたスピーカからアナウンス音声を出力する。この際、中央制御器100の制御にしたがって、音声制御器105およびスピーカへの送信制御を実施する。
【0066】
このように、機内放送機能を実現する際も、どのようなパターンの機内放送を行なう場合も、必ず、中央制御器100を経由し、中央制御器100が基本制御を実施するため、機体側機器群インターフェース112から入力されるデータ通信と、中央制御器100およびネットワーク制御器101間の入出力データ通信をモニタすることで、客室制御システム全体を構成する各器に関する動作内容を把握することが可能となる。
【0067】
次に、コックピット内の乗務員と客室内の客室乗務員間、あるいは、客室乗務員同士間が実施する、2者通話機能や、コックピット内の乗務員と客室内の客室乗務員の任意の3名以上で実施する通話機能である機内インターホン機能の動作について述べる。
【0068】
まず、コックピット内の乗務員から、客室内の客室乗務員が使用する機内通話制御器108に対して通話呼び出しを行ない、2者通話が実施されるケースについて考える。
【0069】
コックピット内の乗務員は、機体側機器システム200の機器を用いて通話するので、機体側機器群インターフェース112経由で中央制御器100と各種データを送受信される。
【0070】
一方、中央制御器100では、受信したデータをもとに、音声データをネットワーク制御器101を経由して、機内通話制御器108へ送信する制御を実施し、機内通話制御器108から音声を出力する制御を施すと同時に、中央制御器100内に定義したデータベースにしたがって、ネットワーク制御器101に接続されている乗務員呼出灯110のうち、機内通話制御器108に対応付けられたものを選択して点灯する。
【0071】
さらに、このとき、乗務員呼出灯110と同様に、中央制御器100内に定義したデータベースに従って、ネットワーク制御器101に接続されている音声制御器105とそのスピーカの中で、機内通話制御器108に対応付けられたものを選択して、呼び出しを知らせるチャイムを鳴らす。
【0072】
チャイムおよび乗務員呼出灯110の点灯により、機内通話制御器108の呼び出しサインを確認して、機内通話制御器108をアクティベートすることで、通話が成立する。
【0073】
逆に、客室内の機内通話制御器108からコックピット内の通話システムを呼び出す場合は、全く逆の経路で通信を行なうが、機内通話制御器108から入力された音声データおよび制御パラメータは、中央制御器100における制御にしたがって、機体側機器群インターフェース112を経由して、機体側機器システム200に届けられ、コックピット内との2者通話が成立する。
【0074】
さて次に、コックピット内の乗務員、客室内の客室乗務員の任意の3名以上が実施する通話機能について考えるが、ここでは、便宜上、次のようなケースを想定する。キャビン内のネットワーク制御器102の配下に接続されている機内通話制御器108からネットワーク制御器103の配下に接続されている機内通話制御器108へ呼び出しを行ない、2者通話が成立している状態で、コックピット内の機体側機器システム200の機器から機内通話制御器108に対して通話呼び出しを行ない、3者通話が成立するものとする。
【0075】
ネットワーク制御器102の配下に接続されている機内通話制御器108からネットワーク制御器103の配下に接続されている機内通話制御器108を呼び出す際、ネットワーク制御器102の配下に接続されている機内通話制御器108から入力された音声データおよび制御データは、ネットワーク制御器102、ネットワーク制御器101経由で、一旦、中央制御器100に送信される。
【0076】
この後、機内通話制御器108から入力された制御設定データをもとに中央制御器100が制御を実施し、音声データは、ネットワーク制御器101、ネットワーク制御器102、ネットワーク制御器103を経由して機内通話制御器108に送信される。
【0077】
このとき、中央制御器100内に定義したデータベースにしたがって、ネットワーク制御器103に接続されている乗務員呼出灯110のうち、機内通話制御器108に対応付けられたものを選択して点灯すると同時に、乗務員呼出灯110と同様に、中央制御器100内に定義したデータベースに従って、ネットワーク制御器103に接続されている音声制御器105とそのスピーカの中で、機内通話制御器108に対応付けられたものを選択して、呼び出しを知らせるチャイムを鳴らす。
【0078】
チャイムおよび乗務員呼出灯110の点灯により、機内通話制御器108の呼び出しが実施されていることを確認して、客室乗務員は機内通話制御器108をアクティベートする操作を行なうことで、まず、2者通話が成立する。
【0079】
この状態において、コックピット内の乗務員が機体側機器システム200内の機器から、機内通話制御器108に呼び出しをかける際は、機体側機器システム200内の機器に対して入力された音声データと制御設定データは、機体側機器群インターフェース112を経由して中央制御器100に送信される。
【0080】
この後、入力された制御設定データを用いて、中央制御器100が制御を実施し、中央制御器100からネットワーク制御器101およびネットワーク制御器102を経由して、機内通話制御器108に対して音声データを送信する。
【0081】
このとき、中央制御器100内に定義したデータベースにしたがって、ネットワーク制御器102に接続されている乗務員呼出灯110のうち、機内通話制御器108に対応付けられたものを選択して、点灯すると同時に、乗務員呼出灯110と同様に、中央制御器100内に定義したデータベースに従って、ネットワーク制御器102に接続されている音声制御器105とそのスピーカの中で、機内通話制御器108に対応付けられたものを選択して、呼び出しを知らせるチャイムを鳴らす。
【0082】
チャイムおよび乗務員呼出灯110の点灯により、機内通話制御器108の呼び出しが実施されていることを確認して、客室乗務員は機内通話制御器108をアクティベートする操作を行なうことで、先に隔離しているネットワーク制御器102の配下に接続されている機内通話制御器108およびネットワーク制御器103の配下に接続されている機内通話制御器108の2者通話に対して、コックピットからの通話が加わり、3者通話が成立する。
【0083】
この3者通話に関しては、あらかじめ成立している2者通話が、コックピットおよびネットワーク制御器102の配下に接続されている機内通話制御器108で、これに対してネットワーク制御器103の配下に接続されている機内通話制御器108が加わる場合、あるいは、あらかじめ成立している2者通話が、コックピットおよびネットワーク制御器103の配下に接続されている機内通話制御器108で、これに対してネットワーク制御器102の配下に接続されている機内通話制御器108が加わる場合でも、全く同様な処理を行なう。
【0084】
さらに、3者以上の通話に関しても、全く同様な処理を行なう。
【0085】
ここで、改めて機内インターホン機能の動作について確認すると、いずれの通話パターンが成立する場合も、必ず、データは、一旦中央制御器100に送信され、中央制御器100を起点に、関連機器に対してデータ送信や制御が実施される。
【0086】
したがって、機内インターホン機能を実現する際も、どのようなパターンの通話が確立する場合も、機体側機器群インターフェース112から入力されるデータ通信と、中央制御器100およびネットワーク制御器101間の入出力データ通信をモニタすることで、客室制御システム全体を構成する各機器に関する動作内容を把握することが可能となる。
【0087】
それでは次に、主に乗客が主導で実施する機能である客室制御機能について述べる。客室制御機能には、乗客が客室乗務員を呼び出すために使用するチャイムの鳴動や、このチャイムの鳴動に連動して、機内インターホン機能実施時にも使用した乗務員呼出灯の点灯機能が含まれる。その他、機内照明が消灯されている際に、乗客自身が座席で明かりを取るために点灯する、読書灯などの座席照明の操作機能がある。
【0088】
最初に乗客が客室乗務員を呼び出すために使用する、アテンダントコールと呼ばれるチャイムの鳴動およびそれに連動した乗務員呼出灯110の点灯動作は、乗客が、座席周りのアテンダントコールボタンを押すことで動作が起動される。このとき、コールボタンを押すことでアクティブとなる信号は、乗客操作機能制御器106に伝えられる。
【0089】
客室内のすべての座席は、各乗客操作機能制御器106がシステム内で定義されたデータベースの割り当てに従って分担して、状態を監視する。例えば、ネットワーク制御器103の配下に接続された乗客操作機能制御器106が状態を監視する座席にて、乗客が客室乗務員呼出コールボタンを押した場合は、乗客操作機能制御器106からネットワーク制御器103、ネットワーク制御器102、ネットワーク制御器101を経由して、中央制御器100に呼出ボタンがアクティブ状態となったことが伝えられる。
【0090】
中央制御器100は、乗客操作機能制御器106の配下の座席でボタンが押されたことを確認後、乗客操作機能制御器106がネットワーク制御器103の配下の機器であることを認識すると同時に、この乗客操作機能制御器106と連動することがデータベース上で定義されているネットワーク制御器103の配下の乗務員呼出灯110と、ネットワーク制御器103の配下の音声制御器105およびその音声制御器105配下のスピーカに対して、乗務員呼出灯110の点灯命令信号と、スピーカからのチャイム鳴動命令信号を発する。
【0091】
例えば、ここでは、乗務員呼出灯110と、音声制御器105に接続されている4つのスピーカのうちの1つが連動すると定義されているとすると、乗客がアテンダントコールボタンを押すことで、乗客操作機能制御器106がそのボタンが押されたことを感知して、各ネットワーク制御器を経由して中央制御器100にステータスが伝わり、中央制御器100では、即時、乗務員呼出灯110を点灯し、音声制御器105に接続されている4つのスピーカのうちの1つを鳴動させる命令を発行する。この命令に従って、ネットワーク制御器103では、実際の乗務員呼出灯110を点灯制御を行ない、音声制御器105は、ネットワーク制御器103経由で送信されてきたスピーカ鳴動制御を行なう。
【0092】
その他、従来の窓のシャッターの開閉に相当する動作を電子的に光の透過制御によって行なう電子シャッター111の制御に関してもアテンダントコールと同じ仕組みとなる。
【0093】
例えば、乗客が睡眠をとるために窓からの光を遮断したい場合は、電子シャッター111の光を遮断するクローズボタンを押すことで動作が起動される。例えば、電子シャッター111のクローズボタンが2箇所で押された場合、ネットワーク制御器101に対して配下の2箇所でクローズ制御がアクティブとなったことが伝えられる。
【0094】
ネットワーク制御器101はこれらの状態を検知して、その内容を中央制御器100に伝える。中央制御器100は、ネットワーク制御器101配下のその他のすべての電子シャッター111の制御状況を収集して、制御コマンドの衝突が生じないよう調停した上で、順次、ネットワーク制御器101に電子シャッター111の光遮断制御実行の許可を与えるコマンドを発行する。ネットワーク制御器101は中央制御器100から送られた調停情報に従って、順次、電子シャッター111に対して、光遮断コマンドを発行して、制御を実行する。
【0095】
客室制御機能には、そのほか、航空機が飛行中に気流の影響等でゆれが発生した場合などに、機長が点灯するシートベルト着用サインの点灯がある。この場合は、機長が機体側機器システム200上で点灯命令を発する操作を実施することで、機体側機器群インターフェース112経由で中央制御器100に命令が送られる。
【0096】
中央制御器100では、この命令に従って、すべての機材状況表示板107にシートベルト着用サインの点灯命令を発する。すなわち、ネットワーク制御器101配下の乗客操作機能制御器106に接続されている機材状況表示板107、ネットワーク制御器102配下の乗客操作機能制御器106に接続されている機材状況表示板107、ネットワーク制御器103配下の乗客操作機能制御器106に接続されている機材状況表示板107に対して、シートベルト着用サインの点灯命令を発する。この点灯命令に従って、各乗客操作機能制御器106が実際の点灯制御を実施し、機材状況表示板107が点灯する。
【0097】
ここで、改めて客室制御機能の動作について確認すると、この機能においても、いずれの動作パターンが成立する場合も、必ず、データは、一旦中央制御器100に送信され、中央制御器100を起点に、関連機器に対してデータ送信や制御が実施される。
【0098】
したがって、客室制御機能を実現する際も、どのようなパターンの動作が確立する場合も、機体側機器群インターフェース112から入力されるデータ通信と、中央制御器100およびネットワーク制御器101間の入出力データ通信をモニタすることで、システム全体を構成する機器に関する動作内容を把握することが可能となる。
【0099】
次に、客室乗務員が、航空機客室内の温度調整、上水量の出力調整など、データ入出力のためのヒューマンインターフェースである表示制御器104を用いて、操作を実施する表示制御機能に関する動作について述べる。
【0100】
客室内の温度調整を行なったり、トイレの手洗い水等、上水として使用する水が貯蔵されているタンクの水量をチェックするためのセンサ機能や、あるいはトイレやその他食品の調理として排出された下水が貯蔵されているタンクの水量をチェックするためのセンサ機能等は、機体側のシステムである機体側機器システム200の一部として装備されている。これらの機能に関して、客室内から明示的に操作を実施する場合は、各ネットワーク制御器に接続されている表示制御器104を入出力インターフェースとして利用する。
【0101】
例えば、ネットワーク制御器101はファーストクラスの座席が配置されたエリア、ネットワーク制御器102はビジネスクラスの座席が配置されたエリア、ネットワーク制御器103はエコノミークラスの座席が配置されたエリアというエリアの割り当てが定義されている場合を考える。
【0102】
航空機の出発時に、客室全体が同じになるように温度設定を行なっていても、ファーストクラスとエコノミークラスでは、乗客の絶対数が異なるため、時に、ネットワーク制御器101の配下に接続されている表示制御器104でモニタされた客室内の温度と、ネットワーク制御器103の配下に接続されている表示制御器104でモニタされた客室内の温度に差が出る場合がある。このような場合を実例として、温度調整の動作を考えてみる。
【0103】
客室乗務員が、ネットワーク制御器101の配下に接続されている表示制御器104で客室内の温度を表示させるコマンドを入力すると、表示制御器104からネットワーク制御器101を経由して中央制御器100に温度表示を要求するコマンドが伝えられる。
【0104】
ここで、中央制御器100から機体側機器群インターフェース112経由で機体側機器システム200に現在の温度を感知し送付するための要求命令が送付される。
【0105】
それに対して、機体側機器システム200よりファーストクラスエリアに設置されたセンサーにて感知された温度データが、機体側機器群インターフェース112を経由して中央制御器100に返送される。
【0106】
中央制御器100は、表示制御器104に対してこのデータを表示する命令を発行し、ネットワーク制御器101経由で表示制御器104にこの命令が伝えられ、表示制御器104は、温度表示動作を実施する。
【0107】
同様に、ネットワーク制御器103の配下に接続されている表示制御器104で客室内の温度を表示させるコマンドを入力すると、表示制御器104からネットワーク制御器103、ネットワーク制御器102、ネットワーク制御器101を経由して、中央制御器100に温度表示を要求するコマンドが伝えられ、上記と全く同様のプロセスを経て、機体側機器システム200より機体側機器群インターフェース112経由で中央制御器100に対して、エコノミークラスエリアに設置されたセンサにて感知された温度データが届けられ、さらに、中央制御器100からネットワーク制御器101、ネットワーク制御器102、ネットワーク制御器103を経由して、表示制御器104に対して温度表示動作を実施するコマンドが伝えられ、最終的に、表示制御器104は、温度表示動作を実施する。
【0108】
この場合、表示制御器104からエコノミークラスの温度をモニタすることも可能で、温度感知するエリアに関わらず、どのネットワーク制御器の配下の表示制御器104からでも操作することが可能である。
【0109】
また、このようにして、それぞれの温度状態をモニタしながら、どこかのエリアの温度設定を変更したい場合も同様である。例えば、ビジネスクラスエリアの温度設定変更を行なう場合は、表示制御器104から温度設定変更コマンドを入力すると、表示制御器104からネットワーク制御器102、ネットワーク制御器101を経由して、中央制御器100に温度設定コマンドが送付される。
【0110】
中央制御器100は、機体側機器群インターフェース112経由で、機体側機器システム200に温度設定コマンドを発行し、機体側機器システム200は、このコマンドを受けて、ビジネスクラスエリアの温度設定制御を実行する。
【0111】
一方、上水あるいは下水用タンクの水量のチェックに関しては、上記温度表示と全く同様であり、機体側機器システム200内の温度感知機能を、水量検知機能として置き換わったケースと考えればよい。
【0112】
すなわち、どのエリアに配置された表示制御器104からでも、中央制御器100および機体側機器群インターフェース112を経由して、機体側機器システム200とのコマンド送付を行ない、それぞれのエリアに設置された貯水タンクの水量を監視することができる。
【0113】
このように、表示制御機能の動作においても、いずれの動作パターンが成立する場合も、必ず、データは、一旦中央制御器100に送信され、中央制御器100を起点に、関連機器に対してデータ送信や制御が実施される。
【0114】
したがって、表示制御機能を実現する際も、どのようなパターンの動作が確立する場合も、機体側機器群インターフェース112から入力されるデータ通信と、中央制御器100およびネットワーク制御器101間の入出力データ通信をモニタすることで、客室制御システム全体を構成する各機器に関する動作内容を把握することが可能となる。
【0115】
次に、機内照明の制御に関する機能について述べる。機内照明に関しては、客室乗務員が単純に機内照明をつけたり、あるいは、消したりするほかに、各ライトの照度を落とすことで、消費電力を抑制する省電力制御や、さらには、このライトの照度の個別制御をさらに拡張して、各ライトにおける照度を詳細に、かつ、適応的な自動制御をすることで、機内全体をスクリーンに見立てた照明によるシーンの作成と、そのシーン切り替えを実施する機能がある。
【0116】
これらを実施する際、客室乗務員は、いずれかの表示制御器104から機内照明のスイッチのオンあるいはオフするコマンドを入力する。電力制御やシーン制御の実施に関しては、あらかじめ設定されている複数の制御パターンから選択して実施する。
【0117】
電力制御の場合は、例えば、すべてのライトの照度を最大に設定するフルパワー制御や、すべてのライトの照度を半減したり、1/4に制限する等の、特定の割合の省電力制御パターン設定の中から、必要に応じて、いずれかを選択するしくみが準備されていたり、また、シーン制御の場合は、例えば、ライト全体の詳細な制御パターン定義をあらかじめ準備することで、夜明けのシーン、夜空のシーンのように、ライト設定による複数のシーンパターン設定を準備し、それらの固定設定パターンの中から、必要に応じて選択コマンドを入力する。
【0118】
これらのコマンドは、例えば、ネットワーク制御器103の配下に接続されている表示制御器104から入力した場合は、ネットワーク制御器103、ネットワーク制御器102、ネットワーク制御器101を経て、中央制御器100に送信され、中央制御器100は、これらのコマンドを機体側機器群インターフェース112を介して、機体側機器システム200に制御コマンドを発行する。
【0119】
これらのコマンドを受け取った機体側機器システム200では、例えば、機内照明のすべてのスイッチオンあるいはオフの場合は、機体の電力系統に問題がない場合は、オンあるいはオフを許可するコマンドを機体側機器群インターフェース112を介して、中央制御器100に返す。
【0120】
電力制御パターンに関するコマンドであれば、予めライトの接続方法が定義されているデータベースに照会した上で、各電力系統別に電力使用状況を検知した後、設定コマンドに対応した制御命令を中央制御器100に返す。
【0121】
同様に、シーン制御の場合も、予めシーンを実現する上で必要な、各ライトに関する詳細な制御を照会した上で、各ライトへ詳細な設定指示に関するコマンドを中央制御器100に返す。中央制御器100は受け取ったコマンドを、ネットワーク制御器101、ネットワーク制御器102、およびネットワーク制御器103に対して、制御内容を含んだコマンドを発行するが、実際の各ライトへの詳細な制御は、各ネットワーク制御器が、それぞれに配下に接続されているすべての機内照明器に対して実施する。
【0122】
このように、機内照明制御機能の動作においても、いずれの動作パターンが成立する場合も、必ず、一旦、中央制御器100を起点に、関連機器に対してデータ送信や制御が実施される。したがって、機内照明制御機能を実現する際も、どのようなパターンの動作が確立する場合も、機体側機器群インターフェース112から入力されるデータ通信と、中央制御器100およびネットワーク制御器101間の入出力データ通信をモニタすることで、客室制御システム全体を構成する各機器に関する動作内容を把握することが可能となる。
【0123】
さて、基本機能の最後として、機内の様々な機器のメンテナンスを目的として、各機器の故障情報を的確に出力するメンテナンス機能の動作に関して述べる。客室制御システム内の各機器に関しては、基幹機器である、ネットワーク制御器101、102、103、表示制御器104、音声制御器105、乗客操作機能制御器106、機内通話制御器108や、補助機器である電子シャッター111、機内照明器109、乗務員呼出灯110、機材状況表示板107は、それぞれ自身が故障した場合の自己診断機能を有しており、各機器が故障した場合、故障メッセージを出力する。
【0124】
各機器から出力された故障メッセージは、すべて、一旦、中央制御器100に集められて、中央制御器100にて、客室制御システム全体として、故障箇所や故障原因の特定のための判断、診断を実施した後、表示制御器104に対して、その診断結果を出力する。
【0125】
個別に出力された故障メッセージには、客室制御システムとしての故障原因を判断する上では、重複内容が含まれている場合や、あるいは、各機器が個別に出力する内容が組み合わさることで、客室制御システムとしては、別現象として現れる場合等、個々の故障ケースに関して、適宜、適切な判断、診断を行なって、その内容を出力する機能を有する。
【0126】
例えば、ネットワーク制御器103が故障して、電源が入らない場合を仮定する。表示制御器104にて、何が生じているかをチェックするためにメンテナンス機能を実施するコマンドを発行すると表示制御器104から中央制御器100に対して、チェックコマンドが送信される。
【0127】
中央制御器100から、ネットワーク制御器103配下のすべての機器に対して、接続を確認するコマンドを発行する。この際、ネットワーク制御器103配下の基幹機器である乗客操作機能制御器106等のみでなく、補助機器である機内照明器109等、すべての機器に対して接続が不可である状態を検知する。
【0128】
中央制御器100は、すべての機器が接続不可であることのエラーメッセージを受け取るが、実際には、その中でネットワーク制御器103自体に異常がある可能性が最も高いと判断して、検知エラーメッセージの中から、真のエラー原因としてネットワーク制御器103のエラーメッセージを選択して、最終的に、表示制御器104に対して、ネットワーク制御器103が異常であることを診断結果として、出力する。
【0129】
このように、メンテナンス機能の動作においても、いずれの動作パターンが成立する場合も、必ず、故障情報は、一旦、中央制御器100に集められ、中央制御器100にて適切な判断を行なったうえで、各表示制御器104に結果を出力する。つまり他の機能と同様に中央制御器100を起点に、関連機器に対してデータ送信や制御が実施される。
【0130】
したがって、メンテナンス機能を実現する際も、どのようなパターンの動作が確立する場合も、外部インターフェースから入力されるデータ通信と、中央制御器100およびネットワーク制御器101間の入出力データ通信をモニタすることで、客室制御システム全体を構成する各機器に関する動作内容を把握することが可能となる。
【0131】
それでは次に、図1で述べてきた航空機の客室制御システムの動作概要を実現するための、中央制御器100の制御例に関して、図2から図6を用いて、説明する。
【0132】
図2は、機体側機器システム200から機体側機器群インターフェース112を経由して、中央制御器100にデータ送付される場合について、中央制御器100内における制御フローを示した図である。
【0133】
図3は、機内娯楽システム300から娯楽システムインターフェース113を経由して、中央制御器100にデータが送付される場合について、中央制御器100内における制御フローを示した図である。
【0134】
図4は、客室制御システム内で、最も使用する頻度が高い、ユーザーインターフェース機器である表示制御器104から、機体側機器群インターフェース112経由で機体側機器システム200に対して操作を行なった場合の制御フローを示した図である。
【0135】
図5は、図4と同様に表示制御器104から、娯楽システムインターフェース113経由で、機内娯楽システム300に対して操作を行なった場合の制御例を示した図である。
【0136】
図6は、図2の別例として、機体側機器システム200から機体側機器群インターフェース112を経由して、客室制御システムへの動作が起動される場合に、通常の論理表の定義以外の論理制御が必要となる場合の制御フローを示した図である。
【0137】
基本的に、中央制御器100内では、1)メッセージ表、2)パラメータ表、3)真理値表、4)接続表、5)機能表、6)変換表、7)分割表、および8)命令表の8つの論理テーブルを用いて、動作制御を実施する。
【0138】
これら8つの論理表の機能概要は、以下のとおりである。
【0139】
1)メッセージ表は、主に機体側機器群インターフェース112との通信時に使用するポート番号と、客室制御システムの内の動作を一意に定義するシステムIDおよびサブIDを制御する機能を有する。機体側機器群インターフェース112からデータが入力される際は、機体側機器群インターフェース112から送付されてくるデータメッセージから、ポート番号を判別して、客室制御システム内での機能内容や、機器の種類等、実動作を定義するためのIDであるシステムIDおよびサブIDへと変換を行ない、逆に、機体側機器群インターフェース112に対してデータを出力する際は、システムIDおよびサブIDやその他の情報を適切なポート番号に変換する機能を有する。
【0140】
2)パラメータ表は、システムIDやサブIDで規定された機能内容を、実施するためのコマンドとして定義された値に相当する変換番号に変換する機能を有する。
【0141】
3)真理値表は、2つ以上の機能が組み合わさった場合に組み合わせ論理を定義する真理値表としての機能を有する。
【0142】
4)接続表は、システムIDおよびサブIDの変換を実施する。すなわち、客室制御システム内の実動作を定義するシステムIDおよびサブIDに関して、客室制御システム内容で用いるIDの値と、キャビンサービスシステム外で使用されているIDの値は、必ずしも同じではない。すなわち、同じ機能を定義するシステムIDおよびサブIDが、客室制御システム内外で異なった値を用いて処理されている。接続表は、この対応を正しく行なうために、システムIDおよびサブIDの変換を行なう機能を有する。
【0143】
このとき、外部インターフェースである、機体側機器群インターフェース112、メンテナンスシステムインターフェース114、および娯楽システムインターフェース113と、客室制御システム内では、それぞれ異なった値を持つため、出力先のインターフェースに応じて、それぞれ異なった値を出力する機能を有する。
【0144】
このため、変換後の出力形式として、ひとつの入力IDをひとつの出力IDに変換して、1対1対応として各出力先にIDを出力するのみでなく、ひとつの入力IDを変換後、たとえば、機体側機器群インターフェース112および娯楽システムインターフェース113の各インターフェースに対して、異なった2種類の出力ID値をバスデータとして、一度に送出する機能も有する。
【0145】
5)機能表は、客室制御システム内の動作を定義するシステムIDおよびサブIDを、客室制御システムを構成する各ユニットを動作させるための実動作コマンドの値へと変換する機能を有する。外部インターフェースから送信されてきたシステムIDおよびサブIDの値を客室サービスシステム内の機器が動作するために使用するシステムIDおよびサブIDの値へと変換すると同時に、どの機器を動作させるかを決定するために、機内の物理的な座席配置情報に従って、グループ分類されて位置情報が定義されているグループ番号を、IDの関連情報としてあわせて出力する。
【0146】
逆に、グループ番号の値を受信すると、そのグループ番号に関連する物理的な座席配置情報に対応した機器の動作コマンドとしてシステムIDおよびサブIDの値を出力する機能も有する。
【0147】
また、パラメータ表で変換して作成される変換番号と同様に、システムIDおよびサブIDから、実際の機器が使用する値である変換番号への変換も行なう。
【0148】
6)変換表は、客室制御システムの内の機器が実際に使用する値である変換番号を、最終的に、生の数値に変換する機能を有する。
【0149】
7)分割表は、娯楽システムインターフェース113から送信されてきたデータを基に、客室制御システム内で顧客がどの座席からどのような操作コマンドを発行したかをデコードして、客室制御システム内のどの機器を動作させるかを決定するためのグループ番号へと変換する機能を有する。グループ番号には、動作コマンド、座席の物理配置情報、顧客がアテンダントコールを実施した際の、発行状況のステータス情報が含まれる。
【0150】
8)最後に命令表であるが、これは、機内娯楽システム300の動作に関する、システムIDやサブIDで規定された機能内容を、娯楽システムインターフェース113経由で、機内娯楽システム300に送信する際に、娯楽システムコマンドに相当する値に変換する機能を有する。
【0151】
図2は、機体側機器システム200から機体側機器群インターフェース112を経由して、中央制御器100にデータ送付される場合について、中央制御器100内における制御フローを示した図である。
【0152】
機体側機器システム200から機体側機器群インターフェース112経由で中央制御器100に送信されたデータは、まず、最初にメッセージ表12に入力される。メッセージ表12では、機体側機器システム200から送信されたポート番号データを基に、システムIDおよびサブIDへと変換処理を実施する。
【0153】
これらシステムIDおよびサブIDが、変換表15,パラメータ表14,接続表17,あるいは真理値表13のいずれかの表に対して出力される。
【0154】
変換表15にシステムIDおよびサブIDが直接入力される場合は、入力されたIDに相当する実コマンドの数値に変換されて、中央制御器100から出力され、最終的に、内部メッセージ収集器18にて、客室制御システム内部の機器への転送フォーマットに整形されて、該当する機器に対して出力される。
【0155】
メッセージ表12から出力された、システムIDおよびサブIDがパラメータ表14に入力される場合は、パラメータ表14にて変換番号を一旦生成したのち、この変換番号を変換表15に対して出力する。
【0156】
変換表15では、入力値から、実動作コマンドの数値に変換されて中央制御器100から出力され、最終的に、内部メッセージ収集器18にて、客室制御システム内部の機器への転送フォーマットに整形されて、該当する機器に対して出力される。
【0157】
メッセージ表12から出力された、システムIDおよびサブIDが接続表17に入力される場合は、接続表17にて、システムIDおよびサブIDを、一旦、客室制御システム内の機器が使用するID値に変換する処理を行なって、そのまま、中央制御器100から出力され、内部メッセージ収集器18にて、客室サービスシステム内部の機器への転送フォーマットに整形されて、該当する機器に対して出力される。
【0158】
その他、接続表17にて、変換されたシステムIDおよびサブIDのコマンド値は、機能表16に対して送信される。この機能表16では入力されたシステムIDおよびサブIDを変換表15同様に実動作コマンドの生の数値に変換すると同時に、座席配置情報等を含むグループ番号を同時に出力する。
【0159】
これらの機能表16から出力されたコマンド値とグループ番号も同時に内部メッセージ収集器18にて、キャビンサービスシステム内部の機器への転送フォーマットに整形されて、該当するユニットに対して出力される。
【0160】
メッセージ表12から出力された、システムIDおよびサブIDが真理値表13に入力される場合は、複数の動作間の調停をとるための論理チェックを行なったうえで、有効となるシステムIDおよびサブIDが選択されて出力される。この真理値表13から出力されるシステムIDおよびサブIDが直接中央制御器100から出力され、内部メッセージ収集器18にて、各内部機器への転送フォーマットに整形されて、該当する機器に対して出力される。また、真理値表13から出力されるシステムIDおよびサブIDが接続表17に入力される場合は、上記の接続表17の動作にしたがって、処理される。
【0161】
図3は、機内娯楽システム300から娯楽システムインターフェース113を経由して、中央制御器100にデータ送付される場合について、中央制御器100内における制御フローを示した図である。
【0162】
機内娯楽システム300から娯楽システムインターフェース113経由で中央制御器100に送信されたデータは、分割表20,機能表16および変換表15に対して出力される。
【0163】
分割表20では、機内娯楽システム300から送信されたデータを基に、グループ番号へと変換処理を行い、機能表16に対して出力される。
【0164】
機能表16では、機内娯楽システム300から送信された座席配置情報を基に、システムIDおよびサブIDへと変換処理を行い、接続表17に対して出力される。この機能表16では入力されたシステムIDおよびサブIDを変換表15同様に実動作コマンドの生の数値に変換すると同時に、座席配置情報等を含むグループ番号を同時に出力する。
【0165】
接続表17では、機能表16から出力されたシステムIDおよびサブIDを一旦、客室制御システム内のユニットが使用するID値に変換する処理を行なって、そのまま、中央制御器100から出力し、内部メッセージ収集器18にて、客室制御システム内部の機器への転送フォーマットに整形して、該当する機器に対して出力する。その他、接続表17にて、変換されたシステムIDおよびサブIDのコマンド値は、機能表16に対して送信される。
【0166】
変換表15では、機内娯楽システム300から送信されたデータと機能表16から出力された変換番号から実動作コマンドの数値に変換されて中央制御器100から出力され、最終的に、内部メッセージ収集器18にて、客室制御システム内部の機器への転送フォーマットに整形されて、該当する機器に対して出力される。
【0167】
図4は、客室内の客室乗務員が表示制御器104のユーザーインターフェースから入力されたデータがネットワーク制御器101を経由して中央制御器100に送付される場合について、中央制御器100内における制御フローを示した図である。
【0168】
客室内の客室乗務員が表示制御器104のユーザーインターフェースから入力したデータは、ネットワーク制御器101を経由して中央制御器100に送信され、機能表16および変換表15に入力される。機能表16では、表示制御器104から送信されたグループ情報を基に、システムIDおよびサブIDへと変換処理を実施する。これらのシステムIDおよびサブIDが、接続表17に対して出力される。また、表示制御器104から送信されたデータは、変換表15に出力される。
【0169】
接続表17では、機能表16から出力されたシステムIDおよびサブIDを、一旦、機体側機器群インターフェース112で使用するID値に変換する処理を行って、そのまま、中央制御器100から出力し、機体側機器群インターフェースメッセージ収集器23にて、機体側機器群インターフェース112への転送フォーマットに整形して出力する。
【0170】
その他、接続表17にて、変換されたシステムIDおよびサブID のコマンド値は、パラメータ表14およびメッセージ表12に出力される。
【0171】
パラメータ表14では、接続表17から出力された、システムIDおよびサブIDから変換番号を一旦生成したのち、この変換番号を変換表15に対して出力する。
【0172】
変換表15では、入力値から、実動作コマンドの数値に変換されて中央制御器100から出力され、最終的に、機体側機器群インターフェースメッセージ収集器23にて、機体側機器群インターフェース112への転送フォーマットに整形されて出力される。
【0173】
メッセージ表12では、接続表17から出力された、システムIDおよびサブIDから機体側機器群インターフェース112で使用するコマンドの数値に変換されて中央制御器100から出力され、最終的に機体側機器群インターフェースメッセージ収集器23にて、機体側機器群インターフェース112への転送フォーマットに整形されて出力される。
【0174】
図5は、客室内の客室乗務員が表示制御器104のユーザーインターフェースから入力されたデータがネットワーク制御器を経由して中央制御器100に送付される場合について、中央制御器100内における制御フローを示した図である。
【0175】
客室内の客室乗務員が表示制御器104のユーザーインターフェースから入力したデータは、ネットワーク制御器101を経由して中央制御器100に送信され、機能表16に入力される。機能表16では、表示制御器104から送信されたグループ情報を基に、システムIDおよびサブIDへと変換処理を行って、そのまま、中央制御器100から出力され、娯楽システムメッセージ収集器24にて、娯楽システムインターフェース113への転送フォーマットに整形されて出力される。
【0176】
その他、機能表16にて変換されたシステムIDおよびサブIDは、接続表17に対して出力される。
【0177】
接続表17では、機能表16で変換されたシステムIDおよびサブIDを、一旦、娯楽システムインターフェース113で使用するID値に変換する処理を行って、命令表22に出力する。命令表22では、接続表17から出力されるID値を実動作コマンドの数値に変換して、中央制御器100から出力し、最終的に、娯楽システムメッセージ収集器24にて、娯楽システムインターフェース113への転送フォーマットに整形されて出力される。
【0178】
図6は、機体側機器システム200から機体側機器群インターフェース112を経由して、中央制御器100にデータ送付される場合について、中央制御器100内における制御フローを示した図である。
【0179】
機体側機器システム200から機体側機器群インターフェース112経由で中央制御器100に送信されたデータは、まず、最初にメッセージ表12に入力される。メッセージ表12では、機体側機器システム200から送信されたポート番号データを基に、システムIDおよびサブIDへと変換処理を実施する。これらシステムIDおよびサブIDが、変換表15、パラメータ表14、接続表17のいずれかの表に対して出力される。
【0180】
変換表15にシステムIDおよびサブIDが直接入力される場合は、入力されたIDに相当する実コマンドの数値に変換される。
【0181】
メッセージ表12から出力された、システムIDおよびサブIDがパラメータ表14に入力される場合は、パラメータ表14にて変換番号を一旦生成したのち、この変換番号を変換表15に対して出力する。
【0182】
メッセージ表12から出力された、システムIDおよびサブIDが接続表17に入力される場合は、接続表17にて、システムIDおよびサブIDを、一旦、客室制御システム内の機器が使用するID値に変換する処理を行なって、論理制御器25に出力される。
【0183】
論理制御器25では、客室制御システム内の機器への動作を起動するためのシステムIDとサブIDに変換する処理を行なって、真理値表13に対して出力される。論理制御器25から出力された、システムIDおよびサブIDが真理値表13に入力される場合は、複数の動作間の調停をとるための論理チェックを行なったうえで、有効となるシステムIDおよびサブIDが選択されて出力される。この真理値表13から出力されるシステムIDおよびサブIDが、そのまま、中央制御器100から出力され、内部メッセージ収集器18にて、キャビンサービスシステム内部の機器への転送フォーマットに整形されて、該当するユニットに対して出力される。
【0184】
その他、接続表17にて、システムIDおよびサブIDを、一旦、客室制御システム内の機器が使用するID値に変換する処理を行なって、そのまま、中央制御器100から出力し、内部メッセージ収集器18にて、客室制御システム内部の機器への転送フォーマットに整形して、該当する機器に対して出力する。その他、接続表17にて、変換されたシステムIDおよびサブIDのコマンド値は、機能表16に対して送信される。
【0185】
機能表16では、入力されたシステムIDおよびサブIDを実動作コマンドの生の数値に変換すると同時に、座席配置情報等を含むグループ番号を同時に出力する。これらの機能表16から出力されたコマンド値とグループ番号も同時に内部メッセージ収集器18にて、客室制御システム内部の機器への転送フォーマットに整形されて、該当する機器に対して出力される。
【0186】
以上のように、中央制御器に客室制御システム内部の機器の数および配置を含む物理的なシステム構成、および複数のネットワーク制御器毎のネットワーク構成のエリア分けに依存する動作制御パターンを含んだ複数のデータベースを有し、複数のデータベースを用いて、客室制御システムを構成する複数の機器の動作をモニタ装置によりモニタするようにしたことで、システム初段機器の出力段でモニタするだけで、システム内部機器における動作内容のモニタ実施を実現でき、検証工数を大幅に削減する事が可能である。
【0187】
これにより、大規模システムの検証や複数種類にわたるシステムに関する検証工数および検証の煩雑性を大幅に軽減することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0188】
本発明の客室制御システム検証方法は、大規模システムの検証や複数種類にわたるシステムに関する検証工数および検証の煩雑性を大幅に軽減することができ、航空機や船舶、列車などにおける客室制御システム検証方法として有効である。
【符号の説明】
【0189】
12 メッセージ表
13 真理値表
14 パラメータ表
15 変換表
16 機能表
17 接続表
18 内部メッセージ収集器
20 分割表
22 命令表
23 機体側機器群インターフェースメッセージ収集器
24 娯楽システムメッセージ収集器
25 論理制御器
100 中央制御器
101、102、103 ネットワーク制御器
104 表示制御器
105 音声制御器
106 乗客操作機能制御器
107 機材状況表示板
108 機内通話制御器
109 機内照明器
110 乗務員呼出灯
111 電子シャッター
112 機体側機器群インターフェース
113 娯楽システムインターフェース
114 メンテナンスシステムインターフェース
115、116、117、119 内部動作用モニタ
118 出力ポート
200 機体側機器システム
300 機内娯楽システム
400 乗務員用機器管理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部インターフェースを介し、客室制御システム全体の基本制御を集中的に実施する機能を有するとともに、前記客室制御システム外への外部インターフェースを有する中央制御器と、前記中央制御器の前記内部インターフェースに接続され、複数の機能機器で構成される接続ネットワークにおける基点となる少なくとも1つのネットワーク制御器と、前記中央制御器の前記外部インターフェースおよび前記内部インターフェースにそれぞれ接続され、ネットワーク通信のパケットを監視するためのモニタ装置とを備えた客室制御システムの検証方法であって、前記中央制御器に前記機能機器の数および配置を含む物理的なシステム構成、および前記複数のネットワーク制御器毎のネットワーク構成のエリア分けに依存する動作制御パターンを含んだ複数のデータベースを有し、前記複数のデータベースおよび前記複数の動作制御パターンを用いて、前記客室サービスシステムを構成する前記複数の機能機器の動作を前記モニタ装置によりモニタするようにしたことを特徴とする客室制御システム検証方法。
【請求項2】
前記客室制御システムを構成する前記複数の機能機器は、システムに対する各種制御コマンドの入力や、システム制御時の通信内容等、各種内部データの出力表示を行なう等の、データ入出力のためのヒューマンインターフェース機能を有する表示制御器と、機内放送における、スピーカ制御等の音声出力制御に関する機能を有する音声制御器と、座席照明、乗務員呼び出しチャイムなどの、客室乗務員と乗客間のコミュニケーション手段の制御機能を司る乗客操作機能制御器と、客室乗務員あるいはパイロットが機内アナウンスを実施するための音声入力手段、および、乗務員同士間での連絡実施を行なう際の、小型ディスプレイ付きインターホン機能を有する、音声通話用のヒューマンインターフェースとなる機内通話制御器と、機内照明器具の機能を有する機内照明器と、乗客が乗務員を呼び出す際に使用するチャイムに呼応して、同時に点灯することで乗務員の注意を促すための乗務員呼出機能連動灯である乗務員呼出灯と、窓のシェードの自動開閉機能実現に相当する、窓からの遮光および採光を制御する機能を有する電子シャッターと、トイレの占有状況の表示、安全ベルトの着用あるいは非着用指示の表示、あるいは、禁煙表示のような、客室内の機材使用状況を表示する機能を有する機材状況表示板、のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の客室制御システム検証方法。
【請求項3】
前記中央制御器は、前記客室制御システム外の他のシステムとの間に、複数の外部インターフェースを有するものであることを特徴とする請求項1記載の客室制御システム検証方法。
【請求項4】
前記複数の外部インターフェースは、コックピット機器等飛行システムを含む機体側機器群機体側機器システムのネットワークである機体側機器群インターフェースと、前記機体側機器システムに含まれない、主にメンテナンス機能を含む機器群乗務員用機器管理システムのネットワークであるメンテナンスシステムインターフェースと、客室内の娯楽システム機器群のネットワークへの娯楽機器インターフェースのいずれかであることを特徴とする請求項3記載の客室制御システム検証方法。
【請求項5】
前記ネットワーク制御器は、前記客室制御システム内に複数設けられ、第1のネットワーク制御器は、前記中央制御器の前記内部インターフェースに接続し、第2のネットワーク制御器は、前記第1のネットワーク制御器の出力に接続し、第N(Nは1以上の整数)のネットワーク制御器は、第N−1のネットワーク制御器の出力に順次接続し、第Nのネットワーク制御器の出力は、前記中央制御器に対して出力し、ネットワークを通じてループを形成するように接続されることを特徴とする請求項1記載の客室制御システム検証方法。
【請求項6】
前記中央制御器の複数の外部インターフェースのうち少なくとも1つの出力に、ネットワーク通信のパケットを監視するためのモニタ装置を接続し、前記モニタ装置を用いて、ネットワーク通信を介して、前記客室制御システムを構成する各機能機器の動作内容をチェックすることで、全体システム動作処理を確認することを特徴とする請求項1記載の客室制御システム検証方法。
【請求項7】
前記中央制御器の出力と前記ネットワーク制御器間に、データモニタリング機能を有するモニタ装置を接続し、前記客室制御システム内部動作の確認を行なうことを特徴とする請求項1記載の客室制御システム検証方法。
【請求項8】
前記中央制御器を、複数の論理テーブルを用いて制御することを特徴とする請求項1記載の客室制御システム検証方法。
【請求項9】
前記複数の論理テーブルは、主に外部インターフェースとの通信時に使用するポート番号と前記客室サービスシステム内の動作を一意に定義するシステムIDおよびサブIDを制御する機能を有し、外部インターフェースからデータが入力される際は、外部からの送付されてくるデータメッセージから、ポート番号を判別して、客室制御システム内での機能内容や、機器の種類等、実動作を定義するためのIDであるシステムIDおよびサブIDへと変換を行ない、逆に、外部インターフェースに対してデータを出力する際は、システムIDおよびサブIDやその他の情報を適切なポート番号に変換する機能を有するMassage表と、システムIDやサブIDで規定された機能内容を実施するためのコマンドとして定義された値に相当する変換番号に変換する機能を有するパラメータ表と、2つ以上の機能が組み合わさった場合に組み合わせ論理を定義する真理値表としての機能を有する真理値表と、システムIDおよびサブIDの変換を実施する接続表と、システムIDおよびサブIDを、システム構成する各機能機器を動作させるための実動作コマンドの値へと変換する機能を有し、外部インターフェースから送信されてきたシステムIDおよびサブIDの値をシステム内の機器が動作するために使用するシステムIDおよびサブIDの値へと変換すると同時に、どの機器を動作させるかを決定するために、機内の物理的な座席配置情報に従って、グループ分類されて位置情報が定義されているグループ番号を、IDの関連情報としてあわせて出力するとともに、グループ番号の値を受信すると、そのグループ番号に関連する物理的な座席配置情報に対応した機器の動作コマンドとしてシステムIDおよびサブIDの値を出力する機能も有する機能表と、客室制御システム内の機器が実際に使用する値である変換番号を、最終的に、生の数値に変換する機能を有する変換表と、娯楽システムインターフェースから送信されてきたデータを基に、客室制御システム内で顧客がどの座席からどのような操作コマンドを発行したかをデコードして、システム内のどの機器を動作させるかを決定するためのグループ番号へと変換する機能を有し、グループ番号には、動作コマンド、座席の物理配置情報、顧客がアテンダントコールを実施した際の、発行状況のステータス情報が含まれる分割表と、機内娯楽システムの動作に関する、システムIDやサブIDで規定された機能内容を、娯楽システムインターフェース経由で、機内娯楽システムに送信する際に、娯楽システムコマンドに相当する値に変換する機能を有する命令表と、いずれかであることを特徴とする請求項7記載の客室制御システム検証方法。
【請求項10】
前記機体側機器群インターフェースから入力されるデータは、前記メッセージ表に入力され、前記メッセージ表の出力は、前記パラメータ表、前記変換表、前記真理値表、前記Router表に出力され、前記パラメータ表は、前記メッセージ表からのデータ入力を受けて、前記変換表に出力し、前記真理値表は、前記メッセージ表からのデータ入力を受けて、前記接続表、および、内部メッセージ収集器にデータ出力し、前記接続表は、前記メッセージ表および前記真理値表からのデータ入力を受けて、前記機能表および前記内部メッセージ収集器に出力し、前記変換表は、前記メッセージ表および前記パラメータ表からのデータ入力を受けて、内部メッセージ収集器にデータ出力し、前記機能表は、前記接続表からのデータ入力を受けて、前記内部メッセージ収集器に出力し、前記内部メッセージ収集器は、前記変換表、前記機能表、前記接続表、前記真理値表からのデータ入力を受けて、これらのデータをバスデータとして集めたのち、一度に、前記機能機器へと送信する機能を有することを特徴とする請求項9記載の客室制御システム検証方法。
【請求項11】
前記娯楽システムインターフェースと前記客室制御システム間の一連の動作に関して、システム内部動作の確認を行なうために、前記娯楽システムインターフェースと前記中央制御器間、および前記中央制御器と前記ネットワーク制御器間すなわち中央制御器の入力および出力に、接続されたデータモニタリング機能を有する2つのモニタ装置を用い、前記中央制御器を、4つの論理テーブルである分割表と、機能表と、接続表と、変換表を用いて制御することを特徴とする請求項4記載の客室制御システム検証方法。
【請求項12】
前記娯楽システムインターフェースから入力されるデータは、前記分割表と、前記機能表と、前記変換表に入力され、前記分割表は、前記娯楽システムインターフェース、前記分割表および前記接続表からのデータ入力を受けて、前記接続表、前記内部メッセージ収集器および前記変換表にデータ出力し、前記接続表は、前記機能表からのデータ入力を受けて、前記機能表および内部メッセージ収集器にデータ出力し、前記変換表は、前記機能表から出力されるデータは前記娯楽システムインターフェースおよび前記機能表からのデータ入力を受けて、前記内部メッセージ収集器にデータ出力し、前記内部メッセージ収集器は、前記接続表、前記機能表、前記変換表からのデータ入力を受けて、バスデータとして集めたのち、一度に、前記機能機器へと送信する機能を有することを特徴とする請求項9記載の客室制御システム検証方法。
【請求項13】
前記客室制御システムと前記機体側機器群インターフェース間の一連の動作に関して、システム内部動作の確認を行なうために、前記表示制御器と前記中央制御器間、および前記中央制御器と前記機体側機器群インターフェース間すなわち中央制御器の入力および出力に、接続されたデータモニタリング機能を有する2つのモニタ装置を用い、前記中央制御器を、5つの論理テーブルである機能表と、接続表と、パラメータ表と、メッセージ表と、変換表を用いて制御することを特徴とする請求項9記載の客室制御システム検証方法。
【請求項14】
ユーザーから入力されるデータは、前記表示制御器に入力され、前記表示制御器の出力は、前記ネットワーク制御器に入力され、前記ネットワーク制御器の出力は、前記機能表および前記変換表に出力され、前記機能表は、前記ネットワーク制御器からのデータ入力を受けて、前記接続表に出力し、前記接続表は、前記機能表からデータ入力を受けて、前記パラメータ表、前記メッセージ表および前記機体側機器群インターフェースメッセージ収集器にデータ出力し、前記パラメータ表は、前記接続表からのデータ入力を受けて、前記変換表にデータ出力し、前記メッセージ表は、前記接続表からのデータ入力を受けて、前記機体側機器群インターフェースメッセージ収集器にデータ出力し、前記変換表は、前記ネットワーク制御器および前記パラメータ表からのデータ入力を受けて、前記機体側機器群インターフェースメッセージ収集器にデータ出力し、前記機体側機器群インターフェースメッセージ収集器、前記変換表、前記メッセージ表および前記接続表からのデータ入力を受けて、これらのデータをバスデータとして集めたのち、一度に、機体側機器群インターフェースへと送信する機能を有することを特徴とする請求項13記載の客室制御システム検証方法。
【請求項15】
前記客室制御システムと前記娯楽システムインターフェース間の一連の動作に関して、システム内部動作の確認を行なうために、前記表示制御器と前記中央制御器間、および前記中央制御器と前記娯楽システムインターフェース間すなわち中央制御器の入力および出力に、接続されたデータモニタリング機能を有する2つのスニファを用い、前記中央制御器を、3つの論理テーブルである機能表と、接続表と、命令表を用いて制御することを特徴とする請求項9記載の客室制御システム検証方法。
【請求項16】
ユーザーから入力されるデータは、前記表示制御器に入力され、前記表示制御器の出力は、前記ネットワーク制御器に入力され、前記ネットワーク制御器の出力は、前記機能表に出力され、前記機能表は、前記ネットワーク制御器からのデータ入力を受けて、前記娯楽システムメッセージ収集器および前記接続表にデータ出力され、前記接続表は、前記機能表からのデータ入力を受けて、前記命令表に出力され、前記命令表は、前記接続表からのデータ入力を受けて、前記娯楽システムメッセージ収集器にデータ出力され、前記娯楽システムメッセージ収集器は、前記機能表および前記命令表からのデータ入力を受けて、これらのデータをバスデータとして集めたのち、一度に、前記機内娯楽システムへと送信する機能を有することを特徴とする請求項15記載の客室制御システム検証方法。
【請求項17】
前記機体側機器群インターフェースと前記客室制御システム間の一連の動作に関して、システム内部動作の確認を行なうために、前記機体側機器群インターフェースと前記中央制御器間、および前記中央制御器と前記ネットワーク制御器間すなわち中央制御器の入力および出力に接続されたデータモニタリング機能を有する2つのモニタ装置を用い、前記中央制御器を、8つの論理テーブルであるメッセージ表と、パラメータ表と、変換表と、接続表と、論理制御器と、真理値表と、接続表と、機能表を用いて制御することを特徴とする請求項9記載の客室制御システム検証方法。
【請求項18】
前記機体側機器群インターフェースから入力されるデータは、前記メッセージ表に入力され、該メッセージ表の出力は、前記パラメータ表、前記変換表、前記接続表に出力され、前記パラメータ表は、前記メッセージ表からのデータ入力を受けて、前記変換表にデータ出力し、前記接続表は、前記メッセージ表からのデータ入力を受けて、前記論理制御器にデータ出力し、該論理制御器の出力は、前記真理値表に出力され、前記真理値表は、前記論理制御器からのデータ入力を受けて、前記内部メッセージ収集器および前記接続表にデータ出力され、前記接続表は、前記真理値表からのデータ入力を受けて、前記内部メッセージ収集器および前記機能表にデータ出力され、
前記機能表は、前記接続表からのデータ入力を受けて、前記内部メッセージ収集器にデータ出力され、前記内部メッセージ収集器は、前記変換表、前記機能表、前記接続表、前記真理値表からのデータ入力を受けて、これらのデータをバスデータとして集めたのち、一度に、前記機能機器へと送信する機能を有することを特徴とする請求項17記載の客室制御システム検証方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−41257(P2011−41257A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−134763(P2010−134763)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】